JP2821093B2 - プラスチック成形品の製造方法およびその成形金型 - Google Patents

プラスチック成形品の製造方法およびその成形金型

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック成形品の
製造方法およびその成形金型に関し、特に高精度な鏡面
や微細な凹凸のパターン等を有する、例えば光学素子、
光ディスク等を成形するものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、成形金型を用いそのキャビテ
ィ内の樹脂をその軟化温度以上に加熱保持して高精度な
プラスチック成形品を成形する製造方法が知られてお
り、単に溶融樹脂を射出充填する射出成形に較べて成形
時の圧力が数分の一と小さくて済むので、金型のキャビ
ティ間隔を短くして多数個取りにすることができ、熱効
率に関しても有利となる利点がある。
【0003】この種のプラスチック成形品の製造方法
は、溶融成形および表面溶融成形に大きく分けられる。
溶融成形としては、例えば、特開平4−163119号
公報に記載されており、この製造方法(以降、第1従来
例という)は、樹脂を熱変形温度以下の温度に保持され
た金型のキャビティ内に射出充填し、キャビティ内の樹
脂の温度が軟化温度以上になるように加熱・保持してい
る。
【0004】また、特公平3−33494号公報には、
ガラス転移温度付近まで降温した後に、加圧しながら徐
冷する製造方法(以降、第2従来例という)が記載され
ており、熱変形温度以下まで所定方向から加圧してい
る。このように、金型内の樹脂を加圧する製造方法は、
特開昭57−57633号公報、特開昭59−1507
28号公報、特開昭62−197325号公報にも記載
されており、金型内に略最終形状に加工されたプラスチ
ック母材を挿入している。
【0005】一方、表面溶融成形としては、例えば、特
開平3−30932号公報に記載されており、この製造
方法(以降、第3従来例という)は、前記プラスチック
母材を軟化温度以上に加熱された金型内に挿入して押圧
(加圧)成形した後、ガラス転移温度以下まで徐冷する
方法が記載されている。また、第2従来例のように加圧
成形する製造方法(以降、第4従来例という)が、特開
昭58−49218号公報、特開昭58−49219号
公報、特開昭58−49220号公報、特開昭59−1
23632号公報、特開昭59−124819号公報、
特開昭61−144316号公報にも記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶融成
形法の第1従来例にあっては、樹脂の軟化温度では転写
面を高精度に転写する樹脂圧力を発生するとともに、熱
変形温度以下ではひけが発生しないようにその樹脂圧力
が大気圧近くとなる樹脂量としなければならなず、キャ
ビティ容積に対する樹脂量(重量)を±0.2%、好ま
しくは、±0.15%以下にする必要がある。これは、
多数個取りにするほど、またキャビティ形状が複雑なほ
ど達成することが困難であり、歩留りが低下してしまう
という問題があった。そして、この問題を解消するため
には、キャビティを高精度に加工したり、さらに充填す
る樹脂量のばらつきを小さくしなければならず、金型加
工およびそのチェック等の作業が大変であるとともに射
出充填機の精度が必要になるという問題があった。この
問題は、プラスチック母材をキャビティ内に挿入するも
のでも同様である。
【0007】さらに、低圧といえども数百kgf/cm
2 の圧力がキャビティ内に発生するので、例えば、ポリ
カーボネイト等の光弾性歪みの生じ易い樹脂の軟化温度
(ガラス転移温度)は、大気圧下では145℃前後であ
るが圧力が上がると高温側にシフトして165℃以上に
なってしまい、歪みを除くために溶融する温度が高くな
る。そのため、成形サイクルが長くなり熱消費量も多く
なってしまうという問題もあった。
【0008】また、第2従来例にあっては、所定方向か
ら加圧しているので、その加圧方向に歪みが生じてしま
う、加熱変動を利用しているためその方向の寸法精度が
低下するという問題もあった。一方、表面溶融成形の第
3、4従来例にあっては、樹脂の熱伝導率は非常に小さ
いためプラスチック母材の中心部は熱変形温度以下であ
ることから、当初からの内部歪みが残存してしまうとと
もに、中心部と表層部との間の温度差によって新たな歪
みが生じてしまうという問題があった。
【0009】さらに、第3従来例では、冷却時には加圧
していないので加圧による歪みは生じないが、冷却時の
樹脂の収縮により転写面にひけが生じてしまうという問
題があった。また、第4従来例では、第2従来例と同様
に加圧による歪みが新たに生じてしまうという問題があ
った。すなわち、転写面の高精度な転写およびひけの発
生の防止を同時に実現することは困難であった。
【0010】そこで、請求項1〜10記載の発明は、キ
ャビティの容積およびプラスチック母材の体積(重量)
のばらつきに関係なく型開き時の樹脂圧力を大気圧にす
るとともに成形品の転写面に対応する面にひけが生じな
いようにすることにより、キャビティおよびプラスチッ
ク母材の加工精度を緩和するとともに成形時の加圧をな
くして、内部歪みを発生させることなく転写面を高精度
に転写することのできる低コストなプラスチック成形品
の製造方法およびその製造方法を実施できる成形金型を
提供することを目的とし、かつ、プラスチック母材の樹
脂温度を均一にして、内部歪みの発生を防止することを
目的とする。
【0011】請求項11記載の発明は、プラスチック母
材を結晶化しない樹脂により形成して、転写面の転写精
度の向上および内部歪みの低減を図ることを目的とす
る。請求項12記載の発明は、プラスチック母材の樹脂
温度を確実に均一にして、転写面の転写精度の向上およ
び内部歪みの低減を図ることを目的とする。請求項13
記載の発明は、転写面を転写した後の樹脂圧力を低圧に
して、ガラス転移温度の低下および内部歪みの低減を図
ることを目的とする。
【0012】請求項14〜16記載の発明は、転写面の
転写時に、プラスチック母材が確実に転写面に密着する
のに最低限必要な樹脂圧力を発生させて、転写精度を確
保することを目的とする。請求項17〜22記載の発明
は、容易に内部歪みのない高精度な転写を行なうことの
できる方法により、高精度な光学素子、光ディスク、ま
たは流路板のプラスチック成形品を低コストにすること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1記載の発明は、少なくとも1個以上のキャビティ
を画成するとともに、それぞれ少なくとも1つ以上の転
写面を有する一対の金型を準備し、該金型のキャビティ
内に略最終形状のプラスチック母材を挿入して型締めし
た後に、該プラスチック母材をその軟化温度以上に加熱
して樹脂の熱膨張により転写面に樹脂圧力を発生させ該
転写面をプラスチック母材に転写し、次いで、その温度
を保持してプラスチック母材の樹脂温度を均一にした
後、該プラスチック母材をその熱変形温度以下まで冷却
して型開きし、取り出すプラスチック成形品の製造方法
であって、前記型締めから型開きまでの間で、少なくと
も前記プラスチック母材を冷却するときに、前記転写面
以外の少なくとも1つの面の一部あるいは全部を外部と
連通させた状態でプラスチック母材の樹脂温度を均一に
した後、徐冷することを特徴としている。
【0014】請求項2記載の発明は、略最終形状のプラ
スチック母材を挿入される少なくとも1個以上のキャビ
ティを画成するとともに該プラスチック母材に転写する
転写面を有し、該プラスチック母材を挿入され型締めさ
れた後にその軟化温度以上に加熱されることにより発生
する樹脂圧力によって該プラスチック母材に転写面を転
写する一対の成形金型であって、前記転写面以外の少な
くとも1つの面の一部あるいは全部に開口し外部と連通
させる連通手段を設けたことを特徴とするものである。
【0015】請求項3記載の発明は、少なくとも1個以
上のキャビティを画成するとともに、それぞれ少なくと
も1つ以上の転写面を有する一対の金型を準備し、該金
