JP6345712B2 - レンズ製造方法、それに用いられる樹脂原料およびその製造方法によって得られるレンズ - Google Patents

レンズ製造方法、それに用いられる樹脂原料およびその製造方法によって得られるレンズ Download PDF

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    • B29D11/00442Curing the lens material

Description

本発明は、レンズ製造方法、それに用いられる樹脂原料およびその製造方法によって得られるレンズに関する。より詳細には、本発明は、光学素子として使用されるプラスチック・レンズの製造方法、及びそれに用いられる樹脂原料に関すると共に、かかる製造方法によって得られるプラスチック・レンズにも関する。
レンズは一般的には光学素子として使用される。特にプラスチック・レンズは、比重がガラス・レンズよりも小さく軽量であって、成形加工性が良く、耐衝撃性が高いなどいった理由から、様々な光学系用途に用いられている。
プラスチック・レンズは、成形を通じて得ることができる。つまり、金型を用いて樹脂原料に所望のレンズ形状を付与してプラスチック・レンズが得られる。
特開2007−331311号公報 特開2009−061676号公報 特開2011−167988号公報 特開2012−183835号公報
光学素子として使用されるプラスチック・レンズの製造方法としては、樹脂原料を射出成形に付した後で圧縮成形に付すプロセスが考えられる。つまり、射出成形用金型でプラスチック・レンズの元となるレンズ前駆体を得た後、かかるレンズ前駆体を圧縮成形金型でもって圧縮することによってプラスチック・レンズを得る。
かかる製造方法では、射出成形金型から圧縮成形金型へとレンズ前駆体を移すに際して、ハンドリングおよび製品品質などの観点から射出成形用金型内にてレンズ前駆体を十分に冷却する必要があると一般に考えられている。つまり、かかるレンズ前駆体は十分な冷却に付した後で射出成形金型から取り出されることになる。なぜなら、十分に冷却しないままレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すと、レンズ前駆体が依然軟性を有し得、時間の経過に伴ってレンズ前駆体の形状が変化してしまう虞があると考えられているからである。また、そのように十分に冷却しないと、“軟性”ゆえにレンズ前駆体の把持が困難となるだけでなく、かかる把持によってレンズ前駆体の形状が局所的に変形してしまう虞もあると考えられている。
一方で、プラスチック・レンズは、高い品質を保持しながらも、大量生産を行うニーズがある。効率良く大量生産を行うには、繰り返し行う射出成形・圧縮成形のサイクル単位を短くする必要があるものの、過度に短いサイクル単位は品質低下につながり得ると考えられている。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。本発明の主たる目的は、レンズ品質を低下させず大量生産のニーズを好適に満たすことができるレンズ製造方法を提供することである。
本願発明者らは、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記目的の達成を試みた。その結果、かかる目的が達成されたレンズ製造方法の発明に至った。
具体的には、本発明のレンズ製造方法は、
(i)熱可塑性樹脂原料を用いて射出成形を行い射出成形金型内でレンズ前駆体を得る工程、および
(ii)レンズ前駆体を圧縮成形金型内へと配置し、レンズ前駆体を圧縮成形に付す工程
を含んで成り、
工程(i)の射出成形から工程(ii)の圧縮成形へとレンズ前駆体を移すに際しては、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す。
本発明のレンズ製造方法は、射出成形金型からのレンズ前駆体の取出しに特徴の1つがある。具体的には、本発明の製造方法では、射出成形金型から圧縮成形金型へとレンズ前駆体を移すに際してレンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す。
本明細書において「レンズ」とは、光学素子として利用されるプラスチック・レンズのことを実質的に意味している。
また、本明細書において「レンズ前駆体」とは、所望のレンズを得るべく成形される射出成形体のことを指している。つまり、レンズを得るべく射出成形で予め成形付与された樹脂成形体が「レンズ前駆体」に相当する。
ある好適な態様において、射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度は式1に基づいて間接的に把握する。
Figure 0006345712

つまり、式1に基づいて射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度を間接的に把握し、それによって、レンズ前駆体の中心温度が「熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上」にあるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す。
別のある好適な態様においては、複数のレンズを並列的に製造する。かかる態様では、あるレンズ前駆体をその中間点ガラス転移温度以上で取り出した射出成形金型に対して、引き続き可及的に速やかに熱可塑性樹脂原料を射出して別のレンズ前駆体を得る。
更に別のある好適な態様では、工程(ii)の圧縮成形に付すに先立ってレンズ前駆体を射出成形金型から取り出した状態で冷却に付す。つまり、射出成形金型内にてレンズ前駆体を実質的な冷却に付すのではなく、それから取り出した後の雰囲気下(例えば外界雰囲気下)でレンズ前駆体を実質的な冷却に付す。
更に別のある好適な態様では、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を特に冷却に付すことなく、圧縮成形金型に移す。つまり、レンズ前駆体を実質的な冷却に付さずに射出成形金型内から取り出したレンズ前駆体を可及的速やかに圧縮成形金型へと仕込む。
更に別のある好適な態様において、工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料としては、JIS K7206(B50法)で測定したビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下であり、また、JIS K7210で測定したメルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下となった熱可塑性樹脂原料を用いる。
更に別のある好適な態様において、工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料として(メタ)アクリル樹脂を用いる。かかる態様では、(メタ)アクリル樹脂は、例えば、「メタクリル酸エステル」と「メタクリル酸エステル以外の単量体」とからなる共重合体であってよい。
工程(i)で得られるレンズ前駆体の好適な態様としては、最大厚み寸法が10mm以上かつ150mm以下であり、最大幅寸法が10mm以上かつ200mm以下である。つまり、ある好適な態様では、このような最大寸法を有するレンズ前駆体をその原料樹脂の中間点ガラス転移温度以上の条件下で射出成形金型から取り出すことになる。
更に別のある好適な態様において、工程(ii)では圧縮成形金型の金型温度Tp(℃)と熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg(℃)とがTmg+45≦Tp≦Tmg+85の関係を満たし、圧縮成形金型の圧縮圧力が15kN以上かつ80kN以下となり、また、圧縮成形金型による圧縮時間が110秒以上かつ200秒以下となる条件でもってレンズ前駆体を圧縮成形に付す。
本発明の製造方法の工程(ii)は、
(a)圧縮成形金型内でレンズ前駆体を加熱に付すサブ工程、
(b)加熱されたレンズ前駆体を圧縮成形に付すサブ工程、および
(c)レンズ前駆体の圧縮成形で得られたレンズを圧縮成形金型内にて冷却に付すサブ工程
を含んで成るものであってよい。換言すれば、工程(ii)の圧縮成形では、レンズ前駆体を予め加熱する加熱工程、そのように予め加熱されたレンズ前駆体を圧縮成形する圧縮成形工程、および圧縮成形により得られたレンズを冷却する冷却工程を含んでいることが好ましい。かかる場合、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型を搬送した状態でもって、加熱サブ工程(a)、圧縮成形サブ工程(b)および冷却サブ工程(c)を順次実施することが好ましい。つまり、レンズ前駆体が内在する圧縮成形金型は、“加熱”、“圧縮成形”および“冷却”の各工程に、この順に連続して搬送させることが好ましい。
本発明では、上記の製造方法で好適に使用される熱可塑性樹脂原料も提供される。より具体的には、上記レンズ製造方法で使用される(メタ)アクリル樹脂が本発明では提供される。
更に本発明では、上記の製造方法で得られるレンズも提供される。ある好適な態様では上記の製造方法で得られるレンズは、車両ランプ・レンズである。
本発明に従えば、レンズ品質を実質的に低下させることなく、効率良くレンズ生産を行うことができる。具体的には、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すので、その取り出した後の射出成形金型を別のレンズ前駆体形成へと速やかに利用でき、効率的な大量生産の実現に資する。
