JP2022125777A - 化粧基材用含浸紙の製造方法、化粧基材の製造方法、及び化粧板の製造方法 - Google Patents

化粧基材用含浸紙の製造方法、化粧基材の製造方法、及び化粧板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させる。【解決手段】少なくとも一方の表面側が多孔質の木質板材10と、木質板材10の一方の表面に水系接着剤15を介して一体に接合され、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が含浸乾燥された含浸紙層20とを備え、水系接着剤15は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含み、含浸紙層20の全層の空隙を充填するように含浸紙層20に含浸硬化されている。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧基材、化粧板及び化粧基材用含浸紙の製造方法に関するものである。
従来、合板等の木質板材の表面に突板や化粧紙等の化粧シートを貼着してなる建築用の化粧板が広く知られている。
例えば、特許文献1には、合板等の多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布した後、その上に繊維質シートを載置してホットプレスにより加熱加圧し、繊維質シートを多孔質基板に接着させると共に繊維質シートに合成樹脂液を含浸硬化させることにより表面強化層を形成する、多孔性基板の表面強化方法が開示されている。
特許第3886330号公報
ところで、上記特許文献1に開示された多孔性基板の表面強化方法では、繊維質シートの全層に亘って合成樹脂液を均一に含浸及び硬化させるために、多量の合成樹脂液を必要とする。また、多孔質基板及び繊維質シートへの合成樹脂液の含浸性を向上させるために、合成樹脂液の粘度をそれほど高くすることができない。そのため、多孔質基板の表面に未硬化の合成樹脂液を含浸させた繊維質シートを載置した状態で加熱及びプレスすると、合成樹脂液が周囲に染み出し、プレス後の積層体の表面周辺部には、いわゆる熱硬化性の硬いバリが発生し、そのバリが脱落してプレス後の基板やプレス設備にゴミとして付着し、プレス時や製品を積み重ねる時に製品の表面や裏面に押され傷等の不良を発生させるおそれがある。なお、上記特許文献1に開示された多孔性基板の表面強化方法では、繊維質シートの全層に亘って合成樹脂液を均一に含浸及び硬化させるので、耐キャスター性を有するものである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る化粧基材は、少なくとも一方の表面側が多孔質の木質板材と、上記木質板材の一方の表面に水系接着剤により一体に接合され、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が含浸乾燥された含浸紙層とを備え、上記水系接着剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含み、上記含浸紙層の全層の空隙を充填するように該含浸紙層に含浸硬化されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、木質板材の多孔質の一方の表面には、水系メラミン樹脂を主成分とする水系接着剤によって、上記特許文献1のような繊維質シートでなく、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が予め含浸乾燥された含浸紙層が一体に接合されている。これにより、含浸紙層を構成する紙の繊維に撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤がコーティングされているので、水系接着剤の使用量が少なく済み、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができる。
また、水系接着剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいるので、水系接着剤の接着性能を確保することができる。これにより、水系接着剤が含浸硬化された含浸紙層が強化されるので、含浸紙層の耐キャスター性を向上させることができる。ここで、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含んでいれば、水系メラミン樹脂を確実に熱硬化させることができる。なお、水系接着剤において、100量部の水系メラミン樹脂に対して1質量部未満の硬化促進剤を含む場合には、水系メラミン樹脂の熱硬化が不足するおそれがある。また、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して5質量部を超える硬化促進剤を含む場合には、水系接着剤の増粘が速く進んだり、水系接着剤の硬化が速まって可使時間が短くなったりするおそれがある。また、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいれば、上述したように、水系接着剤の接着性能を確保することができる。なお、水系接着剤において、接着樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満のエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤が造膜し難いため、水系接着剤が木質板材や含浸紙層に浸透し過ぎるので、木質板材と含浸紙層との接合強度が不足するおそれがある。また、水系接着剤において、接着樹脂剤100質量部に対して、20質量部を超えるエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤が造膜し易いため、水系接着剤が含浸紙層に浸透し難くなって、含浸紙層の水系接着剤による強化が不十分になるので、含浸紙層の耐キャスター性や硬さ性能が不足するおそれがある。
したがって、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができる。
また、含浸紙層に含浸硬化された水系接着剤にエマルジョン樹脂が含まれていると、含浸紙層の耐水性の低下が懸念されるものの、含浸紙層に含浸乾燥された含浸剤に撥水剤が含まれているので、含浸紙層の耐水性を確保することができる。
さらに、木質板材の多孔質の一方の表面に含浸紙層を一体に接合するための水系接着剤が含浸紙層の全層の空隙を充填するように含浸紙層に含浸硬化されているので、含浸紙層の層間剥離を抑制することができ、耐キャスター性を具体的に向上させることができる。
上記含浸紙層の厚さは、0.2mm~0.5mmであり、上記含浸剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の上記撥水剤を含み、上記含浸紙層の全層に含浸乾燥されていてもよい。
上記の構成によれば、含浸紙層の厚さが0.2mm~0.5mmであるので、含浸樹脂剤及び水系接着剤により強化された含浸紙層を構成することができる。なお、含浸紙層の厚さが0.2mm未満である場合には、強度が不足すると共に、例えば、含浸紙層となる含浸紙を製造する際にシート状の紙材に含浸剤を含浸させた後に、その紙材を圧搾して含浸剤の余剰分を除去する際に紙材が破れるおそれがある。また、含浸紙層の厚さが0.5mmを超える場合には、含浸紙層の全層に水系接着剤を含浸することが困難になってしまう。さらに、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいるので、可撓性を有する含浸紙層を構成することができる。なお、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40質量部未満のアクリル樹脂を含んでいる場合には、含浸紙層の靭性が不足して(固く脆くなって)、割れが発生し易くなってしまう。また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して50質量部を超えるアクリル樹脂を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいるので、含浸紙層の耐水性を確保することができる。なお、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満の撥水剤を含んでいる場合には、含浸紙層の耐水性を確保することが困難になってしまう。また、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、15質量部を超える撥水剤を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂及びアクリル樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。さらに、含浸剤が含浸紙層の全層に均一に含浸乾燥され、且つ上述したように、水系接着剤により含浸紙層が強化されているので、含浸紙層の層間剥離を抑制することができ、耐キャスター性を向上させることができる。
上記撥水剤は、水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、撥水剤が水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいるので、含浸紙層の耐水性を確保することができる。なお、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が80質量%未満で且つブロックイソシアネートの含有量が20質量%を超える場合には、含浸紙層の耐水性が不足するおそれがある。また、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が95質量%を超え且つ未満でブロックイソシアネートの含有量が5質量%未満である場合には、含浸紙層における初期段階の撥水の効果が低下するおそれがある。
また、本発明に係る化粧板は、上述した化粧基材と、上記化粧基材の上記含浸紙層側の表面に一体に貼着された化粧シートとを備えていることを特徴とする。
上記の構成によれば、化粧基材において、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができるので、化粧基材の含浸紙層側の表面に化粧シートが一体に貼着された化粧板において、バリの発生に起因する貼着加工時の不良の発生を抑制することができる。
