図1は、射出成形システムの上面図である。
図2は、射出成形システムの側面図である。
図3Aは、射出成形システムの断面図である。
図3Bは、リンクユニットとアクチュエータの斜視図である。
図3C及び3Dは、リンクユニットおよびアクチュエータの側面図である。
図4は、射出成形システムのブロック図である。
図5A〜5Dは、金型とアクチュエータとの間のリンクユニットが疲労によって破断する例の図である。
図6A〜6Dは、金型間のリンクユニットが疲労によって破断する例の図である。
図7A〜7Cは、射出成形システムによる動作のプロセスフローチャートである。
図8A〜8Fは、射出成形システムが2つのアクチュエータを含む例の図である。
図8C〜8Dは、射出成形システムが、金型が存在しないことを検出するセンサを含む実施例の図である。
図8E〜図8Fは、射出成形システムが射出成形機の外部に位置するセンサを含む例の図である。
図9A〜9Bは、アクチュエータに加えられる力を図示するグラフである。
図10A〜10Hは、金型を移動させるための代替機構を示す図である。
図11は、射出成形システムによる動作の別のプロセスフローチャートを示す図である。
図12A〜12Eは、例示的な実施形態に従った、一方の金型が射出位置から搬送され、次いで、他方の金型が射出位置に搬送される状況を示す。
図13A〜13Eは、別の例示的な実施形態に従った、一方の金型が射出位置から搬送され、次いで他方の金型が射出位置に搬送される状況を示す図である。
図14は、例示的な実施形態による、ホイール付き金型を示す図である。
図面全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照符号および文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を示すために使用される。本開示は図面を参照して詳細に説明されるが、理解を助ける例示的な実施形態に関連してそのように行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される主題の開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更および修正を行うことができる。
実施形態の説明
<システムレイアウト>
図1は、射出成形システム300の上面図である。射出成形システム300は、射出成形機100を含む。射出成形機100は、樹脂を金型(ダイ(die))(モールド(mold))に射出する。成形材料は樹脂に限定されない。それは、ワックスまたは金属のような他の適切な材料に適応可能である。
図1に示す射出成形機100は成形部品の製造に用いられるものであり、金型33A、33Bに樹脂を射出する機構と、金型33A、33Bから成形部品を取り出す機構とを備えている。
射出成形システム300は、搬送装置300Aを含む。搬送装置300Aは、2つの金型を射出成形機100の射出位置に交互に移動させる。搬送装置300Aは、テーブル301と、アクチュエータ31と、アクチュエータ31と金型33Aとをリンクさせるリンクユニット32と、金型33Aと金型33Bとをリンクさせるリンクユニット34とを有している。
テーブル301は、金型を移送するためのフリーローラ37を含む。フリーローラ37は、テーブル301に取り付けられている。フリーローラ37は、金型33A、33Bを移動させるときに摩擦を低下させ、それらをスムーズに移動させる。金型33Aと金型33Bとはリンクユニット34によってリンクされており、リンクユニット32によって金型33Aはテーブル301に取り付けられたアクチュエータ31にリンクされている。したがって、アクチュエータ31が金型33AをX軸方向に移動させると、金型33Aと金型33Bは同じX軸方向に移動する。
アクチュエータ31は、リンクされた2つの金型を移動させる駆動装置である。リンクされた2つの金型をテーブル301の上部で移動させることによって、一方の金型が射出成形機100の内部にあるとき、他方の金型は射出成形機100の外部で冷却される。金型33A及び33Bは、射出位置とアクチュエータ31による冷却位置との間で交互になってもよい。射出位置と冷却位置について以下に説明する。
射出成形機100の側面には、射出成形機100を制御する操作パネル101が設置されている。詳細には、操作パネル101が射出成形機100の側面に取り付けられている。この操作パネル101を使用することにより、オペレータ700は、射出成形機100の条件設定および動作設定を操作することができる。操作パネル101は、タッチスクリーン、ディスプレイ、キーボード、ボタン等を含む。以下、射出成形機100から見て、操作パネル101は、X軸方向においてマイナス側に設置されている。この側をオペレータ側と呼ぶ。
射出成形機100から見て、アクチュエータ31は、X軸方向においてマイナス側に設置されている。ただし、X軸方向のプラス側に設置することも、射出成形機100の内部に搭載することもできる。
射出成形機100のオペレータ側には、搬送装置300Aを制御するシステムコントローラ200が設置されている。システムコントローラ200は、CPU、ROMおよびRAMを含む。これに加えて、システムコントローラ200はオペレータ700がシステムコントローラ200を操作できるように、タッチスクリーン、ディスプレイ、キーボード、ボタンなどを含む。このため、システムコントローラ200を操作パネルと呼ぶこともできる。
操作パネル101およびシステムコントローラ200は、X軸方向においてオペレータ700を挟んで配置される。ここで、X軸方向は、搬送装置300Aが金型33A、33Bを搬送する搬送方向とも呼ばれる。システムコントローラ200は金型を動かし、射出成形機100と信号を通信するアクチュエータ31を制御することができる。
操作パネル101及びシステムコントローラ200は、オペレータ700から操作可能である。オペレータ700は領域800から移動することなく、また、他の方向に向くだけで、操作パネル101から射出成形機100をセットして指示したり、システムコントローラ200から金型の移動をセットして指示したりすることができる。図1において、領域800は、射出成形機100、搬送装置300A、およびシステムコントローラ200によって囲まれている。また、システムコントローラ200は操作パネル101と同じ側に取り付けることもできるし、搬送装置300Aに取り付けることもできる。
操作パネル101は射出成形機100の一部として、または射出成形機100とともに販売され、搬送装置300Aは射出成形機100に後から追加され得る。よって、射出成形機100に操作パネル101を設置し、射出成形機100とは別にシステムコントローラ200を設置することが好ましい。これは、設置中の組立作業を減少させる。また、システムコントローラ200をオペレータ側に設置することにより、操作性を向上させることができる。
安全カバー35はテーブル301を覆うように設置され、樹脂の飛散を防止したり、オペレータ700が射出成形機100や搬送機300Aに誤って引っ掛かったりすることを防止する。さらに、外部の破片や部分が射出成形機100や搬送装置300Aを汚染することを防止する。なぜなら、外部の破片や部分が射出成形システム300の故障を引き起こす可能性があるからである。オペレータ700に面するアクセス可能なドア(36A、36B)が存在し、オペレータ700はこれらのドア(36A、36B)を通してテーブル301にアクセスすることができる。アクセス可能なドア36A、36Bは、操作パネル101とシステムコントローラ200との間にある領域800内で移動可能である。これにより、2つの金型(33A、33B)の切替え工程やアクチュエータ31への調整、アクチュエータ31のメンテナンス、フリーローラ37のメンテナンスが可能となる。
アクセス可能なドア36A、36Bとは反対側に、Y軸方向にドア38A、38Bがある。ドア38A、38Bは、少なくとも2人がアクチュエータ31の交換などの作業を行う場合に有用である。
射出成形機100は、ロボットアーム600を含む。ロボットアーム600は、射出成形機100で成形された金型から成形部品を取り出すことができる。ロボットアーム600は、空気を真空引きすることによって、成形部品を金型から除去する。
射出成形機100から見て、安全カバー41は、X軸方向においてオペレータ側の反対側に設置されている。オペレータ側の反対側を排出(unloading)側と呼ぶ。オペレータ側と同様に、テーブル301を覆う安全カバー41と、排出コンベア(unloading conveyor)500と、排出コンベア501とが排出側に位置する。安全カバー41は、アクセス可能なドア(42A、42B)を含む。
ドア42A、Bからは、変更後の金型にそれぞれ給水ライン、ホットランナ、ヒータを接続する等の金型変更後の動作が行える。ドア42A、42Bは金型が排出側で停止したときに金型のメンテナンス作業を行うことを可能にし、オペレータ700がオペレータ側で作業できないときに金型を交換することを可能にする。
排出コンベア500は金型Aから取り出した成形部品を流すコンベアであり、排出コンベア501は金型Bから取り出した成形部品を流すコンベアであり、射出成形機100から取り出した後、ロボットアーム600は、排出コンベア500、501の上に置く。また、ロボットアーム600は金型Aから取り出された成形部品を排出コンベア501に排出し、金型Bから取り出された成形部品を排出コンベア500に排出することができる。
ロボットアーム600によって金型から取り外された成形部品を排出コンベア500、501に移動させるのに、成形部品が金型内で完成するまでの時間隔よりも長い時間を要する場合、ロボットアーム600が成形部品を取り外した後、ロボットアーム600は成形部品を別のロボットアームに渡すことができる。この別のロボットアームは、成形部品を排出コンベア500、501上に配置することができる。このようにして、射出成形機100内部で成形部品が待機する時間を短縮することができる。
成形部品を排出コンベア500、501に載せた後、排出コンベア500、501のベルトが移動し、成形部品が移動する。排出コンベア500、501の端部で、オペレータ701は排出コンベア500、501から成形部品をピックアップし、ボックスに入れる。オペレータ701は、領域801から移動することなく、固定位置でボックス化・確認処理を行うことができる。無駄な動きを減らし、作業効率を向上させる。
ロボットアーム600は、図1の排出側の成形部品を排出する。ただし、成形部品をオペレータ側で排出することができる。
排出コンベア500、501は、図1においてX軸方向に並べられ、成形部品をY軸方向に搬送する。ただし、それらはY軸方向に並べられ、成形部品をX軸方向に搬送してもよい。
なお、排出側処理は、上記に限定されるものではない。成形部品は、成形部品を冷却することができるアニーリングオーブンに取り出すことができ、又はロボットアーム600は、成形部品を完成されたプロダクトボックス内に直接装填することができる。成形部品を完成品ボックスに装填する工程はオペレータ701によって行うことができ、又は自動化することができる。排出側のプロセスは成形部品が完成した後に発生するが、オペレータ側のプロセスは成形部品の製造に関するものである。
<金型とアクチュエータのリンクユニット>
図2は、本実施形態における射出成形システム300の側面図を示す。
テーブル301の長さは、オペレータ側と排出側とで異なる。
ここでは、オペレータ側のテーブル301の一部をテーブル301Aと呼び、排出側のテーブル301の一部をテーブル301Bと呼ぶ。
テーブル301Aは、金型33A、金型33B、及びリンクユニット34が同時に射出成形機100の外部にあり得る長さを有する。また、テーブル301Aは、アクチュエータ31を備える。
