JP3836317B2 - 強化化粧板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装飾性と表面硬度に優れた強化化粧板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、木材化粧単板(突き板)からなる化粧薄シート材に合成樹脂液を含浸して強化した合成樹脂強化薄シート材を合板等の基板表面に一体に積層してなる樹脂強化化粧板は、以下に述べるような方法で製造されている。
【0003】
第1の方法は、乾燥した木材化粧単板(突き板)を注入釜に入れてこの注入釜に合成樹脂液を注入した後、減圧法、減圧加圧法により上記木材化粧単板に合成樹脂液を含浸させ、次いで、この合成樹脂液含浸木材化粧単板をホットプレスで加熱加圧して合成樹脂液を硬化させることにより合成樹脂強化化粧単板を製造し、この合成樹脂強化化粧単板を合板等の基板の表面に接着剤を用いて接着することにより樹脂強化化粧板を製造する方法である。
【0004】
第2の方法は、上記第1の方法と同様にして乾燥した木材化粧単板に合成樹脂液を含浸したのち、該合成樹脂液が未硬化の状態で合板等の基板の表面に積層し、しかるのち、この積層物をホットプレスで加熱加圧して合成樹脂液を硬化させると共にその硬化によって基板に樹脂含浸処理木材化粧単板を一体に層着してなる樹脂強化化粧板を製造する方法である。
【0005】
第3の方法は、合板等の基板の表面に木材化粧単板を接着剤を用いて接着し、次いで、該木材化粧単板の表面に合成樹脂液を塗布してこの木材化粧単板内に合成樹脂液を含浸させ、しかるのち、この合成樹脂含浸木材化粧単板をホットプレス等により加熱加圧して合成樹脂液を硬化させることにより樹脂強化化粧板を製造する方法である。そして、上記第1〜第3のいずれの製造方法においても、その樹脂強化化粧板の表面をサンディング処理したのち、透明性合成樹脂塗料を塗布して仕上げを行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1及び第2の製造方法によれば、0.5mm 以上の比較的厚い木材化粧単板を使用して合成樹脂液の含浸処理を行うことができるから、装飾性が良好で且つ高度や耐傷性にも優れた樹脂強化化粧板を得ることができる反面、注入釜等の大掛かりな樹脂含浸設備と多くの製造工程を必要して作業性、生産性が悪くなり、多量生産に適さないために製造コストが高くつくという問題点がある。
【0007】
また、近年においては装飾価値の高い木材資源が乏しく、高価になってきていることから、木材化粧単板として0.15mm〜0.50mm厚程度の薄い木材化粧単板を使用することが多くなってきているが、このような薄い木材化粧単板は、木材の湿潤フリッチをスライスして得られるものであるため未乾燥の状態にあり、そのため、このまま使用すると木材化粧単板中の水分の影響で該木材化粧単板に注入する合成樹脂液中に水が混合するという不具合があると共に合成樹脂液を含浸している木材化粧単板を硬化させると、木材化粧単板中に残存する水分によって木材化粧単板にクラックが入り易くなったり、木材化粧単板が破損する場合が生じる等の問題点がある。
【0008】
従って、上記木材化粧単板を予め、乾燥しておくことが望ましいが、その乾燥工程に長時間を要して生産性を低下させるばかりでなく、乾燥によって木材化粧単板に割れが生じて使用できなくなる虞れがある。
【0009】
一方、上記第3の方法においは、注入釜を用いる必要がないために生産性がよく、その上、厚さが0.15mm〜0.50mm程度の薄い木材化粧単板であれば合成樹脂液を浸透、含浸させることができるという利点があるが、このような薄い木材化粧単板を合板等の基板上に接着する時に、接着剤の一部がこの木材化粧単板内に滲み込んだ状態で接着一体化しているため、該木材化粧単板の表面に合成樹脂液を塗布、含浸させると、先に滲み込んだ上記接着剤によって合成樹脂液を単板内部にまで充分に浸透、含浸させることができない事態が発生し、含浸ムラが生じて装飾性が低下すると共に樹脂含浸処理化粧単板として充分な強度を得ることができなくなるという問題点がある。
