JP3781605B2 - 樹脂強化化粧板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面硬度、耐傷性、耐摩耗性、耐クラック性等に優れた樹脂強化化粧板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂強化化粧板を製造する方法として、木質薄単板を乾燥させ、次いで、この木質薄単板を耐圧釜内に搬入して合成樹脂液を減圧法、加圧法、減圧加圧法等の手段で木質薄単板に浸透させ、その後、この合成樹脂液を浸透させた木質薄単板を合板、木質繊維板等の基板表面に接着し、その表面を合成樹脂塗料等により塗装して樹脂強化化粧板を得る方法が良く知られている。
【0003】
このような樹脂強化化粧板は、表面硬度が高く、耐傷性、耐摩耗性、耐クラック性等の諸性能に優れており、また、浸透させた樹脂により深みのある装飾性の高い外観を有しているため、特に住宅等の木質床材として広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記耐圧釜を用いる製造方法では、耐圧釜による木質薄単板への浸透処理がバッチ処理となって手間と時間がかかり、生産性が悪く高価になるという欠点を有していた。
【0005】
また、耐圧釜を用いる場合は、通常、未乾燥単板が使用し難く、乾燥単板を用いなければならないので、生産性や乾燥単板の歩留まりが悪くなるという欠点を有していた。
【0006】
そこで、最近では、基板に未乾燥の木質薄単板(いわゆる生単板)を接着し、この木質薄単板表面に低粘度合成樹脂液を塗布して浸透させて加熱加圧することにより樹脂強化化粧板を製造することも行われているが、このような方法においては、加熱加圧する時に、木質薄単板に浸透させた低粘度合成樹脂液が木質薄単板内から外部へ流出し易くなり、低粘度合成樹脂液の浸透ムラを生じて外観を低下させたり、硬度等の諸物性を低下させたりすることがある。
【0007】
また、このような低粘度合成樹脂液の浸透だけでは、多くの場合、強化された木質薄単板は硬いが脆くなるという欠点を有しており、使用環境等により、亀裂等の損傷が生じて外観を損ねる場合があるという欠点を有している。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、見栄えが良くしかも諸物性に優れた樹脂強化化粧板を簡単にかつ安価に製造することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、木質薄単板に対する合成樹脂液の浸透のさせ方に工夫を凝らしたことを特徴とし、具体的には、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板表面に木質薄単板を接着する単板接着工程と、上記木質薄単板表面に1000mPa・sを超えない低粘度に調整した低粘度合成樹脂液を塗布して木質薄単板に浸透させる低粘度合成樹脂液浸透工程と、上記木質薄単板表面に残存している低粘度合成樹脂液を除去する残存樹脂液除去工程と、上記木質薄単板に浸透させた低粘度合成樹脂液が未硬化の状態で、木質薄単板表面に上記低粘度合成樹脂液よりも高粘度の高粘度合成樹脂液を塗布する高粘度合成樹脂液塗布工程と、上記木質薄単板表面の高粘度合成樹脂液塗布面を加熱加圧して高粘度合成樹脂液を木質薄単板内に圧入させ、低粘度合成樹脂液と高粘度合成樹脂液とを硬化させる樹脂液硬化工程とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、低粘度合成樹脂液が1000mPa・sを超えない低粘度であることにより、低粘度合成樹脂液が木質薄単板に速やかに浸透する。また、高粘度合成樹脂液の塗布後における加熱加圧の際に、この加熱によりさらに低粘度となっている木質薄単板内の低粘度合成樹脂液が外部に流出しようとするのが、その上に塗布した高粘度樹脂液によって抑制されるとともに、木質薄単板内で低粘度合成樹脂液と高粘度合成樹脂液とが複合硬化する。さらに、高粘度合成樹脂液を塗布する前に、表面に残存する余剰の低粘度合成樹脂液を除去しているので、加熱加圧時に高粘度合成樹脂液が上記余剰の低粘度合成樹脂液と共に外部に流出するのが防止される。