JP3753473B2 - 化粧板 - Google Patents

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康裕 原田
秀行 小林
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用床材等の建築内装材料や家具用材料として使用するのに好適な化粧板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、合板などの木質材からなる基板の表面または表裏両面に、突板や合成樹脂製の化粧薄板又は印刷紙等の化粧シートを貼着したり、或いは塗装等を行って、表面化粧層を施してなる化粧板が、住宅等の建築物の床材や造作材或いは家具用材料として広く使用されている。しかしながら、例えば合板の表面に突板を貼着したのち、塗装仕上げしてなる一般的な化粧板を床材に使用した場合、湿気の吸収、放散に伴う合板の膨張、収縮によって表面の突板に細かい亀裂(干割れ)が生じたり、表面に重量の大きい家具の脚や落下物などによる局部的な荷重が加わると凹みが生じたりして外観を損なうという問題点がある。
【0003】
このため、合板等の木質材料からなる基板の表面または表裏両面に中比重木質繊維板(MDF)を接着して複合板を形成し、この複合板の中比重木質繊維板の表面に突板や合成樹脂製化粧シート又は印刷紙等の化粧シートを貼着したり、塗装等によって表面化粧層を形成してなる化粧板を床材等の建築材料などに使用する試みがなされている。
【0004】
このような化粧板の構成部材として使用されている上記中比重木質繊維板は、木質繊維に熱硬化性樹脂接着剤を添加し、加熱下で圧締成形することによって得られたものであるため、加熱面に直接接する表裏層部が高密部に形成され、内部は相対的に低密度に形成されることになる。従って、この中比重木質繊維板を合板などの基板に積層接着して得られた複合板の表面に上記のような表面化粧層を施すと、表面が緻密で硬質且つ平滑であり、方向性が少ない中比重木質繊維板によって表面化粧層に干割れ等の欠点が生じ難くなるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、中比重木質繊維板の厚さは通常2.7mm 以上であり、従ってこのような厚みを有する中比重木質繊維板を合板等の木質基板の片面に接着すると、基板と中比重木質繊維板との収縮率の差や収縮の方向性の相違によって化粧板に反りが発生しやすくなる。一方、木質基板の表裏両面に上記中比重木質繊維板を接着させると反りの問題は軽減されるが全体の厚みが厚くなり、製品が高価につくと共に生産効率も悪くなるという問題点が生じる。
【0006】
さらに、上記のような厚みを有する中比重木質繊維板を使用すると、高密度の表裏層部に比べて内部の低密度層の厚みの割合が大きいために、このような中比重木質繊維板を備えた上記化粧板をダイニングルームの床材に適用した場合、キャスター付ワゴン等による動的荷重を受けると中比重木質繊維板の低密度層に層間剥離が生じ、強度が低下すると共に表面の外観を損なうことがある。
【0007】
また、上記中比重木質繊維板は、その表裏層部が高密度に形成されているために、木質基板の表面または表裏面にこの中比重木質繊維板を接着して複合板を形成する際、中比重木質繊維板の高密度層には接着剤が浸透し難く、木質基板側に優先的に浸透して基材と中比重木質繊維板との接着が不充分となり、部分的な剥離が生じる虞れがあった。その上、上述したように、中比重木質繊維板の内部の低密度層に層間剥離が生じ、この剥離部が膨れ等となって化粧面に現出したり、耐久性を低下させるという問題点がある。
【0008】
