JPH0866905A - 集合材およびその製造方法 - Google Patents

集合材およびその製造方法

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JPH0866905A
JPH0866905A JP23064494A JP23064494A JPH0866905A JP H0866905 A JPH0866905 A JP H0866905A JP 23064494 A JP23064494 A JP 23064494A JP 23064494 A JP23064494 A JP 23064494A JP H0866905 A JPH0866905 A JP H0866905A
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adhesive
wood
film
timbers
aggregate
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JP23064494A
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English (en)
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Yasuhiro Asano
康博 浅野
Satoshi Takahashi
智 高橋
Kenji Nishimura
研治 西村
Tetsuya Nishimura
哲也 西村
Shigeyuki Matsumoto
重幸 松本
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OOSHIKA SHINKO KK
OSHIKA SHINKO CO
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
OOSHIKA SHINKO KK
OSHIKA SHINKO CO
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着剤付与工程の安全性の改善と量産性の向
上。 【構成】 複数本の木材を軟化処理した後、これら木材
に未硬化のフィルム状接着剤を介在させ、複数の木材と
フィルム状接着剤を加熱、加圧成形して一体成形し、つ
いで固定化処理を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、集合材に関し、特に強
度に優れる集合材を量産性よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、杉、檜等は建築材料として多用
されているが、本来的に軟質材であることから堅牢度が
低く、これよりその使用可能な範囲については自ずと制
限が存在した。特に、杉、檜等の成育過程において除去
される間伐材は小径木であり、また、極めて柔らかく湾
曲していることが多いので、かかる間伐材は建築材料、
例えば、柱等としては殆ど使用できないものであった。
【0003】そこで、本願発明者らは、先に特願平5−
195548号にて、これら複合材を軟化処理し、これ
に接着剤を塗布して集成し、加熱、加圧した後、固定化
処理を施すことにより製造した集合材を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の集合材の実用化には次のような課題が残されていた。
即ち、木材に接着剤を塗布して集成する場合、接着剤を
塗布するために適する粘度に調整しなければならず、非
常に手間がかかる上、接着剤自体のポットライフもあ
り、長期間保存することができず、ハンドリング性も悪
い。また、木材を一体成形する場合、プレス機を使用す
るが、接着剤を塗布した場合、接着剤が染みだしてプレ
ス機を汚してしまったり、金型に接着剤が付着するな
ど、製品管理上好ましくない。さらに、接着剤は溶剤に
溶解している又、接着剤及び硬化剤に含まれるホルムア
ルデビト等による皮膚、粘膜への刺激があるため、作業
者に対する安全性に問題がある。以上のように、接着剤
を塗布する方法は、安全性、量産性の見地から好ましく
ない。
【0005】本発明は、前記従来の問題点を解消するた
めになされたものであり、集合材を製造するにあたり、
接着剤をフィルム化し、軟化された木材にこのフィルム