【0010】
このような問題点は、合板等の基板表面に塗布する接着剤として、造膜性のある接着剤を使用すれば軽減することができるが、造膜性接着剤の塗布量が少ないと、基板表面に積層した合成樹脂含浸木材化粧単板をホットプレス等により加熱加圧してこの木材化粧単板を基板に接着させる際に、殆どの接着剤が基板表面に滲み込んでしまって木材化粧単板と基板との接着力が不足するという問題点が生じる。また、基板表面に塗布する接着剤の量が過剰になると、木材化粧単板と基板との接着力は充分確保できるが、塗布した造膜性接着剤の一部が薄い木材化粧単板内に滲み込んで、上述したように合成樹脂液の含浸ムラによる装飾性の低下を招くという問題点が生じることになる。
【0011】
さらに、合成樹脂液の含浸、硬化によって強化された木材化粧単板は薄いために、合板等の多孔質な基板の硬度を向上させるような効果に乏しく、衝撃物な落下物による凹みや傷等の発生を抑止し得るに足りる耐傷性を向上させることができなかった。
【0012】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、優れた装飾性を発揮し得るばかりでなく充分な表面硬度を有し、且つ能率よく生産することができる強化化粧板の製造方法を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の強化化粧板の製造方法は、請求項1に記載したように、多孔質基板の表面に接着剤がこの基板に滲み込むのを防止するバリヤー層を形成したのち、該バリヤー層の表面に造膜性接着剤を塗布して造膜接着剤層を形成し、この造膜接着剤層の表面に多孔質な化粧薄シート材を載置して該化粧薄シート材を上記バリヤー層に造膜接着剤層を介して一体に接着し、しかるのち、上記化粧薄シート材の表面に強化合成樹脂液を塗布し、この強化合成樹脂液を化粧薄シート材内に含浸させると共に硬化させることを特徴としている。
【0014】
さらに、請求項2に係る発明は、上記バリヤー層の形成方法であって、多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布したのち含浸用シート材を載置してこの含浸用シート材に上記合成樹脂液を含浸させると共に硬化させて多孔質基板と接着一体化させることによりバリヤー層を形成することを特徴としている。
【0015】
この請求項2に記載の発明において、請求項3に係る発明は、上記多孔質基板の表面に塗布する合成樹脂液は、樹脂含有率が55重量%〜80重量%の水系合成樹脂液であり、この合成樹脂液を多孔質基板の表面に250 〜600 g/m2 塗布することを特徴とする。
【0016】
また、上記請求項2又は請求項3に記載の発明において、請求項4に係る発明は、合成樹脂液として、アクリル変性トリメチロールメラミンを用いていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に係る発明は、上記請求項2に記載の発明において、含浸用シート材は、厚さが0.15mm〜0.4mm 、密度が0.4 g/cm 3 〜0.6 g/cm 3 の紙を用いていることを特徴としている。
【0018】
さらに、上記請求項1に記載した発明において、請求項6に係る発明は、上記造膜接着剤層の膜厚が10〜30μmであることを特徴とし、請求項7に係る発明は、上記化粧薄シート材として厚さが0.5 mm以下の未乾燥化粧単板を用い、バリヤー層とこの未乾燥化粧単板を加熱加圧接着することにより該未乾燥化粧単板中の水分を蒸発せしめることを特徴とするものである。
【0019】
【作用効果】
