以下、図面を用いて実施形態が説明される。以下では、信号等の情報が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用し、電圧線には電圧名と同じ符号を使用し、電源線には電源名と同じ符号を使用する。
図1は、一実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図1は、抵抗変化メモリの要部を示している。図1等では、ゲートに丸印が付いたトランジスタは、pチャネルMOSトランジスタを示す。ゲートに丸印が付いていないトランジスタは、nチャネルMOSトランジスタを示す。以下では、pチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタを、単にトランジスタとも称する。
図1に示す抵抗変化メモリ100は、セット書き込み動作に使用する電圧制御部VCNT1と、転送トランジスタTBと、参照抵抗素子RRBとを有する。また、抵抗変化メモリ100は、読み出し動作に使用するセンスアンプSAと、セット書き込み動作、リセット書き込み動作および読み出し動作時にビット線BLとソース線SLの電圧を設定する電圧生成部VGENとを有する。電圧生成部VGENは、トランジスタP1、P2、N1、N2を有する。例えば、参照抵抗素子RRBは、ポリシリコン等により形成され、抵抗値は、抵抗素子R1の低抵抗状態の抵抗値に固定されている。
抵抗変化メモリ100は、ビット線BL(BL0)とソース線SLとの間に接続されたメモリセルMCを有する。メモリセルMCは、書き込み動作により抵抗値が変化する抵抗素子R1を含み、抵抗素子R1の抵抗値に応じてデータを記憶する。抵抗素子R1は、第1抵抗素子の一例である。
抵抗素子R1の一端は、転送トランジスタT1を介してビット線BL0に接続される。抵抗素子R1の他端は、ソース線SLに接続される。転送トランジスタT1のソース・ドレインの一方は、抵抗素子R1に接続される。転送トランジスタT1のソース・ドレインの他方は、ビット線BL0に接続される。転送トランジスタT1のゲートは、ワード線WLに接続される。
メモリセルMCの書き込み動作は、抵抗素子R1の抵抗値を高抵抗状態から低抵抗状態に設定するセット書き込み動作と、抵抗素子R1の抵抗値を低抵抗状態から高抵抗状態に設定するリセット書き込み動作とがある。低抵抗状態の抵抗値は、第1の値の一例である。高抵抗状態の抵抗値は、第2の値の一例である。
セット書き込み動作は、抵抗素子R1のビット線BL0側からソース線SL側に電流を流すことで実行される。リセット書き込み動作は、抵抗素子R1のソース線SL側からビット線BL0側に電流を流すことで実行される。セット書き込み動作は、第1書き込み動作の一例である。リセット書き込み動作は、第2書き込み動作の一例である。
電圧制御部VCNT1は、トランジスタPB1、PB2およびセット書き込み動作用のオペアンプBAMPを有する。トランジスタPB1は、ビット線BLとビット線BL0との間に配置される。トランジスタPB2は、ビット線BLと参照ビット線RBLとの間に配置される。トランジスタPB1、PB2のゲートは、オペアンプBAMPの出力に接続され、オペアンプBAMPから出力される制御信号REGBを受ける。制御信号REGBは、第1制御信号の一例である。
トランジスタPB1は、制御信号REGBに応じて抵抗値が変化する第1可変抵抗部の一例であり、第1pチャネルMOSトランジスタの一例である。トランジスタPB2は、制御信号REGBに応じて抵抗値が変化する第2可変抵抗部の一例であり、第2pチャネルMOSトランジスタの一例である。
オペアンプBAMPの反転入力(-)は、ビット線BL0および転送トランジスタT1を介して抵抗素子R1の一端に接続される。オペアンプBAMPの非反転入力(+)は、参照ビット線RBLおよび転送トランジスタTBを介して参照抵抗素子RRBの一端に接続される。転送トランジスタTBのゲートは、セット書き込み動作時にハイレベルに設定される参照ワード線RBWLに接続される。参照抵抗素子RRBの他端は、接地線VSSに接続される。参照抵抗素子RRBは、第1参照抵抗素子の一例である。
オペアンプBAMPは、セット書き込み動作において、有効レベル(例えば、ハイレベル)のアンプイネーブル信号BAMPENを受けている間に動作し、ビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLの電圧とに応じて制御信号REGBを出力する。セット書き込み動作では、転送トランジスタT1、TBはオン状態に設定される。このため、オペアンプBAMPは、セット書き込み動作において、抵抗素子R1の一端の電圧と参照抵抗素子RRBの一端の電圧とを比較する。
例えば、オペアンプBAMPは、抵抗素子R1の一端の電圧と参照抵抗素子RRBの一端の電圧とが等しいとき、トランジスタPB1、PB2に所定の電流を流させるための制御信号REGBを出力する。オペアンプBAMPは、第1電圧比較部の一例であり、第1オペアンプの一例である。電圧制御部VCNT1は、セット書き込み動作時に、抵抗素子R1と参照抵抗素子RRBとに流れる電流の差が小さくなるように、ビット線BL0および参照ビット線RBLの電圧を調整する第1電圧制御部の一例である。
オペアンプBAMPに供給されるアンプイネーブル信号BAMPENは、リセット書き込み動作時および読み出し動作時、ロウレベルに設定されて増幅動作を停止し、ハイレベルの制御信号REGBを出力する。これにより、トランジスタPB1はオフし、ビット線BLとビット線BL0との接続は遮断される。同時に、制御信号VSSBLはハイレベルに設定され、ビット線BL0は、トランジスタN1を通して接地線VSSに接続される。
電圧生成部VGENにおいて、トランジスタN1のドレインは、ビット線BL0に接続され、トランジスタN1のソースは、接地線VSSに接続され、トランジスタN1のゲートは、制御信号VSSBLを受ける。トランジスタN2のドレインは、ソース線SLに接続され、トランジスタN2のソースは、接地線VSSに接続され、トランジスタN2のゲートは、制御信号VSSSLを受ける。
トランジスタP1のソースは、電源線VDDに接続され、トランジスタP1のドレインは、ビット線BLに接続され、トランジスタP1のゲートは、制御信号SETENBを受ける。トランジスタP2のソースは、電源線VDDに接続され、トランジスタP2のドレインは、ソース線SLに接続され、トランジスタP2のゲートは、制御信号RSTENBを受ける。
トランジスタP1は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1の一端と参照抵抗素子RRBの一端とに供給する電圧(VDD)をビット線BLに供給する。トランジスタP1のソースに供給される電圧VDDは、第1電圧の一例である。トランジスタN2は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1の他端に供給する電圧(VSS)を生成する。抵抗素子R1の他端に供給される電圧VSSは、基準電圧の一例であり、基準電圧に設定されるソース線SLは、基準電圧線の一例である。
センスアンプSAは、ソース線SLに接続され、メモリセルMCからデータを読み出す読み出し動作時に動作する。読み出し動作時に、制御信号SETENB、RSTENB、VSSBLは、ハイレベルに設定され、制御信号VSSSLは、ロウレベルに設定される。ビット線BL0は、読み出し動作時にハイレベルに設定される制御信号VSSBLにより接地線VSSに接続される。そして、ハイレベルに設定されたワード線WLを介して抵抗素子R1の一端は、ビット線BL0に接続される。
センスアンプSAは、フローティング状態に設定されたソース線SLに読み出し電圧Vread(図2)を出力する。センスアンプSAは、ソース線SLから抵抗素子R1を介して、ビット線BL0、トランジスタN1および接地線VSSに流れる読み出し電流Ireadと参照電流Irefとを比較することで、メモリセルMCに記憶されているデータの論理を判定する。センスアンプSAは、判定した論理を示すデータ信号DATAを出力する。
抵抗素子R1を低抵抗状態から高抵抗状態に設定するリセット書き込み動作時、制御信号SETENB、VSSBLは、ハイレベルに設定され、制御信号RSTENB、VSSSLは、ロウレベルに設定される。これにより、トランジスタP2、N1がオンし、トランジスタP1、N2はオフする。そして、ワード線WLがハイレベルに設定されることで、ソース線SLから抵抗素子R1、ビット線BL0、トランジスタN1および接地線VSSに電流が流れ、抵抗素子R1が高抵抗状態に設定される。
なお、抵抗変化メモリ100は、マトリックス状に配置された複数のメモリセルMCを有してもよい。この場合、抵抗変化メモリ100は、図1の横方向に配列される複数ペアのビット線BLおよびソース線SLを有し、図1の縦方向に配列される複数のワード線WLを有する。そして、図1の縦方向に並ぶ図示しない複数のメモリセルMCは、ビット線BLとソース線SLとのペアに共通に接続される。図1の横方向に並ぶ図示しない複数のメモリセルMCは、共通のワード線WLに接続される。
また、制御信号SETENB、RSTENBは、ビット線BLとソース線SLのペア毎に生成される。例えば、セット書き込み動作では、共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCのうち、セット書き込み動作を実行するメモリセルMCに対応する制御信号SETENBのみがロウレベルに設定される。セット書き込み動作を実行しないメモリセルMCに対応する制御信号SETENBはハイレベルに設定される。
同様に、リセット書き込み動作では、共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCのうち、リセット書き込み動作を実行するメモリセルMCに対応する制御信号RSTENBのみがロウレベルに設定される。リセット書き込み動作を実行しないメモリセルMCに対応する制御信号RSTENBはハイレベルに設定される。これにより、共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCのうちの任意のメモリセルMCに、選択的にセット書き込み動作またはリセット書き込み動作を実行することができる。
図2は、図1のメモリセルMCの抵抗素子R1の電流電圧特性の一例を示す。抵抗素子R1の電流電圧特性は、いわゆるヒステリシスループを示す。例えば、抵抗素子R1は、抵抗素子R1の両端に正電圧(VBL0>VSL)が印加される場合、セット書き込み動作が実行され、高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。また、抵抗素子R1は、抵抗素子R1の両端に負電圧(VSL>VBL0)が印加される場合、リセット書き込み動作が実行され、低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。
低抵抗状態(SET)に設定された抵抗素子R1の両端に読み出し電圧Vreadが印加された場合、参照電流Irefより大きい読み出し電流Ireadが流れる。高抵抗状態(RESET)に設定された抵抗素子R1の両端に読み出し電圧Vreadが印加された場合、参照電流Irefより小さい読み出し電流Ireadが流れる。このため、読み出し電流Ireadと参照電流Irefとを比較することで、抵抗素子R1の抵抗状態を判定することができ、メモリセルMCに記憶されたデータの論理を判定することができる。
図3は、図1の抵抗変化メモリ100のメモリセルMCのセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図3は、抵抗変化メモリ100の制御方法の一例を示す。
図3の右上に示すように、セット書き込み動作では、制御信号SETENB、VSSBLがロウレベルLに設定され、制御信号RSTENB、VSSSLがハイレベルHに設定される。ワード線WLおよび参照ワード線RBWLは、例えば、電源電圧VDDより高いハイレベルに設定される。アンプイネーブル信号BAMPENは、ハイレベルに設定される。
セット書き込み動作時、オペアンプBAMPは、参照ビット線RBLの電圧VRBLを非反転入力(+)で受け、ビット線BL0の電圧VBL0を反転入力(-)で受ける。オペアンプBAMPは、電圧VRBL、VBL0の差VRBL-VBL0に応じた電圧VREGBを有する制御信号REGBを出力する。
図3の左上に示すように、オペアンプBAMPは、電圧差VRBL-BVL0が正の場合、平衡電圧VEQより高い電圧VREGBを出力する。オペアンプBAMPは、電圧差VRBL-BVL0が負の場合、平衡電圧VEQより低い電圧VREGBを出力する。オペアンプBAMPは、電圧VRBL、VBL0が互いに等しい場合、電圧VREGBを平衡電圧VEQに設定する。
図1に示したように、電圧制御部VCNT1のトランジスタPB1、PB2は、ソースがビット線BLに接続され、ゲートで制御信号REGBを受ける。このため、ビット線BLに電源電圧VDDが供給されるセット書き込み動作時、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBには、同じ電圧が印加される。
図3の左下の電流電圧特性に示すように、低抵抗状態の参照抵抗素子RRBの抵抗値は固定であるため、破線で示すように、参照抵抗素子RRBには、電圧VRBLの増加に比例した電流IRRBが流れる。一方、抵抗素子R1の電流IR1は、図2に示したように、電圧VBL0の上昇とともに、最初は高抵抗状態での電流IR1が流れ、高抵抗状態から低抵抗状態への遷移後、低抵抗状態での電流IR1が流れる。
