JP5107845B2 - 木質材料の表面硬化方法 - Google Patents

木質材料の表面硬化方法 Download PDF

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本発明は、木質材料の表面含浸による表面硬化方法に関するものである。
近年の木材資源の枯渇により、安価で高品質のラワンやカポールといった南洋材や、ダグラスファーに代表される北米材などの木材資源を得ることは困難となっている。
そこで、国産材ではスギ、輸入材では豊富な資源量と生育の速さからラジアータパインその他の針葉樹材が注目されている。
これらを製材品(無垢材)として使用する場合、安価且つ軽量で加工が容易な反面、針葉樹材は一般に広葉樹材より軟質で表面硬度が低いので、傷がつき易いという欠点がある。例えば、ラジアータパインの場合、密度は450〜550kg/m3であり、床材として用いた場合には表面硬度が足りず、容易に傷がついてしまう。
このように、床材や階段材、テーブルなどに用いた場合に、輸送中や使用中に容易に傷がついてしまっては、商品価値が下がってしまう。
このような問題点には、これら軟質木材の表面に塗装により厚い樹脂層を設けたり、木材中に樹脂を含浸させた層を設けたりすることで対応できる。
後者の場合、表面から1〜2mm程度までの範囲への樹脂含浸を行えば、床材などの使用に必要十分な表面硬度が得られる。つまり、樹脂が含浸されて部分的に密度が800kg/m3となれば、全体としての重量増加は最小限で、表面付近のみ密度が増加して強度も向上するので、優れた実用性を示すようになる。
なお、柱材などでは全体の強度向上が必要で、その為には樹脂含浸深さが5〜10mm程度も必要な場合がある。
このように、木質材料の用途によって樹脂含浸深さは1〜10mm程度が要求される。そこで、木質材料の表面を強化させる方法が各種開発されてきた。
このような方法には、例えば木質材料を厚い塗膜で塗装する方法が知られている。この方法は、ポリエステルなどの強靭な塗膜を形成する塗料を木質材料表面に厚く塗装するものであり、例えば、ラジアータパインのような軟質の木材では、塗膜厚さ1mm程度塗布する必要があるが、塗装機にて容易に実施できる。また、紫外線硬化塗料などを用いれば生産性も良好で、大量生産が可能である。
また、木質材料を樹脂液に浸漬又は木質材料に樹脂液を塗布して木質材料表面に樹脂を含浸する方法も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この方法は、木質材料を樹脂液に浸漬して長時間放置することで、木質材料表面に樹脂を含浸、硬化させるものである。0.5mm以下の薄い木材単板であれば、比較的短時間で含浸可能であり、特殊な技術は不要で、装置もバット程度の簡単なものでよい。
特開2004−66798号公報 特開昭63−288702号公報
また、減圧、加圧することによって樹脂液を木質材料に注入して樹脂を含浸する方法も知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
この方法は、樹脂液を満たした容器内に木質材料を浸漬したまま圧力タンク内に入れ、減圧、加圧を行うことで木質材料内部の空気を抜き、代わってこの空隙に樹脂液を注入するものである。一般には「WPC」と称される、樹脂を含浸、硬化した強化木材が知られており、確実且つ均一に樹脂を木質材料に含浸可能である。
特開2002−234002号公報 特開昭60−92803号公報
一方、木質材料の早材部を部分的に除去して厚い塗膜で塗装する方法についても知られている(例えば、特許文献5参照)。
この方法は、ワイヤーブラシやサンドブラストなどの方法で、木材表面の軟質な早材部分のみ除去するか、或いは硬質ゴムロールで早材部分を圧密した後で、ポリエステルなどの強靭な塗膜を形成する塗料を厚く塗装するものである。
この方法によると、塗装後にやや立体感が生じる。また、凹凸加工装置と塗装機があれば容易に実施可能であり、紫外線硬化塗料などを用いれば生産性も良好で、大量生産が可能である。
特許第3783037号公報
また、木質材料を圧締ロールで圧縮後、樹脂液を塗布して木質材料の復元力で吸収させて樹脂を含浸させる方法も知られている(例えば、特許文献6乃至8参照)。
この方法は、通常の接着などに用いられる圧力(0.7〜1.0MPa)の数倍の高圧を加えられる圧締ロールを用いて木質材料を圧縮し、解圧直後の20〜30%程度復元する際に、樹脂液を塗布し、樹脂液を吸収させるものである。ここで、圧締ロールによって圧縮された部分は密度が上がるので硬くなる。
この方法では、ロールコーターや圧締ロールなどの比較的簡単な装置で連続生産が可能である。また、含浸ムラは比較的少なく、均質に含浸可能である。
特開平9−174514号公報 特許第3413543号公報 特許第3715982号公報
その他、樹脂液を高圧噴射して、木質材料に樹脂を含浸する方法も知られている(例えば、特許文献9参照)。
この方法は、洗浄などに用いられる高圧噴射機を応用して、樹脂を木質材料表面に噴射して注入するものである。
特開2001−179708号公報
しかしながら、木質材料を厚い塗膜で塗装する方法では、強度を確保するために必要な厚さとなるまで塗装すると、木目のシャープさが薄れ、木質材料表面にプラスチックシートを貼着したような感じとなる。また、手触りも暖かい木質材料というよりも冷たいプラスチックに近くなり、木質材料の風合いに欠けるといった欠点がある。
また、木質材料の表面は軟質のままであるので、衝撃が加わった際に、塗膜に蜘蛛の巣状の割れが生じてしまう場合がある。また、樹脂を大量に使用するのでコスト高となり、また重量も大きくなる。
