JP2017177559A - 木質ボード及びその製造方法 - Google Patents

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修一 原口
正 植田
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Abstract

【課題】
木質ボードから発生するホルムアルデヒドの放散量が少なく、乾燥・湿潤環境下の曲げ強度、剥離強度に優れた木質ボードを製造する方法を提供する。
【解決手段】
リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂を含む木質ボード。
リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該熱硬化性接着剤がフェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む接着剤組成物及び該接着剤組成物を加熱加圧成形する木質ボードの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は木質ボード及びその製造方法に関する。詳しくは、拡散ホルムアルデヒド量が少なく、高強度の木質ボード及びその製造方法に関する。
木質チップや繊維材料等のリグノセルロース系材料と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン共縮合樹脂、イソシアネート系樹脂等の熱硬化性接着剤との混合物を加熱加圧成形し、リグノセルロース系材料を熱硬化性接着剤で結着することにより製造される木質ボードは、軽量で断熱性、遮音性、剪断剛性等にも優れることから、建材として床や壁などの下地材に、また、表面に化粧板を貼着して家具等に加工されるなど、幅広い用途に使用されている。
特にリグノセルロース系材料として建築廃材や間伐材を用いることで、環境負荷を軽減することができ、低コストで製造できることが知られている。
木質ボードとは、上記の通り、製材時の残廃材、建築解体材等から得られる木材小片、木質繊維等のリグノセルロース系材料を接着剤と混合した後に成形したものを意味する。一般に、木質ボードはリグノセルロース系材料とフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン共縮合樹脂、イソシアネート系樹脂等の熱硬化性接着剤を混合した後に、加熱加圧成形を行うことによって製造される。木質ボードの具体的な例として、配向性ストランドボード(Oriented Strand Board)、パーティクルボード(Particle board)、中密度繊維板(Medium Density Fiberboard)等が挙げられ、木質ボードの種類に
応じて、各種強度、接着剤の種類、ホルムアルデヒド放散量、難燃性等の基準が、日本工業標準調査会のJISによって定められている。例えば、パーティクルボードについては、JIS A 5908(1994)に各種基準が設定されている。
これに対して、リグノセルロース系材料及び熱可塑性樹脂を主原料とし、熱硬化性接着剤を用いずに、公知の成形法によって複合化したものは、木材・プラスチック複合材(Wood Plastic Composite)と称され、木質ボードとは区別される。木材・プラスチック複合材は、通常、製材時の残廃材、建築解体材等から得られる木材小片、木質繊維等のリグノセルロース系材料とポリエチレン等の熱可塑性樹脂を混合した後、押出成形、射出成形、プレス成形等の公知の成形法によって製造される。
木材・プラスチック複合材と木質ボードについて明確な差異が定義されているわけではないが、本発明においては、リグノセルロース材料に対して、熱可塑性樹脂が65質量%を超えて含まれているものを木材・プラスチック複合材とする。
例えば、特許文献1には、木粉及び脂肪族ポリエステルと、成形時の流動性改善のための縮合リン酸エステルとを含む木粉含有材料が記載され、特許文献2には、リグノセルロース系材料とポリブチレンサクシネート系樹脂との混合物を用いた合成板が記載されているが、これらは、木材・プラスチック複合材に分類され、本発明で主な対象とする木質ボードとは異なる。
木材・プラスチック複合材は、熱可塑性樹脂のみを用い、熱硬化性接着剤を用いていないことから、一般的に木質ボードに比べて機械強度に劣るものとなる。
近年、メラミン接着剤、尿素接着剤、フェノール接着剤、レゾルシノール接着剤などのホルムアルデヒド系接着剤由来の揮発ホルムアルデヒドによる健康障害(シックハウス症候群等)が懸念されており、建築内外装、家具用途に用いる木質ボードには、拡散ホルムアルデヒド量の低減と優れた機械物性の両立が求められている。
特許文献3には、ポリカプロラクトンジオール、イソシアネート系接着剤及び木質チップを原料に木質ボードを製造したことが記載されている。特許文献4には、無水マレイン酸、アジピン酸、1,4−BGからなるポリエステル、イソシアネート系接着剤及び木質チップを原料に木質ボードを製造したことが記載されている。
しかし、イソシアネート系接着剤は加熱加圧成形時の剥離性が悪く、生産性に問題があった。
特開2013−67681号公報 特開2006−205644号公報 特開2004−74752号公報 特開2008−229878号公報
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、その目的は、木質ボードから発生するホルムアルデヒドの放散量が少なく、乾燥・湿潤環境下の曲げ強度、剥離強度に優れた木質ボードを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂、リグノセルロース系材料を含む木質ボードにおいて、熱硬化性樹脂の一部を脂肪族ポリエステルに置き換えることで上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[9]に存する。
[1] リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂を含む木質ボード。
[2] 前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルの合計に対して脂肪族ポリエステルを0.1〜60質量%含む[1]に記載の木質ボード。
[3] リグノセルロース系材料100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルを合計で0.5〜65質量部含む[1]又は[2]に記載の木質ボード。
[4] 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である[1〜[3]の何れか1項に記載の木質ボード。
[5] 脂肪族ポリエステルが脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを主たる構成単位として有する[1]〜[4]の何れか1項に記載の木質ボード。
[6] 脂肪族ポリエステルがポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートである[5]に記載の木質ボード。
[7] リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性接着剤を含む混合物。
