JPH08336833A - レンズブランクの成形方法及びプラスチック光学素子の圧縮成形方法及びその成形システム - Google Patents

レンズブランクの成形方法及びプラスチック光学素子の圧縮成形方法及びその成形システム

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JPH08336833A
JPH08336833A JP14335995A JP14335995A JPH08336833A JP H08336833 A JPH08336833 A JP H08336833A JP 14335995 A JP14335995 A JP 14335995A JP 14335995 A JP14335995 A JP 14335995A JP H08336833 A JPH08336833 A JP H08336833A
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lens
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Abstract

(57)【要約】 【目的】レンズブランクの成形に際し、急激な冷却に伴
う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸
湿を防止できるレンズブランクの成形方法を提供する。 【構成】金型から突き出されたレンズブランクはハンド
リングロボット25によって金型から離型され製品スト
ッカ24上のゲート切断装置上に搬送される。ゲートカ
ットされたレンズブランクは、ハンドリングロボットで
応力緩和室予備室に搬送され予備室のシャッタを閉鎖し
た後、内部圧を76cmHgに減圧されたタンクに通じ
る電磁弁を解放し予備室22内を減圧する。予備室内が
減圧されたら、内部圧を76cmHgに保った応力緩和
室の入口シャッタを開けてレンズブランク応力緩和室2
2内に搬送し最低3時間は80℃に保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばカメラ、VTR
カメラ、LBP、FAX等に使用される光学レンズ及び
プリズム、フレネルレンズ、回折格子、ミラー等の光学
部品を成形するための原材料となり、光学部品の最終仕
上がり形状と略同じ形状に予め加工された光学素子の成
形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に採用されている熱可塑性樹脂を
用いた光学部品の成形方法は、例えば、射出成形、圧縮
成形、射出圧縮成形、機械切削加工等がある。これらの
成形方法の中で、特に射出成形は、溶融樹脂を金型内で
直接成形するため、生産工程が単純で生産能力が高くな
り最も多用されている成形技術である。しかしながら、
射出成形技術では、成形材料を供給する湯口(ゲート)
が必要かつ不可欠であると共に、このゲートから成形に
必要な圧力を付加することになるので、例えば一眼レフ
カメラの撮影系レンズのような円形状レンズを成形する
場合、圧力分布がばらついて樹脂の流動配向が生じレン
ズ内部に光学的不均一をもたらし、レンズ性能を劣化さ
せてしまう不具合がある。また近年、プラスチックの加
工技術も進歩しプラスチックレンズに要求される精度も
高くなり、一眼レフカメラ用レンズ等ではサブミクロン
の形状誤差しか許容されなくなった。
【0003】一方、射出圧縮成形では、光学面全体に均
等な圧力を加えるので射出成形ほど圧力分布にバラツキ
を生じないが、ゲート形状を適正化したり、ゲートシー
ル機構を金型内へ組み込むための問題が生じてくる。し
かも流動による分子配向は射出成形同様に残ってしま
う。また、圧縮成形では、金型内に溶融樹脂を直接供給
するか、予め一定の形状に加工した材料ブランクを金型
内に投入して成形するのが一般的である。この材料ブラ
ンクを使用する場合、その材料ブランクは切削加工(特
公平1−39337号参照)やキャスティング(特公平
1−39336号、特公平1−59100号参照)、射
出成形等により製作されている。また、押し出し機を併
用してこの押し出し機より送出したシート材を金型へ導
いて成形を行う方法も取られている(特開平2−235
729号参照)。
【0004】このように材料ブランクを使用する圧縮成
形では、材料ブランクを金型内に投入後、表面または全
体を再加熱して溶融状態にした後に圧力を加えて所定形
状に成形される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、材料ブ
ランクを使用する圧縮成形によってレンズ、プリズム等
の光学部品を製造する場合、ブランクの製作方法と製作
したブランクを金型内に投入するまでの管理状態とが最
終製品である光学部品の品質に多大な影響を与える。
【0006】一般に、レンズ等の光学部品の表面形状は
サブミクロンの形状精度が必要であるとともに内部の均
質性が求められ、ゴミ、コンタミ、気泡の混入があって
はならない。さらに内部歪、流動配向により発生する複
屈折も最小限に抑える必要がある。このような光学部品
を製作する時に、材料ブランクが吸湿していればレンズ
内部や表面に気泡が発生し不良品となってしまう。
【0007】また、材料ブランクは最終製品ではないの
で形状精度もさほど必要とされず、できる限り加工コス
トを押さえて製作したいため、成形サイクルを極端に短
くする必要がある。成形サイクルを短縮するには金型内
の冷却水管を効率良く配置し、冷却媒体の温度を可能な
限り低くし、冷却媒体の流量を大きくしなくてはならな
い。
【0008】しかしながら、成形サイクルを極端に短く
すると、材料ブランクは成形中に多大な温度分布を持つ
ことになり肉厚方向の中心部と表層部で圧縮応力と引張
り応力が発生し、複屈折の大きいレンズブランクとなっ
てしまう。レンズブランクが多大な複屈折を有する場
合、これを除去するにはブランク全体をガラス転移点以
上の温度に再加熱する必要があり、コストアップを招く
という問題がある。
【0009】本発明は、上記従来技術における問題点を
解決するためになされたもので、その目的とするところ
は、レンズブランクの成形に際し、急激な冷却に伴う内
部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を
防止できるレンズブランクの成形方法を提供することに
ある。また、レンズブランクを使用した圧縮成形によっ
て光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しか
つ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えるプラスチ
ック光学素子の圧縮成形方法を提供することにある。
【0010】また、製品の性能を維持したままで、生産
効率をアップさせ且つ製品コストを低減することができ
るプラスチック光学素子の成形システムを提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明のレンズブランクの成形方
法は、以下の工程から成る。即ち、最終仕上がり形状と
略同じ形状に予め加工されたレンズブランクを成形金型
へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕
上がり形状に成形するプラスチック光学素子の圧縮成形
方法におけるレンズブランクの成形方法であって、所定
量の材料ペレットを溶融し、前記成形金型内に射出、充
填する射出成形工程と、一定体積に形成された前記レン
ズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上で、
且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温度以
下に冷却された時点で、前記成形金型から離型し、該金
型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下40
℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持する応
力緩和工程とを備える。
【0012】また、本発明のプラスチック光学素子の圧
縮成形方法は、以下の工程から成る。即ち、最終仕上が
り形状と略同じ形状に予め加工されたレンズブランクを
成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して
該最終仕上がり形状に成形するプラスチック光学素子の
圧縮成形方法であって、前記レンズブランクが、所定量
の熱可塑性樹脂材料を溶融し、前記成形金型内に射出、
充填する射出成形工程と、一定体積に形成された前記レ
ンズブランク内部の最高温度がガラス転移点温度以上
で、且つ該レンズブランクの表面近傍の温度が熱変形温
度以下に冷却された時点で、前記成形金型から離型し、
該金型外において前記熱変形温度乃至該熱変形温度以下
40℃までの範囲に設定された雰囲気で一定時間保持す
る応力緩和工程とを経て成形され、前記光学素子は、前
記レンズブランクの加熱及び圧縮処理中において、少な
