JP2022027514A - 抗ウイルス性物品及び抗ウイルス性樹脂組成物 - Google Patents

抗ウイルス性物品及び抗ウイルス性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】光による変色を抑制した、抗ウイルス性物品を提供する。【解決手段】硬化物層10を有する物品であって、前記硬化物層10は、硬化性樹脂組成物の硬化物11と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤12と、酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含む、抗ウイルス性物品100。前記抗ウイルス性物品100は、基材20上に前記硬化物層10を有してなるものが好ましい。【選択図】図3

Description

本開示は、抗ウイルス性物品及び抗ウイルス性樹脂組成物に関する。
従来より、衛生面の観点から、建築物の内装材料、車両の内装材料、OA機器及びタッチパネル等の人が手で触れる物の表面に、抗菌性を有する組成物を塗布し、抗菌処理を施すことが行われていた。
抗菌性を有する組成物又は抗菌性物品に関して、例えば、特許文献1~3が提案されている。
しかし、インフルエンザウイルスに代表されるウイルスに対しては、抗菌性を備えるだけでは不十分である。すなわち、特許文献1~3の抗菌性を有する組成物又は物品では、抗ウイルス性を満足できない場合があった。
一方、抗ウイルス性を有する組成物又は物品に関して、特許文献4~5のものが提案されている。
特開昭63-265958号公報 特許第3551201号公報 特許第4840048号公報 特許第6145758号公報 特許第6229429号公報
特許文献4の抗ウイルス性樹脂組成物は、亜酸化銅粒子等を含むものである。このため、亜酸化銅の色(赤褐色)に由来した色味を防げないものであった。
特許文献5の抗ウイルス性を有する内装用化粧シートは、化粧シート最表面のコーティング樹脂中に銀系無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤を配合してなるものである。
特許文献5の添加剤のうち、後者の亜鉛系無機添加剤は、大量に摂取した場合に健康上の問題がある。
一方、特許文献5の添加剤のうち、前者の銀系無機添加剤は高価ではあるものの、健康上の問題はない。しかし、抗ウイルス性を発現するために銀系無機添加剤の添加量を増やした際に、光(可視光線、紫外線)により褐色に変色するという問題が生じた。特許文献5では、銀系無機添加剤の添加量の増加による変色の問題を何ら検討していない。
本開示は、銀系の抗ウイルス性物品及び抗ウイルス性樹脂組成物の光による変色を抑制することを課題とするものである。
上記課題を解決すべく、本開示は、以下の[1]~[2]を提供する。
[1]硬化物層を有する物品であって、前記硬化物層は、硬化性樹脂組成物の硬化物と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤と、酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含む、抗ウイルス性物品。
[2]硬化性樹脂組成物と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤と、酸化防止剤とを含む樹脂組成物であって、前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含む、抗ウイルス性樹脂組成物。
本開示によれば、銀系の抗ウイルス剤の光(可視光線、紫外線)による変色を抑制した、抗ウイルス性物品及び抗ウイルス性樹脂組成物を提供することができる。
本開示の抗ウイルス性物品の一実施形態を示す断面図である。 本開示の抗ウイルス性物品のその他の実施形態を示す断面図である。 本開示の抗ウイルス性物品のその他の実施形態を示す断面図である。
[抗ウイルス性物品]
本開示の抗ウイルス性物品は、硬化物層を有する物品であって、前記硬化物層は、硬化性樹脂組成物の硬化物と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤と、酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含むものである。
一般的に、同一の材料及び層構成の物品であっても、前記物品の「抗ウイルス性」の効力と、前記の「抗菌性」及び「抗黴性」の効力とは、各種の条件により相関しない場合がある。各種の条件としては、ウイルスの種類、細菌の種類、黴の種類、環境条件等が挙げられる。このため、本開示の抗ウイルス性物品は、細菌の種類、環境条件、及び要求する抗菌性の水準に応じて、抗ウイルスの用途のみならず、抗菌の用途にも適用することができる場合もある。なお、カビは菌類の一種であるため、本開示の抗ウイルス性物品は、同樣に、カビの種類、環境条件、及び要求する抗カビ性の水準に応じて、抗カビの用途にも適用することができる場合もある。
図1(A)~(E)、図2(A)~(D)、及び図3は、本開示の抗ウイルス性物品100の代表的な実施の形態を示す断面図である。
図1(A)~(E)、図2(A)~(D)、及び図3の抗ウイルス性物品100は、硬化性樹脂組成物の硬化物11及び担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤12を含む硬化物層10を有している。なお、図1(A)~(E)、図2(A)~(D)、及び図3の抗ウイルス性物品100の硬化物層10は、図示しないリン系酸化防止剤を含有するものである。
図1(A)~(E)の抗ウイルス性物品100は、硬化物層10の単層で形成されてなるものである。
図1(A)の硬化物層10は、抗ウイルス剤12を硬化物層10の全体に含んでいる。図1(B)の硬化物層10は、抗ウイルス剤12を、厚み方向(同図のZ軸方向)及び面内方向(同図のXY平面内の各方向)の両方向において、硬化物層10の表面側(図の上側)に含んでいる。図1(C)の硬化物層10は、抗ウイルス剤12を、硬化物層10の表面側(図の上側)及び背面側(図の下側)に含んでいる。図1(D)の硬化物層10は、抗ウイルス剤12を、硬化物層10の表面側(図の上側)の面内方向において一部の領域に含んでいる。図1(E)の硬化物層10は、抗ウイルス剤12を、硬化物層10の表面側(図の上側)の一部の領域及び硬化物層10の背面側(図の下側)の一部の領域に含んでいる。
