JPH0890520A - 集合材及び集合材の製造方法 - Google Patents

集合材及び集合材の製造方法

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JPH0890520A
JPH0890520A JP30825794A JP30825794A JPH0890520A JP H0890520 A JPH0890520 A JP H0890520A JP 30825794 A JP30825794 A JP 30825794A JP 30825794 A JP30825794 A JP 30825794A JP H0890520 A JPH0890520 A JP H0890520A
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adhesive
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piece
steam
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JP30825794A
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Yasuhiro Asano
康博 浅野
Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Satoshi Takahashi
智 高橋
Kenji Nishimura
研治 西村
Tetsuya Nishimura
哲也 西村
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OOSHIKA SHINKO KK
OSHIKA SHINKO CO
Ibiden Co Ltd
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OOSHIKA SHINKO KK
OSHIKA SHINKO CO
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度を有し寸法安定性、形状安定性に優れ
た集合材を提供する。 【構成】 複数本の木材2が接着剤3を介して一体に成
形され、その端面には各木材の年輪Nが各種の形状に変
形した状態で残存された集合材1であって、前記木材2
に接着剤3を含浸させた後、軟化処理、加圧成形して集
合材1を製造することにより、木材組織中にも接着剤3
が存在した集合材1となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数本の木材を一体成
形した集合材に関し、特に、強度、接着剤の硬化均一性
に優れ、ひび割れ等を防止し、かつ寸法安定性、形状安
定性に優れた集合材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、杉、桧等は建築材料として多用
されているが、本来的に軟質材であることから堅牢度が
低く、これよりその使用可能な範囲については自ずと制
限が存在した。特に、杉、桧等の成育過程において除去
される間伐材は小径木であり、また、極めて柔らかく湾
曲していることが多いので、かかる間伐材は建築材料、
例えば、柱等としては殆ど使用できないものであった。
【0003】そこで、本願発明者らは、先に特願平5−
195548号にて、これら複数の木材を軟化処理し、
これに接着剤を塗布して集成し、加熱、加圧した後、固
定化処理を施すことにより製造した集合材を提案してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の集合材の実用化には次のような課題が残されていた。
即ち、木材の軟化処理のためには、水蒸気により加熱す
る方法、煮沸による方法、高周波加熱装置により加熱す
る方法などがあるが、この種の軟化方法の如何に係わら
ず、接着剤を塗布する場合は、木材の表面部分にのみ接
着剤が存在しているに過ぎないため、各木材の収縮率と
硬化した接着剤の収縮率との間における差異に起因し
て、集合材を乾燥すると木材自体が収縮してひび割れが
生じてしまい、また、強度が十分ではなく寸法安定性、
形状安定性に欠けるという問題が見られた。
【0005】本発明は、前記従来の問題点を解消するた
めになされたものであり、複数本の木材を一体成形して
集合材を製造するにあたり、各木材の軟化処理の前又は
後に各木材の組織中に接着剤を含浸させた後、一体成形
して、木材組織中に接着剤を含浸させた集合材及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る集合材は、
複数本の木材が接着剤を介して一体に成形され、その端
面には各木材の年輪が各種の形状に変形した状態で残存
された集合材であって、前記各木材の組織中には、接着
剤が含浸されてなることを特徴とするものである。ま
た、本発明に係る集合材の製造方法の内、第1の製造方
法は、複数本の木材が接着剤を介して一体に成形され、
その端面には各木材の年輪が各種の形状に変形した状態
で残存された集合材を製造するにあたり、木材に接着剤
を含浸させた後、水蒸気処理、蒸煮あるいは煮沸により
木材を軟化処理し、ついで、これら木材を加圧して一体
成形することを特徴とする集合材の製造方法であり、ま
た、第2の製造方法は、複数本の木材が接着剤を介して
一体に成形され、その端面には各木材の年輪が各種の形
状に変形した状態で残存された集合材を製造するにあた
り、木材を軟化処理した後接着剤を各木材に含浸させ、
ついでこれら各木材を加圧して一体に成形することを特
