JP2007210224A - 繊維系ボード - Google Patents

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Abstract


【課題】
植物由来原料を用いることにより環境への負荷を低減できるとともに、建材用断熱材として断熱性及び強度に優れた繊維系ボードを提供する。
【解決手段】
本発明の繊維系ボートは、平均繊維長が5〜100mmの範囲内の天然繊維に、バインダとしてポリ乳酸系樹脂が混在し、かつ、その見かけ密度が0.1〜0.5g/cmの範囲内にあるものである。
【選択図】なし

Description


本発明は、植物由来原料を用いることにより大気中のCO濃度増加の抑制、石油可採年数延長などの環境に優しいメリットを有するとともに、住居、高層ビル、保温倉庫などの建材用断熱材として用いられる断熱性及び強度に優れた繊維系ボードに関するものである。

従来から、建築、産業資材などに使用される断熱材としては、鉱物由来材料であるアスベスト、ガラス繊維から成るグラスウールなどの無機繊維や、スチロール樹脂を原料とした発泡プラスチック等が多く用いられてきた。また近年では、植物系廃棄物と石油系のバインダを熱圧縮することで得られる繊維ボード、いわゆるインシュレーションボードなども断熱材として提案されている。
しかしながら、上述の無機繊維は、鉱物やガラスの極細繊維が用いられていることから、現在、作業環境の汚染、作業者、使用者への健康障害、さらには廃棄処理の困難性が問題となっている。また、上述のインシュレーションボードは、石油を原料とするバインダを用いるので、ホルムアルデヒド含有物質の揮発によるシックハウス症候群を引き起こすなどの問題があり、さらには、石油を原料とすることから環境への負荷が少なくないというような問題があった。
このような従来技術の問題点に対して、近年では、天然繊維にバインダとして植物由来のポリ乳酸が混在した繊維系ボードが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このボードは天然繊維とポリ乳酸を使用し、環境負荷が少ないという効果を有するものの、この文献にて規定されている見かけ密度が0.2g/cm以上では優れた断熱性は得られない。
一方、断熱性向上ボードとして、植物廃棄物がバインダにより結合された連続気泡を有する植物廃棄物系繊維ボードが提案されている(例えば特許文献2参照)。本文献は見かけ比重が0.6以下との記載があるものの、比重と断熱性の関係が不明瞭である。また、バインダとしてポリビニルアルコール等を含むため、作業環境の汚染、作業者、使用者への健康障害、さらには使用時のホルムアルデヒド含有物質の揮発によるシックハウス症候群を引き起こし、さらには石油由来であるがゆえに環境への負荷が少なくないというような問題があった。
特開2004−130796号公報(請求項1) 特開平11−209626号公報(請求項1,第0004段落)

本発明の目的は、かかる従来技術の欠点に鑑み、植物由来原料を用いることにより環境への負荷を低減でき、尚且つ建材用断熱材として断熱性及び強度に優れた繊維系ボードを提供することにある。

本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。
(1)平均繊維長が5〜100mmの範囲内の天然繊維に、バインダとしてポリ乳酸系樹脂が混在し、かつ見かけ密度が0.1〜0.5g/cmの範囲内である繊維系ボード。

(2)JIS A 5905(2003)に基づいて測定された曲げ強さが50〜2500N/cmの範囲内である前記(1)に記載の繊維系ボード。
(3)天然繊維がセルロース系繊維である(1)又は(2)に記載の繊維系ボード。
(4)JIS A 1420(1999)に基づいて測定される熱貫流抵抗が0.050m・K/W以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維系ボード。
(5)前記熱貫流抵抗が0.100m・K/W以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維系ボード。
(6)内部に内径が0.01〜0.5mmの範囲の孔を有する多孔質構造である(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維系ボード。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維系ボードを用いた断熱材。
(8)(7)に記載の断熱材を建材用に用いた断熱材。

本発明の繊維系ボードによれば、植物由来原料を用いることにより環境への負荷を低減できるとともに、繊維系ボードのケナフ繊維の平均繊維長を5〜100mmの範囲内とし、見かけ密度を0.1〜0.5g/cmの範囲内にすることで、ボード内に多くの空隙を有する多孔質構造となるので、建材用断熱材として断熱性及び強度に優れた繊維系ボードを提供できる。