また、本発明では、そのように早期にレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すにも拘わらず、最終的に得られるレンズ品としての品質は実質的に低下し得ない。つまり、中間点ガラス転移温度以上の条件で射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を圧縮成形に付した場合には予想外にも最終的なレンズ品としての品質は特に低下せず、現実的なレンズ製造プロセスとして特に望ましいことを本願発明者らは見出した。
このように本発明は、レンズ品質を満たしながらも、大量生産を行うニーズをも好適に満たしたものとなっている。
図1は、本発明の概念を説明するための模式図である。 図2は、「中間点ガラス転移温度(Tmg)」を説明するための熱量分析グラフ(DSC曲線)である。 図3は、レンズ前駆体の模式図である(図3(a):斜視図、図3(b)および図3(c):断面図) 図4は、圧縮成形工程で実施され得るサブ工程のある一態様を模式的に示した斜視図である。 図5は、圧縮成形工程で実施され得るサブ工程のある一態様を模式的に示した斜視図である。 図6は、レンズの模式図である(図6(a):斜視図、図6(b)断面図)
以下にて、本発明に係るレンズ製造方法、それに用いられる樹脂原料およびその製造方法によって得られるレンズを詳細に説明する。尚、図面に示す形態などは、本発明の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比や外観などは実物と異なり得ることに留意されたい。
[本発明のレンズ製造方法]
本発明のレンズ製造方法は、熱可塑性樹脂原料を用いて射出成形を行い射出成形金型内でレンズ前駆体を得る工程(i)と、そのようにして得られたレンズ前駆体を圧縮成形金型で圧縮成形に付す工程(ii)とを少なくとも有する。特に本発明のレンズ製造方法では、レンズ前駆体の取り扱いを特定の条件下で行う。具体的には、工程(i)における射出成形金型から工程(ii)における圧縮成形金型へとレンズ前駆体を移すに際しては、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す。図1には本発明の概念を模式的に表している。
このように本発明では、射出成形用金型内でレンズ前駆体を十分な冷却に付すことを敢えて行わず、レンズ前駆体が中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を早期に射出成形金型から取り出す。換言すれば、十分な冷却に付す前段階にある中間点ガラス転移温度以上の条件でレンズ前駆体を射出成形金型から取り出し、そのように取り出したレンズ前駆体を圧縮成形金型へと仕込む。
ここで従来技術における当業者の認識について説明しておく。従来においては、射出成形から圧縮成形へと射出成形体を移すに際しては特段の検討が及ぶものではなく、射出成形体を射出成形金型から取り出して圧縮成形金型へと仕込むといった操作以上の考慮は特に及んでいなかった。また、仮に考慮が及んだとしても、射出成形金型から圧縮成形金型へと射出成形体を移すに際してはハンドリングおよび製品品質などの観点から射出成形用金型内において射出成形体を十分に冷却する必要がある、との当業者の認識が一般的であった。この点につき、本願発明者らが鋭意検討した結果、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すと、予想外にも最終的なレンズ品として品質が特に低下しないことを本願発明者らは見出した。つまり、中間点ガラス転移温度以上の条件でレンズ前駆体を射出成形金型から取り出し、そのような条件で取り出されたレンズ前駆体を圧縮成形金型へと仕込んでレンズを得た場合には、レンズ品としての品質に特に問題はなく、レンズ製造プロセスとして十分に意義を有するものであることが分かった。特に、取り出した後の射出成形金型を別のレンズ前駆体形成へと速やかに利用できるので、効率的な大量生産の実現に大きく寄与し、その有益性が大きいことも見出した([先行技術文献]で挙げた特許文献1〜4では、このようなレンズ製造の生産性については特に考慮されていない)。
このように案出されたものゆえ、本発明の製造方法は、射出成形金型で得られたレンズ前駆体をあくまでも特定の条件下で取り出すことを特徴としている。
ここで、本発明の製造方法は、射出成形金型からのレンズ前駆体の取出しを「レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上」の条件下で行うが、より好ましくは「レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上」かつ「レンズ前駆体の中心温度が200℃以下」の条件で行う。つまり「レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上」であることを前提として、「レンズ前駆体の中心温度が200℃以下」の条件で射出成形金型からのレンズ前駆体の取出しを行うことが好ましい。なぜなら、レンズ前駆体の中心温度が200℃よりも高いと、レンズ前駆体の取出し時にレンズ前駆体の形状が崩れることがあるだけでなく、取出し後において収縮に起因した真空ボイドがレンズ前駆体の中央部に発生することがあるからである。尚、上記の取出し温度(レンズ前駆体を射出成形金型から取り出す際の温度)の上限値は「レンズ前駆体の中心温度が200℃以下」であるが、好ましくは「レンズ前駆体の中心温度が190℃以下」、より好ましくは「レンズ前駆体の中心温度が180℃以下」、更に好ましくは「レンズ前駆体の中心温度が170℃以下」である。
本発明を更に詳細に説明していく。本発明に係るレンズ製造方法の工程(i)では、熱可塑性樹脂原料を用いて射出成形を行い射出成形金型内でレンズ前駆体を得る。具体的には、熱可塑性樹脂原料を射出成形金型内へと射出してレンズ前駆体を得る。
工程(i)の射出成形金型は、いわゆる射出成形機に備えられている“プラスチック成形用の金型”である。それゆえ、本発明における射出成形金型は、典型的には固定側金型と可動側金型とから構成されている。射出成形機自体は、原料投入口となるホッパー部、原料が溶融されるシリンダ部(例えばスクリュー・シリンダ部)、溶融された原料が注入される金型を有して成る。射出成形機の型開閉機構は、特に制限されるものではないが、電動式または油圧式であってよい。
工程(i)で用いられる樹脂原料は、熱可塑性樹脂である。つまり、熱をかけると軟化・溶融するが、これを冷却すると固化する樹脂原料を射出成形金型内へと射出する。熱可塑性樹脂原料は、例えば、ペレット形態として射出成形機に投入してよい。つまり、ペレット状の熱可塑性樹脂原料を射出成形機のホッパー部へと投入してよく、それによって、熱可塑性樹脂原料がシリンダ(例えばスクリュー・シリンダー)で溶融させられ、溶融した熱可塑性樹脂原料が射出成形金型内へと射出されることになる。
射出成形のプロセス条件としては、例えば、シリンダ温度、射出成形金型の金型温度および射出速度などが考えられる。それらのプロセス条件は、例えば熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度に鑑みて適宜調整すればよい。あくまでも例示にすぎないが、シリンダー温度は180℃以上かつ250℃以下程度であってよく、好ましくは180℃以上かつ240℃以下程度、更に好ましくは180℃以上かつ230℃以下程度である。射出成形金型の金型温度は、60℃以上かつ120℃以下程度であってよく、好ましくは70℃以上かつ110℃以下程度、より好ましくは80℃以上かつ100℃以下程度である。射出速度は0.1mm/s以上かつ2.0mm/s以下程度、好ましくは0.1mm/s以上かつ1.5mm/s以下程度、より好ましくは0.2mm/s以上かつ1.0mm/s以下程度である。
熱可塑性樹脂原料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。
特に本発明では、JIS K7206(B50法)で測定したビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下であり、また、JIS K7210で測定したメルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下となった熱可塑性樹脂原料を用いることが好ましい。かかる樹脂原料を用いた場合では、製造プロセスの観点のみならず、得られるレンズ品の品質向上に寄与する。
具体的には、熱可塑性樹脂原料のメルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下となることで、工程(i)におけるレンズ前駆体の取り出し時期を更に早くすることができる。つまり、かかる条件では熱可塑性樹脂原料を射出成形金型内に射出した後における樹脂温度が効率よく低下するようになり、結果的に、中間点ガラス転移温度以上の条件でレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すまでの時間を更に短縮することができる。熱可塑性樹脂原料のメルトマスフローレイト(JIS K7210)は、より好ましくは1.5g/10min以上かつ15g/10min以下であり、更に好ましくは1.5g/10min以上かつ13g/10min以下である。
一方、熱可塑性樹脂原料のビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下となることで、本発明の製造方法で得られるレンズが耐熱性により優れたものとなる。レンズの耐熱性がより優れることで、周辺環境が高温となる光源近傍においてレンズを好適に長時間配置することができる。熱可塑性樹脂原料のビカット軟化温度(JIS K7206(B50法))は、より好ましくは105℃以上かつ118℃以下であり、更に好ましくは106℃以上かつ115℃以下である。
