JP3701444B2 - 射出成形方法及び射出成形用金型 - Google Patents

射出成形方法及び射出成形用金型 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形方法及び射出成形用金型に関し、詳細には、レーザー方式のディジタル複写機、レーザープリンタやファクシミリ装置の光学走査系及びビデオカメラ等の光学機器や光ディスク等に適用されるプラスチック成形品の射出成形方法及び射出成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック成形を行う方法としては、射出成形法と射出圧縮成形法がある。この射出成形法は、金型温度を成形用樹脂の軟化温度未満にした状態で、金型の一定容積のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填し、保圧を制御しながら徐冷した後、金型を開いて成形品を取り出す方法である。また、射出圧縮成形法は、金型内の転写面を形成する転写駒を可動可能にし、金型温度を成形用樹脂の軟化温度未満にした状態で、所定容積のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填し、保圧を制御しながら徐冷するとき、樹脂が冷却時に体積収縮するのに対応して該転写駒を摺動させて、樹脂に圧力を付加して、成形品の形状をより高精度に形成する方法である。
【0003】
これらの成形方法は、一般的に、樹脂が冷却固化するときに、金型内の樹脂圧力や樹脂温度が均一になることが、成形品に所望の形状精度を確保する上で望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなプラスチックの成形方法においては、従来から以下のような問題があった。
【0005】
すなわち、射出成形法は、成形品が厚肉部と薄肉部のある偏肉形状の場合、冷却時に、厚肉部と薄肉部で樹脂温度が不均一になって、薄肉部に残圧が発生したり、厚肉部にヒケが発生してしまうという不具合があった。また、厚肉形状の成形品においては、樹脂の冷却過程で体積収縮量が多いために、ヒケが発生しやすい。そこで、ヒケ発生を防止するために、充填圧力を大きくすると、残留歪が大きくなり、高精度な成形品が得られないという欠点があった。
【0006】
また、射出圧縮成形法は、射出成形法よりも低い充填圧力で成形することができるが、成形品が偏肉形状の場合には、成形品の厚みにより収縮量に差が生じ、転写駒が樹脂の収縮に追従できず、均等な圧力をかけることができないため、圧力の低い部分にヒケが発生し、形状精度が低下するという問題があった。
【0007】
このような場合、成形時に金型温度を樹脂の軟化温度以上に高くし、冷却過程で成形品の各部ができるだけ一定温度になるように徐冷する方法で、上記不具合は解消されるが、成形時間が長くかかり、コストが高くなるという新たな問題が発生する。
【0008】
この発明は、このような問題を解消し、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度を確保し、冷却時間(成形時間)を短縮して、製造コストを安価にすることができる射出成形方法及び射出成形用金型を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の射出成形方法は、少なくとも1つ以上の転写面と、当該転写面以外の面に摺動自在に設けられた少なくとも1つ以上のキャビティ駒と、により少なくとも1つ以上のキャビティの画成された一対の金型を用いて樹脂に前記転写面を転写する射出成形方法であって、前記金型を前記樹脂の軟化温度未満に加熱した後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂を射出充填して、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂を前記転写面に密着させて前記樹脂に前記転写面を転写させた後、前記樹脂を前記軟化温度未満に冷却するに際して、前記キャビティ駒のうち転写面を除く少なくとも1つ以上の前記キャビティ駒を前記樹脂から離隔する方向に摺動させて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙を形成し、当該空隙内に所定の圧縮気体を流入し、当該空隙内の圧力を所定の圧縮圧力に上昇させて、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケを形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度を確保し、冷却時間(成形時間)を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0011】
請求項2記載の発明の射出形成方法は、少なくとも1つ以上の転写面と、当該転写面以外の面に摺動自在に設けられた少なくとも1つ以上のキャビティ駒と、により少なくとも1つ以上のキャビティの画成された一対の金型を用いて樹脂に前記転写面を転写する射出成形方法であって、前記金型を前記樹脂の軟化温度未満に加熱した後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂を射出充填して、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂を前記転写面に密着させて前記樹脂に前記転写面を転写させた後、前記樹脂を前記軟化温度未満に冷却するに際して、前記キャビティ駒のうち転写面を除く少なくとも1つ以上の前記キャビティ駒を前記樹脂から離隔する方向に摺動させて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙を形成し、前記樹脂から離隔する方向に摺動された前記キャビティ駒を前記樹脂に接近する方向に摺動させて、当該空隙内の圧力を所定の圧縮圧力に上昇させて、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、空隙内の圧力を、簡単、かつ、安価に上昇させて、キャビティ駒で形成される成形面にヒケを確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0013】