すなわち、アクチュエータ31は、金型をX軸負方向に移動させ、2つの金型がテーブル301A上に完全に示されている。2つの金型を射出成形機100の外側に完全に示すことにより、金型をオペレータ側からのみ変更することが可能となる。クレーンは金型を変更するためにしばしば使用され、2つの金型は射出成形機100のオペレータ側と排出側との間でクレーン式の器具を移動させることなく、同時に変更することができる。
また、射出成形機100に対するメンテナンス時には、金型33A及び金型33Bをテーブル301Aに退避させることができる。つまり、射出成形機100の内部に金型が存在しない状態を作り出すことができる。これにより、射出成形機100におけるプラテンの開閉が可能となる。一方、テーブル301Bは金型33Aが射出成形機100の内側にあるときに、金型33Bが射出成形機100の外側に移動するのに十分な長さだけでよい。
本実施形態では上述したように、射出成形機100の一方の側では装置の設定や命令などのオペレータ作業(ユーザ作業)が行われる。これに加えて、オペレータが設定・指示を行った位置から、金型の変更や修理型のメンテナンスが行われていることが分かる。
射出成形機100の反対側は、成形部品を排出する排出側である。このようにして、一方の側で成形部品を製造することに関わる工程と、他方の側で成形部品が完成した後に工程を実行する工程とがある。これにより、射出成形機100および排出装置300Aで作業するオペレータの作業効率が向上する。
成形部品を運搬した後、排出側(unloading side)は通路側に配置されて成形部品と箱を移送する可能性が高い。そのため、部品や人が通過する場所に向かって成形部品を流すことにより、オペレータは落ち着いた部品に設定や命令などのメンテナンス作業を行い、作業ミスを防ぐことができる。
複数の射出成形機100をライン状に配置して作業を行う場合には、完成した部品を順番に回収して次の工程に進むことができるので、作業効率が良い。また、例えば金型を変更する場合、クレーンはオペレータ側で移動する必要があるため、クランププラント内部で多方向に移動する必要がなく、スムーズに作業できる。
図3Aは、金型33A及び金型33Bの移動を示す。図3Aは、射出成形機100、金型33A、金型33B、排出装置300A、テーブル301A、テーブル301B、及びリンク装置32,34の側面図である。図3Aでは、金型の可能な位置が位置1、2、および3として示されている。位置2は射出成形機100の射出位置であり、金型が位置2にあるとき、射出成形機100は樹脂を金型に射出し、成形部品を金型から取り出すことができる。位置1,3は、金型33A,33Bを冷却するための冷却位置である。2つの金型を射出位置に交互に移動させ、樹脂の射出を可能にすることによって、一方の金型が位置1又は3で冷却されている間に、他方の金型は位置2で樹脂を射出させることができる。
リンクユニット34は、金型33Bが射出位置に移動される間、射出成形機100の外側にある金型33Aに金型33Bをリンクする。リンクユニット34は図3Aに示すように、リンクユニット34を曲げたり折ったりすることなく、2つの金型を距離をおいてリンクする。一方の金型が射出成形に使用されているとき、他方の金型は冷却することができる。
また、リンクユニット32は、リンクユニット32を曲げたり折ったりすることなく、アクチュエータ31と金型33Aを図3Aに示すような距離でリンクする。アクチュエータ31が移動しているとき、金型33Aは、指定された位置に移動することができる。このようにして、金型33A、Bは、曲がったり折れたりすることなくリンクすることによって、射出位置及び冷却位置に正しく移動することができる。
図3Bは、リンクユニット32の詳細を示す。アクチュエータ31は、金型33Aをスライダ38、プレート35およびリンクユニット32を通して移動可能にする。
図3Bに示すように、リンクユニット32は、ベースプレート24を金型33Aに取り付け、4つのリンクされたブラケット23を締結し、次いで、それらを先端にカム従動子21を有する2つのシャフト22に締結する。また、ベースプレート35がスライダ38に締結され、カム従動子21がベースプレート35のスロットに挿入され、金型33Aとアクチュエータ31とがリンクユニット32によってリンクされる。
金型33Bと金型33Aとは、リンクユニット34によってリンクされている。金型33Aを移動させることによって、金型33Bは金型33Aの移動方向に移動することができる。すなわち、図3Bにおいて、金型33AがX軸正方向に移動すると、金型33BもX軸正方向に移動可能となる。
図3C〜3Dは、金型33Aとアクチュエータ31との間のリンクユニット32を示す。
アクチュエータ31には、直動式アクチュエータスライドタイプが用いられる。アクチュエータ31は、Z軸方向において金型33A、33Bの下方に配置される。X軸方向の金型33A、33Bの可動範囲とアクチュエータ31の全長範囲とが重なり合い、これにより射出成形機100のサイズを小さくすることができる。1つの駆動源を使用することで、射出成形機機構の簡素化が可能となり、射出成形機の部品点数を減らすことができ、低コストとなる。
アクチュエータ31は射出成形機100の外部に設置可能であり、これにより、アクチュエータ31上のメンテナンスが容易になる。
アクチュエータと金型を直線状に並べる構成と比較して、以下に説明する(例えば、図10Dを参照)、図3C〜3Dの構成はアクチュエータをZ軸方向において金型の下方に配置し、その結果、射出成形機100のサイズを縮小することになる。
図3Aの構成は、射出成形機100の内部にアクチュエータを配置した図10Eと比較して、射出成形機100の外部にアクチュエータを配置したものである。これにより、アクチュエータ2のメンテナンスが容易になる。また、射出成形機100とは別に金型を動かすシステムを立ち上げることができるため、生産スケジュールの短縮につながる。
図10Aまたは図10Fのように、射出成形機100の外部にチェーンまたはローラなどの機械部品を配置する必要がある機構と比較して、図3Aは、射出成形機100の外部の自由ローラを除いて、金型を移動させるためのすべての機構を含む。これにより、メンテナンスが容易になる。
図3C及び図3Dはいずれもアクチュエータ31とリンクユニット32を示しているが、リンクユニット32側とアクチュエータ31側のリンクされた位置からアクチュエータ31までのZ軸方向の距離が異なる。
図3Cでは、スライダ38がアクチュエータ31に取り付けられ、製作されたスロットを有するプレート35がスライダ38に取り付けられている。
他方では、金型33Aの固定部がベースプレート24を有し、リンクプレート23とシャフト22とが組み立てられ、回転体であるカム従動子21がシャフト22の先端に取り付けられ、それからカム従動子21がプレート35のスロットに挿入される。アクチュエータ31のスライダ38をX軸方向に移動させることにより、金型33Aが移動する。
ベースプレート24が金型33Aの中心からZ軸方向のマイナス側に装着されている場合には押し易い。また、ベースプレート24が金型33AのY軸方向の中心にできるだけ近接して装着されている場合に押しやすい。しかしながら、金型はY軸方向において可動部と固定部とに分離しているため、可動部と固定部とが金型の中心で分割されている場合、金型33AのY軸方向の中心にベースプレート24を取り付けることができない。ベースプレート24を固定部に取り付ける場合は、Y軸方向の可動金型にできるだけ近づけて取り付ける方が良い。
金型33Aを移動させることにより、金型33Aの移動力及び停止力がX軸の正負方向に必要となり、カム従動子21及びプレート35の作用点からの運動量がアクチュエータ31に負荷となる。アクチュエータ31の破壊を防止するためには、運動量から負荷を軽減することが重要である。
運動量の長さは、カム従動子21の下端がプレート35上のスロットに接触したときからアクチュエータ31の上面までの距離であり、この距離Zaを小さくすることが重要である。図3Cに示す構成では、スロット付きプレート35をアクチュエータ31側に締結し、カム従動子21を金型33A側に締結して距離Zaを極力小さくすることにより、アクチュエータ31への運動量を減少させ、負荷を軽減する。
図3Dは、カム従動子21がアクチュエータ31側に取り付けられ、溝付きプレート25が金型33A側に取り付けられている場合を示している。カム従動子21をアクチュエータ31側に取り付けるには、カム従動子21用のスライダ38にプレート39を取り付け、その後、プレート39にカム従動子21を取り付ける必要がある。シャフト22の底部先端には、スロット付きプレート25が取り付けられ、カム従動子21が挿入される。アクチュエータ31がX軸方向に移動すれば、金型33Aは移動することができる。本実施形態のリンク手段としては、図3Cの構成と図3Dに示す構成のいずれかを適用することができる。
図3Dの場合、アクチュエータ31に対する運動量の距離は距離Zbとなり、この距離Zbは運動量を増加させるプレート39の部分について、図3Cからの距離Zaに比べて長くなり、アクチュエータ31への負荷は、図3Cの構成よりも大きい。
アクチュエータの種類を以下に説明する。単軸ロボットの他に、エアシリンダ、油圧シリンダ、リニアスライダ、モータを使用できる。
<リンクユニットの破損検出>
図4は、本実施形態の構成をブロック図で示す。システムコントローラ200は金型33A及び金型33Bを移動させるアクチュエータ31を制御し、操作パネル101は、射出成形機100を制御する。システムコントローラ200と操作パネル101とは通信を行う。
アクチュエータ31に加えられた力を検出するために、負荷センサ部205がアクチュエータ31に設置されている。図9Aおよび9Bには、アクチュエータ31に加えられる力が示される。図9A及び9Bにおいて、縦軸はアクチュエータ31に加えられる力を示し、横軸は時間を示す。以下、図9A及び9Bについて詳細に説明する。アクチュエータ31には位置検出部206が設置されており、アクチュエータ31の位置を検出する。センサL(203)及びセンサR(204)は、射出成形機100内の所定の位置に金型の存在を検出するために設置される。
図5A〜図5Dは、金型33Aとアクチュエータ31との間のリンクユニット32が疲労によって破損した場合の故障例を示している。リンクユニット32に関する不具合がある場合には、アクチュエータ31と金型33Aとの距離が短くなったり、長くなったりすることがある。アクチュエータ31が金型を移動しようとしても、金型33Aはアクチュエータ31に追従して移動しないことがある。
図5A及び図5Bは金型33Aへの射出動作が完了し、金型33Bが射出成形機100へ移動する場合の状況を示す。図5Aでは、アクチュエータ31と金型33Aとがリンクユニット32によってリンクされ、金型33Aと金型33Bとがリンクユニット34によってリンクされている。図5Bにおいて、金型が図5Aの状態から移動されると、リンクユニット32が破損した。金型33B及び金型33Aは、指定された位置に移動することができないため、金型33Bに対して射出動作を行うことができない。
図5C及び図5Dは金型33Bへの射出動作が完了し、金型33Aが射出成形機100へ移動する場合の状況を示す。図5Cでは、アクチュエータ31と金型33Aとがリンクユニット32によってリンクされ、金型33Aと金型33Bとがリンクユニット34によってリンクされている。図5Dでは、金型が図5Cの状態から移動したときにリンクユニット32が破損したことが示される。金型33B及び金型33Aは、指定された位置に移動することができないため、金型33Aに対して射出動作を行うことができない。
図6A〜6Dは、金型33Aと金型33Bとの間のリンクユニット34が疲労によって破損した場合の故障例を示す。リンクユニット34に関する不具合がある場合には、金型33Aと金型33Bとの間の距離が短くなったり、長くなったりすることがある。アクチュエータ31が金型を移動しようとしても、金型33Bはアクチュエータ31に追従して移動しないことがある。