[8] リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該熱硬化性接着剤がフェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む木質ボードの製造方法。
[9] 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である[8]に記載の木質ボードの製造方法。
本発明の木質ボードは、乾燥・湿潤環境下の曲げ強度、剥離強度に優れながらも、拡散ホルムアルデヒド量が少ないため、各種建材や、家具等に好ましく用いられる。
本発明の接着剤混合物を加熱加圧成形することで、優れた機械強度を有する木質ボードを製造することが出来る。更に、本発明の接着剤混合物を木質ボード原料に用いることで、短時間の加熱加圧成形で、優れた機械強度を有する木質ボードを製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の木質ボードは、脂肪族ポリエステル、リグノセルロース系材料及び特定の熱硬化性樹脂を含んでいる必要がある。
[脂肪族ポリエステル]
本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、脂肪族構造(脂環構造を含む)のモル比率が全体構造に対して最大比率となるポリエステル樹脂であれば特に限定されず、例えば、脂肪族構造以外に、部分的に芳香族構造を有する脂肪族芳香族ポリエステルであってもよい。より具体的には、例えば、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル(全脂肪族ポリエステル);脂肪族オキシカルボン酸(オキシカルボン酸)単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル;脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステル;およびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルが好ましい。
ここで、「単位」とは、脂肪族ポリエステルの製造に用いた単量体成分に由来して脂肪族ポリエステル中に含まれる構成単位を意味し、「主たる構成単位」とは、対象とする単量体成分に由来する構成単位を、脂肪族ポリエステルの全構成単位中に50モル%以上含むことを意味する。この対象とする単量体に由来する構成単位の含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80〜100モル%である。
即ち、本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸成分とを、脂肪族ポリエステルの重合反応に用いる全単量体成分中に50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80〜100モル%含んでいることが好ましい。
<脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル>
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルは、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルである。
−O−R11−O− (1)
[式(1)中、R11は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R21−CO− (2)
[式(2)中、R21は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形
性や機械強度の観点から、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4〜6の脂肪族ジオールが特に好ましい。具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。上記脂肪族ジオールは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
式(2)の脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸或いはそのアルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体であり、その脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、炭素数2〜40の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。具体的には、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でもコハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸とアジピン酸がより好ましく、コハク酸が特に好ましい。上記の脂肪族ジカルボン酸成分は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの具体例としては、1,4−ブタンジオールとコハク酸からなるポリブチレンサクシネート、1,4−ブタンジオール、アジピン酸、及びコハク酸からなるポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸がコハク酸である場合、コハク酸由来の構成単位量を所定範囲内とすることで、本発明の木質ボードが土壌に破棄された後、リグノセルロース系材料と共に、生分解され土壌に還元され易くなる傾向にある。この観点から、本発明で用いる脂肪族ポリエステルの全ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構成単位の割合は、通常50〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
また、脂肪族ジカルボン酸がコハク酸とアジピン酸である場合、コハク酸由来の構成単位とアジピン酸由来の構成単位量を所定範囲内とすることで、通常の条件における適度な生分解性を得た上で、木質ボードへの耐衝撃性の付与がより容易となる傾向にある。この観点から、本発明で用いる脂肪族ポリエステルの全ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構成単位の割合は、通常50〜95モル%、好ましくは60〜93モル%、より好ましくは70〜90モル%であり、全ジカルボン酸単位中のアジピン酸由来の構成単位の割合は、通常5〜50モル%、好ましくは7〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%である。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルは、公知の方法(特開2012−144744号公報、特開2010−195989号公報、特開2009−173884号公報等に記載の方法)で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によって製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポ
リエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、三菱化学製ポリブチレンサクシネート系樹脂「GS Pla」(登録商標)(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等)、昭和電工社製ポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ」(登録商標)、Shandong Fuwin New Material社製ポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられる。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルは、以下の物性をもつものが好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、下限が好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、上限が好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは400,000以下である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形性と機械強度の点において有利である。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
メルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上であり、上限が通常1000g/10分以下、好ましくは500g/10分以下、より好ましくは100g/10分以下、さらに好ましくは50g/10分以下である。脂肪族ポリエステルのメルトフローレートを上記範囲とすることにより、成形性と機械強度が良好となる。
融点は、下限が好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上であり、上限が好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、特に好ましくは150℃以下である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
固有粘度(IV)は、通常0.6dL/g以上、好ましくは0.8dL/g以上、より好ましくは1.0dL/g以上であり、上限が通常1.8dL/g以下、好ましくは1.6dL/g以下、より好ましくは1.4dL/g以下である。固有粘度が小さすぎると、得られる木質ボードの機械物性が低下する可能性があり、また固有粘度が大きすぎると、成形加工時に溶融粘度が高くなりすぎ、押出機負荷が上がるため生産性が落ちる可能性がある。なお、本明細書において、固有粘度(IV)は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において測定した値に基づくものである。
また、脂肪族ポリエステルの物性は、特段の記載がない場合、<脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル>の項に記載された上記物性と同様である。
脂肪族ポリエステル中の、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの含有割合は特に限定されないが、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは96質量%以上であり、一方上限は特に限定されないが、100質量%であることが好ましい。脂肪族ポリエステル中に脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルが上記範囲で含まれることで、本発明の接着剤を含む木質ボードの機械物性が向上する傾向にある。
<脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル>
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの脂肪
族オキシカルボン酸単位を与える成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。また、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物も本発明において脂肪族オキシカルボン酸に包含される。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸が好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ4−ヒドロキシブチレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレエート)、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。これらの中でポリ乳酸が特に好ましい。
ポリ乳酸に含まれる乳酸の構成としては、モル比で、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15、または0:100〜15:85であることが好ましい。また、D−乳酸とL−乳酸との構成割合が異なった他のポリ乳酸をブレンドすることも可能である。D−乳酸のみ、または、L−乳酸のみを構成単位とするポリ乳酸は結晶性樹脂となり、融点が高く、耐熱性、機械的物性に優れる傾向にある。
さらには、ポリ乳酸は、前述のポリ乳酸と、他のオキシカルボン酸との共重合体であってもよく、また少量の鎖延長剤に由来する単位を含んでいてもよい。他のオキシカルボン酸としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族オキシカルボン酸類、およびカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。このような他のオキシカルボン酸に由来する単位は、ポリ乳酸の全構成単位中15モル%以下で使用するのがよい。
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル、例えばポリ乳酸は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法(特開平9−151244号公報、特開平8−12750号公報、国際公開第00/078839号等に記載の方法)で製造することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドと、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸を得ることができる。なお、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、D−乳酸およびL−乳酸の2量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合し、重合することによって任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸を得ることもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、ネイチャーワークス社製ポリ乳酸「Ingeo」(登録商標)などが挙げられる。
