JP7257642B2 - 床材 - Google Patents

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Description

本発明は、床材に関する。
従来より、木質繊維板などの基材の表面に、突板が貼り付けられた床材が知られている。基材表面に突板を設けることにより、耐傷性や耐汚染性などの表面性能を確保したり、意匠性を高めることができる。ただ、このような床材は湿度変化により反りや伸縮が発生しやすいため、床材同士の隙間が大きく変化したり、反りにより表面が平滑でなくなる可能性がある。
そのため、特許文献1では、反りや伸縮を抑制する床材を開示している。具体的には、特許文献1の床材は、突板で形成された第1の層と、第1の層の裏面に接合された高硬度樹脂を含浸若しくは塗布した含浸紙で形成された第2の層とを備えている。当該床材は、さらに、第2の層の裏面に接合された軟質シートで形成された第3の層と、第3の層の裏面に接合された樹脂含浸紙で形成された第4の層とを備えている。このような構成により、突板の温湿度変化に伴う伸縮を第2の層が規制し、軟質シートの熱に伴う伸縮を第4の層が規制し、さらに、軟質シートにより施工面の凹凸に対応することができるため、反りや伸縮を抑えることができる。
特許第6332641号公報
しかしながら、特許文献1の床材は、反りや伸縮を複数の層で抑制しているため、床材の総厚が大きくなる。そのため、このような床材を用いた場合、室内に段差が生じてしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、反りや伸縮を抑制しつつも、総厚が小さい床材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る床材は、基材と、基材の一方の面に設けられ、寸法安定化樹脂を含浸した木材からなり、厚みが0.2mm以上0.8mm以下である表面化粧単板と、基材と表面化粧単板との間に設けられ、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であり、透湿度が500g/m・24h以上である紙材と、を備える。そして、当該床材は、総厚が1.0mm以上3.0mm以下である。
本開示によれば、反りや伸縮を抑制しつつも、総厚が小さい床材を提供することができる。
本実施形態に係る床材の一例を概略的に示す斜視図である。 図1のII-II線に沿った断面図である。 本実施形態に係る床材の他の例を概略的に示す断面図である。 実施例における床暖房試験を説明するための斜視図である。 実施例における床材端部の納まり評価を説明するための断面図である。
以下、本実施形態に係る床材について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
リフォーム用の上貼り床材など、建築上の納まりを考慮する必要がある床材の改修現場では、床材の薄型化が求められている。また、バリアフリー基準を適用する住宅では、敷居との段差がなく施工できる薄型床材として、一般的に塩化ビニル製タイルが使用されている。
近年、インテリア性向上のために、表面化粧材として表面化粧単板(突板)を備えた床材を使用する場面が増えている。ただ、木材からなる表面化粧単板は、湿度により収縮及び膨潤する特性がある。また、表面化粧単板における木材の繊維に直交する方向(床材の幅方向)は、湿度により、木材の繊維方向と比べて10~20倍も寸法変化する。そのため、繊維に直交する方向の収縮及び膨潤により、床材が幅方向に凹反り又は凸反りしてしまう。また、床材が薄いほど、幅反りの制御が難しくなる。さらに、既設の床暖房の表面に、表面化粧単板を備えた床材を施工する場合、幅反りを制御する条件はさらに厳しくなる。
このような床材の幅反りを制御する方法としては、特許文献1のように、表面化粧単板の裏面に樹脂含浸紙や中密度繊維板を複合し、表面化粧単板の収縮及び膨潤を防ぐ手段がとられている。しかしながら、特許文献1の方法は、表面化粧単板の収縮及び膨潤を抑制する機能を別の層で確保しているため、総厚が厚くなり、室内に段差が生じ易くなる。
本実施形態の床材10は、反りや伸縮を抑制しつつも総厚を薄くするために、図1に示すように、基材1と、基材1の一方の面(上面1a)に設けられ、寸法安定化樹脂を含浸した木材からなる表面化粧単板2とを備えている。そして、基材1と表面化粧単板2との間には、紙材3が介在している。
図1及び図2に示すように、基材1の上面1a全体は、表面化粧単板2により覆われており、さらに基材1と表面化粧単板2との間の全体には、紙材3が介在している。そして、基材1と紙材3は互いに隣接するように積層されており、紙材3と表面化粧単板2も互いに隣接するように積層されている。
