JP3571803B2 - レンズブランクの成形方法及びプラスチック光学素子の圧縮成形方法及びその成形システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばカメラ、VTRカメラ、LBP、FAX等に使用される光学レンズ及びプリズム、フレネルレンズ、回折格子、ミラー等の光学部品を成形するための原材料となり、光学部品の最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加工された光学素子の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に採用されている熱可塑性樹脂を用いた光学部品の成形方法は、例えば、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、機械切削加工等がある。これらの成形方法の中で、特に射出成形は、溶融樹脂を金型内で直接成形するため、生産工程が単純で生産能力が高くなり最も多用されている成形技術である。しかしながら、射出成形技術では、成形材料を供給する湯口(ゲート)が必要かつ不可欠であると共に、このゲートから成形に必要な圧力を付加することになるので、例えば一眼レフカメラの撮影系レンズのような円形状レンズを成形する場合、圧力分布がばらついて樹脂の流動配向が生じレンズ内部に光学的不均一をもたらし、レンズ性能を劣化させてしまう不具合がある。また近年、プラスチックの加工技術も進歩しプラスチックレンズに要求される精度も高くなり、一眼レフカメラ用レンズ等ではサブミクロンの形状誤差しか許容されなくなった。
【0003】
一方、射出圧縮成形では、光学面全体に均等な圧力を加えるので射出成形ほど圧力分布にバラツキを生じないが、ゲート形状を適正化したり、ゲートシール機構を金型内へ組み込むための問題が生じてくる。しかも流動による分子配向は射出成形同様に残ってしまう。
また、圧縮成形では、金型内に溶融樹脂を直接供給するか、予め一定の形状に加工した材料ブランクを金型内に投入して成形するのが一般的である。この材料ブランクを使用する場合、その材料ブランクは切削加工(特公平1−39337号参照)やキャスティング(特公平1−39336号、特公平1−59100号参照)、射出成形等により製作されている。また、押し出し機を併用してこの押し出し機より送出したシート材を金型へ導いて成形を行う方法も取られている(特開平2−235729号参照)。
【0004】
このように材料ブランクを使用する圧縮成形では、材料ブランクを金型内に投入後、表面または全体を再加熱して溶融状態にした後に圧力を加えて所定形状に成形される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、材料ブランクを使用する圧縮成形によってレンズ、プリズム等の光学部品を製造する場合、ブランクの製作方法と製作したブランクを金型内に投入するまでの管理状態とが最終製品である光学部品の品質に多大な影響を与える。
【0006】
一般に、レンズ等の光学部品の表面形状はサブミクロンの形状精度が必要であるとともに内部の均質性が求められ、ゴミ、コンタミ、気泡の混入があってはならない。さらに内部歪、流動配向により発生する複屈折も最小限に抑える必要がある。
このような光学部品を製作する時に、材料ブランクが吸湿していればレンズ内部や表面に気泡が発生し不良品となってしまう。
【0007】
また、材料ブランクは最終製品ではないので形状精度もさほど必要とされず、できる限り加工コストを押さえて製作したいため、成形サイクルを極端に短くする必要がある。成形サイクルを短縮するには金型内の冷却水管を効率良く配置し、冷却媒体の温度を可能な限り低くし、冷却媒体の流量を大きくしなくてはならない。
【0008】
しかしながら、成形サイクルを極端に短くすると、材料ブランクは成形中に多大な温度分布を持つことになり肉厚方向の中心部と表層部で圧縮応力と引張り応力が発生し、複屈折の大きいレンズブランクとなってしまう。レンズブランクが多大な複屈折を有する場合、これを除去するにはブランク全体をガラス転移点以上の温度に再加熱する必要があり、コストアップを招くという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術における問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、レンズブランクの成形に際し、急激な冷却に伴う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防止できるレンズブランクの成形方法を提供することにある。
また、レンズブランクを使用した圧縮成形によって光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しかつ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えるプラスチック光学素子の圧縮成形方法を提供することにある。
【0010】
また、製品の性能を維持したままで、生産効率をアップさせ且つ製品コストを低減することができるプラスチック光学素子の成形システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のレンズブランクの成形方法は、以下の工程から成る。即ち、
最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加工されたレンズブランクを成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の圧縮成形方法におけるレンズブランクの成形方法であって、一定体積に形成された前記レンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、前記成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持する応力緩和工程を備える。
【0012】
また、本発明のプラスチック光学素子の圧縮成形方法は、以下の工程から成る。即ち、
最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加工されたレンズブランクを成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の圧縮成形方法であって、前記レンズブランクが、一定体積に形成された前記レンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、前記成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持する応力緩和工程とを経て成形され、前記光学素子は、前記レンズブランクの加熱及び圧縮処理中において、少なくとも1度はその光学面形成部分が溶融温度以上の状態になって圧縮成形される。
【0013】
また、本発明のプラスチック光学素子の成形システムは、以下の構成を備える。即ち、
最終仕上がり形状と略同じ形状のレンズブランクを成形し、該レンズブランクを圧縮成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の成形システムであって、所定量の材料ペレットを溶融し、射出成形金型内に射出、充填し、前記レンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持することで応力を緩和して該レンズブランクを最終仕上がり形状と略同じ形状に成形する射出成形装置と、前記射出成形装置から取り出されたレンズブランクからスプルー及びランナを除去する切断装置と、前記レンズブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形する圧縮成形装置と、前記圧縮成形装置により成形されたレンズ完成品を収納するストッカーと、前記レンズブランク又はレンズ完成品を所定の位置に移送するハンドリングロボットとを備え、前記射出成形装置、切断装置、圧縮成形装置及びハンドリングロボットを互いに連係させて制御することによりレンズブランクの成形からレンズ完成品の収納まで自動的に実行する。
【0014】
【作用】
以上のように、本発明のレンズブランクの成形方法によれば、
