JP2901841B2 - 積層材及びその製造方法 - Google Patents

積層材及びその製造方法

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JP2901841B2
JP2901841B2 JP5162077A JP16207793A JP2901841B2 JP 2901841 B2 JP2901841 B2 JP 2901841B2 JP 5162077 A JP5162077 A JP 5162077A JP 16207793 A JP16207793 A JP 16207793A JP 2901841 B2 JP2901841 B2 JP 2901841B2
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光正 堀川
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秀一 川井
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    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B15/00Details of, or accessories for, presses; Auxiliary measures in connection with pressing
    • B30B15/06Platens or press rams
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    • B30B15/064Press plates with heating or cooling means

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高りゃん、トウモロコ
シ、砂糖きび等のイネ科の植物茎を主な原料とする強度
の高い積層材及びその製造方法に関する。更に詳しくは
建築用材、家具用材、装飾用材、断熱材、吸音材、ディ
スプレイ用材、各種工作用材に利用される積層材及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木質系建築用材、家具用材、ディ
スプレイ用材、吸音材、各種工作用材には、挽材、合
板、集成材の他にパーティクルボード、ファイバボード
等が用いられる。またディスプレイ用材、吸音材、断熱
材等には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタ
ン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の合
成樹脂の中実体又は発泡体が使用されている。パーティ
クルボードやファイバボードは、木材の細片や繊維に、
合成樹脂接着剤を混合して熱圧硬化させて板状に成形し
たものである。これらのボードは木材などを細片或いは
繊維状にしているために木材等の原料を有効に利用する
ことができるが、その反面セルロース繊維を細かく切っ
ているためにボードの力学的強度と寸法安定性に劣る欠
点がある。
【0003】建築用材等に多量に用いられる挽材、合
板、集成材、パーティクルボードやファイバボード等の
木質材料は、いずれも天然木材を主原料としているため
に、近年の木材資源の枯渇化の進行とともにその供給量
に限界が見られ、将来、旺盛な需要を十分に満たすこと
が不可能になり、価格が著しく高騰する恐れが生じてき
ている。また、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレ
タンやフェノール樹脂等の合成樹脂発泡体は、軽量で加
工性が良く、断熱性にも優れているためディスプレイ用
材や断熱材として広範囲の用途に利用されているが、こ
れらの樹脂は石油資源に依存するため、資源の有限化問
題から将来的な量的確保が危ぶまれている。
【0004】このような情勢に対応するために、本出願
人は世界的に豊富に存在し、かつ一年毎に再生産されて
廃棄処分すら困難である高りゃん、トウモロコシ、砂糖
きび等のイネ科の植物茎の直線部分を利用した積層材及
びその製造方法を特許出願した(特開平4−35702
3)。特開平4−357023号公報に記載の方法は、
イネ科の植物茎を圧縮して皮部に割れ目を入れ、加熱に
より硬化可能な樹脂を含浸した後、乾燥する。この乾燥
した茎を複数互いに平行に配列してシート状物を複数形
成し、これらシート状物に接着剤を塗布した後、ホット
プレスで熱圧成形して、積層材を得る方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載の方法
においては、得られた積層材の吸水又は吸湿による膨潤
を抑えるため、加熱により硬化する樹脂を用い、熱圧成
形工程で十分にこの樹脂を硬化させる必要があった。し
かし、イネ科の植物茎はそれ自体熱伝導性が良くないた
め、ホットプレスによる熱圧時間を比較的長くしない
と、所定の寸法形状にならず、生産性に劣り、エネルギ
ーの消費量が増大する不具合があった。
【0006】本発明の目的は、熱圧成形時間が短く量産
に適し、製造コストが安価で済み、力学的強度及び寸法
安定性が高く、用途に富んだ積層材を製造する方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、図1〜図12に示すように、本発明の積層材の第一
の製造方法は、リグノセルロースを主体とする皮部10
aと多孔性の髄部10b又は空洞とを有する直線部分の
植物茎10を圧縮して皮部10aに割れ目13を発生さ
せるか又は繊維方向に切開して複数分割する工程と、加
熱硬化液14を上記圧縮又は分割された植物茎に含浸さ
せる工程と、上記植物茎に含浸した加熱硬化液を乾燥さ
せる工程と、上記加熱硬化液が乾燥した植物茎20を複
数互いに平行に配列してシート状物30を形成する工程
と、複数のシート状物30を積層して積層体40を形成
する工程と、上記積層体40を加圧しその圧力が所定圧
に達したとき加圧加熱された蒸気又はガスを噴射して上
記積層体を熱圧成形する工程とを含み、積層体40に対