くとも1度はその光学面形成部分が溶融温度以上の状態
になって圧縮成形される。
【0013】また、本発明のプラスチック光学素子の成
形システムは、以下の構成を備える。即ち、最終仕上が
り形状と略同じ形状のレンズブランクを成形し、該レン
ズブランクを圧縮成形金型へ投入し、加熱及び圧縮及び
冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形するプラス
チック光学素子の成形システムであって、所定量の材料
ペレットを溶融し、射出成形金型内に射出、充填するこ
とにより該レンズブランクを最終仕上がり形状と略同じ
形状に成形する射出成形装置と、前記射出成形装置から
取り出されたレンズブランクからスプルー及びランナを
除去する切断装置と、前記レンズブランクを最終仕上が
り形状に圧縮成形する圧縮成形装置と、前記圧縮成形装
置により成形されたレンズ完成品を収納するストッカー
と、前記レンズブランク又はレンズ完成品を所定の位置
に移送するハンドリングロボットとを備え、前記射出成
形装置、切断装置、圧縮成形装置及びハンドリングロボ
ットを互いに連係させて制御することによりレンズブラ
ンクの成形からレンズ完成品の収納まで自動的に実行す
る。
【0014】
【作用】以上のように、本発明のレンズブランクの成形
方法によれば、射出成形にてレンズブランクを製作する
過程でレンズブランクの体積を一定に保つことに重点を
おき可能な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の
最高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブラン
ク表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型
可能になった時点で取り出して、金型外において熱変形
温度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された
雰囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内
部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を
防止できる。
【0015】また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲
気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮形
成高低に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで
圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレン
ズを製作できるレンズブランクを提供することができ
る。また、本発明のプラスチック光学素子の圧縮成形方
法によれば、レンズブランクを使用した圧縮成形によっ
て光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しか
つ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えることがで
きる。
【0016】また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲
気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成
形工程に搬送するまでの間、酸化と吸湿を防止すること
で圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレ
ンズを製作できる。また、本発明のプラスチック光学素
子の成形システムによれば、レンズブランクの射出成形
からレンズ完成品の圧縮成形までを自動的に実行できる
ので、製品の性能を維持したままで、生産効率をアップ
させ且つ製品コストを低減することができる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明に係わる実施例につき添付の
図面を参照して詳細に説明する。 [レンズ成形方法の原理]レンズブランクを使用した圧
縮成形によって光学部品を製造するにあたり、本願発明
者は種々の検討を行い気泡の混入を防止しかつ生産性を
維持したまま複屈折を最小に抑える製造方法を確立し
た。
【0018】通常の射出成形でも材料ペレットの乾燥を
怠ると発泡、白化、ジェッティング、焼け等の不良現象
が発生するが圧縮成形においても同様であり、圧縮成形
するレンズブランクを成形前に十分乾燥しておく必要が
ある。そこで、従来はこの不良対策として圧縮成形前に
レンズブランクの乾燥を行っていた。しかし、この作業
だけではレンズブランクの吸湿に伴う不良現象のみを防
止するだけで、残留応力やそれに伴う複屈折等の内部不
均一現象の改善はできなかった。本願発明者はこの点を
鑑み、射出成形にてレンズブランクを製作する過程でレ
ンズブランクの体積を一定に保つことに重点をおき可能
な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の最高温度
がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブランク表面近
傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型可能にな
った時点で取り出して、金型外において熱変形温度から
熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰囲気で
一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内部温度差
による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防止でき
るレンズブランクの製造方法を確立した。
【0019】さらに、残留応力の低いレンズブランクを
低コストで製作する方法を付加することで上述の課題を
解決することができる。即ち、レンズブランクの製作コ
ストを下げる為には成形サイクルを短縮しなければなら
ない。成形サイクルを短縮する方法としては金型温度を
できる限り低く設定しレンズブランクの表面層のみを熱
変形温度以下の温度にまで冷却し、金型からの突き出し
によりレンズブランクが大きく変形しない状態になった
時点で金型から離型する。しかし、サイクルを短縮する
為に金型温度を下げればレンズブランク表面は急激に冷
却されることになり、レンズブランク表面付近と内部と
の間の温度差が大きくなり複屈折の原因となる残留応力
が大きくなる。そこで、本願発明者は、金型からの離型
後の雰囲気温度を調節することにより発生した残留応力
を緩和除去する方法を確立した。この方法では、金型か
ら突き出した時点ではレンズブランクの表面層は熱変形
温度以下になっているが、内部の大部分はガラス転移点
温度以上の温度を保っている。金型より離型された瞬間
から金型への熱伝導による冷却から雰囲気への熱伝達に
よる冷却に変わることになる。雰囲気への熱伝達は金型
への熱伝導に比して冷却効果が極端に落ちるので、表面
層からの熱の発散(熱伝達)よりも内部からの熱伝導の
ほうが大きくなり、熱変形温度以下になっていた表面層
は内部からの熱伝導により熱変形温度以上に再度上昇す
る。この際に、金型の冷却温度と冷却時間と離型後の雰
囲気温度を適宜制御することによって、レンズブランク
全体を再度ガラス転移点温度以上に保つことが可能にな
る。尚、この金型温度、冷却時間、離型後の雰囲気温度
の設定は有限要素法や境界要素法等の数値計算によって
算出することができる。
【0020】一方、離型後の雰囲気温度の設定によりレ
ンズブランク全体の温度が熱変形温度以上になる場合
は、自重による変形が生じるので最終工程である圧縮成
形金型に投入する際にレンズブランクがキャビティに収
まらないといった不具合が生じてしまう。従って、この
場合は、最終的にレンズに要求される光学性能や使用す
る樹脂の特性に応じてレンズブランクのハンドリング方
法を変えることで余分な設備投資によるコストアップを
回避できる。
【0021】以上のように、金型温度、冷却時間、離型
後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定
し、レンズブランクを圧縮成形工程に搬送するまでの間
に発生する酸化と吸湿を防止することで圧縮成形での成
形不良を回避し光学的にクリヤーなレンズを製作できる
ようになるのである。以下では上述の原理を利用した具
体的な実施例について詳細に説明する。
【0022】[共通実施例]以下に、後述する第1実施
例〜第4実施例に共通するレンズブランクの射出成形金
型の構成を共通実施例として説明する。図1(a)、
(b)は、夫々レンズブランクの側面図及び正面図であ
る。図2Aは、レンズブランク射出成形金型の型締め状
態を示す断面図である。また、図2Bは、レンズブラン
ク射出成形金型の型開き状態を示す断面図である。