図6A及び図6Bは金型33Aへの射出動作が完了し、金型33Bが射出成形機100へ移動する前の状況を示す。図6Aでは、アクチュエータ31と金型33Aとがリンクユニット32によってリンクされており、金型33Aと金型33Bとがリンクユニット34によってリンクされる。図6Bにおいて、金型が図6Aの状態から移動されると、リンクユニット34が破損した。金型33B及び金型33Aは、指定された位置に移動することができないため、金型33Bに対して射出動作を行うことができない。
図6C及び図6Dは金型33Bへの射出動作が完了し、金型33Bが射出成形機100へ移動する前の状況を示す。図6Cでは、アクチュエータ31と金型33Aとがリンクユニット32によってリンクされ、金型33Aと金型33Bとがリンクユニット34によってリンクされている。図6Dでは、金型が図6Cの状態から移動したときに、リンクユニット34が破損したことが示される。金型33B及び金型33Aは、指定された位置に移動することができないため、金型33Aに対して射出動作を実行することができない。
図7A〜図7Cは、本実施形態における射出成形機100の動作プロセスのフローチャートを示す図である。フローチャートによれば、射出成形機100は電源が投入されると始まり、金型33Aは位置1にあり、金型33Bは位置2にあるが、この実装はリンギングしているとは見られない。
S1において、システムコントローラ200は初期設定情報を読み取り、これはオペレータによって入力されてもよい。例えば、初期設定は、金型のための冷却時間または金型の各々と共に生成されるべき成形部品の数を含む。冷却時間は、ユーザによって、または金型および樹脂の特性に応じて入力することができる。システムコントローラ200は、予め入力された情報に基づいて、必要な冷却時間を算出することができる。
S2において、システムコントローラ200は金型33Aが射出位置(位置2)に移動し、金型33Bが冷却位置(位置3)に移動するように、アクチュエータ31を制御する。アクチュエータ31は、金型33Aを位置1から位置2に移動させ、金型33Bを位置2から位置3に移動させる。例えば、アクチュエータ31はまず金型33Aを射出位置に移動させ、次いで射出成形機100は金型33Aに樹脂を射出する。次いで、樹脂を射出した後、アクチュエータ31は、金型33Aを射出位置から移動させ、同時に金型33Bを射出位置に移動させる。このように、位置1で金型33Aと樹脂を冷却しながら、位置2で金型33Bに樹脂を射出することができる。このとき、金型33Aと金型33Bとの間の金型Aとアクチュエータ31及びリンクユニット34との間のリンクユニット32は、スリップを有するカム従動子21とスロットを有するベースプレート31とを有しているので、上記のようにアクチュエータ31、リンクユニット及び金型に加わるミスアライメントからの負荷を軽減することができる。
S3において、システムコントローラ200は、射出位置における金型への射出が初めてであるか否かを判定する。射出位置での金型への射出が初めてであると判断された場合、システムコントローラ200はS6に進み、そうでない場合、システムコントローラ200はS4に進む。
S4において、システムコントローラ200が射出位置での金型への射出がS3で時間でないと判断した場合、システムコントローラ200は射出成形機100を制御して金型を開く。金型は射出成形機100の固定側および可動側のプラテンにクランプを取り付け、それらのプラテンを金型で固定することによって開くことができ、可動側のプラテンを後方(+Y方向)に移動させることによって、金型が開く。また、金型を開放することにより、射出成形機100は、次のS5処理で金型から成形部品を取り出すことができる。
S5において、システムコントローラ200は、射出成形機100を制御して、成形部品を開いた金型から取り出す。成形部品は射出成形機100に取り付けられたオートハンドが固定側金型(固定金型、固定部または固定金型)と、金型を開いて作製された可動側金型(可動金型、可動部または可動金型)との間の隙間に入り込み、成形部品を真空吸引または把持して保持し、取り出し、所定のテーブルまたはベルトコンベアに載置する。具体的には位置1で金型33Aの冷却工程及び射出樹脂が完了した後、金型33Aを射出位置(位置2)に移動させ、金型33Aを開いて成形部品を取り出し、射出成形機100は再び金型33Aに樹脂を射出することができる。また、金型33Bと射出樹脂の冷却工程が終了した後、金型33Bを射出位置に移動させ、射出成形機100が成形部品を取り出す。このようにして、一方の金型および金型に注入された樹脂が冷却されている間に、射出成形機100は、他方の金型に樹脂を射出する。つまり、一方の金型に樹脂を射出してから金型から成形部品を取り出すまでの期間、射出成形機100は、金型と樹脂を冷却するために射出位置に金型を残さない。射出成形機100は他方の金型に樹脂を射出することができるので、射出成形システム300は金型への樹脂の射出、冷却、成形部品の取出しのサイクルを効率的に完了することができる。
S6において、システムコントローラ200は射出成形機100を制御して金型をクランプし、S3において射出位置での金型への射出が第1回目であると判断した場合(換言すれば、S2から直接S3に進む)、又はS5からS6に進む。金型を型クランプするために、射出成形機100は、射出成形機100の可動側のプラテンを閉じ、その後、可動側の金型と固定側の金型が互いに接触した後、射出成形機100の型クランプ機構が金型を型クランプする。空洞(cavity)が、可動側金型と固定側金型との間に形成される。
S7において、システムコントローラ200は射出成形機100を制御して射出ノズルを金型に接触させて射出の準備をする。射出ノズルを金型に前進させる前に、システムコントローラ200は固定側プラテンを確認し、固定側金型が一緒にクランプされる。射出ノズルを前進させた後、システムコントローラ200は、射出ノズルと固定側金型との間の接触を確認して、射出成形機100が金型に樹脂を射出することができるかどうかを確認する。
S8において、システムコントローラ200は射出成形機100を制御して、樹脂を金型に射出し、金型内部に圧力を保つ。樹脂は空洞内に射出され、成形部品は空洞に形成される。具体的には、射出成形機100で予め節約されている金型33Aに対する成形条件を追従させることで、射出成形機100は射出ノズルから樹脂を射出させる射出処理を行い、その後、射出ノズルから樹脂に加わる圧力を保つ加圧保持処理を行う。
S9において、システムコントローラ200は冷却時間のカウントを開始する。冷却時間はタイマー回路によってカウントされ、システムコントローラ200は、射出成形機100上に予め保存されている金型33Aに対する成形条件に基づいて、冷却時間の所定の期間が通過するかどうかを確認する。冷却時間は例えば、樹脂がABS、厚さが約2.0mm、成形部品がプリンタ外装部品の大きさ程度であれば、約10秒である。冷却時間は例えば、樹脂がPS、厚さが約1.0mm、成形部品がプリンタのトナーカートリッジ程度の大きさであれば、約5秒である。しかし、冷却時間は樹脂の品質、温度、形状によって変化する。
S10において、システムコントローラ200は、射出成形機100における操作が完了したか否かを判断する。この動作は例えば、成形部品点数がユーザが設定した所定数に達した場合に終了するか、又は射出成形機100の電源が切断される。所定の操作が完了した場合には処理を終了し、そうでない場合にはシステムコントローラ200はS11に進む。
S11において、システムコントローラ200は、金型33A及び金型33Bを動かすべきかどうかを決定する。金型33Bの以前に節約された冷却時間が金型33Aの以前に節約された冷却時間の2倍未満である場合、金型33A、33Bの移動が生じる。しかし、金型33Bの以前に節約された冷却時間が、金型33Aの以前に節約された冷却時間の2倍以上である場合、移動は起こらない。
樹脂を射出した後に金型を切り替えることは、金型33Bのために以前に節約された冷却時間が金型33Aのために以前節約された冷却時間の2倍以上であるときには起こらない。一方、そうでない場合には、アクチュエータ31が金型33Aを位置1に移動させ、金型33Bを位置2に移動させる。S11において金型33A、33Bの位置を移動することが決定された場合、システムコントローラ200はS12に進む。そうでない場合には、システムコントローラ200はS17に進む。
S12において、システムコントローラ200は、射出成形機100を少し開いて金型を可動にするように制御する。この工程において、射出成形機100は固定側及び可動側のプラテン上に到達したクランプを金型から離すと共に、例えば可動側のプラテン上に5mm程度の小さな開口を設けて金型を可動とする。小さな開口部の量は金型が移動可能である限り、任意の条件に変更可能である。
S13において、システムコントローラ200は射出成形機100を制御して、例えば、射出ノズルを約10mm後方に移動させて、金型を可動にする。金型交換中の金型と射出ノズルの干渉による金型や射出ノズルの破損を防止するための工程である。射出ノズルの移動戻し量は金型と射出ノズルの干渉が避けられる限り、任意の範囲に設定することができる。
S14において、金型33Bが前のステップS13から射出位置にあった場合、システムコントローラ200は金型33Aが射出位置(位置2)に移動し、金型33Bが冷却位置(位置3)に移動するように、アクチュエータ31を制御し始める。一方、金型Aが射出位置にあった場合、アクチュエータ31は、金型33Aを位置2から位置1に移動し始め、金型33Bを位置3から位置2に移動させる。なお、金型の変更時には金型33A用のリンクユニット32、及び、金型33A用のアクチュエータ31、及び、金型33B用のリンクユニット34にはスリップを有する部品や、スロットを有するプレートが含まれるため、上記のようなミスアライメントからアクチュエータ31、リンクユニット、及び、金型への負荷を軽減することができる。
S15において、システムコントローラ200は、射出成形機100内部の2つのセンサを用いて金型の位置を検出する。これら2つのセンサは、金型のエッジがその位置にあるかどうかを見ることによって、射出成形機100内部の射出位置に金型が来たときの金型の存在を検出している。また、センサは、センサが金型の上部に向かって下向きになる状態で金型の上方に設置される。他の構成と比較すると、塵埃などの汚れが付きにくく、センサを射出成形機100に取り付ける方が便利である。センサの配置に関しては、両方のセンサが射出成形機100の中央付近または射出成形機100の外側に配置される場合、金型の位置を正しく検出できない。また、わずかなシフトと金型のサイズを考慮する必要がある。センサは、金型のエッジから少し内側に配置する必要がある。すなわち、センサは、射出成形機100が取り扱える最小の金型に従って、位置に配置されてもよい。これら2つのセンサは金型33Aと金型33Bがリンクされていることを確認し、アクチュエータの位置を確認し、2つの金型の正しい位置を確認することである。1つのセンサが射出成形機100の中心に配置されている場合、それは、金型がセンサの下にあることを検出するだけであり、金型が正しい位置にあるかどうかを検出することができない。S14において金型を移動させる指示が出された後、システムコントローラ200は、S15において金型位置決定処理に進む。図7Bを参照して、金型位置決定プロセスを以下に説明する。