型のキャビティ内に略最終形状のプラスチック母材を挿
入して型締めした後に、該プラスチック母材をその軟化
温度以上に加熱して樹脂の熱膨張により転写面に樹脂圧
力を発生させ該転写面をプラスチック母材に転写し、次
いで、その温度を保持してプラスチック母材の樹脂温度
を均一にした後、該プラスチック母材をその熱変形温度
以下まで冷却して型開きし、取り出すプラスチック成形
品の製造方法であって、前記金型の型締め時に、前記転
写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは全部とプ
ラスチック母材との間に空気層を画成することを特徴と
している。
【0016】請求項4記載の発明は、略最終形状のプラ
スチック母材を挿入される少なくとも1個以上のキャビ
ティを画成するとともに該プラスチック母材に転写する
転写面を有し、該プラスチック母材を挿入され型締めさ
れた後にその軟化温度以上に加熱されることにより発生
する樹脂圧力によって該プラスチック母材に転写面を転
写する一対の成形金型であって、前記キャビティを、プ
ラスチック母材の体積よりも大きく、かつ、転写面以外
の少なくとも1つの面の一部あるいは全部を該プラスチ
ック母材と非接触になるように形成し、該転写面以外と
該プラスチック母材との間に空気層を画成するように形
成したことを特徴とするものである。
【0017】請求項5記載の発明は、少なくとも1個以
上のキャビティを画成するとともに、それぞれ少なくと
も1つ以上の転写面を有する一対の金型を準備し、該金
型のキャビティ内に略最終形状のプラスチック母材を挿
入して型締めした後に、該プラスチック母材をその軟化
温度以上に加熱して樹脂の熱膨張により転写面に樹脂圧
力を発生させ該転写面をプラスチック母材に転写し、次
いで、その温度を保持してプラスチック母材の樹脂温度
を均一にした後、該プラスチック母材をその熱変形温度
以下まで冷却して型開きし、取り出すプラスチック成形
品の製造方法であって、前記金型として、前記プラスチ
ック母材の樹脂圧力に連動して外部との圧力差を小さく
する方向に移動する入駒を設けたものを用いることを特
徴としている。
【0018】請求項6記載の発明は、前記転写面をプラ
スチック母材に転写した後、前記金型の型締めを解除ま
たは互いを所定間隔離隔させて、該転写面以外の少なく
とも1つの面の一部あるいは全部を外部と連通させるこ
とを特徴としている。請求項7記載の発明は、前記金型
として、外部とキャビティ内とを連通させる孔、溝、ま
たは隙間のうち少なくともいずれか1つ以上を、前記転
写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは全部に設
けたものを用いることを特徴としている。
【0019】請求項8記載の発明は、前記金型として、
空気を透過する多孔質体を前記転写面以外の少なくとも
1つの面の一部あるいは全部に配設したものを用い、該
多孔質体を介して外部とキャビティ内とを連通させるこ
とを特徴としている。請求項9記載の発明は、前記冷却
時に、前記プラスチック母材の転写面に対応する面以外
の少なくとも1つの面の一部あるいは全部の温度を、該
転写面に対応する面の温度よりも高くすることを特徴と
している。
【0020】請求項10記載の発明は、前記金型とし
て、前記転写面以外の少なくとも1つの面の一部あるい
は全部に対応する部位または該部位の近傍に、熱伝導性
の低い部材を設けたものを用いることを特徴としてい
る。
【0021】請求項11記載の発明は、前記プラスチッ
ク母材を形成する樹脂として、軟化温度がガラス転移温
度と同一または近接する非晶質熱可塑性樹脂を用いるこ
とを特徴としている。請求項12記載の発明は、前記プ
ラスチック母材を軟化温度以上に保持する時間を、5秒
以上にしてプラスチック母材の樹脂温度を均一にするこ
とを特徴としている。
【0022】請求項13記載の発明は、前記プラスチッ
ク母材を軟化温度以上に保持して、その樹脂温度を均一
にした後の前記転写面に発生する樹脂圧力を、5kgf
/cm2 以下にすることを特徴としている。請求項14
記載の発明は、前記プラスチック母材を軟化温度以上に
加熱したときに転写面に発生する樹脂圧力を、10kg
f/cm2 以上にして該転写面をプラスチック母材に転
写することを特徴としている。
【0023】請求項15記載の発明は、前記プラスチッ
ク母材として、少なくとも熱変形温度以上に加熱したと
きの体積が前記キャビティの容積よりも大きくなるもの
を用いることを特徴としている。請求項16記載の発明
は、前記プラスチック母材として、少なくとも熱変形温
度以上に加熱したときの前記転写面に対応する面の法線
方向の厚さが、型締めしたときの転写面およびその対向
面の間隔よりも厚くなるものを用いることを特徴として
いる。
【0024】請求項17記載の発明は、前記転写面とし
て、鏡面を形成した金型を用いることを特徴としてい
る。請求項18記載の発明は、前記鏡面を転写してプラ
スチック光学素子を成形することを特徴としている。
求項19記載の発明は、前記転写面として、微細な凹凸
のパターンを形成した金型を用いることを特徴としてい
る。
【0025】請求項20記載の発明は、前記パターンを
転写してプラスチック光学素子を成形することを特徴と
している。請求項21記載の発明は、前記パターンを転
写してプラスチック光ディスクを成形することを特徴と
している。請求項22記載の発明は、前記パターンを転
写してインクジェット用のプラスチック流路板を成形す
ることを特徴としている。
【0026】ここで、前記空気層は、軟化温度以上に加
熱されたプラスチック母材が転写面以外の面に接触しな
い程度以上に画成するのが好ましい。また、前記プラス
チック母材の転写面に対応する面以外の少なくとも1つ
の面の一部あるいは全部、および、該転写面に対応する
面の温度差は、徐冷時に内部歪みが生じない程度のわず
かな温度差でよい。
【0027】また、前記非晶質熱可塑性樹脂としては、
例えば、ポリスチレン、アクリロニトリルースチレン、
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネイト、アモル
ファスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂等が挙げら
れる。また、前記光学素子としては、平面、球面、非球
面等の鏡面を備えたレンズ、ミラー、プリズム等が挙げ
られ、また微細な凹凸パターンを備えた回折格子、フレ
ネルレンズ、画像信号や音声信号を表現する凸部または
凹部を有するもの等が挙げられる。
【0028】
【作用】請求項1記載の発明では、型締めから型開きま
での間で、少なくともプラスチック母材を冷却するとき
には、転写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは
全部が外部と連通された状態でプラスチック母材の樹脂
温度を均一にした後徐冷される。そのため、プラスチッ
ク母材は転写面を転写した後に中心部まで軟化温度以上
に均一に溶融され、転写面を転写した部位以外が大気に
晒された状態で樹脂温度を均一に徐冷される。したがっ
て、プラスチック母材は内部の温度差がなくなるととも
に、大気に晒された部位で樹脂圧力と大気圧との差を吸
収するよう体積変化する。
【0029】請求項2記載の発明では、連通手段により
転写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは全部が
外部と連通される。したがって、転写面以外を外部と連
通させた状態で徐冷することができ、請求項1記載の発
明を行なうことができる。
【0030】請求項3記載の発明では、金型の型締め時
に、転写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは全
部とプラスチック母材との間に空気層が画成される。そ
のため、プラスチック母材の空気層に対応する部位は金
型に接することはなく、その空気層により断熱効果も得
られる。したがって、プラスチック母材は内部の温度差