【0023】図1に示すように、本実施例にて説明する
プラスチックレンズ等の圧縮成形では、予め一定の形状
に加工したレンズブランク100を金型内に投入して成
形する。 <レンズブランク射出成形金型の構成>レンズブランク
を成形する際には、図2Aに示す型締め状態で固定側鏡
面コア3と可動側鏡面コア4とで囲まれたキャビティ1
1内に溶融樹脂を射出充填し、保圧冷却を行なった後レ
ンズブランクを取り出すために金型を図2Bに示す型開
き状態とする。固定側鏡面コア3及び可動側鏡面コア4
には、夫々温度を一定に保持するための固定側熱電対
8、可動側熱電対9とが取付けられ、固定側型板1及び
可動側型板6には両型板1、6の温度を調節するための
温調媒体流路10が設けられている。金型200は、固
定側型板1と可動側型板6との間に設定された距離だけ
移動し型開きすると、固定側型板1と可動側型板6の相
対距離を一定に保つ引張りリンク7が取付けられてい
る。また、可動側型板6は可動側取付け板2と接続され
ると共に、取付け板2のブロックから離脱できる構造に
なっている。従って、型開きする際に、引張りリンクの
規制量以上に金型を開いていくと、可動側型板6が可動
側取付け板2のブロックより離脱していく構造となって
いる。例えば、引張りリンク7の規制量以上に距離dだ
け余計に型開きをすると、レンズブランク5と可動側鏡
面コア4の間に距離dに応じた離型空間12が形成さ
れ、可動側鏡面コア4をレンズブランク5から離脱する
ことができる。このとき、レンズブランク5は、可動側
型板6に密着しているだけとなり、可動側鏡面コア4を
反対に突き出すことで容易に可動側型板6より離型する
ことができる。
【0024】<レンズ圧縮成形装置の構成>次に、本実
施例のレンズブランクを最終的にレンズに成形加工する
ための圧縮成形装置及び圧縮成形金型の構成を説明す
る。図5は圧縮成形装置及び圧縮成形金型の構成を示す
図である。図5において、圧縮成形機51は、上部に圧
縮シリンダ69を備え、上下方向に圧縮金型を開閉でき
る。圧縮成形金型下型52及び上型53は圧縮成形機5
1により上下方向に移動する。圧縮成形機固定テーブル
54は、圧縮成形金型55を固定する。圧縮成形金型5
5はレンズブランク57を最終レンズに加工する。圧縮
成形機可動テーブル56は、圧縮シリンダ69によって
上下方向に移動する。金型キャビティ58は、上型鏡面
コア59と下型鏡面コア60とにより形成され、レンズ
ブランクを最終レンズに成形する空間となる。カートリ
ッジヒータ61は、上下型鏡面コア59、60を所定温
度に加熱保持する。温度センサ62は上下型鏡面コア5
9、60の温度をモニターする。冷却水流路63は、圧
縮成形金型上型53及び圧縮成形金型下型52を冷却す
るための冷却水を流す通路である。圧力センサ64は下
型鏡面コア60に加わる圧力を計測するために設けられ
る。圧縮ロッド65は、下型鏡面コア60を上下に移動
させる。変位センサ66は、圧縮ロッド65の移動量を
計測する。ボールネジ67は、圧縮ロッド65を上下動
させるためにサーボモータ80の回転を上下方向の移動
として伝達する。圧縮成形機圧縮ラム68は圧縮成形金
型上型53を上下方向に移動させる。圧縮シリンダ69
は、圧縮成形機圧縮ラム68を作動させる。油圧発生源
70は、油圧制御弁71及び開閉速度設定器72により
調節された油圧を圧縮シリンダ69に供給する。ヒータ
制御装置73及び金型温調装置76は、電気制御装置7
8を介してコントローラ79により制御され、カートリ
ッジヒータ61及び冷却水流路63を流れる媒体の温度
を制御する。温度変換器74、圧力変換器75及び変位
変換器77は、温度センサ62、圧力センサ64、変位
センサ66の検出値に基づいてコントローラ79及び電
気制御装置78を介してサーボモータ80を制御する。
【0025】[第1実施例]次に、本発明に基づく第1
実施例のレンズブランク及び最終レンズの成形方法につ
いて説明する。 <装置構成>図3は、第1実施例におけるレンズブラン
ク成形に用いる射出成形機及びレンズブランクを最終レ
ンズに成形する圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体の
システム構成を示す。図3において、21は射出成形
機、22は、射出成形されたレンズブランクを一定時間
保持して応力を緩和する応力緩和室、23はレンズブラ
ンクを最終レンズに成形する圧縮成形機、24は圧縮成
形機23で成形された最終レンズを保管する製品ストッ
カ、25はハンドリングロボットで垂直多関節型の6軸
制御ロボットである。
【0026】このハンドリングロボット25は、射出成
形機21、応力緩和室22、圧縮成形機23、パレット
28の間においてレンズブランクや最終レンズを移送す
る機能を有する。金型温度調節機26は、レンズブラン
ク製作用金型27及び圧縮成形金型31の温度を調節す
る。パレット28は、圧縮成形された最終レンズを製品
ストッカ24に収納するために設けられる。応力緩和工
程投入口29はレンズブランクを応力緩和室22に投入
するための入り口であり、レンズブランク供給口30は
応力緩和工程を終了したレンズブランクを応力緩和室か
ら取り出して圧縮成形金型に投入するための取り出し口
である。
【0027】射出成形機21で成形されたレンズブラン
クは、ハンドリングロボット25で応力緩和室22に移
送され、応力緩和工程を終了すると圧縮成形機の金型3
1へ移送され、圧縮されて最終レンズに成形される。圧
縮成形された最終レンズは、ハンドリングロボット25
によりパレット28上に移送され製品ストッカ24に収
納される。
【0028】<レンズブランクの成形方法>次に、第1
実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
図3に示す圧縮成形レンズブランク製作用金型27はレ
ンズブランクの製造コストを最小限に抑えるために、可
能な限り簡素化する必要がある。例えば、本実施例で
は、目的の光学部品を得る為の圧縮成形金型は光学面を
形成する部分は設計形状との形状誤差が0.1μm以下
で表面粗さRZISO=0.05μm以下である鏡面駒をイ
ンサートしてキャビティを構成しているのに対して、レ
ンズブランク成形用金型は光学面の形状誤差が3/10
0mm、表面粗さはRZISO=30μmとし加工精度を落
としてある。ただし、圧縮成形用金型のキャビティ容積
と同様のキャビティ容積に調節してある。また、成形サ
イクルを最小限にして製造コストを抑える為に、熱伝導
解析を行なって冷却水管の断面積及び配置の最適化を行
い適切な冷却水量を維持できる温調機を使用している。
【0029】このレンズブランク成形用金型27を射出
成形機にセットして成形する訳だが、射出圧力と保圧圧
力が高すぎると成形品内に過大な残留応力が発生し、複
屈折による光学的品質劣化を招いてしまう。成形時に発
生した過大な残留応力は再度ガラス転移点以上に加熱し
ない限り光学的に問題のないレベルまで落とせない。光
学面を形成しレンズとして仕上げる最終工程の圧縮成形
において、レンズブランク全体をガラス転移温度以上に
再加熱すればこの過大な残留応力を除去することができ
るが、加熱時間が長くかかるとともに冷却時間が長く必
要になり成形期間の長期化を招いてしまって大幅なコス
ト高となる。一方、プラスチックレンズを使用する利点
はガラスに比べて軽量で形状自由度があり生産性が高い
為に生産コストが安いところにある。よって、コスト高
となる成形は現実性がない。従って、本願発明者は、成
形サイクルを最短にでき、かつ高精度な光学面を形成で
きる成形手法を目標に実験検討を行い、レンズブランク
の表面層のみを軟化させて圧縮冷却する方法が最適であ
ることを見いだした。しかしながらこの方法では、レン
ズ内部はガラス転移点以上の温度にはならないため、レ
ンズブランク製作時の残留応力がそのまま最終仕上がり
レンズ内部に残ってしまうことになる。従って、光学面
を高精度に製作するだけではなく、レンズ内部が均質で
光学的にクリヤーなプラスチックレンズを得る為には、
内部に残留応力のない光学的にクリヤーなレンズブラン
クを製作する必要がある。以下では、第1実施例として
残留応力の少ないレンズブランクを製作する方法につい
て説明する。
【0030】(残留応力の少ないレンズブランクを製作
する方法)製作するレンズは外径50mm、中心肉厚4
mmのPMMA(ポリメタクリル酸メチル)性凹レンズ
である。PMMAの熱変形温度(ASTM648)は100℃で
ガラス転移点温度は118℃である。まず、図2A、図
2Bに示すように、温調媒体に水を使用した温調機(不
図示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300
Kg/cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低
限の保圧力(本実施例では100kg/cm2)を10秒かけ
た後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から
取り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金