S16において、システムコントローラ200は、位置2にある金型について設定された条件に設定を変更する。金型33Bに対して設定された条件は例えば、システムコントローラ200や射出成形機100のメモリから金型33Bに適用される。ステップS14において、位置2の金型が金型33Aから金型33Bに変更される場合、システムコントローラ200は、金型33Aのための設定から金型33Bのための設定に変更する。システムコントローラ200は、射出条件、保持圧力、冷却条件などの設定を変更する。
S17において、システムコントローラ200は、冷却時間が経過したか否かを判断する。システムコントローラ200が冷却時間が終了したと判断した場合、システムコントローラ200はS4に進む。そうでない場合、システムコントローラ200は、冷却時間が経過するまで待機する。
図7Bは、金型位置決定プロセスを示す図である。金型位置決定処理は、図7AのS14で金型を移動させる指示が行われた後、金型が射出成形機100に移動したか否かを判定する処理である。
S21において、システムコントローラ200は、アクチュエータ31に指定された動きを指示する。アクチュエータ31は、位置検出部206である位置検出システムを有している。位置検出部206は、予め設定された任意の指定位置を認識する。
S22において、システムコントローラ200は、アクチュエータ31が指定位置への移動を完了したかどうかを判断する。S22の判定は、位置検出部206によって行われる。位置検出部206は、アクチュエータ31の位置に応じてどの程度の金型が移動したかを検出することができる。金型位置の状態としては、2つの状態がある。図3Aに示すように、1つの状態は金型33Aが位置1にあり、金型33Bが位置2にあることであり、第2の状態は金型33Aが位置2にあり、金型33Bが位置3にあることである。アクチュエータ31は、それらの2つの状態の間のスイッチングとして金型を動かす。位置検出部206は、一方の位置から他方の位置への移動が完了したか否かを検出する。したがって、位置検出部206は、図3AのX軸正方向において、位置2から位置3(位置1から位置2までの金型33A)への金型33Bの移動、または位置3から位置2(位置2から位置1までの金型33A)への金型33Bの移動を、図3AのX軸負方向に検出する。図7では、このような移動を指定位置への移動と呼ぶ。すなわち、システムコントローラ200は、搬送動作を実行する。
システムコントローラ200が、アクチュエータ31が指定位置への移動を完了したと判断した場合(搬送動作が終了した場合)、システムコントローラ200はS23に進む。終了していない場合(搬送動作が終了していない場合)には、システムコントローラ200がS25に進む。例えば、アクチュエータ31に誤動作が発生した場合、例えば、駆動部が移動中に引っ掛かったり、何かに挟まれたりすると、システムコントローラ200はNOと判断する。
S23において、システムコントローラ200は金型の存在を確認するようにセンサに指示し、センサL203およびセンサR204は、同時にオンにされて、検出を可能にする。センサL203、R204は常にオンにすることができる。S23でセンサがオンになっていた場合、S24の後にセンサがオフになる。
S24において、システムコントローラ200は、センサL203とセンサR204の両方を確認する。両方のセンサが金型を検出する場合、システムコントローラ200は金型が正しい位置にあると判断して処理を完了し、図6のS16に進む。両方のセンサが金型を検出しない場合、システムコントローラ200はS25に進む。
S25では、システムコントローラ200がS22またはS24が要求を満たさなかった理由として誤差をトリガする。
S26において、システムコントローラ200は、射出成形機100およびアクチュエータ31に対する停止指示をトリガする。この停止命令によって、射出成形システム300は停止し、金型又は装置の損傷を防止する。システムコントローラ200がS23で搬送動作が終了していないと判定した場合、システムコントローラ200は、即時に現在の搬送動作を停止する。この場合、金型33Aは位置1と位置2との間の位置で停止することになり、金型33Bは、位置2と位置3との間の位置で停止することになる。S24において、両センサ(センサL203、センサR204)が金型を検出しなかった場合、システムコントローラ200は、次の搬送動作を禁止する。この場合、現在の搬送動作が終了するので、金型33Aは位置1又は位置2のいずれかで停止し、金型33Bは、位置2又は位置3のいずれかで停止することになる。
S27において、システムコントローラ200は、射出成形機100及びアクチュエータ31にエラー通知を送信する。
このエラー通知を用いて、システムコントローラ200はオペレータに連絡し、オペレータはエラーの原因を見つけることができ、オペレータは、メンテナンスを行うことができる。また、オペレータではなく、メンテナンスを行うロボットに通知することができ、ロボットはエラーの原因をカメラで検出することができる。この場合、ロボットは金型の位置によって、リンクユニットの交換が必要か、金型のメンテナンスが必要かを理解でき、ロボットでメンテナンスを行うことができる。
図7Bではアクチュエータ31による移動距離の検出およびセンサL203、R204による金型の検出が行われたが、図7Cに示すように、アクチュエータ31に加えられた力を検出することができる。すなわち、金型が移動すると、アクチュエータ31及びアクチュエータ31にリンクされた部分に重荷重が加わる。リンクユニット32を介する金型33Aと、リンクユニット34を介する金型33Bとは、アクチュエータ31に接続されている。図9Aに示すように、金型が動き始めると、アクチュエータ31は金型を動かそうとし、大きな負荷が生じる。金型が移動し、安定した速度を維持するとき、負荷は最大になり、安定する。金型が特定の位置に近づくと、減速が始まり、負荷が減少する。金型が所定の位置に到達すると、荷重はゼロになる。
同じ出力のアクチュエータ31が同じ重量の金型を駆動するので、金型の負荷と時間との間のこの関係は常に同じである。しかし、移動中にいずれかのリンクユニットが外れると、負荷が急激に減少し、アクチュエータ31の出力は図9Bに示すようになる。図9Bは、アクチュエータ31と金型33Aとの間のリンクユニット32が破壊する時を示す。この力の突然の変化を検出することによって、リンクユニットの1つが破壊されたことを決定することができる。金型が動かされるとき、力にはいくつかの変動があるので、システムコントローラ200は、アクチュエータ31による力の変動が指定された力よりも小さいかどうかを決定する。
図7Cは、金型位置決定プロセスの別の例を示す図である。図7CのS31−32は図7BのS21−22と同じであり、図7CのS34−38は図7BのS23−S27と同じである。図7CのS33において、システムコントローラ200は金型が移動されたときに負荷センサ部205を使用することによって、アクチュエータ31にかかる力を検出し、アクチュエータ31に対する力の変動が指定されたよりも小さいかどうかを検出する。システムコントローラ200が力の変動が指定された負荷未満であると判断した場合、システムコントローラ200はS34に進む。システムコントローラ200が指定された負荷以上であると判断した場合には、リンクユニット32,34の破損が高い可能性があり、システムコントローラ200はS36に進む。
アクチュエータ31への力の変動がS33で指定された値より上であっても、システムコントローラ200はS34に進むことができ、さらに、センサによって金型の位置を検出する。
図5A〜Bに示すようにリンクユニット32が故障した場合には上記フローS24においてセンサL203によって金型を検出することができないので、システムコントローラ200は金型の移動が完了していないと判断する。
図5C〜Dに示すように、リンクユニット32が故障した場合、上記のフローS24ではセンサR204によって金型を検出することができないので、システムコントローラ200は金型の移動が完了していないと判断する。
図6A〜Bに示すようにリンクユニット34が故障した場合、上記のフローS24においてセンサL203、R204によって金型を検出することができないので、システムコントローラ200は、金型の移動が完了していないと判断する。
図6C〜Dに示すようにリンクユニット34が故障した場合、上記のフローS24ではセンサR204によって金型を検出することができないので、システムコントローラ200は金型の移動が完了していないと判断する。
図5〜7に示されている金型の動きは、2つのアクチュエータに対して適用可能である。図8A〜Bは2つのアクチュエータの場合に、金型33Aとアクチュエータ31との間のリンクユニット32が故障したときを示す。リンクユニット32が故障した場合、センサR204はS24において金型を検出することができないので、システムコントローラ200は金型の移動が完了していないと判断する。このようにして、2つのアクチュエータの場合であっても、システムコントローラ200は、金型の移動が完了したか否かを判断することができる。
図5A〜5D、6A〜6D、7A〜7C及び図8A及び8Bは、センサL203、R204が金型が存在することを検出するが、センサは金型が存在しないことを検出することができる例を示す。図8C〜Dにおいて、センサL203、R204が金型が存在しないことを検出すると、システムコントローラ200は、金型がその移動を完了した(指定位置に移動した)と判断する。リンクユニット32が故障し、金型が所定の位置に移動できない場合、金型は、射出成形機100の出口付近にとどまることができる。したがって、リンクユニットが故障した場合、金型が存在しないと想定される位置に金型が存在することになる。したがって、センサL203、R204のいずれかが金型を検出した場合、システムコントローラ200は、金型の移動が完了していないことを判断することができる。このようにして、センサは、金型が存在しないことを検出するセンサとすることができる。
図5A〜5D、6A〜6D、7A〜7C及び図8A〜8Dは、センサL203、R204が射出成形機100の内側に位置するが、センサは射出成形機100の外側に位置することができる例を示す。図8E〜Fでは、4つの金型検出センサがあり、センサ331及び332、センサ333及び334がそれぞれ対になっている。センサ331/332が金型を検出し、センサ333/334が金型を検出しない場合、システムコントローラ200は、金型が正しい位置にあると判断する(この状態が図8Eに示される。)。リンクユニット32が故障し、センサ331/332/334が金型を検出せず、センサ333のみが金型を検出した場合、システムコントローラ200は、金型が正しい位置にないと判断する(この状態が図8Fに図示される。)。このようにして、センサを射出成形機100の方法に配置することができる。
システムコントローラ200は図7BのS22の後にS24を行い、図7CのS32の後にS35を行う。この場合、アクチュエータ31の移動が完了していない場合、システムコントローラ200は、センサによって金型を検出しない。アクチュエータ31の移動の完了を最初に確認することによって、システムコントローラ200は、センサによる金型の検出を繰り返す必要がない。しかし、図7B、図7CのS22およびS24、S32およびS35の順序は逆にすることができる。
システムコントローラ200はセンサL203、R204を使用せずに、S32およびS33内の決定のみから完了し、図7C内のS35内の決定なしに移動が完了したか否かを判断することができる。
図11はセンサL203及びR204を使用せずに、負荷センサ部205及び位置検出部206を使用する金型位置決定の別のフローチャートを示す。図11に示すフローチャートは、メモリに記憶されたプログラムに基づいて、システムコントローラ200内のCPUによって実行される。
S41において、システムコントローラ200は、アクチュエータ31に指定された動きを指示する。