工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料として特に好適なものは、(メタ)アクリル樹脂である。なぜなら、高透過率、低複屈折、高硬度および耐擦傷性などの性質を有するからである。そのような性質を有する(メタ)アクリル樹脂は、結果的に、最終製品たるレンズにとって特に好ましいだけでなく、「レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す」といった本発明の特徴的なプロセス態様の点からも好ましくなる。特に得られるレンズの耐熱性および機械特性を特に重視する場合、(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50000以上かつ200000以下であり、より好ましくは60000以上かつ180000以下であり、更に好ましくは70000以上かつ150000以下である。
(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体またはそれらの2種以上の共重合体、(メタ)アクリル系モノマーとその他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。なお、本明細書において『(メタ)アクリル』といった用語は「アクリル」または「メタクリル」を実質的に意味し、それゆえ、簡易的には(メタ)アクリルを“アクリル樹脂”と称すこともできる。
(メタ)アクリル樹脂としては、優れた硬度、耐候性、透明性および耐熱性などを有する点から、メタクリル樹脂を用いることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする単量体を重合して得られる重合体であり、例えば、メタクリル酸エステルの単独重合体、2種以上のメタクリル酸エステルからなる共重合体である。また、メタクリル樹脂としては、メタクリル酸エステルとメタクリル酸エステル以外の単量体とからなる共重合体なども好ましい。メタクリル酸エステルとメタクリル酸エステル以外の単量体とからなる共重合体の場合、単量体総量に対して、メタクリル酸エステルが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、メタクリル酸エステル以外の単量体が50重量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらの中でも、アルキル基部分の炭素数が1〜8個のメタクリル酸アルキルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。メタクリル酸エステルは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル以外の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体、不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、エチレン性不飽和酸単量体、エチレン性不飽和スルホン酸エステル単量体、エチレン性不飽和アルコールおよびそのエステル単量体、エチレン性不飽和エーテル単量体、エチレン性不飽和アミン単量体、エチレン性不飽和シラン単量体、ハロゲン化ビニル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸エステルが好ましく用いられる。メタクリル酸エステル以外の単量体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸磯プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらの中でも、アルキル基部分の炭素数が1〜8個のアクリル酸アルキルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸磯プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチルがより好ましく、アクリル酸メチルがさらに好ましい。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、p−アミノスチレン、p−アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、α−ビニルナフタレン、1−ビニルナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ビニルフルオレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルビリジンなどが挙げられる。この中でもスチレンが好ましい。
不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシエチルアクリルアミド、N−ブトキシエチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−n−プロピオキシメチルアクリルアミド、N−n−プロピオキシメチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
エチレン性不飽和酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸のようなエチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸などが挙げられる。エチレン性不飽和酸単量体は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアなどで中和されていてもよい。
エチレン性不飽和スルホン酸エステル単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸アルキル、イソプレンスルホン酸アルキルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和アルコールおよびそのエステル単量体としては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、カプロン酸メタリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリル、アルキルスルホン酸ビニル、アルキルスルホン酸アリル、アリールスルホン酸ビニルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和エーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和アミン単量体としては、例えば、ビニルジメチルアミン、ビニルジエチルアミン、ビニルジフェニルアミン、アリルジメチルアミン、メタリルジエチルアミンなどが挙げられる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエチルシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルアリルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニル単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、1,2−ジクロロエチレン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、1,2−ジブロモエチレンなどが挙げられる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,2−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖および側鎖共役ヘキサジエンなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂原料として(メタ)アクリル樹脂を用いる場合、メタクリル酸メチルの単独重合体(ポリメタクリル酸メチル)、または、80〜99.9重量%のメタクリル酸メチルと0.1〜20重量%のメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとからなる共重合体が特に好ましい。80〜99.9質量%のメタクリル酸メチルと0.1〜20質量%のメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとからなる共重合体とは、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとの合計を100重量%とするとき、メタクリル酸メチルが80〜99.9重量%の割合で含有され、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルが0.1〜20重量%の割合で含有される単量体混合物を重合させて得られる共重合体である。この単量体混合物中に、メタクリル酸メチルが好ましくは85〜99.5質量%の割合で含有され、より好ましくは90〜99.5質量%の割合で含有される。
本発明に係るレンズ製造方法では、工程(i)の射出成形から工程(ii)の圧縮成形へとレンズ前駆体を移すに際してレンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す。