また、本発明に係る化粧基材用含浸紙の製造方法は、厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材に、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた後に、上記紙材を圧搾することにより、該含浸剤を該紙材の厚さ方向に浸透させると共に、該含浸剤の余剰分を除去する含浸工程と、上記含浸工程で処理された上記紙材を乾燥する乾燥工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法によれば、含浸工程において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材を圧搾することにより、含浸剤を紙材の厚さ方向に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去するので、シート状の紙材に含浸剤を均一に含浸させることができる。さらに、その後、乾燥工程を行うことにより、含浸剤が紙材の全層に均一に含浸乾燥される。ここで、紙材の厚さが0.2mm~0.5mmであるので、含浸樹脂剤により強化された化粧基材用含浸紙を製造することができる。なお、紙材の厚さが0.2mm未満である場合には、化粧基材用含浸紙の強度が不足すると共に、紙材を圧搾して含浸剤の余剰分を除去する際に紙材が破れるおそれがある。また、紙材の厚さが0.5mmを超える場合には、紙材の全層に含浸樹脂剤を含浸することが困難になってしまう。さらに、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいるので、可撓性を有する化粧基材用含浸紙を製造することができる。なお、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40質量部未満のアクリル樹脂を含んでいる場合には、化粧基材用含浸紙の靭性が不足して(固く脆くなって)、割れが発生し易くなってしまう。また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して50質量部を超えるアクリル樹脂を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂との相溶性が低下するおそれがある。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいるので、化粧基材用含浸紙の耐水性を確保することができる。なお、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満の撥水剤を含んでいる場合には、化粧基材用含浸紙の耐水性を確保することが困難になってしまう。また、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、15質量部を超える撥水剤を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂及びアクリル樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。
本発明によれば、木質板材の多孔質の一方の表面には、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含む水系接着剤によって、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が予め含浸乾燥された含浸紙層が一体に接合されているので、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る化粧板の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係る化粧基材、化粧板及び化粧基材用含浸紙の製造方法の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の化粧板50の断面図である。
化粧板50は、図1に示すように、板状に設けられた化粧基材30と、化粧基材30の一方(図中の上側)の表面に一体に貼着された化粧シート40とを備えている。
化粧基材30は、図1に示すように、少なくとも一方の表面側が多孔質の木質板材10と、木質板材10の一方(図中の上側)の表面に水系接着剤15により一体に接合された含浸紙層20とを備えている。
木質板材10は、例えば、厚さ3mm~25mm程度の合板、木質繊維板(インシュレーションボード(IB:insulation board)、中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)等)、配向性ストランドボード(OSB:Oriented Strand Board)、パーティクルボード(PB:particle board)、これらの単体又は複合体等により形成されている。なお、本実施形態では、厚さ方向の全層に亘って多孔質の木質板材10を例示したが、木質板材10は、含浸紙層20が接合される一方の表面側が多孔質であってもよい。
含浸紙層20は、例えば、厚さ0.2mm~0.5mm程度(好ましくは、0.25mm~0.35mm)の(化粧基材用)含浸紙により形成されている。ここで、含浸紙は、例えば、厚さ0.2mm~0.5mm程度のシート状の紙材に含浸剤が含浸乾燥されたものである。なお、含浸紙層20の厚さが0.2mm~0.5mmであれば、後述する含浸樹脂剤及び水系接着剤15により強化された含浸紙層を構成することができる。また、含浸紙層20(紙材)の厚さが0.2mm未満である場合には、含浸紙の強度が不足すると共に、後述する製造方法において、紙材を圧搾して含浸剤の余剰分を除去する際に紙材が破れるおそれがある。また、含浸紙層20(紙材)の厚さが0.5mmを超える場合には、紙材の全層に含浸樹脂剤を含浸することが困難になるので、含浸樹脂剤が含浸されていない中間層で層間剥離が発生したり、耐水性や硬さ性能が不足したりするおそれがある。さらに、含浸紙層20の表面全体には、水系接着剤15が染み上がっているので、含浸紙層20全体は、水系接着剤15により木質板材10に接合される前の(化粧基材用)含浸紙の色よりも濃い濡れ色になっている。
含浸紙層20を構成する紙材としては、例えば、樹脂含浸用紙、コア原紙、化粧板用原紙等を用いることができるが、水系接着剤の含浸性(吸水性)や含浸時のウエット強度が製造上問題ないものであれば、用いることができる。また、含浸紙層20を構成する紙材としては、未晒タイプと、漂白した晒タイプとの何れも用いることができる。また、含浸紙層20を構成する紙材としては、木質板材10の色の透過を抑制するために、微細な酸化チタンや着色顔料を漉き込んだ原紙を用いてもよい。
含浸紙層20を構成する含浸剤は、撥水剤及び含浸樹脂を含み、より具体的には、100質量部の水系メラミン樹脂(例えば、メラミン・ユリア共重合体樹脂等)に対して40~50質量部のアクリル樹脂(例えば、アクリル酸エステル共重合体樹脂等)を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含み、含浸紙層20の全層に均一に含浸乾燥されている。ここで、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいれば、可撓性を有する含浸紙層20を構成することができる。なお、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40質量部未満のアクリル樹脂を含んでいる場合には、含浸紙層20の靭性が不足して(固く脆くなって)、割れが発生し易くなってしまう。また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して50質量部を超えるアクリル樹脂を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいれば、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。なお、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満の撥水剤を含んでいる場合には、含浸紙層20の耐水性を確保することが困難になってしまう。また、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、15質量部を超える撥水剤を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂及びアクリル樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。さらに、撥水剤は、水系撥水剤(例えば、炭化水素系撥水剤等)80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいる。ここで、撥水剤が水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいれば、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。なお、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が80質量%未満で且つブロックイソシアネートの含有量が20質量%を超える場合には、含浸紙層20の耐水性が不足するおそれがある。また、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が95質量%を超え且つ未満でブロックイソシアネートの含有量が5質量%未満である場合には、含浸紙層における初期段階の撥水の効果が低下するおそれがある。また、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が95質量%を超え且つ未満でブロックイソシアネートの含有量が5質量%未満である場合には、含浸紙層20における初期段階の撥水の効果が低下するおそれがある。
