JP2007196384A - 植物繊維ボード - Google Patents

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Abstract

【課題】植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとした、高い耐熱性と機械的特性を有する植物繊維ボードを提供する。
【解決手段】植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとする植物繊維ボードに関する。100℃で30分間加熱した後の不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸エマルジョンを用い、ポリ乳酸エマルジョンを含有するリグノセルロース繊維基材をポリ乳酸の溶融温度以上の温度でプレス成形して、植物繊維ボードを作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとする植物繊維ボードに関するものである。
近年、地球温暖化などの環境問題に対する関心が高まるにつれ、MDFやパーティクルボード等の建築用ボードについて、その基材として木材以外の材料、例えば今まで未利用資源となっていた植物繊維を用いることが検討され、各種の提案がなされている(例えば特許文献1等参照)。
そしてこのような植物繊維を基材とする植物繊維ボードにおいて、基材同士を接着するバインダーについては、ユリア・メラミン・フェノール樹脂などが一般に用いられているが、室内環境問題の高まりにより、ホルムアルデヒド放散量の少ないユリア・メラミン・フェノール樹脂の使用が進められており、さらには全くホルムアルデヒドを含まない樹脂をバインダーとして用いる検討も行なわれている。そして、これらの一般に用いられる樹脂は石油由来の材料であるため、低エミッションでかつカーボンニュートラルな植物由来成分の分解物を重合して得られる樹脂をバインダーとして用いる検討が始まっている。
中でも、植物由来成分の分解物の一種である乳酸を重合して得られるポリ乳酸は、他の植物由来樹脂と比較して物性の高い樹脂の一つであり、大量生産も可能でコストも比較的低いために有用性が高いものである。そしてポリ乳酸は全くホルムアルデヒドを含まないため、ポリ乳酸をエマルジョン化してバインダーとして用いる検討が始まっている。
特許第3399394号公報
しかし、市販のポリ乳酸エマルジョンをバインダーとして用いて植物繊維ボードを作製した場合、常温時の強度は確保できるものの、ポリ乳酸のガラス転移温度を超える高温時にはポリ乳酸が軟化し、強度が低下してしまう。このため、ポリ乳酸エマルジョンをバインダーとして用いた植物繊維ボードは、高温にならない条件下でしか使用できないという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとした、高い耐熱性と機械的特性を有する植物繊維ボードを提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る植物繊維ボードは、植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとする植物繊維ボードであって、100℃で30分間加熱した後の不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸エマルジョンを用い、ポリ乳酸エマルジョンを含有するリグノセルロース繊維基材をポリ乳酸の溶融温度以上の温度でプレス成形して得られたものであることを特徴とするものである。
ポリ乳酸の溶融温度以上でプレス成形を行なうことによって、ポリ乳酸エマルジョンに含有されている水を蒸発させると共に、バインダーであるポリ乳酸が溶融して基材であるリグノセルロース繊維との密着性が向上し、機械的特性の高いボードが得られるものであり、またプレス成形後は、リグノセルロース繊維の表面の微細な構造が、不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸の結晶核剤として作用し、自然放冷でポリ乳酸が結晶化するものであり、この結果、ポリ乳酸のガラス転移温度(50〜60℃程度)を超える高温時にもポリ乳酸の結晶が保持され、成形したボードの高温時の強度を高く保持できて高い耐熱性を得ることができるものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、リグノセルロース繊維の含有比率が、30質量%以上95質量%以下であることを特徴とするものであり、ポリ乳酸とリグノセルロース繊維との密着性が向上し、機械的特性の高いボードを得ることができるものである。