基材1は、表面平滑性の良好な材料から形成されたものを用いることができる。基材1としては、例えば、樹脂製の板材を用いることができる。樹脂製の基材としては、例えば、軟質塩化ビニル基材及び硬質塩化ビニル基材を挙げることができる。また、基材1は、樹脂に木粉を所定の割合で含有させた木粉・プラスチック複合材を用いてもよい。また、基材1は、樹脂に木粉及び無機材料からなるフィラーを配合した複合材であってもよい。具体的には、基材1は、特許第3960143号公報に記載されている、熱可塑性樹脂と木粉と鱗片状の無機フィラーとを含有する木粉樹脂組成物を成型してなる板材であってもよい。
基材1は、表面平滑性の良好な木質系材料から形成されたものを用いることもできる。このような木質系材料としては、例えば、MDF(中密度繊維板)やHDF(高密度繊維板)等の木質繊維板、及びパーティクルボードやOSB(配向性ストランドボード)等の木質ボード等が挙げられる。また、基材1は合板であってよく、ラワン、ユーカリ、ファルカタ、カメレレ、キリ、ラバーウッド、ポプラ、スギ、カラマツ、ヒノキ等の合板を好適に用いることができる。
基材1の厚みは特に限定されず、例えば0.5mm以上とすることが好ましく、1.0mm以上とすることがより好ましく、1.5mm以上とすることがさらに好ましい。
基材1は、表面化粧単板2における木材の繊維に直交する方向(幅方向)の引張弾性率が0.1GPa以上4.0GPa以下であることが好ましい。また、基材1は、表面化粧単板2における木材の繊維に直交する方向(幅方向)の線熱膨張係数が5×10-5/℃以下であることが好ましい。基材1の引張弾性率及び線熱膨張係数の少なくとも一方がこのような範囲内であることにより、幅方向の伸縮が抑制されるため、反り及び目隙をより軽減させることが可能となる。
表面化粧単板2は、木材を薄く切削してなるものであり、装飾用の表面化粧材として用いている。そして、表面化粧単板2を構成する木材は特に限定されず、メープル、バーチ、オーク、ウォールナット、チェリー、アッシュ及びアカシアからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。これらの木材は高級感があり意匠性が高いことから、これらの木材を用いた表面化粧単板2は、床材10の表面化粧材として好適に用いることができる。
表面化粧単板2の厚みは、0.2mm以上0.8mm以下であることが好ましい。表面化粧単板2の厚みが0.2mm以上であることにより、基材1及び紙材3と複合したときに、表面化粧単板2から基材1及び紙材3が透けて見えることが抑制されるため、床材10の仕上がり外観を良好にすることが可能となる。また、表面化粧単板2の厚みが0.8mm以下であることにより、基材1及び紙材3と複合したときに、床材10の総厚が3.0mm以下となるため、薄型の床材を得ることが可能となる。また、表面化粧単板2の厚みが0.8mm以下であることにより、表面化粧単板2の収縮力が低下するため、施工時における床材10の幅反りをより抑制することが可能となる。
ここで、木材は、水分の吸脱着に伴い膨潤及び収縮を繰り返すことから、水分量の変化により割れや反り、変形が発生してしまう。そのため、表面化粧単板2では、割れや反り、変形を抑制するために、寸法安定化処理を施している。
ここで、木材の寸法安定化処理は、代表的には次の三種類の方法が挙げられる。
(1)木材細胞壁に寸法安定化樹脂を含浸させる方法
木材の寸法変化は、構成成分であるセルロースの水酸基の間に水分子が入ることで膨張し、乾燥することで水分子が排出されて収縮することで発生する。そのため、寸法安定化樹脂としては、水分子の代わりに木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填され、乾燥時においても蒸発することなく当該微小空隙に留まることができる樹脂を使用する。このような寸法安定化樹脂を使用することにより、寸法安定化樹脂によって細胞壁を膨潤状態に維持できることから、いわゆる「かさ効果」によって、単板の収縮を抑制することができる。
(2)木材の細胞内腔を樹脂で充填する方法
木材の細胞内腔を樹脂で充填することで、寸法変化の原因である水分が細胞壁に入ることを妨げ、寸法安定性を発現させる。含浸時はモノマーの状態で細胞内腔に含浸させ、その後、熱などで硬化及び高分子化することで、木材内に樹脂を固定する。この方法では、木材の微細凹凸を樹脂で充填するため、木材の質感が失われやすい特徴がある。
(3)熱処理
木材を熱処理することで、水分の吸着点である水酸基を破壊し、水分の吸着自体を抑制する方法である。加熱水蒸気処理が代表的な方法である。
そして、本実施形態では、(1)に分類される寸法安定化処理を適用している。
寸法安定化処理に使用する寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂及びグリオキザール樹脂の少なくとも一方であることが好ましい。グリコール系樹脂及びグリオキザール樹脂は、表面化粧単板2を構成する木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填されやすい。また、これらの樹脂は、乾燥時でも揮発性が低いことから、木材の微小空隙に留まってかさ効果を発揮しやすい。
