JP2022078897A - 食肉加工品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食肉本来の官能特性が向上した、品質の高い食肉加工品の製造方法等の提供。【解決手段】食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含む、食肉加工品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、食肉加工品の製造方法に関し、より詳細には、食肉本来の官能特性が向上した食肉加工品の製造方法に関する。また、本発明は、食肉加工品の改質方法に関し、食肉本来の官能特性を向上できる食肉加工品の改質方法等に関する。
から揚げ等の食肉加工品は、消費者に人気の高い惣菜の一つであり、より高品質の食肉加工品を提供するため、従来より、種々の改質方法が検討されている。
例えば、食肉加工品を製造する際に、その原料である食肉の内部に、ペースト状の食肉等をインジェクションすることや、粉砕されたローミートが混合されたピックル液を食肉に注入することが報告されている(特許文献1、2)。しかしながら、これらの方法は、ペースト状の食肉等のインジェクションやピックル液の注入の過程で、食肉の繊維が切れたり、圧力で食肉の繊維構造が破壊されたりして、食感の低下が起こるという問題がある。また、鶏肉等のサイズの小さな肉に対して、当該インジェクションや注入等を行う場合、加水の程度が均一になりにくく、生産効率が悪いという問題もある。
また、食肉加工品を製造する際に、澱粉及び食用油脂を含有する食肉用品質改良剤を、タンブリング処理又はインジェクション処理により、食肉に添加することが報告されている(特許文献3)。しかしながら、当該方法は、改質剤の添加量が増加するほど、澱粉特有のねちゃつきが生じ、肉らしい食感が低下するという問題がある。また、食肉加工品を製造する際、トランスグルタミナーゼ、アルカリ性素材及び卵白を含有する溶液を、マッサージング法により原料肉に浸透させることが報告されているが(特許文献4)、当該方法も改善の余地があった。
特開2000-41570号公報 特開2014-23493号公報 特開2018-126084号公報 特開2011-4666号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、品質の高い食肉加工品の製造方法及び食肉加工品の改質方法等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、食肉加工品の製造の際、原料の食肉を肉破砕物含有液でタンブリング処理することにより、食肉本来の官能特性を向上し得ることを見出し、さらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含む、食肉加工品の製造方法。
[2]前記液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、前記液に含有される肉破砕物全体の90重量%以上である、[1]記載の製造方法。
[3]前記液における肉破砕物の含有量が、前記液に対して0.5~60重量%である、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]タンブリング処理が、食肉の吸水率が3~70%になるように行われる、[1]~[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5]前記液に含有される肉破砕物が、畜肉、家禽肉、魚肉及び貝類の肉からなる群より選択される少なくとも一つを原料とするものである、[1]~[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[6]食肉が、鳥獣肉及び魚介類の肉からなる群より選択される少なくとも一つである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の製造方法。
[7]食肉が食肉片であり、タンブリング処理前の食肉片1個当たりの重量が1~2000gである、[1]~[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8]タンブリング処理後の食肉を加熱することを更に含む、[1]~[7]のいずれか一つに記載の製造方法。
[9]前記加熱が、蒸し、油ちょう、オーブン加熱及びスチームオーブン加熱からなる群より選択される少なくとも一つを含む、[8]記載の製造方法。
[10]食肉加工品が、フライ品である、[1]~[9]のいずれか一つに記載の製造方法。
[11]食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含む、食肉加工品の改質方法。
[12]前記液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、前記液に含有される肉破砕物全体の90重量%以上である、[11]記載の改質方法。
[13]前記液における肉破砕物の含有量が、前記液に対して0.5~60重量%である、[11]又は[12]記載の改質方法。
[14]タンブリング処理が、食肉の吸水率が3~70%になるように行われる、[11]~[13]のいずれか一つに記載の改質方法。
[15]前記液に含有される肉破砕物が、畜肉、家禽肉、魚肉及び貝類の肉からなる群より選択される少なくとも一つを原料とするものである、[11]~[14]のいずれか一つに記載の改質方法。
[16]食肉が、鳥獣肉及び魚介類の肉からなる群より選択される少なくとも一つである、[11]~[15]のいずれか一つに記載の改質方法。
[17]食肉が食肉片であり、タンブリング処理前の食肉片1個当たりの重量が1~2000gである、[11]~[16]のいずれか一つに記載の改質方法。
[18]タンブリング処理後の食肉を加熱することを更に含む、[11]~[17]のいずれか一つに記載の改質方法。
[19]前記加熱が、蒸し、油ちょう、オーブン加熱及びスチームオーブン加熱からなる群より選択される少なくとも一つを含む、[18]記載の改質方法。
[20]食肉加工品が、フライ品である、[11]~[19]のいずれか一つに記載の改質方法。
[21]肉破砕物及び水を含有する、食肉加工品の原料食肉のタンブリング処理用液体組成物。
[22]目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物全体の90重量%以上である、[21]記載の組成物。
[23]肉破砕物の含有量が、前記組成物に対して0.5~60重量%である、[21]又は[22]記載の組成物。
[24]タンブリング処理が、原料食肉の吸水率が3~70%になるように行われるものである、[21]~[23]のいずれか一つに記載の組成物。
[25]肉破砕物が、畜肉、家禽肉、魚肉及び貝類の肉からなる群より選択される少なくとも一つを原料とするものである、[21]~[24]のいずれか一つに記載の組成物。
[26]原料食肉が、鳥獣肉及び魚介類の肉からなる群より選択される少なくとも一つである、[21]~[25]のいずれか一つに記載の組成物。
[27]原料食肉が食肉片であり、タンブリング処理前の食肉片1個当たりの重量が1~2000gである、[21]~[26]のいずれか一つに記載の組成物。
[28]食肉加工品が、フライ品である、[21]~[27]のいずれか一つに記載の組成物。
本発明によれば、食肉本来の官能特性が向上した、品質の高い食肉加工品及びその製造方法が提供される。
また、本発明は、食肉本来の官能特性を向上し得る、食肉加工品の改質方法も提供する。