また、請求項3に記載のように、前記空隙内の圧力は、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向と前記樹脂に接近する方向に少なくとも1回以上往復摺動されることにより、前記圧縮圧力に上昇させ、キャビティ駒で形成される成形面にヒケが形成されるまで、空隙内の気体の圧縮圧力を簡単、かつ、安価に保持し、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより一層確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとする。
【0014】
さらに、請求項4に記載のように、前記所定の圧縮圧力は、0.1MPa以上2MPa以下の範囲にして、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとする。
【0015】
請求項5に記載の発明の射出成形用金型は、複数の壁面を成形面として所定容積のキャビティが画成されるとともに、当該成形面に少なくとも1つ以上の転写面が形成され、樹脂の軟化温度未満に加熱された後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂が射出充填されると、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂に前記転写面を転写する射出成形用金型であって、前記転写面を除く少なくとも1つ以上の前記成形面の前記壁面の全部または一部が、摺動自在なキャビティ駒で形成され、前記樹脂圧力が所定圧力になると、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向に摺動されて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙が形成され、当該空隙内に所定の圧縮気体を流入されて当該空隙内の圧力が所定の圧縮圧力に上昇され、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0017】
また、請求項6に記載のように、前記空隙を形成するキャビティ駒と当該キャビティ駒の摺動面との間に少なくとも1つ以上の通気孔を、キャビティ駒が樹脂から離隔する方向に摺動されたとき、樹脂とキャビティ駒との間の空隙に連通可能な位置に形成し、該通気孔を、金型外部に配設され所定の圧縮気体を供給する気体圧縮手段に連通させ、通気孔を通じて圧縮気体を気体圧縮手段から空隙内に導入して、樹脂を押圧し、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケをより一層適切に形成する。
【0018】
請求項7に記載の発明の射出成形用金型は、複数の壁面を成形面として所定容積のキャビティが画成されるとともに、当該成形面に少なくとも1つ以上の転写面が形成され、樹脂の軟化温度未満に加熱された後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂が射出充填されると、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂に前記転写面を転写する射出成形用金型であって、前記転写面を除く少なくとも1つ以上の前記成形面の前記壁面の全部または一部が、摺動自在なキャビティ駒で形成され、前記樹脂圧力が所定圧力になると、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向に摺動されて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙が形成され、前記樹脂から離隔する方向 に摺動された前記キャビティ駒を前記樹脂に接近する方向に摺動させて、当該空隙内の圧力が所定の圧縮圧力に上昇され、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、空隙内の圧力を簡単、かつ、安価に上昇させて、キャビティ駒で形成される成形面にヒケを確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0020】
請求項8に記載のように、前記空隙内の圧力は、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向と前記樹脂に接近する方向に少なくとも1回以上往復摺動されることにより、前記圧縮圧力に上昇させても良い。
【0021】
前記構成によれば、キャビティ駒で形成される成形面にヒケが形成されるまで、空隙内の気体の圧縮圧力を簡単、かつ、安価に保持し、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより一層確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0022】
また、請求項9に記載のように、前記キャビティ駒は、油圧シリンダあるいは電導モータからなる駆動手段により摺動されても良い。
