JP4053697B2 - 成形用金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度なプラスチック成形品(特にレンズ、ミラー等の光学素子)を得るための成形用金型に関し、更に詳しくは、レーザビームプリンタ、ファクシミリ等の光学走査系、ビデオカメラの光学機器、光ディスク等に適用されるプラスチック成形品の成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ方式のデジタル複写機、プリンタ、またはファクシミリ装置の光書き込みユニットには、レーザビームの結像、および各種補正機能を有する矩形型レンズ、あるいはミラー等の光学素子が用いられている。
【0003】
近年、これらの光学素子は、製品のコストダウンの要求でガラスからプラスチック製へと変化し、また複数の機能を最小限の素子でまかなうため、その転写面形状も球面のみならず、複雑な非球面形状を有するようになってきている。さらに、レンズの場合には、そのレンズ形状は肉厚が厚く、また長手方向でレンズ厚が一定でない偏肉形状である場合が多くなってきている。
【0004】
また、その製造方法としては製造コストが低く、大量生産に適した射出成形法、あるいは転写面を形成する入子を金型内に摺動可能に配置し、金型内に充填された溶融樹脂の冷却に伴う体積収縮に対して上記可動入子を前進させることで圧力を補って形状精度を確保する成形方法、いわゆる射出圧縮成形法を用いるのが一般的となっている。
【0005】
プラスチック製の光学素子をこうした射出成形法、あるいは射出圧縮成形法で製造する際には、加熱溶融した樹脂材料を金型内に射出充填し、冷却固化させる工程において、金型内の樹脂圧力や樹脂温度を均一にすることが、所望の形状精度を確保するために望ましいことである。
【0006】
しかし、レンズが偏肉形状の場合にはレンズ厚の偏差によって、充填された樹脂の冷却速度が長手方向の各部で異なり、体積収縮量に差が生じるため、形状精度が悪化したり、レンズ厚の厚い部分では「ひけ」が発生したりする不具合があった。また、厚肉レンズの場合には、樹脂の冷却過程での体積収縮量が多いためひけが発生しやすく、ひけ発生を防止するべく射出圧力を高くすると(樹脂の充填量を多くすると)、成形品の内部歪みが大きくなり、レンズの光学性能に悪影響を及ぼすことがあった。
【0007】
また、射出圧縮成形法を採用し、樹脂の冷却に伴う体積収縮に対して可動入子を前進させることにより圧力を補って形状精度を確保しようとしても、レンズ厚の偏差が大きい場合には、可動入子が樹脂の体積収縮に追従できず、均等な圧力をかけることができないため、レンズ側の転写面の一部にひけが発生し、形状精度が確保できないという問題があった。
【0008】
このような問題は、以下の方法すなわち、金型温度を樹脂のガラス転移点温度(Tg点)以上に高くし、充填された樹脂の冷却速度が充填樹脂の長手方向の各部においてできるだけ均一になるように、Tg点以下の温度になるまで徐冷する方法によって解消することできる。しかしながら、この方法では冷却時間、したがって成形時間が長くなるため、成形品のコストアップを招いてしまう。
【0009】
このような従来技術に鑑みて、特開平11−28745号公報(発明の名称:プラスチック成形品の成形方法およびプラスチック成形品の成形用金型)には、厚肉、あるいは偏肉形状の場合であっても、射出成形品または射出圧縮成形品と同程度の生産コストで高精度なプラスチック部品を製造することができる技術が提案されている。上記公報に開示された成形方法は、溶融樹脂を金型内に射出充填した後、樹脂の軟化温度未満まで冷却する間に、金型内の非転写面に設けてある摺動可能なキャビティ駒を樹脂から離隔する方向に移動させることにより、キャビティ駒と樹脂との間に強制的に空隙を画成することを骨子としている。
【0010】
この成形方法によれば、上記空隙に接している(対向している)樹脂部分では、金型壁面との密着力が働かないため樹脂が移動しやすくなり、この部分に優先的にひけ(凹形状、凸形状のどちらか少なくとも一方)を発生させることができる。その結果、転写面におけるひけの発生が防止され、高い形状精度の成形品を得ることができる。また、低圧で成形することにより、内部歪みも非常に小さい成形品を得ることが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記成形方法を実施するための成形用金型には、以下の不具合があった。すなわち図5に示す金型において101,102は転写面101a,102aを有するキャビティ駒、103,104は転写面が形成されていないキャビティ駒であり、これらのキャビティ駒101〜104によってキャビティ105が形成されている。キャビティ駒101は一方の金型(上型)201に固定して設けられ、キャビティ102,104は他方の金型(下型)202に固定されている。そして、キャビティ駒(摺動駒)103は金型201および202に対し摺動可能となっている。