本発明の食肉加工品の製造方法(本明細書中、「本発明の製造方法」と称する場合がある)は、食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含むことを特徴の一つとする。
本発明における「食肉加工品」とは、少なくとも食肉を原料に含む加工食品をいう。
本明細書中、食肉加工品の原料として、肉破砕物含有液とともにタンブリング処理される食肉を、「原料食肉」と称する場合がある。
本発明において用いられる原料食肉の種類は、食品原料として用いられ得るものであれば特に制限されないが、例えば、鳥獣肉、魚介類の肉等が挙げられる。鳥獣肉としては、例えば、畜肉(例、豚肉、牛肉、馬肉、めん羊肉、山羊肉、家兎肉等)、家禽肉(例、鶏肉、鴨肉、七面鳥肉等)等が挙げられる。魚介類の肉としては、例えば、魚(例、真鱈、鯵、鮪、鰹、鯖、鰯、鰤、鯛等)の肉(魚肉ともいう)、貝類(例、ホタテ、アワビ、トコブシ、ホッキガイ等)の肉、イカ肉、タコ肉、エビ肉、カニ肉、鯨肉等が挙げられる。中でも、汎用性が高く、種々のメニューに利用できることから、鳥獣肉が好ましく、鶏肉、豚肉が特に好ましい。原料食肉は、可食部位であれば動物のどの部位の肉であってもよく、一態様として、原料食肉が鳥獣肉(例、鶏肉、豚肉等)の場合、例えば、モモ肉、ムネ肉、ササミ肉、鶏皮、ロース肉、肩肉、ヒレ肉、バラ肉等が挙げられるが、これらに制限されない。原料食肉は、一種類の肉を用いてよく、又は二種類以上の肉を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる原料食肉の形態は特に制限されず、固有の形状を有するもの(例えば、屠体、枝肉、部分肉等から切り出された食肉等)及び固有の形状を有しないもの(例えば、ミンチ状、ペースト状の肉等)のいずれも用い得る。本明細書中、固有の形状を有する食肉を「食肉片」と称する場合がある。
本発明において用いられる原料食肉が、一態様として、食肉片(すなわち、固有の形状を有する食肉)である場合、食肉片の形状は特に制限されず、どのような形状であってもよい。食肉片の大きさも特に制限されないが、タンブリング処理前の食肉片1個当たりの重量は、通常2000g以下であり、肉破砕物含有液がタンブリング処理により浸透しやすいことから、好ましくは1000g以下であり、より好ましくは500g以下であり、特に好ましくは200g以下である。また、タンブリング処理前の食肉片1個当たりの重量は、通常1g以上であり、本発明により得られる食肉本来の食感の観点から、好ましくは15g以上であり、より好ましくは20g以上である。
本発明において、タンブリング処理に供される原料食肉は、実質的に加熱されていないものが好ましい。ここで「実質的に加熱されていない」肉とは、肉の主成分であるタンパク質が変性するほどの加熱(例、焼き、茹で、蒸し、油ちょう等の加熱調理等)がされていない肉(所謂、なま肉)をいう。
本発明において用いられる原料食肉は、凍結処理を施されたものであってよいが、タンブリング処理に供される際には、解凍されていることが好ましい。本発明において用いられる原料食肉は、本発明の目的を損なわない限り、食肉加工品の製造において行われ得る種々の処理を、食肉加工品の種類等に応じて適宜施されていてよい。
本発明における「肉破砕物含有液」とは肉破砕物が液体に分散したものをいう。ここで「肉破砕物」とは、食肉を細分化(例えば、破砕、擂砕、せん断等)した、複数の微細な肉片の集合体をいう。肉破砕物の個々の形状は異なっていてよい。
肉破砕物の調製に用いられ得る食肉の種類は、食品原料として用いられ得るものであれば特に制限されず、例えば、原料食肉の種類として例示したものと同様のものを用いてよい。肉破砕物は、本発明によって得られる食肉加工品の品質特性の観点から、畜肉、家禽肉、魚肉及び貝類の肉からなる群より選択される少なくとも一つの食肉を原料とするものが好ましく、豚肉、牛肉、鶏肉、真鱈肉及びホタテの肉からなる群より選択される少なくとも一つの食肉を原料とするものがより好ましく、豚肉、牛肉及び鶏肉からなる群より選択される少なくとも一つの食肉を原料とするものが特に好ましい。肉破砕物の原料に用いられ得る食肉は、可食部位であれば動物のどの部位の肉であってもよく、一態様として、肉破砕物の原料に用いられ得る食肉が鳥獣肉(例、鶏肉、豚肉、牛肉等)の場合、例えば、モモ肉、ムネ肉、ササミ肉、鶏皮、ロース肉、肩肉、ヒレ肉、バラ肉等が挙げられるが、これらに制限されない。肉破砕物の原料の食肉には、動物の可食性の臓器及びその他の可食部分(例、心臓、肝臓、腎臓、肺臓、ひ臓、胃、腸、食道、耳、鼻、皮、舌、尾、横隔膜等)を用いてもよい。肉破砕物の原料に用いられ得る食肉には、一種類の肉を用いてよく、又は二種類以上の肉を組み合わせて用いてもよい。肉破砕物の原料に用いられ得る食肉の種類は、当該肉破砕物を含む肉破砕物含有液とともにタンブリング処理される原料食肉の種類と、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、特に好ましくは99重量%以上であるが、肉破砕物の大きさは、原料食肉の種類や形態等に応じて調整でき、前記のものに限定されない。
本発明において、肉破砕物含有液に含有される、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の重量は、肉破砕物含有液を、目開き11.2mmの篩に通過させて、当該篩を通過した肉破砕物含有液を全量回収し、回収した肉破砕物含有液の重量を測定することによって求められる。あるいは、篩上に残った肉破砕物の重量を測定し、これを肉破砕物含有液の重量から差し引く等して算出してもよい。
肉破砕物含有液の調製方法は、肉破砕物が液体に分散したものが得られれば特に制限されないが、例えば、肉破砕物含有液は、食肉を、肉破砕物を分散させる液体とともにミキサーにかけ、食肉を所定の大きさ(例えば、上述の肉破砕物の大きさ等)に破砕しつつ撹拌すること等によって調製し得る。あるいは、肉破砕物含有液は、食肉から所定の大きさ(例えば、上述の肉破砕物の大きさ等)の肉破砕物を、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で予め作製した上で、当該肉破砕物を液体と混合して分散させること等によっても調製し得るが、本発明において用いられる肉破砕物含有液の調製方法は、これらの方法に制限されない。肉破砕物含有液の調製にミキサーを用いる場合、ミキサーの撹拌条件(例、撹拌速度、撹拌時間等)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物が、所定の大きさになるように適宜設定すればよく特に制限されないが、一例を示すと、鶏肉10~500gを、撹拌速度1000~2000rpm、一回の撹拌時間0.5~10秒間の条件で、4~12回撹拌した後、水400~1000gを加えて1000~2000rpmで0.5~5分間撹拌し、更に2500~3500rpmで0.5~5分間撹拌すること等によって、上述の大きさの肉破砕物を含む肉破砕物含有液を調製し得る。肉破砕物含有液の調製に用い得るミキサーは、食品製造に利用できるものであれば特に制限されないが、例えば、Robot-Coupe社製の「ロボクープ ブリクサー」(型式:BLIXER-5Plus)等が挙げられる。
肉破砕物含有液の調製に用いられる食肉は、実質的に加熱されていないものが好ましい。
