JP4904830B2 - 複合ボードおよび遊技機部材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば遊技機部材や家具などに用いられる複合ボードおよびその製造方法に関する。詳しくは、複合ボードに植物由来原料を用いることにより、環境への負荷を低減することができるとともに、ボード加工時の搬送性及び接着性に優れた複合ボードおよびその製造方法に関するものである。
従来から、例えば机材や椅子材などに代表される家具、または床材、壁材などに代表される建築資材には、ラワン材などの木材の単板を積み重ね、接着剤を用いて貼り合わせた合板や、粉砕した木材をフェノール樹脂などの合成樹脂を塗布して一体化させたパーティクルボード等が多く用いられてきた。また、近年では、木質繊維とフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を混合し、熱圧縮することで得られる繊維ボード、いわゆるMDF(中密度繊維板)なども、建築資材やインテリア資材に広く用いられている。
しかしながら、上述の合板や繊維板は、接着剤としてフェノール系接着剤やメラミン系接着剤などの熱硬化性接着剤が用いられていることから、作業環境の汚染、作業者への健康障害、さらには使用時のホルムアルデヒド含有物質の揮発によるシックハウス症候群を引き起こすなどの問題があった。また、上述の熱硬化性樹脂は石油を原料とするものであるため、環境への負荷が少なくないという問題があった。
このような従来技術の問題点に対して、近年では、天然繊維にバインダーとして植物由来のポリ乳酸が混在し、見かけ密度が0.2g/cm以上の繊維系ボードが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この繊維系ボードは、環境負荷が少ないという効果を有するものの、繊維の集合体であることから繊維間の空隙が大きく、通気性が高いため、机天板などの家具へ加工する際に、吸引装置付きの吸盤でボードを掴み取り、次工程へ搬送する吸引搬送が困難であるという問題や、化粧板や化粧紙などの表面材を接着剤を用いて貼り付ける際、接着剤がボードの空隙に浸透し、化粧板や化粧紙が貼り付かないなどの問題があった。
一方、一部の建築資材パネルにおいては、寸法安定性や破裂強度、自己消火性を向上するために合板などにガラスペーパーを貼り付けたコンパネ式床暖房パネルが提案されている(特許文献2参照)。しかしながらこの基材も、ガラス繊維にPET繊維等の石油系材料を含むため、環境負荷が少なくないという問題があった。
特開2004-130796号公報(請求項1) 特開平11-140788号公報(請求項2、請求項5、第0001段落)
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点に鑑み、植物由来原料を用いることにより環境への負荷を低減でき、また、積層構造を工夫することより遊技機部材や家具等へボードを加工する際の吸引搬送性、及び化粧板や化粧紙等の接着性に優れた複合ボードおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。
(1)天然繊維とポリ乳酸樹脂とを含み、前記天然繊維を全重量に対して90〜30重量%の範囲内で、前記ポリ乳酸樹脂を全重量に対して10〜70重量%の範囲内で含有する繊維系ボードであって、前記繊維系ボードの表面に、紙が積層され、かつ前記紙と繊維系ボードとがポリ乳酸樹脂により結合されて一体化されていることを特徴とする複合ボード。
(2)JIS L1096(1999)フラジール形法に基づいて測定される通気量が0.5mL/cm・sec以下であることを特徴とする前記(1)に記載の複合ボード。
(3)前記紙が植物原料からなることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の複合ボード
)植物由来原料を全重量に対して95重量%以上含むことを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の複合ボード。
)平均繊維長が20〜100mmの範囲内のポリ乳酸短繊維を全重量に対して10〜70重量%と、平均繊維長が5〜100mmの範囲内の天然繊維を全重量に対して90〜10重量%とを混合し、得られた布状物を積層し、次に前記布状物の積層体の少なくとも片面に紙を積層し、加熱した後圧縮するか、または加熱と圧縮を同時に行うことにより、前記積層体と紙とを一体成形することを特徴とする複合ボードの製造方法。
)前記(1)〜()のいずれかに記載の複合ボードを用いて得られることを特徴とする遊技機部材。

