JP2718652B2 - 複数の金型を有する射出成形方法 - Google Patents

複数の金型を有する射出成形方法

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JP2718652B2
JP2718652B2 JP7219315A JP21931595A JP2718652B2 JP 2718652 B2 JP2718652 B2 JP 2718652B2 JP 7219315 A JP7219315 A JP 7219315A JP 21931595 A JP21931595 A JP 21931595A JP 2718652 B2 JP2718652 B2 JP 2718652B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の金型を有
し、これらを順次に昇温工程、射出成形工程、冷却工程
および成形品取り出し工程に移送して成形する射出成形
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックなどの射出成形において
は、射出成形機より射出成形された樹脂の冷却固化を、
その場所で行なって、固化した樹脂成形品を金型から取
り出し、同じ金型に対して次回の樹脂射出を行なう方式
を採ると、射出成形機は、樹脂が固化するまで次回の樹
脂の射出に用いることができないため、使用効率が悪
く、また、その間に射出成形機の出口通路の樹脂が固化
するなどの問題点が生じる。
【0003】そのため、複数の金型を用意し、射出成形
機により樹脂が射出された金型を、射出成形機から外し
て、別の場所へ移動し、そこで冷却固化する一方、射出
成形機では、直ちに、次の(別の)金型に樹脂を射出す
るという成形システムが提案されている(例えば、特開
昭58−173635号公報参照)。
【0004】このような成形システムの内、本出願人
は、射出成形機及び複数のプレス機を設け、射出成形機
により樹脂を射出し充填した金型を、複数のプレス機の
何れかに移動し、そこで、加圧するとともに、温度制御
の基で冷却するシステムを提案してある(特開昭61−
89019号公報)。
【0005】また、本出願人は、ガイドとその上を移動
するトラバーサ(以下、トラバース装置という)を用い
て、金型を射出成形工程よりガイドに沿って並設された
複数のプレス機の何れかに移送し、また、上記プレス機
より次の工程へ移送するように構成した成形システム
(例えば、特開昭61−89019号公報の第6図参
照)を提案してある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に、トラバース装置を用いて金型を移送するように構成
した成形システムの場合、金型は、射出成形工程からト
ラバース装置のガイドに沿った一定場所(以下、ベース
ポイントという)へ移送され、そのベースポイントから
何れかのプレス機へと移送される工程がとられる。この
際、金型を停滞させずに上記の成形システムを円滑に作
動させるためには、各金型を、一定時間(タクト)ごと
に規則正しく、次の工程へと送る必要がある。
【0007】しかしながら、上記のように構成された成
形システムにおいては、金型の個別の温度特性によっ
て、昇温装置への受け渡しの際に、金型温度にバラツキ
があると、昇温時間に長短を生じ、成形システムでのタ
クトを乱す虞があり、加えて、ベースポイントから各プ
レス機への距離が異なるため、金型がベースポイントか
ら各プレス機へ移送されるに要する時間にバラツキが生
じ、これが原因で、各プレス機への投入に際して、金型
に温度差が生じ、しかも、各プレス機で加圧冷却された
金型は、再び、トラバース装置を用いて、一定時間ごと
に次の工程へと移送されるため、金型を所定温度まで低
下させるには、各プレス機における加圧、冷却時間に長
短が生じる。
【0008】また、金型を各プレス機より次の成形品取
り出し工程へと移送する場合においても、金型が各プレ
ス機より次の工程へ移送されるのに要する時間が、移送
距離の相違で、各プレス機によって異なり、上記と同様
に、次の工程における工程時間に長短が生じる。
【0009】これに対処して、各プレス機における加
圧、冷却時間や、次の工程における工程時間を一定にす
ると、冷却装置に遅れて装填された金型は、次の工程へ
移送される際も遅れることになり、金型を一定時間(タ
クト)ごとに規則正しく送るという所期の計画が実現で
きず、成形システムの何れかの箇所で、金型の流れに滞
留が生じてしまう。
【0010】しかも、上述の成形システムでは、均一な
昇温や冷却ができず、成形品の精度にばらつきが生じて
しまう。そこで、これに対処して成形品の精度を保障す
るため、各金型ごとに温度制御を行なうと、各金型の温
度特性の差により、今度は、工程時間の長短が生じ、シ
ステムの円滑な流れを阻害し、生産性の低下を招くので
ある。
【0011】本発明は、このような事情に基づいてなさ
れたもので、複数の金型を用いて成形品を成形するの
に、射出機やプレス機での金型の滞留時間が異なって
も、所要の温度まで昇温、あるいは、冷却するが、全体
として、成形システムの円滑な流れ(一定タスク)を達
成し、しかも、均一かつ高精度な成形品を得ることがで
きる成形方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