請求項1に係る発明によれば、多孔質基板の表面に接着剤がこの多孔質基板に滲み込むのを防止するバリヤー層を形成したのち、該バリヤー層の表面に造膜性接着剤を塗布して造膜接着剤層を形成し、この造膜接着剤層の表面に多孔質な化粧薄シート材を載置して該化粧薄シート材を上記バリヤー層に造膜接着剤層を介して一体に接着し、しかるのち、上記化粧薄シート材の表面に強化合成樹脂液を塗布して化粧薄シート材内に含浸、硬化させることを特徴とするものであるから、予め、基板の表面にバリヤー層を形成しておいたのち、造膜性接着剤を塗布するので、基板の材質の影響を受けることなく所定量の造膜性接着剤を塗布することができ、さらに、このバリヤー層の表面に塗布した造膜接着剤層上に化粧薄シート材を載置してホットプレス等により加熱、加圧しても、多孔質基板の表面に形成した上記バリヤー層の存在によって、造膜接着剤層が多孔質基板に滲み込むのを阻止され、従って、バリヤー層上に造膜接着剤層を過剰に塗布することなく、該造膜接着剤層に化粧薄シート材を確実且つ強固に接着させることができる。
【0020】
その上、上述したようにバリヤー層上に過剰の造膜接着剤層を塗布する必要がないから、この造膜接着剤層上に載置する化粧単板などの化粧薄シート材に余分な量の造膜接着剤層が滲み込むこともないので、該化粧薄シート材の表面に強化合成樹脂液を塗布しても強化合成樹脂液を化粧薄シート材の内部全体に亘って均一かつ充分に浸透、含浸させることができ、装飾性や硬度などの性能を低下させるような含浸ムラが生じることなく、優れた装飾性を発揮すると共に表面硬度の大なる強化化粧板を得ることができると共に、従来の製造方法のように予め木材化粧単板に合成樹脂液を含浸させたのち、乾燥して半硬化状態にするという工程を省略することができるから生産能率を向上させることができる。
【0021】
また、請求項2に係る発明によれば、上記多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布したのち含浸用シート材を載置して多孔質基板の表面に塗布した上記合成樹脂液をこの含浸用シート材に含浸、硬化させて該シート材と多孔質基板とを接着一体化させることによりバリヤー層を形成するものであるから、この合成樹脂含浸処理シート材よりなるバリヤー層によって一層表面硬度や耐傷性に優れた樹脂強化化粧板を得ることができる。
【0022】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載の発明において、多孔質基板の表面に塗布する合成樹脂液に、樹脂含有率が55重量%〜80重量%の水系合成樹脂液を用い、この合成樹脂液を多孔質基板の表面に250 〜600 g/2 塗布するものであるから、余分な水分が少ないので多孔質基板上に載置された含浸用シート材に合成樹脂液を円滑に含浸させることができると共にこの合成樹脂液含浸シート材を多孔質基板に確実且つ強固に接着一体化させることができ、且つ、取扱性や作業環境にも優れている。
【0023】
上記請求項2又は請求項3に記載の発明において、請求項4に係る発明は、合成樹脂液として、水系のアクリル変性トリメチロールメラミン樹脂液を用いているので、良好な靱性と硬さを有するバリヤー層を形成することができる。
【0024】
さらに、請求項5に係る発明は、上記請求項2に記載の発明において、含浸用シート材して厚さが0.15mm〜0.4mm 、密度が0.4 g/cm 3 〜0.6 g/cm 3 の紙を用いているので、不織布などのシート材に比べて合成樹脂液の含浸性、接着性が良く、その上、多孔質基板表面の硬度を増大させることができて強度や耐傷性に優れた強化化粧板を得ることができる。因みに、含浸用シート材の厚さが0.15mm未満であると多孔質基板表面の硬度の向上効果が低下し、0.4mm を超えると不経済となるだけである。