する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射方向がシート状
物30を構成する植物茎10の配列方向と同一方向であ
り、熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペーサ7
5,85から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射し、熱
圧成形工程でスペーサ75,85が積層体40を包囲す
るように配置され、熱圧時に密封された空間に置かれた
積層体40に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射するこ
とを特徴とする積層材の製造方法である。
【0008】また本発明の第二の製造方法は、リグノセ
ルロースを主体とする皮部10aと多孔性の髄部10b
又は空洞とを有する直線部分の植物茎10を複数互いに
平行に配列してシート状物30を形成する工程と、上記
シート状物30に接着剤を塗布する工程と、接着剤を塗
布された複数のシート状物30を積層して積層体40を
形成する工程と、上記積層体40を加圧しその圧力が所
定圧に達したとき加圧加熱された蒸気又はガスを噴射し
て上記積層体を熱圧成形する工程とを含み、積層体40
に対する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射方向がシー
ト状物30を構成する植物茎10の配列方向と同一方向
であり、熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペー
サ75,85から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射
し、熱圧成形工程でスペーサ75,85が積層体40を
包囲するように配置され、熱圧時に密封された空間に置
かれた積層体40に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射
することを特徴とする積層材の製造方法である。本発明
の第三の製造方法は、リグノセルロースを主体とする皮
部10aと多孔性の髄部10b又は空洞とを有する直線
部分の植物茎10を圧縮して皮部10aに割れ目13を
発生させるか又は繊維方向に切開して複数分割する工程
と、加熱硬化液14を上記圧縮又は分割された植物茎に
含浸させる工程と、上記植物茎に含浸した加熱硬化液を
乾燥させる工程と、上記加熱硬化液が乾燥した植物茎2
0を複数互いに平行に配列してシート状物30を形成す
る工程と、上記シート状物30に接着剤を塗布する工程
と、接着剤を塗布された複数の上記シート状物30を積
層して積層体40を形成する工程と、上記積層体40を
加圧しその圧力が所定圧に達したとき加圧加熱された蒸
気又はガスを噴射して上記積層体を熱圧成形する工程と
を含み、積層体40に対する加圧加熱された蒸気又はガ
スの噴射方向がシート状物30を構成する植物茎10の
配列方向と同一方向であり、熱圧成形工程の積層材の厚
みを規制するスペーサ75,85から加圧加熱された蒸
気又はガスを噴射し、熱圧成形工程でスペーサ75,8
5が積層体40を包囲するように配置され、熱圧時に密
封された空間に置かれた積層体40に加圧加熱された蒸
気又はガスを噴射することを特徴とする積層材の製造方
法である。
【0009】本発明の第四の製造方法は、リグノセルロ
ースを主体とする皮部10aと多孔性の髄部10b又は
空洞とを有する直線部分の植物茎10を圧縮して皮部1
0aに割れ目13を発生させるか又は繊維方向に切開し
て複数分割する工程と、加熱硬化液14を上記圧縮又は
分割された植物茎に含浸し、引き続き接着剤を塗布して
乾燥する工程と、上記加熱硬化液及び接着剤が乾燥した
植物茎を複数互いに平行に配列してシート状物30を形
成する工程と、複数の前記シート状物30を積層して積
層体42を形成する工程と、上記積層体40を加圧しそ
の圧力が所定圧に達したとき加圧加熱された蒸気を噴射
して上記積層体を熱圧成形する工程とを含み、積層体4
0に対する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射方向がシ
ート状物30を構成する植物茎10の配列方向と同一方
向であり、熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペ
ーサ75,85から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射
し、熱圧成形工程でスペーサ75,85が積層体40を
包囲するように配置され、熱圧時に密封された空間に置
かれた積層体40に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射
することを特徴とする積層材の製造方法である。図11
〜図15に示すように、本発明の第五の製造方法は、第
一〜第四の製造方法で形成されたシート状物30ととも
に1又は2以上の板状物32とを積層して積層体42を
形成した後、この積層体42を加圧しその圧力が所定圧
に達したとき加圧加熱された蒸気又はガスを噴射して積
層体を熱圧成形する方法である。
【0010】以下、本発明を詳述する。 (a) 出発原料 図3に示すように、本発明の積層材に用いられる材料
は、表面にリグノセルロースを主体とする皮部10aと
芯に多孔性の髄部10b又は図示しないが空洞を有する
構造の植物茎10である。高りゃん、トウモロコシ、砂
糖きび等の茎はその代表的なものである。これ以外に、
稲、麦、葦等のような節のある他のイネ科の植物の茎を
使用することもできる。特に節のある部分を利用するこ
とにより、積層体に凹凸を生じ、熱圧成形時に噴射した
蒸気又はガスが容易に積層体内部に浸透する効果があ
る。
【0011】植物茎は葉又は袴の部分を切除した直線部
分を丸茎のまま、又は繊維方向に切開くか或いは複数分
割して用いる。本発明においては、植物茎の繊維を細片
に切断せずに用いるため、植物茎を細片に切断してボー
ド状に成板した従来のバガスボードやストローボードに
比べて、軽量でありながら極めて高い曲げ強度を有する
積層材が得られる。有節の植物茎を用いることによる上
