JP2003285304A - 繊維板、その繊維板の製造方法及びその繊維板を用いた構造用壁下地材 - Google Patents

繊維板、その繊維板の製造方法及びその繊維板を用いた構造用壁下地材

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JP2003285304A
JP2003285304A JP2002247760A JP2002247760A JP2003285304A JP 2003285304 A JP2003285304 A JP 2003285304A JP 2002247760 A JP2002247760 A JP 2002247760A JP 2002247760 A JP2002247760 A JP 2002247760A JP 2003285304 A JP2003285304 A JP 2003285304A
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fibers
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Hideyuki Ando
秀行 安藤
Yuzo Okudaira
有三 奥平
Kazuaki Umeoka
一哲 梅岡
Kenji Onishi
兼司 大西
Bunkai Ryu
文海 劉
Tokiharu Takahashi
時春 高橋
Minoru Kimijima
穣 君島
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維板の防露性能及びせん断性能を維持する
とともに、優れた繊維板の耐力性能をも有する繊維板、
その製造方法及びその繊維板を用いた構造用壁下地材を
提供する。 【解決手段】 接着剤を付着した植物繊維の集合体から
なる複数の繊維マット2を熱圧成形して得られる略長方
形状の繊維板1において、繊維板1の全領域中の少なく
とも釘打ち部となる領域に、繊維ネット3を配してか
ら、熱圧成形することにより、釘打ち部となる領域を補
強している繊維板、その繊維板を製造する製造方法であ
って、植物繊維の内部細孔部分への接着剤の浸透を抑制
し、且つ植物繊維の表面部分に接着剤を付着させる繊維
板の製造方法及び、その繊維板を用いた構造用壁下地
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建築物に
おいて、パネル工法用のパネル等として用いられる繊維
板に関するものであり、特に構造用壁下地材として好適
に用いられる繊維板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の住宅分野において、パネルを用い
て躯体を構成するパネル工法は、筋かいを用いて躯体を
構成する筋かい工法に対し、躯体構造の強化が容易であ
り、また施工性も良好なことなどから、住宅工法として
主流になりつつある。
【0003】パネル工法における、躯体構造の強度を決
定する主な因子としては、 ・パネル自身のせん断性能 ・釘打ち部におけるパネルの耐力性能 の2つが挙げられる。なお、上記の釘打ち部とは、パネ
ルとして用いられる部材の全領域中で、住宅等の建築物
を構成する構造材等の被固着物に釘打ちして固定する部
分のことをいい、一般には、部材の端面近傍になること
が多い。しかし、構造材に、部材をより強固に固定しよ
うとする場合には、部材の端面以外にも釘打ちすること
があり、釘打ち部は必ずしも部材の端面近傍とは限らな
い。
【0004】また、その釘打ち部におけるパネルの耐力
性能とは、 ・図18に示す釘頭部によるパネルの貫通破壊 ・図19に示す釘によるパネルの側部破壊 に対する耐力性能のことをいう。なお、図18、図19
において、10はパネルを、8はパネル10を釘打ちし
て固定する建築物の構造材、9は釘を示している。
【0005】上記パネル工法においては、一般に比較的
安価で強度に優れる広葉樹あるいは針葉樹からなる合板
をパネルとして用いる場合が殆どであった。しかしなが
ら、この合板では、躯体の構造を強化させるためには、
ある程度の厚さが必要なため(一般的には9mm以上の
合板を用いている)、質量が増加し、場合によっては施
工性を損なうという欠点があった。
【0006】また、住宅における高気密・高断熱化の要
求の高まりに伴い、躯体の結露の問題が顕在化してい
る。この問題に対し、断熱材を挿入する等の対策が施さ
れているが、十分ではなく、特に、上記合板の表裏面に
おいて湿気が滞留しやすいため、合板自身にも防露性能
を向上させる必要が生じてきている。
【0007】上記合板の防露性能を向上させるために
は、厚みを薄くすることなどにより透湿性を高め、合板
の表裏面における湿気の滞留を防ぐ方法などが有効であ
るが、上述したように、合板では躯体構造を強化するの
にある程度の厚さが必要なため、躯体構造の強化と防露
性能の向上との両立は困難な傾向にあった。
【0008】一方、広葉樹あるいは針葉樹といった木材
繊維を用いた合板に代わり、廃棄物となっているヤシ等
の未利用植物繊維資源を建築材料の資源として利用する
繊維板を用いる試みがなされている。本発明者らは、ケ
ナフ、あぶらやし、ココヤシ等の植物繊維の集合体に接
着剤を分散させて形成した繊維マットを複数枚積層し
て、熱圧成形して得られる繊維板が、軽量でせん断性能
及び防露性能に関し非常に優れていることを見出し、特
開2001−328105号公報等で提案している。
【0009】上記繊維板をパネル工法のパネルとして用
いた場合、繊維板は、植物繊維を熱圧成形したものであ
るので、繊維間に空間を有する構造となり、透湿性の高
い構造となり、繊維板自身の防露性能は向上する傾向に
ある。また、繊維板は、繊維自体の高い引っ張り強度を
有効に活用できるので、繊維板自身のせん断性能は優れ
る傾向にある。しかし、釘打ち部における繊維板の耐力
性能には、劣る傾向にあるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事由に
鑑みてなしたもので、繊維板の防露性能及びせん断性能
を維持するとともに、優れた繊維板の耐力性能をも有す
る繊維板、その繊維板の製造方法及びその繊維板を用い
た構造用壁下地材を提供することを目的とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の繊
維板は、接着剤を付着した植物繊維の集合体からなる複
数の繊維マットを熱圧成形して得られる略長方形状の繊
維板において、熱圧成形する前に上記繊維板の全領域中
の少なくとも釘打ち部となる領域に補強部材を配してか
ら、熱圧成形することにより、上記釘打ち部となる領域
を、補強部材を配さない領域より補強していることを特
徴とする。
【0012】請求項2に係る発明の繊維板は、請求項1
に記載の繊維板において、上記釘打ち部となる領域が、
上記繊維板の少なくとも対向する二辺のそれぞれの端面
近傍であることを特徴とする。
【0013】請求項3に係る発明の繊維板は、請求項1
又は請求項2に記載の繊維板において、上記補強部材
を、上記複数の繊維マット間に挟みこむように配してい
ることを特徴とする。
【0014】請求項4に係る発明の繊維板は、請求項1
又は請求項2に記載の繊維板において、上記補強部材
を、上記繊維板の表層となる位置に配していること特徴
とする。
【0015】請求項5に係る発明の繊維板は、請求項1
乃至請求項4のいずれかに記載の繊維板において、上記
補強部材を、上記繊維板の厚さ方向に関して対称となる
位置に複数配していることを特徴とする。
【0016】請求項6に係る発明の繊維板は、請求項1
乃至請求項5のいずれかに記載の繊維板において、上記
釘打ち部となる領域の繊維板の面重量が3kg/cm2
以上となるように形成していることを特徴とする。
【0017】請求項7に係る発明の繊維板は、請求項1
乃至請求項6のいずれかに記載の繊維板において、上記
補強部材は、植物繊維又は化学繊維を織り込んでなる繊
