JP2022057293A - チャック付き紙容器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022057293000001
【課題】本開示は、立体形状を有し、自立性があり、天部71にチャックテープ61を備えているチャック付き紙容器90に関する。チャック付き紙容器90を傾けて、内容物を振り出す際に、内容物が通過する振り出し用開口部56が適切な大きさに制限されて、振り出し量の制御がしやすい。
【課題を解決するための手段】チャック付き紙容器90の天部71に、開口制限部54を設ける。開口制限部54は、開口制限接合部55から形成される。開口制限接合部55は、チャックテープ61の近傍において、表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとが接合されて、形成される。
【選択図】図10

Description

本開示は、チャック付き紙容器に関し、特に立体形状を有し、自立性を備えた紙容器の分野において、その振り出し用開口部の開口具合を調整でき、内容物の振り出し量の加減を調整しやすいチャック付き紙容器に関する。
従来、チャック付き紙容器として、特許文献1のような技術が開示されている。すなわち、直方体形状の紙容器の上部にチャックを設けており、内容物を取り出す際にはチャックを開けて、内容物の取り出しが終了したらチャックを閉じることができる。
上記の技術により、内容物の保護や、紙容器転倒時の内容物の零れを防止できる。また、紙容器であることから、内容物を消費後の容器の減容化や、廃棄が容易である。図1に、従来技術のチャック付き紙容器80の製造に用いるブランク板81を、図2に従来技術のチャック付き紙容器80の斜視図を、図3に天部871を開口した状態の斜視図を示す。
なお、今後特段の説明がない場合は、図2を参照に、表がわ壁面板831bを表がわとして、チャック付き紙容器80の表がわ、裏がわ、左がわ、右がわ、上がわ、下がわを示すものとする。本開示のチャック付き紙容器90においても、同様とする。
また、従来技術の説明を行う際に使用する符号は、本開示と区別するために、80番代又は800番代としている。
また、符号の添え字のaは、チャック付き紙容器80の裏がわ部分の要素を示し、添え字のbは表がわ部分の要素を示す。添え字のaとbとの両方がある要素において、添え字がない符号は、aとbの両方を含むものとする。
特許文献1に記載されたチャック付き紙容器80においては、その天部871を開口し、内容物を振り出す際には、まず天面がわ突出部(耳部)874が胴部872から取り外され、次に易開封加工線851が切断されたのち、チャックテープ861が開かれて、振り出し用開口部856が開口される。
そして、チャック付き紙容器80が持ち上げられて、傾けられることにより、内容物が振り出される。
しかしながら、振り出し用開口部856には、後に説明する天部871の開口を制限する開口制限部がなく、図3のようにチャック付き紙容器80の横断方向の略全幅に渡り開口するので、少量の振り出しの要求に対して、所望の量よりも意図せずに大量に振り出してしまう虞れがあった。
特開2005-178833号公報
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、チャック付き紙容器90において、内容物を振り出すための振り出し用開口部56の開口具合が適切な大きさに制限されることにより、振り出し量の加減がしやすいチャック付き紙容器90を提供するものである。
上記の課題は、本開示の以下の実施形態により解決することができる。
すなわち、本開示のチャック付き紙容器90は、
紙を基材とする積層シート78からなる表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとを接合して組み上げられるチャック付き紙容器90において、
前記チャック付き紙容器90の上部に、前記表がわブランク板10bと前記裏がわブランク板10aとが重ね合わされて接合される上部重ね合わせ板34、及び前記上部重ね合わせ板34の下がわに連設される天面板33とからなる天部71と、
前記上部重ね合わせ板34の一方の端部に連設される第一天部の側部板411と、
前記上部重ね合わせ板34の他方の端部に連設される第二天部の側部板412と、
前記天部71の左右両がわに連設される天部がわ突出部74と、
前記天部71の下がわに備わる胴部72と、
前記胴部72の下がわに備わる底部73と、
前記上部重ね合わせ板34及び前記第一天部の側部板411及び前記第二天部の側部板412の上縁部21若しくは前記上縁部21の近傍を、横断する上部シール部53と、
前記上部シール部53の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板34及び前記第一天部の側部板411及び前記第二天部の側部板412を横断するチャックテープ61と、を備え、
前記上部重ね合わせ板34同士及び/又は前記第一天部の側部板411同士及び/又は前記第二天部の側部板412同士が接合されてなる開口制限接合部55が設けられることを特徴としている。
上述した本開示の実施形態によれば、チャック付き紙容器90において、前記上部重ね合わせ板34同士及び/又は前記第一天部の側部板411同士及び/又は前記第二天部の側部板412同士が接合されてなる開口制限接合部55により、振り出し用開口部56の開口具合が適切な大きさに制限されることにより、内容物の振り出し量の加減がしやすくなる。
なお、第一天部の側部板411と、第二天部の側部板412とを合わせて、天部の側部板41と表記することがある。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55は、前記チャックテープ61の上がわ近傍、及び/又は下がわ近傍に位置してもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55は、ブランク板93の一方の側縁部である第一側縁部11若しくは前記第一側縁部11の近傍から、他方の側縁部である第二側縁部16に向かって内方に延在してもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55が形成される前記チャック付き紙容器90の横断方向の範囲が、
前記第一側縁部11若しくは前記第一側縁部11の近傍から、
前記上部重ね合わせ板34の幅方向の中央部までであってもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55が形成される前記チャック付き紙容器90の横断方向の範囲が、
前記第一側縁部11若しくは前記第一側縁部11の近傍から、
前記チャック付き紙容器90の胴部72の稜部72dを形成する縦折り曲げ線のうち、前記第一側縁部11に近いがわの第二縦折り曲げ線13若しくは前記第二縦折り曲げ線13の近傍までであってもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55が形成される前記チャック付き紙容器90の横断方向の範囲が、
前記第一側縁部11若しくは前記第一側縁部11の近傍から、
前記チャック付き紙容器90の胴部72の稜部72dを形成する縦折り曲げ線のうち、前記第二側縁部16に近いがわの第三縦折り曲げ線14若しくは前記第三縦折り曲げ線14の近傍までであってもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55が形成される前記チャック付き紙容器90の横断方向の範囲が、
前記第一側縁部11若しくは前記第一側縁部11の近傍から、
前記チャック付き紙容器90の胴部72の稜部72dを形成する縦折り曲げ線のうち、前記第二側縁部16に近いがわの第三縦折り曲げ線14と、前記第二側縁部16がわの側面がわシール代36の内がわにある第四縦折り曲げ線15との距離を距離Xとして、
前記第三縦折り曲げ線14より、前記第一側縁部11の方向に前記距離Xだけ離れた位置までであってもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記開口制限接合部55を含む領域に、易剥離加工部58が設けられてもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記易剥離加工部58は、前記上部シール部53、及び前記チャックテープ61が接合される領域である前記ブランク板93のチャックテープ接合部52の箇所には設けられなくてもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記易剥離加工部58は、前記第一側縁部11に隣接して設けられる第一側縁部がわシール代361には設けられなくてもよい。
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記易剥離加工部58は、前記開口制限接合部55の第二側縁部16がわの端部551およびその近傍には設けられなくてもよい。
上述した本開示の実施形態によれば、チャック付き紙容器90において、その振り出し用開口部56の開口具合が適切な大きさに制限されることにより、内容物の振り出し量の加減がしやすいチャック付き紙容器90を提供することができる。
従来技術のチャック付き紙容器80の製造に用いるブランク板81の展開図である。 従来技術のチャック付き紙容器80の斜視図である。 従来技術のチャック付き紙容器80の天部71を開口した状態の斜視図である。 本開示の第一の実施形態の第一の態様のチャック付き紙容器90の製造に用いるブランク板93の展開図である。 図4に示したブランク板93を用いてチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 図4に示したブランク板93を用いてチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(起函状態)92の形状を示す斜視図である。 図4に示したブランク板93を用いて作製したチャック付き紙容器90の斜視図である。 図7に示したチャック付き紙容器90の左側面図である。 図7示したチャック付き紙容器90の平面図である。 図7に示したチャック付き紙容器90の天部71を部分的に開口した状態の斜視図である。 本開示のチャック付き紙容器90のブランク板93の積層シート78の断面図である。 本開示の第一の実施形態の第二の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第一の実施形態の第三の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第一の実施形態の第四の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第一の実施形態の第五の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第一の実施形態の第六の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第一の実施形態の第七の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第二の実施形態の第一の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。 本開示の第二の実施形態の第二の態様のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。
以下、本開示について図面を用いながら説明する。但し、本開示はこれら具体的に示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更又は誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直、中央等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
<第一の実施形態の第一の態様>
<ブランク板>
本態様のチャック付き紙容器90のブランク板93を、図4に示す。図4(a)は、裏がわブランク板10aを表し、図4(b)は表がわブランク板10bを表す。なお、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bの2枚を、合わせてブランク板93と記述する。
