JP2914592B2 - プラスチック成形方法及びその装置 - Google Patents

プラスチック成形方法及びその装置

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JP2914592B2
JP2914592B2 JP31527191A JP31527191A JP2914592B2 JP 2914592 B2 JP2914592 B2 JP 2914592B2 JP 31527191 A JP31527191 A JP 31527191A JP 31527191 A JP31527191 A JP 31527191A JP 2914592 B2 JP2914592 B2 JP 2914592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の金型を昇温工
程、射出成形工程、冷却工程及び成形品取出工程の各工
程に順次移送する過程で、前記金型で成形品を成形する
プラスチック成形方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックの射出成形においては、通
常、射出成形機に金型を取り付け、その金型内に加熱溶
融された樹脂を射出し、その樹脂の冷却硬化を待って、
金型より取出し、その空になった金型に、次の溶融樹脂
を射出するという繰返し工程を採っている。
【0003】しかしながら、このようなプロセスで成形
する場合には、厚肉のものや高精度が要求されるもの
(たとえば、光学系におけるプラスチックのレンズ、プ
リズム、ミラーなど)は、冷却時間を長くする必要があ
るために、樹脂が冷却硬化するまでの長い時間、金型が
空かないから、射出成形機は、その間、次の樹脂の射出
に用いることができない。このため、前記射出成形機の
使用効率が悪く、生産性が上がらないという問題点を有
する。
【0004】そこで、複数の金型を用意し、これらを順
次、射出成形機に装填して、そこで溶融樹脂を射出し、
射出充填された金型を別の場所へ移動し、そこで冷却
し、一方、射出成形機では、直ちに、次に装填された金
型に溶融樹脂を射出するという、成形方法が提案されて
いる。本明細書では、以後、このような複数の金型を用
いて射出充填工程及び冷却工程をそれぞれ別の場所で行
なう成形法を、ロータリー成形法と呼び、その成形方法
に使用する装置全体をロータリー成形システムと呼ぶこ
とにする。
【0005】前記ロータリー成形システムにおいて、本
出願人は、射出成形機および複数のプレス機を備え、前
記射出成形機により樹脂を充填された金型を移送し、複
数のプレス機の1つに装填し、そこで加圧状態のまま、
冷却するシステムを提案した(例えば、特開昭61−8
9019号公報を参照)。このシステムでは、プレス機
に付設されている温度調整部材を金型表面に接触させ
て、双方の間の熱交換により、金型を冷却するものであ
るため、温度調整部材の熱容量、冷却エネルギーの供給
量、双方の熱勾配などを配慮することで、微妙な温度制
御がなされ、成形品の冷却時に発生する収縮歪み、内部
応力歪みなどを最少限に抑えつつ、効率よく成形品を冷
却することができる。
【0006】ところで、射出充填工程で樹脂を金型に射
出する時には、キャビティに対する樹脂の転写性を向上
するために、前記金型は予め所定温度に昇温して使用す
る場合が多い。すなわち、このロータリー成形システム
では、金型を樹脂のガラス転移点(液体から固体に変化
する温度)以上の温度に上げておいて、そこに樹脂を射
出し、その後、プレス機において、両者(金型および樹
脂)をともにガラス転移点以下の温度に下げることによ
って、樹脂の表面のみが先に固化してヒケを生ずること
の弊害を防止するのである。
【0007】このため、ロータリー成形システムにおい
ては、射出成形機の使用効率の向上などの目的のため
に、昇温工程は、前記射出成形機とは別の場所で行い、
昇温された金型を、射出充填工程で前記射出成形機に搬
送して、溶融樹脂を射出するのが好ましい。
【0008】そこで、本出願人は、射出充填工程とは別
に設けられた、金型表面と接合する温度調整部材を備え
ている昇温装置も、既に提供している(実開平02−0
22811)。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、上
述のロータリー成形システムでは、成形品の量産性およ
びシステムの円滑な処理ルーチンの確立の観点から、複
数の金型の射出充填、冷却、取出、昇温の各工程間の移
送を或る工程の工程時間(時間ピッチ)、または、その
整数倍で行なっている。そのため、前記冷却工程あるい
は昇温工程において、金型表面と接合する温度調整部材
の接触時間も、前記工程時間に合わせているので、次の
ような欠点があった。 (1) 所望の温度(たとえば80℃)より低い温度
(たとえば70℃)の金型が昇温装置に入ってきた場
合、昇温が定時間管理で行なわれると、ある所望の温度
(たとえば120℃)まで充分に型の温度が上がりきら
ない内に、昇温が終了(たとえば110℃)してしまう
ので、その後、射出充填工程に金型が移送されるが、所
望の温度(たとえば120℃)より低い温度(たとえば
110℃)であり、適正温度の場合よりも、樹脂の流
れ、転写性に悪影響を与える。また、その後、金型が冷
却装置(プレス機)に装填されると、そこでも、冷却が
定時間管理で行なわれているために、当該金型(設定温
度に達しない金型)は、冷却終了時、本来の冷却終了時
の温度(たとえば80℃)より低い温度(例えば70
℃)にまで冷却されてしまう(図11(b)参照)。
【0010】このように、一度、低い温度になると、そ
の金型は、昇温工程と冷却工程との繰返しの過程で、或
る設定温度範囲(たとえば、120℃から80℃)より
も全体的に低い温度範囲(たとえば110℃から70
℃)で昇温と冷却がくり返されることになる。すなわ
ち、この場合には、所望の金型温度(たとえば120
℃)より低い金型温度(たとえば110℃)で樹脂を型
内に射出充填し、所望の金型温度(たとえば80℃)よ
り低い金型温度(たとえば70℃)で、成形品を型から
取り出すことになる。その結果、成形品の精度悪化、ひ
け、ウエルド、ワレ、クラックなどの不良現象をひき起