電圧制御部VCNT1の制御により、電流IR1の増加は、電流IRRBと等しくなり、それ以上上昇しない。これにより、セット書き込み動作において、抵抗素子R1の抵抗値を参照抵抗素子RRBの抵抗値(低抵抗状態)に設定することができる。抵抗素子R1の抵抗値を参照抵抗素子RRBの抵抗値に合わせて設定できるため、抵抗素子R1の電気的特性にばらつきがある場合にも、所定の抵抗値に設定することができる。例えば、抵抗素子R1の電気的特性は、抵抗変化メモリ100の製造時において、ウェハ上での位置によりはらつき、ウェハ間およびロット間でばらつく。
セット書き込み動作の開始時、抵抗素子R1は高抵抗状態であり、参照抵抗素子RRBは低抵抗状態である。このため、図3の右側に示すように、抵抗素子R1に流れる電流IR1は、参照抵抗素子RRBに流れる電流IRRBに比べて小さい。電流IR1が小さいため、電圧VBL0は電圧VRBLより高くなり、オペアンプBAMPは、セット書き込み動作の開始時、制御信号REGBの電圧を平衡電圧VEQより低く設定する。
抵抗素子R1の高抵抗状態から低抵抗状態への遷移に伴い、抵抗素子R1に流れる電流IR1が増加する。電流IR1の増加によりビット線BL0の電圧が低下すると、オペアンプBAMPは、ビット線BL0の電圧の低下に応じて制御信号REGBの電圧VREGBを上昇させる。これにより、トランジスタPB1、PB2のオン抵抗が上昇し、電流IRRBが減少し、電流IR1の電流の増加が緩やかになる。
オペアンプBAMPは、電圧VBL0、VRBLが等しくなるように、電圧VREGBを制御し、電流IR1、IRRBは、互いに等しくなる。この時の電圧VREGBの値は抵抗素子R1の特性ばらつきにより変化し、抵抗素子R1がより低電圧で低抵抗状態に遷移した場合には、電流IRRB、IR1ともに小さいため、電圧VREGBは大きい値となる。
図4は、図1の抵抗変化メモリ100のセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図4は、抵抗変化メモリ100の制御方法の一例を示す。図4では、ビット線BL0および参照ビット線RBLに電圧が印加された後、転送トランジスタT1、TBがオンされる。図4の開始時において抵抗素子R1は、高抵抗状態であるとする。図4のセット書き込み動作は、制御信号SETENB、VSSBLをロウレベルに設定し、制御信号VSSSLおよびアンプイネーブル信号BAMPENをハイレベルに設定することで開始される(図4(a)、(b))。アンプイネーブル信号BAMPENがハイレベルに変化することで、オペアンプBAMPが動作を開始する。制御信号RSTENBは、ハイレベルに設定される。
ロウレベルの制御信号SETENBによりビット線BLがハイレベルに設定され、ハイレベルの制御信号VSSSLにより、ソース線SLがロウレベルに設定される(図4(c))。初期状態において制御信号REGBがロウレベルのため、トランジスタPB1、PB2がオンし、ビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLの電圧がともに上昇する(図4(d))。オペアンプBAMPは、ビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLとの電圧とがほぼ等しいため、制御信号REGBを平衡電圧VEQまで上昇させる(図4(e))。
次に、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLがハイレベルに設定され、転送トランジスタT1、TBがオンする(図4(f))。抵抗素子R1の一端は、転送トランジスタT1を介してビット線BL0に接続され、参照抵抗素子RRBの一端は、転送トランジスタTBを介して参照ビット線RBLに接続される。そして、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れ始める。
高抵抗状態の抵抗素子R1に流れる電流IR1は、低抵抗状態に対応する抵抗値の参照抵抗素子RRBに流れる電流IRRBより少ない(図4(g))。このため、ビット線BL0の電圧は、参照ビット線RBLの電圧より緩やかに下降する(図4(h))。ビット線BL0の電圧が参照ビット線RBLの電圧より高くなるため、オペアンプBAMPは、制御信号REGBの電圧を下降させる(図4(i))。
抵抗素子R1に流れる電流により、抵抗素子R1の抵抗値が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移していくと、オペアンプBAMPによる帰還制御により、制御信号REGBの電圧は上昇する(図4(j))。これにより、抵抗素子R1を流れる電流IR1の増加は緩やかになる(図4(k))。参照抵抗素子RRBに流れる電流IRRBは減少し、参照ビット線RBLの電圧が上昇する(図4(l)、(m))。
最終的に、ビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLの電圧とは等しくなる(図4(n))。この時の電圧VREGBの値は、抵抗素子R1の特性ばらつきにより変化し、最終的な電流IRRB、IR1が小さいほど、電圧VREGBは大きい値となる(図4(o))。
この後、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLがロウレベルに設定される(図4(p))。これにより、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れなくなり、ビット線BL0および参照ビット線RBLの電圧がハイレベルに変化する(図4(q))。そして、制御信号SETENB、VSSBL、VSSSLおよびアンプイネーブル信号BAMPENのレベルが初期状態に戻され、セット書き込み動作が終了する。
図5は、図1の抵抗変化メモリ100のセット書き込み動作の別の例を示す。すなわち、図5は、抵抗変化メモリ100の制御方法の別の例を示す。図4と同様の動作については、詳細な説明は省略する。図5では、転送トランジスタT1、TBがオンされた後、ビット線BL0および参照ビット線RBLに電圧が印加される。
図5では、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLは、アンプイネーブル信号BAMPENのハイレベルへの変化と同じタイミングでハイレベルに設定される(図5(a))。ハイレベルのアンプイネーブル信号BAMPENによりオペアンプBAMPが動作を開始したとき、ビット線BL0および参照ビット線RBLはロウレベルである。このため、オペアンプBAMPは、制御信号REGBを平衡電圧VEQまで上昇させる(図5(b))。
次に、制御信号SETENBがハイレベルに設定され、トランジスタP1がオンされる(図5(c))。これにより、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れ始める(図5(d))。抵抗素子R1は高抵抗状態であるため、抵抗素子R1を流れる電流IR1は、低抵抗状態に対応する参照抵抗素子RRBを流れる電流IRRBより少ない。
相対的に多い電流IRRBが流れる参照ビット線RBLの電圧は緩やかに上昇し、相対的に少ない電流IR1が流れるビット線BL0の電圧は急激に上昇する(図5(e))。オペアンプBAMPは、ビット線BL0と参照ビット線RBLとの間の電位差の拡大とともに制御信号REGBの電圧を低下させる(図5(f))。その後、オペアンプBAMPは、ビット線BL0および参照ビット線RBLの電圧差が小さくなるにしたがい、制御信号REGBをビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLの電圧とが一致するまで上昇させる(図5(g))。
この後、制御信号SETENBがハイレベルに設定される(図5(h))。これにより、ビット線BLからの電流の供給が停止し、ビット線BL、BL0および参照ビット線RBLの電圧が、ソース線SLの電圧であるロウレベルに変化する(図5(i)、(j))。抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れなくなる(図5(k))。そして、制御信号VSSBL、ワード線WL、参照ワード線RBWLおよびアンプイネーブル信号BAMPENのレベルが初期状態に戻され、セット書き込み動作が終了する。
図6は、図1の抵抗変化メモリ100のセット書き込み動作の効果の一例を示す。この実施形態では、セット書き込み動作での抵抗素子R1の低抵抗化は、抵抗素子R1の抵抗値が、参照抵抗素子RRBの抵抗値と等しくなったところで制限され、抵抗値はそれ以上下がらない。したがって、抵抗素子R1の電気的特性のばらついている場合にも、セット書き込み動作後の抵抗値を一定にすることができる。このため、読み出し動作において、抵抗素子R1の両端に読み出し電圧Vreadが印加されたときに抵抗素子R1に流れる電流IR1を一定にすることができる。この結果、読み出し動作時の電流IR1と参照電流Irefとの差を所定以上確保することができ、読み出しマージンを向上することができる。
また、抵抗素子R1の電気特性がばらついている場合にも、電圧制御部VCNT1は、抵抗素子R1の低抵抗化を抵抗値で制御するため、低抵抗化されやすい抵抗素子R1の抵抗値が低くなり過ぎる過書き込みを抑止することができる。書き込み動作時に抵抗素子R1に掛かる負荷を軽減でき、抵抗素子R1の劣化を抑止できるため、抵抗変化メモリ100の信頼性を向上することができる。セット書き込み動作時に無駄な電流が流れないため、抵抗変化メモリ100の書き込み電力を削減することができる。
これに対して、抵抗素子R1に流れる電流IR1を制限することでセット書き込み動作を実行する他の抵抗変化メモリでは、抵抗素子R1の電気的特性のばらつきにより、低抵抗状態での抵抗値がばらつく。したがって、例えば、読み出し動作時の電流IR1が少ない抵抗素子R1に合わせて参照電流Irefが設定される。これにより、低抵抗状態の抵抗素子R1の読み出しマージンが低下するだけでなく、高抵抗状態の抵抗素子R1の読み出しマージンが低下する。
以上、この実施形態では、セット書き込み動作において、電圧制御部VCNT1の制御により、抵抗素子R1の低抵値を参照抵抗素子RRBの抵抗値(低抵抗状態)に設定することができる。したがって、抵抗素子R1の電気的特性がばらついている場合にも、抵抗素子R1の低抵抗状態の抵抗値を、所定の抵抗値に設定することができ、読み出し動作時の読み出しマージンを向上することができる。事前の確認読み出し動作を実行しなくてよいため、確認読み出し動作用の複数の判定回路を抵抗変化メモリ100に設けることなく、抵抗素子R1の低抵抗状態の抵抗値を、所定の抵抗値に設定することができ、読み出しマージンを向上することができる。このため、チップサイズを抑えた抵抗変化メモリ100を設計することができる。
電圧制御部VCNT1は、ビット線BL0と参照ビット線RBLとの電圧を比較する電圧比較部として機能するオペアンプBAMPを有する。また、電圧制御部VCNT1は、オペアンプBAMPから出力される電圧VREGBに応じて抵抗値を変化させる可変抵抗部として機能するトランジスタPB1、PB2を有する。
これにより、電圧制御部VCNT1は、ビット線BL0と参照ビット線RBLとの電圧の差に応じて、抵抗素子R1と参照抵抗素子RRBに流れる電流を等しくする制御を実行することができる。この結果、抵抗素子R1と参照抵抗素子RRBに流れる電流に応じて、電流を制御する帰還制御により、電流値または電圧値を計測することなく、抵抗素子R1の抵抗値を参照抵抗素子RRBの抵抗値に自動的に合わせ込むことができる。
可変抵抗部としてpチャネルMOSトランジスタPB1、PB2を利用することで、電圧制御部VCNT1の構成を簡易にすることができる。この結果、ビット線BL毎に電圧制御部VCNT1が配置される場合にも、抵抗変化メモリ100のチップサイズの増加を抑制することができる。
図7は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図7に示す抵抗変化メモリ102の構成は、参照抵抗素子RRBの他端が接地線VSSでなく、オフセット電圧Voffsetに設定された電圧線に接続されることを除き、図1の抵抗変化メモリ100と同様である。接地電圧は、基準電圧の一例であり、接地線VSSは、基準電圧線の一例である。オフセット電圧線Voffsetは、基準電圧より高い電圧の一例であり、オフセット電圧線Voffsetは、基準電圧より高い電圧線の一例である。
なお、抵抗変化メモリ102では、リセット書き込み動作時および読み出し動作時にオペアンプBAMPは増幅動作を停止し、ハイレベルの制御信号REGBを出力する。これにより、トランジスタPB1はオフし、ビット線BLとビット線BL0の接続が遮断される。同時に、制御信号VSSBLはハイレベルとなり、ビット線BL0は、トランジスタN1を通して接地線VSSに接続される。
図8は、図7の抵抗変化メモリ102のメモリセルのセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図8は、抵抗変化メモリ100の制御方法の一例を示す。図3と同様の動作については、詳細な説明は省略する。オペアンプBAMPの入出力特性は、図3と同じである。
参照抵抗素子RRBの他端は、オフセット電圧Voffsetに設定されるため、図8の左下の電流電圧特性に示すように、参照ビット線RBLの電圧VRBLがオフセット電圧Voffsetを超えるまで、参照抵抗素子RRBに電流が流れない。抵抗素子R1の電流IR1は、図3と同様に、ビット線BL0の電圧VBL0の上昇とともに、最初は高抵抗状態での電流IR1が流れ、高抵抗状態から低抵抗状態への遷移後、低抵抗状態での電流IR1が流れる。電圧制御部VCNT1の制御により、電流IR1の増加は、電流IRRBと等しくなり、それ以上上昇しない。
図8の右側に示すセット書き込み動作において、制御信号REGBの電圧VREGBが平衡値に達するまでの動作は、図3と同様である。この実施形態では、オフセット電圧Voffsetにより、セット書き込み動作時の参照ビット線RBLの電圧は、図3のセット書き込み動作に比べて高くなる。このため、参照抵抗素子RRBを流れる電流IRRBは、図3に比べて少なくなる。