また、木質材料を樹脂液に浸漬又は木質材料に樹脂液を塗布して木質材料表面に樹脂を含浸する方法では、浸漬の場合、数日から数週間も浸漬し続けないと含浸しないといった欠点がある。その上、それほど長時間浸漬しても含浸可能深さも0.5mm程度と浅く、これ以上の厚さの含浸はこの方法では不可能である。なお、含浸が0.5mmでは、樹脂含浸硬化後に厚さを揃えて塗装を行う際のサンディングなどで樹脂含浸層が大部分削り落とされる可能性が高く、強度や表面硬度が不足する。一方、塗布の場合、処理時間は短いが含浸深さは極めて少なく強度不足である。
一方、減圧、加圧することによって樹脂液を木質材料に注入して樹脂を含浸する方法では、特別な装置が必要となり、その装置の操作も複雑であるという欠点がある。また、含浸深さの制御が極めて困難で、含浸ムラが大きく、含浸不足の箇所をなくすには相当多めに含浸させなくてはならない。このとき、部分的には必要以上に樹脂が含浸してしまい、コスト高や重量増加といった問題がある。
ここで、予め爪状刃物で木質材料表面に傷をつけて含浸を促進する方法(インサイジング加工)もあるが、多くの傷が残るので土台角や下地材といった構造材や下地材程度しか使用できない。
また、減圧、加圧による方法はバッチ式と呼ばれる、一定量ずつ処理が必要な手間のかかる方法であるので、工程が多く、生産性が極度に悪い。
また、木質材料の早材部を部分的に除去して厚い塗膜で塗装する方法では、木質材料を厚い塗膜で塗装する方法と同様に、強度を確保するために必要な厚さまで塗装すると、木質材料の風合いに欠けるといった欠点がある。さらに、衝撃が加わった際に、塗膜に蜘蛛の巣状の割れが生じてしまう場合がある。それに加え、樹脂を大量に使用するため、コスト高となり、また重量も大きくなる。
また、木質材料を圧締ロールで圧縮後、樹脂液を塗布して木質材料の復元力で吸収させて樹脂を含浸する方法では、木質材料の表面を潰して高密度とすることから、スプリングバックと呼ばれる寸法変化があるという欠点がある。これは、高密度の木質材料が吸湿したときに、圧縮前の厚さに復元しようとして水膨れのように表面に凹凸が発生する現象であり、この現象を完全に制御することは困難である。
最後に、樹脂液を高圧噴射して木質材料に樹脂を含浸する方法では、樹脂液の含浸可能深さが表面から1mm以下であり、強度不足となることが多い。
そこで、本発明の目的とするところは、樹脂液を木質材料の表面から1mm以上含浸でき、比較的簡単な装置で量産可能で、しかも硬化処理後にも寸法が安定している木質材料の表面硬化方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、木質材料(1)の一面を、60〜80℃に加熱した熱硬化性樹脂(2)に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、熱硬化性樹脂(2)を木質材料(1)の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程(200)と、熱硬化性樹脂(2)に浸漬した木質材料(1)を冷却する冷却工程(300)と、木質材料(1)に含浸した熱硬化性樹脂(2)を熱圧プレス(4)にて硬化させる熱圧工程(600)と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料(1)の有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開放工程と、木質材料(1)の一面を、60〜80℃に加熱した熱硬化性樹脂(2)に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、熱硬化性樹脂(2)を木質材料(1)の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程(200)と、熱硬化性樹脂(2)に浸漬した木質材料(1)を冷却する冷却工程(300)と、木質材料(1)に含浸した熱硬化性樹脂(2)を熱圧プレス(4)にて硬化させる熱圧工程(600)と、を備えることを特徴とする。
また、請求項3に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、浸漬工程(200)の前処理に木質材料(1)を60〜80℃に予熱する予熱工程(100)を設け、予熱した木質材料(1)を、浸漬工程(200)において熱硬化性樹脂(2)に浸漬することを特徴とする。
また、請求項4に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、冷却工程(300)と熱圧工程(600)の間に、木質材料(1)の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂(2)を取り除く除去工程(400)を設けたことを特徴とする。
また、請求項5に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、冷却工程(300)と熱圧工程(600)の間に、木質材料(1)の表面に付着した熱硬化性樹脂(2)を紫外線照射装置により固化させる表面固化工程(500)を設けたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、熱硬化性樹脂(2)は、光重合触媒配合ラジカル重合性樹脂であることを特徴とする。
また、請求項7に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、熱硬化性樹脂(2)は、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有する樹脂であることを特徴とする。
