JP4940992B2 - 繊維系ボード、家具および遊技機ならびに繊維系ボードの製造方法 - Google Patents

繊維系ボード、家具および遊技機ならびに繊維系ボードの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、机天板などの家具や床材、及び遊技機部材などとして用いられる繊維系ボード、およびその製造方法に関する。
従来から、机材や椅子材などに代表される家具、または床材、壁材などに代表される建築資材には、ラワン材などの木材の単板を積み重ね、接着剤を用いて張り合わせた合板や、粉砕した木材をフェノール樹脂などを塗布して一体化させたパーティクルボード等が多く用いられてきた。また近年では、木質繊維とフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を混合し、熱圧縮することで得られる繊維ボード、いわゆるMDF(中密度繊維板)なども、建築資材やインテリア資材に広く用いられている。
しかしながら、上述の合板や繊維板は、接着剤としてフェノール系接着剤やメラミン系接着剤などの熱硬化性接着剤が用いられていることから、作業環境の汚染、作業者への健康障害、さらには使用時のホルムアルデヒド含有物質の揮発によるシックハウス症候群を引き起こすなどの問題があった。また、上述の熱硬化性樹脂は石油を原料とするものであり、環境への負荷が少なくないというような問題があった。
このような従来技術の問題点に対して、近年では、天然繊維にバインダーとして植物由来のポリ乳酸を混合してなる、見かけ密度が0.2g/cm以上の繊維系ボードが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、これらの繊維系ボードにおいては環境負荷が少ないという効果を有するものの、表面硬度の要求される家具や床材として用いた場合には、表面への衝撃や引っ掻きにより簡単に傷を生じるという問題があった。
一方、木質繊維板の改良技術として、木質繊維がバインダーにより結合され、表面部に厚さ2.5mm以下の表面層を有し、表面層の密度が1.0g/cm以上である木質繊維集積板が提案されている(特許文献2参照)。この技術は、遊技盤としての釘打ち性と釘保持性を改良するために提案された技術であるが、バインダーとして従来のメラミン樹脂等を採用するため、これを家具や建築資材に適用しようとしても、作業環境の汚染、作業者への健康障害、さらには使用時のホルムアルデヒド含有物質の揮発によるシックハウス症候群を引き起こすなどの問題があった。また、上述の熱硬化性樹脂は石油を原料とするものであり、環境への負荷が少なくないというような問題があった。
特開2004-130796号公報(請求項1) 特開2004-155161号公報(請求項1、請求項2、第0030段落)
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、天然由来原料、特に植物由来原料を用いることにより環境への負荷を低減することができる上に、机天板や床材、及び遊技機部材などとして用いられる際の表面硬度に優れた繊維系ボード、及びその製造方法を提供せんとするものである。
すなわち本発明は、平均繊維長5〜100mmの天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物であって、表層に見かけ密度0.8〜1.1g/cm3の天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物を積層してなり、積層した全体の平均見かけ密度が0.4〜0.75g/cm3であることを特徴とする繊維系ボード
の表面に、ポリ乳酸樹脂からなる樹脂層を有する、樹脂層付きの繊維系ボードである。
また本発明は、本発明の繊維系ボードを用いて構成されていることを特徴とする家具である。
また本発明は、本発明の繊維系ボードを用いて構成されていることを特徴とする遊技機である。
また本発明は、ポリ乳酸繊維の短繊維と平均繊維長5〜100mmの天然繊維の短繊維とを混合して得られた布状物に、見かけ密度0.8〜1.1g/cmの繊維系ボードを積層し、加熱した後圧縮するかまたは加熱と圧縮を同時に行うことを特徴とする繊維系ボードの製造方法である。
また本発明は、ポリ乳酸繊維の短繊維と平均繊維長5〜100mmの天然繊維の短繊維とを混合して得られた布状物に、見かけ密度0.8〜1.1g/cmの繊維系ボード並びにポリ乳酸からなるフィルム及び/又はポリ乳酸を40〜100質量%含む不織布を積層し、加熱した後圧縮するかまたは加熱と圧縮を同時に行うことを特徴とする樹脂層を有する繊維系ボードの製造方法である。

本発明によれば、天然由来原料、特に植物由来原料を用いることにより環境への負荷を低減することができる上に、机天板や床材、及び遊技機部材などとして用いられる際の表面硬度に優れた繊維系ボードを提供することができる。