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの重量
平均分子量(Mw)は、下限が好ましくは60,000以上、より好ましくは80,000以上、特に好ましくは100,000以上であり、上限が好ましくは700,000以下、より好ましくは400,000以下、特に好ましくは300,000以下である。重量平均分子量が60,000より小さいと得られる木質ボードの機械物性や耐熱性等の実用物性が劣る傾向があり、また700,000より大きいと溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る傾向がある。
脂肪族ポリエステル中の、脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの含有割合は、上限が好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。下限は特に限定されず特に含有していなくともよいが、含有する場合は通常0.1質量%以上である。脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの含有割合を上記範囲とすることにより、加水分解性が向上する場合がある。
<脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステル>
脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステルは、前記式(1)で表される脂肪族ジオ−ル単位、前記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。さらに前述のオキシカルボン酸単位を有していてもよい。
−OC−R31−CO− (3)
[式(3)中、R31は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオール及び式(2)の脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分については、前述の<脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル>の説明で例示したものと同様であり、好ましいものも同様である。
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらは酸無水物であってもよい。また、芳香族ジカルボン酸の誘導体として、これらの芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル等も挙げられる。これらの中で、テレフタル酸、イソフタル酸、又はそれらの低級アルキル(例えば炭素数1〜4のアルキル)エステル誘導体が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。特にテレフタル酸及び/又はテレフタル酸のメチルエステルか、テレフタル酸及び/又はテレフタル酸のメチルエステルとイソフタル酸及び/又はイソフタル酸のメチルエステルとを含有する混合物が好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステルの具体例としては、ポリブチレンアルキレートテレフタレートが好ましく、ポリブチレンアジペートテレフタレートまたはポリブチレンサクシネートテレフタレートがより好ましく、ポリブチレンアジペートテレフタレートが特に好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステルは、公知の方法(特開2008−31457号公報、特開2008−31456号公報、特開2001−26643号公報等に記載の方法)で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下で
の重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によって製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステルとして使用可能な製品(市販品)としては、BASF社製ポリブチレンテレフタレートアジペート樹脂「ECOFLEX」(登録商標)などが挙げられる。
脂肪族ポリエステル中の、脂肪族芳香族ポリエステルの含有割合は、上限が好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限は特に限定されず特に含有していなくともよいが、含有する場合は通常0.1質量%以上である。含有割合を上記範囲とすることにより、加水分解性が向上する場合がある。
本発明の木質ボードには、脂肪族ポリエステルの1種のみが含まれていてもよく、例えば、ジオール単位やジカルボン酸単位の異なる脂肪族ポリエステルの2種以上が含まれていてもよい。
本発明の木質ボードが、脂肪族ポリエステルを含有することで、乾燥・湿潤環境下での曲げ強度、剥離強度が向上する理由は明らかでないが、以下の様に推測する。
通常、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルは末端カルボキシル基を有していることが知られている。また、リグノセルロース系材料の表面にはセルロース由来の末端ヒドロキシ基が存在することが知られている。
本発明において、アミン系接着剤を用いた場合は、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基と、アミン化合物が反応し、アミド結合を形成すると共に、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基とリグノセルロース表面の末端ヒドロキシ基が反応しエステル結合を形成すると考えられる。
上記反応によって、アミン系接着剤とリグノセルロース系材料が脂肪族ポリエステルを介して強固に結合し、本発明の効果が得られたと考えられる。
また、フェノール系接着剤を用いた場合も同様に、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基と、フェノール化合物中の末端ヒドロキシ基が反応し、エステル結合を形成すると共に、脂肪族ポリエステルの末端カルボキシル基とリグノセルロース表面の末端ヒドロキシ基が反応しエステル結合を形成すると考えられる。
上記反応によって、フェノール系接着剤とリグノセルロース系材料が脂肪族ポリエステルを介して強固に結合し、本発明の効果が得られたと考えられる。
<脂肪族ポリエステルの形態>
脂肪族ポリエステルは、粒子状又は繊維状で用いることが、リグノセルロース系材料と混合する際に、均一に分散が可能になる点から好ましく、特に脂肪族ポリエステルが粒子状であるとリグノセルロース系材料の空孔内に均一に分散し、得られる木質ボードの機械強度が向上する傾向にある点からより好ましい。また、脂肪族ポリエステル粒子と脂肪族ポリエステル繊維とを併用してもよい。