記効果は植物茎を繊維方向に切開いても、又は複数分割
しても変わらない。加熱硬化液を含浸する前に、図4に
示すように植物茎10を切開かずにそのまま圧縮ローラ
11,12等により圧縮して皮部に割れ目13を発生さ
せておくか、或いは図示しないが植物茎を繊維方向に切
開くか或いは複数分割しておくと、含浸時に加熱硬化液
が極めて短時間のうちに植物茎の内部に浸透するため、
また茎自身が柔軟になって熱圧成形したときに隙間のな
い層が形成され易く、それぞれ好ましい。この割れ目を
設けて積層した積層材の力学的強度、寸法安定性等の諸
物性は割れ目を設けないものと比較して劣らない。
【0012】本発明の積層材は、第一〜第四の製造方法
で得られる積層材のように上記植物茎10のみで構成す
ることもできるが、第五の製造方法で得られる積層材の
ようにこの植物茎と板状物を組み合わせて構成すること
もできる。この板状物としては、木材単板、挽板、集成
材、合板、パーティクルボード、ハードボード、インシ
ュレーションボード、MDF(Medium Density Fiber B
oard)、LVL(Laminated Veneer Lumber)、製材
板、段ボール等の木質の板状材料や;鉄板、亜鉛めっき
鋼板、塗装鋼板、ステンレス板、アルミニウム板、銅
板、鉛板等の金属板や;けい酸カルシウム板、木毛セメ
ント板、石綿セメント板、石膏ボード等の無機質の板状
材料や;塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチロール樹
脂、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、メラミン
樹脂、ユリア樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
合成樹脂の板状材料が用いられる。板状物には表面が平
坦な平板以外にも、波板やキーストンプレートのような
凹凸表面を有する板、発泡板、網状板等を用いてもよ
い。
【0013】(b) 加熱硬化液 本発明の第二の製造方法を除く、第一、第三、第四、及
び第五の製造方法では、図5に示すように、圧縮又は分
割された植物茎10に加熱硬化液14を含浸する。この
加熱硬化液は加熱により植物茎を硬化させるホルムアル
デヒド系樹脂を主体とする液状物である。具体的には次
のものが挙げられる。 (i) ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レ
ゾルシノール樹脂、タンニン樹脂、リグノセルロースの
液化樹脂等のホルムアルデヒド系樹脂から選ばれた1種
又は2種以上の混合物又は共縮合物。 (ii) これらの混合物又は共縮合物をポリビニルアルコ
ール、ポリアクリル酸ソーダ、澱粉、セルロース誘導体
等の水溶性ポリマーで変性した化合物。 (iii) また上記混合物又は共縮合物にポリ酢酸ビニル樹
脂及びその誘導体、ポリアクリル酸エステル樹脂及びそ
の誘導体等を含む熱可塑性樹脂エマルジョンを添加して
なる混合物。 (iv) 更に上記混合物又は共縮合物にスチレン・ブタジ
エンゴム、アルリルニトリル・ブタジエンゴム、イソプ
レンゴム等を含む合成ゴムラテックスを添加してなる混
合物。
【0014】(c) 加熱硬化液の含浸 植物茎に加熱硬化液を含浸処理する場合には、加熱硬化
液は植物茎の全乾重量に対して5〜200重量%含浸す
ることが好ましい。植物茎をあらかじめ圧縮し、細かい
割れ目を形成しておくか、複数に分割することによっ
て、加熱硬化液は室温大気圧下で植物茎に十分含浸する
が、加熱硬化液を特別に加熱して又は加圧もしくは減圧
して含浸させてもよい。
【0015】積層材を増強するために、加熱硬化液の含
浸量は5重量%以上であることが好ましいが、後述する
接着剤を塗布する場合には5重量%未満であってもよ
い。もし接着剤の塗布量が少なく、含浸量が5重量%未
満の場合には積層材の使用時に植物茎が膨潤して、寸法
安定性が低下する恐れがある。一方、200重量%を越
えると、含浸が困難になり、たとえ加圧注入等の操作で
強制的に含浸させても、積層材の強度はそれ以上は向上
しない。図6に示すように、余剰の加熱硬化液を除去す
るために、加熱硬化液を含浸した植物茎を絞りロール1
6,17間を通して所望量だけ含浸した植物茎20にし
ておくことが好ましい。
【0016】(d) シート状物の形成 図2に示すように、加熱硬化液を含浸した場合には植物
茎を室温〜200℃で乾燥した後、複数の植物茎20を
互いに平行に配列し、加熱硬化液を含浸しない場合には
圧縮又は分割された複数の植物茎10をやはり互いに平
行に配列してシート状物30にする。シート状物30に
するに際して、各植物茎が分散しないように、配列した
全ての茎の端部を糸21で結束するか、図示しないが粘
着テープや再湿テープで仮止めするか、或いは糸状又は
帯状に接着剤を塗布して全ての茎を結束する。
【0017】(e) 接着剤の塗布 本発明の第二〜第五の方法においては、シート状物とシ
ート状物との接合或いはシート状物と板状物との接合に
接着剤が使用される。本発明の第二の製造方法のよう
に、加熱硬化液を用いずに接着剤のみを使用する場合に
は、この接着剤としては、例えばユリア樹脂、メラミン
・ユリア共縮合樹脂、フェノール・メラミン樹脂、フェ
ノール樹脂、フェノール・レゾルシノール樹脂、レゾル
シノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フルフラ
ール樹脂、水性高分子イソシアネートを含むイソシアネ
ート系樹脂、タンニン樹脂、リグノセルロースの液化樹
脂のような加熱により硬化する熱硬化性樹脂が好ましく
使用される。特に好ましい接着剤としては、上述した
(i)〜(iv)と同じものが挙げられる。
【0018】本発明の第三の製造方法のように、加熱硬
化液に加えて更に接着剤を使用する場合には、この接着
剤としては、上述の熱硬化性樹脂の他に、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポ
リビニルアルコール、ナイロン、ポリアミド樹脂等のよ
うな熱可塑性樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液、又は天