維ネットよりなることを特徴とする。
【0018】請求項8に係る発明の繊維板は、請求項7
に記載の繊維板において、上記繊維ネットは、織り込ん
でいる繊維の繊維間の開口幅が5mm以下であることを
特徴とする。
【0019】請求項9に係る発明の繊維板は、請求項1
乃至請求項6のいずれかに記載の繊維板において、上記
補強部材は、樹脂をシート状に形成した樹脂シートより
なることを特徴とする。
【0020】請求項10に係る発明の繊維板は、請求項
9に記載の繊維板において、上記樹脂シートは、樹脂を
展延してシート状になした樹脂フィルム、又は樹脂を繊
維状に形成し、その繊維状の樹脂を織り込んでシート状
になした樹脂織布、又は樹脂を繊維状に形成し、その繊
維状の樹脂同士を接合してシート状になした樹脂不織布
のうち、いずれかを含んでなることを特徴とする。
【0021】請求項11に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項6のいずれかに記載の繊維板において、上
記補強部材は、固体状の粒体、又は繊維体よりなること
を特徴とする。
【0022】請求項12に係る発明の繊維板は、請求項
11に記載の繊維板において、上記粒体又は上記繊維体
は、樹脂よりなる粒子又は繊維を含んでなることを特徴
とする。
【0023】請求項13に係る発明の繊維板は、請求項
11又は請求項12に記載の繊維板において、上記粒体
又は上記繊維体は、熱可塑性材料よりなる粒子又は繊維
を含んでなることを特徴とする。
【0024】請求項14に係る発明の繊維板は、請求項
11乃至請求項13のいずれかに記載の繊維板におい
て、上記粒体又は上記繊維体は、リグノセルロース材料
よりなる粒子又は繊維を含んでなることを特徴とする。
【0025】請求項15に係る発明の繊維板は、請求項
11乃至請求項14のいずれかに記載の繊維板におい
て、上記粒体又は上記繊維体は、リグノセルロース材料
中のヘミセルロース成分を加水分解して得られる変成リ
グノセルロース材料よりなる粒子又は繊維を含んでなる
ことを特徴とする。
【0026】請求項16に係る発明の繊維板は、請求項
11乃至請求項15のいずれかに記載の繊維板におい
て、上記粒体は、その平均粒径が100μmから500
μmの範囲内であることを特徴とする。
【0027】請求項17に係る発明の繊維板は、請求項
11乃至請求項15のいずれかに記載の繊維板におい
て、上記繊維体は、その平均繊維長が50mm以下であ
ることを特徴とする。
【0028】請求項18に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項5のいずれかに記載の繊維板において、上
記補強部材は、上記繊維板の対向する二辺の辺方向に対
して略平行な方向に植物繊維を配向させた繊維配向マッ
トであることを特徴とする。
【0029】請求項19に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項18のいずれかに記載の繊維板において、
上記繊維板の二辺間をつなぐ方向に、補強層を形成して
いることを特徴とする。
【0030】請求項20に係る発明の繊維板は、請求項
19に記載の繊維板において、上記補強層を、その周囲
よりも一段厚く形成してなることを特徴とする。
【0031】請求項21に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項20のいずれかに記載の繊維板において、
上記複数の繊維マットの少なくとも1枚が、上記繊維板
の辺方向に対して傾斜する方向となるよう、植物繊維の
方向を配向させた傾斜配向繊維マットであることを特徴
とする。
【0032】請求項22に係る発明の繊維板は、請求項
21に記載の繊維板において、上記傾斜配向繊維マット
を少なくとも2枚有すると共に、その少なくとも2枚の
傾斜配向繊維マットの植物繊維の配向方向が相互に直交
していることを特徴とする。
【0033】請求項23に係る発明の繊維板は、請求項
21に記載の繊維板において、上記複数の繊維マットの
全てが、上記傾斜配向繊維マットであると共に、その複
数の傾斜配向繊維マットは、そのそれぞれの植物繊維の
配向方向が略一方向に揃っていることを特徴とする。
【0034】請求項24に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項23のいずれかに記載の繊維板において、
上記接着剤は、平均分子量200以上の高分子接着剤で
あることを特徴とする。
【0035】請求項25に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項24のいずれかに記載の繊維板において、
上記植物繊維は、ケナフ、油ヤシ、ココヤシの少なくと
もいずれかから得られた植物繊維を含んでなることを特
徴とする。
【0036】請求項26に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項25のいずれかに記載の繊維板において、
上記植物繊維は、その繊維長が50mm以上であること
を特徴とする。
【0037】請求項27に係る発明の繊維板は、請求項
1乃至請求項26のいずれかに記載の繊維板を製造する
製造方法であって、接着剤を付着した植物繊維の集合体
からなる繊維マットを製造する際に、植物繊維の内部細
孔部分への接着剤の浸透を抑制しつつ、植物繊維の表面
部分に接着剤を付着させることを特徴とする。
【0038】請求項28に係る発明の構造用壁下地材
は、請求項1乃至請求項26のいずれかに記載の繊維板
を用いていることを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明に係る繊維板の実施形態を
以下図面に基づいて説明する。
【0040】(第1実施形態)図1に、本発明に係る繊
維板の第1の実施形態を示している。図1(a)には熱
圧成形前の繊維板1を、図1(b)には熱圧成形後の繊
維板1を模式的に示している。接着剤を付着させた、繊
維長が50mm以上の植物繊維の集合体からなる繊維マ
ット2を複数層[図1(a)では4層]積層し、さらに
繊維板1の全領域中の釘打ち部となる領域である対向す
る二辺のそれぞれの端面近傍に、繊維マット2より幅が
狭く、繊維を織込んでなる繊維ネット3をそれぞれ挿入
して[図1(a)では2層目の繊維マット2と3層目の
繊維マット2との間に繊維ネット3を挿入]、積層体4
を形成し、次いで、この積層体4を熱圧成形することで
一体成形して、図1(b)に示すような繊維板1を形成
している。ここで、繊維板1の釘打ち部となる領域と
は、繊維板1の全領域のうち、釘打ちが予定される領域
であって、繊維板1を被固着物となる柱等の建築物の構
造材に取りつけるために釘が打たれる領域のことであ
り、この第1実施形態では、繊維ネット3を挿入してい
る領域(繊維板1の全領域よりも狭い領域)のことをい
う。
【0041】上記繊維マット2に使用される植物繊維と
しては、例えば、ヤシ、麻、さとうきび、竹、イネなど
から得られる植物繊維を用いることもできるが、ケナ
フ、油ヤシ、ココヤシの少なくともいずれかから得られ
る繊維を用いることが、より好ましい。これは、ケナ
フ、油ヤシ、ココヤシの少なくともいずれかから得られ
る繊維は、針葉樹から得られる針葉樹繊維や広葉樹から
得られる広葉樹繊維に比べて約2〜14倍程度の高い引
張強度を有するので、これらの繊維を用いて繊維板1を
形成することによって、繊維板1自身のせん断性能を特
に優れたものにすることができるためである。
【0042】ここで、ケナフは麻類の一年草で、主に、
中国、東南アジアなどで栽培されており、水中に浸漬す
ることにより、ケナフの靭皮部から繊維を容易に得るこ
とができる。また、油ヤシ、ココヤシは、マレーシア、
インドネシア、フィリピン等で栽培されており、ヤシ油
の搾油に利用されている果実以外の空果房と称する果体
や、油ヤシの葉柄部が繊維質で構成されている。上記空