【0012】
図5において符号103aはキャビティ駒103の前端面であり、これは上記のように非転写面となっている。符号110はキャビティ駒103を摺動させるための圧力発生機構であり、符号105aはキャビティ105に射出充填された溶融樹脂、符号110aは圧力発生機構110の軸体(駆動軸)である。
【0013】
上記成形用金型による成形に際しては、キャビティ駒103を駆動軸110aに連結し、キャビティ105内に溶融樹脂を射出充填する際に発生する最大樹脂圧力以上の圧力をキャビティ駒103に付与し(図5の矢印Kの向き)、移動しないように固定して所定容積のキャビティ形状を保持する。ところが、圧力発生機構110としては、成形品が大物でキャビティ駒103が大きいほど、溶融樹脂を射出充填する際に発生する最大樹脂圧力以上の高圧を発生させることができるものでなければならない。
【0014】
しかしながら、圧力発生機構110を例えば油圧シリンダで構成する場合には、大型の油圧シリンダを金型に組み込む必要があるため、金型全体が非常に大がかりなものとなるだけでなく、油圧装置も大型化してしまう不具合がある。
【0015】
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、溶融樹脂を金型内に射出充填した後、樹脂の軟化温度未満まで冷却する間に、非転写面が形成された摺動可能なキャビティ駒をキャビティ内樹脂から離隔する方向に移動させ、上記摺動駒と樹脂との間に強制的に空隙を形成する成形用金型構造を改良し、その簡素化およびコンパクト化を実現することにある。
すなわち本発明の目的は、溶融樹脂をキャビティ内に射出充填する工程において、摺動駒に押圧力を付与して所定形状・容積のキャビティ形状を保持するために必要な上記押圧力の発生装置を極力小型化することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の成形用金型は一対の金型の型締めと、摺動可能に設けたキャビティ駒(摺動駒)の前進とにより、複数の壁面からなるキャビティを形成し、前記壁面の少なくとも一つをキャビティ内樹脂に対する転写面とするとともに、他の壁面を非転写面とした成形用金型において、前記摺動駒を前進させる加圧装置と、摺動駒を前記キャビティから適宜距離分だけ後退させる摺動装置とを設け、前記加圧装置には、前進により摺動駒を加圧(押圧)前進させる加圧部材と、該加圧部材を前進・後退させる駆動源とを設け、摺動駒の後端部に該摺動駒の摺動方向と平行な方向に連結された、前記加圧部材と当接する軸体を設け、該軸体の加圧部材との当接部に平滑な斜面を形成するとともに、加圧部材の軸体との当接部に平滑な斜面を形成してこれらの斜面を互いに当接させ、加圧部材を摺動駒の摺動方向と交差する方向に前進させ、加圧部材の斜面を前記軸体の斜面に摺動させながら該斜面を押圧することにより摺動駒を前進させて、その先端面により前記非転写面の少なくとも一部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の成形用金型は、請求項1において加圧部材が、摺動駒の摺動方向と直交する方向に前進することを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の成形用金型は、請求項1または2において加圧装置が、油圧シリンダまたは電動モータを備えていることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の成形用金型は、請求項1乃至3のいずれか1において前記摺動装置を前記加圧装置と、常時摺動駒に後退方向の弾撥力を及ぼす弾性部材とにより構成し、前記駆動源により加圧部材の斜面を摺動駒の斜面に摺動させながら該加圧部材を後退させ、弾性部材の弾撥力により摺動駒をキャビティから後退させるようにしたことを特徴とする。
請求項5に記載の成形用金型は、請求項1乃至4のいずれか1において、前記加圧部材の軸体との当接部に形成された平滑な斜面が、該加圧部材の前記摺動駒の摺動方向と垂直な方向の上方外周面の一部を平滑にして形成された平面状の傾斜面であり、該傾斜面の鉛直面に対する傾斜角αが5°以上であることを特徴とする。この場合、前記軸体のこの加圧部材との当接部の傾斜面は、上記と同一傾斜角の平滑傾斜面として形成されることは明らかである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