S42では、システムコントローラ200が金型が移動されるときに負荷センサ部205を使用することによって、アクチュエータ31にかかる力を検出し、アクチュエータ31への力の変動が指定された負荷未満であるかどうかを検出する。システムコントローラ200が力の変動が指定された負荷未満であると判断した場合、システムコントローラ200はS43に進む。システムコントローラ200が指定された負荷以上であると判断した場合、リンクユニット32,34の破損が高い可能性があり、システムコントローラ200はS44に進む。
S43において、システムコントローラ200は、アクチュエータ31が指定位置への移動を完了したかどうかを判断する。S43の判定は、位置検出部206を用いて行われる。システムコントローラ200が、アクチュエータ31が指定された移動を完了したと判断すると、フローチャートは終了する。システムコントローラ200が、アクチュエータ31が指定された移動を完了していないと判断した場合、システムコントローラ200はS42に進む。すなわち、システムコントローラ200は金型が移動されている間に、負荷センサ部205によってリンクユニット32、34の破損をリアルタイムに検出する。
S44では、システムコントローラ200がS42が要求を満たさなかった理由として誤差をトリガする。
S45において、システムコントローラ200は、射出成形機100およびアクチュエータ31に対する停止指示をトリガする。停止命令は射出成形システム300を停止させ、これは金型またはデバイスへの損傷を防止する。
S46において、システムコントローラ200は、射出成形機100およびアクチュエータ31にエラー通知を送信する。
上述したように、図11において、システムコントローラ200は、金型が移動されている間、リンクユニット32、34の破損をリアルタイムで検出する。これにより、例えば、図5C,Dにおいて、金型33Aを射出成形機100内に移動させながらリンクユニット32が破断した場合には、アクチュエータ31が直ちに移動を停止する。したがって、破損したリンクユニット32が金型33Aと衝突する可能性を低減できる。
システムコントローラ200は、位置検出部206の検出結果に基づいてS43で判定処理を行う。しかし、これに限定されるものではない。例えば、システムコントローラ200は、システムコントローラ200に設置されたカウンタを使用することによって、アクチュエータ31が金型の移動を開始してからの経過時間を測定することができる。システムコントローラ200は、経過時間が閾値時間に達するタイミングで金型位置決定を終了することができる。閾値時間は、アクチュエータ31の駆動速度、射出位置と冷却位置との間の距離、または金型の重量に基づいて設定される。すなわち、システムコントローラ200は、負荷センサ部205及び位置検出部206(アクチュエータ検出部)を用いることなく、リンクユニット32,34の破損を検出することができる。
図7A〜7C、及び図11に示すフローチャートは、上記実施形態においてシステムコントローラ200によって実行される。しかし、図7A〜図7C、図11に示すフローチャートは、操作パネル101のような射出成形機100に設けられた制御装置によって行うことができる。
<センサ状態詳細な説明>
図12A〜図12Eを用いて、射出成形機100に対する金型交換の詳細手順を説明する。なお、上述した同一の符号を付した構成要素及び情報は、以下に説明する点を除いて、上述した構成要素と実質的に同一の構成要素である。
図12A〜図12Eにおいて、金型33Aはジョイント(接続部材)32と共にスライドアクチュエータ31に接続され、金型33A,33Bはジョイント(接続部材)34により互いに接続されている。
アクチュエータ31は、ジョイント32及びジョイント32に接続された金型33A,33Bを移動させる。図3Bに示すように、アクチュエータ31のスライダ38が1st位置にあるとき、金型33Aは位置1にあり、金型33Bは位置2にあるものとする。スライダ38が2nd位置にあるとき、金型33Aは位置2にあり、金型33Bは位置3にあると想定される。すなわち、アクチュエータがスライダ38を1st位置から2nd位置に移動させると、金型33Bは位置2から位置3に搬送され、金型33Aは位置1から位置2に搬送されることになる。アクチュエータがスライダ38を2nd位置から1st位置に移動させると、金型33Aは位置2から位置1に搬送され、金型33Bは位置1から位置2に搬送されることになる。システムコントローラ200が金型33A及び33Bが正しく搬送されていることを確認するために、センサ203〜206が設けられ、システムコントローラ200は、アクチュエータ31、金型33A及び金型33Bの各々の状態を監視または確認する。
センサ203(またはセンサL)およびセンサ204(またはセンサR)は射出成形機100内に配置され、センサ203は左側(またはテーブル301B側)に配置され、センサRは右側(またはテーブル301A側)に配置される。センサ203、204はそれぞれ、例えば、図12、図13に示すように、発光部材と、発光部材から出射された光を受光する光検出部材とを有し、センサ203、204から伸びた矢印で、検出位置に位置する物体を検出するための出射光の経路によって規定される検出位置を有する光センサである。センサ203及び204は金型の1つが射出位置2にあるとき、金型33A及び33Bのうちの1つの左端及び右端にそれぞれ近接して配置される。
また、射出成形機100では大きさの異なる種々の金型を用いることができるため、センサ203、204の検出位置間の距離はX方向(金型の搬送方向、射出成形機のクランプ方向に対して垂直または横方向)の幅が最小の金型に基づいて設計することができる。センサ203、204の検出位置は、いずれかの検出位置が金型33A、33B間にある場合でも、ジョイント34を検出しないように配置されている。XY平面では、位置が金型33A及び33Bの移動全体を通して、ジョイント34の領域と重ならないはずである。例えば、XYプレーンにおいて、検出位置は、ジョイント34が固定プラテンまたは可動プラテンに近づくよりも、固定プラテンまたは可動プラテンに近づく。
図12A〜12Eにおいて、センサ203又は204のための条件Yは、センサが物体を検出するか又は検出することが想定されることを手段する。条件Nはセンサが物体を検出しない、または検出しないことを手段する。
位置検出部(又は位置センサ)206は、ジョイント32の位置を検出するリニアエンコーダとすることができる。システムコントローラ200は、位置センサ206に接続される。位置センサ206はジョイント32の位置を繰り返し検出し、システムコントローラ200は、ジョイント32及び金型33A、33Bが移動中又は停止中であると判断する。金型の移動を決定するシステムコントローラ200の代わりに、追加のセンサを射出成形機100内に設けて、金型が移動しているかどうかを検出することができる。
金型33Aが位置2から搬出され、金型33Bが位置2に搬入されると、状況は、図12A、図12B、図12C、図12Dから図12Eに順に遷移する。図12A〜12Eの各々のチャートは、金型およびアクチュエータが対応する状況が発生したときにあるべきであるという状態を示す。従って、状態が図12Aから図12Eに示すように状態から遷移する場合、システムコントローラ200は金型が正しく搬送されていると判断し、問題も故障もないはずである。しかしながら、図12Aから図12Eに示すように状態が遷移しない場合、システムコントローラ200は金型が正しく搬送されていないと判断し、システムコントローラ200はアクチュエータ31がジョイント32を動かすことを禁止し、言い換えれば、システムコントローラ200はアクチュエータ31を停止させる。このプロセスは金型33A、33B、ジョイント32、34、及びアクチュエータ31、及びオペレータが異常に動く構成要素にぶつからないように、金型及び他の構成要素が損傷されることを防止する。あるいは、このプロセスがこれらの状況の可能性を少なくとも大幅に低減する。
これに加えて、またはこれに代えて、システムコントローラ200は、金型が正しく搬送されていないと判定された場合、警告を発することができる。警告はブザーを鳴らしたり、操作パネル100やコンソール200にエラーメッセージや、オペレータに問題が発生したことを通知するためのアイコンを表示させたりすることで行うことができる。
金型33Bが搬出され、金型33Aが搬送されると、状態は、図12E、12D、12C、12Bから図12Aへと逆の順序で遷移する。
図12Aは金型33Aが射出成形機100内の位置2(射出位置)にあり、金型33Bがテーブル301上の位置3(金型33Bに対する冷却位置)にある状況を示す。図Aの状況では、センサ203、204はいずれも金型33A、33Bを検出するものとし、金型33A、33Bの動きは検出しないものとする。換言すれば、金型33A及び33Bは停止される。また、アクチュエータ31に加わる力fは、0またはスライダ38が静止していることを示す値とする。上述したように、システムコントローラ200が金型及びジョイント32の状態を確認したことに応答して、アクチュエータ31はジョイント32を移動させて、位置2から位置1(金型33Aに対する冷却位置)へ金型33Aを搬送し、位置3から位置2へ金型33Bを搬送することができる。例えばコンソール200のスイッチを介したオペレータの入力のトリガに応答して、アクチュエータ31はジョイント32の移動を開始する。
金型33A及び33B並びにアクチュエータ31の状態が、図12Aに示された状態のようにならない場合、システムコントローラ200はアクチュエータ31が移動を開始することを禁止し、警告を発する。
オペレータが入力した後、センサ206によるジョイントの状態又は状態は、「停止」から「移動」に変更されるものとする。また、アクチュエータ31に加わる力fは、f_refを含む範囲にあるものとする。f_ref’は図9Aに示すように、ジョイント32に加えられる力の基準曲線によって定義することができる。この範囲は例えば、f_ref+Th1<f<f_ref+Th2として定義することができ、ここで、Th1およびTh2は、それぞれ(f−f_ref)の最小値および最大値を定義する。アクチュエータ31に加えられた負荷及びアクチュエータ31の移動状態を含むアクチュエータ31の状態の変化がアクチュエータ31Aが起動されてから一定の時間が経過してもセンサ205及び206から検出されない場合、システムコントローラ200は、アクチュエータ31を停止させ、上述したように警告を発する。
図12Bは金型33Aが位置2から位置1に移動しており、金型33Bが位置3から位置2に移動している状況を示す。図12Bの状況において、センサ203の検出位置は、金型33Aと33Bとの間に位置する。図12Bのこの状況ではセンサ203は金型を検出することは想定されないが、センサ204は金型33Aを検出することが想定される。位置センサ206は、ジョイント32が移動していることを示す異なる値を毎回出力するものとする。アクチュエータ31に加えられる力は、図12Aを参照して上述したような範囲であるべきである。
センサ203〜206の状態が図12Aの状態から図12Bの状態に遷移した場合、システムコントローラ200は金型33A及び33Bが正しく搬送されていると判断し、そうでない場合、システムコントローラはエラーが発生したと判断し、アクチュエータ31を停止し、上述したのと同様にして警告を発する。
図12Cは金型33Aが依然として位置2から位置1に移動しており、金型33Bが位置3から位置2に移動している状況を示す。図12Cの状況では、センサ203及び204の検出位置が金型33B及び33Aがそれぞれ検出されるように配置されるものとする。位置センサ206は、ジョイント32が移動していることを示す異なる値を毎回出力するものとする。アクチュエータ31に加えられ、負荷センサ205によって検出される力は、図12Aを参照して上述したような範囲であるべきである。