本発明の複合ボードおよびその製造方法によれば、複合ボードの原料として植物由来原料を用いることにより、環境への負荷を低減できる。また、前記複合ボートの積層構造として、繊維系ボード表面に紙を一体に結合するとともに、その結合材としてポリ乳酸樹脂を用いたので、上記環境改善は勿論、遊技機部材や家具等へボードを加工する際の吸引搬送性、及び化粧板や化粧紙等の接着性に優れる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明者らは、本発明の目的である環境への負荷を低減させるには、複合ボードの構成材料に植物由来原料を用いること、また、遊技機部材や家具等のボード加工時の吸引搬送性と化粧板等の接着性の問題を解決するには、上記植物由来原料が有する通気性の問題解決が必要であり、それにはボードの積層構造を工夫することが重要であることに着目して本発明に至った。
すなわち、本発明の複合ボードは、天然繊維とポリ乳酸樹脂とを含み、前記天然繊維を全重量に対して90〜30重量%の範囲内で、前記ポリ乳酸樹脂を全重量に対して10〜70重量%の範囲内で含有する繊維系ボードであって、前記繊維系ボードの表面に、紙が積層され、かつ前記紙と繊維系ボードとがポリ乳酸樹脂により結合されて一体化されていることを特徴とする。
なお、本発明において、「全重量に対して」とは、繊維系ボードの全重量に対しての重量を言い、以下の説明においても同様である。
ここで、本発明の複合ボードを構成する繊維系ボードは、天然繊維とポリ乳酸樹脂とで構成される。
まず、天然繊維としては、石油由来原料の使用比率を低下させ環境負荷を軽減させる観点から、例えば植物由来のセルロース系繊維、或いは獣毛繊維などが挙げられるが、中でも耐熱性の観点から、繊維系ボードの成形加工時における加熱に耐えうるセルロース系繊維が好ましい。よって、従来の石油を原料としたポリエステル短繊維やナイロン短繊維は、上記の観点より好ましくない。
セルロース系繊維としては、例えば、木質系や草本系のセルロース系繊維が好ましい。できるだけ繊維長の長いセルロース系繊維を用いることが補強材としての効果を高めるので好ましい。具体的には、木材パルプ、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ類等のイネ科植物パルプ、木綿、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュート、ヘンプ等の靭皮繊維、サイザルアサおよびマニラアサ等の葉脈繊維等からなる群から選ばれる1種以上からなる繊維が含まれていることが好ましい。これらのうちでも、比較的繊維長が長く、一年草であって熱帯地方および温帯地方での成長が極めて早く容易に栽培できる草本類に属するケナフあるいはジュートから採取される繊維を採用することにより、優れた強度を得ることができる。特に、ケナフの靭皮にはセルロース分が60%以上と高い含有率で存在しており、かつ高い強度を有していることから、ケナフ靭皮から採取されるケナフ繊維を用いることが好ましい。
これら繊維の繊維長としては、前述したように長い方が好ましいが、平均繊維長としては5〜100mmの範囲内のものが好ましい。5mm未満であると補強材としての効果が少なく、一方100mmを超えると補強効果はよくなるが他の繊維と均一に分散させることが困難となり、この結果、複合ボードの強度が低くなる恐れがある。かかる観点より、より好ましい平均繊維長は20〜90mmの範囲内である。
天然繊維は、繊維系ボードの全重量に対して30〜90重量%の範囲内で含ませる必要がある。30重量%未満であると補強材としての効果が少なく、一方90重量%を超えると結合材となるポリ乳酸樹脂の比率が少なくなり、複合ボード強度が低下する恐れがあるとともに、紙と繊維系ボードとを結合させるためのポリ乳酸樹脂が少なくなり、紙の剥離などの問題が生ずる。かかる観点より、より好ましい含有量は50〜80重量%の範囲内である。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂としては、ポリ乳酸ホモポリマーの他、乳酸コポリマーおよびブレンドポリマー等の乳酸系ポリマーが含まれる。乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、一般に5万〜50万である。また、ポリ乳酸樹脂におけるL-乳酸単位とD-乳酸単位の構成モル比L/Dは、100/0〜0/100のいずれであっても良いが、高い融点を得るにはL乳酸あるいはD乳酸いずれかの単位を75モル%以上、さらに高い融点を得るにはL乳酸あるいはD乳酸のいずれかの単位を90モル%以上含むことが好ましい。