射出成形にてレンズブランクを製作する過程でレンズブランクの体積を一定に保つことに重点をおき可能な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の最高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブランク表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型可能になった時点で取り出して、金型外において熱変形温度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防止できる。
【0015】
また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮形成高低に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できるレンズブランクを提供することができる。
また、本発明のプラスチック光学素子の圧縮成形方法によれば、
レンズブランクを使用した圧縮成形によって光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しかつ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えることができる。
【0016】
また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成形工程に搬送するまでの間、酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できる。
また、本発明のプラスチック光学素子の成形システムによれば、
レンズブランクの射出成形からレンズ完成品の圧縮成形までを自動的に実行できるので、製品の性能を維持したままで、生産効率をアップさせ且つ製品コストを低減することができる。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明に係わる実施例につき添付の図面を参照して詳細に説明する。
[レンズ成形方法の原理]
レンズブランクを使用した圧縮成形によって光学部品を製造するにあたり、本願発明者は種々の検討を行い気泡の混入を防止しかつ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑える製造方法を確立した。
【0018】
通常の射出成形でも材料ペレットの乾燥を怠ると発泡、白化、ジェッティング、焼け等の不良現象が発生するが圧縮成形においても同様であり、圧縮成形するレンズブランクを成形前に十分乾燥しておく必要がある。そこで、従来はこの不良対策として圧縮成形前にレンズブランクの乾燥を行っていた。しかし、この作業だけではレンズブランクの吸湿に伴う不良現象のみを防止するだけで、残留応力やそれに伴う複屈折等の内部不均一現象の改善はできなかった。本願発明者はこの点を鑑み、射出成形にてレンズブランクを製作する過程でレンズブランクの体積を一定に保つことに重点をおき可能な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の最高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブランク表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型可能になった時点で取り出して、金型外において熱変形温度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防止できるレンズブランクの製造方法を確立した。
【0019】
さらに、残留応力の低いレンズブランクを低コストで製作する方法を付加することで上述の課題を解決することができる。即ち、レンズブランクの製作コストを下げる為には成形サイクルを短縮しなければならない。成形サイクルを短縮する方法としては金型温度をできる限り低く設定しレンズブランクの表面層のみを熱変形温度以下の温度にまで冷却し、金型からの突き出しによりレンズブランクが大きく変形しない状態になった時点で金型から離型する。しかし、サイクルを短縮する為に金型温度を下げればレンズブランク表面は急激に冷却されることになり、レンズブランク表面付近と内部との間の温度差が大きくなり複屈折の原因となる残留応力が大きくなる。そこで、本願発明者は、金型からの離型後の雰囲気温度を調節することにより発生した残留応力を緩和除去する方法を確立した。この方法では、金型から突き出した時点ではレンズブランクの表面層は熱変形温度以下になっているが、内部の大部分はガラス転移点温度以上の温度を保っている。金型より離型された瞬間から金型への熱伝導による冷却から雰囲気への熱伝達による冷却に変わることになる。雰囲気への熱伝達は金型への熱伝導に比して冷却効果が極端に落ちるので、表面層からの熱の発散(熱伝達)よりも内部からの熱伝導のほうが大きくなり、熱変形温度以下になっていた表面層は内部からの熱伝導により熱変形温度以上に再度上昇する。この際に、金型の冷却温度と冷却時間と離型後の雰囲気温度を適宜制御することによって、レンズブランク全体を再度ガラス転移点温度以上に保つことが可能になる。
【0020】
一方、離型後の雰囲気温度の設定によりレンズブランク全体の温度が熱変形温度以上になる場合は、自重による変形が生じるので最終工程である圧縮成形金型に投入する際にレンズブランクがキャビティに収まらないといった不具合が生じてしまう。従って、この場合は、最終的にレンズに要求される光学性能や使用する樹脂の特性に応じてレンズブランクのハンドリング方法を変えることで余分な設備投資によるコストアップを回避できる。
【0021】
以上のように、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、レンズブランクを圧縮成形工程に搬送するまでの間に発生する酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できるようになるのである。以下では上述の原理を利用した具体的な実施例について詳細に説明する。
【0022】
[共通実施例]
以下に、後述する第1実施例〜第4実施例に共通するレンズブランクの射出成形金型の構成を共通実施例として説明する。
図1(a)、(b)は、夫々レンズブランクの側面図及び正面図である。図2Aは、レンズブランク射出成形金型の型締め状態を示す断面図である。また、図2Bは、レンズブランク射出成形金型の型開き状態を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施例にて説明するプラスチックレンズ等の圧縮成形では、予め一定の形状に加工したレンズブランク100を金型内に投入して成形する。
<レンズブランク射出成形金型の構成>
レンズブランクを成形する際には、図2Aに示す型締め状態で固定側鏡面コア3と可動側鏡面コア4とで囲まれたキャビティ11内に溶融樹脂を射出充填し、保圧冷却を行なった後レンズブランクを取り出すために金型を図2Bに示す型開き状態とする。固定側鏡面コア3及び可動側鏡面コア4には、夫々温度を一定に保持するための固定側熱電対8、可動側熱電対9とが取付けられ、固定側型板1及び可動側型板6には両型板1、6の温度を調節するための温調媒体流路10が設けられている。金型200は、固定側型板1と可動側型板6との間に設定された距離だけ移動し型開きすると、固定側型板1と可動側型板6の相対距離を一定に保つ引張りリンク7が取付けられている。また、可動側型板6は可動側取付け板2と接続されると共に、取付け板2のブロックから離脱できる構造になっている。従って、型開きする際に、引張りリンクの規制量以上に金型を開いていくと、可動側型板6が可動側取付け板2のブロックより離脱していく構造となっている。例えば、引張りリンク7の規制量以上に距離dだけ余計に型開きをすると、レンズブランク5と可動側鏡面コア4の間に距離dに応じた離型空間12が形成され、可動側鏡面コア4をレンズブランク5から離脱することができる。このとき、レンズブランク5は、可動側型板6に密着しているだけとなり、可動側鏡面コア4を反対に突き出すことで容易に可動側型板6より離型することができる。
【0024】
<レンズ圧縮成形装置の構成>