また特段の説明がない限り、後述されるブランク板93の各構成要素において、各符号の添え字のaは、裏がわ部分のブランク板10aの要素を示し、添え字のbは表がわ部分のブランク板10bの要素を示す。添え字のaとbの両方がある要素において、添え字がない符号は、aとbの両方を含むものとする。
図4(a)の裏がわブランク板10aの図面の下がわである、裏がわ上縁部21aが、チャック付き紙容器90の上がわとなる。
図4(b)の表がわブランク板10bの図面の上がわである、表がわ上縁部21bが、チャック付き紙容器90の上がわとなる。
図4(a)、(b)とも、図面の表面がわが、チャック付き紙容器90を組み立てた際の外面がわとなり、裏面がわが内面がわとなる。
図4(a)、(b)は、夫々の上縁部21a、21bを基準にして、線対称となっており、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bの内面同士を、位置を合わせて重ね合わせると、各構成要素(後述する各形成板、線、シール部、チャックテープ接合部など)は重なり合う。
位置を合わせて重ねられた上述の裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bが接合されて、図5のような中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製されて、さらに図6のような中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が作製されて、チャック付き紙容器90の完成に向けて手順が進んでいくが、この製造方法については、後述する。
今後特段の記述がない場合は、図4(b)を参照として、表がわブランク板10bの上下左右を示すものとする。裏がわブランク板10aについても、その上縁部21aを上がわとして説明する。従って図4(a)では、上下が逆となる。
チャック付き紙容器90においても、その上縁部21がわを上がわとし、下縁部26がわを下がわとする。
なお、形成されたチャック付き紙容器90は、後ほど説明するが、上がわから順次、天部71、胴部72、底部73で構成されており、上述の上がわを天部がわと、下がわを底部がわと称することもある。(図7参照)。
また、天部71に設けられた各構成要素の上下方向を説明する際に、天部がわとの記載は上縁部21がわを示し、底部73に設けられた各構成要素の上下方向を説明する際に、底部がわとの記載は下縁部26がわを示すこともある。
上述のように、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bは、上下に線対称の形状であるので、ブランク板93の説明については、表がわブランク板10bで説明する。
なお、機能に変更が生じない範囲において、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bは、線対称から外れてもよい。
また、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bとは、材質(層構成)、製造方法も同じである。
本態様のチャック付き紙容器90の表がわブランク板10bは、少なくとも基材の紙を積層し、少なくとも最内層としてポリエチレンなどの熱接着性樹脂を積層した積層シート78を用いて、外形を略矩形状に形成している。図4(b)を参照にして、上がわを上縁部21b、左がわを第一側縁部11b、右がわを第二側縁部16b、下がわを下縁部26bとする。
なお、積層シート78については、後ほど説明する。
表がわブランク板10bには、左がわから順次、縦断方向に存在する表がわ第一縦折り曲げ線12bと、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第三縦折り曲げ線14bと、表がわ第四縦折り曲げ線15bが設けられている。
それらの表がわ縦折り曲げ線12b、13b、14b、15bは、各々が表がわ第一側縁部11b及び表がわ第二側縁部16bに略平行であることが望ましい。
また、表がわブランク板10bには、表がわ上縁部21bがわから順次、横断方向に存在する表がわ第一横折り曲げ線22b、表がわ第二横折り曲げ線23b、表がわ第三横折り曲げ線24b、表がわ第四横折り曲げ線25bが設けられている。
それらの表がわ横折り曲げ線22b、23b、24b、25bは、各々が上縁部21b及び下縁部26bに略平行であることが望ましい。
さらに、表がわ第一天部がわ斜め折り曲げ線171b、表がわ第二天部がわ斜め折り曲げ線172b、表がわ第一底部がわ斜め折り曲げ線181b、表がわ第二底部がわ斜め折り曲げ線182bが設けられており、チャック付き紙容器90の形成に必要な各部の形成板が区画されて構成されている。
なお、表がわブランク板10bの右がわの表がわ第一天部がわ斜め折り曲げ線171bと、表がわブランク板10bの左がわの表がわ第二天部がわ斜め折り曲げ線172bとを合わせて、表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bと表記することがある。
表がわ第一天部がわ斜め折り曲げ線171bの上端部は、表がわ第一縦折り曲げ線12bと表がわ第一横折り曲げ線22bとの交点である、表がわ第一の一天部交点E1bと同じ位置である。
表がわ第一天部がわ斜め折り曲げ線171bの下端部は、表がわ第二縦折り曲げ線13bと表がわ第二横折り曲げ線23bとの交点である、表がわ第二の一天部交点F1bと同じ位置である。
また、表がわ第二天部がわ斜め折り曲げ線172bの上端部は、表がわ第四縦折り曲げ線15bと表がわ第一横折り曲げ線22bとの交点である、表がわ第一の二天部交点E2bと同じ位置である。
表がわ第二天部がわ斜め折り曲げ線172bの下端部は、表がわ第三縦折り曲げ線14bと表がわ第二横折り曲げ線23bとの交点である、表がわ第二の二天部交点F2bと同じ位置である。
なお、表がわブランク板10bの右がわの表がわ第一底部がわ斜め折り曲げ線181bと、表がわブランク板10bの左がわの表がわ第二底部がわ斜め折り曲げ線182bとを合わせて表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bと表記することがある。
表がわ第一底部がわ斜め折り曲げ線181bの上端部は、表がわ第二縦折り曲げ線13bと表がわ第三横折り曲げ線24bとの交点である、表がわ第二の一底部交点H1bと同じ位置である。
表がわ第一底部がわ斜め折り曲げ線181bの下端部は、表がわ第一縦折り曲げ線12bと表がわ第四横折り曲げ線25bとの交点である、表がわ第一の一底部交点G1bと同じ位置である。
表がわ第二底部がわ斜め折り曲げ線182bの上端部は、表がわ第三縦折り曲げ線14bと表がわ第三横折り曲げ線24bとの交点である、表がわ第二の二底部交点H2bと同じ位置である。
表がわ第二底部がわ斜め折り曲げ線182bの下端部は、表がわ第四縦折り曲げ線15bと表がわ第四横折り曲げ線25bとの交点である、表がわ第一の二底部交点G2bと同じ位置である。
なお、上述の各斜め折り曲げ線171b、172b、181b、182bは、上述の各交点E1b、E2b、F1b、F2b、G1b、G2b、H1b、H2bとは接せずに、近傍に位置してもよい。近傍に位置することにより、充分な折り曲げ性能を有しつつ、なおかつ特定な箇所に折り曲げ線の過度な集中がなく、表がわブランク板10bの積層シート78の強度の低下を防ぐことができる。
表がわブランク板10bの左がわの第一側縁部11bには、表がわ第一側縁部がわシール代361bが表がわ第一縦折り曲げ線12bにて形成され、右がわの第二側縁部16bには、表がわ第二側縁部がわシール代362bが表がわ第四縦折り曲げ線15bにて形成されている。
また、表がわブランク板10bの下がわに位置する表がわ下縁部26bには、表がわ底部がわシール代37bが表がわ第四横折り曲げ線25bにて形成されている。
また、表がわブランク板10bには、その最も上がわに位置する表がわ上縁部21bより下がわ方向に、各部の形成板が設けられている。
主要部について説明すると、表がわ上縁部21bの下がわに、表がわ上部重ね合わせ板34bが設けられている。その表がわ上部重ね合わせ板34bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ天面板33bが連設されている。その表がわ天面板33bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ壁面板31bが連設されている。その表がわ壁面板31bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ底面板35bが連設されている。
また、表がわ上部重ね合わせ板34bの左がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ第一天部の側部板411bが連設されている。
表がわ上部重ね合わせ板34bの右がわの外方には、表がわ第三縦折り曲げ線14bを介して、表がわ第二天部の側部板412bが連設されている。
また、表がわ天面板33bの左がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ第一天部がわ突出部(耳部)代381bが連設されている。
表がわ天面板33bの右がわの外方には、表がわ第三縦折り曲げ線14bを介して、表がわ第二天部がわ突出部(耳部)代382bが連設されている。
また、表がわ壁面板31bの左がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ第一側面板321bが連設されている。
表がわ壁面板31bの右がわの外方には、表がわ第三縦折り曲げ線14bを介して、表がわ第二側面板322bが連設されている。
また、表がわ底面板35bの左がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ第一底部がわ突出部(耳部)代431bが連設されている。
表がわ底面板35bの右がわの外方には、表がわ第三縦折り曲げ線14bを介して、表がわ第二底部がわ突出部(耳部)代432bが連設されている。
また、表がわ第一天部の側部板411bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ第一天部がわ突出部(耳部)代381bが連設されている。その表がわ第一天部がわ突出部(耳部)代381bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ第一側面板321bが連設されている。その表がわ第一側面板321bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ第一底部がわ突出部(耳部)代431bが連設されている。
また、表がわ第二天部の側部板412bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ第二天部がわ突出部(耳部)代382bが連設されている。その表がわ第二天部がわ突出部(耳部)代382bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ第二側面板322bが連設されている。その表がわ第二側面板322bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ第二底部がわ突出部(耳部)代432bが連設されている。
本態様のブランク板93への折り曲げ線を付与する加工(罫線加工)は、積層シート78が完成してから罫線加工して、その後にチャック付き紙容器90を製造する機械に積層シート78を供給する。あるいは、罫線加工はチャック付き紙容器90を製造する機械にて実施してもよい。
罫線加工の方法としては、プラテン方式、ロータリーダイ方式など公知の方法から、適切な方法が採用される。
また、罫線加工を実施する前に、積層シート78をシート断ちしてもよい。あるいは、積層シート78はロール状で罫線加工の工程に供給されてもよい。
また、積層シート78を打ち抜いて、ブランク板93を製造する打ち抜き工程について説明する。その打ち抜き工程は、プラテン方式、ロータリーダイ方式など公知の方法から、適切な方法が選択される。ロール状の積層シート78から直接にブランク板93が形成されてもよく、一度枚葉にシート断ちされてから、打ち抜がれてもよい。