また、請求項8に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、木質材料(1)の一面を、加熱により液状化した熱可塑性樹脂(5)に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、熱可塑性樹脂(5)を木質材料(1)の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程と、熱可塑性樹脂(5)に浸漬した木質材料(1)を冷却する冷却工程(300)と、を備え、しかも熱可塑性樹脂(5)は、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジン誘導体及びポリエステルのうちいずれか一つであることを特徴とする。
また、請求項9に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料(1)の有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開放工程(50)と、木質材料(1)の一面を、加熱により液状化した熱可塑性樹脂(5)に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、熱可塑性樹脂(5)を木質材料(1)の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程と、熱可塑性樹脂(5)に浸漬した木質材料(1)を冷却する冷却工程(300)と、を備え、しかも熱可塑性樹脂(5)は、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジン誘導体及びポリエステルのうちいずれか一つであることを特徴とする。
また、請求項10に記載の木質材料(1)の表面硬化方法は、木質材料(1)は、無垢材又は集成材であることを特徴とする。
ここで、冷却工程(300)における冷却とは、チラー等を使用して急速に冷やすことの他、自然冷却(放冷)も含むことを意味する。
なお、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
本発明の請求項1に記載の表面硬化方法によれば、熱硬化性樹脂を60〜80℃に加熱するので、熱硬化性樹脂の粘度が下がり、木質材料に含浸しやすくなる。
また、木質材料を加熱した熱硬化性樹脂に浸漬するので、木質材料が温められ、木質材料の仮導管内の空気が膨張し外部へ放出される。よって、仮導管には空気の代わりに熱硬化性樹脂がより含浸し易くなる。したがって、木質材料の一面を浸漬するだけで強度を得るために必要な量を十分含浸できる。すなわち、従来の方法では不可能であった、表面から10mmの深さまで熱硬化性樹脂を含浸可能である。加えて、浸漬工程に要する時間も短くなり、大量生産が可能である。
また、生産ラインにおいて木質材料の一面が浸るだけの熱硬化性樹脂を用意すればいいので、木質材料全体を浸漬する必要がある場合に比べて、熱硬化性樹脂の量が少なくて済む。
加えて、含浸ムラが少ないので、含浸ムラが多い場合には含浸量が少ない箇所をなくすために必要であった長時間の含浸が不要となり、含浸しやすい箇所に必要以上に含浸することもない。よって、処理時間が短くなる。その上、不要な熱硬化性樹脂の含浸もない。したがって、含浸させる熱硬化性樹脂は少量で済む。
また、木質材料に熱硬化性樹脂を含浸させる浸漬工程では、従来に比べ木質材料に熱硬化性樹脂が含浸しやすいので、特別な装置やその装置の複雑な操作が不要である。つまり、室温大気圧下で熱硬化性樹脂に木質材料を単純に漬けるだけでよいので、簡単な装置で量産可能で、設備投資も少なくて済み、作業員の習熟も必要ではない。
その上、熱硬化性樹脂を含浸させることで、木質材料の表面自体が硬化するので、木質材料に衝撃が加わった際に塗膜の割れは発生しない。
また、基材外部にはみ出た熱硬化性樹脂は、削り取ってしまうことも可能なので、木目がぼやけてしまうこともなく、木質材料本来の風合いを残したまま、木質材料を硬化することができる。
それに加え、熱硬化性樹脂に浸漬した木質材料を冷却する冷却工程を備えるので、含浸した熱硬化性樹脂の粘度が上がり、木質材料から滲み出にくくなる。
また、木質材料に含浸した熱硬化性樹脂を熱圧プレスにて硬化させる熱圧工程を備えるので、木質材料を圧縮する必要がなく、一連の硬化処理後に木質材料が吸湿したとしてもスプリングバックは生じない。よって、硬化処理後の寸法変化はない。
また、請求項2に記載の表面硬化方法によれば、スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料の有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開放工程を前処理工程として備えているので、有縁壁孔が閉じている木質材料であっても、請求項1に記載の表面硬化方法と同じ効果を得ることができる。
また、請求項3に記載の表面硬化方法によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用効果に加え、浸漬工程の前処理に木質材料を60〜80℃に予熱する予熱工程を設け、予熱した木質材料を、浸漬工程において熱硬化性樹脂に浸漬するので、より木質材料の仮導管などの空隙に存在する空気の放出が促進され、この空隙に熱硬化性樹脂が含浸しやすくなる。したがって、含浸可能深さがより深くなり、しかも浸漬工程の時間が短くて済む。
また、請求項4に記載の表面硬化方法によれば、請求項1乃至3に記載の発明の作用効果に加え、冷却工程と熱圧工程の間に、木質材料の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂を取り除く除去工程を設けたので、液垂れや木質材料内部から熱硬化性樹脂の噴き出しが起こりやすい種類の熱硬化性樹脂配合組成によって、木質材料の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂へのゴミの付着を防止できる。よって、次工程以降の作業性が向上する。
