JP2020032640A - 木質建材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】集成材を表面材に用いた場合でも、基材に接着した際に集成材の圧密ムラを抑制することが可能な木質建材及びその製造方法を提供する。【解決手段】木質建材10は、寸法安定化樹脂を含む集成材を圧密化してなり、かつ、厚みが0.2mm〜3mmである圧密集成単板12と、厚みが0.01mm〜3mmであるシート材14と、シート材よりも厚みが大きい基材13とを備え、圧密集成単板はシート材を介して基材に接着されている。木質建材の製造方法は、ブロック状の木材21に寸法安定化樹脂を含浸させる工程と、複数の木材を突き合わせて集成接着することにより集成材23を生成する工程と、集成材をスライスすることにより、集成単板24を得る工程と、集成単板をシート材に接着しながらプレスすることにより、シート材に圧密集成単板が接着してなる表面材15を得る工程と、表面材を基材に接着する工程とを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、木質建材及びその製造方法に関する。
スギやヒノキは高級な材料であるが、これらの間伐材は強度が低く、機械的性能に劣る。そのため、このような木材を圧縮成形して圧密化することにより、機械的性能を高めて、当該木材の有効利用を図っている。
また、木質単板を表面材として用いた床材において、木質単板を圧密化することにより、耐傷性能や耐凹み性能を向上させることも行われている。このような床材を作製するときには、予め木質単板を圧密加工した後に基材に接合し、その後に必要に応じて塗装及び加工を行うことが一般的である。
ここで特許文献1では、プラスチック複合単板を積層した化粧台板の製法が開示されている。当該製法は、まず、乾燥単板素材または当該単板素材を接合してなる接合材に、重合性ビニルエステル類モノマーを含む重合性樹脂液を注入する。次に、重合性ビニルエステル類モノマーの重合に先立ち、重合性樹脂液が含浸された単板素材または接合材を切削して重合性樹脂液が含浸された単板を得る。そして、当該重合性樹脂液が含浸された単板を台板表面に積層し、加熱圧締し、当該加熱の際の熱により、重合性モノマーの重合硬化を行っている。このように、重合性樹脂液が含浸された単板を台板表面に積層して加熱圧締することにより、当該単板が圧密化され、機械的性能を高めることが可能となる。
特開平2−274502号公報
しかしながら、特許文献1のように、複数の単板素材を接合してなる集成材(接合材)を用いて、基材(台板)への接着と圧密を同時に行った場合、基材平面内における基材の比重及び硬さのバラツキにより、集成材に圧密ムラが生じる。そのため、得られた化粧台板において、集成材を構成する各単板素材の機械的強度に差異が発生するという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、複数の単板素材を接着してなる集成材を表面材に用いた場合でも、基材に接着した際に集成材の圧密ムラを抑制することが可能な木質建材及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る木質建材は、寸法安定化樹脂を含む集成材を圧密化してなり、かつ、厚みが0.2mm〜3mmである圧密集成単板と、厚みが0.01mm〜3mmであるシート材と、シート材よりも厚みが大きい基材とを備える。圧密集成単板は、シート材を介して基材に接着されている。
本発明の第二の態様に係る木質建材の製造方法は、ブロック状の木材を、木材の寸法を安定化する作用を有し、かつ、水溶性である寸法安定化樹脂を含む水溶液に浸漬し、木材に寸法安定化樹脂を含浸させる含浸工程と、含浸工程の後に、ブロック状である複数の木材を突き合わせて集成接着することにより集成材を生成する集成材生成工程と、寸法安定化樹脂を含浸した集成材をスライスすることにより、集成単板を得る単板生成工程と、集成単板を、基材より厚みが小さいシート材に接着しながらプレスすることにより、シート材に圧密集成単板が接着してなる表面材を得る圧密処理工程と、圧密処理工程の後に、シート材における圧密集成単板の接着面と反対側の面を基材に接着する接着工程と、を有する。
本開示によれば、複数の単板素材を接着してなる集成材を表面材に用いた場合でも、基材に接着した際に集成材の圧密ムラを抑制することが可能な木質建材及びその製造方法を提供することができる。
(a)は複数の単板素材を集成接着してなる集成材を概略的に示す斜視図であり、(b)は当該集成材を圧密加工した場合に、接着層が破断した状態を説明するための斜視図である。 (a)は、集成材を基材に直接積層した状態を概略的に示す斜視図である。(b)は、集成材に対する基材への接着と圧密を同時に行うことより得られた木質建材を概略的に示す斜視図である。(c)は、(b)の木質建材の断面を示す概略図である。 (a)は本実施形態に係る木質建材の一例を概略的に示す斜視図である。(b)は、(a)の木質建材の断面を示す概略図である。 本実施形態に係る木質建材の製造方法の一例を説明するための概略図である。(a)はブロック状の木材を示す斜視図であり、(b)は当該木材が水溶液に浸漬している状態を示す斜視図である。(c)は複数の木材を集成接着してなる集成材を示す斜視図であり、(d)は集成材をスライスしてなる集成単板を示す斜視図である。 本実施形態に係る木質建材の製造方法の一例を説明するための概略図である。(a)は集成材をスライスしてなる集成単板を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す集成単板の概略断面図である。(c)は圧密集成単板とシート材が接着してなる表面材を示す斜視図であり、(d)は(c)に示す表面材の概略断面図である。(e)は表面材と基材が接着してなる木質建材を示す斜視図であり、(f)は(e)に示す木質建材の概略断面図である。