複数の金型を有し、これらを順次に昇温工程、射出成形
工程、冷却工程および成形品取り出し工程に移送して成
形する射出成形方法において、前記昇温工程、前記昇温
工程から前記射出成形工程への金型の移送、および、前
記冷却工程における、各金型温度を測定すると共に、そ
の測定温度を予め決められた温度にするまでの各時間を
計測し、前記時間を予め決めた設定時間と比較して、前
記各時間情報として保持し、その各時間情報に基づい
て、その後の前記射出成形工程から冷却工程への、ま
た、前記冷却工程から成形品取り出し工程への、各金型
移送における移送速度または待ち時間の制御を行うよう
にしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の成
形システムの全体的構成図である。ここでは、以下に述
べる工程を繰り返すことで、連続的で、生産性の高い成
形を達成する。
【0014】即ち、本実施の形態での成形システム25
の全体構成は、A:昇温工程、B:射出成形工程、C:
加圧冷却工程、D:成形品取出工程の4工程からなり、
昇温工程Aと射出成形工程Bとの間は、コロを用いた金
型移送路1で接続され、射出成形工程Bと加圧冷却工程
Cとの間は、コロを用いた金型移送路5およびNCトラ
バース装置2で接続され、また、加圧冷却工程Cと成形
品取出工程Dとの間は、NCトラバース装置2で接続さ
れている。
【0015】さらに、NCトラバース装置2には、トラ
バース装置制御部22が接続されており、トラバース装
置制御部22は中央制御盤17と接続されている。な
お、中央制御盤17は本成形システムの他の装置とも接
続されている(その配線は省略する)。
【0016】次に本成形システム25の各装置について
説明する。昇温工程Aにおいては、射出成形工程Bより
もより長い時間を必要とするため、2個の昇温装置6を
設け、一方の装置において金型の昇温を行なっている最
中に、他方の装置でも同様に他の金型の昇温を行なうこ
とができるように構成されている。各昇温装置6の前に
はコロを用いた方向変換機23が設けられ、一方の昇温
装置6に金型を搬入した後、方向変換機23を90度回
転させて、他方の昇温装置6から金型を搬出させること
により、成形品取出装置15より送られてきた金型を昇
温装置6内へ、また、昇温装置6内の金型を射出成形機
7へと送ることができる。なお、方向変換機23のコロ
は、内蔵した駆動源(図示せず)により、回転駆動され
る構成になっている。また、成形品取出装置15と方向
変換機23との間、方向変換機23と昇温装置6との
間、および、方向変換機23相互の間は、コロを用いた
移送路24で接続され、このコロも、上記同様に、内蔵
した駆動源(図示せず)によって回転駆動される構成に
なっている。
【0017】このような昇温装置6においては、装置の
炉内に金型が搬入された後、その金型に温度センサー
(図示せず)が接続され、ヒータ板(図示せず)によ
り、金型が加熱される。所定温度まで加熱された後、温
度センサーが金型から離脱され、金型が炉外へ搬出され
る。
【0018】本実施の形態では、特に、前回、加圧冷却
工程C(後述する)において、80℃まで冷却された金
型を、昇温工程Aにおいて、100℃まで60秒間で昇
温するように、制御システムが設定されている。昇温工
程Aと射出成形工程Bとの間は、金型移送路1ならびに
90度反転装置3aで接続され、金型移送路1は、その
途中で直角に曲がった部分に、エレベータ26を装備し
ており、金型移送方向に並べられたコロを、そこに内蔵
した駆動源(図示せず)により、回転駆動して、コロの
上に載置された金型を移送方向に移動させる。
【0019】上記方向変換機23から、金型移送路1を
経て、エレベータ26に移送された金型は、ここで、そ
の向きを変えずに、移動方向だけを90度だけ変えて、
その向きのまま、90度反転装置3aへと進むことがで
きる。90度反転装置3aは、射出部7aが横方向に設
けられた射出成形機7に対抗して、金型のランナー部を
横方向とするために、金型を90度、反転させるもので
あって、この90度反転装置3aを通過した後、金型
は、射出成形機7の前方の金型待機位置4に移送され、
この金型待機位置4において、温度センサ(図示せず)
により、その金型温度を計測される。
【0020】既に、昇温工程Aにおいて100℃まで昇
温された金型は、その後、金型内の熱伝導によりさらに
昇温され、金型温度が所定の成形温度120℃に昇温し
た時点で射出成形機7内に搬入され、樹脂の射出成形を
受ける。なお、本実施の形態では、昇温工程Aを終了し
てから、射出成形機7前の待機場所4にて、成形温度1
20℃に昇温するまでの設定時間は、120秒とされて
いる。
【0021】射出成形工程Bにおいて、金型が射出成形
機7に搬入されると、成形機7のダイセットの型締が行
なわれ、220℃の樹脂が金型に射出された後、一定時
間に亘って保圧され、次いで、ダイセットの型開が行な
われた後、金型は、閉じたまま、搬出されて、90°反
転装置3bへ送られる。なお、射出成形機7には、金型
を射出充填するのに必要な温度に調整するための温調機
8が設けられている。
【0022】そして、本実施の形態では、金型が射出成
形機7に搬入された後、射出成形機7より搬出されて、
NCトラバース装置2(後述するベースポイント13の