肉破砕物含有液の調製において、肉破砕物を分散させる液体は、通常、水を含有する。肉破砕物を分散させる液体に含有される水は、食品の製造に用い得るもの(例、水道水、蒸留水、精製水等)であれば特に制限されない。肉破砕物を分散させる液体は、水のみからなるものであってよいが、本発明の目的を損なわない限り、水以外の成分(以下において「他の成分」とも称する)を含有してよい。他の成分としては、例えば、食塩、酵素、澱粉、糖類(例、砂糖、多糖類等)、調味料、油等が挙げられるが、これらに制限されない。他の成分は、水に溶解し得るものであってよく、又は、水に溶解せず、例えば、肉破砕物とともに液体中に分散し得るもの等であってもよい。肉破砕物を分散させる液体が、他の成分を含有する場合、他の成分を液体に添加する時期は特に制限されず、肉破砕物を液体に分散させる前及び後のいずれであってもよく、あるいは、肉破砕物を液体に分散させる際に、併せて他の成分を添加してもよい。
肉破砕物を分散させる液体は、上述の通り、一態様として食塩を含有してよく、すなわち肉破砕物含有液は、一態様として食塩を含有するものであってよい。肉破砕物含有液が食塩を含有することによって、当該肉破砕物含有液とともにタンブリング処理される原料食肉の保水力を向上でき、また、食塩の調味作用により食肉加工品の品質を向上し得る。肉破砕物含有液が食塩を含有する場合、肉破砕物含有液における食塩の含有量(塩分濃度)は、肉破砕物含有液に対して、好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは0.5~5重量%であり、特に好ましくは1~3重量%である。
肉破砕物含有液における肉破砕物の含有量は、本発明によって得られる食肉加工品の官能特性及び製造適性の観点から、肉破砕物含有液に対して、好ましくは0.5~60重量%であり、より好ましくは1~50重量%であり、特に好ましくは1.5~45重量%である。
本発明において「タンブリング処理」とは、内部に羽(仕切り板)がついたドラムと当該ドラムを回転させる回転機構を少なくとも備える装置(一般に、タンブラー等と称される)を用いて、液体の食肉への浸透を機械的に促進する処理をいい、詳細には、タンブラーのドラムに食肉を液体とともに投入し、当該ドラムを回転させて、液体の共存下で食肉に連続的に物理的衝撃を与えることにより、液体の食肉への浸透を促進するものである。本発明において用い得るタンブラーは特に制限されないが、例えば、GLASS社製の真空タンブラー「LPM20」等が挙げられる。
本発明において、タンブリング処理は、原料食肉の吸水率が特定の範囲になるよう行われることが好ましい。ここで、タンブリング処理における「食肉の吸水率」は、タンブリング処理前の食肉の重量とタンブリング処理後の食肉の重量から、下記式により算出される。
[食肉の吸水率](%)=([タンブリング処理後の食肉の重量(g)]-[タンブリング処理前の食肉の重量(g)])÷[タンブリング処理前の食肉の重量(g)]×100
具体的には、タンブリング処理は、原料食肉の吸水率が、好ましくは3~70%、より好ましくは5~60%、特に好ましくは10~50%になるように行われる。原料食肉の吸水率が当該範囲になるように肉破砕物含有液でタンブリング処理を行うことによって、当該原料食肉を用いて作製された食肉加工品は、食肉本来の官能特性が効果的に向上し得る。
タンブリング処理の各種条件(例、処理時間、ドラム回転速度、ドラム内温度、ドラムの直径、ドラムの回転方向等)は、原料食肉の吸水率が上述の特定の範囲になるように適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば、タンブリング処理の処理時間は、通常0.5~5時間であり、ドラム回転速度は、通常5~30rpmであり、ドラム内温度は、通常1~20℃である。また、タンブリング処理は、ドラム内を減圧して行ってもよく、その場合の減圧条件も、原料食肉の吸水率が上述の特定の範囲になるよう適宜設定すればよく、特に制限されない。タンブリング処理は、連続的に行い得るが、適当な休止時間(例、30分程度)を挟んで断続的に行ってもよい。
原料食肉とともにタンブリング処理に供する肉破砕物含有液の量(換言すると、タンブラーのドラムに原料食肉とともに投入される肉破砕物含有液の量)は、原料食肉の吸水率が上述の特定の範囲になるように適宜設定すればよく、特に制限されないが、タンブリング処理前の原料食肉の総重量(換言すると、タンブラーのドラムに投入される原料食肉の総重量)100重量部に対して、5~200重量部であり、好ましくは、10~150重量部であり、より好ましくは10~120重量部である。
本発明の製造方法は、食肉を肉破砕物含有液でタンブリング処理することに加え、その他の製造工程を、製造する食肉加工品の種類等に応じて適宜含んでよく、例えば、本発明の製造方法は、タンブリング処理後の原料食肉を加熱することを更に含んでよい。本発明の製造方法が、一態様として、タンブリング処理後の原料食肉を加熱することを含む場合、その方法は、製造する食肉加工品の種類等に応じて適宜選択すればよく特に制限されないが、例えば、焼き、蒸し、油ちょう(フライ、揚げ)、炒め、茹で(ボイル)、煮込み、オーブン加熱、スチームオーブン加熱、電子レンジ加熱等が挙げられ、好ましくは、蒸し、油ちょう、オーブン加熱、スチームオーブン加熱である。これらの加熱方法は、いずれか一種の方法を単独で行ってよく、あるいは、二種以上の方法を順次又は組み合わせて行ってもよい。また、これらの加熱方法の各種条件(例、加熱温度、加熱時間等)は特に制限されず、加熱方法や製造する食肉加工品の種類等に応じて、適宜設定し得る。
本発明の製造方法は、食肉を肉破砕物含有液でタンブリング処理すること及びタンブリング処理後の食肉を加熱することに加え、加熱後の食肉を凍結することを更に含んでよい。すなわち、本発明の製造方法によって製造される食肉加工品は、冷凍品であってよい。本発明の製造方法が、一態様として、加熱後の食肉を凍結することを含む場合、その方法や条件(例、凍結温度、時間等)は、特に制限されず、食肉加工品の種類等に応じて、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で適宜行い得る。
本発明の製造方法によって製造される食肉加工品の種類は特に制限されないが、例えば、焼き物、蒸し物、フライ品(揚げ物を含む)、炒め物、茹で物、煮物、オーブン調理品、スチームオーブン調理品、電子レンジ調理品等が挙げられ、好ましくは、蒸し物、フライ品、オーブン調理品、スチームオーブン調理品であり、より好ましくは、フライ品である。フライ品の具体例としては、から揚げ、カツ、竜田揚げ、天ぷら、フリッター等が挙げられるが、これらに制限されない。
本発明の製造方法によれば、食肉本来の官能特性が向上した食肉加工品を製造し得る。本発明において、「食肉本来の官能特性」とは、食肉が元来備える、好ましい官能特性(例、味、風味、食感等)をいい、例えば、食肉を味付けや風味付け等の処理に供さず、食肉を単に加熱調理した場合等であっても感じられる、食肉固有の好ましい官能特性をいう。食肉加工品の食肉本来の官能特性の評価(例えば、食肉本来の官能特性が向上しているか否かや、その向上の程度等)は、専門パネルによる官能試験によって行い得る。食肉本来の官能特性は、食肉の種類等によって異なる場合があり、食肉加工品の食肉本来の官能特性の評価は、食肉加工品の原料の食肉の種類等に応じて、評価項目を設定し得る。例えば、一態様として、食肉加工食品の原料の食肉が鶏肉であるときは、「硬さ」、「弾力」、「自然な繊維感」及び「ジューシー感」を評価項目とし、これらがいずれも向上している場合、鶏肉本来の官能特性が向上していると評価し得る。また、他の一態様として、食肉加工食品の原料の食肉が豚肉であるときは、「軟らかさ」、「弾力」、「ジューシー感」及び「ぱさつき」を評価項目とし、「軟らかさ」、「弾力」及び「ジューシー感」がいずれも向上し、且つ「ぱさつき」が抑えられている場合、豚肉本来の官能特性が向上していると評価し得る。