以下、本実施形態に係る木質建材、及び当該木質建材の製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
上述のように、従来より、木質単板を表面材として用いた木質建材において、木質単板を圧密加工することにより硬度を高め、耐傷性能や耐凹み性能を向上させることが行われている。そして、このような木質建材を作製するときには、予め木質単板を圧密加工した後に基材に接合することが一般的である。
ここで、木材の圧密加工を行うときには、通常、水分を含んでいる木材を圧密し、熱を加えながら木材を乾燥させることにより、圧密変形の固定化を行う。ただ、木材を乾燥させる際、木材の平面方向で収縮が起こる。例えば、図1(a)のように、複数の単板素材1を、その繊維方向を互いに略平行にして長さ方向及び幅方向に集成接着してなる集成単板2を用意し、集成単板2に対して上述の圧密加工を行った場合、乾燥した際に収縮して接着層の破断が起こる。つまり、集成単板2を圧密した後、熱を加えながら木材を乾燥させた場合には、集成単板2の平面方向に収縮が起こるため、図1(b)に示すように、接着層の破断が起こり、集成単板2の形状を維持することが困難となる。
そのため、図2(a)に示すように、圧密加工する前の集成単板2を基材3に直接積層した後に、集成単板2及び基材3を加熱しながらプレスすることにより、図2(b)に示すように、集成単板2を基材3に接着させつつも、集成単板2の圧密を行うことができる。この場合、圧密集成単板2Aと基材3との間に接着剤を介在させたときには、接着剤の力で圧密集成単板2Aの破断を抑制し、圧密集成単板2Aの集成状態を維持することができる。しかしながら、基材3の内部に例えば節などが存在する場合、基材3の平面内で比重や硬さにバラツキが生じる。基材3に比重や硬さのバラツキが存在する状態で、集成単板2に対して基材3への接着と圧密を同時に行った場合には、圧密集成単板2Aに圧密ムラが発生してしまう。つまり、図2(c)に示すように、圧密集成単板2Aの圧密単板素材1Aと圧密単板素材1Bとの圧密率に差が生じ、圧密単板素材1Aと圧密単板素材1Bの機械的強度が異なるという問題が発生する。
また、基材3が柔らかい場合、得られる木質建材に対して所望の厚みを確保しようするときには十分な加圧ができず、高い機械的強度が得られるまで集成単板2を圧密できないという問題がある。逆に、基材3が柔らかい場合に高い圧力をかけて集成単板2を圧密したときには、得られる木質建材に対して所望の厚みが確保できず、薄い木質建材しか得られないという問題がある。
そのため、本実施形態は、複数の単板素材を接合してなる集成単板を表面材に用いた場合でも、得られる圧密集成単板の圧密ムラを抑制することが可能な木質建材及び当該木質建材の製造方法に関するものである。
[木質建材]
本実施形態の木質建材10は、図3の(a)及び(b)に示すように、複数の圧密単板素材11を集成接着してなる圧密集成単板12と、基材13とを備えている。そして、圧密集成単板12と基材13との間にはシート材14が介在しており、圧密集成単板12は、シート材14を介して基材13に接着している。
圧密集成単板12は、複数の圧密単板素材11を、その繊維方向を互いに略平行にして長さ方向及び幅方向に集成接着してなる集成材である。また、圧密集成単板12は、後述するように、ブロック状の複数の木材に寸法安定化樹脂を含浸した後、集成してスライスし、その後、シート材14と共に圧密処理を施すことにより得ることができる。
圧密集成単板12を構成する木材は特に限定されず、スギ、カラマツ、ベイマツ、ゴムの木、カバ、ブナ、ナラ、ビーチ、オーク、チーク、ハードメープル、チェリー、ウォールナット、ホワイトアッシュ及びマホガニーからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。これらの木材は高級感があり意匠性が高いことから、これらの木材を用いた圧密集成単板12は、木質建材10の表面材として好適に用いることができる。
また、木材としては、主に日本をはじめ東南アジア等で短期間に大径木となる早生樹を使用することもできる。具体的には、木材は、センダン、チャンチンモドキ、ハンノキ、ユリノキ、ユーカリ、ポプラ、アカシアマンギウム及びファルカタからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。早生樹は、成長が早く比較的安価であることから、植林にて十分に供給することが可能な樹種である。ここで、早生樹は、広年輪幅の部分が広く年輪の曲率が大きいことから寸法変化に異方性が発生してしまう。そのため、早生樹を乾燥する際、局部的に大きな収縮応力が発生し、乾燥割れが発生しやすい。ただ、早生樹の内部に寸法安定化樹脂を浸透させることにより、膨潤状態に維持して収縮を抑制することができるため、本実施形態では木材として早生樹も好適に用いることができる。
木材は、水分の吸脱着に伴い膨潤及び収縮を繰り返すことから、水分量の変化により割れや反り、変形が発生してしまう。そのため、圧密集成単板12では、複数の圧密単板素材11の割れや反り、変形を抑制するために、寸法安定化処理を施している。