水系接着剤15は、100質量部の水系メラミン樹脂(例えば、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物等)に対して1~5質量部の硬化促進剤(例えば、塩化アンモニウム等)を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂(例えば、変成スチレン・ブタジエン共重合体樹脂等)を含み、含浸紙層20の全層の空隙を充填するように含浸紙層20に含浸硬化されている。ここで、水系接着剤15において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含んでいれば、水系メラミン樹脂を確実に熱硬化させることができる。なお、水系接着剤15において、100量部の水系メラミン樹脂に対して1質量部未満の硬化促進剤を含む場合には、水系メラミン樹脂の熱硬化が不足するおそれがある。また、水系接着剤15において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して5質量部を超える硬化促進剤を含む場合には、水系接着剤15の増粘が速く進んだり、水系接着剤15の硬化が速まって可使時間が短くなったりするおそれがある。また、水系接着剤15において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいれば、水系接着剤15の接着性能を確保することができる。なお、水系接着剤15において、接着樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満のエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤15が造膜し難いため、水系接着剤15が木質板材10や含浸紙層20に浸透し過ぎるので、木質板材10と含浸紙層20との接合強度が不足するおそれがある。また、水系接着剤15において、接着樹脂剤100質量部に対して、20質量部を超えるエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤15が造膜し易いため、水系接着剤15が含浸紙層20に浸透し難くなって、含浸紙層20の水系接着剤による強化が不十分になるので、含浸紙層20の耐キャスター性や硬さ性能が不足するおそれがある。
化粧シート40は、例えば、厚さ0.1mm~0.5mm程度のオレフィンシートや厚さ0.1mm~3mm程度の突板等により形成されている。ここで、化粧シート40は、例えば、エチレン酢酸ビニル系接着剤やPUR(Poly Urethane Reactive)系接着剤等により化粧基材30の表面に一体に貼着されている。
次に、本実施形態の化粧板50の製造方法について説明する。なお、本実施形態の化粧板50の製造方法は、化粧基材用含浸紙の製造方法を含み、含浸剤準備工程、含浸工程、乾燥工程、水系接着剤準備工程、接着工程及び化粧シート貼着工程を備える。
<含浸剤準備工程>
まず、100質量部の水系メラミン樹脂に40~50質量部のアクリル樹脂を混合して、含浸樹脂剤を調製する。
続いて、水系撥水剤に所定量のブロックイソシアネートを混合して、水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含有する撥水剤を調製する。
その後、上記調製した含浸樹脂剤100質量部に上記調製した撥水剤を5~15質量部を混合して、含浸剤を調製する。なお、含浸剤の粘度が高い場合には、トータルの樹脂の含有率が30~70質量%になるように水を添加して、粘度を調整してもよい。
<含浸工程>
例えば、厚さ0.3mm程度のシート状の紙材に、上記含浸剤準備工程で調製した含浸剤を含浸させた後に、ロール等で扱くことにより、紙材を圧搾して、含浸剤を紙材の厚さ方向に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去する。
<乾燥工程>
上記含浸工程で処理された紙材を加熱した通風ドライヤー等で乾燥することにより、化粧基材用含浸紙を製造する。
<水系接着剤準備工程>
100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含むように、水系メラミン樹脂にエマルジョン樹脂を混合した後に、硬化促進剤を混合して、水系接着剤を調製する。
<接着工程>
例えば、厚さ12mm程度の合板からなる木質板材10の表面に、上記水系接着剤準備工程で調製した水系接着剤を160g/m程度で塗布した後に、その塗布面に上記製造された化粧基材用含浸紙を載せ、110℃程度で6.37mPа程度の圧力で120秒程度、熱圧プレスすることにより、化粧基材30を製造する。
<化粧シート貼着工程>
上記製造された化粧基材30の含浸紙層20側の表面に、例えば、エチレン酢酸ビニル系接着剤を塗布した後に、その塗布面に厚さ0.2mm程度のオレフィンシートからなる化粧シート40を貼着する。
以上のようにして、本実施形態の化粧板50を製造することができる。
次に、具体的に行った実験について説明する。
具体的には、下記の含浸実験例1~13の含浸紙を作製した。
<含浸実験例1>
まず、メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物からなる水系メラミン樹脂(樹脂含有率60%)100質量部にアクリルエマルジョン樹脂(樹脂含有率50%)45質量部を混合して、含浸樹脂剤を調製した後に、その含浸樹脂剤100質量部に撥水剤12.5質量部を混合して含浸剤を調製した。ここで、撥水剤は、水系撥水剤(三木理研工業(株)製のリケンパランPG-10)90質量%及びブロックイソシアネート(三木理研工業(株)製のリケンレジンMBX-31)10質量%で混合したものを使用した。
続いて、厚さ0.3mmの樹脂含浸用紙に、上記調製した含浸剤を含浸させた後に、ロールで扱くことにより、樹脂含浸用紙を圧搾して、含浸剤を樹脂含浸用紙に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去した後に、通風加熱ジェットドライヤーで乾燥することにより、化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例2>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から15質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例3>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から5質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例4>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から50質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例5>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から40質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例6>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から3質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例7>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から0質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例8>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から20質量部に変更して含浸剤を調製した。この実験例では、撥水剤が過剰になり、含浸剤における相溶性が悪かったので、樹脂含浸用紙に含浸剤を含浸させるに至らなかった。
<含浸実験例9>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から30質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例10>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から60質量部に変更して含浸剤を調製した。この実験例では、アクリル樹脂が過剰になり、含浸剤における相溶性が悪かったので、樹脂含浸用紙に含浸剤を含浸させるに至らなかった。
<含浸実験例11>
上記含浸実験例1における樹脂含浸用紙の厚さを0.3mmから0.2mmに変更して化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例12>
上記含浸実験例1における樹脂含浸用紙の厚さを0.3mmから0.5mmに変更して化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例13>
上記含浸実験例1における樹脂含浸用紙の厚さを0.3mmから0.6mmに変更して化粧基材用含浸紙を作製した。この実験例では、樹脂含浸用紙の厚さ方向の中心層に含浸剤が含浸されていない部分が確認された。
また、下記の接着剤実験例1~8の水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例1>
水系メラミン樹脂(樹脂含有率75%)100質量部に硬化促進剤(塩化アンモニウム)1.5質量部を混合して、接着樹脂剤を調製し、その調製した接着樹脂剤100質量部にラテックスエマルジョン樹脂(樹脂含有率50%)10質量部を混合して、水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例2>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から5質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例3>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から20質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例4>
上記接着剤実験例1における硬化促進剤の量を1.5質量部から1質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例5>