<脂肪族ポリエステル粒子>
脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径は、通常1000μm以下、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下であり、一方下限は特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上である。脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径が上記上限以下であると木質ボード表面に脂肪族ポリエステル由来の染みやにじみが発生しにくい傾向にある。一方、脂肪族ポリエステル粒
子の平均粒子径が上記下限以上であると、リグノセルロース系材料との混合時に脂肪族ポリエステル粒子がリグノセルロース系材料の細孔内に導入されやすく、得られる木質ボードの機械物性が向上する傾向にある。
脂肪族ポリエステル粒子の粒子径分布は、通常1.35以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.8以上であり、一方上限は特に限定されないが、通常30以下、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。脂肪族ポリエステル粒子の粒子径分布が上記範囲内であると、得られる木質ボードの湿潤時の機械物性が向上すると共に、吸水膨張性が低下(改善される)する傾向がある。
本発明における平均粒子径とは、下記レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて下記の条件で粒子の全体積の累積分布を求めたとき、体積の累積分布が50%となる粒子径(D50)を意味する。
また、本発明における粒子径分布は、平均粒子径と同様の測定方法で全体積の累積分布を求め、体積の累積分布が10%(D10)、50%(D50)、90%(D90)となる粒子径を下記式(4)に代入し計算された値である。
粒子径分布=(D90−D10)/D50 (4)
使用装置:マイクロトラック MT3300EX II [日機装(株)]
前処理 :ビーカーに試料を入れ、分散剤を含有する水溶液を加えてなじませた後、超音波にて2分間分散させ、これをサンプル液とする。
測定回数 :2回
粒子透過性:透過
粒子屈折率:1.60
溶媒 :水
溶媒屈折率:1.333
脂肪族ポリエステル粒子は、好ましくは後述の分級設備で一定サイズ以上の粒子を除去したものであることが好ましい。
具体的には、分級粒子径(細粉側最大粒子径)が1500μm以下の脂肪族ポリエステル粒子が好ましく、より好ましくは1000μm以下である。この分級粒子径が大きすぎると、木質ボード表面で生じるシミや着色等の外観不良の原因となる傾向にある。
脂肪族ポリエステルの分級粒子径(細粉側最大粒子径)とは、脂肪族ポリエステル粒子中の最大粒子径を意味し、具体的には脂肪族ポリエステル粒子をメッシュを用いて分級した場合、JIS−Z 8801−1に規定される該メッシュの目開き(基準寸法)の値が分級粒子径となる。
上記のような好適な平均粒子径及び粒子径分布の脂肪族ポリエステル粒子を用いることで、乾燥・湿潤環境下での曲げ強度、剥離強度、耐吸水膨張率及び外観に優れた木質ボードを製造することができる傾向がある。
<脂肪族ポリエステル粒子の製造方法>
脂肪族ポリエステル粒子の製造は公知の技術を用いて行うことができるが、例えば懸濁重合、乳化重合によって直接粒子を製造する方法、脂肪族ポリエステルを粉砕加工する方法、脂肪族ポリエステルを乳化剤及び分散媒と共に混合機に導入し、エマルジョン溶液を製造する方法等がある。また、上記方法によって粒子を製造する際に、粉砕後の脂肪族ポリエステル粒子にメッシュ等の分級設備を通すことで得られる脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径、粒子径分布、分級粒子径を制御することができる。
脂肪族ポリエステル粒子中に乳化剤や重合開始剤等が残留していると、木質ボード製造時に接着剤との予期せぬ化学反応が生じる恐れがあることから、脂肪族ポリエステルを粉砕加工する方法が好ましく用いられる。
脂肪族ポリエステルの粉砕加工は、公知の技術を用いて行うことができる。粉砕加工機の好ましい具体例として、リンレックスミル、ピンミル、ディスクミル、ボールミル、ターボミル等の各種粉砕機が挙げられる。
なお、粉砕された粉砕物を分級し、所望の粒度に制御した脂肪族ポリエステル粒子を製造することもできる。例えば、過大な粒度の粉砕物が多く生成した場合、篩振とう機等の分級機構を使用して分級後、十分に微細化された粉体のみを選別する方法を併用してもよい。なお、過大な粒度の粉砕物を、再度上記のミルに投入して粉砕し、合わせて使用することもできる。
また、粉砕時の樹脂の溶融を防止する目的で、原料槽や粉砕機を液体窒素等の冷媒で冷却する方法、水を加えた湿式下での粉砕方法も好ましく用いられる。
脂肪族ポリエステルは、剪断熱によって樹脂の溶融軟化が生じやすいため、凍結粉砕装置を用いて粉砕することが好ましい。上記凍結粉砕装置としては、液体窒素等の超低温冷媒による冷却部と粉砕部と粒度調整部とを兼ね備えるホソカワミクロン社製リンレックスミル LX(商品名)が好ましく用いられる。
凍結粉砕を行う場合の粉砕機の温度は通常脂肪族ポリエステルのガラス転移温度以下、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−40℃以下、更に好ましくは−60℃以下であり、一方下限は通常−200℃以上、好ましくは−195℃以上、より好ましくは−180℃以上、更に好ましくは−150℃以上である。上記温度範囲で粉砕を行うと脂肪族ポリエステルが低温脆化した状態で粉砕されるため、粉砕時の発熱が抑制され、熱的変性が生じにくいことから、熱による凝集を抑制し微細に粉砕することができる傾向にある。
<脂肪族ポリエステル繊維>
脂肪族ポリエステルが繊維状である場合、脂肪族ポリエステル繊維の平均繊維径は10〜1500μmで、平均繊維長は0.1〜10mm程度であることが好ましい。
脂肪族ポリエステル繊維の平均繊維径が上記範囲内であると、リグノセルロース材と脂肪族ポリエステル繊維が絡み合い、得られる木質ボードの機械物性が向上する傾向にある。
脂肪族ポリエステル繊維の平均繊維長が上記上限以下であるとリグノセルロース系材料と均一に分散し、得られる木質ボードの機械物性が向上する傾向にあり、上記下限以上であるとハンドリング性に優れる点から好ましい。
ここで、脂肪族ポリエステル繊維の平均繊維径及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡により無作為に選択した10本の脂肪族ポリエステル繊維を観察した実測値の平均値である。
脂肪族ポリエステル繊維は、公知の製造方法に従って脂肪族ポリエステルを紡糸して所定の平均繊維径の脂肪族ポリエステル繊維を得、これを所定の平均繊維長に切断することにより製造することができる。
[熱硬化性樹脂/熱硬化性接着剤]
本発明で用いる熱硬化性樹脂には、フェノール系樹脂及び/又はアミノ系樹脂が含まれ
る必要がある。本発明で用いる熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、レジンシノール樹脂、フェノール−レゾルシノール樹脂等のフェノール系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂等のアミノ系樹脂が挙げられ、これらは1種又は2種以上を含んでもよい。
