JP3886330B2 - 多孔質基板の表面強化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、床材等の建築用化粧板を製造するに際して、化粧板の基材を構成する多孔質基板の表面強度を増大させて硬度や耐傷性に優れた化粧板を得ることができる多孔質基板の表面強化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、合板等の木質基板の表面に突き板や印刷化粧紙などの化粧薄シート材を貼着してなる建築用化粧板は広く知られている。また、このような化粧板の表面硬度や耐磨耗性、耐傷性、外観等を向上させるために、上記化粧薄シート材に合成樹脂液を含浸して硬化させた合成樹脂含浸処理化粧薄シート材を上記合板等の木質基板表面に貼着してなる化粧板も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の化粧板によれば、化粧薄シート材によって良好な外観を呈するが、硬度や耐磨耗性、耐傷性等に劣っているために、例えば、床材として使用した場合、台所用品などを載せるキャスターの車輪によって、或いは物を誤って落とすことによる落下衝撃力によってその表面に凹み傷や擦過傷などが発生することがある。
【0004】
これに対して、後者の化粧板によれば、基板表面に貼着している合成樹脂含浸処理化粧薄シート材によって表面が強化されているために、上記のような凹み傷や擦過傷の発生をある程度軽減することができるが、最近では、装飾性の高い木材資源が乏しくなり、また、高価になってきていることから、上記化粧薄シートとして厚さが0.50mm以下の薄い木材化粧単板を使用することが多く、このため、このような薄い単板に合成樹脂含浸処理を施しても上記のような傷等の発生を十分に防止することが困難であった。
【0005】
一方、表面に上記のような化粧薄シート材を貼着しているにもかかわらず、化粧板の表面にこのような傷等の発生を生じ難くするには、合板等の木質材料からなる多孔質基板の表面硬度を向上させることが考えられる。例えば、繊維質シート材に合成樹脂液を含浸してこれを乾燥することにより半硬化状態のプリプレグを形成し、このプリプレグを多孔質基板の表面に載置してホットプレスにより熱圧することにより多孔質基板とプリプレグとを一体に接着すると同時にプリプレグに含浸している合成樹脂液を硬化させ、この合成樹脂含浸処理プリプレグによって基板表面に強化層を形成する方法が考えられる。
【0006】
しかしながら、このような方法ではプリプレグを別途製造するための設備を必要とする上に、その設備を用いての製造工程に手間を要して生産性が低下するばかりでなく製品が高価になるという問題があり、また、表面化粧に使用されている秤量が50g/m2 以下の通常の薄い紙を用いたプリプレグでは、床材として要求される表面硬度や耐磨耗性、耐傷性等の性能を充分に満たすことができないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、化粧板の基材を構成する多孔質基板の表面強度を作業性よく増大させることができると共に、この多孔質基板を化粧板の基板に採用した場合には、優れた耐磨耗性、耐傷性、表面硬度等を発揮させることができる多孔質基板の表面硬度方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多孔質基板の表面強化方法は、請求項1に記載したように、多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布してその上に0.1mm 以上の厚さを有する繊維質シートを載置することによりこの繊維質シートに上記合成樹脂液を含浸させたのち、又は、上記多孔質基板の表面に上記繊維質シートを載置してこの繊維質シートの表面に上記合成樹脂液を塗布することにより該繊維質シートに合成樹脂液を含浸させたのち、この樹脂液含浸繊維質シートの表面を加熱加圧することにより多孔質基板の表面に繊維質シートを接着すると共に該繊維質シートに含浸させている合成樹脂液を硬化させて強化層を形成する多孔質基板の表面強化方法において、上記合成樹脂液は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物、又は熱硬化性樹脂に熱可塑性を付与するように変性した樹脂からなる、熱硬化性樹脂をベースとした樹脂よりなり且つ樹脂含有率が 50 重量%〜 80 重量%であることを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項2に係る発明は、合成樹脂液は、メラミン系樹脂のメチロール基をアクリル変性又はアリル変性、或いはポリアルコール変性したものであることを特徴とするものである。