徴とする集合材の製造方法である。
【0007】
【作用】本願発明では、間伐材などの木材の組織中に、
接着剤が含浸されてなることが必要である。この理由
は、接着剤が木材の内部に存在させることにより、集合
材の靭性が改善され、破壊強度も向上し、この結果、強
度に優れた集合材を得ることができるからである。ま
た、木材中に樹脂が含浸されていることにより、成形後
に集合材を乾燥させても収縮によりひび割れが発生する
ことはない。本願の集合材では、含浸させた接着剤が、
成形の際に圧縮により染み出し、木材の隙間に集合して
硬化し、接着剤の層を形成していてもよい。本発明で使
用される接着剤としては各種の接着剤が使用できる。例
えば、フェノール樹脂を主成分とするフェノール系接着
剤、レゾルシノール樹脂を主成分とするレゾルシノール
系接着剤等の熱硬化性接着剤が使用されて好適である。
この理由は、木質材料に対して寸法安定性を保ちなが
ら、高強度、耐熱性、耐水性及び耐久性を同時に発揮す
るという長所を兼ね備えるからである。その他、熱硬化
性接着剤としては、メラミン樹脂を主成分とするメラミ
ン系接着剤、尿素樹脂を主成分とするユリア系接着剤、
エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ系接着剤等も使用
することができる。また、かかる熱硬化性接着剤に加え
て、イソシアネートと水性高分子を主成分とする水性高
分子−イソシアネート系接着剤や酢酸ビニル樹脂系接着
剤等も使用可能である。ここに、使用する接着剤を選択
するに際しては、接着剤のコスト、溶剤の種類や集合材
の用途等を勘案して選択するのが望ましい。本発明では
特にフェノール樹脂−レゾルシノール系の樹脂が好まし
い。その配合量は、フェノール樹脂が15〜98重量
%、レゾルシノール樹脂が2〜85重量%であることが
望ましい。この理由は、フェノール樹脂が15重量%未
満(即ちレゾルシノール樹脂が85重量%を越える)だ
と寸法安定性が急に悪くなり、レゾルシノール樹脂分が
2重量%未満(即ちフェノール樹脂が98重量%を越え
る)であると耐熱性が急激に低下するからである。
【0008】前記樹脂の含浸量は、含脂率で10〜30
wt%の範囲であることが望ましい。含脂率とは、{樹
脂重量/(樹脂重量+木材重量)}×100(%)で表
される。このような範囲が望ましい理由は、含脂率が3
0wt%を越えると、集合材の比重が高くなり、10w
t%未満であると集合材の強度が低くなる上、ひび割れ
が発生するためである。
【0009】本願発明で使用される木材は、主に間伐材
などが使用されるが、その具体的な種類として、スギ、
ヒノキ、アカマツ、クロマツ、カラマツ、ヒメコマツ、
エゾマツ、トドマツ、コウヤマキ、サワラ、モミ、ヒ
バ、ネズコ、イヌマキ、ツガ、カヤ、トガサワラ、イチ
イなどの針葉樹やケヤキ、ミズナラ、クリ、シオジ、ク
ス、キリ、アカガシ、シラカシ、クヌギ、カキ、ブナ、
シイノキ、ヤチダモ、シナノキ、サワグルミ、アオダ
モ、イタヤカエデ、ヤマザクラ、ハンノキ、チシャノ
キ、トチノキ、ドロノキ、アサダ、タブノキ、ハルニ
レ、オニグルミ、カツラ、ホオノキ、ミズメ、マカン
バ、イスノキ、ヤマグワ、イヌエンジェ、ハリギリ、ヒ
ロハノキハダ、シウリザクラ、ウダイカンバ、ケンポナ
シ、などの広葉樹が適しているが、スギ、ヒノキ、マツ
類、ケヤキ、クヌギ、ミズナラ、ブナが意匠的にも耐磨
耗性の点でも本願の材料としては好ましいものである。
【0010】また、外国産の木材としてはチーク、アカ
ラワン、ナトー、チャンパカ、マンガシノロ、ペクル、
ダオ、ホンシタン、ローズウッド、コクタン、ドリア
ン、カメレレ、メルサワ、ラミン、バクチカン、カポー
ル、メランチ類、パロサピス、ラジアータマツ、タイ
ヒ、アガチス、アピトン、カリン、ニューギニアウオル
ナット、クインズランドウオルナット、モンキーポッ
ト、シルキーオーク、タマクラ、ブラジリアンローズ、
モラード、マホガニー、コーバリル、プリマベラ、アク
スギ、ブラックウオールナット、スプルース、クラロウ
オールナット、ベイスギ、ベイヒ、ベイマツ、ゼブラ、
ウエンジ、マンソニア、イロコ、マコレ、サテンウッ
ド、アファラ、アブラ、イジグボ、サペリ、オム、イロ
ンバ、ワワビマ、ブビンガ、ダンタ、オバンコール、ブ
ラックビーン、ヤカール、ジェルトン、アサム、ジェン
コン、セペチール、マトア、ゴムの木が適している。本
発明では、木材として特にマツ、ヒノキ、スギ、ケヤ
キ、クヌギ、ミズナラ、ブナが好適である。この理由
は、これらの樹種が加熱して軟化しやすいからである。
【0011】本願発明では、木材と同様に竹材が使用で
きる。竹材は、木材の年輪と同様に基本組織や繊管束の
模様も同じように圧縮変形した状態で残存できる。竹材
の種類としては、孟宗竹、真竹、黒竹、淡竹、女竹、箭
竹、箱根竹、伊弥竹、寒竹、等が使用に適するが、孟宗
竹、真竹、黒竹は強度、弾力性等の点から応用範囲が広
く好ましい。又、竹材の軟化は熱湯中で行なうのが最も
好ましい。その理由は油抜きが効果的に行なえ、その結
果として接着剤による接着性が向上し、硬度、強度も増
加するからである。
【0012】集合材1の木口面(図1中には一方の木口
面のみを示す)側において、各木材2の元口2A、末口
2Bに現れる年輪模様Nが、後述する加圧圧縮により変
形されるとともに、固定化処理によりその変形された形
状を保持したまま固定化された状態で現れている。年輪
模様Nは、各木材2の加圧圧縮条件を変えたり、また、
異なった樹種を組み合わせたり、相互に異なる径の木材
2を使用すること等により、各種の模様を具現すること
が可能である。また、図1に示すように、各木材2の間
には接着剤3が固化した状態で残存されているととも