このような低粘度合成樹脂液の流出抑止と、高粘度合成樹脂液の圧入による複合硬化とにより、表面硬度、耐傷性、耐摩耗性、耐クラック等に優れた樹脂強化化粧板が連続的に生産性良く得られる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、木質薄単板が厚さ0.15mm〜1mmの未乾燥単板であることを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、厚さ0.15mm〜1mmの未乾燥単板の使用により、従来の耐圧釜を用いるやり方の如き単板乾燥工程が不要で製造工程が簡略化するとともに、薄い単板を乾燥させる時に生じ易いクラックや変形等による単板歩留まりの低下が防止される。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、低粘度合成樹脂液を塗布する前において、木質薄単板の表面温度が40℃から80℃であり、低粘度合成樹脂液の温度が40℃未満であることを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、木質薄単板の表面温度と低粘度合成樹脂液の温度との間の温度差により、低粘度合成樹脂液の塗布により木質薄単板表面の温度が低下し、木質薄単板のポーラスな細胞内腔等の空隙内の空気が収縮し、低粘度合成樹脂液が速やかに木質薄単板に浸透する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、低粘度合成樹脂液がアクリレートモノマーとビニルエステルとの混合樹脂液からなることを特徴とする。
【0017】
上記の構成により、請求項4に記載の発明では、低粘度合成樹脂液にアクリレートモノマーとビニルエステルとの混合樹脂液を使用することにより、木質薄単板との親和性が良くなり、生産性が向上する。また、通常硬くて脆いという性質を持つ低粘度合成樹脂液に適度な靭性が付与され、耐クラック性が向上する。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、アクリレートモノマーがアルキルα−ヒドロキシメチルアクリレート又はアルキルα−ヒドロキシエチルアクリレートであり、ビニルエステルがエポキシアクリレートであることを特徴とする。
【0019】
上記の構成により、請求項5に記載の発明では、アルキルα−ヒドロキシメチルアクリレート、又はアルキルα−ヒドロキシエチルアクリレートが木質薄単板との親和性、浸透性を一層良好にして生産性がさらに向上する。また、エポキシアクリレートが一層良好な靭性を木質薄単板に付与して樹脂強化化粧板の耐クラック性が一段と向上する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、低粘度合成樹脂液の木質薄単板への浸透を回転ロールで木質薄単板表面を押圧することにより行うことを特徴とする。
【0021】
上記の構成により、請求項6に記載の発明では、回転ロールの押圧力により、低粘度合成樹脂液が木質薄単板にさらに速やかに浸透し、木質薄単板表面上に低粘度合成樹脂液が残存して歩留まりを低下させるという不具合がなくなり、生産性が益々向上する。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、回転ロールが表面凹凸付き回転ロールであることを特徴とする。
【0023】
上記の構成により、請求項7に記載の発明では、低粘度合成樹脂液の木質薄単板への浸透が一層速やかに行われる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、木質薄単板表面に残存している低粘度合成樹脂液をリバースロールによる押圧又はヘラ板による掻き取りにより除去することを特徴とする。
【0025】
上記の構成により、請求項8に記載の発明では、木質薄単板表面に残存する低粘度合成樹脂液が効率良く確実に除去され、加熱加圧時の樹脂液流出防止が良好なものとなる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、樹脂液硬化工程に続いて、木質薄単板表面をサンディングし、サンディング面に透明合成樹脂塗料を塗布乾燥させて透明合成樹脂層を形成する透明合成樹脂層形成工程を備えていることを特徴とする。
【0027】
上記の構成により、請求項9に記載の発明では、サンディングにより表面の平滑性が得られ、トップ層としての透明合成樹脂層により装飾性、保護性が向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1の製造工程図に基づき説明する。
【0029】
まず、単板接着工程101で、基板1表面に接着剤2を塗布した後、この上に木質薄単板3を載置してホットプレスにより加熱加圧し、基板1に木質薄単板3を接着する。
