JP2018135479A - ラジカル硬化性樹脂組成物、保護層及び建築施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低臭性であって、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性が良好で、硬化物の柔軟性、耐候性、耐水性にも優れるラジカル硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、該ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの付加物(a1)と、水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(a2)との反応物であり、該ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールは、数平均分子量が300〜2400であり、該ラジカル重合性不飽和単量体(C)として、分子量が150以上である化合物を2種以上含むことを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ラジカル硬化性樹脂組成物、保護層及び建築施工方法に関する。
ラジカル硬化性樹脂組成物は、液状で取り扱うことが可能であって作業性が良く、しかも硬化物が耐久性等に優れた性能を有することから、種々様々な分野で広く用いられている。従来、このような樹脂組成物に含まれる重合性単量体としては、成形性や硬化物物性、価格の点から、スチレンが使用されることが殆どであったが、施工・成形時にスチレンに起因する臭気が発生し、作業環境の汚染が懸念されていた。そこで、昨今の環境問題への意識の高まりから、スチレンフリーの樹脂組成物が種々提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許第5003853号明細書 特開2005−298556号公報
上述のとおり、スチレンフリーの樹脂組成物(すなわちスチレンを使用しない樹脂組成物)が種々開発されているが、従来のスチレンフリーの樹脂組成物は、スチレンを用いた樹脂組成物等と比較すると、各種物性が充分でなく、改善の余地があった。例えば保護層を形成する樹脂組成物には、施工面を人が軽歩行した場合にも割れ等が発生しないことの他、耐候性や耐水性も求められる。だが、従来のスチレンフリーの樹脂組成物は、硬化物の柔軟性が充分でないため、割れ等の不具合が発生しやすかった。また、耐候性や耐水性、乾燥性も良好でなく、改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、低臭性であって、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性が良好で、硬化物の柔軟性、耐候性、耐水性にも優れるラジカル硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、このような樹脂組成物を用いた保護層や建築施工方法を提供することも目的とする。
本発明者は、ラジカル硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、特定の構造のウレタン(メタ)アクリレート及びビニルエステルとともに、分子量が150以上のラジカル重合性不飽和単量体を2種以上含む構成とすれば、これらの相乗効果によって初めて、低臭性であって、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性が良好で、硬化物の柔軟性、耐候性、耐水性にも優れることを見いだした。この樹脂組成物を、例えば保護層を形成する材料として使用すると、作業環境を良好にすることができるうえ、得られる保護層が耐久性や耐候性、耐水性等の各種効果に優れるため、極めて有用である。このようにして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、該ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの付加物(a1)と、水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(a2)との反応物であり、上記ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールは、数平均分子量が300〜2400であり、上記ラジカル重合性不飽和単量体(C)として、分子量が150以上である化合物を2種以上含むラジカル硬化性樹脂組成物である。
上記分子量が150以上である化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が0〜100℃であることが好ましい。
上記分子量が150以上である化合物の少なくとも1種は、ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(A)とビニルエステル(B)とラジカル重合性不飽和単量体(C)との含有割合(質量比)は、(A)/(B)/(C)=15〜35/15〜35/30〜70であることが好ましい。
上記ポリイソシアネートは、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネート化合物を含むことが好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物は、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又はイソホロンジイソシアネートであることが好ましい。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物は、保護層に用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ラジカル硬化性樹脂組成物を含む保護層でもある。
本発明は更に、上記ラジカル硬化性樹脂組成物を用いて保護層を形成する工程を含む建築施工方法でもある。
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、上述の構成よりなり、低臭性であって、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性が良好で、硬化物の柔軟性、耐候性、耐水性にも優れる。それゆえ、各種用途に好適に用いることができる。中でも特に、積層体の保護層を形成するための材料として有用である。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
1、ラジカル硬化性樹脂組成物
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)、及び、ラジカル重合性不飽和単量体(C)を含有する。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。以下では、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を「(A)成分」とも称す。他の成分も同様である。
上記樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分との含有割合(質量比)は、(A)/(B)=10〜90/90〜10であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは、(A)/(B)=20〜80/80〜20であり、(A)/(B)がこのような範囲であれば、上記樹脂組成物の硬化物は、耐候性、柔軟性により優れるものとなる。更に好ましくは30〜70/70〜30である。