果房や葉柄部にハンマーミル等の物理的な剪断処理を加
えることによって、繊維を容易に得ることができる。こ
れらの繊維は、穀物袋やロープの材料として利用されて
きたが、合成繊維に代替されつつあり、廃棄量が増大し
ているのが現状である。そのため上記の繊維を利用する
ことで、廃棄物を削減することができ、同時に木材資源
の節約も可能となる傾向にあるので望ましい。
【0043】また、植物繊維はその繊維長が、50mm
以上のものを用いるのが好ましく、さらに約100〜4
000mmであるとより好ましい。このように繊維長を
大きくした場合、繊維板1内部における繊維部分の絡み
合いが内部に多数存在するとともに、一本当たりの接着
剤の付着部分を増やすこともでき、また植物繊維同士の
継ぎ目部分を少なくできるので、前述した繊維自体の高
い引張強度をより効果的に活用でき、耐力性能に関し軽
量で優れた性能を有する繊維板1を得ることができるの
で好ましい。なお、繊維長が、約10mm〜50mmの
ものを用いてもよいが、この場合には、繊維長が50m
m以上のものを用いる場合に比べて、上記程の効果は得
られ難くなる。
【0044】また、繊維マット2を形成する際に、付着
させる接着剤の種類については、例えば、ユリア系樹
脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、レゾルシノー
ル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フルフラ
ール系樹脂、イソシアネート系樹脂のように加熱硬化す
る熱硬化性樹脂などを使用することができる。
【0045】図2(a)は、上記繊維ネット3の拡大図
を示している。この図2(a)に示すように、繊維ネッ
ト3は繊維同士を縦横に織り込んだ構造を有している。
この構造を有することにより、繊維同士を単に絡み合わ
せたのみの繊維マット2に比べ、繊維同士を絡み合わせ
た効果に加えて、繊維同士を織り込んだ効果も加わるの
で、繊維ネット3は、繊維マット2に比べより強固な構
造を有する。そして、より強固な構造を有する繊維ネッ
ト3が配された領域は、耐力性能を有する強固な領域と
なるので、その繊維ネット3が配された繊維板1の釘打
ち部となる領域を、その繊維ネット3を配さない領域よ
りも、強固な領域にすることが可能となる。
【0046】ここで、釘等を用いて柱等の構造材に施工
した繊維板1に、せん断荷重などの負荷が加えられた場
合、繊維板1の対向する二辺の釘打ち部となる領域にお
いては、幾何学的に同じ変形挙動が生じるため、ほぼ同
レベルの荷重が加えられていると考えられる。そこで、
繊維ネット3を配する、釘打ち部となる領域としては、
本実施形態のように、繊維板1の少なくとも対向する二
辺のそれぞれの端面近傍部分とするのが好ましい。さら
に、上記効果をより有効に発現させるためには、この第
1の実施形態のように、打つ釘の数の多い繊維板1の長
辺の端面近傍部分とするのが好ましい。図示はしない
が、繊維板1の四辺の端面近傍部分に繊維ネット3を配
設するとより好ましい。
【0047】さらに、上記繊維ネット3としては、図2
(a)に示される、縦横に織込まれる繊維3aの繊維間
の開口3bの幅が5mm以下であるものを用いるように
するのが好ましい。繊維板1を柱等の構造材に施工する
場合に使用される釘としては、一般的にJIS―A55
08に規定されるN50釘(釘頭径6.6mm)等が使
用される場合が大半であり、繊維間の開口2bの幅を上
記範囲に制御することにより、例えば図2(b)の拡大
図に示すように、繊維ネット3が釘9の釘頭部の貫通を
抑制できる位置に効果的に配置されることになり、繊維
板1の耐力性能を効果的に高めることが可能となるので
好ましい。
【0048】なお、上記繊維ネット3に使用される繊維
3aとしては、上記繊維マット2で使用される植物繊維
の他、化学繊維などを用いることができるが、これらに
限定されない。さらに、上記繊維マット2及び上記繊維
ネット3の厚さ、質量、積層数等についても特に限定は
なく、繊維板1の利用目的に応じて適宜設計すればよい
が、繊維板1の釘打ち部となる領域の面重量が、3kg
/cm2以上になるように形成すれば、その釘打ち部と
なる領域において、一般に汎用される合板よりも、高い
耐力性能を有する傾向にあるので、好ましい。なお、繊
維板の面重量の上限は、繊維板が製造可能であれば良
い。このように本実施形態の繊維板1は、繊維マット2
よりも、強固な構成を有する繊維ネット3を補強部材と
して、釘打ち部となる領域に配してから熱圧成形してい
るので、耐力性能が向上していて、柱等の構造材に、上
記繊維板1を釘を打つことで取り付けた場合に、 ・釘頭部による繊維板1の貫通破壊 ・釘による繊維板1の側部破壊 が低減することが可能となる。
【0049】また、釘打ち部となる領域以外の部分の密
度は特に限定はされないが、400kg/m3以上に設
定するのが好ましく、500kg/m3以上であれば、
さらに好ましい。繊維板1の密度が、400kg/m3
未満であると、繊維同士の接着部分や繊維同士の絡み合
い部分が減少することになって、植物繊維が本来有して
いる繊維同士の接着部分や繊維同士の絡み合い部分によ
る高い強度を十分に発揮させることが困難になり、繊維
板1自身のせん断性能が低下する傾向にある。また、こ
の釘打ち部となる領域以外は、植物繊維を熱圧成形した
ものであるので、基本的に植物繊維間に空隙を有する構
造、すなわち、透湿性の高い構造となっており、その結
果、繊維板1の全領域中、この釘打ち部となる領域以外
では高い透湿性を保つことが可能となり、防露性能につ
いても非常に優れた繊維板1を得ることが可能となる。
【0050】また、接着剤には、平均分子量200以上
の高分子接着剤を用いることが望ましい。一般に、植物
繊維は数十個の細胞の集合体からなり、細胞は細胞壁と
導管とで構成されているが、細胞壁には微細な孔(細
孔)が多数存在しており、接着剤の分子量あるいは接着
方法、接着条件等によっては、付着時にその一部が細胞
壁内に浸透しようとする傾向がある。その浸透状態によ
っては、植物繊維の細胞が脆化する恐れや、植物繊維表
面に付着する接着成分が十分でなく、植物繊維どうしの
接着性が低下する傾向などがあった。これに対し、分子
量が200以上の接着剤を用いることにより、植物繊維
の細孔内に接着成分を入りにくくすることができるた
め、植物繊維の特徴である強度を最大限に活用できると
ともに、接着成分を植物繊維表面に効果的に付着させる
ことができ、繊維板1の耐力性能をさらに効果的に高め
ることが可能になり、好ましい。なお、その高分子接着
剤の平均分子量の上限については、特に制限されるもの
ではなく、接着剤の塗布が可能であればどのようなもの
でも良い。また接着剤を付着させる方法としては、例え
ば、平均分子量が200以上の高分子接着剤を、スプレ
ー等によりミスト状にして付着させる方法や、ロールコ
ーターなどにより繊維マット2に直接塗布する方法など
がある。これらの方法により接着剤を付着させることに
より、植物繊維の内部細孔部分への接着剤の浸透を抑制
しつつ、植物繊維の表面部分に付着させることが可能と
なる。
【0051】また、上記熱圧成形の際のプレス方法とし
ては、バッチ式の平板プレスと連続プレスがあるが、特
に限定はされず、またプレス温度、プレス時間、プレス
圧力などは、用いる接着剤の種類、繊維マット2の厚さ
等により適宜に設定することができる。
【0052】(第2実施形態)図3は、本発明に係る繊
維板の第2の実施形態を示している。本実施形態では、
上記第1の実施形態の構成において、4層積層した繊維
マット2のうち、2層目と3層目との間に挟んだ繊維ネ
ット3を、繊維板1の表層となる1層目の繊維マット2
の表面上に配して熱圧成形している。繊維ネット3を繊
維板1の表層に配することにより、繊維ネット3の特徴
である釘の釘頭部の貫通抑制効果を最も効果的に奏させ
ることができ、繊維板1の耐力性能をさらに効果的に高
めることが可能になる。