状の接着剤を介在させた後、加熱、加圧して一体成形す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】複数本の木材が硬化され
た接着剤層を介して一体に成形され、その端面には各木
材の年輪が各種の形状に変形した状態で残存された集合
材であって、前記接着剤層は、接着剤が含浸されたフィ
ルム状基材であることを特徴とする集合材と、複数本の
木材を軟化処理した後、これら木材に未硬化のフィルム
状接着剤を介在させ、複数の木材とフィルム状接着剤を
加熱、加圧成形して一体成形し、ついで固定化処理を行
うことを特徴とする集合材の製造方法からなる。
【0007】
【作用】本願発明では、接着剤として、フィルム状接着
剤を使用することが必要である。この理由は、接着剤が
フィルム状に成形されているため、塗布するための粘度
調整の手間が省けると同時にポットライフも長く長期保
存が可能になり、さらに容器やプレス機への接着剤の付
着がなく、製造管理がしやすいからである。また、溶剤
を殆ど含まないため、作業者に対する安全性も高く、ハ
ンドリング性もよいからである。以下、本願の集合材に
ついて詳述する。本発明で使用される接着剤としては各
種の接着剤が使用できる。例えば、フェノール樹脂を主
成分とするフェノール系接着剤等の熱硬化性接着剤が使
用されて好適である。この理由は、木質材料に対して寸
法安定性を保ちながら、高強度、耐熱性、耐水性及び耐
久性を同時に発揮するという長所を兼ね備えるからであ
る。また、軟化処理後、冷却することにより熱可塑性樹
脂を接着剤として使用することが可能である。その他、
熱硬化性接着剤としては、メラミン樹脂を主成分とする
メラミン系接着剤、エポキシ樹脂を主成分とするエポキ
シ系接着剤等も使用することができる。また、かかる熱
硬化性接着剤に加えて、酢酸ビニル樹脂系接着剤等も使
用可能である。ここに、使用する接着剤を選択するに際
しては、接着剤のコスト、溶剤の種類や集合材の用途等
を勘案して選択するのが望ましい。本願では特にフェノ
ール樹脂−レゾルシノール系の樹脂は好ましい。その配
合量は、フェノール樹脂が15〜98重量%、レゾルシ
ノール樹脂が2〜85重量%であることが望ましい。こ
の理由は、フェノール樹脂が15重量%未満(即ちレゾ
ルシノール樹脂が85重量%を越える)だと寸法安定性
が急に悪くなり、レゾルシノール樹脂分が2重量%未満
(即ちフェノール樹脂が98重量%を越える)であると
耐熱性が急激に低下するからである。
【0008】前記接着剤樹脂をフィルム化する方法とし
ては、ポリエチレン、塩化ビニル、アクリルフィルム、
テフロンシートなどのベースフィルムに、未硬化の接着
剤樹脂をドクターブレード等の方法により塗布した後乾
燥又は熱圧して、所謂Bステージ状態とする方法や、フ
ィルム状基材に接着剤樹脂を含浸、乾燥させ、所謂Bス
テージ状態とする方法などがある。前記フィルム状基材
としては、多孔質体や繊維質基材がある。前記多孔質体
としては、ウレタンフォームなどがあり、繊維質体とし
ては、クラフト紙、レーヨンパルプなどが使用される。
また、布状基材としては、ガラスクロス、ナイロン織布
などが使用される。前記フィルム状接着剤の厚さとして
は、0.05〜0.2mmが望ましい。この理由は、
0.05mmより薄いと圧縮成形時に摩擦による欠膠部
が生じ接着強度低下を起こし、0.2mmより厚いと接
着層が厚くなり接着強度が低下するためである。前記接
着剤の樹脂率は、60%以上が望ましい。この理由は、
樹脂率が低いと接着できないからである。本願発明にお
いては、前記フィルム状接着剤は、フィルム状基材に接
着剤を含浸させたものを使用することが望ましい。この
ような接着剤フィルムを使用して集合材を製造した場
合、集合材を構成する接着剤層にフィルム状基材が残存
し、この残存したフィルム状基材が接着剤の熱膨張を抑
制することができ、集合材がヒートサイクル条件下で使
用されても、木材と樹脂との熱膨張率差によるクラック
が発生しないからである。また、残存するフィルム状基
材は補強材の役割を持ち、集合材の強度を向上させるこ
とができる。このような、フィルム状基材の残存状態は
図1のX部の拡大図として図2に記載する。この図2に
示すように、木材2Aと木材2Aの間に、接着剤3とフ
ィルム状基材(クラフト紙のような繊維質基材)6が存
在している。
【0009】本願発明で使用される木材は、主に間伐材
などが使用されるが、その具体的な種類として、スギ、
ヒノキ、アカマツ、クロマツ、カラマツ、ヒメコマツ、