以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の繊維系ボードは、平均繊維長が5〜100mmの範囲内の天然繊維に、バインダとしてポリ乳酸系樹脂が混在し、見かけ密度が0.1〜0.5g/cmの範囲内にあることに特徴を有し、本発明者らは、これらの条件を全て満足させることにより、環境への負荷を低減できると同時に、建材用断熱材として断熱性及び強度に優れた繊維系ボードが得られることを見出した。
本発明の繊維系ボードを構成する天然繊維としては、石油由来原料の使用比率を低減させ環境負荷を軽減する観点から、例えばセルロース系繊維、獣毛繊維、金属系繊維、鉱物系繊維などが挙げられ、中でも熱伝導率が低く、かつ、CO削減及び環境への負荷がより少ないという観点からセルロース系繊維が好ましい。よって、従来の石油を原料としたポリエステル短繊維やナイロン短繊維は、上記の観点より好ましくない。
セルロース系繊維としては、例えば、木質系や草本系のセルロース系繊維が好ましい。その中でもできるだけ繊維長の長いセルロース系繊維を用いることにより、補強材としての効果を高めることができ、強度の高い繊維系ボードを得ることができる。具体的には、木材パルプ、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ類等のイネ科植物、パルプ、木綿、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュート、ヘンプ、まお等の靭皮繊維、サイザルアサおよびマニラアサ等の葉脈繊維等から選ばれる1種以上の繊維が含まれていることが好ましい。これらのうちでも、比較的繊維長が長く、一年草であって熱帯地方及び温帯地方での成長が極めて早く容易に栽培できる草本類に属するケナフあるいはジュートから採取される繊維を採用することにより、優れた強度を得ることができる。特に、ケナフの靭皮にはセルロースが60%以上と高い含有率で存在しており、かつ高い強度を有していることから、ケナフ靭皮から採取されるケナフ繊維を用いることが好ましい。
本発明者らは、本発明の繊維系ボードの天然繊維を一定の平均繊維長の短繊維で構成することにより、優れた強度の繊維系ボードを得ることが可能となることを見出した。このような短繊維の平均繊維長としては、5mm以上100mm以内とすることにより、断熱材施工時の施工性や搬送性、また使用時の耐久性を満足するに必要な強度の繊維系ボードが得られる。ここで平均繊維長が5mmを下回ると、上記用途において必要とされる強度を得ることができない。一方、短繊維長が100mmを超えると、繊維系ボードの製造工程において、短繊維とポリ乳酸樹脂とを均一に分散させることが困難となり、生産性が低下すると共に強度が不均一となり、部分的に強度が低下する恐れがある。このような平均繊維長の単繊維は、繊維長が10mm以上の場合は例えば、ロータリーカッター等を用いて切削でき、繊維長が10mm以下の場合はハンマーミル等を用いて切削することで容易に得られる。
また、施工時の搬送性、使用時の耐久性を満足するに必要な強度としては、JIS A 5905(2003)に準拠して測定される曲げ強さが50〜2500N/mの範囲内にあるのが好ましい。曲げ強さが50N/mを下回ると使用時の耐久性を満足するに必要な強度が得られない。一方、2500N/mを超えるボードを得るためには、ボード密度を高くする必要があり、必然的に空隙が低下し、厳しい断熱性が要求される建材用断熱材を満足する断熱性能が得られない恐れがあるからである。このような曲げ強さ範囲の繊維系ボードを得るには、例えば不織布目付が300〜6000g/mの積層体を加熱加圧成形することにより得られる。
また、上記の短繊維を相互に結合させ、繊維系ボードとするための接着剤(結合剤)として、ポリ乳酸系樹脂を短繊維間に含ませる必要がある。これにより、強度に優れた繊維系ボードを得ることができると同時に、石油系原料の使用比率を低下させ、環境負荷を低減できる。ポリ乳酸系樹脂は、非石油系原料、すなわちトウモロコシなどの植物を原料とするものであり、製造工程においても石油系の溶剤をほとんど使用しないために、繊維系ボードの製造、使用および廃棄の各段階を全体で考えたとき、環境への負荷を少なくすることができるものである。また、ポリ乳酸樹脂は、生分解性プラスチックの中でも強度が高く、融点が170℃程度と適度な耐熱性を有すると共に、成形性に優れ、他の天然繊維や木質系材料との接着性も優れている。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂には、ポリ乳酸ホモポリマーの他、乳酸コポリマーおよびブレンドポリマー等の乳酸系ポリマーが含まれている。乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、一般に5〜50万である。また、ポリ乳酸樹脂におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位の構成モル比L/Dは、100/0〜0/100のいずれであっても良いが、高い融点を得るにはL乳酸あるいはD乳酸のいずれかの単位を90モル%以上含むことが好ましい。