然ゴム、合成ゴム、又はこれらの一種または二種以上の
混合物を用いることもできる。また本発明の第四の製造
方法のように、加熱硬化液を植物茎に含浸した後、シー
ト状物を形成する前に、接着剤を塗布して乾燥する場合
には、一定の条件下において、硬化反応を進行させるこ
となく乾燥させることが可能な熱硬化性樹脂を用いる。
具体的には上述した(i)〜(iv)と同じものが挙げられ
る。
【0019】この第四の製造方法の場合、加熱硬化液に
低分子量成分を主成分とするホルムアルデヒド系樹脂を
含めば、この加熱硬化液を含浸した後に、更に上記接着
剤を塗布しなくてもよい。この低分子量成分のホルムア
ルデヒド系樹脂を含む加熱硬化液としては、第一に分子
量600以下の低分子量成分のホルムアルデヒド系樹脂
と分子量1000以上の高分子量成分のホルムアルデヒ
ド系樹脂が共存する加熱硬化液が挙げられる。また第二
に分子量600以下の低分子量成分のホルムアルデヒド
系樹脂と高分子の水溶性ポリマー又は熱可塑性樹脂エマ
ルジョンいずれか一方又は双方との混合液が挙げられ
る。この低分子量成分のホルムアルデヒド系樹脂を含む
加熱硬化液を含浸して接着剤の塗布を省略できる理由
は、低分子量成分のホルムアルデヒド系樹脂が植物茎の
髄部などに浸透してその脆弱な部分を補強し、また高分
子量成分が植物茎の表面に残留して接着剤としての役割
を果たす。
【0020】第四の製造方法のみ接着剤を塗布した場合
には塗布後、シート状物を形成する前に乾燥する。この
乾燥は3日間程度自然放置又は天日乾燥して行うことが
好ましい。乾燥時間を短縮する場合には、天日乾燥など
の後、人工乾燥する。上記自然乾燥によらずに、全て人
工的に乾燥する場合には、乾燥温度は接着剤の硬化が進
みにくい30〜150℃、好ましくは50〜100℃で
行う。乾燥温度が高い程、乾燥時間は短くし、過乾燥を
防止することが必要である。この第四の製造方法はシー
ト状物形成後に直ちに積層工程に移行でき、生産性によ
り優れる。第四の製造方法以外の第一ないし第三の製造
方法では、接着剤を塗布した後、接着剤が乾燥しない間
にシート状物同士又はシート状物と板状物とを積層す
る。
【0021】いずれの接着剤も、上記成分の他に増量剤
又は充填剤のいずれか一方又は双方を含ませてもよい。
この増量剤としては小麦粉、大麦粉、米粉、脱脂大豆
粉、コーングルテン粉末、血粉等が挙げられ、充填剤と
してはクレー、タルク、炭酸カルシウム、木粉、酸化チ
タン粉末、くるみ殻粉、もみがら粉、椰子殻粉等が挙げ
られる。接着剤の使用量は、接着剤の種類又は植物茎の
種類、形状等によって異なるが、一般的には接着面の1
平方メートル当たり20〜500gである。接着剤使用
量が20g未満のときには積層材の力学的強度が著しく
低下し、またその使用量が500gを越えるときには積
層材の性能に比べてコストが著しく上昇する。
【0022】(f) 積層体の形成 シート状物同士又はシート状物と板状物を重ね合せて積
層する仕方は、積層材の使用目的に応じて適宜決められ
る。シート状物同士で積層体を作る場合、全ての方向に
均一な曲げ強度をもたせ、積層材の反りを防止するとき
には、図2に示すように構成する植物茎20がシート状
物毎に交差するようにシート状物30を複数積層した積
層体40にする。また特定の方向の曲げ強度を極めて高
くする場合には、図7に示すように構成する植物茎20
がそれぞれ同一方向になるようにしてシート状物30を
複数積層した積層体40にする。図8に示すように一部
のシート状物30を構成する植物茎を他のシート状物3
0を構成する植物茎と交差させた積層体40にしてもよ
い。
【0023】シート状物30と板状物32で積層体42
を作る場合、シート状物30に接合される板状物32
は、積層材の用途に応じて、シート状物の片面又は図1
3及び図14に示すように両面に積層される。板状物を
表面材にしてシート状物を芯材とすることが好ましい
が、シート状物の意匠を生かすときにはシート状物の片
面のみに板状物を積層する。或いは補強のため、板状物
を多数のシート状物の積層体の中間層として挿入しても
よい。板状物として単板のような力学的強度と方向性を
合わせ持つ材料を使用する場合には、シート状物の植物
茎の繊維方向と単板の繊維方向とが互いに直交するよう
に重ね合わせることが望ましい。
【0024】(g) 積層体の熱圧成形 複数のシート状物30からなる積層体40(図7〜図
9)又はシート状物30と板状物32とからなる積層体
42(図14)は必要に応じて仮圧締を施し、ホットプ
レスを用いて、加圧加熱された蒸気又はガスの噴射の
下、一体的に成形される。ホットプレスの温度は50〜
250℃の範囲で、圧力は2〜30kg/cm2の範囲
が好ましい。この圧力を制御することにより得られる積
層材の密度を変えることができる。噴射する蒸気又はガ
スの圧力は1〜10kg/cm2の範囲で、温度は50
〜450℃の範囲であることが好ましい。本発明のガス
は窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス又は空気を包含す
る。本発明のホットプレスとしては、積層体がシート状
物のみで構成される場合には、図1及び図2に示される
ホットプレス70が用いられ、積層体の上下面の当て板
となる金属板81を用いる場合や、積層体の上下面が板
状物である場合には、図11及び図12に示されるホッ
トプレス80が用いられる。
【0025】即ち、図1及び図2に示すように、シート
状物30のみで積層材を作る場合には、ホットプレス7
0の上下の熱板73及び74に加圧加熱された蒸気又は
ガスを噴射する多数の噴孔73a及び74aを配設し、
積層材の厚さを規制するためのスペーサ75を積層体4
0を囲むように配置して、このスペーサ75にも同様の
多数の噴孔75aを設ける。以下、噴射される気体とし
て、蒸気を代表して説明する。図1ではスペーサ75は
下部の熱板74に固着される。噴孔73aには蒸気管7
3bが、また噴孔74a及び75aには蒸気管74bが
それぞれ連通接続される。蒸気管73b及び74bには
電磁弁からなる開閉弁73c及び74cが配設される。
更に熱板73,74の内部にはこれらを加熱する蒸気管