【0025】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の発明において、多孔質基板表面のバリヤー層上に層着した造膜接着剤層の膜厚を10〜30μmとしているので、この造膜接着剤層を介して化粧薄シート材をバリヤー層上に確実に接着することができると共に化粧薄シート材に余分な造膜接着剤層が滲み込むことはない。なお、上記造膜接着剤層の膜厚が10μm未満であると接着力が不足し、30μmを超えると余剰の造膜接着剤層が化粧薄シート材に滲み込む場合が生じて好ましくない。
【0026】
請求項7に係る発明は、上記化粧薄シート材として厚さが0.5 mm以下の未乾燥化粧単板を用い、バリヤー層とこの未乾燥化粧単板を加熱加圧接着することにより該未乾燥化粧単板中の水分を蒸発せしめるので、厚みのある乾燥化粧単板を用いる場合に較べて乾燥処理が不要となって生産性が良いと共に作業性、経済性においても優れ、しかも、割れ等を生じさせることなく強化化粧板を製造することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面について説明すると、図1は本発明方法によって製造された強化化粧板Aの簡略縦断面図であって、多孔質基板1の表面には接着剤の浸透を防止しているバリヤー層2が層着、形成されてあり、このバリヤー層2上に造膜接着剤層3を介して合成樹脂含浸処理化粧薄シート材4が接着一体化してなるものである。
【0028】
このような強化化粧板を製造するには、まず、図2(イ)に示すように、多孔質基板1の表面に接着剤がこの多孔質基板1に滲み込むのを防止するバリヤー層2を形成したのち、同図(ロ)に示すように、このバリヤー層2の表面に造膜性接着剤を塗布して所定厚みを有する造膜接着剤層3を形成する。
【0029】
上記多孔質基板1としては合板、LVL(Laminated Veneer Lumber)、MDF(中密度繊維板)、ハードボード、パーティクルボード、集成材などの木質系基板や、火山性ガラス質複層板(商品名:ダイライト、大建工業株式会社製)等の無機質系基板などのように、基板としての強度を備え且つ内部に無数の空隙を有する比較的軽量な多孔質基板を用いる。なお、このような多孔質基板1において、1種以上の多孔質基板同士の複合板や多孔質基板と木質単板との複合板、例えば、合板の表面又は表裏両面に厚さ3mm以下の薄いMDFを一体に貼着してなる複合板や火山性ガラス質複層板の片面又は両面に木質単板を貼着してなる複合板を使用してもよい。
【0030】
一方、この多孔質基板1の表面に層着するバリヤー層2としては、多孔質基板1に対して上記造膜接着剤層3の滲み込みを防止することができる緻密なシート状物からなる層であればその材種や厚みを問わず採用することができる。この場合、上記滲み込み防止効果に加えて多孔質基板1との接着性がよく且つ多孔質基板1の表面硬度を向上させることができるシート状物からなるバリヤー層であればさらに好ましく、このようなシート状物としては紙、不織布、ガラス繊維シート等のポーラスな樹脂含浸用シート材に合成樹脂液を含浸させた樹脂含浸シート層があり、特に、紙に合成樹脂液を含浸させた樹脂含浸紙層は上記効果と共に生産性、経済性に優れているので望ましい。
【0031】
このような樹脂含浸シート層からなるバリヤー層2を多孔質基板1の表面に形成するための具体的な例としては、まず、多孔質基板1の表面に合成樹脂液を塗布する。合成樹脂液としては熱硬化性樹脂液、或いは変性熱硬化性樹脂液、又は熱硬化性樹脂に熱軟化性樹脂を混合した混合樹脂液などを用いることができる。例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、或いはこれらの樹脂の変性物や混合物を挙げることができる。さらに、取扱性や作業環境性の面から、上記合成樹脂液はエマルジョンや水溶液のような水性のものが好ましく、また、硬化させた時に適度な靱性と伸張性のある樹脂が好ましいものであり、特に、メラミン系樹脂と酢酸ビニル系樹脂、エチレン変性酢酸ビニル樹脂、アクリルエマルジョン樹脂の混合物やメチロールメラミンのメチロール基をアクリル変性又はアリル変性したもの等が好適に使用することができる。