また、請求項5に記載の表面硬化方法によれば、請求項1乃至4に記載の発明の作用効果に加え、冷却工程と熱圧工程の間に、木質材料の表面に付着した熱硬化性樹脂を紫外線照射装置により数秒で固化させる表面固化工程を設けたので、熱圧工程の前であっても、含浸した熱硬化性樹脂が流れ出なくなる。よって、冷却工程の後すぐに熱圧プレスできない場合であっても、木質材料の積み重ねての保管が可能となる。
また、請求項6に記載の表面硬化方法によれば、請求項5に記載の発明の作用効果に加え、熱硬化性樹脂は、光重合触媒配合ラジカル重合性樹脂であるので、紫外線を照射することで、ラジカル重合により木質材料表面の熱硬化性樹脂を急速に固化させることができる。
また、請求項7に記載の表面硬化方法によれば、請求項1乃至6に記載の発明の作用効果に加え、熱硬化性樹脂は、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有する樹脂であるので、木質材料に含浸しやすく、含浸した熱硬化性樹脂を熱圧プレスで硬化させることができる。
また、請求項8に記載の表面硬化方法によれば、加熱により液状化した熱可塑性樹脂に浸漬するので、木質材料が温められ、木質材料の仮導管内の空気が膨張し外部へ放出される。よって、含浸させる樹脂が熱可塑性樹脂であっても仮導管に含浸しやすい。したがって、木質材料の一面を浸漬するだけで強度を得るために必要な量を十分含浸できる。すなわち、従来の方法では不可能であった、表面から10mmの深さまで熱可塑性樹脂を含浸可能である。
加えて、含浸ムラが少ないので、含浸ムラが多い場合には含浸量が少ない箇所をなくすために必要であった長時間の含浸が不要となり、含浸しやすい箇所に必要以上に含浸することもない。
また、木質材料に熱可塑性樹脂を含浸させる浸漬工程では、従来に比べ木質材料に熱可塑性樹脂が含浸しやすいので、特別な装置やその装置の複雑な操作が不要である。つまり、室温大気圧下で熱可塑性樹脂に木質材料を単純に漬けるだけでよいので、簡単な装置で量産可能で、設備投資も少なくて済み、作業員の習熟も必要ではない。
また、熱可塑性樹脂を含浸させるので、熱硬化性樹脂を含浸させたときには必要であった熱圧工程が不要となる。すなわち、熱可塑性樹脂は一般には常温において固体であるので、含浸させた後に冷却工程において自然冷却すれば熱可塑性樹脂は固化する。よって、冷却工程のための設備は実質不要である。
それに加え、熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジン誘導体及びポリエステルのうちいずれか一つであるので、含浸のための粘度と、含浸し固化した後の木質材料の表面硬度は必要十分である。
また、請求項9に記載の表面硬化方法によれば、スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料の有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開放工程を前処理工程として備えているので、有縁壁孔が閉じている木質材料であっても、請求項8に記載の表面硬化方法と同じ効果を得ることができる。
また、請求項10に記載の表面硬化方法によれば、請求項1乃至9に記載の発明の作用効果に加え、木質材料は無垢材又は集成材であるので、無垢材、集成材を問わず表面を硬化できる。すなわち、自然のままの木質材料である無垢材に対して、表面を硬化できる。
それに加え、集成材であっても表面を硬化できる。均一な強度である集成材に適用できるということは、強度向上後も強度は均一である。また、集成材は間伐材の有効活用でもあるので、その有効活用の幅が広くなる。
なお、本発明の木質材料の表面硬化方法のように、木質材料の一面を、60〜80℃に加熱した熱硬化性樹脂に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、熱硬化性樹脂を木質材料の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させた後、冷却し、さらに熱硬化性樹脂を熱圧プレスにて硬化させる方法は、上述した特許文献1乃至9には全く記載されていない。
(第一実施形態)
図1乃至図5を参照して、本発明の第一実施形態に係る木質材料1の表面硬化方法を説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る木質材料1の表面硬化方法の製造工程を示す図である。
本発明の第一実施形態に係る木質材料1の表面硬化方法は、床材を製造するものであり、図1に示すように、予熱工程100、浸漬工程200、冷却工程300、除去工程400、表面固化工程500、熱圧工程600によって行われ、これによって、木質材料1の表面が硬化される。
木質材料1としては、図2に示すように、有縁壁孔が完全に閉じてはいない木質材料1、例えば、ラジアータパインを用意した。
このラジアータパインは、ニュージーランドやチリにて多く産する、近年注目されている針葉樹であり、密度は450〜550kg/m3である。生育の早い地域では平均年輪幅が広く、密度の低い早材部分の割合が相対的に多くなり密度は450kg/m3程度となり、生育の遅い地域では平均年輪幅が狭く、密度の低い早材部分の割合が相対的に少なくなり密度は550kg/m3程度となる。また、同じ材の中でも早材部分は晩材部分に比較して密度が低い。
このような針葉樹は、広葉樹より軟質な場合が多く、樹種、平均年輪幅、早材と晩材などによっても密度に差が生じる。
以下、それぞれの工程を説明する。
まず、910mm×106mm、厚さ12.5mmの床材用無垢材であるラジアータパイン製材品(木質材料1)を準備し、予熱工程100において、熱風乾燥機(図示しない)に木質材料1を入れ、木質材料1が70℃になるまで予熱する。
この予熱工程100によって、木質材料1の仮導管に存在する空気を膨張することによって、仮導管中の空気を木質材料1外へ放出する。