こすことになる。 (2) 所望の温度(たとえば80℃)より高い温度
(たとえば90℃)の型が昇温装置に入ってきた場合、
昇温が定時間管理で行われると、上述とは逆に、ある所
望の温度(たとえば120℃)より高い温度(たとえば
130℃)まで昇温されることになり、その後、射出充
填工程を経て、冷却工程に金型が移送された時点で、金
型温度が高く、冷却時間の終了時に或る所望の温度(た
とえば80℃)まで充分に冷却されない(たとえば、9
0℃である)。そして、このまま、成形品取出工程に金
型が移送され、再び、昇温装置に装填されてしまう。す
なわち、一度、高い温度になると、或る温度範囲(たと
えば120℃から80℃)よりも全体的に高い温度範囲
(たとえば130℃から90℃)で昇温と冷却がくり返
されることになる(図11(c)参照)。すなわち、こ
の場合には、所望の金型温度(たとえば120℃)より
高い金型温度(たとえば130℃)で樹脂を型内に射出
充填し、所望の金型温度(たとえば80℃)より高い金
型温度(たとえば90℃)で成形品を型から取り出すこ
とになる。その結果、成形品の精度悪化、バリ、ハリツ
キ、とられなどの不良現象をひき起こすことになる。
【0011】このようなロータリー成形システムにおい
て、金型に温度のバラツキが発生するのは、成形の立上
げ時や装置のトラブルにより、金型が長く昇温装置や冷
却装置内にとどまってしまった場合であるが、このよう
に一度、外れてしまった金型温度を、通常の昇温工程お
よび冷却工程における定時間管理だけで、設定温度範囲
内に戻すことは不可能であった。
【0012】また、複数の金型を使用する関係上、前記
昇温及び冷却装置内で同じ時間だけ温度調整部材を当接
していたとしても、個々の金型の製作のバラツキによ
り、前記温度調整部材に対する金型面の接触状態が一様
でなく、昇温装置あるいは冷却装置内での金型への熱交
換効率に影響があり、所望の熱量の移動が十分に行なわ
れない場合があるという問題点もあった。
【0013】そこで、タイムチャートに関係なく、金型
温度を目標値まで昇温・冷却する方式を採用すると、高
精度な成形が可能となる反面、各工程時間が一定せず、
所要時間に過不足を生じ、円滑なシステムの流れを阻害
し、量産性を著しく悪化させてしまうことになる。
【0014】
【発明の目的】本発明は、上記事情に基いてなされたも
ので、ロータリー成形システムでは金型が昇温工程と冷
却工程とに交互に循環する点に着目し、所定の各工程時
で各工程が実施される状況でも、金型が所定の温度範
囲から外れた温度になった場合、これを金型が一巡する
過程で調整できるようにして、高精度の成形を所定工程
時間による量産性の高いシステムの流れの中で実現でき
るようにしたプラスチック成形法およびその装置を提供
しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】このため、本発明のプラ
スチック成形法では、複数の金型を、昇温工程、射出充
填工程、冷却工程及び成形品取出工程に順次移送する過
程で、前記金型により所要の成形品を成形するプラスチ
ック成形方法において、前記各工程での工程時間を所定
値に設定すると共に、前記昇温工程における金型温度を
検出してその工程時間に対応する時間内で前記金型を所
定温度まで昇温制御し、かつ、前記冷却工程における金
型温度を検出してその工程時間に対応する時間内で前記
金型を所定温度まで冷却制御するように、金型の温度を
管理するのである。
【0016】また、本発明のプラスチック成形装置で
は、複数の金型を、昇温工程、射出充填工程、冷却工程
及び成形品取出工程に順次移送する過程で、前記金型に
より所要の成形品を成形するプラスチック成形装置にお
いて、所定の時間で、各金型を各工程に順次移送する移
送手段と、前記昇温工程でその工程時間に対応する時間
もしくはその間に所定の温度まで金型を昇温する昇温装
置と、射出成形装置と、前記冷却工程でその工程時間
時間もしくはその間に所定の温度まで金型を冷却する冷
却装置とを具備している。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
具体的に説明する。図1には本実施例の成形システムの
全体的構成が示されている。すなわち、符号25で示す
ロータリー成形システム25は、A:昇温工程、B:射
出充填工程、C:冷却工程、D:成形品取出工程の4工
程を、移送手段を介して移送される金型に対して順次、
実施する構成になっている。前記昇温工程Aと射出充填
工程Bとの間はコロを用いた金型搬送路1で接続され、
射出充填工程Bと冷却工程Cとの間はコロを用いた金型
搬送路5及びNCトラバース装置2で接続され、また、
冷却工程Cと成形品取出工程Dとの間はNCトラバース
装置2で接続されている。さらに、トラバース装置2に
はトラバース装置制御部22が接続されており、トラバ
ース装置制御部22は中央制御盤17と接続されてい
る。なお、中央制御盤17は前記ロータリー成形システ
ムの他の装置とも接続されている(配線省略)。
【0018】次に、前記ロータリー成形システム25に
係る各装置について説明する。
【0019】前記昇温工程Aにおいては、射出充填工程
Bにおける所定の工程時間よりもより長い時間(例え
ば、2倍の工程時間相当)を必要とするため、2個の昇
温装置6を設け、1射出充填工程時間分、作業時間ピッ
チをずらせた状態で、一方の装置において金型の昇温を
行なっている最中に、他方の装置でも同様に他の金型の
昇温を行なうことができるように構成されている。各昇
温装置6の前には、コロを用いた方向変換機23が設け
られていて、成形品取出装置15より送られてきた金型
を受け入れ、次いで90度回転して、前記金型を昇温装
置6内へ送り、また、昇温工程後の、昇温装置6内の金
型を受け入れ、逆に90度回転して、前記金型を射出成
形機7へ向けて送ることができるようになっている。な
お、前記方向変換機23のコロは内蔵した駆動源により
回転駆動できるようになっている。前記方向変換機23
と昇温装置6との間は、コロを用いた搬送路24で接続
されており、このコロも同様に内蔵した駆動源により回
転駆動できるようになっている。
【0020】前記金型は、前記昇温装置6において、所
定時間、待機され、その間に、後述する手段で所定温度