【0032】
多孔質基板1の表面に塗布する上記合成樹脂液の樹脂含有率は55重量%以上のものであって、樹脂の種類によっては無溶剤の樹脂率100 %のものも使用することができるが、樹脂含有率が55重量%未満であると、硬化時間が長くなって生産性が悪くなったり硬化時の樹脂の収縮が大きくなって多孔質基板1に反りが発生し易くなる一方、樹脂含有率が80重量%を超えると、使用する合成樹脂の種類によっては樹脂含浸用シート材への均一な含浸処理が困難となるので、通常、55重量%〜80重量%が望ましい。また、多孔質基板1の表面に対する上記合成樹脂液の塗布量は、250 g/m2 未満であると含浸量が不足し、600 g/m2 を超えると不経済であると共に生産性を低下するので、250 g/m2 〜600 g/m2 程度、塗布するのが望ましい。
【0033】
このように、多孔質基板1の表面に合成樹脂液を塗布したのち、その上に含浸用シート材を載置してこの含浸用シート材に合成樹脂液を浸透、含浸させる。含浸用シート材としては、上述したように紙、不織布、ガラス繊維シート等のポーラスなシート状物を使用するものであるが、その厚さは、0.1mm 〜0.5mm 程度のものが良く、特に、0.15mm〜0.4mm の厚さを有し、且つその密度が0.4 g/cm 3 〜0.6 g/cm 3 程度の樹脂含浸用原紙が最も実用的で生産性もよく好ましい。なお、多孔質基板1の表面に合成樹脂液を塗布したのち、含浸用シート材を載置しているが、多孔質基板1の表面に含浸用シート材を載置したのち、この含浸用シート材の表面に合成樹脂液を塗布して該含浸用シート材に合成樹脂液を浸透、含浸させてもよい。
【0034】
次いで、上記合成樹脂液を浸透、含浸させたシート材を、必要に応じて、ローラ手段などによりシート材表面を軽く押さえることで該シート材の全体に亘って合成樹脂液を均一に浸透、含浸させ、しかるのち、ホットプレスなどの熱圧手段によってシート材を加熱、加圧することにより、多孔質基板1の表面に接着すると共に、シート材に含浸した合成樹脂液を硬化させてバリヤー層2を形成する。なお、シート材と多孔質基板1との接着は、多孔質基板1とシート材との間に存在する合成樹脂液の硬化によって行われる。このようにして得られたバリヤー層2は、その比重が1.2 以上の緻密層に形成されている。
【0035】
こうして多孔質基板1の表面にバリヤー層2を形成したのち、このバリヤー層2の表面に造膜性接着剤を塗布して所定厚みの造膜接着剤層3を形成する。造膜性接着剤としては、ポリエステル樹脂などの溶剤型接着剤を用いることもできるが、塗布作業や取扱性が容易な酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、アクリル樹脂などのエマルジョン型接着剤を用いるのが好適である。この接着剤を上記バリヤー層2の表面に塗布したのち、その接着剤中の水分を温風等により蒸発させることによって造膜させ、造膜接着剤層3を形成する。この造膜接着剤層3の膜厚は、該造膜接着剤層3上に積層する化粧薄シート材4に対する接着力の確保と化粧薄シート材4への滲み込みを抑制するために10μm〜30μmであることが望ましい。
【0036】
造膜接着剤層2の表面に上記造膜接着剤層3を形成したのち、図2(ハ)に示すように、この造膜接着剤層3上に化粧薄シート材4を載置し、ホットプレスなどの熱圧手段によって加熱加圧して該化粧薄シート材4を造膜接着剤層3に一体に接着する。この時、造膜接着剤層3は上述したように含有水分が少ないので、化粧薄シート材4に殆ど滲み込むことなくこの化粧薄シート材4を良好に接着させることができる。このような化粧薄シート材4としては、木材化粧単板や化粧印刷紙等を用いることができ、この場合、化粧薄シート材4が木材化粧単板であれば、その厚さは1mm以下、経済性に鑑みて0.15mm〜0.5mm のものを使用し、また、未乾燥のスライス単板が好ましい。