に、接着剤3の含浸処理(後述する)を介して、接着剤
3が各木材2の組織内に含浸され固化された状態で残存
している。尚、各木材2の組織内に含浸された接着剤3
を符号3Aにて示す。
【0013】ついで製造方法について説明する。本発明
に係る集合材1の第1製造方法では、常圧下、加圧下、
又は、減圧下で、間伐材などの木材2に接着剤を塗布し
たり、また、木材2を接着剤中に浸漬することにより、
又は、接着剤の塗布と浸漬とを組み合わせることによ
り、木材2の組織内に接着剤を含浸させた後、水蒸気処
理、煮沸あるいは高周波加熱装置により木材2の軟化処
理が行われる。この理由は、接着剤を木材2に含浸させ
ることにより、水蒸気処理、煮沸などの軟化処理時に接
着剤が木材2から流出し、接着剤による各種効果の低下
を防止することができるからである。また、本発明に係
る集合材1の第2製造方法では、水蒸気処理、煮沸など
を介して各木材2の軟化処理を行った後、前記と同様の
方法により接着剤が各木材2の組織内へ含浸される。
【0014】ここで、第1製造方法に従って集合材1を
製造するについて行われる各工程について説明する。先
ず、前記各木材2に接着剤を含浸させる工程は、具体的
に次のように行われる。かかる接着剤の含浸工程に使用
される含浸装置について図2に基づき説明すると、含浸
装置60は円筒状の耐圧容器からなる含浸装置本体61
を有し、含浸装置本体61の上部には接着剤導入管62
が付設されている。また、含浸装置本体61の内方下部
には、一対の軌道63が含浸装置本体61の長手方向に
沿って配設されている。更に、各軌道63の間には複数
の加熱管64が設けられている。各加熱管64は図示し
ないボイラーに接続されており、接着剤の含浸処理時に
加熱が必要な場合にボイラーからの水蒸気が各加熱管6
4に供給されて含浸装置本体61内部の加熱を行うもの
である。
【0015】また、含浸装置本体61内には、複数本の
木材2を収納する箱型の木材台車65が配置されてい
る。かかる木材台車65の下面には前記一対の各軌道6
3に移動可能に載置される車輪66が固設されており、
これにより木材台車65は、含浸装置60における開閉
蓋(図示せず)の開放時に、各軌道63と車輪66とに
より含浸装置本体61の長手方向に沿って移動させて含
浸装置本体61から出し入れすることができる。更に、
含浸装置本体61には、接着剤の含浸時に、装置本体6
1内を減圧して各木材2の組織内に存在する空気を排除
すべく真空ポンプP1が付設されるとともに、接着剤を
各木材2の組織内に迅速に含浸させるべく装置本体61
内を加圧する加圧ポンプP2が付設されている。
【0016】次に、前記含浸装置60を介して各木材の
組織内に接着剤を含浸させる方法について説明する。先
ず、含浸装置60の開閉蓋を開放して木材台車65を含
浸装置本体61から取り出し、木材台車65内に剥皮し
た各木材2を充填し、各車輪66と軌道63とにより木
材台車65を含浸装置本体61内に移動させて搬入した
後開閉蓋を閉じる。続いて、真空ポンプP1を作動さ
せ、含浸装置本体61内を常温、550mmHg程度の
減圧下で0.5〜2.0時間程度減圧を行う。これによ
り各木材2の組織内に存在する空気が効率的に排除さ
れ、各木材2の組織内に接着剤が含浸され易くなる。そ
して、接着剤導入管62から接着剤樹脂液(粘度;1.
0poise(25℃)以下、不揮発分;50%程度)
を含浸装置本体61内に充満させる。このとき、加熱が
必要な場合には、ボイラーから各加熱管64に水蒸気を
供給して含浸装置本体61内の加熱を行う。この後、加
圧ポンプP2を作動させ、含浸装置本体61内を7〜1
0kg/cm2 に加圧し、この状態を0.5〜1.0時
間程度保持する。これにより、各木材2の表面に存在す
る接着剤は、加圧された圧力により迅速に各木材2の組
織内に含浸される。このように各木材2の組織内に接着
剤を含浸させた後、加圧ポンプP2の作動を停止し、含
浸装置本体61内を常圧に戻し、過剰の接着剤樹脂液
(未含浸接着剤樹脂液)を含浸装置本体61から回収す
る。このように含浸工程が終了した後開閉蓋を開放し、
木材台車65を含浸装置本体61から取り出して接着剤
を含浸してなる各木材2を木材台車65から搬出する。
このような含浸工程が望ましい理由は、減圧処理により
各木材2内部の空気を排除して含浸を容易にさせ、更
に、加圧処理により短時間で接着剤の含浸処理ができる
ようにするためである。
【0017】次に、前記接着剤の含浸工程に続く軟化工
程にて行われる軟化(加熱)処理について図3〜図5に
基づき具体的に説明する。ここに、図3は水蒸気加熱装
置により木材2の加熱処理を行なう状態を模式的に示す
説明図、図4は熱湯を満たした水槽中で煮沸による木材
2の加熱処理を行なう状態を模式的に示す説明図、図5
は高周波加熱装置により木材2の加熱処理を行う状態を
模式的に示す説明図である。
【0018】先ず、図3に示す水蒸気加熱装置により加
熱処理を行なう方法について説明する。水蒸気加熱装置
10は円筒状の加熱容器11を有しており、この加熱容
器11には水蒸気を内部に噴射する水蒸気噴射口12
(図3中左側)、及び、内部の水蒸気を水蒸気加熱装置
10の外方へ排出する排気口13(図3中上側)が設け
られている。かかる水蒸気加熱装置10では、排気口1
3を介して装置10の内部と大気とが連通されている。
また、水蒸気加熱装置10の内部には、複数本の木材2
が、間に仕切り板14を介して積層されている。各仕切
り板14は、各木材2が装置10内で移動しないように
位置決めする作用を果たすものである。
【0019】ここに、水蒸気噴射口12から装置10内
に噴射される水蒸気によって70℃〜160℃に装置1