まで加熱される。特に、本実施例では、昇温工程Aにお
いて、加圧冷却工程C(後述する)にて最低80℃まで
キャビティ内が冷却された金型を、最長60秒かけて、
キャビティ内が最高100℃まで昇温するように、その
仕様を設定している。
【0021】昇温工程Aと射出充填工程Bとの間は、金
型搬送路1で接続されており、前記金型搬送路1は、途
中で直角に曲がった2つの部分にエレベータ26および
90度反転装置3aを備えており、また、金型搬送方向
に並べられたコロを、内蔵した駆動源により回転させる
ように構成されていて、そこでは、金型がコロの上に載
置された状態で搬送方向に移動される。昇温装置6から
方向変換機23を経て金型搬送路1に搬送された金型
は、エレベータ26において、その向きを変えずに、そ
の移動方向だけを90度だけ変え、更に、金型搬送路1
上を搬送され、前記90度反転装置3aへと進むことが
できる。
【0022】90度反転装置3aは、射出部7aが横方
向に設けられた射出成形機7に対処して、そこに搬入さ
れた金型が、そのスプルー部を前記射出部7aに接続で
きるように、前記金型を90度反転させる働きをするも
のである。この90度反転装置3aを通過した後、金型
は、射出成形機7前方の金型待機位置4に搬送され、こ
の金型待機位置4において、温度センサ(図示せず)に
よりその金型温度を計測される。
【0023】なお、この実施例では、既に、昇温工程A
において100℃までキャビティ内が昇温された金型
は、射出成形機7内に搬入されるまでの時間経過のうち
に、その金型表面から内部への熱伝導により、そのキャ
ビティ付近の温度が所定の成形温度120℃になるよう
に昇温される。そして、この状態で、射出成形機7内に
搬入され、射出成形が行なわれる。この場合、金型が昇
温工程Aを終了してから射出成形機7前の待機場所4に
至り、射出成形機7に搬入されるまでの(成形温度12
0℃に昇温するまでの)設定時間は、120秒とされて
いる。
【0024】射出充填工程Bにおいて、金型が射出成形
機7に搬入されると、成形機7のダイセットの型締が行
なわれ、240℃の樹脂が金型に射出される。その後、
金型は、一定時間保圧され、次いでダイセットの型開が
行なわれた後、射出成形機7から搬出されて90度反転
装置3bへ送られる。なお、要すれば、射出成形機7に
は、金型を射出充填に必要な温度に温度調整するための
温度調整機8が設けられていると良い。
【0025】なお、この実施例では、金型が射出成形機
7に搬入された後、射出成形機7より搬出されてNCト
ラバース装置2(後述するベースポイント13の地点)
に至るまでに要する時間は、60秒とされている。
【0026】また、前記90度反転装置3bは、射出成
形機7の後方に配置されており、ここでは、射出が終っ
た金型が、そのスプルー部を上向きになるように、その
姿勢を元の状態に復帰される。すなわち、この実施例で
は、金型は、前記90度反転装置3a,3bの働きによ
り、射出充填工程Bにおいてそのスプルー部を横にした
状態を保ち、冷却工程C、取出工程D、昇温工程Aにお
いてそのスプルー部を上向きにした状態を保つ。なお、
射出成形機での射出が下向きに行われるように構成され
ている場合、すなわち、堅形の射出成形機が用いられた
場合、または、金型が冷却工程C、取出工程D、昇温工
程Aのいずれにおいてもそのスプルー部を横向きにした
状態で処理される場合には、前記90度反転装置3a,
3bは不要である。
【0027】金型搬送路5は、90度反転装置3bを経
た金型をNCトラバース装置2のベースポイント13
(NCトラバース装置2が金型を受け取る地点)へ搬送
するために設けられたもので、金型搬送路1の場合と同
様、搬送方向に並べられたコロを備え、これを、内蔵さ
れた駆動源により回転することで、コロの上に載置され
た金型を移動する構成になっている。前記NCトラバー
ス装置2は、この実施例では、2本のガイドレール9及
びその上を移動するトラバーサ10で構成されており、
前記トラバーサ10は左右一対の投入コンベア11、取
出コンベア12により構成されている。投入コンベア1
1は、そこに内蔵された駆動源により作動して、図1に
おいて、金型を下方向から取入れてその内部に保持し、
また、そこから上方向へ送り出すことができ、このよう
な機能によって、金型をベースポイント13から各プレ
ス機18へ搬送することができる。同様に、取出コンベ
ア12は、そこに内蔵された駆動源により作動して、図
1において、金型を上方向から取り入れ、その内部に保
持し、また、そこから下方向へ送り出すことができ、こ
のような機能によって、金型を各プレス機18から成形
品取出装置15へ搬送することができる。
【0028】なお、この実施例では、トラバース装置2
を用いることで、前記金型がベースポイント13より各
プレスユニット18に到達するまでに要する時間を30
秒に設定しており、また、前記金型が各プレスユニット
18より成形品取出装置15に到達するまでに要する時
間を30秒に設定している。
【0029】冷却工程においては、8つのプレスユニッ
ト18(No.I〜No.VIII)が用いられる。各
プレスユニット18(No.I〜No.VIII)は、
NCトラバース装置2のレール9に対して、所定距離離
れて、側方に並設されていて、トラバーサ10が移動し
て各プレスユニット18の前に来たとき、搬送路14を
介して、トラバーサ10と各プレスユニット18との間
で、金型のやりとりができるようになっている。前記搬
送路14は、そこに内蔵された駆動源により作動し、そ
こに保持した金型をトラバーサ10と各プレスユニット
18との間で搬送することができる。前記プレスユニッ
ト18は、上下一対の温度調整部材を有しており、それ
ぞれのダイセットの中に冷媒を流すための管路を設けて
おり、これを冷却媒体供給手段の管路27a,27bに
接続している(図示省略)。
【0030】しかして、金型が上下一対の温度調整部材
の中に挿入されると、上下の温度調整部材が相対的に移
動して、金型を加圧し、その表面に接触し、ダイセット
内の管路を流れる冷媒によって前記金型を冷却する。こ
れにより、成形品の冷却時に発生する収縮歪み及び内部
応力歪みを最小限に抑えつつ、効率よく成形品の冷却を
行うことができる。
【0031】なお、前記冷却工程Cにおいて、金型は、