また、罫線加工と打ち抜き加工の順番は問わない。同時に加工してもよい。
また、所定のロール幅にスリットしたロール状の積層シート78を、チャック付き紙容器90を製造する機械に供給し、ロール状の積層シート78の横断方向に切断し、ブランク板93が作製されてもよい。
また、裏がわブランク板10aは、表がわブランク板10bと線対称で同形状である。言い替えれば、ブランク板の層構成が逆になっている同形状のブランク板である。
図5は、図4に示したブランク板93を用いてチャック付き紙容器90を製造する際の、中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。最上部が図4(b)に示した表がわブランク板10bの上縁部21bであり、その裏がわには、裏がわブランク板10aが備えられている。裏がわブランク板10aは目視できないが、透視とすると表がわブランク板10bとほぼ同形状となる。
なお、図5では、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bが重なっており、各構成要素は、製造上のバラツキの範囲で、図面を透視すると同じ位置関係であるので、表がわの表記及び添え字を、説明の際に割愛することがある。
上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412には、上述の2枚のブランク板93が互いに重なり合う所定の位置に、横断方向の密封手段としての上部シール部53と、チャックテープ接合部52とが、上縁部21がわから順次に設けられている。
上部シール部53は、上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412の上縁部21、若しくは上縁部21の近傍に設けられる。
上部シール部53が上縁部21に略平行であると、上部シール部53の長さを短くすることができ、かつブランク板93に無駄が生じない。
横断方向の密封手段としての上部シール部53は、相対することになる表がわ上部シール部53bと裏がわ上部シール部53aとが接合されて形成される。その接合は、チャック付き紙容器90の上縁部21、若しくは上縁部21の近傍を、全幅に渡って横断するように接合されるため、チャック付き紙容器90の密閉が保たれる。
また、上部シール部53は、上縁部21に略平行であることが望ましい。さらに、チャックテープ接合部52は、上縁部21に略平行であることが望ましい。
そのような形態では、チャックテープ61の開閉及び、内容物の取り出しが容易となる。また、チャックテープ61の長さを短くすることができる。
<易開封加工線>
易開封加工線51について説明する。
上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412には、開封手段としての易開封加工線51が設けられてもよい。
易開封加工線51が設けられることで、鋏などの道具を使用しなくても、チャック付き紙容器90を開封できる。
図5を参照として、易開封加工線51は、ブランク板93の第一側縁部11から第二側縁部16まで繋がっており、上部シール部53とチャックテープ61の間に存在する。
易開封加工線51の端部のどちらかにノッチ77が設けられてもよく、本態様では第二側縁部16にノッチ77が設けられている。また、ノッチ77は第一側縁部11に設けられてもよい。あるいは第一側縁部11及び第二側縁部16の両方にノッチ77が設けられてもよい。ノッチ77が設けられることにより、初期の開封が容易になる。
易開封加工線51を第二側縁部16がわから切断し、第一側縁部11まで至ることで、上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412が横断的に切除されて、あわせて上部シール部53が切除されて、チャックテープ61が露出する。
なお、開封手段の易開封加工線51に、断続的なハーフカット線又は直線状のハーフカット線を使用する場合は、通常の刃物による方法で形成してもよいが、レーザ光照射による方法、超音波を利用する方法、ダイヤモンドカットと呼ばれる方法を使用することにより、より精度と安定性に優れたハーフカット線を形成することができる。
また、易開封加工線51は、幅を有する帯状であってもよい。また、易開封加工線51は複数設けられてもよい。
なお、ブランク板93の積層シート78の材質、層構成、易開封処理の状況などによっては、易開封加工線51を設けなくてもよい。易開封加工線51が無くても、人の手にて開封可能な場合がある。
さらに、易開封加工線51が設けられない場合は、鋏などの刃物で開封されてもよい。その場合は、開封予定線が印刷によって表示されてもよい。また、その印刷の位置は、図5に示された表がわ易開封加工線51bの位置に印刷されてもよい。また、チャック付き紙容器90には開封予定線を明示せずに、添付する説明書などに記載してもよい。
<チャックテープ>
チャックテープ61は、雄型チャックテープと雌型チャックテープとが、それぞれ押出成形にて成形されており、雄型チャックテープ嵌合部と、雌型チャックテープ嵌合部とが嵌合されている。
<チャックテープの接合手順>
チャック付き紙容器90の組み立ての手順は後ほど説明するが、その手順のうち、ここではチャックテープ61の接合手順を説明する。
チャックテープ接合部52は、この場合、チャック付き紙容器90を組み立てる際のチャックテープ61の接合予定部である。
裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bとが重ね合わされて、第一側縁部がわシール代361同士、第二側縁部がわシール代362同士、及び上部シール部53同士がヒートシールされる。
その際に、予め雄型チャックテープと雌型チャックテープとが、雄型チャックテープ嵌合部と、雌型チャックテープ嵌合部とで嵌合されたチャックテープ61がこの部分に挿入される。そして、同時に2枚のブランク板93の外面がわからチャックテープ接合部52が加熱、加圧される。そして、ブランク板93とチャックテープ61とが、ヒートシールされる。
なお、チャックテープ61のブランク板93への接合は、上記のようなヒートシールに限らず、接着剤や接着テープなど、その他の方法にて接合されてもよい。
このような方法でチャックテープ61がヒートシールされることにより、雄型チャックテープと雌型チャックテープとを別々にチャックテープ接合部52にヒートシールする方法と比較して、ヒートシールの位置ずれが少なくなり、また、取り付け工程が簡略化されるので、生産効率よくチャックテープ61を取り付けることができる。
<ブランク板の積層シート>
ブランク板93に用いる積層シート78は、前述したように、少なくとも紙基材層782を積層し、少なくとも最内層の熱可塑性樹脂層783としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を積層した積層シート78を用いるが、中間層には必要に応じて、水蒸気や酸素やその他の物質のバリア層785や、強度向上層などを設けることができる。
また、本態様のチャック付き紙容器90に絵柄等の印刷層を設ける場合、通常は紙基材層782の表面に印刷するが、仮に紙基材層782の印刷適性が良くない場合は、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどに絵柄等の印刷層を設け、そのフィルムを紙基材層782の外がわのいずれかの層に積層することもできる。
紙基材層782は、剛性があり、且つ、折り曲げ線などで折り曲げた時、割れの生じにくい紙が好ましいが、特に限定はされずチャック付き紙容器90に充填される内容物に応じて、耐水性(サイズ度)なども考慮して適するものを適宜に選定して使用することができる。
具体例として、上質紙、晒クラフト紙、カップ原紙、ミルクカートン原紙などを好適に使用することができ、その坪量は、80~320g/m2の範囲が適切である。
最内層、及び必要に応じて最外層、中間層の熱接着性樹脂層(シーラント層)の樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー、そして、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリエステル系樹脂などを使用することができ、これらの中から、充填される内容物や、保管及び使用される条件に応じて、適するものを適宜に選定して使用することができる。
上記の熱接着性樹脂のうち、特にエチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)及びエチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)は、押し出しコートなどの加工時の熱安定性、各種の基材に対する接着性、低温ヒートシール性などに優れると共に、薄膜形成性にも優れているので、厚みをそれほど必要としない最外層の熱接着性樹脂層を、例えば、6~10μmのような比較的薄い厚さで押し出しコートして積層することも容易であり、プラスチック材料の使用比率を低減できると同時に、コスト面でもメリットを得ることができる。
以上のような最内層、及び必要に応じて最外層の熱接着性樹脂層は、その積層面に必要に応じてアンカーコート、コロナ処理、フレーム(火炎)処理などの易接着性処理を施した後、その上に樹脂を押し出しコートして積層できるほか、熱接着性樹脂を予めフィルム状に製膜しておいて、そのフィルムを公知のドライラミネート又は押し出しラミネート(サンドイッチラミネート)などで貼り合わせて積層することができる。
積層シート78の中間層にバリア層785を積層する場合、バリア層785としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウム、シリカ、アルミナなどの金属又は無機酸化物を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)、二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルム)などの基材フィルムに、厚み20~100nmに蒸着した蒸着フィルムなどを使用することができる。あるいは、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム(以下、EVOHフィルム)、ナイロンMXD6の二軸延伸フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、そして、ポリ塩化ビニリデンの塗膜層を設けたPETフィルム、ONフィルム、OPPフィルムなどを使用することができる。
このようなバリア層785は、通常、紙基材層782の内がわの面に積層することが、そのバリア性を効果的に利用できる点で好ましいが、バリア層785にアルミニウムなどの金属箔や金属蒸着フィルムを使用した場合は、そのメタリック感をデザインにも利用するため、紙基材層782の外がわの面に積層することもできる。バリア層785の積層は、公知のドライラミネート又は押し出しラミネート(サンドイッチラミネート)などにより容易に積層することができる。
本態様のチャック付き紙容器90のブランク板93の積層シート78の層構成を例示する。
図11(a)は、3層からなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
最外層の熱可塑性樹脂層781 / 紙基材層782 /
最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
図11(b)は、2層からなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
紙基材層782 / 最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。図11(a)に示した3層からなるブランク板93から、最外層の熱可塑性樹脂層781を切除した層構成である。
また、ブランク板93にバリア性(水蒸気、酸素、保香性など)を要求する場合は、バリア層785を備えることができる。図11(c)は、5層ならなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
最外層の熱可塑性樹脂層781 / 紙基材層782 / 中間の接着層 784 /
