JPH1128745A - プラスチック成形品の成形方法およびプラスチック成形品の成形用金型 - Google Patents

プラスチック成形品の成形方法およびプラスチック成形品の成形用金型

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JPH1128745A
JPH1128745A JP9164316A JP16431697A JPH1128745A JP H1128745 A JPH1128745 A JP H1128745A JP 9164316 A JP9164316 A JP 9164316A JP 16431697 A JP16431697 A JP 16431697A JP H1128745 A JPH1128745 A JP H1128745A
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康生 山中
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/0025Preventing defects on the moulded article, e.g. weld lines, shrinkage marks
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    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
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    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/46Means for plasticising or homogenising the moulding material or forcing it into the mould
    • B29C45/56Means for plasticising or homogenising the moulding material or forcing it into the mould using mould parts movable during or after injection, e.g. injection-compression moulding

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、短い成形サイクルで高精度な成形
品を得ることができるプラスチック成形品の成形方法を
提供するものである。 【解決手段】 溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却すると
きに、キャビティ駒13、14を樹脂から離隔するように摺
動させることにより、樹脂16とキャビティ駒13、14の間
に強制的に空隙17a、17bを画成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザビームプリ
ンタ、ファクシミリ等の光学走査系、ビデオカメラの光
学機器、光ディスク等に適用されるプラスチック成形品
の成形方法に関し、特に高精度な鏡面や微細な凹凸のパ
ターン等を転写可能なプラスチック成形品の成形方法お
よびプラスチック成形品の成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、射出成形方法は、金型温度を成
形用樹脂の熱変形温度前後とした一定容積のキャビティ
内に溶融樹脂を射出充填し、保圧を制御しながら徐冷し
た後、金型を開いて成形品を取り出すようにしている。
ところが、この方法は樹脂の冷却時の温度分布がそのま
ま圧力分布となるため、厚肉、偏肉な成形品を成形する
場合には、成形サイクルを短くすることができるものの
偏肉部に残圧が発生し、また、厚肉部にひけが発生して
高精度な成形品が得られないという欠点を有する。
【0003】このような不具合が発生しない射出成形法
としては、例えば、特開昭62−11619号公報に記
載されたようなものがある(以下、これを第1従来例と
いう)。このものは、金型温度をその樹脂の軟化温度
(非晶質樹脂におけるガラス転移温度)以上にした後、
一定のキャビティ容積下に溶融樹脂を射出充填してゲー
トシールし、一定の樹脂内圧を発生させた後冷却して、
その熱変形温度以下で金型を開いて取り出すものであ
る。このようにすると、樹脂内圧の発生後に冷却するこ
とにより、偏肉、厚肉、大口径の成形品でも高精度に成
形することができる。
【0004】また、他の成形方法としては、特開昭61
−19327号公報に記載されたようなものがある(以
下、これを第2従来例という)。このものは、金型温度
をその樹脂の軟化温度(非晶質樹脂におけるガラス転移
温度)以上にした後、キャビティ内に溶融樹脂を射出充
填し、次いで、加圧シリンダーによってキャビティ内の
樹脂をキャビティ駒を介して間接的に圧縮しながら冷却
した後、その熱変形温度以下で金型を開いて取り出すも
のである。
【0005】このものにあっては、冷却時に樹脂を圧縮
することにより、偏肉、厚肉、大口径の成形品でも高精
度に成形することができる。また、その他の成形方法と
しては、特開昭63−114614号公報に記載された
ものがある(以下、これを第3従来例という)。このも
のは、金型温度をその熱変形温度前後で一定とした後、
キャビティ内に低圧で溶融樹脂を射出充填した後、金型
内の圧縮機構により一方側から樹脂を圧縮することによ
り、樹脂の冷却固化に伴う収縮を補うようにして、高精
度な成形品を得るようにしている。
【0006】また、他の成形方法としては、特開平8−
234005号公報に記載されたようなものがある(以
下、これを第4従来例という)。このものは、樹脂を充
填完了直前に充填を中止し、ミラー成形面では樹脂を密
着させ、その対向面ではぬれ性を低くして樹脂との密着
力を小さくし、この密着力の小さい面にひけを生じさせ
ることにより、光学用反射ミラーを製造する方法であ
る。
【0007】また、他の成形方法としては、特開平6−
98642号公報に記載されたようなものがある(以
下、これを第5従来例という)。このものは、光学用反
射ミラーの製造方法に限定されるが、ミラー成形面と対
向する面の濡れ性を前記ミラー成形面より低下させ、か
つ、金型内に充填したプラスチック材料に保圧を加えず
に成形品を得る方法である。
【0008】また、他の成形方法としては、特開平6−
304973号公報に記載されたようなものがある(以
下、これを第6従来例という)。このものは、射出充填
後に転写部と通気口部との間に圧力差を発生させて該通
知口部にひけを発生させる成形方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1従
来例の成形方法にあっては、型開き時の樹脂内圧を大気
圧と同等にする必要があるため、溶融樹脂の射出充填時
の樹脂内圧をかなり高圧にしなければならず、高圧に耐
え得る高価な金型が必要になってしまう上に、溶融樹脂
の射出充填時と成形品の取り出し時に金型に温度差が発
生するため、成形品の成形サイクルが長くなってしまう
という問題が発生してしまう。
【0010】また、第2従来例の成形方法にあっては、
溶融樹脂の射出充填時と成形品の取り出し時に金型に温
度差が発生するため、成形品の成形サイクルが長くなっ
てしまうという問題が発生してしまう。また、第3従来
例の成形方法にあっては、一方側から圧縮力を受けて樹
脂が圧縮するため、圧縮時に樹脂が部分的に固化してし
まい、圧縮方向に偏肉、厚肉なものに対しては圧力の偏
在が発生してしまい、高精度な成形品が得られないとい
う問題があった。
【0011】また、第4従来例の成形方法にあっては、
ミラーのような厚肉でないもの、対向面がひけても良い
ものには適用することができるが、厚肉、偏肉なものに
は片面がほとんどぬれていないため、溶融樹脂から金型
への熱伝導性が悪く冷却に時間がかかりすぎるし、ま
た、レンズのように対向面も高精度な転写性が要求され
るものには適用できなかった。
【0012】このように偏肉、厚肉でも高精度な成形品
が得られる成形方法では、金型の加熱、冷却を伴うため
に成形サイクルが長くなってしまい、また、成形サイク
ルが短い成形方法では偏肉、厚肉なものでは高精度な成
形品を得ることができなかった。また、第5従来例の成
形方法にあっては、転写面と対向する面に限定しないと
転写面の転写性が低下してしまうことから、レンズのよ
うな対向面の転写性が要求される成形に応用することが
できない。また、保圧を加えないため、転写面以外の側
面を基準としようとしても基準面精度を出すことができ
ないという問題があった。
【0013】また、第6従来例の成形方法にあっては、
ひけは充填後の樹脂の冷却による樹脂内圧がその空気圧
以下にならないと生じない。また、厚肉・偏肉な成形品
では、厚肉部が最も早くその空気圧以下になるが、その
タイミングでは既に薄肉部は初期の高圧下に冷却固化し
まっているため、薄肉部に内部歪みが残存してしまい、
その残圧により転写面精度も低下してしまった。
【0014】そこで本発明は、短い成形サイクルで高精
度な成形品を得ることができるプラスチック成形品の成
形方法および成形用金型を提供することを目的としてい
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、少なくとも1つ以上の転写
面を有するとともに該転写面以外の面に少なくとも1つ
以上のキャビティ駒が摺動自在に設けられ、転写面およ
びキャビティ駒によって少なくとも1つ以上のキャビテ
ィが画成された一対の金型を準備し、該金型を樹脂の軟
化温度未満に加熱保持し、前記キャビティ内に軟化温度
以上に加熱された溶融樹脂を射出充填し、次いで、前記
転写面に樹脂圧力を発生させて樹脂を該転写面に密着さ
せた後、該樹脂を軟化温度以下に冷却し、次いで、型開
きして取り出すようにしたプラスチック成形品の成形方
法において、前記溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却する
ときに、前記キャビティ駒の少なくとも1つ以上を樹脂
から離隔するように摺動させることにより、樹脂とキャ
ビティ駒の間に強制的に空隙を画成したことを特徴とし
ている。
【0016】その場合、射出充填によってキャビティ内
に適度な樹脂内圧を発生させて転写面に樹脂が密着さ
れ、かつ、密着を維持する適度な圧力を残した状態のと
きに、樹脂とキャビティ駒の間に強制的に空隙が画成さ
れることで、この空隙に面した樹脂部分の樹脂面が自由
面となり、他の金型に接した面よりも動き易くなる。こ
のため、空隙の存在によってこの樹脂部分からの熱伝導
が低下してこの樹脂部分が最も冷却速度が遅くなる(す
なわち、この樹脂部分がキャビティ内で最も高温・低粘
度となる)。
【0017】この結果、冷却によって生じる収縮はこの
部分の樹脂が動くことによって吸収され、空隙に面した
樹脂部分が優先的にひけて転写面にひけが生じることが
防止され、所望する転写面が短い成形サイクルで忠実に
転写される。また、冷却時の転写面に作用する樹脂内圧
を大気圧に近づけることができるため、光弾性歪みの小
さい成形品を得ることができる。
【0018】なお、金型温度を樹脂の軟化温度未満にし
ているのは、金型温度を樹脂の軟化温度以上にすると、
成形品の取り出し時に成形品が変形してしまい、高精度
な成形品を得ることができないからである。請求項2記
載の発明は、上記課題を解決するために、請求項1記載
の発明において、前記キャビティ駒を摺動して空隙の画
成を開始する時期を、キャビティ内の樹脂の表層部が軟
化温度未満の固化した状態で中心部がその軟化温度以上
であり、かつ表層部から中心部までの平均温度がその樹
脂の軟化温度以上であるときに設定したことを特徴とし
ている。
【0019】その場合、冷却時に空隙を画成したとき
に、空隙を生じる面と樹脂は密着しているが、樹脂の表
面層が固化しているため、剥離が容易に行なわれる上に
剥離時表面層が大きく変形しない。また、剥離による空
隙の発生後はその平均温度が樹脂の軟化温度以上である
ため、空隙に面する樹脂部分の断熱効果と温度の均一化
によって、この樹脂部分の温度が逆にその軟化温度以上
に上昇して低粘度化し、この樹脂部分の移動が容易にな
る。
【0020】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1または2記載の発明において、前記
空隙内の圧力を0.05MPa以上6MPa以下に設定
することを特徴としている。その場合、空隙内の圧力を
0.05MPa〜6MPaの範囲にすることにより、樹
脂の冷却に伴う空隙に面した樹脂部分の収縮移動を助長
する方向に一定圧力を発生させることができる。なお、
空隙内の圧力が0.05MPa未満であると、この助長
効果を得ることができず、空隙内の圧力が6MPa以上
であると、高価な圧力発生装置が必要になる上に、発生
圧による歪みが成形品内に残るため、好ましくない。
【0021】また、空隙内の圧力は0.1MPa〜2M
Paに設定されればより一層好ましい。請求項4記載の
発明は、上記課題を解決するために、請求項1〜3何れ
かに記載の発明において、前記キャビティ駒を摺動して