本発明の複合ボードは、上述のポリ乳酸樹脂を繊維系ボードの全重量に対して、10〜70重量%の範囲内で含有させる必要がある。かかる含有の形態としては、上記天然繊維に対し、ポリ乳酸樹脂の短繊維の形態で含有されているが、粉体状、或いは粒子状の形態であっても良い。ここで、ポリ乳酸樹脂の含有比率が10重量%未満であった場合、後述する紙と、繊維系ボードとを結合させるためのポリ乳酸樹脂量が少なくなり、ボードを加熱成形させる際に効率的に一体化させることが困難となる。一方、ポリ乳酸樹脂比率が70重量%を超えると、加熱成形時にポリ乳酸樹脂自体が溶融し、成形機からポリ乳酸樹脂が流出するなど、成形が困難となる。かかる観点からのより好ましい含有比率は20〜50重量%の範囲内である。
本発明の複合ボードは、前述した繊維系ボードの少なくとも片面の表面に、植物原料からなる紙が積層され、繊維系ボードと一体化される。使用される紙としては、例えば絶縁紙、クラフト紙、ケント紙、上質紙等を挙げることができる。複合ボードに含まれる植物由来原料比率を高めるために、木材やケナフ、竹、麻等の植物からなるパルプを主体とした紙、又は前記紙の再生紙が好ましく使用される。また、木材やケナフなどを微細にフィブリル化させたパルプを原料とする紙を繊維系ボードの表面に配することにより、緻密な表面層を有する複合ボードを得ることができ、その結果環境改善性に優れることは勿論、通気性が低く、吸引搬送性に優れ、かつ接着剤のボード内部への流入を防ぎ、化粧板や化粧紙の接着性に優れた複合ボードを得ることができる。
また、上述の紙については着色紙を用いるか、その上に印刷あるいは塗装処理を施すことにより、さらには、紙の上に化粧紙などを貼り合わせることにより、意匠性を有する複合ボードを効率的に得ることが可能となる。また、印刷の際のインクについても、大豆インクに代表される植物由来のインクを用いることにより、複合ボードに含まれる植物由来原料比率を高めることができ、環境負荷の少ない複合ボードを得ることができる。
上述のように繊維系ボードおよび紙の原料として、これらをいずれも植物原料とすることにより、植物由来原料比率を高めることができる。その結果、好ましい植物由来原料比率としては、複合ボードの全重量に対して95重量%以上である。このように植物由来原料比率を高めることにより、石油などの化石資源の枯渇抑制や、大気中の二酸化炭素の増加抑制に貢献でき、環境負荷の少ない複合ボードを得ることができる。
かかる紙と前述の繊維系ボードとの結合材としては、種々のものがあるが、本発明では、繊維系ボードおよび紙と同様、ポリ乳酸樹脂を用いる。具体的には、詳細は後述するが、繊維系ボードと紙とを熱プレスして一体化させる際に、繊維系ボードから溶融したポリ乳酸樹脂を紙との結合材として用いる。また、別途接着溶液にしたポリ乳酸樹脂を繊維系ボード表面に塗布して紙との接着層を形成しても良い。ポリ乳酸樹脂は、非石油系原料、すなわちトウモロコシなどの植物を原料とするものであり、製造工程においても石油系の溶剤をほとんど使用しないために、複合ボードの製造、使用および廃棄の段階を全体で考えたとき、環境への負荷を少なくすることができる。この様に接着剤についても植物由来のポリ乳酸樹脂を用いることにより、複合ボードの全重量に対して95重量%以上の植物由来原料を含む、環境負荷の少ない複合ボードを得ることができる。また、ポリ乳酸樹脂は、生分解性プラスチックの中でも強度が高く、融点が170℃程度と適度な耐熱性を有するとともに、成形性に優れ、他の天然繊維や木質系材料との接着性も優れている。よって、繊維系ボードと紙との接着工程において、効率的に貼り合せることができ、強固に一体化させることができる。
本発明の複合ボードは、JIS L1096(1999)で規定するフラジール形法に基づいて測定される通気量が0.5mL/cm・sec以下であることが好ましい。本発明者らは吸引搬送性、すなわち吸引装置を有する吸盤で前述の繊維系ボードを吸着し、搬送可能であるか否かを簡易的に見極めるために、ボードの通気量を指標とし評価を行った。その結果、0.5mL/cm・sec以下とすることにより、一般的な吸引搬送設備でボードを搬送できうることを見出した。通気量が0.5mL/cm・secを超えると、汎用的な吸引搬送設備でボードを吸着させることができない場合があるので好ましくない。
以上により、本発明の複合ボードは、紙と繊維系ボードとがポリ乳酸樹脂により一体化され、従来製品に使用されていたフェノール樹脂やメラミン樹脂、或いは酢酸ビニル樹脂などの石油系樹脂を一切使用しないで一体成形されるため、植物原料比率を高めることができる。よって、環境への負荷を少なくさせることができると同時に、ホルムアルデヒド含有物質の揮発によるシックハウス症候群を引き起こすなどの問題もなくなるという効果を奏する。
