JP2017177559A - 木質ボード及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
木質ボードから発生するホルムアルデヒドの放散量が少なく、乾燥・湿潤環境下の曲げ強度、剥離強度に優れた木質ボードを製造する方法を提供する。
【解決手段】
リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂を含む木質ボード。
リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該熱硬化性接着剤がフェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む接着剤組成物及び該接着剤組成物を加熱加圧成形する木質ボードの製造方法。
【選択図】 なし
Description
特にリグノセルロース系材料として建築廃材や間伐材を用いることで、環境負荷を軽減することができ、低コストで製造できることが知られている。
応じて、各種強度、接着剤の種類、ホルムアルデヒド放散量、難燃性等の基準が、日本工業標準調査会のJISによって定められている。例えば、パーティクルボードについては、JIS A 5908(1994)に各種基準が設定されている。
木材・プラスチック複合材と木質ボードについて明確な差異が定義されているわけではないが、本発明においては、リグノセルロース材料に対して、熱可塑性樹脂が65質量%を超えて含まれているものを木材・プラスチック複合材とする。
木材・プラスチック複合材は、熱可塑性樹脂のみを用い、熱硬化性接着剤を用いていないことから、一般的に木質ボードに比べて機械強度に劣るものとなる。
しかし、イソシアネート系接着剤は加熱加圧成形時の剥離性が悪く、生産性に問題があった。
[1] リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂を含む木質ボード。
[2] 前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルの合計に対して脂肪族ポリエステルを0.1〜60質量%含む[1]に記載の木質ボード。
[3] リグノセルロース系材料100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルを合計で0.5〜65質量部含む[1]又は[2]に記載の木質ボード。
[4] 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である[1〜[3]の何れか1項に記載の木質ボード。
[5] 脂肪族ポリエステルが脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを主たる構成単位として有する[1]〜[4]の何れか1項に記載の木質ボード。
[6] 脂肪族ポリエステルがポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートである[5]に記載の木質ボード。
[7] リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性接着剤を含む混合物。
[8] リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該熱硬化性接着剤がフェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む木質ボードの製造方法。
[9] 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である[8]に記載の木質ボードの製造方法。
本発明の接着剤混合物を加熱加圧成形することで、優れた機械強度を有する木質ボードを製造することが出来る。更に、本発明の接着剤混合物を木質ボード原料に用いることで、短時間の加熱加圧成形で、優れた機械強度を有する木質ボードを製造することができる。
本発明の木質ボードは、脂肪族ポリエステル、リグノセルロース系材料及び特定の熱硬化性樹脂を含んでいる必要がある。
本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、脂肪族構造(脂環構造を含む)のモル比率が全体構造に対して最大比率となるポリエステル樹脂であれば特に限定されず、例えば、脂肪族構造以外に、部分的に芳香族構造を有する脂肪族芳香族ポリエステルであってもよい。より具体的には、例えば、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル(全脂肪族ポリエステル);脂肪族オキシカルボン酸(オキシカルボン酸)単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル;脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステル;およびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルが好ましい。
即ち、本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸成分とを、脂肪族ポリエステルの重合反応に用いる全単量体成分中に50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80〜100モル%含んでいることが好ましい。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルは、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルである。
[式(1)中、R11は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(2)中、R21は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
性や機械強度の観点から、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4〜6の脂肪族ジオールが特に好ましい。具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。上記脂肪族ジオールは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
リエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、三菱化学製ポリブチレンサクシネート系樹脂「GS Pla」(登録商標)(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等)、昭和電工社製ポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ」(登録商標)、Shandong Fuwin New Material社製ポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられる。
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの脂肪
族オキシカルボン酸単位を与える成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。また、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物も本発明において脂肪族オキシカルボン酸に包含される。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸が好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
平均分子量(Mw)は、下限が好ましくは60,000以上、より好ましくは80,000以上、特に好ましくは100,000以上であり、上限が好ましくは700,000以下、より好ましくは400,000以下、特に好ましくは300,000以下である。重量平均分子量が60,000より小さいと得られる木質ボードの機械物性や耐熱性等の実用物性が劣る傾向があり、また700,000より大きいと溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る傾向がある。
脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステルは、前記式(1)で表される脂肪族ジオ−ル単位、前記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。さらに前述のオキシカルボン酸単位を有していてもよい。
[式(3)中、R31は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
の重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によって製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
通常、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルは末端カルボキシル基を有していることが知られている。また、リグノセルロース系材料の表面にはセルロース由来の末端ヒドロキシ基が存在することが知られている。
本発明において、アミン系接着剤を用いた場合は、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基と、アミン化合物が反応し、アミド結合を形成すると共に、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基とリグノセルロース表面の末端ヒドロキシ基が反応しエステル結合を形成すると考えられる。
上記反応によって、アミン系接着剤とリグノセルロース系材料が脂肪族ポリエステルを介して強固に結合し、本発明の効果が得られたと考えられる。
また、フェノール系接着剤を用いた場合も同様に、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基と、フェノール化合物中の末端ヒドロキシ基が反応し、エステル結合を形成すると共に、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基とリグノセルロース表面の末端ヒドロキシ基が反応しエステル結合を形成すると考えられる。
上記反応によって、フェノール系接着剤とリグノセルロース系材料が脂肪族ポリエステルを介して強固に結合し、本発明の効果が得られたと考えられる。
脂肪族ポリエステルは、粒子状又は繊維状で用いることが、リグノセルロース系材料と混合する際に、均一に分散が可能になる点から好ましく、特に脂肪族ポリエステルが粒子状であるとリグノセルロース系材料の空孔内に均一に分散し、得られる木質ボードの機械強度が向上する傾向にある点からより好ましい。また、脂肪族ポリエステル粒子と脂肪族ポリエステル繊維とを併用してもよい。
脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径は、通常1000μm以下、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下であり、一方下限は特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上である。脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径が上記上限以下であると木質ボード表面に脂肪族ポリエステル由来の染みやにじみが発生しにくい傾向にある。一方、脂肪族ポリエステル粒
子の平均粒子径が上記下限以上であると、リグノセルロース系材料との混合時に脂肪族ポリエステル粒子がリグノセルロース系材料の細孔内に導入されやすく、得られる木質ボードの機械物性が向上する傾向にある。
また、本発明における粒子径分布は、平均粒子径と同様の測定方法で全体積の累積分布を求め、体積の累積分布が10%(D10)、50%(D50)、90%(D90)となる粒子径を下記式(4)に代入し計算された値である。
粒子径分布=(D90−D10)/D50 (4)
前処理 :ビーカーに試料を入れ、分散剤を含有する水溶液を加えてなじませた後、超音波にて2分間分散させ、これをサンプル液とする。
測定回数 :2回
粒子透過性:透過
粒子屈折率:1.60
溶媒 :水
溶媒屈折率:1.333
具体的には、分級粒子径(細粉側最大粒子径)が1500μm以下の脂肪族ポリエステル粒子が好ましく、より好ましくは1000μm以下である。この分級粒子径が大きすぎると、木質ボード表面で生じるシミや着色等の外観不良の原因となる傾向にある。
<脂肪族ポリエステル粒子の製造方法>
脂肪族ポリエステル粒子中に乳化剤や重合開始剤等が残留していると、木質ボード製造時に接着剤との予期せぬ化学反応が生じる恐れがあることから、脂肪族ポリエステルを粉砕加工する方法が好ましく用いられる。
また、粉砕時の樹脂の溶融を防止する目的で、原料槽や粉砕機を液体窒素等の冷媒で冷却する方法、水を加えた湿式下での粉砕方法も好ましく用いられる。
脂肪族ポリエステルが繊維状である場合、脂肪族ポリエステル繊維の平均繊維径は10〜1500μmで、平均繊維長は0.1〜10mm程度であることが好ましい。