【0053】(第3実施形態)図4は、本発明に係る繊
維板の第3の実施形態を示している。本実施形態は、図
4に示すように、繊維ネット3を、4層積層した繊維マ
ット2のうち、その1層目と2層目との間に挿入して熱
圧成形している。このように、複数の繊維マット2のい
ずれかの層間に挿入して熱圧形成した構成にすることに
より、繊維ネット3が繊維板1内部で固定され、釘9の
釘頭部9aの貫通に対して繊維ネット3を構成する繊維
間の開口が拡大する現象を抑制できるため、繊維ネット
3の特徴である釘9の釘頭部9aの貫通抑制効果をより
効果的に活用することができる。なお、繊維ネット3
は、4層の繊維マット2のうち、いずれの層間に挿入さ
れていてもよいが、繊維板1表面からの位置が、繊維板
1の厚さの3分の1以内になるよう配して熱圧成形する
のが、より好ましい。このような構成にすることによ
り、図4(c)の拡大図に示すように、繊維板1の施工
時に、釘9の釘頭部9aと繊維板1表面との密着性をよ
り高める傾向にあり、釘の貫通抑制効果をより奏させる
ことができる。
【0054】(第4実施形態)図5は、本発明に係る繊
維板の第4の実施形態を示している。本実施の形態で
は、上記第1の実施形態の構成において、繊維ネット3
を繊維板1の厚さ方向に関して対称となる位置[図5
(a)では1層目及び2層目間と、3層目及び4層目
間]に配して熱圧成形している。このような構成にする
ことにより、繊維板1の厚さ方向における異方性をより
低減できるため、前述の優れた性能を維持しながら反り
などの異常を極力低減させた繊維板1を得ることができ
る。なお、繊維マット2を積層する際の積層数及び各層
の厚みについては、これに限定されるものではないが、
繊維板1の反り低減を考慮した場合、繊維マット2にお
いても、繊維板1の厚さ方向に関して対称となるよう配
置することが好ましい。
【0055】(第5実施形態)図6には本発明に係る繊
維板の第5の実施形態が示してある。植物繊維を用いて
形成した繊維マット2に接着剤を付着させた後、それら
を数層[図6(a)では4層]積層し、繊維板1の釘打ち
部となる領域である、繊維板としたときの長辺方向とな
る対向する二辺のそれぞれの端面近傍に、植物繊維を一
方向に配向させて形成した繊維配向マット5を、繊維板
1の長辺方向に対して平行な方向に配向するよう積層し
[図6(a)では長辺方向と平行に配向された繊維配向
マット5を表層に積層]、積層体4を形成した。次い
で、この積層体4を熱圧成形することで一体成形して、
図6(b)示すような繊維板1を形成している。本実施
形態では、繊維配向マット5を配している領域が釘打ち
部となる領域である。
【0056】繊維板1の耐力性能を決定する要因の一つ
として、図19に示すような釘9によるパネル10の側
部破壊に対する強度が挙げられる。この場合の強度を決
定する、すなわち側部破壊が最も生じやすくなるのは、
釘9と繊維板1端面とを結ぶ線分の方向及びこの線分の
近傍部分である。そこで、本実施形態では、この部分
に、図6(c)に拡大して示すように、繊維板1の長辺
方向と平行に配向された繊維配向マット5を補強材とし
て配置することにより、上記方向への側部破壊強度を植
物繊維の引張強度で制御でき、繊維板1の耐力性能を効
果的に高めることが可能になる。
【0057】ここで、本実施形態においても、前述の軽
量性及び防露性能が同様に発現していることは言うまで
もない。また、繊維マット2及び繊維配向マット5の厚
さ、質量、積層数等についても特に限定されるものでは
なく、繊維板1の利用目的に応じて適宜設計すればよ
い。なお、繊維配向マット5を配置する部分としては、
繊維板1の少なくとも対向する二辺のそれぞれの端面近
傍部分であればよいが、上記効果をより有効に発現させ
るためには、打つ釘の数が多くなる繊維板1長辺の端面
近傍部分とするのが好ましく、また繊維板1四辺の各端
面近傍部分に繊維配向マット5を配置するようにする
と、繊維板1をより強固に補強でき、好ましい。
【0058】(第6実施形態)図7には本発明に係る繊
維板の第6の実施形態が示してある。接着剤を付着させ
た植物繊維の集合体からなる繊維マット2を数層[図7
(a)では4層]を積層し、繊維板1の全領域中の釘打
ち部となる領域のみに、さらに補強部材として幅を狭く
した繊維マット2aを、熱圧成形後の面重量が3kg/
cm2以上となるように積層[図7(a)では幅を狭く
した繊維マット2aを積層体4の表層に積層]して、積
層体4を形成し、次いで、この積層体4を熱圧成形で一
体成形して繊維板1を形成している。
【0059】繊維板1の釘打ち部となる領域の面重量を
3kg/cm2以上にすることにより、釘打ち部となる
領域において、一般に汎用される合板よりも、高い耐力
性能を有する傾向にあるので、好ましい。なお、繊維板
の面重量の上限は、繊維板が製造可能であれば良い。
【0060】ここで、本実施形態においては、幅を狭く
した繊維マット2aを補強部材として用いたが、本発明
では、繊維板1の利用目的に応じて各種の補強部材を使
用できる。
【0061】なお、繊維板1の面重量を制御する部分と
しては、繊維板1の少なくとも対向する二辺のそれぞれ
の端面近傍部分が好ましく、上記効果をより有効に発現
させるためには釘打ちをする数の多い繊維板1長辺の端
面近傍部分とするのがより好ましく、また繊維板1四辺
の各端面近傍部分の面重量を上記のように制御するとさ
らに好ましい。
【0062】(第7実施形態)図8は、本発明に係る繊
維板の第7の実施形態を示している。上記第3の実施形
態の構成に加えて、繊維板1の二辺間(図8では長辺
間)をつなぐ方向にさらに幅の狭い繊維マット2aを積
層し[図8(a)では繊維マット2aを表層に積層]、こ
の積層体4を熱圧成形で一体成形して、図8(b)に示
す繊維板1を形成している。
【0063】前述したように、繊維板1を用いたパネル
工法の躯体構造における強度を決定する主因の一つとし
て、繊維板1自身のせん断性能が挙げられる。本実施形
態のような構造にすることにより、前述した釘打ち部と
なる領域の耐力性能向上効果に加えて、幅の狭い繊維マ
ット2aを追加積層した部分が繊維板1に対する補強層
21となり、その補強効果も活用できるため、繊維板1
のせん断性能をさらに効果的に高めることが可能にな
る。
【0064】なお、補強層21の形状、数などについて
は、繊維板1の二辺間をつなぐ方向に配置されていれば
特に制限されるものではなく、例えば図9(a)、図9
(b)に示すように、筋かい状の補強層22、又は各角
部において二辺間を繋ぐ補強層23として設けることも
できる。また、これら補強層の面重量及び面積比につい
ては、透湿性を大きく損なわない程度であれば特に制限
されるものではなく、使用する繊維板1の厚みや密度な
どにより適宜設定することができる。
【0065】(図8実施形態)図10は、本発明に係る
繊維板の第8の実施形態を示している。本実施の形態で
は、上記第3の実施形態の構成に加えて、積層体4を熱
圧成形する際に、プレス熱板の厚みを一部変更するなど
して、繊維板1の二辺間をつなぐ方向に、その周囲より
も一段厚く形成した補強層24としての、厚みの厚い部
分が形成されるように一体成形して、図10(b)に示
す繊維板1を成形している。
【0066】本実施形態のような構造にすることによ
り、前述した釘打ち部となる領域の耐力性能の向上効果
に加えて、厚みの厚い部分が繊維板1に対する一段厚く
した補強層24となり、その補強効果も活用できるた
め、繊維板1自身のせん断性能をさらに効果的に高める
ことが可能になる。
【0067】ここで、一段厚く形成した補強層24につ
いては、例えば図11(a)、図11(b)に示すよう
に、筋かい状の補強層25、又は各角部において二辺間
を繋ぐ補強層26として設けることもできる。また、こ
れら補強層の厚み及び面積比については、透湿性を大き
く損なわない程度であれば特に制限されるものではな
く、使用する繊維板1の厚みや密度などにより適宜設定
すればよい。