【0030】
上記基板1としては、例えば、合板,LVL(laminated veneer lumber ),MDF(medium density fibre board),パーティクルボード,OSB(orientate strand board),木材板,集成材等の木質系基板や、石膏ボード,硬質セメント珪酸カルシウム板,珪酸カルシウム板,無機質複層板(大建工業株式会社製:商品名ダイライト)等の無機質板が使用できる。また、例えば、上記木質系基板同士、或いは上記木質系基板表面又は表裏両面に厚さが1mm〜3mm程度の薄いMDF、木材単板、薄葉紙・和紙・クラフト紙等の補強紙を貼着して複合化したもの等を基板として用いることもできるが、これらに限定されない。
【0031】
上記接着剤2としては、例えば、メラミン系、尿素−メラミン系、イソシアネート系等の接着剤であるが、これらに限定されない。
【0032】
上記木質薄単板3としては、針葉樹・広葉樹を厚さが0.15mm〜1mmにスライスしたものや、この木質薄単板3の小片を継ぎ合わせて形成したものでもよい。木質薄単板3の厚さを0.15mm〜1mmに設定したのは、従来の耐圧釜を用いるやり方の如き単板乾燥工程が不要で製造工程を簡略化することができるとともに、薄い単板を乾燥させる時や取扱い時に生じ易いクラックや変形等の損傷による単板歩留まりの低下を防止することができるからである。特に、厚さが0.15mm〜0.5mmと薄い未乾燥の木質薄単板3を用いるのが望ましい。
【0033】
次いで、低粘度合成樹脂液浸透工程102で、上記木質薄単板3の表面に1000mPa・sを超えない低粘度に調整した低粘度合成樹脂液4を塗布して木質薄単板3に浸透させる。
【0034】
上記低粘度合成樹脂液4としては、各種モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、或いはこれらの混合液や、これらに溶剤を加えた混合液で粘度が1000mPa・sを超えない範囲に調整されたものを用いることができる。例えば、不飽和ポリエステルやビニルエステルからなる樹脂液とメタクリル酸、アクリル酸、フタル酸又はそれらのエステル類からなるモノマー液との混合樹脂液からなる低粘度合成樹脂液4は、木材との親和性が良く、かつ通常、硬化後の樹脂が硬くて脆いという性質を持つ低粘度合成樹脂液に適度な靭性を付与することができるので好ましい。なかでも、アルキルα−ヒドロキシメチルアクリレート、アルキルα−ヒドロキシエチルアクリレート(上記アルキルは、水素を含む)等のヒドロキシアルキルアクリレートモノマーと、エポキシアクリレート等のビニルエステル樹脂との混合樹脂液からなる低粘度合成樹脂液4は、木材との親和性及び靭性が優れているため、生産性を向上させることができるとともに、樹脂強化化粧板の耐クラック性を向上させることができて好適である。
【0035】
上記低粘度合成樹脂液4の粘度を1000mPa・sを超えない範囲に設定したのは、1000mPa・sを超えると、塗布による木質薄単板3への均一・迅速な浸透が困難となるので好ましくなく、特に、100mPa・s〜500mPa・s程度が良好な浸透性を得る上で望ましい。
【0036】
なお、低粘度合成樹脂液4を塗布する前の木質薄単板3の表面温度は、常温でも良いが、40℃〜80℃であることが望ましい。木質薄単板3の表面温度を40℃〜80℃に設定したのは、40℃未満では加温の効果が乏しくなる一方、80℃を超えると塗布面に泡粒等の不具合を生じ易くなるからである。上記基板1への木質薄単板3の接着時のホットプレスによる加熱後に、長時間を置かずに低粘度合成樹脂液4の塗布を行う場合は、この余熱を利用して上記温度に調整するのがよく、上記余熱が利用できない場合には、上記表面を加温しておくのがよい。
【0037】
また、低粘度合成樹脂液4の塗布前における温度は、特に限定されるものではないが、上記木質薄単板3の表面温度よりも低い温度であるのが望ましい。したがって、木質薄単板3の表面温度が40℃〜80℃である場合には、低粘度合成樹脂液4の温度は40℃未満であることが望ましい。低粘度合成樹脂液4の温度を40℃未満に設定したのは、木質薄単板3が低粘度合成樹脂液4よりも高いため、低粘度合成樹脂液4の塗布により木質薄単板3表面が冷やされて表面温度が低下することで、木質薄単板3のポーラスな細胞内腔等の空隙内の空気が収縮して低粘度合成樹脂液4が木質薄単板3内に浸透するのを促進させることができるからである。
【0038】