73d及び74dが蛇行してそれぞれ配管される。これ
らの蒸気管73d及び74dには電磁弁からなる入口弁
73e,74eと出口弁73f,74fが設けられる。
【0026】一方、図11に示すように、金属板81を
用いたり、積層体42の上下面に板状物32が配置され
る場合には、ホットプレス80の熱板83及び84に噴
孔を設けても金属板81又は板状物32により噴孔が閉
塞されるため、また噴孔から板状物に無用の蒸気ドレイ
ンが滴下してシミ汚れ等を積層材の表面に付けるため、
図11及び図12に示するように四角枠状のスペーサ8
5にのみ多数の噴孔85aを設ける。図11ではスペー
サ85は上部の熱板83に固着される。噴孔85aには
蒸気管83bが連通接続される。この蒸気管83bには
電磁弁からなる開閉弁83cが設けられる。熱板83,
84の内部にはこれらを加熱する蒸気管83d及び84
dが蛇行してそれぞれ配管される。これらの蒸気管83
d及び84dには図示しないが図1と同様に電磁弁から
なる入口弁と出口弁が設けられる。厚みのある積層材を
作製するときには、図示しないが上部及び下部の両方の
熱板にスペーサを設けてもよい。
【0027】ホットプレス70及び80とも、噴孔から
の蒸気の噴射するタイミングは、蒸気を有効に利用する
ため、ホットプレスの熱板が積層体に密着し、その加圧
力が所定の値に達した時点であり、噴射時間は積層体の
厚さ、板状物の有無に応じて数秒〜数分間の範囲から選
ばれる。熱圧成形した後で、図10に示されるシート状
物のみの板状積層材50又は図15に示される板状物が
上下両面に積層された板状積層材60が得られる。
【0028】加圧加熱された蒸気又はガスを熱圧成形中
の積層体に噴射する際、積層体を強く圧縮すると、緻密
な組成となり、積層体内部の空隙が減少し、蒸気又はガ
スの積層体内への浸透が著しく低下する。本発明の積層
材の密度は最低0.2g/cm3以下にはなり得ない
が、0.6g/cm3以上の高密度になると、噴射加熱
の効率が低下する。従って、0.2〜0.6g/cm3
の密度範囲で、最も噴射加熱効率のよい積層材が得られ
る。普通の積層材は厚さ15mm以下のものが多く、厚
さ15mm以上の積層材を製造する場合には、先ず薄い
積層材を作製し、この薄い積層材の複数枚を再積層する
方法が採用されている。本発明の方法では15mm以上
の厚さの積層材も一度の熱圧で積層することができ、生
産効率が格段に改善される。但し、厚さ200mm以上
の積層材を製造する場合には、熱圧前の積層体の厚さが
大きくなりすぎ、ホットプレスのストローク間隔を広げ
ないと、熱圧の実施が困難になり、必然的にホットプレ
スの容積が拡大し、設備費も増大する。従って、積層材
の厚さは15〜200mmであることが望ましい。また
このような厚物の積層体をワンショットで熱圧すると中
心層の圧縮度が小さくなり、全体の密度も上述の0.2
〜0.6g/cm3の範囲に収まる。
【0029】
【作用】加圧加熱された蒸気又はガスを熱圧成形中の積
層体の側面から噴射すると、噴射された蒸気又はガスは
積層体の側面に露出している多孔性の髄部から又は空洞
に容易に浸透し、植物茎が迅速に可塑化され、より平坦
に圧縮されて短時間に成形される。この蒸気噴射によ
り、特に水蒸気噴射によりリグノセルロース材料に含ま
れるヘミセルロース成分や糖成分の加水分解又は熱分解
が生じるため、蒸気噴射しない熱圧成形と比べて、積層
体の内部応力の緩和速度が速まり、得られた積層材の寸
法安定性が良好になる。
【0030】加熱硬化液を含浸してあれば、又は接着剤
を塗布してあれば、蒸気噴射により加熱硬化液又は接着
剤が硬化して所望の強度を有し、寸法安定性のより優れ
た積層材が得られる。加熱硬化液又は接着剤がその主成
分にホルムアルデヒド系樹脂を含めば、ホルムアルデヒ
ド系樹脂は植物茎に含まれる親水性成分の水酸基とアセ
タール結合を生じ、得られた積層材に強い耐水性と力学
的に高い強度を付与する。またホルムアルデヒド系樹脂
は水系であって、ポリエステル樹脂のような溶剤を含ま
ず、火災の危険性がないので、積層材の製造装置を防爆
型にする必要がなく、設備費が安価になる。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、従来の植物茎を利用
した積層材の製造方法と比べて、本発明の積層材の製造
方法では蒸気又はガスの噴射により熱圧成形時間を大幅
に短縮でき、生産性を著しく向上することができる。従
って、資源的に豊富に存在する安価な原料の植物茎を少
ないエネルギーで製造できるため、より製造コストを抑
えることができる。特に、製造された積層材は、蒸気又
はガスの噴射により積層体の内部応力が緩和され、かつ
植物茎の可塑化が促進され、加熱硬化液を含浸させなく
ても或いは含浸量を減らしても、水による膨潤が少なく
高い寸法安定性を有する。
【0032】本発明の積層材はその密度が好ましくは
0.3〜0.7g/cm3の範囲にあり、現在市販され
ている合板、パーティクルボード、ファイバボード等に
比べて極めて軽量になる。一方、その積層材の曲げ強度
に代表される力学的強度及び寸法安定性は上記パーティ
クルボード、ファイバボードより高い値を示し、合板と
同等の力学的強度を示す。これにより、本発明の積層材
は従来の合板、パーティクルボード、ファイバボードな
どと同等の建築材料として、床下地材、屋根下地材、壁
下地材、コンクリート型枠材などの用途に、また家具用
材として家具パネルのスキン板、テーブル用材、棚板用
材に、またドアや扉の芯材などの用途に広く使用するこ
とができる。また金属材料もしくは無機材料からなる板
状物を積層材の表面に設けた場合には、防火性、遮音
性、断熱性、電磁遮断性等の機能を付加することができ
る。更に熱圧成形時のプレス圧を弱めて積層材の密度を
小さくすることにより、断熱材又は吸音材の用途にも使
用でき、また熱圧成形時の金型の形状を種々選択するこ
とにより、曲面板、波板、角柱、丸柱などの任意の形状
を有する積層材を製造することができ、これらにより多
様な建築用材、家具用材が得られる。
【0033】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに図面に