そして、電圧VREGBが平衡値に到達した後、電流IR1がわずかでも電流IRRBを超え、電圧VREGBが平衡値より高くなると、電流IRRBが電流IR1より少なくなる。これにより、参照ビット線RBLの電圧がビット線BL0の電圧より高くなり、オペアンプBAMPから出力される電圧BREGBは、オペアンプBAMPの入出力特性で示される上限値まで上昇する。
このため、トランジスタPB1、PB2はオフし、電流IR1、IRRBは流れなくなる。したがって、この実施形態のセット書き込み動作では、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLをロウレベルに戻すことなく、また、制御信号SETENBをハイレベルに戻すことなく、抵抗素子R1への電圧の印加を自動的に終了することができる。この結果、抵抗素子R1への電圧の印加を最小限にすることができ、セット書き込み動作時に抵抗素子R1に流す電流量を最小限にすることができる。この結果、抵抗素子R1の劣化を抑制し、信頼性を向上することができる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、抵抗素子R1の電気的特性にばらつきがある場合にも、抵抗素子R1の低抵抗状態の抵抗値を、所定の抵抗値に設定することができ、読み出し動作時の読み出しマージンを向上することができる。
さらに、この実施形態では、セット書き込み動作において、参照抵抗素子RRBの他端をオフセット電圧Voffsetに設定することで、抵抗素子R1が低抵抗状態に設定されたことに基づいて、抵抗素子R1への電圧の印加を自動的に終了することができる。この結果、抵抗素子R1への電圧の印加を最小限にすることができ、セット書き込み動作時に抵抗素子R1に流す電流量を最小限にすることができる。この結果、抵抗素子R1の劣化を抑制し、信頼性を向上することができる。
図9は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図1および図7と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図9に示す抵抗変化メモリ104の構成は、参照抵抗素子RRBの代わりに、ダイオード接続されたnチャネルMOSトランジスタTDを有することを除き、図1の抵抗変化メモリ100と同様である。トランジスタTDは、ドレインおよびゲートが転送トランジスタTBに接続され、ソースが接地線VSSに接続される。これにより、参照ビット線RBLに流れる電流を、図8の左下に示した参照抵抗素子RRBの電流IRRBと同様の特性にすることができる。
なお、抵抗変化メモリ104では、リセット書き込み動作時および読み出し動作時にオペアンプBAMPは増幅動作を停止し、ハイレベルの制御信号REGBを出力する。これにより、トランジスタPB1はオフし、ビット線BLとビット線BL0との接続は遮断される。同時に、制御信号VSSBLはハイレベルとなり、ビット線BL0は、トランジスタN1を通して接地線VSSに接続される。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、抵抗素子R1の電気的特性にばらつきがある場合にも、抵抗素子R1の低抵抗状態の抵抗値を、所定の抵抗値に設定することができ、読み出し動作時の読み出しマージンを向上することができる。また、抵抗素子R1への電圧の印加を最小限にすることができ、セット書き込み動作時に抵抗素子R1に流す電流量を最小限にすることができる。この結果、抵抗素子R1の劣化を抑制し、信頼性を向上することができる。
図10は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図10に示す抵抗変化メモリ106は、図1の電圧制御部VCNT1の代わりに、リセット書き込み動作を制御する電圧制御部VCNT2を有する。また、抵抗変化メモリ106は、図1の転送トランジスタTBおよび参照抵抗素子RRBの代わりに、転送トランジスタTSおよび参照抵抗素子RRSを有する。抵抗変化メモリ106のその他の構成は、図1に示す抵抗変化メモリ100と同様である。例えば、参照抵抗素子RRSは、ポリシリコン等により形成され、抵抗値は、抵抗素子R1の高抵抗状態の抵抗値に固定されている。
電圧制御部VCNT2は、トランジスタPS1、PS2およびリセット書き込み動作用のオペアンプSAMPを有する。トランジスタPS1は、ソース線SLとソース線SL0との間に配置される。トランジスタPS2は、ソース線SLと参照ソース線RSLとの間に配置される。トランジスタPS1、PS2のゲートは、オペアンプSAMPの出力に接続され、オペアンプSAMPから出力される制御信号REGSを受ける。制御信号REGSは、第2制御信号の一例である。
トランジスタPS1は、制御信号REGSに応じて抵抗値が変化する第3可変抵抗部の一例であり、第3pチャネルMOSトランジスタの一例である。トランジスタPS2は、制御信号REGSに応じて抵抗値が変化する第4可変抵抗部の一例であり、第4pチャネルMOSトランジスタの一例である。
オペアンプSAMPの非反転入力(+)は、ソース線SL0に接続され、ソース線SL0を介して抵抗素子R1の他端に接続される。オペアンプSAMPの反転入力(-)は、転送トランジスタTSを介して参照抵抗素子RRSの一端に接続される。転送トランジスタTSのゲートは、リセット書き込み動作時にハイレベルに設定される参照ワード線RSWLに接続される。参照抵抗素子RRSの他端は、接地線VSSに接続される。参照抵抗素子RRSは、第2参照抵抗素子の一例である。
オペアンプSAMPは、リセット書き込み動作において、有効レベル(例えば、ハイレベル)のアンプイネーブル信号SAMPENを受けている間に動作し、ソース線SL0の電圧と参照ソース線RSLの電圧とに応じて制御信号REGSを出力する。リセット書き込み動作では、転送トランジスタT1、TSはオン状態に設定される。このため、オペアンプSAMPは、リセット書き込み動作において、抵抗素子R1の他端の電圧と参照抵抗素子RRSの一端の電圧とを比較する。
例えば、オペアンプSAMPは、抵抗素子R1の他端の電圧と参照抵抗素子RRSの一端の電圧とが等しいとき、トランジスタPS1、PS2に所定の電流を流させるための制御信号REGSを出力する。オペアンプSAMPは、第2電圧比較部の一例であり、第2オペアンプの一例である。電圧制御部VCNT2は、リセット書き込み動作時に、抵抗素子R1と参照抵抗素子RRSとに流れる電流の差が小さくなるように、ソース線SL0および参照ソース線RSLの電圧を調整する第2電圧制御部の一例である。
オペアンプSAMPに供給されるアンプイネーブル信号SAMPENは、セット書き込み動作時および読み出し動作時、ハイレベルの制御信号REGSを出力する。これによりトランジスタPS1はオフし、ソース線SLとソース線SL0との接続は遮断される。同時に、制御信号VSSSLはハイレベルとなり、ソース線SL0はトランジスタN2を通して接地線VSSに接続される。
セット書き込み動作では、制御信号SETENB、VSSBLがロウレベルに設定され、制御信号RSTENB、VSSSLがハイレベルに設定され、ワード線WLがハイレベルに設定される。そして、トランジスタP1からビット線BLに電源電圧VDDが供給され、抵抗素子R1を介してビット線BLからソース線SL0に電流が流れることで、抵抗素子R1が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。
リセット書き込み動作では、制御信号RSTENB、VSSSLがロウレベルに設定され、制御信号SETENB、VSSBLがハイレベルに設定され、ワード線WLおよび参照ワード線RSWLがハイレベルに設定される。そして、トランジスタP2からソース線SLに電源電圧VDDが供給され、抵抗素子R1を介してソース線SLからビット線BLに電流が流れることで、抵抗素子R1が低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。
トランジスタP2は、リセット書き込み動作時に抵抗素子R1の他端と参照抵抗素子RRSの一端とに供給する電圧(VDD)を生成する第2電圧生成部の一例である。トランジスタP2のソースに供給される電圧VDDは、第2電圧の一例である。トランジスタN1は、リセット書き込み動作時に抵抗素子R1の一端に供給する電圧(VSS)を生成する。リセット書き込み動作の例は、図11で説明する。
読み出し動作では、上述した実施形態と同様に、制御信号SETENB、RSTENB、VSSSLがロウレベルに設定され、制御信号VSSBLがハイレベルに設定され、ワード線WLがハイレベルに設定される。そして、センスアンプSAは、ソース線SL0に読み出し電圧Vread(図2)を出力し、抵抗素子R1に流れる読み出し電流Ireadと参照電流Irefとを比較することで、メモリセルMCに記憶されているデータの論理を判定する。センスアンプSAは、判定した論理を示すデータ信号DATAを出力する。
図11は、図10の抵抗変化メモリ106のメモリセルMCのリセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図11は、抵抗変化メモリ100の制御方法の一例を示す。図3と同様の動作については、詳細な説明は省略する。
リセット書き込み動作時、オペアンプSAMPは、ソース線SL0の電圧VSL0を非反転入力(+)で受け、参照ソース線RSLの電圧VRSLを反転入力(-)で受ける。オペアンプSAMPは、電圧VSL0、VRSLの差VSL0-VRSLに応じた電圧VREGSを有する制御信号REGSを出力する。
図11の左上に示すように、オペアンプSAMPは、電圧差VSL0-VRSLが正の場合、平衡電圧VEQより高い電圧VREGSを出力する。オペアンプSAMPは、電圧差VSL0-VRSLが負の場合、平衡電圧VEQより低い電圧VREGSを出力する。オペアンプSAMPは、電圧VSL0、VRSLが互いに等しい場合、電圧VREGSを平衡電圧VEQに設定する。
図10に示したように、電圧制御部VCNT2のトランジスタPS1、PS2は、ソースがソース線SLに接続され、ゲートで制御信号REGSを受ける。このため、ソース線SLに電源電圧VDDが供給されるリセット書き込み動作時、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRSには、同じ電圧が印加される。
図11の左下の電流電圧特性に示すように、高抵抗状態の参照抵抗素子RRSの抵抗値は固定であるため、破線で示すように、参照抵抗素子RRSには、電圧VRSLの増加に比例した電流IRRSが流れる。一方、抵抗素子R1の電流IR1は、図2に示したように、電圧VSL0の上昇とともに、最初は低抵抗状態での電流IR1が流れ、低抵抗状態から高抵抗状態への遷移とともに電流IR1が低下する。なお、リセット書き込み動作で抵抗素子R1に流れる電流IR1の向きは、セット書き込み動作で抵抗素子R1に流れる電流IR1の向きと逆である。
電圧制御部VCNT2の制御により、高抵抗状態に変化した抵抗素子R1に流れる電流IR1が減少し、電流IRRBと等しくなる。そして、電流IR1が電流IRRSより低くなったとき、抵抗素子R1への高抵抗状態の遷移が完了する。これにより、リセット書き込み動作において、抵抗素子R1の抵抗値を参照抵抗素子RRSの抵抗値(高抵抗状態)に設定することができる。抵抗素子R1の高抵抗化は、参照抵抗素子RRSの抵抗値に合わせられるため、抵抗素子R1の電気的特性にばらつきがある場合にも、所定の抵抗値に設定することができる。
リセット書き込み動作の開始時、抵抗素子R1は低抵抗状態であり、参照抵抗素子RRSは高抵抗である。このため、図11の右側に示すように、電流IR1は、電流IRRSに比べて大きい。抵抗素子R1に電流IR1が流れ、抵抗素子R1が低抵抗状態から高抵抗状態に遷移し始めると、電流IR1は減少していく。電流IR1の減少により、ソース線SL0の電圧VSL0は上昇していき、電圧差VSL0-VRSLは大きくなる。
電流IR1が電流IRRSよりも小さくなると電圧差VSL0-VRSL>0となり、オペアンプSAMPの入出力特性から、制御信号REGSの電圧VREGSは急激に増加する。これにより、トランジスタPS1、PS2の電流は減少し、抵抗素子R1、RRSにかかる電圧も低下する。多くの場合、抵抗素子R1の電流-電圧特性は非線形性を持ち、電圧低下による電流の減少量は、参照抵抗RR1に流れる電流の減少よりも大きい。このため、電圧差VSL0-VRSLはさらに拡大し、オペアンプSAMPの動作により抵抗素子R1、RRSにかかる電圧は下がり続ける。これにより、本実施形態では、リセット書き込み動作を自律的に終了することができる。
以上、この実施形態では、リセット書き込み動作において、抵抗素子R1の電気的特性にばらつきがある場合にも、抵抗素子R1の抵抗値を、高抵抗状態に対応する参照抵抗素子RRSの抵抗値に設定することができる。この結果、読み出し動作時の読み出しマージンを向上することができる。さらに、リセット書き込み動作を自律的に終了することができる。
図12は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図1および図10と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図12に示す抵抗変化メモリ108は、図1の電圧制御部VCNT1の代わりに、読み出し動作を制御する電圧制御部VCNT3、転送トランジスタTR、参照抵抗素子RRRおよびトランジスタP3を有する。また、抵抗変化メモリ108は、図1のセンスアンプSAの代わりにラッチLTを有する。抵抗変化メモリ108のその他の構成は、図1に示す抵抗変化メモリ100と同様である。