型温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部は
まだ125℃の状態である。そのため、エジェクターピ
ン等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは
簡単に変形してしまう。この離型変形を回避するために
第1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用してい
る。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型
がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリ
ンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造にな
っている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可
動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距
離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定
してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可
動側金型の間に離型空間12が生じるようになってい
る。この機構によって成形されたレンズブランクから可
動側鏡面コア4が離脱する。その後、成形機のエジェク
ター機構によって鏡面コアを前進させキャビティからレ
ンズブランクを突き出すようになっている。このような
機構によって局部的な変形を回避することができる。
【0031】図3に示すように、金型から突き出された
レンズブランクはハンドリングロボット25によって金
型から離型され製品ストッカ24上のゲート切断装置
(不図示)上に搬送される。ゲート切断装置は使用樹脂
によって切断カッター部の温度を適宜設定できるように
なっており、本実施例では200℃に設定されている。
切断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間
にゲート部が位置するように固定されてゲートが切断さ
れる。さらに、ゲート切断装置上に固定された時に上下
に配置された静電除去装置によって除電されホコリの付
着を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズ
の温度低下を防止するために静電除去装置のブローエア
ー温度は85℃に設定されている。
【0032】ゲートカットされたレンズブランクは、ハ
ンドリングロボットで応力緩和室予備室(不図示)に搬
送され予備室のシャッタを閉鎖した後、内部圧を76c
mHgに減圧されたタンクに通じる電磁弁を解放し予備
室22内を減圧する。予備室内が減圧されたら、内部圧
を76cmHgに保った応力緩和室の入口シャッタを開
けてレンズブランクを応力緩和室22内に搬送し最低3
時間は80℃に保つ。このように減圧雰囲気中で保持す
ることで、応力の緩和とともに吸湿を防止しレンズブラ
ンクの酸化劣化を防止することができる。
【0033】<最終レンズの成形方法>光学面を形成す
る圧縮成形の準備が整った段階で、応力緩和工程を終了
したレンズブランクを予備加熱室に移送し100℃まで
加熱しておく。一方、図5に示すように、圧縮成形金型
は内蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コア
の部分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面
コアに内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出
しながら、設定温度に最短で到達するようにカートリッ
ジヒータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温
度センサの指示温度が設定温度の180℃になった時点
でレンズブランク投入信号を図3に示すハンドリングロ
ボット25と圧縮成形機23に送り、設定温度を維持す
るようになっている。温度検出装置からレンズブランク
投入信号を受け取ったハンドリングロボット25は予備
加熱室内のレンズブランクを圧縮成形金型31に移送す
る。図5に示すように、レンズブランク57が圧縮成形
金型55のキャビティ58内の所定の位置に収まったこ
とを圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図示)によ
って監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮成形機は
金型(パーティング面)を閉じる。この際、上下型鏡面
コア59、60とレンズブランク57に過大な圧縮力が
加わらない為に、予め下側の下型鏡面コア60を金型を
閉じた時に可動側(下側)に鏡面コアとレンズブランク
が接触しないように後退(下降)させておく。金型が完
全に閉じた時点で可動側鏡面コアを前進(上昇)させ、
鏡面コアとレンズブランクを接触させる。180℃に加
熱された鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度
が上昇し軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度
を維持し続ける。本実施例では、軟化させるレンズブラ
ンクの表面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1
分間保持している。鏡面コアをレンズブランクに接触さ
せてから1分間経過した後、可動側鏡面コアの裏に内蔵
してある圧力センサ64によって計測している荷重が2
50Kgになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型
鏡面コア60裏の圧力センサ64の指示値が250Kg
になった時点で下型鏡面コア60の位置を保持し、カー
トリッジヒータ61への電流出力を遮断し、90℃に設
定された冷却水を圧縮成形金型55に流して冷却する。
圧縮成形金型上下型52、53の温度が90℃になった
時点で、下型鏡面コアを1mm程度下降させ、下型鏡面
コアを成形レンズから離しておく。次に圧縮成形金型5
5を型開きし、下型鏡面コアを上昇させて成形レンズを
圧縮成形金型55より離型する。
【0034】本実施例では応力緩和室を減圧雰囲気とし
たが、チッソガス等に置換しレンズブランクの酸化劣化
と吸湿を防止する方法もある。 [第2実施例]次に、本発明に基づく第2実施例として
成形機と最終レンズを成形する圧縮成形機を同一生産ラ
インに設置し、残留応力の少ないレンズブランクと最終
レンズを連続して生産する成形方法について説明する。
【0035】<装置構成>図4は、第2実施例における
レンズブランク成形に用いる射出成形機及びレンズブラ
ンクを最終レンズに成形する圧縮成形機を含むレンズ成
形装置全体のシステム構成示す。図4において、41は
射出成形機、42は、射出成形されたレンズブランクの
スプルー、ランナーを切断するゲート切断装置、43は
レンズブランクを最終レンズに成形する圧縮成形機、4
4は圧縮成形機43で成形された最終レンズを保管する
製品ストッカ、45はハンドリングロボットで垂直多関
節型の6軸制御ロボットである。
【0036】このハンドリングロボット45は、射出成
形機41、ゲート切断装置42、圧縮成形機43、パレ
ット47の間においてレンズブランクや最終レンズを移
送する機能を有する。金型温度調節機46は、レンズブ
ランク製作用金型27及び圧縮成形金型31の温度を調
節する。パレット47は、圧縮成形された最終レンズを
製品ストッカ44に収納するために設けられる。
【0037】射出成形機41で成形されたレンズブラン
クは、ハンドリングロボット45でゲート切断装置42
に移送され、レンズブランクからスプルーとランナーを
切断する。ゲート切断を終了したレンズブランクは、圧
縮成形機へ移送され、圧縮されて最終レンズに成形され
る。圧縮成形された最終レンズは、金型から取り出され
ハンドリングロボット45によりパレット47上に移送
されそのまま製品ストッカ44に収納される。
【0038】<レンズブランクの成形方法>次に、第2
実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
この第2実施例では、インラインで成形機によって成形
したレンズブランクを取り出し後、そのまま圧縮成形金
型に投入して最終レンズ形状に加工する。製作するレン
ズは外径50mm、中心肉厚4mmのPMMA性凹レン
ズである。図4に示すレンズブランクを製作する射出成
形機41は隣接された圧縮成形機43の成形サイクルと
連動して運転するようにプログラムされており、圧縮成
形機43の冷却工程が終了した時点で圧縮成形機43か
ら射出成形機41へ成形開始信号が出力され、この信号
を受けて射出成形機41がレンズブランクの成形を開始
