JPH108588A - 断熱効果に優れた構造壁体 - Google Patents

断熱効果に優れた構造壁体

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JPH108588A
JPH108588A JP15823096A JP15823096A JPH108588A JP H108588 A JPH108588 A JP H108588A JP 15823096 A JP15823096 A JP 15823096A JP 15823096 A JP15823096 A JP 15823096A JP H108588 A JPH108588 A JP H108588A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡易な構造で断熱性に優れ、しかも内外壁間の
断熱空間における通気性を確保することのできる構造壁
体を提供する。 【解決手段】間隔をおいて平行状に対向配置された内外
壁1、2間の断熱空間内5に、前記内外壁1、2と平行
状に1枚ないし複数枚の網状部材3、4が間隔的に装填
配置されてなる。前記内壁1または外壁2とこれに隣接
する網状部材3、4の間隔が5〜20mmであるのが望
ましい。また、前記網状部材3、4の空隙率が50〜9
0%であるのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、家屋やビル等の
建築物の壁部を構成する構造壁体に関し、特に断熱効果
に優れた構造壁体に関する。
【0002】
【従来の技術】家屋やビル等の建築物の外郭を構成する
壁体が断熱性に欠けるものであると、熱エネルギーが貫
流し易く居住性能を悪化させる。このため、一般には、
内外壁の二重構造にしてその間に断熱空間を形成すると
ともに、この空間内にさらにガラスウール等の各種断熱
材を充填して断熱性を増大することが行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の壁体では、使用断熱材の量が多くならざるを得ずコ
スト高につくのみならず、断熱空間内が断熱材で充填さ
れるため通気性が悪くなり、このため水分や湿気等の逃
げ場が不十分となり、断熱材や内外壁に結露を生じてこ
れらを早期に腐食させるとか、かびが発生する等の欠点
があった。
【0004】この発明は、このような技術的背景に鑑み
てなされたものであって、簡易な構造で断熱性に優れ、
しかも内外壁間の断熱空間における通気性を確保するこ
とのできる構造壁体の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、内外壁間の密閉状断熱空間内に内外壁
と平行状に網状部材を配置することにより、優れた断熱
性を確保できることの知見に基いてなされたものであ
る。
【0006】即ち、この発明は、間隔をおいて平行状に
対向配置された内外壁間の断熱空間内に、前記内外壁と
平行状に1枚ないし複数枚の網状部材が間隔的に装填配
置されてなることを特徴とする断熱効果に優れた構造壁
体を要旨とするものである。
【0007】このような構造壁体は、内外壁の間の断熱
空間が網状部材によって厚さ方向に複数の空気層に分割
されるとともに、これら空気層内の空気は網状部材から
の逃げが抑制され、空気層内で滞留する結果、断熱空間
内の断熱性がより増大したものとなっている。従って、
多量の断熱材を使用することなく、安価な網状部材を追
加するだけの簡便な構造で、断熱性に優れた構造壁体と
なる。また、網状部材はその横断方向の通気性を有する
ため、断熱空間の幅方向の通気性はこれが妨げられるこ
とはなく、しかも網状部材が内外壁と平行状に配置され
ていることにより断熱空間を縦断する方向の通気性も妨
げられることはなく、従って断熱空間全体の通気性が確
保される。
【0008】好ましくは、前記内壁または外壁とこれに
隣接する網状部材の間隔は5〜20mmに設定されるの
が、より効率的な断熱効果を発揮させることができる点
から推奨される。
【0009】また、網状部材の空隙率は50〜90%に
規定されるのが、良好な通気性と断熱性を兼ね備えたも
のとなし得る点で望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】図1及び図2はこの発明に係る構
造壁体の一実施形態を示すものである。これらの図にお
いて、(1)(2)は所定間隙を隔てて平行状に対向配
置された公知構成の内壁と外壁であり、(3)(4)は
これら内外壁の間の断熱空間(5)に、内外壁(1)
(2)に対して平行状に近接配置された2枚の網状部材
である。これらの網状部材(3)(4)は、内外壁間の
外周部に配置された図示しない枠部材にその周縁を固定
されている。従って、内壁(1)と内側網状部材(3)
との間、及び外壁(2)と外側網状部材(4)との間、
及び内外網状部材(3)(4)の間には、それぞれ所定
厚さの空気層(6)(7)(8)が形成されている。
【0011】前記網状部材(3)(4)は、断熱空間
(5)の通気性を阻止することなく該空間の断熱性のさ
らなる増大を図るためのものである。即ち、網状部材
(3)(4)の存在により、空気層(6)(7)(8)
内の空気は網状部材(3)(4)からの逃げが抑制され
て、空気層内に滞留し、もって断熱効果を発揮する。而
して、前記各空気層(6)(7)(8)の厚さ、特に内