電圧制御部VCNT3は、トランジスタPR1、PR2および読み出し動作用のオペアンプRAMPを有する。トランジスタPR1は、ソース線SLとソース線SL0との間に配置される。トランジスタPR2は、ソース線SLと参照ソース線RSLとの間に配置される。トランジスタPR1、PR2のゲートは、オペアンプRAMPの出力に接続され、オペアンプRAMPから出力される制御信号REGRを受ける。制御信号REGRは、第3制御信号の一例である。
トランジスタPR1は、制御信号REGに応じて抵抗値が変化する第5可変抵抗部の一例であり、第5pチャネルMOSトランジスタの一例である。トランジスタPR2は、制御信号REGRに応じて抵抗値が変化する第6可変抵抗部の一例であり、第6pチャネルMOSトランジスタの一例である。
オペアンプRAMPの反転入力(-)は、ソース線SL0に接続され、ソース線SL0を介して抵抗素子R1の他端に接続される。オペアンプRAMPの非反転入力(+)は、転送トランジスタTRを介して参照抵抗素子RRRの一端に接続される。転送トランジスタTRのゲートは、読み出し動作時にハイレベルに設定される参照ワード線RRWLに接続される。参照抵抗素子RRRの他端は、接地線VSSに接続される。例えば、参照抵抗素子RRRは、ポリシリコン等により形成され、抵抗値は、抵抗素子R1の低抵抗状態と抵抗素子R1の高抵抗状態との中央に設定される。参照抵抗素子RRRは、第3参照抵抗素子の一例である。
オペアンプRAMPは、読み出し動作において、有効レベル(例えば、ハイレベル)のアンプイネーブル信号RAMPENを受けている間に動作し、ソース線SL0の電圧と参照ソース線RSLの電圧とに応じて制御信号REGRを出力する。読み出し動作では、転送トランジスタT1、TRはオン状態に設定される。このため、オペアンプRAMPは、読み出し動作において、抵抗素子R1の他端の電圧と参照抵抗素子RRRの一端の電圧とを比較する。
例えば、オペアンプRAMPは、抵抗素子R1の他端の電圧と参照抵抗素子RRSの一端の電圧とが等しいとき、トランジスタPR1、PR2に所定の電流を流させるための制御信号REGRを出力する。オペアンプRAMPは、第3電圧比較部の一例であり、第3オペアンプの一例である。電圧制御部VCNT3は、読み出し動作時に、抵抗素子R1と参照抵抗素子RRRとに流れる電流の差が小さくなるように、ソース線SL0および参照ソース線RSLの電圧を調整する第3電圧制御部の一例である。
オペアンプRAMPに供給されるアンプイネーブル信号RAMPENは、セット書き込み動作時およびリセット書き込み動作時、ロウレベルに設定されて増幅動作を停止し、ハイレベルの制御信号REGBを出力する。これにより、トランジスタPR1はオフし、ソース線SLとソース線SL0との接続は遮断される。同時に、制御信号VSSSLはハイレベルとなり、ソース線SL0はトランジスタN1を通して接地線VSSに接続される。
トランジスタP3は、ソースが電源線VDDに接続され、ドレインがソース線SLに接続され、ゲートで読み出しイネーブル信号RDENBを受ける。読み出しイネーブル信号RDENBは、読み出し動作時にロウレベルに設定され、セット書き込み動作時およびリセット書き込み動作時にハイレベルに設定される。
トランジスタP3は、読み出し動作時に抵抗素子R1の他端と参照抵抗素子RRSの一端とに供給する電圧(VDD)を生成する第3電圧生成部の一例である。トランジスタP3のソースに供給される電圧VDDは、第3電圧の一例である。トランジスタN1は、読み出し動作時に抵抗素子R1の一端に供給する電圧(VSS)を生成する。
セット書き込み動作では、制御信号SETENB、VSSBLがロウレベルに設定され、制御信号RSTENB、VSSSL、RDENBがハイレベルに設定され、ワード線WLがハイレベルに設定される。そして、トランジスタP1からビット線BLに電源電圧VDDが供給され、抵抗素子R1を介してビット線BLからソース線SLに電流が流れることで、抵抗素子R1が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。
リセット書き込み動作では、制御信号RSTENB、VSSSLがロウレベルに設定され、制御信号SETENB、VSSBL、RDENBがハイレベルに設定され、ワード線WLおよび参照ワード線RSWLがハイレベルに設定される。そして、トランジスタP2からソース線SLに電源電圧VDDが供給され、抵抗素子R1を介してソース線SLからビット線BLに電流が流れることで、抵抗素子R1が低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。
読み出し動作では、制御信号SETENB、RSTENB、VSSBLがハイレベルに設定され、制御信号VSSSLおよび読み出しイネーブル信号RDENBがロウレベルに設定される。また、ワード線WLがハイレベルに設定される。そして、ラッチLTは、読み出し動作時に活性化されるセンスアンプイネーブル信号SAENにより動作し、ソース線SL0の電圧を参照電圧VREFと比較することで、メモリセルMCに記憶されているデータの論理を判定する。ラッチLTは、判定した論理を示すデータ信号DATAを出力する。
読み出し動作において、セット状態(低抵抗状態)の抵抗素子R1に流れる電流は、参照抵抗素子RRRに流れる電流より多く、ソース線SL0の電圧VSL0は、参照ソース線RSLの電圧VRSLより低くなる。抵抗変化メモリ108の読み出し動作において、リセット状態(高抵抗状態)の抵抗素子R1に流れる電流は、参照抵抗素子RRRに流れる電流より少なく、ソース線SL0の電圧VSL0は、参照ソース線RSLの電圧VRSLより高くなる。
読み出し動作において、電圧制御部VCNT3は、電圧制御部VCNT1と同様に、ソース線SL0および参照ソース線RSLに電流を流す。電圧制御部VCNT3は、ソース線SL0の電圧と参照ソース線RSLの電圧との差をオペアンプRAMPで検出する。電圧制御部VCNT3は、抵抗素子R1を流れる電流IR1と参照抵抗素子RRRを流れる電流IRRRが等しくなるように帰還制御を実行する。そして、ソース線SL0の電圧を受けるラッチLTは、抵抗素子R1に設定された抵抗値に応じた論理を示すデータ信号DATAを出力する。
図13は、図12の抵抗変化メモリ110の読み出し動作の一例を示す。すなわち、図4は、抵抗変化メモリ110の制御方法の一例を示す。まず、抵抗変化メモリ110に搭載される図示しない動作制御回路は、制御信号VSSSLをロウレベルに設定し、アンプイネーブル信号RAMPENをハイレベルに設定する(図13(a))。抵抗変化メモリ110に搭載される図示しないローデコーダは、読み出し対象のワード線WLと参照ワード線RRWLをハイレベルに設定する(図13(b))。
制御信号VSSBLがハイレベルのため、抵抗素子R1は、転送トランジスタT1を介して接地線VSSに接続され、ソース線SL0は0Vに設定される。参照ソース線RSLは、参照抵抗素子RRRおよび転送トランジスタTSを介して接地線VSSに接続され、0Vに設定される。ハイレベルのアンプイネーブル信号SAMPENにより動作を開始したオペアンプRAMPは、反転入力(-)および非反転入力(+)の電圧差がないため、平衡電圧VEQの制御信号REGRを出力する(図13(c))。
次に、動作制御回路は、読み出しイネーブル信号RDENBをロウレベルに設定する(図13(d))。ロウレベルの読み出しイネーブル信号RDENBにより、ソース線SLがハイレベルに設定される(図13(e))。
平衡電圧VEQをゲートで受けるトランジスタPR1、PR2のソース・ドレイン間抵抗は、所定の値に設定され、ソース線SLとソース線SL0および参照ソース線RSLとは導通している。このため、ソース線SLの電圧が、ソース線SL0および参照ソース線RSLに伝達される(図13(f))。
抵抗素子R1が抵抗値の低いセット状態SETの場合、ソース線SL0の電圧が参照ソース線RSLの電圧より低下し、制御信号REGRの電圧が上昇する(図13(g))。そして、電圧制御部VCNT3は、ソース線SL0および参照ソース線RSLに流れる電流が等しくなるように帰還制御を実行する。図14の左側に示すように、抵抗素子R1と参照抵抗RRRの電流は、電圧が比較的低い領域で一致する。このため、帰還制御の結果、ソース線SL0の電圧の上昇幅は小さく、抵抗素子R1を流れる電流IR1および参照抵抗素子RRRを流れる電流IRRRも小さい(図13(h))。ラッチLTは、ソース線SL0の電圧が参照電圧VREFより低いため、抵抗素子R1がセット状態SETであると判定し、ハイレベルのデータ信号を出力する(図13(i))。
一方、抵抗素子R1が抵抗値の高いリセット状態RESETの場合、ソース線SL0の電圧が参照ソース線RSLの電圧より上昇し、制御信号REGRの電圧が低下する(図13(j)、(k))。そして、電圧制御部VCNT3は、ソース線SL0および参照ソース線RSLに流れる電流が等しくなるように帰還制御を実行する。図14の左側に示すように、抵抗素子R1と参照抵抗RRRの電流は、電圧が比較的高い領域において一致する。このため、帰還制御の結果、ソース線SL0の電圧は上昇し、抵抗素子R1を流れる電流IR1および参照抵抗素子RRRを流れる電流IRRRも大きい(図13(l))。ラッチLTは、ソース線SL0の電圧が参照電圧VREFより高いため、抵抗素子R1がリセット状態RESETであると判定し、ロウレベルのデータ信号を出力する(図13(m))。この後、各種制御信号のレベルが初期状態に戻され、読み出し動作が終了する。
図14は、図12の抵抗変化メモリ108の読み出し動作の効果の一例を示す。この実施形態の読み出し動作では、抵抗素子R1の抵抗値に応じてソース線SL0に現れる電圧VSL0を参照電圧VREFと比較することで、抵抗素子R1に記憶されたデータが読み出される。図14の左側の動作は、抵抗変化メモリ108の抵抗素子R1が劣化した状態での読み出し動作の例を示す。
読み出し動作において、電圧制御部VCNT3は、抵抗素子R1に流れる電流と参照抵抗素子RRRを流れる電流が等しくなるように帰還制御を実行する。例えば、ソース線SL0の電圧VSL0がセット状態SETで0.8Vになり、リセット状態RESETで2.0Vになるように、電圧制御部VCNT3が設計される。
この実施形態では、読み出し動作において、セット状態SETの抵抗素子R1のソース線SL0側からビット線BL側に流れる電流を少なくできるため、抵抗素子R1が読み出し動作によりリセット状態RESETに遷移することを抑止することができる。したがって、セット状態SETの抵抗素子R1に高い電圧を掛けることなく読み出し動作を実行することができ、抵抗素子R1の劣化を抑止することができる。
一方、リセット状態RESETの抵抗素子R1の読み出し動作では、セット状態SETに比べて抵抗素子R1に流れる電流は多い。しかしながら、抵抗素子R1のソース線SL0側からビット線BL側に流れる電流の向きは、リセット状態RESETに遷移させるための電流の向きであるため、抵抗素子R1によるリセット状態RESETの保持に影響しない。したがって、この実施形態では、抵抗素子R1の信頼性を低下させない読み出し動作を実現することができる。
これに対して、抵抗素子R1を流れる電流を参照電流Irefと比較することで抵抗素子R1に記憶されているデータを読み出す他の抵抗変化メモリの読み出し動作では、以下の問題が発生する。例えば、抵抗素子R1の電気的特性が劣化すると、セット状態SETの電流電圧特性の波形と、リセット状態RESETの電流電圧特性の波形とが近づく。この場合、セット状態SETおよびリセット状態RESETのいずれにおいても、参照電流Irefに対する読み出しマージンが減少していまう。また、抵抗素子R1に印加する電圧VSLを高くすることで、劣化時の読み出しマージンの減少量を補うことができる。しかしながら、抵抗値が低いセット状態SETの抵抗素子R1には、より多くの電流が流れるため、リセット状態RESETに遷移するおそれがある。したがって、参照電流Irefを使用する読み出し動作は、セット状態SETに遷移している抵抗素子R1の信頼性を低下させるおそれがある。
以上、この実施形態では、抵抗変化メモリ108は、読み出し動作時に電圧制御部VCNT3による帰還制御により抵抗素子R1に流れる電流を制御し、ソース線SL0の電圧VSL0を参照電圧VREFと比較することでメモリセルMCからデータを読み出す。これにより、読み出し動作において、セット状態SETの抵抗素子R1のソース線SL0側からビット線BL側に流れる電流を少なくでき、抵抗素子R1が読み出し動作によりリセット状態RESETに遷移することを抑止することができる。この結果、抵抗素子R1の信頼性を低下させない読み出し動作を実現することができる。
図15は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図15において、信号線に付した符号"/"は、信号線が複数本(例えば、複数ビット)あることを示す。図15に示す抵抗変化メモリ110は、動作制御回路10、アドレスバッファ20およびメモリコア30を有する。メモリコア30は、ローデコーダ40、メモリセルアレイ50、センスアンプ部60、ライトアンプ部70、コラムデコーダ80およびデータ入出力回路90を有する。
抵抗変化メモリ110を示す矩形の枠は、例えば、半導体チップを示し、矩形の枠上に示す二重の四角印は、外部端子を示す。なお、外部端子は、半導体チップの外周部に設けられるパッドでもよく、半導体チップの裏面側に設けられるバンプでもよい。
動作制御回路10は、外部端子に供給されるチップセレクト信号、書き込みコマンド信号、読み出しコマンド信号等の制御信号CNTを受信し、受信した制御信号CNTに応じてメモリコア30を動作させる各種制御信号を出力する。