【0023】
前記構成によれば、キャビティ内に溶融樹脂を射出充填したときに発生する樹脂圧力によって、キャビティ駒が移動しないように安価に固定し、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって樹脂に転写面を確実に転写して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0024】
さらに、請求項10に記載のように、前記所定の圧縮圧力は、0.1MPa以上2MPa以下の範囲として、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとする。
【0025】
また、請求項11に記載のように、前記キャビティ駒の前記成形面は、前記樹脂との密着力の低い材質により表面処理して、キャビティ駒と樹脂が離れることを促進させ、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケをより一層適切に形成する。
【0026】
また、請求項12に記載のように、前記キャビティ駒の前記成形面と摺動面は、前記樹脂との密着力が低く、かつ、耐摩耗性の高い同一の材質で表面処理して、キャビティ駒と樹脂が離れることを促進させ、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケをより一層適切に形成するとともに、摺動面の耐久性を向上させて、射出成形用金型の寿命を長くする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0028】
図1〜図4は、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第1の実施の形態を示す図である。
【0029】
図1は、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第1の実施の形態を適用した射出成形用金型1の正面断面図である。
【0030】
図1において、射出成形用金型1は、一対の金型2と金型3を備えており、金型2は、図4に示すように、略L字型に形成され、金型3は、略コの字型に形成されている。
【0031】
金型2は、転写駒4を備えており、転写駒4には、転写面4aが形成されている。金型3は、転写駒5を備えており、転写駒5には、転写面5aが形成されている。金型3には、図1中左右方向に延在する摺動溝6が形成されており、摺動溝6には、当該摺動溝6に沿って摺動可能なキャビティ駒7が収納されている。
【0032】
射出成形用金型1は、金型2と転写駒4の転写面4a、金型3と転写駒5の転写面5a及びキャビティ駒7により、キャビティ8が画成されており、このキャビティ8内に成形用の樹脂10(図2及び図3参照)が充填されて、樹脂10に転写面4a及び転写面5aが転写される。
【0033】
金型3には、キャビティ駒7がキャビティ8から離隔する方向に摺動した際に、当該キャビティ8に連通する通気孔9が形成されており、通気孔9は、金型3の外部に連通されている。この通気孔9には、必要に応じて、図示しない圧縮気体を供給する圧縮気体供給源が接続される。
【0034】
また、キャビティ駒7は、摺動溝6に沿って摺動されるとともに、キャビティ8内に充填された樹脂10の樹脂圧力が所定圧力以上の圧力になるように、キャビティ8方向に押圧されて、キャビティ8内の樹脂10に転写面4a、5aを転写させる。
【0035】
キャビティ8内には、図示しないが、キャビティ8内の樹脂圧力を検出する圧力検出手段が設けられていてもよく、この圧力検出手段からの検出情報に基づいてキャビティ駒7を摺動させて、成形安定性を向上させることができる。
【0036】
射出成形用金型1は、後述するように、キャビティ8内に樹脂10が充填された後、キャビティ駒7が樹脂10から離隔する方向に摺動されるが、このようにキャビティ駒7が樹脂10から離隔する方向に摺動されると、キャビティ駒7と樹脂10との間に空隙11が形成されることになる。そして、上記通気孔9は、キャビティ駒7が樹脂10から離隔する方向に摺動された際にキャビティ駒7と樹脂10との間に形成される空隙11に連通する位置に形成されている。通気孔9は、金型2、3外の圧縮気体供給源と接続されると、この圧縮気体供給源から通気孔9を通して空隙11に圧縮気体を速やかに送り込むのに使用され、また、上記圧縮気体供給源に接続されていないときには、通気孔9を通して空隙11内に空気を導入して空隙11内の真空状態を解除し、キャビティ駒7と樹脂10が離れることを促進させることができる。
【0037】
キャビティ駒7は、少なくともその樹脂10と接する面に、樹脂10との密着力の低い材料、例えば、TiN(窒化チタン)、TiCN(シアン化チタン)、W2 C(タングステンカーバイド)、あるいは、テフロン系樹脂等の表面処理が施されており、キャビティ駒7と樹脂10との離型性が向上されている。したがって、樹脂10の種類によっては、キャビティ駒7である金属面との密着力が高く、キャビティ駒7が樹脂10から離隔する方向に摺動する際に、キャビティ駒7と樹脂10が離型しにくくなり、成形品を変形させることがあるが、上記表面処理により、キャビティ駒7と樹脂10が離型しやすくなり、成形品の変形を防止することができる。
【0038】
また、キャビティ駒7は、その成形面と摺動溝6との摺動面に、樹脂10との密着力が低く、かつ、耐摩耗性の高い同一の材質、例えば、TiN(窒化チタン)、TiCN(シアン化チタン)及びW2 C(タングステンカーバイド)等の表面処理が施されていてもよい。このようにすると、キャビティ駒7と樹脂10との離型性を向上させることができるとともに、キャビティ駒7の当該摺動面の耐久性を向上させることができる。