次に、本実施例のレンズブランクを最終的にレンズに成形加工するための圧縮成形装置及び圧縮成形金型の構成を説明する。図5は圧縮成形装置及び圧縮成形金型の構成を示す図である。図5において、圧縮成形機51は、上部に圧縮シリンダ69を備え、上下方向に圧縮金型を開閉できる。圧縮成形金型下型52及び上型53は圧縮成形機51により上下方向に移動する。圧縮成形機固定テーブル54は、圧縮成形金型55を固定する。圧縮成形金型55はレンズブランク57を最終レンズに加工する。圧縮成形機可動テーブル56は、圧縮シリンダ69によって上下方向に移動する。金型キャビティ58は、上型鏡面コア59と下型鏡面コア60とにより形成され、レンズブランクを最終レンズに成形する空間となる。カートリッジヒータ61は、上下型鏡面コア59、60を所定温度に加熱保持する。温度センサ62は上下型鏡面コア59、60の温度をモニターする。冷却水流路63は、圧縮成形金型上型53及び圧縮成形金型下型52を冷却するための冷却水を流す通路である。圧力センサ64は下型鏡面コア60に加わる圧力を計測するために設けられる。圧縮ロッド65は、下型鏡面コア60を上下に移動させる。変位センサ66は、圧縮ロッド65の移動量を計測する。ボールネジ67は、圧縮ロッド65を上下動させるためにサーボモータ80の回転を上下方向の移動として伝達する。圧縮成形機圧縮ラム68は圧縮成形金型上型53を上下方向に移動させる。圧縮シリンダ69は、圧縮成形機圧縮ラム68を作動させる。油圧発生源70は、油圧制御弁71及び開閉速度設定器72により調節された油圧を圧縮シリンダ69に供給する。ヒータ制御装置73及び金型温調装置76は、電気制御装置78を介してコントローラ79により制御され、カートリッジヒータ61及び冷却水流路63を流れる媒体の温度を制御する。温度変換器74、圧力変換器75及び変位変換器77は、温度センサ62、圧力センサ64、変位センサ66の検出値に基づいてコントローラ79及び電気制御装置78を介してサーボモータ80を制御する。
【0025】
[第1実施例]
次に、本発明に基づく第1実施例のレンズブランク及び最終レンズの成形方法について説明する。
<装置構成>
図3は、第1実施例におけるレンズブランク成形に用いる射出成形機及びレンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体のシステム構成を示す。図3において、21は射出成形機、22は、射出成形されたレンズブランクを一定時間保持して応力を緩和する応力緩和室、23はレンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機、24は圧縮成形機23で成形された最終レンズを保管する製品ストッカ、25はハンドリングロボットで垂直多関節型の6軸制御ロボットである。
【0026】
このハンドリングロボット25は、射出成形機21、応力緩和室22、圧縮成形機23、パレット28の間においてレンズブランクや最終レンズを移送する機能を有する。金型温度調節機26は、レンズブランク製作用金型27及び圧縮成形金型31の温度を調節する。パレット28は、圧縮成形された最終レンズを製品ストッカ24に収納するために設けられる。応力緩和工程投入口29はレンズブランクを応力緩和室22に投入するための入り口であり、レンズブランク供給口30は応力緩和工程を終了したレンズブランクを応力緩和室から取り出して圧縮成形金型に投入するための取り出し口である。
【0027】
射出成形機21で成形されたレンズブランクは、ハンドリングロボット25で応力緩和室22に移送され、応力緩和工程を終了すると圧縮成形機の金型31へ移送され、圧縮されて最終レンズに成形される。圧縮成形された最終レンズは、ハンドリングロボット25によりパレット28上に移送され製品ストッカ24に収納される。
【0028】
<レンズブランクの成形方法>
次に、第1実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
図3に示す圧縮成形レンズブランク製作用金型27はレンズブランクの製造コストを最小限に抑えるために、可能な限り簡素化する必要がある。例えば、本実施例では、目的の光学部品を得る為の圧縮成形金型は光学面を形成する部分は設計形状との形状誤差が0.1μm以下で表面粗さRZISO=0.05μm以下である鏡面駒をインサートしてキャビティを構成しているのに対して、レンズブランク成形用金型は光学面の形状誤差が3/100mm、表面粗さはRZISO=30μmとし加工精度を落としてある。ただし、圧縮成形用金型のキャビティ容積と同様のキャビティ容積に調節してある。また、成形サイクルを最小限にして製造コストを抑える為に、熱伝導解析を行なって冷却水管の断面積及び配置の最適化を行い適切な冷却水量を維持できる温調機を使用している。
【0029】
このレンズブランク成形用金型27を射出成形機にセットして成形する訳だが、射出圧力と保圧圧力が高すぎると成形品内に過大な残留応力が発生し、複屈折による光学的品質劣化を招いてしまう。成形時に発生した過大な残留応力は再度ガラス転移点以上に加熱しない限り光学的に問題のないレベルまで落とせない。光学面を形成しレンズとして仕上げる最終工程の圧縮成形において、レンズブランク全体をガラス転移温度以上に再加熱すればこの過大な残留応力を除去することができるが、加熱時間が長くかかるとともに冷却時間が長く必要になり成形期間の長期化を招いてしまって大幅なコスト高となる。一方、プラスチックレンズを使用する利点はガラスに比べて軽量で形状自由度があり生産性が高い為に生産コストが安いところにある。よって、コスト高となる成形は現実性がない。従って、本願発明者は、成形サイクルを最短にでき、かつ高精度な光学面を形成できる成形手法を目標に実験検討を行い、レンズブランクの表面層のみを軟化させて圧縮冷却する方法が最適であることを見いだした。しかしながらこの方法では、レンズ内部はガラス転移点以上の温度にはならないため、レンズブランク製作時の残留応力がそのまま最終仕上がりレンズ内部に残ってしまうことになる。従って、光学面を高精度に製作するだけではなく、レンズ内部が均質で光学的にクリヤーなプラスチックレンズを得る為には、内部に残留応力のない光学的にクリヤーなレンズブランクを製作する必要がある。以下では、第1実施例として残留応力の少ないレンズブランクを製作する方法について説明する。
【0030】
(残留応力の少ないレンズブランクを製作する方法)
製作するレンズは外径50mm、中心肉厚4mmのPMMA(ポリメタクリル酸メチル)性凹レンズである。PMMAの熱変形温度(ASTM648)は100℃でガラス転移点温度は118℃である。
まず、図2A、図2Bに示すように、温調媒体に水を使用した温調機(不図示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300Kg/cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低限の保圧力(本実施例では100kg/cm2)を10秒かけた後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から取り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金型温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部はまだ125℃の状態である。そのため、エジェクターピン等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは簡単に変形してしまう。この離型変形を回避するために第1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用している。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造になっている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可動側金型の間に離型空間12が生じるようになっている。この機構によって成形されたレンズブランクから可動側鏡面コア4が離脱する。その後、成形機のエジェクター機構によって鏡面コアを前進させキャビティからレンズブランクを突き出すようになっている。このような機構によって局部的な変形を回避することができる。
【0031】
図3に示すように、金型から突き出されたレンズブランクはハンドリングロボット25によって金型から離型され製品ストッカ24上のゲート切断装置(不図示)上に搬送される。ゲート切断装置は使用樹脂によって切断カッター部の温度を適宜設定できるようになっており、本実施例では200℃に設定されている。切断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間にゲート部が位置するように固定されてゲートが切断される。さらに、ゲート切断装置上に固定された時に上下に配置された静電除去装置によって除電されホコリの付着を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズの温度低下を防止するために静電除去装置のブローエアー温度は85℃に設定されている。
