JP2013188887A - 繊維板 - Google Patents

繊維板 Download PDF

Info

Publication number
JP2013188887A
JP2013188887A JP2012054992A JP2012054992A JP2013188887A JP 2013188887 A JP2013188887 A JP 2013188887A JP 2012054992 A JP2012054992 A JP 2012054992A JP 2012054992 A JP2012054992 A JP 2012054992A JP 2013188887 A JP2013188887 A JP 2013188887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
fibers
fiberboard
bast
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012054992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5853134B2 (ja
Inventor
Kenji Onishi
兼司 大西
Seishi Morita
清史 守田
Koichi Matsumura
浩一 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2012054992A priority Critical patent/JP5853134B2/ja
Publication of JP2013188887A publication Critical patent/JP2013188887A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5853134B2 publication Critical patent/JP5853134B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)

Abstract

【課題】安価で且つ価格面でも安定している植物原料を利用可能であり、表面平滑性、強度特性及び寸法安定性が良好な繊維板を提供する。
【解決手段】繊維が接着剤で接着されて板状に形成されている繊維板1において、長繊維層2とその外側面に形成される短繊維層3とで構成され、長繊維層2は、平均繊維長が5mm以上50mm以下及び平均繊維径が100μm以上400μm以下の靭皮長繊維と、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第1の植物短繊維とが混合して形成されている層であり、短繊維層3は、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第2の植物短繊維で形成されている層であり、短繊維層3の厚みが0.1mm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維板に関する。
パーティクルボード(PB)、中密度繊維板(MDF)などの木質板は、建築用材料として幅広い分野で使用されている。これらは、製材時の残廃材や製紙未利用低質チップ、建築解体材などから得られる木材小片、木質繊維を熱硬化性樹脂などの接着剤で接着して板状に成形して形成されたものである。このため木質資源の有効活用といった観点から環境に優しい材料である。また、上記した木質板は、木材を製材して得られる挽き板に比べて品質が安定している、異方性が少なく加工性が良好である、などの特徴を有している。
しかしながら、上記した木質板は、構成要素として木材小片や木質繊維などを用いているため、一般的には挽き板に比べて強度が十分でなく、吸水時あるいは吸湿・乾燥時の寸法変化が大きい。中でもMDFなどの木質繊維板は、床材に用いた場合には目隙や突き上げなどが生じ、壁材に用いた場合には十分な強度が得られないという課題があった。さらにまた、ドア・扉材などの内装部材の基材に用いた場合には十分な強度が得られなかったり、寸法変化に起因する反りや狂いが大きいなどの課題があった。
このため本出願人は、上記課題に対して、ケナフ(アオイ科の一年生草本類)などの靭皮部分から得られる繊維長が6mm以上の長繊維を原料として用い、熱硬化性樹脂で接着したより高い強度特性と寸法安定性を備えた繊維板を提案している(特許文献1参照)。
特開2003−260704号公報
上記繊維板は従来の木質板に比べて、高強度、且つ高い寸法安定性を有している。しかしながら、上記繊維板に用いられるケナフなどの靭皮繊維は、MDFに用いられている木質繊維に比べて繊維径、繊維長が大きいため、繊維板表面に空隙が多く存在し、表面平滑性が劣るという課題がある。また、栽培によって得られる靭皮繊維作物は、繊維板以外にも紡績や不織布製造を目的として様々な用途で活用されてきており、靭皮繊維作物の出来高によっては市場価格が大きく変動する。近年では靭皮繊維作物の材料価格が上昇傾向にあり、価格面での問題も指摘されている。
これらのことから、より安価で且つ価格面でも安定している植物原料を利用可能とする技術へのニーズが高まっている。また、住宅部材に求められる品質もより高くなっており、より一層高い品質の繊維板が望まれてもいる。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、安価で且つ価格面でも安定している植物原料を利用可能であり、表面平滑性、強度特性及び寸法安定性が良好な繊維板を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の繊維板は、繊維が接着剤で接着されて板状に形成されている繊維板において、長繊維層とその外側面に形成される短繊維層とで構成され、前記長繊維層は、平均繊維長が5mm以上50mm以下及び平均繊維径が100μm以上400μm以下の靭皮長繊維と、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第1の植物短繊維とが混合して形成されている層であり、前記短繊維層は、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第2の植物短繊維で形成されている層であり、前記短繊維層の厚みが0.1mm以上であることを特徴とする。
この繊維板においては、前記靭皮長繊維の見掛け比重が1.1以上であり、前記第1の植物短繊維の見掛け比重が1.1よりも小さいことが好ましい。
この繊維板においては、前記長繊維層における前記靭皮長繊維と前記第1の植物短繊維との混合比率が、重量比で、靭皮長繊維:第1の植物短繊維=25:75〜90:10であることが好ましい。
この繊維板においては、前記接着剤は、分子量300以下の単量体もしくは二量体を25重量%以上含み、平均分子量が400以下のフェノール樹脂であることが好ましい。
この繊維板においては、繊維板の密度が、650〜950kg/m3の範囲であることが好ましい。
本発明の繊維板においては、長繊維層が、特定の平均繊維長及び平均繊維径の靭皮長繊維と特定の平均繊維長及びアスペクト比の植物短繊維とで形成され、短繊維層が、特定の平均繊維長及びアスペクト比の植物短繊維で形成されている。これにより、安価で且つ価格面でも安定している植物原料を利用して、表面平滑性、強度特性及び寸法安定性が良好な繊維板を得ることができる。
本発明の繊維板の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の繊維板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である 繊維板の長繊維層の模式図である。 繊維板の短繊維層の模式図である。 ジュート繊維と針葉樹繊維とを混合して長繊維層を形成した繊維板における長繊維層部分の断面のSEM写真である。 ジュート繊維のみを用いた繊維板の断面のSEM写真である。 針葉樹繊維のみを用いた繊維板の断面のSEM写真である。
本発明の繊維板は、繊維が接着剤で接着されて板状に形成されている。この繊維板は、長繊維層と短繊維層との複数の層で構成されている。長繊維層は、平均繊維長が5mm以上50mm以下及び平均繊維径が100μm以上400μm以下の靭皮長繊維と、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比(長さ/直径)が10以上の第1の植物短繊維とが混合して形成されている層である。短繊維層は、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比(長さ/直径)が10以上の第2の植物短繊維で形成されている層であり、厚みが0.1mm以上である。
短繊維層は、長繊維層の外側面に隣接して形成されるが、長繊維層の両側の外側面のうち一方の外側面に形成されていてもよいし、長繊維層の両側の外側面それぞれに形成されていてもよい。図1及び図2はそれぞれ、本発明の繊維板の一実施形態を示す断面図である。図1は、長繊維層2の両側の外側面のうち一方の外側面に短繊維層3が形成されている繊維板1を模式的に示す断面図であり、二層構造を有している。図2は、長繊維層2の両側の外側面それぞれに短繊維層3が形成されている繊維板10を模式的に示す断面図であり、三層構造を有している。繊維板10では、長繊維層2を芯層とし、両側面から長繊維層2を挟むようにして短繊維層3が表層として積層されている。これら繊維板1,10では、靭皮長繊維に起因する長繊維層2の外側面の凹凸が短繊維層3の存在によって押さえ込まれている。このため、短繊維層3が形成されている側の繊維板1,10表面においては長繊維層2の外側面の凹凸の影響が小さくなり、良好な表面平滑性が実現される。繊維板1,10を基材としてその表面に薄い化粧シートを貼着した場合でも化粧シート表面に表出する凹凸が小さく、良好な表面平滑性が実現され、意匠性が向上する。また、かかる構成の繊維板1,10は、長繊維層2に含まれる靭皮長繊維の優れた強度特性と寸法安定性によって、十分な強度及び寸法安定性を有している。さらにまた、植物短繊維の原料として安価で且つ価格面でも安定している植物原料を利用できるため、繊維板1,10を安価に製造することができる。
このような繊維板は、床材や壁材などの建築用部材、ドア、扉材などの内装部材の基材として利用することができる。
図3及び図4はそれぞれ、繊維板の長繊維層及び短繊維層の模式図である。