得られる木質ボードの機械物性の観点から、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂が好ましく用いられ、扱いやすさから尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂がより好ましく用いられる。
上記熱硬化性樹脂はフェノール系化合物及び/又はアミノ系化合物を含む熱硬化性接着剤を反応させることで得ることが出来る。上記熱硬化性接着剤の組成は特に限定されないが、通常、フェノール化合物及び/又はアミン化合物とホルムアルデヒドの混合物が熱硬化性接着剤として用いられる。また、熱硬化性接着剤には必要に応じて公知の硬化剤を含んでいてもよい。
<フェノール系樹脂>
本発明において、フェノール系樹脂とは少なくともフェノール化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られる縮合物である。
フェノール系樹脂の原料として用いてもよいフェノール化合物はフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシビフェニル、ベンジルフェノール、ニトロベンジルフェノール、シアノベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、キシレノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、トリフルオロメチルフェノール、N−(ヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、トリフルオロメチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾニトリル、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、ヘキシルカテコール、ベンジルカテコール、ニトロベンジルカテコール、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、ニトロベンジルレゾルシノール、ハイドロキノン、カフェイン酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸メチル、ジヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾニトリル、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ニトロカテコール、フルオロカテコール、クロロカテコール、ブロモカテコール、トリフルオロメチルカテコール、ニトロレゾルシノール、フルオロレゾルシノール、クロロレゾルシノール、ブロモレゾルシノール、トリフルオロメチルレゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸メチル、トリヒドロキシ安息香酸エチル、トリヒドロキシ安息香酸ベンジル、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾニトリル等が挙げられ、これらの変性物であってもよい。
上記例示したフェノール化合物のうち、得られる木質ボードの機械物性の観点からフェノール、レゾルシノールが好ましく、取り扱い時の作業環境や取り扱い易さより、フェノールが好ましい。
<アミン系樹脂>
本発明において、アミン系樹脂とは少なくともアミン系化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られる縮合物である。
本発明においてアミン化合物とは、アミノ基を有する化合物を意味する。アミン化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等が挙げられ、これらの変性物であってもよい。
上記例示したアミン化合物のうち、得られる木質ボードの機械物性の観点から尿素、メラミンが好ましく、取り扱い時の作業環境や取り扱い易さより、メラミンが含まれることが好ましい。
上記接着剤成分以外にもその他の接着剤成分を含んでいてもよい。その他の接着剤成分として、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等のイソシアネート成分が挙げられる。
[リグノセルロース系材料]
リグノセルロース系材料としては、従来の木質ボードに一般的に使用されているリグノセルロース系材料をいずれも好適に用いることができ、例えば、スギ、ヒノキ、ブナ、カシ、などの木質系材料(針葉樹・広葉樹)や、ケナフ、サイザル麻、イネ、サトウキビ、竹、ミツマタ、コウゾなどの草木類、さらには木綿、キワタ、カボックなどの種子毛繊維に由来する植物性の材料を挙げることができる。また、これらの処理品、誘導体、いわゆる、ナノファイバーセルロース、再生繊維(ビスコース)、半合成繊維(セルロースエステル)等も使用可能である。なお、上記木質系材料には、間伐材、端材、樹皮、廃材や、おが屑、ワラ、パルプ、サトウキビのバガスなど加工によって生成する廃棄材料も含まれる。
リグノセルロース系材料は、得られる木質ボードの機械物性からスギ、ヒノキ、ブナ、カシなどの木質系材料が好ましく用いられる。
リグノセルロース系材料の形状は、特に限定されず、ファイバー状(線状、フィラメント状、短繊維、ステープル、糸状)、チップ状、粉体状(パーティクル、粉末、顆粒)等が用いられる。また、ファイバー状のセルロースとしては、リグノセルロース系材料から製造されたパルプ加工品であるボール紙、新聞紙等の各種廃棄セルロース製品を解繊して得たものを用いることもできる。
リグノセルロース系材料の形状を加工する方法としては、ロータリーカッターによってベニア加工したものを割り箸状に切断してスティックにする方法、フレーカーの回転刃によって丸太を切削してストランドにする方法、一軸破砕機の表面に刃物のついたロールを回転させて木材を破砕する方法、二軸破砕機、衝撃式破砕機等による方法などの公知の方法を用いることができる。
リグノセルロース系材料の含水率は特に限定されないが通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。一般にリグノセルロース系材料は大気中の水分を吸収することから、原料に用いる直前に加熱乾燥することや、乾燥後に密閉し保存しておくことでリグノセルロース系材料を目的の含水率に調整することができる。リグノセルロース系材料の含水率が高すぎると、得られる木質ボードの曲げ強度が低下する傾向にある。なお、リグノセルロース系材料の含水率は、JIS A 5905−2003に従って求めることができる。
[木質ボード]
本発明の木質ボードにおける脂肪族ポリエステルの含有量は、熱硬化性樹脂と脂肪族ポリエステルとの合計に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好
ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、一方上限は通常60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。本発明の木質ボードにおける脂肪族ポリエステルの含有量が多すぎると木質ボードの機械物性が不十分となる傾向となり、少なすぎると、ホルムアルデヒド系接着剤の使用量を減らしながらも高強度の木質ボードを製造するという本発明の目的を達成し得ない傾向にある。
また、本発明の木質ボード中の脂肪族ポリエステルの含有量は、リグノセルロース系材料100重量部に対して、熱硬化性接着剤及び脂肪族ポリエステルを合計で通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、一方上限は通常65重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下である。木質ボード中の熱硬化性接着剤及び脂肪族ポリエステルの合計が上記範囲内であると、優れた機械強度の木質ボードを製造出来る傾向にある。
なお、本発明の木質ボードは、リグノセルロース系材料、熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステル以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂や各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の木質ボードが含有し得るその他の成分としては、例えば、各種多糖類、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、耐加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミナ、ボロンナイトライド等)等が挙げられる。
多糖類としては、具体的には、デキストリンや澱粉が挙げられ、澱粉としては、具体的にはコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉等が挙げられる。上記多糖類は未変性品、変性品のいずれも使用できる。
変性品とは多糖類に対して、化学的、物理的、生物学的等の変性処理を施したものである。化学的変性を行った多糖類としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性した多糖類、特には、水酸基をエーテル化、エステル化反応によって変性した多糖類が好ましく用いられる。また、物理的変性を行った多糖類は、多糖類の結晶化度を変化させ、物理的性質を変化させた多糖類である。また、生物学的変性を行った多糖類は、生物を用いて化学構造等を変化させた多糖類である。木質ボードの機械物性を向上させる観点から、タピオカ澱粉、ハイアミロース澱粉、酸などでアミロース、アミロペクチンを加水分解し低粘度化させた可溶性澱粉が好ましく用いられる。
これらの多糖類を配合することで、得られる木質ボードの機械物性を向上させることができる傾向にある。本発明の接着剤混合物が多糖類を含有する場合、その含有量はリグノセルロース系材料100質量部に対して好ましくは0.1〜70質量部程度である。
離型剤は、特に限定されないが、シリコン系、フッ素系、カルナバワックス系、モンタンワックス系、パラフィン系およびポリエチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、得られた複合材料の二次加工性の点から、ポリエチレン系、カルナバワックス系が好ましく用いられる。
上記のその他の成分の含有量は、その合計で、本発明の木質ボード中に通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
また、本発明の木質ボードが、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性樹脂以外のその他の樹脂を含む場合、その他の樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリールケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、液晶樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体;若しくは共重合体樹脂、ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂、シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂、芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂、シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の木質ボードがこれらのその他の樹脂を含む場合、その含有量は、木質ボードに対して通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であることが好ましく、含まないことが本発明の効果を確実に得る上で更に好ましい。
[木質ボードの製造方法]
熱硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル、リグノセルロース系材料及び必要に応じて用いられるその他の成分を用いて本発明の接着剤混合物を製造する方法は、公知の方法であれば特に限定されず、例えば、撹拌混合、ポンプ混合、押出混合、容器回転混合、粉砕混合等を用いることができる。
この際、熱硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル及びリグノセルロース系材料を用いて接着剤混合物を製造する場合、製造方法は特に限定されず、熱硬化性接着剤とリグノセルロース系材料を混合した後に脂肪族ポリエステルを添加してもよく、脂肪族ポリエステルとリグノセルロース系材料を混合した後に熱硬化性接着剤を添加してもよい。
本発明においては、リグノセルロース系材料と熱硬化性接着剤を均一に混合した後、該混合物に脂肪族ポリエステルを添加し、接着剤混合物を製造することが本発明の効果をより有効に得る上で好ましい。
[加熱加圧成形]
本発明では、上記の接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する。この際、加熱方法は特に限定されず、高周波加熱、コンタクトヒータ、オーブンに投入しての加熱など適宜、選択することができる。加熱は、脂肪族ポリエステルの分解を抑制するため、脂肪族ポリエステルの軟化温度以上でより低い温度が好ましく、本発明の原料混合物を加熱加圧成形する場合の温度は260℃以下、例えば170〜230℃が好ましい。加熱加圧成形温度が260℃を超えるとリグノセルロース系材料の熱劣化や脂肪族ポリエステルの熱分解によって、製造される木質ボードの機械強度が十分に得られない傾向にある。加熱加圧成形時の圧力や加熱加圧時間は適宜選択することができるが、一般的には圧力は1〜15MPa程度、加熱加圧時間は1〜10分程度である。
加熱加圧成形法は、公知の方法でよいが、通常はプレス成形を用いる。プレス成形の条件は特に限定されないが、ホットプレスであると、脂肪族ポリエステルとリグノセルロース系材料が均一に溶融接着されることから好ましい。また、型枠に原料混合物を流し込み仮成形された成形材料(マット)を、脂肪族ポリエステルの軟化温度以上のホットプレス