【0032】
ゲートカットされたレンズブランクは、ハンドリングロボットで応力緩和室予備室(不図示)に搬送され予備室のシャッタを閉鎖した後、内部圧を76cmHgに減圧されたタンクに通じる電磁弁を解放し予備室22内を減圧する。予備室内が減圧されたら、内部圧を76cmHgに保った応力緩和室の入口シャッタを開けてレンズブランクを応力緩和室22内に搬送し最低3時間は80℃に保つ。このように減圧雰囲気中で保持することで、応力の緩和とともに吸湿を防止しレンズブランクの酸化劣化を防止することができる。
【0033】
<最終レンズの成形方法>
光学面を形成する圧縮成形の準備が整った段階で、応力緩和工程を終了したレンズブランクを予備加熱室に移送し100℃まで加熱しておく。一方、図5に示すように、圧縮成形金型は内蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コアの部分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コアに内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出しながら、設定温度に最短で到達するようにカートリッジヒータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温度センサの指示温度が設定温度の180℃になった時点でレンズブランク投入信号を図3に示すハンドリングロボット25と圧縮成形機23に送り、設定温度を維持するようになっている。温度検出装置からレンズブランク投入信号を受け取ったハンドリングロボット25は予備加熱室内のレンズブランクを圧縮成形金型31に移送する。図5に示すように、レンズブランク57が圧縮成形金型55のキャビティ58内の所定の位置に収まったことを圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図示)によって監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮成形機は金型(パーティング面)を閉じる。この際、上下型鏡面コア59、60とレンズブランク57に過大な圧縮力が加わらない為に、予め下側の下型鏡面コア60を金型を閉じた時に可動側(下側)に鏡面コアとレンズブランクが接触しないように後退(下降)させておく。金型が完全に閉じた時点で可動側鏡面コアを前進(上昇)させ、鏡面コアとレンズブランクを接触させる。180℃に加熱された鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度が上昇し軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度を維持し続ける。本実施例では、軟化させるレンズブランクの表面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1分間保持している。鏡面コアをレンズブランクに接触させてから1分間経過した後、可動側鏡面コアの裏に内蔵してある圧力センサ64によって計測している荷重が250Kgになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コア60裏の圧力センサ64の指示値が250Kgになった時点で下型鏡面コア60の位置を保持し、カートリッジヒータ61への電流出力を遮断し、90℃に設定された冷却水を圧縮成形金型55に流して冷却する。圧縮成形金型上下型52、53の温度が90℃になった時点で、下型鏡面コアを1mm程度下降させ、下型鏡面コアを成形レンズから離しておく。次に圧縮成形金型55を型開きし、下型鏡面コアを上昇させて成形レンズを圧縮成形金型55より離型する。
【0034】
本実施例では応力緩和室を減圧雰囲気としたが、チッソガス等に置換しレンズブランクの酸化劣化と吸湿を防止する方法もある。
[第2実施例]
次に、本発明に基づく第2実施例として成形機と最終レンズを成形する圧縮成形機を同一生産ラインに設置し、残留応力の少ないレンズブランクと最終レンズを連続して生産する成形方法について説明する。
【0035】
<装置構成>
図4は、第2実施例におけるレンズブランク成形に用いる射出成形機及びレンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体のシステム構成示す。図4において、41は射出成形機、42は、射出成形されたレンズブランクのスプルー、ランナーを切断するゲート切断装置、43はレンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機、44は圧縮成形機43で成形された最終レンズを保管する製品ストッカ、45はハンドリングロボットで垂直多関節型の6軸制御ロボットである。
【0036】
このハンドリングロボット45は、射出成形機41、ゲート切断装置42、圧縮成形機43、パレット47の間においてレンズブランクや最終レンズを移送する機能を有する。金型温度調節機46は、レンズブランク製作用金型27及び圧縮成形金型31の温度を調節する。パレット47は、圧縮成形された最終レンズを製品ストッカ44に収納するために設けられる。
【0037】
射出成形機41で成形されたレンズブランクは、ハンドリングロボット45でゲート切断装置42に移送され、レンズブランクからスプルーとランナーを切断する。ゲート切断を終了したレンズブランクは、圧縮成形機へ移送され、圧縮されて最終レンズに成形される。圧縮成形された最終レンズは、金型から取り出されハンドリングロボット45によりパレット47上に移送されそのまま製品ストッカ44に収納される。
【0038】
<レンズブランクの成形方法>
次に、第2実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
この第2実施例では、インラインで成形機によって成形したレンズブランクを取り出し後、そのまま圧縮成形金型に投入して最終レンズ形状に加工する。
製作するレンズは外径50mm、中心肉厚4mmのPMMA性凹レンズである。図4に示すレンズブランクを製作する射出成形機41は隣接された圧縮成形機43の成形サイクルと連動して運転するようにプログラムされており、圧縮成形機43の冷却工程が終了した時点で圧縮成形機43から射出成形機41へ成形開始信号が出力され、この信号を受けて射出成形機41がレンズブランクの成形を開始するシステムになっている。
【0039】
図2A、図2Bに示すように、レンズブランク成形機は、温調媒体に水を使用した温調機(不図示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300Kg/cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低限の保圧力(本実施例では100kg/cm2)を10秒かけた後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から取り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金型温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部はまだ125℃の状態である。そのため、エジェクターピン等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは簡単に変形してしまう。この離型変形を回避するために第1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用している。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造になっている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可動側金型の間に空間12が生じるようになっている。この機構によって成形されたレンズブランクから可動側鏡コア4が離脱する。その後、成形機のエジェクター機構によって鏡面コアを前進させキャビティからレンズブランクを突き出すようになっている。このような機構によって局部的な変形を回避することができる。
