JP3220538U - 寒冷地住宅の基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】外周基礎の輻射熱による床下の温度低下を可能な限り防止し、冬期の暖房効率を改善することが出来る寒冷地住宅の基礎構造を提供する。【解決手段】木造住宅の下部を支える外周基礎11と張出基礎14、およびスラブコンクリート床面によって構成する寒冷地住宅の基礎を技術的前提として、外周基礎11の床下12側の全周に、コンクリートの輻射熱を遮断する遮熱材20を配する。遮熱材20は、外周基礎11の全周にわたって、下端から上端まで配設する(請求項1)。発泡樹脂系の断熱材に代え、または断熱材とともに、外周基礎11の床下12側(内周面)に、輻射熱(電磁波として放出される放射熱)を遮断する遮熱材を配設すると、輻射熱は当該遮熱材によって反射されるため、床下12の空気は輻射熱によって冷却されることがない。【選択図】図1

Description

本考案は、寒冷地住宅の基礎に係り、とくに冬期における暖房効率を向上させる技術に関する。
図6に示すように、寒冷地における木造住宅は、コンクリート製の外周基礎1の内側(床下2側)に発泡樹脂系の断熱材3を設け、床下2の温度低下を防止する(特許文献1)。
外周基礎1の内側(床下側)に発泡樹脂系の断熱材3を設けるのは、寒冷地における冬期の暖房効率を向上させるためである。従って、外周基礎1には外気に連通する開口は設けない。4は、床下2のスラブコンクリート床面、6は土台、7は鉄筋、8は、床下2と一階居室の空気を流動させる換気小口、9は一階床の下地材である。
従来の基礎構造は、発泡樹脂系の断熱材3により、床下2の温度低下を防止することで暖房効率が高まり、冬期の暖房費用を抑えることが出来るため、寒冷地においては、このように床下2の気密性を高める住宅が主流になっている。
特開2001−254358 特開平10−061360 特開平07−317018
問題は、発泡樹脂材を用いた従来の基礎断熱では、外周基礎のコンクリートが生ずる輻射熱(冷気)を完全には遮断できない点にある。
その理由は、外周基礎(1)のコンクリートの輻射熱(冷気)は、電磁波として放出されるものであり、電磁波は、発泡スチロール等の樹脂系断熱材(3)によって貫通速度が遅延するけれども、時間の経過により、必ず貫通するからである。
このため、外周基礎(1)の内側(床下側)を発泡樹脂材(3)によって被覆しても、外気の冷熱(輻射熱)は、外周基礎(1)のコンクリートを冷却させた後、発泡樹脂材(3)を貫通して床下(2)の温度を低下させる。
床下(2)は、床下換気口(8)を介して一階居室等と連通させるので、一階居室等の暖気が床下に流入し続ければ、床下(2)の温度低下はある程度抑えることが出来る。
しかしながら、外周基礎(1)の輻射熱が床下(2)の温度低下を招くことに変わりはなく、暖房効率を損なう原因になる。
そこで、本考案の目的は、外周基礎(1)の輻射熱による床下(2)の温度低下を可能な限り防止し、暖房効率を改善することにある。
前記目的を達成するため、本考案に係る寒冷地住宅の基礎構造は、木造住宅の下部を支える外周基礎と張出基礎、およびスラブコンクリート床面によって構成する寒冷地住宅の基礎を技術的前提として、前記外周基礎の床下側の全周に、コンクリートの輻射熱を遮断する遮熱材を配し、この遮熱材は、前記外周基礎の全周にわたって、下端から上端まで配設する(請求項1)。
発泡樹脂系の断熱材に代え、または断熱材とともに、外周基礎の床下側(内周面)に、輻射熱(電磁波として放出される放射熱)を遮断する遮熱材を配設すると、輻射熱は当該遮熱材によって反射されるため、床下の空気は輻射熱によって冷却されることがない。