上記樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分と(C)成分との含有割合(質量比)は、(A)/(B)/(C)=10〜50/10〜50/20〜80であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは(A)/(B)/(C)=15〜40/10〜40/25〜75であり、更に好ましくは15〜35/15〜35/30〜70である。
上記樹脂組成物はまた、(A)〜(C)成分からなる組成物(更に、硬化促進剤、硬化助促進助剤及び/又は空気遮断剤を含む場合は、これらも含む組成物)についての粘度が100〜2000mPa・sであることが好ましい。これにより、作業性が向上する。より好ましくは150〜1500mPa・sであり、更に好ましくは200〜1000mPa・sである。
本明細書中、粘度は、25℃における粘度を意味し、ブルックフィールド形粘度計(BROOK FIELD社製、品名:BROOK FIELD VISCOMETER、型番:LVDV−II+P)により測定することができる。
以下では、本発明の樹脂組成物に含まれる必須成分及び任意成分について更に説明する。
1)ウレタン(メタ)アクリレート(A)
ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの付加物(a1)と、水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(a2)との反応物である。なお、付加物(a1)と化合物(a2)との反応条件は特に限定されず、また各反応原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記付加物(a1)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネートとの付加物である。この付加反応の条件等も特に限定されない。中でもポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの付加物が好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、多塩基酸と多価アルコールとのポリエステル化合物であることが好ましい。多塩基酸及び多価アルコールは、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記多塩基酸としては、不飽和多塩基酸や飽和多塩基酸が挙げられる。
上記不飽和多塩基酸としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸等のα,β−不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル;等が挙げられる。
上記飽和多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸のダイマー(ダイマー酸)等の脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル;等が挙げられる。
上記多塩基酸の中でも、飽和多塩基酸を少なくとも用いることが好ましい。より好ましくは脂肪族飽和多塩基酸であり、更に好ましくはアジピン酸、コハク酸又はセバシン酸であり、特に好ましくはアジピン酸である。
上記多価アルコールとしては、2個以上の水酸基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、下記のジオール類、トリオール類、エーテル結合含有多価アルコール等が挙げられる。
ジオール類としては例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロオクタン−1,4−ジオール、2,5−ノルボルナンジオール等の脂環族ジオール;p−キシレンジオール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,5−ナフタレンジオール等の芳香族ジオール;等が挙げられる。
トリオール類としては、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル等が挙げられる。
エーテル結合含有多価アルコールとしてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール含有化合物が挙げられる。このようなポリアルキレングリコール含有化合物の製造方法は特に制限されないが、例えば、脂肪族グリコール類、芳香族グリコール類や3価以上のアルコール類にアルキレンオキサイドを付加する方法;アルキレングリコールを縮合する方法等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、柔軟性をより充分に付与する観点から、脂肪族ジオールを使用することが好ましい。中でもより好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール又は1,6ヘキサンジオールである。
上記ポリエーテルポリオールは、2以上のエーテル結合と2以上の水酸基とを有する化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイド;ビスフェノールAやビスフェノールFにアルキレンオキサイドを付加させたポリオール;等が挙げられる。中でも、ポリアルキレンオキサイドが好ましく、より好ましくはポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。
上記ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールは、数平均分子量が300〜2400である。数平均分子量が300以上であることにより、樹脂組成物の硬化物は充分な柔軟性を有するものとなる。平均分子量が2400以下であることにより、樹脂組成物の硬化物は充分な耐水性を有するものとなる。上記数平均分子量は、400〜2300が好ましく、より好ましくは500〜2000である。
本明細書中、数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記ポリイソシアネートは、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されないが、例えば、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’− ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’− ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、MDIのオリゴマー、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体等の芳香族ポリイソシアネート;1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基含有ポリイソシアネート;等が挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基含有ポリイソシアネートが好ましい。これにより、上記樹脂組成物の硬化物は、耐候性により優れるものとなる。より好ましくは脂環式炭化水素基含有ポリイソシアネートであり、更に好ましくは1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又はイソホロンジイソシアネートである。
である。
上記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(a2)は、水酸基とアクリロイル基とを有する限り特に制限されないが、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであり、より好ましくはヒドロキシエチルメタクリレートである。
2)ビニルエステル(B)