【0068】(第9実施形態)図12は、本発明に係る
繊維板1の第9の実施形態を示している。本実施形態で
は、上記第3の実施形態の構成において、繊維板1の辺
方向に対して傾斜する方向となるよう、植物繊維が配向
された傾斜配向繊維マット6を、繊維マット2と共に積
層し[図12(a)では対角線方向に配向された傾斜配
向繊維マット6を積層体4の表層に配置]、この積層体
4を熱圧成形で一体成形することにより図12(b)に
示す繊維板1を形成している。
【0069】本実施形態の構造にすることにより、前述
した釘打ち部となる領域の強度向上効果に加えて、傾斜
配向繊維マット6自身が繊維板1に対する筋交い補強層
となり、その補強効果も活用できるため、耐力性能をさ
らに効果的に高めることが可能になる。なお、傾斜配向
繊維マット6の配向方向については、繊維板1の辺方向
に対して傾斜する方向となるよう配向されていれば特に
制限されない。
【0070】また、本実施形態における別の形態とし
て、図13に示すように、積層する複数の繊維マットを
全て、上記傾斜配向繊維マット6にし、その植物繊維の
配向方向を全て略一方向に揃えて積層させるようにして
もよい。このように形成することで、傾斜配向繊維マッ
ト6自身が繊維板1に対する筋交い補強効果をさらに向
上させることができる。
【0071】さらに、本実施形態における別の形態とし
て、図14に示すように、上記複数の傾斜配向繊維マッ
ト6を複数積層させる際に、その植物繊維の配向方向
が、層間で相互に直交するように積層して繊維板1を形
成するようにしてもよい。なお、図14では、植物繊維
の配向方向が直交するように傾斜配向繊維マット6を交
互に積層させて4層に積層しているが、例えば、傾斜配
向繊維マット6を4層積層させる場合、その4層のうち
3層については、配向方向を略一方向に揃えると共に、
残り1層だけを、他の3層の配向方向に直交するように
積層してもよく、その積層させる位置も何層目であって
もよい。このように形成することで、傾斜配向繊維マッ
ト6自身が繊維板1に対する筋交い補強効果を奏し得る
と共に、配向方向を相互に略直交させて傾斜配向繊維マ
ット6を積層したので、筋交い補強効果に加え、織り込
み補強効果に似た効果をも奏させることが可能となる。
【0072】(第10実施形態)本発明に係る繊維板の
第10の実施形態を、図15に示している。本実施形態
では、上記第1実施形態において、補強部材を樹脂シー
ト31としている。なお、上記第1実施形態と同じもの
には、同じ符号を付している。この樹脂シート31とし
ては、樹脂フィルム、樹脂織布、樹脂不織布などを用い
ることができ、その材料には、合成樹脂材料又は天然樹
脂材料を用いることができる。
【0073】樹脂フィルムは、樹脂材料を展延して、薄
くシート状に形成したもので、これを、繊維板1の全領
域内のうち、釘打ちをしようとする釘打ち部の領域に配
置することで、樹脂フィルムの粘弾性的特性により、釘
頭部の貫通破壊や、釘による繊維板1の側面破壊を低減
でき、釘打ち部となる領域に高い耐力性能を奏させるこ
とが可能となる。さらに、繊維板1を成形する際に、こ
の樹脂フィルムをも同時に成形することも可能であるの
で、そのように同時形成すれば、この樹脂フィルムの成
形にかかる手間を低減でき、好ましい。なお、粘弾性的
特性とは、力が加わると徐々に変形し、力が抜けると徐
々に元の形に戻る特性のことを指す。
【0074】樹脂繊維を織り込んでなる樹脂織布は、樹
脂材料を繊維状に形成し、その繊維状に形成した樹脂材
料を、非常に細かい目になるよう織り込んでシート状に
形成したものである。このように、樹脂材料を繊維状に
して織り込んだことにより、この織布が配置された釘打
ち部がより強固となり、釘打ちによる破壊が発生しにく
くなると共に、樹脂繊維を織り込んだ状態であるので、
ある程度の通気性を有し得る。
【0075】樹脂繊維よりなる樹脂不織布は、樹脂材料
を繊維状に形成し、その繊維状に形成した樹脂材料を、
フェノール系接着剤等の接着剤で接合してシート状に形
成したものである。不織布は、繊維同士が複雑に絡み合
った状態で接合したものであるので、外力が加わった場
合にも、破壊、破断しにくいものとなっている。従っ
て、この樹脂不織布を繊維板1の釘打ち部となる領域に
配設することで、繊維板1の耐力性能を向上させること
ができると共に、その釘打ち部となる領域にある程度の
通気性を持たせることができる。
【0076】このように、樹脂材料よりなる樹脂シート
を、繊維板1の釘打ち部となる領域に配設することで、
繊維板1の耐力性能を向上させることができ、釘頭部に
よる貫通破壊や、釘による繊維板1の側面破壊を防止す
ることが可能となる。
【0077】(第11実施形態)本発明に係る繊維板の
第11の実施形態を、図16に示している。本実施形態
では、上記第1実施形態において、補強部材を固体状の
粒体32としている。なお、上記第1実施形態と同じも
のには、同じ符号を付している。この固体状の粒体の材
料としては、ポリエチレンテレフタレート、リグノセル
ロース、変成リグノセルロース等を用いることができ
る。
【0078】ポリエチレンテレフタレートは、熱可塑性
の樹脂であり、このポリエチレンテレフタレートを、固
体状の粒体に形成して用いる。
【0079】リグノセルロースは、例えば、ケナフ靭皮
部を粉細して得られる材料で、このようにして得たリグ
ノセルロースを固体状の粒体に形成して用いる。
【0080】変成リグノセルロースは、リグノセルロー
ス材料中のヘミセルロース成分を加水分解することによ
り得られる物質であり、この変成リグノセルロースを固
体状の粒体に形成して用いる。
【0081】補強部材に、このような粒体32を用いる
ことで、繊維板1の釘打ち部となる領域を補強すること
が可能となる。なお、上記の固体状の粒体は、その平均
粒径が100〜500μmの範囲内のものを用いること
が好ましい。また、この粒体32を、2層目と3層目の
繊維マット2の間に配するとき、粒体をそのまま振り撒
くように供給してもよく、多数の粒体を糊等の接着剤で
固めた状態で供給するようにしてもよく、特に限定され
ない。
【0082】(第12実施形態)本発明に係る繊維板の
第12の実施形態を、図17に示している。本実施形態
では、上記第1実施形態において、補強部材を繊維体3
3としている。なお、上記第1実施形態と同じものに
は、同じ符号を付している。この繊維体33の材料とし
ては、ポリウレタン樹脂繊維、ケナフ靭皮繊維、変成ケ
ナフ繊維等を用いることができる。
【0083】ポリウレタン樹脂繊維は、熱可塑性のポリ
ウレタン樹脂から得られる繊維体で、この繊維体にフェ
ノール系接着剤をスプレーした後、4層積層した繊維マ
ット2の、2層目と3層目の間に挟み込んでいる。
【0084】ケナフ靭皮繊維は、ケナフ靭皮部から得ら
れるリグノセルロース材料よりなる繊維体で、この繊維
体にフェノール系接着剤をスプレーした後、4層積層し
た繊維マット2の、2層目と3層目の間に挟み込んで、
繊維板1を形成している。
【0085】変成ケナフ繊維は、リグノセルロース材料
としてのケナフ靭皮繊維のヘミセルロース成分を加水分
解して得られる変成リグノセルロース材料よりなる繊維
体で、この繊維体にフェノール系接着剤をスプレーした
後、4層積層した繊維マット2の、2層目と3層目の間
に挟み込んでいる。
【0086】なお、上記繊維体を2層目と3層目の繊維
マットの間に配するときは、繊維体をそのまま撒き散ら
すように、釘打ち部となる領域に配しても、糊等の接着
剤で、多数の繊維体を一体化しておき、その一体化させ
た繊維体を配するようにしてもよく、特に限定されな
い。
【0087】上記のように、補強部材に繊維体を用いる
ことで、繊維板1の釘打ち部となる領域を、その繊維体
を配さない領域より補強することが可能となる。なお、
上記繊維体は、その繊維長が50mm以下のものを用い
ることがより好ましい。
【0088】次に、本発明の製造方法に係る実施形態に
ついて説明する。