ここで、木材の寸法安定化処理は、代表的には次の三種類の方法が挙げられる。
(1)木材細胞壁に寸法安定化樹脂を含浸させる方法
木材の寸法変化は、構成成分であるセルロースの水酸基の間に水分子が入ることで膨張し、乾燥することで水分子が排出されて収縮することで発生する。そのため、寸法安定化樹脂としては、水分子の代わりに木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填され、乾燥時においても蒸発することなく当該微小空隙に留まることができる樹脂を使用する。このような寸法安定化樹脂を使用することにより、寸法安定化樹脂によって細胞壁を膨潤状態に維持できることから、いわゆる「かさ効果」によって、圧密集成単板の収縮を抑制することができる。
(2)木材の細胞内腔を充填する方法
木材の細胞内腔を樹脂で充填することで、寸法変化の原因である水分が細胞壁に入ることを妨げ、寸法安定性を発現させる。含浸時はモノマーの状態で細胞内腔に含浸させ、その後、熱などで硬化及び高分子化することで、木材内に樹脂を固定する。この方法では、木材の微細凹凸を樹脂で充填するため、木材の質感が失われやすい特徴がある。
(3)熱処理
木材を熱処理することで、水分の吸着点である水酸基を破壊し、水分の吸着自体を抑制する方法である。加熱水蒸気処理が代表的な方法である。
そして、本実施形態では、(1)に分類される寸法安定化処理を適用している。
寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。なかでも、寸法安定化樹脂は、圧密変形後の固定化効果を有する樹脂である、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことがより好ましい。なお、寸法安定化樹脂としては、このような圧縮変形後の固定化効果を有する樹脂を単体で用いてもよい。
また、寸法安定化樹脂として、圧縮変形後の固定化効果を有する樹脂とグリコール系樹脂との混合体を用いることも好ましい。具体的には、寸法安定化樹脂は、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つとグリコール系樹脂との混合体を用いることも好ましい。また、寸法安定化樹脂は、圧縮変形後の固定化効果を有する樹脂とポリアルキレングリコールとの混合体を用いることも好ましい。
グリコール系樹脂としては、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコール誘導体の少なくとも一方であることが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、重量平均分子量が200〜20000のものを使用することができる。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールを単独又は複数種用いることができる。あるいは、ポリアルキレングリコールとしては、エチレングリコールとプロピレングリコールとを共重合させたものなど、アルキレン基が異なるアルキレングリコール同士を共重合させたものであってもよい。
ポリアルキレングリコール誘導体としては、例えば、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートを使用することができる。ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)を挙げることができる。
グリオキザール樹脂は、尿素、ホルムアルデヒド及びグリオキザールからなる環状尿素樹脂である。グリオキザール樹脂が木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填された際には、自己重縮合反応によって不溶化すると共に、木材のセルロースなどの水酸基とエーテル結合することにより不溶化する。
木質建材10において、圧密集成単板12の厚みは0.2mm〜3mmであることが好ましく、0.5mm〜3mmであることがより好ましい。圧密して得られた圧密集成単板12の厚みがこの範囲内であることにより、硬度が向上し、高い耐傷性能及び耐凹み性能を得ることが可能となる。
基材13は、表面平滑性の良好な木質系材料から形成されたものを用いることができる。このような木質系材料としては、例えば、MDF(中密度繊維板)やHDF(高密度繊維板)等の木質繊維板、及びパーティクルボードやOSB(配向性ストランドボード)等の木質ボード等が挙げられる。また、基材13は、合成樹脂系材料に木粉、無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)から形成されたものを用いてもよい。ただ、基材13としては合板が好ましく、ラワン、ユーカリ、ファルカタ、カメレレ、キリ、ラバーウッド、ポプラ、スギ、カラマツ、ヒノキ等の合板を好適に用いることができる。基材13の厚みは特に限定されず、例えば1.0mm〜10.0mmとすることが好ましく、1.0mm〜5.0mmとすることがより好ましく、1.5mm〜3.0mmとすることがさらに好ましい。