ここで、本発明における「中間点ガラス転移温度」とは、JIS K7121に掲載されているガラス転移温度Tmgのことを実質的に意味している。より具体的に説明しておくと、図2に示すような熱量分析結果(DSC曲線)において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度が、本発明における「中間点ガラス転移温度(Tmg)」に相当する。尚、図2のグラフ中に示された『Tig』は“補外ガラス転移開始温度”と称されるものであり、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線のこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である。また、図2のグラフ中に示された『Teg』は“補外ガラス転移終了温度”と称されるものであり、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線のこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である(階段状変化の高温側にピークが現れる場合の補外ガラス転移終了温度Tegは、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの高温側の曲線にこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度となる)。
また、本発明における「レンズ前駆体の中心温度」は、レンズ前駆体の中央部の温度のことを指している。簡易的にいうと、「レンズ前駆体の中心温度」は、図3(特に図3(b))に示されるように、レンズ前駆体100’の曲面頂部ポイントAと、その頂部ポイントAの接線に対して垂直な方向に位置するレンズ底ポイントBとの中間に位置するポイントにおける温度である。
「射出成形金型内におけるレンズ前駆体の中心温度」は、各種サーモメーターで直接的に測定してもよいものの、本願発明者らは、鋭意検討した結果、かかる温度を別の尺度から間接的に把握することによって効率的な製造プロセスが実現できることが分かった。具体的には、射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度は以下の式1に基づいて間接的に把握し、それによって、レンズ前駆体の取出し時期を判断できることを本願発明者らは見出した。
Figure 0006345712

つまり、本発明の特に好適な態様では、式1に基づいて射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度を間接的に把握し、そのようにして把握された温度が熱可塑性樹脂原料の“中間点ガラス転移温度以上”であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出す。
上記式1につき詳述しておく。tlaは射出成形金型内のレンズ前駆体にもたらされる冷却時間である。具体的には、tlaは、射出された樹脂原料が流動停止した時点を起点にした経過時間であり、即ち、射出成形金型内への熱可塑性樹脂原料の充填が完了した時点からの時間を意味している。S[mm]はレンズ前駆体の最大厚みである。つまり、図3(c)で示されるレンズ前駆体の最大厚さT'maxが“S”に相当する(尚、かかるT'maxは射出成形金型のキャビティ寸法からも間接的に把握することができる)。α[mm/s]は射出成形金型の表面温度における熱可塑性樹脂原料の熱拡散率である。具体的には、α[mm/s]は、射出成形金型のキャビティ表面温度における熱可塑性樹脂原料の熱拡散率のことを意味している。“α”自体は以下の式から算出することができる。

α=λ/(c・ρ)
λ[kcal/m・h・℃]:熱可塑性樹脂原料の熱伝導率、
c[kcal/kg・℃]:熱可塑性樹脂原料の比熱
ρ[kg/m]:熱可塑性樹脂原料の密度

また、θr[℃]は射出成形金型へと射出される熱可塑性樹脂原料温度である。便宜上は、θrとして射出成形機のシリンダ温度を用いることができる。θ[℃]は、射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度である。つまり、θはレンズ前駆体の中央部の温度のことを指しており、便宜上「レンズ前駆体の中心温度」は、図3に示されるように、レンズの曲面頂部ポイントAと、その頂部ポイントAの接線に対して垂直な方向に位置するレンズ底ポイントBとの間に位置する中間ポイントでの温度とすることができる。θ[℃]は射出成形金型の表面温度である。より具体的には、射出成形金型のキャビティ表面温度である。
本発明の製造方法では、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体は、直ちに圧縮成形金型内へと配置してもよく、あるいは、冷却に付した後で圧縮成形金型内に設置してもよい。
前者の場合、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を実質的な冷却に付すことなく、圧縮成形金型に移すことになる。ここでいう「冷却に付すことなく」といった表現は、射出成形金型から取り出されたレンズ前駆体を外界雰囲気下で積極的に冷却に付さないことを実質的に意味している。つまり、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を引き続き可及的速やかに圧縮成形金型へと仕込むことを意味している。かかる場合、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体は、好ましくはその中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上となった条件下で圧縮成形金型へと移されることになる。
一方、後者の場合、工程(ii)の圧縮成形に付すに先立ってレンズ前駆体は射出成形金型から取り出された状態で冷却に付されることになる。つまり、射出成形金型内においてレンズ前駆体を実質的な冷却に付すのではなく、それから取り出した後の雰囲気下でレンズ前駆体を実質的な冷却に付す。かかる場合、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体は、その中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度未満にまで降温されて圧縮成形金型へと移されることが好ましい。工程(ii)の圧縮成形に付すに先立っての冷却法としては、レンズ前駆体を冷却して中心温度を低下させることができる手法であれば特に限定されず、例えば、レンズ前駆体を取り出した環境下に静置する手法、水中にレンズ前駆体を投入する手法、水、空気または窒素などをレンズ前駆体へと吹き付ける手法、温度の低い環境下にレンズ前駆体を静置する手法などが挙げられる。ここで、本願発明者らは、射出成形金型から取り出した後の雰囲気下でレンズ前駆体を冷却するのに要する時間は、射出成形金型内でレンズ前駆体を同一温度にまで冷却するのに要する時間よりも短くなることを見出した(特に、外界雰囲気下に静置してレンズ前駆体を冷却する場合であっても、射出成形金型内でレンズ前駆体を同一温度にまで冷却するのに要する時間よりも冷却時間が短くなることが分かった)。つまり、かかる態様によれば、工程(i)と工程(ii)との間に冷却プロセスを付加的に有する場合であっても、レンズ製造時間は従来の製造方法によりも短くなり、効率的な生産が実現されることが分かった。尚、このような射出成形金型外の雰囲気下における冷却は、表面凹凸が減じられた外観が良好なレンズを得る観点から「レンズ凸部101’を成す面」と「レンズ底部102’を成す面」とを反転させながら(図3(c)参照)、レンズ前駆体を冷却することが好ましい。つまり、レンズ前駆体の向きを変えながら冷却することが好ましい。レンズ前駆体を上下反転させず一定向きを維持した状態で冷却を行うと、レンズ前駆体の表面が変形し得、場合によってはその変形が工程(ii)の圧縮成形でも修正できずに、レンズ表面に凹凸として残ることが懸念されるからである。
本発明の製造方法は、複数のレンズを並列的に得ることができる。具体的には、あるレンズ前駆体がその中間点ガラス転移温度以上で取り出された射出成形金型に対して、引き続いて熱可塑性樹脂原料を射出して別のレンズ前駆体を得ることができる。つまり、射出成形用金型内でレンズ前駆体を十分な冷却に付すことを敢えて行わず、レンズ前駆体が中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を早期に射出成形金型から取り出し、そのように取り出された射出成形金型を次のレンズ前駆体の成形に可及的速やかに利用する。かかる場合、射出成形用金型を複数のレンズ前駆体成形に効率的に供することができ、結果として、複数のレンズの効率的な大量生産が実現され得る。このようにレンズの並列的な大量生産を効率良く行う観点からの検討は従来技術では十分になされていないところ、本発明はかかる生産性にも鑑みており、その点でも本発明は有益である。
生産性につき詳述しておくと、本発明ではレンズ1個当たりの製造時間が従来技術より相当に減じられることになる。具体的には、射出成形および圧縮成形を経てレンズ製造を行う場合、本発明の方法に従えば、同様の条件下の従来技術の手法よりもレンズ1個当たりの製造時間を少なくとも20%減じることができ、好ましくは少なくとも30%減じる、より好ましくは少なくとも40%減じる、更に好ましくは少なくとも50%減じることができる(例えば、約60%減じることができる)。
例えば、あるレンズ前駆体をその中間点ガラス転移温度以上で射出成形金型から取り出し、そのレンズ前駆体の中心温度が依然「熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上」である時期に、引き続いて別のレンズ前駆体を得るべく熱可塑性樹脂原料を射出してよい。換言すれば、取り出されたレンズ前駆体が十分な冷却に付される前(例えば、射出成形金型から取り出されたレンズ前駆体を圧縮成形金型へと仕込む前、あるいは、圧縮成形へと仕込むに先立ってレンズ前駆体を射出成形金型外で十分な冷却に付す前など)に、射出成形金型を次のレンズ前駆体成形に供してよい。
