JP3392023B2 - 成形品の仕上がり形状予測方法およびその装置 - Google Patents

成形品の仕上がり形状予測方法およびその装置

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    • B29C33/3835Designing moulds, e.g. using CAD-CAM
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29LINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS B29C, RELATING TO PARTICULAR ARTICLES
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    • B29L2011/0016Lenses

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形法や圧縮
成形法あるいは射出圧縮成形法によって製作される成形
品に対し、金型形状や成形条件などの最適化を行い得る
成形品の仕上がり形状予測方法およびその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種成形材料を所定形状に射出成形する
に際し、この射出成形によって加工される成形品の冷却
に伴う変形解析を予め行い、最適な金型形状や成形条件
を設定することは、寸法精度の良好な成形品を得る上で
極めて重要である。
【0003】このような冷却に伴う成形品の変形解析を
行う場合、従来では成形品の所定の場所の温度が流動停
止温度や固化温度あるいはガラス転移点温度などの予め
決められた温度になった時点の成形品内の温度分布を初
期状態と設定し、この初期状態の温度分布と、成形品を
金型から取り出すまでの温度差と、成形品の線膨張係数
とから成形品の変形量を予測している。
【0004】また、特公平6−22840号公報で提案
されているシミュレーションシステムでは、上述した初
期状態から、成形品を金型から取り出すまでの温度を細
分化し、これら細分化した微小温度範囲における熱歪み
量を、各微小温度範囲にそれぞれ対応して変化する線膨
張係数や比熱, 熱伝導率, ヤング率に基づいて計算し、
それぞれの微小温度範囲での熱歪み量を累積させ、その
累積総和を最終的な成形品の変形量として予測するよう
にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】冷却に伴って発生する
成形品の変形を解析する場合、従来では、初期状態から
最終温度まで成形品全体が一様に冷却されるという前提
に立脚しており、そこに経時的な概念が導入されていな
いため、冷却勾配や成形サイクルが大きく異なる場合に
は、得られる成形品の変形量が実際には大きく異なって
しまうのに対し、算出される結果は同一になってしまう
という矛盾が生ずる。
【0006】また、成形品の所定の場所が流動停止温度
や固化温度あるいはガラス転移点温度になった時点での
成形品の温度分布を初期状態として設定しているが、こ
の成形品の特定の場所を設定する基準は、各シミュレー
ションソフトによってまちまちである。しかも、設定し
た初期状態までは成形品に収縮が起こらず、例え、成形
品に特定温度以上の箇所があったとしても、所定の場所
が特定温度以下になった場合には、成形品全体が一様に
収縮するという考え方のため、極めて不自然である。
【0007】一方、特公平6−22840号公報に開示
されたシミュレーションシステムでは、初期状態の成形
品の温度と金型から取り出された時の成形品の温度との
差分から熱歪みを算出するか、あるいは金型から取り出
した後に成形品全体が均一な温度、例えば室温になるま
での温度差に基づいて熱歪みを算出していることから明
らかなように、成形品全体が均一に冷却されていること
が前提になっている。また、このような算出方法では、
成形品が常に均一に冷却されるので、初期状態での温度
分布が熱歪みの大きさを決定してしまい、初期状態以降
の冷却履歴に左右されることなく、常に一定の熱歪みし
か算出されないことになる。
【0008】ところで、一眼レフレックスカメラやVT
Rカメラの撮影レンズ、あるいはレーザービームプリン
タの結像レンズなどの光学レンズを射出成形によって製
作する場合、光学面の形状転写精度がサブミクロンオー
ダーであるため、局部的なミクロンオーダーのヒケは、
光学性能上、大きな問題となる。このため、上述の如き
全体が一様に収縮することが前提の解析方法では、成形
品の変形量を正確に評価することができない。しかも、
初期状態と最終的な温度状態が同じでも、冷却時間の長
短および冷却勾配の大小などの冷却履歴や、圧力履歴な
どによって、最終的な成形品の変形量が大きく変化する
ことは、周知の通りであり、上述した従来のシミュレー
ションシステムでは、最終成形品の精度を正確に予測す
ることが不可能であった。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、射出成形法や圧縮成形
法あるいは射出圧縮成形法によって製作される成形品の
仕上がり形状を予測することによって、金型形状や成形
条件などの最適化を行い得る方法およびその装置を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の形態
は、射出成形法あるいは圧縮成形法あるいは射出圧縮成
形法によって製作される成形品に対し、その製作時間の
履歴に沿った微小時間における金型および前記成形品の
温度変化を算出するステップと、算出された温度変化に
対応して前記金型および前記成形品に発生する熱歪み量
を算出するステップと、算出された熱歪み量と、温度−
時間換算則に基づいて予め作成した応力緩和データとか
ら前記成形品の内部応力を算出するステップと、この算
出結果に基づいて前記成形品の最終的な形状を予測する
ステップとを具えたことを特徴とする成形品の仕上がり
形状予測方法にある。
【0011】また、本発明による第2の形態は、射出成
形法あるいは圧縮成形法あるいは射出圧縮成形法によっ
て製作される成形品に対し、その製作時間の履歴に沿っ
た微小時間における金型および前記成形品の温度変化を