外壁(1)(2)とこれに隣接する網状部材(3)
(4)との間の空気層(6)(7)の厚さ、換言すれば
内壁(1)または外壁(2)とこれに隣接する網状部材
(3)(4)の間隔L1、L2 が40mmを超えると断
熱効果に乏しくなるため、間隔L1 、L2 は40mm以
下に設定されるのが望ましい。特に好ましくは30mm
以下、最も好ましくは20mm以下とするのが良い。一
方、内外壁(1)(2)と網状部材(3)(4)とが接
近し過ぎても空気層(6)(7)の厚さが薄くなるため
断熱効果が低下する。従って、前記間隔L1 、L2 は少
なくとも5mm以上確保するのが望ましく、特に10m
m以上確保するのが良い。なお、2枚以上の網状部材を
用いた場合、網状部材相互間の間隔は特に限定されるこ
とはない。
【0012】また、前記網状部材(3)(4)の空隙率
つまり網状部材の単位面積に占める空隙部の割合が大き
いと、網状部材が存在しないのと同じ状態となり、空気
層(6)(7)(8)の厚さ方向の通気性は増大するが
断熱性は低下する。逆に、空隙率が小さいと空気層
(6)(7)(8)が密閉状態となり断熱性は増大する
が空気層の厚さ方向の通気性は低下する。そこで、良好
な断熱性と通気性を確保するためには、網状部材(3)
(4)の空隙率はこれを50〜90%に設定するのが望
ましい。もっとも好ましくは60〜90%である。
【0013】この発明において、網状部材(3)(4)
の材質は特に限定されることはなく、ポリ塩化ビニル等
の樹脂製のものやステンレス等の金属製のものを適宜用
いれば良い。しかしながら、ポリ塩化ビニル等の樹脂製
のものよりも例えばステンレス等の金属からなる反射率
の高いものを用いることが、輻射熱が反射され易く高い
断熱効果が得られることから推奨される。また、網状部
材(3)(4)の網の目形状も特に限定されることはな
い。格子状でも斜め格子状でも良く、あるいは他の形状
でも良い。
【0014】なお、図1、2に示した実施形態では、内
外壁(1)(2)間の断熱空間(5)内に、2枚の網状
部材(3)(4)を配置して断熱空間(5)内に3個の
空気層(6)(7)(8)を形成した場合を示したが、
網状部材(3)(4)は1枚のみ配置しても良いし、あ
るいは3枚以上を内外壁(1)(2)と平行状にかつ間
隔的に配置するものとしても良い。特に、網状部材が2
枚以上配置されることにより、内壁及び外壁に隣接する
空気層の中間に別の空気層が存在することになると共
に、空気層の厚さ方向において網目が重なることによる
熱反射効果の増大を期待できることから、さらに断熱効
果を高めることができる。
【0015】また、本発明の構造壁体の製造は、例え
ば、単位パネルからなる内外壁の間に網状部材を配置し
たものをユニットとして製作しておき、このユニットの
複数枚を組み合わせることにより行えば良い。また、内
外壁間に、周縁に縁部材を設けてユニット化した網状部
材をセットすることにより行っても良い。
【0016】
【実施例】次にこの発明の効果を確認するため、以下に
示す実験を行なった。
【0017】即ちまず、図3に示すような実験装置を製
作した。図3において、(11)は加熱箱、(12)は
保護箱である。加熱箱(11)は断熱材により縦580
mm×横580mm×高さ1800mmに製作した。そ
して、加熱箱の一側面に幅450mm×高さ1800m
mの開口部(13)を設け、この開口部(13)を閉塞
するように、壁材(14)のみあるいは壁材(14)と
網状部材(15)とを壁材(14)を内側にして平行状
に取付けた。また、加熱箱(11)内は200Wのヒー
ター(16)で加熱するとともに、ファン(17)によ
り箱内全体の温度を均一にした。また、内側の開口部
(13)以外の5面に合板を張り付け、断熱を十分確保
した。
【0018】一方、前記保護箱(12)は、加熱箱(1
1)内の温度が外気の影響により変化しないように保護
するためのもので、前記加熱箱(11)の開口部(1
3)以外をすべて被覆し得る形状を有している。そし
て、この加熱箱(11)を台(18)に載せて保護箱
(12)内に収容被覆するとともに、500Wのヒータ
ー(19)とファン(20)(21)により、保護箱
(12)内の温度を加熱箱(11)と同じに設定した。
【0019】(30)は温度制御器であり、加熱箱(1
1)内及び保護箱(12)内の温度が上昇した場合、こ
れを自動感知してヒーター(16)(19)の電源を遮
断することにより、各箱内の温度を約36℃に保持する
役割を果たす。
【0020】一方、上記の各箱体とは別に約22.5℃
の温度に保持した低温室(図示せず)を用意した。
【0021】以上の実験装置を準備するとともに、加熱
箱(11)内の開口部(13)に壁材(14)のみを取
付け、あるいは壁材(14)と網状部材(15)とをそ
れらの間隔を表1のように各種に設定して取付け、それ
ぞれの場合における加熱箱(11)内の温度と、そのと
きのヒーター(16)(19)及びファン(17)(2
0)(21)用モータの消費電力と、低温室内の温度と
を測定した。前記壁材(14)としては肉厚5mmの板
からなるものを用いた。また、網状部材(15)は、ポ
リ塩化ビニル樹脂製のものとステンレス製のものを用い
るとともに、空隙率を表1のように設定した。また、温
度の測定は熱電対を用いることにより行なった。そし
て、消費電力については、1W=0.86kcal/h