温度センサにより計測されながら、そのキャビティが1
20℃付近より80℃付近の温度に達するまで、前記温
度調整部材で冷却される。金型を所定時間冷却すると、
温度センサを金型から離脱して、ダイセットを相対的に
開き、金型を搬送路14を至てトラバーサ10の取出コ
ンベア12に搬送する。この場合、冷却工程Cに要する
時間、即ち、金型がプレスユニット18の搬送路14に
搬入され、その後、冷却を終り、搬送路14を出て行く
までに要する時間は、例えば、480秒となるように設
定される。
【0032】成形品取出工程Dは、この実施例では、図
1におけるNCトラバース装置2の右端下方部において
なされるのであり、その位置には、成形品取出装置15
が装備してあり、また、その取出装置15の右側には、
ストッカー21が据付けられている。そして、トラバー
サ10が移動して、成形品取出装置15の前に来たと
き、トラバーサ10の取出コンベア12と成形品取出装
置15の搬送路16との間で、金型の授受が行われるよ
うに、前記取出装置15はレール9より所定距離離れて
設置されている。金型がトラバーサ10により搬送路1
6を至て成形品取出装置15に装着されると、前記金型
に設けられた開き止め機構が解除され、金型が型開きさ
れる。この状態で、成形品突出し棒の突き出しにより、
成形品が金型より取出され、ストッカー21に貯蔵され
る。前記成形品が取出された後の金型は、型締され、開
止めロックされ、昇温工程Aへ移行するために、前記昇
温装置へと搬送される。
【0033】なお、この実施例では、取出工程Dに要す
る時間、即ち、金型が取出装置15の搬送路16に搬入
されてから、成形品の取り出しがなされ、その後、金型
が昇温工程Aに移動するまでに要する時間は、60秒に
設定されている。また、この実施例では、プレスユニッ
ト18で金型の加圧・冷却がなされ、成形が完了した後
で、成形品はプレスユニット上で金型から取出されず、
上述のように、別の位置に設けられた成形品取出装置1
5において集中して取出される。これは、プレスユニッ
ト18上に取出装置を設けると、プレスユニットの構造
が複雑、大型化し、また、各プレスユニット18に取出
装置を設けなければならないため、プレスユニット群N
o.I〜No.VIIIの占める占有面積が大きくな
り、更に、取出工程の管理も複雑になるという事情があ
るからで、この実施例のように、取出作業を1ケ所で行
うことは有利である。
【0034】トラバース装置制御部22は、中央制御盤
17の指令のもとに、NCトラバース装置2の動作を定
まったプログラムに従って指令するなどの機能を持つも
のであり、トラバーサ10の待機、速度調整を行うこと
ができる。前記中央制御盤17は、ロータリー成形シス
テム25における各装置の制御部(図示省略)に接続さ
れており、全体として所定の工程時間で各装置をプログ
ラム制御する。
【0035】なお、前記ロータリー成形システム25に
は、各工程を順次経過する金型がそれぞれ所定の位置に
あるか否かを検知するために、その所定の位置にセンサ
が設けられている。この実施例では、例えば、搬送路5
のベースポイント地点、トラバース10の投入コンベア
11および取出コンベア12内、各プレスユニット18
(No.I〜No.VIII)内の金型が装着される部
分、成形品取出装置15内の金型が装着される部分に
は、マイクロスイッチなどの検出手段が設けられ、この
検出手段からの情報を上記中央制御盤17にもたらし、
金型が所定の位置にあるか否かを判定し、これらの個所
の各工程に対応する指令信号の出力制御ができるように
なっている。
【0036】次に、この実施例に係るロータリー成形シ
ステムにおける金型の配置、流れについて図2を参照し
ながら説明する。
【0037】図2は金型のタイムチャートであり、横軸
にタイムを1分=1射出充填工程時間分として示し、ロ
ータリー成形システムでの時間経過にともなう各金型の
位置を示している。ここでは、射出充填工程および金型
のベースポイントへの搬送に要する時間を基本時間の1
分とし、射出充填工程で1分ごとに樹脂が金型に射出さ
れるように、所定工程時間でシステムを制御する。この
ため、各金型を1分ずつ遅れてシステム内に流すように
設計されている。特に、この実施例では、昇温工程およ
び金型の射出成形機への搬送に計3分、射出充填工程お
よび金型のベースポイントへの搬送に1分、NCトラバ
ース装置2での目的プレスユニットへの金型の搬送に
0.5分、冷却工程に8分、NCトラバース装置2での
取出装置15への金型の搬送に0.5分、取出工程に1
分を要するように設定されている。このため、この実施
例では、金型がサイクルを1巡するのに要する時間は合
計の14分であり、従って、14÷1=14個の金型を
システム内に装備する必要がある。図1には、タイム1
4の時点における14個の金型a〜nの夫々の位置が示
してある。図2に示すように、金型a〜nは、この状態
より、例えば、タイム15の時点に時間が進むと、金型
aが金型nの位置に、金型nが金型fの位置に、金型f
が金型eの位置へ・・・戻る。更に、時間が経過して、
タイム16の時点となると、金型aは、金型nの位置よ
りプレスユニットVIIの位置に至る。
【0038】しかしながら、実際のロータリー成形シス
テムにおいては、金型の搬送を上記のタイムチャート通
りに行なった場合、各金型の温度特性に違いがあった
り、装置のトラブルなどにより、昇温装置や冷却装置に
金型が所望の時間以上にとどまってしまった場合、金型
温度にバラツキが生じ、成形条件範囲を外れてしまうお
それがある。このため、過去のロータリー成形システム
では、高精度な成形が望めない。又、タイムチャートに
関係なく金型温度を目標値まで冷却、昇温する方式を採
用すると、高精度な成形が可能となるが、各工程時間に
過不足を生じ、円滑なシステムの流れを阻害し、量産性
を著しく悪化させる。しかし、本発明の実施例において
は、円滑なシステムの流れを最優先に考え、決められた
タイムチャート内で正確な昇温、冷却を行なう方法が実
現できるのである。この点を以下に詳述する。
【0039】まず、昇温に用いる装置及び、過昇温防止
の制御方法について説明する。この実施例に用いられる
金型は、図4に示すように略直方体形状であり、上型取