ビニルエステル(B)としては、例えば、エポキシ化合物と一塩基酸との反応により得られる化合物が好適である。この反応で使用される各原料は、それぞれ1種又は2種以上使用してもよい。
上記エポキシ化合物としては、エポキシ基を有する限り特に制限されないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物等の芳香族エポキシ化合物;脂肪族型エポキシ化合物;単環式エポキシ化合物、多環式エポキシ化合物等の脂環式エポキシ化合物、アミン型エポキシ化合物等が挙げられる。中でも、機械的強度、耐蝕性、耐熱性等の観点から、ビスフェノール型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物が好ましい。
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化ノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ化合物が好ましい。
脂肪族型エポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートの等グリシジル基含有(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物、アリサイクリックジエポキシアセタール、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビニルヘキセンジオキシド、ビニルヘキセンジオキシド等が挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。また、ビスフェノールA等のフェノール化合物や、アジピン酸、セバチン酸、ダイマー酸、液状ニトリルゴム等の二塩基酸により変性したエポキシ化合物を使用することもできる。
上記一塩基酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等の不飽和モノカルボン酸;二塩基酸又は二塩基酸無水物と不飽和アルコール又はグリコールとの反応物;等が挙げられる。二塩基酸及び二塩基酸無水物としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ニ塩基酸及びこれらの無水物;マレイン酸、コハク酸等の脂肪族二塩基酸及びこれらの無水物;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂環族ニ塩基酸及びこれらの無水物等が挙げられる。
二塩基酸及び二塩基酸無水物としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、より好ましくは無水フタル酸である。
不飽和アルコールとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。グリコールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール等のジオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール類が挙げられる。
不飽和アルコール又はグリコールとしては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましく、より好ましくはジエチレングリコールである。
上記一塩基酸の中でも、熱性、耐薬品性の観点から、炭素数が6以下の化合物が好ましい。より好ましくは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸である。
上記エポキシ化合物と一塩基酸との反応は特に限定されず、これらの使用量比も特に限定されないが、例えば、エポキシ化合物のエポキシ基100モル%に対し、一塩基酸のカルボキシル基の当量が80〜150モル%となるような比率とすることが好ましい。より好ましくは、上記一塩基酸のカルボキシル基の当量が90〜110モル%となるような比率である。
上記一塩基酸として上述の二塩基酸又は二塩基酸無水物と不飽和アルコール又はグリコールとの反応物を用いた場合、ビニルエステル(B)は、エポキシ化合物とポリエステルとの反応物となる。
エポキシ化合物とポリエステルとの反応に使用するエポキシ化合物としては、グリシジル基含有(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくはグリシジル(メタ)アクリレートである。
上記反応により得られるポリエステルエポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量は、1000未満であることが好ましい。
上記反応では、エステル化触媒を1種又は2種以上用いてもよい。
エステル化触媒としては特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウム等の四級アンモニウム塩;塩化リチウム、塩化クロム等の無機塩;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;テトラフェニルホスフォニウムブロマイド、テトラメチルホスフォニウムクロライド、ジエチルフェニルプロピルホスフォニウムクロライド、トリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド、ジベンジルエチルメチルホスフォニウムクロライド、ベンジルメチルジフェニルホスフォニウムクロライド等のホスフォニウム塩;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等のホスフィン類;テトラブチル尿素;トリフェニルスチビン等が挙げられる。
上記反応ではまた、必要に応じ、少量の重合禁止剤の共存下で行ってもよい。これにより、反応工程の初期において生成した反応生成物や不飽和一塩基酸自体の重合反応が進行することが抑制されて、反応生成物のゲル化を抑制することが可能となる。
重合禁止剤としては特に限定されず、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン(トルハイドロキノン)、メトキシハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、カテコール、ナフテン酸銅、銅粉等が挙げられる。
上記反応は、必要に応じ、通常の溶媒で希釈して行ってもよいし、必要に応じて酸素の存在下で行ってもよい。反応温度は特に限定されないが、80℃〜120℃であることが好適である。
3)ラジカル重合性不飽和単量体(C)
ラジカル重合性不飽和単量体(C)は、分子量が150以上である化合物を2種以上含む。分子量が150以上であるラジカル重合性不飽和単量体を2種以上併用することによって、樹脂組成物の粘度が好適な範囲になるとともに、硬化物が空気乾燥性能に優れるものとなるため、作業性が向上する。更に、硬化物の柔軟性にも優れるものとなる。また、ビニルエステル(B)との相溶性が向上するため、硬化物の透明性も高められる。
上記化合物の分子量は、160〜1000であることが好ましく、より好ましくは170〜700である。
本明細書中、ラジカル重合性不飽和単量体(C)の分子量は、原子量換算量(炭素原子の質量数を12.01とする)を意味する。
上記分子量が150以上である化合物として、下記の単官能化合物、多官能化合物が挙げられる。
単官能化合物としては、ペンチルメタクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;アジピン酸ビニル等のビニルエステル;等が挙げられる。