【0010】
上記請求項1又は請求項2に記載の発明において、請求項3に係る発明は、合成樹脂液を繊維質シートに 250 〜 600 g/m 2 含浸させることを特徴としている。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1に記載の発明において、繊維質シートとして厚さが0.15mm〜0.4mm 、密度が0.4 g/cm3 〜0.6 g/cm3 の紙を用いていることを特徴としている。
【0012】
さらに、上記請求項1に記載した発明において、請求項5に係る発明は、強化層を、密度が1.2 g/cm3 以上で、空隙率が7%以下の緻密層に形成していることを特徴とし、請求項6に係る発明は、合成樹脂液を含浸している繊維質シートの表面を加熱加圧するに際して、まず、低圧によって加圧し、続いて高圧によって加熱加圧することを特徴とするものである。
【0013】
【作用効果】
請求項1に係る発明によれば、多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布してその上に0.1mm 以上の厚さを有する繊維質シートを載置することによりこの繊維質シートに上記合成樹脂液を含浸させたのち、又は、上記多孔質基板の表面に上記繊維質シートを載置してこの繊維質シートの表面に上記合成樹脂液を塗布することにより該繊維質シートに合成樹脂液を含浸させたのち、この樹脂液含浸繊維質シートの表面を加熱加圧することにより多孔質基板の表面に繊維質シートを接着すると共に該繊維質シートに含浸させている合成樹脂液を硬化させて強化層を形成する多孔質基板の表面強化方法において、上記合成樹脂液は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物、又は熱硬化性樹脂に熱可塑性を付与するように変性した樹脂からなる、熱硬化性樹脂をベースとした樹脂よりなり且つ樹脂含有率が 50 重量%〜 80 重量%であるから、予め、繊維質シートに合成樹脂液を含浸、硬化させておくのではなく、多孔質基板の表面に繊維質シートを載置して該繊維質シートに合成樹脂液を含浸、硬化させて強化層を直接的に形成するので、極めて能率よく製造することができ、生産性を向上させることができる。
【0014】
さらに、繊維質シートに含浸させる合成樹脂液の樹脂含有率が50重量%以上と高く、且つ繊維質シートの厚さが0.1mm 以上あるので、緻密で補強強度の高い強化層を形成することができ、この表面強化多孔質基板の表面に化粧薄シート材を貼着することによって硬度が大で、耐磨耗性、耐傷性に優れた化粧板を得ることができる。
【0015】
また、繊維質シートに含浸させる合成樹脂液として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物、又は熱硬化性樹脂に熱可塑性を付与するように変性した樹脂を用いているので、上記効果に加えて合成樹脂液の硬化時における繊維質シートの収縮を緩和することができ、従って、表面強化多孔質基板の製造時における反りの発生を抑制することができ、寸法安定性に優れた表面強化多孔質基板を得ることができる。
【0016】
上記請求項1に記載の発明において、繊維質シートに含浸させる合成樹脂液として樹脂含有率が50重量%〜80重量%の水系合成樹脂液を用い、この合成樹脂液を多孔質基板の表面に250 〜600 g/m2 塗布するものである場合、溶剤系の合成樹脂のような生産管理上の煩わしさがなく、その上、余分な水分が少ないので揮散させる処理時間を省くことができると共に含浸用シート材に該合成樹脂液を円滑に含浸させることができ、表面強化多孔質基板を作業性、生産性よく製造することができる。
【0017】
請求項2に係る発明は、水性合成樹脂液として、メチロール基をアクリル変性又はアリル変性、或いはポリアルコール変性したメラミン系樹脂を用いているので、請求項1に記載の効果に加えて、適度な柔軟性と硬さを併せ持った強化層を一層能率よく且つ経済的に形成することができる。
【0018】