図3に示されるように、長繊維層2は、靭皮長繊維4と第1の植物短繊維5とが混合して形成され、繊維同士が接着剤6で接着されている。
長繊維層を形成する靭皮長繊維は、ケナフ、ジュート、亜麻、ラミー、ヘンプ、サイザルなどの靭皮繊維系植物を原料とする植物系繊維である。これら靭皮繊維系植物は、既に紡績や不織布工業の中で一般的な工業原料として流通しており、安定的な調達が可能である。この靭皮繊維系植物の靭皮部分から得られる長繊維束を、平均繊維長が5mm以上50mm以下、平均繊維径が100μm以上400μm以下になるまで解繊することによって靭皮長繊維を得ることができる。
このように靭皮繊維系植物を原料とする靭皮長繊維は、セルロース成分が多く、高い引っ張り強度を有している。このため、靭皮長繊維を用いることによって長繊維層に十分な強度特性を付与し、良好な強度特性を有する繊維板を得ることができる。
また寸法安定性の観点からは、靭皮繊維系植物を原料とする植物系繊維は次のような特徴を示す。一般的な植物系繊維は、含水率が変化した際の膨潤−収縮挙動が、繊維方向と径方向とにおいて異なっている。例えば、植物系繊維の径方向においては含水率1%の変化に対して約0.1〜0.2%の寸法変化を生じるのに対して、繊維方向においては含水率1%の変化に対して約0.01%と寸法変化が極めて小さい。そのため、このような植物系繊維から形成される繊維板の寸法変化挙動は、径方向の大きな寸法変化と繊維方向の小さな寸法変化のバランスにより決定される。靭皮繊維系植物を原料とする植物系繊維においては、繊維方向の弾性率が極めて大きいために、寸法変化の小さな繊維方向に対して抑制力が働き、その結果、靭皮長繊維から形成される繊維板は優れた寸法安定性を示す。また、その抑制力は繊維長が長いほど効果が大きく、一般的な木質繊維板に比べて極めて優れた寸法安定性を示す。よって、靭皮長繊維が用いられる本実施形態においては、寸法安定性が良好な繊維板を得ることができる。
本実施形態においては、上記したように、平均繊維長が5mm以上50mm以下及び平均繊維径が100μm以上400μm以下の靭皮長繊維が用いられる。長繊維層において、靭皮長繊維の平均繊維長及び平均繊維径が上記した範囲内であれば、靭皮長繊維同士の絡み合いが多くなり、また靭皮長繊維間の接着部分も多くなる。これによって、長繊維層の強度が高まり、良好な強度特性を有する繊維板を得ることができる。
靭皮長繊維の平均繊維長が上記した範囲よりも短いと、靭皮長繊維同士の絡み合いが少なく、また靭皮長繊維間の接着部分も少なくなるので、繊維板として十分な強度を得ることができない。靭皮長繊維の平均繊維長が上記した範囲よりも長いと、靭皮長繊維が屈曲した状態となるため、凹凸が生じ易く表面平滑性が低下する。また、繊維の屈曲により、繊維長さ方向における寸法変化の小ささを活かしにくくなり、寸法安定性が低下する。さらにまた、靭皮長繊維を均一に分散させることが難しく、その結果、繊維板の密度のばらつきが大きくなって、強度面において欠陥となる部分が生じやすくなる。強度特性、寸法安定性、及び表面平滑性がより良好な繊維板を得るという観点からは、靭皮長繊維の平均繊維長が7mm以上30mm以下であることが望ましい。
また、靭皮長繊維の平均繊維径が上記した範囲内よりも小さいと、靭皮長繊維間の空隙が小さくなり、第1の植物短繊維を均一に分散させることが難しくなる。靭皮長繊維の平均繊維径が上記した範囲内よりも大きいと、その剛直性によって靭皮長繊維同士の絡み合いが少なくなって、繊維板として十分な強度を得ることができない。また、長繊維層の表面の凹凸が大きくなり、短繊維層が形成されている側の繊維板表面の凹凸も大きくなって、良好な表面平滑性を得ることができない。繊維板の強度特性と表面平滑性をより向上させる観点からは、靭皮長繊維の平均繊維径が150mm以上250mm以下であることが望ましい。
長繊維層を形成する第1の植物短繊維は、針葉樹や広葉樹などを原料とする木質繊維や農産廃棄物を原料とする農産廃棄物繊維である。木質繊維は、一般的にMDF原料として用いられている、雑木、木工屑、廃材、欠陥のある材木、間伐材などを利用することができる。このため、地球環境面から貴重な資源となる木質系原料を有効に利用することできる。農産廃棄物繊維は、さとうきび、とうもろこし、竹、イネなどの農産廃棄物から得られる繊維を利用することができる。上記の農産廃棄物は繊維板の原料としてほとんど利用されていない。このような農産廃棄物を利用することで、廃棄物を削減し、貴重な木材資源を節約することができる。また、上記した植物短繊維の原料は安価であるため、繊維板のコストを低減できる。第1の植物短繊維は、上記の原料を平均繊維長が2mm以上5mm未満、アスペクト比が10以上になるまで解繊することによって得ることができる。
本実施形態においては、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第1の植物短繊維が用いられる。長繊維層において、第1の植物短繊維の平均繊維長及びアスペクト比が上記した範囲内であれば、第1の植物短繊維を均一に分散させることができる。これによって、靭皮長繊維同士の絡み合いが補強され、また靭皮長繊維間の接着が補強され、長繊維層の強度が向上した、良好な強度特性を有する繊維板を得ることができる。また、良好な寸法安定性を有する繊維板を得ることができる。なかでもアスペクト比が20以上の植物短繊維を用いることで、より寸法安定性を向上させることができる。
第1の植物短繊維の平均繊維長が上記した範囲よりも短いと、靭皮長繊維同士の絡み合いを補強する効果、及び靭皮長繊維間の接着を補強する効果が小さくなり、繊維板として十分な強度を得ることができない。第1の植物短繊維の平均繊維長が上記した範囲よりも長いと、短繊維として、靭皮長繊維間の空隙に分散させることが難しくなる。
また、第1の植物短繊維のアスペクト比が10未満であると、靭皮長繊維間の空隙に分散させることが難しくなる。
第1の植物短繊維は、アスペクト比が50以下であることが好ましく、なかでも33以下であることが望ましい。第1の植物短繊維のアスペクト比が50以下であることによって、第1の植物短繊維をより均一に分散させることができる。同様の観点から、第1の植物短繊維の平均繊維径が30μm以上200μm以下であることが好ましく、なかでも150μm以上200μm以下であることが望ましい。
本実施形態においては、靭皮長繊維として見掛け比重が1.1以上のものを使用し、第1の植物短繊維として見掛け比重が1.1よりも小さいものを使用することができる。このような靭皮長繊維は、繊維実質部が多く、靭皮長繊維の優れた強度特性を活かすことができる。また、靭皮長繊維よりも見掛け比重の小さな第1の植物短繊維の使用によって、靭皮長繊維を用いることに起因する繊維板重量の増加を抑制できる。この繊維板重量の増加抑制効果は、後述する第2の植物短繊維として、見掛け比重が1.1よりも小さいものを用いることによってさらに向上させることができる。よって、軽量でありながら、表面平滑性、強度特性、及び寸法安定性に優れた繊維板を得ることができる。なお、見掛け比重は、精密天秤などで繊維の重量を計測し、マイクロスコープなどで繊維の径と長さを計測して繊維の見掛けの体積を求め、計測した重量と見掛けの体積から算出することができる。
また、本実施形態においては、長繊維層における靭皮長繊維と第1の植物短繊維との混合比率を、重量比で、靭皮長繊維:第1の植物短繊維=25:75〜90:10とすることができる。より好ましくは靭皮長繊維:第1の植物短繊維=35:65〜75:25である。この範囲内で靭皮長繊維と第1の植物短繊維とを混合すると、靭皮長繊維混合による強度特性と寸法安定性の向上効果を十分に発現することができる。また、後述する長繊維層内の空隙率を適度に調整することができる。
本実施形態においては、繊維板の密度は特に限定されないが、繊維板の軽量化を図りつつ、強度特性と寸法安定性とのバランスがとれた繊維板とするために、650〜950kg/m3の範囲内の密度とすることができる。強度特性及び寸法安定性をより高めるために、繊維板の密度は、700〜900kg/m3の範囲内であることが好ましい。
同様の観点から、繊維板の長繊維層の空隙率が20〜40%であることが望ましい。空隙率の大きさによっては、長繊維層における繊維同士の接着強度や、含水率が変化した際の繊維の膨潤−収縮挙動に影響を与え得る。空隙率が上記した範囲内であれば、繊維同士の接着強度が十分であり、また含水率変化に伴う繊維の膨潤−収縮挙動がより効果的に緩和される。長繊維層においては、靭皮長繊維の有する高い強度特性と寸法安定性がより効果的に作用し、強度特性及び寸法安定性が良好な繊維板を得ることができる。このような繊維板は、強度特性と寸法安定性とのバランスも良好である。なお、空隙率は、繊維板断面のSEM写真から算出することができる。図5は、靭皮長繊維であるジュート繊維(見掛け比重1.15)と植物短繊維である針葉樹繊維(見掛け比重0.75)とを重量比50:50の割合で混合して長繊維層を形成した繊維板(密度800kg/m3)の長繊維層部分の断面のSEM写真である。この写真において、黒味がかかった部分が空隙部分であり、空隙率は約25%として算出される。図6は、繊維としてジュート繊維(見掛け比重1.15)のみを用いた繊維板の断面のSEM写真である。この写真において空隙率は約42%として算出される。図7は、繊維として針葉樹繊維(見掛け比重0.75)のみを用いた繊維板の断面のSEM写真である。この写真において空隙率は約10%として算出される。
長繊維層において、繊維同士の接着に用いられる接着剤としては、一般的な繊維板に使用されているものを用いることができる。例えば、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、レゾルシノール系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フルフラール系樹脂、イソシアネート系樹脂など、加熱硬化する液状の熱硬化性樹脂を樹脂成分として含むものを使用することができる。その際、靭皮長繊維と植物短繊維との合計重量に対する接着剤の添加量は、固形分換算で樹脂成分が5〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の範囲内になるように設定する。接着剤の添加量を5重量%以上とすることにより、繊維同士をより強固に接着することができる。これによって、高い強度特性や優れた寸法安定性を有する繊維板を得ることができる。接着剤の添加量を30重量%以下とすることにより、シミの発生を抑えることができる。また、接着剤を効果的に硬化させることができ、コスト面で有利である。