バリア層785 / 最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
図11(d)は、4層からなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
紙基材層782 / 中間の接着層 784 / バリア層785 /
最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
図11(c)に示した5層からなるブランク板93から、最外層の熱可塑性樹脂層781を切除した層構成である。
上記の各積層シート78の各層間の接合は、公知のドライラミネート、押出コーティング、接着剤などにより行われる。なお、各層間の接合のための層は、厚さが薄いため、示していない。
<チャック付き紙容器の作製>
以下に、チャック付き紙容器90のブランク板93から、中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製され、さらに中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が作製され、そして内容物が充填されたチャック付き紙容器90の包装体が完成させられるまでの手順の概要を説明する。
<中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)の作製>
図5を参照にして、表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとが重ね合された際に、チャックテープ接合部52同士が重なる位置に、予め雄型チャックテープと雌型チャックテープとが嵌合されたチャックテープ61が挿入され、2枚のブランク板93のそれぞれの外面がわからチャックテープ接合部52が加熱、加圧されヒートシールされる。
次いで上部シール部53の内面同士がヒートシールされ、ブランク板93の第一側縁部11に隣接した第一側縁部がわシール代361の内面同士、及び第二側縁部16に隣接した第二側縁部がわシール代362の内面同士がヒートシールされる。そのようにして、中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91は、下縁部26が開口する袋状に形成される。
また、易開封加工線51の両がわの端部にノッチ77が設けられてもよい。なお、ノッチ77は、どちらか一箇所の端部に設けてもよい。
チャック付き紙容器90は、実際の製造の際には特に限定はされないが、生産性をよくするため、紙容器の組み立てと、内容物の充填と、各接合箇所のシールとをインラインで行う装置を用いてもよい。
その装置において、ロール状に巻き上げられた長尺の印刷済み積層シート78を繰り出して、紙容器が横につながった形式で、折り曲げ線の加工、及びチャックテープ61の挿入及びヒートシール、第一側縁部がわシール代361のヒートシール、第二側縁部がわシール代362のヒートシール、上部シール部53のヒートシール、ノッチ77の打ち抜きなどを行ってもよい。
なお、所望のチャック付き紙容器90が得られるならば、上記工程の順番以外でも構わない。
<開口制限接合部>
図10を参照にして、開口制限接合部55、及び開口制限部54について説明する。
開口制限接合部55は、チャック付き紙容器90の幅方向を長手にして、表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとを接合して、チャック付き紙容器90の天部71の開口具合を制限する開口制限部54を形成するものである。
本態様のチャック付き紙容器90では、内容物を振り出す際は、左右どちらかの側面板、すなわち第一側面板321若しくは第二側面板322を下がわにするように、チャック付き紙容器90が傾けられる。
その際、下がわになる側面板に近い方に、振り出し用開口部56が設けられて、その反対がわに開口制限部54が設けられるので、チャック付き紙容器90の天部71の開口具合が適切になる。
本態様の開口制限部54は、一方の側縁部に近接して設けられ、振り出し用開口部56は、他方の側縁部に近接して設けられる。
ここでは、開口制限部54を第一側縁部11がわ(左がわ)として、振り出し用開口部56を第二側縁部16がわ(右がわ)として説明するが、逆の配置であってもよい。
詳しくは後述されるが、チャック付き紙容器90の天部71を開口する際には、易開封加工線51が切り取られて、チャックテープ61が露出し、そして開口される。そして、開口制限接合部55が形成する開口制限部54により、振り出し用開口部56が適切な大きさに開口させられるために、内容物が適切に振り出される。
開口制限接合部55は、表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとが接合されて形成されるが、その接合方法は、接着剤、接着テープ、ヒートシールなどがあり、ブランク板93の積層シート78の最内層が熱可塑性樹脂層である場合は、ヒートシールが好適である。
開口制限接合部55は、チャックテープ61の開口を制限するので、チャックテープ61の近傍に位置することが望ましい。チャックテープ61の上がわ、下がわのいずれでもよく、上下の両がわにあってもよい。
本態様では、開口制限接合部55は、チャックテープ61の上がわに位置しており、そして易開封加工線51の下がわに位置している。チャック付き紙容器90の天部71を開封する際に、開口制限接合部55は、チャックテープ61の近傍に残らなくてはならない。
また、易開封加工線51の上がわまで、開口制限接合部55が存在してもよいが、必ず、易開封加工線51の下がわには、開口制限接合部55が存在するようにする。そのようにすることで、易開封加工線51が切断されても、開口制限接合部55は残る。
易開封加工線51と開口制限接合部55が重なってもよいが、易開封加工線51の開封性は保たなくてはならない。
また、チャックテープ61と開口制限接合部55とは、重なってもよいが、チャックテープ61と重なった開口制限接合部55の領域は、チャックテープ61の厚さの分だけ、他の開口制限接合部55よりも厚くなる。
そのため、開口制限接合部55の接合が不均一になりやすいので、ヒートシールのヘッドに段差を設けるなどの方法、開口制限接合部55とブランク板93のヒートシールが充分できるようにする。そのことにより、開口制限接合部55が、所望の寸法の開口制限部54を形成できる。
また、チャックテープ61と開口制限接合部55との干渉を避けるためには、チャックテープ61と開口制限接合部55とに間隔を設けてもよい。
チャックテープ61の取り付け位置のバラツキや、開口制限接合部55のヒートシール等のバラツキを考慮すると、少なくとも1mmの間隔が望ましい。
また、チャックテープ61の開口を制限するには、チャックテープ61と開口制限接合部55とは、大きく離れてはならず、それらの間隔は5mm以下であることが望ましい。
また、開口制限接合部55は、第一側縁部11若しくはその近傍から、チャック付き紙容器90の内方に向かって横方向に伸びているが、第二側縁部16には至っていない。
また、本態様では、第一側縁部がわシール代361と開口制限接合部55とは重なっているが、離間させてもよい。どちらの場合も、開口制限接合部55の開口を制限する機能は変わらない。
開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551の位置は、開口制限部54の大きさ、即ち振り出し用開口部56の大きさを規定する。
また、図示はしていないが、本開示のチャック付き紙容器90において、開口した振り出し用開口部56の上縁部21を上がわから見ると、三つの折り曲げ線と、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551とを利用して開口している。三つの折り曲げ線とは、表がわ第三縦折り曲げ線14b、裏がわ第三縦折り曲げ線14a、第四縦折り曲げ線15である。
本開示の開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551は、表がわ上部重ね合わせ板34bの幅方向(左右方向)の中央部である。このことにより、開口制限部54は、チャック付き紙容器90の幅の半分となり、したがって振り出し用開口部56の大きさもチャック付き紙容器90の半分となる。よって、開口具合のバランスが良く、内容物の振り出し量の制御がしやすい。
開口制限接合部55は、中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91を作製する時に形成されてもよい。即ち、上部シール部53や、側縁部がわシール代36と同工程にてヒートシールされてもよい。
あるいは、上部シール部53や、側縁部がわシール代36とは別工程、ここでは後工程で、開口制限接合部55が設けられてもよい。
ここで、外形(開口制限接合部55以外の箇所)が同一で、開口制限接合部55の大きさだけが異なるチャック付き紙容器90を考える。この場合は、開口制限接合部55が未加工である中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91(ここでは資材とする。)が、共通の資材として準備される。そして、所望の振り出し用開口部56の大きさに合わせた、開口制限接合部55が、後工程で加工されてもよい。
この手順であれば、複数の大きさの振り出し用開口部56に対しても、共通の資材を準備すればよいので、資材の在庫数量、品種を減らすことができる。
<中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)の作製>
図5、6を参照にして、中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)の作製の手順について説明する。
上記の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91の底部73の開口部からマンドレルが差し込まれて、上部重ね合わせ板34が残されて、その下がわの天面板33が、第一横折り曲げ線22により前後に広げられて、上部重ね合わせ板34が上方向に起立させられる。
ここで、胴部72の稜部72dの折り曲げ加工を確実に行うために、胴部72の内がわ及び/又は外がわから、稜部72dの近傍(当接を含む)に補助部材を接触させてもよい。
上部重ね合わせ板34の下がわに天面板33による天部71と、さらに水平断面の形状が略矩形状である胴部72が続き、底部73が略矩形状に開口する中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が形成される。
この段階では図6のように、上部重ね合わせ板34は、上方向に起立している。
なお、設計では胴部72の水平断面の形状及び底部73の開口の形状は、矩形状を想定しているが、紙を主体とした柔軟性がある積層シート78からなるチャック付き紙容器90であるため、完全な矩形状とならない場合を含め、略矩形状としている。
<チャック付き紙容器の成形・充填>
次に、上方向に起立する上部重ね合わせ板34が、背面がわ(裏がわ天面板33aがわ)に折り曲げて寝かされて、左右両がわに突出する天部がわ突出部(耳部)74が、側面板32の方向に折り曲げられて、胴部72に接合される。
接合する方法は、接着剤(ホットメルト等)を使用する方法、接着テープを使用する方法、機械的に接合する方法(係合させるもの、接合具を用いるもの)などでもよい。また、ブランク板93の最外層に熱可塑性樹脂層(シーラント層)が備えられる場合は、その熱可塑性樹脂層がヒートシールされる方法がある。
後述する底部がわ突出部(耳部)75の接合も、同様な方法が用いられる。
なお、天部がわ突出部(耳部)74の先端部が、チャック付き紙容器90の胴部72に接合されてもよい。
また、天部がわ突出部(耳部)74の先端部以外の箇所が、チャック付き紙容器90の胴部72に接合してもよい。その場合は、天部がわ突出部(耳部)74の先端部は、チャック付き紙容器90の胴部72に接合されなくてもよい。
上記のように形成された中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92の底部73が上に向けられて、開口する底部73から内容物が充填され、次いで、底部73が折り曲げられて、底部がわシール代37同士が合掌シール形式でヒートシールされる。