エゾマツ、トドマツ、コウヤマキ、サワラ、モミ、ヒ
バ、ネズコ、イヌマキ、ツガ、カヤ、トガサワラ、イチ
イなどの針葉樹やケヤキ、ミズナラ、クリ、シオジ、ク
ス、キリ、アカガシ、シラカシ、クヌギ、カキ、ブナ、
シイノキ、ヤチダモ、シナノキ、サワグルミ、アオダ
モ、イタヤカエデ、ヤマザクラ、ハンノキ、チシャノ
キ、トチノキ、ドロノキ、アサダ、タブノキ、ハルニ
レ、オニグルミ、カツラ、ホオノキ、ミズメ、マカン
バ、イスノキ、ヤマグワ、イヌエンジェ、ハリギリ、ヒ
ロハノキハダ、シウリザクラ、ウダイカンバ、ケンポナ
シ、などの広葉樹が適しているが、スギ、ヒノキ、マツ
類、ケヤキ、クヌギ、ミズナラ、ブナが意匠的にも耐磨
耗性の点でも本願の材料としては好ましいものである。
【0010】また、外国産の木材としてはチーク、アカ
ラワン、ナトー、チャンパカ、マンガシノロ、ペクル、
ダオ、ホンシタン、ローズウッド、コクタン、ドリア
ン、カメレレ、メルサワ、ラミン、バクチカン、カポー
ル、メランチ類、パロサピス、ラジアータマツ、タイ
ヒ、アガチス、アピトン、カリン、ニューギニアウオル
ナット、クインズランドウオルナット、モンキーポッ
ト、シルキーオーク、タマクラ、ブラジリアンローズ、
モラード、マホガニー、コーバリル、プリマベラ、アク
スギ、ブラックウオールナット、スプルース、クラロウ
オールナット、ベイスギ、ベイヒ、ベイマツ、ゼブラ、
ウエンジ、マンソニア、イロコ、マコレ、サテンウッ
ド、アファラ、アブラ、イジグボ、サペリ、オム、イロ
ンバ、ワワビマ、ブビンガ、ダンタ、オバンコール、ブ
ラックビーン、ヤカール、ジェルトン、アサム、ジェン
コン、セペチール、マトア、ゴムの木が適している。本
発明では、木材として特にマツ、ヒノキ、スギ、ケヤ
キ、クヌギ、ミズナラ、ブナが好適である。この理由
は、これらの樹種が加熱して軟化しやすいからである。
【0011】本願発明では、木材と同様に竹材が使用で
きる。竹材は、木材の年輪と同様に基本組織や繊管束の
模様も同じように圧縮変形した状態で残存できる。竹材
の種類としては、孟宗竹、真竹、黒竹、淡竹、女竹、箭
竹、箱根竹、伊弥竹、寒竹、等が使用に適するが、孟宗
竹、真竹、黒竹は強度、弾力性等の点から応用範囲が広
く好ましい。又、竹材の軟化は熱湯中で行なうのが最も
好ましい。その理由は油抜きが効果的に行なえ、その結
果として接着剤による接着性が向上し、硬度、強度も増
加するからである。
【0012】本願発明では、各種補強材を木材とともに
一体成形してもよく、特に中空のものは、集合材の重
量、比重を低減させることが可能となり有利である。さ
らに、補強材が中空であるため、端面から水蒸気を集合
材の内部へ送り込むことにより、内部からも加熱が可能
になり、接着剤の均一硬化が可能となるため、強度の均
一な集合材が得られるだけでなく、加熱時間の短縮も可
能になる。この作用は補強材として熱伝導率が高い金属
を使用すると特に顕著になる。本願発明の集合材では、
原料を減量できるため、コストダウンが可能となる。
【0013】本願発明で使用される管状補強材として
は、アルミニウム、ステンレス、真ちゅう、銅、ニッケ
ルなどの金属製、コンクリート製、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の成形体
である熱硬化性プラスチックのものを使用することがで
きる。特に、金属製のものは、熱伝導率が高いため有利
である。前記管状補強材は、壁面に連通孔が多数設けら
れていることが望ましく、また、連続気孔のある発泡プ
ラスチック等であることが望ましい。この理由は、水蒸
気による固定化処理時に成形体内部の急速加熱が可能と
なるからである。また、前記管状補強材は、その外部壁
面に突起が設けられていてもよい。これは圧縮の際、木
材に食い込み、木材を互いに強固に結合できるからであ
る。さらに前記管状補強材は、その外部壁面表面が粗化
されていることが望ましい。この理由は、管状補強材と
樹脂接着剤との密着強度を向上させることができるから
である。前記管状補強材の充填は、成形後の集合材断面
積の30〜50%になるように充填する。この理由は比
重が成形前の比重より大きくならないようにするためで
ある。前記管状補強材の直径、内径は、それぞれ2〜1
5cm、1.5〜14.5cmであることが望ましい。
この理由は、管状補強材断面積の制御を容易にする。ま
た、複数本にして伝熱面積(表面積)を大きくするため
である。
【0014】集合材1の木口面(図1中には一方の木口