上記接着剤実験例1における硬化促進剤の量を1.5質量部から5質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例6>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から0質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例7>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から30質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例8>
上記接着剤実験例1における硬化促進剤の量を1.5質量部から0.5質量部に変更して水系接着剤を調製した。
さらに、下記の化粧板実験例1~18の化粧板を作製し、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験を行った。
<化粧板実験例1>
まず、厚さ11.7mmのラワン合板の表面に上記接着剤実験例1の水系接着剤を160g/mで塗布した後に、その塗布面に上記含浸実験例1の化粧基材用含浸紙を載せ、110℃で6.37mPаの圧力で120秒程度、熱圧プレスすることにより、化粧基材を作製した。
続いて、作製した化粧基材の含浸紙層側の表面に、例えば、エチレン酢酸ビニル系接着剤を塗布した後に、その塗布面に厚さ0.16mmのオレフィンシートを貼着することにより化粧板を作製し、その4辺の周端部に本実加工を施した。
~湿熱試験~
上記本実加工を施した化粧板の雄実、雌実を嵌合させ、この実嵌合部を狙って沸騰水を1mL滴下し、滴下した上に、沸騰水が500mL入ったビーカーを置き、20分間放置した後に、ビーカーを取り除き、24時間後に実嵌合部の等の外観(しわ・膨れ等の有無)を確認した。この試験の結果としては、しわ・膨れの発生が確認されなかった。
~耐キャスター試験~
上記作製した化粧板上に直径50mmの鉄製の単輪キャスターを載せ、荷重25kgで距離300mmを5000回往復させた後に、化粧板の表面を観察し、含浸紙の剥離の有無を確認した。この試験の結果としては、含浸紙の剥離の発生が確認されなかった。
~落球衝撃試験~
上記作製した化粧板を150mm×150mmにカットして試験体を作製し、その試験体を全面支持できるように、JIS R5201に規定された標準砂、豊浦産砂、又は目開き1.2mmのふるいを通過した乾燥状態の川砂を敷き詰め、その砂に支持された試験体上に500gの鋼球を75cmの高さから落下させ、表面の割れ等を観察した。この試験の結果としては、表面の割れの発生が確認されなかった。
~接着試験~
(1類浸漬剥離試験)
上記作製した試験体を沸騰水に4時間浸漬後、60℃で20時間乾燥させ、さらに、5時間後に再び沸騰水に4時間浸漬し、60℃で4時間乾燥させた後に、外観(剥離の有無)を確認した。この試験の結果としては、剥離の発生が確認されなかった。
(2類浸漬剥離試験)
上記作製した試験体を70±3℃の水に2時間浸漬後、60±3℃で3時間乾燥させた後に、外観(剥離の有無)を確認した。この試験の結果としては、剥離の発生が確認されなかった。
(常温水浸漬試験)
上記作製した試験体を25℃の水に7日間浸漬後、60℃で20時間乾燥させた後に、外観(剥離の有無)を確認した。この試験の結果としては、剥離の発生が確認されなかった。
<化粧板実験例2~7>
上記化粧板実験例1において、含浸実験例1の化粧基材用含浸紙の代わりに、上記含浸実験例2~5、11及び12の化粧基材用含浸紙を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験、接着試験及び反り確認試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験、接着試験及び反り確認試験の何れについても、問題がなかった。
<化粧板実験例8~11>
上記化粧板実験例1において、接着剤実験例1の水系接着剤の代わりに、上記接着剤実験例2~5の水系接着剤を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及接着試験の何れについても、問題がなかった。
<化粧板実験例12~14>
上記化粧板実験例1において、含浸実験例1の化粧基材用含浸紙の代わりに、上記含浸実験例6、7及び9の化粧基材用含浸紙を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、含浸実験例6を用いた化粧板実験例12では、撥水剤が不足しているので、湿熱試験で問題があり、含浸実験例7を用いた化粧板実験例13では、撥水剤が入っていないので、湿熱試験で問題があり、含浸実験例9を用いた化粧板実験例14では、アクリル樹脂が不足しているので、含浸紙層が脆くなり、落球衝撃試験で表面の割れが発生して問題があった。
<化粧板実験例15~17>
上記化粧板実験例1において、接着剤実験例1の水系接着剤の代わりに、上記接着剤実験例6~8の水系接着剤を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、接着剤実験例6を用いた化粧板実験例15では、ラテックスエマルジョン樹脂が入っていないので、水系接着剤の層が形成されず、接着試験で問題があり、接着剤実験例7を用いた化粧板実験例16では、ラテックスエマルジョン樹脂が多すぎるので、含浸紙層に水系接着剤が浸透せず、耐キャスター試験において含浸紙層で層間剥離が発生し、接着剤実験例8を用いた化粧板実験例17では、水系メラミン樹脂の硬化促進剤が不足しているので、水系メラミン樹脂が十分に硬化せず、接着試験で問題があった。
<化粧板実験例18>
上記化粧板実験例1において、水系接着剤の塗布量を160g/mから100g/mに変更して、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)を作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、耐キャスター試験において、含浸紙層で層間剥離が発生した。なお、化粧基材においては、含浸紙層の表面に水系接着剤が染み上がった部分と水系接着剤が染み上がっていない部分があり、含浸紙層の水系接着剤15による濡れ色が不均一であった。
以上の実験結果により、含浸紙層の厚さが0.2mm~0.5mmであることが好ましく、また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいることが好ましく、さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいることが好ましいことが分かった。また、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含んでいることが好ましく、接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいることが好ましいことが分かった。
以上説明したように、本実施形態の化粧基材30によれば、木質板材10の多孔質の一方の表面には、水系メラミン樹脂を主成分とする水系接着剤15によって、上記特許文献1のような繊維質シートでなく、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が予め含浸乾燥された含浸紙層20が一体に接合されている。これにより、含浸紙層20を構成する紙の繊維に撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤がコーティングされているので、水系接着剤15の使用量が少なく済み、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができる。また、水系接着剤15は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいるので、水系接着剤15の接着性能を確保することができる。これにより、水系接着剤15が含浸硬化された含浸紙層20が強化されるので、含浸紙層20の耐キャスター性を向上させることができる。したがって、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができる。
また、本実施形態の化粧基材30によれば、含浸紙層20に含浸硬化された水系接着剤15にエマルジョン樹脂が含まれていても、含浸紙層20に含浸乾燥された含浸剤に撥水剤が含まれているので、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。
また、本実施形態の化粧基材30によれば、木質板材10の多孔質の一方の表面に含浸紙層20を一体に接合するための水系接着剤15が含浸紙層20の全層の空隙を充填するように含浸紙層20に含浸硬化されているので、含浸紙層20の層間剥離を抑制することができ、耐キャスター性を向上させることができる。
また、本実施形態の化粧基材30によれば、撥水剤が水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいるので、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。
また、本実施形態の化粧板50によれば、化粧基材30において、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができるので、化粧基材30の含浸紙層20側の表面に化粧シート40が一体に貼着された化粧板50において、バリの発生に起因する貼着加工時の不良の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の化粧基材用含浸紙の製造方法によれば、含浸工程において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材を圧搾することにより、含浸剤を紙材の厚さ方向に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去するので、シート状の紙材に含浸剤を均一に含浸させることができる。さらに、その後、乾燥工程を行うことにより、含浸剤を紙材の全層に均一に含浸乾燥することができる。また、紙材の厚さが0.2mm~0.5mmであるので、含浸樹脂剤により強化された化粧基材用含浸紙を製造することができる。さらに、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいるので、可撓性を有する化粧基材用含浸紙を製造することができる。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいるので、化粧基材用含浸紙の耐水性を確保することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、木質板材の表面に含浸紙層が一体に接合された化粧基材及び化粧板を例示したが、本発明は、木質板材の表面に含浸紙層が一体に接合された非化粧基材及び非化粧板等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、接着剤が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができるので、極めて有用である。