多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の炭素数2〜12を有するアルカンポリオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の炭素数3〜12を有するアルカンポリオールの、3価以上のポリ(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、ジアリルフタレートプレポリマー;トリアリルシアヌレート;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては水酸基等が挙げられる。
上記分子量が150以上である化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が0〜100℃であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。ホモポリマーのガラス転移温度は、より好ましくは5〜80℃であり、更に好ましくは10〜70℃である。
ホモポリマーのTgは、例えば「FANCRYL Information」(第9.4版、日立化成株式会社 研究開発部、2016年9月)を参照することができる。
例えば、上記文献に記載の代表的な単量体のホモポリマーのTgは以下のとおりである。
ベンジルアクリレート:5℃
ベンジルメタクリレート:51℃
フェノキシエチルメタクリレート:36℃
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート:45℃
メチルメタクリレート:105℃
上記分子量が150以上である化合物は、大気圧(1気圧)における沸点が、101℃より高いものであることが好ましい。これにより、樹脂組成物の臭気をより充分に抑制することができる。
より好ましくは大気圧における沸点が110℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。
例えば、代表的な単量体の単量体の各圧力における沸点は以下のとおりである。
ベンジルアクリレート:210℃/101.3kPa
ベンジルメタクリレート:115℃/0.13kPa
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート:125℃/0.13kPa
メチルメタクリレート:100.5℃/101.3kPa
本発明の樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和単量体(C)を2種以上、すなわち、ラジカル重合性不飽和単量体(C1)と(C2)とを含むものである。
上記分子量が150以上である化合物の少なくとも1種、すなわちラジカル重合性不飽和単量体(C1)は、ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。ジシクロペンテニル基は優れた空気乾燥性を発揮するため、このような化合物を含むことにより、樹脂組成物がより乾燥性に優れる。
上記ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物としては、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくはジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートである。
ラジカル重合性不飽和単量体(C2)としては、分子量が150以上であれば特に制限されないが、ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物以外の単官能化合物であることが好ましい。例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好適である。
ここで、本発明の樹脂組成物は、ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物と、ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物以外の単官能化合物とを含むことが好ましい。このような化合物を組み合わせることにより、乾燥性により優れるとともに、樹脂組成物の粘度がより好適な範囲となるため、作業性がより向上する。更に、ビニルエステル(B)との相溶性がより向上するため、硬化物の透明性がより向上する。
ラジカル重合性不飽和単量体(C1)と(C2)との含有割合(質量比)は、(C1)/(C2)=10〜90/90〜10であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは(C1)/(C2)=20〜80/80〜20であり、更に好ましくは30〜70/70〜30である。
4)その他の成分
上記樹脂組成物はまた、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、硬化促進剤、硬化助促進剤、空気遮断剤、揺変性付与剤、硬化剤、重合禁止剤、不活性粉体、充填剤、乾燥性向上剤、増粘剤、着色剤、BYK−R605(商品名、ビック・ケミー社製)等の揺変助剤、レベリング剤、脱泡剤等の添加剤(材)や骨材等の他、溶剤、希釈剤等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては例えば、コバルト石鹸(コバルトの脂肪酸塩);オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等のコバルト以外のその他の金属石鹸類;コバルトアセチルアセテート、バナジウムアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート金属キレート類;等が挙げられる。中でもコバルト石鹸が好ましい。脂肪酸としては、炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸が好適である。コバルト石鹸として具体的には、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、オクテン酸コバルトが挙げられ、好ましくはオクテン酸コバルトである。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)の総量100質量部に対し、0.0001〜0.1量部であることが好ましい。
上記硬化助促進剤としては特に限定されないが、例えば、アミン化合物、βジケトン等が挙げられる。
アミン化合物としては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のアニリン化合物;p−トルイジン、m−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス( 2 -ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N ,N−ビス( 2 − ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、パラトルイジン2エチレンオキサイド付加物等のトルイジン化合物;4−(N ,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド等のアミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン等が挙げられる。これらの中でも、芳香族3級アミン化合物が好ましい。芳香族3級アミン化合物の中でも、3級アミノ基を有するアニリン化合物及びトルイジン化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。より好ましくは3級アミノ基を有するアニリン化合物であり、更に好ましくはN,N−ジメチルアニリンである。
βジケトンとしては、N,N−ジメチルアセトアセタミド等のアセトアセタミド化合物;アセチルブチルラクトン等のアセチルラクトン化合物;アセチルアセトン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも、アセトアセタミド化合物、アセチルラクトン化合物及びアセト酢酸エステル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、N,N−ジメチルアセトアセトアミドがより好ましい。