本実施形態においては、接着剤の樹脂成分として、分子量300以下の単量体もしくは二量体を25重量%以上含み、平均分子量(重量平均分子量)が400以下のフェノール樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは、樹脂成分が、分子量300以下の単量体もしくは二量体を40重量%以上60重量%以下含み、平均分子量が400以下のフェノール樹脂である。繊維板の強度特性と寸法安定性をより高めることができるからである。
すなわち、25重量%以上含まれる分子量300以下の単量体もしくは二量体は、主として繊維内部に浸透し、三量体以上の成分など、それ以上の高分子量成分は繊維内部への浸透性が低く主として繊維の表面に付着する。そして、繊維内部に浸透した成分が硬化することによって、繊維自体の水分の吸収を抑制することができ、水分の吸収による繊維の膨潤、変形を抑制して繊維板の寸法安定性を高めることができる。また繊維表面に付着した成分が硬化することによって、繊維同士を強固に接着し、結合させることができる。
このような接着剤の作用は、長繊維層において靭皮長繊維と植物短繊維の双方に働くため、長繊維層内の剥離強度を高めることができる。また、短繊維層の形成においてこの接着剤を用いた場合には、短繊維層内の剥離強度、短繊維層と長繊維層との間の層間の剥離強度も高めることができる。この結果、寸法安定性に優れると共に高い強度特性を有する繊維板を得ることができる。
長繊維層の厚みは特に限定されないが、繊維板の強度特性及び寸法安定性などを考慮すると、0.5mm以上とすることができる。
図4に示されるように、短繊維層3は、第2の植物短繊維7で形成され、その繊維同士が接着剤6で接着されている。
本実施形態においては、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第2の植物短繊維が用いられる。短繊維層において、第2の植物短繊維の平均繊維長及びアスペクト比が上記した範囲内であれば、短繊維層の外側面では、この第2の植物短繊維に起因する凹凸を小さくすることができる。また、一定以上の強度特性と寸法安定性を短繊維層に付与することができる。
第2の植物短繊維の平均繊維長が上記した範囲よりも短いと、繊維同士を十分に接着させることができず、繊維板として十分な強度を得ることができない。第2の植物短繊維の平均繊維長が上記した範囲よりも長いと、短繊維層の外側面では、この第2の植物短繊維に起因する凹凸が大きくなり、良好な表面平滑性を有する繊維板を得ることが難しい。
また、第2の植物短繊維のアスペクト比が10未満の場合にも、短繊維層の外側面では、この第2の植物短繊維に起因する凹凸が大きくなり、良好な表面平滑性を有する繊維板を得ることが難しくなる。
第2の植物短繊維は、アスペクト比が50以下であることが好ましく、なかでも33以下であることが望ましい。第2の植物短繊維のアスペクト比が50以下であることによって、短繊維層の外側面において、この第2の植物短繊維に起因する凹凸を小さくすることができる。同様の観点から、第2の植物短繊維の平均繊維径が30μm以上200μm以下であることが好ましく、なかでも150μm以上200μm以下であることが望ましい。
上記した第2の植物短繊維は、第1の植物短繊維と同種のものを用いることができる。短繊維層において繊維同士の接着に用いられる接着剤も、長繊維層において繊維同士の接着に用いられる接着剤と同種のものを用いることができる。また接着剤の添加量についても、長繊維層の場合と同様、植物短繊維の全重量に対して、固形分換算で樹脂成分が5〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の範囲内になるように設定することができる。
また本実施形態においては、短繊維層の厚みが0.1mm以上とされている。ここで「短繊維層の厚み」とは、単一層としての短繊維層の厚みを意味する。例えば、図2に示されるような三層構造の繊維板の場合、長繊維層の両側の外側面に積層されている短繊維層はそれぞれ0.1mm以上の厚みを有する。このような短繊維層の存在によって、靭皮長繊維に起因する長繊維層の外側面の凹凸が押さえ込まれる。このため、短繊維層が形成されている側の繊維板表面においては長繊維層の外側面の凹凸の影響が小さくなり、良好な表面平滑性を有する繊維板を得ることができる。短繊維層の厚みの上限値は特に限定されないが、繊維板の強度特性及び寸法安定性などを考慮すると、0.5mmとすることができる。
以下に、繊維板の製造法について説明する。
まず、靭皮長繊維の原料を機械的に解繊処理することによって、平均繊維長が5mm以上50mm以下及び平均繊維径が100μm以上400μm以下の靭皮長繊維を調製する。また、第1の植物短繊維についても、その原料を機械的に解繊処理することによって、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第1の植物短繊維を調製する。第2の植物短繊維についても同様にして、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第2の植物短繊維を調製する。
次に、靭皮長繊維と第1の植物短繊維に接着剤を添加して、均一に分散させる。これによって、靭皮長繊維と植物短繊維とが混合した長繊維層用材料を調製する。また、第2の植物短繊維に接着剤を添加して、均一に分散させ、短繊維層用材料を調製する。
次に、型枠内に、短繊維層用材料、長繊維層用材料、短繊維層用材料の順に散布して繊維マットを形成する。その後、型枠から繊維マットを取り出して、熱板間に配置する。次に、熱板によって繊維マットに熱と圧力を加えて熱圧成形し、繊維マットを板状に成形すると共に接着剤を硬化させて繊維同士を接着することによって、繊維板を形成することができる。熱圧成形の際の温度や圧力は、接着剤の種類や繊維板の厚みや密度などによって適宜に設定される。例えば、温度20〜180℃、圧力3〜5MPaとすることができる。また熱圧成形の際のプレス方法としては、バッチ式の平板プレスや連続プレスなどを採用することができる。このようにして、図2に示されるような三層構造の繊維板を得ることができる。図1に示されるような二層構造の繊維板を製造する場合には、型枠内に、長繊維層用材料、短繊維層用材料の順に散布して繊維マットを形成し、この繊維マットを熱圧成形すればよい。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ジュートの靭皮繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を切断機により長さ方向にカットした後、機械的に開繊処理することによって、靭皮長繊維として、平均繊維長が約20mm及び平均繊維径が約150μmのジュート繊維を得た。
また、スギチップを加圧リファイナーで解繊することによって、植物短繊維として、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比(長さ/直径)がおおよそ30のスギ繊維を得た。
次に、植物短繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、表層(短繊維層)用材料を調製した。その際、植物短繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量450であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が20重量%であった。
さらに、靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率が50:50となるように混合したものに前記接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層(長繊維層)用材料を調製した。その際、靭皮長繊維と植物短繊維との合計重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。
次に、20cm角の木製型枠内に、表層用材料を約9.6g、次いで芯層用材料を約28.8g、最後に表層用材料を約9.6g順次散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、靭皮長繊維と植物短繊維とを複合した厚み約40mmの繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、図2に示されるような三層構造を有する厚み1.5mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
得られた繊維板の断面構造から、表層(短繊維層)と芯層(長繊維層)の厚みは、おおよそ表層用材料及び芯層用材料を散布した量に比例しており、表層の厚みは約0.3mmであり、芯層の厚みは約0.9mmであった。
また、靭皮長繊維及び植物短繊維の見掛け比重を次のようにして測定した(以下の実施例及び比較例でも見掛け比重を同様の方法で測定している)。まず、繊維板の原料として用いる繊維から数本〜数十本繊維を取り出す。次に、精密天秤により取り出した繊維全数の重量を計測する。また、マイクロスコープを用いて繊維の径と長さを計測し、繊維全数の見掛けの体積を求める。秤量した繊維全数の重量と見掛けの体積から繊維の見掛け比重を算出する。この方法によれば、ジュート繊維の見掛け比重は約1.15であり、スギ繊維の見掛け比重は約0.75であった。
(実施例2)
実施例1の芯層用材料の靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率を75:25とする以外は、実施例1と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例3)
