JP2009202376A - 繊維板および化粧材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】仕上げ材表面の平滑性および緻密性を高めることができ、吸湿時または吸水時においても仕上げ材表面の平滑性および緻密性を維持することができ、さらに、優れた耐キャスター性、耐クラック性を有する繊維板および化粧材の製造方法を提供する。
【解決手段】ケナフ長繊維およびジュート長繊維から選ばれる少なくとも1種の長繊維からなる長繊維マット1の表面にパルプまたは紙からなる表面層2が積層された積層体3に熱硬化性樹脂を含浸した後、積層体3を熱圧成形することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維板および化粧材の製造方法に関するものである。
従来、耐キャスター性、耐クラック性を付与した床材として特許文献1に記載のものが知られている。この床材は、ケナフ長繊維を材料とする長繊維マットにフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸した後、熱圧成形することにより繊維板とし、この繊維板の表面に仕上げ材を貼着することにより製造されるものであり、優れた耐キャスター性、耐クラック性を有している。
一方、このような床材などの化粧材には、外観上などの点から仕上げ材表面の平滑性および緻密性も要求される。仕上げ材を用いた化粧材の従来の製造方法として、たとえば特許文献2には、予め熱硬化性樹脂を含浸した中密度繊維板などの木質繊維板の表面に、予め熱硬化性樹脂を含浸した紙などの基材からなる仕上げ材を積層し、熱圧成形することが提案されている。
特開2000−263519号公報 特開2004−034512号公報
しかしながら、ケナフ、ジュートなどの長繊維を使用した繊維板にこのような方法を適用して化粧材を作製した場合、仕上げ材表面の平滑性および緻密性において十分な性能が得られないという問題点があった。また、ケナフ、ジュートなどの長繊維を使用した繊維板に仕上げ材として厚みの薄い化粧単板や化粧シートなどを貼着した場合にも、仕上げ材表面の平滑性および緻密性において十分な性能が得られないという問題点があった。
さらに、繊維板が吸湿または吸水すると長繊維が膨潤し、仕上げ材表面に長繊維の浮きや膨れが見られ、外観を損なうという問題点があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、仕上げ材表面の平滑性および緻密性を高めることができ、吸湿時または吸水時においても仕上げ材表面の平滑性および緻密性を維持することができ、さらに、優れた耐キャスター性、耐クラック性を有する繊維板および化粧材の製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の繊維板の製造方法は、ケナフ長繊維およびジュート長繊維から選ばれる少なくとも1種の長繊維からなる長繊維マットの表面にパルプまたは紙からなる表面層が積層された積層体に熱硬化性樹脂を含浸した後、積層体を熱圧成形することを特徴とする。
第2に、上記第1の繊維板の製造方法において、フローコーターを用いて熱硬化性樹脂を塗布することにより長繊維マットと表面層との積層体に熱硬化性樹脂を含浸し、次いで少なくとも1つのロールで積層体を圧締した後、積層体を熱圧成形することを特徴とする。
第3に、上記第1または第2の繊維板の製造方法において、熱硬化性樹脂は、粘度20mPa・s(25℃)以下であり固形分率10〜50質量%のフェノール樹脂、ユリア樹脂、またはメラミン樹脂の1種以上からなることを特徴とする。
第4に、上記第1ないし第3のいずれかの繊維板の製造方法において、パルプまたは紙からなる表面層は、目付け100〜500g/mであり、長繊維マットは、目付け500〜1500g/mであることを特徴とする。
第5に、本発明の化粧材の製造方法は、上記第1ないし第4のいずれかの方法により製造された繊維板の表面に、仕上げ材を貼着することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、ケナフ長繊維およびジュート長繊維から選ばれる少なくとも1種の長繊維からなる長繊維マットの表面に、これらの長繊維よりも繊維径のより小さい材料であるパルプまたは紙からなる表面層を積層し、この積層体に熱硬化性樹脂を含浸して熱圧成形することにより、繊維板表面の平滑性および緻密性が向上し、その結果としてこの繊維板表面に仕上げ材を貼着して製造した化粧材における仕上げ材表面の平滑性および緻密性を向上させることができる。さらに、吸湿時または吸水時においても仕上げ材表面の平滑性および緻密性を維持することができる。
さらに、長繊維マットと表面層が積層された状態で熱硬化性樹脂を含浸し、これらを同時に熱圧成形することで、繊維板の長繊維部分と表面層が密着して一体化され、長繊維部分と表面層との剥離強度が向上し、表面硬度も高いものとなる。その結果として、耐キャスター性、耐クラック性を向上させることができる。
上記第2の発明によれば、フローコーターを用いて熱硬化性樹脂を塗布することにより、表面性状に関わらず一定量の熱硬化性樹脂を塗布することができ、さらに塗布量の制御も容易である。そしてフローコーターによる塗布後にロールで圧締することにより、一定量の熱硬化性樹脂を均一に含浸できる。その結果として、上記第1の発明の効果に加え、耐キャスター性、耐クラック性をさらに向上させることができる。また、繊維板の曲げ強度、表面硬度、および寸法安定性を向上させることができる。