がなくなるとともに、空気層が樹脂圧力と大気圧との差
を吸収するよう体積変化する。また、空気層はその断熱
効果により金型との伝熱を小さくして転写面を転写した
部位よりも固化を遅くするとともに離型抵抗をなくすの
で、ひけは空気層に対応する部位となる。
【0031】請求項4記載の発明では、金型の型締め時
にプラスチック母材とキャビティの転写面以外の少なく
とも1つの面の一部あるいは全部との間に空気層が画成
され、そのプラスチック母材は転写面以外で非接触にな
。したがって、請求項3記載の発明を行なうことがで
きる。
【0032】請求項5記載の発明では、金型として、樹
脂圧力に連動して外部との圧力差を小さくする方向に移
動する入駒が設けたものが用いられる。したがって、プ
ラスチック母材内部の温度差がなくなるとともに、入駒
がプラスチック母材の樹脂圧力に応じて移動しキャビテ
ィの容積が変化する。
【0033】請求項6記載の発明では、転写面をプラス
チック母材に転写した後、金型の型締めが解除または互
いが所定間隔離隔され、その転写面以外の少なくとも1
つの面の一部あるいは全部が外部と連通される。したが
って、簡易な操作により金型のパーティング面が所定間
隔離隔され、プラスチック母材の転写面を転写した部位
以外が大気に晒される。
【0034】請求項7記載の発明では、金型として、外
部とキャビティ内とを連通させる孔、溝、または隙間の
うち少なくともいずれか1つ以上を、転写面以外の少な
くとも1つの面の一部あるいは全部に設けたものが用い
られる。したがって、簡易な孔、溝、または隙間を介し
てプラスチック母材の転写面を転写した部位以外が大気
に晒される。
【0035】請求項8記載の発明では、金型として、空
気を透過する多孔質体を転写面以外の少なくとも1つの
面の一部あるいは全部に配設したものが用いられ、その
多孔質体を介して外部とキャビティ内とが連通される。
したがって、多孔質体を介してプラスチック母材の転写
面を転写した部位以外が外気と連通される。また、この
多孔質体により前記した断熱効果も得られる。
【0036】請求項9記載の発明では、冷却時に、プラ
スチック母材の転写面に対応する面以外の少なくとも1
つの面の一部あるいは全部の温度が、その転写面に対応
する面の温度よりも高くされる。したがって、プラスチ
ック母材の転写面を転写した部位の方が固化が早い。
求項10記載の発明では、金型として、転写面以外の少
なくとも1つの面の一部あるいは全部に対応する部位ま
たはその近傍に、熱伝導性の低い部材を設けたものが用
いられる。したがって、プラスチック母材の転写面を転
写した部位以外と金型との伝熱が小さくされ、転写面を
転写した部位の方が固化が早い。
【0037】請求項11記載の発明では、プラスチック
母材を形成する樹脂として、軟化温度がガラス転移温度
と同一または近接する非晶質熱可塑性樹脂が用いられ
る。そのため、プラスチック母材が結晶化して固化する
ことがない。したがって、結晶質材料でも精度よく成形
することが可能であるが、転写性がより向上されるとと
もに内部歪みが低減される。
【0038】請求項12記載の発明では、プラスチック
母材を軟化温度に保持する時間を、5秒以上にしてプラ
スチック母材の樹脂温度が均一にされる。したがって、
中心部まで均一に溶融される。請求項13記載の発明で
は、プラスチック母材の軟化温度を保持してその樹脂温
度を均一にした後の転写面に発生する樹脂圧力が5kg
f/cm2 以下にされる。したがって、ガラス転移温度
以下に冷却されたとき、プラスチック母材の樹脂圧力が
略大気圧になる。
【0039】請求項14記載の発明では、プラスチック
母材をその軟化温度以上に加熱したときに転写面に発生
する樹脂圧力を10kgf/cm2 以上にして転写面が
プラスチック母材に転写される。したがって、プラスチ
ック母材が確実に密着して転写面を転写する。請求項1
5、16記載の発明では、プラスチック母材として、少
なくとも熱変形温度以上に加熱したときの体積がキャビ
ティの容積よりも大きくなるもの、また転写面に対応す
る面の法線方向の厚さが型締めしたときの転写面および
その対向面の間隔よりも厚くなるものが用いられる。し
たがって、転写面に発生する樹脂圧力を容易に10kg
f/cm2 以上にすることができる。
【0040】請求項17〜22記載の発明では、転写面
として、鏡面を形成した金型、微細な凹凸のパターンを
形成した金型が用いられ、光学素子、光ディスク、イン
クジェット用の流路板が成形される。したがって、転写
面を転写した部位にひけのない、かつ、内部歪みのない
高精度なものが得られる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図
1〜図3は本発明に係るプラスチック成形品の製造方法
およびその成形金型の第1実施例を示す図であり、図1
はその金型を示す縦断面図、図2はプラスチック母材の
溶融についての説明図、図3および図4は本実施例の作
用効果を説明する説明図である。なお、本実施例は請求
項1、2、7、11〜22のいずれかに記載の発明に対
応する。
【0042】まず、本実施例を実施する金型の一例の構
成を説明する。図1において、11、12は一対の金型であ
り、金型11、12は型締めしたときに少なくとも1個以上
のキャビティ13を画成するようになっており、このキャ
ビティ13内には略最終形状に形成された所定重量(すな
わち、所定体積)のプラスチック母材14(以下、単に母
材14という)が挿入される。このキャビティ13を画成す
る金型11の一面側には鏡面加工された転写面15が形成さ
れている。一方、金型12にはパーティング面P.L上に
キャビティ13から外面まで延在する溝(連通手段)16が
刻設され、型締めしてもキャビティ13と外部とが連通す
るようになっており、この溝16は母材14の加熱および冷
却時にその内部温度を均一化することを妨げない程度
に、かつ、母材14を溶融したときにその樹脂圧力を5k
gf/cm2以下まで低下させる樹脂量が侵入可能な程
度にキャビティ13に開口している。なお、キャビティ13
と外部とを連通させる手段としては、溝16に限らず、例
えば、外面からキャビティ13に達するまで孔を穿孔して
もよく、またパーティング面P.L間に隙間を形成した
状態で金型11、12を型締めするようにしてもよい。
【0043】次に、本実施例の製造方法およびその作用
を説明する。なお、本実施例の製造工程自体は、図4
(b)に示されるような周知の工程である。まず、母材
14を形成するのに際し、熱変形温度以上に加熱したとき
に金型11、12のキャビティ13の容積よりも大きくなり、
さらに軟化温度以上に加熱したときに転写面15に発生す
る樹脂圧力が高精度な転写に最低限必要な圧力(10k
gf/cm2 )以上になるように形成する。この母材14
の加工方法としては、ここでは詳述しないが周知の射出
成形や機械加工により成形すればよい。また、母材14を
形成する材料としては、軟化温度とガラス転移温度が同
一または近接する非晶質熱可塑性樹脂が好ましく、例え
ばポリスチレン、アクリロニトリルースチレン、ポリメ
チルメタクリレート、ポリカーボネイト、アモルファス
ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂等が適当である。
なお、母材14は、転写面15の法線方向の厚さが熱変形温
度以上に加熱したときに転写面15およびその対向面17の
間隔よりも厚くなるよう形成し、前記した所定の樹脂圧
力以上を発生させるように形成してもよい。
【0044】そして、金型11、12を準備してそのキャビ
ティ13内に母材14を挿入した後、後述する樹脂圧力P1
に耐え得る一定圧以上で型締めする(型締め工程)。次
いで、金型11、12を母材14の軟化温度(ガラス転移温
度)以上に加熱して転写面15に図中に矢印で示す10k
gf/cm2 以上の樹脂圧力を発生させる(加熱工
程)。このとき、転写面15には高精度に転写するために
必要な樹脂圧力P1が発生しているので、キャビティ13
内の母材14が密着して転写面15が高精度に転写される。
【0045】次いで、母材14の樹脂温度が均一になるよ