シート材14は、表面平滑性の良好な材料から形成されたものを用いることができる。シート材14を構成する材料としては、樹脂、紙及び木質材料からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含むポリオレフィンを用いることができる。木質材料としては、例えば、MDF(中密度繊維板)やHDF(高密度繊維板)等の木質繊維板、パーティクルボードやOSB(配向性ストランドボード)等の木質ボード、及び木粉・プラスチック複合材(WPC)が挙げられる。また、木質材料としては、ラワン、ユーカリ、ファルカタ、カメレレ、キリ、ラバーウッド、ポプラ、スギ、カラマツ、ヒノキも用いることができる。
シート材14を構成する材料として木質材料を用いる場合、MDFのような比重が安定した材料が好ましいが、木質単板も好ましく用いることができる。また、シート材14としては、上記材料の複合材、又は上記材料からなる織布若しくは不織布も用いることができる。
木質建材10において、シート材14の厚みは0.01mm〜3mmであることが好ましい。木質建材10の内部におけるシート材14の厚みがこの範囲内であることにより、圧密集成単板12と基材13との間の高い接着性を長期間に亘り維持することができる。
圧密集成単板12とシート材14との間、及び/又は、基材13とシート材14との間には、これらを接合するために接着剤を介在させてもよい。このような接着剤としては、これらを強固に接合できるものであれば特に限定されない。接着剤としては、水性ビニルウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、水性イソシアネート樹脂系接着剤等の水性接着剤を挙げることができる。
ここで、本実施形態の木質建材10は、後述するように、次のような工程により得ることができる。まず、図4に示すように、ブロック状の木材21を寸法安定化樹脂を含む水溶液22に浸漬し、木材21に寸法安定化樹脂を含浸させる。さらに、含浸工程の後に、複数の木材21を突き合わせて集成接着することにより集成材23を作製した後、集成材23をスライスすることにより、集成単板24を得る。次に、図5に示すように、集成単板24をシート材14に接着しながらプレスすることにより、シート材14に圧密集成単板12が接着してなる表面材15を作製する。そして、表面材15を基材13に接着することにより、木質建材10を得ることができる。
つまり、本実施形態の木質建材10の製造方法では、図2に示すように、集成単板を基材に直接積層した後にこれらをプレスするわけではなく、集成単板24をシート材14に直接積層した後に、シート材14と集成単板24をプレスしている。上述のように、シート材14は、平面内で比重や硬さにバラツキが殆ど無い材料から形成されている。そのため、シート材14と集成単板24をプレスして、これらの接着と集成単板24の圧密とを同時に行うことにより、基材の比重等のバラツキに起因する集成単板24の圧密ムラを抑制することができる。また、得られた圧密集成単板12における複数の圧密単板素材11の間に圧密率の差が生じ難くなることから、圧密単板素材11の間の機械的強度を均一化することが可能となる。
このように、本実施形態の木質建材10は、寸法安定化樹脂を含む集成材を圧密化してなり、かつ、厚みが0.2mm〜3mmである圧密集成単板12と、厚みが0.01mm〜3mmであるシート材14と、シート材14よりも厚みが大きい基材13とを備える。さらに、圧密集成単板12は、シート材を介して基材13に接着されている。上述のように、木質建材10は、集成単板24をシート材14に直接積層した後に、シート材14と集成単板24をプレスすることにより、集成単板24を圧密して圧密集成単板12を得ている。そして、シート材14に圧密集成単板12が接着してなる表面材15を基材13に接着することにより、木質建材10を得ている。そのため、圧密集成単板12を構成する複数の圧密単板素材11が略均一に圧密されていることから、圧密単板素材11の間の圧密ムラを抑制し、圧密集成単板12の全体に亘って高い耐傷性能及び耐凹み性能を得ることができる。
また、木質建材10において、圧密集成単板12は寸法安定化樹脂を含んでいる。そのため、木質建材10の使用時に環境変化が生じたとしても、かさ効果により圧密集成単板12の割れ又は反りを抑制することができる。なお、寸法安定化樹脂は、木材の細胞壁に留まることにより細胞壁を膨潤状態に維持し、圧密集成単板12の収縮を抑制している。そのため、木質建材10における圧密集成単板12は、木材の質感を維持しつつも、割れ又は反りを抑制することができる。
[木質建材の製造方法]
次に、本実施形態に係る木質建材の製造方法について説明する。従来より、木質建材の製造方法として、接着剤を用いて木材の単板を基材に接着する方法が知られている。ここで、乾燥していない湿式の単板を、接着剤を用いて基材に接着した場合、単板が乾燥して収縮することから単板が割れるときがある。このとき、単板が薄い場合には、接着剤の力で単板の割れを抑制することができる。これは、接着剤が単板を構成する木材の導管などに入り込み、単板の割れの発生を抑制するためである。しかしながら、木材に接着剤が入り込める深さには限界があるため、単板が厚くなると接着剤が入り込み難くなり、表面で割れが発生しやすくなる。
ここで、接着剤にジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの含浸型の助剤を添加することで、接着時に助剤を単板に浸透させて、単板の割れを抑制することは可能である。ただ、このような助剤を用いたとしても、その効果は0.7mm程度の中厚単板までであり、それ以上の厚みを有する厚単板では、割れの発生を抑制できない。
