JP3767463B2 - 魚肉加工品及びその製造法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、蒲鉾や竹輪等の所謂水産練製品とは異なる、魚肉の身のほぐれるような特有の繊維感を保持した魚肉加工品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚肉は焼き魚やフライにすると身がほぐれるような特有の繊維感を発する。しかし、加熱後の魚肉は冷えると固くジューシー感を失ってしまう。そこでこの特有の繊維感を保持しつつ、加熱後に冷えてもソフトでジューシー感のある魚肉加工品が望まれている。
【0003】
畜肉魚肉を問わず、肉の繊維感を保持した加工食品を製造する方法としては、肉の砕片を結着させ、あたかも一つの肉塊のようにし、食用素材として用いる技術が過去より知られたものであった。特に価格面で安価さが要求されるものに多く、畜肉ではステーキとして、また成型煮豚として供される場合が多かった。
また魚肉では、パン粉を付けてフライに供される魚フライに多く、ポーションやフィッシュスティックなどという名称で古くより知られている。これらは魚肉小片の有効利用による経済効果の他に、骨のない食べやすい魚を供給できることが利点であった。
【0004】
肉の砕片の結着方法としては、以下の方法が知られている。
畜肉や家禽肉では、加工澱粉を用いて圧縮し成型加工する方法や、それにカルシウムを併用する方法、被膜したGDLとCaを併用する方法(特開平3-290171号公報)等が知られている。
しかしこれらの結着剤を肉片に付着させる方法は畜肉では有効であるが、魚肉では肉片が柔らかく、また水分が多いため、魚肉片を結着させても肉片が柔らかく、魚フライのように衣とパン粉を付着して定型に固定するものでないかぎり壊れてしまうという難点がある。したがって、焼き魚などに加工した場合は固定できる支持体がなく、定型性を保ちにくい。また魚肉は味が非常に繊細であるため、上記のような結着剤は魚肉になじみにくいという欠点も有している。
【0005】
以上の理由により、魚肉では結着剤が使用されることはまれで、一般的にはただ魚肉片を集めてリテーナに圧縮成形後冷凍し、フローズンカッターで定型にカットしてバッターパン粉を付けて魚フライなどにする場合が多く、この方法ではさらに組織が壊れやすくなる。また加熱後に冷えてもソフトでジューシー感のある品質が得られにくい。
【0006】
上記課題に鑑み、特開平1-165334号公報においては、魚肉を保水性向上液に浸漬することにより、魚肉の保水性を高め、その後一旦凍結してから肉片にカットし、この「再凍結肉片」を魚肉すり身を主体とする結着剤で結着させる方法等が試みられている。
しかし、この方法は冷凍操作を必要とし、結着剤として別途魚肉すり身を調製する必要もあり、操作が煩雑となる。また保水性の向上にリン酸塩等の食品添加物が必須となるが、近年の消費者にはこれらの食品添加物の使用があまり望まれていない側面がある。
【0007】
なお、特開平11-276119号公報において、大豆蛋白水和物に予め大豆蛋白非凝固性塩類を添加・混合した後のカード状物を魚肉或いは魚肉すり身に混練し、蒲鉾等の水産練製品を製造する方法が開示されているが、これらは蒲鉾や竹輪等のような均質な組織を有する練製品を製造するものであって、大豆蛋白及び該塩類を魚肉片同士の結着剤として使用するものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は魚肉の身がほぐれるような繊維感を保持しつつ、加熱後に冷えた魚肉のように固くジューシー感に欠けるものではなく、加熱後冷えてもソフトさとジューシー感を失わない魚肉加工品を簡便に製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、蒲鉾や竹輪等の水産練製品の製造工程である擂潰(魚肉に食塩を加えて擂り潰す作業)の技術から着想し、魚肉片同士を擂潰により結着させる方法を種々検討した結果、大豆蛋白水和物に食塩を添加した液を魚肉片に混合し、魚肉の繊維感が擂り潰されない程度に擂潰することによって、その解決が図れることを見出し、この発明を完成した。