【0089】上記第1〜12の実施形態の構成を有する
繊維板を製造する製造方法において、接着剤を付着した
植物繊維の集合体からなる繊維マットを製造する際に、
植物繊維の内部細孔部分への接着剤の浸透を抑制しつ
つ、植物繊維の表面部分に接着剤を付着させるようにす
る。
【0090】植物繊維の細胞壁には微細な孔(細孔)が
多数存在しており、接着剤の分子量あるいは接着方法、
接着条件等によっては、付着時に一部が細胞壁内に浸透
し、その浸透状態によっては、植物繊維の細胞が脆化す
る傾向にあり、植物繊維表面に付着する接着成分が十分
でなく、植物繊維どうしの接着性が低下する傾向にあっ
た。これに対し、植物繊維の内部細孔部分への接着剤の
浸透を抑制しつつ、植物繊維の表面部分に接着剤を付着
させることにより、植物繊維の特徴である強度を最大限
に活用できるとともに、接着剤の接着性能を効果的に活
用でき、耐力性能をさらに効果的に高めることが可能に
なる。
【0091】次に、本発明の構造用壁下地材に係る実施
の形態について説明する。
【0092】上記第1〜12の実施形態の構成を有する
繊維板は、前述したような、優れた防露性能、せん断性
能及び耐力性能を有する繊維板であるので、このような
繊維板を用いて構造用壁下地材とすることにより、その
性能を有効に活用することが可能となる。この構造用壁
下地材は、パネル工法のパネルとして好適に使用されて
いる。
【0093】
【実施例】以下、本発明の実施例につき具体的に説明す
る。そして、その各実施例の繊維板について、その性能
評価を行った。
【0094】(実施例1)まず、ケナフ繊維を集合させ
た繊維マット2をフェノール系接着剤(分子量180)
中に浸漬した後、絞りローラーにより接着剤添加率が1
5質量%となるよう調整したものを4層積層した。さら
に、補強部材としての、開口径5.5mm、幅50mm
のケナフ繊維の繊維ネット3に、フェノール系接着剤
(分子量180)を5質量%スプレーした後、2層目及
び3層目の繊維マット2の間に挟み込んで、図1(a)
に示すような積層体4を形成した。次いで、温度150
℃、時間5分の条件でプレスすることで、熱圧成形し
て、サイズが910mm×2730mm×4mm、質量
が7.5kgで、平均密度が750kg/m3の図1
(b)に示すような、繊維板1を作製した。
【0095】なお、上記フェノール系接着剤について、
GPC(ゲルクロマト)を用いて、平均分子量が180
であることを確認した。
【0096】(実施例2)補強部材として、開口径4.
5mmのケナフ繊維の繊維ネット3を用いた以外は、実
施例1と同じ条件で、サイズが910mm×2730m
m×4mm、質量が7.2kgで、平均密度が720k
g/m3の図1(b)に示すような、繊維板1を作製し
た。
【0097】(実施例3)繊維ネット3を、積層体4の
表面に積層した以外は、実施例2と同じ条件で、サイズ
が910mm×2730mm×4mm、質量が7.2k
gで、平均密度が720kg/m3の図3(b)に示す
ような、繊維板1を作製した。
【0098】(実施例4)繊維ネット3を、1層目及び
2層目のケナフ繊維の繊維マット2の間に挟み込んだ以
外は、実施例2と同じ条件で、サイズが910mm×2
730mm×4mm、質量が7.2kgで、平均密度が
720kg/m3の図4(b)に示すような、繊維板1
を作製した。
【0099】(実施例5)繊維ネット3を、1層目及び
2層目の繊維マット2の間と、3層目及び4層目のケナ
フ繊維の繊維マット2の間とに挟み込んだ以外は、実施
例2と同じ条件で、サイズが910mm×2730mm
×4mm、質量が7.3kgで、平均密度が730kg
/m3の図5(b)に示すような、繊維板1を作製し
た。
【0100】(実施例6)まず、ケナフ繊維を集合させ
た繊維マット2をフェノール系接着剤(分子量180)
中に浸漬した後、絞りローラーにより接着剤添加率が1
5質量%となるよう調整したものを4層積層した。さら
に、補強部材としての、ケナフ繊維を長手方向に配向し
た幅50mmのケナフ繊維の繊維配向マット5に、フェ
ノール系接着剤(分子量180)を10質量%スプレー
した後表面に積層し、図6(a)に示すような積層体4
を形成した。次いで、温度150℃、時間5分の条件で
プレスすることで、熱圧成形して、サイズが910mm
×2730mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密
度が750kg/m3の図6(b)に示すような、繊維
板1を作製した。
【0101】(実施例7)まず、ケナフ繊維を集合させ
た繊維マット2をフェノール系接着剤(分子量180)
中に浸漬した後、絞りローラーにより接着剤添加率が1
5質量%となるよう調整したものを4層積層した。さら
に、補強部材としての、フェノール系接着剤(分子量1
80)添加率が15質量%、幅50mmのケナフ繊維の
繊維マット2aを、表面に積層して、図7(a)に示す
ような積層体4を形成した。次いで、温度150℃、時
間5分の条件でプレスすることで、熱圧成形して、幅5
0mmのケナフ繊維の繊維マット2aを積層した領域2
0の面重量が3.2kg/m 2で、サイズが910mm
×2730mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密
度が750kg/m3の図7(b)に示すような、繊維
板1を作製した。
【0102】(実施例8)フェノール系接着剤(平均分
子量180)の添加率が15質量%、幅50mmのケナ
フ繊維の繊維マット2aを補強層として、各短辺から9
00mmの位置に表面に積層した以外は、実施例4と同
じ条件で、図8(a)に示すような積層体4を形成し
た。次いで、温度150℃、時間5分の条件でプレスす
ることで、熱圧成形して、サイズが910mm×273
0mm×4mm、質量が7.3kgで、平均密度が73
0kg/m3の図8(b)に示すような、繊維板1を作
製した。
【0103】(実施例9)繊維板1の厚みが、各短辺か
ら900mmの位置において、幅50mm、厚さ5mm
となるようプレス熱盤の形状を変更した以外は、実施例
4と同じ条件で、サイズが910mm×2730mm×
4mm、質量が7.3kgで、平均密度が730kg/
3の図10(b)に示すような、繊維板1を作製し
た。
【0104】(実施例10)ケナフ繊維の繊維マット2
をフェノール系接着剤(平均分子量180)中に浸漬し
た後、絞りローラーにより接着剤添加率が15質量%と
なるよう調整したものを3層積層し、さらにその上にケ
ナフ繊維を繊維板1の対角線方向に配向するよう調整し
た、接着剤添加率15質量%のケナフ繊維の傾斜配向繊
維マット6を積層して、図12(a)に示すような積層
体4を形成した。次いで、温度150℃、時間5分の条
件でプレスすることで、熱圧成形して、サイズが910
mm×2730mm×4mm、質量が7.5kgで、平
均密度が750kg/m3の図12(b)に示すよう
な、繊維板1を作製した。
【0105】(実施例11)接着剤に平均分子量350
のフェノール系接着剤を用いた以外は、実施例2と同じ
条件で、サイズが910mm×2730mm×4mm、
質量が7.4kgで、平均密度が740kg/m3の図
1(b)に示すような、繊維板1を作製した。
【0106】なお、上記フェノール系接着剤について、
GPC(ゲルクロマト)を用いて、平均分子量が350
であることを確認した。
【0107】(実施例12)接着剤をロールコーターに
より繊維マット2に付着させた以外は、実施例1と同じ
条件で、サイズが910mm×2730mm×4mm、
質量が7.4kgで、平均密度が740kg/m3の図
1(b)に示すような、繊維板1を作製した。
【0108】なお、接着剤をロールコーターで付着させ
た上記繊維マットを、X線マイクロ分析法で分析して、
接着剤が繊維マットを構成する植物繊維の内部細孔部分
へは、浸透しておらず、且つ植物繊維の表面部分に付着
していることを確認した。
【0109】(実施例13)補強部材として、厚さ0.