遮熱材は、コンクリートの輻射熱を反射するシート材であり、少なくとも一方の表面にアルミニウム膜材を備え、他方の表面に、アルミニウム膜材または不織布膜材を備え、これらの表面膜材の間に、ポリエチレン系の肉薄シート材を積層させて構成する場合がある(請求項2)。
遮熱材は、少なくとも一方の表面にアルミニウム膜材を備えるので、外周基礎等から放出される輻射熱(電磁波)は、アルミニウム膜材によって反射され、遮熱材を貫通して床下の空気を冷却させることがない。
遮熱材の内部構造は、ポリエチレン系の肉薄シート材を積層させることによって、輻射熱(電磁波)の伝達を遅延させ、また、現場作業の取り扱い時におけるアルミニウム膜材の破損防止の機能をもたせる。
遮熱材を、外周基礎から張り出す張出基礎の両側面の下端から上端にかけて配設し、少なくとも、外周基礎から張り出している部分のうち、外周基礎の内周面から90cm以上の範囲を、当該遮熱材によって被覆する場合がある(請求項3)。
この請求項3は、外周基礎を介して冷却される張出基礎の遮熱を行うものである。外部冷気は、まず外周基礎を冷却させるが、次いで、外周基礎に接続する張出基礎も冷却されてゆく。
そこで、張出基礎の両側面に、遮熱材を下端から上端にかけて配設することによって、張出基礎の輻射熱による床下の空気冷却を防止する。
張出基礎の冷却範囲は、地域によって異なる。しかしながら、外周基礎から張り出している部分のうち、外周基礎の内周面から90cm以上の範囲に遮熱材を配設すれば、設計上、輻射熱による床下の空気冷却は防止できる。
外周基礎または張出基礎を被覆する遮熱材の下端部を延設し、スラブコンクリート床面を被覆させる場合がある(請求項4)。
外周基礎、張出基礎の冷気が、スラブコンクリート床面を冷却させる可能性がある。
そこで、外周基礎、張出基礎に配した遮熱材の下端部を延設し、スラブコンクリート床面を、ある程度の範囲で被覆すれば、冷気伝達によって冷却されるスラブコンクリート床面の輻射熱(電磁波)による床下の温度低下を防止できる。
本考案に係る寒冷地住宅の基礎構造によれば、外周基礎等の輻射熱による床下の温度低下を防止し、暖房効率を改善することが出来る。
第一の実施形態に係る基礎構造を例示する平面図である。 本考案に係る遮熱材の外観を例示する図である。 本考案に係る遮熱材の内部構造を例示する部分断面図である。 第二の実施形態に係る基礎構造を部分例示する斜視図である。 第二の実施形態に係る基礎構造を例示する断面概略図である。 従来の基礎構造を示す断面概略図である。
図1は、本考案に係る寒冷地住宅の基礎構造(第一の実施形態)を例示するものである。この基礎構造は、木造住宅の下部を支える外周基礎11と張出基礎14、およびスラブコンクリート床面15によって構成する寒冷地住宅の基礎を技術的前提として、外周基礎11の床下12側の全周に、コンクリートの輻射熱を遮断する遮熱材20を配設する。遮熱材20は、外周基礎11の全周にわたって、下端から上端まで配設する。
また、遮熱材20は、より好ましくは、外周基礎11から張り出す張出基礎14の両側面の下端から上端にかけて配設する。そして、外周基礎11から張り出している部分のうち、外周基礎11の内周面から適当範囲、好ましくは、90cm以上の範囲を、当該遮熱材20によって被覆する。14−1は、張出基礎14の一部に設けた、空気流動用の開口である。
遮熱材20には、コンクリート製である外周基礎11と張出基礎14の輻射熱(とくに冷気放射熱)を反射させることによって、床下12の空気の冷え込みを防止する機能を備えるシート状またはボード状の成形品を用いる。
コンクリート製である外周基礎11と張出基礎14が放出する輻射熱は、電磁波であるから、遮熱材20は、電磁波を反射する素材、例えば、アルミニウムの肉薄材によって被覆したものを使用する。