このような層間剥離や上記反りの問題は、中比重木質繊維板の厚みを薄くすれば幾分軽減し得るが、厚みが3mm未満の中比重木質繊維板を得るには、現状の製造方法では生産性がきわめて悪く且つ高価につくと共に表裏層が高密度であるために上記問題点を解消するには到らないものである。さらに、木質基板に上記中比重木質繊維板を接着してなる複合板の該中比重木質繊維板表面に化粧層を施して化粧板を得る場合、中比重木質繊維板の表層が緻密で硬質の高密度層であるため、化粧層の種類によってはこの中比重木質繊維板の表面との密着性が悪くなり商品価値が低下するという問題点があった。本発明はこのような問題点を解消し得る化粧板の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の化粧板は、木質基板の少なくとも片面に表層側が高密度で裏層側が低密度に形成された厚さ3mm以下の中比重木質繊維板の低密度側裏面が積層接着されて複合板を形成し、さらに、この複合板の表面に表面化粧層を層着してなる化粧板であって、上記中比重木質繊維板の高密度表層部にはその表面全面に亘って多数の微少凹部が規則的に形成されていると共に、この微少凹部を有する中比重木質繊維板の高密度表層の表面に塗装による表面平滑な塗布層が設けられ、この塗布層上に上記表面化粧層が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
このように構成した化粧板において、請求項2に係る発明は、中比重木質繊維板の低密度裏層部に木質基板との接着剤の浸透層を形成していることを特徴とする
【0011】
【作用効果】
本発明の化粧板によれば、表層側が高密度で裏層側が低密度に形成された厚さ3mm以下の薄い中比重木質繊維板を、その低密度側裏面を木質基板の面に向けて該木質基板に積層接着しているので、木質基板の収縮力や方向性に対して中比重木質繊維板は殆ど影響せず、反りの発生を減少させることができると共に中比重木質繊維板の高密度層に対して低密度層の割合が小さくて該低密度層が薄く形成されているので、ワゴンのキャスターや家具の脚等からの局部荷重を受けても層間剥離現象が生じ難いものである。
【0012】
さらに、中比重木質繊維板が表面側を高密度層に、裏面側を低密度層に形成され、且つこの低密度層を木質基板に積層接着しているので、高密度層を介して接着している従来の中比重木質繊維板とは異なって、木質基板の面に中比重木質繊維板の低密度層が良く馴染んで全面的に良好に接着することができると共に低密度層に対する接着剤の浸透性が良くて木質基板と強固に接着させることができるものであり、その上、浸透した接着剤によって層間剥離の生じ易い低密度層を強化することができ、使用条件が厳しい環境下においても剥離現象が生じ難くなると共に局部荷重に対しても充分に耐えることができ、凹み変形が生じ難く且つ反りの発生を抑制し得る耐久性に優れた化粧板を提供し得るものである。
【0013】
また、木質基板に積層接着した中比重木質繊維板の高密度層を露出面にして複合板が形成され、この高密度層に全面に亘って多数の微小凹部を規則的に形成しているので、中比重木質繊維板の該高密度層表面に突板や化粧シート、或いは塗膜などの表面化粧層を施す場合やその他の材料と複合する場合には、接着剤や塗料が上記微小凹部に食い込んでアンカー作用を発揮し、高密度層表面に対する密着性や接着性を強固にすることができて複合板の優れた性能を有する化粧板が得られると共に、該微小凹部内を通じて接着剤等を低密度層側に浸透、硬化させ、中比重木質繊維板の層間剥離の発生を抑制したり、局部荷重や繰り返し荷重に対する抵抗力を向上させることができる。
【0014】
さらに、上記複合板における微少凹部を有する高密度表層の表面に塗装による表面平滑な塗布層を設け、この塗布層上に表面化粧層を設けることによって、微小凹部が表面の化粧層に影響するのを塗布層によって防止することができ、特に、ダイレクト印刷等の印刷や塗装、或いは薄葉紙などの化粧シートにより化粧層を設ける場合に優れた化粧性を発揮し得るものであり、その上、中比重木質繊維板の高密度層表面と化粧層とに対して馴染みの良い塗料を用いて両者の接着を強固に行え、外観ばかりでなく優れた耐久性を有する化粧板を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述すると、複合板1は所望厚みを有する木質基板2と、表層側が繊維密度が緻密な高密度層3aで裏層側が粗な低密度層3bに形成された厚さ3mm以下の中比重木質繊維板3とからなり、この中比重木質繊維板3の低密度層3b側裏面を木質基板2に重ね合わせて一体に接着してなるものであり、図1、図2においては該木質基板2の表面のみに中比重木質繊維板3を積層接着してなる複合板1を示し、図4においては該木質基板2の表裏両面に中比重木質繊維板3を積層接着してなる複合板1を示している。