その後、接合された底部がわシール代37が、背面がわ(裏がわ底面板35aがわ)に折り曲げて寝かされて、左右両がわの突出する底部がわ突出部(耳部)75が底面板35がわに折り曲げられて接合されることにより、略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成する。
図7は、本態様のチャック付き紙容器90の第一の実施形態を示す斜視図である。図8は、図7に示したチャック付き紙容器90の第一側縁部11がわ(左がわ)から見た側面図である。図9は、図7に示したチャック付き紙容器90の平面図である。
図7に示したチャック付き紙容器90は、外形を略直方体形状に形成したものであり、その胴部72の稜部72dを備えている。
なお、設計では直方体形状のチャック付き紙容器90を想定しているが、紙を主体とした柔軟性がある積層シート78からなるチャック付き紙容器90であるため、完全な直方体形状とならない場合を含め、略直方体形状としている。
<チャック付き紙容器の取り出しのための開口動作>
完成した内容物入りチャック付き紙容器90の包装体の天部71を、内容物を取り出すために開口した状態を図10に示す。
易開封加工線51が、第二側縁部16がわに設けられたノッチ77より、人の手により開封が開始されて、第一側縁部11に至るまで切断される。
次に、表がわ易開封加工線51bと表がわチャックテープ61bの間の表がわ開封掴み代57bと、裏がわ易開封加工線51aと裏がわチャックテープ61aの間の裏がわ開封掴み代57aとを、それぞれ人の手で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向に拡げることにより、易開封加工線51にて露出したチャックテープ61が開口させられる。
このチャックテープ61の開口動作の際に、チャックテープ61の第一側縁部11がわは、チャックテープ61の近傍にある開口制限接合部55の内方の端部551にて開口が制限される。また、チャックテープ61の第二側縁部16がわは、第二側縁部がわシール代362まで開口する。
上記のように、チャックテープ61の雄型チャックテープと雌型チャックテープが、チャック付き紙容器90の幅方向にて、部分的に解離することで、所望の大きさの取り出し用開口部56が形成される。
本態様のチャック付き紙容器90よれば、振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第一の実施形態の第二の態様>
図12を用いて、本態様の説明を行う。
本態様は、図12に示される開口制限接合部55により、開口制限部54が形成される。その開口制限接合部55のブランク板93の横断方向の範囲が、第一側縁部11若しくは第一側縁部11の近傍から、チャック付き紙容器90の胴部72の稜部72dを形成する縦折り曲げ線のうち、第一側縁部11に近いがわの第二縦折り曲げ線13若しくは前記第二縦折り曲げ線13の近傍までである。
このようにすることで、振り出し用開口部56の開口の幅が、チャック付き紙容器90の天部71を全開口にした(開口制限部54を設けない)場合と比較して、開口具合に有意な差がある範囲で最大となる。これよりも大きい開口具合では、全開口の場合と有意差がなくなる。
なお、開口制限接合部55以外の各寸法、形状、材料などは、第一の態様と同様である。
また、図示はしていないが、本態様のチャック付き紙容器90において、開口した振り出し用開口部56の上縁部21を上がわから見ると、四つの折り曲げ線を利用して開口している。
四つの折り曲げ線とは、第二縦折り曲げ線13、表がわ第三縦折り曲げ線14b、裏がわ第三縦折り曲げ線14a、第四縦折り曲げ線15である。なお、第二縦折り曲げ線13と、開口制限接合部55の第二側縁部16がわの端部551は、同じ位置である。
本態様のチャック付き紙容器90では、振り出し用開口部56が大きいので内容物が振り出しやすく、また振り出し用開口部56が四つの折り曲げ線を利用して形成されるので、開口しやすい。
本態様によれば、チャック付き紙容器90の振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第一の実施形態の第三の態様>
図13を用いて、本態様の説明を行う。
本態様は、図13に示される開口制限接合部55により、開口制限部54が形成される。その開口制限接合部55のブランク板93の横断方向の範囲が、第一側縁部11若しくは第一側縁部11の近傍から、チャック付き紙容器90の胴部72の稜部72dを形成する縦折り曲げ線のうち、第二側縁部16に近いがわの第三縦折り曲げ線14若しくは前記第三縦折り曲げ線14の近傍までである。
このようにすることで、振り出し用開口部56の開口具合が、実用的に最小となる。
また、図示はしていないが、開口した振り出し用開口部56を上がわから見ると、二つの折り曲げ線を利用して開口している。
二つの折り曲げ線とは、第三縦折り曲げ線14、第四縦折り曲げ線15である。なお、第三縦折り曲げ線14と、開口制限接合部55の第二側縁部16がわの端部551は、同じ位置である。
さらに、上部重ね合わせ板34の第二側縁部16がわに連設される表裏それぞれの第二天部の側部板412が湾曲することで、振り出し用開口部56が開口する。
本態様のチャック付き紙容器90では、振り出し用開口部56が適度に小さく、少量の内容物が振り出しやすい。
なお、易開封加工線51以外の各寸法、形状、材料などは、第一の態様と同様である。
本態様によれば、チャック付き紙容器90の振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第一の実施形態の第四の態様>
図14を用いて、本態様の説明を行う。
本態様は、図14に示される開口制限接合部55により、開口制限部54が形成される。その開口制限接合部55のブランク板93の横断方向の範囲は、以下のようになっている。
ここで、第三縦折り曲げ線14と第四縦折り曲げ線15との距離を、距離Xとする。
開口制限接合部55の範囲は、第一側縁部11若しくは前記第一側縁部11の近傍から、第三縦折り曲げ線14より、第一側縁部11の方向に上記の距離Xだけ離れた位置までとする。
また、図示はしていないが、開口した振り出し用開口部56を上がわから見ると、三つの折り曲げ線と、開口制限接合部55の第二側縁部16の端部551を利用して開口している。
三つの折り曲げ線とは、表がわ第三縦折り曲げ線14b、裏がわ第三縦折り曲げ線14a、第四縦折り曲げ線15である。
本態様のチャック付き紙容器90では、振り出し用開口部56を上から見ると、4つの辺が等辺であることから、外観的にバランスが良い。
なお、易開封加工線51以外の各寸法、形状、材料などは、第一の態様と同様である。
本態様によれば、チャック付き紙容器90の振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第一の実施形態の第五の態様>
図15を用いて、本態様の説明を行う。
本態様は、図15に示される開口制限接合部55により、開口制限部54が形成される。その開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552は、第一側縁部がわシール代361の近傍ではなく、第一側縁部がわのシール代361から離間している。
開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552は、本態様のように表がわ上部重ね合わせ板34bの領域にあってもよく、第一天部の側部板411bの領域にあってもよい。
本態様の開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551は、表がわ上部重ね合わせ板34bの幅方向(左右方向)の中央部となっているが、所望の幅の振り出し用開口部56の大きさに合わせて、適宜に変更してもよい。
チャックテープ61の開口の制限は、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551が規定しており、開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552の寄与は小さい。
したがって、開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552を第二側縁部16の方向に移動することで、開口制限接合部55の横方向の幅を短くでき、ヒートシールの作業の労力が減る。
なお、本態様では、第一側縁部11と開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552との距離より、第二側縁部16と開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551の距離の方が大きい。
したがって、第二側縁部16と開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551との間のチャックテープ61を開口することが標準作業である。
しかし、開口具合が小さい小型振り出し用開口部56Sが要求される場合は、第一側縁部がわシール代361と開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552との間のチャックテープ61を開口してもよい。(図15参照)。
このように、要望により、開口具合が大きい振り出し用開口部56と、開口具合が小さい小型振り出し用開口部56Sを使い分けることができる。
なお、本態様では、第一側縁部11がわに、小型振り出し用開口部56Sを設け、第二側縁部16がわに振り出し用開口部56を設けている。しかしながら、要望によっては、開口制限部55の幅方向(左右方向)の長さ、及び位置を変えることで、第一側縁部11がわに振り出し用開口部56Sを設け、第二側縁部16がわに小型振り出し用開口部56Sを設けてもよい。
なお、易開封加工線51以外の各寸法、形状、材料などは、第一の態様と同様である。
本態様によれば、チャック付き紙容器90の振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第一の実施形態の第六の態様>
図16を用いて、本態様の説明を行う。
本態様は、図16に示される開口制限接合部55により、開口制限部54が形成される。その開口制限接合部55のブランク板93の横断方向の範囲が、第一側縁部11若しくは第一側縁部11の近傍から、表がわ上部重ね合わせ板34bの幅方向(左右方向)の中央部であり、第一の態様(図5)と同じである。
しかし、本態様の開口制限接合部55は、チャックテープ61の下がわにあることが、第一の態様とは異なる。
開口制限接合部55は、第一横折り曲げ線22よりは上がわにある。チャック付き紙容器90の成形を妨げないためには、開口制限接合部55は、第一横折り曲げ線22とは、重ならないようにする。
開口制限接合部55の幅方向(左右方向)の長さ、及び位置は、上述の第二から第五の態様と同様であってもよく、所望により他の幅方向の長さ、位置であってもよい。
本態様のチャック付き紙容器90では、チャックテープ61を再嵌合させた際には、上がわからは、開口制限接合部55が視認できなくなるので、外観がスマートである。
なお、開口制限接合部55以外の各寸法、形状、材料などは、第一の態様と同様である。
本態様によれば、チャック付き紙容器90の振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第一の実施形態の第七の態様>
図17を用いて、本態様の説明を行う。
本態様は、図17に示される開口制限接合部55により、開口制限部54が形成される。その開口制限接合部55のブランク板93の横断方向の範囲が、第一側縁部11若しくは第一側縁部11の近傍から、表がわ上部重ね合わせ板34bの幅方向(左右方向)の中央部であり、第一の態様(図5)と同じである。
しかし、本態様の開口制限接合部55は、チャックテープ61の上がわと下がわの両がわにあることが、第一の態様とは異なる。
開口制限接合部55の一方は、チャックテープ61よりは上がわにある。こちらの開口制限接合部55ついては、第一の態様と同様であるので、説明は割愛する。但し、同じ寸法のチャック付き紙容器90である場合は、第一の態様よりも、スペースの都合で開口制限接合部55の幅が狭くなることがある。