5mmのフェノール樹脂フィルムを用い、接着剤に、平
均分子量180のフェノール系接着剤を用いた以外は、
実施例1と同じ条件で、サイズが910mm×2730
mm×4mm、質量が7.2kgで、平均密度が720
kg/m3の図15(b)に示すような、繊維板1を作
製した。
【0110】なお、上記フェノール系接着剤について、
GPC(ゲルクロマト)を用いて、平均分子量が180
であることを確認した。
【0111】(実施例14)補強部材として、繊維径が
約0.1mmの不飽和ポリエステル樹脂繊維を織り込ん
だ厚さ0.5mmの樹脂織布を用いた以外は、実施例1
3と同じ条件で、サイズが910mm×2730mm×
4mm、質量が7.2kgで、平均密度が720kg/
3の図15(b)に示すような、繊維板1を作製し
た。
【0112】(実施例15)補強部材として、平均繊維
径0.1mm、平均繊維長70mmのポリウレタン樹脂
繊維よりなる樹脂不織布を用い、この樹脂繊維にフェノ
ール系接着剤をスプレーした後、2層目の繊維マット2
と、3層目の繊維マット2との間に面重量500g/m
2となるよう樹脂不織布を積層して挟み込んだ以外は、
実施例1と同じ条件で、サイズが910mm×2730
mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密度が750
kg/m3の図15(b)に示すような、繊維板1を作
製した。
【0113】(実施例16)補強部材として、平均粒径
700μmのシリカ粒体を用い、このシリカ粒体にフェ
ノール系接着剤をスプレーした後、2層目の繊維マット
2と、3層目の繊維マット2との間に、面重量500g
/m2となるようシリカ粒体を積層して挟み込んだ以外
は、実施例1と同じ条件で、サイズが910mm×27
30mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密度が7
50kg/m3の図16(b)に示すような、繊維板1
を作製した。
【0114】(実施例17)補強部材として、平均粒径
700μmのポリエチレンテレフタレート粒体を用いた
以外は、実施例15と同じ条件で、サイズが910mm
×2730mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密
度が750kg/m3の図16(b)に示すような、繊
維板1を作製した。
【0115】(実施例18)補強部材として、平均粒径
300μmのポリエチレンテレフタレート粒体を用いた
以外は、実施例16と同じ条件で、サイズが910mm
×2730mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密
度が750kg/m3の図16(b)に示すような、繊
維板1を作製した。
【0116】(実施例19)補強部材として、ケナフ靭
皮部から得られるケナフ靭皮繊維よりなる繊維体を用い
た以外は、実施例16と同じ条件で、サイズが910m
m×2730mm×4mm、質量が7.5kgで、平均
密度が750kg/m3の図17(b)に示すような、
繊維板1を作製した。
【0117】(実施例20)補強部材として、ケナフ靭
皮繊維のヘミセルロース成分を加水分解して得られる変
成ケナフ繊維の繊維体を用い、2層目の繊維マット2と
3層目の繊維マット2との間に、面重量500g/m2
となるよう、その繊維体を積層して挟み込んだ以外は、
実施例1と同じ条件で、サイズが910mm×2730
mm×4mm、質量が7.5kgで、平均密度が750
kg/m3の図17(b)に示すような、繊維板1を作
製した。
【0118】(実施例21)補強部材として、平均繊維
径0.1mm、平均繊維長20mmのポリウレタン樹脂
繊維よりなる繊維体を用いた以外は、実施例19と同じ
条件で、サイズが910mm×2730mm×4mm、
質量が7.5kgで、平均密度が750kg/m3の図
17(b)に示すような、繊維板1を作製した。
【0119】(比較例)比較例として、910mm×2
730mm×9mmのサイズに切断した、質量が12.
7kgで、密度570kg/m3の一般に汎用されてい
る針葉樹合板を用いた。
【0120】上記各実施例及び比較例における繊維板1
及び針葉樹合板の構成と製造条件及び性能評価結果を表
1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】表1において、壁倍率は、910mm×2
730mmサイズの繊維板及び針葉樹合板を構造用壁下
地材として施工し、(財)日本建築総合試験所―建築評
定センター制定「木造の耐力壁及びその倍率性能試験・
評価業務方法書」に準じた方法で面内せん断試験を行
い、各繊維板及び合板において算出された壁倍率により
評価した。なお、この壁倍率が大きければ、大きい程、
繊維板又は針葉樹合板の耐力性能が優れていることを示
している。
【0123】また、防露性能はJIS−A1324に規
定される透湿性測定方法(カップ法)に準じた方法で透
湿性試験を行い、各繊維板及び針葉樹合板において算出
された透湿抵抗により評価した。なお、透湿抵抗が低い
ほど防露性能が高いことを示す。
【0124】表1に見られるように、各実施例の繊維板
は、比較例の針葉樹合板に対して軽量でありながら耐力
性能、防露性能ともに優れるものであった。
【0125】
【発明の効果】請求項1〜26に係る発明の繊維板は、
その繊維板の全領域中の少なくとも釘打ち部となる領域
に補強部材を配し、その釘打ち部となる領域を補強して
なるので、繊維板の防露性能及びせん断性能を維持する
とともに、優れた耐力性能をも奏させることが可能とな
る。
【0126】請求項27に係る発明の繊維板の製造方法
は、請求項1乃至請求項26に記載の繊維板を製造する
製造方法であって、植物繊維の内部細孔部分への接着剤
の浸透を抑制しつつ、植物繊維の表面部分に接着剤を付
着させる繊維板の製造方法であるので、優れた耐力性能
を有する繊維板を製造することができる。
【0127】請求項28に係る発明の構造用壁下地材
は、上記請求項1乃至請求項26に記載の繊維板を用い
ているので、防露性能、せん断性能及び耐力性能が優れ
る構造用壁下地材になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る繊維板の第1の実施形態を示
す斜視図である。
【図2】 上記実施形態における繊維ネットを説明す
る拡大図である。
【図3】 本発明に係る繊維板の第2の実施形態を示
す斜視図である。
【図4】 本発明に係る繊維板の第3の実施形態を示
す斜視図である。
【図5】 本発明に係る繊維板の第4の実施形態を示
す斜視図である。
【図6】 本発明に係る繊維板の第5の実施形態を示
す斜視図である。
【図7】 本発明に係る繊維板の第6の実施形態を示
す斜視図である。
【図8】 本発明に係る繊維板の第7の実施形態を示
す斜視図である。
【図9】 上記実施形態における補強層の別の形態を
示す図である。
【図10】 本発明に係る繊維板の第8の実施形態を示
す斜視図である。
【図11】 上記実施形態における補強層の別の形態を
示す図である。
【図12】 本発明に係る繊維板の第9の実施形態を示
す斜視図である。
【図13】 上記実施形態における繊維マットの別の形
態を示す図である。
【図14】 上記実施形態における繊維マットのさらに
別の形態を示す図である。
【図15】 本発明に係る繊維板の第10の実施形態を
示す斜視図である。
【図16】 本発明に係る繊維板の第11の実施形態を
示す斜視図である。
【図17】 本発明に係る繊維板の第12の実施形態を
示す斜視図である。
【図18】 従来の繊維板における釘頭部の貫通破壊を
説明する模式図である。
【図19】 従来の繊維板における釘の側部破壊を説明
する模式図である。
【符号の説明】
1 繊維板 2 繊維マット 3 繊維ネット 4 積層体 5 繊維配向マット 6 傾斜配向繊維マット 21、24 補強層 31 樹脂シート 32 粒体 33 繊維体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅岡 一哲 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 大西 兼司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 劉 文海 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 高橋 時春 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 君島 穣 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 2B260 AA20 BA07 BA15 BA19 CB01 CB04 CD04 4L048 AA06 AA07 AA08 AA09 AA21 AA26 AB01 AB07 BA06 DA30 EB00 EB05