グリコール系樹脂は、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコール誘導体の少なくとも一方であることが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、重量平均分子量が200以上20000以下のものを使用することができる。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールを単独又は複数種用いることができる。あるいは、ポリアルキレングリコールとしては、エチレングリコールとプロピレングリコールとを共重合させたものなど、アルキレン基が異なるアルキレングリコール同士を共重合させたものであってもよい。
ポリアルキレングリコール誘導体としては、例えば、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを使用することができる。ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)を挙げることができる。
グリオキザール樹脂は、尿素、ホルムアルデヒド及びグリオキザールからなる環状尿素樹脂である。グリオキザール樹脂が木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填された際には、自己重縮合反応によって不溶化すると共に、木材のセルロースなどの水酸基とエーテル結合することにより不溶化する。
寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂とグリオキザール樹脂との混合物であることが好ましい。グリコール系樹脂は、木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填され、当該微小空隙に留まることができる。これにより、木材の細胞壁を膨潤状態に維持できることから、かさ効果によって木材の収縮を抑制し、割れや反り、変形を防ぐことができる。ただ、含浸させたグリコール系樹脂は、木材を乾燥させた後も依然として水に易溶性であることから、木材が吸水又は吸湿することにより、グリコール系樹脂が木材の表面に溶出する可能性がある。また、グリオキザール樹脂は、グリコール系樹脂と比べて木材から溶出し難い反面、グリコール系樹脂よりもかさ効果が小さい。
しかしながら、寸法安定化樹脂として、グリコール系樹脂とグリオキザール樹脂との混合物を用いることにより、グリコール系樹脂とグリオキザール樹脂とが脱水縮合し、細胞壁の内部で水に不溶化する。さらに、グリコール系樹脂とグリオキザール樹脂との混合物は、木材のセルロースなどの水酸基とエーテル結合を形成することにより不溶化する。そのため、グリコール系樹脂とグリオキザール樹脂との混合物は、木材に対する寸法安定性及び耐溶出性に優れていることから、寸法安定化樹脂として好適に用いることができる。なお、寸法安定化樹脂としてグリコール系樹脂及びグリオキザール樹脂の混合物を用いる場合、これらの重合を促進する触媒も使用することが好ましい。これらの重合を促進する触媒としては、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛及び有機アミン塩からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂及びグリオキザール樹脂に限定されず、木材に対してかさ効果を付与できる樹脂を用いることができる。そのため、寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
なお、表面化粧単板2としては、木質単板を圧密加工することにより硬度を高め、耐傷性能や耐凹み性能を向上させた圧密単板を用いてもよい。
上述のように、表面化粧単板2は、寸法安定化樹脂を含浸させることにより、割れや反り、変形を抑制している。ただ、このような寸法安定化処理を施しても、表面化粧単板2において、繊維に直交する方向(表面化粧単板の幅方向)は、繊維方向と比べて寸法変化しやすい性質を有する。
そのため、床材10では、図1及び図2に示すように、基材1と表面化粧単板2との間に、厚みが0.1mm以上0.5mm以下である紙材3を介在させている。このような所定の厚みを有する紙材3を介在させることにより、表面化粧単板2の幅方向が繊維方向と比べて寸法変化しやすい場合であっても、寸法変化を吸収して均質化することが可能となる。つまり、紙材3を介在させることで表面化粧単板2の異方性を均質化できるため、表面化粧単板2の長さ方向(繊維方向)及び幅方向のいずれにおいても、反り及び目隙を軽減することが可能となる。
紙材3は、透湿度が500g/m・24h以上であることが好ましい。透湿度とは、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の量をいい、日本工業規格JIS Z0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))に準じて測定することができる。透湿度が高い紙材3は、通常、水蒸気を透過する細孔を多数有している。そして、後述するように、表面化粧単板2と紙材3との間及び紙材3と基材1との間には、これらを接合するための接着剤を介在させることが好ましい。そのため、透湿度が高い紙材3を用いることにより、紙材3に対して接着剤が投錨しやすくなることから、表面化粧単板2と紙材3との間及び紙材3と基材1との間の接着強度を高めることが可能となる。