さらに、請求項4に係る発明は、繊維質シートに厚さが0.15mm〜0.4mm で且つ密度が0.4 g/cm3 〜0.6 g/cm3 の厚めでポーラスな紙を用いているので、合成樹脂液の含浸性、接着性が良く、この繊維質シートに合成樹脂液を十分に含浸、硬化させることができて硬度や強靱性に一層優れた強化層を形成することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、上記強化層を、密度が1.2 g/cm3 以上で且つ空隙率が7%以下の緻密層に形成しているので、硬度や強靱性がさらに増大した表面強化層を有する多孔質基板を製造することができる。
【0020】
また、請求項6に係る発明によれば、上記合成樹脂液を含浸している繊維質シートの表面を加熱加圧するに際して、まず、低圧によって加圧し、続いて高圧によって加熱加圧することを特徴としているので、含浸ムラを生じさせることなく繊維質シート全体に亘って合成樹脂液を均一且つ十分に含浸させることができ、全面的に優れた硬度や強靱性等を発揮する強化層を確実に形成することができるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面について説明すると、図1は本発明方法によって製造された表面強化多孔質基板Aの簡略縦断面図であって、多孔質基板1の表面に、熱硬化性樹脂をベースとした樹脂含有率が50重量%以上の合成樹脂液を含浸、硬化させてなる厚さが0.1mm 以上、好ましくは0.15mm〜0.4mm の繊維質シート2を一体に層着して強化層2'を形成してなるものである。
【0022】
このような強化化粧板を製造するには、図2(イ)に示すように、まず、多孔質基板1の表面に上記合成樹脂液3を塗布したのち、この合成樹脂液3上に上記繊維質シート2を載置してこの繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸させ、これをホットプレス等の熱圧手段によって加熱、加圧して多孔質基板1の表面に繊維質シート2を接着すると共に該繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸、硬化させる方法、または、図2(ロ)に示すように、まず、多孔質基板1の表面に繊維質シート2を直接、載置したのち、この繊維質シート2の表面に上記合成樹脂液3を塗布して繊維質シート2に含浸させ、しかるのち、ホットプレス等の熱圧手段によって加熱、加圧して多孔質基板1の表面に繊維質シート2を接着すると共に該繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸、硬化させる方法によって製造する。
【0023】
なお、前者の製造方法の方が、予め、多孔質基板1の表面に合成樹脂液3を塗布しておくものであるから、繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸、硬化処理する前に、合成樹脂液3によって繊維質シート2を多孔質基板1上に密着させておくことができるので、生産性、作業性がよい。一方、後者の製造方法の場合には、多孔質基板1の表面又は繊維質シート2の裏面に予め接着剤を塗布しておき、この接着剤によって多孔質基板1に繊維質シート2を接着させておくこともできる。
【0024】
上記多孔質基板1としては合板、LVL(Laminated Veneer Lumber)、MDF(中密度繊維板)、ハードボード、パーティクルボード、集成材などの木質系基板や、火山性ガラス質複層板(商品名:ダイライト、大建工業株式会社製)等の無機質系基板などのように、基板としての強度を備え且つ内部に無数の空隙を有する比較的軽量な多孔質基板を用いる。なお、このような多孔質基板1において、1種以上の多孔質基板同士の複合板や多孔質基板と木質単板との複合板、例えば、合板の表面又は表裏両面に厚さ3mm以下の薄いMDFを一体に貼着してなる複合板や火山性ガラス質複層板の片面又は両面に木質単板を貼着してなる複合板を使用してもよい。
【0025】
一方、上記繊維質シート2としては、紙、不織布、ガラス繊維シート等のポーラスなシート状物を使用するものであるが、その厚さは、0.1mm 〜0.5mm 程度のものが良く、特に、0.15mm〜0.4mm の厚さを有し、且つその密度が0.4 g/cm3 〜0.6 g/cm3 程度の樹脂含浸用原紙が最も実用的で生産性もよく好ましい。
【0026】