う金型11、12の温度を所定時間保持する(保持工程)。
このとき、母材14は中心部も含めて溶融されるので、形
成時に発生して残存していた内部歪みが除かれる。ま
た、母材14の体積はキャビティ13の容積よりも大きくな
るが、溝16が外部に連通しているので溶融樹脂が溝16内
に侵入して母材14が体積変化する。そのため、キャビテ
ィ13内(転写面15)に発生している樹脂圧力P1 は、図
4(a)に示すように、大気圧近く(5kgf/cm2
以下)にされる。なお、外部に連通する溝16が設けられ
ていない金型では、図3に示すように、キャビティ13内
の母材14は体積変化することができないので、母材14の
体積に応じた樹脂圧力が発生する。
【0046】ここで、母材14全体を溶融して樹脂温度を
均一にする金型11、12の加熱温度の保持時間は、図2
(a)に示すように、母材14の肉厚に大きく依存してお
り、例えば、プラスチック光学素子を成形する場合、1
mmに満たない薄肉の回折格子では数秒もあれば十分で
あり、10mm以上の肉厚のレンズでは少なくとも数分
が必要である。なお、装置上で保持時間を0秒としても
実際には装置の応答性から5秒以上は保持されることと
なり、本実施例では軟化温度以上に加熱することから、
見かけの保持時間がなくても薄肉の薄板であれば母材14
の樹脂温度は均一化され、この保持時間は5秒以上とす
れば十分である。なお、母材14全体が溶融して樹脂温度
が均一になるのは、図2(b)に示すように、加熱・冷
却の速度を十分に小さくしない限り、表層部と中心部と
では中心部が表層部より温度変化が遅く温度差が生じ、
これらの温度が一致したときに均一化したことになる。
【0047】次いで、金型11、12の温度をキャビティ13
内の母材14の中心部と表層部とに温度差が生じない程度
の冷却速度で熱変形温度以下まで徐冷する(冷却工
程)。徐冷時には、転写面15とそれに対向する面17との
距離が一定に維持できる構成になっており、これにより
転写面15の法線方向に外力が作用して寸法変化や内部歪
みが生じるのを防いでいる。このとき、母材14はキャビ
ティ13内で均一に徐冷されるので、内部歪みが発生する
ことなく、熱変形温度以下まで冷却されて固化される。
この熱変形温度以下までの冷却時間は樹脂圧力P1 が低
圧にされてガラス転移温度が上昇することがないので、
成形サイクルが短縮される。そして、熱変形温度での母
材14の体積がキャビティ13の容積よりも小さい場合に
は、冷却に伴う母材14の体積変化によって樹脂圧力P1
が負圧になって転写面15に対応する部位にも所謂ひけが
生じるが、本実施例では溝16が設けられて大気に晒され
た状態であるとともに溝16以外の部位では離型抵抗があ
るので、図示のように、溝16の部位が優先的にひけて樹
脂圧力P1 が負圧となることがない。なお、外部に連通
する溝16が設けられていない金型を用いる従来例では、
熱変形温度での母材14の体積がキャビティ13の容積より
も大きい場合、図3(a)に示すように、母材14にひけ
が生じることはないが内部歪みが発生する樹脂圧力P2
となってしまう。また、母材14の体積がキャビティ13の
容積よりも小さい場合、図3(b)に示すように、この
冷却に伴う母材14の体積変化によって熱変形温度以下で
樹脂圧力P3は負圧となり転写面15に対応する部位にも
ひけ18が生じてしまう。
【0048】次いで、金型11、12を型開きし、母材14
(成形品)を取り出す(取り出し工程)。この成形品
は、転写面15を高精度に転写した鏡面が形成されてお
り、内部歪みもない。このように本実施例においては、
軟化温度以上に加熱したときに、高精度な転写に最低限
必要な樹脂圧力を発生させるよう母材14を形成している
ので、転写面15が高精度に転写される。そして、転写面
15を転写した後に、母材14の樹脂温度を均一にして所定
時間保持するので、母材14は均一に溶融して残存してい
た内部歪みが除かれる。また、母材14はキャビティ13の
容積よりも大きくなるが、溶融樹脂が溝16内に侵入して
キャビティ13内に発生している樹脂圧力P1 が大気圧近
くにされるとともに、樹脂温度を均一にしつつ徐冷され
るので、圧力による内部歪みが発生することなく固化さ
れるとともに、冷却時間が短くなり成形サイクルが短縮
される。このとき、キャビティ13内が負圧になろうとす
ると、溝16の部位にひけが優先的に発生するので、転写
面15を転写した部位の精度が低下することがない。した
がって、金型11、12のキャビティ13の容積や母材14の体
積がばらついたとしても内部歪みが生じることもなく、
かつ、転写面15を高精度に転写した成形品を低コストに
作製することができる。また、金型11、12は溝16を刻設
しているのみであり、工程においては従来と同様である
ため、容易にかつ低コストに実施することができる。
【0049】また、母材14は軟化温度およびガラス転移
温度が同一または近接する非晶質熱可塑性樹脂により形
成するので、軟化温度以上に保持する時間を容易に短く
することができる。また、結晶化することがないので、
内部歪みが生じ難く転写性も向上する。次に、本実施例
を適用した具体例を説明する。
【0050】図5において、21はポリカーボネイト樹脂
(非晶質熱可塑性樹脂)からなるφ50mmのプラスチ
ックレンズであり、レンズ21は一面側に凸面(球面)2
2、他面側に平面23を備えており、凸面22の頂部22aお
よび平面23の間の厚さが8mm、凸面22の縁部22bおよ
び平面23の間の厚さが3mmになっている。このレンズ
21は、図示していないが凸面22に対応し鏡面加工された
転写面15およびその転写面15と一定距離に保たれた同様
に鏡面加工された対向面17を備えレンズ21形状のキャビ
ティ13を画成する金型11、12により成形されたものであ
り、前記保持時間を120secとして成形したもので
ある。
【0051】このレンズ21を成形したときの樹脂圧力の
履歴を工程および樹脂温度に合わせて図示すると図6
(a)のように示され、最高でも70kgf/cm2
度と抑えられているとともに、母材14全体を軟化温度
(ガラス転移温度)以上で均一にする保持時間の間に5
kgf/cm2 以下に低下している。これは、溝16のな
い金型による従来の製造方法における樹脂圧力P2 (図
6(b)に示している)では最高で150kgf/cm
2 以上に達して熱変形温度近くでも数十kgf/cm2
となっているのに対して、樹脂圧力P1 は高精度な転写
に必要な圧力以上が得られているとともに冷却時には内
部歪みをできるだけ抑えるように低圧にされている。し
たがって、この具体例においても、本発明のポイントで
ある取り出し時まで少なくとも転写面15に発生する樹脂
圧力P1 を低圧、かつ、大気圧以上に保持することが実
現されている。そして、樹脂圧力P1 が温度に依存しな
いため、キャビティ13の容積や母材14の体積に多少のば
らつきがあっても、レンズ21を内部歪みなく、高精度な
凸面22および平面23を形成することができる。また、成
形サイクルも短縮されている。すなわち、金型や母材等
の外的要因にほとんど依存しない成形法であることか
ら、キャビティ13の間隔を縮小して金型11、12を多数個
取りにして、高精度なレンズ21を容易に、かつ、低コス
トに成形することができる。
【0052】なお、この具体例では、光学素子のプラス
チックレンズ21を成形する例を説明したが、キャビティ
13の形状を変えることによって、レンズ以外にもプラス
チックからなるミラーやプリズム等の光学素子を成形す
ることもできる。また、転写面15に、鏡面に限らず、微
細な凹凸のパターンを形成することによって、例えば回
折格子、フレネルレンズ、画像信号や音声信号を表現す
る凸部または凹部を有するもの等の光学素子を成形する
ことができ、また光学素子に限らず、光ディスクやイン
クジェット用の流路板も成形することができる。すなわ
ち、あらゆるプラスチック成形品を高精度に、かつ、低
コストに成形することができる。
【0053】また、本実施例の他の態様としては、図7
に示すように、キャビティ13と外部とを連通する溝16を