紙材3は、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であり、透湿度が500g/m・24h以上である紙であれば、特に限定されない。このような紙材3としては、薄葉紙、クラフト紙及び和紙からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。この中でも、紙材3は、クラフト紙であることが好ましい。なお、紙材3は、接着剤との濡れ性を高めるために、親水性であることが好ましい。
上述のように、床材10において、表面化粧単板2と紙材3との間、及び紙材3と基材1との間には、接着剤が設けられていることが好ましい。このような接着剤としては、表面化粧単板2と紙材3及び紙材3と基材1を接着できるものであれば、特に限定されない。接着剤としては、水性ビニルウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、水性イソシアネート樹脂系接着剤等の水性接着剤を挙げることができる。
このような床材10では、図1及び図2に示すように、基材1の上面1aに紙材3が接着されている。さらに、紙材3における基材1と反対側の面には、表面化粧単板2が接着されている。そして、上述のように、表面化粧単板2は、寸法安定化樹脂を含浸させることにより、寸法安定化処理を施している。そのため、寸法安定化樹脂により、表面化粧単板2の繊維方向及び幅方向の寸法変化を抑制している。さらに、紙材3は、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であることから、紙材3により表面化粧単板2の異方性、つまり、表面化粧単板2における繊維方向と幅方向の寸法変化の違いを均質化している。したがって、このような寸法安定化処理及び紙材3の使用により、表面化粧単板2の繊維方向及び幅方向のいずれにおいても、反り及び目隙を軽減させることが可能となる。
さらに、床材10において、紙材3は、透湿度が500g/m・24h以上であることから、多数の細孔を有している。そして、接着剤を介して基材1と紙材3を接着した場合、接着剤が紙材3の細孔に侵入して投錨する。そのため、このような紙材3を用いることにより、基材1の種類に関係なく、基材1と紙材3との間の接着強度を安定的に担保することが可能となる。同様に、接着剤を介して表面化粧単板2と紙材3を接着した場合も、接着剤が紙材3の細孔に侵入して投錨するため、表面化粧単板2と紙材3との間の接着強度を安定的に担保することが可能となる。
また、紙材3が親水性である場合には、紙材3と接着剤の濡れ性が良好となるため、接着剤が紙材3の細孔に侵入しやすくなる。そのため、紙材3に対して接着剤がより投錨しやすくなることから、紙材3と、基材1及び表面化粧単板2との接着強度をより高めることが可能となる。
後述するように、表面化粧単板2を紙材3に接合するために、表面化粧単板2を加熱して加圧した場合、表面化粧単板2から寸法安定化樹脂が溶出する場合がある。ただ、このような場合でも、紙材3を用いることにより、溶出した寸法安定化樹脂が均質化される。そのため、寸法安定化樹脂が表面化粧単板2の道管に追随するような、目立つ不具合の発生を抑制し、床材10の外観を良好にすることが可能となる。
このように、本実施形態の床材10は、基材1と、基材1の一方の面に設けられ、寸法安定化樹脂を含浸した木材からなり、厚みが0.2mm以上0.8mm以下である表面化粧単板2とを備える。床材10は、さらに、基材1と表面化粧単板2との間に設けられ、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であり、透湿度が500g/m・24h以上である紙材3を備える。そして、床材10は、総厚が1.0mm以上3.0mm以下である。床材10は、寸法安定化樹脂を含浸した表面化粧単板2、並びに所定の厚み及び透湿度を有する紙材3を用いている。これにより、表面化粧単板2の変形を抑制及び均質化しつつも、表面化粧単板2を基材1に強固に接着することから、床材10の反りや伸縮を抑えることが可能となる。また、本実施形態の床材10の総厚は、1.0mm以上3.0mm以下である。そのため、室内において段差の発生を抑制し、床材10の端部の納まりを良好にすることが可能となる。
なお、本実施形態の床材において、基材1における上面1aと反対側の下面1bには、補強材を貼付してもよい。具体的には、図3に示すように、基材1の上面1aに、表面化粧単板2及び紙材3を接着し、基材1の下面1bに補強材を接着してもよい。このように、基材1の下面1bに補強材4を設けることにより、床材10Aの伸縮及び反りをより抑制することが可能となる。なお、補強材4としては、不織布、寒冷紗及び樹脂含浸紙からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