次に、浸漬工程200では、図3に示すように、まず木質材料1を浸漬可能な大きさのバット3に熱硬化性樹脂2を入れ、熱硬化性樹脂2を70℃に加熱する。
この熱硬化性樹脂2は、紫外線、電子線等の照射下でラジカル重合(光重合)により硬化する光重合触媒配合のラジカル硬化型の樹脂であり、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有する樹脂を使用した。ここで使用されるラジカル重合性樹脂としては、例えば、ポリエステル,アクリル,メタクリル,ビニルエステル,ポリスチレンなどがあげられ、有機溶剤が含有されていないものが望ましい。この熱硬化性樹脂2には、70℃では活性化せず、約110℃以上で活性化する潜在性硬化剤を0.2〜1%重量加えているので、70℃以下において熱硬化性樹脂2は安定している。
そして木質材料1の面のうち、熱硬化性樹脂2を含浸させる必要のある一面を下にして、連続移動式金網を有するコンベアベルト(図示しない)に載置する。そのベルトコンベア(図示しない)にて、木質材料1の下にした一面のみを加熱した熱硬化性樹脂2に通常の雰囲気下(いわゆる、室温大気圧下)で5〜10分浸漬することで熱硬化性樹脂2を木質材料1の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる。なお、ベルトコンベアを使用することなく木質材料1をバット3内の熱硬化性樹脂2に直接浮かべるようにしてもよい。
ここで、本実施形態において製造されるものは主として床材であるので、硬度向上の必要のある一面だけ含浸させればよい。もちろん、硬さが必要である階段踏み板等へも適応できる。
この浸漬工程200において、先の予熱工程100で空気が排出された木質材料1の仮導管などの空隙に、加熱されて粘度が下がった熱硬化性樹脂2が含浸する。
ここで、浸漬工程200を経た木質材料1には、図4に示すように、含浸部分1aと表面層1bが形成される。含浸部分1aは文字通り熱硬化性樹脂2が、木質材料1の仮導管に含浸した部分である。また、表面層1bは、木質材料1の表面に付着した、又は木質材料1の仮導管から噴き出た熱硬化性樹脂2であり、後の熱圧工程600を経ると、一連の工程前の木質材料1の厚さに比べ、表面層1bの分だけ木質材料1は厚くなる。
次に、冷却工程300では、バット3から熱硬化性樹脂2に浸漬した木質材料1を引き上げた後、ベルトコンベア(図示しない)で次工程の装置に移動するまでの約30秒間、自然冷却する。
前工程の浸漬工程200では約70℃であった木質材料1の表面温度は、この冷却工程300により、約50℃まで下がる。
次に、除去工程400では、液垂れや木質材料内部から熱硬化性樹脂の噴き出しが起こりやすい種類の熱硬化性樹脂配合組成によって、ロールコーター(図示しない)で木質材料1の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂2を取り除く。これにより木質材料1の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂2へのゴミの付着を防止できる。
次に、表面固化工程500では、木質材料1の表面に存在する熱硬化性樹脂2を紫外線照射装置(図示しない)により固化させる。さらに、基材木口側も同様に固化させる。特に木口側は熱硬化性樹脂2の吹き出しが多い。これにより、熱硬化性樹脂2が木質材料1の仮導管から流れ出ることが抑えられる。
次に、熱圧工程600では、図5に示すように、木質材料1に含浸した熱硬化性樹脂2を140℃に熱した熱圧プレス4にて硬化させる。このときの熱圧プレス4の圧力は0.7〜1.0MPa、熱圧時間は約1分である。なお、この程度の圧力では木質材料1は圧縮されず、スプリングバックは起こりえない。したがって、一連の硬化処理後の木質材料1の寸法変化は表面層1b分を除いて生じない。
最後に、実加工、表面のサンディング(研磨)、塗装を実施して完成となる。
以上説明したような製造方法によれば、有縁壁孔が完全に閉じていない木質材料1であるラジアータパインにおいて、その仮導管に着目し、予熱工程100で浸漬工程200の前処理として木質材料1を70℃に予熱するので、木質材料1の仮導管内などの空隙に存在する空気の放出が促進され、この空隙に熱硬化性樹脂2が含浸しやすくなる。したがって、従来よりも含浸可能深さが深くなり、しかも含浸速度も上がるので、浸漬工程200の所要時間が短くて済む。
また、この製造方法によれば、浸漬工程200において、熱硬化性樹脂2を70℃に加熱するので、熱硬化性樹脂2の粘度が100mPa・S以下に下がり、木質材料1に含浸しやすくなる。したがって、強度を得るために必要な量を十分含浸できる。
なお、本実施形態では、表面から1mmの深さ領域まで含浸したところで浸漬工程200を終了したが、それ以上深く含浸させることが不可能なわけではなく、そのまま浸漬させておくだけで、従来の方法では不可能であった表面から10mmの深さまで含浸可能である。ここで、含浸可能なのは密度の高い晩材部分だけではなく、晩材部分に比較して熱硬化性樹脂2が含浸し難い早材部分にも含浸する。加えて、浸漬工程200に係る時間も短くなり、大量生産が可能である。
また、この製造方法は、予熱工程100と浸漬工程200を備え、熱硬化性樹脂2が従来よりも含浸しやすいので、含浸ムラが少ない。
これによって、処理時間が短くなり、含浸させる熱硬化性樹脂2は少量で済む。
また、木質材料1の一面を浸漬させるだけなので、生産ラインにおいて木質材料1の一面が浸るだけの熱硬化性樹脂2を用意すればよく、全体を浸漬する必要がある場合に比べて、熱硬化性樹脂2の量が少なくて済む。
また、浸漬工程200では、特別な装置やその装置の複雑な操作が不要である。つまり、室温大気圧下で熱硬化性樹脂2に木質材料1を単純に漬けるだけでよいので、簡単な装置で量産可能で、設備投資も少なくて済み、作業員の習熟も必要ではない。また、減圧や加圧を行わないので、この工程における消費電力は少ない。