1つにした金型11、12を用いてもよく、溝16等の数によ
らずに同様な作用効果を得ることができる。また、冷却
工程において溝16の部位にひけ18が生じる例を説明した
が、キャビティ13の容積に対する母材14の大きさによっ
ては溝16内に樹脂が侵入したまま固化する場合もある
が、この場合であっても作用効果に差はない。そのた
め、母材14はキャビティ13内への挿入を考慮して形成す
ればよい。
【0054】次に、図8は本発明に係るプラスチック成
形品の製造方法およびその成形金型の第2実施例を示す
図であり、その金型を示す縦断面図である。なお、本実
施例は請求項1、2、6、11〜22のいずれかに記載
の発明に対応している。また、本実施例では、上述実施
例と同様な金型の構成には同一の符号を付してその説明
を省略し、また同様な工程はその説明を割愛する。
【0055】まず、軟化温度以上に加熱されたとき転写
面15に20kgf/cm2 程度の樹脂圧力が発生するよ
うに母材14を形成して溝16のない金型11、12(従来の製
造方法に用いられる金型)を準備し、そのキャビティ13
内に母材14を挿入して型締めする(型締め工程)。次い
で、図8に示すように、前記加熱工程を行なって転写面
15を高精度に転写した後に、型締めを解除してキャビテ
ィ13内の母材14が溶融しその温度が均一になるよう所定
時間保持する(保持工程)。このとき、金型11、12はキ
ャビティ13内に前記樹脂圧力が発生するためその圧力に
応じた間隔だけ互いのパーティング面P.Lが離隔して
その間に隙間(連通手段)26が形成される。したがっ
て、キャビティ13と外部とが連通されるとともに、キャ
ビティ13内に発生している樹脂圧力は樹脂圧力P1 と同
様に大気圧近くにされる。
【0056】この後、隙間26を一定に保って前記冷却工
程および取り出し工程を行なって母材14を取り出す。こ
のように本実施例では、上述実施例の作用効果に加え、
転写面15を高精度に転写した後に、金型11、12の型締め
を解除することによって母材14の樹脂圧力に応じた間隔
の隙間26が形成されるので、キャビティ13内の母材14は
隙間26の部位が大気に晒されるとともに転写面15等に発
生している樹脂圧力は大気圧近くにされる。したがっ
て、ひけは大気に晒される隙間26の部位に優先的に生じ
る。このとき、キャビティ13の容積は母材14の体積と略
同一になるよう変化するので、ひけが発生したとしても
大きなものとはならない。
【0057】本実施例の他の態様としては、図示してい
ないが、母材14の樹脂圧力により金型11、12のパーティ
ング面P.Lを型開き機構によって積極的に離隔させて
隙間を形成してもよい。なお、この隙間は母材14の溶融
した樹脂がその樹脂圧力によってはみ出てくる程度でよ
い。次に、図9は本発明に係るプラスチック成形品の製
造方法およびその成形金型の第3実施例を示す図であ
り、その金型を示す縦断面図である。なお、本実施例は
請求項1、2、7〜22のいずれかに記載の発明に対応
している。また、本実施例では、上述実施例と同様な金
型の構成には同一の符号を付してその説明を省略し、ま
た上述実施例と同様な工程はその説明を割愛する。
【0058】まず、金型の構成を説明する。図9におい
て、27は多孔質体であり、多孔質体27は、例えば空気を
透過するとともに熱伝導性の低いセラミックスからな
り、キャビティ13を画成する転写面15および対向面17以
外の面の一部を形成するよう溝16の一端側に固設されて
いる。すなわち、キャビティ13と外部とは多孔質体27お
よび溝16を介して連通している。
【0059】次に、本実施例の製造方法およびその作用
を説明する。まず、母材14を形成するのに際し、軟化温
度以上で転写面15に10kgf/cm2 以上の樹脂圧力
が発生し、また熱変形温度以下でキャビティ13の容積よ
りも小さくなるよう形成する。そして、溝16に多孔質体
27を固設された金型11、12を準備し、そのキャビティ13
内に母材14を挿入して従来の製造方法における型締め圧
程度で型締めする(型締め工程)。
【0060】次いで、前記加熱工程および保持工程を行
なって、転写面15を高精度に転写するとともに残存して
いた内部歪みを除く。このとき、母材14が中心部も含め
て溶融されても溝16は多孔質体27により閉止されている
ので、図示のように、溶融樹脂の溝16内への侵入してキ
ャビティ13内に発生している樹脂圧力が低下することは
ない。このように樹脂圧力を高圧に維持すると転写性が
向上する。
【0061】次いで、前記冷却工程を行なって、母材14
を樹脂温度を均一にしつつ熱変形温度以下まで徐冷す
る。このとき、多孔質体27は断熱効果を有していること
から多孔質体27の部位は転写面15等の面に接している部
位と較べると伝熱が遅く樹脂温度が高めとなっている。
そして、母材14は熱変形温度での体積をキャビティ13の
容積よりも小さく形成されているので冷却に伴う樹脂の
体積変化によってキャビティ13内を負圧にしようとする
が、多孔質体27は空気を透過して大気と連通させるとと
もに、樹脂温度を高めにして樹脂の固化を遅くしている
ことから、図示のように、この多孔質体27の部位に優先
的にひけが生じる。
【0062】この後、前記取り出し工程を行なって母材
14を取り出す。このように本実施例では、上述第1実施
例の作用効果に加え、多孔質体27によりキャビティ13の
一部が画成されているので、加熱工程および保持工程で
は、キャビティ13内には十分な樹脂圧力が発生して転写
面15がより高精度に母材14に転写される。そして、多孔
質体27はキャビティ13と外部とを連通させるとともに断
熱効果を有するので、冷却工程では、多孔質体27の部位
にひけを優先的に生じさせることができる。さらに、キ
ャビティ13を画成する転写面15や対向面17以外の面の全
体を多孔質体27にすることによって、ひけの面積を大き
くして目立たなくすることもできる。
【0063】また、本実施例の他の態様として、図示し
ていないが、多孔質体27の近傍に熱源を埋設した金型1
1、12を用い多孔質体27の温度を積極的に調整すること
によって、転写面15等の部位よりも歪みが生じない程度
の若干高めの温度にしてひけが生じ易くしてもよい。こ
の熱源は多孔質体27近傍に限らず、第1実施例の溝16や
第2実施例の隙間26の近傍に埋設しても同様な作用効果
が得られることはいうまでもない。また、多孔質体27と
して金属を用いてもなんら問題ない。
【0064】次に、図10は本発明に係るプラスチック成
形品の製造方法およびその成形金型の第4実施例を示す
図であり、その金型を示す縦断面図である。なお、本実
施例は請求項3、4、9、11〜14、16〜22のい
ずれかに記載の発明に対応している。また、本実施例で
は、上述実施例と同様な金型の構成には同一の符号を付
してその説明を省略し、また上述実施例と同様な工程は
その説明を割愛する。
【0065】まず、母材14を形成するのに際し、図10に
示すように、キャビティ13を画成する転写面15および対
向面17以外の面(図中、側面)との間に、空気層28を画
成するとともに、熱変形温度以上に加熱したときに転写
面15およびその対向面17の間隔よりも厚くなって軟化温
度以上に加熱したときにその転写面15およびその対向面
17に少なくとも10kgf/cm2 以上の樹脂圧力を発
生するように形成する。そして、上述第2実施例で用い
た溝16のない金型11、12を準備し、そのキャビティ13内
に母材14を挿入し空気層28を画成して型締めする(型締
め工程)。なお、空気層28は軟化温度以上に加熱したと
きに母材が前記側面に接しない程度以上に画成する必要
がある。
【0066】次いで、前記加熱工程を行なって、前記樹
脂圧力を発生させて転写面15および対向面17を母材41に
高精度に転写した後に、その母材14の樹脂温度が均一に
なるよう所定時間保持する(保持工程)。このとき、空
気層28は加熱された母材14の体積が膨張するので、圧縮
されている。次いで、前記冷却工程を行なって、母材14
の樹脂温度を均一にしつつ熱変形温度以下まで徐冷す
る。このとき、空気層28は金型11、12との伝熱量を小さ