本発明の繊維系ボードは、天然繊維を用いる。天然繊維を用いることにより、環境への負荷を低減することができる。
本発明で用いる天然繊維としては、セルロース系繊維であることが繊維系ボードとしての強度を得る上で好ましい。セルロース系繊維には、木質系や草本系のものがある。できるだけ繊維長の長いセルロース系繊維を用いることにより、補強材としての効果を高めることができる。より具体的には、木材パルプ、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ類等のイネ科植物パルプ、木綿、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュート、ヘンプ等の靭皮繊維、サイザルアサおよびマニラアサ等の葉脈繊維等からなる群から選ばれる1種以上からなる繊維が含まれていることが好ましい。これらのうちでも、比較的繊維長が長く、一年草であって熱帯地方および温帯地方での成長が極めて早く容易に栽培できる草本類に属するケナフあるいはジュートから採取される天然繊維を採用することにより、優れた強度を得ることができる。特に、ケナフの靭皮にはセルロース分が60重量%以上と高い含有率で存在しており、かつ高い強度を有していることから、ケナフ靭皮から採取されるケナフ繊維を用いることが好ましい。
本発明では、かかる天然繊維の短繊維として、好ましくは繊維長が5〜100mmの範囲の一定の繊維長の短繊維を含ませることにより、優れた表面硬度を得ることが可能となる。短繊維の繊維長を5mm以上とすることにより、家具や床材として必要な表面硬度を得ることができる。短繊維の繊維長が5mmを下回ると、上記用途において必要とされる表面硬度を得ることができない。一方、短繊維の繊維長が100mmを超えると、繊維系ボードの製造において、短繊維とポリ乳酸樹脂とを均一に分散させることが困難となり、生産性が低下すると共に表面硬度が不均一となり、部分的に表面硬度が低下するおそれがある。
また、本発明では上述の天然繊維を結合させるための接着剤(結合材)として、ポリ乳酸樹脂を含ませる必要がある。これにより、表面硬度、及び切削加工性に優れた繊維系ボードを得る。また、ポリ乳酸樹脂は、非石油系原料、すなわちトウモロコシなどの植物を原料とするものであり、製造工程においても石油系の溶剤をほとんど使用しないために、繊維系ボードの製造、使用および廃棄の段階を、全体で考えたとき、環境への負荷を極めて少なくすることができるものである。また、ポリ乳酸樹脂は、生分解性プラスチックの中でも強度が高く、融点が170℃程度と適度な耐熱性を有するとともに、成形性に優れ、他の天然繊維や木質系材料との接着性も優れているという利点を有する。
かかるポリ乳酸樹脂には、ポリ乳酸ホモポリマーの他、乳酸コポリマーおよびブレンドポリマー等の乳酸系ポリマーが含まれる。乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは5〜50万であるのがバインダー効果の観点から好ましい。また、ポリ乳酸樹脂におけるL-乳酸単位とD-乳酸単位の構成モル比L/Dは、100/0〜0/100の範囲のものを使用することができるが、高い融点を得るには、L乳酸あるいはD乳酸のいずれかの単位を75モル%以上、さらに高い融点を得るには、L乳酸あるいはD乳酸のいずれかの単位を90モル%以上含むものであることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂の平均分子量としては、重量平均分子量で5〜50万が、繊維系ボードとしての優れた表面硬度を得るために好ましい。
また、本発明で用いられるポリ乳酸樹脂には、カルボジイミド化合物を添加することが好ましい。乳酸系ポリマーまたはこれに含まれるオリゴマーの反応活性末端をカルボジイミド化合物で封鎖することにより、乳酸系ポリマー中の反応活性末端を不活性化し、ポリ乳酸系樹脂の加水分解を抑制することができるのである。ポリ乳酸の反応活性末端を不活性化することで、高温や高湿環境下での使用においても劣化しにくい繊維系ボードを提供することが可能となる。カルボジイミド化合物としては例えば、ジイソシアネート化合物を重合したものが好適に用いられ、中でも、4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの重合体やテトラメチルキシリレンカルボジイミドの重合体やその末端をポリエチレングリコールなどで封鎖したカルボジイミド化合物が好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、その全質量に対して0.1〜20質量%の結晶核剤を含有するものであることが好ましい。結晶核剤により、結合材であるポリ乳酸の結晶核の形成を促進させることができ、繊維系ボードの表面硬度を向上させることができる。かかる結晶核剤としては、ポリ乳酸樹脂中に均一に分散し、効率良く結晶核を形成できる点で、特にタルクが好ましい。