【0039】
次に、本実施の形態の作用を説明する。射出成形用金型1は、転写駒4を有した金型2と、転写駒5を有した金型3と、金型3の摺動溝6に摺動可能に収納されたキャビティ駒7と、によりキャビティ8が形成されている。
【0040】
この射出成形用金型1を使用して、プラスチック成形品を成形するには、まず、金型2、3及びキャビティ駒7を樹脂10の軟化温度未満に加熱した後、キャビティ8内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂10を射出充填する。
【0041】
次いで、転写駒4の転写面4a及び転写駒5の転写面5aに樹脂圧力を発生させて、樹脂10を転写面4a、5aに密着させた後、樹脂10を軟化温度未満にまで冷却する。
【0042】
このとき、図2に示すように、キャビティ駒7を樹脂10から離隔する方向に、図示しない加圧制御装置により摺動させ、樹脂10とキャビティ駒7の間に強制的に空隙11を形成させる。
【0043】
次いで、図3に示すように、空隙11内に通気孔9を介して圧縮気体を流入して、樹脂10を押圧し、樹脂10が軟化温度未満にまで冷却されると、図4に示すように、金型2と金型3の双方あるいは一方を移動させて型開きし、成形品12を取り出す。
【0044】
上記方法により低い充填圧力で成形すると、キャビティ駒7で形成される成形面(キャビティ駒7のキャビティ8に対向する面で形成された樹脂の成形面)は、キャビティ駒7が樹脂10から離隔する方向に摺動されて空隙11が形成されると、転写面4a、5aによる成形面を含む他の成形面、すなわち、転写面4a、5aによる樹脂10の成形面と金型2及び金型3のキャビティ8に対向する面による樹脂10の成形面よりも熱伝導が小さくなり、樹脂10の冷却速度が遅くなる。また、空隙11内に通気孔9から導入された圧縮気体から受ける圧力伝播によって、キャビティ駒7による成形面以外の転写面4a、5aを含む他の成形面は、樹脂10と転写駒4、5との密着が増し、キャビティ駒7で形成される成形面に選択的にヒケを形成させることができる。その結果、転写面4a、5aによる転写精度を向上させることができる。
【0045】
特に、成形品12がレンズ等の光学素子の場合に、キャビティ8内に溶融樹脂10を射出充填して発生する樹脂圧力を低く設定することができるため、残留歪の小さい高精度な成形品12を得ることができる。
【0046】
このとき、圧力検出手段によりキャビティ8内の圧力を検出して、キャビティ駒7を摺動して樹脂10とキャビティ駒7の間に空隙11を形成する時期を、キャビティ8内の樹脂圧力が、0.5MPa以上で、60MPa以下の範囲に設定すると、キャビティ駒7で形成される成形面12に選択的にかつ適切にヒケ12aを形成させることができる。特に、キャビティ8内の樹脂圧力を、0.1MPa以上で、2MPa以下の範囲に設定すると、キャビティ駒7で形成される成形面12に選択的にかつより一層適切にヒケ12aを形成させることができる。
【0047】
なお、上記実施の形態においては、キャビティ駒7を樹脂10から離隔する方向に摺動させて空隙11を形成した際に、通気孔9から圧縮空気を当該空隙11内に導入しているが、この場合、圧縮気体を空隙11内に導入する代わりに、樹脂10から離隔するように摺動させたキャビティ駒7を、樹脂10に接近させる方向に摺動させることにより、空隙11内の気体を圧縮して、樹脂10を圧縮してもよい。このようにすると、空隙11に圧縮気体を導入するための圧縮気体源を使用する必要がなく、安価に成形することができる。
【0048】
この場合、キャビティ駒7を樹脂10から離隔させる方向の摺動と樹脂10に接近させる方向の摺動を複数回行うようにしてもよく、このようにすると、空隙11内の気体の圧縮圧力を継続的に保持することができ、意図するヒケを樹脂10のにより一層適切に形成することができる。
【0049】
また、上述のように、低い充填圧力で成形することができるため、透明性が要求される光学素子を成形する場合にも適用することができ、この場合、樹脂10として、その軟化温度がそのガラス転移温度である非晶性樹脂、例えば、ポリメタアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式アクリル樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂(例えば、ゼオネックス:商品名)、あるいは、環状オレフィンコポリマー(例えば、アベル:商品名)等を使用することができる。
【0050】
さらに、樹脂10としては、軟化温度がその融解温度である結晶性樹脂を使用することもできる。
【0051】
図5〜図7は、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第2の実施の形態を示す図である。
【0052】
図5は、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第2の実施の形態を適用した射出成形用金型30の正面断面図である。
【0053】
なお、本実施の形態は、上記第1の実施の形態の射出成形用金型1に、キャビティ駒を摺動させる加圧制御装置を設けたものであり、本実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図5において、射出成形用金型30は、キャビティ駒7に、加圧制御装置(加圧制御手段)31が連結棒31aにより連結されており、加圧制御装置31は、連結棒31aを介してキャビティ駒7を摺動溝6に沿って摺動させるとともに、所定圧力でキャビティ駒7を、キャビティ8内に充填された樹脂10の樹脂圧力が所定圧力以上の圧力になるように、キャビティ8方向に押圧して、キャビティ8内の樹脂10に転写面4a、5aを転写させる。