10 木質板材
15 水系接着剤
20 含浸紙層
30 化粧基材
40 化粧シート
50 化粧板
本発明は、化粧基材用含浸紙の製造方法、化粧基材の製造方法、及び化粧板の製造方法に関するものである。
従来、合板等の木質板材の表面に突板や化粧紙等の化粧シートを貼着してなる建築用の化粧板が広く知られている。
例えば、特許文献1には、合板等の多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布した後、その上に繊維質シートを載置してホットプレスにより加熱加圧し、繊維質シートを多孔質基板に接着させると共に繊維質シートに合成樹脂液を含浸硬化させることにより表面強化層を形成する、多孔性基板の表面強化方法が開示されている。
特許第3886330号公報
ところで、上記特許文献1に開示された多孔性基板の表面強化方法では、繊維質シートの全層に亘って合成樹脂液を均一に含浸及び硬化させるために、多量の合成樹脂液を必要とする。また、多孔質基板及び繊維質シートへの合成樹脂液の含浸性を向上させるために、合成樹脂液の粘度をそれほど高くすることができない。そのため、多孔質基板の表面に未硬化の合成樹脂液を含浸させた繊維質シートを載置した状態で加熱及びプレスすると、合成樹脂液が周囲に染み出し、プレス後の積層体の表面周辺部には、いわゆる熱硬化性の硬いバリが発生し、そのバリが脱落してプレス後の基板やプレス設備にゴミとして付着し、プレス時や製品を積み重ねる時に製品の表面や裏面に押され傷等の不良を発生させるおそれがある。なお、上記特許文献1に開示された多孔性基板の表面強化方法では、繊維質シートの全層に亘って合成樹脂液を均一に含浸及び硬化させるので、耐キャスター性を有するものである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る化粧基材用含浸紙の製造方法は、厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材に、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた後に、上記紙材を圧搾することにより、該含浸剤を該紙材の厚さ方向に浸透させると共に、該含浸剤の余剰分を除去する含浸工程と、上記含浸工程で処理された上記紙材を乾燥する乾燥工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法によれば、含浸工程において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材を圧搾することにより、含浸剤を紙材の厚さ方向に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去するので、シート状の紙材に含浸剤を均一に含浸させることができる。さらに、その後、乾燥工程を行うことにより、含浸剤が紙材の全層に均一に含浸乾燥される。ここで、紙材の厚さが0.2mm~0.5mmであるので、含浸樹脂剤により強化された化粧基材用含浸紙を製造することができる。なお、紙材の厚さが0.2mm未満である場合には、化粧基材用含浸紙の強度が不足すると共に、紙材を圧搾して含浸剤の余剰分を除去する際に紙材が破れるおそれがある。また、紙材の厚さが0.5mmを超える場合には、紙材の全層に含浸樹脂剤を含浸することが困難になってしまう。さらに、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいるので、可撓性を有する化粧基材用含浸紙を製造することができる。なお、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40質量部未満のアクリル樹脂を含んでいる場合には、化粧基材用含浸紙の靭性が不足して(固く脆くなって)、割れが発生し易くなってしまう。また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して50質量部を超えるアクリル樹脂を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂との相溶性が低下するおそれがある。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいるので、化粧基材用含浸紙の耐水性を確保することができる。なお、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満の撥水剤を含んでいる場合には、化粧基材用含浸紙の耐水性を確保することが困難になってしまう。また、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、15質量部を超える撥水剤を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂及びアクリル樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。
また、本発明に係る化粧基材の製造方法は、少なくとも一方の表面側が多孔質の木質板材と、上記木質板材の上記一方の表面に水系接着剤により一体に接合され、上述した製造方法により製造された化粧基材用含浸紙からなる含浸紙層とを備えた化粧基材を製造する方法であって、上記水系接着剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでおり、上記水系接着剤が上記含浸紙層の全層の空隙を充填するように該含浸紙層の表面全体に染み上がり、且つ熱圧プレス時に余剰な樹脂がバリとして発生しないように上記水系接着剤を上記含浸紙層に含浸硬化させる接着工程を備えることを特徴とする。
上記の方法によれば、木質板材の多孔質の一方の表面には、水系メラミン樹脂を主成分とする水系接着剤によって、上記特許文献1のような繊維質シートでなく、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が予め含浸乾燥された含浸紙層が一体に接合されている。これにより、含浸紙層を構成する紙の繊維に撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤がコーティングされているので、水系接着剤の使用量が少なく済み、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができる。
また、水系接着剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいるので、水系接着剤の接着性能を確保することができる。これにより、水系接着剤が含浸硬化された含浸紙層が強化されるので、含浸紙層の耐キャスター性を向上させることができる。ここで、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含んでいれば、水系メラミン樹脂を確実に熱硬化させることができる。なお、水系接着剤において、100量部の水系メラミン樹脂に対して1質量部未満の硬化促進剤を含む場合には、水系メラミン樹脂の熱硬化が不足するおそれがある。また、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して5質量部を超える硬化促進剤を含む場合には、水系接着剤の増粘が速く進んだり、水系接着剤の硬化が速まって可使時間が短くなったりするおそれがある。また、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいれば、上述したように、水系接着剤の接着性能を確保することができる。なお、水系接着剤において、接着樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満のエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤が造膜し難いため、水系接着剤が木質板材や含浸紙層に浸透し過ぎるので、木質板材と含浸紙層との接合強度が不足するおそれがある。また、水系接着剤において、接着樹脂剤100質量部に対して、20質量部を超えるエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤が造膜し易いため、水系接着剤が含浸紙層に浸透し難くなって、含浸紙層の水系接着剤による強化が不十分になるので、含浸紙層の耐キャスター性や硬さ性能が不足するおそれがある。
したがって、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができる。
また、含浸紙層に含浸硬化された水系接着剤にエマルジョン樹脂が含まれていると、含浸紙層の耐水性の低下が懸念されるものの、含浸紙層に含浸乾燥された含浸剤に撥水剤が含まれているので、含浸紙層の耐水性を確保することができる。
さらに、木質板材の多孔質の一方の表面に含浸紙層を一体に接合するための水系接着剤が含浸紙層の全層の空隙を充填するように含浸紙層に含浸硬化されているので、含浸紙層の層間剥離を抑制することができ、耐キャスター性を具体的に向上させることができる
記撥水剤は、水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいてもよい。