次に、本発明にかかる複合ボードの製造方法の好ましい実施形態を、工程順に説明する。
1.原料準備工程
まず、繊維系ボードを構成する天然繊維とポリ乳酸樹脂とについて、前述した種類の天然繊維を全重量に対して90〜30重量%の範囲内、ポリ乳酸樹脂を全重量に対して10〜70重量%の範囲内で生産必要量準備する。ポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸短繊維の形態のものを用いるのが好ましい。両繊維の繊維長としては、天然繊維はその平均繊維長が5〜100mmの範囲内、ポリ乳酸繊維はその平均繊維長が20〜100mmの範囲内の短繊維を用いるのが好ましい。また、次の不織布製造工程(カーディング工程)において、効率よく、かつ均一に構成繊維同士を分散させるために、ポリ乳酸短繊維はその繊維長を調節するのが好ましい。このようにすると、ポリ乳酸短繊維と天然繊維とが後の不織布製造工程において均一に分散させることができるので、他の接着剤を用いずとも均一に紙と繊維系ボードとを接着させることができる。ポリ乳酸短繊維の繊維長が上記の範囲外であった場合、不織布製造工程において繊維の分散斑が発生し、繊維系ボードと紙との界面で接着不良が発生するおそれがある。
2.原料混合、不織布製造工程
次に両原料をローラカードによるカーディング法と次のニードルパンチ法とを併用し、両繊維を均一に混合し、開繊し、所定厚みの不織布を製造する。製造する不織布の目付としては、300〜2000g/mの範囲内に調整する。また、不織布の積層枚数は、用途にもよるが2〜30枚程度である。この工程では、ポリ乳酸短繊維と天然繊維との比率を簡易的に調整できる。そして、カーディング工程においては複数種の短繊維を均一に分散せしめることができる。よって、繊維系ボードと紙との接着斑が無く、均一に接着させることができる。
また、ポリ乳酸短繊維の混合比率を10〜70重量%の範囲内に調節することにより、次工程である加熱圧縮成型工程において、繊維系ボードのポリ乳酸繊維を加熱溶融させ、溶融したポリ乳酸樹脂自体を紙との接着剤とすることにより、効率的に紙と繊維系ボードを接着させることができる。ポリ乳酸樹脂の比率が10重量%未満であった場合、紙と繊維系ボードを結合させるためのポリ乳酸樹脂量が少なくなり、ボードを加熱成形させる際に効率的に繊維系ボードと紙とを一体化させることが困難となる。一方、ポリ乳酸樹脂比率が70重量%を超えると、加熱成形時にポリ乳酸樹脂が必要以上に溶融し、成形機からポリ乳酸樹脂が流出するため、成形が困難となる。
3.積層、接着工程 この工程では、前工程で得られた不織布を複数枚積層して、一枚の布状物とし、その布状物の少なくとも片面に紙を接着する。これにより、次の成形工程において、他の接着剤を用いず、繊維系ボード中に含有するポリ乳酸短繊維の溶融樹脂を結合材として、繊維系ボードの成形と、紙との一体化を1工程で効率的に行うことができる。前記の紙は繊維系ボードの少なくとも片面に配されるものであるが、好ましくは両面に紙を配することでボード表裏面の吸湿量の差異による反りを予防することができる。
4.成形工程
この成形工程は、上記の紙と布状物とを一体化させる工程である。具体的には、両者を同時に加熱した後、圧縮するか、または加熱と圧縮を同時に行うことで一体成形できる。好ましくは加熱と圧縮を同時に行うと生産性を向上させることができる。加熱温度としては、ポリ乳酸樹脂を溶融し、均一に分散するために180〜220℃の範囲が好ましく、加熱時間としては3〜20分の範囲が好ましい。この際に加える加圧力は、繊維材料や加熱温度にもよるが0.5〜12MPaの範囲が好ましい。これら操作に用いる加熱加圧装置としては、上下2枚の加熱平板を用いて布状物の加熱圧縮を行い、前記布状物の重量と、前記上下2枚の平板の隙間間隔を適宜設定することにより、複合ボードの密度と厚みを適宜設定するいわゆる平板加熱プレスが一般的である。加熱手段自体については特に限定されないが、高周波誘導加熱装置を用いると加熱制御が容易であるため優れた生産性が得られる。厚みが10mmを超える比較的厚い複合系ボードを得るためには、前述の平板加熱プレスでもよいが、熱伝導により徐々に内部まで加熱する方法につき、上述の高周波誘導加熱装置を用いて布状物の分子運動を活発化、発熱させる加熱方法の方がより好ましい。特に、厚みが比較的厚い複合ボードを成形する際に優れた生産性を得ることができ、その機能を十分に発揮する。また、布状物の積層体の内部まで均一に加熱することが可能となるため、複合ボードの性能、すなわち剛性や、針やネジなどの突き刺し性、その保持性などの特性において、均一な特性が得られるため好ましい。