第1の実施の形態(請求項2に対応)
図1は成形用金型の構造を示す断面図であって、樹脂射出充填時の状態を示すものである。図2はこの成形用金型におけるキャビティ駒離隔時の状態を示す断面図である。まずこの金型の構成について説明する。
【0023】
キャビティ駒11を固定配備した上型12と、キャビティ駒13を固定配備した下型14とを所定間隔をあけて対向させ、この対向間隙の片側(図1において右側)にキャビティ駒15を固定して設けるとともに、反対側にキャビティ駒16を上型12および下型14に対し摺動可能に設ける。以下、上記固定されたキャビティ駒を固定駒、摺動可能なキャビティ駒を摺動駒という。
【0024】
上記固定駒11,13のそれぞれの前端面は転写面11a,13a(キャビティ内の樹脂に所定の転写を行うための面)とし、固定駒15の前端面は非転写面15aとする。また、上記摺動駒16は、前端面を非転写面17aとする本体17と、その後端部に水平方向に連結した金属材料などの硬質材料からなる軸体18とにより構成するとともに、上記本体17の上型12および下型14と当接する部分には、凹部17b,17cを形成し、これらの凹部に弾性部材としての皿ばね19を圧縮状態で挿入し、その後端部を上記凹部の底面に固着することにより、皿ばね19の弾撥力を上型12および下型14それぞれの後端部に作用させる。以上のように、固定駒11,13,15および摺動駒本体17の各前端面により成形用の区画室すなわちキャビティ20を形成する。
【0025】
上記摺動駒16の斜め下方に、この摺動駒を(上型12および下型14に対して)摺動前進させるための加圧装置31および、サポート部材41を配置する。上記加圧装置31は圧力発生機構32と、これにより鉛直方向に上下動する金属材料などの硬質材料からなる軸体状の加圧部材33とで構成する。上記軸体18の後端部に平滑な平面状の傾斜面を形成するとともに、加圧部材33の上方外周面の一部を平滑な平面状の傾斜面とし、これらの傾斜面の鉛直面に対する傾斜角αを等しくし、加圧部材33の上下動によりこの加圧部材33の傾斜面が軸体18の傾斜面に対し摺動するように、これらの傾斜面同士を密着させる。上記サポート部材41は、軸体18の外周面の一部および、加圧部材33の外周面の一部に接触してこれらを保持するとともに、これらの移動を摺動案内できるように構成する。なお、サポート部材41は、この成形用金型内に設けることができるが、この金型外に配備してもよい。
【0026】
上記軸体18の構造としては、例えば、四角筒状材料の先端部を斜めに切断するとともに、片面を平滑な平面状に仕上げた板体を用意し、この板体を上記切断面に、この板体の反対面を介して固着したものが採用できる。他の構造として、四角柱状材料の先端部を斜めに切断した後、この切断面を平滑な平面状に仕上げたものでもよい。また、上記加圧部材33の材料として、四角柱状材料を用いることができる。
【0027】
このように本実施の形態ではサポート部材41と、圧力発生機構32と、加圧部材33と、軸体18とにより、(上記キャビティ20形成用の)摺動駒本体17を摺動前進させるための加圧装置31が構成される。また、サポート部材41と、圧力発生機構32と、加圧部材33と、軸体18と、皿ばね19とにより、摺動駒本体17をキャビティ20内の樹脂20aから離隔する方向に摺動後退させる(図2)ための摺動装置が構成される。
【0028】
つぎに、上記成形用金型によるプラスチックの射出成形方法について説明する。型閉じ工程につづく型締め工程では、加圧装置31により摺動駒本体17を皿ばね19の弾撥力に抗して前進させることによってキャビティ20を形成する。そのためには、圧力発生機構32により加圧部材33を上昇(図1の矢印Aの向き)させればよい。この場合、加圧部材33の傾斜面が軸体18が傾斜面に対し摺動することにより、加圧部材33がこれらの傾斜面を介して軸体18を、したがって摺動駒本体17を水平方向に押圧する結果、摺動駒本体17が前進(図2の矢印Bの向き)する。また、この場合、加圧部材33の側面および軸体18の上面がサポート部材41に対し摺動する。
【0029】