またタルクの組成の詳細としては、焼成後の灰分においてSiOとMgOとの合計の割合が93質量%以上のものである挙げることができる。
タルクの平均粒径としては0.5〜7μmが好ましい。このような粒径のタルクを用いることにより、ポリ乳酸樹脂からなる繊維にタルクを混入させる場合においても、該繊維中にタルクを均一に分散させることができ、効率良く結晶核が形成されると同時に、その製糸工程においても安定して繊維化することができる。
本発明で使用する結晶核剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の繊維系ボードは、天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物の少なくとも表面層の見かけ密度が0.6〜1.1g/cmであることが重要であり、より好ましくは0.8g/cm以上である。0.6g/cm以上とすることで、優れた表面硬度を得ることができ、より厳しい表面硬度を要求される机天板や床材などの最表面に本発明の繊維系ボードを適用することが可能となる。また、切削加工性が向上し、ルーター加工やドリル加工時のバリが抑制でき、特に曲線形状の切削加工が必要となるパチンコ機の盤面や木枠、パチスロ機の筐体などの遊技機部材として用いることが可能となる。一方、見かけ密度が1.1g/cmを超えると、一般的な圧縮成形装置を用いての製造が困難となり、ボードの厚み斑などにより均一な表面硬度が得られないおそれがある。
また、本発明の繊維系ボードとしては、天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物の表面に、天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物であって見かけ密度が0.8〜1.1g/cmの混合物を積層してなり、積層した全体の平均見かけ密度が0.4〜0.75g/cmであるものも好ましい。かかる態様を採用することにより、軽量で、かつ、表面硬度や切削加工性の高い繊維系ボードを得ることができる。また、積層した全体の平均見かけ密度が0.4g/cmを下回ると繊維系ボードの強度が低下し、家具や床材として用いた際に破損するおそれがあるため好ましくない。一方、全体の平均見かけ密度が0.75g/cmを超えると上記の軽量性が失われるため好ましくない。
上記の態様における、表面に積層する見かけ密度が0.8〜1.1g/cmの混合物(表面層)の厚さとしては、0.5〜5mmであることが優れた表面硬度と軽量性を得る上で好ましい。前記表面層の厚さが0.5mmを下回ると、繊維系ボードの表面硬度や切削加工性の向上効果が失われる可能性がある。一方、前記表面層の厚さが5mmを超えると、軽量性が低下するため好ましくない。見かけ密度の定義・測定方法については、実施例にて後述する。
本発明の繊維系ボードは、その表面層にポリ乳酸樹脂からなる樹脂層を有することが好ましい。そうすることにより、繊維系ボードの表面硬度、及び切削加工性を向上させることができる。また、環境負荷の少ない繊維系ボードを得ることができる。上述のとおり、ポリ乳酸樹脂は植物由来の生分解性プラスチックの中でも比較的強度が高く、このポリ乳酸樹脂を表面に配することで、繊維系ボードの表面硬度を向上させることができる。更に、ポリ乳酸樹脂がボード表面の繊維同士を強固に拘束させ、繊維の分繊によるバリを抑制し、切削加工性を向上させることができる。
本発明の繊維系ボードは、その構成成分の90質量%以上が、天然由来原料で構成されるものであることが、環境負荷低減の観点から好ましい。さらには、ポリ乳酸樹脂やセルロース系繊維等の植物由来原料のみからなる繊維系ボードであることが、環境負荷低減の観点から特に好ましい。
本発明の繊維系ボードは、JIS K5400−1990に準拠して測定される鉛筆引っかき値(試験機法)がB以上であることが好ましく、更に厳しい表面硬度に用いるに当たっては、2H以上の表面硬度を有することが好ましい。
次に、本発明の繊維系ボードを得るための好ましい製造方法について述べる。
本発明の繊維系ボードの製造方法においては、ポリ乳酸繊維の短繊維と平均繊維長5〜100mmの範囲内の天然繊維の短繊維とを混合布状物とする。ポリ乳酸樹脂として短繊維状のものを採用することにより、ポリ乳酸樹脂と天然繊維との均一に分散させることができ、均一な表面硬度と切削加工性を有する繊維系ボードを得ることができる。粉体状やペレット状のポリ乳酸樹脂を用いた場合、天然繊維の短繊維とポリ乳酸樹脂との比重差により、表面硬度や切削加工性に片寄りが生じることがあるので、かかる観点からも短繊維とするのがよい。