上記空気遮断剤としては特に限定されないが、ワックス類が好ましい。具体的には、天然ワックス;合成ワックス;天然ワックスや合成ワックス等の配合ワックス;等が挙げられる。これらの中でも、パラフィンワックスを少なくとも用いることが好ましい。また、ワックス類に、他の成分を含んでもよい。
上記天然ワックスとしては、例えばキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の植物系ワックス;蜜蝋、ラノリン、鯨蝋等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;等が挙げられる。
上記合成ワックスとしては、例えばフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス;動物性油脂の誘導体;カルボキシル基含有単量体とオレフィンとの共重合体;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス;ステアリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸オクタデシル等の炭素数12以上の脂肪酸及びその誘導体;アルキルフェニールや高級アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したアルコール類;等が挙げられる。
上記空気遮断剤はまた、本発明の樹脂組成物を常温で硬化させる場合、JIS−K−2235(1991年)に分類される融点が40〜80℃であるものを用いることが特に好ましい。これにより、樹脂組成物の施工において、硬化途中の樹脂組成物から形成される被膜や成形物の表面に析出しやすくなり、空気との遮断層がより充分に形成されるため、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記硬化剤としては特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;ビス(4−tーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物の他、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。中でも、過酸化物が好ましい。
上記硬化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)の総量100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましい。より好ましくは0.3〜3質量部である。
上記樹脂組成物が揺変性付与剤を含む場合、樹脂組成物が垂れ性に優れるものとなり、作業性が更に向上する。垂れ性とは、例えば、ヘラ等により塗布したり、スプレー等により吹き付けたり、カートリッジからビート状に押し出したりするときのように強い力を加えた際には流動性を示し、塗布又は施工後、硬化するまでの間は流下しない性質を意味する。
上記揺変性付与剤としては特に限定されないが、例えば、無水微粉末シリカ、カオリン、クレー、活性白土、ケイ砂、ケイ石、ケイ藻土、無水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸マグネシウム、タルク、パーライト、ホワイトカーボン、マイカ微粉末、ベントナイト、有機ベントナイト等の二酸化ケイ素を主成分とする無機系化合物の他、カーボンブラック、アスベスト等が挙げられる。中でも、二酸化ケイ素を主成分とする無機系化合物が好ましく、無水微粉末シリカや有機ベントナイトがより好ましい。更に好ましくは無水微粉末シリカである。これにより、垂れ性や、基材への付着強度がより向上する。
上記樹脂組成物において、揺変性付与剤の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)の総量100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。この範囲内にあると、垂れ性により優れるものとなる他、粘性がより好適なものとなって作業性も向上する。より好ましくは0.05〜4質量部、更に好ましくは0.01〜3質量部である。
2、硬化物
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、乾燥性とともに、硬化物の柔軟性、耐候性、耐水性にも優れる。それゆえ、各種用途に好適に用いることができる。中でも特に、積層体の塗膜を形成するための材料として有用である。
上記樹脂組成物の硬化方法としては特に限定されず、例えば、施工直前(又は成形直前)に、硬化剤を樹脂組成物に混合し硬化させることが好適である。硬化条件に関し、硬化温度としては、常温で行うことが好ましい。より好ましくは−10〜50℃、更に好ましくは0〜40℃である。ゲル化時間は1〜180分とすることが好ましく、より好ましくは5〜60分である。
上記硬化物の形状としては特に制限されないが、例えば、塗膜形状、成形品(成型品とも称す)形状等が挙げられる。上記樹脂組成物は、柔軟性、耐候性、耐水性に優れ、屋外に長期的に晒された場合にも優れた耐久性を発揮できるため、上記塗膜の中でも保護層(トップコート層、上塗り層ともいう)として好適に用いることができる。このように本発明の樹脂組成物を含む保護層もまた、本発明の1つである。
3、保護層
本発明の保護層は、上述した本発明の樹脂組成物を含む。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
保護層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上記樹脂組成物に硬化剤を混合し、基材に塗布した後硬化させることにより被膜を成形する方法等が挙げられる。
上記基材としては特に限定されず、例えば、ガラス、スレート、コンクリート、モルタル、セラミック、石材等の無機質基材;アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、トタン等からなる金属板、表面に亜鉛、銅、クロム等をメッキした金属、表面をクロム酸、リン酸等で処理した金属等の金属基材;ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、FRP(織維強化プラスチック)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂等のプラスチック基材;合成皮革;ヒノキ、スギ、マツ、合板等の木材;繊維、紙等の有機素材;等が挙げられる。
上記基材は、上記樹脂組成物が塗装される前に、通常用いられるプライマーや、下塗り、中塗り、メタリックベース等の上塗り等塗装用塗料が塗装されていてもよい。
上記樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、用途等により適宜設定すればよいが、塗装方法は、例えば、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、スピンコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート、フイルムラミネート、ゲルコート等が挙げられる。
4、建築施工方法
本発明はまた、上述した本発明の樹脂組成物を用いて保護層を形成する工程を含む建築施工方法でもある。保護層を形成する工程は特に制限されず、上述の保護層を形成する方法等により行うことができる。