この繊維質シート2に含浸させる上記合成樹脂液3としては熱硬化性樹脂液、又は熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合した混合樹脂液、或いは熱硬化性樹脂に熱可塑性を付与するように変性した変性熱硬化性樹脂液などを用いることができる。例えば、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、或いはこれらの樹脂の変性物や混合物を挙げることができる。さらに、取扱性や作業環境性の面から、上記合成樹脂液はエマルジョンや水溶液のような水性のものが好ましく、また、硬化させた時に適度な靱性と伸張性のある樹脂が好ましいものであり、特に、メラミン系樹脂と酢酸ビニル系樹脂、エチレン変性酢酸ビニル樹脂、アクリルエマルジョン樹脂の混合物やメチロールメラミンのメチロール基をアクリル変性又はアリル変性したもの等が好適に使用することができる。
【0027】
多孔質基板1の表面又は繊維質シート2の表面に塗布する上記合成樹脂液3の樹脂含有率は50重量%以上のものであって、樹脂の種類によっては無溶剤の樹脂率100 %のものも使用することができるが、樹脂含有率が50重量%未満であると、硬化時間が長くなって生産性が悪くなったり硬化時の樹脂の収縮が大きくなって多孔質基板1に反りが発生し易くなり、その上、緻密な強化層を形成することが困難となる一方、樹脂含有率が80重量%を超えると、使用する合成樹脂の種類によっては繊維質シート2への均一な含浸処理が困難となるので、通常、50重量%〜80重量%が望ましい。また、多孔質基板1の表面に対する上記合成樹脂液の塗布量は、250 g/m2 未満であると含浸量が不足し、600 g/m2 を超えると不経済であると共に生産性を低下するので、250 g/m2 〜600 g/m2 程度、塗布するのが望ましい。
【0028】
多孔質基板1の表面に塗布した上記合成樹脂液3を該合成樹脂液3上に重ね合わせた繊維質シート2に含浸、硬化させるには、或いは、多孔質基板1上に載置した繊維質シート2の表面に塗布している合成樹脂液3をこの繊維質シート2に含浸、硬化させるには、多孔質基板1上に繊維質シート2を重ね合わせた状態でホットプレスなどの熱圧手段に供給し、繊維質シート2を加熱、加圧することによって図2(ハ)に示すように多孔質基板1の表面に該繊維質シート2を接着すると共に、繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸、硬化させるものであり、この合成樹脂液を含浸、硬化させてなる繊維質シート2によって密度が1.2 g/cm3 以上で、空隙率が7%以下の硬度、強度に優れた緻密な強化層2'を形成するものである。なお、ホットプレスなどの熱圧手段によって繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸、硬化させる前に、必要に応じてローラ手段などにより繊維質シート2の表面を軽く押さえることで該繊維質シート2全体に亘って合成樹脂液を均一に浸透、含浸させておいてもよい。
【0029】
また、上記熱圧手段によって多孔質基板1上の繊維質シート2を熱圧処理して繊維質シート2に合成樹脂液3を含浸、硬化させる際に、まず、低圧によって加圧し、続いて高圧によって加熱加圧するという2段階でもって熱圧処理を行うことが望ましい。この2段階の熱圧処理は、同じホットプレスからなる熱圧装置で行ってよく、別々の熱圧装置で行ってもよい。このように、熱圧処理を低圧と高圧との2段階で行うことにより、繊維質シート2内への合成樹脂液3の浸透、含浸が繊維質シート2から逃げることなく円滑且つ均一にを行うことができ、上述したように、密度が1.2 g/cm3 以上で、空隙率が7%以下の硬度、強度に優れた緻密な強化層2'を形成することができる。
【0030】
こうして製造された、多孔質基板1の表面に樹脂含浸処理繊維質シート2からなる強化層2'を一体に形成してなる表面強化多孔質基板Aは、図2(ニ)に示すように該強化層2'の表面に化粧シート材4を接着することによって床材等の建築用化粧板Bを形成するものである。
【0031】
強化層2'の表面に一体に接着する上記化粧シート材4としては、厚さが0.15mm〜2.0mm 程度の木材単板や、この木材単板に合成樹脂液を含浸、硬化させてなる樹脂強化処理木材単板、或いは、木目印刷などの印刷を施して化粧紙、又はこの化粧紙に合成樹脂液を含浸、硬化させてなる樹脂強化化粧紙、化粧紙の表面に合成樹脂の塗布層を設けてなるコーティング化粧紙、その他オレフィン系合成樹脂化粧シートやこの化粧シートに紙を裏打ちしてなる化粧シートを用いることができる。なお、この化粧シート材4を強化層2'の表面に接着したのち、該化粧シート材4の表面に透明性の合成樹脂塗料を塗布することにより、硬度や耐傷性に優れた化粧板Bを製造するものである。次に、本発明の具体的な実施例と比較例を示す。