地点)に至るまでに要する時間が、60秒となるように
設定されている。なお、90度反転装置3bは、射出成
形機7の後方に配置されており、ここで射出が終った金
型のランナー部が上方向に復帰される。
【0023】90度反転装置3a、3bにより、射出成
形工程Bでは、金型が、そのランナー部を横にした状態
で移送路上を流れ、加圧冷却工程C、取出工程D、昇温
工程Aにおいては、そのランナー部を上にした状態で移
送路上を流れる。なお、射出成形機の射出が下方向に向
けてなされるように構成した場合、または、金型が加圧
冷却工程C、取出工程D、昇温工程Aのいずれにおいて
も、そのランナー部を横方向にした状態で処理される場
合には、90°反転装置3a、3bは不要である。
【0024】金型移送路5は、90度反転装置3bを経
た金型を、NCトラバース装置2のベースポイント13
(NCトラバース装置2が金型を受け取る地点)へ移送
するために装備されたもので、金型移送路1と同様に、
移送方向に並べられたコロが、そこに内蔵された駆動源
(図示せず)により回転し、コロの上に載置された金型
を移動することができる。
【0025】NCトラバース装置2は、本実施の形態で
は、2本のガイドレール9およびその上を移動するトラ
バーサ10により構成されており、トラバーサ10は左
右一対の投入コンベア11、取出コンベア12により構
成されている。投入コンベア11は、そこに内蔵された
駆動源(図示せず)により作動し、金型を、図1におけ
る下方向から取入れて、コンベア内に載置し、また、上
方向へ送出することができるもので、金型をベースポイ
ント13から各プレス機18へ移送する際に用いられ
る。取出コンベア12は、そこに内蔵された駆動源(図
示せず)により作動し、金型を、図1における上方向か
ら取り入れ、コンベア内に載置し、また、下方向へ送り
出すことができるもので、金型を各プレス機18から成
形品取出装置15へ移送する際に用いられる。
【0026】本実施の形態では、NCトラバース装置2
は、これを用いて、金型がベースポイント13より各プ
レスユニット18に至るまでに要する時間が30秒、ま
た、各プレスユニット18より成形品取出装置15に至
るまでに要する時間が30秒となるように、その移送速
度が設定されている。
【0027】加圧冷却工程は、8つのプレスユニット1
8(No.I〜No.VIII)を備えており、各プレスユ
ニット18)は、NCトラバース装置2のレール9に並
設されている。また、各プレスユニットは、トラバーサ
10が移動して、各プレスユニット18の前にきた時、
トラバーサ10と各プレスユニット18の移送路14と
の間で金型のやりとりができるように、レール9より所
定距離離れて、設けられている。また、移送路14は、
そこに内蔵された駆動源(図示せず)により作動し、そ
の上に載置された金型を移送することができる。
【0028】プレスユニット18は、上下一対の再プレ
ス冷却ダイセットを有しており、それぞれのダイセット
の中には、冷媒を流すための管路が、冷却媒体供給手段
の管路62a、62bと接続された状態で、配設されて
いる(図示せず)。そして、それぞれのダイセットの管
路を流れる冷媒の流量は、中央制御盤17およびトラバ
ース装置制御部22の指令のもとに、固定側用温調機1
9および可動側用温調機20により調整される。
【0029】金型が上下一対の再プレス冷却ダイセット
の中に挿入されると、金型に温度センサーが接続され、
上下のダイセットは相対的に移動して、金型を加圧接触
し、ダイセット内の管路を流れる冷媒によって、金型を
冷却する。なお、金型の冷却には、所定の温度勾配を得
るように、管路内の冷媒の流速または温度を変化させる
などの制御を伴って行なう。これにより、成形品の冷却
時に発生する収縮歪みおよび内部応力歪みを最少限に押
えることができる。
【0030】本加圧冷却工程Cにおいて、金型は温度セ
ンサーにより計測されながら120℃より80℃に達す
るまで冷却される。金型が所定温度に冷却されると、温
度センサーを金型から離脱し、ダイセットを相対的に開
き、金型を、移送路14を至てトラバーサ10の取出コ
ンベア12に移送する。
【0031】本実施の形態では、加圧冷却工程Cに要す
る時間、即ち、金型がプレスユニット18の移送路14
に搬入され、その後に冷却を終り、移送路14を出て行
くまでに要する時間が、480秒となるように、設定さ
れている。成形品取出工程Dは、本実施の形態では、図
1におけるNCトラバース装置2の右端下方部に設置さ
れており、その位置に成形品取出装置15および装置1
5の右側にストッカー21を据付けた構成になってい
る。トラバーサ10が移動して、成形品取出装置15の
前にきた時、トラバーサ10の取出コンベア12と成形
品取出装置15の移送路16との間で、金型の授受がで
きるように、取出装置15はレール9より所定距離離れ
て、設けられている。
【0032】そして、金型がトラバーサ10により移送
路16を経て、成形品取出装置15に装着されると、金
型に設けられた開き止め機構が解除され、金型の型開き
が行なわれ、成形品突出し棒により、成形品が金型から
突出され、ストッカー21に貯蔵される。成形品が取出
された金型は型締され、開止めがロックされ、昇温工程
Aへ移送される(図示せず)。
【0033】本実施の形態では、取出工程Dに要する時
間、即ち、金型が取出装置15の移送路16に搬入さ