[床材の製造方法]
次に、本実施形態に係る床材の製造方法について説明する。床材10は、上述の表面化粧単板2、紙材3及び基材1をこの順で積層して接着することにより、得ることができる。
表面化粧単板2の製造方法は特に限定されないが、例えば次のように製造することができる。まず、表面化粧単板2を構成する木材に、寸法安定化樹脂を含浸させる寸法安定化処理を施す。具体的には、寸法安定化樹脂を含む水溶液に木材を浸漬して放置することにより、木材に寸法安定化樹脂を含浸させることができる。なお、木材に対する寸法安定化樹脂の含浸を早めるために、水溶液を満たした耐圧容器に木材を入れた状態で加圧することが好ましい。この際、加圧する圧力は特に限定されないが、例えば0.3MPa以上2.0MPa以下とすることが好ましい。
木材に対する寸法安定化樹脂の含浸を早めるために、耐圧容器に木材を入れた状態で減圧して、木材の内部の空気を除去した後に、木材を水溶液に浸漬してもよい。これにより、木材の道管の内部に水溶液が浸透しやすくなるため、木材に寸法安定化樹脂をすばやく含浸させることが可能となる。
木材に寸法安定化樹脂を含浸した後、木材に付着している余分な水溶液を除くことが好ましい。また、木材に寸法安定化樹脂を含浸した後に木材を乾燥させて、溶媒である水を除去してもよい。
そして、寸法安定化樹脂を含浸した木材をスライスすることにより、表面化粧単板2を得る。木材のスライスの方法は特に限定されず、例えばスライサーを用いて行うことができる。スライサーは、縦突スライサー及び横突スライサーのいずれも用いることができる。なお、必要に応じて、得られた表面化粧単板2をプレスして圧密処理を施してもよい。
次に、得られた表面化粧単板2及び紙材3を基材1に接着する。接着方法は特に限定されないが、例えば、表面化粧単板2及び紙材3を基材1に重ねた後、表面化粧単板2、紙材3及び基材1を加熱すると共に加圧することにより、表面化粧単板2及び紙材3を基材1に接着することができる。このような接着工程に用いられる装置は特に限定されないが、例えば熱プレス成形機などを用いることができる。
表面化粧単板2及び紙材3との間及び紙材3と基材1との間には、これらを接着するために接着剤を介在させることが好ましい。このような接着剤としては、上述のものを使用することができる。なお、表面化粧単板2、紙材3及び基材1を加熱及び加圧する際の条件は、使用する接着剤により異なる。ただ、加熱及び加圧条件は、例えば、プレス温度を90℃以上150℃以下、プレス圧力を0.4MPa以上1.0MPa以下、プレス時間を60秒以上180秒以下の範囲で調整することが好ましい。
このように、本実施形態の床材10は、表面化粧単板2、紙材3及び基材1をこの順で積層して加熱及び加圧することに得ることができる。そのため、床材10を、簡易な方法により作製することが可能となる。
[床材の施工]
次に、本実施形態に係る床材の施工方法について説明する。床材10,10Aを下地に施工する方法は特に限定されないが、例えば、床材10,10Aは、両面粘着テープ及び接着剤を用いて下地に固定することができる。両面粘着テープは特に限定されず、一般的なものを用いることができる。例えば、両面粘着テープは、光硬化型両面粘着テープ、ハネムーン型両面粘着テープなど反応型の両面粘着テープを用いることができる。両面粘着テープの幅は特に限定されないが、30mm以上50mm以下とすることが好ましい。接着剤も特に限定されないが、例えば変性シリコーン系接着剤や一液型ウレタン樹脂系接着剤を用いることができる。
床材10,10Aを施工する際には、まず、両面粘着テープを下地に貼り付けるが、この際、床材の長辺と平行になるように貼り付ける。隣接する両面粘着テープの間隔は、床材の幅と同じであってもよく、床材の幅の1/2であってもよい。両面粘着テープの間隔を床材の幅と同様にすることにより、床材の長辺の両端を固定することができる。両面粘着テープの間隔を床材の幅の1/2とすることにより、床材の長辺の両端と中央を固定することができる。
接着剤は、両面粘着テープの間を埋めるように塗布することが好ましい。接着剤の塗り方は特に限定されないが、例えば接着剤を棒状に塗布してもよく、クシ目ゴテを用いて塗布してもよい。
そして、下地に設けた両面粘着テープ及び接着剤に対して、床材10,10Aを押し当てた後、接着剤を硬化させることにより、床材10,10Aを下地に固定することができる。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例の床材を調製するに際して、次の材料を使用した。
・表面化粧単板用木材
表面化粧単板用の木材としては、メープル、オーク、カバ、ウォールナット又はアッシュからなる板材を用いた。
・寸法安定化樹脂
寸法安定化樹脂としては、ポリエチレングリコール又はグリオキザール樹脂を用いた。