するシステムになっている。
【0039】図2A、図2Bに示すように、レンズブラ
ンク成形機は、温調媒体に水を使用した温調機(不図
示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300Kg
/cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低限
の保圧力(本実施例では100kg/cm2)を10秒かけた
後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から取
り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金型
温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部はま
だ125℃の状態である。そのため、エジェクターピン
等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは簡
単に変形してしまう。この離型変形を回避するために第
1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用してい
る。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型
がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリ
ンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造にな
っている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可
動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距
離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定
してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可
動側金型の間に空間12が生じるようになっている。こ
の機構によって成形されたレンズブランクから可動側鏡
コア4が離脱する。その後、成形機のエジェクター機構
によって鏡面コアを前進させキャビティからレンズブラ
ンクを突き出すようになっている。このような機構によ
って局部的な変形を回避することができる。
【0040】<最終レンズの成形方法>金型から突き出
されたレンズブランクは成形品取り出し装置(不図示)
によって金型から離型され隣接されたゲート切断装置4
2上に搬送される。図4に示すゲート切断装置42は使
用樹脂によって切断カッター部の温度を適宜設定できる
ようになっており、本実施例では200℃に設定されて
いる。切断カッターは上下に1つづつ配置されておりそ
の中間にゲート部が位置するように固定されてゲートが
切断される。さらに、ゲート切断機上に固定された時に
上下に配置された静電除去装置(不図示)によって除電
されホコリの付着を防止している。また、ゲートカット
工程中のレンズの温度低下を防止するために静電除去装
置のブローエアーは80℃に設定されている。
【0041】ゲートカットされたレンズは、ハンドリン
グロボット45で直ちに圧縮成形金型48のキャビティ
に搬送され光学面を形成すべく圧縮冷却される。一方、
図5に示すように、圧縮成形金型は内蔵されたカートリ
ッジヒータ61によって鏡面コアの部分を180℃まで
加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コアに内蔵された温度
センサ62により逐次温度を検出しながら、設定温度に
最短で到達するようにカートリッジヒータ61へ流す電
流をPID制御によって行い、温度センサの指示温度が
設定温度の180℃になった時点でレンズブランク投入
信号を図3に示すハンドリングロボット25と圧縮成形
機23に送り、設定温度を維持するようになっている。
図5に示すように、レンズブランク57が圧縮成形金型
55のキャビティ58内の所定の位置に収まったことを
圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図示)によって
監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮成形機は金型
(パーティング面)を閉じる。この際、上下型鏡面コア
59、60とレンズブランク57に過大な圧縮力が加わ
らない為に、予め下型鏡面コア60を金型を閉じた時に
下型鏡面コア60とレンズブランクが接触しないように
後退(下降)させておく。金型が完全に閉じた時点で下
型鏡面コア60を前進(上昇)させ、下型鏡面コア60
とレンズブランク57を接触させる。180℃に加熱さ
れた鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度が上
昇し軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度を維
持し続ける。本実施例では、軟化させるレンズブランク
の表面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1分間
保持している。鏡面コアをレンズブランクに接触させて
から1分間経過した後、下型鏡面コアの裏に内蔵してあ
る圧力センサ64によって計測している荷重が250K
gになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コ
ア裏の圧力センサの指示値が250Kgになった時点で
下型鏡面コア60の位置を保持し、カートリッジヒータ
61への電流出力を遮断し、90℃に設定された冷却水
を圧縮成形金型に流して冷却する。圧縮成形金型52、
53の温度が90℃になった時点で、下型鏡面コアを1
mm程度下降させ、下型鏡面コアを成形レンズから離し
ておく。次に圧縮成形金型を型開きし、下型鏡面コアを
上昇させて成形レンズを圧縮成形金型より離型する。
【0042】[第3実施例]次に、本発明に基づく第3
実施例として残留応力の少ないレンズブランクを製作す
る方法最終レンズの成形方法について説明する。 <レンズブランクの成形方法>先ず、第3実施例のレン
ズブランクの成形方法について説明する。
【0043】この第3実施例では、レンズブランク製作
型より取り出したレンズブランクを雰囲気温度に温調さ
れた最終仕上がりレンズと同形状の治具内に保持したま
ま温度保持工程を行う。また、この第3実施例では、図
3と図4に示すレンズブランク及び最終レンズ成形装置
を組み合わせた装置を用いてレンズブランク及び最終レ
ンズを成形する。
【0044】製作するレンズは外径50mm、中心肉厚
4mmのPMMA性凹レンズである。まず、図2A、図
2Bに示すように、温調媒体に水を使用した温調機(不
図示)によって85℃に保った金型に、射出圧力300
Kg/cm2で射出充填しゲートからの逆流を防止できる最低
限の保圧力(本実施例では100kg/cm2)を10秒かけ
た後20秒間冷却して保圧冷却時間30秒間で金型から
取り出す。取り出した直後はレンズ表面の温度はほぼ金
型温度に等しくなっているが、レンズブランク中心部は
まだ125℃の状態である。そのため、エジェクターピ
ン等で局部的な荷重を加えてしまうとレンズブランクは
簡単に変形してしまう。この離型変形を回避するために
第1実施例では、コア突き出し構造の金型を採用してい
る。また、この金型はスリープレート形式の金型で金型
がある程度開いたら、金型の両脇に備えてある引張りリ
ンク7によって可動側の型板6が固定せられる構造にな
っている。可動側型板6が固定されてからも成形機の可
動側プラテンは予め設定してある位置(図2Bに示す距
離d)までさらに後退し、それに伴ってプラテンに固定
してある可動側金型部分も後退し、可動側型板と他の可
動側金型の間に空間12が生じるようになっている。こ
の機構によって成形されたレンズブランクから可動側鏡
面コア4が離脱する。その後、成形機のエジェクター機
構によって鏡面コアを前進させキャビティからレンズブ
ランクを突き出すようになっている。このような機構に
よって局部的な変形を回避することができる。
【0045】<最終レンズの成形方法>図3又は図4に
示すように、金型から突き出されたレンズブランクはハ
ンドリングロボットによって金型から離型されストッカ
ーに隣接されたゲート切断装置上の切断固定治具(図6
参照)に搬送される。図6は、上述のゲート切断機上に
レンズブランクを固定する治具の構成を示す。この固定
治具はレンズブランク製作金型のキャビティと同形状の
球面に加工されており、レンズブランクと接する面にフ
ッ素加工を施してある。また、治具上に置かれたレンズ
ブランクの温度低下を防止するために一定温度に温調で
きる構造になっている。本実施例の場合は100℃に設
定されている。ゲート切断装置(不図示)は使用樹脂に
応じて切断カッター部の温度を適宜設定できるようにな
っており、本実施例では200℃に設定されている。切