上記の方法によれば、撥水剤が水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいるので、含浸紙層の耐水性を確保することができる。なお、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が80質量%未満で且つブロックイソシアネートの含有量が20質量%を超える場合には、含浸紙層の耐水性が不足するおそれがある。また、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が95質量%を超え且つ未満でブロックイソシアネートの含有量が5質量%未満である場合には、含浸紙層における初期段階の撥水の効果が低下するおそれがある。
また、本発明に係る化粧板の製造方法は、上述した製造方法により製造された化粧基板の上記含浸紙層側の表面に化粧シートを一体に貼着することを特徴とする。
上記の方法によれば、化粧基材において、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができるので、化粧基材の含浸紙層側の表面に化粧シートが一体に貼着された化粧板において、バリの発生に起因する貼着加工時の不良の発生を抑制することができる
本発明によれば、木質板材の多孔質の一方の表面には、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含む水系接着剤によって、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が予め含浸乾燥された含浸紙層が一体に接合されているので、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る化粧板の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係る化粧基材、化粧板及び化粧基材用含浸紙の製造方法の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の化粧板50の断面図である。
化粧板50は、図1に示すように、板状に設けられた化粧基材30と、化粧基材30の一方(図中の上側)の表面に一体に貼着された化粧シート40とを備えている。
化粧基材30は、図1に示すように、少なくとも一方の表面側が多孔質の木質板材10と、木質板材10の一方(図中の上側)の表面に水系接着剤15により一体に接合された含浸紙層20とを備えている。
木質板材10は、例えば、厚さ3mm~25mm程度の合板、木質繊維板(インシュレーションボード(IB:insulation board)、中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)等)、配向性ストランドボード(OSB:Oriented Strand Board)、パーティクルボード(PB:particle board)、これらの単体又は複合体等により形成されている。なお、本実施形態では、厚さ方向の全層に亘って多孔質の木質板材10を例示したが、木質板材10は、含浸紙層20が接合される一方の表面側が多孔質であってもよい。
含浸紙層20は、例えば、厚さ0.2mm~0.5mm程度(好ましくは、0.25mm~0.35mm)の(化粧基材用)含浸紙により形成されている。ここで、含浸紙は、例えば、厚さ0.2mm~0.5mm程度のシート状の紙材に含浸剤が含浸乾燥されたものである。なお、含浸紙層20の厚さが0.2mm~0.5mmであれば、後述する含浸樹脂剤及び水系接着剤15により強化された含浸紙層を構成することができる。また、含浸紙層20(紙材)の厚さが0.2mm未満である場合には、含浸紙の強度が不足すると共に、後述する製造方法において、紙材を圧搾して含浸剤の余剰分を除去する際に紙材が破れるおそれがある。また、含浸紙層20(紙材)の厚さが0.5mmを超える場合には、紙材の全層に含浸樹脂剤を含浸することが困難になるので、含浸樹脂剤が含浸されていない中間層で層間剥離が発生したり、耐水性や硬さ性能が不足したりするおそれがある。さらに、含浸紙層20の表面全体には、水系接着剤15が染み上がっているので、含浸紙層20全体は、水系接着剤15により木質板材10に接合される前の(化粧基材用)含浸紙の色よりも濃い濡れ色になっている。
含浸紙層20を構成する紙材としては、例えば、樹脂含浸用紙、コア原紙、化粧板用原紙等を用いることができるが、水系接着剤の含浸性(吸水性)や含浸時のウエット強度が製造上問題ないものであれば、用いることができる。また、含浸紙層20を構成する紙材としては、未晒タイプと、漂白した晒タイプとの何れも用いることができる。また、含浸紙層20を構成する紙材としては、木質板材10の色の透過を抑制するために、微細な酸化チタンや着色顔料を漉き込んだ原紙を用いてもよい。
含浸紙層20を構成する含浸剤は、撥水剤及び含浸樹脂を含み、より具体的には、100質量部の水系メラミン樹脂(例えば、メラミン・ユリア共重合体樹脂等)に対して40~50質量部のアクリル樹脂(例えば、アクリル酸エステル共重合体樹脂等)を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含み、含浸紙層20の全層に均一に含浸乾燥されている。ここで、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいれば、可撓性を有する含浸紙層20を構成することができる。なお、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40質量部未満のアクリル樹脂を含んでいる場合には、含浸紙層20の靭性が不足して(固く脆くなって)、割れが発生し易くなってしまう。また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して50質量部を超えるアクリル樹脂を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいれば、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。なお、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満の撥水剤を含んでいる場合には、含浸紙層20の耐水性を確保することが困難になってしまう。また、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、15質量部を超える撥水剤を含んでいる場合には、水系メラミン樹脂及びアクリル樹脂との相溶性が低下したり製造コストが高くなったりするおそれがある。さらに、撥水剤は、水系撥水剤(例えば、炭化水素系撥水剤等)80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいる。ここで、撥水剤が水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいれば、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。なお、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が80質量%未満で且つブロックイソシアネートの含有量が20質量%を超える場合には、含浸紙層20の耐水性が不足するおそれがある。また、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が95質量%を超え且つ未満でブロックイソシアネートの含有量が5質量%未満である場合には、含浸紙層における初期段階の撥水の効果が低下するおそれがある。また、撥水剤において、水系撥水剤の含有量が95質量%を超え且つ未満でブロックイソシアネートの含有量が5質量%未満である場合には、含浸紙層20における初期段階の撥水の効果が低下するおそれがある。
水系接着剤15は、100質量部の水系メラミン樹脂(例えば、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物等)に対して1~5質量部の硬化促進剤(例えば、塩化アンモニウム等)を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂(例えば、変成スチレン・ブタジエン共重合体樹脂等)を含み、含浸紙層20の全層の空隙を充填するように含浸紙層20に含浸硬化されている。ここで、水系接着剤15において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含んでいれば、水系メラミン樹脂を確実に熱硬化させることができる。なお、水系接着剤15において、100量部の水系メラミン樹脂に対して1質量部未満の硬化促進剤を含む場合には、水系メラミン樹脂の熱硬化が不足するおそれがある。また、水系接着剤15において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して5質量部を超える硬化促進剤を含む場合には、水系接着剤15の増粘が速く進んだり、水系接着剤15の硬化が速まって可使時間が短くなったりするおそれがある。また、水系接着剤15において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいれば、水系接着剤15の接着性能を確保することができる。なお、水系接着剤15において、接着樹脂剤100質量部に対して、5質量部未満のエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤15が造膜し難いため、水系接着剤15が木質板材10や含浸紙層20に浸透し過ぎるので、木質板材10と含浸紙層20との接合強度が不足するおそれがある。また、水系接着剤15において、接着樹脂剤100質量部に対して、20質量部を超えるエマルジョン樹脂を含む場合には、水系接着剤15が造膜し易いため、水系接着剤15が含浸紙層20に浸透し難くなって、含浸紙層20の水系接着剤による強化が不十分になるので、含浸紙層20の耐キャスター性や硬さ性能が不足するおそれがある。
化粧シート40は、例えば、厚さ0.1mm~0.5mm程度のオレフィンシートや厚さ0.1mm~3mm程度の突板等により形成されている。ここで、化粧シート40は、例えば、エチレン酢酸ビニル系接着剤やPUR(Poly Urethane Reactive)系接着剤等により化粧基材30の表面に一体に貼着されている。
次に、本実施形態の化粧板50の製造方法について説明する。なお、本実施形態の化粧板50の製造方法は、化粧基材用含浸紙の製造方法を含み、含浸剤準備工程、含浸工程、乾燥工程、水系接着剤準備工程、接着工程及び化粧シート貼着工程を備える。