本発明の製造方法の工程(i)で得られるレンズ前駆体は、最大厚み(具体的には、図3(b)および3(c)に示されるように、レンズの曲面頂部ポイントAの接線に対して垂直な方向におけるレンズの最大厚さ「T’max」)が、工程(ii)で得られるレンズにおける最大厚みTmax(図6参照)よりも大きいことが好ましい。何故なら、工程(ii)の圧縮成形金型内で十分な圧縮にレンズ前駆体が付され易くなるからであり、結果的に、圧縮成形金型内のキャビティ形状、すなわち所望するレンズの形状の通り精度良く成形され易くなるからである。
外観の良好なレンズを短時間で製造する観点からいえば、工程(i)で得られるレンズ前駆体について最大厚み寸法(例えば、図3(c)に示されるレンズ前駆体100’の最大厚さT'max)は10mm以上かつ150mm以下であることが好ましく、より好ましくは10mm以上かつ130mm以下であり、更に好ましくは10mm以上かつ100mm以下である。同様に、外観の良好なレンズを短時間で製造する観点からいえば、工程(i)で得られるレンズ前駆体について最大幅寸法(例えば、図3(c)に示されるフランジ部102’を除いたレンズ体の有効最大幅寸法W'max)は10mm以上かつ200mm以下であることが好ましく、より好ましくは20mm以上かつ130mm以下であり、更に好ましくは30mm以上かつ120mm以下である。このような具体的寸法の如くレンズ前駆体の最大厚みや最大幅を小さくすることで、レンズ前駆体またはそれから得られるレンズの冷却に要する時間をより短縮することができる。
ある好適な態様では、工程(i)で得られるレンズ前駆体については、最大厚み寸法が10mm以上かつ150mm以下であると共に、最大幅寸法が10mm以上かつ200mm以下である。つまり、本発明の製造方法のある好適な態様では、そのような最大厚み寸法および最大幅寸法のレンズ前駆体を得ることができる金型キャビティを備えた射出成形金型を工程(i)で用いることになる。
工程(i)に引き続いて工程(ii)を実施する。つまり、レンズ前駆体を圧縮成形金型内に配置し、レンズ前駆体を圧縮成形に付す。工程(i)における射出成形金型から工程(ii)の圧縮成形金型へと移す際のレンズ前駆体のハンドリングについて触れておく。射出成形金型から取り出されたレンズ前駆体、即ち、射出成形金型から離型処理されたレンズ前駆体は、その外周をチャッキングしたり、あるいは、専用治具でレンズ前駆体のフランジ部を下方から数点受けたりすることによって圧縮成形金型へと移すことができる。この点「中間点ガラス転移温度以上」の条件で射出成形金型から取り出されたものであっても、上記ハンドリング手段ないしは移動手段を用いることによって結果としては好適にレンズ前駆体を圧縮成形金型へと仕込むことができる。特にレンズ前駆体の中心温度を「中間点ガラス転移温度以上」かつ「200℃以下」の条件で射出成形金型から取り出された場合では、ハンドリング操作に際してレンズ前駆体を好適に把持することができ、よりスムーズな圧縮成形金型への仕込みが助力され得る。
工程(ii)で用いる圧縮成形金型自体は、レンズ前駆体に圧縮圧力を及ぼすことができ、それによって、レンズ品を得ることができるものであれば特に制限はない。つまり、本発明における圧縮成形金型は、典型的には“固定側”と“移動側”とから少なくとも構成されており、型締めによってレンズ前駆体に圧縮圧力を加えることができるものであればよい。尚、後述するように圧縮成形金型を搬送しながら工程(ii)を実施する態様では、型締め機構を備えた成形機に固定化された金型でなく、単独で移動させることができる金型であることが好ましい。
工程(ii)における圧縮成形金型の金型温度Tp(℃)は、熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg(℃)に対してTmg+45≦Tp≦Tmg+85の関係を満足することが好ましく、より好ましくはTmg+50≦Tp≦Tmg+80の関係を満足することである。圧縮成形金型の金型温度が高すぎると、レンズ前駆体の中心まで過度に加熱され、後刻の冷却において時間を過度に要することがある一方、圧縮成形金型の金型温度が低すぎると、十分な面精度が得られにくいことがあるからである。
工程(ii)における圧縮成形金型による圧縮圧力は、15kN以上かつ80kN以下であることが好ましく、より好ましくは20kN以上かつ50kN以下である。圧縮成形金型による圧縮圧力が大きすぎると、圧縮成形金型とレンズ前駆体とが密着し、圧縮成形金型からレンズを取り出す際にレンズが損傷し得ることがある一方、圧縮成形金型による圧縮圧力が小さすぎると、十分な面精度が得られにくいことがあるからである。
工程(ii)における圧縮成形金型による圧縮時間は、110秒以上かつ200秒以下であることが好ましく、より好ましくは120秒以上かつ190秒以下である。圧縮成形金型による圧縮時間が長すぎると、後刻の冷却に余分な時間がかかってしまったり、得られるレンズにて発泡現象が生じるおそれがあったりする一方、圧縮成形金型による圧縮時間が短すぎると所望のレンズ形状および面精度などを確保できなくなるからである。
ある好適な態様では、圧縮成形金型の金型温度(Tp)と熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度(Tmg)とがTmg+45≦Tp≦Tmg+85の関係(単位は「℃」である)を満たすと共に、圧縮成形金型の圧縮圧力が15kN以上かつ80kN以下となり、更には、圧縮成形金型による圧縮時間が110秒以上かつ200秒以下となる条件でもってレンズ前駆体を圧縮成形に付す。
尚、工程(ii)で用いる圧縮成形金型は、レンズ前駆体を1個設置できるものでもよいし、あるいは、レンズ前駆体を2個以上設置できるものでもよい。生産性の観点を特に重視する場合、レンズ前駆体を2個以上設置できる圧縮成形金型が好ましいといえる。
本発明に係る製造方法の工程(ii)は、圧縮成形に先立って圧縮成形金型内でレンズ前駆体を加熱してよく、および/または、圧縮成形後において圧縮成形金型内でレンズを冷却に付してもよい。つまり、ある好適な態様では、工程(ii)が
(a)圧縮成形金型内でレンズ前駆体を加熱・予熱するサブ工程、
(b)加熱・予熱されたレンズ前駆体を圧縮成形するサブ工程、および
(c)レンズ前駆体の圧縮成形により得られたレンズを圧縮成形金型内で冷却するサブ工程
を含んで成る。かかる場合、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型を搬送することを通じてサブ工程(a)〜(c)を順次実施することが好ましい。
サブ工程(a)〜(c)につき経時的に説明する。まず、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型は、加熱サブ工程(a)へと搬送されて、所定の温度に加熱される。これにより、圧縮成形用金型に内在するレンズ前駆体が加熱・予熱される。次いで、圧縮成形金型は、圧縮成形サブ工程(b)へと搬送される。圧縮成形サブ工程(b)ではレンズ前駆体が所定温度および所定圧力でもって加圧に付され、その結果、圧縮成形金型内でレンズが圧縮成形に付される。圧縮成形サブ工程(b)によって、レンズ前駆体の表面欠陥が減じられ、高精度なレンズを得ることができる。また、圧縮成形サブ工程(b)によって、中間点ガラス転移温度以上で射出成形金型から取り出されたレンズ前駆体にもたらされ得る形状変位などが矯正され、所望のレンズが得られることにもなる。引き続いて、圧縮成形金型は、冷却サブ工程(c)へと搬送される。かかる冷却サブ工程(c)では、圧縮成形金型内においてレンズが所定温度にまで冷却される。冷却後のレンズは、最終的には圧縮成形金型から取り出される。
圧縮成形金型の搬送方法としては、例えば、ベルトコンベアー、ロボットアーム等を挙げることができる。ある好適な態様では、ベルトコンベアーを用いることによって圧縮成形金型を搬送する。ベルトコンベアーを用いれば、圧縮成形金型を各工程へと連続して好適に搬送することが可能となり、生産性が向上し得る。また、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型を複数用いると、逐次搬送が可能となるので、各サブ工程を並行して行うことができ、複数のレンズ製造を好適に実施することができる。例示すると、加熱サブ工程(a)および圧縮成形サブ工程(b)を経た圧縮成形金型が冷却サブ工程(c)に供されているとき、これと並行して、加熱サブ工程(a)を経た別の圧縮成形金型を圧縮成形サブ工程(b)に供すことができるだけでなく、更に別の圧縮成形金型を加熱サブ工程(a)に供すことができる。尚、ベルトコンベアーを使用して圧縮成形金型を各工程間連続して搬送するとき、各工程での圧縮成形金型の搬送速度は一定であってよい。
工程(ii)でサブ工程(a)〜(c)を実施する場合、各サブ工程は1つに限らず、複数に分けたものであってもよい。つまり、サブ工程(a)、サブ工程(b)およびサブ工程(c)のそれぞれにつき、1回実施することのみならず、複数回実施する態様であってもよい。あくまでも例示にすぎないが、例えば図4および図5に示すようなサブ工程の態様が考えられる。図4に示す態様の工程(ii)は、加熱サブ工程(a)30、圧縮成形サブ工程(b)40、第1冷却サブ工程(c)50Aおよび第2冷却サブ工程(c)50Bから少なくとも構成されており、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型20は、各サブ工程をこの順(30→40→50A→50B)で逐次付されながら搬送されることになる。一方、図5に示す態様の工程(ii)は、第1加熱サブ工程(a)30A、第2加熱サブ工程(a)30B、第1圧縮成形サブ工程(b)40A、第2圧縮成形サブ工程(b)40B、第1冷却サブ工程(c)50A、第2冷却サブ工程(c)50Bおよび第3冷却サブ工程(c)50Cから少なくとも構成されており、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型20は、各サブ工程をこの順(30A→30B→40A→40B→40C→50A→50B→50C)で逐次付されながら搬送されることになる。