上記第3の発明によれば、粘度と固形分率を特定の範囲内とした熱硬化性樹脂を用いることで、表面層および長繊維マット内に熱硬化性樹脂を均一に含浸することができ、さらに長繊維部分と表面層との剥離強度が向上し、表面硬度も高いものとなる。その結果として、上記第1および第2の発明の効果に加え、耐キャスター性、耐クラック性をさらに向上させることができる。また、繊維板の曲げ強度および寸法安定性を向上させることができる。
上記第4の発明によれば、表面層と長繊維マットの目付けを特定の範囲内とすることで、上記第1ないし第3の発明の効果に加え、繊維板表面の平滑性および緻密性をさらに向上させることができ、曲げ強度などの強度物性も適切なものとすることができると共に、表面層および長繊維マット内に熱硬化性樹脂を均一に含浸することができるため、耐キャスター性、耐クラック性をさらに向上させることができる。また、繊維板の曲げ強度、表面硬度、および寸法安定性を向上させることができる。
上記第5の発明によれば、上記第1ないし第4の方法により製造された繊維板を用いて化粧材を製造することにより、化粧材における仕上げ材表面の平滑性および緻密性を向上させることができる。また、吸湿時または吸水時においても仕上げ材表面の平滑性および緻密性を維持することができる。さらに、耐キャスター性、耐クラック性を向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる長繊維マットは、ケナフ長繊維およびジュート長繊維から選ばれる少なくとも1種の長繊維を材料とするものであり、たとえば、特開2000−263519号公報などに開示している、これらの長繊維を配向して集合させた集合体を用いて長繊維マットとしたものを用いることができる。
これらの長繊維は、針葉樹から得られる針葉樹繊維や広葉樹から得られる広葉樹繊維に比べて概ね2〜14倍の高い引張強度を有する。そして、これらの長繊維を3次元に絡ませた繊維板とすることにより、長繊維自体の高い引張強度を有効に活用でき、曲げ強度が高く、温度変化や湿度変化による長さ変化の小さい寸法安定性に優れた繊維板を得ることができる。
長繊維の長さは、特に制限はないが、好ましくは10〜100mmである。長繊維の長さを当該範囲とすることで、繊維板の内部において繊維部分の絡み合いを多くすることができ、さらに長繊維1本当たりの熱硬化性樹脂の付着部分を増やすことができる。また、長繊維同士の継ぎ目部分を少なくできるので、前述した長繊維自体の高い引張強度をより効果的に活用でき、さらに曲げ強度が高く、表面硬度も高く、寸法安定性にも優れた繊維板を得ることができる。
本発明に用いられる長繊維マットは、上記の長繊維をフォーミングし、ニードルでパンチングすることにより製造することができる。長繊維マットの目付けは、特に制限はないが、好ましくは500〜1500g/mである。長繊維マットの目付けを当該範囲内とすることで、熱硬化性樹脂を均一に含浸することができ、長繊維マットの強度も適切な程度に保持される。
本発明では、繊維板表面の平滑性および緻密性を向上させるために、繊維板表面にパルプまたは紙からなるシート状の表面層が設けられる。表面層におけるパルプまたは紙の繊維径は、特に制限はないが、繊維板表面の平滑性および緻密性を向上させる点から20μm以下が好ましい。表面層の目付けは、特に制限はないが、好ましくは100〜500g/mである。表面層の目付けを当該範囲内とすることで、熱硬化性樹脂を均一に含浸することができ、また繊維板表面の平滑性および緻密性も向上させることができる。
本発明では、長繊維マットの表面に上記の表面層を積層し、次いでこの積層体に熱硬化性樹脂を含浸した後、積層体を熱圧成形することにより繊維板を製造する。
積層体に含浸する熱硬化性樹脂としては、加熱により架橋および硬化が可能な水性の熱硬化性樹脂を用いることができ、その具体例としては、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、架橋型アクリル樹脂などが挙げられる。
特に、粘度20mPa・s(25℃)以下であり固形分率10〜50質量%のフェノール樹脂、ユリア樹脂、またはメラミン樹脂の1種以上を積層体に含浸することが好ましい。粘度および固形分率を当該範囲内とすることにより、表面層および長繊維マット内に熱硬化性樹脂を均一に含浸することができ、さらに長繊維部分と表面層との剥離強度が向上し、表面硬度も高いものとなる。その結果として、耐キャスター性、耐クラック性をさらに向上させることができる。
長繊維マットと表面層との積層体に熱硬化性樹脂を含浸させる好ましい方法としては、積層体への塗布が挙げられる。長繊維マットの表面に予め表面層を積層しておくことで、表面層と長繊維マットの両方に熱硬化性樹脂を同時に塗布することができると共に、長繊維マットと表面層が密着し、一体の基材として取り扱うことができる。そして、熱硬化性樹脂を含浸した長繊維マットと表面層を同時に熱圧成形することで、繊維板の長繊維部分と表面層が密着して一体化され、長繊維部分と表面層との剥離強度が向上する。その結果として、耐キャスター性、耐クラック性を向上させることができる。
熱硬化性樹脂の積層体への塗布、含浸には、フローコーターが好ましく用いられる。フローコーターを用いて熱硬化性樹脂を塗布することにより、表面性状に関わらず一定量の熱硬化性樹脂を塗布することができ、均一に多くの塗布量を確保できる。さらに塗布量の制御も容易である。