また、基材に単板を接着する方法として、乾燥していないブロック状の木材をスライスして単板を得た後に、当該単板を乾燥させる方法がある。この場合、厚単板であっても事前に乾燥させることにより、単板を基材に接着した際に単板の割れを抑制することが可能となる。そして、乾燥時に徐々に含水率を低下させたり、当て板をすることで、割れが無く、反りの発生も少ない乾燥単板を得ることは容易である。
ただし、スライス後の乾燥が行えるのは、集成していない単板のみである。つまり、集成した単板を乾燥した場合、乾燥により各単板素材間の集成層が破断したり、単板素材内で割れが生じる。そのため、集成した単板を乾燥することにより、単板を基材に接着した際に単板の割れを抑制することは困難であった。
本実施形態に係る木質建材の製造方法は、集成単板の割れ又は反りを抑制しつつも、集成単板の圧密ムラを低減することが可能な製造方法である。
(含浸工程)
木質建材10の製造方法は、図4の(a)及び(b)に示すように、最初に、ブロック状の木材21を、水溶性の寸法安定化樹脂を含む水溶液22に浸漬して、木材21に寸法安定化樹脂を含浸させる。
木材21は特に限定されず、スギ、カラマツ、ベイマツ、ゴムの木、カバ、ブナ、ナラ、ビーチ、オーク、チーク、ハードメープル、チェリー、ウォールナット、ホワイトアッシュ及びマホガニーからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、木材21としては、上述のように、早生樹を使用することもできる。具体的には、木材21は、センダン、チャンチンモドキ、ハンノキ、ユリノキ、ユーカリ、ポプラ、アカシアマンギウム及びファルカタからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
なお、木材21は、含水率が高い生の状態であってもよく、含水率が低い乾燥状態であってもよい。木材21の含水率が高い状態であっても、道管中の水分と寸法安定化樹脂とを置換することができるため、木材21の内部に寸法安定化樹脂を含浸することが可能である。なお、木材21としては、人工的に乾燥釜などで乾燥させ、含水率を下げた人工乾燥材(KD材)を用いることが好ましい。この際、KD材の含水率は、7〜25%とすることが好ましい。なお、木材の含水率は、日本工業規格JIS Z2101(木材の試験方法)に基づき測定することができる。
ブロック状の木材21の大きさは特に限定されず、後述する集成材生成工程において、木材21を突き合わせて集成接着することにより集成材23を得ることが可能な大きさであればよい。また、木材21の形状も特に限定されず、例えば平板状又は角柱状とすることができる。
ここで、木材の寸法安定化処理には、上述のように、代表的には(1)木材細胞壁に寸法安定化樹脂を含浸させる方法、(2)木材の細胞内腔を充填する方法、(3)熱処理の三種類がある。そして、本実施形態では、(1)に分類される寸法安定化方法を使用している。また、その中でも取り扱い性を考慮し、水溶系の寸法安定化樹脂を用いる。水溶性の寸法安定化樹脂としては、水への溶解性及び細胞壁への吸着性を考慮し、水酸基を有し、極性を持ち、かつ、対象木材の微小空隙よりも小さな分子であることが好ましい。
上述のように、寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。これらの樹脂は、木材21の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填されやすい。また、これらの樹脂は、乾燥時でも揮発性が低いことから、木材21の微小空隙に留まってかさ効果を発揮しやすい。さらに、これらの樹脂は粘性が高いことから、後述するように、寸法安定化樹脂を含浸した木材21からなる集成材23をスライスした場合でも、得られる集成単板24の割れを抑制して、歩留まりを高めることが可能となる。
寸法安定化樹脂を含む水溶液22は、寸法安定化樹脂を水に溶解することにより調製することができる。この際、水溶液22における寸法安定化樹脂の濃度が高いほど、木材21に寸法安定化樹脂が多く含浸することから、木材21の収縮を抑制することが可能となる。水溶液22における寸法安定化樹脂の濃度は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
木材21に寸法安定化樹脂を含浸する方法は特に限定されない。例えば、木材21を、寸法安定化樹脂を含む水溶液22に浸漬して放置することにより、木材21に寸法安定化樹脂を含浸させることができる。なお、木材21に対する寸法安定化樹脂の含浸を早めるために、水溶液22を満たした耐圧容器に木材21を投入した状態で加圧することが好ましい。この際、加圧する圧力は特に限定されないが、例えば0.3〜2.0MPaとすることが好ましい。
木材21に対する寸法安定化樹脂の含浸を早めるために、耐圧容器に木材21を投入した状態で減圧して、木材21の内部の空気を除去した後に、木材21を水溶液22に浸漬してもよい。これにより、木材21の道管の内部に水溶液22が浸透しやすくなるため、木材21に寸法安定化樹脂をすばやく含浸させることが可能となる。
寸法安定化樹脂は、木材21の全体、つまり木材21の中心部まで含浸していることが好ましい。ただ、木材21の全体に寸法安定化樹脂を含浸させる必要はなく、スライスして得られる集成単板24に寸法安定化樹脂が含浸している程度まで、木材21に寸法安定化樹脂を含浸させればよい。
木材21に寸法安定化樹脂を含浸した後、木材21に付着している余分な水溶液22を除くことが好ましい。また、木材21に寸法安定化樹脂を含浸した後、木材21を乾燥させて溶媒としての水を除去してもよい。