付板101、上型型板102、下型型板103、下型受
板104、下型取付板105などをその構成部品として
備えている。上型取付板101および下型取付板105
には、その端面の長手方向稜線に位置して、つかみ部1
06が設けられている。また、上型取付板101の端面
略中央部には、樹脂をキャビティ内に流すためのスプル
ー部107が設けられている。なお、この実施例に用い
られる金型108は、上型型板102と下型型板103
との間で型開きされるようになっており、上型型板10
2と下型型板103との接触面(パーティング・ライ
ン)の略中央部に成形品の形状を形どるキャビティ部が
形成されている(図示省略)。上型取付板101と上型
型板102とは一体的に固着されて、上型109を構成
し、また、下型型板103と下型受板104と下型取付
板105とは一体的に固着されて下型110を構成して
いる。そして、成形品取出工程で成形品を取出す場合に
は、上型109のつかみ部106および下型110のつ
かみ部106をつかんで、相対的に引き離し、金型10
8の型開きを行う。なお、金型108の、つかみ部10
6が設けられていない側の側面111には、コンセント
112が設けられていて、キャビティ部の温度測定など
のために金型108内部に埋め込まれた熱電対などの検
出手段(図示省略)の配線を、金型108外部に設けら
れた配線に接続する役目を果している。
【0040】次に、この実施例に係る昇温装置の構造を
図3を用いて説明する。前記昇温装置6は、金型108
が搬入される室116に、温度調整部材(ここではヒー
ター板を示す)117,118、および、119、12
0を、それぞれ、左右の位置および上下の位置に配設し
ている。また、前記温度調整部材117、118は左右
方向に移動可能に、前記温度調整部材119、120は
上下方向に移動可能に構成されている。そして、要すれ
ば、上記室116には、金型108の上型109の左右
のつかみ部106をガイド、支持するためのガイド部材
121,122が設けられている。
【0041】前記昇温室116は、左右および奥部にそ
れぞれ設けられた壁123,124,142、並びに、
上下にそれぞれ設けられた天井130、床131で囲ま
れた構成である。なお、この実施例では、前部が開口し
ているが、前部に扉などを設けて、前記昇温室116内
で発生した熱を、その外部に逃さないようにしてもよ
い。
【0042】前記昇温室116内には、左右に位置して
ヒーター板117,118が配設してあり、前記壁12
3,124に左右対称に固定されたエアーシリンダー1
25,126のピストン軸127,128にそれぞれ固
着されている。そして、前記エアーシリンダー125,
126を作動させることにより、前記ヒーター板11
7,118は、それぞれピストン軸127,128の軸
線方向に移動できるようになっている。この場合、前記
ヒーター板117,118は、上型109のつかみ部1
06をガイドするためにガイド部材122によって占有
される部分を除いて、金型108の側面113の全高さ
に対応する上下方向の長さを持っており(図5(b)お
よび(c)参照)、また、前記ヒーター板117,11
8の奥行き方向の長さは、金型108の長手方向の長さ
と略等しくしてある。また、前記ヒーター板117,1
18にはヒーターを内蔵するための孔部129が設けら
れている。
【0043】昇温室116内には、上下に位置してヒー
ター板119,120が配設してあり、前記天井130
および床131に上下対称に固定されたエアーシリンダ
ー132,133のピストン軸134,135にそれぞ
れ固着されている。そして、エアーシリンダー132,
133を作動させることにより、前記ヒーター板11
9,120は、それぞれピストン軸134,135の軸
線方向に移動できるようになっている。前記ヒーター板
119,120は、金型108の横幅に相当する幅を持
っており(図5(b)および(c)参照)、また、金型
108の長手方向の長さと略等しい奥行方向の長さを持
っている。また、前記ヒーター板119,120には、
ヒーター板117,118と同様に、ヒーターを内蔵す
るための孔部129が設けられている。
【0044】前記ガイド部材121,122は、金型1
08が前記昇温室116の中に搬入された時の、上型1
09の左右のつかみ部106に相当する位置に、支持部
材136によって、それぞれ天井130から吊持された
状態で、支持されている。前記ガイド部材121,12
2の左右の間隔は、金型108の幅とほぼ等しく設定さ
れている。前記ガイド部材121,122は、下ローラ
ー139および横ローラー140をガイド部材121,
122の長手方向に多数配列していて、前者は上型10
9のつかみ部106の下面137をガイドし、また、後
者は上型109のつかみ部106の横面138をガイド
する。そして、下ローラー139は所定の駆動機構(図
示省略)により自走可能となっている。なお、前記ガイ
ド部材121,122の長手方向(奥行き方向)の長さ
は金型108の長手方向の長さと略等しく、あるいは、
それ以上の長さに設定されている。
【0045】このような昇温装置の上部に設けられた計
器類141は、金型108のキャビティ内部の温度、ヒ
ーター板117,118,119,120の温度などを
表示するとともに、金型108のキャピティ内部の温度
のチェック、その他に用いられる。
【0046】次に、この実施例に係る動作について図
3、図5および図6を用いて具体的に説明する。図6
は、昇温工程において金型108を、所謂「過昇温」し
ないように制御する様子を示したフローチャートであ
る。ここでは、金型108を昇温室116に搬入するの
に先立って、左右のヒーター板117,118および上
下のヒーター板119,120を相対的に開いておき、
金型108をヒーター板117,118,119,12
0で囲まれた内部空間部分に挿入できるようにしておく
(図5(a))。また、ヒーター板117,118,1
19,120を内蔵されたヒーターに電流を流すことに
より、予め温めておく。そして、成形品取出工程Dにお
いて成形品を取出した後の、空になった金型108を、
その上型109のつかみ部106をガイド部材121,
122にガイドさせながら、昇温室116の中に搬入す
る。この時、金型108の上型109の左右のつかみ部