本発明は、食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含む、食肉加工品の改質方法(本明細書中、「本発明の改質方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の改質方法は、上述の本発明の製造方法と同様に行うことができ、好ましい態様も同様である。
本発明の改質方法が用いられ得る食肉加工品の種類は、上述の本発明の製造方法によって製造される食肉加工品の種類と同様であり、好ましい食品も同様である。
本発明の改質方法によれば、食肉加工品の食肉本来の官能特性が向上し得る。したがって、本発明の改質方法は、好ましくは、食肉加工品の食肉本来の官能特性の向上方法であってよい。
本発明は、肉破砕物及び水を含有する、食肉加工品の原料食肉のタンブリング処理用液体組成物(本明細書中、「本発明の液体組成物」と称する場合がある)も提供する。
本発明の液体組成物は、上述の本発明の製造方法において、食肉のタンブリング処理に用いられる肉破砕物含有液と同様ものであり、好ましい態様や調製方法も同様である。
本発明の液体組成物は、食肉加工品の原料食肉のタンブリング処理に好適に用いられ得るものであり、したがって、本発明の液体組成物は、好ましくは、食肉加工品の原料食肉のタンブリング処理用の液体組成物である。本発明の液体組成物を用いて行われるタンブリング処理は、上述の本発明の製造方法におけるタンブリング処理と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明の液体組成物で、食肉をタンブリング処理することによって、当該食肉を原料に用いて作製された食肉加工品は、食肉本来の官能特性が向上し得る。したがって、本発明の液体組成物は、食肉加工品の改質のためのものであってよい。本発明の液体組成物によって改質し得る食肉加工品の種類は、上述の本発明の製造方法によって製造される食肉加工品の種類と同様であり、好ましい食品も同様である。本発明の液体組成物は、好ましくは、食肉加工品の食肉本来の官能特性の向上のためのものである。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
<試験例1>
(から揚げの作製)
[実施例1]
(工程1:肉破砕物含有液の作製)
鶏モモ肉150g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水830gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:15重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.73重量%)であった。
(工程2:原料食肉のカット)
から揚げの原料食肉には、市販の国産鶏モモ肉を、1個当たり25±2gにカットしたもの(食肉片)を用いた。
(工程3:タンブリング処理)
工程2の食肉片10個をポリ袋に入れ、当該食肉片10個の総重量に対して100重量%の肉破砕物含有液(工程1で作製した肉破砕物含有液)を添加して密封し、これについてタンブリング処理を実施した。
タンブラーは、GLASS社製の真空タンブラー「LPM20」を用い、ドラム回転速度は16rpm、ドラム内温度は5℃に設定した。タンブリング処理は、原料食肉の吸水率が50%になるまで行った。
(工程4:衣付け)
タンブラーから原料食肉(食肉片)を取り出し、表面に付着した肉破砕物分散液をザルでよく切った後、各食肉片に市販のから揚げ粉(日清フーズ株式会社製、商品名「日清 から揚げ粉」)を十分にまぶしてから、余分に付着した粉を軽く払い落して、衣付けを行った。
(工程5:油ちょう(フライ))
衣付けした原料食肉を、175℃、3分10秒間の条件で油ちょうし、から揚げを作製した。
(工程6:凍結)
から揚げを、-30℃、1時間の条件で急速凍結した。
(工程7:調理)
工程6で得られた冷凍から揚げを、電子レンジ(500W)で4個当たり2分20秒間加熱して調理解凍を行い、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例1のから揚げ」とも称する)を得た。
[実施例2~7]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、ミキサーに投入する鶏モモ肉の量を150gから、20g、50g、100g、200g、300g又は400gにそれぞれ変更し、水の添加量を830gから、960g、930g、880g、780g、680g又は580gにそれぞれ変更して、肉破砕物の含有量が、それぞれ2重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%又は40重量%である肉破砕物含有液を作製したこと以外は、実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において、それぞれ「実施例2のから揚げ」~「実施例7のから揚げ」とも称する)を作製した。
実施例2~7の工程1において得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、いずれも肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、実施例2:99.91重量%、実施例3:99.89重量%、実施例4:99.75重量%、実施例5:99.71重量%、実施例6:99.71重量%、実施例7:99.69重量%)であった。
[比較例1(コントロール)]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、肉破砕物を含有しない食塩水(食塩含量:2重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例1のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例1~7の各から揚げについて、食肉(鶏肉)本来の官能特性の評価を実施した。鶏肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「硬さ」、「弾力」(肉を噛んだ時に、歯がはね返るような感覚)、「自然な繊維感」(肉が口腔内で繊維状に自然にほぐれる感覚)及び「ジューシー感」(肉の咀嚼中に液状物(肉汁、油等)が口腔内に広がる感覚)のそれぞれについて、比較例1をコントロールとする下記の評価基準に基づき0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
[評価基準]
3:コントロールに比べて、非常に強い
2:コントロールに比べて、とても強い
1:コントロールに比べて、やや強い
0:コントロールと差なし
-1:コントロールに比べて、やや弱い
-2:コントロールに比べて、とても弱い
-3:コントロールに比べて、非常に弱い
結果を、下表1に示す。
Figure 2022078897000001
表1に示される結果から明らかなように、原料食肉を肉破砕物含有液でタンブリングした本発明の実施例1のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロール(比較例1のから揚げ)に比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。当該結果から、食肉を肉破砕物含有液でタンブリングすることにより、当該食肉を原料に用いて作製された食肉加工品は、食肉本来の官能特性が向上し得ることが確認された。