【0032】
【実施例1】
5プライの合板からなる厚さが12mmの基板の表面に、トリメチロールメラミン1.0molに対して分子量が400 のPEG(ポリエチレングリコール)を0.4mol、反応させることによって得られた樹脂含有率が75重量%のPEG変性メラミン100 重量部と、硬化剤としてパラトルエンスルフォン酸(50重量%水溶液)5重量部とを配合してなる粘度1200cps の水性合成樹脂液を、固形分で237 g/m2 、フローコーターを用いて塗布した。次いで、この水性合成樹脂液を塗布している基板の表面に厚さが0.22mm、密度が0.5 g/cm3 (秤量115g/m2 )の樹脂含浸用紙を載置したのちホットプレスに挿入し、該ホットプレスによって130 ℃、3kgf/cm2 の条件で40秒間、加熱加圧したのち、引き続いて130 ℃、10kgf/cm2 の条件で80秒間、加熱加圧することにより、合成樹脂液含浸原紙を基板表面に接着すると共に原紙に合成樹脂液を含浸、硬化させて表面に該樹脂含浸硬化処理紙からなる強化層を有する表面強化多孔質基板を得た。この強化層の密度は1.3 g/cm3 であり、その空隙率は5%であった。
【0033】
次いで、上記表面強化層を有する合板基板の強化層表面を軽くサンディングしたのち、その表面に尿素メラミン−SBR系エマルジョン接着剤を塗布し、さらに、この接着剤層上に0.20mm厚のホワイトオーク材からなる木材単板を載置してホットプレスにより熱圧接着し、しかるのち、この木材単板の表面にウレタン系透明性樹脂からなるトップ塗料を、硬化後の膜厚が50μmとなるように塗布、硬化させることによって化粧板B1を得た。
【0034】
この化粧板B1の表面硬度をJIS Z 2243の規定に準拠するブリネル硬度試験で計測したところ、2.2kgf/mm2 であった。また、この化粧板Aにキャスター試験を行ったところ、表面の凹み量は0.1mm と軽微であり、木材単板の剥がれなどは生じなかった。なお、キャスター試験は、プラスチック製単輪キャスターに軸重30Kgの荷重を加え、摺動距離30cmで3000往復の荷重を加える試験方法を採用した。
【0035】
【実施例2】
上記実施例1で用いた基板と同じ12mm厚の合板基板の表面に、ポリエステル樹脂100 重量部と硬化促進剤(商品名:パーキュアーO、株式会社日本油脂製)1重量部を加えてなる樹脂含有率99重量%、粘度1000cps の合成樹脂液を、固形分で250 g/m2 、フローコーターによって塗布した。次いで、この合成樹脂液の塗布層上に上記実施例1と同じ含浸用紙を載置し、ローラーで軽く押さえて基板表面に塗布した上記合成樹脂液の一部をこの紙に含浸させたのち、ホットプレスにて、125 ℃、10kgf/cm2 の条件で3分間、加熱加圧することにより、合成樹脂液含浸原紙を基板表面に接着すると共に原紙に合成樹脂液を含浸、硬化させて表面に該樹脂含浸硬化処理紙からなる強化層を有する表面強化多孔質基板を得た。この強化層の密度は1.35g/cm3 であり、その空隙率は4.8 %であった。
【0036】
次いで、上記表面強化層を有する基板の強化層表面に、実施例1と同様にして尿素メラミン−SBR系エマルジョン接着剤を用いてホワイトオーク材からなる木材単板の接着と、ウレタン系透明性樹脂からなるトップ塗料の塗布、硬化処理とを順次行って化粧板B2を得た。
【0037】
この化粧板B2の表面に、実施例1と同様にブリネル硬度試験とキャスター試験とを行ったところ、ブリネル硬度は2.0kgf/mm2 、キャスター試験による凹み量は0.08mmと軽微であり、木材単板の剥がれなどは生じなかった。
【0038】
【実施例3】
上記実施例1で用いた基板と同じ12mm厚の合板基板の表面に、樹脂含有率70重量%の水性のアクリル変性トリメチロールメラミン樹脂100 重量部と、硬化促進剤である塩化アンモニウム5重量部とからなる粘度2500cps の合成樹脂液を固形分換算で240 g/m2 塗布した。次いで、この合成樹脂液の塗布層上に上記実施例1と同じ含浸用紙を載置し、この表面をローラーで軽く押さえて基板表面に塗布した上記合成樹脂液の一部をこの紙に含浸させたのち、ホットプレスにて、130 ℃、10kgf/cm2 の条件で2分30秒間、加熱加圧することにより、合成樹脂液含浸原紙を基板表面に接着すると共に原紙に合成樹脂液を含浸、硬化させて表面に該樹脂含浸硬化処理紙からなる強化層を有する表面強化多孔質基板を得た。この強化層の密度は1.3 g/cm3 であり、その空隙率は5%であった。