実施例1の芯層用材料において、ジュート繊維の代わりに、ケナフ靭皮繊維束を切断、開繊して得られた、平均繊維長が約10mm及び平均繊維径が約200μmであるケナフ繊維を、靭皮長繊維として用いた。また、実施例1の芯層用材料及び表層用材料において、スギ繊維の代わりに、バガス原料を加圧リファイナーで解繊した、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約150μm、アスペクト比がおおよそ20のバガス繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。なお、ケナフ繊維の見掛け比重は約1.15であり、ジュート繊維と同等であった。バガス繊維の見掛け比重は約0.7であった。繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例4)
実施例1の芯層用材料の靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率を35:65とする以外は、実施例1と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例5)
ジュートの靭皮繊維束のカット長を変更することにより、平均繊維径が約150μmで、平均繊維長がそれぞれ約20mm、約3mmの2種類の長さのジュート繊維を得た。実施例1の芯層用材料及び表層用材料において、平均繊維長が約20mmのジュート繊維を靭皮長繊維として用い、スギ繊維の代わりに、平均繊維長が約3mmのジュート繊維を植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例6)
芯層用材料の靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率を10:90とする以外は、実施例1と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例1)
ジュートの靭皮繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を切断機により長さ方向にカットした後、機械的に開繊処理することによって、靭皮長繊維として、平均繊維長が約20mm及び平均繊維径が約150μmのジュート繊維を得た。
次に、靭皮長繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層用材料を調製した。その際、靭皮長繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量450であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が20重量%であった。
次に、20cm角の木製型枠内に、芯層用材料を約48g散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、厚み1.5mmの単層の繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例2)
スギチップを加圧リファイナーで解繊することにより、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ30のスギ繊維(植物短繊維)を得た。比較例1の芯層用材料において、靭皮長繊維の代わりに、この植物短繊維を用いる以外は、比較例1と同様にして、単層の繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例3)
バガス原料を加圧リファイナーで解繊することにより、平均繊維長が約3.0mmで平均繊維径が約150μm、アスペクト比がおおよそ20のバガス繊維(植物短繊維)を得た。比較例1の芯層用材料において、靭皮長繊維の代わりに、この植物短繊維を用いる以外は、比較例1と同様にして、単層の繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例4)
実施例1の芯層用材料の靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率を100:0とする以外は、実施例1と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例5)
芯層用材料として、実施例1の芯層用材料を用いる以外は、比較例1と同様にして、単層の繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
上記の実施例1〜6及び比較例1〜5の繊維板を試料として、曲げ強度、曲げヤング率、剥離強度、乾燥時長さ変化率、吸湿時長さ変化率、及び表面平滑性について物性評価した。
ここで、曲げ強度、曲げヤング率、乾燥時長さ変化率、吸湿時長さ変化率、及び表面平滑性については、◎、○、△、×の4段階で評価し、◎、○、△であれば物性が良好であるとして評価した。
曲げ強度、曲げヤング率、JIS A 5905(繊維板)に規定された方法に基づき、試料形状200mm(長さ)×50mm(幅)、スパン150mm、変形速度10mm/minの条件で評価した。
曲げ強度の計測数値において、50MPa以上であれば◎、40MPa以上50MPa未満であれば○、35MPa以上40MPa未満であれば△、35MPa未満であれば×として評価した。
曲げヤング率の計測数値において、5GPa以上であれば◎、4GPa以上5GPa以下であれば○、3.5GPa以上4GPa未満であれば△、3.5GPa未満であれば×として評価した。
剥離強度は、50mm角サイズに切り出したサンプルの表裏面に引張り治具を貼り付け、速度1mm/minで引っ張り試験を行った際の最大破壊加重から剥離強度を求めた。剥離強度は、繊維同士の接着力を示すが、繊維複合構造が大きく影響を及ぼすものと考えられる。このため、繊維板内における繊維複合構造を表す指標として空隙率を計測した。この空隙率は、繊維板中央付近(芯層)での断面構造のSEM写真から算出した。
乾燥時長さ変化率、吸湿時長さ変化率の計測は、JIS A 5905(繊維板)に規定された方法に基づいて治具を作成し、サンプル形状50mm(長さ)×200mm(幅)のサンプルを用いた。20℃RH65%3日間で調湿したものを養生状態とし、その養生状態から40℃RH30%で4日間の吸湿操作、或いは前記養生状態から40℃RH90%で4日間の吸湿操作を行なった。その際、養生状態から乾燥操作前後における長さ方向の寸法変化、並びに養生から吸湿操作前後の長さ方向の寸法変化を計測し、それぞれ乾燥時長さ変化率、吸湿時長さ変化率とした。
乾燥時長さ変化率が、その絶対値として、0.05%未満であれば◎、0.05%以上0.10%未満であれば○、0.10%以上0.20%未満であれば△、0.20%以上であれば×として評価した。
吸湿時長さ変化率が、その絶対値として、0.05%未満であれば◎、0.05%以上0.07%未満であれば○、0.07%以上0.10%未満であれば△、0.1%以上であれば×として評価した。
表面平滑性の計測では、得られた繊維板を、サンドペーパーで表面研磨後、厚み0.2mmの化粧シートを、常温硬化型の水系接着剤で貼り付けたものを評価サンプルとして用いた。この評価サンプルを、40℃RH90%で7日間の吸湿操作を行い、表面凹凸が観察された部位付近を表面粗さ計を用いて、平均粗さ(Ra)を計測した。Raが、2μm未満であれば◎、2μm以上4μm未満であれば○、4μm以上6μm未満であれば△、6μm以上である場合には×として評価した。
上記結果を表1、2に示す。
表1に示されるように、実施例1〜6の三層構造を有する繊維板は、強度特性(曲げ強度、曲げヤング率、剥離強度)、寸法安定性(乾燥時長さ変化率、吸湿時長さ変化率)、表面平滑性が良好である。
また、芯層において、靭皮長繊維の見掛け比重が1.1以上であり、植物短繊維の見掛け比重が1.1よりも小さいことにより、繊維板重量の増加を抑制しつつ、強度特性、寸法安定性、表面平滑性が良好な繊維板を得ることができることが確認できた。例えば、実施例1と実施例5との対比において、実施例1の繊維板の曲げ強度及び剥離強度は、密度が同一である実施例5の繊維板よりも良好である。
さらにまた、芯層における靭皮長繊維と植物短繊維との混合比率が、重量比で、靭皮長繊維:植物短繊維=25:75〜90:10であることにより、得られる繊維板は適度な空隙率を有し、強度特性と寸法安定性が良好である。特に靭皮長繊維:植物短繊維=35:65〜75:25である実施例1〜5の繊維板では、強度特性と寸法安定性がより良好である。
表2に示されるように、比較例1、5の繊維板は、植物短繊維で形成される表層を有していないので、表面平滑性が劣っている。比較例2〜3の繊維板は、靭皮長繊維を用いていないので、強度特性が劣っている。
(実施例7)
ジュートの靭皮繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を切断機により長さ方向にカットした後、機械的に開繊処理することによって、靭皮長繊維として、平均繊維長が約7mm及び平均繊維径が約150μmのジュート繊維を得た。
また、スギチップを加圧リファイナーで解繊することによって、植物短繊維として、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ30のスギ繊維を得た。
次に、植物短繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、表層用材料を調製した。その際、植物短繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量400であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が30重量%であった。
さらに、靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率が50:50となるように混合したものに前記接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層用材料を調製した。その際、靭皮長繊維と植物短繊維との合計重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。
次に、20cm角の木製型枠内に、表層用材料を約9.6g、次いで芯層用材料を約76.8g、最後に表層用材料を約9.6g順次散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、靭皮長繊維と植物短繊維とを複合した厚み約80mmの繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、三層構造を有する厚み3mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