れ、その後、成形品が取り出された金型が昇温工程Aに
移動するまでに要する時間が、60秒となるように、設
定されている。また、プレスユニット18で加圧冷却さ
れ、成形が完了した成形品の取出しは、プレスユニット
上で行なわず、上述のように、別の位置に設けられた成
形品取出装置15により集中して行なう。これは、プレ
スユニット18上に取出装置を設けると、プレスユニッ
トの構造が複雑、大型化し、また、各プレスユニット1
8に取出装置を設けなければならないため、プレスユニ
ット群No.I〜No.VIIIの占める占有面積が大きく
なり、更に、取出工程の管理も複雑になるという問題が
生じるからで、本実施の形態では、取出作業を1ヶ所で
行なうことにより、上記問題点を解消している。
【0034】トラバース装置制御部22は、NCトラバ
ース装置2の動作などを、定まったプログラムに従って
指令するものであり、中央制御盤17の指令のもとに、
NCトラバース装置2を制御し、トラバーサ10の待
機、速度調整を行うことができる。また、中央制御盤1
7は、本成形システム25の各装置へ、各装置の制御部
(図示せず)を介して、接続されており、本成形システ
ム25を、全体として制御する。
【0035】なお、本システム25には、システムを流
れる金型が所定の位置にあるか否かを検知するために、
その所定の位置にセンサーが設けられている。即ち、移
送路5のベースポイント地点、トラバーサ10の投入コ
ンベア11および取出コンベア12内、各プレスユニッ
ト18(No.I〜No.VIII)内の金型が装着される
部分、あるいは、成形品取出装置15内の金型が装着さ
れる部分には、マイクロスイッチなどが設けられてい
て、金型が所定の位置にあるか否かを検知することがで
きるように構成されている。
【0036】次に、本実施の形態に係る成形システムに
おける金型の配置、流れについて、図2を参照しながら
説明する。ただし、これは、各工程において金型が設定
時間通りに移送されるように、制御された場合のもので
ある。図2は金型のタイムチャートであり、横軸にタイ
ムを1分=1タイムとして示し、各金型のタイムの進行
に伴う成形システムでの位置を示している。
【0037】ここでは、射出成形工程および金型のベー
スポイントへの移送に要する時間である1分を基本時間
とし、射出成形工程で1分ごとに樹脂が金型に射出され
るように、各金型を1分ずつの遅れで、システム内に流
すように設計されている。また、本実施の形態では、昇
温工程および金型の射出成形機への移送に計3分、射出
成形工程および金型のベースポイントへの移送に1分、
NCトラバース装置2での目的プレスユニットへの金型
の移送に0.5分、加圧冷却工程に8分、NCトラバー
ス装置2での取出装置15への金型の移送に0.5分、
取出工程に1分を与えるように、設定されているため、
合計の14分が、金型が成形サイクルを1巡するのに要
する時間であり、従って、14÷1=14個の金型を、
システム内に配置する必要がある。
【0038】図1には、このタイム14の時点における
14個の金型a〜nのそれぞれの位置が示してある。図
2に示すように、この状態よりタイム15の時点に時間
が進むと、金型a〜nはそれぞれ進行し、例えば、金型
aは金型nの位置に、金型nは金型fの位置に、金型f
は金型eの位置へ戻る。更に、時間がタイム16の時点
となると、例えば、金型aは金型nの位置よりプレスユ
ニットVII の位置に至る。
【0039】ところで、実際の成形システムにおいて
は、金型の移送を上記のタイムチャート通りに行なう
と、各金型の温度特性の違いにより、金型温度にバラツ
キが生じ、成形条件範囲を外れてしまい、高精度な成形
が望めない。また、金型温度を目標値まで冷却、昇温す
る方式を採用すると、高精度な成形が可能となるが、各
工程時間に過不足を生じ、円滑なシステムの流れを阻害
し、量産性を著しく悪化させることになる。
【0040】そこで、本実施の形態においては、金型温
度が各工程における目標値に達するまで、その工程での
冷却、昇温を終了しないこととし、そのために、各工程
における設定時間を超過したり或いは不足したりして生
じる時間の誤差を、NCトラバース装置2によって、金
型移送の際の待ち時間調整で、制御したり、或いは、移
送速度調整で制御して、システム全体における金型の移
送に、滞留を生じないようにしてある。
【0041】上記のように、金型の移送を、待ち時間調
整で制御したり、或いは、移送速度調整で制御するか否
かの条件判断は、次の3通りの場合について行なうこと
ができる。即ち、第1に、昇温工程Aにおいて、金型
を、その当初の80℃から目標値の100℃まで昇温す
る昇温時間が、設定時間60秒に対して、過不足を生じ
るか否かである。設定時間より昇温時間が長くなった場
合(この時に生じる遅延時間をTh で示す)、ベースポ
イント13から各プレスユニット18までの金型の移送
速度(VBPで示す)を速めることにより調整する。ま
た、設定時間より昇温時間が短い場合、NCトラバース
装置2により移送された金型温度を、各プレスユニット
18前にて待ち時間(T1 で示す)を付加することによ
り調整する。
【0042】第2に、金型が昇温工程Aから射出成形工
程間の金型の移送、即ち、金型が昇温工程Aから搬出さ
れて、射出成形機7前の待機場所4に至った時点で、金
型温度が目標値120℃に昇温するまでの昇温時間が、