また、ポリ乳酸系樹脂には、カルボジイミド化合物を添加することが好ましい。乳酸系ポリマーまたはこれに含まれるオリゴマーの反応活性末端を不活性化し、ポリ乳酸系樹脂の加水分解を抑制するものである。従って、高温や高湿環境下で使用された場合に劣化しにくい繊維系ボードを得るために好適なポリ乳酸樹脂を得ることが可能となる。
ここで言うカルボジイミド化合物は、例えば、ジイソシアネート化合物を重合したものが好適に用いられるが、中でも4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドの重合体やテトラメチルキシリレンカルボジイミドの重合体やその末端をポリエチレングリコールなどで封鎖したカルボジイミド化合物が好ましく用いられる。
また、本発明のポリ乳酸樹脂の全重量に対して0.1〜20重量%の結晶核剤を含有させることにより、結合剤であるポリ乳酸の結晶核の形成を促進させ、繊維系ボードの強度を向上することができる。結晶核剤としては、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを用いることができ、本発明で使用する結晶核剤としては、ポリ乳酸樹脂中に均一に分散し、効率良く結晶核を形成できる点で特にタルクが好ましい。タルクの平均粒径としては好ましくは分散性の点から0.5〜7μmであり、例えば燃焼時の損失分を除いた成分中のSiOとMgOの割合が93重量%以上であるタルクを挙げることができる。本発明で使用する結晶核剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。
上述したように、本発明の繊維系ボードは、植物由来のポリ乳酸系樹脂や、好ましくはセルロース系繊維などの一定繊維長の天然繊維を含むものであるが、環境負荷低減の観点から、前記の天然由来原料を90重量%以上含むことが好ましく、植物由来原料のみからなるものがより好ましい。
本発明の繊維系ボードは、見かけ密度が0.1〜0.5g/cmの範囲内であることが、目標とする断熱性を得るために必要である。0.1g/cm以上にすることで内径が0.5mm以下の孔を有する構造体となり、伝熱原因の一つである空気の流れ、いわゆる対流を防止することが可能となる。この場合、0.1g/cmを下回ると内径が0.5以上の孔を有する構造体となり、空気の対流が増加するので好ましくない。一方、見かけ密度を0.5g/cm以下にすることでボード内に実質的に多くの空隙が形成され、断熱材として必要な熱貫流抵抗が得られるとともに、軽量な繊維系ボードを得ることが可能となる。この場合、見かけ密度が0.5g/cmを上回ると必要とする熱貫流抵抗が得られなく、軽量性が失われるため好ましくない。このような観点から更に優れた断熱性を得るには、見かけ密度を0.1〜0.3g/cmの範囲内に、より好ましくは0.2〜0.3g/cmの範囲内に設定する。これにより、より厳しい断熱性を要求される建材用断熱材などに適用することが可能となる。このような範囲の見かけ密度に設定するには、例えば成形前の繊維からなる不織布の目付や積層枚数を調整するとよい。
本発明の繊維系ボードが断熱材として用いられる場合、その熱貫流抵抗は当然高い方が良いが、JIS A 1420(1999)に基づいて測定される熱貫流抵抗が少なくとも0.050m・K/W以上あるとその目的を達することができ、より好ましくは0.100m・K/W以上である。熱貫流抵抗が0.050m・K/Wを下回ると所定の曲げ強度を有していても厳しい断熱性が要求される建材用断熱材などには適用されないので好ましくない。
このような熱貫流抵抗は、繊維系ボードの見かけ密度を前述のように調整する他、繊維系ボードの構造を、0.01〜0.5mmの範囲の内径の孔を有する多孔質構造とすることによっても得られる。
本発明の繊維系ボードの厚さは、10mm以上であることが優れた断熱性を得る点で好ましい。
本発明の繊維系ボードは、その表面層にポリ乳酸樹脂からなる樹脂層を形成させることにより、通気度が減少し、更に断熱性を向上させることができる。上述のとおり、ポリ乳酸樹脂は植物由来の生分解プラスチックの中でも比較的強度が高く、このポリ乳酸樹脂を表面に配することで、繊維系ボードの断熱性を向上させ、かつ高強度な環境負荷の少ない繊維系ボードを得ることができる。
以上に述べた本発明の繊維系ボードは、例えば次の製造方法により、得ることができる。
まず、セルロース系などの天然繊維をロータリーカッターを用いて切削することにより、平均繊維長が5〜100mmの範囲内の天然繊維を得る。次にポリ乳酸系樹脂として長さが51mm程度の短繊維状のものを準備する。そして、上記天然繊維とポリ乳酸短繊維とを混合し、得られた混合物を170〜220℃の温度に加熱した後、0.5〜10MPa程度の圧力で圧縮するか、またはこれら条件で加熱と圧縮を同時に行う。ポリ乳酸樹脂が短繊維状になっているので、ポリ乳酸樹脂と天然繊維とを均一に分散させることができ、この過程で内部構造が0.01〜0.5mmの範囲の均一な内径の孔を有する多孔質構造の繊維系ボードを得ることができる。なお、上記短繊維の天然繊維とポリ乳酸短繊維とを周知のローラーカードなどを用いて混合して不織布の形態を得ることも可能となる。
以上に述べた本発明の繊維系ボードは、住居、高層ビル、保温室などにおける床、壁面、天井などの建材用断熱材として好適に用いることができる。