遮熱材20を可撓性のあるシート状の部材として、図2に示すように、ロール材の素材として成形する場合は、例えば、図3に示すように、樹脂系の肉薄材、好ましくはポリエチレン系の肉薄メッシュ材21を積層させたシート本体22の表面に、アルミニウムを蒸着させることによって、肉薄のアルミニウム膜材25を設ける。26は、樹脂膜(例えばポリエチレン膜材)である。遮熱材20の肉厚(W)は、例えば、1〜20mm程度とすることが望ましい。
アルミニウムは、外周基礎11と張出基礎14が放出する輻射熱(電磁波)を反射させる機能をもつが、肉薄の素材を単独で用いると破損しやすい。そこで、断熱性をもつポリエチレン系の肉薄メッシュ材21を積層させた上で、表面(片側/両側)に、蒸着させたアルミニウム膜材25を配する。
可撓性のある樹脂素材の積層構造(22)を用い、表面(片側/両側)に蒸着させたアルミニウム膜材25を設けると、取り扱いも容易となり、破損しにくい構造となる。
遮熱材20をボード状の部材として成形する場合は、例えば、発泡樹脂製の板材(ボード材/パネル材;図示せず)に、図2、図3に例示するような遮熱材20を取り付ける。
発泡樹脂製の板材、例えば、発泡スチロール、発泡ウレタン等は、冬期に冷却される外周基礎11や張出基礎14の冷気(輻射熱)を完全に遮ることは出来ないが、打設コンクリートに密着配置しやすい特性がある。
そこで、発泡樹脂製の板材に遮熱材20を固定したボード状の遮熱部材(20)を、外周基礎11成形用、張出基礎14成形用の型枠材に予め装着しておき、当該型枠材にコンクリートを打設し、養生することによって、ボード状の遮熱部材(20)を、基礎(11、14)のコンクリート壁面に密着させて配設することが出来る。
かかる構成によれば、冬期、外周基礎11および張出基礎14がマイナス気温の外気によって冷却されても、冷却されたコンクリートが放出する輻射熱は遮熱材20によって反射される。従って、外周基礎11および張出基礎14が放出する冷気による床下12の空気の冷え込みは、確実に防止できる。発泡樹脂製の断熱材と異なり、遮熱材20は輻射熱を透過させないからである。
マイナス10℃を超える寒冷地では、張出基礎14の両面に遮熱材20を配設することが望ましい。厳しい冷気(外気)によって外周基礎11が冷却されると、当該冷気が伝達により張出基礎14をも冷却させるからである。
張出基礎14が厳しく冷え込む範囲は、地域によっても異なるが、概ね、外周基礎11の内周面から90cm以上の範囲で遮熱材20を配設すれば、床下12の空気の冷え込みは防止できる。
降雪地であっても、真冬日の日数が少ない地域では、張出基礎14の冷え込みが程度が軽い場合もある。このような地域では、外周基礎11の内側にのみ遮熱材20を配設する。張出基礎14には、遮熱材20を設ける必要はない。
図4は、第二の実施形態を示すもので、真冬日の日数が多い厳しい寒冷地における基礎構造を例示するものである。
この基礎構造は、外周基礎11または張出基礎14を被覆する遮熱材20の下端部を延設し、スラブコンクリート床面15を被覆させるものである。28は、スラブコンクリート床面15を被覆する部分の遮熱材である。
遮熱材20の下端部の延設寸法は、冬期の平均気温にもよるが、例えば、20〜50cm程度とすることが望ましい。
スラブコンクリート床面15を被覆する遮熱材(28)は、立上部(外周基礎11または張出基礎14)に配する遮熱材20とは異なり、必ずしもスラブコンクリート床面15に密着接合させて配設しなくても良い。適宜手段、例えば、重り(ウェイト)を遮熱材20の上の適当箇所に載置するだけでも、コンクリート(15)の冷気(輻射熱)を遮断する効果を営むからである。