ポリ乳酸繊維の短繊維と天然繊維の短繊維とを混合したものを布状物とするには例えば、周知のローラーカードなどを用いて混合して不織布とすることができる。
布状物を積層し、成形、一体化させるという簡易的な工程で、効率よく繊維系ボードを得ることが可能となる。
本発明の繊維系ボードにおいて天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物の表面に、天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物であって見かけ密度が0.8〜1.1g/cmの混合物を積層してなり、積層した全体の平均見かけ密度が0.4〜0.75g/cmである態様とする場合には、見かけ密度が0.8〜1.1g/cmの高密度繊維系ボードを、前記布状物の上面及び/又は下面に積層することにより、効率的に表面硬度、及び切削加工性の高い繊維系ボードを得ることができる。
また、本発明の繊維系ボードにおいてさらに表面にポリ乳酸樹脂からなる樹脂層を有する態様とする場合は、上記の布状物と、ポリ乳酸からなるフィルム及び/又は、ポリ乳酸を40〜100質量%含む不織布を、前記布状物の上面及び/又は下面に積層することにより、効率的に表面硬度、及び切削加工性の高い繊維系ボードを得ることができる。
積層した布状物等に対して、加熱した後圧縮するか、または加熱と圧縮を同時に行うことにより、効率的に、かつ、均一な表面硬度を有する繊維系ボードを得ることができる。
以下、実施例によって本発明の繊維系ボートについて、更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
[測定方法]
(1)平均繊維長
JIS A 1015:1999 8.4.1 a)ステープルダイヤグラム法(A法)に準じて測定した。
試料を800mg量り取り、ステープルダイヤグラムを作成し、図記したステープルダイヤグラムを50の繊維長群に等分し、各区分の境界及び両端の繊維長を測定し、両端繊維長の平均に49の境界繊維長を加えて50で除し、平均繊維長(mm)を算出し、2回の平均値をとった。
(2)繊維系ボード全体の見かけ密度
JIS A 5905:2003 6.3に準じて測定した。
繊維系ボードを温度20℃、湿度65%RHの標準状態にて24hr放置後、10cm×10cmの試験片を3枚切り出した。
1枚の試験片について、上記規定中図5に示す測定箇所の幅、長さ及び厚さを測定し、それぞれについての平均値を求め試験片の幅、長さ及び厚さとし、体積(v)を求めた。次に、質量(m)を測定し、次式によって算出した。厚さは0.05mm、幅及び長さは0.1mm、質量は0.1gの精度まで測定し、密度は0.01g/cm単位まで算出した。
1枚の試験片ごとに密度を求めた上で、3枚の試験片の平均値を求めた。
密度(g/cm)=m/v
ここに、m:質量(g)
v:体積(cm)。
(3)表面層の見かけ密度
繊維系ボードの表側の表面から厚み2mmで測定対象部分を切り出し、そこから10cm×10cmの試験片を3枚切り出した。以降は上記(1)と同様にして、質量及び体積から見かけ密度を求めた。
厚み2mmで見かけ密度が0.6g/cm未満である場合には、繊維系ボードの表側の表面から厚み1mmで測定対象部分を切り出し、以降は前段と同様にして、見かけ密度を求めた。
(4)表面硬度
JIS K 5600−5−4:1996「塗料一般試験方法―塗膜の機械的性質―引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して測定した。
鉛筆には三菱鉛筆株式会社製ユニ(登録商標)を用い、鉛筆の円柱状のしんをそのままに残して木部だけをけずり取り、鉛筆を研磨紙上に垂直にあてて前後に動かして、しんの先端を平らにした。
上記規格の6.1の規定に準じた装置を用い、温度20℃、湿度65%RHの環境下で、荷重1kgf(9.8N)、引っ掻き速度30mm/secの条件で、柔らかい硬度の鉛筆から2回ずつ測定し、塑性変形または凝集破壊のいずれかによる欠陥が確認される硬度を求めた。
(5)切削加工性
繊維系ボードを温度20℃、湿度65%RHの標準状態にて24hr放置後、45cm×45cmの試験片を切り出した。
上記試験片をNCルーター加工機に設置し、ストレートビット(2枚刃、軸径16mm、刃径15.6mm、全長90mm、刃長25mm)を用いて回転数18000rpm、送り速度6m/min、切込み深さ8mmの条件で切削加工を行い、ボードの切削端部のバリの発生状況を目視観察し、下記の判定基準で判定した。
○: バリの発生は無い。
△: 微少ではあるがバリの発生が確認される。
×: バリの発生が確認される。
[実施例1]
(ポリ乳酸繊維)
ポリ乳酸樹脂を230℃の温度で溶融紡糸し、スタッフィングボックスに挿入して捲縮付与後、カットして、単繊維繊度6.6dtex、平均繊維長51mmのポリ乳酸繊維を得た。