以上により、本発明にかかる複合ボードの製造方法は、通気性を有する繊維系ボード表面に通気性を有しない紙を積層したので、吸引搬送性に優れ、連続生産が可能である。よって、意匠性の付与が必要な用途、すなわちパチンコ機の盤面ボードやパチスロ機の筐体板などに代表される遊技機部材、机天板や椅子などに代表される家具、或いは壁材や床材、天井材に代表される建築資材の連続生産に好適に使用することができる。
以下、実施例によって本発明の複合ボートについて、更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。

(実施例1)
まず、複合ボードを構成する繊維系ボードのポリ乳酸樹脂として、該樹脂を公知の方法で繊維化し、その後捲縮付与後カットして単繊維繊度6.6デシテックスで、平均繊維長が51mmのポリ乳酸短繊維を得た。一方、天然繊維として、平均繊維長が65mmのケナフの靭皮繊維を用意した。このポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維を30:70の重量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して不織布を得た。この不織布を14枚積層し、目付が14150g/mの積層体を得た。
そして、この積層体の両面に木質パルプ100%からなる絶縁紙(厚さ130μm)を積層し、2枚の鉄板の間に20mmのスペーサーと共に挟み、200℃の温度の加熱下のプレス機で圧力2.4MPaで、50分間の加熱、加圧成形を行った。
得られた複合ボードの重量は、13560g/mで、厚さは19.2mmであり、見かけ密度は0.71g/cmであった。このようにして、得られた複合ボードに対し、通気性と化粧紙の接着性を測定し、評価した。
なお、実施例中の通気度と化粧紙の接着性の測定方法および評価基準としては、以下に説明するものを用いた。
1.複合ボードの通気度
JIS L 1096−1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、フラジール形試験機を用い、円筒の一端(吸気側)に試験片を取り付けた。試験片の取り付けに際し、円筒の内径と同一の内径を有する平面状ゴム製リングパッキン(厚さ1mm)を円筒の試験片取り付け側に設置し、その上に試験片を置き、試験片上から吸気部分を塞がないように均等に約98N(10kgf)の荷重を加え試験片の取り付け部におけるエアーの漏れを防止した。試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する空気量を求め、5枚の試験片についての平均値を算出した。
2.化粧紙の複合ボードへの接着性 以下の操作を行った。
A.試験材料の準備
a.複合ボード:複合ボードの異なる5箇所から、縦横12cm角の試験片を切り出す。
b.化粧紙 :ポリエステルフィルム(厚さ190μm)とケント紙(厚さ140μm)との貼り合わされた化粧紙を用意する。化粧紙の異なる5箇所から、縦横10cm角の試験化粧紙を切り出す。
c.接着剤 :酢酸ビニルエマルジョン接着剤(昭和高分子株式会社製 登録商標「ポリゾール1000J」不揮発分50%)を用意する。
d.ポリエステルフィルム :ポリエステルフィルム(厚さ100μm、30cm角)を用意する。
e.ガラス板:平面ガラス板(厚さ10mm、縦50cm、横30cm)を用意する。
B.接着材の塗布
a.ポリエステルフィルムをガラス板に上載せし、クラフトテープでフィルムの上下を固定する。
b.接着剤をポリエステルフィルムに塗布し、金属製コーティングナイフを用いて接着剤を均一に引き伸ばして接着剤皮膜を形成する。
c.接着剤皮膜が形成されたポリエステルフィルムを10cm角に切り取り、接着剤皮膜面を複合ボードに密着させ、転写ローラーでフィルム上面を転圧し、接着剤を複合ボードへ転写させる。
d.上記工程b.において、コーティングナイフとポリエステルフィルムの隙間間隔を適宜調節し、複合ボードへの接着剤塗布量が40g/mとなるように調節する。
C.化粧紙の複合ボードへの貼り合わせ
a.化粧紙を複合ボードの紙面上の接着剤塗布面に上載せする。
b.化粧紙と複合ボードとを加圧プレス機を用いて常温で30秒間、2.9MPa面圧で加圧する。
D.接着性の評価
a.化粧紙を端部から慎重に剥がし、接着面を目視で観察し、下記の基準にて評価する。
○ :化粧紙のケント紙が破壊する。
△ :化粧紙のケント紙が一部破壊するが、一部化粧紙のケント紙と複合ボードの界面で剥離する。