基づいて詳しく説明する。 <実施例1>図4に示すように、長さ35cmにカット
した高りゃん茎10の直線部分を切り開かずに丸茎のま
まの状態で、高りゃん茎の直径の約60%の間隔を保持
している一対のピンチローラ11,12の間を通過させ
ることにより圧縮し、茎10の皮部10aに細かい割れ
目13を形成した。この割れ目13を付与された高りゃ
ん茎10を図5に示すようにフェノール樹脂(三井東圧
化学製「XL−481」)の10%水溶液14に5分間
浸漬した。その結果、フェノール樹脂水溶液は茎の皮部
10aは勿論、割れ目13を介して髄部10bにも浸透
した。図6に示すように、このフェノール樹脂水溶液が
含浸された高りゃん茎10を茎の直径の約60%の間隔
を保持している一対の絞りロール16,17の間に通し
て余剰のフェノール樹脂水溶液を除去し、3日間室温で
乾燥し、フェノール樹脂が21.2%含浸された高りゃ
ん茎20を得た。
【0034】図13及び図14に示すように、高りゃん
茎10を22本ずつ互いに平行にかつ密接に配列し、茎
端部を糸21で結束して幅約35cmのシート状物30
を3枚作製した。次に3枚のシート状物30の両面にイ
ソシアネート系樹脂(光洋産業製KRS−12X)の5
0%水分散液100重量部にクレー30重量部を添加混
合してなる接着剤をそれぞれ20gずつロールを用いて
塗布した後、構成する高りゃん茎がシート状物毎に直交
するように3枚のシート状物を重ね合せて3層からなる
積層体を作製した。次いでこの3層積層体の表裏両面に
板状物に相当する厚さ1.5mmのラジアタパイン単板
32,32を重ね合せ、合計5層からなる積層体42を
作製した。
【0035】図11に示すように、ホットプレス80の
下部の熱板84上に金属板81を置き、その上に上記積
層体42を配置した。この積層体42の上に別の金属板
81を載せ、厚さ20mmのスペーサ85を有する上部
の熱板83と下部の熱板84とにより積層体42を熱圧
成形した。図12に詳しく示すように、スペーサ85は
四角枠状をなし、その内面には微細な蒸気噴孔85aが
15mm間隔で多数形成される。ホットプレス80の熱
板83及び84を160℃の温度に維持しながら、積層
体42を圧縮し、その積層体の表面圧力が9kg/cm
2に達すると、開閉弁83cが開き、直ちに6kg/c
2の圧力を有する蒸気を30秒間噴射した。スペーサ
と上下の熱板に密封された空間に置かれた積層体にはそ
の側面に露出している多孔性の髄部から蒸気が容易に浸
透した。更に1分30秒間、この熱圧を持続して、厚さ
20mmの板状積層板60(図15)を得た。得られた
積層板の物性をJISA5908(パーティクルボー
ド)に規定された方法により試験した。その結果を表1
に示す。表1において、「厚さ膨潤率」とは2時間煮沸
後の厚さ膨潤率をいう。
【0036】 <比較例1> 実施例1において、開閉弁83cを閉じて次の条件で熱
圧成形した以外は実施例1と同様にして厚さ20mmの
積層板を得た。即ち、比較例1においては加圧加熱され
た蒸気を噴射しなかった。このホットプレスでは、15
0℃の温度で、9kg/cm2の圧力で、20分間、熱
圧成形した。得られた積層板の物性を実施例1と同じ方
法により試験した。その結果を表1に示す。
【0037】 <実施例2> イソシアネート系樹脂(光洋産業製KRS−12X)の
50%水分散液100重量部に小麦粉25重量部を添加
混合してなる接着剤をそれぞれ20gずつロールを用い
て3枚のシート状物の両面に塗布し、蒸気を3分間噴射
し、更に30秒熱圧を持続して熱圧成形した以外は、実
施例1と同一材料を用いて、実施例1と同一の方法によ
り厚さ20mmの積層板を得た。得られた積層板の物性
を実施例1と同じ方法により試験した。その結果を表1
に示す。
【0038】 <比較例2> 実施例2において、開閉弁83cを閉じて次の条件で熱
圧成形した以外は実施例2と同様にして厚さ20mmの
積層板を得た。即ち、比較例2においては加圧加熱され
た蒸気を噴射しなかった。このホットプレスでは、15
0℃の温度で、9kg/cm2の圧力で、20分間、熱
圧成形した。得られた積層板の物性を実施例1と同じ方
法により試験した。その結果を表1に示す。
【0039】<実施例3>長さ35cmにカットした葦
茎の直線部分の表面を研磨布で軽く研削した後、繊維方
向に切開して2分割したものを55本ずつ互いに平行に
かつ密接に配列し、茎端部を糸で結束して幅約35cm
のシート状物を3枚作製した。次に3枚のシート状物の
両面に高分子量フェノール樹脂100重量部に小麦粉3
0重量部及びジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)のプレポリマー10重量部を添加混合してなる接着
剤をそれぞれ20gずつロールを用いて塗布した。上記
高分子量フェノール樹脂は25℃の粘度が2.5ポアズ
であって、pHが11.5、であり、濃度が40%の樹
脂である。このように両面に接着剤を塗布された3枚の
シート状物の他に、厚さ4.2mmの南洋材単板を4枚
を準備した。その内の1枚の南洋材単板の上に上記シー
ト状物の1枚を両者の繊維方向が同一になるように積層
し、この1枚目のシート状物上に2枚目の南洋材単板を
同様に積層し、この2枚目の南洋材単板の上に2枚目の
シート状物を同様に積層し、この2枚目のシート状物上
に3枚目の南洋材単板を同様に積層し、この3枚目の南
洋材単板の上に3枚目のシート状物を同様に積層し、最
後にこの3枚目のシート状物上に4枚目の南洋材単板を
同様に積層して、7層構造の積層体を作製した。
【0040】厚さ20mmのスペーサの代わりに厚さ3
0mmのスペーサが採用されていることを除いては実施
例1と実質的に同一のホットプレスを準備し、このホッ
トプレスの中に上記7層からなる積層体を入れて、温度
を160℃に維持しながら圧力9kg/cm2になるま
での時間加圧加熱した。圧力が9kg/cm2に到達す
ると、直ちに6kg/cm2の圧力を有する蒸気を1分
間噴射し、更に3分間熱圧を持続して、厚さ30mmで
繊維方向が全層で平行な積層板を得た。得られた積層板
の物性を実施例1と同じ方法により試験した。その結果
を表1に示す。なお、熱圧成形時に中心層における温度
変化を測定したところ、約5秒で160℃の温度に到達
