JP2022097508A - 封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱時硬度及び熱伝導性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を含み、前記無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナを75質量%~98質量%含む封止用エポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
近年、スマートフォン等の電子機器の軽薄短小化及び高機能化が進んでいる。これに伴い、高速大容量の情報を取り扱う電子機器から発生する熱が増大しており、電子機器が誤作動を起こす恐れがある。そのため、電子機器内部から発生した熱を効率よく放熱すること、すなわち高い放熱性(高い熱伝導性)が求められている。放熱性の高い機器構造等が検討されるとともに、封止材自体の高放熱化も検討されている。その手法として、放熱性に優れたアルミナのような無機充填材の使用、無機充填材の高充填化等が検討されてきた(例えば、特許文献1~3)。
特開2010-24464号公報 特開2008-297530号公報 特開2003-213089号公報
しかしながら、アルミナのような放熱性に優れた無機充填材を高充填化させた封止用エポキシ樹脂組成物は、熱時硬度が低下し、必ずしも連続成形性に優れた材料ではないという問題がある。
本発明の一形態は、熱時硬度及び熱伝導性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物並びにこれを用いて封止された素子を備える電子部品装置を提供することを目的とする。
前述のように、電子機器から発生する熱を放熱するための手法として、放熱性に優れたアルミナの高充填化がこれまで行われてきたが、熱時硬度が低下し、連続成形性に問題がある。本発明者らは、鋭意検討の結果、アルミナの一部を別の無機充填材に置き換えることにより、エポキシ樹脂組成物の優れた熱伝導性と優れた熱時硬度とを両立させるに至った。
例えば、上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を含み、前記無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナを75質量%~98質量%含む封止用エポキシ樹脂組成物。
<2> 前記無機充填材は、アルミナと、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの無機充填材と、を含む<1>に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
<3> 前記硬化剤がフェノール硬化剤である<1>又は<2>に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
<4> 素子と、前記素子を封止する<1>~<3>のいずれか1つに記載の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物とを備える電子部品装置。
本発明の一形態によれば、熱時硬度及び熱伝導性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物並びにこれを用いて封止された素子を備える電子部品装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
〔封止用エポキシ樹脂組成物〕
本開示の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を含み、前記無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナを75質量%~98質量%含む。これにより、熱時硬度の低下を抑制しつつ高い放熱性を有する封止用エポキシ樹脂組成物が提供される。また、本開示の封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、電子部品装置を封止するために用いられる。
[(A)エポキシ樹脂]
本開示の封止用エポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」とも称する。)は、(A)エポキシ樹脂を含む。(A)エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
(A)エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。更にはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
(A)エポキシ樹脂の融点又は軟化点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
(A)エポキシ樹脂の融点又は軟化点は、JIS K 7234:1986及びJIS K 7233:1986に記載の単一円筒回転粘度計法により測定される値とする。
エポキシ樹脂組成物中の(A)エポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から2質量%~10質量%であることが好ましく、2.5質量%~7.5質量%であることがより好ましく、3質量%~6.5質量%であることが更に好ましい。
[(B)硬化剤]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、(B)硬化剤を含む。硬化剤の種類は特に制限されず、(A)エポキシ樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
(B)硬化剤として具体的には、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。耐熱性向上の観点からは、硬化剤は、フェノール硬化剤が好ましい。
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノール、クレゾール、キシレノール、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂などが挙げられる。例えば、耐リフロー性向上の観点から、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。
これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
フェノール硬化剤の水酸基当量は、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値とする。
(B)硬化剤の融点又は軟化点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
(B)硬化剤の融点又は軟化点は、JIS K 7234:1986及びJIS K 7233:1986に記載の単一円筒回転粘度計法により測定される値とする。
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち(A)エポキシ樹脂中の官能基数に対する(B)硬化剤中の官能基数の比((B)硬化剤中の官能基数/(A)エポキシ樹脂中の官能基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える観点からは、0.5~1.5の範囲に設定されることが好ましく、0.6~1.3の範囲に設定されることがより好ましく、0.7~1.2の範囲に設定されることが更に好ましい。
[(C)硬化促進剤]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、(C)硬化促進剤を含む。硬化促進剤の種類は特に制限されず、(A)エポキシ樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。また、(C)硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物の電気的信頼性及び成形時の流動性の観点から、リン系の硬化促進剤が好ましい。