また、肉破砕物含有液における肉破砕物の含有量が、肉破砕物含有液に対して2~40重量%である肉破砕物含有液で原料食肉をタンブリングした、本発明の実施例2~7のから揚げも、実施例1と同様に、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロールに比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。
<試験例2>
(から揚げの作製)
[実施例8~11]
工程3(タンブリング処理)において、原料食肉の吸水率を50%から、10%、20%、30%又は40%にそれぞれ変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において、それぞれ「実施例8のから揚げ」~「実施例11のから揚げ」とも称する)を作製した。
[実施例12]
試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において、「実施例12のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例2(コントロール)]
試験例1の比較例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例2のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例8~12の各から揚げについて、食肉(鶏肉)本来の官能特性の評価を実施した。鶏肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「硬さ」、「弾力」、「自然な繊維感」及び「ジューシー感」のそれぞれについて、比較例2をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
結果を、下表2に示す。
Figure 2022078897000002
表2に示される結果から明らかなように、原料食肉を、原料食肉の吸水率が10~50%になるまで肉破砕物含有液でタンブリングした本発明の実施例8~12のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロール(比較例2のから揚げ)に比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。
<試験例3>
(から揚げの作製)
[実施例13]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、ミキサーに投入する鶏ムネ肉の量を150gから100gに変更し、水の添加量を830gから880gに変更して、肉破砕物の含有量が10重量%である肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例13のから揚げ」とも称する)を作製した。
実施例13の工程1において得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.92重量%)であった。
[比較例3]
工程3のタンブリング処理を行わず、代わりにインジェクション処理を行ったこと以外は、実施例13と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例3のから揚げ」とも称する)を作製した。
インジェクション処理は、Suhner社(スイス)製の手動インジェクター「HSG-2型」を用いて、実施例13と同じ肉破砕物含有液を、吸水率50%になるまで食肉片10個にそれぞれ注入することにより行った。この時のインジェクション圧は0.5barであった。
[比較例4(コントロール)]
試験例1の比較例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例4のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例13及び比較例3の各から揚げについて、食肉(鶏肉)本来の官能特性の評価を実施した。鶏肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「硬さ」、「弾力」、「自然な繊維感」及び「ジューシー感」のそれぞれについて、比較例4をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
結果を、下表3に示す。
Figure 2022078897000003
表3に示される結果から明らかなように、原料食肉を肉破砕物含有液でタンブリングした本発明の実施例13のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロール(比較例4のから揚げ)に比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。
一方、原料食肉に肉破砕物含有液をインジェクションした比較例3のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロールに比べて低下した。
<試験例4>
(から揚げの作製)
[実施例14]
試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において、「実施例14のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例5]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にコーンスターチを5重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例5のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例6]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にコーンスターチを10重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例6のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例7]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にκ-カラギーナンを1重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例7のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例8]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にサラダ油を5重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例8のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例9]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にトレハロースを10重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例9のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例10]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にL-アルギニンを0.5重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例10のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例11]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にリン酸三ナトリウムを0.5重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例11のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例12]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にトランスグルタミナーゼ(味の素株式会社製、「アクティバ(登録商標)」TG-G)を0.5重量%、食塩を2重量%添加した液を用いたこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例12のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例13]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水に卵白を23.7重量%、食塩を2重量%添加した液を用い、また、原料食肉の吸水率を50%から40%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例13のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例14]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水にホエイタンパク(フォンテラジャパン株式会社販売、商品名「Whey Protein Isolate(WPI895)」)を2.8重量%、食塩を2重量%添加した液を用い、また、原料食肉の吸水率を50%から40%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例14のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例15]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、水に大豆粉(不二製油株式会社製、商品名「ニューフジプロSEH」)を2.9重量%、食塩を2重量%添加した液を用い、また、原料食肉の吸水率を50%から40%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例15のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例16(コントロール)]
試験例1の比較例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例16のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例17(コントロール)]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、肉破砕物を含有しない食塩水(食塩含量:2重量%)を用い、また、原料食肉の吸水率を50%から40%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例17のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例14及び比較例5~15の各から揚げについて、食肉(鶏肉)本来の官能特性の評価を実施した。鶏肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「硬さ」、「弾力」、「自然な繊維感」及び「ジューシー感」のそれぞれについて、実施例14及び比較例5~12のから揚げは、比較例16をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、比較例13~15のから揚げは、比較例17をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
結果を、下表4に示す。表中、「Arg」はL-アルギニンを示し、「NaPO」はリン酸三ナトリウムを示し、「TG」はトランスグルタミナーゼを示す。
Figure 2022078897000004
表4に示される結果から明らかなように、原料食肉を肉破砕物含有液でタンブリングした本発明の実施例14のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロール(比較例16のから揚げ)に比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。
一方、食肉の改質に従来用いられている素材、物質を、肉破砕物に代えて添加した液で原料食肉をタンブリングした比較例5~15のから揚げでは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感の全てが、コントロール(比較例16又は比較例17のから揚げ)に比べて向上したもの、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上したものはなかった。
<試験例5>
(から揚げの作製)
[実施例15]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて鶏ムネ肉を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例15のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例15の肉破砕物含有液の作製)
鶏ムネ肉107g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水873gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:10.7重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.84重量%)であった。
[実施例16]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて鶏ササミ肉を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例16のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例16の肉破砕物含有液の作製)
鶏ササミ肉104g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水876gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:10.4重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.94重量%)であった。
[実施例17]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて鶏皮を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例17のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例17の肉破砕物含有液の作製)