【0016】
木質基板2としてはパーティクルボード、ウエハーボード、ストランドボード等の木削片板や、合板、集成材、LVL、木質繊維板等の木質板が使用される。なお、このような木質板以外に、表裏層部が鉱物質繊維を主原料として形成された高密度層で、芯層部が無機質軽量発泡骨材で形成された低密度層の比重が0.5 〜1.0 の無機質系板状体等も木質基板2の代わりに採用することもできる。
【0017】
一方、木質基板2に積層接着する中比重木質繊維板3としては、上記のように高密度層3aからなる表層部と低密度層3bからなる裏層部とからなるものであり、その全体の比重は0.5 〜0.9 程度、好ましくは0.6 〜0.8 の中比重木質繊維板が用いられる。なお、比重が0.9 以上の木質繊維板を用いると、複合板や化粧板としては固くなりすぎて感触が悪くなると共に反り等の変形が生じ易くなり、また、比重が0.5 未満では耐圧強度が不足し、用途が限られてしまうので好ましくない。
【0018】
一般に、中比重木質繊維板を製造するには、熱硬化性樹脂等の接着剤を添加した木質繊維をマット状に成形したのち、このマット状物を上下に熱圧プレートを備えたバッチ式ホットプレスや無端状に巡回するベルト状の上下熱圧プレートを備えた連続プレス装置で板状に熱圧成形することによって製造されるものであるが、得られた中比重木質繊維板は、上下熱圧プレートに接する表裏面が平滑面で且つ緻密の層(高密度層)に形成され、内部は繊維密度が粗な低密度層となっているので、本発明に使用する上述したような表層側が高密度で裏層側が低密度の中比重木質繊維板2を得ることができない。
【0019】
このような表層側高密度層3aと裏層側低密度層3bとを有する厚みの薄い中比重木質繊維板3は、次に列記するいずれかの方法によって得ることができる。すなわち、1)上記常法によって得られた内部が低密度層で表裏側が高密度層となっている中比重木質繊維板において、その裏面側の高密度層をサンディングやブラッシング等により研削、除去する。
2)上記常法によって中比重木質繊維板を製造する際に、マット状物の中間層に網状物などの微小凹凸面を有するシート状物を介在させておき、成形後にこのシート状物を介して中間層から2分することにより、表裏にそれぞれ高密度層と低密度層を有する2枚の薄い中比重木質繊維板を得る。
3)上記常法によって中比重木質繊維板を製造する際に、マット状物の中間層に接着剤を塗布しない層を設けておき、このマット状物を加熱、加圧した後、該中間層で剥離を生じさせて2分することにより、表裏にそれぞれ高密度層と低密度層を有する2枚の薄い中比重木質繊維板を得る。
4)上記常法によって得られた厚みのある中比重木質繊維板を、その厚み方向の中央部から割裂させて2分することにより、表裏にそれぞれ高密度層と低密度層を有する2枚の薄い中比重木質繊維板を得る。
5)上記常法によって得られた中比重木質繊維板において、その裏面高密度層に無数の小さな鋸目や切目を入れることにより粗な密度に形成し、表面側が高密度層で裏面側が低密度層の中比重木質繊維板とする。
【0020】
このようにして得られた中比重木質繊維板3は、表面側が高密度層3aで裏面側が低密度層3bに形成され且つ表面から裏面に向かって密度傾斜を有したものとなる。具体的には表層部約0.5mm 厚部分の平均比重は約0.7 〜1.1 程度、好ましくは0.75〜1.0 であるのに対して、裏層部約0.5mm の厚さ部分の平均比重は約0.4 〜0.75程度、好ましくは0.55〜0.70の範囲であり、且つ平均的に表面から裏面に向かって徐々に比重が小さくなった密度傾斜を有する中比重木質繊維板3が得られる。
【0021】
この中比重木質繊維板3の高密度層3aと低密度層3bとの上記比重範囲において高密度層3aの最低比重が0.7 であり、低密度層3bの最高比重が0.75であるが、用いる中比重木質繊維板3としては、常に低密度層3bの比重が高密度層3aの比重よりも小さいもの、即ち、高密度層3aの比重が0.7 の場合にはこの比重よりも小さい比重の低密度層3bを有する中比重木質繊維板3を使用するものである。そして高密度層3aや低密度層3bの上記比重範囲内において、床材や壁材、建築用材等の使用目的に応じた比重の中比重木質繊維板3を選択するものであり、また、木質基板2の種類に応じて該木質基板2との接着性や得られる複合板1の強度を鑑みて所定の比重を有する中比重木質繊維板3を使用する。