面のみを示す)側において、各木材2の元口2A、末口
2Bに現れる年輪模様Nが、後述する加圧圧縮により変
形されるとともに、固定化処理によりその変形された形
状を保持したまま固定化された状態で現れている。年輪
模様Nは、各木材2の加圧圧縮条件を変えたり、また、
異なった樹種を組み合わせたり、相互に異なる径の木材
2を使用すること等により、各種の模様を具現すること
が可能である。
【0015】ついで製造方法について説明する。本願発
明の集合材の製造方法は、間伐材などの木材を軟化処理
させた後、接着剤フィルムを介在させ、加圧、加熱プレ
スを行ない、木材を圧縮成形すると同時に接着剤である
熱硬化性樹脂を硬化させ、ついで水蒸気処理等により固
定化処理するものである。前記軟化工程において行なわ
れる加熱処理について図3〜図5に基づき説明する。こ
こに、図3は水蒸気加熱装置により木材2の加熱処理を
行なう状態を模式的に示す説明図、図4は熱湯を満たし
た水槽中で煮沸による木材2の加熱処理を行なう状態を
模式的に示す説明図である。
【0016】先ず、図3に示す水蒸気加熱装置により加
熱処理を行なう方法について説明する。水蒸気加熱装置
10は円筒状の加熱容器11を有しており、この加熱容
器11には加熱水蒸気を内部に噴射する水蒸気噴射口1
2(図2中左側)、及び、内部の加熱水蒸気を水蒸気加
熱装置10の外方へ排出する排気口13(図2中上側)
が設けられている。かかる水蒸気加熱装置10では、排
気口13を介して装置10の内部と大気とが連通されて
いる。また、水蒸気加熱装置10の内部には、複数本の
木材2が、間に仕切り板14を介して積層されている。
各仕切り板14は、各木材2が装置10内で移動しない
ように位置決めする作用を果たすものである。
【0017】ここに、水蒸気噴射口12から装置10内
に噴射される加熱水蒸気によって70℃〜160℃に装
置10内を昇温する。好ましくは約1kgf /cm2 の水
蒸気気圧をもって間欠的に噴射され、装置10内の温度
をほぼ80℃〜100℃に保持するものである。また、
加熱時間は約6時間程度に設定されている。
【0018】このような水蒸気加熱装置10により各木
材2の加熱処理を行なうには、剥皮した木材2を各仕切
り板14を介して装置10内に積層した後、水蒸気噴射
口12から加熱水蒸気を間欠的に噴射する。このように
加熱水蒸気を噴射している間に、各木材2は均一に軟化
されるものである。
【0019】次に、木材2を熱湯中で煮沸加熱処理を行
なう方法について図4に基づき説明する。図4におい
て、水槽20には熱湯21が満たされており、かかる熱
湯21中には複数本の木材2を入れてなる金網等のネッ
ト22が浸漬されている。また、水槽20には蓋23が
付設される。この蓋23は木材2の加熱処理時に水槽2
0の上部を閉塞して水槽20中の熱湯21の温度が下が
らないようにするためのものである。
【0020】ここに、水槽20に満たされる熱湯21は
60℃以上で沸騰水までよいが、長時間処理を考えると
温度は90±5℃の範囲に設定されるのがよく、必要な
らばヒータを内設して温度制御を行なってもよい。ま
た、各木材2の加熱時間は約6時間程度の時間が必要で
ある。
【0021】このような水槽20を使用して各木材2の
加熱処理を行なうには、水槽20内に90±5℃に加熱
された熱湯21を満たした後、予め剥皮した複数本の木
材2を入れたネット22をクレーン等を介して水槽20
内に入れ、熱湯21に浸漬する。そして、蓋23にて水
槽20の上部を閉塞した後、6時間程度の加熱処理を行
なう。これにより、各木材2は均一に軟化されるもので
ある。
【0022】更に、高周波加熱装置により木材2の加熱
処理を行なう方法について図5に基づき説明する。図4
において、高周波加熱装置30は、装置本体31の内部
に複数段に渡って配設された電極板32を有し、各電極
板32上には複数本の木材2が載置されている。また、
装置本体31の上部にはマイクロ波発振機33が設けら
れており、更に、装置本体31の側部(図5中左側部)
にはマイクロ波発振機33を制御するための制御装置3
4が付設されている。
【0023】ここに、マイクロ波発振機33から発振さ
れる高周波の周波数は2450±50MHZ に設定され
ており、また、その出力は600Wにされている。ま
た、かかるマイクロ波発振機33により行なわれる高周
波誘導加熱の時間は、約1時間程度に設定されている。
【0024】このような高周波加熱装置30により各木
