JP6597050B2 - 木質ボードの製造方法 - Google Patents
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Description
特にリグノセルロース系材料として建築廃材や間伐材を用いることで、環境負荷を軽減することができ、低コストで製造できることが知られている。
しかし、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、リグノセルロース系材料と硬化性接着剤とを混合した後に、脂肪族ポリエステルを添加することで、上記課題を解決することができることが分かり、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[2] 前記硬化性接着剤が、イソシアネート系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む[1]に記載の木質ボードの製造方法。
[3] 前記硬化性接着剤が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェノール、尿素、メラミン、ホルムアルデヒド及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む[2]に記載の木質ボードの製造方法。
[4] 前記脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である[1]〜[3]の何れかに記載の木質ボードの製造方法。
[5] 前記脂肪族ポリエステルが脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とを主たる構成単位として有する[1]〜[4]の何れかに記載の木質ボードの製造方法。
[6] 前記脂肪族ポリエステルがポリブチレンサクシネートである[5]に記載の木質ボードの製造方法。
[7] 前記接着剤混合物への脂肪族ポリエステルの添加量が、前記硬化性接着剤とリグノセルロース系材料との合計100質量部に対して、1〜30質量部である[1]〜[6]の何れかに記載の木質ボードの製造方法。
なお、以下において、加熱加圧成形に供して木質ボードを製造するための硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル及びリグノセルロース系材料を含む原料混合物を「本発明の原料混合物」と称す場合がある。
本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、脂肪族構造(脂環構造を含む)のモル比率が全体構造に対して最大比率となるポリエステル樹脂であれば特に限定されず、例えば、脂肪族構造以外に、部分的に芳香族構造を有する脂肪族芳香族ポリエステルであってもよい。より具体的には、例えば、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル(全脂肪族ポリエステル);脂肪族オキシカルボン酸(オキシカルボン酸)単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステル;脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステル;およびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルが好ましい。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルは、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルである。
[式(1)中、R11は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(2)中、R21は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
脂肪族オキシカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族ポリエステルの脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。また、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物も本発明において脂肪族オキシカルボン酸に包含される。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸が好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、及び芳香族ジカルボン酸単位を主たる構成単位として有する脂肪族芳香族ポリエステルは、前記式(1)で表される脂肪族ジオ−ル単位、前記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。さらに前述のオキシカルボン酸単位を有していてもよい。
[式(3)中、R31は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
本発明で用いる脂肪族ポリエステルは、粒子状又は繊維状であることが、リグノセルロース系材料と混合する際に、均一に分散が可能になる点から好ましく、特に脂肪族ポリエステルが粒子状であるとリグノセルロース系材料の空孔内に分散しやすいことから、得られる木質ボードの機械強度が向上する傾向にある点から好ましい。
なお、脂肪族ポリエステル粒子と脂肪族ポリエステル繊維とを併用してもよい。
脂肪族ポリエステルが粒子状である場合、脂肪族ポリエステル粒子は、平均粒子径が650μm以下で、粒子径分布の値が1.3以上の粒子であることが好ましい。
また、本発明における粒子径分布は、平均粒子径と同様の測定方法で全体積の累積分布を求め、体積の累積分布が10%(D10)、50%(D50)、90%(D90)となる粒子径を下記式(4)に代入し計算された値である。