<含浸剤準備工程>
まず、100質量部の水系メラミン樹脂に40~50質量部のアクリル樹脂を混合して、含浸樹脂剤を調製する。
続いて、水系撥水剤に所定量のブロックイソシアネートを混合して、水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含有する撥水剤を調製する。
その後、上記調製した含浸樹脂剤100質量部に上記調製した撥水剤を5~15質量部を混合して、含浸剤を調製する。なお、含浸剤の粘度が高い場合には、トータルの樹脂の含有率が30~70質量%になるように水を添加して、粘度を調整してもよい。
<含浸工程>
例えば、厚さ0.3mm程度のシート状の紙材に、上記含浸剤準備工程で調製した含浸剤を含浸させた後に、ロール等で扱くことにより、紙材を圧搾して、含浸剤を紙材の厚さ方向に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去する。
<乾燥工程>
上記含浸工程で処理された紙材を加熱した通風ドライヤー等で乾燥することにより、化粧基材用含浸紙を製造する。
<水系接着剤準備工程>
100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含むように、水系メラミン樹脂にエマルジョン樹脂を混合した後に、硬化促進剤を混合して、水系接着剤を調製する。
<接着工程>
例えば、厚さ12mm程度の合板からなる木質板材10の表面に、上記水系接着剤準備工程で調製した水系接着剤を160g/m程度で塗布した後に、その塗布面に上記製造された化粧基材用含浸紙を載せ、110℃程度で6.37mPа程度の圧力で120秒程度、熱圧プレスすることにより、化粧基材30を製造する。
<化粧シート貼着工程>
上記製造された化粧基材30の含浸紙層20側の表面に、例えば、エチレン酢酸ビニル系接着剤を塗布した後に、その塗布面に厚さ0.2mm程度のオレフィンシートからなる化粧シート40を貼着する。
以上のようにして、本実施形態の化粧板50を製造することができる。
次に、具体的に行った実験について説明する。
具体的には、下記の含浸実験例1~13の含浸紙を作製した。
<含浸実験例1>
まず、メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物からなる水系メラミン樹脂(樹脂含有率60%)100質量部にアクリルエマルジョン樹脂(樹脂含有率50%)45質量部を混合して、含浸樹脂剤を調製した後に、その含浸樹脂剤100質量部に撥水剤12.5質量部を混合して含浸剤を調製した。ここで、撥水剤は、水系撥水剤(三木理研工業(株)製のリケンパランPG-10)90質量%及びブロックイソシアネート(三木理研工業(株)製のリケンレジンMBX-31)10質量%で混合したものを使用した。
続いて、厚さ0.3mmの樹脂含浸用紙に、上記調製した含浸剤を含浸させた後に、ロールで扱くことにより、樹脂含浸用紙を圧搾して、含浸剤を樹脂含浸用紙に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去した後に、通風加熱ジェットドライヤーで乾燥することにより、化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例2>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から15質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例3>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から5質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例4>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から50質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例5>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から40質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例6>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から3質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例7>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から0質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例8>
上記含浸実験例1における撥水剤の量を12.5質量部から20質量部に変更して含浸剤を調製した。この実験例では、撥水剤が過剰になり、含浸剤における相溶性が悪かったので、樹脂含浸用紙に含浸剤を含浸させるに至らなかった。
<含浸実験例9>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から30質量部に変更して含浸剤を調製し、その含浸剤を用いて化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例10>
上記含浸実験例1におけるアクリルエマルジョン樹脂の量を45質量部から60質量部に変更して含浸剤を調製した。この実験例では、アクリル樹脂が過剰になり、含浸剤における相溶性が悪かったので、樹脂含浸用紙に含浸剤を含浸させるに至らなかった。
<含浸実験例11>
上記含浸実験例1における樹脂含浸用紙の厚さを0.3mmから0.2mmに変更して化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例12>
上記含浸実験例1における樹脂含浸用紙の厚さを0.3mmから0.5mmに変更して化粧基材用含浸紙を作製した。
<含浸実験例13>
上記含浸実験例1における樹脂含浸用紙の厚さを0.3mmから0.6mmに変更して化粧基材用含浸紙を作製した。この実験例では、樹脂含浸用紙の厚さ方向の中心層に含浸剤が含浸されていない部分が確認された。
また、下記の接着剤実験例1~8の水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例1>
水系メラミン樹脂(樹脂含有率75%)100質量部に硬化促進剤(塩化アンモニウム)1.5質量部を混合して、接着樹脂剤を調製し、その調製した接着樹脂剤100質量部にラテックスエマルジョン樹脂(樹脂含有率50%)10質量部を混合して、水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例2>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から5質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例3>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から20質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例4>
上記接着剤実験例1における硬化促進剤の量を1.5質量部から1質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例5>
上記接着剤実験例1における硬化促進剤の量を1.5質量部から5質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例6>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から0質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例7>
上記接着剤実験例1におけるラテックスエマルジョン樹脂の量を10質量部から30質量部に変更して水系接着剤を調製した。
<接着剤実験例8>
上記接着剤実験例1における硬化促進剤の量を1.5質量部から0.5質量部に変更して水系接着剤を調製した。
さらに、下記の化粧板実験例1~18の化粧板を作製し、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験を行った。
<化粧板実験例1>
まず、厚さ11.7mmのラワン合板の表面に上記接着剤実験例1の水系接着剤を160g/mで塗布した後に、その塗布面に上記含浸実験例1の化粧基材用含浸紙を載せ、110℃で6.37mPаの圧力で120秒程度、熱圧プレスすることにより、化粧基材を作製した。
続いて、作製した化粧基材の含浸紙層側の表面に、例えば、エチレン酢酸ビニル系接着剤を塗布した後に、その塗布面に厚さ0.16mmのオレフィンシートを貼着することにより化粧板を作製し、その4辺の周端部に本実加工を施した。
~湿熱試験~
上記本実加工を施した化粧板の雄実、雌実を嵌合させ、この実嵌合部を狙って沸騰水を1mL滴下し、滴下した上に、沸騰水が500mL入ったビーカーを置き、20分間放置した後に、ビーカーを取り除き、24時間後に実嵌合部の等の外観(しわ・膨れ等の有無)を確認した。この試験の結果としては、しわ・膨れの発生が確認されなかった。
~耐キャスター試験~
上記作製した化粧板上に直径50mmの鉄製の単輪キャスターを載せ、荷重25kgで距離300mmを5000回往復させた後に、化粧板の表面を観察し、含浸紙の剥離の有無を確認した。この試験の結果としては、含浸紙の剥離の発生が確認されなかった。
~落球衝撃試験~
上記作製した化粧板を150mm×150mmにカットして試験体を作製し、その試験体を全面支持できるように、JIS R5201に規定された標準砂、豊浦産砂、又は目開き1.2mmのふるいを通過した乾燥状態の川砂を敷き詰め、その砂に支持された試験体上に500gの鋼球を75cmの高さから落下させ、表面の割れ等を観察した。この試験の結果としては、表面の割れの発生が確認されなかった。
~接着試験~
(1類浸漬剥離試験)
上記作製した試験体を沸騰水に4時間浸漬後、60℃で20時間乾燥させ、さらに、5時間後に再び沸騰水に4時間浸漬し、60℃で4時間乾燥させた後に、外観(剥離の有無)を確認した。この試験の結果としては、剥離の発生が確認されなかった。
(2類浸漬剥離試験)