すなわち、リグノセルロース繊維の比率が30質量%未満では、バインダーに比べて基材である繊維の量が少な過ぎ、また95質量%を超えると、繊維に比べてバインダーの量が少な過ぎるためにリグノセルロース繊維とポリ乳酸との結合が弱くなり、いずれも良好な機械的特性を得ることが困難となるものである。
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、ボード密度が200kg/m以上1000kg/m以下であることを特徴とするものであり、ポリ乳酸とリグノセルロース繊維との密着性が向上するとともに、プレス成形を行った後にそのまま自然に放冷しても、徐々に温度が低下してポリ乳酸が結晶化し、成形したボードの高温時の強度をさらに高く保持できるものである。
すなわち、ボードの密度が1000kg/mを超える場合、ボードの熱伝導率が高いため、プレス成形を行なった後にそのまま自然に放冷すると急速に冷却され、ポリ乳酸の結晶化が充分に進まないまま固化しやすいものであり、成形したボードの高温時の強度が低下するおそれがある。逆にボードの密度が200kg/m未満である場合、リグノセルロース繊維とポリ乳酸との結合が弱くなり、良好な機械的特性を得ることが困難となる。
本発明によれば、植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとし、高い耐熱性と機械的特性を有する植物繊維ボードを得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
ポリ乳酸は、トウモロコシやサツマイモなどから得られるデンプンや木本植物などから得られるセルロースを原料とし、これを乳酸発酵して得た乳酸を脱水縮合することによって得られる熱可塑性樹脂である。このポリ乳酸を塗工用途や接着用途に用いるために、本来は水に溶けないポリ乳酸をミクロンオーダーの粒子にして乳化分散させたポリ乳酸エマルジョンが市販されている。ポリ乳酸はL−体、D−体の光学異性体を有しており、D−体とL−体の混合比率により結晶性が変化する。
2005年の時点で市販されているポリ乳酸エマルジョンに使用されているポリ乳酸は、低温度で塗工等が可能なように結晶性が低いものが多いが、本発明ではポリ乳酸エマルジョンとして結晶性の高いものを用いる。ポリ乳酸エマルジョンは、各メーカーの製品安全データシート(MSDS)によると、ポリ乳酸と水および微量のその他の成分から構成されており、このその他の成分は乳化剤を含むものと考えられる。そしてポリ酢酸エマルジョンを100℃で30分加熱した後に残る不揮発分はポリ乳酸と微量のその他の成分からなり、これを示差走査熱量分析(DSC)することによって、ポリ乳酸の結晶性の指標である融解熱を測定することができる。
そして本発明では、100℃で30分加熱した後の不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸エマルジョンを用いるものである。ポリ乳酸エマンルジョンに含有されるポリ乳酸は融解熱が高いほど結晶性が高いので、このように融解熱が20J/g以上で結晶性の高いポリ乳酸をバインダーとすることによって、耐熱性の高い植物繊維ボードを得ることが可能になるものである。不揮発分の融解熱は高いほど望ましく、融解熱の上限は特に設定されないが、実用上、融解熱の上限は100J/g程度である。
しかし、ポリ乳酸は単独では結晶化速度が遅いという特性を有する。ポリ乳酸を加熱溶融させた後、ゆっくり冷却することによって、結晶化は進むはずであるが、不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸エマルジョンを、ポリ乳酸の溶融温度以上の温度で加熱した後、1分間に5℃の冷却速度でゆっくり冷却した場合でも、ポリ乳酸は結晶化しない。勿論、1分間に5℃以上の冷却速度で急速に冷却した場合には、ポリ乳酸は結晶化しないで凝固し、非晶(ガラス)状態になる。ポリ乳酸は結晶化しないでも固化するので、このポリ乳酸をバインダーとしてボードを成形することは可能であるが、ポリ乳酸のガラス転移温度(50〜60℃程度)を超える高温でボードが使用されると、ポリ乳酸が軟化してボードの強度が低下してしまうことになる。
また、100℃で30分加熱した後の不揮発分の融解熱が20J/g未満であるポリ乳酸エマルジョンを用いた場合には、ポリ乳酸の溶融温度以上の温度で加熱した後、1分間に5℃未満の速度でゆっくり冷却すると、結晶性は低いがポリ乳酸は結晶化し、ボードは成形可能であるが、ポリ乳酸のガラス転移温度(50〜60℃程度)を超える高温時には結晶性の低いポリ乳酸は軟化し、強度が低下してしまう。