によって本成形してもよい。また、特に仮成形体を形成せず、所定形状に集合した状態の原料混合物を脂肪族ポリエステルの軟化温度以上に加熱して、予備的に圧縮などした後、更にプレス成形してもよい。
このようにして製造される木質ボードの形状、寸法は、その用途に応じて適宜決定されるが、密度は、通常0.5〜1.0g/cm、特に0.6〜0.9g/cm程度であることが好ましい。木質ボードの密度が上記下限よりも低いと、十分な耐水性や強度を発現することができない場合があり、上記上限よりも高いと、耐水性や強度の面では十分ではあるが、その反面、釘を打ち付け難くなったり、軽量化という面で取り扱いにくくなる傾向にある。
本発明の製造方法により製造された木質ボードは、リグノセルロース系材料、熱硬化性接着剤、脂肪族ポリエステルを原料に含むものであり、吸水性が低く、寸法安定性が良く、水分や湿気を吸収しても曲げ強度の低下が少ないため、屋根下地や床用下地及び壁面等に用いられる建築用部材、床材、家具用部材、キッチン用品や収納庫(クローゼット)等の住宅用設備部材として好適に使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[木質ボードの評価]
(1)曲げ強度
(1−1)常態曲げ強度
JIS A 5908:2003に従って、常態曲げ強さ試験を行った。結果を常態曲げ強度として表示した。
(1−2)湿潤曲げ強度
成形した試料から上記(1−1)と同様の方法で試験片を裁断した。次に試験片を70±3℃の温水中に2時間浸漬し、さらに常温水中に1時間浸漬した後、濡れたままの状態で上記(1−1)と同様に曲げ強度を測定した。
(2)剥離強度
成形した試料から50mm角の試験片を裁断し、上下面をホットメルト接着剤にて治具に固定し、JIS A 5908:2003に従って、試験速度2mm/分で、ボードの芯層における剥離試験を行った。得られた破断点強度を面積で除した値を剥離強度とした。
(3)放散ホルムアルデヒド
JIS A1901に準拠して、放散ホルムアルデヒド量を測定した。
[原料]
<リグノセルロース系材料>
パーティクルボード用表層用木質チップ(含水率約3質量%)(建築廃材:杉、ヒノキ等の混合材)
パーティクルボード用芯層用木質チップ(含水率約3質量%)(建築廃材:杉、ヒノキ等の混合材)
<熱硬化性接着剤>
アミン系接着剤(日本化成製:尿素及びホルムアルデヒドを含む接着剤)
<樹脂>
樹脂:ポリブチレンサクシネート(PBS)(三菱化学(株)製「GS Pla」)
グレード:FZ71PN、融点:115℃、MFR22g/10分
但し、樹脂の融点、MFRは以下の方法により測定した。
融点:示差走査熱量計を用い、10mgのサンプルを流量50mL/分の窒素気流下で加熱溶融させた後、10℃/分の速度で冷却、引き続き10℃/分の速度で昇温する際の融解ピーク温度を融点とした。
MFR:JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重条件下で測定した。
[樹脂粉体の製造]
<製造例1>
樹脂を液体窒素を流通させた凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製 リンレックスミルLX(登録商標))により粉砕した後、得られた粒子を目開き1000μmのメッシュで分級を行い樹脂粉体を製造した。
得られた脂肪族ポリエステル粒子の平均粒子径は365μm、粒子径分布は2.19であった。
[実施例1〜3]
アミン系接着剤14.5質量部、表層用木質チップを絶乾重量にて100質量部を混合して表層用接着剤混合物を得た。
別に、製造例1で得られた樹脂粉体を1.4質量部、アミン系接着剤5.6質量部、芯層用木質チップを絶乾重量にて100質量部混合して芯層用接着剤混合物を得た。
表層用接着剤混合物、芯層用接着剤混合物、表層用接着剤混合物の順に型枠に流し込み、マット(板状に成形した接着剤混合物の積層体)を作製した。次に型枠を取り外した後、マットの両側に15mm角のスペーサ棒を設置し、温度220℃、プレス時間105秒(実施例1)で加熱加圧プレス成形を行い木質ボードを製造した。また、プレス時間以外実施例1と同様の条件で実施例2(プレス時間75秒)、実施例3(プレス時間60秒)の木質ボードを製造した。
得られた木質ボードについて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜3]
表1に記載の製造条件に変更した以外は実施例1と同様の条件で木質ボードを製造した。得られた木質ボードの各種評価結果を表1に示す。
Figure 2017177559
芯層のアミン系接着剤の一部を脂肪族ポリエステルに置き換えた実施例1は、脂肪族ポリエステルを添加しなかった比較例1に比べて、接着剤量が少ないながらも、優れた曲げ
強度、剥離強度を有し、かつ拡散ホルムアルデヒド量が低減されていることが明らかになった。
また、芯層のアミン系接着剤の一部を脂肪族ポリエステルに置き換えた実施例1〜3は、脂肪族ポリエステルを添加しなかった比較例1〜3に比べて、プレス時間が短くとも、十分な機械強度を有する木質ボードが得られることが明らかになった。

Claims (9)

  1. リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂から選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂を含む木質ボード。
  2. 前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルの合計に対して脂肪族ポリエステルを0.1〜60質量%含む請求項1に記載の木質ボード。
  3. リグノセルロース系材料100重量部に対して、前記熱硬化性樹脂及び脂肪族ポリエステルを合計で0.5〜65質量部含む請求項1又は2に記載の木質ボード。
  4. 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である請求項1〜3の何れか1項に記載の木質ボード。
  5. 脂肪族ポリエステルが脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを主たる構成単位として有する請求項1〜4の何れか1項に記載の木質ボード。
  6. 脂肪族ポリエステルがポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートである請求項5に記載の木質ボード。
  7. リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物。
  8. リグノセルロース系材料、脂肪族ポリエステル及び熱硬化性接着剤を含む接着剤混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該熱硬化性接着剤がフェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む木質ボードの製造方法。
  9. 脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である請求項8に記載の木質ボードの製造方法。
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