算出する温度変化算出手段と、この温度変化算出手段に
よって算出された温度変化に対応して前記金型および前
記成形品に発生する熱歪み量を算出する熱歪み量算出手
段と、温度−時間換算則に基づいて予め作成された応力
緩和データを記憶するデータ記憶部と、このデータ記憶
部に記憶された前記応力緩和データと、前記熱歪み量算
出手段によって算出された熱歪み量とから前記成形品の
内部応力を算出する内部応力算出手段と、この内部応力
算出手段による算出結果に基づいて前記成形品の最終的
な形状を予測する最終形状予測手段とを具えたことを特
徴とする成形品の仕上がり形状予測装置にある。
【0012】本発明によると、射出成形法や圧縮成形法
あるい射出圧縮成形法によって製作される成形品に対
し、その製作時間の履歴に沿った微小時間における金型
および成形品の温度変化が温度変化算出手段によって算
出される。この温度変化算出手段によって算出された温
度変化に対応して金型および成形品に発生する熱歪み量
が熱歪み量算出手段によって算出される。この熱歪み量
算出手段によって算出された熱歪み量と、データ記憶部
に記憶された温度−時間換算則に基づく応力緩和データ
とから成形品の内部応力が内部応力算出手段によって算
出される。そして、この算出結果に基づき、成形品の最
終的な形状が最終形状予測手段によって予測される。
【0013】つまり、成形材料のガラス転移点温度以下
の固体相における粘弾性試験と、ガラス転移点温度以上
の溶融相における粘弾性試験とを行い、その両者のデー
タを繋ぎ合わせて連続した緩和弾性係数のマスターカー
ブと、温度−時間換算則を導入した温度シフトファクタ
ーとがデータ記憶部に記憶されている。そして、微小時
間における熱歪みに対し、それにより発生する応力の時
間経過による綬和現象を反映させ、全冷却時間に亙って
これを履歴積分することにより、冷却中の温度や圧力の
履歴を取り扱うようにしている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の第1および第2の形態に
おいて、成形品が複数の光学面を有するレンズであり、
これら複数の光学面のうち、最大の有効面積を持つ光学
面がその全面に亙って圧縮面であり、この圧縮面の外周
が成形品の外周と一致しているものであってもよい。同
様に、金型が複数の光学面を有するレンズを成形するた
めのものであり、複数の光学面のうち、最大の有効面積
を持つ光学面が全面に亙って圧縮面であり、この圧縮面
の外周が成形品の外周と一致しているものであってもよ
い。
【0015】また、圧縮成形法は、成形品となる成形材
料の重量に基づいて圧縮量を変化させるものであっても
よい。この場合、圧縮量の変化量は、基準となる成形材
料の重量と実際の成形材料の重量との差と、成形材料の
比重との積を、金型の圧縮面の圧縮方向に沿った投影面
積で除した値であってもよい。この場合、成形材料の比
重は、温度と圧力とに基づいて予め記憶した比重データ
から算出するものであってもよい。
【0016】なお、成形材料の重量は、成形材料を金型
に投入した後、圧縮工程に入る前に計量されるものであ
ってもよい。
【0017】
【実施例】本発明による成形品の仕上がり形状予測方法
を実施し得る装置をVTRカメラの撮影レンズを構成す
る光学レンズの圧縮成形に応用した実施例について、図
1〜図10を参照しながら詳細に説明するが、本発明は
このような実施例に限らず、同様な課題を内包する他の
分野の技術にも応用することができる。
【0018】本実施例の概略構成を表す図1に示すよう
に、データ入力部11には、第1データ記憶部12に記
憶された成形対象となる光学レンズLおよびその金型
(図2参照)の形状や、圧力条件および冷却条件などの
データが入力されるが、形状に関するデータは、光学レ
ンズLおよび金型全体を微細領域に分割し、有限要素法
で取り扱うことができる形式に設定されている。
【0019】ただし、光学レンズLは、一般に光軸Cを
対称軸とする回転対称体であるので、計算コストと計算
時間とを省力化するため、図2に示すような光軸Cを対
称軸とする軸対称三次元1/2モデルに対して解析を行
うようにしている。また、後述する収束計算回数をでき
るだけ減らして計算効率を上げるため、金型寸法を実際
の設計寸法よりもこの成形材料の収縮率分を見込んで多
少大きな寸法に設定している。具体的には、本実施例に
おける金型寸法は、光学レンズLの実際の設計寸法に対
して例えば1.006倍の大きさに設定され、この値が第1
データ記憶部12に記憶されている。また、本実施例で
の初期条件は成形圧力が85MPa 、温度条件は樹脂の射
出温度が260℃、114℃の1次冷却水による冷却時
間を10分間、80℃の2次冷却水による冷却時間を8
分間とし、2次冷却が終了した時点で金型から成形され
た光学レンズ取り出し、室温(23℃)で空冷するもの
として設定した。
【0020】本発明によるデータ記憶部としての第2デ
ータ記憶部13には、成形材料の比容積データおよび粘
弾性データなどの各種物性値が入力され、記憶されてい
る。本実施例では、成形材料としてPMMA(ポリメチ
ルメタクリレート)樹脂を採用しており、その熱歪みの
計算に大きな影響を及ぼす線膨張率は、圧力と体積と温
度との関係を表すPVTデータから、圧力と温度に依存
した図3に示す如き関数α(P,T) として近似換算されて
いる。また、粘弾性データは、粘弾性試験機で測定した
データを処理して図4に示す如き緩和弾性係数G(t)
関するマスターカーブを作成し、各温度における温度シ
フトファクターaT(T)もこの第2データ記憶部13に記
憶されている。上述した粘弾性データは、ガラス転移点
温度以下の固体物性試験およびガラス転移点温度以上の
溶融物性試験の2種類のデータを換算して繋ぎ合わせ、
室温から射出成形温度、本実施例では20℃から300
℃の範囲で連続したマスターカーブを作成している。
【0021】温度分布演算部14は、本発明における温
度変化算出手段に対応するものであり、データ入力部1
1からの成形形状および加工条件に関するデータと、第
2データ記憶部13からの成形材料に関するデータとに
基づき、金型の成形キャビティ内に射出される成形材料
の熱伝導解析を行い、その温度分布を演算する。
【0022】熱歪み・応力緩和演算部15は、本発明に