空隙を画成する直前の転写面圧力を、0.5MPa以上
60MPa以下に設定したことを特徴としている。
【0022】その場合、空隙が発生したときの転写面の
転写性が低下するのを防止することができる。なお、転
写面の圧力を0.5MPa未満にした場合には、空隙の
発生時に転写面が剥がれてしまうため好ましくなく、転
写面の圧力を60MPa以上にした場合には、成形品そ
のものの内部応力が増大して残留応力が残るため好まし
くない。
【0023】請求項5記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜4何れかに記載の発明において、
前記キャビティ駒として微小孔を有する材料を用い、該
キャビティ駒の微小孔から樹脂側に気体を送り込むこと
により、該キャビティ駒を摺動させて空隙を画成するよ
うにしたことを特徴としている。その場合、キャビティ
駒の摺動性を良好にすることができるとともに、空隙を
画成するキャビティ面と樹脂との剥離を容易に行なうこ
とができ、成形作業の作業性を良好なものにすることが
できる。
【0024】請求項6記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜5何れかに記載の発明において、
前記樹脂として、軟化温度がそのガラス転移温度である
非晶質樹脂を使用することを特徴としている。その場
合、樹脂の収縮性が良好なため、高精度な成形精度を容
易に得ることができる。
【0025】請求項7記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜6何れかに記載の発明において、
前記キャビティ駒を前記転写面と隣接する面に接触さ
せ、前記キャビティ駒を摺動させたときに前記転写面と
隣接する面にも空隙を画成するようにしたことを特徴と
している。その場合、空隙発生時に転写面に隣接する全
面が開放されるので、冷却によって樹脂が収縮した場合
に空隙に面する樹脂がより容易に収縮され、転写面の転
写精度が向上される。
【0026】請求項8記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜6何れかに記載の発明において、
前記空隙を画成する面を、前記転写面の有効範囲から少
なくとも1mm以上離隔させたことを特徴としている。
その場合、空隙に接する樹脂部分が必要以上に変形する
のを防止して成形品に悪影響を及ぼすのを防止すること
ができる。
【0027】請求項9記載の発明は、上記課題を解決す
るために、各壁面によって所定容積のキャビティを画成
する成形面と、該成形面の少なくとも1つ以上に形成さ
れ、樹脂に鏡面を転写する転写面とを有し、前記キャビ
ティ内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充填
した後、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって前記
樹脂に転写面を転写するようにしたプラスチック成形品
の成形用金型において、前記転写面を除く少なくとも1
つ以上の成形面の壁面の全部または一部を形成するキャ
ビティ駒を摺動自在に設け、前記樹脂圧力が所定圧力に
なったときに前記キャビティ駒を樹脂から離隔するよう
に摺動させることにより、樹脂とキャビティ駒の間に空
隙を画成したことを特徴としている。
【0028】その場合、射出充填によってキャビティ内
に適度な樹脂内圧を発生させて転写面に樹脂が密着さ
れ、かつ、密着を維持する適度な圧力を残した状態のと
きに、樹脂とキャビティ駒の間に強制的に空隙が画成さ
れることで、この空隙に面した樹脂部分の樹脂面が自由
面となり、他の成形面に接した面よりも動き易くなる。
このため、空隙の存在によってこの樹脂部分からの熱伝
導が低下してこの樹脂部分が最も冷却速度が遅くなる。
【0029】このため、冷却によって生じる収縮はこの
部分の樹脂が動くことによって吸収され、空隙に面した
樹脂部分が優先的にひけて、または膨張してこの面に凹
形状または凸形状が選択的に形成されて転写面にひけが
生じることが防止される。この結果、厚肉または偏肉の
成形品であっても低歪みでかつ転写面の形状精度を確保
した成形品を得ることができる。
【0030】また、金型温度を樹脂の軟化温度以下に設
定した場合であっても、所望の形状精度を確保すること
ができるため、樹脂の冷却時間を短縮して成形品の成形
時間を短縮することができ、成形品の製造コストを低減
することができる。請求項10記載の発明は、上記課題を
解決するために、請求項9記載の発明において、前記キ
ャビティ駒を樹脂から離隔するときの前記キャビティ内
の樹脂圧力を0.5MPa以上60MPa以下の範囲に
設定したことを特徴としている。
【0031】その場合、キャビティ駒で成形される樹脂
の成形面に凹形状または凸形状の成形面を選択的に形成
することができる。なお、離隔時の樹脂圧力を0.5M
Pa未満にした場合には、転写面が剥がれてしまうため
好ましくなく、離隔時の樹脂圧力を60MPa以上にし
た場合には、成形品そのものの内部応力が増大して残留
応力が残るため好ましくない。
【0032】請求項11記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項9または10記載の発明において、前記
キャビティ駒を加圧する圧力制御装置を有し、該圧力制
御装置によってキャビティ内の樹脂圧力が所定圧力以上
の圧力になるようにキャビティ駒を加圧することを特徴
としている。その場合、キャビティ内に射出充填された
ときに発生する樹脂の圧力によってキャビティ駒が樹脂
から離隔する方向に移動するのを防止することができ
る。
【0033】請求項12記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項11記載の発明において、前記圧力制御
装置が油圧シリンダまたは電動モータからなる駆動手段
を有し、該駆動手段によって前記キャビティ駒を摺動さ
せることを特徴としている。その場合、油圧シリンダま
たは電動モータからなる駆動手段によってキャビティ駒
の加圧および摺動を行なうことができるので、圧力制御
装置を簡素な構造にすることができ、成形用金型を簡素
な構造にすることができる。
【0034】請求項13記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項9〜12何れかに記載の発明において、
前記キャビティ内に該キャビティ内の樹脂圧力を検出す
る圧力検出手段を設けるとともに、該圧力制御手段から
の検出情報に基づいて前記キャビティ駒を摺動させる摺
動手段を設けたことを特徴としている。その場合、樹脂
内圧またはキャビティ駒の移動タイミングを精度良く制
御することができるため、成形品を連続的に成形しつつ
空隙に面した樹脂の成形面に安定して凸形状または凹形
状を形成することができる。
【0035】請求項14記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項9〜13何れかに記載の発明において、
前記キャビティ駒と該キャビティ駒の摺動面の間に少な
くとも1つ以上の通気孔を設け、該通気孔は、キャビテ
ィ駒が樹脂から離隔する方向に摺動したときに、樹脂と
キャビティ駒の間の空隙に連通可能な位置に形成された
ことを特徴としている。
【0036】その場合、キャビティ駒が樹脂から離隔す
るように移動したときにキャビティ駒と樹脂の間の空隙
に空気を流入させて空隙内を大気圧に近づけることがで
き、キャビティ駒を樹脂から速やかに離隔させることが
できる。この結果、凹形状または凸形状を安定して形成
することができ、転写面の形状精度を向上させることが
できる。
【0037】請求項15記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項14記載の発明において、前記通気孔
は、前記キャビティ駒が樹脂から離隔する方向に摺動し
たときに、樹脂とキャビティ駒の間の空隙と金型の外部
とを連通することを特徴としている。その場合、通気孔
からキャビティ駒と樹脂の間の空隙内に外気を確実に流
入させることができる。
【0038】請求項16記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項9〜15何れかに記載の発明において、
前記キャビティ駒の成形面が、樹脂との密着力が低い材
質によって表面処理されることを特徴としている。その
場合、キャビティ駒を樹脂から容易に離隔させることが
でき、転写面の形状精度を向上させることができる。
【0039】請求項17記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項9記載の発明において、前記キャビテ
ィ駒の成形面と摺動面が、樹脂との密着力が低く、か
つ、耐摩耗性の高い同一の材質で表面処理されることを
特徴としている。その場合、キャビティ駒を樹脂から容
易に離隔させることができ、転写面の形状精度を向上さ
せることができるとともに、 キャビティ駒と成形用金
型との摺動面の耐久性を向上させることができ、成形用
金型の寿命を向上させることができる。
【0040】請求項18記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項9記載の発明において、前記キャビテ
ィ駒の成形面は、該キャビティ駒を含んで形成される壁
面と略相似形状であることを特徴としている。その場
合、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって樹脂に転
写面を転写する際に、樹脂のキャビティ駒側の成形面に
曲面または平面を形成することができ、キャビティ駒を
樹脂から離隔させた際に樹脂のキャビティ駒側の成形面
の広範囲に亘って凹形状または凸形状を選択的に形成す
ることができる。この結果、転写面の形状精度をより一
層向上させることができる。
【0041】請求項19記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項14または15記載の発明において、前記
キャビティ駒と前記転写面の接続面に段差を形成したこ
とを特徴としている。このようにしたのは、通気孔から
キャビティ駒と樹脂の間の空隙に空気が回り込んで成形
品の形状精度を悪化させるおそれがあるが、キャビティ
駒と前記転写面の接続面に段差を形成することにより、
通気孔からキャビティ駒と樹脂の間の空隙に空気が回り
込むのを防止することができ、成形品の形状精度が悪化
するのを防止することができる。
【0042】請求項20記載の発明は、上記課題を解決す
るために、樹脂に鏡面を転写する少なくとも1つ以上の
転写面を有するとともに該転写面以外の面に少なくとも
1つ以上のキャビティ駒が摺動自在に設けられ、転写面
およびキャビティ駒によって少なくとも1つ以上のキャ
ビティが画成された一対の金型を準備し、該金型を樹脂
の軟化温度未満に加熱保持し、前記キャビティ内に軟化
温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充填し、次いで、
前記転写面に樹脂圧力を発生させて樹脂を該転写面に密
着させた後、該樹脂を軟化温度以下に冷却し、次いで、
型開きして取り出すようにしたプラスチック成形品の成
形方法であって、前記溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却
するときに、前記キャビティ駒の少なくとも1つ以上を
樹脂から離隔するように摺動させることにより、転写面
以外の少なくとも1つの面の一部または全部とキャビテ
ィ駒の間に強制的に空隙を画成するようにしたプラスチ
ック成形品の成形方法において、前記空隙の画成時に成
形品の薄肉部に相当する部分を優先することを特徴とし
ている。
【0043】このようにしたのは以下の理由による。キ
ャビティの空隙画成面のキャビティ駒を摺動させること
により、転写面以外の少なくとも1つの面の一部または
全部と樹脂との間に強制的に空隙を画成させ、この空隙
に面した部分を他の部分よりも動きやすくすることによ
り冷却によって生じる収縮をこの部分が動くことによっ
て吸収し、目的とする転写面の転写不良を防ぐことがで
きる。
【0044】原理としては、まず溶融樹脂をその樹脂の
軟化温度未満の温度に保持された金型に射出充填後、空
隙を画成させることにより樹脂内圧を大気圧に近づけ、
射出充填後の偏在した固化部の発生と温度分布による樹
脂内圧の偏在をなくすことである。但し、このときに表
層部の固化のタイミングが非常に重要になる。タイミン
グが早くその固化層が薄いと空隙の画成時に樹脂が摺動
部に密着したまま取られてしまい、転写面そのものの転
写性の低下につながる。逆にタイミングが遅く、固化が
かなり進んでからではキャビティ駒の摺動による空隙画
成は問題ないが、キャビティ内で既に固化部に偏在した
樹脂内圧が残存し、かつ、樹脂の流動性が極端に悪くな
って光学歪みを生じる内部歪みの残存と転写面精度の低
下をもたらしてしまう。
【0045】特に、厚肉・偏肉・大口径な成形品を得る
場合は、キャビティ壁面の成形品薄肉部に相当する部分
は早く冷却され圧力が残存しやすい。したがって、側面
を摺動させて空隙を画成させてその空隙に面する樹脂部