センサ203〜206の状態が図12Bの状態から図12Cの状態に遷移した場合、システムコントローラ200は金型33A及び33Bが正しく搬送されていると判断し、そうでない場合、システムコントローラはエラーが発生したと判断し、アクチュエータ31を停止し、上述したのと同様にして警告を発する。
図12Dは金型33Aが位置2から位置1に移動しており、金型33Bが位置3から位置2に移動している状況を示す。図12Dの状況において、センサ204の検出位置は金型33Aと33Bとの間に位置するため、センサ204は金型を検出するとは想定されないが、センサ203は金型33Bを検出すると想定される。位置センサ206は、ジョイント32が移動していることを示す異なる値を毎回出力するものとする。アクチュエータ31に加えられる力は、図12Aを参照して上述したような範囲であるべきである。
センサ203〜206の状態が図12Cの状態から図12Dの状態に遷移した場合、システムコントローラ200は金型33A及び33Bが正しく搬送されていると判断し、そうでない場合、システムコントローラはエラーが発生したと判断し、アクチュエータ31を停止し、上述したのと同様にして警告を発する。
センサ203、204の検出位置間の距離D_sが対向する金型33A、33Bの側間の距離D_mよりも小さい場合には、図12Bの状態から図12Cの状態に遷移しない可能性がある。この場合、ジョイント32が移動している状況が存在し、アクチュエータに加えられる力fは上述した範囲であるべきであり、センサ203もセンサ204も金型を検出しない(「203」のための条件は「N」であり、「204」のための条件は「N」である)。これは、D_s、D_m、または金型の幅に応じて起こり得る。システムコントローラ200はこの距離または幅の情報を用いて、状態の遷移を予め決定し、エラーが発生したか否かを確認するための参照用のメモリに設定する。
図12Eは金型33Aが位置1に到着し、金型33Bが位置2に到着する状況を示す。図12Eの状況において、センサ203及び204の検出位置は、金型33Bがセンサ203及び204の両方によって検出されるように配置されるものとする。
上述したように、センサ203、204が金型を検出した直後はアクチュエータが1st位置に停止しているものとするため、位置センサ206はジョイント32が「移動中」から「停止中」に遷移していることを示す一定値を繰り返し出力するものとする。アクチュエータ31に加えられる力は、0に回されるべきである。
センサ203〜206の状態が図12Dの状態から図12Eの状態に遷移した場合、システムコントローラ200は金型33A及び33Bが正しく搬送されていると判断し、そうでない場合、システムコントローラはエラーが発生したと判断し、アクチュエータ31を停止し、上述したのと同様にして警告を発する。
状態が図12Dの状態から図12Dに図示されていない状態に遷移する場合、システムコントローラ200は、ジョイント32を停止すべき1st位置を検出する位置センサ206に応じて、アクチュエータ31を制御してジョイント32を停止させ、警告を発する。センサ203、204の両方が金型を検出したとしても、図12Eの通常状態よりも大きな力が加わった場合には、システムのどこかで誤動作や誤差が発生したはずであり、システムコントローラ200はオペレータの状況を通知した。
別の実施形態ではセンサ203および204がジョイント34ならびに金型33Aおよび33Bを検出するように配置することができ、これは金型33Aおよび33Bのより詳細な状態を提供する。この構成では、図12A〜12Eの「Y」のすべては、「金型」であるべきであり、これはセンサ203または204が各状況において金型33Aまたは33Bを検出することを意味し、図12Bおよび12Dの「N」のすべては、「ジョイント」であるべきであり、これはセンサ203または204が各状況においてジョイント34を検出する(であろう)ことを意味する。
また、センサ203および204はセンサから検出される対象物までの距離を測定することができ、これにより、システムコントローラ200は、センサが検出されたものが金型またはジョイントであることを伝えることができる。
さらに別の実施形態では、射出成形機が金型33Aおよび33Bの上面に異なるパターン、バーコードまたは色を提供することによって、金型の種類を検出するように構成することができ、センサ203および204として、パターン、バーコードまたは色を検出することができるセンサが採用される。これは、金型およびアクチュエータのより詳細な状態を提供する。この構成ではセンサ203及び204の両方が図12Aの状況で金型33Aを検出するものとし、センサ204は図12Bの状況で金型33Aを検出するものとし、センサ203及び204は図12Cの状況で金型33A及び金型33Bをそれぞれ検出するものとし、センサ203は図12Dの状況で金型33Bを検出するものとし、センサ203及び204の両方は図12Eの状況で金型33Bを検出するものとする。
別の例示的な実施形態による射出成形機100に関する金型の変更の詳細な手順を、図13A〜13Eを参照して説明する。この実施形態はテーブル301Aおよび301Bの各々を有するアクチュエータを含み、金型33Aおよび33Bを接続するジョイント34を含まない。搬送機301A、301Bの構成は、図12A〜図12Eを参照して上述した実施形態と異なるため、センサが入っている状態も異なるものとする。なお、上述した同一の符号を付した構成要素および情報は、以下に説明する点を除いて、上述した構成要素と実質的に同一の構成要素である。
図13A〜13Eにおいて、金型33Aはジョイント(接続部材)32Aを有するスライドアクチュエータ31Aに接続され、金型33Bはジョイント(接続部材)32Bを有するアクチュエータ32Bに接続される。アクチュエータ31Aおよび31Bは上述したように、アクチュエータ31と同一または類似のアクチュエータであってもよく、ジョイント32Aおよび32Bは上述したように、ジョイント32と同一または類似のアクチュエータであってもよい。アクチュエータ31Aは負荷センサ205Aおよび位置センサ206Aを含み、アクチュエータ31Bは、負荷センサ205Bおよび位置センサ206Bを含む。負荷センサ205Aおよび205Bは上述したように、負荷センサ205と同じまたは類似のアクチュエータであってもよく、位置センサ206Aおよび206Bは上述したように、位置センサ206と同じまたは類似のアクチュエータであってもよい。
図13A〜図13Eは、金型33Aが位置2から搬出され、金型33Bが位置2に搬入される場合の状況を示し、及び、図13A〜13Eのチャートは、対応する図示の状況において、センサがあると想定される状態を示す。上述したように、状態が状態から遷移すると、図13A〜13Eに示すように、システムコントローラ200は金型が正しく搬送されていると判断し、問題または故障がないはずである。状態が遷移しない場合、図13A〜13Eに示すように、システムコントローラ200は金型が正しく搬送されていないと判断し、システムコントローラ200はアクチュエータ31Aまたは31Bがジョイント32Aまたは32Bを動かすことを禁止し、換言すれば、システムコントローラ200は、アクチュエータ31Aまたは31Bを停止させる。このプロセスは金型33A、33B、ジョイント32A、32B、及びアクチュエータ31A、31Bの異常な動きによって、金型や他の構成要素が損傷し、異常な動きをする構成要素にオペレータが当たらないようにする。あるいは、このプロセスがこれらの状況の可能性を少なくとも大幅に低減する。
上述したように、追加的に又は代替的に、システムコントローラ200は、金型が正しく搬送されていないと判定された場合、警告を発することができる。
金型33Bが搬出されて金型33Aが搬入されると、前述または図13A〜13Eに示された、センサ204、金型33A、ジョイント32A、アクチュエータ31A、負荷センサ205A、及び位置センサ206Aに対する状態及び作用が、センサ203、金型33B、ジョイント32B、アクチュエータ31B、負荷センサ205B、及び位置センサ206Bのそれらであるべきであることを当業者は容易に理解するであろうし、逆についても同様である。図13Aは金型33Aが位置2にあり、金型33Bが位置3にあり、金型33A及び33Bが停止して移動しない状況を示す。この状況ではセンサ203および204の両方が金型33Aを検出し、位置センサ206Aは金型Aが移動していないことを示す一定値を定期的に出力し、また、アクチュエータ31Aに印加される205Aによって検出される力は0であるべきであるものとする。センサ206Bは金型33Bが停止していることを示す一定の値を出力するものとし、負荷センサ205Bは、ジョイント32Bに力が加わっていないことを示す値を出力するものとする。
システムコントローラ200が上述したようにセンサの状態を確認したことに応答して、システムコントローラ200は、アクチュエータ31Aがジョイント32Aを移動させて金型33Aを位置2から位置1に運ぶことを可能にする。例えば、コンソール200上のスイッチを介したオペレータの入力からのトリガに応答して、アクチュエータ31Aは、ジョイント32Aの移動を開始する。センサの状態が図13Aに示されている状態のようでない場合、システムコントローラ200はアクチュエータ31が移動を開始することを禁止し、上述したように警告を発する。
オペレータの入力後、センサ206Aによるジョイント31Aの状態は、「停止」から「移動」に変更されることになる。また、アクチュエータ31に加わる力fは、f_ref’を含む範囲にあるものとする。f_ref’は図9Aに示すように、ジョイント32に加えられる力の基準曲線によって定義することができる。この範囲は例えば、f_ref’+Th3<f<f_ref’+Th4として定義することができ、ここで、Th3およびTh4は、それぞれ(f−f_ref’)の最小値および最大値を定義する。アクチュエータ31Aの状態の変化が検出されない、または、アクチュエータ31Aが起動されてからある一定の時間が経過しても図13Aに図示されていない場合、システムコントローラ200はアクチュエータ31Aを停止し、上述したように警告を発する。
図13Bは金型33Aが位置2から位置1に移動しているのに対し、金型33Bが停止している状況を示す。この状況ではセンサ203が金型を検出することは想定されないが、センサ204は金型33Aを検出することが想定される。負荷センサ205Aは上述した範囲の値を出力するものとし、位置センサ206Aはその都度、異なる値を出力するものとし、ジョイント32Aが移動していることを示す。センサ206Bは金型33Bが停止していることを示す一定の値を出力するものとし、負荷センサ205Bは、ジョイント32Bに力が加わっていないことを示す値を出力するものとする。センサ203、204、205A、205B、206A、206Bの状態が図13Aの状態から図13Bの状態に遷移した場合、システムコントローラ200は金型33A、33Bが正しく搬送されていると判断し、搬送されない場合、システムコントローラは誤差が発生していると判断し、アクチュエータ31Aまたは31Bを停止し、上記と同様に警告を発する。
図13Cは金型33Aが位置1に到着し、一方、金型33Bが依然として停止している状況を示す。この状況では、センサ203もセンサ204も金型を検出することは想定されない。負荷センサ205Aは位置1に到達する前に上述した範囲の値を出力し、位置1に到達した後に0を出力するものとする。位置センサ206Aは到着前に、毎回異なる値で出力されるものとし、ジョイント32Aが移動していることを示す。到着後、位置センサ206Aは一定値を出力するものとし、ジョイント31Aが停止していることを示す。センサ206Bは金型33Bが停止していることを示す一定の値を出力するものとし、負荷センサ205Bは、ジョイント32Bに力が加わっていないことを示す値を出力するものとする。