おける熱歪み量算出手段および内部応力算出手段に対応
するものであり、温度分布演算部14によって算出され
た金型内の成形材料の温度分布と、第2データ記憶部1
3に記憶された粘弾性データとに基づき、応力緩和を考
慮に入れて金型内の成形材料の熱収縮に伴うその収縮歪
みを算出し、これを演算結果記憶部16に出力する。
【0023】演算結果記憶部16は、本発明による最終
形状予測手段に対応するものであり、熱歪み・応力緩和
演算部15にて算出された金型内の成形材料の熱収縮に
伴うその収縮歪みを記憶し、データ入力部11に入力さ
れた光学レンズLの設計形状と、成形によって得られる
光学レンズLの光学面との形状誤差を算出してそのデー
タを演算結果表示部17に出力する。
【0024】演算結果表示部17は、演算結果記憶部1
6に記憶されたデータを成形によって得られる光学レン
ズLの光学面の面精度を図5に示すような干渉縞によっ
て表示する。
【0025】この場合、上述した初期条件では金型のキ
ャビティに対する樹脂の収縮率が合致しておらず、光学
面の曲率半径の誤差に加えて歪みが発生してしまってい
る。この曲率半径誤差と歪み量とが許容範囲内に収まっ
ていれば問題ないが、許容範囲を越えている場合には、
所望の設計形状の光学レンズLを得るために成形条件の
修正を行う必要がある。
【0026】具体的には、演算結果記憶部16に記憶さ
れた設計形状に対する形状誤差に基づき、初期条件の変
更を検討する。この場合、曲率半径の誤差は樹脂の収縮
量で決定されるため、その成形条件の変更では対応し切
れない(キャビティ寸法の変更や成形材料の変更が必要
となる)ことから、歪みが最小となるような成形条件を
得るために本実施例では冷却温度をそのパラメータとし
て選択し、これをデータ入力部11に再入力して上述の
処理を繰り返した。この場合、初期条件として1次冷却
水の温度のみを116℃に変更し、他の条件を先の初期
条件と同一に設定した。これによる演算結果を演算結果
表示部17にて表示し、図6に示すような結果が得られ
た。
【0027】この図6から明らかなように、最初の成形
条件による場合よりも光学面の歪み量は減っているもの
の、0になってはいない。そこで、さらに良好な面精度
が得られる条件を探るため、1次冷却水温度を118℃
に変更し、他の条件を先の場合と同一に設定して上述し
た再処理を試みることにした。
【0028】これによる演算結果を図7に示す。この結
果と先の図6の結果とを比較すると、2回目の成形条件
の方が歪み量が小さいことが判る。従って、本実施例で
の成形条件は、成形圧力85MPa 、射出温度260℃、
116℃の1次冷却水による10分間の冷却、80℃の
2次冷却水による8分間の冷却、2次冷却が終了した時
点で金型から取り出し、室温(23℃)で空冷という条
件が最適であることが判明した。
【0029】上述した実施例では、1次冷却水の水温を
変更したが、他の条件、例えばその冷却時間や2次冷却
水温およびその冷却時間などを変更するようにしてもよ
い。何れの場合においても、溶融温度域から固化領域に
至るまでの間に従来技術にみられるような固化初期状態
の設定を不要にすることができる。
【0030】図8〜図10は、図5〜図7の成形条件に
よって実際に光学レンズLを成形した場合の光学面の面
精度を干渉縞によって表したものであり、図8が図5、
図9が図6、図10が図7にそれぞれ対応している。こ
れらの結果から明らかなように、本発明による解析評価
と実際の加工結果とが一致していることを認識できよ
う。これは、一般的な熱歪み解析ではなく、応力緩和と
いう粘弾性概念を導入することで、実際に近い加工精度
をシミュレートできることを示しており、本発明による
評価方法を用いることで、実際に金型を使用して成形作
業を行う前に成形条件の最適化を図り、最適な水管配置
などの金型構造を最適化させることも可能である。
【0031】ところで、樹脂製の光学レンズは、その光
学面の外周縁部に光学機能を有しないフランジ部が一般
に形成されており、圧縮成形や射出圧縮成形によってこ
のような光学レンズを製造する場合、一対の光学面を形
成するための何れか一方の鏡面コアを作動させてキャビ
ティ内の樹脂に圧縮力を付加するようにしている。この
ため、冷却が進行して金型のキャビティ内の樹脂が収縮
して行く過程で、光学面と不連続につながっているフラ
ンジ部は、光学面の収縮方向に追従することができず、
金型によってその収縮が拘束される状態となる。この結
果、フランジ部に圧縮力が付加される側の光学面の精度
は出るものの、フランジ部に圧縮力が付加されない側の
光学面の精度が低下してしまうという不具合が生じてい
る。
【0032】これは、圧縮方向に垂直な断面でのレンズ
形状の偏肉度が大きい場合に顕著である。例えば、製造
される光学レンズが光軸中心部の肉厚よりも外周縁部の
肉厚が薄い凸レンズの場合、その金型内に充填された樹
脂の温度分布を表す図11,12に示すように、金型に
接している部分から冷却が進行する上、相対的に肉厚の
薄い外周縁部に位置するフランジ部LF が相対的に肉厚
の厚い光学レンズLの中心部よりも早くガラス転移点温
度以下の温度になってしまう。周知のように、樹脂など
の高分子材料では、ガラス転移点温度の近傍の弾性率が
指数関数的に変化するため、ガラス転移点温度以上の中
心部が流動状態にあるにも拘らず、ガラス転移点温度以
下となったフランジ部LF は固化状態となってしまい、
圧縮力を発生させるための可動側インサート21の圧縮
力を集中的に受けてしまう。このため、可動側インサー
ト21からの圧縮力はこの可動側インサート21と反対
側の固定側インサート22によって成形される光学面L
O に伝わらず、この光学面LO の外周縁近傍が圧縮力不
足となり、中心部と比較して収縮量が大きくなってしま
い、金型内での最終成形状態を表す図13, 図14に示
すように、樹脂の収縮に伴って固定側インサート22と
樹脂とが分離する結果、金型より取り出された光学レン
ズは、圧縮力を発生させるための可動側インサート21
と対向する固定側インサート22によって成形される光
学面LO の外周縁部がだれた面精度の悪いものとなる。
【0033】フランジ部LF に圧縮力を負荷することが
できれば、その収縮を抑制することが可能であるが、フ
ランジ部LF を圧縮するためには光学面を成形するため