0内を昇温する。好ましくは約1kgf /cm2 の水蒸気
気圧をもって間欠的に噴射され、装置10内の温度をほ
ぼ80℃〜100℃に保持するものである。また、加熱
時間は約6時間程度に設定されている。
【0020】このような水蒸気加熱装置10により各木
材2の加熱処理を行なうには、前記のように接着剤が組
織内にまで含浸され、木材台車65から搬出された複数
本の各木材2を各仕切り板14を介して装置10内に積
層した後、水蒸気噴射口12から水蒸気を間欠的に噴射
する。このように水蒸気を噴射している間に、各木材2
は均一に軟化されるものである。このとき、接着剤は各
木材2の組織の内部にまで含浸されていることから、水
蒸気による加熱処理の間に接着剤が木材表面から流れ出
すことは効率的に防止される。
【0021】次に、木材2を熱湯中で煮沸加熱処理を行
なう方法について図4に基づき説明する。図4におい
て、水槽20には熱湯21が満たされており、かかる熱
湯21中には複数本の木材2を入れてなる金網等のネッ
ト22が浸漬されている。また、水槽20には蓋23が
付設される。この蓋23は木材2の加熱処理時に水槽2
0の上部を閉塞して水槽20中の熱湯21の温度が下が
らないようにするためのものである。
【0022】ここに、水槽20に満たされる熱湯21は
60℃以上で沸騰水までよいが、長時間処理を考えると
温度は90±5℃の範囲に設定されるのがよく、必要な
らばヒータを内設して温度制御を行なってもよい。ま
た、各木材2の加熱時間は約1〜6時間程度の時間が必
要である。
【0023】このような水槽20を使用して各木材2の
加熱処理を行なうには、水槽20内に90±5℃に加熱
された熱湯21を満たした後、前記と同様、接着剤が組
織内にまで含浸された複数本の各木材2を入れたネット
22をクレーン等を介して水槽20内に入れ、熱湯21
に浸漬する。そして、蓋23にて水槽20の上部を閉塞
した後、1〜6時間程度の加熱処理を行なう。これによ
り、各木材2は均一に軟化されるものである。このと
き、前記と同様、接着剤は各木材2の組織の内部にまで
含浸されていることから、煮沸による加熱処理の間に接
着剤が木材表面から流れ出すことは効率的に防止され
る。このような水槽中での加熱処理においては、木材2
の表面に接着剤を塗布しただけでは接着剤が流出してし
まうが、本発明の第1製造方法のように接着剤を木材2
の組織の内部にまでに含浸しておくことにより、加熱処
理中での接着剤の流出を最小限に抑制することができ
る。
【0024】尚、前記煮沸加熱処理において、例えば、
硬化を促す市販の潜伏性硬化触媒(例えば水性タイプの
キャタニット(日東化学製))が作用して100℃以上
の温度で、接着性能を発揮するような接着剤、例えば、
ユリア、メラミンなどのアミノ樹脂の水溶性の接着剤を
熱湯22中に溶かしこんでおけば、その後すぐに一般的
なプレスで圧縮成形が可能となる。その後、普通のオー
トクレーブで固定化すればよい。この製造方法は、最も
経済的なものである。
【0025】更に、高周波加熱装置により各木材2の加
熱処理を行なう方法について図5に基づき説明する。図
5において、高周波加熱装置30は、装置本体31の内
部に複数段に渡って配設された電極板32を有し、各電
極板32上には複数本の木材2が載置されている。ま
た、装置本体31の上部には高周波発振機33が設けら
れており、更に、装置本体31の側部(図5中左側部)
には高周波発振機33を制御するための制御装置34が
付設されている。
【0026】ここに、高周波発振機33から発振される
高周波の周波数は13.56MHZに設定されており、
また、その出力は600Wにされている。また、かかる
高周波発振機33により行なわれる高周波誘導加熱の時
間は、約1時間程度に設定されている。
【0027】このような高周波加熱装置30により各木
材2の加熱処理を行なうには、装置本体31内に配設さ
れた各電極板32上に、前記と同様、接着剤が組織内に
まで含浸された複数本の各木材2を載置し、この後、制
御装置34を介して前記した条件下に高周波発振機33
を駆動する。これにより、各木材2は、高周波発振機3
3から発せられる高周波により加熱され、均一に軟化さ
れるものである。このとき、前記と同様、接着剤は各木
材2の組織の内部にまで含浸されていることから、高周
波加熱装置30による加熱処理の間に接着剤が木材表面
から流れ出すことは効率的に防止される。尚、前記高周
波加熱装置30に代えて、マイクロ波により各間伐材2
を加熱しても有効である。
【0028】尚、前記説明は本発明の第1製造方法に関
するものであるが、第2製造方法については、第1製造
方法とは異なり、前記と同様の軟化工程が最初に行われ
た後、前記した各木材2の組織内部への接着剤の含浸工
程が行われる。また、後述する各木材の圧縮成形工程、
及び、固定化処理工程については、第1製造方法、第2
製造方法共に、同様に行われる。
【0029】続いて、前記各加熱処理方法により加熱処
理された各木材2を加圧圧縮して所定形状の集合体を形
成する加圧圧縮工程、及び、水蒸気又はヒータを介して
集合体に固定化処理を施す固定化処理工程について説明
する。
【0030】前記各加圧圧縮工程、及び、固定化処理工
程は、以下に説明する圧縮成形装置を介して行なわれ
る。そこで、かかる圧縮成形装置について図6に基づき
説明する。ここに、図6は圧縮成形装置を模式的に示す
断面図である。図6において、圧縮成形装置40は、断
面四角形の筒状に長く形成された圧力容器41を備えて
おり、かかる圧力容器41の上壁及び左右両壁にはそれ
ぞれロッド孔42、43、44が穿設されている。
【0031】ロッド孔42には、圧力容器41の外側で