即ちこの発明は、魚肉片と大豆蛋白非凝固性塩類を混合する魚肉加工品の製造において、大豆蛋白凝固性塩類を大豆蛋白水和物中に偏在させて混合することを特徴とする魚肉加工品の製造法である。
混合は魚肉片の肉繊維を擂り潰さない程度に行うことが好ましい。
魚肉片の大きさは3〜10mm片であることが好ましい。
大豆蛋白は粉末豆乳、分離大豆蛋白、及び濃縮大豆蛋白からなる群より選択される1以上であるのが好ましい。
大豆蛋白凝固性塩類は、魚肉片に対して0.3〜2.5重量%含まれるのが好ましい。
大豆蛋白の使用量は、魚肉片に対して1〜8重量%であり、かつ大豆蛋白を水和するために使用する水の使用量が、大豆蛋白に対して1.5〜10重量倍であるのが好ましい。
大豆蛋白非凝固性塩類を含有する大豆蛋白水和物は魚肉加工品製造用の魚肉片結着剤として使用することが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は魚肉片同士の結着に大豆蛋白非凝固性塩類を使用すること、さらに魚肉片に混合する際に、予め大豆蛋白水和物中に偏在させてから混合することに特徴を有する。
すなわち、魚肉片に該塩類を最終的に混合する前において、該塩類の総添加量の内、魚肉片に直接添加するよりも、予め大豆蛋白水和物中に含有させる量を多くしておくことが好ましい。この際、本願魚肉加工品に添加する該塩類の総量のうち、大豆蛋白水和物と魚肉片に存在させる割合は60:40が好ましく、80:20がより好ましく、95:5がさらに好ましく、100:0とするのが最も好ましい。
魚肉に大豆蛋白非凝固性塩類を添加すると魚肉筋原繊維中の「アクトミオシン」と呼ばれる蛋白質が溶出し、これが加熱によりゲル化することは、蒲鉾等の製造において一般的に知られた事項であるが、本願ではこのアクトミオシンを結着成分として利用する。
魚肉に直接大豆蛋白非凝固性塩類を結着剤として添加する量が多いと、この結着剤が魚肉片の全体に均一に浸透するまでに時間を要し、結果として擂潰時間が長くなり、所謂塩ずり効果が進んで繊維感が弱くなり、蒲鉾的な均質な食感に移行してしまう。
また結着剤として大豆蛋白非凝固性塩類の水溶液を使用すれば、魚肉片への浸透は早まるが、水分が多くなるため魚肉片同士の結着が妨げられる。また加熱時の離水や魚肉片の縮みも大きくなり実用的でない。
一方、本願発明は、大豆蛋白非凝固性塩類を直接魚肉片と接触させるのではなく、大豆蛋白水和物中に偏在させた後に魚肉片に混合しているので、速やかに魚肉に均一混合され、擂潰時間が長すぎて魚肉の繊維感を殺してしまうことが妨げられる。さらに大豆蛋白の存在によるためか、ゆっくりとアクトミオシンを溶出させる効果を発生させるのではないかと考えられる。そのため魚肉の繊維同士をソフトに結着させ、ほぐれるような自然な繊維食感が得られるのではないかと考えられる。
【0011】
本発明に使用される魚肉の魚種としては、特に限定されないが、マグロ類(黒マグロ、キハダマグロ、カジキマグロ等)等の大型回遊魚や、イワシ、サンマ、アジ、サバ等の赤身魚や、鯛類(真鯛、れんこ鯛、金目鯛等)、タラ類(スケソウダラ、南ダラ、マダラ等)、カレイ、イトヨリ、メルルーサ、ホキ、グチ、エソ等の白身魚等、様々な魚種が使用できる。特にマグロ類が好ましい。これらの魚肉は冷凍魚でも使用可能であるが冷凍解凍を繰り返したようなものでも構わないが、できるだけ新鮮な方が好ましい。また油の少ない魚種には食用油脂を添加することもできる。また旨味の少ない魚種にはMSGやイノシン酸系調味料、核酸系調味料の他に、様々なエキス調味料も使用することが出来る。
【0012】
本発明に使用される魚肉片は魚肉を適当な大きさの肉片に調製すればよく、切身や落し身にしてもよいし、チョッパーを用いて砕片としてもよい。特にチョッパーで小砕片とすることが好ましい。魚肉片の大きさは3mm〜10mm片程度を中心とするものが好ましく、例えば8mm目以上、20mm未満の粗いチョッパーを用いて小砕片に調製することができる。魚肉片の大きさが小さすぎると魚肉としての繊維感を喪失して蒲鉾的な均質な食感となる傾向にある。またあまり大きいと型成型がしづらくなる傾向にある。魚肉片に調製する際は、魚肉の温度を予め−1〜5℃程度の低温にしておくことが望ましい。温度を上げすぎると魚肉の鮮度が低下し、魚肉片の結着力が低下する傾向にある。
【0013】