分を自由面として動きやすくしても、冷却固化して熱変
形温度に近づいてしまってからでは遅い。したがって、
本発明では、固化進行が早い成形品薄肉部に相当する部
分の転写面でない面が自由面として動けるタイミングで
そこに優先的に空隙を画成させることにより、内部歪み
の増大と圧力分布による転写性の低下を防ぐようにした
のである。
【0046】請求項21記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項20記載の発明において、前記成形品の
薄肉部に相当する部分に空隙を画成させた後、該成形品
の厚肉部に相当する部分に多段的に空隙を画成させるこ
とを特徴としている。その場合、薄肉部の温度や樹脂内
圧を基準にして厚肉部も同時に空隙を画成すると、厚肉
部はまだ溶融温度に近い高温部を含んでいるため、キャ
ビティ駒に取られてその周辺と転写部の転写性が低下し
てしまうのに対して、本発明では、成形品の薄肉部に相
当する部分から厚肉部に相当する部分に多段的に空隙を
画成させることにより、各々の場所に対応する転写面で
圧力が残存して内部歪みが増大したり、転写面精度の低
下を生じるの防止することができる。
【0047】請求項22記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項20または21記載の発明において、前記
成形品の同一側面の一部を除いて空隙を画成させ、空隙
を画成させない部分を該成形品を他部品に固定する際の
基準面にしたことを特徴としている。その場合、空隙画
成部の精度がでなくても良いことから、少なくとも転写
面精度に加えて、他部品に固定する際の基準面の精度を
確保することにより、成形品を他部品に高精度に固定す
ることができる。
【0048】請求項23記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項20〜22何れかに記載の発明において、
前記空隙の画成部分または画成部分近傍に圧力センサを
配設し、この圧力センサによって検出された圧力が所定
値になったときに、前記キャビティ駒を摺動させて空隙
を画成させることを特徴としている。その場合、キャビ
ティ壁面に面する樹脂の外周部の冷却固化領域とキャビ
ティ中央部の軟化温度以上の領域の最適なバランスで空
隙を画成することができ、内部歪みの増大と圧力分布に
よって転写性が低下するのをより一層防止することがで
きる。
【0049】請求項24記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項20〜22何れかに記載の発明において、
予めキャビティ内の樹脂の温度分布データを採取してお
き、前記キャビティ駒に対応するキャビティ内の特定位
置の温度が前記採取したデータの所定温度と同一になっ
たときに、前記キャビティ駒を摺動させて空隙を画成さ
せることを特徴としている。
【0050】その場合、キャビティ壁面に面する樹脂の
外周部の冷却固化領域とキャビティ中央部の軟化温度以
上の領域の最適なバランスで空隙を画成することがで
き、内部歪みの増大と圧力分布によって転写性が低下す
るのをより一層防止することができる。請求項25記載の
発明は、上記課題を解決するために、請求項24記載の発
明において、前記所定温度を、前記キャビティの転写面
を分断し、かつ、前記キャビティ駒の摺動方向の断面中
心において樹脂の軟化温度以上に設定することを特徴と
している。
【0051】このようにしたのは、キャビティ壁面に対
する樹脂外周部の冷却固化領域とキャビティ中央部の軟
化温度以上の領域の最適バランスでの空隙画成タイミン
グとして、所定温度をそのキャビティの転写面を分断
し、かつキャビティ駒の摺動方向の断面中心において樹
脂の軟化温度以上に設定することにより、樹脂が冷却さ
れ過ぎた場合に空隙を画成したときでも樹脂の自由度を
低くすることができ、内部歪みが残存したり転写面の転
写不良が生じるのを防止するためである。
【0052】当然のことながら、所定温度は、薄肉部に
局所的に空隙が画成された場合には、その部分における
キャビティの転写面を分断し、かつ摺動方向の断面中心
部の温度となる。請求項26記載の発明は、上記課題を解
決するために、請求項23〜26何れかに記載の発明におい
て、前記圧力センサによる樹脂圧力、または、前記温度
分布データによる樹脂温度の少なくとも一方に基づいて
キャビティ駒を摺動して空隙を画成することを特徴とし
ている。
【0053】その場合、多段的に空隙を画成する場合
に、各々の場所に対応する転写面で圧力が残存して内部
歪みが増大したり、転写面精度の低下を生じるのより一
層防止することができる。なお、最初に空隙を画成する
際に樹脂圧力が大気圧に近づくことから、2段目以降に
空隙を画成する場合には圧力信号ではなく、温度データ
に基づいて空隙を画成した方が効果的である。
【0054】請求項27記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項20〜26何れかに記載の発明において、
前記キャビティ駒と別体に設けられた摺動手段を利用し
て前記キャビティ駒を摺動させることにより空隙を画成
することを特徴としている。その場合、プラスチック成
形装置の構成を簡素化することができる。請求項28記載
の発明は、上記課題を解決するために、請求項20〜26何
れかに記載の発明において、前記金型の型開き力を利用
して前記キャビティ駒を摺動させて空隙を画成すること
を特徴としている。
【0055】その場合、プラスチック成形金型に既設さ
れた金型の型開き機構を利用することにより、キャビテ
ィ駒を摺動させることができるため、新たな設備を追加
するのを不要にでき、成形品を低コストに成形すること
ができる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。まず、図1、2に基づいて一般的な
プラスチック成形品の成形方法について説明する。な
お、図1は一般的な射出成形方法を示す図であり、図2
は一般的な射出圧縮成形方法を示す図である。
【0057】図1において、1、2は一定の容積を有す
る偏肉、厚肉なキャビティ3内を画成するとともにキャ
ビティ面の少なくとも一方に転写面を有する金型であ
る。図1はこの金型1、2を樹脂の熱変形温度に保持し
てキャビティ3内に溶融樹脂4を充填した状態を示す図
である。この場合には、偏肉、厚肉なキャビティ3のた
め充填時に溶融温度にある樹脂4は、薄肉の端部から急
冷固化する。このため、図1に示すように中央の厚肉部
にひけAが発生するとともに、薄肉の端部には樹脂内圧
が残り、金型1、2を開いたときの圧力開放と共に膨張
する。この結果、高精度な成形品を得ることができな
い。
【0058】また、図2において、5、6は一定の容積
を有する偏肉、厚肉なキャビティ7内を画成するととも
にキャビティ面の少なくとも一方に転写面を有する金型
であり、このキャビティ駒5、6は上型8と下型9に摺
動自在に設けられている。この場合、まず、図2(a)
に示すように金型8、9を樹脂の熱変形温度前後に保持
してキャビティ7内に溶融樹脂を充填する。この偏肉、
厚肉なキャビティ7のため充填時に溶融温度にある樹脂
10は、薄肉の両端部から急冷固化する。また、樹脂の固
化に伴ってキャビティ駒6を摺動させて図2(b)に示
すように樹脂を圧縮することにより、中央の厚肉部に図
1に示す成形方法のようにひけが発生するのを軽減する
ことができるが、端部Bの固化が早いため、この端部B
では固化した樹脂が圧縮力を受ける。
【0059】このため、薄肉の端部Bには樹脂内圧が残
り、金型8、9を開いたときの圧力開放と共に膨張して
高精度な成形品を得ることができない。本実施形態で
は、このような不具合が発生するのを防止して高精度を
成形品を提供するものである。以下、本発明の実施形態
を図面に基づいて説明する。
【0060】図3は本発明に係るプラスチック成形品の
成形方法の第1実施形態を示す図であり、請求項1記載
の発明に対応している。まず、構成を説明する。図3に
おいて、11、12は転写面11a、12aを有するキャビティ
駒、13、14は転写面が形成されていないキャビティ駒で
あり、このキャビティ駒11〜14によってキャビティ15が
画成されている。なお、キャビティ駒11は一方の金型に
固定されて設けられ、キャビティ駒12は他方の金型に固
定されるとともにキャビティ駒13、14が他方の金型に摺
動自在に設けられている。また、各キャビティ駒11〜14
は一対の金型に複数個設けられて複数のキャビティが画
成されるような構成であっても良い。
【0061】なお、図3(b)(c)において、符号16
は樹脂であり、図3(c)において符号17a、17bは空
隙である。次に、作用を説明する。まず、図3(a)に
示すように金型を樹脂の軟化温度未満に加熱保持し、図
3(b)に示すようにキャビティ15内に軟化温度以上に
加熱された溶融樹脂を射出充填し、次いで、キャビティ
駒11、12の転写面11a、12aに樹脂圧力を発生させ、金
型を冷却する。
【0062】この充填時に溶融温度にある樹脂17は偏
肉、厚肉なキャビティの場合には端部(薄肉部)から急
冷固化する。樹脂17の固化が進行し、端部に残圧が残っ
ているが、中央部はまだその軟化温度以上となってい
る。この状態でキャビティ駒13、14のみを矢印で示す方
向に摺動させ樹脂とキャビティ14、15の間に空隙17a、
17bを発生させる(図3(c)参照)。このため、空隙
17a、17bによってキャビティ15内に発生していた樹脂
内圧が開放される。
【0063】このとき、当然のことながら端部の残圧、
すなわち、樹脂内圧も端部樹脂の変形によって開放さ
れ、転写面には大気圧以上でそのときの樹脂の粘弾性に
基づく樹脂内圧しか作用しなくなる。その後、樹脂の冷
却は進行するが、空隙17a、17bに接する樹脂16部分が
気体と接するため、この面からの熱伝導が阻害され、こ
の樹脂16部分が冷却時に転写面11a、12aに対して高温
となり、また、自由に動けることから樹脂内圧が残り、
かつ、キャビティ駒11、12と密着する部分よりも優先的
に収縮してキャビティ駒11、12への樹脂16の密着力を維
持する。
【0064】このように本実施形態では、溶融樹脂を軟
化温度未満まで冷却するときに、キャビティ駒13、14を
樹脂から離隔するように摺動させることにより、樹脂16
とキャビティ駒13、14の間に強制的に空隙17a、17bを
画成したため、冷却によって生じる収縮を空隙17a、17
bに面する樹脂を動かすことによって吸収し、空隙17
a、17bに面した樹脂部分を優先的に収縮変形させて転
写面にひけが生じるのを防止することができ、所望する
転写面を短い成形サイクルで忠実に転写することができ
る。
【0065】また、冷却時の転写面に作用する樹脂内圧
を大気圧に近づけることができるため、光弾性歪みの小
さい成形品を得ることができる。なお、金型温度を樹脂
の軟化温度未満にしているのは、金型温度を樹脂の軟化
温度以上にすると、成形品の取り出し時に成形品が変形
してしまい、高精度な成形品を得ることができないから
である。
【0066】図4、5は本発明に係るプラスチック成形
品の成形方法の第2実施形態を示す図であり、請求項1
〜6または8の何れかに記載の発明に対応している。図
4において、21、22は転写面を有するキャビティ駒、2
3、24は転写面が形成されていないキャビティ駒であ
り、このキャビティ駒21、22には幅約10mmの一対の
凸鏡面からなに転写面21a、22aが形成され、この転写
面21a、22aの中央部の幅約6mmを有効範囲(符号C
で示す太い線部分)とする幅約10mm、中央部高さ約
15mm、長さ100mmのキャビティ25が各キャビテ
ィ駒21〜24によって画成されるようになっている。この
ため、図5に示すようにキャビティ25と同形状の成形品
20が成形される。なお、転写面21a、22aはPV0.4
μmの面精度に形成されている。
【0067】また、キャビティ駒24は多孔質材料から構
成されており、微小孔からキャビティ25内に窒素ガスが
送り込まれるようになっている。キャビティ駒21は一方
の金型に固定されて設けられ、キャビティ駒22、23は他
方の金型に固定されるとともにキャビティ駒24は他方の
金型に摺動自在に設けられている。また、これら各キャ
ビティ駒21〜24は一対の金型に複数個設けられて複数の
キャビティが画成されるような構成であっても良い。
【0068】なお、図4(b)(c)において、符号26
はポリカーボネイト(非晶質樹脂)からなる樹脂あり、
図4(c)において符号27は空隙である。次に、作用を
説明する。まず、図4(a)に示すように金型を樹脂の
ガラス転移温度(軟化温度)以下である142℃に保持し
た後、図4(b)に示すようにキャビティ25内に溶融樹
脂を射出充填する。
【0069】次いで、ゲートが固化することにより樹脂
26の表層部が固化して表層部から中心部の平均温度がそ
の樹脂のガラス転移温度以上になるとともに表層部から
中心に掛けての平均温度がその樹脂のガラス転移温度以
上になり、かつ中央厚肉部の樹脂内圧が5MPaになっ
たときに、キャビティ駒24の微小孔から樹脂26に向かっ
て窒素ガスを送り込むことによりキャビティ駒25を矢印
で示す方向に摺動させて、空隙27を発生させる(図4
(c)参照)。また、このときには空隙27内の圧力が0.