得られた繊維板の断面構造から、表層の厚みは約0.3mmであり、芯層の厚みは約2.4mmであった。
(実施例8)
実施例7の芯層用材料の靭皮長繊維として、平均繊維長が10mm及び平均繊維径が150μmのジュート繊維を用いる以外は、実施例7と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例9)
実施例7の芯層用材料の靭皮長繊維として、平均繊維長が30mm及び平均繊維径が150μmのジュート繊維を用いる以外は、実施例7と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例10)
実施例7の芯層用材料の靭皮長繊維として、平均繊維長が50mm及び平均繊維径が150μmのジュート繊維を用いる以外は、実施例7と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例6)
実施例7の芯層用材料の靭皮長繊維として、平均繊維長が70mm及び平均繊維径が150μmのジュート繊維を用いる以外は、実施例7と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例7)
実施例7の芯層用材料の靭皮長繊維として、平均繊維長が4mm及び平均繊維径が150μmのジュート繊維を用いる以外は、実施例7と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
実施例7〜10、比較例6〜7の繊維板についての物性評価結果を表3に示す。
表3に示されるように、芯層における靭皮長繊維の平均繊維長の違いが繊維板の物性に影響を与えていることが分かる。
芯層における靭皮長繊維の平均繊維長が70mmである繊維板(比較例6)に比べて、特に芯層における靭皮長繊維の平均繊維長が7〜30mmである実施例7〜9の繊維板は、強度特性、寸法安定性、表面平滑性のバランスが取れている。さらに実施例7〜9の繊維板は、寸法安定性に優れている。靭皮長繊維の長さが長くなるにつれて、繊維板としての強度特性が高まる傾向があるものの、芯層部分で繊維径の太い靭皮長繊維が屈曲した状態となるため、凹凸が生じ易く表面平滑性は逆に低下する傾向となる。また、寸法安定性についても、繊維の屈曲により、繊維長さ方向における寸法変化の小ささを活かしにくくなるため、長さ変化率が大きくなる傾向にある。
(実施例11)
ジュートの靭皮繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を切断機により長さ方向にカットした後、機械的に開繊処理することによって、靭皮長繊維として、平均繊維長が約20mm及び平均繊維径が約150μmのジュート繊維を得た。
また、スギチップを加圧リファイナーで解繊することによって、植物短繊維として、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ30のスギ繊維を得た。
次に、植物短繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、表層用材料を調製した。その際、植物短繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量380であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が40重量%であった。
さらに、靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率が35:65となるように混合したものに前記接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層用材料を調製した。その際、靭皮長繊維と植物短繊維との合計重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。
次に、20cm角の木製型枠内に、表層用材料を約9.6g、次いで芯層用材料を約28.8g、最後に表層用材料を約9.6g順次散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、靭皮長繊維と植物短繊維とを複合した厚み約40mmの繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、図2に示されるような三層構造を有する厚み1.5mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
得られた繊維板の断面構造から、表層の厚みは約0.3mmであり、芯層の厚みは約0.9mmであった。
(実施例12)
植物短繊維として、バガス原料を加圧リファイナーで解繊した、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約150μm、アスペクト比がおおよそ20のバガス繊維を用いた。実施例11の芯層用材料において、スギ繊維の代わりにこのバガス繊維を植物短繊維として用い、芯層用材料の靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率を25:75とする以外は、実施例11と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例13)
接着剤として、樹脂成分であるフェノール樹脂が、平均分子量が420であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が13重量%であるものを用いる以外は、実施例11と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例14)
接着剤として、樹脂成分であるフェノール樹脂が、平均分子量が500であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が5重量%であるものを用いる以外は、実施例11と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
実施例11〜14の繊維板についての物性評価結果を表4に示す。なお、接着剤性状以外がほぼ同様な構成である実施例4についても、同表に記した。
表4から、実施例11〜14の繊維板は良好な物性を示すことがわかる。実施例11〜12の繊維板は、分子量300以下の単量体もしくは二量体を25重量%以上含み、平均分子量が400以下のフェノール樹脂を樹脂成分として含む接着剤を用いている。これにより、強度特性と寸法安定性とがより向上されている。実施例13〜14の繊維板では、フェノール樹脂の平均分子量が大きくなるにつれて、若干寸法安定性は低下するものの、フェノール樹脂の高分子量成分が増えることにより繊維同士の接着が強まり、強度向上効果が見られる。
(実施例15)
ジュートの靭皮繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を切断機により長さ方向にカットした後、機械的に開繊処理することによって、靭皮長繊維として、平均繊維長が約20mm及び平均繊維径が約150μmのジュート繊維を得た。
また、スギチップを加圧リファイナーで解繊することによって、植物短繊維として、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ30のスギ繊維を得た。
次に、植物短繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、表層用材料を調製した。その際、植物短繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量380であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が40重量%であった。
さらに、靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率が50:50となるように混合したものに前記接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層用材料を調製した。その際、靭皮長繊維と植物短繊維との合計重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。
次に、20cm角の木製型枠内に、表層用材料を約5.6g、次いで芯層用材料を約72.8g、最後に表層用材料を約5.6g順次散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、靭皮長繊維と植物短繊維とを複合した繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、図2に示されるような三層構造を有する厚み3mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約700kg/m3であった。
得られた繊維板の断面構造から、表層の厚みは約0.2mmであり、芯層の厚みは約2.6mmであった。
(実施例16)
木製型枠内に、実施例15の表層用材料を約6.4g、実施例15の芯層用材料を約83.2g、実施例15の表層用材料を約6.4g順次散布する以外は実施例15と同様にして、三層構造を有する厚み3mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例17)
木製型枠内に、実施例15の表層用材料を約7.2g、実施例15の芯層用材料を約93.6g、実施例15の表層用材料を約7.2g順次散布する以外は実施例15と同様にして、三層構造を有する厚み3mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約900kg/m3であった。
(実施例18)
木製型枠内に、実施例15の表層用材料を約5.2g、実施例15の芯層用材料を約67.6g、実施例15の表層用材料を約5.2g順次散布する以外は実施例15と同様にして、三層構造を有する厚み3mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約650kg/m3であった。