本発明において、魚肉片の結着に使用される大豆蛋白としては、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、粉末豆乳等が用いられる。粉末豆乳は例えば全脂豆乳あるいは脱脂豆乳を噴霧乾燥して得ることができる。大豆蛋白は異味異臭のないものが好ましく、異味異臭のあるものは繊細な魚肉の味と風味を損ないやすい。また水に容易に溶解するものが好ましく、作業上短時間の放置で沈殿を生じやすいものは好ましくない。
また大豆蛋白には、水和の妨げとなり、沈殿を生じない程度の少量のニガリや硫酸カルシウム等の豆腐用凝固剤が含まれていても差し支えない。
大豆蛋白としては、複数の種類を併用することも可能であり、例えば分離大豆蛋白と粉末豆乳を併用することは互いの利点が相乗するため好適である。分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白は乳化保水性が高く、特に分離大豆蛋白はこの傾向が強い。また粉末豆乳は保水性はやや劣るが非常に好ましい呈味性があり、少量の凝固剤を含む粉末豆乳はさらにこの傾向が強い。
【0014】
上記大豆蛋白に代え、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、カゼイン、カゼインナトリウム、乳清蛋白なども使用可能であるが、風味の面で大豆蛋白の方が好ましい。また魚肉すり身や卵白や乾燥卵白なども使用可能だが、本来魚肉が有する独特のほぐれるような繊維感が損なわれて、異質なゲル感が発現し、自然な魚肉の食感とは異なるものになりがちである。
【0015】
大豆蛋白は所望量の水で水和させた大豆蛋白水和物として魚肉片に混合する。大豆蛋白を水和させる水の量は、大豆蛋白1重量部に対して1.5〜10重量倍が好ましく、3〜7重量倍がより好ましく、4.5〜5.5重量倍がさらに好ましい。この水の量が少なすぎると水和がうまくゆかず魚肉に均一混合することが難しくなる。また水の量が多すぎると、結着した魚肉片が柔らかくなり結着力の低下につながる。
この水和物は一般のカッターミキサーや、縦型の密閉式のカッターミキサー等により作成できる。回転数の低いニーダミキサーや擂潰機のような混練機は大豆蛋白の溶解が遅くなるためあまり向かない。
【0016】
大豆蛋白水和物に溶解した大豆蛋白非凝固性塩類は、魚肉のアクトミオシンを溶解させ、魚肉片に結着作用を与える役目を果たし、かつ魚肉に呈味性を付与する効果も有する。大豆蛋白非凝固性塩類としては、食塩(塩化ナトリウム)や塩化カリウム等の可食性のアルカリ金属塩類等が挙げられ、風味の面では食塩が最も好ましい。カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩類は水和した大豆蛋白を凝固させる性質を有するため好ましくない。該塩類の使用量は魚肉に対して0.3〜2.5重量%であり、好ましくは0.8〜2.2重量%である。さらに好ましくは1.3〜1.7重量%がよい。
【0017】
大豆蛋白水和物には油脂類を乳化させて、乳化水和物として使用してもさしつかえない。特に植物油脂が好ましく、呈味性をマイルドにし、見た目の色調を白くする効果を有するためである。
【0018】
大豆蛋白水和物中には、原料魚の呈味に従って食味のバランスをとるため、食塩との併用で、その他の副原料や着味剤として、砂糖等の糖類、MSG、核酸系等の化学調味料、カツオエキス等に代表される各種天然エキス類、HMPやHVPなどの蛋白加水分解物系の調味料、発酵調味料等様々な呈味を向上させるものが使用可能である。
【0019】
魚肉片に大豆蛋白非凝固性塩類を含有する大豆蛋白水和物を添加・混合する方法は、該水和物を魚肉片全体に浸透させ、結着剤として魚肉片同士を結着させる方法であれば良いが、低速かつ短時間で擂潰することが好ましい。すなわち、擂潰による場合、該水和物を添加して魚肉片を擂潰する条件は、擂潰に使用する機器の種類や仕様、あるいは魚種や魚の鮮度によっても異なってくるため特定しにくいが、目安としては魚肉片の肉繊維を擂り潰さない程度に、低速かつ短時間で行い、魚肉に粘性が出てきたら直ぐに擂潰を終了することが好ましい。