システムコントローラ200が上述したようにセンサの状態を確認したことに応答して、システムコントローラ200は、アクチュエータ31Bがジョイント32Bを移動させて金型33Bを位置3から位置2へ搬送することを可能にする。例えばコンソール200のスイッチを介したオペレータの入力のトリガに応答して、アクチュエータ31Bはジョイント32Bの移動を開始する。アクチュエータ31Bが起動された後、センサ206Bは金型33Bが移動していることを示す毎回異なる値を出力するものとし、負荷センサ205Bは、上述した範囲の値を出力するものとする。
システムコントローラ200が上述したように、センサの状態が遷移したと判断した場合、システムコントローラ200は金型33Aが正しく搬送されていると判断し、搬送されない場合、システムコントローラ200は金型33Aまたは金型33Bが正しく搬送されていないと判断し、アクチュエータ31Aまたは31Bを停止し、上述したように警告を発する。
図13Dは金型33Bが位置3から位置2に移動している状況を示しており、一方、金型33Aが停止しているか、又はテーブル301A又は搬送機310Aから排出されていてもよい。この状況ではセンサ204が金型を検出することは想定されないが、センサ203は金型33Bを検出することが想定される。負荷センサ205Bは上述した範囲の値を出力するものとし、位置センサ206Bはその都度、異なる値を出力するものとし、ジョイント32Bが移動していることを示す。センサ206Aは金型33Aが停止していることを示す一定の値を出力するものとし、負荷センサ205Aは、ジョイント32Aに力が加わっていないことを示す値を出力するものとする。センサ203、204、205A、205B、206A、206Bの状態が図13Cの状態から図13Dの状態に遷移した場合、システムコントローラ200は金型33A、33Bが正しく搬送されていると判断し、搬送されない場合、システムコントローラは誤差が発生したと判断し、アクチュエータ31Aまたは31Bを停止し、上記と同じ警告を発する。
図13Eは金型33Bが位置2に到着する状況を示し、一方、金型33Aは依然として停止されているか、又はテーブル301Aから排出されている。この状況では、センサ203とセンサ204の両方が金型33Bを検出すると想定される。負荷センサ205Aは位置2に到達する前に上述した範囲の値を出力し、位置2に到達した後に0を出力するものとする。この位置センサ206Bは到達前に、毎回異なる値で出力されるものとし、ジョイント32Aが移動していることを示す。到着後、位置センサ206Bは、ジョイント31Bが停止していることを示す一定の値を出力するものとする。センサ206Aはジョイント31Aが停止していることを示す一定の値を出力するものとし、負荷センサ205Aは、ジョイント32Aに力が加わっていないことを示す値を出力するものとする。
システムコントローラ200が上述したように、センサの状態が遷移したと判断した場合、システムコントローラ200は金型33Bが正しく搬送されていると判断し、そうでない場合、システムコントローラ200は金型33Bまたは金型33Aが正しく搬送されていないと判断し、アクチュエータ31Bまたは31Aを停止し、上述したように警告を発する。
別の実施形態では、システムコントローラ200は、図13Cに例示されているような状態の代わりに、センサの状態が図13Bに例示されているようなものであると判断することに応答して、アクチュエータ31Bを始動することができる。これにより、金型を交換するのに必要な時間を短縮することができる。この場合、図13Cの状態は、図12Bの状況の後に現れなくてもよい。あるいは、両センサ203、204がそれぞれ金型33B、33Aを検出し、荷重センサ205Aが上記範囲の値を出力し、位置センサ206Aが金型33Aが移動していることを示す異なる値を毎回出力し、荷重センサ205Bが上記範囲の値を出力し、位置センサ206Bが金型33Bが移動していることを示す異なる値を毎回出力する状態(以下、状態C’−1)に遷移する。
C’−1では、センサ203もセンサ204も、金型を検出することは想定されていない。状態C’−1はジョイント32Aまたはジョイント32Bの速度、金型33Aおよび33Bのサイズ、および他の理由に応じて決定することができるので、状態C’−1の情報はメモリに記憶され、システムコントローラ200によって参照されて、搬送手順に誤差が発生したかどうかが確認される。
さらに別の実施形態では、システムコントローラ200が金型33Aが停止するのを待つ代わりに、センサ203もセンサ204も金型を検出しないという判断に応答して、アクチュエータ31Bを起動することができる。これにより、金型を交換するのに必要な時間を短縮することができる。また、この場合には、金型33A、33Bの大きさや他の構成要素、アクチュエータ31A、31Bの速度、センサ203、204の位置を基にした演算によって、金型が正しく搬送されたときの状態遷移がどのように予め定められているかを、パイロットランによって実験的に求めることもできる。この情報は、システムコントローラ200のメモリに記憶され、システムコントローラ200によって参照され、搬送手順にエラーが発生したかどうかが確認される。
図12A〜Eおよび図13A〜Eの両実施形態について、位置センサ206(または、位置センサ206Aおよび206B)によって検出された位置の情報は、ジョイント31(またはジョイント31Aおよび31B)が図12A〜12E(または、図13A〜13E)に示される状況のそれぞれにおいて正しい領域にあるかどうかを確認するために、システムコントローラ200によって使用され得る。システムコントローラ200は、それぞれの状況において、スライダ38の位置があるべき位置範囲の情報を有している。そして、システムコントローラ200はセンサ203〜206(又はセンサ203、204、205A、205B、206A、206B)からの情報及び出力を参照し、搬送手順に誤差が発生しているか否かを確認する。
<金型を移動させる構成のバリエーション>
金型(モールド)のための移動構成は、上述の機構に限定されない。図10A〜10Hは、金型を移動させるための構成のいくつかの変形例を示す。
図10Aは、モータ及びチェーンを使用する機構を示す図である。金型1A、1Bはリンクユニット5によってリンクされており、金型1A、1Bはフリーローラ6の上部にある。金型1A、1Bは、それぞれフリーローラ3A、3B、3C、3Dを通るチェーン4にリンクされている。チェーン4は、モータ2によって移動される。金型1A、1BをX軸方向の負方向または正方向のいずれかに移動させることができる。
この機構を使用することにより、単一の駆動源を使用することができるので、射出成形機のコストがより安価になる。さらに、モータ2は射出成形機100の下方に位置しており、射出成形機100のX方向の小型化を可能にしている。
任意の数のフリーローラを使用することができる。チェーン4はベルトであってもよい。モータ2の位置は、図10Aに示す位置に限らず、他のフリーローラ3A、3B、3C、3Dの位置とすることができる。図10Aでは、アクチュエータが金型の移動方向に対して移動しない。従って、射出成形機100の全体的な大きさはコンパクトなものとなる。
図10B1及び10B2はモータとカムを用いた機構であり、金型1A、1Bはリンクユニット5でリンクされ、金型1A、1Bはフリーローラ6の上にある。カム3は金型1A、1BをX軸方向に移動させるためのカム溝を含み、カム3はモータ2によって回転される。金型1Aは、回転体を含むレバー4に固定される。レバー4の回転体は、カム3のカム溝に挿入されている。モータ2が回転するとカム3が回転し、カム3のカム溝の回転に合わせてレバー4がX方向に移動する。これにより、金型1A、1Bを移動させることができる。
図10B−1は金型の位置を示し、図10B−2は金型の速度曲線を示す。高加速度の状態で金型が停止されると、大きな負荷が射出成形機100の種々の部分に衝撃を与え、これが損傷する可能性がある。カム機構を用いることにより、運動の開始時と終了時でより低い加速と減速を達成することができ、従って重い金型の慣性力を低減することができる。図10Bでは、カム3自体が金型の移動方向に対して移動しない。したがって、射出成形機100の大きさを小さくすることができる。
図10Cは、トグル機構を使用する機構を示す。金型1A、1Bはリンクユニット5によってリンクされており、金型1A、1Bはフリーローラ6の上部にある。金型1Aは、固定側の一方に固定されたトグル機構4にリンクされている。このトグル機構4はリンクユニット3によりアクチュエータ2と連動しており、アクチュエータ2がZ軸方向に上下する際に、トグル機構4をX軸方向に伸縮させることができ、金型1A,1BをX軸方向の正負方向に移動させることができる。
この機構を用いることにより、駆動源を1つだけとすることができ、射出成形機100のコストが安くなる。アクチュエータ2を垂直に設置することができるので、射出成形機100のサイズを小さくすることができる。アクチュエータ2は、エアシリンダ、油圧シリンダ、モータ、又は単軸ロボットを用いることができる。
図10Dは、直動型アクチュエータロッド型を用いた機構を示す図である。金型1A、1Bはリンクユニット5によってリンクされており、金型1A、1Bはフリーローラ6の上部にある。金型1A及びアクチュエータ2は、リンクユニット3を介してX軸方向に整列されている。アクチュエータ2が移動すると、金型1A、1BをX軸の正または負方向に移動させることができる。
この機構を用いることにより、駆動源を1つだけとすることができ、射出成形機100の機構を簡素化することができる。部品点数が少なくなれば、射出成形機100のコストは安くなる。アクチュエータ2は、ロッド型に限らず、スライド型アクチュエータ、エアシリンダ、油圧シリンダ、モータ、ボールねじ機構、単軸ロボット等を適用することができる。
図10Eは、直動型アクチュエータロッド型を用いた機構を示す図である。金型1A、1Bはリンクユニット5によってリンクされており、金型1A、1Bはフリーローラ6の上部にある。金型1Aは、金型1A、1BからZ軸方向のマイナス側に位置する直動型アクチュエータロッドタイプ2にリンクユニット3を介してリンクされている。直動式アクチュエータロッドタイプ2が動く場合、金型1A、1BをX軸の正負方向に動かすことができる。
この機構を用いることにより、使用する1つの駆動源だけでなく、直動型アクチュエータロッドタイプ2を金型1A,1BからZ軸方向のマイナス側に配置することにより、射出成形機100のX軸方向の小型化が可能となる。アクチュエータ2は、ロッド型に限らず、スライド型、エアシリンダ、油圧シリンダ、モータ、ボールねじ機構、単軸ロボット等を適用することができる。
図10Fは、金型1A及び1Bを直接リンクさせない方法を示す。各金型1A、1Bはそれぞれパレット5A、5B上に固定されており、各パレット5A、5Bは、チェーン4にリンクされている。チェーン4は、フリーローラ3とモータ2とを通る。モータ2がチェーン4を動かすと、金型1A、1BをX軸の正負方向に動かすことができる。
この機構を用いることにより、使用する1つの駆動源だけでなく、モータ2を金型1A,1BからZ軸方向のマイナス側に配置することにより、射出成形機100のX軸方向の小型化が可能となる。
図10Gは、金型1A及び1Bを直接リンクさせない方法を示す図である。アクチュエータ2は、スライダ3A,3Bをそれぞれ個別に移動させることができる。各金型1A,1Bは、このスライダ3A,3Bにそれぞれ固定されている。アクチュエータ2が移動すると、金型1A、1BをX軸の正または負方向に移動させることができる。