(実施例19)
木製型枠内に、実施例15の表層用材料を約7.6g、実施例15の芯層用材料を約98.8g、実施例15の表層用材料を約7.6g順次散布する以外は実施例15と同様にして、三層構造を有する厚み3mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約950kg/m3であった。
(比較例8)
スギチップを加圧リファイナーで解繊して得られる、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ30のスギ繊維(植物短繊維)を得た。
次に、植物短繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層用材料を調製した。その際、靭皮長繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量380であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が40重量%であった。
次に、20cm角の木製型枠内に、芯層用材料を約84g散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、厚み3mmの単層の繊維板を得た。この繊維板の密度は約700kg/m3であった。
(比較例9)
バガス原料を加圧リファイナーで解繊することにより、平均繊維長が約3.0mmで平均繊維径が約200μm、アスペクト比がおおよそ15のバガス繊維(植物短繊維)を得た。比較例8の芯層用材料において、スギ繊維の代わりにこのバガス繊維を植物短繊維として用いて芯層用材料を調製し、木製型枠内に約108g散布した。それ以外は比較例8と同様にして、厚み3mmの単層の繊維板を得た。この繊維板の密度は約900kg/m3であった。
実施例15〜19、比較例8〜9の繊維板についての物性評価結果を表5に示す。
表5から、実施例15〜19の繊維板は良好な物性を示すことがわかる。密度が増加するに伴い、繊維板の空隙率が低減し、剥離強度の増加とともに曲げ強度特性は向上していく傾向がみてとれる。実施例15〜17に示されるように、繊維板の密度が、特に700〜900kg/m3の範囲内である場合、乾燥時長さ変化率と吸湿時長さ変化率が極めて小さくなるとともに、曲げ強度特性に優れた高性能な繊維板が得られることが分かる。このような繊維板では、空隙率が20〜40%となっている。また、剥離強度が1.0MPa以上であるなど、繊維同士の接着強度も十分である。かかる範囲内の空隙率を有する場合、靭皮長繊維の有する高い強度特性と繊維方向の低い寸法変化量を有効に作用させることができるので、強度特性と寸法安定性とがより良好となり、またそのバランスが良好になっていると考えられる。
比較例8〜9の繊維板は、靭皮長繊維を使用していないので、靭皮長繊維の有する高い強度特性と繊維方向の低い寸法変化量を作用させることができず、強度特性又は寸法安定性が劣っている。
(実施例20)
ジュートの靭皮繊維束(幅:1〜2cm、長さ:2〜4m)を切断機により長さ方向にカットした後、機械的に開繊処理することによって、靭皮長繊維として、平均繊維長が約20mm及び平均繊維径が約150μmのジュート繊維を得た。
また、スギチップを加圧リファイナーで解繊することによって、植物短繊維として、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ30のスギ繊維を得た。
次に、植物短繊維に、液状のフェノール樹脂を樹脂成分とする接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、表層用材料を調製した。その際、植物短繊維の全重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。なお、フェノール樹脂は、平均分子量380であり、分子量300以下の単量体もしくは二量体が40重量%であった。
さらに、靭皮長繊維と植物短繊維との重量比率が65:35となるように混合したものに前記接着剤を所定量添加し、乾燥を行い、芯層用材料を調製した。その際、靭皮長繊維と植物短繊維との合計重量に対する接着剤の添加量が、固形分換算で樹脂成分が17重量%となるように調整した。接着剤添加後の繊維の乾燥は、40℃×3時間で行った。
次に、20cm角の木製型枠内に、表層用材料を約9.6g、次いで芯層用材料を約28.8g、最後に表層用材料を約9.6g順次散布し、上蓋で軽く圧締めすることにより、靭皮長繊維と植物短繊維とを複合した厚み40mmの繊維マットを得た。
この繊維マットを180℃、3MPa、3分間の条件で熱圧成形し、図2に示されるような三層構造を有する厚み1.5mmの繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
得られた繊維板の断面構造から、表層の厚みは約0.3mmであり、芯層の厚みは約0.9mmであった。
(実施例21)
実施例20の芯層用材料及び表層用材料において、スギ繊維の代わりに、バガス原料を加圧リファイナーで解繊した、平均繊維長が約3mmで平均繊維径が約150μm、アスペクト比がおおよそ20のバガス繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例20と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維ボードの密度は約800kg/m3であった。
(実施例22)
実施例20の芯層用材料及び表層用材料において、スギ繊維の代わりに、バガス原料を加圧リファイナーで解繊した、平均繊維長が約2.4mmで平均繊維径が約200μm、アスペクト比がおおよそ12のバガス繊維、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例20と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(実施例23)
実施例20の芯層用材料において、ジュート繊維の代わりに、ケナフ靭皮繊維束を切断、開繊して得られた、平均繊維長が約10mm及び平均繊維径が約250μmのケナフ繊維を、靭皮長繊維として用いた。また、実施例20の芯層用材料及び表層用材料において、スギ繊維の代わりに、バガス原料を加圧リファイナーで解繊した、平均繊維長が約4mmで平均繊維径が約200μm、アスペクト比がおおよそ20のバガス繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例20と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維ボードの密度は約800kg/m3であった。
(比較例10)
実施例20の芯層用材料及び表層用材料において、スギチップを加圧リファイナーで解繊した、平均繊維長が約2mmで平均繊維径が約250μm、アスペクト比がおおよそ8のスギ繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例20と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例11)
実施例20の芯層用材料及び表層用材料において、スギチップをハンマーミルで粉砕することによって繊維状に加工した、平均繊維長が約1.2mmで平均繊維径が約100μm、アスペクト比がおおよそ12のスギ繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例20と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例12)
実施例20の芯層用材料及び表層用材料において、スギ繊維の代わりに、バガス原料を加圧リファイナーで解繊して得られる、平均繊維長が約1.6mmで平均繊維径が約200μm、アスペクト比がおおよそ8のバガス繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例20と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
(比較例13)
実施例23の芯層用材料及び表層用材料において、タケ材をハンマーミルで粉砕することによって繊維状に加工した、平均繊維長が約1mmで平均繊維径が約200μm、アスペクト比がおおよそ5のタケ繊維を、植物短繊維として用いた。それ以外は、実施例23と同様にして、三層構造を有する繊維板を得た。この繊維板の密度は約800kg/m3であった。
実施例20〜23、比較例10〜13の繊維板についての物性評価結果を表6に示す。
表6から、実施例20〜23の繊維板は良好な物性を示すことがわかる。なかでも、アスペクト比が20以上の植物短繊維を用いた実施例20、21、23の繊維板では、乾燥時長さ変化率、吸湿時長さ変化率がともに±0.05%以内であり、従来の木質板と比べて高い寸法安定性を示すことがわかる。
また、実施例20と比較例10、11との繊維板、実施例21、22と比較例12との繊維板、実施例23と比較例13との繊維板を比較すると、植物短繊維のアスペクト比と平均繊維長が、繊維板全体の強度特性と寸法安定性に影響を与えていることが分かる。
例えば、植物短繊維としてスギ繊維を用いた場合、比較例10に示すようにスギ繊維のアスペクト比が10未満では、強度特性、寸法安定性ともに大きく低下する。この原因としては次のことが考えられる。繊維長が長い靭皮長繊維と混合する際に、アスペクト比が小さな植物短繊維では、靭皮長繊維同士の接着を補強する効果が小さくなる。このために、靭皮長繊維の特徴である高い強度特性と繊維方向の低い寸法変化量を有効に作用させることができないと考えられる。
さらには、比較例11に示すように、アスペクト比が12の植物短繊維を用いた場合でも、平均繊維長が2mm未満であるため、比較例10と同様に靭皮長繊維同士の接着を補強する効果が小さくなると考えられる。比較例10、11の繊維板はいずれも剥離強度が1.0MPa未満となっており、小さな値を示している。
植物短繊維として、バガス繊維、タケ繊維を用いた場合についても、同様の傾向がみられる。比較例12、13のように、アスペクト比が10未満である場合には、強度特性あるいは寸法安定性が劣る結果となった。
1、10 繊維板
2 長繊維層
3 短繊維層
4 靭皮長繊維
5 第1の植物短繊維
6 接着剤
7 第2の植物短繊維