上記建築施工方法は、上記保護層以外のその他の層を形成する工程を含んでいてもよい。この場合、その他の層を形成する工程を行った後に、保護層を形成する工程を行うことが好ましい。なお、その他の層としては特に制限されないが、例えば、プライマー層、下塗り層、中塗り層が挙げられる。中でも中塗り層であることが好ましい。その他の層は1層又は2層以上であってもよい。
上記中塗り層は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート(D)とラジカル重合性不飽和単量体(E)を含む樹脂組成物により形成することが好ましい。このような樹脂組成物は、本発明の保護層との密着性により優れるため好適である。また、このような樹脂組成物は、乾燥性とともに、強化繊維への含浸性や塗膜の二次密着性等の作業性が良好で、しかも硬化物の強度や伸び等の機械的物性にも優れるため、これらの観点からも、本発明の保護層に組み合わせて好適に用いることできる。
上記樹脂組成物において、(D)成分と(E)成分との含有割合(質量比)は、(D)/(E)=10〜90/90〜10であることが好ましい。より好ましくは(D)/(E)=30〜70/70〜30であり、更に好ましくは40〜60/60〜40である。
上記ポリエステル(メタ)アクリレート(D)は、二塩基酸と多価アルコールとの重縮合体(d1)と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(d2)との反応物であることが好ましい。反応条件は特に限定されず、各反応原料はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記二塩基酸としては、例えば、芳香族二塩基酸、脂肪族二塩基酸、脂環族二塩基酸が挙げられるが、中でも、芳香族二塩基酸が好ましい。これらの好適な例は、(A)成分に関して上述した飽和多塩基酸の好ましい例と同様である。芳香族二塩基酸の中でも、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好適であり、脂肪族飽和多塩基酸の中でも、アジピン酸が好適であり、脂環族二塩基酸の中でも、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好適である。
上記多価アルコールとしては、ウレタン(メタ)アクリレート(A)において述べた化合物が挙げられる。中でもエーテル結合含有多価アルコールを少なくとも用いることが好ましい。多価アルコールとしては、特に、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールが好適である。
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(d2)は、エポキシ基と(メタ)アクリレート基を有するものである限り特に制限されないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有アクリレート化合物が好ましい。
上記重縮合体(d1)と上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(d2)との反応では、これらの使用量比は特に限定されないが、例えば、重縮合体(d1)100モル%に対し、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(d2)が10〜50モル%となるような比率とすることが好ましい。
上記ラジカル重合性不飽和単量体(E)としては、1分子中に1個以上の重合性基(好ましくは炭素炭素二重結合)を有する化合物であれば特に限定されず、上述のラジカル重合性不飽和単量体(C)と同様のものが挙げられる。中でもベンジル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記中塗り層用の樹脂組成物は、更に硬化促進剤及び空気遮断剤を含むことが好適である。これら各成分の具体例は上述したとおりである。このように上記樹脂組成物が(D)及び(E)成分とともに、硬化促進剤及び空気遮断剤を含む場合、これら4成分の合計量が、樹脂組成物の総量100質量%に対して90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは92質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。また、空気遮断剤の含有量は、(D)及び(E)成分の総量100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量部、更に好ましくは0.02〜0.1質量部である。
上記中塗り層用の樹脂組成物はまた、更に、硬化助促進剤を含んでもよい。この成分の具体例も上述したとおりである。ここで、(D)成分と(E)成分と、硬化促進剤及び硬化助促進剤の合計量との質量比は、(D)/(E)/(硬化促進剤及び硬化助促進剤の合計量)=10〜90/90〜10/0.01〜10であることが好ましい。より好ましくは30〜70/70〜30/0.05〜5、更に好ましくは40〜60/60〜40/0.1〜1である。
上記中塗り層はまた、上述した樹脂組成物と繊維補強材(強化繊維とも称す)とを含むことが好ましい。
上記強化繊維としては特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維;ポリビニルアルコール系、ポリエステル系、ポリアミド系(全芳香族系も含む)、フッ素樹脂系、フェノール系の各種有機繊維;等が挙げられる。中でも、機械的特性に優れる観点から、炭素繊維及び/又はガラス繊維が好ましく、軽量化等の観点から、炭素繊維がより好ましい。
上記強化繊維の形状も特に限定されず、例えば、クロス状;チョップドストランドマット、プリフォーマブルマット、コンティニュアンスストランドマット、サーフェーシングマット等のマット状;チョップ状;ロービング状;不織布状;ペーパー状;等のいかなる形状であってもよい。
上記中塗り層を形成する工程は、特に制限されないが、中塗り層が強化繊維を含む場合、例えば、上記樹脂組成物を強化繊維に含浸させて被覆材とし、硬化させることにより行うことが好ましい。その際、強化繊維は、目的とする成形品の形状に応じて予めその形状を決めておき、硬化前の樹脂組成物に含浸させて使用してもよいし、樹脂組成物中にチョップ状の強化繊維を混合して成形材料とし、これを所望形状に成形する等の方法で使用してもよい。
上記強化繊維の使用量は、上記樹脂組成物と強化繊維との総量100体積%に対し、5〜55体積%とすることが好ましい。より好ましくは10体積%以上であり、また、より好ましくは45体積%以下である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
1、ポリエステルポリオールの製造
製造例1
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、二塩基酸及び多価アルコールを表1に記載する配合量で仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてオクチル酸スズを0.05重量%添加し、220℃で10時間反応させ、ポリエステルポリオール1を得た。得られたポリエステルポリオール1の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は224mgKOH/g、数平均分子量は500であった。なお、数平均分子量の測定方法を下記する。
<数平均分子量の測定>
ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は、以下の条件の下、GPC測定により求めた。その際、市販の単分散標準ポリスチレン(PS)を用いて検量線を作成し、下記換算法に基づいて求めた。
装置:高速GPC装置 HLC−8320GPC(東ソー社製)
溶剤:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折率計