アドレスバッファ20は、アドレス端子に供給されるアドレス信号ADを受信し、受信したアドレス信号ADをローデコーダ40およびコラムデコーダ80に出力する。アドレス信号ADが、ロウアドレス信号とコラムアドレス信号を含む場合、ロウアドレス信号は、ローデコーダ40に出力され、コラムアドレス信号は、コラムデコーダ80に出力される。
ローデコーダ40は、アドレス信号ADをデコードし、ワード線WLおよび図示しない参照ワード線をハイレベルに駆動する。コラムデコーダ80は、アドレス信号ADをデコードし、デコードしたアドレス信号ADに応じて、メモリセルアレイ50とデータ入出力回路90との接続を制御する。
メモリセルアレイ50は、図15の縦方向および横方向にマトリックス状に配置された複数のメモリセルMCを有する。また、メモリセルアレイ50は、図15の縦方向に沿って配線され、横方向に配列された複数ペアのビット線BLおよびソース線SLを有する。さらに、メモリセルアレイ50は、図15の横方向に沿って配線され、縦方向に配列された複数のワード線WLを有する。縦方向に並ぶ複数のメモリセルMCは、共通のビット線BLと共通のソース線SLとに接続される。横方向に並ぶ複数のメモリセルMCは、共通のワード線WLに接続される。メモリセルMCは、図1等に示すメモリセルMCと同じである。
センスアンプ部60は、ソース線SLにそれぞれ接続された複数のセンスアンプSAを有する。例えば、センスアンプSAは、図1に示すセンスアンプSAである。あるいは、センスアンプSAは、図12に示す電圧制御部VCNT3、転送トランジスタTR、参照抵抗素子RRRおよびラッチLTを含む。
ライトアンプ部70は、ビット線BLおよびソース線SLのペアにそれぞれ接続された複数のライトアンプWAを有する。例えば、ライトアンプWAは、図1または図7に示す電圧制御部VCNT1、転送トランジスタTB、参照抵抗素子RRBおよび電圧生成部VGENを有する。また、ライトアンプWAは、図9に示す電圧制御部VCNT1、転送トランジスタTB、トランジスタTDおよび電圧生成部VGENを有してもよい。さらに、ライトアンプWAは、図10に示す電圧制御部VCNT2、転送トランジスタTS、参照抵抗素子RRSおよび電圧生成部VGENを有してもよい。
データ入出力回路90は、データ端子DTに供給される書き込みデータをコラムデコーダ80に出力し、コラムデコーダ80から出力される読み出しデータをデータ端子DTに出力する。例えば、抵抗変化メモリ110は、64ビットのデータ端子DTを有し、データ端子DT毎にメモリセルアレイ50を有してもよい。
図16は、図15のメモリコア30の要部の一例を示す。例えば、メモリコア30は、図1に示す電圧制御部VCNT1、転送トランジスタTB、参照抵抗素子RRBおよび電圧生成部VGENを有する。図16では、電圧制御部VCNT1のオペアンプBAMPに供給されるアンプイネーブル信号BAMPEN(図1)の記載を省略する。なお、メモリコア30は、図7に示したように、参照抵抗素子RRBの他端をオフセット電圧Voffsetに設定してもよく、図9に示したように、参照抵抗素子RRBの代わりにトランジスタTDを有してもよい。
また、メモリコア30は、図10に示す電圧制御部VCNT2、転送トランジスタTSおよび参照抵抗素子RRSと、図12に示す電圧制御部VCNT3、転送トランジスタTR、参照抵抗素子RRR、ラッチLTおよびトランジスタP3を有する。そして、抵抗変化メモリ110は、上述した実施形態で説明したセット書き込み動作、リセット書き込み動作および読み出し動作を実行する。図16では、電圧制御部VCNT2のオペアンプSAMPに供給されるアンプイネーブル信号SAMPEN(図10)の記載を省略する。また、電圧制御部VCNT3のオペアンプRAMPに供給されるアンプイネーブル信号RAMPEN(図12)の記載を省略する。
オペアンプBAMP、SAMP、RAMPは、それぞれディスイネーブル状態にあるときは増幅動作を停止し、ハイレベルの制御信号REGB、REGS、REFRをそれぞれ出力する。これにより、トランジスタPB1、またはトランジスタPS1、PR2をオフすることで、セット書き込み動作時、リセット書き込み動作時および読み出し動作時に、目的とする動作以外の動作が、目的の動作に影響することを抑止することができる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した実施形態では、例えば、抵抗素子R1と、参照抵抗素子RRB、RRSまたはRRRとに同じ大きさの電流を流す例を示した。しかしながら、参照抵抗素子RRB、RRSまたはRRRの抵抗値を抵抗素子R1の抵抗値のn倍に設定し、転送トランジスタTB、TSまたはTRのゲート幅をn分の1にしてもよい。この場合、電圧制御部VCNT1、VCNT2またはVCNT3の消費電流を削減することができる。
また、電圧制御部VCNT1に、抵抗値が互いに異なる複数の参照抵抗素子RRBを並列に接続し、セット書き込み動作時に複数の参照抵抗素子RRBのいずれかを選択的に使用することで、抵抗素子R1に複数の抵抗値を設定可能にしてもよい。この場合、読み出し動作では、ソース線SLに現れる読み出し電圧を複数の参照電圧と比較することで、メモリセルMCに記憶された多値データの論理を判定することができる。読み出し電圧と複数の参照電圧との比較は、逐次的に行ってもよく、並列に行ってもよい。これにより、読み出しマージンの低下が抑制された多値の抵抗変化メモリを実現することができる。
図17は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。上述した実施形態と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図17に示す抵抗変化メモリ112は、図1の電圧制御部VCNT1の代わりに電圧制御部VCNT4を有する。また、電圧生成部VGENは、トランジスタP1の代わりにトランジスタP11、P12を有する。抵抗変化メモリ112のその他の構成は、図1に示す抵抗変化メモリ100と同様である。
電圧制御部VCNT4は、トランジスタPB3、PB4を含むカレントミラー回路と、トランジスタNB3、NB4を含むカレントミラー回路とを有する。トランジスタNB3は、ソースが、ビット線BLおよび転送トランジスタT1を介して抵抗素子R1の一端に接続され、ゲートおよびドレインが互いに接続される。トランジスタNB4は、ソースが転送トランジスタTBを介して参照抵抗素子RRBの一端に接続され、ゲートがトランジスタNB3のゲートに接続される。
トランジスタPB3は、ドレインがトランジスタNB3のドレインに接続され、ソースが、セット書き込み動作時にオンするトランジスタP11を介して電源線VDDに接続さる。トランジスタPB4は、ドレインおよびゲートがトランジスタNB4のドレインとトランジスタPB3のゲートとに接続され、ソースがセット書き込み動作時にオンするトランジスタP12を介して電源線VDDに接続される。
電圧制御部VCNT4は、セット書き込み動作時に制御信号SETENBがロウレベルに設定されたとき、ビット線BLと参照ビット線RBLとを同じ電圧に合わせ込もうとする。すなわち、電圧制御部VCNT4は、ビット線BLと参照ビット線RBLとに同じ電流を流そうとする。カレントミラー回路を含む電圧制御部VCNT4は、オペアンプBAMP等によるフィードバック系を持たないため、ビット線BLと参照ビット線RBLとに流す電流の制御を、図1の電圧制御部VCNT1に比べて高速に実行することができる。
なお、図7と同様に、参照抵抗素子RRBは、オフセット電圧Voffsetに設定された電圧線に接続されてもよい。また、参照抵抗素子RRBの代わりに、図9に示したトランジスタTB、TDが配置されてもよい。
図18は、図17の抵抗変化メモリ112のセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図18は、抵抗変化メモリ112の制御方法の一例を示す。図4と同様の動作については、詳細な説明は省略する。
セット書き込み動作は、制御信号SETENB、VSSBLをロウレベルに設定し、制御信号VSSSLおよびアンプイネーブル信号BAMPENをハイレベルに設定することで開始される(図18(a)、(b))。アンプイネーブル信号BAMPがハイレベルに変化することで、オペアンプBAMPが動作を開始する。制御信号RSTENBは、ハイレベルに設定される。
制御信号SETENBのロウレベルにより、図17の電圧制御部VCNT4の2段積みのカレントミラー回路に電流が流れ、ビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLの電圧がともに上昇する(図18(c))。
次に、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLがハイレベルに設定され、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れ始める(図18(d)、(e))。高抵抗状態の抵抗素子R1に流れる電流IR1は、低抵抗状態に対応する抵抗値の参照抵抗素子RRBに流れる電流IRRBより少ない。このため、ビット線BL0の電圧は、参照ビット線RBLの電圧より緩やかに下降する(図18(f))。
抵抗素子R1に流れる電流により、抵抗素子R1は、高抵抗状態から低抵抗状態に遷移していく。そして、電流IR1が電流IRRBと等しくなったとき、抵抗素子R1の抵抗値は、参照抵抗素子RRBの抵抗値と等しくなり、ビット線BL0の電圧と参照ビット線RBLの電圧とは等しくなる。
この後、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLがロウレベルに設定される(図17(g))。これにより、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れなくなり、ビット線BL0および参照ビット線RBLの電圧がハイレベルに変化する。そして、制御信号SETENB、VSSBL、VSSSLおよびアンプイネーブル信号BAMPENのレベルが初期状態に戻され、セット書き込み動作が終了する。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、抵抗素子R1の電気的特性にばらつきがある場合にも、抵抗素子R1の低抵抗状態の抵抗値を、所定の抵抗値に設定することができ、読み出し動作時の読み出しマージンを向上することができる。
さらに、この実施形態では、カ技術担当チェック終わりました。庁手続きを進めてください。手続書類作成時間は1時間です。レントミラー回路を含む電圧制御部VCNT4により、セット書き込み動作時に抵抗素子R1と参照抵抗素子RRBとに流す電流を制御する。これにより、図1のオペアンプBAMP等によるフィードバック系を持たないため、ビット線BLと参照ビット線RBLとに流れる電流の制御を図1の電圧制御部VCNT2に比べて高速かつ低消費に実行することができる。この結果、図1の抵抗変化メモリ100に比べて、セット書き込み動作を高速に実行することができ、セット書き込み動作時の消費電流を少なくすることができる。
図19は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。上述した実施形態と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図19に示す抵抗変化メモリ114は、図12の電圧制御部VCNT3の代わりに電圧制御部VCNT5を有する。また、抵抗変化メモリ114は、図12のトランジスタP3の代わりにトランジスタP31、P32を有する。抵抗変化メモリ114のその他の構成は、図12に示す抵抗変化メモリ108と同様である。
電圧制御部VCNT5は、トランジスタPB5、PB6を含むカレントミラー回路と、トランジスタNB5、NB6を含むカレントミラー回路とを有する。トランジスタNB5は、ソースが、抵抗素子R1の他端に接続され、ゲートおよびドレインが互いに接続される。トランジスタNB6は、ソースが転送トランジスタTRを介して参照抵抗素子RRRの一端に接続され、ゲートがトランジスタNB5のゲートに接続される。
トランジスタPB5は、ドレインがトランジスタNB5のドレインに接続され、ソースが、読み出し動作時にオンするトランジスタP31を介して電源線VDDに接続される。トランジスタPB6は、ドレインおよびゲートがトランジスタPB5のゲートとトランジスタNB6のドレインとに接続され、ソースが読み出し動作時にオンするトランジスタP32を介して電源線VDDに接続される。
電圧制御部VCNT5は、読み出し動作時に読み出しイネーブル信号RDENBがロウレベルに設定されたとき、ソース線SLと参照ソース線RRSLとに同じ電流を流そうとする。カレントミラー回路を含む電圧制御部VCNT5は、図12のオペアンプRAMP等によるフィードバック系を持たないため、ソース線SLと参照ソース線RRSLとに流す電流の制御を、図12の電圧制御部VCNT3に比べて高速かつ低消費に実行することができる。この結果、図12の抵抗変化メモリ108に比べて、読み出し動作を高速に実行することができ、読み出し動作時の消費電流を少なくすることができる。
図19の右下に抵抗素子R1の読み出し動作における電圧制御部VCNT5のカレントミラー回路の過渡応答の例が示される。例えば、抵抗素子R1を流れる電流IR1が参照抵抗素子RRRを流れる電流IRRRよりも少ないとき、カレントミラー回路は、ソース線SLの電圧VSLと参照ソース線RRSLの電圧VRRSLとが同じ電圧になるように過渡応答する。これにより、電圧VSL、VRRSLは上昇する。一方、抵抗素子R1を流れる電流IR1が参照抵抗素子RRRを流れる電流IRRRよりも多いとき、カレントミラー回路は、電圧VSL、VRRSLが同じ電圧になるように過渡応答し、電圧VSL、VRRSLは下降する。