本発明で用いる熱硬化性樹脂には、フェノール系樹脂及び/又はアミノ系樹脂が含まれ
る必要がある。本発明で用いる熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、レジンシノール樹脂、フェノール−レゾルシノール樹脂等のフェノール系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂等のアミノ系樹脂が挙げられ、これらは1種又は2種以上を含んでもよい。
得られる木質ボードの機械物性の観点から、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂が好ましく用いられ、扱いやすさから尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂がより好ましく用いられる。
本発明において、フェノール系樹脂とは少なくともフェノール化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られる縮合物である。
フェノール系樹脂の原料として用いてもよいフェノール化合物はフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシビフェニル、ベンジルフェノール、ニトロベンジルフェノール、シアノベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、キシレノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、トリフルオロメチルフェノール、N−(ヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、トリフルオロメチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾニトリル、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、ヘキシルカテコール、ベンジルカテコール、ニトロベンジルカテコール、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、ニトロベンジルレゾルシノール、ハイドロキノン、カフェイン酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸メチル、ジヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾニトリル、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ニトロカテコール、フルオロカテコール、クロロカテコール、ブロモカテコール、トリフルオロメチルカテコール、ニトロレゾルシノール、フルオロレゾルシノール、クロロレゾルシノール、ブロモレゾルシノール、トリフルオロメチルレゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸メチル、トリヒドロキシ安息香酸エチル、トリヒドロキシ安息香酸ベンジル、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾニトリル等が挙げられ、これらの変性物であってもよい。
上記例示したフェノール化合物のうち、得られる木質ボードの機械物性の観点からフェノール、レゾルシノールが好ましく、取り扱い時の作業環境や取り扱い易さより、フェノールが好ましい。
本発明において、アミン系樹脂とは少なくともアミン系化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られる縮合物である。
本発明においてアミン化合物とは、アミノ基を有する化合物を意味する。アミン化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等が挙げられ、これらの変性物であってもよい。
上記例示したアミン化合物のうち、得られる木質ボードの機械物性の観点から尿素、メラミンが好ましく、取り扱い時の作業環境や取り扱い易さより、メラミンが含まれることが好ましい。
リグノセルロース系材料としては、従来の木質ボードに一般的に使用されているリグノセルロース系材料をいずれも好適に用いることができ、例えば、スギ、ヒノキ、ブナ、カシ、などの木質系材料(針葉樹・広葉樹)や、ケナフ、サイザル麻、イネ、サトウキビ、竹、ミツマタ、コウゾなどの草木類、さらには木綿、キワタ、カボックなどの種子毛繊維に由来する植物性の材料を挙げることができる。また、これらの処理品、誘導体、いわゆる、ナノファイバーセルロース、再生繊維(ビスコース)、半合成繊維(セルロースエステル)等も使用可能である。なお、上記木質系材料には、間伐材、端材、樹皮、廃材や、おが屑、ワラ、パルプ、サトウキビのバガスなど加工によって生成する廃棄材料も含まれる。
リグノセルロース系材料は、得られる木質ボードの機械物性からスギ、ヒノキ、ブナ、カシなどの木質系材料が好ましく用いられる。
本発明の木質ボードにおける脂肪族ポリエステルの含有量は、熱硬化性樹脂と脂肪族ポリエステルとの合計に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好
ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、一方上限は通常60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。本発明の木質ボードにおける脂肪族ポリエステルの含有量が多すぎると木質ボードの機械物性が不十分となる傾向となり、少なすぎると、ホルムアルデヒド系接着剤の使用量を減らしながらも高強度の木質ボードを製造するという本発明の目的を達成し得ない傾向にある。
変性品とは多糖類に対して、化学的、物理的、生物学的等の変性処理を施したものである。化学的変性を行った多糖類としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性した多糖類、特には、水酸基をエーテル化、エステル化反応によって変性した多糖類が好ましく用いられる。また、物理的変性を行った多糖類は、多糖類の結晶化度を変化させ、物理的性質を変化させた多糖類である。また、生物学的変性を行った多糖類は、生物を用いて化学構造等を変化させた多糖類である。木質ボードの機械物性を向上させる観点から、タピオカ澱粉、ハイアミロース澱粉、酸などでアミロース、アミロペクチンを加水分解し低粘度化させた可溶性澱粉が好ましく用いられる。
熱硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル、リグノセルロース系材料及び必要に応じて用いられるその他の成分を用いて本発明の接着剤混合物を製造する方法は、公知の方法であれば特に限定されず、例えば、撹拌混合、ポンプ混合、押出混合、容器回転混合、粉砕混合等を用いることができる。