擂潰に使用する機器としては一般に使用されているニーダミキサーや、一般の擂潰機、低速撹拌機能を有するカッターミキサー等を用いて行えばよいが、例えばキハダマグロの魚肉片を擂潰機で混合する場合、回転数30rpm(低速モード)で30秒〜2分程度の混合を行えばよい。擂潰時間が長すぎると魚肉片がすり身状になるため魚肉の繊維感が失われ、均質な蒲鉾的な食感に近くなるため注意を要する。
大豆蛋白水和物の魚肉に対する添加量は、大豆蛋白として1重量%〜8重量%であり、好ましくは2重量%〜6重量%である。さらに好ましくは、2.5重量%から3.5重量%である。
【0020】
混合した生地は、0〜5℃程度で30分〜1時間程度冷蔵保存し、必要であれば放置により馴染ませてから成型し、蒸し、焼き、衣を付けてフライ加熱などの様々な形態の加熱処理を施すことができる。所望により保形性を向上させるために、予備加熱として40℃で20分程度の高温坐り工程をとることも可能である。
【0021】
このようにして出来上がった魚肉練製品は、自然の魚の身がほぐれるような繊維感が味わえ、かつ保水性の高い大豆蛋白水和物を添加しているため、加熱しても固くなりにくく、ジューシーさを保つ効果を発し、一般市販されている切り身魚よりもソフトでジューシーな魚加工品を味わうことが出来る。したがって焼き加熱した場合は本物の焼き魚のごとく食することも可能である。
さらに本発明による利点は魚肉の繊維感が味わえるばかりではなく、成形加熱後の魚肉塊があたかも魚肉切り身の加工品のごとく取り扱うことも出来る。また原料として使用した魚肉に油分が欠け、旨みの弱いものであっても自由に油分や味の補填が出来るため、コク味や旨みを向上できる利点もある。
【0022】
さらに魚肉中の大豆蛋白水和物は、魚肉中において強力な保水力を有しているため、一般の魚肉を加熱加工した場合に比較して固くなりにくく、ジューシーさを保つことになるものと思われる。またその結果加熱時の歩留まりも向上し、経済効果も得ることが出来る。
【0023】
このようにして得られた魚肉加工品は、成形後蒸し加熱して魚肉ステーキとして、焼いて焼き魚として、成型加熱加工した後タレや味噌などに漬け込んで、魚肉漬け物としても食することが可能である。また焼き加工したものは、冷めても固くなりにくく、ジューシーさを保っているため、弁当用の惣菜等に最適である。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を以て本発明を説明する。
<実施例1>
キハダマグロの魚肉をミートチョッパー(日本キャリア(株)製)により、3〜10mm片の小砕片とした。この小砕片を5℃で冷蔵保存した。一方、表1の配合にて大豆蛋白水和物21.1重量部を調製し、これに食塩1.5重量部を添加溶解させ、「食塩含有大豆蛋白水和物」22.6重量部を得た。本水和物を、冷蔵保存した魚肉小砕片100重量部に添加し、ヤナギヤ製擂潰機にて30rpmで1分間擂潰した。このとき魚肉片は完全に擂り潰されることなく繊維感は保持されたままであった。得られた生地を30分間冷蔵保存した後、ドラム式成型器(日本キャリア(株)製)にて成型し、これをコンべクションオーブン(ラショナル(株)製)にて焼成し、焼き魚風魚肉加工品を得た。
【0025】
【表1】
大豆蛋白水和物の配合
Figure 0003767463
【0026】
<試験例1> 食塩添加方法の違い
魚肉片に対する食塩添加方法の違いにより、得られる魚肉加工品の品質の差異を確認した。
実施例1の方法により魚肉小砕片を調製した。表2に示した通り、この冷蔵保存した魚肉小砕片100重量部に対し、食塩1.5重量部のみを添加した区を比較例1、また食塩1.5重量部を水15重量部に溶解し、食塩水として添加した区を比較例2として、それぞれ生地の繊維感を確認しつつ擂潰機にて擂潰し、得られた生地を30分間冷蔵保存した後、ドラム式成型器(日本キャリア(株)製)にて成型し、これをコンべクションオーブン(ラショナル(株)製)にて焼成し、焼き魚風魚肉加工品を得た。得られた製品について、食塩を大豆蛋白水和物に偏在させた区(実施例1の製品と共に品質を評価した。
【0027】
【表2】
Figure 0003767463
【0028】