加えて、この製造方法では、冷却工程300において含浸工程の後に木質材料1を自然冷却するので、含浸した熱硬化性樹脂2の粘度が上がり、早材部分であっても、含浸した熱硬化性樹脂2が木質材料1から出にくくなる。
また、この製造方法では、除去工程400において木質材料1の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂2を取り除くので、液垂れや木質材料1内部から熱硬化性樹脂2の噴き出しが起こりやすい種類の熱硬化性樹脂配合組成によって、木質材料1の表面に付着した余分な熱硬化性樹脂2へのゴミの付着を防止できる。よって、次工程以降の作業性が向上する。
その上、この製造方法では、熱硬化性樹脂2は光重合触媒配合ラジカル重合性樹脂であるので、表面固化工程500において紫外線照射装置(図示しない)を使用することで、木質材料1の表面に付着した熱硬化性樹脂2をラジカル重合によって固化可能である。したがって、熱圧工程600の前であっても、熱硬化性樹脂2が木質材料1から流れ出なくなる。よって、木質材料1の指触性が向上する。ゆえに、冷却工程300の後すぐに熱圧工程600を行えない場合であっても、木質材料1の積み重ねての保管が可能となる。
また、この製造方法では、熱圧工程600において木質材料1に含浸した熱硬化性樹脂2を熱圧プレス4にて硬化させるので、一連の硬化処理の中で木質材料1を圧縮せずに済む。すなわち、110℃以上の熱と、0.7〜1.0MPaの接着に用いる程度の低い圧力で熱硬化性樹脂2は硬化するので、一連の硬化処理後に木質材料1が吸湿したとしてもスプリングバックは生じない。よって、硬化処理後の木質材料1の寸法変化はない。
また、この製造方法では、予熱工程100から熱圧工程600まで、連続作業化が可能であるので、生産性が極めて良好である。
また、熱硬化性樹脂2を含浸させることで、木質材料1の含浸部分1a自体が硬化するので、木質材料1に衝撃が加わった際に、後に塗装する塗膜の目割れは発生しない。
また、木質材料1の含浸部分1a自体が硬化するので、表面層1bを薄くしたり、あるいは表面層1bをサンディングで全て削り取ってしまうことが可能である。よって、木質材料1を硬化しても木目がぼやけてしまうことがなく、木質材料1本来の風合いは残る。
また、70℃以下では活性化しない硬化剤を混入しているので、70℃以下ではポットライフが長くなり、バット3で加熱している熱硬化性樹脂2の使いまわしが可能であり、経済的である。
(第二実施形態)
次に図6を参照して、本発明の第二実施形態に係る木質材料1の表面硬化方法を説明する。図6は、本発明の第二実施形態に係る木質材料1の表面硬化方法の製造工程を示す図である。なお、第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
本実施形態においては、スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料1を用意した。スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料1については、その有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開口工程50を前処理として行う。有縁壁孔開口工程50で行われる処理としては、例えば、マイクロ波を照射して有縁壁孔を開放させるマイクロ波加熱法や、レーザーを照射するレーザーインサイジング法や、蒸気をあてる蒸気加熱処理法がある。その他、酸素処理法、超臨界二酸化炭素処理法や、圧縮処理法などによって有縁壁孔を開放させることができる。
このように有縁壁孔開口工程50が施された木質材料1に対しては、その後、予熱工程100、浸漬工程200、冷却工程300、除去工程400、表面固化工程500、熱圧工程600が施され、木質材料1の表面が硬化される。この予熱工程100から熱圧工程600までの各工程は、第一実施形態と全く同じ作業内容である。
よって、有縁壁孔が閉じている木質材料1であっても、有縁壁孔が完全に閉じてはいない木質材料1と同様に、木質材料1の表面を硬化できる。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る木質材料1の表面硬化方法を説明する。なお、第一、第二実施形態と同一部分には同一符号を付した。
本実施形態においては、第一、第二実施形態とは違い、熱硬化性樹脂2ではなく、熱可塑性樹脂5を木質材料1に含浸させるものである。
ここで、木質材料1としては、有縁壁孔が完全には閉じていない木質材料1であるラジアータパインを用意した。
以下、それぞれの工程を説明する。
まず、浸漬工程を行う。図3に示すように、この工程では、木質材料1を浸漬可能な大きさのバット3に熱可塑性樹脂5であるポリアミド樹脂(これにかえてテルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジン誘導体及びポリエステルのうちいずれか一つであってもよい)を入れ、熱可塑性樹脂5を約160℃に加熱する。
前記熱可塑性樹脂5は、常温では固体だが、160℃に加熱されると仮導管に含浸可能な粘度の液状となる。
実際の浸漬作業自体は、第一、第二実施形態と同様であり、通常の雰囲気下で熱可塑性樹脂5が木質材料1の表面から1mm以上の深さ領域に含浸するまで、所定時間浸漬し、その後木質材料1を液状の熱可塑性樹脂5から引き上げる。
次に、冷却工程300にて、熱可塑性樹脂5に浸漬した木質材料1を自然冷却する。ただし、この冷却工程300はわざわざ設けるものではなく、ベルトコンベア(図示しない)で木質材料1が運ばれているうちに常温にて自然冷却されるものである。
このバット3から引き上げられた数分のうちに木質材料1の表面温度は下がる。すなわち、木質材料1の仮導管から熱可塑性樹脂5が流れ出なくなるほどに、含浸した熱可塑性樹脂5の粘度は高くなり、その後、熱可塑性樹脂5は完全に固化する。なお前述の通り、熱可塑性樹脂5は常温にて固化する。