3MPaに設定される。
【0070】このことにより、空隙27の発生後の転写面
21a、22aの圧力は中央部で0.8MPaになった。な
お、空隙27を画成する面は、転写面21a、22aの有効範
囲から少なくとも1mm以上離隔された面に設定され
る。また、本実施形態では、樹脂26の各部の温度は予め
CAEによって解析することにより、キャビティ25内に
溶融樹脂を射出充填してから所定時間経過後にその各部
がその所望する温度になったことを間接的に検出するこ
とができる。
【0071】次いで、さらに金型を樹脂のガラス転移温
度以下に冷却して樹脂27が完全に固化した後、成形品が
変形しないように金型を開いてキャビティ25から成形品
を取り出した結果、得られた成形品はその有効範囲でP
V0.6μmの面精度となった。このように本実施形態
では、溶融樹脂をガラス転移温度以下まで冷却するとき
に、キャビティ駒24から離隔するように摺動させること
により、樹脂26とキャビティ駒24の間に強制的に空隙27
を画成したため、第1実施形態と同様の効果を得ること
ができる。
【0072】また、キャビティ駒24を摺動して空隙27の
画成を開始する時期を、キャビティ内25の樹脂26の表層
部がガラス転移温度未満の固化した状態で中心部がその
ガラス転移温度以上であり、かつ表層部から中心部まで
の平均温度がその樹脂のガラス転移温度以上であるとき
に設定したため、冷却時に空隙27を画成したときに、空
隙27を生じる面と樹脂は密着しているが樹脂の表面層が
固化しているため、剥離を容易に行なうことができる上
に剥離時表面層が大きく変形するのを防止することがで
きる。
【0073】また、剥離による空隙27の発生後はその平
均温度が樹脂のガラス転移温度以上であるため、空隙27
に面する樹脂部分の断熱効果と温度の均一化によって、
この樹脂部分の温度を逆にそのガラス転移温度以上に上
昇させて低粘度化させることができ、この樹脂部分の移
動を容易に行なうことができる。また、空隙27内の圧力
を0.3MPaに設定したため、樹脂27の冷却に伴う空
隙27に面した樹脂部分の収縮移動を助長する方向に一定
圧力を発生させることができる。
【0074】なお、空隙内の圧力は0.05MPa〜6
MPaの範囲にすることが好ましい。何故なら、空隙27
内の圧力が0.05MPa未満であると、この助長効果
を得ることができず、空隙27内の圧力が6MPa以上で
あると、高価な圧力発生装置が必要になる上に、発生圧
による歪みが成形品内に残るため、好ましくない。さら
に最も好ましい圧力としては、0.1MPa〜2MPa
に設定されるのが良い。
【0075】また、キャビティ駒24を摺動して空隙27を
画成する直前の転写面圧力としては、0.5MPa以上
60MPa以下に設定すれば、空隙27が発生したときの
転写面の転写性が低下するのを防止することができる。
なお、転写面の圧力を0.5MPa未満にした場合に
は、空隙27の発生時に転写面が剥がれてしまうため好ま
しくなく、転写面の圧力を60MPa以上にした場合に
は、成形品そのものの内部応力が増大して残留応力が残
るため好ましくない。
【0076】また、キャビティ駒24として多孔質材料を
用い、このキャビティ駒24の微小孔から樹脂26側に窒素
ガスを送り込むことにより、キャビティ駒24を摺動させ
て空隙27を画成するようにしたため、キャビティ駒24の
摺動性を良好にすることができるとともに、空隙27を画
成するキャビティ面と樹脂27との剥離を容易に行なうこ
とができ、成形作業の作業性を良好なものにすることが
できる。
【0077】また、軟化温度がそのガラス転移温度であ
る非晶質樹脂を使用したため、樹脂27の収縮性が良好な
ため、高精度な成形精度を容易に得ることができる。ま
た、空隙27を画成する面を、転写面21a、22aの有効範
囲から少なくとも1mm以上離隔させたため、空隙27に
接する樹脂26部分が必要以上に変形するのを防止して成
形品に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0078】また、キャビティ25内に空気を送り込んで
も構わないが、本実施形態では窒素ガスをキャビティ25
内に送り込んでいるため、樹脂26の劣化を防止すること
ができる。また、キャビティ駒24として、多孔質材料を
使用しているが、キャビティ駒を通してキャビティ内に
気体を送り込むことが可能なもので、孔に樹脂が充填し
て孔を塞がないものであればその他の構成のものを用い
ても良い。
【0079】また、樹脂としてポリカーボネイトを用い
ているが、非晶質樹脂であれば、その他の樹脂、例え
ば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アモル
ファスポリオレフィン、日本ゼオンのゼオネックス、三
井石油化学のアペル等であっても構わない。図6は本発
明に係るプラスチック成形品の成形方法の第3実施形態
を示す図であり、本実施形態では、第2実施形態と同様
の構成には同一番号を付して説明を省略する。なお、本
実施形態は請求項7記載の発明に対応している。
【0080】本実施形態では、図6に示すように、キャ
ビティ駒28を転写面21a、22aと隣接する面に接触さ
せ、キャビティ駒28を矢印で示す方向に摺動させたとき
に転写面21a、22aと隣接する面にも空隙29を画成した
ものである。このようにすれば、空隙29の発生時に転写
面21a、22aに隣接する全面を開放することができるの
で、冷却によって樹脂が収縮した場合に空隙29に面する
樹脂をより容易に収縮することができ、転写面21a、22
aの転写精度を向上させることができる。
【0081】図7は本発明に係るプラスチック成形品の
成形方法の第4実施形態を示す図であり、本実施形態で
は、第2実施形態と同様の構成には同一番号を付して説
明を省略する。なお、本実施形態は請求項7記載の発明
に対応している。本実施形態は、図7に示すように1つ
の転写面31を有するミラーの場合である。摺動するキャ
ビティ駒34はキャビティ駒30の転写面31の対向面にあ
り、金型このキャビティ駒30、32、33および34によって
キャビティ37が画成されている。本実施形態では、キャ
ビティ駒34を矢印で示す方向に摺動させた場合にもキャ
ビティ駒32、33が摺動しない構造になっているものであ
る。
【0082】このようにした場合にも第1実施形態と同
様の効果を得ることができる。図8〜10は本発明に係る
プラスチック成形品の成形用金型の第1実施形態を示す
図である。まず、構成を説明する。図8において、41は
固定金型であり、この固定金型41内には先端部に成形面
42a、43aが形成された一対の可動金型42、43が摺動自
在に設けられているとともに、この固定金型41と可動金
型42、43の間には先端部に鏡面(転写面)44a、45aが
形成された鏡面駒45、46が設けられている。
【0083】また、固定金型41の内部には先端部に成形
面46が形成されたキャビティ駒46が摺動自在に設けられ
ており、可動金型42、43の成形面42a、43a、鏡面駒4
4、45の鏡面44a、45aおよびキャビティ駒46の成形面4
6aは隔壁を構成し、成形用金型内にはこの隔壁によっ
て所定容積のキャビティ47が画成されている。なお、本
実施形態では、キャビティ駒46の転写面46aはキャビテ
ィ47を構成する壁面の全部を構成している。
【0084】また、固定金型41にはキャビティ47に開口
する図示しないゲートが形成されており、キャビティ47
内にこのゲートを介して溶融樹脂が射出充填されるよう
になっている。また、キャビティ駒47の基端部には圧力
制御装置48が設けられており、この圧力制御装置48は油
圧シリンダからなる駆動手段を有し、油圧シリンダの一
方の室に油圧を供給することにより、キャビティ駒46を
キャビティ側に向かって所定の圧力で加圧するととも
に、他方の室に油圧を供給することにより、キャビティ
駒46をキャビティ47から離隔する方向に退避させるよう
になっている。このようにキャビティ駒46は圧力制御装
置48によって摺動される。
【0085】また、圧力制御装置48の駆動手段として
は、油圧シリンダに限らず、電動モータであっても良
い。この場合には、電動モータの回転軸にボールネジ等
を設け、キャビティ駒46にこのボールネジに螺合するネ
ジを形成すれば上述した動作を行なうことができる。ま
た、キャビティ47内には図示しない圧電素子等の圧力検
出手段が設けられており、この圧電素子はキャビティ47
内の樹脂の圧力を検出して図示しないコントローラに信
号を出力するようになっている。そして、コントローラ
は圧電素子からの検出情報に基づいて圧力制御装置48を
制御するようになっている。なお、本実施形態では、圧
力制御装置48およびコントローラが摺動手段を構成して
いる。
【0086】また、キャビティ駒46の成形面46aは樹脂
との密着力が低いTiN(室化シアン)によって表面処
理されているとともに、キャビティ駒46の固定金型41に
対する摺動面には、上記材質と同一の材質によって表面
処理されている。なお、これらの材質は耐摩耗性の高い
性質も有している。なお、TiNに限らず、TiCN
(シアン化チタン)、W2C(タングステンカーバイ
ト)、テフロン系樹脂等の何れかの同一の材質によって
表面処理しても良い。なお、図9において、符号50は樹
脂である。
【0087】次に、作用を説明する。まず、金型を樹脂
の軟化温度未満に加熱した後、図8に示すように圧力制
御装置48によってキャビティ駒46を押圧する。このとき
の押圧力は、キャビティ47内に溶融樹脂を射出充填した
ときの樹脂圧力よりも大きな圧力になるように設定され
る。
【0088】次いで、ゲートを通してキャビティ47内に
軟化温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充填して鏡面
駒44、45の鏡面44a、45aに樹脂圧力を発生させ、金型
を冷却する。この充填時に溶融温度にある樹脂は偏肉、
厚肉なキャビティの場合には端部(薄肉部)から急冷固
化する。樹脂の固化が進行し、端部に残圧が残っている
が、中央部はまだその軟化温度以上となっている。
【0089】次いで、圧電素子によって樹脂の圧力が
0.5MPa〜60MPaの範囲内で設定された圧力に
なったことが検出されたときに、圧力制御装置48を作動
してキャビティ駒46を樹脂50から離隔する方向に移動さ
せ、図9に示すように樹脂50とキャビティ駒46の成形面
46aの間に空隙49を形成する。このため、空隙49によっ
てキャビティ47内に発生していた樹脂内圧が開放され
る。このとき、当然のことながら端部の残圧、すなわ
ち、樹脂内圧も端部樹脂の変形によって開放され、転写
面には大気圧以上でそのときの樹脂50の粘弾性に基づく
樹脂内圧しか作用しなくなる。
【0090】その後、樹脂50の冷却は進行するが、空隙
49に接する樹脂部分が気体と接するため、この面からの
熱伝導が阻害され、この樹脂部分が冷却時に鏡面44a、
45aに対して高温となり、また、自由に動けることから
樹脂内圧が残り、かつ、キャビティ駒46と密着する部分
よりも優先的に収縮あるいは膨張して選択的に凹部また
は凸部が形成され、鏡面44a、45aへの樹脂50の密着力
を維持する。
【0091】このように本実施形態では、鏡面44a、45