【0022】
中比重木質繊維板3の厚さは1〜3mm程度のものが適している。特に図3に示すように、木質基板2の表面に中比重木質繊維板3をその低密度層3b側の裏面を木質基板の面に向けて積層接着することにより上記複合板1を形成し、この複合板1を台板としてその中比重木質繊維板3の高密度層3aの表面に突板等化粧材からなる化粧層4を貼着してなる化粧板Aにおいては、該中比重木質繊維板3の厚みが1〜3mmの範囲内のものを用いて木質基板2の膨張、収縮による化粧層4の干割れや木質基板2の低密度層3bによる膨れ、凹凸などが現出しないようにすると共に木質基板2と中比重木質繊維板3との接着を強固にすることが望ましい。中比重木質繊維板3の厚さが3mmを超えると、中比重木質繊維板3の低密度層3bが厚くなって化粧板Aを床材などに使用した場合、動的荷重を受けるとその低密度層3b内で層間剥離が生じたり、低密度層3bが湿気等の水分を吸収して膨張ムラが生じ、さらに、反り等の変形が生じるので好ましくない。
【0023】
木質基板2の表面又は表裏両面に中比重木質繊維板3を積層接着してなる複合板1は、上記のように、中比重木質繊維板3の低密度層3b側を木質基板2の面に向けて重ね合わせた状態で接着剤5により一体に接着することによって得られるものであるが、この際、中比重木質繊維板3の低密度層3bをその低密度を保持する範囲内で研削等により厚み調整しておいてもよい。
【0024】
木質基板2と中比重木質繊維板3の低密度層3bとを接着する接着剤5としては複合板1の用途などに合わせて適宜に選定するものであるが、通常は尿素−ホルマリン樹脂、尿素−メラミン−ホルマリン樹脂、メラミン−フェノール、ホルマリン樹脂、アルキルフェノールホルマリン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、水性ビニルウレタン樹脂、酢ビ−尿素系水性樹脂、アクリル−メラミン系水性エマルジョン、ポバール−イソシアネート水性エマルジョンなど、酢酸ビニル系、尿素樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール系、ウレタン系、エポキシ系の接着剤を使用する。
【0025】
上記接着剤5において、低分子量の接着剤を単独で用いると、中比重木質繊維板3の低密度層3bに接着剤が浸透しすぎてかえって木質基板2との接着性が悪くなることがあるので、低分子量の接着剤と高分子量の接着剤とを組み合わせた複合系の接着剤を用い、中比重木質繊維板3の低密度層3bに対する浸透性を適当に調整することが好ましい。また、木質基板2の表裏層が中比重木質繊維板3の低密度層3bと同様に密度が粗な場合には、充填性のよい接着剤や発泡性のある接着剤を使用して木質基板2と中比重木質繊維板3の低密度層3bとの接合面間の空隙を該接着剤によって充填し、両者の接着を一層強固にすることができる。
【0026】
さらに、木質基板2の接する中比重木質繊維板3の低密度層3b内に接着剤5が容易に浸透して該低密度層3bに接着剤の浸透層5aが全面的に設けられ、この浸透層5aによって中比重木質繊維板3を木質基板2に強固に接着しておくことができるばかりでなく、この浸透層5aが強化層となって層間剥離が防止されると共に局部荷重に対する耐圧性が向上し、その上、反り等の変形が生じ難くなるものである。
【0027】
上記のように構成した複合板1の表面に化粧層4を施工して化粧板Aを形成する場合、複合板1の表面材である中比重木質繊維板3の高密度層3aの表面全面に図1、図2に示すように、低密度層3bに達する多数の微小凹部6を規則的に形成しておくことが望ましい。
【0028】
このような微小凹部6は、次に列記するような手段によって中比重木質繊維板3の高密度層3aに設けることができる。即ち、
1)周面に多数の微小突起を設けた回転ロールやプレートを中比重木質繊維板3の高密度層3aの表面に押圧することによって形成する。
2)中比重木質繊維板3を製造する際の熱圧成形時に、熱圧プレート面に多数の微小突起を突設した型材を装着しておき、熱圧成形と同時に形成する。