材2の加熱処理を行なうには、装置本体31内に配設さ
れた各電極板32上に剥皮した木材2を載置し、この
後、制御装置34を介して前記した条件下にマイクロ波
発振機33を駆動する。これにより、各木材2は、マイ
クロ波発振機33から発せられる高周波により加熱さ
れ、均一に軟化されるものである。
【0025】続いて、前記各加熱処理方法により加熱処
理された各木材2を加圧圧縮して所定形状の集合体を形
成する加圧圧縮工程、及び、加熱水蒸気又はヒータを介
して集合体に固定化処理を施す固定化処理工程について
説明する。
【0026】前記各接着剤塗布含浸工程、加圧圧縮工
程、及び、固定化処理工程は、以下に説明する圧縮成形
装置を介して行なわれる。そこで、かかる圧縮成形装置
について図6に基づき説明する。ここに、図6は圧縮成
形装置を模式的に示す断面図である。図6において、圧
縮成形装置40は、断面四角形の筒状に長く形成された
圧力容器41を備えており、かかる圧力容器41の上壁
及び左右両壁にはそれぞれロッド孔42、43、44が
穿設されている。
【0027】ロッド孔42には、圧力容器41の外側で
一端にプレスシリンダ45が連結されるとともに、圧力
容器41の内側で他端にプレス金型46が取り付けられ
たプレスロッド47がスライド可能に挿通されている。
これにより、後述する各木材2の加圧圧縮を行なう際
に、プレスロッド47はプレスシリンダ45を介して下
方に移動され、このプレスロッド47の移動に伴ってプ
レス金型46が各木材2を上方より加圧するものであ
る。また、プレス金型46には多数の蒸気孔46Aが形
成されており、各蒸気孔46Aからは後述する固定化処
理の際に水蒸気が通過されて下方に配置された各木材2
に噴射される。
【0028】また、圧力容器41の左壁に穿設されたロ
ッド孔43には、前記プレスロッド47と同様に、圧力
容器41の外側で一端にプレスシリンダ48が連結され
るとともに、圧力容器41の内側で他端にプレス金型4
9が取り付けられたプレスロッド50がスライド可能に
挿通されている。プレス金型49には、前記プレス金型
46と同様、多数の蒸気孔49Aが形成されており、各
蒸気孔49Aからは固定化処理の際に水蒸気が通過され
て木材2に噴射される。
【0029】更に、圧力容器41の右壁に穿設されたロ
ッド孔44には、前記プレスロッド47、50と同様
に、圧力容器41の外側で一端にプレスシリンダ51が
連結されるとともに、圧力容器41の内側で他端にプレ
ス金型52が取り付けられたプレスロッド53がスライ
ド可能に挿通されている。また、プレス金型52には、
前記プレス金型46、49と同様、多数の蒸気孔52A
が形成されており、各蒸気孔52Aからは固定化処理の
際に水蒸気が通過されて木材2に噴射される。
【0030】また、圧力容器41の内部において、下方
位置にはプレス金型54が固定的に設置されており、か
かるプレス金型54上には加圧圧縮される複数本の木材
2が載置される。更に、かかるプレス金型54には、前
記各プレス金型46、49、52と同様、多数の蒸気孔
54Aが形成されており、各蒸気孔54Aからは固定化
処理の際に水蒸気が通過されて木材2に噴射される。
【0031】前記プレス金型49の内側には、スライド
機構(図示せず)を介してプレス金型49の内壁に沿っ
て上下方向に、及び、プレス金型49と共に左右方向に
スライド移動可能なスライドプレス金型55が配設され
ており、また、前記プレス金型52の内側には、同様に
スライド機構を介してプレス金型52の内壁に沿って上
下方向に、及び、プレス金型52と共に左右方向にスラ
イド移動可能なスライドプレス金型56が配設されてい
る。また、各スライドプレス金型55、56には、前記
各プレス金型46等と同様、それぞれ多数の蒸気孔55
A、56Aが形成されている。これらの各スライドプレ
ス金型55、56は、前記プレス金型54上に複数本の
木材2が載置された際に、各木材2が崩れることを防止
し、各木材2の積層状態を保持する作用を行なうもので
ある。
【0032】各木材2の周りには、フィルム状接着剤7
が介在されており、加圧加熱プレスにより、硬化して木
材2同士を接着するのである。
【0033】ここに、前記のように構成される各プレス
シリンダ45、48、51から各プレスロッド47、5
0、53に及ぼされる圧力は、各木材2の圧縮率に従っ
て変更されるが、例えば、圧縮率50%では15kgf /
cm2 、圧縮率30%では10kgf /cm2 に設定され
る。