【0055】
加圧制御装置31は、例えば、油圧シリンダあるいは電動モータ等をキャビティ駒7の駆動手段として使用することができ、駆動手段として、油圧シリンダあるいは電動モータ等を使用すると、射出成形用金型1の構造を簡素化することができる。
【0056】
また、キャビティ8内には、上記第1の実施の形態と同様に、図示しないが、キャビティ8内の樹脂圧力を検出する圧力検出手段が設けられており、加圧制御装置31は、この圧力検出手段からの検出情報に基づいてキャビティ駒7を摺動させて、成形安定性を向上させている。
【0057】
本実施の形態の射出成形用金型30は、上記実施の形態の射出成形用金型1と同様に、転写駒4を有した金型2と、転写駒5を有した金型3と、金型3の摺動溝6に摺動可能に収納されたキャビティ駒7と、によりキャビティ8が形成されており、この射出成形用金型30を使用して、プラスチック成形品を成形するには、まず、金型2、3及びキャビティ駒7を樹脂10の軟化温度未満に加熱した後、キャビティ8内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂10を射出充填する。
【0058】
次いで、転写駒4の転写面4a及び転写駒5の転写面5aに樹脂圧力を発生させて、樹脂10を転写面4a、5aに密着させた後、樹脂10を軟化温度未満にまで冷却する。
【0059】
このとき、図6に示すように、キャビティ駒7を樹脂10から離隔する方向に、加圧制御装置31により摺動させ、樹脂10とキャビティ駒7の間に強制的に空隙11を形成させる。
【0060】
次いで、図7に示すように、空隙11内に通気孔9を介して圧縮気体を流入して、樹脂10を押圧し、樹脂10が軟化温度未満にまで冷却されると、金型2と金型3の双方あるいは一方を移動させて型開きし、成形品12を取り出す。
【0061】
上記方法により低い充填圧力で成形すると、キャビティ駒7で形成される成形面は、キャビティ駒7が樹脂10から離隔する方向に摺動されて空隙11が形成されると、転写面4a、5aによる成形面を含む他の成形面よりも熱伝導が小さくなり、樹脂10の冷却速度が遅くなる。また、空隙11内に通気孔9から導入された圧縮気体から受ける圧力伝播によって、キャビティ駒7による成形面以外の転写面4a、5aを含む他の成形面では、樹脂10と転写駒4、5との密着が増し、キャビティ駒7で形成される成形面に選択的にヒケを形成させることができる。その結果、転写面4a、5aによる転写精度を向上させることができる。
【0062】
特に、成形品12がレンズ等の光学素子の場合に、キャビティ8内に溶融樹脂10を射出充填して発生する樹脂圧力を低く設定することができるため、残留歪の小さい高精度な成形品12を得ることができる。
【0063】
このとき、圧力検出手段によりキャビティ8内の圧力を検出して、加圧制御装置31によりキャビティ駒7を摺動して樹脂10とキャビティ駒7の間に空隙11を形成する時期を、キャビティ8内の樹脂圧力が、0.5MPa以上60MPa以下の範囲に設定すると、キャビティ駒7で形成される成形面12に選択的にヒケ12aを形成させることができる。特に、キャビティ8内の樹脂圧力を、0.1MPa以上で、2MPa以下の範囲に設定すると、キャビティ駒7で形成される成形面12に選択的にヒケ12aをより一層適切に形成させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においても、キャビティ駒7を樹脂10から離隔する方向に摺動させて空隙11を形成した際に、通気孔9から圧縮空気を当該空隙11内に導入しているが、この場合、圧縮気体を空隙11内に導入する代わりに、樹脂10から離隔するように摺動させたキャビティ駒7を、加圧制御装置31で樹脂10に接近させる方向に摺動させとることにより、空隙11内の気体を圧縮して、樹脂10を圧縮してもよい。このようにすると、空隙11に圧縮気体を導入するための圧縮気体源を使用する必要がなく、安価に成形することができる。
【0065】
この場合、加圧制御装置31によりキャビティ駒7を樹脂10から離隔させる方向の摺動と樹脂10に接近させる方向の摺動を複数回行うようにしてもよく、このようにすると、空隙11内の気体の圧縮圧力を継続的に保持することができ、意図するヒケを樹脂10のに形成することができる。
【0066】
また、キャビティ駒7は、加圧制御装置31を連結棒31aを介して連結し、加圧制御装置31によってキャビティ駒7を加圧して、キャビティ8内の樹脂圧力が所定圧力以上の圧力になるようにしているので、樹脂10に転写面4a、5aを適切に転写させることができる。このとき、キャビティ8内の樹脂圧力を圧力検出手段で検出し、当該圧力検出手段からの検出情報に基づいて、加圧制御装置31によりキャビティ駒7の圧力を制御しているので、成形安定性を向上させることができる。
【0067】
図8は、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第3の実施の形態を示す図である。
【0068】
図8は、本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第3の実施の形態を適用した射出成形用金型40の正面断面図である。
【0069】