張出基礎14に設けることがある空気流動用の開口14−1の部分は、遮熱材20を設けなくても良い。施工が煩雑になる一方で、当該部位から放出される冷気量は少ないからである。
図5に示すように、好ましくは、一階床の下地材19の下部に、温水循環用のパイプ材31を配し、当該パイプ材31の下方に、アルミニウムシート材32を配する。18は、床下12と一階居室の空気とを連通流動させる換気小口、16は土台、17は根太である。
かかる構成によれば、冬期の外気温が非常に厳しい寒冷地においても、床下12の温度低下を防止できる。
立上部(外周基礎11、張出基礎14)を遮熱材20によって被覆するとともに、スラブコンクリート床面15を遮熱材28によって被覆するので、冬期の外気Qによって外周基礎11(および張出基礎14)のコンクリートが冷却され、それに伴ってラブコンクリート床面15が冷却されても、遮熱材20、28が輻射熱を反射して透過させないからである。
同時に、温水循環用のパイプ材31による若干の暖房効果、換気小口18を介した一階居室との空気循環による加温効果により、床下12の空気温度は、厳冬期でも好ましい状態に維持される。
家屋内空気は、静音の小型ファン装置を介して常時換気を行うことが望ましい。静音の小型ファン装置による常時微量換気により、床下12の空気は、空気流動用の開口14−1、換気小口18を介して常に流動し、好ましい温度で循環する。従って、床下12の空気は常に新鮮で淀まず、カビが発生することもない。
本考案に適用できる遮熱材は、前記実施形態のものに限定されない。例えば、耐寒性、耐化学薬品性に優れるポリイミドフィルム(アルミ蒸着カプトン)、カーボンが練りこまれたカプトン膜にアルミ蒸着した膜材等を単独で、或いは、樹脂メッシュの多層膜材とともに使用する等である。
7 鉄筋
10 木造住宅
11 外周基礎
12 床下
14 張出基礎
14−1 (空気流動用の)開口
15 スラブコンクリート床面
16 土台
17 根太
18 換気小口
19 一階床の下地材
20 遮熱材
21 肉薄メッシュ材
22 シート本体
25 アルミニウム膜材
26 樹脂膜
28 (スラブコンクリート床面を被覆する)遮熱材
31 (温水循環用の)パイプ材
32 アルミニウムシート材
Q (冬期の)外気
W (遮熱材の)肉厚

Claims (4)

  1. 木造住宅の下部を支える外周基礎と張出基礎、およびスラブコンクリート床面によって構成する寒冷地住宅の基礎において、
    前記外周基礎の床下側の全周に、
    コンクリートの輻射熱を遮断する遮熱材を配し、
    この遮熱材は、
    前記外周基礎の全周にわたって、下端から上端まで配設することを特徴とする寒冷地住宅の基礎構造。
  2. 遮熱材は、
    コンクリートの輻射熱を反射するシート材であり、
    少なくとも一方の表面にアルミニウム膜材を備え、
    他方の表面に、アルミニウム膜材または不織布膜材を備え、
    これらの表面膜材の間に、
    ポリエチレン系の肉薄シート材を積層させてなることを特徴とする請求項1記載の寒冷地住宅の基礎構造。
  3. 遮熱材を、
    外周基礎から張り出す張出基礎の両側面の下端から上端にかけて配設し、
    少なくとも、
    外周基礎から張り出している部分のうち、
    外周基礎の内周面から90cm以上の範囲を、当該遮熱材によって被覆することを特徴とする請求項1または請求項2記載の寒冷地住宅の基礎構造。
  4. 外周基礎または張出基礎を被覆する遮熱材の下端部を延設し、
    スラブコンクリート床面を被覆させることを特徴とする請求項1〜請求項3記載の寒冷地住宅の基礎構造。
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