aを除く1つの成形面46aの全部を形成するキャビティ
駒46を摺動自在に設け、樹脂圧力が0.5MPa以上6
0MPa以下の範囲内で設定された圧力になったときに
キャビティ駒46を樹脂50から離隔するように摺動させる
ことにより、樹脂50とキャビティ駒46の間に空隙49を画
成したため、射出充填によってキャビティ47内に適度な
樹脂内圧を発生させて鏡面44a、45aに樹脂50を密着
し、かつ、密着を維持する適度な圧力を残した状態のと
きに、樹脂50とキャビティ駒46の間に強制的に空隙49を
画成することで、この空隙49に面した樹脂部分の樹脂面
を自由面として他の成形面42a、43aに接した面よりも
動き易くすることができる。このため、空隙49の存在に
よってこの樹脂部分からの熱伝導を低下させてこの樹脂
部分の冷却速度を最も遅くすることができる。
【0092】このため、冷却によって生じる収縮をこの
部分の樹脂50を動かすことによって吸収して、空隙49に
面した樹脂50を優先的にひけさせ、または膨張させてこ
の面に凹形状または凸形状を選択的に形成することがで
き、鏡面44a、45aにひけが生じるのを防止することが
できる。この結果、厚肉または偏肉の成形品であっても
低歪みでかつ転写面の形状精度を確保した成形品を得る
ことができる。
【0093】また、金型温度を樹脂50の軟化温度以下に
設定した場合であっても、所望の形状精度を確保するこ
とができるため、樹脂50の冷却時間を短縮して成形品の
成形時間を短縮することができ、成形品の製造コストを
低減することができる。また、キャビティ駒46を樹脂50
から離隔するときのキャビティ47内の樹脂圧力を0.5
MPa以上60MPa以下の範囲に設定したため、キャ
ビティ駒46で成形される樹脂50の成形面に凹形状または
凸形状の成形面を選択的に形成することができる。な
お、離隔時の樹脂圧力を0.5MPa未満にした場合に
は、鏡面44a、45aが剥がれてしまうため好ましくな
く、離隔時の樹脂圧力を60MPa以上にした場合に
は、成形品そのものの内部応力が増大して残留応力が残
るため好ましくない。
【0094】また、圧力制御装置48によってキャビティ
47内の樹脂圧力が所定圧力以上の圧力になるようにキャ
ビティ駒46を加圧したため、キャビティ47内に射出充填
されたときに発生する樹脂50の圧力によってキャビティ
駒46が樹脂50から離隔する方向に移動するのを防止する
ことができる。また、圧力制御装置48が油圧シリンダか
らなる駆動手段を有し、この駆動手段によってキャビテ
ィ駒46を摺動させているため、圧力制御装置48を簡素な
構造にすることができ、成形用金型を簡素な構造にする
ことができる。
【0095】また、キャビティ内47にキャビティ内47の
樹脂圧力を検出する圧電素子を設けるとともに、この圧
電素子からの検出情報に基づいて圧力制御装置48を駆動
するコントローラを設けたため、樹脂内圧またはキャビ
ティ駒46の移動タイミングを精度良く制御することがで
き、成形品を連続的に成形しつつ空隙49に面した樹脂50
の成形面に安定して凸形状または凹形状を形成すること
ができる。
【0096】また、キャビティ駒46の成形面46aを樹脂
50との密着力が低いTiNによって表面処理したため、
キャビティ駒46を樹脂50から容易に離隔させることがで
き、鏡面44a、45aの形状精度を向上させることができ
る。また、成形面46aに加えてキャビティ駒46の摺動面
を耐摩耗性の高いTiNによって表面処理したため、キ
ャビティ駒46と成形用金型との摺動面の耐久性を向上さ
せることができ、成形用金型の寿命を向上させることが
できる。
【0097】なお、本実施形態では、鏡面44a、45aを
除く1つの成形面46aの全部を形成するキャビティ駒46
を摺動自在に設けているが、これに限らず、図11、12に
示すように鏡面44a、45aを除く1つの成形面51aの一
部を形成するキャビティ駒51を摺動自在に設けて良い。
この場合、固定金型41とキャビティ駒51の間に中空のス
リーブ52を設けるとともに、先端部に成形面53aが形成
された中空の入れ駒53を設け、キャビティ駒51をスリー
ブ52および入れ駒53に対して摺動させれば良い。
【0098】また、この場合、キャビティ駒51の成形面
は、キャビティ駒51を含んで形成される壁面、すなわ
ち、入れ駒53の成形面53aと略相似形状(平面形状)に
形成される。このようにすれば、キャビティ内47に発生
する樹脂圧力によって樹脂50に鏡面44a、45aを転写す
る際に、樹脂50のキャビティ駒51側の成形面に平面を形
成することができ、キャビティ駒51を樹脂50から離隔さ
せた際に、図12に示すようにレンズ等の成形品55のキャ
ビティ駒51側の成形面の広範囲に亘って、例えば、凹形
状を選択的に形成することができ、鏡面44a、45aの形
状精度をより一層向上させることができる。なお、図50
において、55a、55bは転写された鏡面であり、55cは
キャビティ駒51側の成形面である。
【0099】また、このように略相似形状にしたのは、
成形面46aの形状が非球面形状の場合に曲率近似した方
がキャビティ駒51を簡単に加工することができるからで
ある。勿論、NC加工を行なえば、非球面形状でも加工
することができるため、非球面量が大きく曲率近似する
と誤差量が大きくなる場合には、非球面形状のまま加工
した方が良いことになる。
【0100】図13〜15は本発明に係るプラスチック成形
品の成形用金型の第2実施形態を示す図である。なお、
プラスチック成形品の成形用金型の第1実施形態と同様
の構成には同一番号を付して説明を省略する。図13、14
において、キャビティ駒51とキャビティ駒51の摺動面の
間には通気孔61が設けられており、この通気孔61はスリ
ーブ52と固定金型41の間に形成された通気孔62を介して
固定金型41に形成された通気孔63の一端部に連通してい
る。また、この通気孔63の他端部は外気に晒されてい
る。
【0101】また、通気孔61は図14に示すように、キャ
ビティ駒51が樹脂50から離隔する方向に摺動したとき
に、先端部が樹脂50とキャビティ駒51の間に形成された
空隙49を連通可能な位置に形成されており、通気孔61
は、キャビティ駒51が樹脂50から離隔する方向に摺動し
たときに、通気孔62、63を介して空隙49と成形用金型の
外部とを連通するようになっている。
【0102】本実施形態では、このように通気孔61〜63
を形成することにより、キャビティ駒51が樹脂50から離
隔するように移動したときにキャビティ駒51と樹脂50の
間の空隙49に外部から空気を確実に流入させて空隙49内
を大気圧に近づけることができ、キャビティ駒51を樹脂
50から速やかに離隔させることができる。この結果、凹
形状または凸形状を安定して形成することができ、鏡面
44a、45aの形状精度を向上させることができる。
【0103】なお、本実施形態にあっては、通気孔61か
らキャビティ駒51と樹脂50の間の空隙49に空気が回り込
んで成形品の形状精度を悪化させるおそれがあるため、
キャビティ駒51と鏡面44a、45aの接続面に段差を形成
しても良い。このようにすれば、通気孔61からキャビテ
ィ駒51と樹脂50の間の空隙49に空気が回り込むのを防止
することができ、成形品の形状精度が悪化するのを防止
することができる。
【0104】なお、このようにして成形された成形品の
例を図15(a)〜(c)に示す。なお、各図において、
64〜66はレンズ等の成形品であり、64a、65a、66aで
示す部分が断差によって成形された断差部である。図1
6、17は本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第5実施形態を示す図であり、請求項20記載の発明に対
応している。なお、図16(a)は本発明に係るプラスチ
ック成形品の成形方法を達成する成形金型の一部を構成
するキャビティ駒と成形品の関係を示す図、図16(b)
はプラスチック成形品の成形方法によって成形される成
形品の構成図、図17は図16(a)のg−g断面で示す金
型によってプラスチック成形品を成形する手順を示す図
であり、本実施形態では、成形品形状として、長さ100m
m、幅10mm、中央部肉厚15mm、端部肉厚5mmの肉厚方向
に転写鏡面を有する長尺レンズ形状を得る例を示してい
る。
【0105】まず、構成を説明する。図16、17におい
て、71、72は鏡面を構成する転写面71a、72aを有する
キャビティ駒であり、このキャビティ駒71、72はそれぞ
れ上型および下側に設けられ、成形品76の長手方向に延
在している。なお、転写面71a、72aの面精度として
は、PV0.4μmのものを用いた。また、73、74は転写面
が形成されていないキャビティ駒であり、このキャビテ
ィ駒73、74は成形品76の長手方向両端部の薄肉部分に設
けられ、上型または下型に対して摺動可能になってい
る。なお、このキャビティ駒73、74を除く成形品76の側
面側に対向する上型または下型には成形面が形成されて
いないキャビティ駒が固定されている。
【0106】そして、キャビティ駒71〜74およびこのキ
ャビティ駒71〜74を保持する上型および下型によってキ
ャビティ75が画成されている。なお、各キャビティ駒71
〜74は一対の金型に複数個設けられて複数のキャビティ
が画成されるような構成であっても良い。なお、図17
(b)(c)において、符号77は樹脂であり、図17
(c)において符号78a、78bは空隙である。
【0107】次に、作用を説明する。まず、樹脂として
非晶質樹脂であるポリカーボネイトを準備する。そし
て、図17(a)に示すように金型を樹脂の軟化温度未満
(非晶質樹脂ではガラス転移温度未満)である142℃に
加熱保持し、次いで、17(b)に示すようにこの金型の
キャビティ75内に300℃の溶融された樹脂77を射出充填
する。
【0108】このキャビティ75は成形品76の形状と同様
の容積を有する厚肉・偏肉形状であるため、樹脂77は端
部の薄肉部および表層部から優先的に急冷・固化する。
樹脂77を射出充填した後、保圧を発生させてから40秒後
にキャビティ駒71、72を動かさずに図17(c)に示すよ
うにキャビティ駒73、74を摺動させて樹脂77両端の薄肉
部から離隔させる。このとき、キャビティ駒73、74と樹
脂77との間に空隙78a、78bが画成される。
【0109】このとき、空隙78a、78bによってキャビ
ティ75内に発生していた樹脂内圧は急冷固化によって内
圧として大きい端部から開放される。当然のことなが
ら、圧力の開放によって樹脂77の端部形状は一時的に凸
状に変形し、転写面には大気圧以上でそのときの樹脂の
粘弾性に基づく樹脂圧力しか転写面には働かなくなる。
その後、樹脂77はさらに徐冷されるが、空隙画成面の樹
脂77は断熱性気体と接するため、この面からの熱伝導は
阻害される。この空隙78a、78bと接する面は、冷却時
に転写面に対して高温となる上に、自由に動けることか
ら、その軟化温度以下の熱変形温度前後まで冷却される
まで、僅かな樹脂圧が起こり、かつキャビティ駒73、74
との密着力を有する転写面より優先的に収縮する。
【0110】次いで、樹脂77が完全に固化され、142℃
で成形品76が変形しないように金型を型開きして成形品
76を取り出す。このとき、成形品76はその有効範囲で1.