の下面137を下ローラー139でガイドし、上下方向
の位置を確保させ、横面138を横ローラー140でガ
イドし、左右方向の位置を確保させる。このようにし
て、金型108をヒーター板117,118,119,
120で囲まれた内部空間内に搬入する(図5(b)お
よび図6のSa1参照)。
【0047】次に、エアーシリンダー125,126,
132,133を作動させて、ヒーター板117,11
8,119,120を、それぞれ金型108に近づけ、
金型108の表面すなわち上下面及び左右側面に接触さ
せる(図5(c)および図6のSa2参照)。なお、金
型108にヒーター板117,118,119,120
が接触すると同時に、金型の裏側の面111に設けられ
た金型温度センサのコンセント112が、昇温装置11
5に取り付けられたプラグに自動的に接続されて、キャ
ピティ内部の温度などの計測が行なわれる(図6のSa
3参照)。それと同時に、昇温時間を計測するタイマー
が作動する(図6のSa4参照)。ヒーター板117,
118,119,120から金型108への熱伝導によ
り、金型108が昇温状態に置かれ、設定時間と前記タ
イマーでの測定時間が等しくなった時には(図6のSa
5参照)、金型温度センサを金型から外し、(図6のS
a7参照)、続いて、ヒーター板117,118,11
9,120を金型から離し、昇温を停止する(図6のS
a8参照)。その後、シリンダー機構(図示せず)など
により、昇温装置から金型を搬出する(図6のSa9参
照)。この時の金型温度の変化は、例えば、図10
(a)のように正常状態にある。また、前記タイマーの
測定時間が、前記設定時間に達する以前に、金型温度セ
ンサの測定温度が、予め設定した温度に達してしまった
場合には(図6のSa6参照)、その時点で金型温度セ
ンサを金型から外し、ヒーター板を金型から離し、昇温
を停止する(図6のSa10およびSa11参照)。こ
れによって、所謂「過昇温」を防止することになる。そ
して、設定時間がくるまで、金型を昇温装置内に留め、
設定時間に到達した段階(図6のSa12参照)で、シ
リンダー機構(図示せず)により、昇温装置から金型を
搬出する(図6のSa13参照)。この時の金型温度の
変化は、例えば、図10(c)のように、異常から正常
に戻る。なお、昇温装置に搬入されるときの最低金型温
度は、所謂「過冷却」を防止する制御を、前段階で、す
なわち、冷却装置(後述する)で行うことにより、補償
するのである(図10(b)参照)。
【0048】なお、この実施例では、ガイド部材12
1,122が昇温装置内での金型108の支持装置に兼
用されているので、単にヒーター板117,118,1
19,120、を金型から離すだけで、金型108は昇
温装置内にとどまっていても、実質的に昇温を行なわな
いようにすることが可能である(図5bの状態)。しか
し、前記昇温装置が、このような機構を備えない場合に
は、ヒーター板を金型から離した後、金型108を図1
の符号24の位置、すなわち、金型が搬送されるライン
内ではなく、後からくる金型の搬送に邪魔にならないと
ころまで搬出することが必要である。因に、所定時間に
達する前に、金型が搬送されるライン内に前記金型を流
してしまうと、システムの円滑な流れを阻害し、量産性
を著しく悪化させてしまう。実質的に昇温を行なってい
ない状態で、昇温装置内に留止っている金型や、図1の
符号24の位置に搬出された金型は、或る所定の時間
工程時間あるいはその整数倍の時間)が来ると(図6
のSa12参照)、自動的に方向変換機23へ送られ、
その後、射出成形機7の方に送られることになる。
【0049】なお、この実施例では、上型109のつか
み部を、これをガイドするガイド部材121,122で
支持する構造としたが、下型110のつかみ部を、これ
をガイドするガイド部材で支持する構造としてもよい。
また、つかみ部106をガイドするガイド部材121,
122は、つかみ部106の下面137を多数の下ロー
ラー139で支持し、横面138を多数の横ローラー1
40で支持する構造としたが、つかみ部をガイドするガ
イド部材による金型の支持構造には、他にも種々の構成
が採用できる。更に、金型の表面に当接させて金型を昇
温させる温度調整部材としては、ヒーター板以外にも、
例えば水蒸気を通すパイプを埋め込んだ温度調節板など
の種々の形式が考えられるし、また、金型の表面に当接
させなくても、昇温させる方法として、高周波誘導加熱
などの方法で、温度調整を行なってもよいし、熱風を吹
き付ける方法、赤外線加熱方法などでも良い。
【0050】次に、金型に樹脂を充填した後の冷却に用
いる装置および、その装置内での、所謂「過冷却」を防
止するための制御方法について説明する。
【0051】図7および図8に示す冷却装置231は、
プレス機18に取りつけられているものである。前記冷
却装置は、基台232に4本のガイドポスト233を立
脚し、そのガイドポスト233に摺動可能に温度調整部
材である第1温調板234を嵌合した構成になってお
り、更に、前記基台232上に、これも温度調整部材で
ある第2温調板235を取り付けている。そして、第1
温調板234の上にはプレスシリンダー256が接触さ
れている。
【0052】前記ガイドポスト233には、コイルスプ
リング237が外嵌され、また、前記コイルスプリング
237を挟んだ状態で、その上下に第1カラー238,
第2カラー239が外嵌されており、更に、第1温調板
234は第1カラー238に設けられた鍔部240の上
に保持、固定されている。従って、第1温調板234及
び第1カラー238は、プレスシリンダー256によ
り、第1温調板234が下方向に押圧されると、コイル
スプリング237のバネ力に抗して、ガイドポスト23
3に沿って下がり、また、プレスシリンダー256の力
が解除されると、コイルスプリング237の復元力によ
り、上昇し、元の位置に戻る。なお、第1温調板234
には液体,気体などの冷媒を流すために、孔241が設
けられている。
【0053】また、前記第2温調板235は基台232
にボルトで固定されている。第2温調板235には、バ
ネ支持球面ころ250が左右に2列設けられており、金
型108を矢印260方向より挿入するときに、金型1
08を下方向より支えて、金型108のすべりをよく