【0040】
<最終レンズの成形方法>
金型から突き出されたレンズブランクは成形品取り出し装置(不図示)によって金型から離型され隣接されたゲート切断装置42上に搬送される。図4に示すゲート切断装置42は使用樹脂によって切断カッター部の温度を適宜設定できるようになっており、本実施例では200℃に設定されている。切断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間にゲート部が位置するように固定されてゲートが切断される。さらに、ゲート切断機上に固定された時に上下に配置された静電除去装置(不図示)によって除電されホコリの付着を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズの温度低下を防止するために静電除去装置のブローエアーは80℃に設定されている。
【0041】
ゲートカットされたレンズは、ハンドリングロボット45で直ちに圧縮成形金型48のキャビティに搬送され光学面を形成すべく圧縮冷却される。
一方、図5に示すように、圧縮成形金型は内蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コアの部分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コアに内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出しながら、設定温度に最短で到達するようにカートリッジヒータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温度センサの指示温度が設定温度の180℃になった時点でレンズブランク投入信号を図3に示すハンドリングロボット25と圧縮成形機23に送り、設定温度を維持するようになっている。図5に示すように、レンズブランク57が圧縮成形金型55のキャビティ58内の所定の位置に収まったことを圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図示)によって監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮成形機は金型(パーティング面)を閉じる。この際、上下型鏡面コア59、60とレンズブランク57に過大な圧縮力が加わらない為に、予め下型鏡面コア60を金型を閉じた時に下型鏡面コア60とレンズブランクが接触しないように後退(下降)させておく。金型が完全に閉じた時点で下型鏡面コア60を前進(上昇)させ、下型鏡面コア60とレンズブランク57を接触させる。180℃に加熱された鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度が上昇し軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度を維持し続ける。本実施例では、軟化させるレンズブランクの表面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1分間保持している。鏡面コアをレンズブランクに接触させてから1分間経過した後、下型鏡面コアの裏に内蔵してある圧力センサ64によって計測している荷重が250Kgになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コア裏の圧力センサの指示値が250Kgになった時点で下型鏡面コア60の位置を保持し、カートリッジヒータ61への電流出力を遮断し、90℃に設定された冷却水を圧縮成形金型に流して冷却する。圧縮成形金型52、53の温度が90℃になった時点で、下型鏡面コアを1mm程度下降させ、下型鏡面コアを成形レンズから離しておく。次に圧縮成形金型を型開きし、下型鏡面コアを上昇させて成形レンズを圧縮成形金型より離型する。
【0042】
[第3実施例]
次に、本発明に基づく第3実施例として残留応力の少ないレンズブランクを製作する方法最終レンズの成形方法について説明する。
<レンズブランクの成形方法>
先ず、第3実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
【0043】
この第3実施例では、レンズブランク製作型より取り出したレンズブランクを雰囲気温度に温調された最終仕上がりレンズと同形状の治具内に保持したまま温度保持工程を行う。また、この第3実施例では、図3と図4に示すレンズブランク及び最終レンズ成形装置を組み合わせた装置を用いてレンズブランク及び最終レンズを成形する。
【0044】
製作するレンズは外径50mm、中心肉厚4mmのPMMA性凹レンズである。
まず、図2A、図2Bに示すように、温調媒体に水を使用した温調機(不図示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300Kg/cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低限の保圧力(本実施例では100kg/cm2)を10秒かけた後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から取り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金型温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部はまだ125℃の状態である。そのため、エジェクターピン等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは簡単に変形してしまう。この離型変形を回避するために第1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用している。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造になっている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可動側金型の間に空間12が生じるようになっている。この機構によって成形されたレンズブランクから可動側鏡面コア4が離脱する。その後、成形機のエジェクター機構によって鏡面コアを前進させキャビティからレンズブランクを突き出すようになっている。このような機構によって局部的な変形を回避することができる。
【0045】
<最終レンズの成形方法>
図3又は図4に示すように、金型から突き出されたレンズブランクはハンドリングロボットによって金型から離型されストッカーに隣接されたゲート切断装置上の切断固定治具(図6参照)に搬送される。図6は、上述のゲート切断機上にレンズブランクを固定する治具の構成を示す。この固定治具はレンズブランク製作金型のキャビティと同形状の球面に加工されており、レンズブランクと接する面にフッ素加工を施してある。また、治具上に置かれたレンズブランクの温度低下を防止するために一定温度に温調できる構造になっている。本実施例の場合は100℃に設定されている。ゲート切断装置(不図示)は使用樹脂に応じて切断カッター部の温度を適宜設定できるようになっており、本実施例では200℃に設定されている。切断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間にゲート部が位置するように固定されてゲートが切断される。さらに、ゲート切断機上に固定された時に上下に配置された静電除去装置によって除電されたホコリの付着を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズの温度低下を防止する為に静電除去装置のブローエアー温度は85℃に設定されている。
【0046】
ゲートカットされたレンズは、ハンドリングロボットで応力緩和室予備室の搬送治具(不図示)に搬送し予備室のシャッタを閉鎖した後、内部圧を76cmHgに減圧されたタンクに通じる電磁弁を解放し予備室内を減圧する。搬送治具は、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、銅系合金からなり、レンズブランクが当接する部分にフッ素樹脂をコーティングされ、レンズブランク成形金型の固定側キャビティと同形状の球面を有し自重による変形を防止できるようにレンズブランク外形を保持できる構造となっている。予備室内が減圧されたら、内部圧を76cmHgに保った応力緩和室の入口シャッタを開けてレンズブランク応力緩和室に搬送し120℃に保つ。レンズブランク成形金型からの離脱時に熱変形温度以下に冷却された表面層はレンズブランク内部からの熱伝導によってガラス転移点以上の温度になり、応力緩和室内の雰囲気温度によってレンズブランク全体が120℃の均一温度に保たれる。このように減圧雰囲気中でガラス転移点温度に保つことで応力を緩和し、吸湿を防止できレンズブランクの酸化劣化も防止することができる。