工程(ii)で実施し得る“加熱”、“圧縮成形”および“冷却”について詳述しておく。
上述した如く工程(ii)では、好ましくはサブ工程(a)として圧縮成形金型の金型温度が所定温度となるように加熱する。加熱手段としては、例えば赤外線ヒーターを用いてよい。このような加熱による金型温度の上昇に伴って圧縮成形金型に内在するレンズ前駆体の温度が上昇することになる。この時、レンズ前駆体の温度と金型温度とが一致する必要はない。上述の如く圧縮成形金型を連続して一定の搬送速度で搬送する態様においては、レンズ前駆体が圧縮成形金型内で所定温度まで加熱されるのにある程度の時間を要する場合があり得る。かかる場合、1の加熱工程では加熱時間が不足し得るので、例えば加熱を2段階以上で実施してよい。即ち、加熱サブ工程(a)を2つ以上設けてよい。2以上の加熱サブ工程(a)を設ける場合、その加熱サブ工程における加熱温度や加熱時間等の条件は互いに同一であってもよいし、あるいは、異なっていてもよい。尚、好ましい具体的な加熱温度は上述した通りである。つまり、圧縮成形金型の金型温度Tp(℃)と熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg(℃)とがTmg+45≦Tp≦Tmg+85の関係を満足するような加熱温度が好ましい。また、加熱のための時間は、120秒以上かつ190秒以下であることが好ましく、130秒以上かつ180秒以下であることがより好ましい。加熱時間が長すぎるとレンズ前駆体の中心が過度に加熱され、冷却に時間を要することがある一方、加熱時間が短すぎると、十分な面精度が得られにくいことがある。加熱工程を複数段設ける場合、複数段の加熱に要する時間を全て足し合わせた合計時間が120秒以上かつ190秒以下であることが好ましく、130秒以上かつ180秒以下であることがより好ましい。
工程(ii)では、好ましくはサブ工程(b)として圧縮成形金型でレンズ前駆体を圧縮成形に付してレンズを得る。かかる圧縮成形の具体的な条件として、圧縮成形金型による圧縮圧力は15kN〜80kNであることが好ましく、また、圧縮成形金型による圧縮時間は110秒以上かつ200秒以下であることが好ましい。圧縮圧力は、圧縮成形金型の型締め力を調整することによって制御できる。上述の加熱サブ工程と同様、例えば圧縮成形に時間を要するときなど、かかる圧縮成形を2段以上で実施してよい。即ち、圧縮成形サブ工程(b)を2つ以上設けてよい。2以上の圧縮成形サブ工程を設けるとき、その圧縮成形サブ工程における金型温度や圧縮圧力等の条件は互いに同一であってもよいし、あるいは、異なっていてもよい。圧縮成形工程を複数段設ける場合、複数段の圧縮成形に要する時間を全て足し合わせた合計時間が110秒以上かつ200秒以下となることが好ましい。
工程(ii)では、好ましくはサブ工程(c)として圧縮成形金型内でレンズを冷却に付す。冷却は自然冷却でよいものの、クーラー手段などを用いて金型外部から強制的に冷却を行ってもよい。このようなサブ工程では金型温度の下降に伴って圧縮成形金型に内在するレンズ前駆体の温度が下がることになる。好ましい目標冷却温度は例えば80℃以上かつ130℃以下であり、より好ましくは90℃以上かつ120℃以下である。また、冷却のための時間は100秒以上かつ300秒以下であることが好ましく、110秒以上かつ290秒以下であることがより好ましい。冷却に際しては、レンズ前駆体の温度と金型温度とが一致する必要はない。上述の如く圧縮成形金型を連続して一定の搬送速度で搬送する態様において、レンズ前駆体が圧縮成形金型内で所定温度まで冷却されるのに時間を要する場合があり得る。かかる場合、1の冷却工程では冷却時間が不足し得るので、例えば冷却を2段以上で実施してよい。即ち、冷却サブ工程(c)を2つ以上設けてよい。2以上の冷却サブ工程を設けるとき、その冷却サブ工程における金型温度等の条件は互いに同一であってもよいし、あるいは、異なっていてもよい。冷却工程を複数段設ける場合では、複数段の冷却に要する時間を全て足し合わせた合計時間が上記の如く100秒以上かつ300秒以下となることが好ましい。
工程(ii)においては、加熱サブ工程(a)、圧縮成形サブ工程(b)および冷却サブ工程(c)に加えて、他の付加的なサブ工程を1以上含んでいてもよい。かかる付加的なサブ工程としては安定化サブ工程を挙げることができる。かかる安定化サブ工程は、例えば、加熱、圧縮成形または冷却などのプロセス操作をレンズ前駆体全体/レンズ全体に十分に及ぼすことを目的にしたものである。かかる場合、安定化サブ工程では、好ましくは「レンズ前駆体/レンズを内在した圧縮成形金型」に対して先行のプロセス条件をそのまま維持することが行われる。例えば、加熱サブ工程後に安定化サブ工程を実施する場合では、圧縮成形金型内に仕込まれているレンズ前駆体の内部にまで熱が十分に伝わるように先行の加熱温度を維持する操作が安定化サブ工程で実施され得る。
[本発明の熱可塑性樹脂原料]
本発明の熱可塑性樹脂原料は、上述のレンズ製造方法に使用される樹脂原料である。具体的には、工程(i)において射出成形金型内へと射出してレンズ前駆体を得るために用いられる熱可塑性樹脂原料である。それゆえ、本発明の熱可塑性樹脂原料は、例えばペレット形態を有しており、射出成形機への投入に特に適したものであってよい。
好ましくは、本発明の熱可塑性樹脂原料は(メタ)アクリル樹脂である。上述した如く、ここでいう『(メタ)アクリル』といった用語は「アクリル」または「メタクリル」を実質的に意味する。かかる樹脂原料としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体またはそれらの2種以上の共重合体、(メタ)アクリル系モノマーとその他のモノマーとの共重合体などを挙げることができる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂は、優れた硬度、耐候性、透明性などを有する点から、メタクリル樹脂であることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする単量体を重合して得られる重合体であり、例えば、メタクリル酸エステルの単独重合体、2種以上のメタクリル酸エステルからなる共重合体である。また、メタクリル樹脂原料としては、メタクリル酸エステルとメタクリル酸エステル以外の単量体とからなる共重合体なども好ましい。メタクリル酸エステルとメタクリル酸エステル以外の単量体とからなる共重合体の場合、単量体総量に対して、メタクリル酸エステルが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、メタクリル酸エステル以外の単量体が50重量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。尚、「メタクリル酸エステル」および「メタクリル酸エステル以外の単量体」などのより具体的な事項については[本発明のレンズ製造方法]で上述した事項がそのまま当てはまるので重複を避けるべく記載を省略する。
本発明の(メタ)アクリル樹脂は、JIS K7206(B50法)で測定したビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下となり、また、JIS K7210で測定したメルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下(より好ましくは105℃以上かつ118℃以下となり、更に好ましくは106℃以上かつ115℃以下)となるものが好ましい。メルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下となることで、上述のレンズ製造方法の工程(i)におけるレンズ前駆体の取り出し時期をより早くできる一方、ビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下となることで上述のレンズ製造方法により得られるレンズが耐熱性により優れるものとなる。
[本発明のレンズ]
本発明のレンズ100は、上述のレンズ製造方法で得られるレンズである。図6には本発明のレンズが例示的に示されている。本発明のレンズは、例えば、レンズ部101、レンズ部102およびフランジ部103から構成される。具体的には、レンズ部101はレンズ部102よりも高さ寸法が大きくなっており、レンズ部101とレンズ部102とがフランジ部103を介在して相互に連結されている。なお、本発明においてレンズ形状は、これに限定されるものではなく、用いられる用途に応じて適宜変更され得る。例えば、レンズ部102は、図6に示される形態に従うと凸面を有するものの、これに限定されず、所望のレンズ性能に応じて、凹面を有していてよいし、あるいは、フラット面を有するものであってもよい。
本発明のレンズは、上述のレンズ製造方法で得られるレンズであるので、いわゆる“プラスチック・レンズ”に相当する。ある好適な態様では、本発明のレンズは、(メタ)アクリル樹脂製の透明プラスチック・レンズである。