0μmの面精度を得ることができた。このように本実施形
態では、固化進行が早い成形品76の薄肉部に相当する部
分の転写面でない面が自由面として動けるタイミングで
そこに優先的に空隙78a、78bを画成させることによ
り、内部歪みの増大と圧力分布による転写性の低下を防
ぐようにしたのである。
【0111】なお、本実施形態では、キャビティ駒73、
74は転写面以外の1つの面の一部と樹脂77の間に空隙78
a、78bを画成するような構成となっているが、転写面
以外の1つの面の全部と樹脂77の間に空隙78a、78bを
画成するような構成にしても良い。図18は本発明に係る
プラスチック成形品の成形方法の第6実施形態を示す図
であり、請求項21〜23何れかに記載の発明に対応してい
る。なお、図18(a)は本発明に係るプラスチック成形
品の成形方法を達成する成形金型の概略図、図18(b)
は図18(a)のh−h断面図である。
【0112】まず、構成を説明する。81、82は鏡面を構
成する転写面81a、82aを有するキャビティ駒であり、
このキャビティ駒81、82はそれぞれ上型および下側に設
けられ、成形品86の長手方向に延在している。なお、転
写面81a、82aの面精度としては、PV0.7μmのものを
用いた。また、83、84、85は転写面が形成されていない
キャビティ駒であり、このキャビティ駒83、84、85は成
形品86の長手方向の一側面に沿って設けられ、上型また
は下型に対して摺動可能になっている。
【0113】そして、キャビティ駒81〜85およびキャビ
ティ駒83〜85の他側面を構成する上型または下型によっ
てキャビティ87が画成されている。また、このキャビテ
ィ87の形状は、転写面の中央部の幅4mmを有効範囲とし
て幅10mm、中央厚さ8mm、端部厚さ20mm、長さ100mmの
長尺形状をしており、キャビティ駒83はキャビティ87の
中央部の成形品86の薄肉部(中央厚さ8mmの部分)に対
向する位置に摺動自在に設けられ、キャビティ駒83、84
は薄肉部の両側に位置するこの薄肉部よりも厚肉の部分
に対向する位置に摺動自在に設けられている。
【0114】また、キャビティ87の長手方向両端部には
基準面91a、91bが形成されるように上型または下型に
は平面度5μmの平面に形成されている。なお、この基
準面91a、91bは成形品86を他部品に固定する際の基準
面を構成している。また、キャビティ駒81、82は幅10mm
の凸状の転写面81a、81bを有しており、得られる成形
品86には凹状の転写面が形成されるようになっている。
【0115】また、キャビティ駒83に対向する上型また
は下型部分には圧力センサ88が設けられており、各キャ
ビティ駒83〜85は圧力センサ88からの検出情報に基づい
て摺動するようになっている。なお、図18(b)におい
て、符号89は樹脂、90はキャビティ駒83と樹脂89との間
に画成された空隙である。次に、作用を説明する。
【0116】まず、樹脂として非晶質樹脂であるシクロ
オレフィンコポリマーを準備する。そして、金型を樹脂
の軟化温度未満(非晶質樹脂ではガラス転移温度未満)
である136℃に加熱保持し、この金型のキャビティ87内
に280℃の溶融された樹脂89を射出充填する。このキャ
ビティ87は成形品86の形状と同様の容積を有する厚肉・
偏肉形状であるため、樹脂89は中央部の薄肉部および表
層部から優先的に急冷・固化する。
【0117】次いで、表層部から中心部の平均温度がそ
の樹脂の軟化温度以上で、圧力センサ88による測定で中
央薄肉部の樹脂内圧が8MPaとなったときに、キャビ
ティ87の短手方向で対向する転写面と直交する側面高さ
(略8mmとする)よりも小さい厚さを有するキャビティ
駒83(このキャビティ駒83は厚さは6mmとする)を1mm
移動させて樹脂89とキャビティ駒89の間に空隙90を画成
する。その直後に空隙90内の圧力は略大気圧となった。
【0118】さらに冷却して20秒後にキャビティ駒84、
85を1mm移動させてキャビティ駒84、85と樹脂89の間に
空隙を画成し、その後樹脂89を完全固化させる。次い
で、金型温度が136℃になったときに金型を型開きして
成形品86が変形しないようにキャビティ87内から成形品
86を取り出す。この成形品86はその有効範囲で1.4μmの
面精度であった。また、成形品86の長手方向両端部には
平面度5μmの基準面が転写されている。なお、キャビ
ティ駒83〜85に相当する成形品86の側面部分は自由面の
ため凹凸の精度がでなかったが、この基準面は平面度と
して使用を十分に満足するものであった。
【0119】このように本実施形態では、成形品86の薄
肉部に相当する部分に空隙90を画成させた後、成形品86
の厚肉部に相当する部分に多段的に空隙を画成させるよ
うにしたため、各々の場所に対応する転写面で圧力が残
存して内部歪みが増大したり、転写面精度の低下を生じ
るの防止することができる。すなわち、薄肉部の温度や
樹脂内圧を基準にして厚肉部も同時に空隙を画成する
と、厚肉部はまだ溶融温度に近い高温部を含んでいるた
め、キャビティ駒83に取られてその周辺と転写部の転写
性が低下してしまうのに対して、本実施形態では、成形
品86の薄肉部に相当する部分から厚肉部に相当する部分
に多段的に空隙を画成させることにより、各々の場所に
対応する転写面で圧力が残存して内部歪みが増大した
り、転写面精度の低下を生じるの防止することができ
る。
【0120】また、成形品86の同一側面の一部を除いて
空隙を画成させ、空隙を画成させない部分を成形品86を
他部品に固定する際の基準面91a、91bにしたため、空
隙画成部の精度がでなくても良いことから、少なくとも
転写面精度に加えて、他部品に固定する際の基準面91
a、91bの精度を確保することにより、成形品86を他部
品に高精度に固定することができる。また、空隙90の画
成部分近傍に圧力センサ88を配設し、この圧力センサ88
によって検出された圧力が所定値(8MPa)になった
ときに、キャビティ駒83を摺動させて空隙90を画成させ
たため、キャビティ87壁面に面する樹脂89の外周部の冷
却固化領域とキャビティ87中央部の軟化温度以上の領域
の最適なバランスで空隙を画成することができ、内部歪
みの増大と圧力分布によって転写性が低下するのをより
一層防止することができる。
【0121】なお、第5実施形態、第6実施形態ともに
樹脂を非晶質樹脂からなるポリカーボネイト、シクロオ
レフィンコポリマーから構成しているが、これに限ら
ず、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリメチルメタ
クリレート、アモルファスポリオレフィン、日本ゼオン
(株)のゼオネックス、三井石油化学(株)のアペル等
を使用しても良い。
【0122】図19は本発明に係るプラスチック成形品の
成形方法の第7実施形態を示す図であり、請求項24、2
5、27何れかの記載の発明に対応している。なお、本実
施形態では金型の構成は第5実施形態と同様であるた
め、第5実施形態と同様の構成には同一番号を付して説
明を省略する。図19において、キャビティ駒83は摺動手
段としての油圧シリンダ95によって摺動されるようにな
っており、キャビティ87内に高圧の溶融樹脂が充填され
る際には油圧シリンダ95によってキャビティ駒83が押圧
されるようになっている。
【0123】また、本実施形態では、予めコンピュータ
を使用してキャビティ87内の樹脂の温度分布データを採
取しておき、キャビティ駒83に対応するキャビティ内83
の特定位置の温度が採取したデータの所定温度と同一に
なったときに、キャビティ駒83を摺動させて空隙90を画
成させるようにしている。具体的には、所定温度とし
て、キャビティ87の転写面81a、82aを分断し、かつ、
キャビティ駒83の摺動方向の断面中心において、すなわ
ち、キャビティ駒83の対向面から1mm内方の樹脂89部分
(温度分布Tで示す)の温度がその樹脂89のガラス転移
温度(軟化温度)と一致する冷却時間を求め、その時間
に到達したときに油圧シリンダ95によってキャビティ駒
83を摺動させて空隙90を画成している。なお、図19の渦
巻き状の線は等温度線である。
【0124】このように本実施形態では、予めキャビテ
ィ内87の樹脂の温度分布データを採取しておき、キャビ
ティ駒83に対応するキャビティ87内の特定位置の温度が
採取したデータの所定温度と同一になったときに、キャ
ビティ駒83を摺動させて空隙90を画成するようにしたた
め、キャビティ87壁面に面する樹脂の外周部の冷却固化
領域とキャビティ中央部のガラス転移温度以上の領域の
最適なバランスで空隙90を画成することができ、内部歪
みの増大と圧力分布によって転写性が低下するのをより
一層防止することができる。
【0125】また、前記所定温度を、キャビティ87の転
写面を分断し、かつ、キャビティ駒83の摺動方向の断面
中心において樹脂のガラス転移温度以上に設定したの
は、キャビティ87壁面に対する樹脂外周部の冷却固化領
域とキャビティ87中央部の軟化温度以上の領域の最適バ
ランスでの空隙画成タイミングとして、所定温度をその
キャビティの転写面を分断し、かつキャビティ駒83の摺
動方向の断面中心において樹脂の軟化温度以上に設定す
ることにより、樹脂が冷却され過ぎた場合に空隙90を画
成したときにでも樹脂の自由度を低くすることができ、
内部歪みが残存したり転写面の転写不良が生じるのを防
止するためである。
【0126】当然のことながら、所定温度は、薄肉部に
局所的に空隙が画成された場合には、その部分における
キャビティの転写面を分断し、かつ摺動方向の断面中心
部の温度となる。さらに、キャビティ駒83と別体に設け
られた油圧シリンダ95を利用してキャビティ駒83を摺動
させるようにしたため、プラスチック成形装置の構成を
簡素化することができる。
【0127】なお、本実施形態では、摺動手段として油
圧を利用する油圧シリンダを設けたが、これに限らず、
電気を用いた電気モータ、空気を利用した空気シリンダ
等を用いても良い。なお、第6、7実施形態のようにキ
ャビティ駒83とキャビティ駒84、85を多段的に摺動させ
る場合には、圧力センサ88による樹脂圧力、または、上
述した温度分布データによる樹脂温度の少なくとも一方
に基づいてキャビティ駒83、84、85を摺動して空隙を画
成すれば各々の場所に対応する転写面で圧力が残存して
内部歪みが増大したり、転写面精度の低下を生じるのよ
り一層防止することができる。なお、最初に空隙を画成
する際に樹脂圧力が大気圧に近づくことから、2段目以
降に空隙を画成する場合には圧力信号ではなく、温度デ
ータに基づいて空隙を画成した方が効果的である。
【0128】図20は本発明に係るプラスチック成形品の
成形方法の第8実施形態を示す図であり、請求項28記載
の発明に対応している。図20において、100は溶融樹脂
の供給用のスプルー101を有する上型であり、この上型1
00には鏡面を構成する転写面102a、103aが形成された
2つのキャビティ駒102、103が設けられている。また、
上型100には下型104が対向しており、この下型104には
鏡面を構成する転写面105a、106aが形成された2つの
キャビティ駒105、106が設けられている。
【0129】また、上型100と下型104の間には転写面が
形成されていないキャビティ駒107、108が設けられてお
り、本実施形態では、キャビティ駒102、103、107、108
および下型104によって2つのキャビティ109、110が形
成されており、溶融樹脂はスプルー101および下型104に
形成された凹部104aと上型100の間を通ってキャビティ
109、110内に射出充填されるようになっている。
【0130】また、キャビティ駒107、108は架台111に
所定角度傾斜して設けられたアンギュラーピン112、113
に挿通されており、架台111がキャビティ駒107、108に
対して近接、離隔することによりキャビティ駒107、108
が摺動し、架台111がキャビティ駒107、108から離隔す
るとキャビティ駒107、108がキャビティ109、110内に射
出充填された樹脂との間に空隙114、115を画成するよう
になっている。
【0131】次に、作用を説明する。まず、樹脂として
非晶質樹脂であるポリカーボネイトを準備する。そし
て、図20(a)に示すように金型を樹脂の軟化温度未満
(非晶質樹脂ではガラス転移温度未満)である142℃に
加熱保持し、次いで、この金型のキャビティ109、110内