【0047】
光学面を形成する圧縮成形の準備が整った段階で、応力緩和工程を終了したレンズブランクを成形準備室(不図示)に移送し、成形準備室内を1気圧に戻しておく。一方、図5に示すように、圧縮成形金型は内蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コアの部分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コアに内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出しながら、設定温度に最短で到達するようにカートリッジヒータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温度センサの指示温度が設定温度の180℃になった時点でレンズブランク投入信号を図3又は図4に示すハンドリングロボット25又は45と圧縮成形機23又は43に送り、設定温度を維持するようになっている。温度検出装置からレンズブランク投入信号を受け取ったハンドリングロボット25又は45は予備加熱室内のレンズブランクを圧縮成形金型31に移送する。図5に示すように、レンズブランク57が圧縮成形金型55のキャビティ58内の所定の位置に収まったことを圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図示)によって監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮成形機は金型(パーティング面)を閉じる。この際、上下型鏡面コア59、60とレンズブランク57に過大な圧縮力が加わらない為に、予め下側の下型鏡面コア60を金型を閉じた時に下型鏡面コア60とレンズブランクが接触しないように後退(下降)させておく。金型が完全に閉じた時点で下型鏡面コアを前進(上昇)させ、下型鏡面コア60とレンズブランク57を接触させる。180℃に加熱された鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度が上昇し軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度を維持し続ける。本実施例では、軟化させるレンズブランクの表面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1分間保持している。鏡面コアをレンズブランクに接触させてから1分間経過した後、下型鏡面コアの裏に内蔵してある圧力センサ64によって計測している荷重が250Kgになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コア裏の圧力センサの指示値が250Kgになった時点で下型鏡面コア60の位置を保持し、カートリッジヒータ61への電流出力を遮断し、90℃に設定された冷却水を圧縮成形金型に流して冷却する。圧縮成形金型52、53の温度が90℃になった時点で、下型鏡面コアを1mm程度下降させ、下型鏡面コアを成形レンズから離しておく。次に圧縮成形金型を型開きし、下型鏡面コア60を上昇させて成形レンズを圧縮成形金型より離型する。
【0048】
本実施例では応力緩和室を減圧雰囲気としたが、チッソガス等に置換しレンズブランクの酸化劣化と吸湿を防止する方法もある。
[第4実施例]
次に、本発明に基づく第4実施例として残留応力の少ないレンズブランクを製作する方法最終レンズの成形方法について説明する。
【0049】
<レンズブランクの成形方法>
先ず、第4実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
この第4実施例では、レンズブランク製作型より取り出したレンズブランクを雰囲気温度に温調された最終仕上がりレンズと同形状の治具内に保持したまま温度保持工程を行う。また、この第3実施例では、図3と図4に示すレンズブランク及び最終レンズ成形装置を組み合わせた装置を用いてレンズブランク及び最終レンズを成形する。
【0050】
<レンズブランクの成形方法>
製作するレンズは外径50mm、中心肉厚4mmのPMMA性凹レンズである。
まず、図2A、図2Bに示すように、温調媒体に水を使用した温調機(不図示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低限の保圧力(本実施例では100cm2)を10秒かけた後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から取り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金型温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部はまだ125℃の状態である。そのため、エジェクターピン等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは簡単に変形してしまう。この離型変形を回避するために第1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用している。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造になっている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可動側金型の間に空間12が生じるようになっている。この機構によって成形されたレンズブランクから可動側鏡面コア4が離脱する。その後、成形機のエジェクター機構によって鏡面コアを前進させキャビティからレンズブランクを突き出すようになっている。このような機構によって局部的な変形を回避することができる。
【0051】
<最終レンズの成形方法>
図3又は図4に示すように、金型から突き出されたレンズブランクはハンドリングロボットによって金型から離型されストッカーに隣接されたゲート切断装置上の切断固定治具(図6参照)に搬送される。図6は、上述のゲート切断機上にレンズブランクを固定する治具の構成を示す。この固定治具はレンズブランク製作金型のキャビティと同形状の球面に加工されており、レンズブランクと接する面にフッ素加工を施してある。また、治具上に置かれたレンズブランクの温度低下を防止するために一定温度に温調できる構造になっている。本実施例の場合は100℃に設定されている。ゲート切断装置(不図示)は使用樹脂に応じて切断カッター部の温度を適宜設定できるようになっており、本実施例では200℃に設定されている。切断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間にゲート部が位置するように固定されてゲートが切断される。さらに、ゲート切断機上に固定された時に上下に配置された静電除去装置によって除電され、ホコリの付着を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズの温度低下を防止する為に静電除去装置のブローエアーは85℃に設定されている。
【0052】
ゲートカットされたレンズは、ハンドリングロボットで応力緩和室予備室の搬送治具(不図示)に搬送し予備室のシャッターを閉鎖した後、内部圧を76cmHgに減圧されたタンクに通じる電磁弁を解放し予備室内を減圧する。搬送治具は、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、銅系合金からなり、レンズブランクが当接する部分にフッ素樹脂がコーティングされ、レンズブランク成形金型の固定側キャビティと同形状の球面を有し自重による変形を防止できるようにレンズブランク外形を保持できる構造となっている。予備室内が減圧されたら、内部圧を76cmHgに保った応力緩和室の入口シャッタを開けてレンズブランク応力緩和室に搬送し120℃に保つ。レンズブランク成形金型からの離脱時に熱変形温度以下に冷却された表面層はレンズブランク内部からの熱伝導によってガラス転移点以上の温度になり、応力緩和室内の雰囲気温度によってレンズブランク全体が120℃の均一温度に均される。このように減圧雰囲気中でガラス転移点温度に保つことで応力を緩和し、吸湿を防止できレンズブランクの酸化劣化も防止することができる。