以下、本発明の繊維系ボードを実施例よって更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
[測定方法]
(1)見かけ密度
JIS A 5905:2003 6.3に準じて測定した。
繊維系ボードを温度20℃、湿度65%RHの標準状態にて24hr放置後、10cm×10cmの試験片を3枚切り出した。
1枚の試験片について、上記規定中図5に示す測定箇所の幅、長さ及び厚さを測定し、それぞれについての平均値を求め試験片の幅、長さ及び厚さとし、体積(v)を求めた。次に、質量(m)を測定し、次式によって算出した。厚さは0.05mm、幅及び長さは0.1mm、質量は0.1gの精度まで測定し、密度は0.01g/cm単位まで算出した。
1枚の試験片ごとに密度を求めた上で、3枚の試験片の平均値を求めた。
密度(g/cm)=m/v
ここに、m:質量(g)
v:体積(cm)。
(2)曲げ強さ
JIS A 5905:2003 6.6に準じて測定した。繊維系ボードから、縦方向および横方向のそれぞれについて、幅50mm、長さ150mmの試験片を3枚ずつ採取した。上記規定に準じた曲げ強さ試験装置に、スパン(L)100mmとして試験片を設置し、スパンの中間位置にて試験片の表面から平均変形速度50mm/分の荷重を加え、その最大荷重(P)を測定し、次式によって曲げ強さを求め、6枚の平均値を算出した。
曲げ強さ(MPa)=3PL/2bt
ここに、P:最大荷重(N)
L:スパン(mm)
b:試験片の幅(mm)
t:試験片の厚さ(mm)。
(3)熱貫流抵抗
JIS A 1420:1999に準じて、校正熱箱法の原理により測定した。
繊維系ボードから幅0.310m、長さ0.480mの試験片を採取した。
恒温室を温度20℃、湿度65%RHに調整し、恒温室内に上記規定中図2に示されるような2つの恒温槽A、Bを有する試験装置(アメフレック(株)製)を設置した。
試験片を、枠内幅0.297m、枠内長さ0.457mの枠に収めて前記試験装置内に設置し、2つの恒温槽間を遮断した。
前記2つの恒温槽A、Bの内、一方の恒温槽Aを温度20℃、湿度65%RHに調整し、もう一方の恒温槽Bを温度−10℃に調整し、温度が安定した後に、恒温槽Aの温度を20℃に保つのに必要な電力量(Wh)を10分間((1/6)h)、3回測定した。この電力量を測定時間((1/6)h)で除したものの3回の平均値をとって試験体通過熱量Q(W)とし、熱貫流抵抗を下式により求めた。
熱貫流抵抗(m・K/W)=(T−T)×S/Q
ここに、T:恒温槽Aの温度(℃)
:恒温槽Bの温度(℃)
S:試験体電熱面積(m)(=枠内幅×枠内長さ)
Q:試験体通過熱量(W) 。
(実施例1)
まず、ポリ乳酸樹脂を溶融紡糸方法で繊維化し、捲縮付与後、ロータリーカッターにより切削して繊度が6.6デシテックスで、平均繊維長が51mmのポリ乳酸短繊維を得た。
一方、平均繊維長が75mmのケナフの靭皮繊維を用意した。このポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維とを30:70の重量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して不織布を得た。そして、この不織布を19層積層し、目付が1799g/mの不織布の積層体を得た。この積層体を2枚の熱板の間に10mmのスペンサーと共に挟み、200℃の温度の加熱下において、プレス機で圧力を2.4MPaとし、かつ10分間の加熱時間で加圧成形を行った。得られた繊維系ボードの重量は、目付けが1764g/mであり、厚さは9.8mmであり、見かけ密度は0.18g/cmであった。
この繊維系ボードに対し、さらに前述の測定方法で熱貫流抵抗と曲げ強さとを測定し、得られた測定値を後述の表1に示した。表1のとおりこの繊維系ボードは、曲げ強さと断熱性に優れたものであった。
(実施例2)
実施例1の不織布を用い、この不織布を32枚積層し、目付が3184g/mの積層体を得た。この積層体を実施例1と同一の方法、条件にて加圧成形し、目付が3131g/mで、厚さが10.1mmで、見かけ密度が0.31g/cmの繊維系ボードを得た。このようにして、得られた繊維系ボードに対し、前述の測定方法で測定し、その測定値を表1に示した。この繊維系ボードも、曲げ強さと断熱性に優れたものであった。
(実施例3)