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着剤を付着した植物繊維の集合体から
    なる複数の繊維マットを熱圧成形して得られる略長方形
    状の繊維板において、熱圧成形する前に上記繊維板の全
    領域中の少なくとも釘打ち部となる領域に補強部材を配
    してから、熱圧成形することにより、上記釘打ち部とな
    る領域を、補強部材を配さない領域より補強しているこ
    とを特徴とする繊維板。
  2. 【請求項2】 上記釘打ち部となる領域が、上記繊維板
    の少なくとも対向する二辺のそれぞれの端面近傍である
    ことを特徴とする請求項1に記載の繊維板。
  3. 【請求項3】 上記補強部材を、上記複数の繊維マット
    間に挟みこむように配していることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の繊維板。
  4. 【請求項4】 上記補強部材を、上記繊維板の表層とな
    る位置に配していること特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載の繊維板。
  5. 【請求項5】 上記補強部材を、上記繊維板の厚さ方向
    に関して対称となる位置に複数配していることを特徴と
    する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の繊維板。
  6. 【請求項6】 上記釘打ち部となる領域の繊維板の面重
    量が3kg/cm2以上となるように形成していること
    を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の
    繊維板。
  7. 【請求項7】 上記補強部材は、植物繊維又は化学繊維
    を織り込んでなる繊維ネットよりなることを特徴とする
    請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の繊維板。
  8. 【請求項8】 上記繊維ネットは、織り込んでいる繊維
    の繊維間の開口幅が5mm以下であることを特徴とする
    請求項7に記載の繊維板。
  9. 【請求項9】 上記補強部材は、樹脂をシート状に形成
    した樹脂シートよりなることを特徴とする請求項1乃至
    請求項6のいずれかに記載の繊維板。
  10. 【請求項10】 上記樹脂シートは、樹脂を展延してシ
    ート状になした樹脂フィルム、又は樹脂を繊維状に形成
    し、その繊維状の樹脂を織り込んでシート状になした樹
    脂織布、又は樹脂を繊維状に形成し、その繊維状の樹脂
    同士を接合してシート状になした樹脂不織布のうち、い
    ずれかを含んでなることを特徴とする請求項9に記載の
    繊維板。
  11. 【請求項11】 上記補強部材は、固体状の粒体、又は
    繊維体よりなることを特徴とする請求項1乃至請求項6
    のいずれかに記載の繊維板。
  12. 【請求項12】 上記粒体又は上記繊維体は、樹脂より
    なる粒子又は繊維を含んでなることを特徴とする請求項
    11に記載の繊維板。
  13. 【請求項13】 上記粒体又は上記繊維体は、熱可塑性
    材料よりなる粒子又は繊維を含んでなることを特徴とす
    る請求項11又は請求項12に記載の繊維板。
  14. 【請求項14】 上記粒体又は上記繊維体は、リグノセ
    ルロース材料よりなる粒子又は繊維を含んでなることを
    特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれかに記載
    の繊維板。
  15. 【請求項15】 上記粒体又は上記繊維体は、リグノセ
    ルロース材料中のヘミセルロース成分を加水分解して得
    られる変成リグノセルロース材料よりなる粒子又は繊維
    を含んでなることを特徴とする請求項11乃至請求項1
    4のいずれかに記載の繊維板。
  16. 【請求項16】 上記粒体は、その平均粒径が100μ
    mから500μmの範囲内であることを特徴とする請求
    項11乃至請求項15のいずれかに記載の繊維板。
  17. 【請求項17】 上記繊維体は、その平均繊維長が50
    mm以下であることを特徴とする請求項11乃至請求項
    15のいずれかに記載の繊維板。
  18. 【請求項18】 上記補強部材は、上記繊維板の対向す
    る二辺の辺方向に対して略平行な方向に植物繊維を配向
    させた繊維配向マットであることを特徴とする請求項1
    乃至請求項5のいずれかに記載の繊維板。
  19. 【請求項19】 上記繊維板の二辺間をつなぐ方向に、
    補強層を形成していることを特徴とする請求項1乃至請
    求項18のいずれかに記載の繊維板。
  20. 【請求項20】 上記補強層を、その周囲よりも一段厚
    く形成してなることを特徴とする請求項19に記載の繊
    維板。
  21. 【請求項21】 上記複数の繊維マットの少なくとも1
    枚が、上記繊維板の辺方向に対して傾斜する方向となる
    よう、植物繊維の方向を配向させた傾斜配向繊維マット
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項20のいず
    れかに記載の繊維板。
  22. 【請求項22】 上記傾斜配向繊維マットを少なくとも
    2枚有すると共に、その少なくとも2枚の傾斜配向繊維
    マットの植物繊維の配向方向が相互に直交していること
    を特徴とする請求項21に記載の繊維板。
  23. 【請求項23】 上記複数の繊維マットの全てが、上記
    傾斜配向繊維マットであると共に、その複数の傾斜配向
    繊維マットは、そのそれぞれの植物繊維の配向方向が略
    一方向に揃っていることを特徴とする請求項21に記載
    の繊維板。
  24. 【請求項24】 上記接着剤は、平均分子量200以上
    の高分子接着剤であることを特徴とする請求項1乃至請
    求項23のいずれかに記載の繊維板。
  25. 【請求項25】 上記植物繊維は、ケナフ、油ヤシ、コ
    コヤシの少なくともいずれかから得られた植物繊維を含
    んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項24のい
    ずれかに記載の繊維板。
  26. 【請求項26】 上記植物繊維は、その繊維長が50m
    m以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項25
    のいずれかに記載の繊維板。
  27. 【請求項27】 請求項1乃至請求項26のいずれかに
    記載の繊維板を製造する製造方法であって、接着剤を付
    着した植物繊維の集合体からなる繊維マットを製造する
    際に、植物繊維の内部細孔部分への接着剤の浸透を抑制
    しつつ、植物繊維の表面部分に接着剤を付着させること
    を特徴とする、繊維板の製造方法。
  28. 【請求項28】 請求項1乃至請求項26のいずれかに
    記載の繊維板を用いていることを特徴とする構造用壁下
    地材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009051130A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 繊維板パネルの製造方法
JP2013188887A (ja) * 2012-03-12 2013-09-26 Panasonic Corp 繊維板
JP2013196205A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Fujitsu Ltd データモデル変換プログラム、データモデル変換方法およびデータモデル変換装置

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