ついで、金型全体を樹脂のガラス転移点温度(軟化温度)未満の適宜温度に保持し、この状態で、図1に示すようにキャビティ20内に溶融樹脂20aを射出充填する。この射出充填操作では、加圧部材33による軸体18の押圧を継続することで、キャビティ20を所定の形状・容積に維持する。キャビティ20内の樹脂圧力が所定圧になった時点で、圧力発生機構32により加圧部材33を下降(図2の矢印Cの向き)させて、加圧部材33による軸体18の押圧を解除する。この金型では皿ばね19が常時摺動駒本体17に、これがキャビティ20内樹脂から後退する方向の弾撥力を及ぼしているため、上記押圧解除により摺動駒本体17が、図2の矢印Dの向きにキャビティ内樹脂から離隔し、これらの間に所定寸法の空隙20bが形成される。この場合においても、加圧部材33の傾斜面が軸体18の傾斜面に対し摺動するのと並行して、加圧部材33の側面および軸体18の上面がサポート部材41に対し摺動する。
上記空隙20bを形成した状態で、キャビティ内樹脂をその軟化温度未満の適宜温度に冷却し、ついで型開きして成形品を取り出す。
【0030】
図2の状態の金型において、上記空隙20bと対向する樹脂部分には、他の部分の樹脂と違ってキャビティ20の成形面との間の密着力が働かないため、樹脂の冷却が進むにつれて、この空隙対向樹脂部分が転写面11a,13aに接触している樹脂部分によりも優先的に収縮変形するので、この空隙対向樹脂部分にひけ(凹形状もしくは凸形状、またはその両方の場合がある)が発生し、その代わりに、転写面と接触する樹脂部分におけるひけが抑制され、その結果、所望する転写面を忠実に転写することができ、転写精度が非常に高い成形品を短い成形サイクルで得ることが可能となる。
【0031】
つぎの成形サイクルでは図2の形態の金型(ただし、樹脂は射出充填されていない)に型閉じした後、加圧装置31により摺動駒本体17を前進させることによって図1の形態の金型(ただし、樹脂は射出充填されていない)に型締めする。ついで、上記成形操作を繰り返す。
【0032】
図5に示す従来の成形用金型では、摺動駒103を圧力発生機構110の駆動軸110aに直接連結した構造としたため、樹脂射出充填時において所定形状・容積のキャビティ105を形成するために摺動駒103を所定位置に固定するには、駆動軸110aに相当大きな押圧力が必要であり、そのため圧力発生機構110が大型化する結果となっていた。
これに対し、本実施の形態に係る成形用金型では、加圧部材33と軸体18とを互いに交差して設け、加圧部材33を上昇させてその傾斜面により軸体18の傾斜面を押圧して摺動駒を水平方向に前進させるようにしたので、加圧部材33の上昇駆動力を、上記駆動軸110aによる押圧力に比べてはるかに小さくすることができる。このことを明らかにした実験例をつぎに示す。
【0033】
実験例1
図1の成形用金型において加圧部材33の上昇駆動力を2ton(一定)とした場合の上記傾斜角αと、軸体18による摺動駒本体17の前進駆動力Q(ton)との関係を調べた。結果を下記[表1]に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004053697
【0035】
[表1]から、αが小さいほどQが大きくなることが分かる。なお、αが小さすぎると、加圧部材33の上昇・下降時にこの加圧部材33と軸体18との間で「かじり」が発生しやすくなるため、αは5°以上にすることが好ましい。また、加圧部材33の上昇方向と軸体18の前進方向とのなす角(交差角)は90°とすることが最も好ましく、こうすることにより、摺動駒本体17の前進に必要な駆動力を最も効率良く発生させることができる。
【0036】
第2の実施の形
図3は成形用金型の構造を示す断面図であって型締め、キャビティ形成、樹脂射出充填の各工程が終了した時の状態を示すものである。この金型は、図面左側の固定型51と、図面右側の可動型52とで構成する。固定型51には所定形状・寸法の凹部51aを形成し、この凹部51aに油圧シリンダ61と、キャビティ駒(摺動駒)71とを挿入配備し、この油圧シリンダ61のピストンロッド62および、摺動駒71を凹部51aの内周面に対し摺動可能とする。この場合、ピストンロッド62は凹部51aに対し上下方向に摺動可能とし、摺動駒71は図3の矢印Gの方向に、すなわちピストンロッド62の摺動方向と直交する方向に摺動できるようにする。油圧シリンダ61は油圧発生源63に連絡する。
【0037】
上記ピストンロッド62の上部外周面の一部を平滑な平面状の傾斜面とし、摺動駒71の後端部に平滑な平面状の傾斜面を形成するとともに、これらの傾斜面では鉛直面に対する傾斜角を等しくし、ピストンロッド62の上下動により該ピストンの上記傾斜面が摺動駒71の上記傾斜面に対し摺動するように、これらの傾斜面同士を密着させる。キャビティ81はこの金型の型締めにより固定型51側に形成されるが、この固定型51のキャビティ71に臨む部分にリング状部51bを、摺動駒71の外周部に段部をそれぞれ形成し、これらリング状部51bと上記段部との間に皿バネ72を圧縮状態で挿入する。図3において符号82はスプルー、符号83はランナ、符号84はエジェクタピンである。