【0053】
光学面を形成する圧縮成形の準備が整った段階で、応力緩和工程を終了したレンズブランクを成形準備室(不図示)に移送し、成形準備室内を1気圧に戻しておく。一方、図5に示すように、圧縮成形金型は内蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コアの部分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コアに内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出しながら、設定温度に最短で到達するようにカートリッジヒータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温度センサの指示温度が設定温度の180℃になった時点でレンズブランク投入信号を図3又は図4に示すハンドリングロボット25、45と圧縮成形機23、43に送り、設定温度を維持するようになっている。温度検出装置からレンズブランク投入信号を受け取ったハンドリングロボット25又は45は成形準備室内のレンズブランクを圧縮形成金型に移送する。
【0054】
ハンドリングロボットのフィンガー部は軟化状態にあるレンズブランクを変形させないで圧縮成形金型のキャビティ内の所定の位置に収めるために、フッ素樹脂製でレンズブランク成形金型の固定側光学面形状と同様の球面形状をもち、この球面形状の数ヵ所に吸引装置に通じる吸引口を備えている。フッ素樹脂を使用することによってレンズブランクのフィンガー部への張りつきを防止しキャビティへの投入を容易にしている。ハンドリングロボットは成形準備室内の搬送治具に移動したらフィンガー部がレンズブランクに接するまで吸引口から吸引しながら下降し、レンズブランクをフィンガー部に吸引保持する。
【0055】
図5に示すように、レンズブランク57が圧縮成形金型55のキャビティ58内の所定の位置に収まったことを圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図示)によって監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮成形機は金型(パーティング面)を閉じる。この際、上下型鏡面コア59、60とレンズブランク57に過大な圧縮力が加わらない為に、予め下型鏡面コア60を金型を閉じた時に下型鏡面コア60とレンズブランクが接触しないように後退(下降)させておく。金型が完全に閉じた時点で下型鏡面コアを前進(上昇)させ、鏡面コアとレンズブランクを接触させる。180℃に加熱された鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度が上昇し軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度を維持し続ける。本実施例では、軟化させるレンズブランクの表面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1分間保持している。鏡面コアをレンズブランクに接触させてから1分間経過した後、下型鏡面コア60の裏に内蔵してある圧力センサ64によって計測している荷重が250Kgになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コア裏の圧力センサの指示値が250Kgになった時点で下型鏡面コア60の位置を保持し、カートリッジヒータ61への電流出力を遮断し、90℃に設定された冷却水を圧縮成形金型に流して冷却する。圧縮成形金型52、53の温度が90℃になった時点で、下型鏡面コアを1mm程度下降させ、下型鏡面コアを成形レンズから離しておく。次に圧縮成形金型を型開きし、下型鏡面コアを上昇させて成形レンズを圧縮成形金型より離型する。
【0056】
本実施例では応力緩和室を減圧雰囲気としたが、チッソガス等に置換しレンズブランクの酸化劣化と吸湿を防止する方法もある。
[実施例の効果]
第1〜第4実施例によれば、レンズブランクを使用した圧縮成形によって光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しかつ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えることができる。
【0057】
また、通常の射出成形でも材料ペレットの乾燥を怠ると発泡、白化、ジェッティング、焼け等の不良現象が発生するが圧縮成形においても同様であり、圧縮成形するレンズブランクを成形前に十分乾燥しておく必要がある。そこで、従来はこの不良対策として圧縮成形前にレンズブランクの乾燥を行っていた。しかし、この作業だけではレンズブランクの吸湿に伴う不良現象のみを防止するだけで、残留応力やそれに伴う複屈折等の内部不均一現象の改善はできなかった。この点を鑑み本実施例では、射出成形にてレンズブランクを製作する過程でレンズブランクの体積を一定に保つことに重点をおき可能な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の最高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブランク表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型可能になった時点で取り出して、金型外において熱変形温度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防止できる。
【0058】
さらに残留応力の低いレンズブランクを低コストで製作する方法を付加することで前記課題を解決することができる。レンズブランクの製作コストを下げる為には成形サイクルを短縮しなければならない。成形サイクルを短縮する方法としては金型温度をできる限り低く設定しレンズブランクの表面層のみを熱変形温度以下の温度にまで冷却し、金型からの突き出しによりレンズブランクが大変形しない状態になった時点で金型から離型する。しかし、サイクルを短縮する為に金型温度を下げればレンズブランク表面は急激に冷却されることになり、レンズブランク表面付近と内部との間の温度差が大きくなり複屈折の原因となる残留応力が大きくなる。そこで、本願発明者は金型からの離型後の雰囲気温度を調節することにより発生した残留応力を緩和除去することを発見した。金型から突き出した時点ではレンズブランクの表面層は熱変形温度以下になっているが、内部の大部分はガラス転移点温度以上の温度を保っている。金型より離型された瞬間から金型への熱伝導による冷却から雰囲気への熱伝達による冷却に変わることになる。熱伝達は熱伝導に比して冷却効果が極端に落ちるので、表面層からの熱の発散よりも内部からの熱伝導のほうが大きくなり、熱変形温度以下になっていた表面層は内部からの熱伝導により熱変形温度以上に再度上昇する。金型の冷却温度と冷却時間と離型後の雰囲気温度を適宜制御することによって、レンズブランク全体を再度ガラス転移点温度以上に保つことが可能になる。
【0059】
また、離型後の雰囲気温度の設定によりレンズブランク全体の温度が熱変形温度以上になる場合は、自重による変形が生じるので最終工程である圧縮成形金型に投入する際にレンズブランクがキャビティに収まらないといった不具合が生じてしまう。この不具合に対しては、最終的にレンズに要求される光学性能や使用する樹脂の特性に応じてレンズブランクのハンドリング方法を変えることで余分な設備投資によるコストアップを回避できる。
【0060】
以上のように、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成形工程に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できるレンズブランクを提供することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレンズブランクの成形方法によれば、
射出成形にてレンズブランクを製作する過程でレンズブランクの体積を一定に保つことに重点をおき可能な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の最高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブランク表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型可能になった時点で取り出して、金型外において熱変形温度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防止できる。