ここで、本発明では、植物から得られるリグノセルロース繊維を基材として用いている。そしてリグノセルロース繊維は表面が微細な構造に形成されているので、リグノセルロース繊維の微細構造の表面がポリ乳酸の結晶核剤として作用し、ポリ乳酸の結晶化が促進される。従って、リグノセルロース繊維基材に不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸エマルジョンを含浸等し、これをポリ乳酸の溶融温度以上の温度で加熱プレスして成形した後、冷却すると、ポリ乳酸が結晶化し、結晶化したポリ乳酸をバインダーとして植物繊維ボードを成形することができるものである。植物繊維ボードはポリ乳酸をバインダーとしてリグノセルロース繊維同士を接着して形成されているものであり、バインダーのポリ乳酸が結晶化していることによって、ポリ乳酸のガラス転移温度(50〜60℃程度)を超える高温で植物繊維ボードを使用した際にも、ポリ乳酸の結晶が保持されるものであり、植物繊維ボードの高温時の強度を高く保持できて高い耐熱性を得ることができるものである。
本発明で用いるリグノセルロース繊維としては、その主成分がセルロースとリグニンからなるものが使用可能である。具体的には、ケナフ、亜麻、ラミー、大麻、ジュート等の麻類植物の靭皮から採取される繊維、マニラ麻やサイザル麻等の麻類植物の茎又は葉の筋から採取される繊維や、木材繊維を挙げることができる。これらの繊維は、セルロースとリグニンのほか、ヘミセルロースやペクチン等の成分で構成されている。ここで挙げた植物繊維のうち、麻類植物の繊維は、結晶性で強度の高いセルロースの比率が60質量%以上と木材繊維の30〜50質量%より高く、繊維としての強度が高い。またこれらの植物からは、レッティングと呼ばれる浸水処理および物理的な解繊処理により、長さが20mm以上、直径が30〜200μmの繊維が容易に得られる。これらの繊維は長さが1〜20mm、直径が10〜30μmの単繊維細胞から構成されており、パルプ化等の化学処理によって、単繊維化することができる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、上記のいずれかの処理で得られる繊維の他、繊維状または紡糸処理により糸状にされたものであればよく、これらに限定されるものではない。またリグノセルロース繊維をシート状、不織布、織布に加工したものを用いるようにしても良い。
ここで、基材であるリグノセルロース繊維にバインダーとしてポリ乳酸エマルジョンを含有させる方法については、特に限定されないが、具体的には、ポリ乳酸エマルジョンをリグノセルロース繊維にスプレーする方法、またはポリ乳酸エマルジョン中にリグノセルロース繊維を含浸する方法などを挙げることができる。
リグノセルロース繊維にポリ乳酸エマルジョンを含有させるにあたって、成形された植物繊維ボードにおけるリグノセルロース繊維の含有比率が30質量%以上95質量%以下になるように、ポリ乳酸エマルジョンの含有量を調整するのが好ましい。リグノセルロース繊維の比率が30質量%未満では、バインダーに比べて基材であるリグノセルロース繊維の量が少な過ぎることになり、またリグノセルロース繊維の比率が95質量%を超えると、リグノセルロース繊維に比べてバインダーであるポリ乳酸の量が少な過ぎることになり、リグノセルロース繊維とポリ乳酸との結合が不十分になる。従って、リグノセルロース繊維の含有比率が30質量%以上95質量%以下になるようにすることによって、ポリ乳酸とリグノセルロース繊維との密着性が向上し、機械的特性の高い植物繊維ボードを得ることができるものである。
そして、リグノセルロース繊維にポリ乳酸エマルジョンを含浸等して含有させた後、加熱プレスして成形することによって、植物繊維ボードを得ることができる。この成形において、プレス圧力、プレス時間などのプレス条件は、成形するボード厚さや、ポリ乳酸エマルジョン中の水の量などに応じて適宜調整されるが、プレスの際の加熱温度は、使用するポリ乳酸エマルジョンのポリ乳酸の溶融温度以上の温度に設定されるものである。ポリ乳酸の溶融温度はポリ乳酸エマルジョンの種類により異なるが、140℃〜180℃程度である。このようにポリ乳酸の溶融温度以上でプレス成形を行なうことによって、ポリ乳酸エマルジョンに含有されている水を蒸発させるとともに、ポリ乳酸が溶融して基材であるリグノセルロース繊維との密着性が向上し、機械的特性の高い植物繊維ボードを得ることができるものである。プレスの際の加熱の温度の上限は特に設定されるものではないが、実用上250℃程度を上限とするのが望ましい。