に300℃の溶融された樹脂を射出充填する。
【0132】このキャビティ109、110は成形品の形状と
同様の容積を有する厚肉・偏肉形状であるため、樹脂は
端部の薄肉部および表層部から優先的に急冷・固化す
る。樹脂を射出充填した後、保圧を発生させてから40秒
後に架台111を下方に移動させ、架台111とキャビティ駒
107、108の当接面PL1を分離させることにより、キャ
ビティ駒107、108をアンギュラーピン112、113に沿って
移動させ、キャビティ駒107、108を樹脂の薄肉部から離
隔させて薄肉部とキャビティ駒107、108の間に空隙11
4、115を画成する(図20(b)参照)。
【0133】次いで、樹脂が完全に冷却されるまでこの
状態を維持した後、上型100を上方に移動させ、キャビ
ティ駒107、108と上型100の当接面PL1とを分離して下
型104のキャビティ駒102、103とキャビティ駒105、106
とを離隔させ、キャビティ109、110内から成形品を取り
出す。また、上型100を下方に移動させた後、下型104を
上方に移動させると、金型は図20(a)に示す状態に復
帰するために、以後の成形作業の実行が可能となる。
【0134】このように本実施形態では、金型の型開き
力を利用してキャビティ駒107、108を摺動させて空隙11
4、115を画成するようにしたため、プラスチック成形金
型に既設された金型の型開き機構を利用することによ
り、キャビティ駒を摺動させることができるため、新た
な設備を追加するのを不要にでき、成形品を低コストに
成形することができる。
【0135】また、実施形態では、アンギュラーピン11
2、113を用いてキャビティ駒107、108を摺動させている
が、これに限らず、図21に示すように、キャビティ駒10
5、106に相当するキャビティ駒121、122にテーパ121
a、122aを設け、キャビティ駒121、122を図20の当接
面PL1に相当する当接面から下型を移動させることに
より、キャビティ123に射出充填された樹脂とキャビテ
ィ駒121、122の間に空隙を画成するようにしても良い。
【0136】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、冷却によ
って生じる収縮を空隙に面する部分の樹脂が動くことに
よって吸収し、空隙に面した樹脂部分を優先的にひけさ
せて転写面にひけが生じることを防止することができ、
所望する転写面を短い成形サイクルで忠実に転写するこ
とができる。また、冷却時の転写面に作用する樹脂内圧
を大気圧に近づけることができるため、光弾性歪みの小
さい成形品を得ることができる。
【0137】請求項2記載の発明によれば、冷却時に空
隙を画成したときに、空隙を生じる面と樹脂が密着して
いるが樹脂の表面層が固化しているため、剥離を容易に
行なうことができる上に剥離時表面層が大きく変形する
のを防止することができる。また、剥離による空隙の発
生後はその平均温度が樹脂の軟化温度以上であるため、
空隙に面する樹脂部分の断熱効果と温度の均一化によっ
て、この樹脂部分の温度を逆にその軟化温度以上に上昇
させて低粘度化させることができ、この樹脂部分の移動
を容易にすることができる。
【0138】請求項3記載の発明によれば、空隙内の圧
力を0.05MPa〜6MPaの範囲にすることによ
り、樹脂の冷却に伴う空隙に面した樹脂部分の収縮移動
を助長する方向に一定圧力を発生させることができる。
請求項4記載の発明によれば、空隙が発生したときの転
写面の転写性が低下するのを防止することができる。
【0139】請求項5記載の発明によれば、キャビティ
駒の摺動性を良好にすることができるとともに、空隙を
画成するキャビティ面と樹脂との剥離を容易に行なうこ
とができ、成形作業の作業性を良好なものにすることが
できる。請求項6記載の発明によれば、樹脂の収縮性が
良好なため、高精度な成形精度を容易に得ることができ
る。
【0140】請求項7記載の発明によれば、空隙発生時
に転写面に隣接する全面を開放することができるので、
冷却によって樹脂が収縮した場合に空隙に面する樹脂を
より容易に収縮させることができ、転写面の転写精度を
向上させることができる。請求項8記載の発明によれ
ば、空隙に接する樹脂部分が必要以上に変形するのを防
止して成形品に悪影響を及ぼすのを防止することができ
る。
【0141】請求項9記載の発明によれば、厚肉または
偏肉の成形品であっても低歪みでかつ転写面の形状精度
を確保した成形品を得ることができる。また、金型温度
を樹脂の軟化温度以下に設定した場合であっても、所望
の形状精度を確保することができるため、樹脂の冷却時
間を短縮して成形品の成形時間を短縮することができ、
成形品の製造コストを低減することができる。
【0142】請求項10記載の発明によれば、キャビティ
駒で成形される樹脂の成形面に凹形状または凸形状の成
形面を選択的に形成することができる。なお、離隔時の
樹脂圧力を0.5MPa未満にした場合には、転写面が
剥がれてしまうため好ましくなく、離隔時の樹脂圧力を
60MPa以上にした場合には、成形品そのものの内部
応力が増大して残留応力が残るため好ましくない。
【0143】請求項11記載の発明によれば、キャビティ
内に射出充填されたときに発生する樹脂の圧力によって
キャビティ駒が樹脂から離隔する方向に移動するのを防
止することができる。請求項12記載の発明によれば、油
圧シリンダまたは電動モータからなる駆動手段によって
キャビティ駒の加圧および摺動を行なうことができるの
で、圧力制御装置を簡素な構造にすることができ、成形
用金型を簡素な構造にすることができる。
【0144】請求項13記載の発明によれば、樹脂内圧ま
たはキャビティ駒の移動タイミングを精度良く制御する
ことができるため、成形品を連続的に成形しつつ空隙に
面した樹脂の成形面に安定して凸形状または凹形状を形
成することができる。請求項14記載の発明によれば、キ
ャビティ駒が樹脂から離隔するように移動したときにキ
ャビティ駒と樹脂の間の空隙に空気を流入させて空隙内
を大気圧に近づけることができ、キャビティ駒を樹脂か
ら速やかに離隔させることができる。この結果、凹形状
または凸形状を安定して形成することができ、転写面の
形状精度を向上させることができる。
【0145】請求項15記載の発明によれば、通気孔から
キャビティ駒と樹脂の間の空隙内に外気を確実に流入さ
せることができる。請求項16記載の発明によれば、キャ
ビティ駒を樹脂から容易に離隔させることができ、転写
面の形状精度を向上させることができる。請求項17記載
の発明によれば、キャビティ駒を樹脂から容易に離隔さ
せることができ、転写面の形状精度を向上させることが
できるとともに、 キャビティ駒と成形用金型との摺動
面の耐久性を向上させることができ、成形用金型の寿命
を向上させることができる。
【0146】請求項18記載の発明によれば、キャビティ
内に発生する樹脂圧力によって樹脂に転写面を転写する
際に、樹脂のキャビティ駒側の成形面に曲面または平面
を形成することができ、キャビティ駒を樹脂から離隔さ
せた際に樹脂のキャビティ駒側の成形面の広範囲に亘っ
て凹形状または凸形状を選択的に形成することができ
る。この結果、転写面の形状精度をより一層向上させる
ことができる。
【0147】請求項19記載の発明によれば、通気孔から
キャビティ駒と樹脂の間の空隙に空気が回り込んで成形
品の形状精度を悪化させるおそれがあるが、キャビティ
駒と前記転写面の接続面に段差を形成することにより、
通気孔からキャビティ駒と樹脂の間の空隙に空気が回り
込むのを防止することができ、成形品の形状精度が悪化
するのを防止することができる。
【0148】請求項20記載の発明によれば、固化進行が
早い成形品薄肉部に相当する部分の転写面でない面が自
由面として動けるタイミングでそこに優先的に空隙を画
成させることにより、内部歪みの増大と圧力分布による
転写性の低下を防ぐことができる。請求項21記載の発明
によれば、成形品の薄肉部に相当する部分から厚肉部に
相当する部分に多段的に空隙を画成させることにより、
各々の場所に対応する転写面で圧力が残存して内部歪み
が増大したり、転写面精度の低下を生じるの防止するこ
とができる。
【0149】請求項22記載の発明によれば、空隙画成部
の精度がでなくても良いことから、少なくとも転写面精
度に加えて、他部品に固定する際の基準面の精度を確保
することにより、成形品を他部品に高精度に固定するこ
とができる。請求項23、24記載の発明によれば、キャビ
ティ壁面に面する樹脂の外周部の冷却固化領域とキャビ
ティ中央部の軟化温度以上の領域の最適なバランスで空
隙を画成することができ、内部歪みの増大と圧力分布に
よって転写性が低下するのをより一層防止することがで
きる。
【0150】請求項25記載の発明によれば、樹脂が冷却
され過ぎた場合に空隙を画成したときにでも樹脂の自由
度を低くすることができ、内部歪みが残存したり転写面
の転写不良が生じるのを防止することができる。請求項
26記載の発明によれば、多段的に空隙を画成する場合
に、各々の場所に対応する転写面で圧力が残存して内部
歪みが増大したり、転写面精度の低下を生じるのより一
層防止することができる。
【0151】請求項27記載の発明によれば、プラスチッ
ク成形装置の構成を簡素化することができる。請求項28
記載の発明によれば、プラスチック成形金型に既設され
た金型の型開き機構を利用することにより、キャビティ
駒を摺動させることができるため、新たな設備を追加す
るのを不要にでき、成形品を低コストに成形することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は一般的な射出成形方法を示す図である。
【図2】図2は一般的な射出圧縮成形方法を示す図であ
る。
【図3】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第1実施形態を示す図であり、(a)はその成形方法に使
用される金型の構成図、(b)はその製造方法に使用さ
れる金型に溶融樹脂が射出充填された状態を示す図、
(c)は空隙が画成された状態を示す図である。
【図4】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第2実施形態を示す図であり、(a)はその成形方法に使
用される金型の構成図、(b)はその製造方法に使用さ
れる金型に溶融樹脂が射出充填された状態を示す図、
(c)は空隙が画成された状態を示す図である。
【図5】第2実施形態の金型によって成形された成形品
を示す図である。
【図6】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第3実施形態を示す図であり、空隙が画成された状態を
示す図である。
【図7】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第4実施形態を示す図であり、その金型の構成図であ
る。
【図8】本発明に係るプラスチック成形品の成形用金型
の第1実施形態を示す図であり、その断面図である。
【図9】第1実施形態のキャビティ駒が樹脂から離隔し
てキャビティ駒と樹脂の間に空隙が形成された状態を示
す断面図である。
【図10】第1実施形態の成形用金型の他の態様を示す断
面図である。
【図11】図10のキャビティ駒が樹脂から離隔してキャビ
ティ駒と樹脂の間に空隙が形成された状態を示す断面図
である。
【図12】(a)は第1実施形態の成形用金型で成形され
た成形品の構成図、(b)は同図(a)のA−A矢視断
面図である。
【図13】本発明に係るプラスチック成形品の成形用金型
の第2実施形態を示す図であり、その断面図である。
【図14】第2実施形態のキャビティ駒が樹脂から離隔し
てキャビティ駒と樹脂の間に空隙が形成された状態を示
す断面図である。
【図15】(a)〜(c)は第2実施形態の他の態様の成
形用金型によって成形された成形品の構成図てある。
【図16】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第5実施形態を示す図であり、(a)はその成形方法を
達成する成形金型の一部を構成するキャビティ駒と成形
品の関係を示す図、同図(b)はその成形方法によって
成形される成形品の構成図である。
【図17】図16(a)のg−g断面で示す成形金型によっ
てプラスチック成形品を成形する手順を示す図である。
【図18】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第6実施形態を示す図であり、(a)は本発明に係るプ