× :化粧紙のケント紙と複合ボードの界面で剥離する。 以上の測定、評価結果を後述する表1に示した。表1のとおり、この実施例1の複合ボードは、通気性が低く、化粧紙の接着性に優れたものであった。

(実施例2)
絶縁紙の厚さを250μmに変更した以外は、実施例1の方法と同一の方法にて、ボード重量13190g/m、厚さ19.4mm、見かけ密度は0.68g/cmの複合ボードを得た。
このようにして、得られた複合ボードの特性を表1に示した。この複合ボードは、通気性が低く、化粧紙の接着性に優れたものであった。
(実施例3)
ポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維の配合比率を50:50の重量比に変更した以外は、実施例1の方法と同一の方法にて、ボード重量13820g/m、厚さ19.0mm、見かけ密度は0.73g/cmの複合ボードを得た。このようにして、得られた複合ボードの特性を表1に示した。この複合ボードは、通気性が低く、化粧紙の接着性に優れたものであった。
(比較例1)
ポリ乳酸樹脂を公知の方法で繊維化し、捲縮付与後カットして単繊維が繊度6.6デシテックスで、平均繊維長が51mmのポリ乳酸短繊維を得た。一方、平均繊維長が65mmのケナフの靭皮繊維を用意した。このポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維を30:70の重量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊して不織布を得た。この不織布を14枚積層し、目付13890g/mの積層体を得た。この積層体の上には紙を接着しないで、2枚の鉄板の間に20mmのスペーサーと共に挟み、200℃の温度の加熱下のプレス機で圧力2.4MPa、50分間の加熱加圧成形を行った。
得られた複合ボードの重量は13110g/mで、厚さは19.1mmであり、見かけ密度は0.69g/cmであった。このようにして、得られた複合ボードの特性を表1に示した。この複合ボードは、通気性が高く、化粧紙の接着性に劣るものであった。
(比較例2)
ポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維の配合比率を5:95の重量比に変更した以外は、実施例1の方法と同一の方法にて、ボード重量13820g/m、厚さ19.0mm、見かけ密度は0.73g/cmの複合ボードを得た。このようにして、得られた複合ボードの特性を表1に示した。この複合ボードは、絶縁紙と繊維系ボードの界面で絶縁紙が剥離し、一体成形できなかった。
(比較例3)
ポリ乳酸短繊維とケナフ靭皮繊維の配合比率を80:20の重量比に変更した以外は、実施例1の方法と同一の方法にて、ボード重量14250g/m、厚さ17.6mm、見かけ密度は0.81g/cmの複合ボードを得た。このようにして、得られた複合ボードの特性を表1に示した。この複合ボードは、成形中に溶融したポリ乳酸樹脂が繊維系ボード端部から流出し、かつ絶縁紙表面からポリ乳酸樹脂が染み出していたことから、製造が困難であると共に表面品位の劣るものであった。
以上の実施例と比較例をまとめたのが、次の表1である。
Figure 0004904830
本発明の複合ボードおよびその製造方法は、繊維系ボードの表面に通気性が低い紙が積層されているので、吸引搬送性に優れる。また、紙は、接着性に優れ、その上に更に意匠性に富む化粧紙を貼り合わせることができるため、意匠性を必要とし、かつ大量生産が行われている用途、例えば遊技機部材、家具、建築資材分野に好適に用いることができる。その他、自動車、玩具等の分野にも好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 天然繊維とポリ乳酸樹脂とを含み、前記天然繊維を全重量に対して90〜30重量%の範囲内で、前記ポリ乳酸樹脂を全重量に対して10〜70重量%の範囲内で含有する繊維系ボードであって、前記繊維系ボードの表面に、紙が積層され、かつ前記紙と繊維系ボードとがポリ乳酸樹脂により結合されて一体化されており、JIS L1096(1999)フラジール形法に基づいて測定される通気量が、0.5mL/cm ・sec以下であることを特徴とする複合ボード。
  2. 前記紙が、植物原料からなることを特徴とする請求項1に記載の複合ボード。
  3. 植物由来原料を全重量に対して95重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の複合ボード。
  4. 請求項1〜のいずれか記載の複合ボードを用いて得られることを特徴とする遊技機部材。
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