断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間に
ゲート部が位置するように固定されてゲートが切断され
る。さらに、ゲート切断機上に固定された時に上下に配
置された静電除去装置によって除電されたホコリの付着
を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズの
温度低下を防止する為に静電除去装置のブローエアー温
度は85℃に設定されている。
【0046】ゲートカットされたレンズは、ハンドリン
グロボットで応力緩和室予備室の搬送治具(不図示)に
搬送し予備室のシャッタを閉鎖した後、内部圧を76c
mHgに減圧されたタンクに通じる電磁弁を解放し予備
室内を減圧する。搬送治具は、アルミニウム、ステンレ
ス鋼、真鍮、銅系合金からなり、レンズブランクが当接
する部分にフッ素樹脂をコーティングされ、レンズブラ
ンク成形金型の固定側キャビティと同形状の球面を有し
自重による変形を防止できるようにレンズブランク外形
を保持できる構造となっている。予備室内が減圧された
ら、内部圧を76cmHgに保った応力緩和室の入口シ
ャッタを開けてレンズブランク応力緩和室に搬送し12
0℃に保つ。レンズブランク成形金型からの離脱時に熱
変形温度以下に冷却された表面層はレンズブランク内部
からの熱伝導によってガラス転移点以上の温度になり、
応力緩和室内の雰囲気温度によってレンズブランク全体
が120℃の均一温度に保たれる。このように減圧雰囲
気中でガラス転移点温度に保つことで応力を緩和し、吸
湿を防止できレンズブランクの酸化劣化も防止すること
ができる。
【0047】光学面を形成する圧縮成形の準備が整った
段階で、応力緩和工程を終了したレンズブランクを成形
準備室(不図示)に移送し、成形準備室内を1気圧に戻
しておく。一方、図5に示すように、圧縮成形金型は内
蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コアの部
分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コア
に内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出しな
がら、設定温度に最短で到達するようにカートリッジヒ
ータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温度セ
ンサの指示温度が設定温度の180℃になった時点でレ
ンズブランク投入信号を図3又は図4に示すハンドリン
グロボット25又は45と圧縮成形機23又は43に送
り、設定温度を維持するようになっている。温度検出装
置からレンズブランク投入信号を受け取ったハンドリン
グロボット25又は45は予備加熱室内のレンズブラン
クを圧縮成形金型31に移送する。図5に示すように、
レンズブランク57が圧縮成形金型55のキャビティ5
8内の所定の位置に収まったことを圧縮成形機に設置し
たビデオカメラ(不図示)によって監視確認し、確認信
号の出力を受けて圧縮成形機は金型(パーティング面)
を閉じる。この際、上下型鏡面コア59、60とレンズ
ブランク57に過大な圧縮力が加わらない為に、予め下
側の下型鏡面コア60を金型を閉じた時に下型鏡面コア
60とレンズブランクが接触しないように後退(下降)
させておく。金型が完全に閉じた時点で下型鏡面コアを
前進(上昇)させ、下型鏡面コア60とレンズブランク
57を接触させる。180℃に加熱された鏡面コアとの
接触でレンズブランクの表面温度が上昇し軟化温度に到
達するまでの間、鏡面コアの温度を維持し続ける。本実
施例では、軟化させるレンズブランクの表面を非球面量
に相当する0.2mmに設定し1分間保持している。鏡
面コアをレンズブランクに接触させてから1分間経過し
た後、下型鏡面コアの裏に内蔵してある圧力センサ64
によって計測している荷重が250Kgになるまで下型
鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コア裏の圧力センサ
の指示値が250Kgになった時点で下型鏡面コア60
の位置を保持し、カートリッジヒータ61への電流出力
を遮断し、90℃に設定された冷却水を圧縮成形金型に
流して冷却する。圧縮成形金型52、53の温度が90
℃になった時点で、下型鏡面コアを1mm程度下降さ
せ、下型鏡面コアを成形レンズから離しておく。次に圧
縮成形金型を型開きし、下型鏡面コア60を上昇させて
成形レンズを圧縮成形金型より離型する。
【0048】本実施例では応力緩和室を減圧雰囲気とし
たが、チッソガス等に置換しレンズブランクの酸化劣化
と吸湿を防止する方法もある。 [第4実施例]次に、本発明に基づく第4実施例として
残留応力の少ないレンズブランクを製作する方法最終レ
ンズの成形方法について説明する。
【0049】<レンズブランクの成形方法>先ず、第4
実施例のレンズブランクの成形方法について説明する。
この第4実施例では、レンズブランク製作型より取り出
したレンズブランクを雰囲気温度に温調された最終仕上
がりレンズと同形状の治具内に保持したまま温度保持工
程を行う。また、この第3実施例では、図3と図4に示
すレンズブランク及び最終レンズ成形装置を組み合わせ
た装置を用いてレンズブランク及び最終レンズを成形す
る。
【0050】<レンズブランクの成形方法>製作するレ
ンズは外径50mm、中心肉厚4mmのPMMA性凹レ
ンズである。まず、図2A、図2Bに示すように、温調
媒体に水を使用した温調機(不図示)によって85℃に
保った金型に、射出圧力300cm2で射出充填しゲート
からの逆流を防止できる最低限の保圧力(本実施例では
100cm2)を10秒かけた後20秒間冷却して保圧冷
却時間30秒間で金型から取り出す。取り出した直後は
レンズ表面の温度はほぼ金型温度に等しくなっている
が、レンズブランク中心部はまだ125℃の状態であ
る。そのため、エジェクターピン等で局部的な荷重を加
えてしまうとレンズブランクは簡単に変形してしまう。
この離型変形を回避するために第1実施例では、コア突
き出し構造の金型を採用している。また、この金型はス
リープレート形式の金型で金型がある程度開いたら、金
型の両脇に備えてある引張りリンク7によって可動側の
型板6が固定せられる構造になっている。可動側型板6
が固定されてからも成形機の可動側プラテンは予め設定
してある位置(図2Bに示す距離d)までさらに後退
し、それに伴ってプラテンに固定してある可動側金型部
分も後退し、可動側型板と他の可動側金型の間に空間1
2が生じるようになっている。この機構によって成形さ
れたレンズブランクから可動側鏡面コア4が離脱する。
その後、成形機のエジェクター機構によって鏡面コアを
前進させキャビティからレンズブランクを突き出すよう
になっている。このような機構によって局部的な変形を
回避することができる。
【0051】<最終レンズの成形方法>図3又は図4に
示すように、金型から突き出されたレンズブランクはハ
ンドリングロボットによって金型から離型されストッカ
ーに隣接されたゲート切断装置上の切断固定治具(図6
参照)に搬送される。図6は、上述のゲート切断機上に
レンズブランクを固定する治具の構成を示す。この固定
治具はレンズブランク製作金型のキャビティと同形状の
球面に加工されており、レンズブランクと接する面にフ
ッ素加工を施してある。また、治具上に置かれたレンズ
ブランクの温度低下を防止するために一定温度に温調で
きる構造になっている。本実施例の場合は100℃に設
定されている。ゲート切断装置(不図示)は使用樹脂に
応じて切断カッター部の温度を適宜設定できるようにな
っており、本実施例では200℃に設定されている。切
断カッターは上下に1つづつ配置されておりその中間に
ゲート部が位置するように固定されてゲートが切断され
る。さらに、ゲート切断機上に固定された時に上下に配
置された静電除去装置によって除電され、ホコリの付着
を防止している。また、ゲートカット工程中のレンズの
温度低下を防止する為に静電除去装置のブローエアーは
85℃に設定されている。
【0052】ゲートカットされたレンズは、ハンドリン
グロボットで応力緩和室予備室の搬送治具(不図示)に
搬送し予備室のシャッターを閉鎖した後、内部圧を76
cmHgに減圧されたタンクに通じる電磁弁を解放し予
備室内を減圧する。搬送治具は、アルミニウム、ステン
レス鋼、真鍮、銅系合金からなり、レンズブランクが当
接する部分にフッ素樹脂がコーティングされ、レンズブ
ランク成形金型の固定側キャビティと同形状の球面を有
し自重による変形を防止できるようにレンズブランク外
形を保持できる構造となっている。予備室内が減圧され
たら、内部圧を76cmHgに保った応力緩和室の入口
シャッタを開けてレンズブランク応力緩和室に搬送し1
20℃に保つ。レンズブランク成形金型からの離脱時に
熱変形温度以下に冷却された表面層はレンズブランク内
部からの熱伝導によってガラス転移点以上の温度にな
り、応力緩和室内の雰囲気温度によってレンズブランク
全体が120℃の均一温度に均される。このように減圧