この機構を用いることにより、使用される1つの駆動源に加えて、モータ2を金型1AからZ軸方向のマイナス側に配置することにより、射出成形機100のX軸方向の小型化が図られる。
図10Hは、金型にホイールを取り付ける図である。ホイール7は、金型1A、1Bの底部又は側面に取り付けられている。金型1A、1Bはリンクユニット5によってリンクされており、金型1A、1Bは、走行可能な表面を含むプレート6の上部にある。金型1Aは、リンクユニット3を介してX軸方向に金型に整列された直動型アクチュエータ2にリンクされている。直動式アクチュエータ2が動くと、金型1A、1BをX軸の正負方向に移動させることができる。ホイール7は、金型1A、1Bの移動に基づいて回転される。
図10Hにおける金型の詳細は、図14を参照して説明される。図14は、金型の底面図および側面図を示す。この金型は、射出成形機100の固定プラテンで固定される第1の部分1401と、射出成形機100の可動プラテンで可動となる第2の部分1402と、固定プラテンに直接接触するクランププレート1403と、可動プラテンに直接接触するクランププレート1404と、クランププレート1403の底面1405に固定される回動可能ホイール1450と、クランププレート1404の底面1406に固定される回動可能ホイール1460とを備える。クランププレート1403の底面1405は金型のX方向の端部1407および端部1409を有し、金型はそれに沿ってホイールとともに移動する。また、クランププレート1404は、X方向の終端1408および終端1410を有する。また、X方向は金型が搬入および搬出されるとき、底面1405または1406の長手方向であってもよい。
金型は、底面1405上に2つのホイール1451および1453、並びに、底面1406上に他の2つのホイール1462および1464を含む4つのホイールを有することができる。あるいは、金型が底面1405上に第1の行のホイールを含み、底面1406上に第2の行のホイールを含む2行のホイールを有することができる。ホイール1450および1460、またはホイールの行はクランププレート1403および1404に直接取り付けることができ、またはクランププレート1403および1404上に堅固に固定されたプレート上に固定することができる。ホイール1450および1460、またはホイールの行は、クランププレート1403および1404に着脱自在に取り付けられる底面取り付け具上に設けることもできる。アタッチメントは、上記実施形態の射出成形機100において、標準的な射出成形機で使用される金型の利用を可能にする。
ホイール1450および1460間の衝突とクランプとを回避するために、ホイール1450および1460は、固定および可動プラテンのクランプが金型をクランプする領域1411〜1414内に位置しない。クランプとの衝突を回避するために、ホイール1451は領域1411と一端1407との間である一端1407に近い位置に固定され、ホイール1453は領域1413と一端1409との間である他端1409に近い位置に固定される。ホイール1462は領域1412と一端1408との間で一端1408に近い位置に固定され、ホイール1464は領域1414と一端1410との間で他端1410に近い位置に固定される。あるいは、ホイール1451、1453、1462、または1464の代わりに複数のホイールを固定することもできる。加えて、1つ以上のホイールをエリア1411と1413との間のエリアに固定することができ、1つ以上のホイールをエリア1412と1414との間のエリアに固定することもできる。ホイールがアタッチメントに固定されている場合、これらのアタッチメントは、上記のようにホイールが固定される位置に固定される必要がある場合がある。
ホイールを有するアタッチメントは、アタッチメントをクランププレート1403または1404で堅固かつ着脱自在に固定するための固定機構を有することができる。
金型を支持するため、上述のホイールの幅は、クランププレート1403または1404の幅と同じであってもよく、またはクランププレート1403または1404の幅よりも大きくしてもよい。クランププレート1403上のホイール1450は底面1405の長手方向に延在する中心線から、固定プラテンから離れるYプラス方向に向かってシフトされ得る。クランププレート1404上のホイール1460は底面1406の長手方向に延在する中心線から、可動プラテンから離れるYネガ方向に向かってシフトされ得る。ホイール1450はクランププレート1403の内面1421から外方に突出することができ、ホイール1460は、クランププレート1404の内面1422から外方に突出することもできる。この構成により、クランププレートの幅を大きくすることなく、より広いホイールを採用することができ、プレート6上のホイール及びレール(後述する)の荷重を小さくすることができる。
ホイールが突出すると、支持構造をクランププレート1403および1404に固定して突出したホイールを支持することができ、支持構造も内面1421および1422から突出してホイールの両端を支持することができる。上述のアタッチメントは、両端を有するホイールをサポートするための突出サポート構造を有することもできる。ホイールの支持構造がはみ出しても、一端だけでホイールを支持できる。
プレート6(図10H)は、射出成形機100の一側面および外部に位置する第1の部分と、射出成形機100の内部に位置する第2の部分と、射出成形機100の他側面および外部に位置する第3の部分とを含む、3つの部分に分割することができる。第1、第2、及び第3の部分は、金型1A及び1Bにホイールが沿って移動するようにする表面を形成する。プレート6は、金型1A及び1Bのホイールを案内するために1つ以上のレールを含むことができる。
この機構を用いることにより、駆動源を1つだけとすることができる。さらに、ホイール7が金型に取り付けられているため、この機構は、上述したような多数のフリーローラを必要としない。これにより、この機構は射出成形機部品点数を削減できる。
射出成形システムは、図10Hにおいて、1つのアクチュエータ2のみを含む。しかしながら、射出成形システムは、2つの金型のための2つのアクチュエータをそれぞれ含むことができる。射出成形システムは、図10Hの2つの金型1A、1Bを含む。しかしながら、射出成形システムは、1つの金型のみを含むことができる。この場合、ホイール7は、金型の底面または側面に取り付けられる。別の実施形態では、ホイール7が金型の底面及び側面の両方に取り付けることができる。本明細書で使用される底面はプレート6に面する金型の表面を指し、本明細書で使用される側面は、プラテンに面する金型の表面を指す。
アクチュエータは、エアシリンダ、油圧シリンダ、モータ、または単軸ロボットであってもよい。アクチュエータが金型を移動させるための拡張または移動範囲とX軸方向の金型の移動範囲を重ねることによって、射出成形機100の全体のサイズを小さくすることができる。
上述の実施形態では、操作パネル101およびシステムコントローラ200が射出成形機100の片側に配置され得る。この構成により、成形部品が完成した後の工程を反対側で行いながら、オペレータが射出成形機関連の設定を実施したり、命令を出したり、メンテナンス作業を行ったりすることが容易になる。
上述した実施形態では、オペレータ側が排出側よりも長い構成とすることで、より容易なメンテナンス作業が可能となる。
上述の実施形態では、アクチュエータ側で金型の移動量を検出し、指定位置で金型用のセンサを使用することによって、金型が移動を正しく完了したかどうかを判定する判定方法が適用可能である。
本開示は例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示は開示された例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲はそのようなすべての修正および同等の構造および機能を包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
さらなる実施形態および利点は、(i)金型システムが操作効率を改善するために、オペレータ側および排出側を有すること、(ii)オペレータ側がより長く、メンテナンス操作を実行することがより容易であること、(iii)システムがセンサおよびアクチュエータの位置検出によって移動が完了したかどうかを判定し、その結果、ユーザに現在の状態をよりよく理解させること、および(iv)アクチュエータが射出成形機の下の位置に配置され、したがって、金型システムのサイズがコンパクトであることのうちの1つまたは複数を含むことができる。
いくつかの実施形態では、成形システムは、射出成形機の一方の側でユーザ操作を可能にする操作ユニットを含む射出成形機と、射出成形機の一方の側で射出成形機上でメンテナンス操作を行うメンテナンスユニットと、射出成形機の他方の側で射出成形機から部品を排出する排出部とを含む。
また、射出成形システムは、射出成形機を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムが射出成形機内の金型を切り替えることができるように、複数の金型をスライドさせるためのスライドシステムを含む。また、操作部は、射出成形機の指示を受け付けるユーザインタフェースを備えていてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、操作部は、スライド方式の指示を受け付けるユーザインタフェースを含む。
いくつかの実施態様において、射出成形機は自動的に機能する。
射出成形システムはまた、所定のユーザ操作および/または所定のユーザメンテナンス操作を受け入れることができる。
いくつかの実施形態では射出システムを過ぎる摺動システムおよび摺動システムの第1の部分が射出成形機の一方の側に位置し、摺動システムの第2の部分は射出成形機の他方の側に位置する。第1の部分の長さは、第2の部分の長さよりも長くすることができる。
他の実施形態では、メンテナンスユニットが射出成形機の金型を交換または修正するための操作を受け付ける。排出装置には、製品を搬送できるコンベアがある。
他の特徴は、(i)複数の金型が摺動できるようにスライダを含む摺動装置と、(ii)複数の金型を移動させるためのアクチュエータを含む摺動装置と、(iii)スライダの下に位置するアクチュエータと、(iv)スライダの領域の下に位置するアクチュエータと、(v)金型が摺動する領域の下に位置するアクチュエータとのうちの1つまたは複数を含むことができる。
さらなる実施形態において、射出成形システムは、射出成形機と、前記射出成形機を介して複数の金型を移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータが所定の移動を指示したか否かを検出する第1の検出部と、前記所定の地点に物体が存在するか否かを検出する第2の検出部と、前記第1の検出部及び前記第2の検出部からの検出結果に応じて第1の操作を行い、前記第1の検出部及び前記第2の検出部からの検出結果に応じて第2の操作を行うコントロールユニットと、を備え、前記第1の検出部は前記複数の金型が前記アクチュエータの指示により所定の移動を行ったことを検出することを特徴とする。
追加の実施形態は、(i)1つまたは複数のセンサを含む第2の検出部と、(ii)各金型が射出点で射出されることと、(ii)1つのセンサが射出点の一方の側に配置され、別のセンサが射出点の他方の側に配置されることと、(iii)2つのセンサが射出機の出口または入口の近くに配置されることと、(iv)2つのセンサが射出機の中心に配置されないことと、(v)第1の動作が射出動作を停止することと、(vi)第2の動作が射出機内の金型への射出を開始することと、(vii)第1の検出部がアクチュエータ命令によって所定の移動が操作されたことを検出することとのうちの1つまたは複数を含むことができる。