このようにポリ乳酸の溶融温度以上の温度でプレス成形を行なった後は、そのまま自然放冷で冷却するようにしてよい。既述のようにリグノセルロース繊維の表面がポリ乳酸の結晶核剤として作用するため、自然放冷によるゆっくりとした冷却でポリ乳酸が結晶化し、成形した植物繊維ボードの高温時の強度を高く保持できて高い耐熱性を得ることができるものである。このように、ポリ乳酸を結晶化させるうえで、プレス成形の後の冷却速度は、1分間に20℃以下であることが望ましい。
また本発明において、ボード密度が200kg/m以上1000kg/m以下となるように、植物繊維ボードを成形するのが好ましい。ボード密度が1000kg/mを超える場合、ボードは緻密となって熱伝導率が高くなるので、プレス成形を行なった後にそのまま自然に放冷すると、冷却速度が速くなり、ポリ乳酸の結晶化が充分に進まないまま固化し易くなる。従って、バインダーであるポリ乳酸の結晶化が不十分になって、植物繊維ボードの高温時の強度が低下するおそれがある。逆にボード密度が200kg/m未満である場合、リグノセルロース繊維とポリ乳酸との結合が弱くなり、高い機械的特性を得ることが困難になるおそれがある。
尚、本発明の植物繊維ボードには、リグノセルロース繊維とポリ乳酸以外の成分、例えば、他種の樹脂組成物や、ポリ乳酸の結晶化をさらに促進させるための結晶核剤など、各種の添加剤、充填材などを含有していても良い。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
ポリ乳酸の高結晶性エマルジョンの試作品(試作品番:PL−1000HC、メーカー:ミヨシ油脂(株))を入手し、このポリ乳酸エマルジョンを100℃で30分加熱した後の不揮発分を示差走査熱量分析(DSC)したところ、このエマルジョンの不揮発分の融解熱は30.7J/g、融点は168℃であった。
このポリ乳酸エマルジョンに、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均径82μm)を用いて作製した繊維マットを浸漬し、乾燥した時の質量比率がケナフ繊維束マット97質量%、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分3質量%となるように、絞りにより調整した。そしてこのポリ乳酸エマルジョンを含浸した繊維マットを乾燥器にて100℃で10分間乾燥した後、金型温度200℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが3mm、密度が800g/mとなるように、プレス成形するポリ乳酸エマルジョンを含浸した繊維マットの量を調整すると共に、厚さを調整したステンレス製の鉄棒(ティスタンスバー)を挟んでプレスを行なった。プレス成形を行なった後は、そのままプレス機から取り出し、自然に放冷した。成形して得られた植物繊維ボードの厚さは3mm、密度は800g/mであった。
(実施例2)
実施例1と同じポリ乳酸の高結晶性エマルジョンの試作品と、ケナフ繊維束マットを用い、乾燥した時の質量比率がケナフ繊維束マット80質量%、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分20質量%となるように調整した、ポリ乳酸エマルジョン含浸繊維マットを作製した。これを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、金型温度200℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが3mm、密度が1100kg/mとなるように、プレス成形するポリ乳酸エマルジョンを含浸した繊維マットの量を調整すると共に、厚さを調整したステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)を挟んでプレスを行なった。プレス成形を行なった後は、そのままプレス機から取り出し、自然に放冷した。成形して得られた植物繊維ボードの厚さは3mm、密度は1100kg/mであった。
(実施例3)
実施例1と同じポリ乳酸の高結晶性エマルジョンの試作品と、ケナフ繊維束マットを用い、乾燥した時の質量比率がケナフ繊維束マット80質量%、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分20質量%となるように調整した、ポリ乳酸エマルジョン含浸繊維マットを作製した。これを乾燥器にて100℃で10分乾燥した後、金型温度200℃、圧力3.5MPaで120秒間プレス成形した。その際、ボードの厚さが3mm、密度が650kg/mとなるように、プレス成形するポリ乳酸エマルジョンを含浸した繊維マットの量を調整すると共に、厚さを調整したステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)を挟んでプレスを行なった。プレス成形を行なった後は、そのままプレス機から取り出し、自然に放冷した。成形して得られた植物繊維ボードの厚さは3mm、密度は650kg/mであった。