(集成材生成工程)
次に、図4(c)に示すように、寸法安定化樹脂を含んだ複数の木材21を集成接着して、集成材23を作製する。集成材23の単板幅方向及び単板長手方向の寸法は、集成材23から得られる集成単板24の厚み方向に見た各寸法に応じた寸法とすることができる。また、集成材23の単板厚み方向に見た集成態様は、集成単板24の厚み方向に見た集成態様に応じたものとすることができる。なお、図4(c)に示す集成材23は、単板幅方向に沿って二列に木材21を突き合わせ、さらに、単板厚み方向に見て乱貼り状となるように各列の木材21を長手方向にずらして集成している。
木材21を集成接着する際の接着剤は特に限定されず、例えば水性ビニルウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、水性イソシアネート樹脂系接着剤等の水性接着剤を挙げることができる。
(単板生成工程)
次に、図4(d)に示すように、寸法安定化樹脂を含浸した木材21からなる集成材23をスライスすることにより、集成単板24を得る。なお、スライスする際、集成材23は、少なくとも寸法安定化樹脂を含んでいる必要があるが、水溶液22における溶媒としての水を含んでいてもよい。
集成材23のスライスの方法は特に限定されず、例えばスライサーを用いて行うことができる。また、スライサーは、縦突スライサー及び横突スライサーのいずれも用いることができる。なお、本明細書において、「スライス」は、鋸を用いて集成材23を切断する方法を除いている。つまり、鋸を用いて集成材23を切断した場合、加工屑が発生し、集成単板24を得る際の歩留まりが低下してしまう。しかしながら、スライサーを用いて集成材23を切断した場合には、加工屑が殆ど発生しないため、集成単板24を得る際の歩留まりを高めることが可能となる。
本実施形態では、寸法安定化樹脂を含浸して湿潤状態となった集成材23をスライスすることにより、集成単板24を得ている。仮に寸法安定化樹脂を含浸していない木材から得られた集成単板を乾燥した場合、乾燥による収縮により各単板素材間の集成層が破断したり、単板素材内で割れが生じる。特に、集成単板の厚みが大きくなるほど、破断や割れを抑制することは困難となる。しかしながら、本実施形態では、寸法安定化樹脂を含浸して湿潤状態となった木材21からなる集成材23をスライスすることにより、集成単板24を得ている。そのため、寸法安定化樹脂のかさ効果に起因して集成単板24の割れ又は反りが抑制されることから、効率よく寸法安定性に優れた集成単板24を得ることができる。さらに、寸法安定化樹脂を含浸した集成材23をスライスすることにより、厚みが0.35mm以下の薄単板に加えて、厚みが0.35〜0.7mmの中厚単板、及び厚みが0.7mm以上、特に2mm以上の厚単板も効率的に得ることができる。
図5の(a)及び(b)に示すように、集成材23をスライスして得られる集成単板24の厚みT1は特に限定されないが、例えば0.1mm〜5mmとすることが好ましく、0.35mm〜5mmとすることがより好ましく、例えば4mmとすることができる。なお、集成単板24の厚みは、集成単板24における各単板素材の比重バラツキを把握し、圧密処理工程を経ることにより各単板素材の比重が目標値以上になるように、集成単板24の厚みを調整することが好ましい。
(圧密処理工程)
次に、図5の(c)及び(d)に示すように、上述の単板生成工程によって得られた集成単板24をシート材14に接着しながらプレスする。具体的には、集成単板24をシート材14に重ねて、シート材14と集成単板24とを加熱すると共に加圧することにより、シート材14と集成単板24とを接着する。このような圧密処理工程に用いられる装置は特に限定されないが、例えば熱プレス成形機などを用いることができる。
本実施形態では、図2に示すように、集成単板を基材に直接積層した後にこれらをプレスするわけではなく、集成単板24をシート材14に直接積層した後に、シート材14と集成単板24をプレスしている。上述のように、シート材14は、平面内で比重や硬さにバラツキが殆ど無い材料から形成されている。そのため、シート材14と集成単板24をプレスして、これらの接着と集成単板24の圧密とを同時に行うことにより、基材の比重等のバラツキに起因する集成単板24の圧密ムラを抑制することができる。また、得られる圧密集成単板12における複数の圧密単板素材11の間に圧密率の差が生じ難くなることから、圧密単板素材11の間の機械的強度を均一化することが可能となる。
圧密処理工程において、シート材14と集成単板24との間には、これらを接合するために、接着剤を介在させてもよい。このような接着剤としては、シート材14と集成単板24を強固に接合できるものであれば特に限定されない。接着剤としては、水性ビニルウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、水性イソシアネート樹脂系接着剤等の水性接着剤を挙げることができる。
シート材14は、表面平滑性の良好な材料から形成されたものを用いることができる。シート材14を構成する材料としては、上述のように、樹脂、紙及び木質材料からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