(C)硬化促進剤として具体的には、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ(4,3,0)ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、ベンゾキノン、ジアゾフェニルメタン等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N-メチルモテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンとベンゾキノンの付加物、トリパラトリルホスフィンとベンゾキノンの付加物、トリフェニルホスホニウムトリフェニルボランなどが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物中の(C)硬化促進剤の含有率は硬化促進効果が得られれば特に限定されない。エポキシ樹脂組成物中の(C)硬化促進剤の含有率は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量に対して、0.1質量%~8.0質量%であることが好ましく、0.5質量%~5.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%~3.0質量%であることが更に好ましい。(C)硬化促進剤の含有率が(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量に対して、0.1質量%以上であると、硬化時間の短縮化が図れる傾向にあり、8.0質量%以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
[(D)無機充填材]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、(D)無機充填材を含む。(D)無機充填材を含むことにより、硬化物とした際に吸湿性低減及び強度向上を図ることができる。
更に、(D)無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナを75質量%~98質量%含む。アルミナを75質量%以上含むことにより、熱伝導性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られ、アルミナを98質量%以下含むことにより、熱時硬度の低下が抑制されたエポキシ樹脂組成物が得られる。また、吸湿性、線膨張係数の低減、強度向上及び半田耐熱性の観点からもアルミナを75質量%~98質量%含むことが好ましい。
(D)無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナを75質量%~95質量%含むことが好ましく、75質量%~92質量%含むことがより好ましく、75質量%~90質量%含むことが更に好ましく、75質量%~85質量%含むことが特に好ましい。
(D)無機充填材は、アルミナを75質量%~98質量%含むため、アルミナ以外の無機充填材を2質量%~25質量%含む。アルミナ以外の無機充填材(以下、「その他の無機充填材」とも称する。)としては、溶融シリカ、結晶シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素及び窒化アルミニウム、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ベリリア、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体又はこれらを球形化したビーズ、チタン酸カリウム等の単結晶繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などが挙げられる。また、その他の無機充填材としては、難燃効果の観点から、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられる。その他の無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)無機充填材は、熱伝導性の観点から、アルミナ以外の無機充填材として、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの無機充填材を含むことが好ましい。中でも炭化ケイ素がより好ましい。
(D)無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナ以外の無機充填材を5質量%~25質量%含むことが好ましく、8質量%~25質量%含むことがより好ましく、10質量%~25質量%含むことが更に好ましく、15質量%~25質量%含むことが特に好ましい。
例えば、(D)無機充填材は、無機充填材全量に対し、炭化ケイ素を5質量%~25質量%含むことが好ましく、8質量%~25質量%含むことがより好ましく、10質量%~25質量%含むことが更に好ましく、15質量%~25質量%含むことが特に好ましい。
エポキシ樹脂組成物における(D)無機充填材の含有率は、吸湿性、線膨張係数の低減、強度向上及び半田耐熱性の観点から、エポキシ樹脂組成物全量に対し、83質量%~97質量%であることが好ましく、85質量%~94質量%であることがより好ましく、88質量%~93質量%であることが更に好ましい。
エポキシ樹脂組成物におけるアルミナの含有率は、吸湿性、線膨張係数の低減、強度向上及び半田耐熱性の観点から、エポキシ樹脂組成物全量に対し、60質量%~95質量%であることが好ましく、65質量%~90質量%であることがより好ましく、75質量%~85質量%であることが更に好ましい。
なお、(D)無機充填材の形状は特に限定されず、例えば、粉状、球状、繊維状等が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂組成物の成形時の流動性及び金型摩耗性の点からは、球形が好ましい。
[その他の成分]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、前述の(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、本発明の効果を奏する範囲において特に限定されず、離型剤;カップリング剤;臭素化エポキシ樹脂、リン化合物等の難燃剤;三酸化アンチモン、四酸化アンチモン等の難燃助剤;着色剤;応力緩和剤;酸化防止剤などの各種添加剤が挙げられる。
以下、その他の成分として、離型剤、カップリング剤、着色剤及び応力緩和剤の具体例について説明する。
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を更に含んでいてもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、パラフィン系ワックス、モンタン酸エステル等の脂肪酸エステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含む場合、離型剤の含有率は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量に対して、10質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点から、0.5質量%以上であることが好ましい。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を更に含んでいてもよい。カップリング剤の種類は、特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、エポキシ樹脂組成物の全体に対し、3質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましい。