の可動側インサート21と、この可動側インサート21
を保持してフランジ部LF を成形するための可動側抱き
駒23とを一体に移動させるか、あるいはこれらを一体
的に製造しなければならず、このような成形駒の製作が
極めて困難であることは周知の通りである。
【0034】次に、このような不具合を解決し得る本発
明の実施に好適な光学レンズ製造用金型について、図1
5〜図20を参照しながら説明する。
【0035】図15は、メニスカス凸レンズを射出成形
するための金型の断面構造を表しており、図示しない成
形機射出シリンダ側プラテンに連結される固定側金型2
4と、図示しない型開き装置側プラテンに連結されてパ
ーティング面PLを境に固定側金型24と分離可能な可
動側金型25とを具え、これらの間に射出成形(射出圧
縮成形)されるべきメニスカス凸レンズと対応した形状
の成形キャビティ26が形成される。
【0036】固定側金型24は、固定側取り付け板27
と、固定側型板28と、固定側抱き駒29と、成形キャ
ビティ26に臨んでメニスカス凸レンズの凸光学面を形
成するための固定側インサート22とを有する。また、
可動側金型25は、可動側取り付け板30と、可動側型
板31と、可動側抱き駒23と、可動側受け板32と、
可動側スペーサブロック33と、成形キャビティ26に
臨んでメニスカス凸レンズの凹光学面を形成するための
可動側インサート21と、この可動側インサート21に
圧縮力を付加する可動側圧縮シリンダ34と、圧縮力測
定用の圧力センサ35とを有する。
【0037】抱き駒29, 23内には、温度調節用流体
を流すための温度調節流路36, 37がそれぞれ設けら
れ、インサート22, 21には、温度センサ38, 39
がそれぞれ組み込まれている。
【0038】図16は、図15に示した装置によって製
造されるメニスカス凸レンズLの断面形状を表してお
り、具体的には外径40mm、中心肉厚8mm、外周端肉厚
5mmとなっており、外径が最大有効径となっている。
【0039】成形作業を開始するに際し、図示しない温
度調節機から供給される温度調節媒体(本実施例では
水)を金型内の温度調節流路36, 37に流すことによ
り、あらかじめ90℃の定常状態に保たれている。図示
しない型締め装置によって型締めされた金型24, 25
内に溶融状態にある所定量のPMMA樹脂を射出充填
し、80MPa で10秒間保圧した後、固定側シリンダ4
0および可動側圧縮シリンダ34に外部油圧発生源から
作動油を送り、可動側インサート21に取り付けた圧力
センサ35の指示値が20MPa となるように図示しない
圧力制御弁を調整し、シリンダ40, 34を駆動して可
動側インサート21により成形キャビティ26内のPM
MA樹脂を圧縮しながら約2分間冷却を行った。
【0040】圧縮冷却されたメニスカス凸レンズLは、
全体が熱変形温度(PMMAの場合、100℃)以下の
温度になった時点で、型開き前の型締めされた状態で油
圧発生源から可動側圧縮シリンダ34への作動油の供給
を停止し、逃がし弁を解放して可動側インサート21に
よる圧縮を停止する。その後、射出成形機の型開き装置
によって金型の型開きを行い、金型から取り出す。
【0041】このようにして射出成形されるメニスカス
凸レンズLの外周縁にはフランジ部が存在しないため、
一対の光学面の一方側(凹光学面側)からの圧縮にも拘
らず、樹脂の収縮に伴って可動側インサート21を追従
させることが可能となり、固定側インサート22側にも
圧縮力を効果的に伝達することができ、インサート2
1, 22に形成された光学面の転写が精度良く行われ
る。
【0042】上述した例では、フランジ部を有しないメ
ニスカス凸レンズLについて説明したが、一対の光学面
の片側にのみ光軸に対して垂直な平面部を形成したメニ
スカス凸レンズに対しても高精度な転写を行うことがで
きる。
【0043】このような金型構造の他の例を図17に示
すが、図15に示した先の例と同一機能の部材にはこれ
と同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するもの
とする。すなわち、この例では固定側インサート22の
外径よりも可動側インサート21の外径を大きく設定し
ており、可動側インサート21と固定側抱き駒29との
間でフランジ部に相当する平面部がメニスカス凸レンズ
の外周縁部に形成される。
【0044】図12は、図11に示した装置によって製
造されるメニスカス凸レンズLの断面形状を表してお
り、具体的には外径40mm、中心肉厚10mm、外周端肉
厚6mmとなっており、固定側インサート22によって成
形される凸光学面の有効径は34mm、可動側インサート
21によって成形される凹光学面の有効径は、外径寸法
と同じ40mmである。そして、凸光学面の外周縁部に光
軸に対して垂直なリング状の平面部LP が形成される。
【0045】その成形条件は、PMMA樹脂を85MPa
で12秒間保圧する点と、圧力センサ35の指示値が2
5MPa になるようにした以外は、先の場合と同様であ
る。
【0046】このようにして射出成形されるメニスカス
凸レンズLの凸光学面の外周縁部には、リング状の平面
部LP が存在するものの、可動側インサート21によっ
て圧縮力を受ける凹光学面側は、全面が単一曲率半径の
曲面で形成されており、これら全面が均一に圧縮される
ため、片側からの圧縮にも拘らず、樹脂の収縮に伴って
可動側インサート21を追従させることが可能となり、
凸光学面側にも圧縮力が効果的に伝達され、インサート
21, 22に形成された光学面の転写が精度良く行われ
る。
【0047】上述した例では、メニスカス凸レンズLに
ついて説明したが、両凸レンズに対しても高精度な転写
を行うことができる。
【0048】このような金型構造の他の例を図19に示
すが、図15, 図17に示した先の2例と同一機能の部
材には、これと同一符号を記すに止め、重複する説明は
省略するものとする。すなわち、本例においても固定側
インサート22の外径よりも可動側インサート21の外
径を大きく設定しており、可動側インサート21と固定
側抱き駒29との間でフランジ部に相当する平面部が両
凸レンズの一方の凸光学面の外周縁部に形成される。
【0049】図20は、図19に示した装置によって製
造される両凸レンズLの断面形状を表しており、具体的