くする断熱効果を有していることから転写面15等の面に
接している部位と較べると樹脂温度を高めにするととも
に、母材14に転写面15および対向面17に密着するよう圧
縮する圧縮力を加えるとともに離型抵抗をなくすので、
この空気層28の部位に優先的にひけが生じる。ただ、こ
の空気層28の占める体積が小さすぎたり局部的だと逆に
圧縮力により内部歪みを生じさせてしまうので注意が必
要である。
【0067】この後、前記取り出し工程を行なって母材
14を取り出す。このように本実施例では、上述第1実施
例の作用効果に加え、外部と連通させることなく空気層
28により転写面15および対向面17以外の箇所にひけを優
先的に発生させるので、外気との温度差による影響が少
なく、温調が容易になる。また、母材14の成形精度に関
係のない箇所を切り欠くだけで空気層28を画成すること
ができ、従来の金型を転用することができる。
【0068】次に、本実施例を適用した具体例を説明す
る。まず、母材の形成に際し、前記非晶質熱可塑性樹脂
であるアモルファスポリオレフィン(三井石油化学 APL
6013)を用いて周知の射出成形法により270℃の成形
機シリンダ温度から100℃に加温した図示していない
金型のキャビティ内に射出充填し、図11に破線で示して
いる切欠部33を含むもの(後述するキャビティ13形状)
を成形した後、その切欠部33を削って外径φ45mmの
母材34を形成した。なお、この樹脂の熱変形温度は、AS
TM D648、18.6kgf/cm2による荷重で110℃、また軟化
温度(ガラス転移温度)は125℃である。
【0069】そして、この母材34を、転写面15を球面状
に、対向面17を平面に鏡面加工され、外径をφ50m
m、外周部の厚さを3mm、中央部の厚さを8mmのレ
ンズ形状のキャビティ13を備え、110℃に加温された
図示していない金型内に挿入して、型締めした(型締め
工程)。次いで、前記加熱工程をおこなって、母材34を
電気棒ヒータにより約2分で軟化温度以上の130℃ま
で加熱した後、前記保持工程を行なって、100sec
保持した。このとき、転写面15には最高60kgf/c
2 の樹脂圧力が発生し、転写面15および対向面17が母
材34に高精度に転写された。そして、キャビティ13内の
温度(樹脂温度)が130℃になるとともに樹脂は均一
化し、母材34内の内部歪みが除かれるとともに樹脂圧力
が3kgf/cm2 に低下して圧力により発生する内部
歪みがきわめて小さくされる。
【0070】次いで、前記冷却工程を行なって、2℃/
分の冷却速度で樹脂温度を均一にしつつ徐冷した。この
とき、キャビティ13内に画成された空気層28により母材
34に内部歪みが発生することが防止されるとともに転写
面15や対向面17にひけが生じることがない。そして、前
記取り出し工程を行なって、熱変形温度である110℃
まで降温した後に母材34を取り出した。この成形によっ
て得られたレンズの面精度を測定したところ、転写面15
の面精度pv0.118μmに対してpv0.231μ
mと高精度に転写されていた。
【0071】なお、この具体例においても、上述第1実
施例による具体例と同様に、プラスチックレンズ以外の
光学素子、光ディスク、インクジェット用の流路板等を
高精度に、かつ、低コストに成形することができること
はいうまでもない。また、本実施例の第1の他の態様と
しては、母材34の形成に際し、図12に示すように、キャ
ビティ13の角に空気層29を画成して、転写面15および対
向面17に加え、これら以外の面(図中、側面)にも熱変
形温度以上に加熱したときに接するように形成すること
によって、転写面15および対向面17に直交する面を基準
面とすることができ、取付が容易な成形品を成形するこ
とができる。なお、この第1の他の態様では、空気層29
をキャビティ13の容積に対して5%以上にすることによ
って十分な作用効果が得られる。
【0072】また、本実施例の第2の他の態様として
は、図13に示すように、本実施例の空気層28と外部とを
連通させる孔(連通手段)31を穿孔した金型11、12を用
いることによって、転写面15および対向面17以外の面
(図中、側面)の全体を外気との温度差による影響を少
なくしつつその外気に晒すことができ、発生するひけの
面積を大きくして目立たなくすることができる。なお、
この第2の他の態様は、請求項1、2、記載の発明に
も対応する。
【0073】次に、図14は本発明に係るプラスチック成
形品の製造方法およびその成形金型の第5実施例を示す
図であり、その金型を示す縦断面図である。なお、本実
施例は請求項5、11〜22のいずれかに記載の発明に
対応している。また、本実施例では、上述実施例と同様
な金型の構成には同一の符号を付してその説明を省略
し、また上述実施例と同様な工程はその説明を割愛す
る。
【0074】まず、金型の構成を説明する。図14におい
て、37は可動入駒であり、可動入駒37はキャビティ13を
画成する転写面15および対向面17以外の面を溝16の延在
方向に広げた移動空間38内に該方向に移動可能に収装さ
れており、移動空間38内を外部方向に移動して突き当た
った位置で転写面15および対向面17とともに母材14を挿
入するときのキャビティ13を画成する。なお、本実施例
の転写面15および対向面17は鏡面駒39a、39bに形成さ
れている。
【0075】次に、本実施例の製造方法およびその作用
を説明する。まず、母材14および入駒37を収装した金型
11、12を準備し、そのキャビティ13内に母材14を挿入し
て従来の製造方法における型締め圧程度で型締めする
(型締め工程)。次いで、前記加熱工程および保持工程
を行なって、転写面15および対向面17を高精度に転写し
残存していた内部歪みを除く。このとき、母材14が中心
部も含めて溶融されても入駒37は移動空間38内で外部方
向に突き当たっているので、図示のように、入駒37が外
部方向へ移動してキャビティ13内に発生している樹脂圧
力が低下することはない。このように樹脂圧力を高圧に
維持すると転写性が向上する。
【0076】次いで、前記冷却工程を行なって、母材14
の樹脂温度を均一にしつつ熱変形温度以下まで徐冷す
る。このとき、冷却に伴う樹脂の体積変化によってキャ
ビティ13内は負圧になろうとするが、図示のように、入
駒37は内方へ引かれて移動するので、負圧になることは
なく、ひけが生じることがない。この後、前記取り出し
工程を行なって母材14を取り出す。
【0077】このように本実施例では、上述実施例の作
用効果に加え、入駒37は外部方向への移動を制限されて
キャビティ13内に十分な樹脂圧力が発生するので、母材
14に転写面15等がより高精度に転写される。そして、キ
ャビティ13内が負圧になろうとしたときには、キャビテ
ィ13内の圧力に応じて入駒37が内方へ移動するので、母
材14の転写面15および対向面17を転写した部位にひけが
発生することがない。また、入駒37の一面も母材14に転
写されるので、ひけのような凹凸な面になってしまうこ
とがない。
【0078】なお、本実施例では、入駒37の一面が転写
面15から対向面17までの全面となっているが、その一部
となるように小さくしてもよい。また、入駒37は加熱・
保持工程では外部方向への移動を制限されているが、移
動可能に移動空間38を形成しても問題はない。なお、上
述実施例において、具体例は、第1、4実施例でのみで
説明しているが、他の実施例においても同様に光学素
子、光ディスク、インクジェット用の流路板等を高精度
に、かつ、低コストに成形することができることはいう
までもない。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、転写面を転写して均一
に溶融したプラスチック母材を、内部の温度差を均一に
した後、徐冷するとともに転写面を転写した部位以外で
樹脂圧力と大気圧との差を吸収するよう樹脂そのものの
膨張・収縮を利用して連通手段、空気層、入駒の移動に
より体積変化させるので、転写面を転写するプラスチッ
ク母材の樹脂圧力が得られるとともに、その後に樹脂圧