以上説明したような製造方法によれば、160℃に加熱して液状となった熱可塑性樹脂5に浸漬するので、木質材料1が温められ、木質材料1の仮導管内の空気が膨張し外部へ放出される。よって、含浸させる樹脂が熱可塑性樹脂5であっても仮導管に含浸しやすい。
また、熱可塑性樹脂を含浸させるので、熱硬化性樹脂2を含浸させたときには必要であった固化のための熱圧工程600が不要となる。よって、より少ない設備で量産できる。
本発明の第一実施形態及び第二実施形態の予熱工程100において、木質材料1を予熱する温度は70℃としたが、これに限られるものではなく、60〜80℃でよい。この工程で、予熱して木質材料1の有縁壁孔に存在する空気を排出しておくことが望ましいが、次工程の浸漬工程200において、加熱された熱硬化性樹脂2に浸漬した木質材料1が温まり、有縁壁孔の空気が排出されるまで、浸漬工程200に時間をかければ予熱工程100は必ずしも必要ではない。熱風乾燥機(図示しない)を所有していない場合や、熱風乾燥機(図示しない)を他の製品での作業で優先的に使用する場合には、予熱工程100は省略することができる。
ただし、予熱工程100を省略した場合には、浸漬工程200での木質材料1の表面温度は50℃程度であり、温度が低い分、有縁壁孔内の空気の抜けが悪くなり、熱硬化性樹脂2が木質材料1に含浸し難くなる。この場合、その後の冷却工程300での木質材料1の表面温度は40℃程となる。
また、浸漬工程200で加熱する熱硬化性樹脂2の温度は、70℃に限られるものではなく、60〜80℃でよい。ここで、80℃とした場合には、木質材料1中の空気の脱気は一層促進され、熱硬化性樹脂2の含浸も促進される。そうすることで、熱圧プレス4もマイクロ波を用いた連続プレスでの製造が可能となり、大量生産が一層容易となる。
また、冷却工程300は、自然冷却としたがこれに限られるものではなく、より早く冷却するためにチラー等で急速冷却してもよい。
その他、除去工程400ではロールコーターで余分な熱硬化性樹脂2を拭ったが、これに限られるものではなく、例えば、リバースロールやスポンジロールなど他の手段を用いて表面の余分な熱硬化性樹脂2を拭ってもよい。
また、除去工程400は必ずしも必要ではない。液垂れや熱硬化性樹脂2の噴き出しが起こりにくく、浸漬工程200の後でも表面にゴミが付着しにくい種類の熱硬化性樹脂配合組成によっては、除去工程400を省略することができる。
また、表面固化工程500は必ずしも必要ではない。熱圧工程600まで一気に連続して作業できれば、処理途中の木質材料1を積み重ねて保管する必要はなく、表面固化工程500を省略することができる。熱圧工程600後にはべたつくことなく保管できるからである。
若しくは、浸漬工程200において熱硬化性樹脂2に過酸化物,アゾイソブチロニトリルなどの硬化剤を配合しておくことで表面層1bを固化させ、表面固化工程500を省略することもできる。あるいは、浸漬工程200において熱硬化性樹脂2に過酸化物などの硬化剤を配合しておくことで表面層1bを固化させ、さらに表面固化工程500を設けることも可能である。
また、本発明の第一実施形態及び第二実施形態では、熱硬化性樹脂2として、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有するラジカル重合性樹脂を使用したが、ラジカル重合性樹脂でなくても70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有する樹脂や、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有するという条件を満たしていないラジカル重合性樹脂や、あるいは、それら以外の熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等)、すなわち、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有するという条件を満たしていない熱硬化性樹脂を使用して60〜80℃に加熱した中に浸漬した木質材料の表面から1mm以上の深さ領域にそれら樹脂を含浸させることもできる。
また、含浸深さは1mmとしたが、これに限られるものではなく、使用する樹種と、使用用途(必要表面硬度)によって含浸深さは1〜10mmとする。但し、含浸深さを深くするときには、浸漬工程200に要する時間が長くなる。
ここで、含浸深さによって熱圧工程600での熱圧時間を変える必要があり、概ね含浸深さ1mm毎に熱圧時間を1分加算しなければならない。
また、第三実施形態において、有縁壁孔が完全には閉じていないラジアータパインにおいて熱可塑性樹脂5を含浸させたが、これに限るものではなく、第二実施形態と同様の有縁壁孔開放工程50を経れば、スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料1においても、熱可塑性樹脂5を含浸させることができる。
また、木質材料1の使用用途は床材に限られるものではなく、柱材、土台角、ドア、階段踏板、腰壁などの壁材、家具、カウンターなどの、木質材料1を使用する建築用部材、家具材などには全て適用できる。
また、木質材料1の一面だけに表面硬化方法を施すことに限られるものではなく、用途や必要とされる強度によって、浸漬する面を変えることができる。例えば、全ての面を浸漬させることで全ての面の硬度を上げることもできる。
特に、本発明を土台角などに用いれば、土台角自体の耐久性が向上するとともに、構造材の固定用ボルトや金物の緩みを防止できるので、住宅の耐久性や寿命さえも向上させる。
また、実加工の後の塗装に代わってポリシング仕上げを行えば、自然な艶を得ることも可能である。また、塗装を省略してサンディング仕上げ又はポリシング仕上げのままにすると、表面層1b部分を削り取っているので見た目や手触りは自然の木の感覚そのままである。それでいて、含浸部分1aは硬化しているので、硬化処理を施していない木質材料1に比べ耐汚染性がある。