なお、本実施の形態は、上記第2の実施の形態の射出成形用金型30に、キャビティ駒と転写面との接続面に段差を形成したものであり、本実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図8において、射出成形用金型40は、金型2の転写駒4のキャビティ8側の面であって、キャビティ駒7に隣接する部分に、段差41が形成されており、金型3の転写駒5のキャビティ8側の面であって、キャビティ駒7に隣接する部分に、段差42が形成されている。
【0071】
本実施の形態の射出成形用金型40においても、成形時、金型2、3及びキャビティ駒7を樹脂10の軟化温度未満に加熱した後、キャビティ8内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂10を射出充填し、転写駒4の転写面4a及び転写駒5の転写面5aに樹脂圧力を発生させて、樹脂10を転写面4a、5aに密着させた後、樹脂10を軟化温度未満にまで冷却する。
【0072】
このとき、キャビティ駒7を樹脂10から離隔する方向に摺動させ、樹脂10とキャビティ駒7の間に強制的に空隙11を形成させた後、空隙11内に通気孔9を介して圧縮気体を流入して、樹脂10を押圧し、樹脂10が軟化温度未満にまで冷却されると、金型2と金型3の双方あるいは一方を移動させて型開きして、成形品12を取り出す。
【0073】
ところが、通気孔9から空隙11に導入された気体が転写面4a、5aに回り込んで、形状精度に悪影響を及ぼすことがあるが、本実施の形態の射出成形用金型40は、金型2の転写駒4及び金型3の転写駒5のキャビティ8側の面であって、キャビティ駒7に隣接する部分に、段差41及び段差42が形成されているため、この段差41、42に侵入した樹脂10により、通気孔9から空隙11に導入された気体が転写面4a、5aに回り込むことが阻止される。その結果、形状精度を向上させることができる。
【0074】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0075】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の射出成形方法によれば、少なくとも1つ以上の転写面と、当該転写面以外の面に摺動自在に設けられた少なくとも1つ以上のキャビティ駒と、により少なくとも1つ以上のキャビティの画成された一対の金型を用いて樹脂に転写面を転写するに際して、金型を樹脂の軟化温度未満に加熱した後、キャビティ内に軟化温度以上に加熱された溶融樹脂を射出充填して、キャビティ内に発生する樹脂圧力により樹脂に転写面を転写させた後、樹脂を軟化温度未満に冷却する際、キャビティ駒のうち転写面を除く少なくとも1つ以上のキャビティ駒を樹脂から離隔する方向に摺動させて、樹脂とキャビティ駒との間に強制的に空隙を形成し、当該空隙内に所定の圧縮気体を流入し、当該空隙内の圧力を所定の圧縮圧力に上昇させて、樹脂を当該圧縮圧力で押圧するので、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケを形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度を確保し、冷却時間(成形時間)を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0076】
請求項2記載の発明の射出成形方法によれば、空隙内の圧力を、樹脂から離隔する方向に摺動されたキャビティ駒を樹脂に接近する方向に摺動させて、圧縮圧力に上昇させることにより、簡単、かつ、安価に空隙内の圧力を圧縮圧力に上昇させて、キャビティ駒で形成される成形面にヒケを確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0077】
請求項3記載の発明の射出成形方法によれば、空隙内の圧力を、キャビティ駒が樹脂から離隔する方向と樹脂に接近する方向に少なくとも1回以上往復摺動させて、圧縮圧力に上昇させることにより、キャビティ駒で形成される成形面にヒケが形成されるまで、空隙内の気体の圧縮圧力を簡単、かつ、安価に保持し、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより一層確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0078】
請求項4記載の発明の射出成形方法によれば、樹脂とキャビティ駒との間の空隙に加える圧縮圧力を、0.1MPa以上2MPa以下の範囲とすることにより、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0079】
請求項5記載の発明の射出成形用金型によれば、空隙内の圧力を、空隙内に所定の圧縮気体を流入させて、圧縮圧力に上昇させることにより、安価に、かつ、適切に空隙内の圧力を圧縮圧力に上昇させて、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0080】
請求項6記載の発明の射出成形用金型によれば、射出成形用金型に、キャビティ駒と当該キャビティ駒の摺動面との間に少なくとも1つ以上の通気孔を、キャビティ駒が樹脂から離隔する方向に摺動されたとき、樹脂とキャビティ駒との間の空隙に連通可能な位置に形成し、該通気孔を、金型外部に配設され所定の圧縮気体を供給する気体圧縮手段に連通することにより、通気孔を通じて圧縮気体を気体圧縮手段から空隙内に導入して、樹脂を押圧し、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケをより一層適切に形成することができる。
【0081】