本発明のレンズは、そのようなレンズ形状が必要とされる用途に対して用いることができる。特に制限されないものの、本発明のレンズは光学素子として用いることができる。光学素子としてのレンズは、例えば、車両ランプ・レンズ(1つ例示すると車両ヘッドランプ・レンズ)の他、カメラ用、プロジェクター用、コピー機、プリンター用または照明装置用の各種レンズなどとして用いることができる。特に、(メタ)アクリル樹脂製のレンズは、車両ランプ・レンズ(例えば車両ヘッドランプ・レンズ)として好ましく用いられる。
光学素子としてのレンズについていえば、レンズ部101からレンズ部103までの最大厚みTmax(図6参照)は、10mm以上150mm以下であることが好ましく、10mm以上130mm以下であることがより好ましく、10mm以上100mm以下であることが更に好ましい。また、レンズの最大幅Wmax(即ち、フランジ部102を除いたレンズ体の有効最大幅寸法(図6参照))は、10mm以上200mm以下であることが好ましく、より好ましくは20mm以上130mm以下であり、更に好ましくは30mm以上120mm以下である。このような寸法は、外観が良好なレンズの短時間製造に資することになる。尚、レンズ前駆体との寸法相違について詳述しておく。レンズ前駆体の最大寸法(例えば最大厚みT'maxおよび最大幅W'maxなど)に比べてレンズの最大寸法(例えば同様に最大厚みTmaxおよび最大幅Wmaxなど)は好ましくは0.2%〜10%程度小さいもの、より好ましくは0.5%〜6%程度小さいもの、更に好ましくは0.8%〜4%程度小さいものとなり得る。
最後に、本発明は下記の態様を有するものであることを確認的に付言しておく。
第1態様:レンズを製造する方法であって、
(i)熱可塑性樹脂原料を用いて射出成形を行い射出成形金型内でレンズ前駆体を得る工程、および
(ii)レンズ前駆体を圧縮成形金型内へと配置し、レンズ前駆体を圧縮成形に付す工程
を有して成り、
工程(i)の射出成形から工程(ii)の圧縮成形へとレンズ前駆体を移すに際しては、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すことを特徴とする、レンズ製造方法。
第2態様:上記第1態様において、射出成形金型内におけるレンズ前駆体の中心温度を式1に基づいて間接的に把握することを特徴とするレンズ製造方法。
Figure 0006345712

第3態様:上記第1態様または上記第2態様において、複数のレンズを並列的に製造しており、
あるレンズ前駆体をその中間点ガラス転移温度以上で取り出した射出成形金型に対して、引き続いて可及的速やかに熱可塑性樹脂原料を射出して別のレンズ前駆体を得ることを特徴とするレンズ製造方法。
第4態様:上記第1態様〜上記第3態様のいずれかにおいて、工程(ii)の圧縮成形に付すに先立ってはレンズ前駆体を射出成形金型から取り出した状態で冷却に付すことを特徴とするレンズ製造方法。
第5態様:上記第1態様〜上記第3態様のいずれかにおいて、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を実質的な冷却に付すことなく、圧縮成形金型に移すことを特徴とするレンズ製造方法。
第6態様:上記第1態様〜上記第5態様のいずれかにおいて、工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料として、JIS K7206(B50法)で測定したビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下であり、JIS K7210で測定したメルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下である熱可塑性樹脂原料を用いることを特徴とするレンズ製造方法。
第7態様:上記第1態様〜上記第6態様のいずれかにおいて、工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料として、(メタ)アクリル樹脂を用いることを特徴とするレンズ製造方法。
第8態様:上記第7態様において、(メタ)アクリル樹脂が、メタクリル酸エステルとメタクリル酸エステル以外の単量体とからなる共重合体であることを特徴とするレンズ製造方法。
第9態様:上記第1態様〜上記第8態様のいずれかにおいて、工程(i)により得られるレンズ前駆体につき、最大厚み寸法が10mm以上かつ150mm以下であり、最大幅寸法(フランジ部がある場合には、そのフランジ部を除いて考えたレンズ最大幅寸法)が10mm以上かつ200mm以下であることを特徴とするレンズ製造方法。
第10態様:上記第1態様〜上記第9態様のいずれかにおいて、工程(ii)において圧縮成形金型の金型温度Tp(℃)と熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg(℃)とが「Tmg+45≦Tp≦Tmg+85」の関係を満たし、圧縮成形金型による圧縮圧力が15kN以上かつ80kN以下となり、また、圧縮成形金型による圧縮時間が110秒以上かつ200秒以下となる条件でレンズ前駆体を圧縮成形に付すことを特徴とするレンズ製造方法。
第11態様:上記第1態様〜上記第10態様のいずれかにおいて、工程(ii)が、
(a)圧縮成形金型内でレンズ前駆体を加熱に付すサブ工程、
(b)加熱されたレンズ前駆体を圧縮成形に付すサブ工程、および
(c)レンズ前駆体の圧縮成形により得られたレンズを圧縮成形金型内にて冷却に付すサブ工程
を含んで成ることを特徴とするレンズ製造方法。
第12態様:上記第11態様において、レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型を搬送ないしは移動させながら、サブ工程(a)、サブ工程(b)およびサブ工程(c)を順次実施することを特徴とするレンズ製造方法。
第13態様:上記第7態様のレンズ製造方法で使用される(メタ)アクリル樹脂。
第14態様:上記第1態様〜上記第12態様のいずれかのレンズ製造方法によって得られるレンズ。
第15態様:上記第14態様において、レンズが車両ランプ・レンズであることを特徴とするレンズ。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
例えば、本発明はレンズ製造に限らず、他の樹脂成形品の製造にも同様に適用できる。つまり、熱可塑性樹脂原料を用いた射出成形で得られた前駆体を圧縮成形に付すことによって他の樹脂成形体を得る場合においては、その前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときに前駆体を射出成形金型から取り出すことを行ってよい。
以下では「実施例」および「比較例」を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、これら実施例および比較例に特に限定されるものではない。
《本発明に従ったレンズ製造および従来技術のレンズ製造》
熱可塑性樹脂原料として(メタ)アクリル樹脂を用いた。かかる(メタ)アクリル樹脂およびそれから得られたレンズの各種物性の測定および評価は以下の通りである。
<ビカット軟化温度(VST)>
(メタ)アクリル樹脂を原料樹脂とした試験片を得た。具体的には厚さが3mmの10cm四方の樹脂板をプレス成形して試験片を得た。得られた試験片について、JIS K7206のB50法に準拠して、荷重50Nおよび昇温速度50℃/時の条件下でビカット軟化温度(VST)を測定した。
<メルトマスフローレイト(MFR)>
(メタ)アクリル樹脂について、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重3.8kgの条件で測定した。
<中間点ガラス転移温度(Tmg)>
(メタ)アクリル樹脂について、セイコーインスツールメント製の示差走査熱分析装置を用い、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下の条件で測定した。
<レンズ前駆体の中心温度と冷却時間>
(メタ)アクリル樹脂としてはSumipex MHF(住友化学株式会社製)を用いた。かかる熱可塑性樹脂原料を射出成形金型内へと射出してレンズ前駆体を得た。射出成形金型に内在するレンズ前駆体の中心温度と冷却時間との関係については、式1から算出した。

la=S/(π・α)ln(8/π・(θ−θ)/(θ−θ)) (式1)

式中、tlaはレンズ中間体の冷却時間(s)であり、θがレンズ中間体の中心温度(℃)である。また、S=23mm、α=0.66mm/s、θ=230℃、θ=80℃となった。
<耐久性評価>
得られたレンズについて、90℃のオーブン中にて100時間静置した。静置後に、レンズが変形していなければ“○”、変形していれば“×”と評価した。
[実施例1]
射出成形段階(工程(i))
射出成形機EC180SX−6A(東芝機械株式会社製)を用いた。熱可塑性樹脂原料のSumipex MHF(VST=約110℃、MFR=約2g/10min、Tmg=約111℃、住友化学株式会社製)を、レンズ形状の金型キャビティを1つ備えた射出成形金型へと射出(シリンダ温度:約230℃、射出速度:約0.6mm/s、射出成形金型の表面温度:約80℃)してレンズ前駆体を得た。次いで、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出した。具体的には、上記の式1に基づいて射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度を間接的に把握し、その結果、“180秒間”射出成形金型でレンズ前駆体を冷却に付した後でレンズ前駆体を射出成形金型から離型した(ここでの“冷却”は、樹脂原料が射出成形金型の温度環境下にさらされることによってもたらされるものである。そして上記“180秒”は、射出された樹脂原料が流動停止した時点からの経過時間であり、即ち、射出成形金型内への熱可塑性樹脂原料の充填が完了した時点からの経過時間である)。このような操作によって、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上であるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出すことができた。取り出されたレンズ前駆体は、最終品たるレンズと同様にレンズ部101’、レンズ部103’およびフランジ部102’から構成され、レンズ部101’およびレンズ部103’が各々フランジ部と接する面の直径が共に約60mmであり、レンズ部101’からレンズ部103’までの最大厚みが約23mmであった(図3参照)。