開口制限接合部55の他方は、チャックテープ61より下がわにある。こちらの開口制限接合部55ついては、第六の態様と同様であるので、説明は割愛する。但し、同じ寸法のチャック付き紙容器90である場合は、第六の態様よりも、スペースの都合で開口制限接合部55の幅が狭くなることがある。
開口制限接合部55の幅方向(左右方向)の長さ、及び位置は、上述の第二から第五の態様と同様であってもよく、所望により他の幅方向の長さ、位置であってもよい。
本態様のチャック付き紙容器90では、チャックテープ61の上がわと下がわの両方に開口制限接合部55が存在するので、チャックテープ61の開口制限をより安定して行うことができる。
なお、開口制限接合部55以外の各寸法、形状、材料などは、第一の態様と同様である。
本態様によれば、チャック付き紙容器90の振り出し用開口部56を、要求に応じて適切な大きさの開口具合にできるので、内容物の振り出し量の制御が容易である。
<第二の実施形態の第一の態様>
図18を用いて、本態様を説明する。
内容物の使用が進み、その残量が少なくなると、チャック付き紙容器90の底部に残された内容物を振り出しにくくなる。その場合は、チャック付き紙容器90の天部71を全面開口して、内容物を取り出してもよい。
その全面開口を行うために、ブランク板93の開口制限接合部55を含む内面がわの該当箇所に、易剥離加工部58が設けられている。易剥離加工部58は、開口制限接合部55が接合された際に、適切な強さ(弱さ)のシール状態を得るためのものである。
適切な強さ(弱さ)のシール状態とは、チャック付き紙容器90の内容物を振り出しての使用中に、開口制限接合部55の形態の維持できる程度の強さを示す。また、人の手にて上部シール部53が剥離できる程度の強さ(弱さ)も示す。
全面開口するには、開口制限接合部55を、その第二側縁部16がわから、第一側縁部11まで剥離する。即ち、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551から、開口制限接合部55の第一側縁部11がわ(外がわ)の端部552または第一側縁部がわシール代361まで剥離する。
その際に、ブランク板93の内面がわの開口制限接合部55に相当する位置に、易剥離加工部58が設けられていれば、人の手にて容易に、開口制限接合部55が剥離できて、チャック付き紙容器90の天部71を全面に渡り開口させることができる。
上記のように、チャック付き紙容器90の天部71が全面開口するので、内容物の残量を払い出しやすく、また、匙などで内容物を取り出す際も、取り出しやすい。
図18では、易剥離加工部58は、開口制限接合部55の略全域に渡って設けられている。しかし、第一側縁部がわシール代361には設けられていない。第一側縁部がわシール代361と易剥離加工部58が重なると、第一側縁部がわシール代361同士のヒートシールを阻害して、内容物の漏れが生じる虞れがある。
開口制限接合部55の加工の際の位置ずれを考慮して、第一側縁部がわシール代361と、易剥離加工部58とは、0.5mm以上離間することが望ましい。
また、上部シール部53や、チャックテープ接合部52にも、易剥離加工部58が設けられないことが望ましい。
このようにすることで、上部シール部53のヒートシールが阻害されることがなくなり、その接合が安定する。
さらに、チャックテープ61とブランク板93のチャックテープ接合部52とのヒートシールが阻害されることがなくなり、その接合が安定する。
開口制限接合部55の加工の際の位置ずれを考慮して、上部シール部53と、易剥離加工部58とは、0.5mm以上離間することが望ましい。
さらに、開口制限接合部55の加工の際の位置ずれを考慮して、チャックテープ接合部52と、易剥離加工部58とは、0.5mm以上離間することが望ましい。
上記のような適切なシール強度を有する開口制限接合部55を得るための易剥離加工部58は、グラビア印刷またはフレキソ印刷など手段でパターン状に、イージーピール性の熱接着性樹脂や、抗ヒートシール剤と呼ばれる樹脂の塗布液を塗布、乾燥しておいて、その部分をヒートシールする方法で形成することができる。
剥離可能な前記弱シール部は、密封性を有すると同時に適度の力で剥離できることが好ましく、そのヒートシール強度は、1~20N/15mm幅の範囲が好ましい。
また、易剥離加工部58がイージーピール性の熱接着性樹脂で形成される場合は、そのイージーピール性の熱接着性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂に、ポリスチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリブテン-1、無機または有機の充填剤、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイドなどを、添加剤として適宜に混合した樹脂組成物などが使用されてもよい。
上記の無機または有機の充填剤は、無機の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウムなどの粉末を使用することができ、特にシリカの粉末が好ましい。また、有機の充填剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、フッ化エチレン系樹脂、シリコーン樹脂などの粉末を使用することができる。
上記の樹脂組成物中の上記の添加剤の含有量は、4~40質量%の範囲が好ましく、添加剤の含有量が4質量%未満の場合は、ヒートシール強度が強くなり、良好な弱シール部(イージーピール性)を得られず、また、添加剤の含有量が40質量%を超える場合は、ヒートシール強度が弱くなりすぎるため好ましくない。
上記のようなイージーピール性の熱接着性樹脂の塗布量は、乾燥時の塗布量で2~8g/m2が好ましく、3~5g/m2が更に好ましい。
また、易剥離加工部58を抗ヒートシール剤で形成する場合は、その抗ヒートシール剤としては、基剤の樹脂に離型剤を適宜の量で混合した樹脂組成物を使用することができる。
この基剤の樹脂には、例えば、エチルセルロース、環化ゴム、アクリル系樹脂などを使用することができ、離型剤には、例えば、シリコーン樹脂、ポリエチレンワックス、大豆レシチン、高級脂肪酸アマイドなどを使用することができる。抗ヒートシール剤を塗布する場合、その塗布量は少なくてよく、厚みにして、0.3~2μmの範囲が適切である。
<第二の実施形態の第二の態様>
図19を用いて、本態様を説明する。
本態様の易剥離加工部58は、第一の態様の形状と比較して、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551およびその近傍を含んでいない。
したがって、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551及びその近傍は、易剥離加工部58が存在しないことから、開口制限接合部55は強固に接合されている。
チャック付き紙容器90の内容物を振り出すために、チャックテープ61の解離、嵌合を繰り返すたびに、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551は、剥離される力を受ける。
そのため、開口制限接合部55の接合強度が弱いと、開口制限接合部55が徐々に小さくなってしまい、それに伴い開口制限部54が小さくなる。よって、振り出し用開口部56が徐々に大きくなるので、所望の大きさを保てないことがある。
本開示では、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551が、強固に接合されているために、振り出し用開口部56の大きさを維持できる。
なお、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551の近傍で、強固に接着されている領域、即ち、易剥離加工部58と重ならない領域は、3mm以上が望ましい。3mm以上存在することで、強固な接合ができる。
また、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551の近傍で、強固に接着されている領域、即ち、易剥離加工部58と重ならない領域は、30mm以下が望ましい。30mm以下であることで、その領域に易剥離加工部58がなくても、手で開口制限接合部55が剥離される。
また、図示はしていないが、開口具合が小さい小型振り出し用開口部56Sが要求される場合は、第一側縁部がわシール代361と、易剥離加工部58の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部との間のチャックテープ61を開口してもよい。上記の部分の開口制限接合部55は、易剥離加工部58の領域に設けられているので、剥離することが可能である。
さらに、開口制限接合部55の第二側縁部16がわ(内がわ)の端部551の近傍は、易剥離加工部58と重なっていないので、強固な接合となっている。したがって、上記の小型振り出し用開口部56Sの開口、及び開口制限接合部55の第二側縁部16がわの端部551の第二側縁部16がわにある、振り出し用開口部56の開口の際でも、接合状態が維持される。
このように、要望により、開口具合が大きい振り出し用開口部56と、開口具合が小さい小型振り出し用開口部56Sを使い分けることができる。
なお、本態様では、第一側縁部11がわに、小型振り出し用開口部56Sを設け、第二側縁部16がわに振り出し用開口部56を設けている。しかしながら、要望によっては、逆に第一側縁部11がわに、振り出し用開口部56Sを設け、第二側縁部16がわに小型振り出し用開口部56Sを設けてもよい。
以下に、実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。
<実施例1>
実施例1では、第一の実施形態の第一の態様に相当する図4のブランク板93を用いて、図7に示した構成のチャック付き紙容器90を作製した。
図4の2枚のブランク板93を準備して、その内面同士が位置を合わせて重ね合され、図5のように、対向する第一側縁部がわシール代361、対向する第二側縁部がわシール代362がヒートシールされ、また、上部シール部53もヒートシールされた。あわせてチャックテープ61もヒートシールされた。そのようにして、底部がわシール代37が未シールである中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製された。
次いで、図6のように立体形状に起こし、底部73が開口する中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92を作製してから、図7のような実施例1のチャック付き紙容器90を作製した。
ブランク板93の積層シート78には、下記の構成の積層シートを用いた。
(外面がわ)
絵柄等印刷層(グラビア印刷) /
紙基材層782(日本製紙 液体紙容器用原紙150g/m2) /
中間の接着層784(EMAA 20μm 三井・ダウポリケミカル
N0908N) /
バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm 大日本印刷
IB-PET-UBP) /
最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm 日本ポリエチレン
LC520)
(内面がわ)
上記の積層シート78の製造方法について説明する。
まず、ロール状の紙基材層782が繰り出され、所定の位置に、所定の絵柄や文字がグラビア印刷されて、再びロール状に巻き上げられた。
次の工程で、上記のロール状の紙基材層782が繰り出され、紙基材層782の内面がわに、バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm)が、溶融した中間の接着層784(EMAA 20μm)を中間に介在させて、押出ラミネート(サンドイッチラミネート)により積層された。
次に、バリア層785の紙基材層782の反対がわ(内面がわ)に、押出ラミネートにより、最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm)が形成された。
また、各接合層間には接合力を向上させるための、必要に応じてアンカーコート処理、コロナ処理、フレーム処理(火炎処理)などを実施してもよい。あるいは、溶融した樹脂にオゾン処理などをしてもよい。
つぎに、積層シート78に、罫線加工、及び打ち抜き加工、及び易屈曲加工などを施し、ブランク板93が完成した。