図20は、図19の抵抗変化メモリ114の読み出し動作の一例を示す。すなわち、図20は、抵抗変化メモリ114の制御方法の一例を示す。図13と同様の動作については、詳細な説明は省略する。まず、読み出しイネーブル信号RDENBおよび制御信号VSSSLがロウレベルに設定され、制御信号VSSBLがハイレベルに設定される(図20(a))。読み出しイネーブル信号RDENBのロウレベルにより、図19の電圧制御部VCNT5の2段積みのカレントミラー回路に電流が流れ、ソース線SLと参照ソース線RRSLとの電圧がともに電源電圧線VDDまで上昇する(図20(b))。
次に、読み出し対象のワード線WLと参照ワード線RRWLがハイレベルに設定され、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRRに、それぞれの抵抗値に応じた電流が流れる(図20(c)、(d))。ソース線SLと参照ソース線RRSLとの電圧は、抵抗素子R1の抵抗値(SET状態またはRESET状態)に応じた電圧に設定される(図20(e))。SET状態(低抵抗状態)でのソース線SLと参照ソース線RRSLとの電圧は、参照電圧VREFより低くなる。RESET状態(高抵抗状態)でのソース線SLと参照ソース線RRSLとの電圧は、参照電圧VREFより高くなる。
次に、センスアンプイネーブル信号SAENが活性化される(図20(f))。ラッチLTは、センスアンプイネーブル信号SAENの活性化中に動作し、ソース線SLの電圧と参照電圧VREFとを比較する。そして、ラッチLTは、比較結果に応じた論理のデータ信号DATAを出力する(図20(g))。そして、抵抗素子R1に保持されたデータが読み出される。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、カレントミラー回路を含む電圧制御部VCNT5により、読み出し動作時に抵抗素子R1と参照抵抗素子RRRとに流す電流を制御する。これにより、図12に示した抵抗変化メモリ108に比べて、読み出し動作時を高速に実行することができ、読み出し動作時の消費電流を少なくすることができる。
図21は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。上述した実施形態と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図21に示す抵抗変化メモリ116は、各抵抗素子R1に4値(2ビット)を記憶する多値メモリである。このため、抵抗変化メモリ116は、転送トランジスタTBおよび参照抵抗素子RRBのペアを3個有する。各転送トランジスタTBのゲートは、互いに異なる参照ワード線RBWLに接続される。
例えば、各抵抗素子R1は、論理値"00"、"01"、"10"、"11"にそれぞれ対応する抵抗状態のいずれかに設定される。抵抗素子R1の抵抗値は、"00"、"01"、"10"、"11"の順に低くなる。論理値"00"は、リセット状態である。論理値"01"は、第1セット状態である。論理値"10"は、第2セット状態である。論理値"11"は、第3セット状態である。
また、抵抗変化メモリ116は、制御信号SETENBを受ける図1のトランジスタP1の代わりに、プリチャージ信号PRCBをゲートで受けるプリチャージトランジスタPP1、PP2を有する。さらに、抵抗変化メモリ116は、第1書き込み制御部117を有する。プリチャージトランジスタPP1、PP2のソースは、セット電圧VSETを受ける。例えば、セット電圧VSETは、電源電圧VDDよりわずかに低い(例えば、トランジスタのしきい値電圧だけ低い)。プリチャージトランジスタPP1のドレインは、参照ビット線RBLに接続される。プリチャージトランジスタPP2のドレインは、ビット線BLに接続される。なお、電圧制御部VCNT1およびプリチャージトランジスタPP1、PP2に、セット電圧VSETの代わりに電源電圧VDDが供給されてもよい。
抵抗変化メモリ116のその他の構成は、図1に示す抵抗変化メモリ100と同様である。なお、図7と同様に、参照抵抗素子RRBは、オフセット電圧Voffsetに設定された電圧線に接続されてもよい。また、参照抵抗素子RRBの代わりに、図9に示したトランジスタTB、TDが配置されてもよい。
例えば、第1書き込み制御部117は、3つの転送トランジスタTBのゲートに接続される3つの参照ワード線RBWLに供給する電圧を生成する。第1書き込み制御部117は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1を第1セット状態に設定する場合、1つの参照ワード線RBWLをハイレベルに設定し、1つの転送トランジスタTBをオンさせる。第1書き込み制御部117は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1を第2セット状態に設定する場合、2つの参照ワード線RBWLをハイレベルに設定し、2つの転送トランジスタTBをオンさせる。第1書き込み制御部117は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1を第3セット状態に設定する場合、3つの参照ワード線RBWLをハイレベルに設定し、3つの転送トランジスタTBをオンさせる。このように、抵抗素子R1に書き込むデータの論理値に応じて参照ビット線RBLに接続する参照抵抗素子RRBの数を変更することで、抵抗素子R1に多値を書き込むことができる。
なお、図1と同様に、参照ビット線RBLに1つの転送トランジスタTBを介して1つの参照抵抗素子RRBのみを接続してもよい。この場合、電圧制御部VCNT1は、並列に接続された3つのトランジスタPB2を有する。3つのトランジスタPB2のゲートは、制御信号REGBを受ける。3つのトランジスタPB2のソースは、それぞれスイッチトランジスタを介してセット電圧線VSETに接続される。3つのトランジスタPB2のドレインは、参照ビット線RBLに接続される。トランジスタPB2の数が増えると、PB2/PB1のカレントミラー比で参照抵抗素子RRBに流れる電流が増え、参照抵抗素子RRBの一端に発生する電圧が上がるため、参照抵抗素子RRBの抵抗値を大きくするのと同等の効果を示す。
そして、第1書き込み制御部117は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1を第1セット状態に設定する場合、3つのスイッチトランジスタをオンする。第1書き込み制御部117は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1を第2セット状態に設定する場合、2つのスイッチトランジスタをオンする。第1書き込み制御部117は、セット書き込み動作時に抵抗素子R1を第3セット状態に設定する場合、1つのスイッチトランジスタをオンする。このように、抵抗素子R1に書き込むデータの論理値に応じて電流を流すトランジスタPB2の数を変更することで、抵抗素子R1に多値を書き込むことができる。
図22は、図21の抵抗変化メモリ116の多値セット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図22は、抵抗変化メモリ116の制御方法の一例を示す。図4と同様の動作については、詳細な説明は省略する。図22の下側の波形n=1、n=2は、抵抗素子R1が第1セット状態と第2セット状態に設定される場合の波形が示される。第1セット状態に設定する動作と、第2セット状態に設定する動作とは、電圧値がそれぞれ異なり、電流値がそれぞれ異なることを除き、波形の変化の特徴は同様である。
図22に示すセット書き込み動作では、プリチャージ信号PRCBが、制御信号VSSBLのロウレベルへの変化とともに一時的にロウレベルに変化する(図22(a))。プリチャージ信号PRCBにより、ビット線BLおよび参照ビット線RBLがプリチャージされる(図22(b)、(c))。この後、アンプイネーブル信号BAMPENがハイレベルに設定される(図22(d))。
アンプイネーブル信号BAMPENのハイレベルにより、オペアンプBAMPが動作を開始する。プリチャージされたビット線BLと参照ビット線RBLとの電圧は等しいため、オペアンプBAMPから出力される制御信号REGBは、平衡電圧まで下降する(図22(e)、(f))。
次に、ワード線WLおよび参照ワード線RBWLがハイレベルに設定され、転送トランジスタT1、TBがオンし、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRBに電流が流れ始める(図22(g)、(h)、(i))。図4と同様に、オペアンプBAMPは、電流により変化するビット線BLの電圧と参照ビット線RBLの電圧の差を小さくする制御電圧REGBを生成する(図22(j)、(k))。
そして、図22の左側の枠内に破線で示すように、抵抗素子R1の電流IR1は、参照ビット線RBLに接続された参照抵抗素子RRBの数nに応じて流れる電流IRRBと等しくなるまで増加する。これにより、参照ビット線RBLに接続された、抵抗値が固定の参照抵抗素子RRBの数nに応じた論理値を抵抗素子R1に設定する場合に、設定後の抵抗素子R1の抵抗値のばらつきを最小限にすることができる。したがって、読み出し動作においてワード線WLに読み出し電圧VREADに設定し、抵抗素子R1から多値データを読み出す場合に、読み出しマージンの減少を抑制することができる。
なお、電圧制御部VCNT1が、3つの参照抵抗素子RRBの代わりに、並列に接続された3つのトランジスタPB2を有する場合、数nは、電流を流すトランジスタPB2の数を示してもよい。ただし、この場合は、数nが大きいほど抵抗素子R1に設定される電流は小さくなる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、抵抗素子R1への多値データを書き込む多値セット書き込み動作時に、抵抗素子R1の抵抗値のばらつきを最小限にすることができる。この結果、抵抗素子R1から多値データを読み出す場合に、読み出しマージンの減少を抑制することができる。
図23は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。上述した実施形態と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図23に示す抵抗変化メモリ118は、各抵抗素子R1に4値(2ビット)を記憶する多値メモリである。例えば、抵抗変化メモリ118は、図21に示した多値セット書き込み動作を制御する回路を有し、メモリセルMCに多値データを書き込む。
抵抗変化メモリ118は、ソースがソース線SLに接続されたプリチャージトランジスタPPSと、ソースが参照ソース線RRLに接続されたプリチャージトランジスタPPSとを有する。ソース線SLおよび参照ソース線RRLにそれぞれ接続されたプリチャージトランジスタPPSは、ゲートでプリチャージ信号PRCSを受け、ドレインでプリチャージ電圧VPRCを受ける。
また、抵抗変化メモリ118は、図12に示したラッチLTの代わりに、抵抗素子R1が保持する論理値"00"、"01"、"10"、"11"の判定に使用される3つのセンスアンプSAを有する。各センスアンプSAは、読み出し動作時に、参照電圧VREF(VREF0、VREF1またはVREF2)とソース線SLに生成された電圧とを比較し、データ信号DATA(DATA0、DATA1またはDATA2)を生成する。そして、抵抗変化メモリ118の図示しないデータ判定回路は、3つのデータ信号DATA0-DATA2の論理値に応じて、メモリセルMCに保持されているデータの論理値を判定し、判定結果に応じたデータ信号DATA(図24)を出力する。
図24は、図23の抵抗変化メモリ118の読み出し動作の一例を示す。すなわち、図24は、抵抗変化メモリ118の制御方法の一例を示す。図13と同様の動作については、詳細な説明は省略する。
まず、プリチャージ信号PRCSが、制御信号VSSBLのロウレベルへの変化とともに一時的にハイレベルに変化する(図24(a))。プリチャージ信号PRCSにより、ソース線SLおよび参照ソース線RRLがプリチャージされる(図24(b))。この後、アンプイネーブル信号RAMPENがハイレベルに設定される(図24(c))。
アンプイネーブル信号RAMPENのハイレベルにより、オペアンプRAMPが動作を開始する。プリチャージされたソース線SLと参照ソース線RRLとの電圧は等しいため、オペアンプRAMPから出力される制御信号REGRは、平衡電圧まで下降する(図24(d))。
次に、ワード線WLおよび参照ワード線RRWLがハイレベルに設定され、転送トランジスタT1、TRがオンする(図24(e))。転送トランジスタT1、TRのオンにより、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRRに電流が流れ、オペアンプRAMPは、電流により変化するソース線SLの電圧と参照ソース線RRLの電圧との差を小さくする制御電圧REGRを生成する。これにより、ソース線SLの電圧と参照ソース線RRLの電圧は、メモリセルMCに保持された論理値に対応する電圧に変化する(図24(f))。
次に、センスアンプイネーブル信号SAENが活性化される(図24(g))。3つのセンスアンプSAは、センスアンプイネーブル信号SAENの活性化中に動作し、ソース線SLの電圧と各参照電圧VREF0-VREF2とを比較する。そして、各センスアンプSAは、比較結果に応じた論理のデータ信号DATA0-DATA2(図示せず)を出力する。この後、データ判定回路は、各センスアンプSAからのデータ信号DATA0-DATA2に基づいて、2ビットのデータ信号DATA[1:0]を出力する(図24(h))。