した。
【0041】<比較例3>葦茎から作られた3枚のシー
ト状物の代わりに厚さ2.4mmの南洋材単板を3枚使
用したことを除いては実施例3と実質的に同じ方法で7
層構造の積層体を作製し、実施例3と同じ熱圧条件で成
形した。得られた板状積層材の密度は0.58g/cm
3であった。その結果、熱圧時における中心層の温度は
蒸気噴射時間を含めた4分間の熱圧終了後においても8
0℃に到達せず、実施例3の熱圧条件では積層体の接着
は不十分であることが判明した。
【0042】<実施例4>長さ35cmにカットしたト
ウモロコシ茎の直線部分を軽くサンディングした後、切
り開かずに丸茎のままの状態で、トウモロコシ茎の直径
の約60%の間隔を保持している一対のピンチローラの
間を通過させることにより圧縮し、茎の皮部に細かい割
れ目を形成した。この加工されたトウモロコシ茎を低分
子量成分を含むフェノール樹脂(三井東圧化学製:「X
L−481」)70重量部と実施例3で使用した高分子
量フェノール樹脂30重量部とを混合して35%濃度に
調製した加熱硬化液に5分間浸漬した後、3日間室温で
乾燥し、フェノール樹脂の含浸率が約40.2%で含水
率が約18%の茎を調製した。このトウモロコシ茎を2
0本ずつ互いに平行にかつ密接に配列し、茎端部を糸で
結束して幅約35cmのシート状物を3枚作製した。
【0043】次いでこのシート状物毎に各繊維方向が直
交するように3枚のシート状物を重ね合わせ、更にこの
3層積層体の表裏両面に板状物に相当する厚さ1.8m
mのラジアタパイン単板をその繊維方向がトウモロコシ
茎の繊維方向と直交するように重ね合わせ、合計5層か
らなる積層体を作製した。実施例1と同じホットプレス
の中に上記5層からなる積層体を入れて、温度を150
℃に維持しながら圧力9kg/cm2になるまでの時間
加圧加熱した。圧力が9kg/cm2に到達すると、直
ちに6kg/cm2の圧力を有する蒸気を15秒間噴射
し、更に4分45秒間熱圧を持続して、厚さ20mmの
積層板を得た。得られた積層板の物性を実施例1と同じ
方法により試験した。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、実施例1及び実
施例2は熱圧所要時間が比較例1及び比較例2と比べて
大幅に短縮され、しかも力学的強度及び寸法安定性に優
れていた。また実施例3では階段の踏板に適した用材
を、実施例4では棚板に適した用材をそれぞれ極めて短
い熱圧時間で得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状物のみからなる積層体を熱圧
成形するホットプレスの断面図。
【図2】そのホットプレスの斜視図。
【図3】本発明の積層材の出発原料である植物茎の斜視
図。
【図4】その植物茎を圧縮して皮部に割れ目を発生させ
る圧縮ローラの斜視図。
【図5】植物茎に加熱硬化液を含浸する図。
【図6】含浸した植物茎から余剰の加熱硬化液を除去す
る絞りローラの側面図。
【図7】複数のシート状物をその植物茎の配列方向を全
て同一にして積層した積層体の側面図。
【図8】複数のシート状物をその一部のシート状物の植
物茎の配列方向を他のシート状物の植物茎の配列方向と
異ならせて積層した積層体の側面図。
【図9】複数のシート状物をその植物茎の配列方向をシ
ート状物毎に交差して積層して積層体の側面図。
【図10】図1の熱圧成形後の板状積層材の斜視図。
【図11】本発明の重ねられたシート状物の両面に板状
物を積層した積層体を熱圧成形するホットプレスの断面
図。
【図12】そのホットプレスの上部熱板の下部熱板から
視た図。
【図13】複数のシート状物をその植物茎の配列方向を
シート状物毎に交差して重ね合せその上下両面に板状物
を重ね合せる状況を示す斜視図。
【図14】その重ねられたシート状物の両面に板状物を
積層した積層体の側面図。
【図15】図11の熱圧成形後の板状積層材の斜視図。
【符号の説明】
10 植物茎 10a 皮部 10b 髄部 13 割れ目 14 加熱硬化液 20 含浸脱液した植物茎 30 シート状物 32 板状物 40,42 積層体 50,60 板状積層材 70,80 ホットプレス 73,74,83,84 熱板 75,85 スペーサ 73a,74a,75a,85a 噴孔 81 金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川井 秀一 京都府京都市伏見区深草谷口町70番35号 (56)参考文献 特開 平4−357023(JP,A) 特開 平4−305406(JP,A) 特開 平5−116239(JP,A) 特開 昭55−28813(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B27K 9/00 B27N 3/00 - 3/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグノセルロースを主体とする皮部(10
    a)と多孔性の髄部(10b)又は空洞とを有する直線部分の
    植物茎(10)を圧縮して皮部(10a)に割れ目(13)を発生さ
    せるか又は繊維方向に切開して複数分割する工程と、 加熱硬化液(14)を前記圧縮又は分割された植物茎に含浸
    させる工程と、 前記植物茎に含浸した加熱硬化液を乾燥させる工程と、 前記加熱硬化液が乾燥した植物茎(20)を複数互いに平行
    に配列してシート状物(30)を形成する工程と、 複数のシート状物(30)を積層して積層体(40)を形成する
    工程と、 前記積層体(40)を加圧しその圧力が所定圧に達したとき
    加圧加熱された蒸気又はガスを噴射して前記積層体を熱
    圧成形する工程とを含み、 積層体(40)に対する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射
    方向がシート状物(30)を構成する植物茎(10)の配列方向
    と同一方向であり、 熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペーサ(75,8