【0062】
また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成形工程に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できるレンズブランクを提供することができる。
また、本発明のプラスチック光学素子の圧縮成形方法によれば、
レンズブランクを使用した圧縮成形によって光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しかつ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えることができる。
【0063】
また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成形工程に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できる。
また、本発明のプラスチック光学素子の成形システムによれば、
レンズブランクの射出成形からレンズ完成品の圧縮成形までを自動的に実行できるので、製品の性能を維持したままで、生産効率をアップさせ且つ製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、夫々レンズブランクの側面図及び正面図である。
【図2A】レンズブランク射出成形金型の型締め状態を示す断面図である。
【図2B】レンズブランク射出成形金型の型開き状態を示す断面図である。
【図3】第1実施例におけるレンズブランク成形に用いる射出成形機及びレンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体のシステム構成を示す図である。
【図4】第2実施例におけるレンズブランク成形に用いる射出成形機及びレンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体のシステム構成を示す図である。
【図5】圧縮成形装置及び圧縮成形金型の構成を示す図である。
【図6】切断固定治具を示す図である。
【符号の説明】
51…圧縮成形機
52…圧縮成形金型下型
53…圧縮成形金型上型
54…圧縮成形機固定テーブル
55…圧縮成形金型
56…圧縮成形機可動テーブル
57…レンズブランク
58…金型キャビティ
59…上型鏡面コア
60…下型鏡面コア
61…カートリッジヒータ
62…温度センサ
63…冷却水流路
64…圧力センサ
65…圧縮ロッド
66…変位センサ
67…ボールネジ
68…圧縮成形機圧縮ラム
69…圧縮シリンダ
70…油圧発生源
71…油圧制御弁
72…開閉速度設定器
73…ヒータ制御装置
74…温度変換器
75…圧力変換器
76…金型温調装置
77…変位変換器
78…電気制御装置
79…コントローラ
80…サーボモータ
Claims (9)
- 最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加工されたレンズブランクを成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の圧縮成形方法におけるレンズブランクの成形方法であって、
一定体積に形成された前記レンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、前記成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持する応力緩和工程を備えることを特徴とするレンズブランクの成形方法。 - 前記応力緩和工程において、前記レンズブランクの自重による変形を防止するために、最終仕上がりレンズと略同じ形状の搬送治具を用い、該レンズブランクは該搬送治具内に収納された状態で保持されることを特徴とする請求項1に記載のレンズブランクの成形方法。
- 前記搬送治具はアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、銅系合金からなり、前記レンズブランクが当接する部分にフッ素樹脂をコーティングされていることを特徴とする請求項2に記載のレンズブランクの成形方法。
- 前記応力緩和工程において、前記レンズブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形するまでの間、所定圧力に減圧された雰囲気中で保管することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレンズブランクの成形方法。
- 前記応力緩和工程において、前記レンズブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形するまでの間、所定圧力に減圧された雰囲気中又は不活性ガスを充填された雰囲気中で予備加熱状態に保持することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレンズブランクの成形方法。
- 最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加工されたレンズブランクを成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の圧縮成形方法であって、
前記レンズブランクが、
一定体積に形成された前記レンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、前記成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持する応力緩和工程とを経て成形され、
前記光学素子は、前記レンズブランクの加熱及び圧縮処理中において、少なくとも1度はその光学面形成部分が溶融温度以上の状態になって圧縮成形されることを特徴とするプラスチック光学素子の圧縮成形方法。 - 最終仕上がり形状と略同じ形状のレンズブランクを成形し、該レンズブランクを圧縮成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の成形システムであって、所定量の材料ペレットを溶融し、射出成形金型内に射出、充填し、前記レンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持することで応力を緩和して該レンズブランクを最終仕上がり形状と略同じ形状に成形する射出成形装置と、
前記射出成形装置から取り出されたレンズブランクからスプルー及びランナを除去する切断装置と、
前記レンズブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形する圧縮成形装置と、
前記圧縮成形装置により成形されたレンズ完成品を収納するストッカーと、
前記レンズブランク又はレンズ完成品を所定の位置に移送するハンドリングロボットとを備え、
前記射出成形装置、切断装置、圧縮成形装置及びハンドリングロボットを互いに連係させて制御することによりレンズブランクの成形からレンズ完成品の収納まで自動的に実行することを特徴とするプラスチック光学素子の成形システム。 - 前記切断装置は、前記レンズブランクを所定位置に保持すると共に、該レンズブランクと略同じ形状の切断固定治具を更に備え、
前記切断固定治具は前記レンズブランクと接する部分にフッ素加工を施されていると共に、該ブランクの温度低下を防止するために温度調節可能な構造になっていることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック光学素子の成形システム。 - 前記ハンドリングロボットの物品把持部は、前記レンズブランクが当接する部分にフッ素樹脂をコーティングされていると共に、軟化状態にあるレンズブランクの変形を防止するために前記射出成形装置の固定側光学面形状と略同じ形状に形成され、該ブランクを吸引するための複数の吸引口を備えることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック光学素子の成形システム。
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