請求項7記載の発明の射出成形用金型によれば、空隙内の圧力を、樹脂から離隔する方向に摺動されたキャビティ駒を樹脂に接近する方向に摺動させて、圧縮圧力に上昇させることにより、簡単、かつ、安価に空隙内の圧力を圧縮圧力に上昇させて、キャビティ駒で形成される成形面にヒケを確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0082】
請求項8記載の発明の射出成形用金型によれば、空隙内の圧力を、キャビティ駒が樹脂から離隔する方向と樹脂に接近する方向に少なくとも1回以上往復摺動させて、圧縮圧力に上昇させることにより、キャビティ駒で形成される成形面にヒケが形成されるまで、空隙内の気体の圧縮圧力を簡単、かつ、安価に保持し、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより一層確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0083】
請求項9記載の発明の射出成形用金型によれば、加圧制御手段として、油圧シリンダあるいは電導モータからなる駆動手段を用い、キャビティ駒を駆動手段で摺動させることにより、キャビティ内に溶融樹脂を射出充填したときに発生する樹脂圧力によって、キャビティ駒が移動しないように安価に固定し、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって樹脂に転写面を確実に転写して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に、かつ、安価に確保することができるとともに、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0084】
請求項10記載の発明の射出成形用金型によれば、樹脂とキャビティ駒との間の空隙に加える圧縮圧力を、0.1MPa以上2MPa以下の範囲とすることにより、キャビティ駒で形成される成形面にヒケをより確実に、かつ、選択的に形成させ、成形品に発生する残留歪が性能に影響を与えない範囲で低圧成形して、厚肉、あるいは、偏肉の成形品であっても、より低歪で、かつ、金型温度が樹脂の軟化温度未満の設定であっても、成形品に所望の形状精度をより一層適切に確保し、冷却時間を短縮して、製造コストを安価なものとすることができる。
【0085】
請求項1記載の発明の射出成形用金型によれば、キャビティ駒の成形面を、樹脂との密着力の低い材質により表面処理することにより、キャビティ駒と樹脂が離れることを促進させて、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケをより一層適切に形成することができる。
【0086】
請求項12記載の発明の射出成形用金型によれば、キャビティ駒の成形面と摺動面を、樹脂との密着力が低く、かつ、耐摩耗性の高い同一の材質で表面処理することにより、キャビティ駒と樹脂が離れることを促進させることができ、キャビティ駒で形成される成形面に選択的にヒケをより一層適切に形成するとともに、摺動面の耐久性を向上させて、射出成形用金型ぼ寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第1の実施の形態を適用した射出成形用金型の正面断面図である。
【図2】 図1の射出成形用金型のキャビティに樹脂を充填しキャビティ駒を樹脂から離隔する方向に摺動させて空隙を形成した状態の正面断面図である。
【図3】 図2の射出成形用金型の空隙に圧縮気体を導入して樹脂の空隙側の面にヒケを発生させた状態の正面断面図である。
【図4】 図3の射出成形用金型を開いて成形品を取り出している状態の正面断面図である。
【図5】 本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第2の実施の形態を適用した射出成形用金型の正面断面図である。
【図6】 図5の射出成形用金型のキャビティに樹脂を充填しキャビティ駒を樹脂から離隔する方向に摺動させて空隙を形成した状態の正面断面図である。
【図7】 図6の射出成形用金型の空隙に圧縮気体を導入して樹脂の空隙側の面にヒケを発生させた状態の正面断面図である。
【図8】 本発明の射出成形方法及び射出成形用金型の第3の実施の形態を適用した射出成形用金型の空隙に圧縮気体を導入して樹脂の空隙側の面にヒケを発生させた状態の正面断面図である。
【符号の説明】
1;射出成形用金型、2,3;金型、4,5;転写駒、4a,5a;転写面、
6;摺動溝、7;キャビティ駒、8;キャビティ、9;通気孔、10;樹脂、
10a;ヒケ、11; 空隙、12;成形品、12a;ヒケ、
30;射出成形用金型、31;加圧制御装置、31a;連結棒、
40;射出成形用金型、41,42;段差。

Claims (12)

  1. 少なくとも1つ以上の転写面と、当該転写面以外の面に摺動自在に設けられた少なくとも1つ以上のキャビティ駒と、により少なくとも1つ以上のキャビティの画成された一対の金型を用いて樹脂に前記転写面を転写する射出成形方法であって、前記金型を前記樹脂の軟化温度未満に加熱した後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂を射出充填して、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂を前記転写面に密着させて前記樹脂に前記転写面を転写させた後、前記樹脂を前記軟化温度未満に冷却するに際して、前記キャビティ駒のうち転写面を除く少なくとも1つ以上の前記キャビティ駒を前記樹脂から離隔する方向に摺動させて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙を形成し、当該空隙内に所定の圧縮気体を流入し、当該空隙内の圧力を所定の圧縮圧力に上昇させて、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする射出形成方法。