図24の左側の枠内は、読み出し動作時にソース線SLに生成される電圧と、参照電圧VREF0-VREF2との例を示す。参照電圧VREF0は、抵抗素子R1が論理値"00"(リセット状態)を保持する場合にソース線SLに生成される電圧V0と、抵抗素子R1が論理値"01"(第1セット状態)を保持する場合にソース線SLに生成される電圧V1との間に設定される。参照電圧VREF1は、第1セット状態での電圧V1と、抵抗素子R1が論理値"10"(第2セット状態)を保持する場合にソース線SLに生成される電圧V2との間に設定される。参照電圧VREF2は、第2セット状態での電圧V2と、抵抗素子R1が論理値"11"(第3セット状態)を保持する場合にソース線SLに生成される電圧V3との間に設定される。
図25は、図23のセンスアンプSA(SA0、SA1、SA2)の一例を示す回路図である。センスアンプSAは、互いに同じ回路であるため、センスアンプSA0が説明される。センスアンプSA0は、相補のセンスアンプイネーブル信号SAEN、SAENBの活性化時にソース線SLの電圧と参照電圧VREF0との差に応じた論理をラッチし、ラッチした論理をデータ信号DATA0として出力するラッチLTを有する。
ソース線SLとラッチLTとは、スイッチ制御信号SWをゲートで受ける転送トランジスタTT1を介して接続される。参照電圧線VREF0とラッチLTとは、スイッチ制御信号SWをゲートで受ける転送トランジスタTT2を介して接続される。例えば、スイッチ制御信号SWは、アンプイネーブル信号RAMPENがハイレベルに設定された後、センスアンプイネーブル信号SAENがハイレベルに設定される前にハイレベルに設定される。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、抵抗素子R1に書き込まれた多値データを読み出す場合に、電圧制御部VCNT3によりソース線SLに読み出し電圧を生成することで、読み出しマージンの減少を抑制することができる。
図26は、別の実施形態における抵抗変化メモリの一例を示す。図26に示す抵抗変化メモリ120は、クロスポイント型抵抗変化メモリである。抵抗変化メモリ120は、マトリックス状に配置された複数の抵抗素子Rを含むメモリセルアレイARYを有する。抵抗素子Rは、ワード線WLとビット線BLとの交差部に配置され、一端がワード線WL(WL0-WL3)に接続され、他端がビット線BL(BL0-BL3)に接続される。抵抗素子Rの末尾に付した2桁の数値は、抵抗素子Rに接続されるワード線WLの番号とビット線BLの番号とを示す。
ビット線BL0に接続された回路である書き込み制御回路は、ビット線BL0に接続されるセット対象の抵抗素子Rのセット書き込み動作と、ビット線BL0に接続されるリセット対象の抵抗素子R1の書き込み動作とに使用される。図示を省略するが、ビット線BL1-BL3にも同じ回路が接続される。図26は、抵抗素子R00、R01にセット書き込み動作を実行する場合の概要を示している。
クロスポイント型抵抗変化メモリでは、ワード線WLがフローティング状態になると、スニーク電流によりビット線BL0-BL3が同じ電圧になる。これを抑止するため、ワード線WL0は、接地電圧VSSに設定され、ワード線WL1-WL3は、制御信号SETENの生成期間に非選択WLバイアスVWLUに設定される。ビット線BL2、BL3は、制御信号SETENの生成期間に非選択BLバイアスVBLUに設定される。制御信号SETENは、セット書き込み動作時に活性化される。
クロスポイント型抵抗変化メモリでは、セット書き込み動作およびリセット書き込み動作において、セット書き込み対象以外の抵抗素子R1への電流の回り込みによる抵抗値の変化を抑止する制御が実行される。例えば、非選択WLバイアスVWLUおよび非選択BLバイアスVBLUは、セット書き込み動作時のビット線BLの電圧の最大値の2分の1から3分の1程度に設定される。
セット書き込み制御回路は、セット電圧線VSETと接地線VSSとの間に直列に接続されるトランジスタPM1、S0Bおよび参照抵抗素子RRを有する。セット書き込み制御回路は、セット電圧線VSETとビット線BL0との間に直列に接続されるトランジスタPM2、S0Aを有する。トランジスタPM1、S0Bは、ビット線BL0Bを介して接続され、トランジスタPM2、S0Aは、ビット線BL0Aを介して接続される。トランジスタS0B、S0Aは、ゲートでハイレベルの選択信号SEL0を受けている期間にオンする。セット書き込み制御回路は、第1電圧制御部の一例である。
ビット線BL0B、BL0Aは、プリチャージ信号PRCのハイレベル期間にビット線BL0B、BL0Aを非選択BLバイアスVBLUに設定するプリチャージ回路PREに接続される。アンプイネーブル信号AMPENを受けるオペアンプAMPと、オペアンプAMPから出力される制御信号REGをゲートで受けるトランジスタPM1、PM2とは、図1の電圧制御部VCNT1と同じ回路構成であり、電圧制御部VCNT1と同様に動作する。
図27は、図26の抵抗変化メモリ120のセット書き込み動作の一例を示す。図27(1)は、セット書き込み対象でない非選択の抵抗素子R1に流れる電流の総和と同じ電流を流す参照抵抗素子RR2の抵抗値を、ビット線BL毎に設定する設定回路の例を示す。すなわち、参照抵抗素子RR2の抵抗値は、非選択の抵抗素子R1の合成抵抗値に対応する。
設定回路は、オペアンプREFAMPと、調整用電圧線VTESTおよびオペアンプREFAMPの差動入力の間にそれぞれ配置された抵抗素子とを有する。図27の参照抵抗素子RR2は、第4参照抵抗素子の一例である。図27の設定回路は、第1抵抗値設定部の一例である。図27のオペアンプREFAMPは、第4電圧比較部の一例である。
参照抵抗素子RR2は、制御信号VCTRLに応じて抵抗値が変化する可変抵抗素子として機能する。セット書き込み対象でない非選択の抵抗素子R1に流れる電流の総和は、非選択の抵抗素子R1の書き込み状態によって異なる。このため、設定回路による参照抵抗素子RR2の抵抗値の設定動作は、各セット書き込み動作の最初に実行される。以下では、セット書き込み対象の抵抗素子R1が、ワード線WL0とビット線BL0との間に接続されているとする。
設定動作では、ワード線WL0が調整用電圧VTESTに設定され、セット書き込み対象の抵抗素子R1に電流が流れないようにする。そして、調整用電圧線VTESTと、非選択の抵抗素子R1に接続されたワード線WL(この例では、WL1-WL3=VSS)との間に流れる電流と同じ電流が流れるように参照抵抗素子RR2の抵抗値が決定される。抵抗値は、参照オペアンプREFAMPが出力する制御信号VCTRLにより決定される。
参照オペアンプREFAMPは、参照抵抗素子RR2のハイ電圧線VTEST側の電圧と、ビット線BL0の電圧とを差動入力で受ける。そして、参照オペアンプREFAMPは、差動入力で受ける電圧を等しくする制御信号VCTRLを出力する。なお、差動入力に電圧を発生させるために、参照オペアンプREFAMPの差動入力は、抵抗素子を介して調整用電圧線VTESTにそれぞれ接続される。例えば、調整用電圧線VTESTは、図2に示した読み出し電圧VREADと同様の電圧値に設定される。
図27(2)は、セット書き込み動作時の回路の状態を示す。セット書き込み動作時に、参照抵抗素子RR2は、上述した設定動作により設定された抵抗値に維持される。参照抵抗素子RR2には、非選択の抵抗素子R1とともに非選択WLバイアスVWLUが供給される。このため、セット書き込み動作において、非選択の抵抗素子R1に流れる電流を、参照抵抗素子RR2に流れる電流によりキャンセルすることができる。これにより、セット書き込み動作において、非選択の抵抗素子R1に流れる電流の影響を受けることなく、抵抗素子RRを所望の抵抗値(低抵抗状態)に設定することができる。
図27(3)は、参照抵抗素子RR2の回路例を示す。参照抵抗素子RR2は、トランジスタNM11、NM12、NM13および抵抗素子RRa、RRbを有する。トランジスタNM11は、ドレインが電源線VDDに接続され、ゲートが入力IN(すなわち、ビット線BL0B)に接続され、ソースが抵抗素子RRa、RRbの一端に接続される。抵抗素子RRaの他端は接地線VSSに接続される。抵抗素子RRbの他端は、トランジスタNM12のドレインとトランジスタNM13のゲートとに接続される。トランジスタNM12、NM13のソースは、接地線VSSに接続される。トランジスタNM13のドレインは入力INに接続される。
トランジスタNM11および抵抗素子RRaは、ソースフォロワとして機能し、入力INの電圧に応じた電圧を抵抗素子RRbの他端を介してトランジスタNM13のゲートに与える。これにより、トランジスタNM13は、ダイオード接続される。トランジスタNM12は、制御電圧VCTRLが高いほど、トランジスタNM13のゲート電圧を低下させる。これにより、ダイオード接続されたトランジスタNM13のI-V特性を、制御電圧VCTRLにより連続的に変化させることができ、参照抵抗素子RR2を可変抵抗素子として動作させることができる。
図28は、図26の抵抗変化メモリ120のセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図28は、抵抗変化メモリ120の制御方法の一例を示す。図4と同様の動作については、詳細な説明は省略する。図28に示すセット書き込み動作では、ワード線WL0とビット線BL0、BL1との間にそれぞれ接続された抵抗素子R00、R01が低抵抗状態に設定される。なお、図28に示すセット書き込み動作の直前に実行される設定動作(図27)により、セット書き込み動作用の参照抵抗素子RRは非選択の抵抗素子Rによる並列抵抗の抵抗値に設定される。そして、設定動作により決定されたセット書き込み動作用の制御信号VCTRLの電圧は、セット書き込み動作中に維持される。以下では、ビット線BL0に接続される抵抗素子R1のセット書き込み動作について説明される。
図28では、セット書き込み動作の開始時に、制御信号SETENと選択信号SEL0、SEL1とがハイレベルに設定され、プリチャージ信号PRCが一時的にハイレベルに設定される(図28(a))。ハイレベルの制御信号SETENにより、セット書き込み動作に関係しないワード線WL1-WL3は、非選択WLバイアスVWLUに設定される(図28(b))。また、セット書き込み動作に関係しないビット線BL2、BL3は、非選択BLバイアスVBLUに設定される(図28(c))。
ハイレベルのプリチャージ信号PRCにより、ビット線BL0A、BL0Bは、非選択BLバイアスVBLUに設定され、ビット線BL0Aの電圧変化に追従してビット線BL0の電圧が上昇する(図28(d))。そして、プリチャージ回路PREからビット線BL0A、BL0Bを介してセット書き込み対象の抵抗素子R1と参照抵抗素子RRとに電流が流れる(図28(e))。
この後、アンプイネーブル信号AMPENがハイレベルに設定され、オペアンプAMPが動作を開始する(図28(f))。ただし、プリチャージ信号PRCがハイレベルの期間、ビット線BL0A、BL0Bは、非選択BLバイアスVBLUに維持される。この後、プリチャージ信号PRCは、ロウレベルに設定される。これにより、プリチャージ回路PREからビット線BL0B、BL0Aへの電流が停止され、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRの抵抗値に応じてビット線BL0A、BL0Bに電流IBL0A、IBL0Bが流れる(図28(g))。
オペアンプAMPは、電流IBL0A、IBL0Bに応じて変化するビット線BL0B、BL0Aの電圧が同じになるように、トランジスタPM1、PM2のゲート電圧を制御する(図28(h))。その後の動作は、図4と同様である。そして、セット書き込み対象の抵抗素子R1が高抵抗状態から低抵抗状態に変化する。
図29は、図26の抵抗変化メモリ120のリセット書き込み動作時の状態の一例を示す。図26と同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。リセット書き込み動作に使用する回路は、トランジスタPM1、PM2の代わりにトランジスタNM1、NM2が配置されることを除き、図26のセット動作に使用する回路と同様である。トランジスタNM1、NM2のソースは、接地線VSSに接続され、トランジスタNM1、NM2のドレインは、オペアンプAMPの負側入力と正側入力と負側入力とにそれぞれ接続される。トランジスタNM1、NM2のゲートは、オペアンプAMPの出力(制御信号REG)を受ける。参照抵抗素子RRは、リセット電圧線VRESETに接続される。リセット電圧線VRESETの電圧は、電源電圧VDDよりわずかに低い(例えば、トランジスタのしきい値電圧だけ低い)。
図29に示すリセット書き込み制御回路は、ビット線BL0に接続される抵抗素子Rを低抵抗状態から高低抵抗状態に変化させるリセット書き込み動作で使用される。リセット書き込み制御回路は、第2電圧制御部の一例である。図29は、抵抗素子R00、R01にリセット書き込み動作を実行する場合の概要を示している。この場合、ワード線WL0は、リセット電圧VRESETに設定され、ワード線WL1-WL3は、制御信号SETENの生成期間に非選択WLバイアスVWLUに設定される。ビット線BL2、BL3は、制御信号SETENの生成期間に非選択BLバイアスVBLUに設定される。制御信号SETENは、リセット書き込み動作時に活性化される。
図30は、図26の抵抗変化メモリ120のリセット書き込み動作の一例を示す。図27と同様の動作については、詳細な説明は省略する。なお、図30および以降の図面において、信号線の末端に示す三角印は、接地線VSSを示す。