一端にプレスシリンダ45が連結されるとともに、圧力
容器41の内側で他端にプレス金型46が取り付けられ
たプレスロッド47がスライド可能に挿通されている。
これにより、後述する各木材2の加圧圧縮を行なう際
に、プレスロッド47はプレスシリンダ45を介して下
方に移動され、このプレスロッド47の移動に伴ってプ
レス金型46が各木材2を上方より加圧するものであ
る。また、プレス金型46には多数の蒸気孔46Aが形
成されており、各蒸気孔46Aからは後述する固定化処
理の際に水蒸気が通過されて下方に配置された各木材2
に噴射される。
【0032】また、圧力容器41の左壁に穿設されたロ
ッド孔43には、前記プレスロッド47と同様に、圧力
容器41の外側で一端にプレスシリンダ48が連結され
るとともに、圧力容器41の内側で他端にプレス金型4
9が取り付けられたプレスロッド50がスライド可能に
挿通されている。プレス金型49には、前記プレス金型
46と同様、多数の蒸気孔49Aが形成されており、各
蒸気孔49Aからは固定化処理の際に水蒸気が通過され
て木材2に噴射される。
【0033】更に、圧力容器41の右壁に穿設されたロ
ッド孔44には、前記プレスロッド47、50と同様
に、圧力容器41の外側で一端にプレスシリンダ51が
連結されるとともに、圧力容器41の内側で他端にプレ
ス金型52が取り付けられたプレスロッド53がスライ
ド可能に挿通されている。また、プレス金型52には、
前記プレス金型46、49と同様、多数の蒸気孔52A
が形成されており、各蒸気孔52Aからは固定化処理の
際に水蒸気が通過されて木材2に噴射される。
【0034】また、圧力容器41の内部において、下方
位置にはプレス金型54が固定的に設置されており、か
かるプレス金型54上には加圧圧縮される複数本の木材
2が載置される。更に、かかるプレス金型54には、前
記各プレス金型46、49、52と同様、多数の蒸気孔
54Aが形成されており、各蒸気孔54Aからは固定化
処理の際に水蒸気が通過されて木材2に噴射される。
【0035】前記プレス金型49の内側には、スライド
機構(図示せず)を介してプレス金型49の内壁に沿っ
て上下方向に、及び、プレス金型49と共に左右方向に
スライド移動可能なスライドプレス金型55が配設され
ており、また、前記プレス金型52の内側には、同様に
スライド機構を介してプレス金型52の内壁に沿って上
下方向に、及び、プレス金型52と共に左右方向にスラ
イド移動可能なスライドプレス金型56が配設されてい
る。また、各スライドプレス金型55、56には、前記
各プレス金型46等と同様、それぞれ多数の蒸気孔55
A、56Aが形成されている。これらの各スライドプレ
ス金型55、56は、前記プレス金型54上に複数本の
木材2が載置された際に、各木材2が崩れることを防止
し、各木材2の積層状態を保持する作用を行なうもので
ある。
【0036】ここに、前記のように構成される各プレス
シリンダ45、48、51から各プレスロッド47、5
0、53に及ぼされる圧力は、各木材2の圧縮率に従っ
て変更されるが、例えば、圧縮率50%では15kgf /
cm2 、圧縮率30%では10kgf /cm2 に設定され
る。
【0037】尚、前記のように構成される圧縮成形装置
40には、各プレス金型49、52、54及び各スライ
ドプレス金型55、56により積層状態で保持された各
木材2に対して、圧力容器41の長手方向(紙面に垂直
な方向)に沿って左壁及び右壁に設けられた水蒸気噴射
ノズル57(図6等参照)から水蒸気を噴射する水蒸気
噴射装置が設けられている。ここに、水蒸気噴射装置か
ら噴射される水蒸気の水蒸気圧は5乃至16kgf /cm
2 に設定されており、また、加熱温度は130℃乃至2
00℃の範囲に設定される。
【0038】次に、前記のように構成された圧縮成形装
置40を使用して、接着剤が含浸されるとともに加熱処
理により軟化された複数本の木材2に対する加圧圧縮工
程、及び、固定化処理工程を行なうことにより、集合材
1を製造する方法について説明する。ここに、前記各工
程を行なう前においては、前記各プレス金型46、4
9、52、54は図6に示す状態に保持されているもの
とする。
【0039】先ず、前記各工程を介して接着剤が含浸さ
れ、軟化された複数本の木材2を圧力容器41内で積層
載置し、各スライドプレス金型55、56との協働によ
り各木材2の積層状態を保持する(図6参照)。また、
各木材2を積層載置する際には、集合材1の木口面4に
現れる年輪模様Nを念頭に置いて、前記したように比較
的径の揃った各木材2が使用されたり、また、相互に径
の異なる各木材2が使用される。かかる配慮を行なうこ
とにより、集合材1の木口面4に現れる年輪模様Nを種
々変更して独特の意匠的効果を発現することが可能とな
る。
【0040】各木材2の所定の圧縮率に従って加圧圧縮
工程が行なわれる。この加圧圧縮工程においては、先
ず、上方のプレスシリンダ45を介してプレスロッド4
7が加圧移動され、これによりプレス金型46が各木材
2を上方から所定の圧力をもって加圧圧縮する。このと
き、各木材2は軟化状態にあるので、各プレス金型4
9、52、54及びスライドプレス金型55、56との
協働により、プレス金型46を介して圧縮される。ま
た、各スライドプレス金型55、56は、プレス金型4
6の加圧状態に同期して下方に移動され、最終的に各プ
レス金型49、52の内側面に当接される。そして、プ
レス金型46は、圧縮率に従って所定量移動した時点で
上下方向の圧縮を終了し、停止する。
【0041】次に、各プレスシリンダ48、51、各プ
レスロッド50、53、各プレス金型49、52、及
び、各スライドプレス金型55、56を介して、各木材