ラスチック成形品の成形方法を達成する成形金型の概略
図、(b)は同図(a)のh−h断面図である。
【図19】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第7実施形態を示す図であり、その概略断面図である。
【図20】本発明に係るプラスチック成形品の成形方法の
第8実施形態を示す図であり、(a)はプラスチック成
形品の成形方法を達成する成形金型の概略断面図、
(b)は空隙を画成したときの成形金型の概略断面図で
ある。
【図21】第8実施形態の成形金型の他の態様を示すその
要部構成図である。
【符号の説明】
13、14、24、28、32、33、34、46、51、71、72、73、7
4、81、82、83、84、85、102、103、105、106、107、10
8 キャビティ駒 15、25、37、46、75、87、109、110 キャビティ 16、26、77、89 樹脂 17、27、29、49、78a、78b、90、114、115 空隙 21a、22a、31 転写面 42a、43a 成形面 44a、45a、71a、72a、81a、81b、102a、103a
鏡面(転写面) 46a、51a 成形面 48 圧力制御装置(摺動手段) 50 樹脂 55、64〜66、76、86 成形品 61〜63 通気孔 88 圧力センサ 91a、91b 基準面 95 油圧シリンダー(摺動手段) C 有効範囲
フロントページの続き (72)発明者 村井 基靖 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1つ以上の転写面を有するとと
    もに該転写面以外の面に少なくとも1つ以上のキャビテ
    ィ駒が摺動自在に設けられ、転写面およびキャビティ駒
    によって少なくとも1つ以上のキャビティが画成された
    一対の金型を準備し、 該金型を樹脂の軟化温度未満に加熱保持し、前記キャビ
    ティ内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充填
    し、次いで、前記転写面に樹脂圧力を発生させて樹脂を
    該転写面に密着させた後、該樹脂を軟化温度以下に冷却
    し、次いで、型開きして取り出すようにしたプラスチッ
    ク成形品の成形方法において、 前記溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却するときに、前記
    キャビティ駒の少なくとも1つ以上を樹脂から離隔する
    ように摺動させることにより、樹脂とキャビティ駒の間
    に強制的に空隙を画成したことを特徴とするプラスチッ
    ク成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】前記キャビティ駒を摺動して空隙の画成を
    開始する時期を、キャビティ内の樹脂の表層部が軟化温
    度未満の固化した状態で中心部がその軟化温度以上であ
    り、かつ表層部から中心部までの平均温度がその樹脂の
    軟化温度以上であるときに設定したことを特徴とする請
    求項1記載のプラスチック成形品の成形方法。
  3. 【請求項3】前記空隙内の圧力を0.05MPa以上6
    MPa以下に設定することを特徴とする請求項1または
    2記載のプラスチック成形品の成形方法。
  4. 【請求項4】前記キャビティ駒を摺動して空隙を画成す
    る直前の転写面圧力を、0.5MPa以上60MPa以
    下に設定したことを特徴とする請求項1〜3何れかに記
    載のプラスチック成形品の成形方法。
  5. 【請求項5】前記キャビティ駒として微小孔を有する材
    料を用い、該キャビティ駒の微小孔から樹脂側に気体を
    送り込むことにより、該キャビティ駒を摺動させて空隙
    を画成するようにしたことを特徴とする請求項1〜4何
    れかに記載のプラスチック成形品の成形方法。
  6. 【請求項6】前記樹脂として、軟化温度がそのガラス転
    移温度である非晶質樹脂を使用することを特徴とする請
    求項1〜5何れかに記載のプラスチック成形品の成形方
    法。
  7. 【請求項7】前記キャビティ駒を前記転写面と隣接する
    面に接触させ、前記キャビティ駒を摺動させたときに前
    記転写面と隣接する面にも空隙を画成するようにしたこ
    とを特徴とする請求項1〜6何れかに記載のプラスチッ
    ク成形品の成形方法。
  8. 【請求項8】前記空隙を画成する面を、前記転写面の有
    効範囲から少なくとも1mm以上離隔させたことを特徴
    とする請求項1〜6何れかに記載のプラスチック成形品
    の成形方法。
  9. 【請求項9】各壁面によって所定容積のキャビティを画
    成する成形面と、該成形面の少なくとも1つ以上に形成
    され、樹脂に鏡面を転写する転写面とを有し、前記キャ
    ビティ内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充
    填した後、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって前
    記樹脂に転写面を転写するようにしたプラスチック成形
    品の成形用金型において、 前記転写面を除く少なくとも1つ以上の成形面の壁面の
    全部または一部を形成するキャビティ駒を摺動自在に設
    け、 前記樹脂圧力が所定圧力になったときに前記キャビティ
    駒を樹脂から離隔するように摺動させることにより、樹
    脂とキャビティ駒の間に空隙を画成したことを特徴とす
    るプラスチック成形品の成形用金型。
  10. 【請求項10】前記キャビティ駒を樹脂から離隔するとき
    の前記キャビティ内の樹脂圧力を0.5MPa以上60
    MPa以下の範囲に設定したことを特徴とする請求項9
    記載のプラスチック成形品の成形用金型。
  11. 【請求項11】前記キャビティ駒を加圧する圧力制御装置
    を有し、該圧力制御装置によってキャビティ内の樹脂圧
    力が所定圧力以上の圧力になるようにキャビティ駒を加
    圧することを特徴とする請求項9または10記載のプラス
    チック成形品の成形用金型。
  12. 【請求項12】前記圧力制御装置が油圧シリンダまたは電
    動モータからなる駆動手段を有し、該駆動手段によって
    前記キャビティ駒を摺動させることを特徴とする請求項
    11記載のプラスチック成形品の成形用金型。
  13. 【請求項13】前記キャビティ内に該キャビティ内の樹脂
    圧力を検出する圧力検出手段を設けるとともに、該圧力
    制御手段からの検出情報に基づいて前記キャビティ駒を
    摺動させる摺動手段を設けたことを特徴とする請求項9
    〜12何れかに記載のプラスチック成形品の成形用金型。
  14. 【請求項14】前記キャビティ駒と該キャビティ駒の摺動
    面の間に少なくとも1つ以上の通気孔を設け、該通気孔
    は、キャビティ駒が樹脂から離隔する方向に摺動したと
    きに、樹脂とキャビティ駒の間の空隙に連通可能な位置
    に形成されたことを特徴とする請求項9〜13何れかに記
    載のプラスチック成形品の成形用金型。
  15. 【請求項15】前記通気孔は、前記キャビティ駒が樹脂か
    ら離隔する方向に摺動したときに、樹脂とキャビティ駒
    の間の空隙と金型の外部とを連通することを特徴とする
    請求項14記載のプラスチック成形品の成形用金型。
  16. 【請求項16】前記キャビティ駒の成形面が、樹脂との密
    着力が低い材質によって表面処理されることを特徴とす
    る請求項9〜15何れかに記載のプラスチック成形品の成
    形用金型。
  17. 【請求項17】前記キャビティ駒の成形面と摺動面が、樹
    脂との密着力が低く、かつ、耐摩耗性の高い同一の材質
    で表面処理されることを特徴とする請求項9〜15何れか
    に記載のプラスチック成形品の成形用金型。
  18. 【請求項18】前記キャビティ駒の成形面は、該キャビテ
    ィ駒を含んで形成される壁面と略相似形状であることを
    特徴とする請求項9記載のプラスチック成形品の成形用
    金型。
  19. 【請求項19】前記キャビティ駒と前記転写面の接続面に
    段差を形成したことを特徴とする請求項14または15記載
    のプラスチック成形品の成形用金型。
  20. 【請求項20】樹脂に鏡面を転写する少なくとも1つ以上
    の転写面を有するとともに該転写面以外の面に少なくと
    も1つ以上のキャビティ駒が摺動自在に設けられ、転写
    面およびキャビティ駒によって少なくとも1つ以上のキ
    ャビティが画成された一対の金型を準備し、 該金型を樹脂の軟化温度未満に加熱保持し、前記キャビ
    ティ内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充填
    し、次いで、前記転写面に樹脂圧力を発生させて樹脂を
    該転写面に密着させた後、該樹脂を軟化温度以下に冷却
    し、次いで、型開きして取り出すようにしたプラスチッ
    ク成形品の成形方法であって、 前記溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却するときに、前記
    キャビティ駒の少なくとも1つ以上を樹脂から離隔する
    ように摺動させることにより、転写面以外の少なくとも
    1つの面の一部または全部とキャビティ駒の間に強制的
    に空隙を画成するようにしたプラスチック成形品の成形
    方法において、 前記空隙の画成時に成形品の薄肉部に相当する部分を優
    先することを特徴とするプラスチック成形品の製造方
    法。
  21. 【請求項21】前記成形品の薄肉部に相当する部分に空隙
    を画成させた後、該成形品の厚肉部に相当する部分に多
    段的に空隙を画成させることを特徴とする請求項20記載
    のプラスチック成形品の成形方法。
  22. 【請求項22】前記成形品の同一側面の一部を除いて空隙
    を画成させ、空隙を画成させない部分を該成形品を他部
    品に固定する際の基準面にしたことを特徴とする請求項
    20または21記載のプラスチック成形品の成形方法。
  23. 【請求項23】前記空隙の画成部分または画成部分近傍に
    圧力センサを配設し、この圧力センサによって検出され
    た圧力が所定値になったときに、前記キャビティ駒を摺
    動させて空隙を画成させることを特徴とする請求項20〜
    22何れかに記載のプラスチック成形品の成形方法。
  24. 【請求項24】予めキャビティ内の樹脂の温度分布データ
    を採取しておき、前記キャビティ駒に対応するキャビテ
    ィ内の特定位置の温度が前記採取したデータの所定温度
    と同一になったときに、前記キャビティ駒を摺動させて
    空隙を画成させることを特徴とする請求項20〜22何れか
    に記載のプラスチック成形品の成形方法。
  25. 【請求項25】前記所定温度を、前記キャビティの転写面
    を分断し、かつ、前記キャビティ駒の摺動方向の断面中
    心において樹脂の軟化温度以上に設定することを特徴と
    する請求項24記載のプラスチック成形品の成形方法。
  26. 【請求項26】前記圧力センサによる樹脂圧力、または、
    前記温度分布データによる樹脂温度の少なくとも一方に
    基づいてキャビティ駒を摺動して空隙を画成することを
    特徴とする請求項23〜25何れかに記載のプラスチック成
    形品の成形方法。
  27. 【請求項27】前記キャビティ駒と別体に設けられた摺動
    手段を利用して前記キャビティ駒を摺動させることによ
    り空隙を画成することを特徴とする請求項20〜26何れか
    に記載のプラスチック成形品の成形方法。
  28. 【請求項28】前記金型の型開き力を利用して前記キャビ
    ティ駒を摺動させて空隙を画成することを特徴とする請
    求項20〜26何れかに記載のプラスチック成形品の成形方
    法。
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