ポリエチレングリコールは、重量平均分子量が2000であるポリエチレングリコール(PEG2000、三洋化成株式会社製)を用いた。なお、後述する含浸工程では、PEG2000をイオン交換水に溶解し、固形分比率が30質量%となるようにしたポリエチレングリコール水溶液を用いた。
グリオキザール樹脂は、DIC株式会社製、ベッカミン(登録商標)NS-11を用いた。なお、寸法安定化樹脂としてグリオキザール樹脂を用いる場合、グリオキザール硬化触媒として、DIC株式会社製 キャタリストGも使用した。この際、グリオキザール樹脂の固形分とグリオキザール硬化触媒との質量比率を10:2とした。
・紙材
紙材としては、天間特殊製紙株式会社製のクラフト紙(突板原紙)を使用した。
・接着剤
接着剤としては、水性ビニルウレタン接着剤(株式会社オーシカ製、鹿印ピーアイボンド)を用いた。
・基材
基材としては、木粉複合PP基材、軟質塩化ビニル基材と硬質塩化ビニル基材との複合材、硬質塩化ビニル基材、又は木粉複合PP基材とPET不織布との複合材を用いた。
木粉複合PP基材は、ポリプロピレンに、木粉と無機材料からなるフィラーとを配合した複合材であり、厚みが1.5mmである。
軟質塩化ビニル基材と硬質塩化ビニル基材との複合材は、厚みが1.0mmの軟質塩化ビニル基材と厚みが1.3mmの硬質塩化ビニル基材とを、接着剤を用いて張り合わせてなる複合材である。
硬質塩化ビニル基材は、硬質塩化ビニル樹脂からなり、厚みが2.0mm又は0.7mmの基材である。
木粉複合PP基材とPET不織布との複合材は、厚みが1.8mm又は2.0mmである上述の木粉複合PP基材と、厚みが0.1mmであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる不織布とを、接着剤を用いて張り合わせてなる複合材である。
[実施例1]
まず、表面化粧単板用木材であるメープル材に対して、真空加圧法によりポリエチレングリコールを含浸する処理を行った。具体的には、まず、メープル材を耐圧容器内に入れた後、-0.95MPa以下の圧力で10分間の減圧処理を行った。次に、耐圧容器内にポリエチレングリコール水溶液を注入し、メープル材を当該水溶液に浸漬させた。そして、メープル材を水溶液に浸漬させた状態で、0.8MPa以上の加圧雰囲気下で3時間保持する加圧処理を行った。
そして、含浸処理を施したメープル材を、スライサーを用いてスライスすることにより、厚みが0.4mmである表面化粧単板を得た。
次に、木粉複合PP基材の表面に接着剤を塗布した後、厚みが0.5mm、透湿度が500g/m・24hのクラフト紙を重ね合わせた。さらに、クラフト紙の表面に接着剤を塗布した後、表面化粧単板を重ね合わせた。そして、表面化粧単板、クラフト紙及び基材の積層体を温度105℃、圧力5kgf/cm、圧締時間1分の条件で熱圧することにより、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが2.4mmであった。
[実施例2]
実施例2では、表面化粧単板の樹種としてオークを用い、紙材として、厚みが0.5mmであり、透湿度が800g/m・24hであるクラフト紙を用いた。これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが2.4mmであった。
[実施例3]
実施例3では、寸法安定化樹脂としてグリオキザール樹脂を用い、表面化粧単板の樹種としてカバを用いた。さらに、紙材として、厚みが0.3mm、透湿度が1000g/m・24hであるクラフト紙を用い、基材として、軟質塩化ビニル基材と硬質塩化ビニル基材との複合材を用いた。これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが3.0mmであった。
[実施例4]
実施例4では、寸法安定化樹脂としてグリオキザール樹脂を用い、表面化粧単板の樹種としてウォールナットを用い、さらに表面化粧単板の厚みを0.2mmとした。さらに、紙材として、厚みが0.4mm、透湿度が500g/m・24hであるクラフト紙を用い、基材として、厚みが2.0mmの硬質塩化ビニル基材を用いた。これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが2.6mmであった。
[実施例5]
実施例5では、寸法安定化樹脂として、ポリエチレングリコールとグリオキザール樹脂を固形分比率で5:5となるように混合したものを用いた。具体的には、含浸工程で使用する寸法安定化樹脂水溶液として、ポリエチレングリコールとグリオキザール樹脂を固形分比率で5:5となるように混合した後、全固形分率が30質量%となるように調整した水溶液を用いた。実施例5では、さらに、表面化粧単板の樹種としてアッシュを用い、表面化粧単板の厚みを0.8mmとした。紙材として、厚みが0.3mm、透湿度が1000g/m・24hであるクラフト紙を用い、基材として、厚みが1.8mmである木粉複合PP基材とPET不織布との複合材を用いた。
これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、表面化粧単板及びクラフト紙は、複合材における木粉複合PP基材の表面に接着した。また、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが3.0mmであった。