【0039】
次いで、上記表面強化層を有する基板の強化層表面に、実施例1と同様にして尿素メラミン−SBR系エマルジョン接着剤を用いてホワイトオーク材からなる木材単板の接着と、ウレタン系透明性樹脂からなるトップ塗料の塗布、硬化処理とを順次行って化粧板B3を得た。
【0040】
この化粧板B2の表面に実施例1と同様にブリネル硬度試験とキャスター試験とを行ったところ、ブリネル硬度は2.3kgf/mm2 、キャスター試験による凹み量は0.1mm と軽微であり、木材単板の剥がれなどは生じなかった。
【0041】
【比較例1】
12mm厚の合板基板の表面に、上記実施例1〜3における強化層を設けることなく、実施例1と同様にして尿素メラミン−SBR系エマルジョン接着剤を用いてホワイトオーク材からなる木材単板を接着したのち、この木材単板の表面にウレタン系透明性樹脂からなるトップ塗料を塗布することにより化粧板Cを得た。この化粧板Cの表面に実施例1と同様にブリネル硬度試験とキャスター試験とを行ったところ、ブリネル硬度は1.3kgf/mm2 、キャスター試験による凹み量は0.2mm 以上であって且つ木材単板に剥がれが生じていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面強化多孔質基板の簡略縦断面図、
【図2】 製造手順を示す簡略工程図。
【符号の説明】
1 多孔質基板
2 繊維質シート
2' 強化層
3 合成樹脂液
4 化粧シート材
A 表面強化多孔質基板
B 化粧板
Claims (6)
- 多孔質基板の表面に合成樹脂液を塗布してその上に0.1mm 以上の厚さを有する繊維質シートを載置することによりこの繊維質シートに上記合成樹脂液を含浸させたのち、又は、上記多孔質基板の表面に上記繊維質シートを載置してこの繊維質シートの表面に上記合成樹脂液を塗布することにより該繊維質シートに合成樹脂液を含浸させたのち、この樹脂液含浸繊維質シートの表面を加熱加圧することにより多孔質基板の表面に繊維質シートを接着すると共に該繊維質シートに含浸させている合成樹脂液を硬化させて強化層を形成する多孔質基板の表面強化方法において、上記合成樹脂液は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物、又は熱硬化性樹脂に熱可塑性を付与するように変性した樹脂からなる、熱硬化性樹脂をベースとした樹脂よりなり且つ樹脂含有率が 50 重量%〜 80 重量%であることを特徴とする多孔質基板の表面強化方法。
- 合成樹脂液は、メラミン系樹脂のメチロール基をアクリル変性又はアリル変性、或いはポリアルコール変性したものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質基板の表面強化方法。
- 合成樹脂液を繊維質シートに 250 〜 600 g/m 2 含浸させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多孔質基板の表面強化方法。
- 繊維質シートは、厚さが0.15mm〜0.4mm 、密度が0.4 g/cm3 〜0.6 g/cm3 の紙であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質基板の表面強化方法。
- 強化層は、密度が1.2 g/cm3 以上で、空隙率が7%以下の緻密層であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質基板の表面強化方法。
- 合成樹脂液を含浸している繊維質シートの表面を加熱加圧するに際して、まず、低圧によって加圧し、続いて高圧によって加熱加圧することを特徴とする請求項1に記載の多孔質基板の表面強化方法。
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JP7041765B1 (ja) | 2021-02-17 | 2022-03-24 | 大建工業株式会社 | 化粧基材用含浸紙の製造方法、化粧基材の製造方法、及び化粧板の製造方法 |
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