2の左右方向への加圧圧縮が行なわれる。かかる加圧圧
縮により各木材2は、図5中左右方向から圧力を受け、
圧縮成形されていく。そして、圧縮率に従って各プレス
金型49、52が所定量移動した時点で加圧圧縮工程が
終了する。かかる終了状態が図7に示されている。ここ
に、図7は加圧圧縮工程が終了した時点における圧縮成
形装置の状態を模式的に示す断面図である。
【0042】尚、前記加圧圧縮工程の時間は、使用され
る接着剤の種類に従って接着時間が異なることから接着
剤の種類によって左右されるが、大体30分程度加圧圧
縮工程を行なうことにより各木材2は接着剤を介して相
互に結着される。これにより、各木材2は、それぞれ図
1に示すように圧縮集合され、集合体となる。このと
き、接着剤は、木材組織内に染み込み、また圧縮成形さ
れて木材から染み出して、木材間に固化した接着剤3
(図1参照)として集合体中に残存されている。
【0043】次に、前記のように得られた各木材2を接
着剤3を介して相互に結着してなる集合体について、固
定化処理が行なわれる。かかる固定化処理について図7
に基づき説明する。固定化処理は、集合体を図7に示す
状態に保持したまま、水蒸気噴射装置から水蒸気噴射ノ
ズル57を介して水蒸気を各木材2に噴射することによ
り行なわれる。このように水蒸気噴射ノズル57から噴
射された水蒸気は、各プレス金型46、49、52、5
4の蒸気孔46A、49A、52A、54A、及び、各
スライドプレス金型55、56の蒸気孔55A、56A
を通過し、各木材2に噴射される。これにより、集合体
における各木材2の固定化処理が行なわれ、各木材2は
永久にその形状を保持すべく固定化されるものである。
【0044】このとき、前記固定化処理を行なう際の条
件として、水蒸気噴射装置から圧力容器41内に噴射さ
れる水蒸気の温度は130℃乃至200℃であるが、1
80℃が好ましく、水蒸気圧は10kgf/cm2 、固
定化処理時間は約1時間に、それぞれ設定されている。
【0045】また、前記のような固定化処理は、図8に
示すように、圧縮成形装置40の左右両側壁の近傍に配
設されたヒータHにより圧縮成形装置40内を加熱する
ことによっても行なうことができる。即ち、図7におけ
ると同様、集合体を図8に示す状態に保持したまま、各
ヒータHを通電加熱し、圧縮成形装置40の内部を所定
温度に加熱した状態を所定時間保持することにより集合
体の固定化処理が行なわれるものである。
【0046】このとき、前記固定化処理を行なう際、各
ヒータHは、圧縮成形装置40の内部温度を130℃乃
至200℃、好ましくは180℃に保持するように加熱
制御され、また、固定化処理時間は20時間に設定され
ている。
【0047】前記のような固定化処理が終了した後、図
1にて説明した集合材1が得られるものである。
【0048】本発明の集合材は、例えば、柱、桁、梁、
筋違、土台、壁用目板、壁用入隅材、幅木、天井回り
縁、大引き受け、根太受け、床束、階段用踏み板、鼻隠
し、棟木等に使用できる。
【0049】
【実施例】
(実施例1) (1)末口径10cm、元口径12cm、長さ3m、比
重0.8(気乾状態で0.4)の杉生材を剥皮した。 (2)当該木材18本を含浸装置本体61内で、常温、
500mmHgの減圧下で、2時間減圧した後、粘度
0.5pois(25℃)、不揮発分50wt%のフェ
ノール樹脂接着剤を接着剤導入管62から含浸装置本体
61内に充満し、8kg/cm2 で1時間加圧処理(含
脂率30wt%)をした。その後、常圧に戻し木材を取
り出した。 (3)水蒸気加熱装置10内で、内部に水蒸気を噴射し
て150℃に1時間保つことにより、木材の軟化処理を
行った。 (4)この木材18本を圧縮成形装置40内の各プレス
金型46等に充填し、断面30×30cmにて加圧圧縮
(木部圧縮率約50%)した後、形状保持したまま、水
蒸気噴射ノズル57を介して内部に水蒸気を噴射して、
180℃に60分間保つことにより、固定化処理を行っ
た。 (5)このように得られた集合材について、次の試験を
行った。 a)吸水厚さ膨張率 JIS A 5908(パーティクルボード)に準じ、
試験片を25±1℃の水中に24時間浸漬して、処理後
の厚みを測定し算出する。
【0050】 1 は吸水前の厚さ(mm) t2 は吸水後の厚さ(mm)
【0051】b)接着強度(ブロックせん断強度) JAS規格(集成材)ブロックせん断試験に準じ、図9
に示す試験片を荷重速度毎分1000kgfを標準とし
て破断させる。
【0052】(実施例2)接着剤として、粘度1.0p
oise(25℃)、不揮発分55wt%のホルムアル
デヒド樹脂接着剤(商品名:オーシカレジンM−31)
100wt%に硬化剤として塩化アンモニウム0.5w
t%を加えてなる配合樹脂液(含脂率30wt%)を使
用し、前記実施例1と同様の方法により集合材を得た
後、前記と同様の試験を行った。
【0053】(実施例3)接着剤として、粘度3.5p
oise(25℃)、不揮発分80wt%の一液型ポリ
ウレタン樹脂接着剤(商品名:オーシカダイン7020
B、含脂率20wt%)を使用し、前記実施例1と同様
の方法により集合材を得た後、前記と同様の試験を行っ
た。
【0054】(実施例4)接着剤として、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂接着剤(商品名:オーシカダインT
E−54)100wt%に硬化剤として芳香族ポリアミ
ン24wt%、アセトン40wt%を加えてなる配合樹
脂液(含脂率25wt%)を使用し、前記実施例1と同
様の方法により集合材を得た後、前記と同様の試験を行
った。
【0055】(実施例5)接着剤として、粘度1.5p