設定時間120秒に対して、過不足が生じるか否かであ
る。この場合も、上記と同様に、ベースポイント13か
ら各プレスユニット18までの金型の移送待ち時間の制
御、移送速度制御により、設定時間の過不足を調整する
ことができる(この場合に生じる遅延時間をTn で示
し、移送待ち時間をT1 で示す)。
【0043】第3に、加圧冷却工程Cにおいて、金型温
度が120℃から目標値の80℃に達するまでの設定時
間が、480秒に対して、過不足が生じるか否かであ
る。設定時間を超過した場合(このとき生じる遅延時間
をTp で示す)、各プレスユニット18から成形品取出
装置15までの金型の移送速度(VPTで示す)を調整
し、また、設定時間が不足した場合、トラバース装置の
制御部22にて、移送された金型の温度を、成形品取出
装置15前にて待ち時間(T2 で示す)を付加すること
により調整する。
【0044】次に、本実施の形態に係る成形システムの
NCトラバース装置の動作について図1のシステム図、
図3〜図5のブロック図を参考にしながら、各管理フロ
ー別のフローチャートを示す図6〜図12について説明
する。本システムを作動するに当たり、中央制御盤17
に各種の初期設定値を記憶する。図3において、各プレ
スユニット18(No.I〜No.VIII)とベースポイ
ント13間の移送時間TBPの設定(B1)、トラバーサ
10の移送速度Vの設定(B2)、各プレスユニット1
8から取出装置15間の移送時間TPTの設定(B3)、
各プレスユニットとベースポイント13との距離Lx
設定(B4)、各プレスユニットと取出装置との距離L
y の設定(B5)をそれぞれ行ない、また、中央制御盤
17のメモリーMに、前記設定値B1〜B5を記録す
る。また、メモリーMには、後述する昇温工程における
設定時間(t1 )、昇温から射出成形工程間の設定時間
(t2 )、加圧冷却工程における設定時間(t3 )が記
憶される。
【0045】まず、成形品取出工程Dにおいて成形品が
取出され空にされた金型を、図6に示す昇温工程Aの金
型移送管理フローチャートにおいて、昇温装置6内に搬
入(Sal)した後、温度センサーを金型に接続(Sa
2)して、金型温度を計測しながら昇温を開始し、同時
に、昇温時間の計測を開始する(Sa3、4、5)。金
型温度は、温度センサーからの信号を温度測定手段40
で読み取ることで捕捉できる。昇温時間の計測は、第1
の時間計測手段T1 により行なわれる。昇温は金型が目
標値100℃に達するまで行ない(Sa6)、この目標
値に達した時点で終了する。そして、昇温時間計測タイ
マーを切り(Sa7)、時間の信号を時間計測手段T1
により、出力し、温度センサーを金型から離脱する(S
a8)。
【0046】このとき、中央制御盤17において、計測
された昇温時間(計測昇温時間と称する、以下同様)と
設定された昇温時間(設定昇温時間t1 、以下同様)と
の比較が、第1の比較手段42によって行なわれ(Sa
9)、計測時間T1 が設定時間t1 より短い場合、図9
に示す工程にて、トラバーサ10の待ち時間制御が行な
われる(以下、後述する)。
【0047】また、計測昇温時間が設定昇温時間より長
いか等しい場合、計測昇温時間から設定昇温時間を引い
た遅延時間Th の演算が、第1の計算手段43により行
なわれ(Sa10)、この遅延時間Th が中央制御盤1
7に記録され(Sa11)、しかる後、図10に示す工
程にてベースポイント13からプレスユニット18ま
で、トラバーサ10の速度制御が行なわれる(以下、後
述する)。
【0048】次に、図7に示す昇温工程Aから射出成形
工程間の金型の移送管理フローチャートにおいて、昇温
工程Aにおける金型の昇温終了(Sb1)後、昇温工程
Aから射出成形工程までの間の金型の移送工程時間計測
を、第2の時間計測手段T2によって開始し(Sb
2)、射出成形機7前の待機場所4へ金型を移送する
(Sb3)。しかる後、この待機場所4において、金型
に温度センサーを接続し(Sb4)、この金型の温度を
第2の温度測定手段44によって計測する。
【0049】昇温工程Aを出た金型は、射出成形機7前
の待機場所4に至るまでに金型内の熱伝導により、さら
に昇温される。そこで、上記金型の温度計測により、金
型温度が成形下限温度と成形上限温度との間にまで達し
た時点(Sb5)で、第2の温度測定手段44の測定信
号に基づいて、成形準備完了信号が中央制御盤17から
発せられる(Sb6)と、第2の時間計測手段T2 がO
FFされる(Sb7)。 しかる後、金型温度センサー
が金型から離脱される(Sb8)。このとき、中央制御
盤17において、第2の時間計測手段T2 の計測時間
(T2 )と設定時間(t2 )との比較が、第2の比較手
段46によって行なわれる(Sb9)。計測時間
(T2 )が設定時間(t2 )より短い場合、図9に示す
行程にて、トラバーサ10の待ち時間制御が行なわれる
(以下、後述する)。また、計測時間が設定時間より長
いか、または、等しい場合、計測時間から設定時間を引
いた遅延時間Ti の演算が、第2の計算手段48によっ
て行なわれる(Sb10)。そして、この遅延時間Ti
の記録が中央制御盤17に成され(Sb11)、しかる
後、図10に示す行程にて、ベースポイント13からプ
レスユニット18までトラバーサ10の速度制御が行な
われる(以下、後述する)。