(天然繊維)
平均繊維長75mmのケナフの靭皮繊維を用いた。
(不織布)
上記のポリ乳酸繊維とケナフ靭皮繊維とを30:70の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して不織布を得た。
(積層・成形)
上記の不織布を13層積層し、目付13550g/mの積層体とした。この積層体を2枚の鉄板の間に18mmのスペーサーと共に挟み、プレス機にて200℃の加熱下、2.4MPaの加圧下、50分間加熱加圧成形を行った。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボードの単位面積あたりの質量は12845g/m、厚さは18.4mm、ボード全体の見かけ密度は0.68g/cm、表面層(表層厚さ2.0mm)の見かけ密度は0.71g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、他の実施例に比べると切削加工性にやや劣るが、表面硬度に優れるものであった。
[実施例2]
(ポリ乳酸繊維・天然繊維・不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(積層・成形)
上記の不織布を16層積層し、目付16200g/mの積層体とした。この積層体を実施例1と同様の方法にて加熱加圧成形を行った。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボードの単位面積あたりの質量は15280g/m、厚さは18.6mm、ボード全体の見かけ密度は0.84g/cm、表面層(表層厚さ2mm)の見かけ密度は0.88g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、表面硬度、及び切削加工性に優れるものであった。
[実施例3]
(ポリ乳酸繊維・天然繊維・不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(表層用シート)
上記の不織布を2層積層し、目付2160g/mの積層体とした。この積層体を2枚の鉄板の間に2mmのスペーサーと共に挟み、プレス機にて200℃の加熱下、2.4MPaの加圧下、10分間加熱加圧成形を行った。
得られた繊維系ボードの単位面積当たりの質量は2080g/m、厚さは2.4mm、見かけ密度は0.85g/cmであった。
これを表層用シートとして用いた。
(積層・成形)
上記の不織布を7層積層し、目付7530g/mの積層体とした。この積層体に上記表層用シートを上載し、実施例1と同様の方法にて加熱加圧成形を行った。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボード全体の見かけ密度は0.50g/cm、表面層(表層厚さ2mm)の見かけ密度は0.85g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、表面硬度、及び切削加工性に優れるものであった。
[実施例4]
(ポリ乳酸繊維・天然繊維・不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(表層用シート)
ポリ乳酸樹脂からなるフィルム(厚さ200μm)を、表層用シートとして用いた。
(積層・成形)
上記の不織布を13層積層し、目付13230g/mの積層体とした。この積層体に上記表層用シートを上載し、実施例1と同様の方法にて加熱加圧成形を行った。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボードの単位面積当たりの質量は12830g/m、厚さは18.4mm、ボード全体の見かけ密度は0.69g/cm、表面層(表層厚さ2mm)の見かけ密度は0.75g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、表面硬度、及び切削加工性に優れるものであった。
[実施例5]
(ポリ乳酸繊維・天然繊維・不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(不織布その2)
上記のポリ乳酸繊維とケナフ靭皮繊維とを50:50の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して不織布を得た。
これを表層用シートとして用いた。
(積層・成形)