  2. 少なくとも1つ以上の転写面と、当該転写面以外の面に摺動自在に設けられた少なくとも1つ以上のキャビティ駒と、により少なくとも1つ以上のキャビティの画成された一対の金型を用いて樹脂に前記転写面を転写する射出成形方法であって、前記金型を前記樹脂の軟化温度未満に加熱した後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂を射出充填して、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂を前記転写面に密着させて前記樹脂に前記転写面を転写させた後、前記樹脂を前記軟化温度未満に冷却するに際して、前記キャビティ駒のうち転写面を除く少なくとも1つ以上の前記キャビティ駒を前記樹脂から離隔する方向に摺動させて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙を形成し、前記樹脂から離隔する方向に摺動された前記キャビティ駒を前記樹脂に接近する方向に摺動させて、当該空隙内の圧力を所定の圧縮圧力に上昇させて、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする射出形成方法。
  3. 前記空隙内の圧力は、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向と前記樹脂に接近する方向に少なくとも1回以上往復摺動されることにより、前記圧縮圧力に上昇させることを特徴とする請求項2記載の射出成形方法。
  4. 前記所定の圧縮圧力は、0.1MPa以上2MPa以下の範囲であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の射出成形方法。
  5. 複数の壁面を成形面として所定容積のキャビティが画成されるとともに、当該成形面に少なくとも1つ以上の転写面が形成され、樹脂の軟化温度未満に加熱された後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂が射出充填されると、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂に前記転写面を転写する射出成形用金型であって、前記転写面を除く少なくとも1つ以上の前記成形面の前記壁面の全部または一部が、摺動自在なキャビティ駒で形成され、前記樹脂圧力が所定圧力になると、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向に摺動されて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙が形成され、当該空隙内に所定の圧縮気体を流入されて当該空隙内の圧力が所定の圧縮圧力に上昇され、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする射出成形用金型。
  6. 前記空隙を形成するキャビティ駒と当該キャビティ駒の摺動面との間に少なくとも1つ以上の通気孔が形成され、当該通気孔は、金型外部に配設され所定の圧縮気体を供給する気体圧縮手段に連通されていることを特徴とする請求項5記載の射出成形用金型。
  7. 複数の壁面を成形面として所定容積のキャビティが画成されるとともに、当該成形面に少なくとも1つ以上の転写面が形成され、樹脂の軟化温度未満に加熱された後、前記キャビティ内に軟化温度以上に加熱された前記溶融樹脂が射出充填されると、前記キャビティ内に発生する樹脂圧力により前記樹脂に前記転写面を転写する射出成形用金型であって、前記転写面を除く少なくとも1つ以上の前記成形面の前記壁面の全部または一部が、摺動自在なキャビティ駒で形成され、前記樹脂圧力が所定圧力になると、前 記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向に摺動されて、前記樹脂と前記キャビティ駒との間に強制的に空隙が形成され、前記樹脂から離隔する方向に摺動された前記キャビティ駒を前記樹脂に接近する方向に摺動させて、当該空隙内の圧力が所定の圧縮圧力に上昇され、前記樹脂を当該圧縮圧力で押圧することを特徴とする射出成形用金型。
  8. 前記空隙内の圧力は、前記キャビティ駒が前記樹脂から離隔する方向と前記樹脂に接近する方向に少なくとも1回以上往復摺動されることにより、前記圧縮圧力に上昇させることを特徴とする請求項7記載の射出成形用金型。
  9. 前記キャビティ駒は、油圧シリンダあるいは電導モータからなる駆動手段により摺動されることを特徴とする請求項7又は8記載の射出成形用金型
  10. 前記所定の圧縮圧力は、0.1MPa以上2MPa以下の範囲であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の射出成形用金型。
  11. 前記キャビティ駒の前記成形面は、前記樹脂との密着力の低い材質により表面処理されていることを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の射出成形用金型。
  12. 前記キャビティ駒の前記成形面と摺動面は、前記樹脂との密着力が低く、かつ、耐摩耗性の高い同一の材質で表面処理されていることを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の射出成形用金型。
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