実施例1の不織布を用い、この不織布を45枚積層し、目付が4762g/mの積層体を得た。この積層体を実施例1と同一の方法、条件にて加圧成形し、目付が4635g/mで、厚さが10.3mmで、見かけ密度が0.45g/cmの繊維系ボードを得た。このようにして、得られた繊維系ボードに対し、前述の測定方法で測定し、その測定値を表1に示した。この繊維系ボードも、曲げ強さと断熱性に優れたものであった。
(比較例1)
実施例1の不織布を用い、この不織布を7枚積層し、目付が658g/mの積層体を得た。
そして、この積層体を実施例1と同一の方法、条件にて加圧成形し、目付が644g/mで、厚さが9.2mmで、見かけ密度が0.07g/cmの繊維系ボードを得た。このようにして、得られた繊維系ボードに対し、同様に測定し、その測定値を表1に示した。この繊維系ボードは断熱性に優れていたが、曲げ強さは16N/cmしかなく、劣るものであった。
(比較例2)
実施例1の不織布を用い、この不織布を59枚積層し、目付が6122g/mの積層体を得た。この積層体を実施例1と同一の方法、条件にて加圧成形し、目付が6032g/mで、厚さが10.4mmで、見かけ密度が0.58g/cmの繊維系ボードを得た。このようにして、得られた繊維系ボードに対し、同様に測定し、その測定値を表1に示した。この繊維系ボードは曲げ強さに優れていたが、熱貫流抵抗が0.04m・K/Wしかなく、断熱性に劣るものであった。
(比較例3)
繊維長75mmのケナフ靭皮繊維を、5mm径のスクリーンを有する粉砕機に投入し、平均繊維長3mmのケナフ靭皮繊維を得た。一方、ポリ乳酸樹脂を実施例1と同様の方法で繊維化し、捲縮付与後カットして繊度が6.6デシテックス、長さが5mmのポリ乳酸短繊維を得た。得られたケナフ靭皮繊維とポリ乳酸短繊維とをそれぞれ70:30の重量比でハンマーミルに投入し、混合して前記原料の混合物を得た。この混合物をベルトコンベアの上にフォーミングし、2枚の鉄板の間に10mmのスペーサーと共に挟み、200℃加熱下のプレス機で圧力2.4MPa、10分間加熱加圧成型を行った。
得られた再生成形材の厚さは10.2mm、密度は0.33g/cmであった。このようにして、得られた繊維系ボードに対し、同様の測定をおこない、その測定値を表1に示した。この繊維系ボードは断熱性に優れていたが、曲げ強さに劣るものであった。
以上の実施例と比較例の値を纏めたのが次の表1である。
Figure 2007210224
なお、この表の総合判定欄において、「◎」印は熱貫流抵抗が0.100m・K/W以上で、かつ、曲げ強さが100N/cmの場合を、「○」印は熱貫流抵抗が0.050m・K/W以上で、かつ、曲げ強さが50N/cmの場合を、「×」印は熱貫流抵抗が0.050m・K/W以下で、又は、曲げ強さが50N/cm以下の場合とした。

本発明の繊維系ボードは建材用途、例えば住居、高層ビル、保温倉庫などの断熱材として好適に用いられる。特に、建材の内装材に用いた際にその機能を十分に発揮する。

Claims (8)

  1. 平均繊維長が5〜100mmの範囲内の天然繊維に、バインダとしてポリ乳酸系樹脂が混在し、かつ見かけ密度が0.1〜0.5g/cmの範囲内である繊維系ボード。
  2. JIS A 5905(2003)に基づいて測定された曲げ強さが50〜2500N/cmの範囲内である請求項1に記載の繊維系ボード。
  3. 天然繊維がセルロース系繊維である請求項1又は2に記載の繊維系ボード。
  4. JIS A 1420(1999)に基づいて測定される熱貫流抵抗が0.050m・K/W以上である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維系ボード。
  5. 前記熱貫流抵抗が0.100m・K/W以上である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維系ボード。
  6. 内部に内径が0.01〜0.5mmの範囲の孔を有する多孔質構造である請求項1〜5のいずれかに記載の繊維系ボード。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の繊維系ボードを用いた断熱材。
  8. 請求項7に記載の断熱材を建材用に用いた断熱材。
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