粒子径分布=(D90−D10)/D50 (4)
前処理 :ビーカーに試料を入れ、分散剤を含有する水溶液を加えてなじませた後、超音波にて2分間分散させ、これをサンプル液とする。
測定回数 :2回
粒子透過性:透過
粒子屈折率:1.60
溶媒 :水
溶媒屈折率:1.333
具体的には、分級粒子径(細粉側最大粒子径)が1500μm以下の脂肪族ポリエステル粒子が好ましく、より好ましくは1000μm以下である。この分級粒子径が大きすぎると、木質ボード表面で生じるシミや着色等の外観不良の原因となる傾向にある。
脂肪族ポリエステル粒子中に乳化剤や重合開始剤等が残留していると、木質ボード製造時に接着剤との予期せぬ化学反応が生じる恐れがあることから、脂肪族ポリエステルを粉砕加工する方法が好ましく用いられる。
また、粉砕時の樹脂の溶融を防止する目的で、原料槽や粉砕機を液体窒素等の冷媒で冷却する方法、水を加えた湿式下での粉砕方法も好ましく用いられる。
脂肪族ポリエステルが繊維状である場合、脂肪族ポリエステル繊維の平均繊維径は10〜1500μmで、平均繊維長は0.1〜10mm程度であることが好ましい。
硬化性接着剤としては、従来の木質ボードに一般的に使用されている硬化性接着剤をいずれも好適に用いることができる。例えば、有機イソシアネート系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物が挙げられ、特に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェノール、尿素、メラミン、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物(例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−メラミン樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等)から選ばれる1種又は2種以上を好ましく用いることができる。
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート;
リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、3,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5―イソシアネートメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネート:
1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;
1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)―ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)―ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネート:
1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼンもしくはその混合物などの芳香族−脂肪族ジイソシアネート;
1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼンなどの芳香族−脂肪族トリイソシアネート:
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIともいう)もしくはその混合物、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDIともいう)もしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエンなどの芳香族トリイソシアネート;
4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネート:
上記ポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(以下、クルードMDIもしくはポリメリックMDIともいう)、及びクルードTDI:
上記ポリイソシアネートやポリイソシアネートの誘導体と、低分子量ポリオール又は低分子量ポリアミンとを、イソシアネート基が残存するように、すなわち、ポリイソシアネート又はその誘導体のイソシアネート基が、低分子量ポリオールの水酸基又は低分子量ポリアミンのアミノ基よりも過剰となる割合で反応させることによって得られるイソシアネートのポリオール変性体やポリアミン変性体:
リグノセルロース系材料としては、従来の木質ボードに一般的に使用されているリグノセルロース系材料をいずれも好適に用いることができ、例えば、スギ、ヒノキ、ブナ、カシ、などの木質系材料(針葉樹・広葉樹)や、ケナフ、サイザル麻、イネ、サトウキビ、竹、ミツマタ、コウゾなどの草木類、さらには木綿、キワタ、カボックなどの種子毛繊維に由来する植物性の材料を挙げることができる。また、これらの処理品、誘導体、いわゆる、ナノファイバーセルロース、再生繊維(ビスコース)、半合成繊維(セルロースエステル)等も使用可能である。なお、上記木質系材料には、間伐材、端材、樹皮、廃材や、おが屑、ワラ、パルプ、サトウキビのバガスなど加工によって生成する廃棄材料も含まれる。
リグノセルロース系材料は、得られる木質ボードの機械物性からスギ、ヒノキ、ブナ、カシなどの木質系材料が好ましく用いられる。
本発明では、まず、硬化性接着剤とリグノセルロース系材料とを混合して接着剤混合物を得、この接着剤混合物に脂肪族ポリエステルを添加して本発明の原料混合物とする。
硬化性接着剤と脂肪族ポリエステルとの合計の含有量は、リグノセルロース系材料100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。一方、硬化性接着剤と脂肪族ポリエステルとの合計の含有量は、リグノセルロース系材料100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