し、金型を搬入する際に、金型の重みで完全に沈み込ま
ないようになっており、プレスシリンダー256により
プレスされる時、金型108の底面と第2温調板235
の上面とが当接するようになっている。
【0054】なお、第2温調板235には、ガイドロー
ラー251が左右に2列設けられ、金型108を矢印2
60方向より挿入するときに左右方向のガイドとする働
きをしている。また、第2温調板235の奥部には、矢
印260方向より挿入された金型108を停止させるた
めの停止ブロック252が設けられている。更に、第2
温調板235には、第1温調板の場合と同様、液体,気
体などの冷媒を流すための孔253が設けられている。
なお、この実施例では、基台232にも液体,気体等の
冷媒を流すための孔254が設けられており、金型10
8の冷却能力を更に高めるようになっている。
【0055】次に、この実施例に係るプレス・冷却機構
の動作、および、この機構における所謂「過冷却」防止
のための制御方法について説明する。この前段では、金
型に対して、射出成形機7より溶融樹脂が射出充填され
る。そして、90度反転装置36を通り、ベースポイン
ト13に到達した金型108は、NCトラバース装置2
の働きによって、所定のプレス機18に対応する位置に
移動され、前記プレス機18に取りつけられている冷却
装置231内へと、矢印方向260より搬入される。そ
して、金型108の後面が停止ブロック252と当接す
る段階で、停止され、金型108が冷却装置231の第
2温調板235の上に装着される。この場合、金型10
8は、ガイドローラー251によりその左右方向の位置
が決定される。(図8(a)および図9のSa1参
照)。この時点では、バネ支持球面ころ250により、
金型108が第2温調板235から浮いているので、金
型108の上面の場合と同様、下面からも熱の移動はな
く、まだ、冷却は実質的に行なわれていない。
【0056】次に、プレス機18のプレスシリンダー2
56を作動させて、第1温調板234を下方向に移動さ
せる。この場合、孔241には冷媒が流されているた
め、第1温調板234が金型108の上面と接触する
と、金型108の熱が第1温調板234を伝って上方へ
移動する。前記プレスシリンダー256を、更に作動さ
せて、第1温調板234を更に下げると、バネ支持球面
ころ250が沈み、金型108の下面と第2温調板23
5の上面とが互いに接触するとともに、金型108の熱
が第2温調板235を伝って下方へ移動する(図8
(b)および図9のSa2参照)。
【0057】その後、直ちに金型温度センサ(図示せ
ず)を金型に連結、装置し(図9のSb3参照)、同時
に、冷却時間を計測するタイマーが作動する(図9のS
b4参照)。金型108から第1温調板234、第2温
調板235への熱伝導により、金型108を冷却し、設
定時間と前記タイマーでの測定時間が等しくなった時
(図9のSb5参照)、金型温度センサを金型より外し
(図9のSb7参照)、続いて、プレスシリンダー25
6の力を解除することにより、第1温調板234が金型
108の上面より離れ、それと同時にバネ支持球面ころ
250により金型108の下面も第2温調板235より
離れ、冷却を停止する(図8(a)および図9のSb8
参照)。その後、冷却装置よりシリンダー機構(図示せ
ず)などによって、金型が搬出される(図9のSb9参
照)。この時の金型温度の変化は、例えば、図10
(a)のようになる。前記タイマーの測定時間が設定時
間に達する以前に、金型温度センサの測定温度が、設定
温度に達してしまった場合には(図9のSb6参照)、
その時点で金型温度センサを金型より外し(図9のSb
10参照)、プレスシリンダー256の力を解除し、第
1,第2温調板を金型より離し、冷却を停止する(図9
のSb11参照)ことによって、「過冷却」を防止する
ことになる。その後、設定時間に達するまでは、冷却装
置内に金型を留め、設定時間を経過して、シリンダー機
構で金型を搬出する(図9のSb13)。この時の金型
温度の変化は、例えば、図10(b)のように、異常か
ら正常に戻る。
【0058】このようにして、前述の昇温装置では「過
昇温」を防止し、この冷却装置では「過冷却」を防止す
ることによって、金型108を所定温度範囲で、安定し
た昇温・冷却制御をくり返すことができる。そして、例
えば、この実施例で、決められた60秒という工程時間
を変えることなく、14個の金型について、溶融樹脂の
射出時の金型温度および成形品取出時の金型温度を、例
えば、±1℃のバラツキの範囲に抑えることができる。
【0059】なお、この実施例では、冷却装置におい
て、金型108を矢印260方向より挿入するときに、
金型108を下方向より支えて金型108のすべりをよ
くするためのバネ支持球面ころ250が、冷却装置内で
の金型108の浮上支持装置として機能しているので、
単に、プレスシリンダー256の力を解除するだけで、
金型108が冷却装置内に留止っていても、金型の冷却
は、実質的に行なわない(図8(a)の状態)。なお、
このような機構を備えない冷却装置においては、プレス
シリンダー256の力を解除した後、金型108を図1
の符号14の位置まで搬出することが必要である。実質
的に冷却を行なっていない状態で冷却装置内に留止って
いる金型や、図1の符号14の位置に搬出された金型
は、或る所定の時間(工程時間あるいはその整数倍の時
間)が来ると(図9のSb12参照)、自動的にトラバ
ース装置2へ送られ、成形品取出装置15の方へ送られ
ることになる。
【0060】なお、この実施例では、冷却装置231内
で、実質的に冷却を行なわない状態で、金型108を支
持する方法として、バネ支持球面ころ250を設けた
が、このような金型108を浮上支持する方法以外に
も、前述の昇温装置の場合のように、金型108のつか
み部106をガイド、支持する方法でも良い。また、本
実施例では温度調整部材として、冷却プレートを型に当
接させる方法について述べたが、冷風を吹き付ける方法
などでも良い。
【0061】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、ロータ
リー成形システムにおける昇温装置、冷却装置にて、そ
れぞれ、昇温時には過昇温を防止し、冷却時には過冷却