oise(25℃)、不揮発分59wt%のレゾルシノ
ール樹脂接着剤(商品名:オーシカディアノールD−3
3)100wt%に硬化剤15wt%を加えてなる配合
樹脂液(含脂率20wt%)を使用し、前記実施例1と
同様の方法により集合材を得た後、前記と同様の試験を
行った。
【0056】(実施例6)接着剤として、粘度1.5p
oise(25℃)、不揮発分53wt%のユリア樹脂
接着剤100wt%に硬化剤として塩化アンモニウム
0.5wt%を加えてなる配合樹脂液(含脂率25wt
%)を使用し、前記実施例1と同様の方法により集合材
を得た後、前記と同様の試験を行った。
【0057】(実施例7)接着剤として、粘度70po
ise(25℃)、不揮発分40wt%の水性−高分子
イソシアネート系接着剤100wt%に硬化剤15wt
%を加えてなる配合樹脂液(含脂率25wt%)を使用
し、前記実施例1と同様の方法により集合材を得た後、
前記と同様の試験を行った。
【0058】(実施例8)接着剤として、粘度40po
ise(25℃)、不揮発分41wt%の酢酸ビニル樹
脂エマルジョン接着剤(含脂率25wt%)を使用し、
前記実施例1と同様の方法により集合材を得た後、前記
と同様の試験を行った。
【0059】(実施例9)接着剤として、粘度130p
oise(25℃)、不揮発分47wt%のアクリル樹
脂系接着剤(含脂率25wt%)を使用し、前記実施例
1と同様の方法により集合材を得た後、前記と同様の試
験を行った。
【0060】(実施例10)接着剤として、粘度10p
oise(25℃)の不飽和ポエステル接着剤100w
t%に触媒としてベンゾイルパーオキサイド1.0wt
%を加えてなる配合樹脂液(含脂率25wt)を使用
し、前記実施例1と同様の方法により集合材を得た後、
前記と同様の試験を行った。
【0061】(実施例11) (1)末口径10cm、元口径12cm、長さ3m、比
重0.8(気乾状態で0.4)の杉生材を剥皮した。 (2)当該木材18本を水蒸気加熱装置10内で、内部
に水蒸気を噴射して150℃に1時間保つことにより、
木材の軟化処理を行った。 (3)軟化処理の後、含浸装置本体61内で、90℃、
500mmHgの減圧下で、2時間減圧した後、粘度
0.5pois(25℃)、不揮発分50wt%のフェ
ノール樹脂接着剤を接着剤導入管62から含浸装置本体
61内に充満し、8kg/cm2 で1時間加圧処理(含
脂率40wt%)をした。その後、常圧に戻し木材を取
り出した。 (4)この木材18本を圧縮成形装置40内の各プレス
金型46等に充填し、断面30×30cmにて加圧圧縮
(木部圧縮率約50%)した後、形状保持したまま、水
蒸気噴射ノズル57を介して内部に水蒸気を噴射して、
180℃に60分間保つことにより、固定化処理を行っ
た。 (5)固定化処理の後、前記実施例1におけると同様の
試験を行った。
【0062】前記実施例1乃至実施例11により得られ
た各集合材について行われた試験結果が表1に示されて
いる。
【0063】(比較例1) (1)末口径10cm、元口径12cm、長さ3m、比
重0.8(気乾状態で0.4)の杉生材を剥皮した、当
該木材18本を水蒸気加熱装置内で、内部に水蒸気を噴
射して150℃に1時間保つことにより、木材の軟化処
理を行った。 (2)軟化処理の後、装置内より木材を取り出し、レゾ
ルシノール樹脂接着剤を木材表面に刷毛で250〜30
0g/m2 程度塗布した。 (3)レゾルシノール樹脂接着剤を塗布した木材18本
を圧縮成形装置内のプレス金型に充填し、断面30×3
0cmに加圧圧縮(圧縮率50%)した後、形状保持し
たまま、水蒸気を噴射して、180℃に60分間保つこ
とにより、固定化処理を行った。 (4)このように得られた集合材について、上記実施例
1における(a)(b)の試験を行った。試験結果を表
1に示す。また、得られた集合材は、比重約0.8であ
った。
【0064】
【表1】
【0065】ここで、前記各実施例1〜実施例11から
得られた試験結果と比較例から得られた試験結果とを対
比して説明すると、先ず、成形体比重については、各実
施例1〜実施例11の比重(1.1〜1.2)の方が比
較例の比重(0.8)よりも若干大きい。これは、比較
例では接着剤が各木材の表面に単に塗布されているに過
ぎないのに対して、各実施例1〜実施例11の場合には
接着剤が各木材2の組織内部にまで含浸されていること
から、比較例よりも多くの接着剤が集合材内部に残存し
ていることに基づくと考えられる。
【0066】また、曲げ強度については、各実施例1〜
実施例11の曲げ強度が1900kgf/cm2 〜22
00kgf/cm2 の範囲にあるのに対して比較例の曲
げ強度は1030kgf/cm2 であり、各実施例1〜
実施例11によれば比較例の約2.0倍の曲げ強度が得
られることが分かる。このように各実施例1〜実施例1
1における曲げ強度が比較例の曲げ強度の約2倍の大き
さになるのは、比較例における集合材では、接着剤が単
に各木材表面に塗布されているに過ぎないことから各木
材自体の曲げ強度に変化はなく、集合材の曲げ強度は各
木材自体が有する曲げ強度と各木材を結着する接着剤と
により決定されると考えられる一方、各実施例1〜実施
例11の集合材では、接着剤が各木材の組織内部にまで
含浸されていることから各木材自体の曲げ強度が大きく
なって集合材の曲げ強度の向上に大きく寄与することと
なり、従って、集合材の曲げ強度は、各木材を結着する
接着剤の接着力とも相まって、全体として大きくなるこ
とに基づくものと考えられる。
【0067】更に、硬さに着目すると、比較例に係る集
合材の硬さは2.7kgf/mm2であるのに対して、
各実施例1〜実施例11における集合材の硬さは、4.