Claims (5)

  1. 繊維が接着剤で接着されて板状に形成されている繊維板において、長繊維層とその外側面に形成される短繊維層とで構成され、前記長繊維層は、平均繊維長が5mm以上50mm以下及び平均繊維径が100μm以上400μm以下の靭皮長繊維と、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第1の植物短繊維とが混合して形成されている層であり、前記短繊維層は、平均繊維長が2mm以上5mm未満及びアスペクト比が10以上の第2の植物短繊維で形成されている層であり、前記短繊維層の厚みが0.1mm以上であることを特徴とする繊維板。
  2. 前記靭皮長繊維の見掛け比重が1.1以上であり、前記第1の植物短繊維の見掛け比重が1.1よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の繊維板。
  3. 前記長繊維層における前記靭皮長繊維と前記第1の植物短繊維との混合比率が、重量比で、靭皮長繊維:第1の植物短繊維=25:75〜90:10であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維板。
  4. 前記接着剤は、分子量300以下の単量体もしくは二量体を25重量%以上含み、平均分子量が400以下のフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の繊維板。
  5. 繊維板の密度が、650〜950kg/m3の範囲であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の繊維板。
JP2012054992A 2012-03-12 2012-03-12 繊維板 Active JP5853134B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012054992A JP5853134B2 (ja) 2012-03-12 2012-03-12 繊維板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012054992A JP5853134B2 (ja) 2012-03-12 2012-03-12 繊維板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013188887A true JP2013188887A (ja) 2013-09-26
JP5853134B2 JP5853134B2 (ja) 2016-02-09