を防止するような制御を行なうことにより、決められた
工程時間を維持し、システムの円滑な流れを達成させな
がら、しかも、決められた温度範囲の中で、バラツキの
非常に少ない安定した昇温・冷却制御を実施でき、高精
度な成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るロータリー成形システム
の全体的構成図である。
【図2】上記ロータリー成形システムにおける金型のタ
イムチャートである。
【図3】昇温装置の全体斜視図である。
【図4】金型の外観斜視図である。
【図5】昇温装置の動作を示す説明図である。
【図6】昇温工程での動作を示すフローチャートであ
る。
【図7】冷却装置の全体斜視図である。
【図8】冷却装置の動作を示す説明図である。
【図9】冷却工程での動作を示すフローチャートであ
る。
【図10】本発明のロータリー成形システムにおける成
形金型のキャビティ温度変化のタイムテーブルである。
【図11】従来方式によるロータリー成形システムにお
ける成形金型のキャビティ温度変化のタイムテーブルで
ある。
【符号の説明】
2 トラバース装置 6 昇温装置 7 射出成形機 13 ベースポイント 15 成形品取出装置 17 中央制御盤 18 プレスユニット 25 ロータリー成形システム a〜n 108金型 106 つかみ部 117〜120 温度調整部材(ヒーター板) 121,122 ガイド部材 234,235 温度調整部材(第1,第2温調板) 250 バネ支持球面ころ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬籠 敏明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 祖母井 隆 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−165919(JP,A) 特開 平3−36005(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 45/04 - 45/06 B29C 33/34 - 33/36 B29C 45/73,45/78 B29C 33/02 - 33/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の金型を、昇温工程、射出充填工
    程、冷却工程及び成形品取出工程に順次移送する過程
    で、前記金型により所要の成形品を成形するプラスチッ
    ク成形方法において、前記各工程での工程時間を所定値
    に設定すると共に、前記昇温工程における金型温度を検
    出してその工程時間に対応する時間内で前記金型を所定
    温度より高くならないように昇温制御し、かつ、前記冷
    却工程における金型温度を検出してその工程時間に対応
    する時間内で前記金型を所定温度より低くならないよう
    に冷却制御するように、金型の温度を管理することを特
    徴とするプラスチック成形方法。
  2. 【請求項2】 前記昇温工程では、前記金型を、温度調
    整部材で昇温し、前記昇温工程に入る前あるいは入った
    時、あるいは昇温工程中に金型温度を検出し、かつ昇温
    工程に入った後から昇温時間を計測し、前記昇温時間が
    予め設定しておいた前記工程時間に対応する時間に達し
    た時、あるいは、前記時間に達する前に、検出温度が、
    予め設定しておいた温度に達した時、昇温を停止するよ
    うに昇温制御することを特徴とする請求項1に記載のプ
    ラスチック成形方法。
  3. 【請求項3】 前記冷却工程では、前記金型を、温度調
    整部材で冷却し、前記冷却工程に入る前あるいは入った
    時、あるいは冷却工程中に金型温度を検出し、かつ冷却
    工程に入った後から冷却時間を計測し、前記冷却時間が
    予め設定しておいた前記工程時間に対応する時間に達し
    た時、あるいは、前記時間に達する前に、検出温度が、
    予め設定しておいた温度に達した時、冷却を停止するよ
    うに冷却制御することを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載のプラスチック成形方法。
  4. 【請求項4】 複数の金型を、昇温工程、射出充填工
    程、冷却工程及び成形品取出工程に順次移送する過程
    で、前記金型により所要の成形品を成形するプラスチッ
    ク成形装置において、所定の工程時間に対応する時間
    で、各金型を各工程に順次移送する移送手段と、前記昇
    温工程でその工程時間に対応する時間もしくはその間に
    所定の温度まで金型を昇温する昇温装置と、射出成形装
    置と、前記冷却工程でその工程時間もしくはその間に所
    定の温度まで金型を冷却する冷却装置とを具備している
    ことを特徴とするプラスチック成形装置。
  5. 【請求項5】 前記昇温装置は、前記昇温工程で型を昇
    温するための温度調整部材と、前記昇温工程で金型温度
    を検出する検出手段と、前記工程時間に対応する時間内
    での昇温工程の時間を計測するタイマーと、また、前記
    タイマーの設定時間で、もしくは、前記昇温工程内で前
    記金型が所定温度に昇温された時の前記検出手段の検出
    結果に基いて、前記金型の昇温を停止する制御手段とを
    具備していることを特徴とする請求項4に記載のプラス
    チック成形装置。
  6. 【請求項6】 前記冷却装置は、前記冷却工程で金型を
    冷却するための温度調整部材と、前記冷却工程で金型温
    度を検出する検出手段と、前記工程時間に対応する時間
    内での冷却工程の時間を計測するタイマーと、また、前
    記タイマーの設定時間で、もしくは、前記冷却工程内で
    前記金型が所定温度に冷却された時の前記検出手段の検
    出結果に基いて、前記金型の冷却を停止する制御手段と
    を具備していることを特徴とする請求項4に記載のプラ
    スチック成形装置。
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