の換算式にて熱量に換算した。それらの結果を表1に示
す。
【0022】
【表1】 次に、上記の結果を用いて、熱貫流率K(kcal/m
2 h℃)及び熱貫流抵抗R(m2 h℃/kcal)を求
めた。ここに、熱貫流率は、一般に、遮蔽体を構成する
材料、厚さ、その表面の性質、壁に接した空気の流動状
況などに関連する値である。つまり、遮蔽体を単位時間
に貫流する熱量Q(kcal/h)は、遮蔽体の両側の
空気の温度差(θi−θ0 )(℃)と表面積A(m2
に比例する。つまり、Q=K×(θi−θ0 )×Aで表
すことができる。また、Kの逆数が熱貫流抵抗Rであ
り、式でいえばR=1/Kである。
【0023】上式におけるQ、θi、θ0 に、第1表の
それぞれ消費電力換算熱量、加熱箱(11)内の温度、
低温室の温度を代入し、Aに開口部(13)の面積
(0.45×1.8)を代入して、熱貫流率K(kca
l/m2 h℃)及び熱貫流抵抗R(m2 h℃/kca
l)を求めたところ、表2のとおりであった。
【0024】
【表2】 また、表2の試料No2〜11について、空気層の厚さ
(壁板と網状部材との間隔)と熱貫流抵抗の関係を図4
にグラフにて示す。
【0025】表2及び図4のグラフからわかるように、
壁材(14)と網状部材(15)を間隔をおいて配置す
ることにより優れた断熱効果を発揮し得ることがわか
る。
【0026】上記試験結果から、本発明に係る構造壁体
は、優れた断熱効果を当然に期待できるものであること
を確認し得た。
【0027】
【発明の効果】この発明は、上述の次第で、間隔をおい
て平行状に対向配置された内外壁間の断熱空間内に、前
記内外壁と平行状に1枚ないし複数枚の網状部材が間隔
的に装填配置されてなることを特徴とするものであるか
ら、内外壁の間の断熱空間が厚さ方向に複数の空気層に
分割され、網状部材によって空気層内の空気の逃げが抑
制されて該空気が滞留することにより、断熱空間内の断
熱性がより増大したものとなっている。従って、多量の
断熱材を使用することなく、安価な網状部材を追加する
だけの簡便な構造で、断熱性に優れた構造壁体を提供す
ることができる。しかもまた、網状部材はその横断方向
の通気性を有するため、断熱空間の幅方向の通気性はこ
れが妨げられることはなく、もとより網状部材が内外壁
と平行状に配置されていることにより断熱空間を縦断す
る方向の通気性も妨げられることはなく、従って断熱空
間の十分な通気性を確保できるから、該空間内に水分や
湿気が侵入した場合にも容易に蒸発させることができ、
結露による断熱材や壁材の早期腐食、かびの発生を防止
することができる。
【0028】また、前記内壁または外壁とこれに隣接す
る網状部材の間隔が5〜20mmである場合には、より
効率的な断熱効果を発揮させることができる構造壁体と
なしうる。
【0029】また、網状部材の空隙率が50〜90%に
規定された場合には、良好な通気性と断熱性を兼ね備え
たものとなしえ、上記効果をより確実かつ有効に発揮さ
せることのできる構造壁体となしうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る構造壁体の一実施形態を示す斜
視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】実施例における実験装置を示すもので、(a)
は正面断面図、(b)は側断面図、(C)は(a)のII
Ic−IIIc線断面図である。
【図4】実施例における実験結果を図示したグラフであ
る。
【符号の説明】
1…内壁 2…外壁 3、4…網状部材 5…断熱空間 6、7、8…空気層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隔をおいて平行状に対向配置された内
    外壁(1)(2)間の断熱空間内(5)に、前記内外壁
    (1)(2)と平行状に1枚ないし複数枚の網状部材
    (3)(4)が間隔的に装填配置されてなることを特徴
    とする断熱効果に優れた構造壁体。
  2. 【請求項2】 前記内壁(1)または外壁(2)とこれ
    に隣接する網状部材(3)(4)の間隔が5〜20mm
    である請求項1に記載の断熱効果に優れた構造壁体。
  3. 【請求項3】 前記網状部材(3)(4)の空隙率が5
    0〜90%である請求項1または2に記載の断熱効果に
    優れた構造壁体。
JP15823096A 1996-06-19 1996-06-19 断熱効果に優れた構造壁体 Expired - Lifetime JP3350626B2 (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007210224A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 Toray Ind Inc 繊維系ボード
JP2012215529A (ja) * 2011-04-01 2012-11-08 Taisei Corp 鋼材温度推定方法および鋼材温度推定システム
CN105019577A (zh) * 2015-07-31 2015-11-04 嵇珂 免拆钢筋混凝土内外墙模板保温一体化系统及其施工方法

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