本発明の原料混合物は、リグノセルロース系材料と硬化性接着剤と脂肪族ポリエステルを必須成分とするものであるが、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。また、脂肪族ポリエステル以外の樹脂が含まれていてもよい。
変性品とは多糖類に対して、化学的、物理的、生物学的等の変性処理を施したものである。化学的変性を行った多糖類としては、炭水化物(多糖類)の構成単位の一部または全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性した多糖類、特には、水酸基をエーテル化、エステル化反応によって変性した多糖類が好ましく用いられる。また、物理的変性を行った多糖類は、多糖類の結晶化度を変化させ、物理的性質を変化させた多糖類である。また、生物学的変性を行った多糖類は、生物を用いて化学構造等を変化させた多糖類である。木質ボードの機械物性を向上させる観点から、タピオカ澱粉、ハイアミロース澱粉、酸などでアミロース、アミロペクチンを加水分解し低粘度化させた可溶性澱粉が好ましく用いられる。
組成物中の含水量を調整する場合は、リグノセルロース系材料の含水量を調整してもよいし、組成物の製造時に水を添加してもよい。
本発明では、硬化性接着剤とリグノセルロース系材料を混合して接着剤混合物を得、該接着剤混合物に脂肪族ポリエステルを添加して原料混合物を調製する必要がある。
しかしながらリグノセルロースは不溶不融の固体であることから、イソシアネート系化合物とリグノセルロースの表面水酸基との反応効率は十分に高くないことが考えられる。
一方、脂肪族ポリエステルは、イソシアネート系化合物と反応しうる水酸基およびリグノセルロース系材料の表面水酸基と反応しうるカルボン酸基を有しており、かつ熱可塑性であることから、溶融時は官能基が自由に運動でき、イソシアネート系化合物との反応性はリグノセルロースより高いことが予想される。
以上のことから脂肪族ポリエステルは、硬化性接着剤成分とリグノセルロース系材料の接着の仲介をしていることが推測される。
そのため、脂肪族ポリエステルは、リグノセルロース系材料の表面や細孔内に均一に分散していることが好ましいが、特許文献3のようにリグノセルロース系材料と脂肪族ポリエステルをドライブレンドした後、接着剤をスプレーするといった方法では、脂肪族ポリエステル粒子がリグノセルロース系材料の表面や細孔内に均一に分散されないことから、得られる木質ボードの機械物性が不十分となると考えられる。また、ドライブレンド時の撹拌によって脂肪族ポリエステル粒子が偏析されてしまい、その後接着剤の添加工程では、リグノセルロース系材料の表面や細孔内に十分に分散できなくなる可能性もある。
これに対して、本発明の木質ボードの製造方法のように、まず、リグノセルロース系材料と硬化性接着剤との混合物(接着剤混合物)を調製した後、脂肪族ポリエステルを添加することで、この接着剤混合物に対して脂肪族ポリエステルが均一に分散すると共に、リグノセルロース系材料の細孔構造に効率的に充填され、優れた曲げ強度の木質ボードが得られるようになると考えられる。
この際、硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル及びリグノセルロース系材料以外のその他の成分を用いる場合、添加方法は特に限定されず、硬化性接着剤とリグノセルロース系材料の混合時に添加してもよく、脂肪族ポリエステルと混合した後に接着剤混合物に添加してもよい。
水を含めて、脂肪族ポリエステル以外の原材料は、予めリグノセルロース系材料と共に十分に混合して均一な混合物とした後、得られた混合物に硬化性接着剤を添加して十分に均一に混合して接着剤混合物とし、その後、この接着剤混合物に脂肪族ポリエステルを添加して均一に混合することが、脂肪族ポリエステルの後添加による本発明の効果をより有効に得る上で好ましい。
本発明では、上記の本発明の原料混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する。この際、加熱方法は特に限定されず、高周波加熱、コンタクトヒータ、オーブンに投入しての加熱など適宜、選択することができる。加熱は、脂肪族ポリエステルの分解を抑制するため、脂肪族ポリエステルの軟化温度以上でより低い温度が好ましく、本発明の原料混合物を加熱加圧成形する場合の温度は260℃以下、例えば170〜230℃が好ましい。加熱加圧成形温度が260℃を超えるとリグノセルロース系材料の熱劣化や脂肪族ポリエステルの熱分解によって、製造される木質ボードの機械強度が十分に得られない傾向にある。加熱加圧成形時の圧力や加熱加圧時間は適宜選択することができるが、一般的には圧力は1〜15MPa程度、加熱加圧時間は1〜10分程度である。
成形した試料から幅40mm、長さ275mm(スパン200mm)に試験片を裁断し、JIS A 5908:2003に従って、試験速度10mm/分で、曲げ強さ試験を行った。結果を曲げ強度として表示した。
<リグノセルロース系材料>
パーティクルボード用表層用木質チップ(含水率約3質量%)(建築廃材:杉、ヒノキ等の混合材)
パーティクルボード用芯層用木質チップ(含水率約3質量%)(建築廃材:杉、ヒノキ等の混合材)
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(三井化学製:コスモネートM−200)
パラフィンワックス(中京油脂社製:セロゾールP−203)
樹脂1:ポリブチレンサクシネート(PBS)(三菱化学(株)製「GS Pla」)
グレード:AZ71TN、融点:110℃、MFR:22g/10分、
融点:示差走査熱量計を用い、10mgのサンプルを流量50mL/分の窒素気流下で加熱溶融させた後、10℃/分の速度で冷却、引き続き10℃/分の速度で昇温する際の融解ピーク温度を融点とした。
MFR:JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重条件下で測定した。