また、表面硬度向上のため、熱硬化性樹脂2や熱可塑性樹脂5を木質材料1に含浸させたが、他の液体を使用することで、硬度向上以外の目的にも応用できる。例えば、防腐剤や着色剤などに木質材料1を浸漬させ、それらの液体を木質材料1に含浸させることもできる。
本発明の第一実施形態に係る木質材料の表面硬化方法の製造工程を示す図である。 図1に示す製造工程で用いる木質材料を示す図である。 本発明の第一実施形態と第三実施形態に係る木質材料の表面硬化方法の製造工程のうち、浸漬工程を示す図である。 図1に示す製造工程の浸漬工程を経て、表面に熱硬化性樹脂が含浸した木質材料を示す図である。 図1に示す製造工程のうち、熱圧工程を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る木質材料の表面硬化方法の製造工程を示す図である。
符号の説明
1 木質材料
1a 含浸部分
1b 表面層
2 熱硬化性樹脂
3 バット
4 熱圧プレス
5 熱可塑性樹脂
50 有縁壁孔開放工程
100 予熱工程
200 浸漬工程
300 冷却工程
400 除去工程
500 表面固化工程
600 熱圧工程

Claims (10)

  1. 木質材料の一面を、60〜80℃に加熱した熱硬化性樹脂に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、前記熱硬化性樹脂を前記木質材料の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程と、
    前記熱硬化性樹脂に浸漬した前記木質材料を冷却する冷却工程と、
    前記木質材料に含浸した前記熱硬化性樹脂を熱圧プレスにて硬化させる熱圧工程と、を備えることを特徴とする木質材料の表面硬化方法。
  2. スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料の前記有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開放工程と、
    前記木質材料の一面を、60〜80℃に加熱した熱硬化性樹脂に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、前記熱硬化性樹脂を前記木質材料の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程と、
    前記熱硬化性樹脂に浸漬した前記木質材料を冷却する冷却工程と、
    前記木質材料に含浸した前記熱硬化性樹脂を熱圧プレスにて硬化させる熱圧工程と、を備えることを特徴とする木質材料の表面硬化方法。
  3. 前記浸漬工程の前処理に前記木質材料を60〜80℃に予熱する予熱工程を設け、予熱した前記木質材料を、前記浸漬工程において前記熱硬化性樹脂に浸漬することを特徴とする請求項1又は2に記載の木質材料の表面硬化方法。
  4. 前記冷却工程と前記熱圧工程の間に、前記木質材料の表面に付着した余分な前記熱硬化性樹脂を取り除く除去工程を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の木質材料の表面硬化方法。
  5. 前記冷却工程と前記熱圧工程の間に、前記木質材料の表面に付着した前記熱硬化性樹脂を紫外線照射装置により固化させる表面固化工程を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の木質材料の表面硬化方法。
  6. 前記熱硬化性樹脂は、光重合触媒配合ラジカル重合性樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の木質材料の表面硬化方法。
  7. 前記熱硬化性樹脂は、70℃において粘度が100mPa・S以下であるとともに、110℃以上で硬化する性質を有する樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載の木質材料の表面硬化方法。
  8. 木質材料の一面を、加熱により液状化した熱可塑性樹脂に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、前記熱可塑性樹脂を前記木質材料の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程と、
    前記熱可塑性樹脂に浸漬した前記木質材料を冷却する冷却工程と、を備え、しかも前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジン誘導体及びポリエステルのうちいずれか一つであることを特徴とする木質材料の表面硬化方法。
  9. スギなど有縁壁孔が閉じている木質材料の前記有縁壁孔を強制的に開かせる有縁壁孔開放工程と、
    前記木質材料の一面を、加熱により液状化した熱可塑性樹脂に通常の雰囲気下で所定時間浸漬し、前記熱可塑性樹脂を前記木質材料の表面から1mm以上の深さ領域に含浸させる浸漬工程と、
    前記熱可塑性樹脂に浸漬した前記木質材料を冷却する冷却工程と、を備え、しかも前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジン誘導体及びポリエステルのうちいずれか一つであることを特徴とする木質材料の表面硬化方法。
  10. 前記木質材料は、無垢材又は集成材であることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一つに記載の木質材料の表面硬化方法。
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