【0034】尚、前記のように構成される圧縮成形装置
40には、各プレス金型49、52、54及び各スライ
ドプレス金型55、56により積層状態で保持された各
木材2に対して、圧力容器41における四方の壁から加
熱水蒸気を噴射する水蒸気噴射装置が設けられている。
ここに、水蒸気噴射装置から噴射される水蒸気の水蒸気
圧は5乃至16kgf /cm2 に設定されており、また、
加熱温度は130℃乃至200℃の範囲に設定される。
【0035】次に、前記のように構成された圧縮成形装
置40を使用して、接着剤フィルムムが介在し、加熱処
理により軟化された複数本の木材2に対する加圧圧縮工
程、及び、固定化処理工程を行なうことにより、集合材
1を製造する方法について説明する。ここに、前記各工
程を行なう前においては、前記各プレス金型46、4
9、52、54は図6に示す状態に保持されているもの
とする。
【0036】先ず、前記各工程を介して接着剤フィルム
が介在し、軟化された複数本の木材2を圧力容器41内
で積層載置し、各スライドプレス金型55、56との協
働により各木材2の積層状態を保持する(図6参照)。
また、各木材2を積層載置する際には、集合材1の木口
面4に現れる年輪模様Nを念頭に置いて、前記したよう
に比較的径の揃った各木材2が使用されたり、また、相
互に径の異なる各木材2が使用される。かかる配慮を行
なうことにより、集合材1の木口面4に現れる年輪模様
Nを種々変更して独特の意匠的効果を発現することが可
能となる。
【0037】前記のように接着剤を各木材2に噴射した
後、各木材2の圧縮率に従って加圧圧縮工程が行なわれ
る。この加圧圧縮工程においては、先ず、上方のプレス
シリンダ45を介してプレスロッド47が加圧移動さ
れ、これによりプレス金型46が各木材2を上方から所
定の圧力をもって加圧圧縮する。このとき、各木材2は
軟化状態にあるので、各プレス金型49、52、54及
びスライドプレス金型55、56との協働により、プレ
ス金型46を介して圧縮される。また、各スライドプレ
ス金型55、56は、プレス金型46の加圧状態に同期
して下方に移動され、最終的に各プレス金型49、52
の内側面に当接される。そして、プレス金型46は、圧
縮率に従って所定量移動した時点で上下方向の圧縮を終
了し、停止する。
【0038】次に、各プレスシリンダ48、51、各プ
レスロッド50、53、各プレス金型49、52、及
び、各スライドプレス金型55、56を介して、各木材
2の左右方向への加圧圧縮が行なわれる。かかる加圧圧
縮により各木材2は、図5中左右方向から圧力を受け、
圧縮成形されていく。そして、圧縮率に従って各プレス
金型49、52が所定量移動した時点で加圧圧縮工程が
終了する。かかる終了状態が図6に示されている。ここ
に、図7は加圧圧縮工程が終了した時点における圧縮成
形装置の状態を模式的に示す断面図である。
【0039】尚、前記加圧圧縮工程の時間は、使用され
る接着剤の種類に従って接着時間が異なることから接着
剤の種類によって左右されるが、大体30分程度加圧圧
縮工程を行なうことにより各木材2は接着剤フィルムを
介して相互に結着される。これにより、各木材2は、そ
れぞれ図1に示すように圧縮集合され、集合体となる。
このとき、接着剤は、木材繊維組織内に染み込み、木材
間に固化した接着剤層3(図1参照)として集合体中に
残存されている。
【0040】次に、前記のように得られた各木材2を接
着剤層3を介して相互に結着してなる集合体について、
固定化処理が行なわれる。かかる固定化処理について図
7に基づき説明する。固定化処理は、集合体を図7に示
す状態に保持したまま、水蒸気噴射装置から加熱水蒸気
を各木材2に噴射することにより行なわれる。このよう
に水蒸気噴射装置から噴射された加熱水蒸気は、各プレ
ス金型46、49、52、54の蒸気孔46A、49
A、52A、54A、及び、各スライドプレス金型5
5、56の蒸気孔55A、56Aを通過し、各木材2に
噴射される。これにより、集合体における各木材2の固
定化処理が行なわれ、各木材2は永久にその形状を保持
すべく固定化されるものである。この時、木材2ととも
に管状補強材を使用すると加熱水蒸気は管状補強材の端
面から集合材の内部へ進入して、集合材を内部から加熱
することができる。
【0041】このとき、前記固定化処理を行なう際の条
件として、水蒸気噴射装置から圧力容器41内に噴射さ
れる加熱水蒸気の温度は130℃乃至200℃である