【0038】
つぎに、上記成形用金型によるプラスチックの射出成形方法について説明すると、型閉じ工程につづく型締め工程では、可動型52を矢印Eの向きに前進させて固定型51と突き合わせた後、油圧発生源63の作動により油圧シリンダ61のピストンロッド62を図3の矢印Fの向きに上昇させ、摺動駒71を皿ばね72の弾撥力に抗して前進させることによってキャビティ81を形成する。
【0039】
ついで、第1の実施の形態と同様にして図3に示すようにキャビティ81内に溶融樹脂81aを射出充填する。キャビティ内樹脂の圧力が所定圧になった時点で、油圧発生源63の作動によりピストンロッド62を下降(後退)させ、ピストンロッド62による摺動駒71の押圧を解除する。この金型では皿ばね72が常時摺動駒71に、これがキャビティ内樹脂から後退する方向の弾撥力を及ぼしているため、上記押圧解除により摺動駒71がキャビティ内樹脂から離隔し、これらの間に所定寸法の空隙が形成される。この場合においても、ピストンロッド62の傾斜面が摺動駒71の傾斜面に対し摺動するのと並行して、ピストンロッド62の外周面(上記傾斜面を除く)および摺動駒71の外周面が固定型51に形成した上記凹部51aの内周面に対し摺動する。上記空隙を形成した状態で、キャビティ内樹脂をその軟化温度未満の適宜温度に冷却し、ついで型開きして成形品を取り出す。
【0040】
以上の説明で明らかなように、本実施の形態に係る金型では、摺動駒71の摺動方向が金型の型締め方向と一致し、ピストンロッド62の前進・後退方向が摺動駒71の摺動方向と直交している。このため、ピストンロッド62による摺動駒71の前進駆動力を最も効率良く発生させることができ、油圧シリンダ61によるピストンロッド62の前進駆動力が小さくてすむようになる。したがって、油圧シリンダ61を小型化して金型内に組み込むことが可能となり、金型の簡素化およびコンパクト化を実現することができる。
【0041】
第3の実施の形
図4は成形用金型の構造を示す断面図であって型締め、キャビティ形成、樹脂射出充填の各工程が終了した時の状態を示すものである。この金型では、摺動駒71の摺動方向(図4の矢印J)が金型の型締め方向(図4の矢印H)と直交し、ピストンロッド62の前進・後退方向が摺動駒71の摺動方向と直交(金型の型締め方向と一致)している。その他の構成は図3の金型と同様であり、図4において符号Iはピストンロッド62の前進方向を示している。このため、本実施の形態の金型によれば、図3の金型と同様の効果が得られる。
【0042】
なお、本発明では上記皿ばねに代えて、板ばねやコイルスプリングを用いることができるし、上記油圧シリンダの代わりに電動モータを採用することもできる。また、摺動駒の摺動方向と、上記加圧部材33などの摺動駒前進用部材の運動方向とは、必ずしも直交している必要はなく、成形品形状や金型構造上の制約等を考慮して適宜に設定すればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の効果が得られる。
(1)請求項1に係る成形用金型
従来の金型が摺動駒を加圧部材と一体的に前進させる構造となっていたのに対し、本発明の金型では、摺動駒を前進させるための加圧部材を摺動駒の摺動方向と交差する方向に前進させることにより摺動駒を押圧し、これを金型内で前進摺動させて所定形状・容積のキャビティを形成するように構成したので、キャビティ内へ樹脂を射出充填する際に加圧部材が必要とする押圧力(加圧部材自体の前進に必要な力)が、従来の金型において摺動駒の押圧に必要な力に比べ小さくてすむようになる。このため、加圧部材を動作させるための加圧装置の小型化、したがって、この成形用金型の簡素化およびコンパクト化が実現できる。
【0044】
(2)請求項2に係る成形用金型
摺動駒を押圧するための加圧部材を、摺動駒の摺動方向と直交する方向に前進させることにより、摺動駒を金型内で前進摺動させて所定形状・容積のキャビティを形成するように構成したので、キャビティ内へ樹脂を射出充填する際に加圧部材が必要とする押圧力を最も小さくすることができる。したがって、成形用金型について最大限の簡素化およびコンパクト化が可能となる。
【0047】
(3)請求項3に係る成形用金型摺動駒押圧用の加圧部材を、汎用装置である油圧シリンダまたは電動モータで作動させるようにしたので、成形用金型を安価に提供することができる。
【0048】
(4)請求項4に係る成形用金型摺動駒をキャビティ内樹脂から後退摺動させて所定の空隙を形成するための摺動装置を、汎用部品である皿ばね、板ばね、コイルスプリング等の弾性部材を用いて構成し、この弾性部材の弾撥力を摺動駒に作用させるようにしたので、金型構造が簡単になり、成形用金型を安価に提供することができる。