には外径40mm、中心肉厚16mm、外周端肉厚3mmとな
っており、固定側インサート22によって成形される凸
光学面の有効径は36mm、可動側インサート21によっ
て成形される凸光学面の有効径は、外径寸法と同じ40
mmである。そして、固定側インサート22によって成形
される凸光学面の外周縁部に光軸に対して垂直なリング
状の平面部LP が形成される。
【0050】その成形条件は、PMMA樹脂を95MPa
で20秒間保圧する点と、圧力センサ35の指示値が3
5MPa となるように圧縮力を調整した点と、冷却時間を
3分間にした以外は、先の場合と同様である。
【0051】このようにして射出成形される両凸レンズ
Lの一方の凸光学面の外周縁部には、リング状の平面部
P が存在するものの、可動側インサート21によって
圧縮力を受ける凸光学面側は、全面が単一曲率半径の曲
面で形成されており、これら全面が均一に圧縮されるた
め、片側からの圧縮にも拘らず、樹脂の収縮に伴って可
動側インサート21を追従させることが可能となり、固
定側インサート22によって形成される凸光学面側にも
圧縮力が効果的に伝達され、インサート21,22に形
成された光学面の転写が精度良く行われる。
【0052】次に、このような光学レンズの製造システ
ムについて、図21, 図22を参照しながら以下に説明
するが、ここでは製品となる光学レンズの形状にほぼ対
応した形状にあらかじめ加工されたレンズブランクを上
述した金型に挿入して加熱、圧縮、冷却工程を経て製品
としての光学レンズ(以下、これを製品レンズ)を得る
圧縮形成方法の場合について述べる。
【0053】このシステムの概要を示す図21におい
て、41は上述したレンズブランクを成形するための射
出成形機、42は図22に概略を示す圧縮成形機、43
はレンズブランクを成形前に加熱しておく予備加熱室、
44は圧縮成形して最終的な加工を終えた製品レンズを
ストックするストッカ、45は射出成形機41と予備加
熱室43との間ならびに予備加熱室43と圧縮成形機4
2との間でのレンズブランクの受渡しをそれぞれ行い、
さらに圧縮成形機42とストッカ44との間での製品レ
ンズの受渡しを行うため、レンズブランクおよび製品レ
ンズを搬送するハンドリングロボット、46は射出成形
機41が連結されてレンズブランクを成形するための射
出成形用金型、47は圧縮成形機42に組み込まれてレ
ンズブランクを製品レンズに圧縮成形するための圧縮成
形用金型、48は射出成形用金型46および圧縮成形用
金型47の温度を設定温度に維持するように温度調節媒
体を各金型46, 47に供給するための温度調節器、4
9は製品レンズをストッカ44に収納するためのパレッ
ト、50はハンドリングロボット45によってレンズブ
ランクを予備加熱室43に投入するための投入口、51
はハンドリングロボット45によってレンズブランクを
予備加熱室43から取り出すための取り出し口である。
【0054】なお、上述した圧縮成形機42の概略構造
を図22に示すが、抱き駒29, 23にカートリッジヒ
ータ52, 53をそれぞれ埋設していること以外は、図
15, 17, 19に示したものと実質的に同一であり、
先の例と同一機能の部材にはこれと同一符号を記してい
る。
【0055】圧縮成形の準備が整った段階で、射出成形
によって予め加工されたレンズブランクを予備加熱室4
3に移送して100℃まで加熱しておく。一方、圧縮成
形用金型47は内蔵されたカートリッジヒータ52, 5
3によって固定側および可動側のインサート22, 21
の部分を180℃まで加熱する。各インサート22,2
1の加熱は、温度センサ38, 39により逐次温度を検
出しながら、設定温度に最短で到達するようにカートリ
ッジヒータ52, 53へ流す電流をPID制御によって
行い、温度センサ38, 39の指示温度が設定温度18
0℃になった時点でブランク投入信号をハンドリングロ
ボット45と圧縮成形機42とに送り、設定温度を維持
するようになっている。
【0056】温度センサ38, 39からの検出信号に基
づいてレンズブランク投入信号を受け取ったハンドリン
グロボット45は、予備加熱室43内のレンズブランク
を圧縮成形用金型47に移送する。レンズブランクが圧
縮成形用金型47の成形キャビティ26内の所定の位置
に収まったことを圧縮成形機42に設置した図示しない
ビデオカメラによって監視確認し、確認信号の出力を受
けて圧縮成形機42は圧縮成形用金型47のパーティン
グ面PLを閉じる。この際、インサート22,21とレ
ンズブランクとの間に過大な圧縮力が加わらないよう
に、可動側インサート21をレンズブランクと接触しな
い位置まで、あらかじめ退避移動させておく。
【0057】圧縮成形用金型47が完全に閉じた時点で
可動側インサート21を前進(上昇)させ、インサート
22, 21とレンズブランクとを接触させる。180℃
に加熱されたインサート22, 21との接触でレンズブ
ランクの表面温度が上昇し、これが軟化温度に到達する
までの間、インサート22, 21の温度を維持し続け
る。本実施例では、軟化させるレンズブランクの表面か
らの深さを(球面に対して)非球面量に相当する0. 2
mmに設定し、これを1分間保持している。インサート2
2, 21をレンズブランクに接触させてから1分間経過
した後、可動側インサート21の裏側に内蔵してある圧
力センサ35によって計測している荷重が250kgにな
るまで可動側圧縮シリンダ34により可動側インサート
21を前進させる。この可動側インサート21に組み込
まれた圧力センサ35の指示値が250kgになった時点
で、可動側インサート21の位置を保持し、カートリッ
ジヒータ52, 53への電流出力を遮断し、90℃に設
定された冷却水を温度調節流路36, 37に流して冷却
する。
【0058】圧縮成形用金型47の温度が90℃になっ
た時点で、圧縮成形用金型47を型開きして製品レンズ
を圧縮成形用金型47から取り出す。
【0059】このように、相対する2面の光学面を有す
る光学レンズの場合、光学的に有効面積の大きい方の光
学面の有効径をその光学レンズの外径寸法と一致させて
不連続部のない曲面で構成し、成形キャビティ内に保持
された樹脂に対し、光学的に有効面積の大きい方の光学
面を形成する可動側インサートにより圧縮力を負荷する