集成単板24とプレスする前のシート材14の厚みは、0.05mm〜3mmであることが好ましい。シート材14の厚みがこの範囲内であるときには、集成単板24を略均一に圧密し、集成単板24の比重及び硬さのバラツキを低減することが可能となる。なお、プレスする前のシート材14の厚みは、基材13の厚みより小さいことが好ましい。
シート材14と集成単板24とをプレスする際のプレス温度、プレス圧、及びプレス時間は、集成単板24の圧密率や使用する接着剤の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、シート材14と集成単板24とをプレスする際のプレス圧は0.5MPa〜1MPa、プレス温度は90℃〜150℃、プレス時間は60秒〜180秒とすることができる。
ここで、寸法安定化樹脂としてグリオキザール樹脂を用いる場合、グリオキザール樹脂を縮合反応させるには高温である方が好ましく、グリコール系樹脂とグリオキザール樹脂との混合物においても同様のことが言える。そして、グリオキザール樹脂、及びグリコール系樹脂とグリオキザール樹脂との混合物は、硬化を十分に行うことにより不溶性が高まる。なお、グリオキザール樹脂の硬化は100℃以上から起こり、150℃で十分な硬化を行うことができる。
シート材14と集成単板24とのプレスは、例えば150℃で1回のプレスで行うことも可能であるが、複数回に分けて行ってもよい。また、シート材14と集成単板24とのプレスを複数回行う場合には、各プレス工程の間の時間は数分〜数日とすることができる。この際、最初のプレスは105℃程度で行い、最後のプレスは130℃以上の高温で行うことが好ましい。毎回130℃以上の高温でプレスすることも可能であるが、シート材14と集成単板24と間の接着層の劣化や単板の熱変色の問題が生じる場合がある。つまり、最初のプレスでは105℃程度で集成単板24の水分量を減らすとともに、接着層の硬化を促し、最後のプレスでは130℃以上の高温とすることで、集成単板24に含浸した樹脂の硬化を促すことが好ましい。
圧密処理工程により得られる圧密集成単板12の圧密率は、得られる圧密集成単板12に求められる耐傷性能や耐凹み性能に応じて設定することができる。具体的には、圧密集成単板12の圧密率は、50〜90%とすることができる。なお、本明細書において、圧密率は、次の数式1により求めることができる。
[数1]
[圧密率(%)]=(T1−T2)/T1×100
T1:圧密処理前における集成単板24の厚み方向の寸法
T2:圧密処理後における圧密集成単板12の厚み方向の寸法
このような圧密処理工程により、圧密集成単板12とシート材14とが接着されてなる表面材15を得ることができる。なお、寸法安定化樹脂は揮発性が低いことから、集成単板24を加熱した場合でも、寸法安定化樹脂は、集成単板24を構成する木材の細胞壁内に留まることができる。そのため、圧密処理工程において、シート材14と集成単板24とを熱プレスしたとしても、寸法安定化樹脂のかさ効果により、圧密集成単板12の割れ又は反りを抑制することが可能となる。
(接着工程)
次に、図5の(e)及び(f)に示すように、上述の圧密処理工程によって得られた表面材15を基材13にプレスして接着する。具体的には、シート材14における圧密集成単板12の接着面と反対側の面を基材13に重ねた後、基材13と表面材15とを加熱すると共に加圧することにより、基材13と表面材15とを接着する。このような接着工程に用いられる装置は特に限定されないが、例えば熱プレス成形機などを用いることができる。
基材13と表面材15との間には、これらを接合するために、接着剤を介在させてもよい。このような接着剤としては、基材13と表面材15を強固に接合できるものであれば特に限定されない。接着剤としては、水性ビニルウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、水性イソシアネート樹脂系接着剤等の水性接着剤を挙げることができる。
基材13は、上述のように、表面平滑性の良好な木質系材料から形成されたものを用いることができる。また、基材13の厚みは特に限定されず、例えば1.0mm〜10.0mmとすることが好ましく、1.0mm〜5.0mmとすることがより好ましく、1.5mm〜3.0mmとすることがさらに好ましい。
基材13と表面材15とを接着する際のプレス温度、プレス圧、及びプレス時間は、使用する接着剤の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、基材13と表面材15とをプレスする際のプレス圧は0.5MPa〜1MPa、プレス温度は90℃〜150℃、プレス時間は60秒〜180秒とすることができる。なお、基材13と表面材15との接着は、例えば150℃で1回のプレスで行うことも可能であるが、複数回に分けて行ってもよい。
このような接着工程により、基材13と表面材15とが接着されてなる木質建材10を得ることができる。なお、寸法安定化樹脂は揮発性が低いことから、表面材15を加熱した場合でも、寸法安定化樹脂は、表面材15を構成する木材の細胞壁内に留まることができる。そのため、接着工程において、基材13と表面材15とを熱プレスしたとしても、寸法安定化樹脂のかさ効果により、表面材15における圧密集成単板12の割れ又は反りを抑制することが可能となる。