が、180℃が好ましく、水蒸気圧は10kgf/cm
2 、固定化処理時間は約1時間に、それぞれ設定されて
いる。
【0042】また、前記のような固定化処理は、図8に
示すように、圧縮成形装置40の左右両側壁の近傍に配
設されたヒータHにより圧縮成形装置40内を加熱する
ことによっても行なうことができる。即ち、図7におけ
ると同様、集合体を図8に示す状態に保持したまま、各
ヒータHを通電加熱し、圧縮成形装置40の内部を所定
温度に加熱した状態を所定時間保持することにより集合
体の固定化処理が行なわれるものである。この時、木材
2とともに管状補強材を使用する場合、管状補強材を熱
伝導率の高い金属製のものとすると、熱が集合材の内部
へ伝わるため、集合材を内部から加熱して固定化でき
る。
【0043】このとき、前記固定化処理を行なう際、各
ヒータHは、圧縮成形装置40の内部温度を130℃乃
至200℃、好ましくは180℃に保持するように加熱
制御され、また、固定化処理時間は20時間に設定され
ている。
【0044】前記のような固定化処理が終了した後、図
1にて説明した集合材1が得られるものである。
【0045】本願の集合材は、例えば、柱、桁、梁、筋
違、土台、壁用目板、壁用入隅材、幅木、天井回り縁、
大引き受け、根太受け、床束、階段用踏み板、鼻隠し、
棟木等に使用できる。
【0046】
【実施例】
接着剤フィルムの製造方法 フィルム状接着剤の製造方法(基材への含浸) フェーノル樹脂の初期縮合物をメタノールでうすめた樹
脂溶液(粘度;0.5〜1.0poise)を厚み0.
1mmのクラフトパルプ紙に樹脂率100%になるよう
に含浸し、100℃で20分間、乾燥機中で乾燥し、接
着フィルムを得た。
【0047】フィルム状接着剤の初期縮合物を濃縮し
た樹脂溶液(固形分80%)を0.3mm厚みのテフロ
ンシート上にドクターブレードにより塗布した後、0.
1mmスペーサーを置いて、さらに0.3mm厚みのテ
フロンシートで覆い、60℃で45分間プレスして、
0.1mmの接着剤フィルムを得た。
【0048】(実施例1)未口径10cm、元口径12
cm、長さ3m、比重0.8(気乾状態で0.4)の杉
生材を剥皮した、当該木材18本を水蒸気加熱装置内
で、内部に水蒸気を噴射して150℃に1時間保つこと
により、木材の軟化処理を行なった。軟化処理の後、装
置内より木材を取り出し、フェノール樹脂のフィルム状
接着剤(クラフトパルプ紙基材、0.1mm、樹脂率1
00%)を木材表面に隙間なく巻き付けた。フェノール
樹脂のフィルム状接着剤を巻き付けた木材18本を圧縮
成形装置内のプレス金型に充填し、断面30×30cm
に加圧圧縮(圧縮率50%)した後、形状を保持したま
ま、水蒸気を噴射して、180℃に60分保つことによ
り、固定化処理を行った。
【0049】(実施例2)未口径10cm、元口径12
cm、長さ3m、比重0.8(気乾状態で0.4)の杉
生材を剥皮した、当該木材18本を水蒸気加熱装置内
で、内部に水蒸気を噴射して150℃に1時間保つこと
により、木材の軟化処理を行なった。軟化処理の後、装
置内より木材を取り出し、フェノール樹脂のフィルム状
接着剤(接着剤のみからなるフィルム、0.1mm)を
木材表面に隙間なく巻き付けた。フェノール樹脂のフィ
ルム状接着剤を巻き付けた木材18本を圧縮成形装置内
のプレス金型に充填し、断面30×30cmに加圧圧縮
(圧縮率50%)した後、形状を保持したまま、水蒸気
を噴射して、180℃に60分保つことにより、固定化
処理を行った。
【0050】(比較例1) (1)末口径10cm、元口径12cm、長さ3mの杉
生材を剥皮した、当該木材18本を水蒸気加熱装置内
で、内部に水蒸気を噴射して150℃に1時間保つこと
により、木材の軟化処理を行った。 (2)軟化処理の後、装置内より木材を取り出し、レゾ
ルシノール樹脂接着剤を木材表面に刷毛で250〜30
0g/m2 程度塗布した。 (3)レゾルシノール樹脂接着剤を塗布した木材18本
を圧縮成形装置内のプレス金型に充填し、断面30×3
0cmに加圧圧縮(圧縮率50%)した後、形状保持し
たまま、水蒸気を噴射して、180℃に60分間保つこ
とにより、固定化処理を行った。 (4)このように得られた集成材について、上記(a)
(b)の試験を行った。その結果、比重約0.8を得
た。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本願の集合材は、曲げ強度、接着強度を
向上させることができ、また、接着剤塗布量の削減させ