低粘度合成樹脂液4の塗布量は、使用する木質薄単板3の種類や厚みによって異なるが、おおよそ50g/m2〜200g/m2程度である。塗布手段は特に限定されないが、フローコーター等である。
【0039】
低粘度合成樹脂液4を塗布した後、低粘度合成樹脂液4を木質薄単板3に浸透させるやり方としては、3〜30秒程度生産ライン上で放置養生することによって行うことができる。また、さらに浸透を促進し、或いは浸透を十分ならしめるために回転ロールで木質薄単板3表面を押圧して低粘度合成樹脂液4を木質薄単板3に浸透させることもできる。上記低粘度合成樹脂液4の木質薄単板3への浸透を回転ロールで木質薄単板3表面を押圧することにより行うのは、基板1に接着した木質薄単板3に一層良好に低粘度合成樹脂液4を浸透させるとともに、木質薄単板3表面上に低粘度合成樹脂液4が残存することによる歩留まり低下を低減させ、生産性を向上させるようにするためである。特に、回転ロールとして表面凹凸付き回転ロールを採用すれば、低粘度合成樹脂液4の木質薄単板3への浸透をさらに良好に行うことができて好ましい。
【0040】
その後、残存樹脂液除去工程103で、上記木質薄単板3表面上に残存している低粘度合成樹脂液4を除去する。
【0041】
このように、残存樹脂液除去工程103を経るのは、塗布した低粘度合成樹脂液4が木質薄単板3内にすべて浸透されるのであれば本工程は不要であるが、低粘度合成樹脂液4を木質薄単板3に過剰気味に塗布することで、樹脂液不足による木質薄単板3の浸透ムラを防止するためである。したがって、木質薄単板3上に余剰の低粘度合成樹脂液4が残存することになり、このままでは、次工程で高粘度合成樹脂液5を塗布して加熱加圧すると、上記余剰の低粘度合成樹脂液4ばかりでなく高粘度合成樹脂液5の一部までもが流出し、かつ高粘度合成樹脂液5の木質薄単板3内への浸透が阻害されてしまい、生産性を悪くするとともに、木質薄単板3の高粘度合成樹脂液5による強化も不十分なものとなる。このため、リバースロールによる押圧又はへら板による掻き取り等で、残存樹脂液除去工程103で生じた余剰の低粘度合成樹脂液4を除去するようにしている。これにより、木質薄単板3表面に残存する低粘度合成樹脂液4を効率良く確実に除去することができ、次工程における加熱加圧による高粘度合成樹脂液5の流出を良好に防止することができる。
【0042】
しかる後、高粘度合成樹脂液塗布工程104で、上記木質薄単板3に浸透させた低粘度合成樹脂液4が未硬化の状態で、木質薄単板3表面に上記低粘度合成樹脂液4よりも高粘度の高粘度合成樹脂液5を塗布する。
【0043】
これにより、上記残存樹脂液除去工程103では、木質薄単板3の細胞内腔等の空隙内に低粘度合成樹脂液4が完全には浸透されずに残っている空隙があるが、高粘度合成樹脂液5の塗布によってその表面がコートされた状態になる。
【0044】
上記高粘度合成樹脂液5としては、たとえば、不飽和ポリエステル系樹脂液、ビニルエステル系樹脂液、エポキシ系樹脂液等である。このような高粘度合成樹脂液5は、粘度が500〜30000mPa・s、分子量が1000〜30000程度のものであり、特に、粘度が1000mPa・s〜30000mPa・s、分子量が1000〜5000の不飽和ポリエステル樹脂液は、次工程で行われる木質薄単板3に対する低粘度合成樹脂液4の加熱加圧による適度な浸透、木質薄単板3に浸透した低粘度合成樹脂液4の流出阻止、及び硬化後の樹脂の物性に優れているので好ましい。
【0045】
高粘度合成樹脂液5の塗布は、フローコーター、ロールコ一ター、スプレーコ一ター等により行うことができる。
【0046】
次に、樹脂液硬化工程105で、上記木質薄単板3表面の高粘度合成樹脂液5塗布面を加熱加圧して高粘度合成樹脂液5を木質薄単板3内に圧入させ、低粘度合成樹脂液4と高粘度合成樹脂液5とを硬化させる。
【0047】
加熱加圧に際しては、高粘度合成樹脂液5塗布面にPET(polyethylene terephthalate)フィルム等の離型材6を載置してホットプレスにより行うことができるが、ロールプレスやベルトプレス等で行ってもよい。この加熱加圧によって高粘度合成樹脂液5を一部木質薄単板3内に浸透させるとともに、低粘度合成樹脂液4と高粘度合成樹脂液5との密着性を高め、両樹脂を一体的に硬化させることができる。また、この加熱加圧時に、従来では低粘度合成樹脂液の一部が木質薄単板内から流出しようとするが、本願発明ではその上にコートされた高粘度合成樹脂液5によってその流出が抑制される。これにより、両樹脂によって良好に強化され、表面に含浸ムラ等のない良好な外観と耐摩耗性、耐クラック性等の諸性能に優れた樹脂強化化粧板Aを最終的に得ることができる。