射出成形金型に内在するレンズ前駆体の中心温度と射出成形金型内でのレンズ前駆体の冷却時間との関係について式1に基づいて得られた結果を以下の表1に示す。表1から、180秒間冷却したときのレンズ前駆体の中心温度は170℃以上であり、それゆえTmg以上であることが分かる。
Figure 0006345712
圧縮成形段階(工程(ii))
移動式高精度ガラス成形装置(東芝機械株式会社製)を用いて圧縮成形工程を実施した。具体的には、射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を圧縮成形金型へと仕込んで、そのように仕込んだ圧縮成形金型をベルトコンベヤーで搬送しながら圧縮成形プロセスを実施した。より具体的には、レンズ前駆体を内在する圧縮成形金型をベルトコンベヤーで搬送しながら加熱サブ工程、安定化サブ工程、圧縮成形サブ工程、および第1〜第3冷却サブ工程を、この順で逐次実施した。かかるサブ工程の条件を表2に示す。
このような圧縮成形によって表面凹凸が減じられた(レンズ表面における凹凸が減じられた)外観が良好なレンズを最終的に得ることができた。得られたレンズについては耐久性評価の試験に付した(結果は表2中に示す)。
[実施例2]
圧縮成形工程について、加熱サブ工程、安定化サブ工程、第1〜第2圧縮成形サブ工程、および第1〜第3冷却サブ工程とした以外は、実施例1と同様にレンズを得た。かかる圧縮成形の各サブ工程での条件を表2に示す。最終的には表面凹凸が減じられた(レンズ表面における凹凸が減じられた)外観が良好なレンズを得ることができた。尚、得られたレンズの耐久性評価の結果は同じく表2中に示す。
[比較例1]
レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg未満であるときに射出成形金型からレンズ前駆体を取り出したこと以外は、実施例1と同様にレンズを得た。具体的には、上記式1に基づいて射出成形金型内のレンズ前駆体の中心温度を間接的に把握し、その結果、1105秒間射出成形金型でレンズ前駆体を冷却に付した後でレンズ前駆体を射出成形金型から取り出した。最終的には実施例1および実施例2と同様の表面凹凸が減じられた(レンズ表面における凹凸が減じられた)外観が良好なレンズを得ることができた。尚、得られたレンズの耐久性評価の結果は同じく表2中に示す。
Figure 0006345712
以上より、「レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg」以上の条件下で射出成形金型からレンズ前駆体の取り出しを取り出した場合であっても、「レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg」未満で射出成形金型からレンズ前駆体の取り出しを取り出した場合と同様の品質が保持されたレンズを最終的に得られることが分かった。また、そのように早期にレンズ前駆体が取り出された場合ではその射出成形金型を別のレンズ前駆体形成へと速やかに利用することができ、効率的な大量生産の実現に寄与し得ることも分かった。
《レンズ生産性の検討》
「本発明に従ったレンズ製造」と「従来技術のレンズ製造」とにつき、レンズ1個当たりの製造時間を調べた。
具体的には、下記条件において製造試験(射出成形→圧縮生成)を行い、各成形に要した時間からレンズ1個当たりの製造時間を求めた。

・原料樹脂:Sumipex MHF(住友化学社製)
・射出成形金型温度:約80℃
・射出成形金型:6個取り金型
・レンズ品の肉厚(最大厚みTmax):約23mm
・圧縮成形金型:レンズ前駆体の1個仕込みタイプ
結果を表3に示す。表3の結果に示されているように、本発明の製法ではレンズ1個当たりの製造時間を従来技術よりも約60%減じることができることが分かった。
Figure 0006345712
本発明で得られるレンズは、光学素子として使用される各種プラスチック・レンズである。特に、本発明に従えば、所望の品質を保持したレンズ(例えば耐久性の優れたレンズ)につき製造時間を短くすることができ、大量生産にとって特に好適である。また、得られるレンズは、例えば(メタ)アクリル樹脂を原料樹脂とすることで、透明性に特に優れることになり、また、表面凹凸が減じられて外観が良好となることから、各種の車両ランプ用レンズとして特に好適に使用することができる。
10 射出成形金型
20 圧縮成形金型
30 加熱サブ工程
30A 第1加熱サブ工程
30B 第2加熱サブ工程
40 圧縮成形サブ工程
40A 第1圧縮成形サブ工程
40B 第2圧縮成形サブ工程
50 冷却サブ工程
50A 第1冷却サブ工程
50B 第2冷却サブ工程
50C 第3冷却サブ工程
100’ レンズ前駆体
100 レンズ
101 上側レンズ部(レンズ凸部を成す部分)
102 下側レンズ部(レンズ底部を成す部分)
103 レンズ・フランジ部

Claims (11)

  1. レンズを製造する方法であって、
    (i)熱可塑性樹脂原料を用いて射出成形を行い射出成形金型内でレンズ前駆体を得る工程、および
    (ii)レンズ前駆体を圧縮成形金型内へと配置し、レンズ前駆体を圧縮成形に付す工程
    を含んで成り、
    工程(i)の射出成形から工程(ii)の圧縮成形へとレンズ前駆体を移すに際しては、レンズ前駆体の中心温度が熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度以上にあるときにレンズ前駆体を射出成形金型から取り出し、
    射出成形金型内におけるレンズ前駆体の中心温度を式1に基づいて間接的に把握することを特徴とする、レンズ製造方法。
    Figure 0006345712
  2. 複数のレンズを並列的に製造しており、
    あるレンズ前駆体をその中間点ガラス転移温度以上で取り出した射出成形金型に対して、引き続いて熱可塑性樹脂原料を射出して別のレンズ前駆体を得ることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  3. 工程(ii)の圧縮成形に付すに先立ってはレンズ前駆体を射出成形金型から取り出した状態で冷却に付すことを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  4. 射出成形金型から取り出したレンズ前駆体を冷却に付すことなく、圧縮成形金型へと移すことを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  5. 工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料として、JIS K7206(B50法)で測定したビカット軟化温度が105℃以上かつ120℃以下であり、JIS K7210で測定したメルトマスフローレイトが1g/10min以上かつ20g/10min以下である熱可塑性樹脂原料を用いることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  6. 工程(i)で用いる熱可塑性樹脂原料として、(メタ)アクリル樹脂を用いることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  7. (メタ)アクリル樹脂が、メタクリル酸エステルとメタクリル酸エステル以外の単量体とからなる共重合体であることを特徴とする、請求項6に記載のレンズ製造方法。
  8. 工程(i)により得られるレンズ前駆体につき、最大厚み寸法が10mm以上かつ150mm以下であり、最大幅寸法が10mm以上かつ200mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  9. 工程(ii)において圧縮成形金型の金型温度Tp(℃)と熱可塑性樹脂原料の中間点ガラス転移温度Tmg(℃)とがTmg+45≦Tp≦Tmg+85の関係を満たし、圧縮成形金型による圧縮圧力が15kN以上かつ80kN以下となり、また、圧縮成形金型による圧縮時間が110秒以上かつ200秒以下となる条件でレンズ前駆体を圧縮成形に付すことを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  10. 工程(ii)が、
    (a)圧縮成形金型内でレンズ前駆体を加熱に付すサブ工程、
    (b)加熱されたレンズ前駆体を圧縮成形に付すサブ工程、および
    (c)レンズ前駆体の圧縮成形により得られたレンズを圧縮成形金型内で冷却に付すサブ工程
    を含んで成ることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ製造方法。
  11. レンズ前駆体が仕込まれた圧縮成形金型を搬送しながら、サブ工程(a)、サブ工程(b)およびサブ工程(c)を順次実施することを特徴とする、請求項10に記載のレンズ製造方法。
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