カラム:TSKgelSuperH2000、TSKgelSuperH2500、TSKgelSuperH3000(いずれも東ソー社製)
分子量換算:PS換算/汎用較正法
製造例2〜6
原料の種類及び配合量並びに反応時間を表1に示す通りに変更した以外は製造例1と同様にして、ポリエステルポリオール2〜6を得た。
Figure 2018135479
2、ウレタン(メタ)アクリレートの製造
製造例7
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコにポリイソシアネート及びポリオールとを表2に記載する配合量で仕込み、触媒としてオクチル酸スズを所定量の0.05重量%を添加し、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が10.6となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを表2に記載する配合量を加え、更に80℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、重合禁止剤としてトルハイドロキノン0.05重量%添加し、ウレタンメタクリレートA−1を得た。
製造例8〜15
原料の種類及び配合量並びに反応時間を表2に示す通りに変更した以外は製造例1と同様にして、ウレタンメタクリレートA−2〜A−9を得た。
Figure 2018135479
3、ビニルエステルの製造
製造例16
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコにエポミック(登録商標)R140P(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学製、エポキシ当量188)188部、メタクリル酸88部、ハイドロキノン0.05重量%、エステル化触媒としてトリエチルアミン0.3重量%を添加し、空気を吹き込みながら90℃で10時間反応させ酸価が5mgKOH/gになった時点で反応を終了しビニルエステルB−1を得た。製造に使用した原料の配合、酸価、数平均分子量を表3に示した。
製造例17
無水フタル酸382部、ジエチレングリコール241部、温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、エステル化触媒としてモノブチルチンオキサイドを0.05重量%添加し、205℃で5時間反応させた。その後110℃まで冷却しグリシジルメタクリレート110部、ハイドロキノン0.05重量%を投入し空気を吹き込みながら3時間反応させ、酸価が1.5mgKOH/gになった時点で終了しビニルエステルB−2を得た。製造に使用した原料の配合、酸価、数平均分子量を表3に示した。
Figure 2018135479
3、ラジカル硬化性樹脂組成物の製造
実施例1〜13、比較例1〜8
表4又は5に記載の配合で、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)を混合し、ラジカル硬化性樹脂組成物(樹脂組成物1〜13及び比較樹脂組成物1〜8)を得た。
得られた各樹脂組成物について、各種物性を評価した。
また、得られた樹脂組成物又は比較樹脂組成物100部に対し、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部、硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1.0部を添加、混合し、硬化時間を測定した(25℃)。結果を表4、5に示す。
4、物性評価方法
1)引張試験
2枚の300mm×300mm×3mmのガラス板に離型剤を塗布し、該ガラス板の間に3mmのスペーサーを挟んで型枠とした。実施例及び比較例で得られたラジカル硬化性樹脂組成物100部に、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部及び硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1.0部を混合し、減圧脱泡した後、該型枠に流し込み、常温(25℃)で硬化させた。これを25℃で24時間、40℃で24時間養生硬化させ、注型板を得た。該注型板から2〜3mm厚の試験片を作成し、引張試験片とした。JIS−K−7161−2(2014年)の引張り試験法に準拠して、25℃における該試験片の強度及び伸び率を測定した。
強度について、30MPa以上を〇とし、30MPa未満を×とした。
伸び率について、3%以上を〇とし、3%未満を×とした。
2)耐候性
引張試験の測定方法に示した注型板作成方法及び硬化条件に準じて得た300mm×300×2〜3mmの注型板から、切削加工により70mm×140mm×2〜3mmの試験片を得て、JIS−K7350−4(2008年)に準拠して、耐候性試験(時間:200時間)を行い、初期値と200時間後との色差(ΔE)を測定した。
初期値と200時間の耐候性試験後の色差(ΔE)が3未満を◎、3以上4未満を〇とし、4以上を×とした。
3)耐水性
引張試験の測定方法に示した注型板作成方法及び硬化条件に準じて得た300mm×300×2〜3mmの注型板から、切削加工により50mm×50mm×2〜3mmの試験片を得て、耐水性試験(温度:99〜100℃、時間:2000時間)を行い、初期値と2000時間後との試験片の重量変化を測定した。
重量変化率を、下記式により求め、重量変化率が0以上を〇とし、0未満を×とした。
重量変化率=(試験後重量−初期重量)/初期重量×100
4)乾燥性
実施例及び比較例で得られたラジカル硬化性樹脂組成物100部に、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部及び硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1.0部を混合し、更に、イソドデカン90質量部に融点54℃のパラフィン135°F10質量部溶解した空気遮断剤溶液を、4質量部添加し、減圧脱泡した。その後にサグテスターにより離型紙に塗布し、膜厚100μmの塗膜を作成した。次いで23℃の雰囲気下で塗膜のタックがなくなるまでの時間を測定した。塗布後4時間以内、12時間以内、24時間以内にタックフリーに到達した場合をそれぞれ、◎、〇、△とし、24時間以内に到達しなかった場合を×とした。
5)低臭性(臭気)
低臭性の評価方法は、実施例等で得たラジカル硬化性樹脂組成物を10人が嗅ぎ、臭気を確認することにより行った。
10人の中で不快な印象を全ての人が感じなかった場合は〇とし、1人でも不快に感じた場合は×とした。
6)柔軟性
実施例及び比較例で得られたラジカル硬化性樹脂組成物100部に、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部及び硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1.0部を投入し、減圧脱泡した。その後にサグテスターにより離型紙に塗布し膜厚100μmの塗膜を作成した。次いで環境温度23℃の雰囲気下で塗膜のタックがなくなってから24時間放置し、硬化した塗膜を離型紙から剥がしとり、10mmφの円柱に巻き付け、塗膜のワレを確認した。試験サンプル数n=5で評価を行い、すべてのサンプルにワレがない場合を〇とし、1つでもワレがある場合を×とした。
Figure 2018135479
Figure 2018135479
5、樹脂組成物の揺変性評価
500mm×500mmの大きさに調整した、JIS A5430規定の厚さ6mmのスレートボード平板を垂直に設置し、該合板上にウレタンプライマーを塗布乾燥後、実施例1で得たラジカル硬化性樹脂組成物100部、又は、表6に記載の配合でディスパーにて攪拌混合することにより調製した揺変化樹脂組成物100部に硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加し調製したものを、刷毛塗りにて0.2kg/m施工した。