【0048】
その後、サンディング工程106で、木質薄単板3表面をサンドペーパーでサンディングし、さらに、透明合成樹脂層形成工程107で、上記サンディング面に透明合成樹脂塗料を塗布乾燥させて透明合成樹脂層7を形成し、最終製品である樹脂強化化粧板Aを得る。
【0049】
上記サンディングは、1回に限らず複数回繰り返して行うこともできる。
【0050】
上記透明トップ塗装も、中塗り、上塗りと2回に分けたり、あるいはそれ以上の複数回に分けて行ってもよい。この透明トップ塗装に使用する透明合成樹脂塗料は特に限定されず、目的・用途に応じて適宜のものを選択すればよく、また、着色剤や減摩剤等を加えておくこともできる。
【0051】
次に、本発明例を比較例と共に具体的に示す。
【0052】
(本発明例1)
厚さ12mmの合板からなる基板の表面にメラミン樹脂系接着剤を塗布し、さらにその上に厚さ0.43mmの未乾燥ナラ材化粧突き板(木質薄単板)を載置して、ホットプレスにより加熱加圧して化粧突き板貼り基板を製造した。
【0053】
次いで、この基板の表面温度を約60℃に調整し、その表面にアルキルα−ヒドロキシメチルアクリレートモノマー50重量部と、エポキシアクリレート50重量部とを混合した液温25℃、樹脂粘度230mPa・sの低粘度合成樹脂液をフローコーターにて110g/m2塗布し、約30秒放置して低粘度合成樹脂液を基板上の化粧突き板に浸透させた。
【0054】
その後、リバースコーターにて突き板表面の低粘度合成樹脂液を掻き取り、その上に液温25℃、樹脂粘度1300mPa・Sの不飽和ポリエステル樹脂を142g/m2塗布した。
【0055】
しかる後、この表面に離型フィルムであるPETフィルムを載置し、ホットプレスにより温度130℃、圧力1.47MPaで、4分間加熱加圧した。
【0056】
その後、さらにこの表面をサンドペーパーで約0.1mmサンディングした後、ウレタンアクリレート系透明合成樹脂塗料を塗布して樹脂強化化粧板を得た。
【0057】
(本発明例2)
上記本発明例1において、低粘度合成樹脂液に混合したアルキルα−ヒドロキシメチルアクリレート50重量部に代えて、ヒドロキシエチルメタクリレート50重量部とした以外は本発明例1と同条件で樹脂強化化粧板を得た。
【0058】
(比較例1)
本発明例1と同一条件で得た化粧突き板貼り基板の表面に、液温25℃、樹脂粘度1300mPa・Sの不飽和ポリエステル樹脂を252g/m2塗布し、以下本発明例1と同条件でホットプレス並びにトップ塗装を行い、比較例1の樹脂強化化粧板を得た。
【0059】
(比較例2)
0.6mm厚のナラ材乾燥化粧突き板を減圧釜に入れ、減圧釜内を2.67kPaにまで減圧した後、この減圧釜内に不飽和ポリエステル樹脂液を注入し、さらに、減圧釜内を960kPaに加圧して樹脂液を単板内に減圧加圧注入した。
【0060】
このようにして得られた合成樹脂注入処理突き板を、ホットプレスで加熱加圧して樹脂を硬化させて樹脂強化化粧突き板とし、この樹脂強化化粧突き板を12mm厚さの合板からなる基板表面にメラミン樹脂系接着剤を使用して接着した。
【0061】
次いで、この表層をサンドペーパーで約0.28mmサンディングし、その後に本発明例1と同様にウレタンアクリレート系透明塗料でトップ塗装を行い、比較例2の樹脂強化化粧板を得た。
【0062】
本発明例1,2及び比較例1,2について、鉛筆引っ掻き試験(JIS
K 5400に準拠)と寒熱繰り返しB試験(JAS特殊合板に準拠)を行い、その結果を以下の表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
以上から、本発明例1の製造方法は、塗布浸透という生産性が高く、しかも、得られた樹脂強化化粧板は、比較例2の従来の耐圧釜による注入処理により得られたものとほぼ同等の引っ掻き硬度と耐クラック性を有するものであった。
【0065】
また、本発明例2の製造方法により得られた樹脂強化化粧板は、寒熱繰り返しによる耐クラック性が若干本発明例1や比較例2に較べて劣るものの、塗布浸透による比較例1の従来方法により得られたものに較べると、硬度や耐クラック性は優れるものであった。
【0066】