Family

ID=49389677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012054992A Active JP5853134B2 (ja) 2012-03-12 2012-03-12 繊維板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5853134B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019209165A1 (en) * 2018-04-24 2019-10-31 Ikea Supply Ag Fiberboard and method of forming a fiberboard
WO2020187849A1 (en) * 2019-03-15 2020-09-24 Universidade Do Porto Lightweight polyurethane-wood composites and manufacture thereof
RU2781987C2 (ru) * 2018-04-24 2022-10-21 Икея Сапплай Аг Древесноволокнистая плита и способ формирования древесноволокнистой плиты

Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02263604A (ja) * 1989-04-04 1990-10-26 Araco Corp 木質系成形体およびその製造方法
US5492756A (en) * 1994-07-22 1996-02-20 Mississippi State University Kenaf core board material
JPH09216208A (ja) * 1996-02-09 1997-08-19 Hiroyuki Yano 木質材料の製造方法
JPH11333986A (ja) * 1997-12-25 1999-12-07 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板及びその製造方法
JP2000263520A (ja) * 1999-03-19 2000-09-26 Matsushita Electric Works Ltd 造作部材
JP2003260704A (ja) * 1997-12-25 2003-09-16 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板
JP2003285304A (ja) * 2002-01-28 2003-10-07 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板、その繊維板の製造方法及びその繊維板を用いた構造用壁下地材
JP2004284246A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Toyota Motor Corp 繊維複合樹脂品及びその製造方法
JP2004314593A (ja) * 2003-03-31 2004-11-11 Matsushita Electric Works Ltd 繊維ボードの製造方法
US20050173089A1 (en) * 2000-08-10 2005-08-11 Bei-Hong Liang Fibrous composite articles and method of making the same
JP2007270417A (ja) * 2006-03-07 2007-10-18 Toray Ind Inc 繊維系ボード、家具、遊技機および建築資材ならびに繊維系ボードの製造方法
JP2007307914A (ja) * 1997-12-25 2007-11-29 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板
JP2008105288A (ja) * 2006-10-26 2008-05-08 Matsushita Electric Works Ltd 複合木材板及びこれを用いたドア枠材
JP2009172929A (ja) * 2008-01-25 2009-08-06 Panasonic Electric Works Co Ltd 長繊維板の製造方法
JP2009202376A (ja) * 2008-02-26 2009-09-10 Panasonic Electric Works Co Ltd 繊維板および化粧材の製造方法
US7735219B2 (en) * 2004-02-05 2010-06-15 Panasonic Corporation Method for machining a board

Patent Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02263604A (ja) * 1989-04-04 1990-10-26 Araco Corp 木質系成形体およびその製造方法
US5492756A (en) * 1994-07-22 1996-02-20 Mississippi State University Kenaf core board material
JPH09216208A (ja) * 1996-02-09 1997-08-19 Hiroyuki Yano 木質材料の製造方法
JP2007307914A (ja) * 1997-12-25 2007-11-29 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板
JPH11333986A (ja) * 1997-12-25 1999-12-07 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板及びその製造方法
JP2003260704A (ja) * 1997-12-25 2003-09-16 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板
JP2000263520A (ja) * 1999-03-19 2000-09-26 Matsushita Electric Works Ltd 造作部材
US20050173089A1 (en) * 2000-08-10 2005-08-11 Bei-Hong Liang Fibrous composite articles and method of making the same
JP2003285304A (ja) * 2002-01-28 2003-10-07 Matsushita Electric Works Ltd 繊維板、その繊維板の製造方法及びその繊維板を用いた構造用壁下地材
JP2004284246A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Toyota Motor Corp 繊維複合樹脂品及びその製造方法
JP2004314593A (ja) * 2003-03-31 2004-11-11 Matsushita Electric Works Ltd 繊維ボードの製造方法
US7735219B2 (en) * 2004-02-05 2010-06-15 Panasonic Corporation Method for machining a board
JP2007270417A (ja) * 2006-03-07 2007-10-18 Toray Ind Inc 繊維系ボード、家具、遊技機および建築資材ならびに繊維系ボードの製造方法
JP2008105288A (ja) * 2006-10-26 2008-05-08 Matsushita Electric Works Ltd 複合木材板及びこれを用いたドア枠材
JP2009172929A (ja) * 2008-01-25 2009-08-06 Panasonic Electric Works Co Ltd 長繊維板の製造方法
JP2009202376A (ja) * 2008-02-26 2009-09-10 Panasonic Electric Works Co Ltd 繊維板および化粧材の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019209165A1 (en) * 2018-04-24 2019-10-31 Ikea Supply Ag Fiberboard and method of forming a fiberboard
RU2781987C2 (ru) * 2018-04-24 2022-10-21 Икея Сапплай Аг Древесноволокнистая плита и способ формирования древесноволокнистой плиты
WO2020187849A1 (en) * 2019-03-15 2020-09-24 Universidade Do Porto Lightweight polyurethane-wood composites and manufacture thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP5853134B2 (ja) 2016-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6197414B1 (en) Fiberboard and manufacturing method thereof
Leng et al. Effects of density, cellulose nanofibrils addition ratio, pressing method, and particle size on the bending properties of wet-formed particleboard
CN101500800A (zh) 含有竹的板
JP4486113B2 (ja) 木質繊維集積板および床材
Sumardi et al. Development of bamboo zephyr composite and the physical and mechanical properties
Srivaro et al. Performance of cross laminated timber made of oil palm trunk waste for building construction: a pilot study
JP2000263520A (ja) 造作部材
JP5853134B2 (ja) 繊維板
JP6249207B2 (ja) 木質板の製造方法及び木質板
JP2011093097A (ja) 長繊維ボードおよび長繊維複合ボード
JPH11333986A (ja) 繊維板及びその製造方法
Bliem et al. Engineering of material properties by adhesive selection at the example of a novel structural wood material
JP4940992B2 (ja) 繊維系ボード、家具および遊技機ならびに繊維系ボードの製造方法
JPWO2005115705A1 (ja) パーティクルボードの製造方法
WO2015118814A1 (ja) 木質ボードの製造方法
WO2014057655A1 (ja) 繊維ボード及びその製造方法
JP2011093125A (ja) 長繊維ボードおよび長繊維複合ボード
JP5853136B2 (ja) 繊維ボード
JP2001293706A (ja) パーティクルボード
CN109203120A (zh) 定向结构板的复合板及其制作方法
JP2014205268A (ja) 木質ボードの製造方法
JP2003260704A (ja) 繊維板
JP4529406B2 (ja) 遊技機部材および遊技機
Jamaludin et al. Improvement of binderless banana pseudo-stem particleboard properties via natural laminating materials
Akpenpuun et al. Strength and Micro-structural Properties of Wood Chips Composite Panel

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140710

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20141009

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20141107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150623

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150716

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5853134

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151