雰囲気中でガラス転移点温度に保つことで応力を緩和
し、吸湿を防止できレンズブランクの酸化劣化も防止す
ることができる。
【0053】光学面を形成する圧縮成形の準備が整った
段階で、応力緩和工程を終了したレンズブランクを成形
準備室(不図示)に移送し、成形準備室内を1気圧に戻
しておく。一方、図5に示すように、圧縮成形金型は内
蔵されたカートリッジヒータ61によって鏡面コアの部
分を180℃まで加熱する。鏡面コアの加熱は鏡面コア
に内蔵された温度センサ62により逐次温度を検出しな
がら、設定温度に最短で到達するようにカートリッジヒ
ータ61へ流す電流をPID制御によって行い、温度セ
ンサの指示温度が設定温度の180℃になった時点でレ
ンズブランク投入信号を図3又は図4に示すハンドリン
グロボット25、45と圧縮成形機23、43に送り、
設定温度を維持するようになっている。温度検出装置か
らレンズブランク投入信号を受け取ったハンドリングロ
ボット25又は45は成形準備室内のレンズブランクを
圧縮形成金型に移送する。
【0054】ハンドリングロボットのフィンガー部は軟
化状態にあるレンズブランクを変形させないで圧縮成形
金型のキャビティ内の所定の位置に収めるために、フッ
素樹脂製でレンズブランク成形金型の固定側光学面形状
と同様の球面形状をもち、この球面形状の数ヵ所に吸引
装置に通じる吸引口を備えている。フッ素樹脂を使用す
ることによってレンズブランクのフィンガー部への張り
つきを防止しキャビティへの投入を容易にしている。ハ
ンドリングロボットは成形準備室内の搬送治具に移動し
たらフィンガー部がレンズブランクに接するまで吸引口
から吸引しながら下降し、レンズブランクをフィンガー
部に吸引保持する。
【0055】図5に示すように、レンズブランク57が
圧縮成形金型55のキャビティ58内の所定の位置に収
まったことを圧縮成形機に設置したビデオカメラ(不図
示)によって監視確認し、確認信号の出力を受けて圧縮
成形機は金型(パーティング面)を閉じる。この際、上
下型鏡面コア59、60とレンズブランク57に過大な
圧縮力が加わらない為に、予め下型鏡面コア60を金型
を閉じた時に下型鏡面コア60とレンズブランクが接触
しないように後退(下降)させておく。金型が完全に閉
じた時点で下型鏡面コアを前進(上昇)させ、鏡面コア
とレンズブランクを接触させる。180℃に加熱された
鏡面コアとの接触でレンズブランクの表面温度が上昇し
軟化温度に到達するまでの間、鏡面コアの温度を維持し
続ける。本実施例では、軟化させるレンズブランクの表
面を非球面量に相当する0.2mmに設定し1分間保持
している。鏡面コアをレンズブランクに接触させてから
1分間経過した後、下型鏡面コア60の裏に内蔵してあ
る圧力センサ64によって計測している荷重が250K
gになるまで下型鏡面コア60を上昇する。下型鏡面コ
ア裏の圧力センサの指示値が250Kgになった時点で
下型鏡面コア60の位置を保持し、カートリッジヒータ
61への電流出力を遮断し、90℃に設定された冷却水
を圧縮成形金型に流して冷却する。圧縮成形金型52、
53の温度が90℃になった時点で、下型鏡面コアを1
mm程度下降させ、下型鏡面コアを成形レンズから離し
ておく。次に圧縮成形金型を型開きし、下型鏡面コアを
上昇させて成形レンズを圧縮成形金型より離型する。
【0056】本実施例では応力緩和室を減圧雰囲気とし
たが、チッソガス等に置換しレンズブランクの酸化劣化
と吸湿を防止する方法もある。 [実施例の効果]第1〜第4実施例によれば、レンズブ
ランクを使用した圧縮成形によって光学部品を製造する
にあたり、気泡の混入を防止しかつ生産性を維持したま
ま複屈折を最小に抑えることができる。
【0057】また、通常の射出成形でも材料ペレットの
乾燥を怠ると発泡、白化、ジェッティング、焼け等の不
良現象が発生するが圧縮成形においても同様であり、圧
縮成形するレンズブランクを成形前に十分乾燥しておく
必要がある。そこで、従来はこの不良対策として圧縮成
形前にレンズブランクの乾燥を行っていた。しかし、こ
の作業だけではレンズブランクの吸湿に伴う不良現象の
みを防止するだけで、残留応力やそれに伴う複屈折等の
内部不均一現象の改善はできなかった。この点を鑑み本
実施例では、射出成形にてレンズブランクを製作する過
程でレンズブランクの体積を一定に保つことに重点をお
き可能な限り低圧で成形するとともに、ブランク内の最
高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、ブランク
表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型から離型可
能になった時点で取り出して、金型外において熱変形温
度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定された雰
囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に伴う内部
温度差による残留応力の発生を回避し、同時に吸湿を防
止できる。
【0058】さらに残留応力の低いレンズブランクを低
コストで製作する方法を付加することで前記課題を解決
することができる。レンズブランクの製作コストを下げ
る為には成形サイクルを短縮しなければならない。成形
サイクルを短縮する方法としては金型温度をできる限り
低く設定しレンズブランクの表面層のみを熱変形温度以
下の温度にまで冷却し、金型からの突き出しによりレン
ズブランクが大変形しない状態になった時点で金型から
離型する。しかし、サイクルを短縮する為に金型温度を
下げればレンズブランク表面は急激に冷却されることに
なり、レンズブランク表面付近と内部との間の温度差が
大きくなり複屈折の原因となる残留応力が大きくなる。
そこで、本願発明者は金型からの離型後の雰囲気温度を
調節することにより発生した残留応力を緩和除去するこ
とを発見した。金型から突き出した時点ではレンズブラ
ンクの表面層は熱変形温度以下になっているが、内部の
大部分はガラス転移点温度以上の温度を保っている。金
型より離型された瞬間から金型への熱伝導による冷却か
ら雰囲気への熱伝達による冷却に変わることになる。熱
伝達は熱伝導に比して冷却効果が極端に落ちるので、表
面層からの熱の発散よりも内部からの熱伝導のほうが大
きくなり、熱変形温度以下になっていた表面層は内部か
らの熱伝導により熱変形温度以上に再度上昇する。金型
の冷却温度と冷却時間と離型後の雰囲気温度を適宜制御
することによって、レンズブランク全体を再度ガラス転
移点温度以上に保つことが可能になる。この金型温度、
冷却時間、離型後の雰囲気温度の設定は有限要素法や境
界要素法等の数値計算によって算出することができる。
【0059】また、離型後の雰囲気温度の設定によりレ
ンズブランク全体の温度が熱変形温度以上になる場合
は、自重による変形が生じるので最終工程である圧縮成
形金型に投入する際にレンズブランクがキャビティに収
まらないといった不具合が生じてしまう。この不具合に
対しては、最終的にレンズに要求される光学性能や使用
する樹脂の特性に応じてレンズブランクのハンドリング
方法を変えることで余分な設備投資によるコストアップ
を回避できる。
【0060】以上のように、金型温度、冷却時間、離型
後の雰囲気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定
し、圧縮成形工程に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止
することで圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリ
ヤーなレンズを製作できるレンズブランクを提供するこ
とができる。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明のレンズブランク
の成形方法によれば、射出成形にてレンズブランクを製
作する過程でレンズブランクの体積を一定に保つことに
重点をおき可能な限り低圧で成形するとともに、ブラン
ク内の最高温度がガラス転移点温度以上の状態にあり、
ブランク表面近傍の温度が熱変形温度以下になり金型か
ら離型可能になった時点で取り出して、金型外において
熱変形温度から熱変形温度以下40℃までの範囲に設定
された雰囲気で一定時間保持することで、急激な冷却に
伴う内部温度差による残留応力の発生を回避し、同時に
吸湿を防止できる。
【0062】また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲
気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成
形工程に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで
圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレン
ズを製作できるレンズブランクを提供することができ
る。また、本発明のプラスチック光学素子の圧縮成形方
法によれば、レンズブランクを使用した圧縮成形によっ