【0037】
次いで、この化粧薄シート材4の表面に適宜な塗布手段によって強化合成樹脂液を塗布し、化粧薄シート材4内に浸透、含浸させる。この際、この化粧薄シート材4の表面に塗布した強化合成樹脂液をロールや凹凸ロールなどを用いて化粧薄シート材に押圧することにより、化粧薄シート材4内への強化合成樹脂液の浸透、含浸を促進させることができる。なお、強化合成樹脂液としては特に限定されるものではないが、不飽和ポリエステル樹脂を代表とする付加重合型合成樹脂液を用いることができる。
【0038】
こうして、化粧薄シート材4内に強化合成樹脂液を含浸させたのち、この化粧薄シート材4をホットプレスなどの熱圧手段に挿入して加熱加圧することにより含浸した強化合成樹脂液を硬化させ、樹脂強化化粧板を製造するものである。次に、本発明の具体的な実施例と比較例を示す。
【0039】
【実施例】
5プライの合板からなる厚さが12mmの基板の表面に、粘度が2500cps で不揮発分(樹脂率)が70重量%の水性メラミン樹脂であるアクリル変性トリメチロールメラミン375 g/m2 を塗布し、しかるのち、この上に秤量115 g/m2 、厚み0.22mmの樹脂含浸用原紙を重ね合わせてその表面をローラにより軽く押さえることにより合成樹脂液を該原紙に滲み込ませた。なお、この合成樹脂液には硬化を促進させるために酸触媒である塩化アンモニウムを0.5 %、添加している。次いで、ホットプレスに挿入して基板上に重ね合わせている合成樹脂液含浸原紙の表面を130 ℃、10kgf/cm2 の条件で2.5 分間、加熱加圧することにより合成樹脂液含浸原紙を基板表面に接着すると共に原紙に含浸している合成樹脂液を硬化させてバリヤー層を形成した。
【0040】
しかるのち、バリヤー層の表面を軽くサンディングしたのち、樹脂率が45%のメラミン樹脂−アクリルエマルジョン混合接着剤に隠蔽性顔料(酸化鉄または酸化チタン)を少量添加してなる造膜性接着剤をバリヤー層表面に100 g/m2 塗布し、常温で4時間風乾して膜厚が約25μmの造膜接着剤層を形成した。次いで、この造膜接着剤層の表面に厚さ0.3mm のナラ材からなる未乾燥単板を載置し、120 ℃、10kgf/cm2 の条件で1分間、ホットプレスによって熱圧することによりこの単板を上記バリヤー層上に造膜接着剤層を介して接着した。
【0041】
さらに、この単板の表面に、粘度1500cps の軟質不飽和ポリエステル樹脂液に開始剤としてBPOを1重量%と木目強調用のオレンジ色系油性染料を少量添加して調整した強化合成樹脂液を、リバースコーターを用いて150 g/m2 塗布し、その上に離型用として100 μのPET樹脂フィルムを載置したのち、ホットプレスにて120 ℃、10kgf/cm2 の条件で5分間、加熱加圧することにより強化合成樹脂液を単板内に含浸、硬化させた。しかるのち、この樹脂含浸処理単板の表面をサンディングして平滑面にしたのち、その表面にウレタン系透明性樹脂からなるトップ塗料を施して樹脂強化化粧板Aを得た。
【0042】
【比較例1】
上記実施例で用いた基板の表面に、バリヤー層を形成する工程を除いて上記実施例と同様の処理工程、処理条件でもって比較例1に係る樹脂強化化粧板Bを得た。
【0043】
【比較例2】
上記実施例で用いた基板の表面に、上記実施例と同様にバリヤー層を形成したのち、このバリヤー層の表面に上記実施例における造膜接着剤層を形成する代わりに通常の尿素−メラミン樹脂接着剤液を塗布して造膜することなくその上に厚さ0.3mm のナラ材からなる未乾燥単板を載置し、以下、上記実施例と同様にして樹脂強化化粧板Cを得た。
【0044】