ことにより、冷却に伴う収縮によって金型成形面から遊
離してゆく樹脂に対して均等な圧力を上記光学面全体お
よびその反対側の光学面に負荷することができるので、
可動側インサートを樹脂の収縮に追従させることがで
き、インサートに形成された光学面を射出成形される光
学レンズの光学面に精度良く転写することができる。そ
して、このようなシステムを用いて製品レンズの仕上が
り形状を予測すれば良い。
【0060】ところで、上述のようにレンズブランクを
圧縮成形によって製品レンズに成形する場合、レンズブ
ランクに対してあらかじめ設定しておいた圧縮量を与え
ながら製品レンズに成形している。
【0061】この場合、レンズブランクは、圧縮成形用
金型の成形キャビティ内に干渉なく挿入でき、しかも決
められた圧縮成形プロセスで精度よく加工できるような
寸法精度で製作されている。また、レンズブランクは、
その加工費用を削減できるように、ラフな形状精度で製
作されているため、コスト的に制約のあるレンズブラン
クの仕上がり寸法には、ある程度の寸法ばらつきが存在
している。
【0062】このような寸法ばらつきのあるレンズブラ
ンクに対し、従来ではあらかじめ設定した圧縮成形条件
で一様に加工しているため、寸法がばらついたレンズブ
ランクに対して過圧縮あるいは圧縮不足となり、成形さ
れた製品レンズにひけが発生したり、過圧縮によるスプ
リングバックが起こり、光学面精度が崩れしまうという
不具合が発生する可能性があった。
【0063】このような成形不良を抑えるためには、こ
のレンズブランクの寸法ばらつきを少なくすれば良い
が、そのためにはレンズブランクの加工精度を厳しく管
理しなければならなくなる。レンズブランクの加工精度
を厳しく管理すると、自ずとレンズブランクの加工費用
が嵩んでしまい、製品レンズの製造コストが上昇するこ
とになる。
【0064】また、レンズブランクの寸法精度を厳しく
管理しないで、圧縮成形加工を行う前にレンズブランク
の寸法検査を行い、許容できないほど寸法精度がずれて
いるレンズブランクを排除する方法も考えられるが、排
除されたレンズブランクは製品レンズには使用できない
ので、結局廃棄されることになり、得られる製品レンズ
の製造コストが嵩んでしまうこととなる。
【0065】このような不具合を克服し得る圧縮成形方
法について、図23および図24を参照しながら以下に
説明するが、先のものと同一機能の部材には、これと同
一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとす
る。
【0066】この場合の圧縮成形システムの概念を表す
図23において、61はフレーム、62は型開きシリン
ダ、63は可動側圧縮シリンダ34を駆動するためのシ
リンダ加圧ロッド、64は加圧ロッド駆動用ボールね
じ、65はボールねじ駆動用サーボモータ、66はサー
ボモータ制御装置、67は圧縮成形機47の成形キャビ
ティ26に投入されるレンズブランクの重量を測定する
ためのブランク重量測定装置、68は測定されたレンズ
ブランクの重量と後述する基準ブランク重量とを比較し
て圧縮量を演算する演算装置である。
【0067】図21で示したような射出成形機41であ
らかじめ略製品レンズと対応した形状に成形されるレン
ズブランクを予備加熱室43(図22参照)に移送し、
100℃まで加熱しておく。一方、圧縮成形用金型47
は内蔵されたカートリッジヒータ52, 53(図22参
照)によって固定側および可動側インサート22, 21
を例えば174℃まで加熱する。インサート22, 21
の加熱は、温度センサ38, 39(図22参照)によっ
て逐次温度を検出しながら設定温度に最短で到達するよ
うにカートリッジヒータ52, 53へ流す電流をPID
制御によって行い、温度センサ38, 39の指示温度が
設定温度の174℃になった時点で、ブランク投入信号
をハンドリングロボット45と圧縮成形機に送り、設定
温度を維持するようになっている。
【0068】レンズブランク投入信号を受け取ったハン
ドリングロボット45は、予備加熱室43内で予備加熱
されているレンズブランクを取り出し口51に取りに行
く。取り出し口51内には、ブランク重量測定装置67
が設けられており、ハンドリングロボット45に引き渡
されるレンズブランクの重量を計測し、演算装置68に
その計量結果を転送する仕組みになっている。
【0069】演算装置68には、あらかじめ多種多様な
成形試作によって設定された基準となるレンズブランク
(以下、これを基準ブランクと記述する)の重量と、こ
の基準ブランクに最適な圧縮量や冷却勾配が記憶されて
いる。本実施例での基準歩ランク重量は、14. 65g
に設定されている。
【0070】ハンドリングロボット45は、計量された
レンズブランクを圧縮成形用金型47に搬送し、レンズ
ブランクが圧縮成形用金型47の成形キャビティ26内
の所定の位置に収まったことを圧縮成形機42に設置し
たビデオカメラによって監視確認し、確認信号の出力を
受けて圧縮成形機42は圧縮成形用金型47のパーティ
ング面を閉じる。
【0071】可動側インサート21をレンズブランクに
接触させてから1分間経過した後、基準ブランクの場
合、0. 3mmだけ可動側インサート21を上昇して圧縮
力を加えることにより、製品レンズの形状に成形するよ
うになっている。この時、可動側インサート21に内蔵
してある圧力センサ35(図22参照)による計測値が
例えば60MPa となる。
【0072】ここで、圧縮成形用金型47に搬入された
レンズブランクの重量が14. 42gの場合、演算装置
68では基準ブランク重量とレンズブランクの重量との
差(14. 65−14. 42)=0. 23gを算出し、
演算装置68に記憶された図24に示す如き圧力と比容
積と温度との関係を表すPVTデータから、上述した重
量差を体積差に換算する。演算装置68には、基準ブラ
ンクの重量値14. 65gと基準成形条件における体積
値とが記憶されている。
【0073】例えば、予備加熱されて圧縮成形用金型に
搬入される時点のレンズブランクの温度が96℃の場
合、その時点での比容積は0. 857cm3/gであり、ま
た加熱してレンズブランクが174℃になった時点で基
準成形条件により圧縮した場合、レンズブランクにかか
る圧力は60MPa であるから、この状態の比容積は0.