図30(1)は、リセット書き込み対象でない非選択の抵抗素子R1に流れる電流の総和と同じ電流を流す参照抵抗素子RR2の抵抗値を、ビット線BL毎に設定する設定回路の例を示す。設定回路は、オペアンプREFAMPと、接地線VSSおよびオペアンプREFAMPの差動入力の間にそれぞれ配置された抵抗素子とを有する。図30の参照抵抗素子RR2は、第5参照抵抗素子の一例である。図30の設定回路は、第2抵抗値設定部の一例である。図30のオペアンプREFAMPは、第5電圧比較部の一例である。図30の設定回路は、参照抵抗素子RR2に接続される接地線VSSと調整用電圧線VTESTとの接続が逆になること、および、参照オペアンプREFAMPの差動入力が逆になることを除き、図27(1)に示した設定回路と同様である。
そして、設定回路により、図27と同様に、参照抵抗素子RR2に流れる電流と、非選択の抵抗素子R1に接続されたワード線WL(この例では、WL1-WL3=VSS)に流れる電流が同じになるように参照抵抗素子RR2の抵抗値が決定される。なお、図27に示したセット書き込み動作用の設定回路と、図30に示すリセット書き込み動作用の設定回路とは、各ビット線BL0-BL3に並列に接続される。
図30(2)は、リセット書き込み動作時の回路の状態を示す。図30(2)は、各回路要素に設定される電圧がリセット書き込み動作用に設定されることを除き、図27(2)の回路と同様である。なお、リセット書き込み動作用の参照抵抗素子RR2は、図30(1)の設定回路により設定された抵抗値に維持される。参照抵抗素子RR2は、非選択の抵抗素子R1とともに非選択WLバイアスVWLUに設定される。このため、リセット書き込み動作において、非選択の抵抗素子R1に流れる電流を、参照抵抗素子RR2に流れる電流によりキャンセルすることができる。これにより、セット書き込み動作において、非選択の抵抗素子R1に流れる電流の影響を受けることなく、抵抗素子RRを所望の抵抗値(低抵抗状態)に設定することができる。
図31は、図26の抵抗変化メモリ120のリセット書き込み動作の一例を示す。すなわち、図31は、抵抗変化メモリ120の制御方法の一例を示す。図28と同様の動作については、詳細な説明は省略する。図31に示すリセット書き込み動作では、ワード線WL0とビット線BL0、BL1との間にそれぞれ接続された抵抗素子R00、R01が高抵抗状態に設定される。なお、図31に示すリセット書き込み動作の直前に実行される設定動作(図30)により、リセット書き込み動作用の参照抵抗素子RRは、非選択の抵抗素子Rによる並列抵抗の抵抗値に設定される。そして、設定動作により決定されたリセット書き込み動作用の制御信号VCTRLの電圧は、リセット書き込み動作中に維持される。以下では、ビット線BL0に接続される抵抗素子R1のリセット書き込み動作について説明される。
図28と同様に、リセット書き込み動作の開始時に、制御信号SETENと選択信号SEL0、SEL1とがハイレベルに設定され、プリチャージ信号PRCが一時的にハイレベルに設定される(図31(a))。ハイレベルの制御信号SETENにより、リセット書き込み動作に関係しないワード線WL1-WL3およびビット線BL2、BL3は、非選択WLバイアスVWLUおよび非選択BLバイアスVBLUにそれぞれ設定される(図31(b)、(c))。
ハイレベルのプリチャージ信号PRCにより、ビット線BL0A、BL0Bは、非選択BLバイアスVBLUに設定され、ビット線BL0Aの電圧変化に追従してビット線BL0の電圧が上昇する(図31(d))。そして、プリチャージ回路PREからビット線BL0A、BL0Bを介してセット書き込み対象の抵抗素子R1と参照抵抗素子RRとに電流が流れる(図31(e))。
この後、アンプイネーブル信号AMPENがハイレベルに設定され、オペアンプAMPが動作を開始する(図31(f))。プリチャージ信号PRCがロウレベルになると、プリチャージ回路PREからビット線BL0B、BL0Aへの電流が停止される。これにより、抵抗素子R1および参照抵抗素子RRの抵抗値に応じてビット線BL0A、BL0Bに電流IBL0A、IBL0Bが流れる(図31(g))。
オペアンプAMPは、電流IBL0A、IBL0Bに応じて変化するビット線BL0B、BL0Aの電圧が同じになるように、トランジスタPM1、PM2のゲート電圧を制御する(図31(h))。そして、リセット書き込み対象の抵抗素子R1が低抵抗状態から高抵抗状態に変化する。
図32は、図26の抵抗変化メモリ120の読み出し動作の一例を示す。すなわち、図32は、抵抗変化メモリ120の制御方法の一例を示す。例えば、抵抗変化メモリ120は、ビット線BL毎に読み出し制御回路を有する。図32では、ビット線BL0に接続された読み出し制御回路のみが示される。他のビット線BLに接続される読み出し制御回路も、図32の読み出し制御回路と同様の構成である。
読み出し制御回路は、電流積分回路、スイッチSW1、SW2、SW3、容量素子CR1、CR2およびセンスアンプSAを有する。電流積分回路は、正側入力で読み出し電圧Vreadを受け、出力と負側入力とが容量素子Cを介して接続され、負側入力がビット線BL0に接続されたオペアンプを有する。スイッチSW3は、電流積分回路のオペアンプの出力とビット線BL0との間に配置され、容量素子Cの両端を接続する。スイッチSW1は、第1スイッチの一例であり、スイッチSW2は、第2スイッチの一例である。
容量素子CR1およびスイッチSW1は、読み出し電圧線Vreadと電流積分回路のオペアンプの出力との間に直列に配置される。容量素子CR2およびスイッチSW2は、読み出し電圧線Vreadと電流積分回路のオペアンプの出力との間に直列に配置される。センスアンプSAの差動入力は、容量素子CR1およびスイッチSW1の接続ノードCN1と、容量素子CR2およびスイッチSW2の接続ノードCN2とにそれぞれ接続される。
抵抗変化メモリ120は、図26に示したメモリセルアレイARY内に、参照ワード線WLRと各ビット線BLとの間を接続する読み出し参照抵抗素子RREFとを有する。なお、参照ワード線WLRとワード線WL0とに接続されるスイッチSW1、SW2は、参照ワード線WLRとワード線WL0の電圧値の設定を説明のために付加される。
読み出し動作では、参照ワード線WLRおよび読み出し対象の抵抗素子R0に接続されたワード線WL0は、読み出し電圧Vreadまたは接地電圧VSSに設定される。読み出し対象以外の抵抗素子R1に接続されたワード線WL1-WL3は、読み出し電圧Vreadに設定される。
図32の右側に、読み出し動作時の波形が示される。例えば、読み出し動作では、ワード線WL0とビット線BL0との間を接続する抵抗素子R0に保持されたデータが読み出される。まず、スイッチSW1を制御するスイッチ制御信号SCNT1がハイレベルに設定され、スイッチSW3を制御するスイッチ制御信号SCNT3が一時的にハイレベルに設定される。これにより、スイッチSW1、SW3がオン(閉状態)になる。
スイッチSW1のオンにより、電流積分回路のオペアンプの出力が、ビット線BL0、読み出し参照抵抗素子RREFおよび参照ワード線WLRを介して接地線VSSに接続される。スイッチSW3がオフ(開状態)になると、オペアンプは、参照抵抗素子RREFから接地線VSSに流れる電流により低下するビット線BL0の電圧を負側入力で受け、ビット線BL0の電圧を読み出し電圧Vreadまで上昇させる。これにより、容量素子Cには、参照抵抗素子RREFに流れた電流に対応する電荷が蓄積される。そして、容量素子Cに蓄積された電荷が容量素子CR1に分配されることで、接続ノードCN1の電圧が、参照抵抗素子RREFに流れる電流に比例して上昇する。
スイッチ制御信号SCNT1がロウレベルに設定された後、スイッチSW2を制御するスイッチ制御信号SCNT2がハイレベルに設定され、スイッチ制御信号SCNT3が一時的にハイレベルに設定される。これにより、スイッチSW2、SW3がオン(閉状態)になる。
スイッチSW2のオンにより、電流積分回路のオペアンプの出力が、ビット線BL0、抵抗素子R0およびワード線WL0を介して接地線VSSに接続される。スイッチSW3がオフ(開状態)になると、オペアンプは、抵抗素子R0から接地線VSSに流れる電流により低下するビット線BL0の電圧を負側入力で受け、ビット線BL0の電圧を読み出し電圧Vreadまで上昇させる。スイッチSW1のオン期間は、第1期間の一例であり、スイッチSW2のオン期間は、第2期間の一例である。なお、スイッチSW1のオン期間とスイッチSW2のオン期間の順序は、逆にされてもよい。
これにより、容量素子Cには、参照抵抗素子RREFに流れた電流に対応する電荷が蓄積される。そして、容量素子Cに蓄積された電荷が容量素子CR2に分配されることで、接続ノードCN2の電圧が、抵抗素子R0に流れる電流に比例して上昇する。この際、接続ノードCN2の電圧は、抵抗素子R0が低抵抗状態の場合、相対的に高くなり、抵抗素子R0が高抵抗状態の場合、相対的に低くなる。また、接続ノードCN1の電圧は、低抵抗状態時の接続ノードCN2の電圧と、高抵抗状態時の接続ノードCN2の電圧との中間になる。
スイッチ制御信号SCNT2がロウレベルに設定された後、センスアンプイネーブル信号SAENがハイレベルに設定され、センスアンプSAが動作を開始する。センスアンプSAは、接続ノードCN1、CN2の電圧を差動増幅することで、抵抗素子R0に保持されている論理値を出力データ信号DATAOUTとして出力する。そして、読み出し動作が完了される。
図32に示す読み出し動作では、電流積分回路をビット線BL0に接続することにより、参照抵抗素子RREFおよび抵抗素子R0に電流が流れても、ビット線BL0の電圧を読み出し電圧線Vreadに維持することができる。したがって、読み出し動作において、読み出し対象以外の抵抗素子R1に電流が流れることを抑止することができ、読み出し対象以外の抵抗素子R1の抵抗値が変動することを抑止することができる。この結果、メモリセル(抵抗素子R)のデータ保持特性の劣化を抑止することができ、抵抗変化メモリ120の信頼性を向上することができる。
図33は、図26の抵抗変化メモリ120の読み出し動作の別の例を示す。すなわち、図33は、抵抗変化メモリ120の制御方法の一例を示す。図32と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図33では、各抵抗素子R(R0、R1)に多値データ(例えば、4値)が記憶される。
例えば、抵抗変化メモリ120は、ビット線BL毎に読み出し制御回路を有する。図32では、ビット線BL0に接続された読み出し制御回路のみが示される。他のビット線BLに接続される読み出し制御回路も、図33の読み出し制御回路と同様の構成である。
図33の読み出し制御回路は、図32の読み出し制御回路にスイッチSW41、SW42が追加される。また、図33の抵抗変化メモリ120は、図32の参照ワード線WLRおよび読み出し参照抵抗素子RREFは持たない。スイッチSW41は、スイッチSW1、SW2を接続し、スイッチSW42は、接続ノードCN1を読み出し電圧線Vreadに接続する。スイッチSW41は、第3スイッチの一例である。なお、接続ノードCN2から出力される出力電圧VOUTは、図25に示したセンスアンプSA0-SA2と同様の回路に供給され、抵抗素子R0に保持されているデータの論理が判定される。
図33の右側に、読み出し動作時の波形が示される。例えば、読み出し動作では、ワード線WL0とビット線BL0との間を接続する抵抗素子R0に保持されたデータが読み出される。スイッチ制御信号SCNT1-SCNT3の波形は、図32と同様である。スイッチSW41、SW42を制御するスイッチ制御信号SCNT4の波形は、図32のセンスアンプイネーブル信号SAENの波形と同様である。なお、スイッチSW1のオン期間とスイッチSW2のオン期間の順序は、逆にされてもよい。
スイッチSW1、SW3がオンされた後、スイッチSW3がオフされると、読み出し対象の抵抗素子R0以外の抵抗素子R1に流れる電流に対応する電荷が容量素子Cに蓄積される。容量素子Cに蓄積された電荷は、容量素子CR1に分配される。次に、スイッチSW2、SW3がオンされた後、スイッチSW3がオフされると、読み出し対象の抵抗素子R0流れる電流に対応する電荷が容量素子Cに蓄積される。容量素子Cに蓄積された電荷は、容量素子CR2に分配される。
そして、スイッチ制御信号SCNT2がロウレベルに設定された後、スイッチ制御信号SCNT4がハイレベルに設定され、スイッチSW41、SW42がオン(閉状態)になる。これにより、容量素子CR1、CR2が直列に接続され、容量素子CR1、CR2に蓄積された電荷が再分配される。すなわち、容量素子CR1、CR2に蓄積された電荷を引き算した結果が、出力電圧VOUTとして生成される。すなわち、読み出し対象の抵抗素子R0に保持された多値データに応じた出力電圧VOUTが生成される。出力電圧VOUTは、抵抗素子R0が低抵抗状態の場合、相対的に高くなり、抵抗素子R0が高抵抗状態の場合、相対的に低くなる。スイッチSW41、SW42のオン期間は、第3期間の一例である。
図33に示す読み出し動作では、クロスポイント型の抵抗変化メモリ120のメモリセル(抵抗素子R)に多値データが保持される場合にも、スニーク電流の影響を抑制して、多値データを読み出すことができる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、クロスポイント型の抵抗変化メモリ120において、スニーク電流の影響を抑制して、セット書き込み動作、リセット書き込み動作および読み出し動作を実行することができる。さらに、多値データを保持する抵抗素子Rからデータを読み出すことができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
ハイレベルのプリチャージ信号PRCにより、ビット線BL0A、BL0Bは、非選択BLバイアスVBLUに設定され、ビット線BL0Aの電圧変化に追従してビット線BL0の電圧が上昇する(図31(d))。そして、プリチャージ回路PREからビット線BL0A、BL0Bを介してリセット書き込み対象の抵抗素子R1と参照抵抗素子RRとに電流が流れる(図31(e))。