この際、熱硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル及びリグノセルロース系材料を用いて接着剤混合物を製造する場合、製造方法は特に限定されず、熱硬化性接着剤とリグノセルロース系材料を混合した後に脂肪族ポリエステルを添加してもよく、脂肪族ポリエステルとリグノセルロース系材料を混合した後に熱硬化性接着剤を添加してもよい。
本発明においては、リグノセルロース系材料と熱硬化性接着剤を均一に混合した後、該混合物に脂肪族ポリエステルを添加し、接着剤混合物を製造することが本発明の効果をより有効に得る上で好ましい。
本発明では、上記の接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する。この際、加熱方法は特に限定されず、高周波加熱、コンタクトヒータ、オーブンに投入しての加熱など適宜、選択することができる。加熱は、脂肪族ポリエステルの分解を抑制するため、脂肪族ポリエステルの軟化温度以上でより低い温度が好ましく、本発明の原料混合物を加熱加圧成形する場合の温度は260℃以下、例えば170〜230℃が好ましい。加熱加圧成形温度が260℃を超えるとリグノセルロース系材料の熱劣化や脂肪族ポリエステルの熱分解によって、製造される木質ボードの機械強度が十分に得られない傾向にある。加熱加圧成形時の圧力や加熱加圧時間は適宜選択することができるが、一般的には圧力は1〜15MPa程度、加熱加圧時間は1〜10分程度である。
によって本成形してもよい。また、特に仮成形体を形成せず、所定形状に集合した状態の原料混合物を脂肪族ポリエステルの軟化温度以上に加熱して、予備的に圧縮などした後、更にプレス成形してもよい。
(1)曲げ強度
(1−1)常態曲げ強度
JIS A 5908:2003に従って、常態曲げ強さ試験を行った。結果を常態曲げ強度として表示した。
成形した試料から上記(1−1)と同様の方法で試験片を裁断した。次に試験片を70±3℃の温水中に2時間浸漬し、さらに常温水中に1時間浸漬した後、濡れたままの状態で上記(1−1)と同様に曲げ強度を測定した。
成形した試料から50mm角の試験片を裁断し、上下面をホットメルト接着剤にて治具に固定し、JIS A 5908:2003に従って、試験速度2mm/分で、ボードの芯層における剥離試験を行った。得られた破断点強度を面積で除した値を剥離強度とした。
(3)放散ホルムアルデヒド
JIS A1901に準拠して、放散ホルムアルデヒド量を測定した。
<リグノセルロース系材料>
パーティクルボード用表層用木質チップ(含水率約3質量%)(建築廃材:杉、ヒノキ等の混合材)
パーティクルボード用芯層用木質チップ(含水率約3質量%)(建築廃材:杉、ヒノキ等の混合材)
アミン系接着剤(日本化成製:尿素及びホルムアルデヒドを含む接着剤)
樹脂:ポリブチレンサクシネート(PBS)(三菱化学(株)製「GS Pla」)
グレード:FZ71PN、融点:115℃、MFR22g/10分
融点:示差走査熱量計を用い、10mgのサンプルを流量50mL/分の窒素気流下で加熱溶融させた後、10℃/分の速度で冷却、引き続き10℃/分の速度で昇温する際の融解ピーク温度を融点とした。
MFR:JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重条件下で測定した。
<製造例1>
樹脂を液体窒素を流通させた凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製 リンレックスミルLX(登録商標))により粉砕した後、得られた粒子を目開き1000μmのメッシュで分級を行い樹脂粉体を製造した。
得られた脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径は365μm、粒子径分布は2.19であった。
アミン系接着剤14.5質量部、表層用木質チップを絶乾重量にて100質量部を混合して表層用接着剤混合物を得た。
別に、製造例1で得られた樹脂粉体を1.4質量部、アミン系接着剤5.6質量部、芯層用木質チップを絶乾重量にて100質量部混合して芯層用接着剤混合物を得た。
表1に記載の製造条件に変更した以外は実施例1と同様の条件で木質ボードを製造した。得られた木質ボードの各種評価結果を表1に示す。
強度、剥離強度を有し、かつ拡散ホルムアルデヒド量が低減されていることが明らかになった。
また、芯層のアミン系接着剤の一部を脂肪族ポリエステルに置き換えた実施例1〜3は、脂肪族ポリエステルを添加しなかった比較例1〜3に比べて、プレス時間が短くとも、十分な機械強度を有する木質ボードが得られることが明らかになった。
Claims (9)
- リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂を含む木質ボード。
- 前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルの合計に対して脂肪族ポリエステルを0.1〜60質量%含む請求項1に記載の木質ボード。
- リグノセルロース系材料100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルを合計で0.5〜65質量部含む請求項1又は2に記載の木質ボード。
- 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である請求項1〜3の何れか1項に記載の木質ボード。
- 脂肪族ポリエステルが脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを主たる構成単位として有する請求項1〜4の何れか1項に記載の木質ボード。
- 脂肪族ポリエステルがポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートである請求項5に記載の木質ボード。
- リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物。
- リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該熱硬化性接着剤がフェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む木質ボードの製造方法。
- 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である請求項8に記載の木質ボードの製造方法。
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