施工完了後、経時で樹脂タレを観測した。施工完了後4時間経過したときの樹脂タレが施工端面から10mm未満の場合を○とした。樹脂タレが施工端面から10mm以上発生した場合を×とした。
また、作業性について、以下のように評価した。
刷毛塗りにて施工した場合に、刷毛跡がない場合を〇とし、樹脂の粘度が高くなり刷毛跡が残った場合を×とした。
更に、施工完了後の臭気について、上述の低臭性評価と同様の方法により評価を行った。
結果を表7に示す。
Figure 2018135479
Figure 2018135479
ここで、ベンジルメタクリレート35部及びジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート20部を、メチルメタクリレート55部に変更した以外は、表6に記載の揺変化樹脂組成物1と同様にして比較揺変化樹脂組成物(粘度:600mPa・s、揺変度:3.5)を調製し、施工を行ったところ、不快に感じる臭気が確認された。
6、二次接着性の評価
(1)中塗り層樹脂及びトップコート層樹脂の製造
合成例1(ポリエステル(メタ)アクリレート)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水フタル酸6モル及びジエチレングリコール5モルを仕込み、エステル化触媒としてオクチル酸スズを0.05質量%添加し、210℃で4時間反応させた。その後、140℃まで冷却し、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.02質量%を添加し、次いでグリシジルメタクリレートを所定量投入し、3時間反応させ、ポリエステルメタクリレートを得た。
合成例2(中塗り層樹脂)
合成例1で得られたポリエステルメタクリレートを60℃まで冷却し、該ポリエステルメタクリレート50部、ベンジルメタクリレート50部、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部、パラフィン130°F(融点54℃)0.05部を混合し、中塗り層樹脂を得た。
合成例3(空気遮断剤分散溶液)
実施例1〜5で得た各ラジカル硬化性樹脂組成物100部に対して、イソドデカン40部を配合し、空気遮断剤としてパラフィン130°Fの含有量が10重量%になるように添加して、80℃にて加熱分散処理を行い、空気遮断剤分散溶液1〜5を得た。
合成例4(トップコート層樹脂)
実施例1〜5で得た各ラジカル硬化性樹脂組成物75部、合成例3で得た各空気遮断剤分散溶液3部、灰色無機顔料8部、アエロジル#200(日本アエロジル社製)2.5部、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部、6号珪砂8部を配合し、トップコート層樹脂1〜5を得た。
(2)二次接着性の評価
500mm×500mm、JAS規定の厚さ9mmの普通合板上にウレタンプライマーを塗布乾燥後、合成例2で得られた中塗り層樹脂100部に8%オクテン酸コバルト溶液を0.5部及び硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加し、調製したものと、ガラスマット#380(重量:380g/m)2プライとで積層板を作製した。屋外に3、7、14日間放置後に、合成例4で得たトップコート層樹脂1〜5(100部)に硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加撹拌後、刷毛で、500g/mの割合で塗布し、試験片を得た。トップコート塗布24時間後に、JIS−K−5400(1990年)8.5.2に準じて碁盤目法により、トップコート付着性を評価した(すきま間隔2mm、ます目の数25)。
以下のとおりに、評価を行った。
10:切り傷が滑らかであり、ます目に欠損がない。
8:欠損した部分が試験片の面積の5%以内である。
6:欠損部分が試験片の面積の5%より大きく15%以内である。
4:欠損部分が試験片の面積の15%より大きく35%以内である。
2:欠損部分が試験片の面積の35%より大きく65%以内である。
0:欠損部分が試験片の面積の65%より大きい。
試験サンプル数n=2で評価を行い、2つのサンプルの評点が分かれた場合、分かれた評点の間をとることとした。(例えば、評点6と4が得られた場合、5とする。)
上記評価点が5点以下を×とし、6〜7点を△、8点以上を〇とした。
結果を表8に示す。
Figure 2018135479

Claims (9)

  1. ウレタン(メタ)アクリレート(A)、ビニルエステル(B)及びラジカル重合性不飽和単量体(C)を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、
    該ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの付加物(a1)と、水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(a2)との反応物であり、
    該ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールは、数平均分子量が300〜2400であり、
    該ラジカル重合性不飽和単量体(C)として、分子量が150以上である化合物を2種以上含む
    ことを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物。
  2. 前記分子量が150以上である化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が0〜100℃である
    ことを特徴とする請求項1に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  3. 前記分子量が150以上である化合物の少なくとも1種は、ジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート化合物である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  4. 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)とビニルエステル(B)とラジカル重合性不飽和単量体(C)との含有割合(質量比)は、(A)/(B)/(C)=15〜35/15〜35/30〜70である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ポリイソシアネートは、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を有するポリイソシアネート化合物を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ポリイソシアネート化合物は、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又はイソホロンジイソシアネートである
    ことを特徴とする請求項5に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  7. 前記ラジカル硬化性樹脂組成物は、保護層に用いられる
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物を含む
    ことを特徴とする保護層。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物を用いて保護層を形成する工程を含む
    ことを特徴とする建築施工方法。
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