上記実施例で得た樹脂強化化粧板Aと比較例1、2で得た樹脂強化化粧板B、Cとの化粧外観を比較すると、実施例で得た樹脂強化化粧板Aは強化合成樹脂液の含浸ムラがなく、良好な外観を呈しているのに対して、比較例1で得た樹脂強化化粧板Bは、基板表面にバリヤー層を形成することなく直接造膜性接着剤を塗布しているので、この接着剤が基板内に滲み込み、基板と化粧単板との接着力が低下して強度的に劣るものであった。なお、造膜性接着剤の塗布量を実施例よりも多くしたところ、この造膜性接着剤が化粧単板の導管等の細胞空隙内に滲み込んで強化合成樹脂液の含浸ムラが生じていた。また、比較例2の樹脂強化化粧板Cにおいては、接着剤が造膜していないために、その一部が化粧単板の導管等の細胞空隙に滲み込んで強化合成樹脂液と混じり合い、化粧ムラとなって現出していた。
【0045】
次に、上記実施例における樹脂強化化粧板Aと比較例1における樹脂強化化粧板Bとの表面硬度とキャスター試験を行った結果を表1に示す。なお、表面硬度はブリネル硬さ(JIS Z 2243)で試験し、キャスター試験は、プラスチック製単輪キャスターに軸重30Kgの荷重を加え、摺動距離30cmで3000往復の荷重を加える試験方法を採用した。
【0046】
【表1】
Figure 0003836317
【0047】
この表からも明らかなように、本発明の実施例で得られた樹脂強化化粧板は、基板の表面にバリヤー層を形成することによって硬度や傷付き難さが顕著に向上していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂強化化粧板の簡略縦断面図、
【図2】製造工程を示す簡略図。
【符号の説明】
1 多孔質基板
2 バリヤー層
3 造膜接着剤層
4 化粧薄シート材

Claims (7)

  1. 多孔質基板の表面に接着剤が該多孔質基板に滲み込むのを防止するバリヤー層を形成したのち、このバリヤー層の表面に造膜性接着剤を塗布して造膜接着剤層を形成し、次いで、この造膜接着剤層の表面に多孔質な化粧薄シート材を載置して該化粧薄シート材を上記バリヤー層に造膜接着剤層を介して一体に接着し、しかるのち、上記化粧薄シート材の表面に強化合成樹脂液を塗布して化粧薄シート材内に含浸、硬化させることを特徴とする強化化粧板の製造方法。
  2. バリヤー層は、多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布したのち含浸用シート材を載置してこの含浸用シート材に上記合成樹脂液を含浸させると共に硬化させて多孔質基板と接着一体化させることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の強化化粧板の製造方法。
  3. 合成樹脂液は、樹脂含有率が55重量%〜80重量%の水系合成樹脂液であり、この合成樹脂液を多孔質基板の表面に250 〜600 g/m2 塗布することを特徴とする請求項2に記載の強化化粧板の製造方法。
  4. 合成樹脂液は、アクリル変性トリメチロールメラミンであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の強化化粧板の製造方法。
  5. 含浸用シート材は、厚さが0.15mm〜0.4mm 、密度が0.4 g/cm 3 〜0.6 g/cm 3 の紙であることを特徴とする請求項2に記載の強化化粧板の製造方法。
  6. 造膜接着剤層の膜厚が10〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の強化化粧板の製造方法。
  7. 化粧薄シート材は、厚さが0.5 mm以下の未乾燥化粧単板であり、バリヤー層とこの未乾燥化粧単板を加熱加圧接着することにより該未乾燥化粧単板中の水分を蒸発せしめることを特徴とする請求項1に記載の化粧単板の製造方法。
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