【0050】さらに、図8に示す加圧冷却工程における
管理フローチャートにおいては、プレスユニット18に
搬入(Sc1)された金型に温度センサーを接続した
(Sc2)後、第3の温度測定手段50が作動を開始し
て、加圧冷却工程が開始される(Sc3)。そして、同
時に、冷却行程に要した時間の計測が、第3の時間計測
手段52によって開始される(Sc4)。冷却は、所定
の温度勾配で制御しながら行ない(Sc5)、金型温度
が目標温度80℃より低い温度に達した時点(Sc6)
で、第3の温度測定手段50の測定信号によって終了す
る。そして、第3の時間計測手段52がOFFされ(S
c7)、温度センサーが金型から離脱される(Sc
8)。このとき、中央制御盤17において、第3の時間
計測手段52の計測時間と中央制御盤17の記憶された
設定時間(t3 )との比較が、第3の比較手段54によ
って成され(Sc9)、計測時間が設定時間より短い場
合、図11に示す行程にて、トラバーサ10の待ち時間
制御が行なわれる(以下、後述する)。また、計測時間
が設定時間より長いか等しい場合、計測時間より設定時
間を引いた、冷却工程での遅延時間TP の演算が、第3
の計算手段56により行なわれ(Sc10)、この遅延
時間TP が中央制御盤17に記録され(Sc11)、し
かる後、図12に示す行程にてプレスユニット18から
取出装置15までトラバーサ10の速度制御が行なわれ
る(以下、後述する)。
【0051】図9に示す行程では、まず、トラバーサ1
0が取出装置15へ金型を搬出した後、ベースポイント
13へ戻り、投入コンベア11が移送路5と一致した状
態で停止する。そして、トラバース装置制御部22の指
令により、取出コンベア12内に設けられたセンサーS
1 の出力を検出し、これにより、取出コンベア12内に
金型が有るか否かを確認し(S01)、確認信号S1
出力する。そして、投入コンベア11内に設けられたセ
ンサ−S2 の出力により、投入コンベア11内に金型が
有るか否かを確認し(S02)、確認信号S2 を出力
し、更に、センサーS3 の出力により、投入コンベア前
の金型移送路5の上に金型が有るか否かを確認し(S0
3)、確認信号S3 を出力する。
【0052】そして、移送路5の上に金型が有ることを
確認すると、図4に示すセンサーS1 、S2 、S3 の信
号を、判別ロジック回路a1に入力し、該回路a1から
の信号によってコンベアー作動手段60を出力し、これ
によって、投入コンベア11を作動させ(S04)、金
型を投入コンベア11内に載置する。
【0053】また、投入コンベア内に金型が有ることを
センサーS2 により確認して(S05)、次に、トラバ
ーサ10が到達すべきプレスユニットNo.を、プレス
ユニット選択手段58により選択する(S06)。な
お、加圧冷却工程Cの各プレス機(I〜VIII)には、冷
却媒体を流通する配管62a、62bが設けられてお
り、冷却媒体供給手段62から通路62a、62bを経
て、冷却媒体が供給されている。また、中央制御盤17
では、成形品の樹脂材料、形状、仕上げ精度に応じた冷
却温度を示す設定(曲線)情報がメモリーMに入力され
ている。
【0054】各プレス機には、金型の冷却温度を測定す
るセンサーD1 〜D8 と、各金型が各プレス機に挿入さ
れて加圧冷却を開始してからの冷却時間を計測する手段
1〜P8 が設けられている。前記センサーD1 〜D8
の信号および計測手段P1 〜P8 の信号は、中央制御盤
17にて、各メモリーに入力する。中央制御盤17内で
は、その内に設けた比較手段64によって、各金型から
の温度と冷却時間の情報を、予め設定入力してある設定
情報に比較し、この比較手段64の比較信号を冷却媒体
の温度を調整する温度調整手段66に送る。そして、温
度調整手段66では、比較手段64の信号に基づいて、
各プレス機に供給する媒体の温度を調整する。
【0055】中央制御盤17は、各プレス機からの各金
型の冷却時間と冷却温度の情報を入力して、加圧冷却の
終了する金型を判別する判別手段68を備えている。該
判別手段68は、図5に示すように、各プレス機からの
前記情報(CP1 、CP2 …CP8 )と、メモリーに入
力された基準となる情報CP0 とを、比較手段(n1
8 )に入力し、プレス機からの情報が冷却終了を示す
値に達したときに、比較信号n1 〜n8 を出力し、検出
手段70によって、この比較信号の有無を検出すること
で、どの金型が加圧冷却作用を終了したかを判別する。
【0056】中央制御盤17は、前記検出手段70の検
出信号70aをトラバース装置制御部22に入力する。
該トラバース装置制御部22は、検出信号70aの信号
を受けて、ベースポイント13に在るトラバーサ10の
駆動手段72を駆動し、トラバーサ10を作動させる。
【0057】加圧冷却作用の終了した金型を収容したプ
レス機では、前記比較信号n1 〜n8 の出力に応じて、
終了信号発生手段74から終了信号m1 〜m8 を出力す
る。トラバーサ10は、駆動手段72によって駆動さ
れ、終了信号発生手段によって出力を受けた、当該金型
を収容するために停止する。この停止位置で、トラバー
サ10は待機する(S07・S08)。この待ち時間T
1 は、中央制御盤17の第1の待ち時間計算手段B9に
おいて、 T1 =TBP−Lx /V (図3、B9) の式より演算され(S09)、トラバース装置制御部2