そしてフローコーターを用いて熱硬化性樹脂を塗布することにより長繊維マットと表面層との積層体に熱硬化性樹脂を含浸した後、少なくとも1つのロールで積層体を圧締して絞ることが好ましい。これにより、フローコーターによる一定量の熱硬化性樹脂を均一に含浸することができる。
フローコーターは2台以上設置してもよく、各フローコーター毎に熱硬化性樹脂の固形分率を変更したり、塗布する場所を変更したりすることも可能である。たとえば、1台目のフローコーターによる塗布では熱硬化性樹脂の固形分率を低くし、次の2台目のフローコーターによる塗布では熱硬化性樹脂の固形分率をより高くすることで、積層体表面の含浸量を高くして表面硬度を向上させ、耐キャスター性をより向上させることができる。あるいは、2台目のフローコーターによる塗布では積層体の両端部のみに固形分率の高い熱硬化性樹脂を塗布することで、繊維板のサネ嵌合部分の強度を高めることができる。
熱硬化性樹脂を含浸した積層体は、熱圧成形前に一旦乾燥される。乾燥方法は特に制限はなく、たとえば乾燥炉を通過させるなどの適宜の方法を用いることができる。熱硬化性樹脂を含浸した積層体を乾燥することにより、積層体の含水率を20%以下にすることが好ましい。積層体の含水率が20%を超える状態で熱圧成形した場合、熱盤への熱硬化性樹脂の付着が起こり易くなる。
また、所望の厚みの繊維板を得るために、熱硬化性樹脂を同時に含浸した表面層と長繊維マットとの積層体の裏面に、表面層を用いずに予め熱硬化性樹脂を含浸した単独の長繊維マットを所定枚数重ね合わせたものを熱圧成形することもできる。
熱圧成形の際のプレス方法としては、バッチ式の平板プレス、連続プレスなどが挙げられるが、特に制限はなく適宜の方法を適用することができる。また、プレスの温度、圧力、および時間は、用いる熱硬化性樹脂の種類や得ようとする繊維板の厚さなどにより適宜に設定される。
熱圧成形して得られる繊維板の厚さは、特に制限はないが、好ましくは1.0〜12mmである。繊維板の比重は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.7〜1.1である。比重が0.7未満であると、繊維板の表面および内部に多数の空隙が存在することになり、仕上げ材との接着強度が低下する場合がある。また、長繊維同士の接着部分や長繊維同士の絡み合い部分が減少し、長繊維が本来有している長繊維同士の接着部分や長繊維同士の絡み合い部分による高い強度を十分に発揮させることが困難になり、繊維板の曲げ強度が低下する場合がある。比重が1.1を超えると、仕上げ材を繊維板の表面に接着する際に、接着剤が繊維板の内部に十分に含浸せず、十分な接着性が得られない場合がある。
本発明において、化粧材は、化粧単板、化粧シートなどの仕上げ材を繊維板表面に貼着することにより製造される。化粧単板としては、丸太、または小角材を集成接着した集成材を薄くスライスして作製されたものを用いることができる。たとえば、チーク、ケヤキ、ナラ、バーチなどの銘木類の丸太または集成材をスライサー、ハーフロータリーなどの切削機械でスライスすることにより作製された化粧単板を用いることができる。仕上げ材の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.2〜0.6mmである。
繊維板と仕上げ材を接着する方法としては、繊維板または仕上げ材に接着剤を塗布し、繊維板と仕上げ材とを接着剤塗布面を内側にして重ねてプレス機で熱圧する方法を用いることができる。
繊維板は、他の木質建材と接着して複合することも可能である。複合する木質建材の具体例としては、挽き板、合板、MDF(中密度繊維板)、ハーフボード、パーティクルボード、集成材などが挙げられる。
本発明により製造された化粧材は、たとえばフローリング仕上げ床や階段の踏み板などの床材として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、実施例と比較例における樹脂粘度は25℃における測定値である。
<実施例1>
実施例1の繊維板および床材の製造工程について図1を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から平均繊維長約50mm、目付け1000g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け200g/mの紙からなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率20質量%の水溶液である粘度10mPa・sのフェノール樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4により塗布量3000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した積層体3をロール5に通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。
以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断して積載しておき、その後、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ1.5mm、比重0.9の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<実施例2>