チャック付き紙容器90の上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412の内面に、ヒートシールされて取り付けられるチャックテープ61は、雄型チャックテープ及び雌型チャックテープとも、ヒートシールされるチャックテープ体部が二層の層構成である。
そのチャックテープ61は、チャック付き紙容器90にヒートシールされる面の樹脂層がLLDPEで形成され、その反対がわの面の樹脂層がMDPEで形成され、また、雄型チャックテープ嵌合部及び雌型チャックテープ嵌合部は、いずれもLLDPEで形成されたもので、チャックテープ体部の幅がいずれも10mmのものを用いた。
裏がわブランク板10a及び表がわブランク板10bの寸法は、縦220mm、横169mmの矩形状で、周囲の端縁部にシール代として、左がわの第一側縁部11には幅7mmの第一側縁部がわシール代361が設けられ、右がわの第二側縁部16には幅7mmの第二側縁部がわシール代362が設けられた。
また、下がわの下縁部26にはそれぞれ幅が10mmの底部がわシール代37を設けられた。
また、上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412の上縁部21の近傍には、それぞれ幅3mmの上部シール部53のシール代が設けられた。
ブランク板93には、上縁部21から下がわ方向に順次、上部重ね合わせ板34、第一横折り曲げ線22、天面板33、第二横折り曲げ線23、壁面板31、第三横折り曲げ線24、底面板35がこの順に設けられた。
また、上部重ね合わせ板34の左がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、第一天部の側部板411が設けられ、また、上部重ね合わせ板34の右がわの外方には、第三縦折り曲げ線14を介して、第二天部の側部板412が設けられた。
また、天面板33の左がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、第一天部がわ突出部(耳部)代381が設けられ、天面板33の右がわの外方には、第三縦折り曲げ線14を介して、第二天部がわ突出部(耳部)代382が設けられた。
また、壁面板31の左がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、第一側面板321が設けられ、壁面板31の右がわの外方には、第三縦折り曲げ線14を介して、第二側面板322が設けられた。
また、底面板35の左がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、第一底部がわ突出部(耳部)代431が設けられ、底面板35の右がわの外方には、第三縦折り曲げ線14を介して、第二底部がわ突出部(耳部)代432が設けられた。
完成後の略直方体形状の紙容器の寸法が、幅が95mm、高さが120mm、奥行きが60mmとなるように形成した。
そして、上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412には、2枚のブランク板93の内面同士の位置が合わされて重ね合された際に、上縁となる上縁部21から10mm下方の位置に、図5のように容器の開封手段として易開封加工線51が、チャック付き紙容器90の天部71の横断方向に、積層シート78の紙基材層782に印刷と共に設けられた。易開封加工線51は、ミシン目線として設けられた。
また、易開封加工線51の下に、5mmの間隔をあけて上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412の内面にチャックテープ61(幅10mm)が、チャック付き紙容器90の天部71を横断する方向に、ヒートシールされるように構成した。
また、前述した方法で、2枚のブランク板93の接合とチャックテープ61のヒートシール、第一側縁部がわシール代361のヒートシール、第二側縁部がわシール代362のヒートシール、上部シール部53のヒートシール、及び開口制限接合部55のヒートシールを行った後、重なり合う易開封加工線51の第二側縁部16がわにノッチ77が設けられ、底部73が未シール状態の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製された。(図5参照)。
次いで、この中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が、底部73の未シール状態の開口部からマンドレルが差し込まれて、上部重ね合わせ板34が残されて、その下がわの天面板33が第一横折り曲げ線22により前後に広げられて、上部重ね合わせ板34が上方向に起立させられた。
上部重ね合わせ板34の下に天面板33による天部71と、さらに水平方向の断面(底面に略平行な平面)が略矩形状の胴部72が続き、底部73が略矩形状に開口する中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が形成された。(図7参照)。
そして、重ね合わされた上部重ね合わせ板34が、裏がわ天面板33aがわに折り曲げられた。
また、天部がわ突出部(耳部)74の先端がわを、チャック付き紙容器90の内がわ方向(天部がわ突出部(耳部)74を折り曲げる前では下方向)に折り曲げて、天部がわ突出部(耳部)74と胴部72を接合しやすくした。
その後、天部71の左右両がわに連設された天部がわ突出部(耳部)74が、ホットメルトが使用されて、胴部72へ接合された。
上記のようにして、中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が作製された。
<実施例2>
実施例2では、第一の実施形態の第二の態様に相当する、図12に記載された開口制限接合部55が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
開口制限接合部55の幅方向(左右方向)の長さは、第一の態様よりも短く、したがって、振り出し用開口部56の開口具合は、第一の態様よりも大きかった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例3>
実施例3では、第一の実施形態の第三の態様に相当する、図13に記載された開口制限接合部55が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
開口制限接合部55の幅方向(左右方向)の長さは、第一の態様よりも長く、したがって、振り出し用開口部56の開口具合は、第一の態様よりも小さかった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例4>
実施例4では、第一の実施形態の第四の態様に相当する、図14に記載された開口制限接合部55が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
開口制限接合部55の幅方向(左右方向)の長さは、第一の態様よりも長く、したがって、振り出し用開口部56の開口具合は、第一の態様よりも小さかった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例5>
実施例5では、第一の実施形態の第五の態様に相当する、図15に記載された開口制限接合部55が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
開口制限接合部55の第二側縁部がわの端部551は、上部重ね合わせ板34の横方向の幅の略中央であった。また、開口制限接合部55の第一側縁部11がわの端部552は、上部重ね合わせ板34の領域にあった。したがって、開口制限接合部55の幅方向(左右方向)の長さは、第一の態様よりも短かったが、振り出し用開口部56の開口具合は、第一の態様と同様であった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例6>
実施例6では、第一の実施形態の第六の態様に相当する、図16に記載された開口制限接合部55が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
チャックテープ61の下がわに開口制限接合部55は設けられ、そのチャック付き紙容器90の幅方向(左右方向)の位置、長さは同一であった。したがって、開口制限接合部55の横方向の長さは、第一の態様と同様であり、振り出し用開口部56の開口具合も第一の態様と同様であった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例7>
実施例7では、第一の実施形態の第七の態様に相当する、図17に記載された開口制限接合部55が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
チャックテープ61の上がわと下がわの両方に、開口制限接合部55は設けられ、それらのチャック付き紙容器90の幅方向(左右方向)の位置、長さは第一の態様と同一であった。したがって、振り出し用開口部56の開口具合も第一の態様と同様であった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例8>
実施例8では、第二の実施形態の第一の態様に相当する、図18に記載された開口制限接合部55及び易剥離加工部58が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
開口制限接合部55は、第一の態様と同様の大きさ、位置であった。
易剥離加工部58は、開口制限接合部55を略全面に覆うが、第一側縁部がわシール代361とは、2mm離間していた。そのため、易剥離加工部58は、第一側縁部がわシール代361とは重なっていなかった。
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<実施例9>
実施例9では、第二の実施形態の第二の態様に相当する、図19に記載された開口制限接合部55及び易剥離加工部58が設けられたブランク板93を用いて、チャック付き紙容器90が作製された。
開口制限接合部55は、第一の態様と同様の大きさ、位置であった。
易剥離加工部58は、開口制限接合部55を略全面に覆うが、第一側縁部がわシール代361とは、2mm離間していた。そのため、易剥離加工部58は、第一側縁部がわシール代361とは重なっていなかった。
さらに、開口制限接合部55の第二側縁部がわの端部551の近傍には、易剥離加工部58は設けられなかった。易剥離加工部58の第二側縁部16がわの端部と、開口制限接合部55の第二側縁部がわの端部551との距離は8mmであった。
即ち開口制限接合部55の第二側縁部16がわの端部551から第一側縁部11がわに向って、8mmほど易剥離加工部58が存在しないので、その領域の開口制限接合部55の接合は強かった
その他の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<比較例>
比較例では、図1に示したように、開口制限接合部55及び易剥離加工部58を設けていない、1枚のブランク板81を用いて、図2に示したチャック付き紙容器80を作製した。
比較例では、まずブランク板81の中間横折り曲げ線(半折り線)821で折り曲げて、表がわブランク板81b(壁面板831bの存在するがわ)と裏がわブランク板81a(壁面板831aの存在するがわ)の内面同士を重ね合わせた。その後のチャック付き紙容器80の作製方法は、上部シール部53の形成がないこと以外は実施例1と同じであった。
その他、易開封加工線851の形状は異なっており、天部871以外の箇所の形状、材質、加工方法などは、実施例1と同じであった。
<評価>
実施例1から8、比較例のチャック付き紙容器を各100個作製した。
なお、比較例のチャック付き紙容器80を作製する際には、そのブランク板81の中間横折り曲げ線(半折り線)821で折り曲げる工程があった。(図1参照)。その工程にて、隣接する易開封加工線(ミシン目線)851が誤って折り曲げられてしまう事象が見られた。本来ならば折り曲げられてはならない易開封加工線(ミシン目線)851が折り曲げられてしまうと、ブランク板81が不良品となり、損失が生じた。
これは、易開封加工線851は易開封性を確保するために、切断部分(ハーフカットを含む。)が多く、意図せずに折り曲げられやすくなっていることによる。