実施例1の均一混合に要した時間が1.5分であったことに比較して、食塩のみを添加した区(比較例1)では魚肉に食塩を均一混合するために2.5分かかり、また直接食塩を添加したためにアクトミオシンの溶出がすすんで繊維感の弱い食感となった。また蒲鉾的になり、魚の繊維がほぐれるような感触は失われていた。そのうえ食感は固くしまってしまい、好ましいものではなかった。
一定量の水に食塩を溶解して添加した区(比較例2)は、魚の繊維感は失われずに自然な魚の繊維感は得られたものの、生地中の水分が多くなるためか、魚肉の結着力は弱く、かつ不自然に柔らかいものとなり好ましいものではなかった。さらに加熱時の縮みが大きく、歩留まりの面でも実用的ではなかった。
【0029】
<試験例2>
食塩を大豆蛋白以外の蛋白水和物に偏在させた場合(表3)と大豆蛋白水和物に偏在させた場合(実施例1)の傾向の差異を確認した。
カゼインNa「ハプロ」(日本新薬(株))1.5重量部に水15重量部、砂糖3重量部及びMSG0.1重量部を添加し、カゼインNa水和物19.6重量部を調製し、実施例1の大豆蛋白水和物と置換して食塩1.5重量部を添加し、同様に魚肉加工品を作製した(比較例3)。なお大豆たん白水和物と同等の水分量では粘度が高く、混合が難しいため、水の量は大豆たん白水物と同等とし、カゼインNaの量を調整した。
次に、乳清蛋白「エンラクトHG」(日本新薬(株))3重量部に水15重量部、砂糖3重量部及びMSG0.1重量部を添加し、乳清蛋白水和物21.1重量部を調製し、実施例1の大豆蛋白水和物と置換して食塩1.5重量部を添加し、同様に魚肉加工品を作製した(比較例4)。
さらに、魚肉すりみ生地と食塩を併用して結着剤として用いた場合の確認も行った(比較例5)。すなわち予めスケソウダラ2級すりみ100重量部に食塩3重量部、砂糖5重量部、MSG0.6重量部、及び水50重量部混合し、定法の通り擂潰し、すり身生地を調製した。このすり身生地21.5重量部に食塩1.1重量部を別途添加し、実施例1と同様の食塩添加量になるよう調整し、同様に魚肉加工品を作製した。
【0030】
【表3】
Figure 0003767463
【0031】
その結果、比較例3では大豆蛋白水和物と同等の効果が得られ、良好な魚肉繊維感が感じられた。しかし乳製品独特の風味が感じられ、食味として魚肉の繊細な食味を阻害するものであり、実施例1で作製したものの食味と比較して好ましいものではなかった。
比較例4でも傾向はカゼインNaと同様であり、繊維食感としては問題なかったが食味として好ましいものではなかった。
また比較例5では魚肉砕片の結着は良好に行われ、魚肉繊維も失われていなかったが、魚肉のほぐれ感や舌触りが失われ、魚肉繊維間に蒲鉾的な食感が感じられる、誠に違和感のある食感であった。従ってすり身生地を利用して魚肉を結着させることは可能であるが、繊細な魚肉の繊維感がゲル化力の強いすり身生地により損なわれることになるものと思われる。従って魚肉自体の繊維感やほぐれ感に対してはすりみ生地を使用することは好ましくない。
【0032】
<試験例3> 魚肉に添加する食塩量による効果の違い
表1で調製した大豆蛋白水和物21.1重量部に対し、表4に示すとおり、比較例6、参考例1、実施例〜5で食塩を魚肉片に対して、0〜2.5重量部まで増加させて添加溶解させ、これを魚肉片100重量部に添加し、実施例1と同様に焼き魚を製造した。
【0033】
【表4】
(単位:重量部)
───────────────────────────────────
原材料 比較例 参考例 実施例 実施例 実施例 実施例
3 1 4 5
───────────────────────────────────
大豆蛋白 21.1 21.1 21.1 21.1 21.1 21.1
水和物
水 0 0 0 0 0 0
食塩 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
キハダマ 100 100 100 100 100 100
グロ砕肉
───────────────────────────────────
合 計 121.1 121.6 122.1 122.6 123.1 123.6
───────────────────────────────────
【0034】