実施例2の繊維板および床材の製造工程について図1を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から平均繊維長約50mm、目付け1000g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け500g/mのパルプシートからなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率30質量%の水溶液である粘度13mPa・sのフェノール樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4により塗布量4000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した積層体3をロール5に通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。
以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断して積載しておき、その後、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ1.5mm、比重1.1の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<実施例3>
実施例3の繊維板および床材の製造工程について図2を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から平均繊維長約50mm、目付け1000g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け500g/mのパルプシートからなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率50質量%の水溶液である粘度20mPa・sのフェノール樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4aにより塗布量2000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した積層体3をロール5aに通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、固形分率20質量%の水溶液である粘度10mPa・sのフェノール樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4bにより塗布量1000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した積層体3をロール5bに通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂を含浸させた。
その後、ロール5bの下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。
以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断して積載しておき、その後、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ2.5mm、比重1.0の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<実施例4>
実施例4の繊維板および床材の製造工程について図1を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から平均繊維長約50mm、目付け700g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け200g/mの紙からなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率20質量%の水溶液である粘度10mPa・sのフェノール樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4により塗布量3000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した積層体3をロール5に通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断した。
一方、上記と同じ長繊維マット1を、表面層2を積層せずに単独で搬送し、フローコーター4によりフェノール樹脂を上記と同一条件にて長繊維マット1に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した長繊維マット1をロール5に通して圧締し、長繊維マット1にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた長繊維マット1を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて長繊維マット1の含水率を約10%に調整した。以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の長繊維マット1を所定のサイズに裁断した。
その後、上記において作製した、所定のサイズに裁断された1枚の積層体3および2枚の長繊維マット1を用いて、最表面に表面層2が配置されるように積層体3の裏面に2枚の長繊維マット1を重ね合わせてこれらの3枚を上下に積層し、この状態で、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ4.5mm、比重0.7の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<実施例5>