易開封加工線(ミシン目線)851の折り曲げられやすさは、中間横折り曲げ線(半折り線)821の折り曲げられやすさと同程度になることが多く、チャック付き紙容器80が製造される際には、注意深く中間横折り曲げ線(半折り線)821が折り曲げられるが、誤って隣接している易開封加工線(ミシン目線)851が折り曲げられてしまうことがある。
また、より注意深く中間横折り曲げ線(半折り線)821を折り曲げようとすると、チャック付き紙容器80の製造に要する時間が増大する。その結果、チャック付き紙容器80の製造能力が低下することがある。
これに対して、2枚のブランク板93を接合してチャック付き紙容器90を作製する本開示では、中間横折り曲げ線が無く、したがって、中間横折り曲げ線を折り曲げる工程もないため、上記のように誤って易開封加工線(ミシン目線)851を折り曲げてしまう不良が発生しない。
このため、本開示のチャック付き紙容器90においては、その製造能力が低下することがなく、また不良の発生も少なくすることができる。
上記のように作製した実施例1から8のチャック付き紙容器90に、それぞれ底部73から内容物として小麦粉を充填した。次いで、底部73が折り込まれ、そして底部がわシール代37がヒートシールされて、そのヒートシールされた部分が裏がわ底面板35aの方向へ寝かされた。さらに底部73の左右両がわから突出する底部がわ突出部(耳部)75が底面板35がわへ折り曲げられ、表がわ底面板35b及び/又は表がわ底部がわシール代37bへヒートシールされて、実施例1から8の略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成した。
また、上記のように作製した実施例1から8のチャック付き紙容器90の包装体について、特に、その開封性と内容物の取り出し適性、及びチャックによる再封性をテストした。
実施例1から8のチャック付き紙容器90の包装体は、上部重ね合わせ板34及び第一天部の側部板411及び第二天部の側部板412の上部に開封手段として設けられた易開封加工線51により、容易に易開封加工線51の上部を切り取って、チャック付き紙容器90の全幅に渡って切断することができた。なお、易開封加工線51は、ミシン目線であった。
次に、表がわ開封掴み代57bと、裏がわ開封掴み代57aとを、それぞれ人の手で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向に拡げた。
上記の表がわ開封掴み代57bは、表がわ易開封加工線51bと表がわチャックテープ61bの間の領域のうち、振り出し用開口部56の近傍であった。
上記の裏がわ開封掴み代57aは、裏がわ易開封加工線51aと裏がわチャックテープ61aの間の領域のうち、振り出し用開口部56の近傍であった。
振り出し用開口部56は、チャック付き紙容器90の全幅から、開口制限部54を除いた領域であり、開口制限部54は、本開示では開口制限接合部55により形成された。
上記の動作により、易開封加工線51にて露出したチャックテープ61の嵌合が、容易に解離された。なおかつ、チャックテープ61の開口寸法は、開口制限接合部55により制限された所望の大きさとなった。
そのため、チャック付き紙容器90の包装体の振り出し用開口部56が、所望の適切な幅に渡って開口され、内部に充填された小麦粉が所望の量だけ振り出すことができた
また、小麦粉の一部を取り出した後は、実施例1から8のチャック付き紙容器90の包装体とも、容易にチャックを再嵌合させて紙容器を再封することができ、残りの小麦粉を適切に保存することができた。
また、実施例7と8のチャック付き紙容器90において、小麦粉の大部分を使い、残量が少なくなった際に、開口制限接合部55が、人の手にて全面的に剥がされることにより、チャック付き紙容器90の天部71が略全面に開口され、小麦粉を無駄なく取り出すことができた。
一方、比較例のチャック付き紙容器80の易開封加工線851を切断すると、チャックテープ861が略全面に渡って露出した。そして、人の手にてチャックテープ861の嵌合が解離されて、雄型チャックテープと雌型チャックテープとが分離されると、天部871が全面開口した。その状態で小麦粉を振り出すと、振り出し量の制御が難しく、所望の量よりも大量に振り出してしまった。
また、実施例1から8のチャック付き紙容器90は、紙容器全体の質量に対する紙の質量比率は約60質量%であり、紙容器としての基準である51質量%以上を充分に満たすものであった。
10a 裏がわブランク板
10b 表がわブランク板
11 第一側縁部
12 第一縦折り曲げ線
13 第二縦折り曲げ線
14 第三縦折り曲げ線
15 第四縦折り曲げ線
16 第二側縁部
17 天部がわ斜め折り曲げ線
171 第一天部がわ斜め折り曲げ線
172 第二天部がわ斜め折り曲げ線
18 底部がわ斜め折り曲げ線
181 第一底部がわ斜め折り曲げ線
182 第二底部がわ斜め折り曲げ線
21 上縁部
22 第一横折り曲げ線
23 第二横折り曲げ線
24 第三横折り曲げ線
25 第四横折り曲げ線
26 下縁部
31 壁面板
32 側面板
321 第一側面板
322 第二側面板
33 天面板
34 上部重ね合わせ板
35 底面板
36 側縁部がわシール代
361 第一側縁部がわシール代
362 第二側縁部がわシール代
37 底部がわシール代
38 天部がわ突出部(耳部)代
381 第一天部がわ突出部(耳部)代
382 第二天部がわ突出部(耳部)代
41 天部の側部板
411 第一天部の側部板
412 第二天部の側部板
43 底部がわ突出部(耳部)代
431 第一底部がわ突出部(耳部)代
432 第二底部がわ突出部(耳部)代
51 易開封加工線
52 チャックテープ接合部
53 上部シール部
54 開口制限部
55 開口制限接合部
551 開口制限接合部の第二側縁部がわ(内がわ)の端部
552 開口制限接合部の第一側縁部がわ(外がわ)の端部
56 振り出し用開口部
56S 小型振り出し用開口部
57 開封掴み代
58 易剥離加工部
61 チャックテープ
71 チャック付き紙容器の天部
72 チャック付き紙容器の胴部
72d 胴部の稜部
73 チャック付き紙容器の底部
74 天部がわ突出部(耳部)
75 底部がわ突出部(耳部)
77 ノッチ
78 積層シート
781 最外層の熱可塑性樹脂層
782 紙基材層
783 最内層の熱可塑性樹脂層
784 中間の接着層
785 バリア層
80 従来技術のチャック付き紙容器
81 従来技術のブランク板
81a 従来技術の裏がわ部分のブランク板
81b 従来技術の表がわ部分のブランク板
821 従来技術の中間横折り曲げ線(半折り線)
831 従来技術の壁面板
851 従来技術の易開封加工線
856 従来技術の振り出し用開口部
861 従来技術のチャックテープ
871 従来技術のチャック付き紙容器の天部
872 従来技術のチャック付き紙容器の胴部
874 従来技術の天部がわ突出部(耳部)
90 本開示のチャック付き紙容器
91 本開示の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)
92 本開示の中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)
93 本開示のブランク板

E1 第一の一天部交点(第一縦折り曲げ線と第一横折り曲げ線との交点)
E2 第一の二天部交点(第四縦折り曲げ線と第一横折り曲げ線との交点)
F1 第二の一天部交点(第二縦折り曲げ線と第二横折り曲げ線との交点)
F2 第二の二天部交点(第三縦折り曲げ線と第二横折り曲げ線との交点)
G1 第一の一底部交点(第一縦折り曲げ線と第四横折り曲げ線との交点)
G2 第一の二底部交点(第四縦折り曲げ線と第四横折り曲げ線との交点)
H1 第二の一底部交点(第二縦折り曲げ線と第三横折り曲げ線との交点)
H2 第二の二底部交点(第三縦折り曲げ線と第三横折り曲げ線との交点)

Claims (11)

  1. 紙を基材とする積層シートからなる表がわブランク板と裏がわブランク板とを接合して組み上げられるチャック付き紙容器において、
    前記チャック付き紙容器の上部に、前記表がわブランク板と前記裏がわブランク板とが重ね合わされて接合される上部重ね合わせ板、及び前記上部重ね合わせ板の下がわに連設される天面板とからなる天部と、
    前記上部重ね合わせ板の一方の端部に連設される第一天部の側部板と、
    前記上部重ね合わせ板の他方の端部に連設される第二天部の側部板と、
    前記天部の左右両がわに連設される天部がわ突出部と、
    前記天部の下がわに備わる胴部と、
    前記胴部の下がわに備わる底部と、
    前記上部重ね合わせ板及び前記第一天部の側部板及び前記第二天部の側部板の上縁部若しくは前記上縁部の近傍を、横断する上部シール部と、
    前記上部シール部の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板及び前記第一天部の側部板及び前記第二天部の側部板を横断するチャックテープと、を備え、
    前記上部重ね合わせ板同士及び/又は前記第一天部の側部板同士及び/又は前記第二天部の側部板同士が接合されてなる開口制限接合部が設けられることを特徴とするチャック付き紙容器。
  2. 前記開口制限接合部は、前記チャックテープの上がわ近傍、及び/又は下がわ近傍に位置することを特徴とする請求項1に記載のチャック付き紙容器。
  3. 前記開口制限接合部は、ブランク板の一方の側縁部である第一側縁部若しくは前記第一側縁部の近傍から、他方の側縁部である第二側縁部に向かって内方に延在しており、
    かつ前記第二側縁部には至っていないことを特徴とする請求項1または2に記載のチャック付き紙容器。
  4. 前記開口制限接合部が形成される前記チャック付き紙容器の横断方向の範囲が、
    前記第一側縁部若しくは前記第一側縁部の近傍から、
    前記上部重ね合わせ板の幅方向の中央部までであることを特徴とする請求項3に記載のチャック付き紙容器。
  5. 前記開口制限接合部が形成される前記チャック付き紙容器の横断方向の範囲が、
    前記第一側縁部若しくは前記第一側縁部の近傍から、
    前記チャック付き紙容器の胴部の稜部を形成する縦折り曲げ線のうち、前記第一側縁部に近いがわの第二縦折り曲げ線若しくは前記第二縦折り曲げ線の近傍までであることを特徴とする請求項3に記載のチャック付き紙容器。
  6. 前記開口制限接合部が形成される前記チャック付き紙容器の横断方向の範囲が、
    前記第一側縁部若しくは前記第一側縁部の近傍から、
    前記チャック付き紙容器の胴部の稜部を形成する縦折り曲げ線のうち、前記第二側縁部に近いがわの第三縦折り曲げ線若しくは前記第三縦折り曲げ線の近傍までであることを特徴とする請求項3に記載のチャック付き紙容器。
  7. 前記開口制限接合部が形成される前記チャック付き紙容器の横断方向の範囲が、
    前記第一側縁部若しくは前記第一側縁部の近傍から、
    前記チャック付き紙容器の胴部の稜部を形成する縦折り曲げ線のうち、前記第二側縁部に近いがわの第三縦折り曲げ線と、前記第二側縁部がわの側面がわシール代の内がわにある第四縦折り曲げ線との距離を距離Xとして、
    前記第三縦折り曲げ線より、前記第一側縁部の方向に前記距離Xだけ離れた位置までであることを特徴とする請求項3に記載のチャック付き紙容器。
  8. 前記開口制限接合部を含む領域に、易剥離加工部が設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のチャック付き紙容器。
  9. 前記易剥離加工部は、前記上部シール部、及び前記チャックテープが接合される領域である前記ブランク板のチャックテープ接合部の箇所には設けられないことを特徴とする請求項8に記載のチャック付き紙容器。
  10. 前記易剥離加工部は、前記第一側縁部に隣接して設けられる第一側縁部がわシール代には設けられないことを特徴とする請求項8または9に記載のチャック付き紙容器。
  11. 前記易剥離加工部は、前記開口制限接合部の第二側縁部がわの端部およびその近傍には設けられないことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載のチャック付き紙容器。
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