[比較例1]
比較例1では、メープル材に対して寸法安定化樹脂の含浸を施さず、メープル材をそのままスライスして表面化粧単板とした。これ以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが2.4mmであった。
[比較例2]
比較例2では、表面化粧単板の樹種としてオークを用い、紙材として、厚みが0.5mmであり、透湿度が400g/m・24hであるクラフト紙を用いた。これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが2.4mmであった。
[比較例3]
比較例3では、表面化粧単板の樹種としてカバを用いた。さらに、紙材として、厚みが0.6mm、透湿度が500g/m・24hであるクラフト紙を用い、基材として、軟質塩化ビニル基材と硬質塩化ビニル基材との複合材を用いた。これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが2.5mmであった。
[比較例4]
比較例4では、寸法安定化樹脂としてグリオキザール樹脂を用い、表面化粧単板の樹種としてウォールナットを用い、さらに表面化粧単板の厚みを0.1mmとした。さらに、紙材として、厚みが0.05mm、透湿度が500g/m・24hであるクラフト紙を用い、基材として、厚みが0.7mmの硬質塩化ビニル基材を用いた。これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが0.85mmであった。
[比較例5]
比較例5では、寸法安定化樹脂として、実施例5と同様に、ポリエチレングリコールとグリオキザール樹脂を固形分比率で5:5となるように混合したものを用いた。比較例5では、さらに、表面化粧単板の樹種としてアッシュを用い、表面化粧単板の厚みを1.0mmとした。紙材として、厚みが0.1mm、透湿度が500g/m・24hであるクラフト紙を用い、基材として、厚みが2.0mmである木粉複合PP基材とPET不織布との複合材を用いた。
これら以外は実施例1と同じ方法により、表面化粧単板及びクラフト紙が基材に接着してなる床材を得た。なお、表面化粧単板及びクラフト紙は、複合材における木粉複合PP基材の表面に接着した。また、当該床材は、長さが910mm、幅が151.5mm、厚みが3.2mmであった。
実施例1-5及び比較例1-5の床材における総厚、並びに表面化粧単板、クラフト紙及び基材の詳細を、表1及び表2に纏めて示す。
Figure 0007257642000001
Figure 0007257642000002
[評価]
実施例1-5及び比較例1-5の床材に対して、接着強度の測定、意匠性評価、床暖房評価及び端部の納まり評価を行った。
(接着強度の測定)
各例の床材の接着強度を評価するために、合板の日本農林規格に規定されている平面引張り試験に沿って、接着力を測定した。具体的には、各例の単一の試料床材から複数の試験片を作製した後、各試験片について接着力を測定し、接着力の平均値を求めた。なお、接着力は、次式によって算出した。
接着力(MPa)=[最大荷重(N)]/[20mm×20mm]
そして、接着力の平均値が0.4MPa以上の場合を「〇」と評価し、0.3MPa以上0.4MPa未満を「△」と評価し、0.3MPa未満を「×」と評価した。各例の床材の評価結果を表1及び表2に合わせて示す。
表1に示すように、実施例1-5の床材は、接着力が0.4MPa以上となるため、紙材を介して基材と表面化粧単板が強固に接着できていることが分かる。これに対して、表2に示すように、比較例2の床材は、紙材の透湿度が500g/m・24h未満であることから、接着剤が紙材に対して十分に投錨できない。そのため、比較例2の床材は、接着強度が低下する結果となった。また、比較例3の床材は、紙材の厚みが0.5mmを超えているため、紙材で層間剥離が生じた。そのため、比較例3の床材は、接着強度が低下する結果となった。比較例4の床材は、紙材の厚みが0.1mm未満であることから、紙材が薄く、接着剤が十分に投錨できない。そのため、比較例4の床材は、接着強度が低下する結果となった。
(意匠性評価)
各例の床材の仕上がり外観を評価するために、日本工業規格JIS K5600-4-6(塗料一般試験方法-第4部:塗膜の視覚特性-第6節:測色(色差の計算))に沿って、色差を測定した。なお、色差を求める標準試験片は、各例の表面化粧単板で使用したものと同じ樹種で作製したブロック状の木材を用いた。
そして、色差ΔEが5以下の場合を「〇」と評価し、ΔEが5を超えている場合を「×」と評価した。各例の床材の評価結果を表1及び表2に合わせて示す。
表1に示すように、実施例1-5の床材は、表面化粧単板の厚みが0.2mm以上であることから、色差ΔEが5以下となった。そのため、下地の透けが目立たず、床材の仕上がり外観が良好な結果となった。これに対して、表2に示すように、比較例4の床材は、表面化粧単板の厚みが0.05mmであることから、表面化粧単板が薄く、下地の透けが目立つため、床材の仕上がり外観が悪化する結果となった。