    5)から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射し、 熱圧成形工程でスペーサ(75,85)が積層体(40)を包囲す
    るように配置され、熱圧時に密封された空間に置かれた
    積層体(40)に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射するこ
    とを特徴とする積層材の製造方法。
  2. 【請求項2】 リグノセルロースを主体とする皮部(10
    a)と多孔性の髄部(10b)又は空洞とを有する直線部分の
    植物茎(10)を複数互いに平行に配列してシート状物(30)
    を形成する工程と、 前記シート状物(30)に接着剤を塗布する工程と、 接着剤を塗布された複数のシート状物(30)を積層して積
    層体(40)を形成する工程と、 前記積層体(40)を加圧しその圧力が所定圧に達したとき
    加圧加熱された蒸気又はガスを噴射して前記積層体を熱
    圧成形する工程とを含み、 積層体(40)に対する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射
    方向がシート状物(30) を構成する植物茎(10)の配列方向
    と同一方向であり、 熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペーサ(75,8
    5)から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射し、 熱圧成形工程でスペーサ(75,85)が積層体(40)を包囲す
    るように配置され、熱圧時に密封された空間に置かれた
    積層体(40)に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射するこ
    とを特徴とする積層材の製造方法。
  3. 【請求項3】 リグノセルロースを主体とする皮部(10
    a)と多孔性の髄部(10b)又は空洞とを有する直線部分の
    植物茎(10)を圧縮して皮部(10a)に割れ目(13)を発生さ
    せるか又は繊維方向に切開して複数分割する工程と、 加熱硬化液(14)を前記圧縮又は分割された植物茎に含浸
    させる工程と、 前記植物茎に含浸した加熱硬化液を乾燥させる工程と、 前記加熱硬化液が乾燥した植物茎(20)を複数互いに平行
    に配列してシート状物(30)を形成する工程と、 前記シート状物(30)に接着剤を塗布する工程と、 接着剤を塗布された複数の前記シート状物(30)を積層し
    て積層体(40)を形成する工程と、 前記積層体(40)を加圧しその圧力が所定圧に達したとき
    加圧加熱された蒸気又はガスを噴射して前記積層体を熱
    圧成形する工程とを含み、 積層体(40)に対する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射
    方向がシート状物(30)を構成する植物茎(10)の配列方向
    と同一方向であり、 熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペーサ(75,8
    5)から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射し、 熱圧成形工程でスペーサ(75,85)が積層体(40)を包囲す
    るように配置され、熱圧時に密封された空間に置かれた
    積層体(40)に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射するこ
    とを特徴とする積層材の製造方法。
  4. 【請求項4】 リグノセルロースを主体とする皮部(10
    a)と多孔性の髄部(10b)又は空洞とを有する直線部分の
    植物茎(10)を圧縮して皮部(10a)に割れ目(13)を発生さ
    せるか又は繊維方向に切開して複数分割する工程と、加
    熱硬化液(14)を前記圧縮又は分割された植物茎に含浸
    し、引き続き接着剤を塗布して乾燥する工程と、 前記加熱硬化液及び接着剤が乾燥した植物茎を複数互い
    に平行に配列してシート状物(30)を形成する工程と、 複数の前記シート状物(30)を積層して積層体(40)を形成
    する工程と、 前記積層体(40)を加圧しその圧力が所定圧に達したとき
    加圧加熱された蒸気を噴射して前記積層体を熱圧成形す
    る工程とを含み、 積層体(40)に対する加圧加熱された蒸気又はガスの噴射
    方向がシート状物(30)を構成する植物茎(10)の配列方向
    と同一方向であり、 熱圧成形工程の積層材の厚みを規制するスペーサ(75,8
    5)から加圧加熱された蒸気又はガスを噴射し、 熱圧成形工程でスペーサ(75,85)が積層体(40)を包囲す
    るように配置され、熱圧時に密封された空間に置かれた
    積層体(40)に加圧加熱された蒸気又はガスを噴射するこ
    とを特徴とする積層材の製造方法。
  5. 【請求項5】 シート状物(30)とともに1又は2以上の
    板状物(32)とを積層して積層体(42)を形成する請求項1
    ないし4いずれか記載の積層材の製造方法。
  6. 【請求項6】 植物茎(10)にホルムアルデヒド系樹脂を
    含む加熱硬化液(14)を含浸しそのまま乾燥してシート状
    物(30)を形成する請求項1記載の積層材の製造方法。
  7. 【請求項7】 加圧加熱された蒸気又はガスの温度が5
    0〜450℃の範囲にあって、熱圧成形が温度が50〜
    250℃の範囲で、圧力が2〜30kg/cm2の範囲
    で行われる請求項1ないし4いずれか記載の積層材の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 植物茎(10)が高りゃん、トウモロコシ、
    砂糖きび、稲、麦又は葦などからなるイネ科の茎である
    請求項1ないし7いずれか記載の積層材の製造方法。
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