ることが可能である。これは、フィルム状で均一塗布効
果による塗布量の削減、接着剤糊液調整(主剤と硬化剤
および増粘剤等の混合)不要による歩留り向上によるも
のである。また、接着剤洗浄廃液等の排水処理不要で低
コスト化が実現でき、環境保護の面でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】集合材を模式的に示す斜視図である。
【図2】集合材の接着部分Xの拡大模式図である。
【図3】水蒸気加熱装置により木材の加熱処理を行なう
状態を模式的に示す説明図である。
【図4】熱湯を満たした水槽中で木材の加熱処理を行な
う状態を模式的に示す説明図である。
【図5】高周波加熱装置により木材の加熱処理を行なう
状態を模式的に示す説明図である。
【図6】圧縮成形装置を模式的に示す断面図である。
【図7】加圧圧縮工程が終了した時点における圧縮成形
装置の状態を模式的に示す断面図である。
【図8】圧縮成形装置に配設されたヒータを介して固定
化処理を行なう状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 集合材 2 木材 3 接着剤 4 集合材の端面 6 フィルム状基材 7 フィルム状接着剤 10 水蒸気加熱装置 20 水槽 21 熱湯 30 高周波加熱装置 33 マイクロ波発振機 40 圧縮成形装置 41 圧力容器 45、48、51 プレスシリンダ 46、49、52 プレス金型 N 年輪模様 X 木材の接着部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 研治 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内 (72)発明者 西村 哲也 岐阜県大垣市河間町三丁目200番地 イビ デン株式会社内 (72)発明者 松本 重幸 東京都板橋区舟渡一丁目4番5号 大鹿振 興株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本の木材が硬化された接着剤層を介
    して一体に成形され、その端面には各木材の年輪が各種
    の形状に変形した状態で残存された集合材であって、 前記接着剤層は、接着剤が含浸されたフィルム状基材で
    あることを特徴とする集合材。
  2. 【請求項2】 前記接着剤は、熱硬化性樹脂あるいは熱
    可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1
    に記載の集合材。
  3. 【請求項3】 前記接着剤は、フェノール系接着剤、メ
    ラミン系接着剤、エポキシ系接着剤、酢酸ビニル樹脂
    系、ポリウレタン系、ポリエステル系、レゾルシノール
    系接着剤である請求項1に記載の集合材。
  4. 【請求項4】 前記フィルム状基材は、多孔質体、繊維
    質基材、布状基材である請求項1に記載の集合材。
  5. 【請求項5】 複数本の木材を軟化処理した後、これら
    木材に未硬化のフィルム状接着剤を介在させ、複数の木
    材とフィルム状接着剤を加熱、加圧成形して一体成形
    し、ついで固定化処理を行うことを特徴とする集合材の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記フィルム状接着剤は、接着剤をフィ
    ルム状に成形したもの、あるいは基材に接着剤を含浸さ
    せたものである請求項5に記載の集合材の製造方法。
JP23064494A 1994-08-30 1994-08-30 集合材およびその製造方法 Pending JPH0866905A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1071609A (ja) * 1996-08-31 1998-03-17 Kyodo Kumiai Tamahara Craft 集成木材の製造方法
WO2015189461A1 (en) * 2014-06-10 2015-12-17 Ilvolankoski Oy Method for producing a wood product by means of hot pressing and use of method

Cited By (3)

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