上記作製した試験体を70±3℃の水に2時間浸漬後、60±3℃で3時間乾燥させた後に、外観(剥離の有無)を確認した。この試験の結果としては、剥離の発生が確認されなかった。
(常温水浸漬試験)
上記作製した試験体を25℃の水に7日間浸漬後、60℃で20時間乾燥させた後に、外観(剥離の有無)を確認した。この試験の結果としては、剥離の発生が確認されなかった。
<化粧板実験例2~7>
上記化粧板実験例1において、含浸実験例1の化粧基材用含浸紙の代わりに、上記含浸実験例2~5、11及び12の化粧基材用含浸紙を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験、接着試験及び反り確認試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験、接着試験及び反り確認試験の何れについても、問題がなかった。
<化粧板実験例8~11>
上記化粧板実験例1において、接着剤実験例1の水系接着剤の代わりに、上記接着剤実験例2~5の水系接着剤を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及接着試験の何れについても、問題がなかった。
<化粧板実験例12~14>
上記化粧板実験例1において、含浸実験例1の化粧基材用含浸紙の代わりに、上記含浸実験例6、7及び9の化粧基材用含浸紙を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、含浸実験例6を用いた化粧板実験例12では、撥水剤が不足しているので、湿熱試験で問題があり、含浸実験例7を用いた化粧板実験例13では、撥水剤が入っていないので、湿熱試験で問題があり、含浸実験例9を用いた化粧板実験例14では、アクリル樹脂が不足しているので、含浸紙層が脆くなり、落球衝撃試験で表面の割れが発生して問題があった。
<化粧板実験例15~17>
上記化粧板実験例1において、接着剤実験例1の水系接着剤の代わりに、上記接着剤実験例6~8の水系接着剤を用いて、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)をそれぞれ作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、接着剤実験例6を用いた化粧板実験例15では、ラテックスエマルジョン樹脂が入っていないので、水系接着剤の層が形成されず、接着試験で問題があり、接着剤実験例7を用いた化粧板実験例16では、ラテックスエマルジョン樹脂が多すぎるので、含浸紙層に水系接着剤が浸透せず、耐キャスター試験において含浸紙層で層間剥離が発生し、接着剤実験例8を用いた化粧板実験例17では、水系メラミン樹脂の硬化促進剤が不足しているので、水系メラミン樹脂が十分に硬化せず、接着試験で問題があった。
<化粧板実験例18>
上記化粧板実験例1において、水系接着剤の塗布量を160g/mから100g/mに変更して、化粧基材及び化粧板(本実加工込み)を作製して、湿熱試験、耐キャスター試験、落球衝撃試験及び接着試験をそれぞれ行った。この試験の結果としては、耐キャスター試験において、含浸紙層で層間剥離が発生した。なお、化粧基材においては、含浸紙層の表面に水系接着剤が染み上がった部分と水系接着剤が染み上がっていない部分があり、含浸紙層の水系接着剤15による濡れ色が不均一であった。
以上の実験結果により、含浸紙層の厚さが0.2mm~0.5mmであることが好ましく、また、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいることが好ましく、さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいることが好ましいことが分かった。また、水系接着剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含んでいることが好ましく、接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいることが好ましいことが分かった。
以上説明したように、本実施形態の化粧基材30によれば、木質板材10の多孔質の一方の表面には、水系メラミン樹脂を主成分とする水系接着剤15によって、上記特許文献1のような繊維質シートでなく、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が予め含浸乾燥された含浸紙層20が一体に接合されている。これにより、含浸紙層20を構成する紙の繊維に撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤がコーティングされているので、水系接着剤15の使用量が少なく済み、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができる。また、水系接着剤15は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含んでいるので、水系接着剤15の接着性能を確保することができる。これにより、水系接着剤15が含浸硬化された含浸紙層20が強化されるので、含浸紙層20の耐キャスター性を向上させることができる。したがって、樹脂が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができる。
また、本実施形態の化粧基材30によれば、含浸紙層20に含浸硬化された水系接着剤15にエマルジョン樹脂が含まれていても、含浸紙層20に含浸乾燥された含浸剤に撥水剤が含まれているので、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。
また、本実施形態の化粧基材30によれば、木質板材10の多孔質の一方の表面に含浸紙層20を一体に接合するための水系接着剤15が含浸紙層20の全層の空隙を充填するように含浸紙層20に含浸硬化されているので、含浸紙層20の層間剥離を抑制することができ、耐キャスター性を向上させることができる。
また、本実施形態の化粧基材30によれば、撥水剤が水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいるので、含浸紙層20の耐水性を確保することができる。
また、本実施形態の化粧板50によれば、化粧基材30において、樹脂が硬化したバリの発生を抑制することができるので、化粧基材30の含浸紙層20側の表面に化粧シート40が一体に貼着された化粧板50において、バリの発生に起因する貼着加工時の不良の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の化粧基材用含浸紙の製造方法によれば、含浸工程において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材を圧搾することにより、含浸剤を紙材の厚さ方向に浸透させると共に、含浸剤の余剰分を除去するので、シート状の紙材に含浸剤を均一に含浸させることができる。さらに、その後、乾燥工程を行うことにより、含浸剤を紙材の全層に均一に含浸乾燥することができる。また、紙材の厚さが0.2mm~0.5mmであるので、含浸樹脂剤により強化された化粧基材用含浸紙を製造することができる。さらに、含浸剤において、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含んでいるので、可撓性を有する化粧基材用含浸紙を製造することができる。さらに、含浸剤において、含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含んでいるので、化粧基材用含浸紙の耐水性を確保することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、木質板材の表面に含浸紙層が一体に接合された化粧基材及び化粧板を例示したが、本発明は、木質板材の表面に含浸紙層が一体に接合された非化粧基材及び非化粧板等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、接着剤が硬化したバリの発生を抑制すると共に、耐キャスター性を向上させることができるので、極めて有用である。
10 木質板材
15 水系接着剤
20 含浸紙層
30 化粧基材
40 化粧シート
50 化粧板

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の表面側が多孔質の木質板材と、
    上記木質板材の一方の表面に水系接着剤により一体に接合され、撥水剤及び含浸樹脂を含む含浸剤が含浸乾燥された含浸紙層とを備え、
    上記水系接着剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して1~5質量部の硬化促進剤を含む接着樹脂剤100質量部に対して、5~20質量部のエマルジョン樹脂を含み、上記含浸紙層の全層の空隙を充填するように該含浸紙層に含浸硬化されていることを特徴とする化粧基材。
  2. 請求項1に記載された化粧基材において、
    上記含浸紙層の厚さは、0.2mm~0.5mmであり、
    上記含浸剤は、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の上記撥水剤を含み、上記含浸紙層の全層に含浸乾燥されていることを特徴とする化粧基材。
  3. 請求項1又は2に記載された化粧基材において、
    上記撥水剤は、水系撥水剤80~95質量%及びブロックイソシアネート5~20質量%を含んでいることを特徴とする化粧基材。
  4. 請求項1~3の何れか1つに記載された化粧基材と、
    上記化粧基材の上記含浸紙層側の表面に一体に貼着された化粧シートとを備えていることを特徴とする化粧板。
  5. 厚さ0.2mm~0.5mmのシート状の紙材に、100質量部の水系メラミン樹脂に対して40~50質量部のアクリル樹脂を含む含浸樹脂剤100質量部に対して、5~15質量部の撥水剤を含む含浸剤を含浸させた後に、上記紙材を圧搾することにより、該含浸剤を該紙材の厚さ方向に浸透させると共に、該含浸剤の余剰分を除去する含浸工程と、
    上記含浸工程で処理された上記紙材を乾燥する乾燥工程とを備えることを特徴とする化粧基材用含浸紙の製造方法。
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