0kgf/mm2 から5.1kgf/mm2 の範囲にあ
り、比較例に比べて大きな硬さが得られることが分か
る。これについても、各実施例1〜実施例11では、集
合材における各木材の組織内部にまで接着剤が含浸され
て各木材の硬さが向上し、集合材全体として高い硬さが
得られたものと考えられる。
【0068】また、吸水厚さ膨張率については、比較例
の集合材では、11.9%であるのに対して、各実施例
1〜実施例11では、5.5%から6.1%の範囲にあ
り、比較例の約1/2であることが分かる。これについ
ても、各実施例1〜実施例11の集合材では、各木材の
組織内部にまで接着剤が含浸されていることから、各木
材内部への吸水率が低くなることに基づくものと考えら
れる。これより、各実施例1〜実施例11の集合材は、
比較例の集合材よりも寸法安定性、形状安定性に優れる
ことが分かる。
【0069】接着強度については、各実施例1〜実施例
11と比較例との間には殆ど差異はなく、各実施例にお
ける集合材の接着強度(130kgf/cm2 )の方が
比較例における集合材の接着強度(110kgf/cm
2 )よりも若干大きいことが分かる。
【0070】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、複数
本の各木材を接着剤を介在させつつ一体に成形するに際
して、各木材の組織内部にまで接着剤を含浸させるよう
にしたので、高強度でひび割れもなく、寸法安定性、形
状安定性に優れ、各種の建築材料へも転用が可能な集合
材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】集合材を模式的に示す斜視図である。
【図2】含浸装置の模式断面図である。
【図3】水蒸気加熱装置により木材の加熱処理を行なう
状態を模式的に示す説明図である。
【図4】熱湯を満たした水槽中で木材の加熱処理を行な
う状態を模式的に示す説明図である。
【図5】高周波加熱装置により木材の加熱処理を行なう
状態を模式的に示す説明図である。
【図6】圧縮成形装置を模式的に示す断面図である。
【図7】加圧圧縮工程が終了した時点における圧縮成形
装置の状態を模式的に示す断面図である。
【図8】圧縮成形装置に配設されたヒータを介して固定
化処理を行なう状態を示す断面図である。
【図9】試験片の形状を示す模式図である。
【符号の説明】
1 集合材 2 木材 3、3A 接着剤 10 水蒸気加熱装置 20 水槽 21 熱湯 30 高周波加熱装置 33 高周波発振機 40 圧縮成形装置 41 圧力容器 45、48、51 プレスシリンダ 46、49、52 プレス金型 N 年輪模様
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 康博 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内 (72)発明者 松野 吉弥 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内 (72)発明者 高橋 智 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内 (72)発明者 西村 研治 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内 (72)発明者 西村 哲也 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本の木材が接着剤を介して一体に成
    形され、その端面には各木材の年輪が各種の形状に変形
    した状態で残存された集合材であって、 前記各木材の組織中には、接着剤が含浸されてなること
    を特徴とする集合材。
  2. 【請求項2】 前記接着剤は、フェノール系接着剤、レ
    ゾルシノール系接着剤、ユリア系接着剤、エポキシ系接
    着剤、イソシアネートと水性高分子を主成分とする水性
    高分子−イソシアネート系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接
    着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリ
    ウレタン樹脂系接着剤又はメラミン樹脂系接着剤から選
    択される請求項1に記載の集合材。
  3. 【請求項3】 複数本の木材が接着剤を介して一体に成
    形され、その端面には各木材の年輪が各種の形状に変形
    した状態で残存された集合材を製造するにあたり、 接着剤を各木材に含浸させた後各木材を軟化処理し、つ
    いでこれら各木材を加圧して一体に成形することを特徴
    とする集合材の製造方法。
  4. 【請求項4】 複数本の木材が接着剤を介して一体に成
    形され、その端面には各木材の年輪が各種の形状に変形
    した状態で残存された集合材を製造するにあたり、 各木材を軟化処理した後接着剤を各木材に含浸させ、つ
    いでこれら各木材を加圧して一体に成形することを特徴
    とする集合材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記接着剤の含浸は、塗布、浸漬又はこ
    れらの組み合わせにより行われる請求項3又は請求項4
    に記載の集合材の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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