実施例5の繊維板および床材の製造工程について図1を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から平均繊維長約50mm、目付け1000g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け500g/mのパルプシートからなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率10質量%の水溶液である粘度7mPa・sのフェノール樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4により塗布量4000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂を塗布した積層体3をロール5に通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。
以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断して積載しておき、その後、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ1.5mm、比重1.0の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<実施例6>
実施例6の繊維板および床材の製造工程について図2を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から平均繊維長約50mm、目付け1500g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け500g/mのパルプシートからなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率20質量%の水溶液である粘度12mPa・sのフェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4aにより塗布量2000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を塗布した積層体3をロール5aに通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を含浸させた。
次いで、固形分率30質量%の水溶液である粘度15mPa・sのフェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4bにより塗布量1000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、フェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を塗布した積層体3をロール5bに通して圧締し、積層体3にフェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を含浸させた。
その後、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂とユリア樹脂からなる樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。
以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断して積載しておき、その後、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ2.5mm、比重1.0の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<実施例7>
実施例7の繊維板および床材の製造工程について図1を参照しながら説明する。ジュート長繊維から平均繊維長約50mm、目付け500g/mの長繊維マット1を作製し、長繊維マット1を搬送しながらその上に目付け100g/mの紙からなる表面層2を積層して積層体3とした。
次いで、固形分率20質量%の水溶液である粘度20mPa・sのメラミン樹脂を積層体3の搬送路上に配設されたフローコーター4により塗布量3000g/mで積層体3に塗布した。
その直後に、メラミン樹脂を塗布した積層体3をロール5に通して圧締し、積層体3にメラミン樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてメラミン樹脂を含浸させた積層体3を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて積層体3の含水率を約10%に調整した。以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の積層体3を所定のサイズに裁断した。
一方、上記と同じ長繊維マット1を、表面層2を積層せずに単独で搬送し、フローコーター4によりメラミン樹脂を上記と同一条件にて長繊維マット1に塗布した。
その直後に、メラミン樹脂を塗布した長繊維マット1をロール5に通して圧締し、長繊維マット1にメラミン樹脂を含浸させた。