比較例6の食塩無添加のものは、生地に粘性が無く全く結着しなかった。またキハダマグロ砕肉に対して0.5重量%添加区(参考例1)は、砕肉同士が結着はするものの非常に弱く、離水が多く満足ゆくものではなかった。1.0重量%添加区(実施例3)は、結着は良好だが離水や縮みがやや多い傾向であった。 1.5重量%添加区(実施例1)及び2.0重量%添加区(実施例4)は結着、離水共に良好な結果であった。しかし2.0重量%添加区はやや塩辛さが目立つ傾向であった。実施例5の2.5重量%添加区は塩からさが目立ち、結着は良好だが味の調整が難しい傾向にある。従って、食塩量は実施例1の1.5重量%前後が最も良好と推察できる。
【0035】
<試験例4> 魚肉片に添加する大豆蛋白量による効果の違い
結果が良好であった実施例1を基に、表5に示すとおり、実施例6〜9、比較例7で粉末豆乳を魚肉片に対して、1〜10重量%まで増加させて大豆蛋白水和物を調製し、実施例1と同様に焼き魚を製造し、その傾向を比較検討した。
【0036】
【表5】
Figure 0003767463
【0037】
1重量%添加区(実施例6)はやや魚肉が固く締まる傾向にある。3重量%添加区(実施例7)及び5重量%添加区(実施例8)は食感と離水共に良好であった。7重量%添加区(実施例9)はやや豆乳的な味が感じられ、食感も魚肉の繊維感中にわずかに異質な食感を感じるが、許容範囲であった。10重量%添加区(比較例7)は、結着や離水に問題はないものの、魚肉の食感がやや変化して違和感が感じられた。また豆乳的な味が目立つようになり味的にも好ましいものではなかった。
【0038】
<試験例3> 魚肉片に添加する加水量による効果の違い
ここでは表6に示すとおり、比較例8、実施例11〜15で一定量の粉末豆乳に対する加水倍率を1〜10重量倍まで変化させて大豆蛋白水和物を調製し、実施例1と同様に焼き魚を製造し、その傾向を比較検討した。
【0039】
【表6】
Figure 0003767463
【0040】
等量倍加水区(比較例8)は水和物が出来ず、魚肉との混合は不可能であった。2倍加水区(実施例11)では水和物は出来たが固いもので、やや混合に時間が要した。その結果やや繊維感は弱くなり、食感もやや固いものとなった。4〜6倍加水区(実施例12,13)は良好なものが得られた。8倍加水区(実施例14)はやや縮みが多い傾向にあるが、良好な食感であった。10倍加水区(実施例15)については、許容範囲であるものの、離水が目立ち柔らかくなる傾向にあった。
【0041】
【発明の効果】
本発明により得られる魚肉加工品は、蒲鉾等の従来の水産練製品とは異なり、焼き魚やフライにした際に、魚肉のほぐれるような繊維感を有するものであり、かつ魚肉中において強力な保水力を有しているため、一般の魚肉を加熱加工した場合に比較して固くなりにくく、ジューシーさを保つことが可能である。またその結果加熱時に水分の流出が少ないため、歩留まりも向上し、経済効果も得ることが出来る。
よって、成形後に蒸し加熱して魚肉ステーキとしたり、焼成することにより焼き魚としたり、成型加熱加工した後タレや味噌などに漬け込んで、魚肉漬け物としても食することが可能である。また焼き加工したものは、冷めても固くなりにくく、ジューシーさを保っているため、弁当用の惣菜等に最適である。

Claims (6)

  1. 魚肉片と塩化ナトリウムを混合する魚肉加工品の製造において、魚肉に対して0.8〜2.2重量%の塩化ナトリウムを大豆蛋白水和物中に偏在させて混合することを特徴とする魚肉の繊維感を有する魚肉加工品の製造法。
  2. 混合が魚肉片の肉繊維を擂り潰さない程度に行われる請求項1に記載の魚肉加工品の製造法。
  3. 魚肉片の大きさが3〜10mm片である請求項1又は請求項2に何れか記載の魚肉加工品の製造法。
  4. 大豆蛋白が粉末豆乳、分離大豆蛋白、及び濃縮大豆蛋白からなる群より選択される1以上である請求項1〜請求項3に何れか記載の魚肉加工品の製造法。
  5. 大豆蛋白の使用量が魚肉片に対して1〜8重量%であり、かつ大豆蛋白を水和するために使用する水の使用量が、大豆蛋白に対して1.5〜10重量倍である請求項1〜請求項5に何れか記載の魚肉加工品の製造法。
  6. 請求項1〜請求項5の何れかの製造法により得られる魚肉加工品。
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