力を低圧にすることができる。そのため、残存してい
た、または転写時に発生した内部歪みを除くことがで
き、転写面を転写した部位にひけが生じることがない。
また、ガラス転移温度が高温側にシフトすることがな
く、成形サイクルを短縮することができる。したがっ
て、キャビティ容積およびプラスチック母材の体積がば
らついたとしても内部歪みを生じさせることがなく、転
写面を高精度に、短い成形サイクルで転写することがで
きる。その結果、高精度なプラスチック成形品を成形す
ることのできる低コストな製造方法およびその成形金型
を提供することができる。ここで、転写面を転写した部
位以外で体積変化させる方法として、外部と連通させた
り、空気層を画成したり、また入駒を配設したりするこ
とは、いずれも簡易な構成の金型を用いて容易に実行す
ることができ、装置コストも削減することができる。ま
た、転写面を転写した部位およびその部位以外とに温度
差を生じさせることにより、転写面を転写した部位以外
に、より優先的にひけを生じさせることもできる。
【0080】さらに、請求項11記載の発明によれば、
プラスチック母材が結晶化することがないので、結晶質
材料でも精度よく成形することが可能であるが、転写性
をより向上させるとともに内部歪みをより低減すること
ができる。請求項12記載の発明によれば、プラスチッ
ク母材の樹脂温度を均一に中心部まで溶融するので、高
精度な転写を行なった後に、残存していた、または転写
時に発生した内部歪みを除くことができる。
【0081】請求項13記載の発明によれば、プラスチ
ック母材の転写面を転写した後の樹脂圧力を低圧にする
ので、ガラス転移温度が低下して成形サイクルが短縮す
るとともに、ガラス転移温度以下に冷却したときの樹脂
圧力を略大気圧にして内部歪みなく固化することができ
る。請求項14〜16記載の発明によれば、転写面の転
写時に、プラスチック母材が確実に転写面に密着するの
に最低限必要な樹脂圧力を発生させるので、転写精度を
確保することができる。
【0082】請求項17〜22記載の発明によれば、内
部歪みなく高精度に成形された光学素子、光ディスク、
インクジェット用の流路板を容易に、かつ、低コストに
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第1実施例を実施する金型の一例を示す縦断面図であ
り、各工程での状態図である。
【図2】第1実施例のプラスチック母材の溶融について
の説明図であり、(a)は肉厚に対する均一化時間のグ
ラフ、(b)は表層部と中心部との温度変化を示すグラ
フである。
【図3】第1実施例の作用効果を説明するための説明図
であり、(a)および(b)は従来の金型で異なる樹脂
圧力が発生したときを示すその縦断面図である。
【図4】第1実施例の作用効果を説明する説明図であ
り、(a)は樹脂圧力の変化を示すグラフ、(b)は樹
脂温度の変化を示すグラフである。
【図5】第1実施例により成形した成形品の具体例を示
す側面図である。
【図6】図5に示す成形品を成形したときの樹脂圧力を
示すグラフであり、(a)は本実施例による成形時、
(b)は従来例によるものを示している。
【図7】第1実施例の他の態様で用いる金型の一例を示
す縦断面図であり、各工程での状態図である。
【図8】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第2実施例を実施する金型の一例を示す縦断面図であ
り、各工程での状態図である。
【図9】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第3実施例を実施する金型の一例を示す縦断面図であ
り、各工程での状態図である。
【図10】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法
の第4実施例を実施する金型の一例を示す縦断面図であ
る。
【図11】第4実施例を実施する際に用いるプラスチッ
ク母材の具体例を示す側面図である。
【図12】第4実施例の第1の他の態様を説明する説明
図であり、その縦断面図である。
【図13】第4実施例の第2の他の態様で用いる金型の
一例を示す縦断面図である。
【図14】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法
の第5実施例を実施する金型の一例を示す縦断面図であ
り、各工程での状態図である。
【符号の説明】
11、12 金型 13 キャビティ 14、34 プラスチック母材 15 転写面 16 溝(連通手段) 17 対向面(転写面) 18 ひけ 21 プラスチックレンズ(プラスチック光学素子) 26 隙間(連通手段) 27 多孔質体(断熱材) 28、29 空気層 31 孔(連通手段) 37 可動入駒 P1 樹脂圧力 P.L パーティング面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29C 43/52 B29C 43/52 B29D 11/00 B29D 11/00 G11B 7/26 521 G11B 7/26 521 // B29L 11:00 17:00 (72)発明者 渡部 順 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平4−366612(JP,A) 特開 昭57−57633(JP,A) 特開 平4−216913(JP,A) 特開 平2−133327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 43/00 - 43/02,43/32 B29C 43/36 - 43/42 B29C 43/50 - 43/58,33/02,33/20 B29C 33/42 - 33/44 B29C 35/00 - 35/16 B29D 11/00,17/00

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1個以上のキャビティを画成す
    るとともに、それぞれ少なくとも1つ以上の転写面を有
    する一対の金型を準備し、該金型のキャビティ内に略最
    終形状のプラスチック母材を挿入して型締めした後に、
    該プラスチック母材をその軟化温度以上に加熱して樹脂
    の熱膨張により転写面に樹脂圧力を発生させ該転写面を
    プラスチック母材に転写し、次いで、その温度を保持し
    てプラスチック母材の樹脂温度を均一にした後、該プラ
    スチック母材をその熱変形温度以下まで冷却して型開き
    し、取り出すプラスチック成形品の製造方法であって、 前記型締めから型開きまでの間で、少なくとも前記プラ
    スチック母材を冷却するときに、前記転写面以外の少な
    くとも1つの面の一部あるいは全部を外部と連通させた
    状態でプラスチック母材の樹脂温度を均一にした後、徐
    冷することを特徴とするプラスチック成形品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】略最終形状のプラスチック母材を挿入され
    る少なくとも1個以上のキャビティを画成するとともに
    該プラスチック母材に転写する転写面を有し、該プラス
    チック母材を挿入され型締めされた後にその軟化温度以
    上に加熱されることにより発生する樹脂圧力によって該
    プラスチック母材に転写面を転写する一対の成形金型で
    あって、 前記転写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは全
    部に開口し外部と連通させる連通手段を設けたことを特
    徴とするプラスチック成形品の成形金型。
  3. 【請求項3】少なくとも1個以上のキャビティを画成す
    るとともに、それぞれ少なくとも1つ以上の転写面を有
    する一対の金型を準備し、該金型のキャビティ内に略最
    終形状のプラスチック母材を挿入して型締めした後に、
    該プラスチック母材をその軟化温度以上に加熱して樹脂
    の熱膨張により転写面に樹脂圧力を発生させ該転写面を