3)中比重木質繊維板3を製造する際に、その中間層に剥離層や割裂層を設けておき、この中比重木質繊維板3の高密度層である表裏面を周面に多数の微小突起を突設してなる上下一対の回転ロールによって挟圧したのち剥離層や割裂層を介して2分させる。
4)木質基板2に中比重木質繊維板3を接着した複合板1を形成したのち、木質基板2の高密度層3aを多数の微小突起を設けた回転ロールやプレートによって押圧する。
5)中比重木質繊維板3の高密度層3aにレーザビームによって小径孔を多数穿設する。
微小凹部6の深さは中比重木質繊維板3の高密度層3aの厚みによって変わるが、0.2mm 以上あればよい。
【0029】
化粧板Aは上記複合板1の表面に化粧層4を層着してなるものであるが、このような化粧層4を施すには、1)複合板1を構成している中比重木質繊維板3の高密度層3aの表面に突板や化粧シートを貼着する、2)該高密度層3aの表面に塗装したり直接印刷する、3)下地塗りを行う、などの方法があり、さらにこれらの方法を組み合わせて複合板1の表面に化粧層4を形成することにより化粧板Aを作製してもよい。
【0030】
この化粧板Aを得る場合において、上述したように複合板1の表面材を構成している中比重木質繊維板3の高密度層3aに多数の微小凹部6を設けておけば、該高密度層3aの表面に突板等を貼着する接着剤や塗布する塗料が微小凹部6に食い込んでアンカー作用を発揮するので、高密度層3aの表面に対する突板や化粧シートの貼着が強固になると共に塗料の場合には密着性が良好となり、その上、接着剤や塗料の一部が微小凹部6内に浸透して表面が強化された化粧板Aを得ることができる。また、微小凹部6が中比重木質繊維板3の低密度層3bに達する深さまで設けられている場合には、該微小凹部6を通じて接着剤が低密度層3bまで浸透して層間剥離の生じ易い低密度層3bを強化することができ、使用条件が厳しい環境下においても剥離現象が生じ難くなると共に局部荷重に対しても充分に耐えることができる化粧板Aが得られる。なお、上記複合板1の表面のみに限らず、表裏両面に化粧層4、4を貼着して化粧板Aを構成してもよい。
【0031】
化粧板Aの製造方法としては、木質基板2の両面又は片面に上記接着剤5を40〜200g/cm2程度塗布し、必要に応じて予備乾燥したのち、上記中比重木質繊維板3の低密度層3b側を接着剤層上に載置し、加圧又は加熱加圧して接着剤5を硬化を完了させる。なお、加圧は5〜20Kg/cm2の圧力で行い、加熱する場合には80〜180 ℃で行う。こうして得られた複合板1の片面又は両面に上述したように突板等の化粧単板や化粧シート、化粧フイルムを貼着して化粧板Aを得る。また、中比重木質繊維板3の高密度層表面にダイレクト印刷や極薄の化粧材を層着して化粧層4を形成した場合、中比重木質繊維板3側の欠点が表面に現出する等の好ましくない現象が生じる虞れがあるので、この場合には、高密度層表面に下地塗装等を施したのち化粧仕上げを行うものである。次に、本発明の具体的な実施例と比較例を示す。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕
表裏面から内部に向かって0.1 〜0.6 mmの厚み部分の平均比重がそれぞれ0.89、0.86であり、厚さ方向の中央から表裏面に向かってそれぞれ0.5mm の厚み部分即ち、中央の厚さ1.0mm の部分の平均比重が0.67に形成されている表裏層が高密度層で芯部が低密度層の厚さ約3mmの中比重木質繊維板を、その厚さ方向の略中央から2分割して厚さが約1.5mの表層側が高密度層で裏層側が低密度層の2枚の木質繊維板を得た。この木質繊維板を1枚、表面にビニルウレタン接着剤を140g/m2 塗布したのち予備乾燥してなる厚さ9mmの合板の表面にその低密度層側を向けて載置し、130 ℃、7Kg/cm2の熱圧条件で5分間、接着して複合板を得た。次いで、この複合板を構成している上記木質繊維板の高密度層表面を、周面に多数の金属突起を植設してなるロールで押圧して該高密度層に深さが約0.3mm 、長さ3mm、幅0.15mmの多数の微小凹部を形成し、この高密度層表面にビニルウレタン系接着剤を90g/m2塗布した後、木目模様を印刷した化粧薄葉紙を接着して化粧板を得た。得られた化粧板を沸騰水中に4時間浸漬し、60℃のドライヤーで20時間乾燥する試験を2サイクル行ったが、表面化粧層の性状に殆ど変化がなく良好な外観を呈していた。また、合板と木質繊維板および木質繊維板と化粧層との接着性も良好であり、木質繊維板の内部においては層間剥離も生じていなかった。さらに、碁盤目テスト(2mm間隔の目)によるセロファン剥離テストによっても剥離が生じず、全体の反りも殆ど生じなかった。