864cm3/gであることが判る。そこで、この174℃
で60MPa の圧力がかかった状態において、基準ブラン
クよりも0. 23g軽いレンズブランクの体積は、基準
ブランクの体積よりも約0. 2cm3 減少していると算出
され、体積差を−0. 2cm3 と記憶する。さらに、演算
装置68は求められた体積差を可動側インサート21の
圧縮方向投影面積で除し、体積差を圧縮量差として算出
する。
【0074】このようにして算出した圧縮量差を基準圧
縮量の0. 3mmから減算して今回の圧縮量を演算し、圧
縮用サーボモータの回転数を演算してサーボモータに指
令を出す。本実施例では、圧縮量差が約10μm とな
り、実際の可動側インサート21の移動量は0. 31mm
となっている。
【0075】このようにして圧縮された後、カートリッ
ジヒータ52, 53への電流出力を遮断し、90℃に設
定された冷却水を圧縮成形用金型47に流して冷却す
る。圧縮成形用金型47の温度が90℃になった時点
で、圧縮成形用金型47を型開きし、可動側インサート
21を1mm程度下降させ、成形された製品レンズを可動
側インサート21から離脱させる。その後、可動側イン
サート21を上昇して圧縮成形用金型47より離型す
る。
【0076】このように、製品レンズを成形する前にレ
ンズブランクの重量を計量し、基準となるレンズブラン
ク重量と比較して両者の重量差を求め、その重量差から
体積差を算出すると共に算出した体積差から圧縮量を演
算して個々のレンズブランクに対応した圧縮量を付加で
きるので、レンズブランクの製作精度に左右されず、常
に一定した成形条件で製品レンズを高精度に安定させる
ことができる。しかも、レンズブランクの加工精度を厳
しく管理する必要がなくなり、その加工誤差を大きくき
るのでレンズブランクの加工費を安くすることが可能に
なる。そして、このようなシステムを用いて製品レンズ
の仕上がり形状を予測すれば良い。
【0077】
【発明の効果】本発明によると、冷却時間の長短や、冷
却水温度の高低、あるいは成形圧力の大小に対応して射
出成形される光学レンズの加工精度をほぼ正確に評価す
ることができるので、実際に金型を使用して成形作業を
行わなくても、その金型での最適成形条件を予測設定す
ることができる。このため、金型の設計段階において水
管のレイアウトや水管径、あるいは成形キャビティのレ
イアウトなどを適切に検討することが可能であり、対象
となる成形品に対して最適な金型を製作することができ
る。しかも、周辺設備の能力の確認や成形時間の予測も
可能となる。
【0078】このように、実際に金型を製作する前に成
形品の加工精度を予測したり、設備の能力を予測するこ
とができるので、金型の修正作業や、作り直し、あるい
は設備の補充などを回避することができ、経済的にも時
間的にも多大な負荷を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による成形品の仕上がり形状予測装置の
一実施例の概略構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示す実施例における金型および光学レン
ズの解析モデルを表す概念図である。
【図3】図1に示す実施例で用いた成形材料に関する温
度と線膨張係数との関係を表すグラフである。
【図4】図1に示す実施例で用いた成形材料に関する時
間と緩和弾性係数との関係を表すグラフである。
【図5】1次冷却水温を114℃に設定した場合におけ
る光学レンズの光学面の予測精度を表す干渉縞のパター
ン図である。
【図6】1次冷却水温を116℃に設定した場合におけ
る光学レンズの光学面の予測精度を表す干渉縞のパター
ン図である。
【図7】1次冷却水温を118℃に設定した場合におけ
る光学レンズの光学面の予測精度を表す干渉縞のパター
ン図である。
【図8】1次冷却水温を114℃に設定した場合に実際
に成形される光学レンズの光学面の精度を表す干渉縞の
パターン図である。
【図9】1次冷却水温を116℃に設定した場合に実際
に成形される光学レンズの光学面の精度を表す干渉縞の
パターン図である。
【図10】1次冷却水温を118℃に設定した場合に実
際に成形される光学レンズの光学面の精度を表す干渉縞
のパターン図である。
【図11】フランジ部を有するメニスカス凸レンズを成
形した場合における冷却途中での温度分布を等高線で示
す断面図である。
【図12】フランジ部を有する両凸レンズを成形した場
合における冷却途中での温度分布を等高線で示す断面図
である。
【図13】図11に示すメニスカス凸レンズを従来の方
法で成形した場合における収縮状態を誇張して描いた断
面図である。
【図14】図12に示す両凸レンズを従来の方法で成形
した場合における収縮状態を誇張して描いた断面図であ
る。
【図15】本発明の対象となった射出成形用金型の一例
を表す断面図である。
【図16】図15に示した射出成形用金型によって成形
されるメニスカス凸レンズの形状を表す断面図である。
【図17】本発明の対象となった射出成形用金型の他の
例を示す断面図である。
【図18】図17に示した射出成形用金型によって成形
されるメニスカス凸レンズの形状を表す断面図である。
【図19】本発明の対象となった射出成形用金型の別な
例を示す断面図である。
【図20】図18に示した射出成形用金型によって成形
される両凸レンズの形状を表す断面図である。
【図21】本発明を実施し得るレンズ製造システムの概
念図である。
【図22】図21に示したレンズ製造システムにおける
圧縮成形機の概略構造を表す断面図である。
【図23】本発明の対象となった圧縮成形用金型を用い
る圧縮成形システムの一例を表す概念図である。
【図24】図23に示したシステムに使用した樹脂の温
度と比容積と圧力との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