    プラスチック母材に転写し、次いで、その温度を保持し
    てプラスチック母材の樹脂温度を均一にした後、該プラ
    スチック母材をその熱変形温度以下まで冷却して型開き
    し、取り出すプラスチック成形品の製造方法であって、 前記金型の型締め時に、前記転写面以外の少なくとも1
    つの面の一部あるいは全部とプラスチック母材との間に
    空気層を画成することを特徴とするプラスチック成形品
    の製造方法。
  4. 【請求項4】略最終形状のプラスチック母材を挿入され
    る少なくとも1個以上のキャビティを画成するとともに
    該プラスチック母材に転写する転写面を有し、該プラス
    チック母材を挿入され型締めされた後にその軟化温度以
    上に加熱されることにより発生する樹脂圧力によって該
    プラスチック母材に転写面を転写する一対の成形金型で
    あって、 前記キャビティを、プラスチック母材の体積よりも大き
    く、かつ、転写面以外の少なくとも1つの面の一部ある
    いは全部を該プラスチック母材と非接触になるように形
    成し、該転写面以外と該プラスチック母材との間に空気
    層を画成するように形成したことを特徴とするプラスチ
    ック成形品の成形金型。
  5. 【請求項5】少なくとも1個以上のキャビティを画成す
    るとともに、それぞれ少なくとも1つ以上の転写面を有
    する一対の金型を準備し、該金型のキャビティ内に略最
    終形状のプラスチック母材を挿入して型締めした後に、
    該プラスチック母材をその軟化温度以上に加熱して樹脂
    の熱膨張により転写面に樹脂圧力を発生させ該転写面を
    プラスチック母材に転写し、次いで、その温度を保持し
    てプラスチック母材の樹脂温度を均一にした後、該プラ
    スチック母材をその熱変形温度以下まで冷却して型開き
    し、取り出すプラスチック成形品の製造方法であって、 前記金型として、前記プラスチック母材の樹脂圧力に連
    動して外部との圧力差を小さくする方向に移動する入駒
    を設けたものを用いることを特徴とするプラスチック成
    形品の製造方法
  6. 【請求項6】 前記転写面をプラスチック母材に転写した
    後、前記金型の型締めを解除または互いを所定間隔離隔
    させて、該転写面以外の少なくとも1つの面の一部ある
    いは全部を外部と連通させることを特徴とする請求項1
    記載のプラスチック成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金型として、外部とキャビティ内とを
    連通させる孔、溝、または隙間のうち少なくともいずれ
    か1つ以上を、前記転写面以外の少なくとも1つの面の
    一部あるいは全部に設けたものを用いることを特徴とす
    る請求項1記載のプラスチック成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金型として、空気を透過する多孔質体
    を前記転写面以外の少なくとも1つの面の一部あるいは
    全部に配設したものを用い、 該多孔質体を介して外部とキャビティ内とを連通させる
    ことを特徴とする請求項1記載のプラスチック成形品の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記冷却時に、前記プラスチック母材の転
    写面に対応する面以外の少なくとも1つの面の一部ある
    いは全部の温度を、該転写面に対応する面の温度よりも
    高くすることを特徴とする請求項1、3または5のいず
    れかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記金型として、前記転写面以外の少な
    くとも1つの面の一部あるいは全部に対応する部位また
    は該部位の近傍に、熱伝導性の低い部材を設けたものを
    用いることを特徴とする請求項9記載のプラスチック成
    形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記プラスチック母材を形成する樹脂と
    して、軟化温度がガラス転移温度と同一または近接する
    非晶質熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする請求項
    1、3または5のいずれかに記載のプラスチック成形品
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記プラスチック母材を軟化温度以上に
    保持する時間を、5秒以上にしてプラスチック母材の樹
    脂温度を均一にすることを特徴とする請求項1、3また
    は5のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記プラスチック母材を軟化温度以上に
    保持して、その樹脂温度を均一にした後の前記転写面に
    発生する樹脂圧力を、5kgf/cm2 以下にすること
    を特徴とする請求項1、3または5のいずれかに記載の
    プラスチック成形品の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記プラスチック母材を軟化温度以上に
    加熱したときに転写面に発生する樹脂圧力を、10kg
    f/cm2 以上にして該転写面をプラスチック母材に転
    写することを特徴とする請求項1、3または5のいずれ
    かに記載のプラスチック成形品の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記プラスチック母材として、少なくと
    も熱変形温度以上に加熱したときの体積が前記キャビテ
    ィの容積よりも大きくなるものを用いることを特徴とす
    請求項14記載のプラスチック成形品の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記プラスチック母材として、少なくと
    も熱変形温度以上に加熱したときの前記転写面に対応す
    る面の法線方向の厚さが、型締めしたときの転写面およ
    びその対向面の間隔よりも厚くなるものを用いることを
    特徴とする請求項14記載のプラスチック成形品の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記転写面として、鏡面を形成した金型
    を用いることを特徴とする請求項1、3または5のいず
    れかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記鏡面を転写してプラスチック光学素
    子を成形することを特徴とする請求項17記載のプラス
    チック成形品の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記転写面として、微細な凹凸のパター
    ンを形成した金型を用いることを特徴とする請求項1、
    3または5のいずれかに記載のプラスチック成形品の製
    造方法。
  20. 【請求項20】 前記パターンを転写してプラスチック光
    学素子を成形することを特徴とする請求項19記載のプ
    ラスチック成形品の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記パターンを転写してプラスチック光
    ディスクを成形することを特徴とする請求項19記載の
    プラスチック成形品の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記パターンを転写してインクジェット
    用のプラスチック流路板を成形することを特徴とする
    求項19記載のプラスチック成形品の製造方法。
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