鶏皮265g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水715gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:26.5重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.83重量%)であった。
[実施例18]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて豚ロース肉を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例18のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例18の肉破砕物含有液の作製)
豚ロース肉136g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水844gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:13.6重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.71重量%)であった。
[実施例19]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて牛モモ肉を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例19のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例19の肉破砕物含有液の作製)
牛モモ肉129g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水851gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:12.9重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.70重量%)であった。
[実施例20]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えてホタテの肉(貝柱)を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例20のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例20の肉破砕物含有液の作製)
ホタテの肉147g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水833gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:14.7重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.87重量%)であった。
[実施例21]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて真鱈肉を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと、及び、工程3(タンブリング処理)において、原料食肉の吸水率を50%から40%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例21のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例21の肉破砕物含有液の作製)
真鱈肉141g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水839gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:14.1重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.66重量%)であった。
[比較例18(コントロール)]
試験例1の比較例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例18のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例19(コントロール)]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、肉破砕物を含有しない食塩水(食塩含量:2重量%)を用い、また、原料食肉の吸水率を50%から40%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において「比較例19のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例15~21の各から揚げについて、食肉(鶏肉)本来の官能特性の評価を実施した。鶏肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「硬さ」、「弾力」、「自然な繊維感」及び「ジューシー感」のそれぞれについて、実施例15~20のから揚げは、比較例18をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、実施例21のから揚げは、比較例19をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
結果を、下表5に示す。
Figure 2022078897000005
表5に示される結果から明らかなように、肉破砕物が鶏ムネ肉、鶏ササミ肉、鶏皮、豚ロース肉、牛モモ肉、ホタテの肉又は真鱈肉を原料とする肉破砕物含有液で原料食肉をタンブリングした本発明の実施例15~21のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロール(比較例18又は比較例19のから揚げ)に比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。
<試験例6>
(から揚げの作製)
[実施例22~24]
工程2(原料食肉のカット)において、原料食肉(食肉片)の1個当たりの重量を25±2gから、50±2g、100±2g又は370±2gにそれぞれ変更したこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において、それぞれ「実施例22のから揚げ」~「実施例24のから揚げ」とも称する)を作製した。
[比較例20~22(コントロール)]
工程2(原料食肉のカット)において、原料食肉(食肉片)の1個当たりの重量を25±2gから、50±2g、100±2g又は370±2gにそれぞれ変更したこと、及び、工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、肉破砕物を含有しない食塩水(食塩含量:2重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、後述の官能試験においてコントロールに用いられるから揚げ(以下において、「比較例20のから揚げ」~「比較例22のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例22~24の各から揚げについて、食肉(鶏肉)本来の官能特性の評価を実施した。鶏肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「硬さ」、「弾力」、「自然な繊維感」及び「ジューシー感」のそれぞれについて、実施例22のから揚げは、比較例20をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、実施例23のから揚げは、比較例21をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、実施例24のから揚げは、比較例22をコントロールとする以外は試験例1と同様の評価基準に基づき、0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