【0049】
そして、請求項1〜4のいずれかに係る成形用金型を用いる成形方法によれば、所望する転写面をキャビティ内樹脂に忠実に転写することができ、転写精度が非常に高い成形品を短い成形サイクルで得ることが可能となる。また、上記成形用金型は安価に提供できるので、高精度なプラスチック成形品であるレンズ、ミラー等の光学素子を比較例安価に製造することができる。
また、請求項5に係る成形用金型によれば、請求項1〜4のいずれかに係る成形用金型による上記効果に加えて、加圧部材の作動時にこの加圧部材・軸体間の「かじり」が防止されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る成形用金型の構造を示す断面図であって、樹脂射出充填時の状態を示すものである。
【図2】図1の成形用金型において摺動駒をキャビティ内樹脂から離隔した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る成形用金型の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る成形用金型の構造を示す断面図である。
【図5】従来の成形用金型の構造を示す断面図であって、樹脂射出充填時の状態を示すものである。
【符号の説明】
11,13,15 キャビティ駒(固定駒)
11a,13a 転写面
12 上型
14 下型
15a,17a 非転写面
16 キャビティ駒(摺動駒)
17 摺動駒本体
17b,17c 凹部
18 軸体
19 皿ばね
20 キャビティ
20a 溶融樹脂
20b 空隙
31 加圧装置
32 圧力発生機構
33 加圧部材
41 サポート部材
51 固定型
51a 凹部
51b リング状部
52 可動型
61 油圧シリンダ
62 ピストンロッド
63 油圧発生源
71 摺動駒
72 皿バネ
81 キャビティ
81a 溶融樹脂
82 スプルー
83 ランナ
84 エジェクタピン
101〜104 キャビティ駒
101a,102a 転写面
103a 前端面
105 キャビティ
105a 溶融樹脂
110 圧力発生機構
110a 駆動軸
201 金型(上型)
202 金型(下型)
α 傾斜角

Claims (5)

  1. 一対の金型の型締めと、摺動可能に設けたキャビティ駒(摺動駒)の前進とにより、複数の壁面からなるキャビティを形成し、前記壁面の少なくとも一つをキャビティ内樹脂に対する転写面とするとともに、他の壁面を非転写面とした成形用金型において、前記摺動駒を前進させる加圧装置と、摺動駒を前記キャビティから適宜距離分だけ後退させる摺動装置とを設け、前記加圧装置には、前進により摺動駒を加圧前進させる加圧部材と、該加圧部材を前進・後退させる駆動源とを設け、摺動駒の後端部に該摺動駒の摺動方向と平行な方向に連結された、前記加圧部材と当接する軸体を設け、該軸体の加圧部材との当接部に平滑な斜面を形成するとともに、加圧部材の軸体との当接部に平滑な斜面を形成してこれらの斜面を互いに当接させ、加圧部材を摺動駒の摺動方向と交差する方向に前進させ、加圧部材の斜面を前記軸体の斜面に摺動させながら該斜面を押圧することにより摺動駒を前進させて、その先端面により前記非転写面の少なくとも一部を形成するようにしたことを特徴とする成形用金型。
  2. 前記加圧部材が、摺動駒の摺動方向と直交する方向に前進することを特徴とする請求項1記載の成形用金型。
  3. 前記加圧装置が、油圧シリンダまたは電動モータを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の成形用金型。
  4. 前記摺動装置を前記加圧装置と、常時摺動駒に後退方向の弾撥力を及ぼす弾性部材とにより構成し、前記駆動源により加圧部材の斜面を摺動駒の斜面に摺動させながら該加圧部材を後退させ、弾性部材の弾撥力により摺動駒をキャビティから後退させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の成形用金型。
  5. 前記加圧部材の軸体との当接部に形成された平滑な斜面が、該加圧部材の前記摺動駒の摺動方向と垂直な方向の上方外周面の一部を平滑にして形成された平面状の傾斜面であり、該傾斜面の鉛直面に対する傾斜角αが5°以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の成形用金型。
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