(比較例1)
市販されているポリ乳酸エマルジョンの試作品(品番:PL−1000、メーカー:ミヨシ油脂(株))を入手し、このポリ乳酸エマルジョンを100℃で30分加熱した後の不揮発分を示差走査熱量分析(DSC)したところ、このエマルジョンの不揮発分の融解熱は5.6J/g、融点は166℃であった。
そしてこのポリ乳酸エマルジョンと、実施例1と同じケナフ繊維束マットを用い、乾燥した時の質量比率がケナフ繊維束マット97質量%、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分3質量%となるように調整した、ポリ乳酸エマルジョン含浸繊維マットを作製した。後は、実施例1と同様にして乾燥、プレス成形を行ない、プレス成形を行なった後はそのままプレス機から取り出して自然に放冷した。このように成形して得られたボードは厚さ3.6mm、密度660kg/mとなったので、再度、ステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)の厚さを調整してプレス成形を行ない、最終的に厚さ3mm、密度800kg/mの植物繊維ボードを得た。
(比較例2)
比較例1と同様のポリ乳酸エマルジョンを用いた他は、実施例2と同様に乾燥した時の質量比率がケナフ繊維束マット80質量%、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分20質量%となるように調整した、ポリ乳酸エマルジョン含浸繊維マットを作製し、ステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)の厚さを調整した他は、実施例2と同様にプレス成形を行ない、厚さ3mm、密度1100kg/mの植物繊維ボードを得た。
(比較例3)
比較例1と同様のポリ乳酸エマルジョンを用いた他は、実施例3と同様に乾燥した時の質量比率がケナフ繊維束マット80質量%、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分20質量%となるように調整した、ポリ乳酸エマルジョン含浸繊維マットを作製し、ステンレス製の鉄棒(ディスタンスバー)の厚さを調整した他は、実施例3と同様にプレス成形を行ない、厚さ3mm、密度650kg/mの植物繊維ボードを得た。
上記のように実施例1〜3及び比較例1〜3で得た植物繊維ボードを切削して物性測定用サンプルを作製し、熱処理を行なわないそのままの状態で、曲げ強さの試験を25℃雰囲気下と80℃雰囲気下で行なった。この曲げ強さの試験結果と、上記の各実施例及び比較例における各種の特性を纏めたデータを、表1に示す。
Figure 2007196384
表1にみられるように、25℃での曲げ強さは、比較例1〜3と実施例1〜3とで大差がないが、80℃での曲げ強さは、比較例1〜3はともに0MPaであり、高温時の強度が完全に失われているものであった。これに対して、実施例1〜3では80℃での曲げ強さが確保されており、耐熱性、高温時の機械強度が向上していることが明らかである。中でも実施例3では、80℃での曲げ強さが25℃での曲げ強さの7割確保されている。これは、ポリ乳酸エマルジョンの不揮発分の比率が20質量%であってケナフ繊維同士を接着するのに充分且つ適当な量であり、またボード密度が650g/mとボード内部に空隙が存在するために熱伝導率が低く、プレス成形後の自然放冷でゆっくりと冷却されてポリ乳酸の結晶化が充分に進んで成形されたためであると考えられる。

Claims (3)

  1. 植物から得られるリグノセルロース繊維を基材とし、ポリ乳酸をバインダーとする植物繊維ボードであって、100℃で30分間加熱した後の不揮発分の融解熱が20J/g以上であるポリ乳酸エマルジョンを用い、ポリ乳酸エマルジョンを含有するリグノセルロース繊維基材をポリ乳酸の溶融温度以上の温度でプレス成形して得られたものであることを特徴とする植物繊維ボード。
  2. リグノセルロース繊維の含有比率が、30質量%以上95質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の植物繊維ボード。
  3. ボード密度が200kg/m以上1000kg/m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物繊維ボード。
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