上記の不織布を12層積層し、目付12050g/mの積層体とした。この積層体に上記表層用シートを上載し、実施例1と同様の方法にて加熱加圧成形を行った。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボードの単位面積当たりの質量は13210g/m、厚さは18.6mm、ボード全体の見かけ密度は0.71g/cm、表面層(表層厚さ2mm)の見かけ密度は0.77g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、表面硬度、及び切削加工性に優れるものであった。
[比較例1]
(ポリ乳酸繊維)
ポリ乳酸樹脂を230℃の温度で溶融紡糸し、スタンフィングボックスに挿入して捲縮付与後、カットして、単繊維繊度6.6dtex、平均繊維長51mmのポリ乳酸繊維を得た。さらにこのポリ乳酸繊維を、5mm径のスクリーンを有する破砕機に投入し、平均繊維長4mmのポリ乳酸繊維の短繊維を得た。
(天然繊維)
平均繊維長75mmのケナフの靭皮繊維を用意した。このケナフ靭皮繊維を5mm径のスクリーンを有する破砕機に投入し、平均繊維長4mmのケナフ靭皮繊維を得た。
(混合)
上記ポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維とを30:70の重量比でハンマーミルに投入し、混合して前記原料の混合物を得た。
(フォーミング)
上記混合物を離型シートの上にフォーミングした。
(成形)
上記混合物をフォーミングしたものを、実施例1と同様の方法にて加熱加圧成形した。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボードの単位面積当たりの質量は13210g/m、厚さは18.4mm、ボード全体の見かけ密度は0.71g/cm、表面層(表層厚さ2mm)の見かけ密度は0.76g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、実施例の繊維系ボードに比べ表面硬度、及び切削加工性に劣るものであった。
[比較例2]
(ポリ乳酸繊維・天然繊維・不織布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(積層・成形)
上記の不織布を10層積層し、目付10100g/mの積層体をとした。この積層体を実施例1と同様の方法にて加熱加圧成形した。
(繊維系ボード)
得られた繊維系ボードの単位面積当たりの質量は9680g/m、厚さは18.1mm、ボード全体の見かけ密度は0.52g/cm、表面層(表層厚さ2mm)の見かけ密度は0.55g/cmであった。得られた繊維系ボードの特性を表1に示す。この繊維系ボードは、実施例の繊維系ボードに比べ表面硬度、及び切削加工性に劣るものであった。
Figure 0004940992
本発明の繊維系ボードは、表面硬度が必要とされる用途、例えば机天板、椅子などに代表される家具や、床材、壁材などに代表される建築資材、及びそれらの化粧版、並びにパチンコ機の盤面や木枠、パチスロ機の筐体などの遊技機部材として好適に用いられる。特に、机天板用途、又は遊技機部材用途に用いた際にその機能を十分に発揮する。

Claims (8)

  1. 平均繊維長5〜100mmの天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物であって、表層に見かけ密度0.8〜1.1g/cmの天然繊維とポリ乳酸樹脂との混合物を積層してなり、積層した全体の平均見かけ密度が0.4〜0.75g/cmであることを特徴とする繊維系ボード
    の表面に、ポリ乳酸樹脂からなる樹脂層を有する、樹脂層付きの繊維系ボード
  2. 前記天然繊維がセルロース系繊維である、請求項1記載の樹脂層付きの繊維系ボード。
  3. 前記ポリ乳酸樹脂が結晶核剤を含むものである、請求項1または2記載の樹脂層付きの繊維系ボード。
  4. 前記表層に積層した混合物の厚さが0.5〜5mmである、請求項1〜3いずれかに記載の樹脂層付きの繊維系ボード。
  5. JIS K5400−1990に準拠して測定される鉛筆引っかき値(試験機法)が2H以上である、請求項1〜のいずれか記載の樹脂層付きの繊維系ボード。
  6. 請求項1〜のいずれか記載の樹脂層付きの繊維系ボードを用いて構成されていることを特徴とする家具。
  7. 請求項1〜のいずれか記載の樹脂層付きの繊維系ボードを用いて構成されていることを特徴とする遊技機。
  8. ポリ乳酸繊維の短繊維と平均繊維長5〜100mmの天然繊維の短繊維とを混合して得られた布状物に、見かけ密度0.8〜1.1g/cmの繊維系ボード並びにポリ乳酸からなるフィルム及び/又はポリ乳酸を40〜100質量%含む不織布を積層し、加熱した後圧縮するかまたは加熱と圧縮を同時に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂層付きの繊維系ボードの製造方法。
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