(着色剤)
エポキシ樹脂組成物は、着色剤を更に含んでもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化鉄、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤としてカーボンブラック等の導電性粒子を併用する場合、粒径10μm以上の粒子が導電性粒子全量に対して1質量%以下のものを用いることが好ましく、カーボンブラックの含有率としては、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量に対して、3質量%以下であることが好ましい。
(応力緩和剤)
エポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子、合成ゴム等の応力緩和剤を更に含んでもよい。応力緩和剤を含むことにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[エポキシ樹脂組成物の調製方法]
エポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
〔電子部品装置〕
本開示の電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する上述の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物とを備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部をエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC(Integrated Circuit);テープキャリアにバンプで接続した素子をエポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、エポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、エポキシ樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においてもエポキシ樹脂組成物を好適に使用することができる。
エポキシ樹脂組成物を用いて電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等が挙げられる。これらの中では、低圧トランスファー成形法が一般的である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[エポキシ樹脂組成物の調製]
下記に示す成分を表1に示す配合割合(質量部)で予備混合(ドライブレンド)した後、二軸ニーダーで混練し、冷却粉砕して実施例と比較例のエポキシ樹脂組成物を調製した。
(A)エポキシ樹脂
・A1・・・ビスフェノール型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社、品名「YSLV-80XY」
・A2・・・ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、品名「YX-4000」
(B)硬化剤
・B1・・・トリフェニルメタン型フェノール樹脂、エア・ウォーター株式会社、品名「HE910」
(C)硬化促進剤
・C1・・・リン系硬化促進剤(トリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物)
(D)無機充填材
・DA-1・・・アルミナフィラー、デンカ株式会社、品名「DAB10FCAll」
・DA-2・・・アルミナフィラー、株式会社アドマテックス、品名「AE-2000SI」
・DB-1・・・アルミナフィラー/シリカフィラー=9/1(質量比)、デンカ株式会社、品名「DAB-10FC」
・DC-1・・・平均粒径(D50、小径側からの体積累積50%に対応する粒径)14.0μm及び比表面積0.3m/gの炭化ケイ素
・DC-2・・・平均粒径(D50、小径側からの体積累積50%に対応する粒径)18.6μm及び比表面積0.3m/gの炭化ケイ素
Figure 2022097508000001
(熱時硬度の評価)
エポキシ樹脂組成物の熱時硬度の評価を以下のようにして行った。
上記のように調製したエポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形機により、金型温度175℃~180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で熱時硬度測定用の試験片(直径50mm×厚さ3mmの円板)を成形した。成形後直ちにショアD型硬度計を用いて試験片の熱時硬度を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2022097508000002
表2に示すように、実施例1~3では、無機充填材全量に対するアルミナの含有率が100質量%である比較例1~3よりも熱時硬度が高い結果となり、連続成形性に優れていた。
(熱伝導率の評価)
エポキシ樹脂組成物の熱伝導率の評価を以下のようにして行った。
上記のように調製したエポキシ樹脂組成物を、真空ハンドプレス成形機により、金型温度175℃~180℃、成形圧力7.0MPa、硬化時間600秒の条件で熱伝導率評価用の試験片(1.1cm角、厚み1.1mm)を成形した。
成形した試験片について、厚さ方向の熱拡散率を測定した。熱拡散率の測定はレーザーフラッシュ法(装置:LFA447 nanoflash、NETZSCH社製)にて行った。パルス光照射は、パルス幅0.31(ms)、印加電圧247Vの条件で行った。測定は雰囲気温度25℃±1℃で行った。また上記試験片の密度は電子比重計(SD-200L、アルファーミラージュ株式会社製)を用いて測定した。
次いで、式(1)を用いて比熱、密度を熱拡散率に乗算することによって,熱伝導率の値を得た。
λ=α×Cp×ρ・・・式(1)
(式(1)中、λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m/s)、Cpは比熱(J/(kg・K))、ρは密度(d:kg/m)をそれぞれ示す。)
結果を表3に示す。
Figure 2022097508000003
表3に示すように、実施例1~3では、無機充填材全量に対するアルミナの含有率が100質量%である比較例1~3よりも熱伝導率が高い結果となった。
2017年3月31日に出願された日本国特許出願2017-072892の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的且つ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (4)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を含み、前記無機充填材は、無機充填材全量に対し、アルミナを75質量%~98質量%含む封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記無機充填材は、アルミナと、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの無機充填材と、を含む請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記硬化剤がフェノール硬化剤である請求項1又は請求項2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 素子と、前記素子を封止する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物とを備える電子部品装置。
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