【0033】
〔実施例2〕
上記実施例1における表裏層が高密度層で芯部が低密度層の厚さ3mmの中比重木質繊維板の裏層側を1mm厚程度サンディングにより切削して表面から内部に向かって0.1 〜0.6 mmの厚み部分の平均比重が0.86で裏面から内部に向かって0.1 〜0.5 mmの厚み部分の平均比重が0.65の密度勾配を有する厚さ2mmの木質繊維板を得た。この木質繊維板を2枚作製した。一方、木質基板として厚さ12mmのカポール材合板を用い、このカポール合板の両面に分子量2000のポリプロピレングリコールとMDIを等重量の割合で混合し且つ室温で2時間反応させて作製した接着剤を200g/cm2塗布した。この接着剤塗布面に上記木質繊維板をそれぞれその低密度層側を接着剤塗布面に向けて重ね合わせたのち、ホットプレスによって120 ℃、7Kg/cm2の熱圧条件で10分間、接着して複合板を得た。この熱圧処理によって接着剤は木質繊維板の低密度層内に浸透して該低密度層に接着剤浸透強化層が形成された。次いで合板の表裏面に接着している木質繊維板の高密度層の表面に上記接着剤を120g/cm2塗布し、さらに、この接着剤を介して厚さ0.3mm のナラ材化粧単板を載置して接着した後、該化粧単板表面をサンディングし、トップコートとして2液ウレタン樹脂塗料を塗装した。こうして得られた化粧板を実施例1と同様の試験を行ったところ、煮沸乾燥試験においても碁盤目試験においても良好な結果が得られた。
【0034】
〔比較例1〕
上記実施例2における表裏層が高密度層で芯部が低密度層の厚さ3mmの中比重木質繊維板をそのまま使用し、この中比重木質繊維板を、表面にビニルウレタン接着剤を140g/m2 塗布したのち予備乾燥してなる厚さ9mmの合板の表面に載置し、130 ℃、7Kg/cm2の熱圧条件で5分間、接着して複合板を得た。次いで、この複合板を構成している上記中比重木質繊維板の表面にビニルウレタン系接着剤を90g/m2塗布した後、木目模様を印刷した化粧薄葉紙を接着して化粧板を得た。得られた化粧板を沸騰水中に4時間浸漬し、60℃のドライヤーで20時間乾燥する煮沸乾燥試験を2サイクル行ったところ、煮沸水中に対する浸漬後には中比重木質繊維板の周辺部に膨れが生じ、乾燥後には中比重木質繊維板の中間層に層間剥離が生じていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面に中比重木質繊維板を貼着してなる複合板の簡略斜視図、
【図2】 その一部の拡大縦断面図、
【図3】 複合板の表面に化粧層を設けてなる化粧板の斜視図、
【図4】 表裏両面に中比重木質繊維板を貼着してなる複合板の縦断面図。
【符号の説明】
1 複合板
2 木質基板
3 中比重木質繊維板
3a 高密度層
3b 低密度層
4 化粧層
5 接着剤
6 微小凹部
A 化粧板

Claims (2)

  1. 木質基板の少なくとも片面に、表層側が高密度で裏層側が低密度に形成された厚さ3mm以下の中比重木質繊維板を、その低密度側裏面を木質基板の面に向けて積層接着してなる複合板の表面に表面化粧層を層着してなる化粧板において、上記中比重木質繊維板の高密度表層部にはその表面全面に亘って多数の微少凹部が規則的に形成されていると共に、この微少凹部を有する中比重木質繊維板の高密度表層の表面に塗装による表面平滑な塗布層が設けられ、この塗布層上に上記表面化粧層が設けられていることを特徴とする化粧板。
  2. 中比重木質繊維板の低密度裏層部に木質基板との接着剤の浸透層を形成していることを特徴とする請求項に記載の化粧板
JP19287196A 1996-07-02 1996-07-02 化粧板 Expired - Fee Related JP3753473B2 (ja)

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