2に入力される。そして、このトラバース装置制御部2
2の指令により、トラバーサ10を待ち時間T1だけ待
機させる(S10)のである。
【0058】所定時間、トラバーサ10を待機させた
後、取出コンベア12を作動させ、金型をプレスユニッ
ト18から取出コンベア12へ移す(S12)。そし
て、取出コンベア12内に金型が有ることを確認して
(S13)、次に、トラバーサ10の投入コンベア11
が、金型の取り出されたプレスユニット18の移送路1
4と一致するように、トラバーサ10をわずかに移動さ
せる(S14、S15)。
【0059】そして、投入コンベア11を作動させて
(S16)、プレスユニット18内へ金型を送り、プレ
スユニット18内に金型が有ることをセンサーにより確
認する(S17)。次いで、この冷却行程において、計
測時間が設定時間と等しいか否かにより図11に示す行
程に至るか、図12に示す行程に至るかを、中央制御盤
17より指令する(S18)。即ち、冷却行程に上記演
算による遅延時間Tp が生じなかった場合、図11に示
す行程に至り、遅延時間Tp が生じた場合、図12に示
す行程に至る。
【0060】図10に示す行程では、トラバーサ10が
ベースポイントへ戻ると、取出コンベア12内に金型が
有るか(S41)、投入コンベア11内に金型が有るか
(S42)、投入コンベア11前に金型が有るか(S4
3)を判断し、S44へ至って投入コンベア11を作動
させて、金型を投入コンベア内に載置するのである(S
45)。
【0061】そして、待ち時間制御の場合と同様、トラ
バーサ10が、次に到達すべきプレスユニットNo.を
選択する(S46)。プレスユニットNo.の選択と同
時に、トラバーサ10の速度を設定して、トラバーサ1
0に指令する(S47)。このトラバーサ10の移送速
度VBPは、中央制御盤17の第1の速度計算手段B11
において、 VBP=Lx /(TBP−Th −Ti ) (図3、B11) の式で演算され、この移送速度VBPがトラバース装置制
御部22に入力される。そして、このトラバース装置制
御部22の指令により、トラバーサ10を移送するので
ある。
【0062】指令された速度により、トラバーサ10
が、選択されたプレスユニットへ移動し(S48)、取
出コンベア12がプレスユニット18の移送路14と一
致した状態で停止し(S49)、停止すると同時に、取
出コンベア12が作動して、金型をプレスユニット18
より取出コンベア12へ移し(S51)、次に、トラバ
ーサ10をわずかに移動させ、投入コンベア11を移送
路14に一致させて(S52、S53)、投入コンベア
11内の金型をプレスユニットに移す(S54、S5
5)。次いで、この加圧冷却行程において、計測時間が
設定時間と等しいか否かにより図11に示す行程に至る
か、図12に示す行程に至るかを中央制御盤17より指
令する(S56)。即ち、冷却行程に上記演算による遅
延時間TP が生じなかった場合、図11に示す行程に至
り、遅延時間TP が生じた場合、図12に示す行程に至
る。
【0063】図11に示す行程においては、プレスユニ
ット18内に金型が有ることを確認すると、トラバーサ
10を成形品取出装置15へ移動させ、取出コンベア1
2が成形品取出装置15の移送路16と一致した状態で
停止させるのである(S19、20)。そして、その位
置で、トラバース装置制御部22の指令により、所定時
間トラバーサ10を待たせておく(S22)。この待ち
時間T2 は、中央制御盤17の第2の待ち時間計算手段
B10において、 T2 =TPT−Ly /V (図3、B10) の式から演算され(S21)、この待ち時間T2 が、ト
ラバース装置制御部22に入力され、このトラバース装
置制御部22の指令により、トラバーサ10を成形品取
出装置15前にて、待ち時間T2 だけ待機させる(S2
3)。
【0064】所定時間待機させた後、取出コンベア12
を作動させ、金型を取出コンベア12より成形品取出装
置15へ移す(S24)。そして、成形品取出装置15
内に金型が有ることを確認して(S25)、トラバーサ
10をベースポイント13へ送り、投入コンベア11が
移送路5と一致した状態でトラバーサ10を停止させる
(S26,S27)。次いで、昇温行程において計測昇
温時間が設定昇温時間と等しくかつ、昇温行程から射出
成形工程に至る金型の移送工程において計測時間が設定
時間と等しい場合、図9に示す行程に至り、そうでない
場合、図10に示す行程に至るかを中央制御盤17より
指令する(S28)。
【0065】図12に示す行程においては、トラバーサ
10のプレスユニット18から成形品取出装置15まで
の移送速度VPTの設定が、中央制御盤17の第2の速度
計算手段B12において、 VPT=Ly /(TPT−TP ) (図3、B12) の演算により行なわれ(S57)、この移送速度VPT
トラバース装置制御部22に入力され、このトラバース
装置制御部22の指令によりトラバーサ10をプレスユ
ニット18から成形品取出装置15まで移送速度VPT
移送する。
【0066】そして、指令された速度により、トラバー
サ10が取出装置15へ移動し(S58)、取出コンベ
ア12が取出装置15の移送路16と一致した状態で停
止し(S59)、取出装置15が作業中でないことを確
認し、停止すると同時に、取出コンベア12が作動し
て、金型を取出コンベア12より取出装置15へと移す