11 データ入力部 12 第1データ記憶部 L レンズ C 光軸 13 第2データ記憶部 14 温度分布演算部 15 熱歪み・応力緩和演算部 16 演算結果記憶部 17 演算結果表示部 LF フランジ部 21 可動側インサート 22 固定側インサート LO 光学面 23 可動側抱き駒 24 固定側金型 PL パーティング面 25 可動側金型 26 成形キャビティ 27 固定側取り付け板 28 固定側型板 29 固定側抱き駒 30 可動側取り付け板 31 可動側型板 32 可動側受け板 33 可動側スペーサブロック 34 可動側圧縮シリンダ 35 圧力センサ 36, 37 温度調節流路 38, 39 温度センサ 40 固定側シリンダ LP 平面部 41 射出成形機 42 圧縮成形機 43 予備加熱室 44 ストッカ 45 ハンドリングロボット 46 射出成形用金型 47 圧縮成形用金型 48 温度調節器 49 パレット 50 投入口 51 取り出し口 52, 53 カートリッジヒータ 61 フレーム 62 型開きシリンダ 63 シリンダ加圧ロッド 64 加圧ロッド駆動用ボールねじ 65 ボールねじ駆動用サーボモータ 66 サーボモータ制御装置 67 ブランク重量測定装置 68 演算装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 1/04 G02B 1/04 3/00 3/00 Z // B29L 11:00 B29L 11:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/00 - 33/76 B29C 43/00 - 43/58 B29C 45/00 - 45/84

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形法あるいは圧縮成形法あるいは
    射出圧縮成形法によって製作される成形品に対し、その
    製作時間の履歴に沿った微小時間における金型および前
    記成形品の温度変化を算出するステップと、 算出された温度変化に対応して前記金型および前記成形
    品に発生する熱歪み量を算出するステップと、 算出された熱歪み量と、温度−時間換算則に基づいて予
    め作成した応力緩和データとから前記成形品の内部応力
    を算出するステップと、 この算出結果に基づいて前記成形品の最終的な形状を予
    測するステップとを具えたことを特徴とする成形品の仕
    上がり形状予測方法。
  2. 【請求項2】 前記成形品は、複数の光学面を有するレ
    ンズであり、これら複数の光学面のうち、最大の有効面
    積を持つ光学面がその全面に亙って圧縮面であり、この
    圧縮面の外周が前記成形品の外周と一致していることを
    特徴とする請求項1に記載の成形品の仕上がり形状予測
    方法。
  3. 【請求項3】 前記金型は、複数の光学面を有するレン
    ズを成形するためのものであり、前記複数の光学面のう
    ち、最大の有効面積を持つ光学面が全面に亙って圧縮面
    であり、この圧縮面の外周が前記成形品の外周と一致し
    ていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の成形品の仕上がり形状予測方法。
  4. 【請求項4】 前記圧縮成形法は、前記成形品となる成
    形材料の重量に基づいて圧縮量を変化させるものである
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載
    の成形品の仕上がり形状予測方法。
  5. 【請求項5】 前記圧縮量の変化量は、基準となる前記
    成形材料の重量と実際の前記成形材料の重量との差と、
    前記成形材料の比重との積を、前記金型の圧縮面の圧縮
    方向に沿った投影面積で除した値と等しいことを特徴と
    する請求項4に記載の成形品の仕上がり形状予測方法。
  6. 【請求項6】 前記成形材料の比重は、温度と圧力とに
    基づいて予め記憶した比重データから算出するものであ
    ることを特徴とする請求項5に記載の成形品の仕上がり
    形状予測方法。
  7. 【請求項7】 前記成形材料の重量は、前記成形材料を
    金型に投入した後、圧縮工程に入る前に計量されるもの
    であることを特徴とする請求項4から請求項6の何れか
    に記載の成形品の仕上がり形状予測方法。
  8. 【請求項8】 射出成形法あるいは圧縮成形法あるいは
    射出圧縮成形法によって製作される成形品に対し、その
    製作時間の履歴に沿った微小時間における金型および前
    記成形品の温度変化を算出する温度変化算出手段と、 この温度変化算出手段によって算出された温度変化に対
    応して前記金型および前記成形品に発生する熱歪み量を
    算出する熱歪み量算出手段と、 温度−時間換算則に基づいて予め作成された応力緩和デ
    ータを記憶するデータ記憶部と、 このデータ記憶部に記憶された前記応力緩和データと、
    前記熱歪み量算出手段によって算出された熱歪み量とか
    ら前記成形品の内部応力を算出する内部応力算出手段
    と、 この内部応力算出手段による算出結果に基づいて前記成
    形品の最終的な形状を予測する最終形状予測手段とを具
    えたことを特徴とする成形品の仕上がり形状予測装置。
  9. 【請求項9】 前記成形品は、複数の光学面を有するレ
    ンズであり、これら複数の光学面のうち、最大の有効面
    積を持つ光学面がその全面に亙って圧縮面であり、この
    圧縮面の外周が前記成形品の外周と一致していることを
    特徴とする請求項8に記載の成形品の仕上がり形状予測
    装置。
  10. 【請求項10】 前記金型は、複数の光学面を有するレ
    ンズを成形するためのものであり、前記複数の光学面の
    うち、最大の有効面積を持つ光学面が全面に亙って圧縮
    面であり、この圧縮面の外周が前記成形品の外周と一致
    していることを特徴とする請求項8または請求項9に記
    載の成形品の仕上がり形状予測装置。
  11. 【請求項11】 前記圧縮成形法は、前記成形品となる
    成形材料の重量に基づいて圧縮量を変化させるものであ
    ることを特徴とする請求項8から請求項10の何れかに
    記載の成形品の仕上がり形状予測装置。
  12. 【請求項12】 前記圧縮量の変化量は、基準となる前
    記成形材料の重量と実際の前記成形材料の重量との差
    と、前記成形材料の比重との積を、前記金型の圧縮面の
    圧縮方向に沿った投影面積で除した値と等しいことを特
    徴とする請求項11に記載の成形品の仕上がり形状予測
    装置。
  13. 【請求項13】 前記成形材料の比重は、温度と圧力と
    に基づいて予め記憶した比重データから算出するもので
    あることを特徴とする請求項12に記載の成形品の仕上
    がり形状予測装置。
  14. 【請求項14】 前記成形材料の重量は、前記成形材料
    を金型に投入した後、圧縮工程に入る前に計量されるも
    のであることを特徴とする請求項11から請求項13の
    何れかに記載の成形品の仕上がり形状予測装置。
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