(床暖房評価)
各例の床材の床暖房品質を確認するために、床暖房試験を実施した。床暖房試験には、温水式床暖房システムを使用した。また、床材の施工には、アクリル系両面粘着テープと変性シリコーン系接着剤の双方を使用し、次のように施工した。
図4に示すように、下地11に対して、両面粘着テープ12を、仕上げ材となる各例の床材10の長手方向と平行になるように、151.5mm間隔で貼り付けた。次に、変性シリコーン系接着剤13を、両面粘着テープ12の間を埋めるようにして棒状に塗布した。その後、床材10を両面粘着テープ12及び変性シリコーン系接着剤13に張り付けて加圧することにより、下地11に床材10を接着した。
変性シリコーン系接着剤13が完全に硬化した後、下地11に対し、80℃の温水を連続して1100時間通湯した。そして、通湯前後における床材10の隙間量、段差、及び幅反りを測定して、通湯前後における測定値の差分から変化量を求めた。
そして、隙間変化量が0.5mm以下、幅反り変化量が0.25mm以下、段差変化量が0.5mm以下の場合を「〇」と評価した。これに対し、隙間変化量が0.5mmを超える場合、幅反り変化量が0.25mmを超える場合、又は段差変化量が0.5mmを超える場合を「×」と評価した。各例の床材の評価結果を表1及び表2に合わせて示す。
表1に示すように、実施例1-5の床材において、表面化粧単板は、寸法安定化樹脂を含んでおり、かつ、厚みが0.2mm以上0.8mm以下の範囲内にある。そのため、表面化粧単板の伸縮が抑制され、床材の変化量を小さくすることができた。これに対し、表2に示すように、比較例1の床材は、表面化粧単板が寸法安定化樹脂を含んでいない。そのため、たとえ所定の厚み及び透湿度を有する紙材を用いたとしても、表面化粧単板が伸縮し、床材の幅反りを抑制することができなかった。また、比較例5の床材は、表面化粧単板が寸法安定化樹脂を含んでいるものの、厚みが0.8mmを超えている。そのため、表面化粧単板が伸縮してしまい、床材の幅反りを十分に抑制することができなかった。なお、比較例5の床材では、基材を厚くしつつ、裏面にPET不織布を複合して補強したが、床材の総厚が3.0mmを超えるだけでなく、床暖房品質も確保することができなかった。
(端部の納まり評価)
各例の床材の端部納まりを評価した。具体的には、まず、図5に示すように、下地20の側面に敷居21を設け、さらに下地20の表面と敷居21の表面との間の段差を3mmに設定した。そして、下地20の表面に各例の床材10を張り付け、敷居21に対する床材10の端部の納まりを目視で確認した。
そして、敷居21に対する床材10の端部の納まりが良好な場合を「〇」と評価し、納まりが悪い場合を「×」と評価した。納まりが悪いとは、敷居21の表面と床材10の表面との段差が大きい場合、又は、床材10の表面が敷居21の表面から突出している場合をいう。各例の床材の評価結果を表1及び表2に合わせて示す。
表1に示すように、実施例1-5の床材は、総厚が1.0mm以上3.0mm以下の範囲内であったため、敷居の表面と床材の表面との段差が小さく、さらに床材の表面が敷居の表面から突出することもなかった。そのため、実施例1-5の床材は、端部の納まりが良好な結果となった。これに対し、表2に示すように比較例4の床材は、総厚が1.0mm未満であったため、敷居の表面と床材の表面との段差が大きく、端部の納まりが悪化する結果となった。また、比較例5の床材は、総厚が3.0mmを超えているため、床材の表面が敷居の表面から突出し、端部の納まりが悪化する結果となった。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 基材
2 表面化粧単板
3 紙材
10,10A 床材

Claims (4)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に設けられ、寸法安定化樹脂を含浸した木材からなり、厚みが0.2mm以上0.8mm以下である表面化粧単板と、
    前記基材と前記表面化粧単板との間に設けられ、厚みが0.1mm以上0.5mm以下であり、透湿度が500g/m・24h以上である紙材と、
    を備え、
    総厚が1.0mm以上3.0mm以下である、床材。
  2. 前記寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂及びグリオキザール樹脂の少なくとも一方である、請求項1に記載の床材。
  3. 前記表面化粧単板と前記紙材との間及び前記紙材と前記基材との間には、接着剤が設けられている、請求項1又は2に記載の床材。
  4. 前記基材は、樹脂に木粉及び無機材料からなるフィラーを配合した複合材であり、
    前記紙材は、クラフト紙である、請求項1から3のいずれか一項に記載の床材。
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