(S60、61)。
【0067】投入コンベア11、取出コンベア12がと
も空になったトラバーサ10は、ベースポイント13へ
戻り(S62)、投入コンベア11がベースポイント1
3へと一致した状態で停止する(S63)。次いで、昇
温行程において、その計測昇温時間が設定昇温時間と等
しく、かつ、昇温行程から射出成形工程に至る金型の移
送工程において、計測時間が設定時間と等しい場合、図
9に示す行程に至り、そうでない場合、図10に示す行
程に至るかを、中央制御盤17より指令する(S6
4)。
【0068】なお、以上の実施の形態では、トラバース
装置は、レールおよびトラバーサより構成されている
が、このトラバース装置は、レールを設けずに、案内装
置などを用いて、平らな路面の上にトラバーサを移動さ
せるなど、他にも種々の形式が考えられるものである。
また、トラバーサ装置は金型の直線的な移動のみなら
ず、円弧など他の種々の形態で、プレスユニットを並
べ、その形態に沿って、金型を移動させる場合にも用い
得るものである。さらに、以上の実施の形態では、昇温
装置はヒーター板による加熱方式としたが、こRの昇温
装置としては、恒温槽などを用いる他の種々の形式が考
えられる。
【0069】
【発明の効果】本発明は、以上詳述したようになり、複
数の金型を有し、これらを順次に昇温工程、射出成形工
程、冷却工程および成形品取り出し工程に移送して成形
する射出成形方法において、前記昇温工程、前記昇温工
程から前記射出成形工程への金型の移送、および、前記
冷却工程における、各金型温度を測定すると共に、その
測定温度を予め決められた温度にするまでの各時間を計
測し、前記時間を予め決めた設定時間と比較して、前記
各時間情報として保持し、その各時間情報に基づいて、
その後の前記射出成形工程から冷却工程への、また、前
記冷却工程から成形品取り出し工程への、各金型移送に
おける移送速度または待ち時間の制御を行うようにした
ことを特徴とする。
【0070】従って、従来においては、昇降工程、射出
工程、冷却工程などに入る際の成形型の温度にバラツキ
があると、一定時間での処理により、そのバラツキの影
響が成形条件の不均一をもたらすが、この成形方法で
は、その工程での温度が一定であり、射出成形の成形条
件が安定され、しかも、温度条件を合わせるために成形
型のタクトに乱れが生じても、その後の金型の移送に際
して、金型移送の時間差を解消し、全体として、成形シ
ステムにおける金型の流れを、一定のタクトで実施でき
る。そして、このようにして、本発明では、各工程で金
型温度を確実に制御した上で、成形システムを流れる複
数の金型に滞留を生じさせることなく、成形システムを
円滑に作動することができ、成形条件の安定によって成
形品の高精度を保証し、生産性を確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形システムの全体的構成図であ
る。
【図2】図1の成形システムにおける金型のタイムチャ
ートである。
【図3】図1の中央制御盤およびトラバース装置の制御
に関するブロック図である。
【図4】図1のコンベアー作動手段に関するブロック図
である。
【図5】トラバーサ駆動手段に関するブロック図であ
る。
【図6】図1の成形システムの金型の移送動作を示すフ
ローチャートである。
【図7】図1の成形システムの金型の移送動作を示すフ
ローチャートである。
【図8】図1の成形システムの金型の移送動作を示すフ
ローチャートである。
【図9】図1の成形システムの金型の移送動作を示すフ
ローチャートである。
【図10】図1の成形システムの金型の移送動作を示す
フローチャートである。
【図11】図1の成形システムの金型の移送動作を示す
フローチャートである。
【図12】図1の成形システムの金型の移送動作を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
A 昇温工程 B 射出成形工程 C 冷却工程 D 成形品取出工程 2 NCトラバース装置 4 金型の射出成形機前待機場所 6 昇温装置 7 射出成形機 9 ガイドレール 10 トラバーサ 11 投入コンベア 12 取出コンベア 13 ベースポイント 15 成形品取出装置 17 中央制御盤 18 プレスユニット 22 トラバース装置制御部 a〜n 金型

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の金型を有し、これらを順次に昇温
    工程、射出成形工程、冷却工程および成形品取り出し工
    程に移送して成形する射出成形方法において、前記昇温
    工程、前記昇温工程から前記射出成形工程への金型の移
    送、および、前記冷却工程における、各金型温度を測定
    すると共に、その測定温度を予め決められた温度にする
    までの各時間を計測し、前記時間を予め決めた設定時間
    と比較して、前記各時間情報として保持し、その各時間
    情報に基づいて、その後の前記射出成形工程から冷却工
    程への、また、前記冷却工程から成形品取り出し工程へ
    の、各金型移送における移送速度または待ち時間の制御
    を行うようにしたことを特徴とする射出成形方法。
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