次いで、ロール5の下流に配設された乾燥炉6にてメラミン樹脂を含浸させた長繊維マット1を110℃、1.5分間の条件で乾燥させて長繊維マット1の含水率を約10%に調整した。以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の長繊維マット1を所定のサイズに裁断した。
その後、上記において作製した、所定のサイズに裁断された1枚の積層体3および2枚の長繊維マット1を用いて、最表面に表面層2が配置されるように積層体3の裏面に2枚の長繊維マット1を重ね合わせてこれらの3枚を上下に積層し、この状態で、熱盤7により150℃、3分間の条件で積層体3の熱圧成形を行い、厚さ4.5mm、比重0.6の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのナラの化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着した後、表面にウレタン樹脂塗装を施し床材を得た。
<比較例1>
比較例1の繊維板および床材の製造工程について図3を参照しながら説明する。ケナフ長繊維から目付け1000g/mの長繊維マット1を作製し、この長繊維マット1を、固形分率20質量%の水溶液であるフェノール樹脂を収容した樹脂含浸槽8に搬送して浸漬した後、ロール9に通して圧締し、これにより長繊維マット1にフェノール樹脂を含浸させた。
次いで、ロール9の下流に配設された乾燥炉6にてフェノール樹脂を含浸させた長繊維マット1を110℃、1分間の条件で乾燥した。
以上の一連の工程を経て連続的に搬出される長尺の長繊維マット1を所定のサイズに裁断して積載しておき、その後、熱盤7により120℃、3分間の条件で長繊維マット1の熱圧成形を行い、厚さ1.5mm、比重0.7の繊維板10を得た。
さらに、繊維板10の上に、酢酸ビニル系接着剤をロールコーターで100g/m塗布し、その上面に、仕上げ材である厚さ0.25mmのバーチ化粧単板を、120℃、0.8MPa、60秒の条件で貼着して床材を得た。
以上のようにして製造した実施例1〜7および比較例1の繊維板と床材について下記の性能評価を行った。
[繊維板の表面平滑性]
仕上げ材を貼着する前の繊維板について、パルプまたは紙からなる表面層が設けられた側の表面(比較例1においては、繊維板表面)の最大表面粗さPyを表面粗さ計にて測定し、繊維板の表面平滑性を評価した。
[床材の耐キャスター性]
床材上で直径50mmの鋳造キャスターを複数回移動させ、仕上げ材が剥離するまでの耐久回数により床材の耐キャスター性を評価した。耐久回数が多いほど、耐キャスター性に優れた床材であることを示している。
[床材の耐水性]
床材の耐水性は、ワックス滴下試験により評価した。ワックス滴下試験は、フロア用ワックスを床材のサネ嵌合部分に一定量滴下し、5分間放置した後の外観変化を下記の基準にて評価することにより行った。
○:外観変化は見られなかった。
×:ワックス滴下箇所の表面に膨れが視認された。
性能評価の結果を表1に示す。
Figure 2009202376
表1より、ケナフ長繊維からなる長繊維マットの表面にパルプまたは紙からなる表面層を積層し、この積層体に熱硬化性樹脂を含浸して熱圧成形することにより製造した実施例1〜7の繊維板は、パルプまたは紙からなる表面層を積層せずに長繊維マット単独で製造した比較例1の繊維板に比較して、繊維板表面の平滑性および緻密性が大幅に向上した。
また、実施例1〜7の床材は比較例1の床材に比較して耐キャスター性が向上しており、さらに2台のフローコーターによりフェノール樹脂を2回塗布した実施例3、6では耐キャスター性の更なる向上が認められた。
さらに、実施例1〜7の床材はワックス滴下による吸水後においても外観に変化は見られず、仕上げ材表面の平滑性および緻密性を維持していた。これに対して比較例1の床材はワックス滴下による吸水後において膨れが視認された。
実施例1、2、4、5、7の繊維板の製造工程を説明する図である。 実施例3、6の繊維板の製造工程を説明する図である。 比較例1の繊維板の製造工程を説明する図である。
符号の説明
1 長繊維マット
2 表面層
3 積層体
4、4a、4b フローコーター
5 ロール
10 繊維板

Claims (5)

  1. ケナフ長繊維およびジュート長繊維から選ばれる少なくとも1種の長繊維からなる長繊維マットの表面にパルプまたは紙からなる表面層が積層された積層体に熱硬化性樹脂を含浸した後、積層体を熱圧成形することを特徴とする繊維板の製造方法。
  2. フローコーターを用いて熱硬化性樹脂を塗布することにより長繊維マットと表面層との積層体に熱硬化性樹脂を含浸し、次いで少なくとも1つのロールで積層体を圧締した後、積層体を熱圧成形することを特徴とする請求項1に記載の繊維板の製造方法。
  3. 熱硬化性樹脂は、粘度20mPa・s(25℃)以下であり固形分率10〜50質量%のフェノール樹脂、ユリア樹脂、またはメラミン樹脂の1種以上からなることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維板の製造方法。
  4. パルプまたは紙からなる表面層は、目付け100〜500g/mであり、長繊維マットは、目付け500〜1500g/mであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の繊維板の製造方法。
  5. 請求項1ないし4いずれか一項に記載の方法により製造された繊維板の表面に、仕上げ材を貼着することを特徴とする化粧材の製造方法。
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