結果を、下表6に示す。
Figure 2022078897000006
表6に示される結果から明らかなように、食肉片1個当たりの重量が50~370gである原料食肉を肉破砕物含有液でタンブリングした本発明の実施例22~24のから揚げは、硬さ、弾力、自然な繊維感及びジューシー感がいずれもコントロール(比較例20~22のから揚げ)に比べて向上し、すなわち鶏肉本来の官能特性が向上した。
<試験例7>
(から揚げの作製)
[実施例25]
工程2(原料食肉のカット)において、から揚げの原料食肉として、市販の国産鶏モモ肉に代えて、市販の国産豚ロース肉を用いたこと、及び、工程3(タンブリング処理)において、原料食肉の吸水率を50%から30%に変更して、タンブリング処理を行ったこと以外は、試験例1の実施例1と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例25のから揚げ」とも称する)を作製した。
[実施例26、27]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、ミキサーに投入する鶏モモ肉の量を150gから、100g又は200gにそれぞれ変更し、水の添加量を880g又は780gにそれぞれ変更して、肉破砕物の含有量が、それぞれ10重量%又は20重量%である肉破砕物含有液を作製したこと以外は、実施例25と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において、それぞれ「実施例26のから揚げ」、「実施例27のから揚げ」とも称する)を作製した。
[実施例28]
工程1(肉破砕物含有液の作製)において、鶏モモ肉に代えて豚ロース肉を用い、以下の通り肉破砕物含有液を作製したこと以外は、実施例25と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「実施例28のから揚げ」とも称する)を作製した。
(実施例28の肉破砕物含有液の作製)
豚ロース肉150g及び食塩20gを、ミキサー(Robot-Coupe社製「ロボクープ ブリクサー」、型式:BLIXER-5Plus)に投入し、「撹拌速度:低速(1500rpm)、一回の撹拌時間:1秒間」の条件で、8回撹拌した。その後、水830gを加えて、低速(1500rpm)で2分間撹拌し、次いで、高速(3000rpm)で1分30秒間撹拌して、肉破砕物含有液を得た(肉破砕物の含有量:15重量%)。
得られた肉破砕物含有液に含有される肉破砕物の大きさ(粒度)は、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、肉破砕物含有液に含有される肉破砕物全体の99重量%以上(詳細には、99.71重量%)であった。
[比較例23(コントロール)]
工程3(タンブリング処理)において、肉破砕物含有液に代えて、肉破砕物を含有しない食塩水(食塩含量:2重量%)を用いたこと以外は、実施例25と同様の手順で、後述の官能試験のサンプルとして用いられるから揚げ(以下において「比較例23のから揚げ」とも称する)を作製した。
(官能試験)
実施例25~28の各から揚げについて、食肉(豚肉)本来の官能特性の評価を実施した。豚肉本来の官能特性の評価は、2名の専門パネルが「柔らかさ」、「弾力」、「ぱさつき」(肉汁が乏しく、しっとり感が感じられない食感)及び「ジューシー感」のそれぞれについて、比較例23をコントロールとする下記の評価基準に基づき0.1点刻みで、合議により評点付けして行った。
[評価基準]
3:コントロールに比べて、非常に強い
2:コントロールに比べて、とても強い
1:コントロールに比べて、やや強い
0:コントロールと差なし
-1:コントロールに比べて、やや弱い
-2:コントロールに比べて、とても弱い
-3:コントロールに比べて、非常に弱い
結果を、下表7に示す。
Figure 2022078897000007
表7に示される結果から明らかなように、豚ロース肉を原料食肉として用い、肉破砕物含有液における肉破砕物の含有量が、肉破砕物含有液に対して10~20重量%である肉破砕物含有液で当該原料食肉をタンブリングした本発明の実施例25~27のから揚げは、軟らかさ、弾力及びジューシー感がいずれも向上し、且つ、ぱさつきが抑えられ、すなわち豚肉本来の官能特性が向上した。また、豚ロース肉を原料食肉として用い、肉破砕物が豚ロース肉を原料とする肉破砕物含有液で原料食肉をタンブリングした本発明の実施例28のから揚げも、軟らかさ、弾力及びジューシー感がいずれも向上し、且つ、ぱさつきが抑えられ、すなわち豚肉本来の官能特性が向上した。
本発明によれば、食肉本来の官能特性が向上した、高品質の食肉加工品及びその製造方法が提供される。
また、本発明は、食肉本来の官能特性を向上し得る、食肉加工品の改質方法も提供する。

Claims (12)

  1. 食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含む、食肉加工品の製造方法。
  2. 前記液に含有される肉破砕物のうち、目開き11.2mmの篩を通過する肉破砕物の割合が、前記液に含有される肉破砕物全体の90重量%以上である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記液における肉破砕物の含有量が、前記液に対して0.5~60重量%である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. タンブリング処理が、食肉の吸水率が3~70%になるように行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記液に含有される肉破砕物が、畜肉、家禽肉、魚肉及び貝類の肉からなる群より選択される少なくとも一つを原料とするものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 食肉が、鳥獣肉及び魚介類の肉からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 食肉が食肉片であり、タンブリング処理前の食肉片1個当たりの重量が1~2000gである、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. タンブリング処理後の食肉を加熱することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記加熱が、蒸し、油ちょう、オーブン加熱及びスチームオーブン加熱からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項8記載の製造方法。
  10. 食肉加工品が、フライ品である、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 食肉を、肉破砕物含有液でタンブリング処理することを含む、食肉加工品の改質方法。
  12. 肉破砕物及び水を含有する、食肉加工品の原料食肉のタンブリング処理用液体組成物。
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