て光学部品を製造するにあたり、気泡の混入を防止しか
つ生産性を維持したまま複屈折を最小に抑えることがで
きる。
【0063】また、金型温度、冷却時間、離型後の雰囲
気温度、レンズブランク保持温度を適宜設定し、圧縮成
形工程に搬送するまでの間酸化と吸湿を防止することで
圧縮成形での成形不良を回避し光学的にクリヤーなレン
ズを製作できる。また、本発明のプラスチック光学素子
の成形システムによれば、レンズブランクの射出成形か
らレンズ完成品の圧縮成形までを自動的に実行できるの
で、製品の性能を維持したままで、生産効率をアップさ
せ且つ製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、夫々レンズブランクの側面
図及び正面図である。
【図2A】レンズブランク射出成形金型の型締め状態を
示す断面図である。
【図2B】レンズブランク射出成形金型の型開き状態を
示す断面図である。
【図3】第1実施例におけるレンズブランク成形に用い
る射出成形機及びレンズブランクを最終レンズに成形す
る圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体のシステム構成
を示す図である。
【図4】第2実施例におけるレンズブランク成形に用い
る射出成形機及びレンズブランクを最終レンズに成形す
る圧縮成形機を含むレンズ成形装置全体のシステム構成
を示す図である。
【図5】圧縮成形装置及び圧縮成形金型の構成を示す図
である。
【図6】切断固定治具を示す図である。
【符号の説明】
51…圧縮成形機 52…圧縮成形金型下型 53…圧縮成形金型上型 54…圧縮成形機固定テーブル 55…圧縮成形金型 56…圧縮成形機可動テーブル 57…レンズブランク 58…金型キャビティ 59…上型鏡面コア 60…下型鏡面コア 61…カートリッジヒータ 62…温度センサ 63…冷却水流路 64…圧力センサ 65…圧縮ロッド 66…変位センサ 67…ボールネジ 68…圧縮成形機圧縮ラム 69…圧縮シリンダ 70…油圧発生源 71…油圧制御弁 72…開閉速度設定器 73…ヒータ制御装置 74…温度変換器 75…圧力変換器 76…金型温調装置 77…変位変換器 78…電気制御装置 79…コントローラ 80…サーボモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29L 11:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加
    工されたレンズブランクを成形金型へ投入し、加熱及び
    圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形す
    るプラスチック光学素子の圧縮成形方法におけるレンズ
    ブランクの成形方法であって、 所定量の材料ペレットを溶融し、前記成形金型内に射
    出、充填する射出成形工程と、 一定体積に形成された前記レンズブランク内部の最高温
    度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの
    表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、
    前記成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形
    温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定され
    た雰囲気で一定時間保持する応力緩和工程とを備えたこ
    とを特徴とするレンズブランクの成形方法。
  2. 【請求項2】 前記応力緩和工程において、前記レンズ
    ブランクの自重による変形を防止するために、最終仕上
    がりレンズと略同じ形状の搬送治具を用い、該レンズブ
    ランクは該搬送治具内に収納された状態で保持されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のレンズブランクの成形
    方法。
  3. 【請求項3】 前記搬送治具はアルミニウム、ステンレ
    ス鋼、真鍮、銅系合金からなり、前記レンズブランクが
    当接する部分にフッ素樹脂をコーティングされているこ
    とを特徴とする請求項2に記載のレンズブランクの成形
    方法。
  4. 【請求項4】 前記応力緩和工程において、前記レンズ
    ブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形するまでの間、
    所定圧力に減圧された雰囲気中で保管することを特徴と
    する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレン
    ズブランクの成形方法。
  5. 【請求項5】 前記応力緩和工程において、前記レンズ
    ブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形するまでの間、
    所定圧力に減圧された雰囲気中又は不活性ガスを充填さ
    れた雰囲気中で予備加熱状態に保持することを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレンズ
    ブランクの成形方法。
  6. 【請求項6】 前記レンズブランクを成形する際の成形
    金型の温度と、冷却時間と、該成形金型より離型後の雰
    囲気の温度とを有限要素法及び境界要素法により算出す
    ることを特徴とする請求項1に記載のレンズブランクの
    成形方法。
  7. 【請求項7】 最終仕上がり形状と略同じ形状に予め加
    工されたレンズブランクを成形金型へ投入し、加熱及び
    圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上がり形状に成形す
    るプラスチック光学素子の圧縮成形方法であって、 前記レンズブランクが、 所定量の熱可塑性樹脂材料を溶融し、前記成形金型内に
    射出、充填する射出成形工程と、 一定体積に形成された前記レンズブランク内部の最高温
    度がガラス転移点温度以上で、且つ該レンズブランクの
    表面近傍の温度が熱変形温度以下に冷却された時点で、
    前記成形金型から離型し、該金型外において前記熱変形
    温度乃至該熱変形温度以下40℃までの範囲に設定され
    た雰囲気で一定時間保持する応力緩和工程とを経て成形
    され、 前記光学素子は、前記レンズブランクの加熱及び圧縮処
    理中において、少なくとも1度はその光学面形成部分が
    溶融温度以上の状態になって圧縮成形されることを特徴
    とするプラスチック光学素子の圧縮成形方法。
  8. 【請求項8】 最終仕上がり形状と略同じ形状のレンズ
    ブランクを成形し、該レンズブランクを圧縮成形金型へ
    投入し、加熱及び圧縮及び冷却処理を施して該最終仕上
    がり形状に成形するプラスチック光学素子の成形システ
    ムであって、 所定量の材料ペレットを溶融し、射出成形金型内に射
    出、充填することにより該レンズブランクを最終仕上が
    り形状と略同じ形状に成形する射出成形装置と、 前記射出成形装置から取り出されたレンズブランクから
    スプルー及びランナを除去する切断装置と、 前記レンズブランクを最終仕上がり形状に圧縮成形する
    圧縮成形装置と、 前記圧縮成形装置により成形されたレンズ完成品を収納
    するストッカーと、 前記レンズブランク又はレンズ完成品を所定の位置に移
    送するハンドリングロボットとを備え、 前記射出成形装置、切断装置、圧縮成形装置及びハンド
    リングロボットを互いに連係させて制御することにより
    レンズブランクの成形からレンズ完成品の収納まで自動
    的に実行することを特徴とするプラスチック光学素子の
    成形システム。
  9. 【請求項9】 前記切断装置は、前記レンズブランクを
    所定位置に保持すると共に、該レンズブランクと略同じ
    形状の切断固定治具を更に備え、 前記切断固定治具は前記レンズブランクと接する部分に
    フッ素加工を施されていると共に、該ブランクの温度低
    下を防止するために温度調節可能な構造になっているこ
    とを特徴とする請求項8に記載のプラスチック光学素子
    の成形システム。
  10. 【請求項10】 前記ハンドリングロボットの物品把持
    部は、前記レンズブランクが当接する部分にフッ素樹脂
    をコーティングされていると共に、軟化状態にあるレン
    ズブランクの変形を防止するために前記射出成形装置の
    固定側光学面形状と略同じ形状に形成され、該ブランク
    を吸引するための複数の吸引口を備えることを特徴とす
    る請求項8に記載のプラスチック光学素子の成形システ
    ム。
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