なお、比較例2の方法は、減圧釜を用いた樹脂強化方法であり、生産に多くの手間を要するものであった。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明方法によれば、木質薄単板表面に所定の低粘度合成樹脂液を浸透させ、表面に残存する余剰の低粘度合成樹脂液を除去した後、高粘度合成樹脂液を塗布して加熱加圧し、低粘度合成樹脂液が浸透している木質薄単板内に高粘度合成樹脂液を圧入させるとともに、両合成樹脂液を硬化させるという手法を採っているので、低粘度合成樹脂液を木質薄単板に速やかに浸透させることができ、かつ、含浸させた低粘度合成樹脂液の流出をその後に塗布した高粘度合成樹脂液によって抑制することができるとともに、木質薄単板内に高粘度合成樹脂液を圧入させて両樹脂を木質薄単板内において複合硬化させることができる。これにより、表面硬度、耐傷性、耐摩耗性、耐クラック等に優れた樹脂強化化粧板を連続的に効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂強化化粧板の製造工程図である。
【符号の説明】
A 樹脂強化化粧板
1 基板
3 木質薄単板
4 低粘度合成樹脂液
5 高粘度合成樹脂液
7 透明合成樹脂層
101 単板接着工程
102 低粘度合成樹脂液浸透工程
103 残存樹脂液除去工程
104 高粘度合成樹脂液塗布工程
105 樹脂液硬化工程
106 サンディング工程
107 透明合成樹脂層形成工程
Claims (9)
- 基板表面に木質薄単板を接着する単板接着工程と、
上記木質薄単板表面に1000mPa・sを超えない低粘度に調整した低粘度合成樹脂液を塗布して木質薄単板に浸透させる低粘度合成樹脂液浸透工程と、
上記木質薄単板表面に残存している低粘度合成樹脂液を除去する残存樹脂液除去工程と、
上記木質薄単板に浸透させた低粘度合成樹脂液が未硬化の状態で、木質薄単板表面に上記低粘度合成樹脂液よりも高粘度の高粘度合成樹脂液を塗布する高粘度合成樹脂液塗布工程と、
上記木質薄単板表面の高粘度合成樹脂液塗布面を加熱加圧して高粘度合成樹脂液を木質薄単板内に圧入させ、低粘度合成樹脂液と高粘度合成樹脂液とを硬化させる樹脂液硬化工程とを備えていることを特徴とする樹脂強化化粧板の製造方法。 - 木質薄単板が厚さ0.15mm〜1mmの未乾燥単板であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- 低粘度合成樹脂液を塗布する前において、木質薄単板の表面温度が40℃から80℃であり、低粘度合成樹脂液の温度が40℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- 低粘度合成樹脂液がアクリレートモノマーとビニルエステルとの混合樹脂液からなることを特徴とする請求項1に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- アクリレートモノマーがアルキルα−ヒドロキシメチルアクリレート又はアルキルα−ヒドロキシエチルアクリレートであり、ビニルエステルがエポキシアクリレートであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- 低粘度合成樹脂液の木質薄単板への浸透を回転ロールで木質薄単板表面を押圧することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- 回転ロールが表面凹凸付き回転ロールであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- 木質薄単板表面に残存している低粘度合成樹脂液をリバースロールによる押圧又はヘラ板による掻き取りにより除去することを特徴とする請求項1に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
- 樹脂液硬化工程に続いて、木質薄単板表面をサンディングし、サンディング面に透明合成樹脂塗料を塗布乾燥させて透明合成樹脂層を形成する透明合成樹脂層形成工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂強化化粧板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000071472A JP3781605B2 (ja) | 2000-03-15 | 2000-03-15 | 樹脂強化化粧板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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