樹脂1を液体窒素を流通させた凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製 リンレックスミルLX(登録商標))により粉砕した後、得られた粒子を目開き1000μmのメッシュで分級を行い、平均粒径270μmの樹脂粉体1を製造した。
<表層用組成物>
表層用木質チップを絶乾重量で100質量部、パラフィンワックス0.5質量部、水11質量部を混合し、水分量を調整した木質チップ混合物を製造した。次に木質チップ混合物にポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート4.8質量部を加えた後、均一になるまで撹拌を行い、接着剤混合物を製造した。
最後に前記接着剤混合物に、樹脂粉体1を1.2質量部加えた後、均一になるまで混合し、表層用組成物(原料混合物)を得た。
芯層用木質チップを絶乾重量で100質量部、パラフィンワックス0.3質量部、水4質量部を混合し、水分量を調整した木質チップ混合物を製造した。次に木質チップ混合物にポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート3.6質量部を加えた後、均一になるまで撹拌を行い、接着剤混合物を製造した。
最後に前記接着剤混合物に、樹脂粉体1を0.8質量部添加した後、均一になるまで混合し、芯層用組成物(原料混合物)を得た。
表層用組成物、芯層用組成物、表層用組成物の順に縦28cm、横26cmの型枠に流し込み、マットを作製した。次に型枠を取り外した後、マットの両側に1.6mm角のスペーサ棒を設置し、温度210℃、圧力30kg/cm2(約3MPa)、時間3分で加熱加圧プレス成形を行い木質ボードを製造した。なおフォーミング比率(表層/芯層/裏層)は20/60/20(質量%)とした。また木質ボードの密度は0.75g/cm3になるよう調整した。得られた木質ボードの評価結果を表2に示す。
<表層用組成物>
表層用木質チップを絶乾重量で100質量部、パラフィンワックス0.5質量部、水11質量部を混合し、水分量を調整した木質チップ混合物を製造した。
次に木質チップ混合物に樹脂粉体1を1.2質量部添加した後混合し、粉体混合物を製造した。最後に前記粉体混合物に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート4.8質量部を加えた後、均一になるまで混合し、表層用組成物を製造した。
芯層用木質チップを絶乾重量で100質量部、パラフィンワックス0.3質量部、水4質量部を混合し、水分量を調整した木質チップ混合物を製造した。
次に木質チップ混合物に樹脂粉体1を0.8質量部添加した後混合し、粉体混合物を製造した。最後に前記粉体混合物に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート3.6質量部を加えた後、均一になるまで混合し、芯層用組成物を製造した。
上記原料混合物を用いて、実施例1と同様の条件で木質ボードを製造した。また木質ボードの密度は0.75g/cm3になるよう調整した。得られた木質ボードの評価結果を表2に示す。
樹脂粉体、接着剤、WAX、および水分量を表1に記載の量とし、木質ボードの密度を0.8g/cm3とした以外は実施例1と同様の条件で木質ボードを製造した。得られた木質ボードの評価結果を表2に示す。
<表層用組成物>
表層用木質チップを絶乾重量で100質量部、パラフィンワックス0.5質量部、水11質量部、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート6.4質量部、樹脂粉体1の1.6質量部を均一になるまで混合し、表層用組成物を得た。
芯層用木質チップを絶乾重量で100質量部、パラフィンワックス0.3質量部、水4質量部、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート4.8質量部、樹脂粉体1の1.2質量部を均一になるまで混合し、芯層用組成物を得た。
上記原料混合物を用いて、実施例1と同様の条件で木質ボードを製造した。また木質ボードの密度は0.8g/cm3になるよう調整した。得られた木質ボードの評価結果を表2に示す。
接着剤、WAX、および水分量を表1に記載の量とし、樹脂粉体を添加しなかった以外は実施例2と同様の条件で木質ボードを製造した。得られた木質ボードの評価結果を表2に示す。
Claims (5)
- 硬化性接着剤、脂肪族ポリエステル及びリグノセルロース系材料を含む原料混合物を加熱加圧成形して木質ボードを製造する方法であって、該脂肪族ポリエステルがポリブチレンサクシネートであり、硬化性接着剤とリグノセルロース系材料を混合して接着剤混合物を得、該接着剤混合物に脂肪族ポリエステルを添加して原料混合物とする木質ボードの製造方法。
- 前記硬化性接着剤が、イソシアネート系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、ホルムアルデヒド及びこれらの化合物の縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の木質ボードの製造方法。
- 前記硬化性接着剤が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェノール、尿素、メラミン、ホルムアルデヒド及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種を含む請求項2に記載の木質ボードの製造方法。
- 前記脂肪族ポリエステルが粒子又は繊維である請求項1〜3の何れか1項に記載の木質ボードの製造方法。
- 前記接着剤混合物への脂肪族ポリエステルの添加量が、前記硬化性接着剤とリグノセルロース系材料との合計100質量部に対して、1〜30質量部である請求項1〜4の何れか1項に記載の木質ボードの製造方法。
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