このように、本実施形態の木質建材10の製造方法は、ブロック状の木材21を、木材21の寸法を安定化する作用を有し、かつ、水溶性である寸法安定化樹脂を含む水溶液22に浸漬し、木材21に寸法安定化樹脂を含浸させる含浸工程を有する。当該製造方法は、さらに、含浸工程の後に、ブロック状である複数の木材21を突き合わせて集成接着することにより集成材23を生成する集成材生成工程を有する。当該製造方法は、さらに、寸法安定化樹脂を含浸した集成材23をスライスすることにより、集成単板24を得る単板生成工程を有する。当該製造方法は、さらに、集成単板24を、基材13より厚みが小さいシート材14に接着しながらプレスすることにより、シート材14に圧密集成単板12が接着してなる表面材15を得る圧密処理工程を有する。当該製造方法は、さらに、圧密処理工程の後に、シート材14における圧密集成単板12の接着面と反対側の面を基材13に接着する接着工程を有する。
本実施形態の製造方法は、集成単板24をシート材14に直接積層した後に、シート材14と集成単板24をプレスすることにより、集成単板24の圧密を行っている。つまり、図2に示すように、集成単板を基材に直接積層した後に集成単板を圧密した場合には、基材の比重や硬さに起因して、得られる圧密集成単板2Aに圧密ムラが生じ、機械的強度のバラツキが発生する可能性があった。これに対して、本実施形態の製造方法では、集成単板24をシート材14と共に予め圧密した後に、得られた表面材15を基材13に接着している。そのため、圧密集成単板12の圧密ムラが抑制されることから、圧密集成単板12の機械的強度のバラツキを防ぐことが可能となる。
また、本実施形態の製造方法のように、シート材14と集成単板24をプレスして、接着と圧密とを同時に行うことにより、圧密後に、圧密集成単板12における圧密単板素材11の集成状態を維持することができる。さらに、シート材14が支持体として作用することから、圧密単板素材11が圧密集成単板12の面内で安定化することができる。
さらに、本実施形態の製造方法では、予め圧密集成単板12とシート材14とが接着されてなる表面材15を作製した後に、表面材15を基材3に接着している。そのため、仮に基材3が柔軟な材料からなる場合でも、基材3を過度に加圧する必要がない。つまり、基材3に対する加圧は、基材3と表面材15が接着する程度の圧力で行えばよい。そのため、所望の厚みを有する木質建材を効率的に製造することができる。
また、本実施形態の製造方法は、寸法安定化樹脂を含浸して湿潤状態となった木材21からなる集成材23をスライスすることにより、集成単板24を得ている。そのため、得られる集成単板24の割れ又は反りを抑制し、効率よく寸法安定性に優れた集成単板24を得ることができる。また、寸法安定化樹脂は集成単板24を構成する木材の細胞壁内に留まるため、圧密処理工程においてシート材14と集成単板24とをプレスしたとしても、集成単板24の割れ又は反りを抑制することができる。そのため、本実施形態の製造方法によれば、寸法安定性及び硬度に優れた表面材15を、効率よく高い歩留まりで製造することが可能となる。
上述のように、集成単板24は、少なくとも寸法安定化樹脂を含んでいるが、水溶液22における溶媒としての水を含んでいてもよい。ただ、圧密処理工程の前に集成単板24の含水率を低下させることにより、圧密処理工程において、プレス時間の短縮、並びに集成単板24の反り又は割れ発生の更なる低減を図ることができる。集成単板24の含水率を低下させる方法としては、自然乾燥及び熱風乾燥が挙げられる。なお、集成単板24は寸法安定化樹脂を含んでいることから、乾燥した場合でも、集成単板24の破断又は割れの発生を抑制することができる。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
10 木質建材
12 圧密集成単板
13 基材
14 シート材
15 表面材
21 木材
22 水溶液
23 集成材
24 集成単板

Claims (5)

  1. 寸法安定化樹脂を含む集成材を圧密化してなり、かつ、厚みが0.2mm〜3mmである圧密集成単板と、
    厚みが0.01mm〜3mmであるシート材と、
    前記シート材よりも厚みが大きい基材と、
    を備え、
    前記圧密集成単板は、前記シート材を介して前記基材に接着されている、木質建材。
  2. 前記寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1に記載の木質建材。
  3. ブロック状の木材を、前記木材の寸法を安定化する作用を有し、かつ、水溶性である寸法安定化樹脂を含む水溶液に浸漬し、前記木材に前記寸法安定化樹脂を含浸させる含浸工程と、
    前記含浸工程の後に、ブロック状である複数の前記木材を突き合わせて集成接着することにより集成材を生成する集成材生成工程と、
    前記寸法安定化樹脂を含浸した前記集成材をスライスすることにより、集成単板を得る単板生成工程と、
    前記集成単板を、基材より厚みが小さいシート材に接着しながらプレスすることにより、前記シート材に圧密集成単板が接着してなる表面材を得る圧密処理工程と、
    前記圧密処理工程の後に、前記シート材における前記圧密集成単板の接着面と反対側の面を前記基材に接着する接着工程と、
    を有する、木質建材の製造方法。
  4. 前記集成単板とプレスする前の前記シート材の厚みは、0.05mm〜3mmである、請求項3に記載の木質建材の製造方法。
  5. 前記寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項3又は4に記載の木質建材の製造方法。
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