図1(A)~(E)に示すように、硬化物層10内において、抗ウイルス剤12の存在箇所は特に限定されない。但し、抗ウイルス性を高める観点からは、人が触れる側の面に抗ウイルス剤12が存在することが好ましい。
図1(A)~(E)のような、硬化物層10の単層からなる抗ウイルス性物品100は、例えば、離型性を有する基材上に硬化物層10を形成してなる積層体を作製した後、当該積層体から離型性を有する基材を剥離することにより得ることができる。
図2(A)~(D)の抗ウイルス性物品100は、基材20上に、硬化物層10を有してなるものである。
図2(A)の抗ウイルス性物品100は、基材20の一方の側の全面に硬化物層10を有している。図2(B)の抗ウイルス性物品100は、基材20の両側の全面に硬化物層10を有している。図2(C)の抗ウイルス性物品100は、基材20の一方の側(同図におけるZ軸方向+側)の一部の領域に硬化物層10を有している。図2(D)の抗ウイルス性物品100は、基材20の一方の側(同図におけるZ軸方向+側)の一部の領域、及び、基材20の他方の側(同図におけるZ軸方向-側)の一部の領域に硬化物層10を有している。
図2(A)~(D)に示すように、硬化物層10は、基材20上の全面に形成されていてもよいし、基材20上の一部に形成されていてもよい。また、図2(A)~(D)に示すように、硬化物層10は、基材20の一方の面のみに形成されていてもよいし、基材20の両面に形成されていてもよい。
図3の抗ウイルス性物品100は、立体形状の基材20上に硬化物層10を有してなるものである。なお、図3の立体形状の基材20は、扉の取っ手であり、図3はその断面図を図示している。
<硬化性樹脂組成物の硬化物>
硬化物層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。本明細書において、「硬化性樹脂組成物の硬化物」のことを「硬化物」と略称する場合がある。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、主としてバインダー樹脂としての役割を有する。当該硬化物を含むことにより、抗ウイルス性物品の耐擦傷性が良好となり、抗ウイルス性を長期に渡って持続させやすくできる。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、中でも耐擦傷性及び生産効率の観点から電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じて硬化剤及び硬化触媒等が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が代表的なものとして挙げられ、これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少ない、着色がしにくいなどの観点から、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。また、硬化物層が後述する紫外線吸収剤を含有する場合、電子線硬化性樹脂組成物の方が硬化物層の架橋密度を高くしやすく、耐擦傷性及び耐汚染性を良好にしやすい点でも好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線硬化性官能基としては、エポキシ基及びオキセタニル基も挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性化合物は、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー(「重合性プレポリマー」と呼称されることもある)の中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のオリゴマーとしては、得られる物品の良好な耐擦傷性、加工取り扱い適性、及び抗ウイルス性発現を並立させるため、重量平均分子量が、好ましくは1000以上10000以下、より好ましくは2000以上6000以下である。又、オリゴマー1分子当たりの官能基数は、好ましくは2以上10以下、より好ましくは2以上6以下である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の硬化物の含有量は、バインダー樹脂の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
<担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤>
硬化物層は、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤を含む。本明細書において、「担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤」と略称する場合がある。
抗ウイルス性を高めるため、図1(A)~(E)に示すように、抗ウイルス剤12の少なくとも一部は、硬化物層10から突出していることが好ましい。
担体としては、ゼオライト、アパタイト、ガラス、リン酸ジルコニウム及びリン酸チタン等の無機化合物が好ましく、中でも多孔性の無機化合物が好ましい。
ゼオライトは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩であり、天然ゼオライト及び合成ゼオライトの何れも用いることができる。また、ゼオライトは、結晶構造により、A型、フォージャサイト型(X型、Y型)、モルデナイト型、クリノプチロライト型などに分類され、何れも用いることができる。
アパタイトは、下記一般式で示される組成を有する鉱物の総称である。
10(ZO
上記式において,Mは、Ca、Ba、Mg、Na、K、Fe及びAl等を示し,Zは、P、S、Si及びAs等を示し、Xは、F、Cl、O及びOH等を示す。上記式に該当する代表例としては,フッ素アパタイト「Ca10(PO」、水酸アパタイト「Ca10(PO(OH)」が挙げられる。
ガラスは、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス及びリン酸ガラス等が挙げられる。
担体に銀イオンを担持あるいは含有させる方法としては、硬化性樹脂組成物の種類及びその各形態や加工条件、要求される抗ウイルス性能等の各種条件を勘案して公知の各種形態を適宜選択すればよい。ここで、「銀イオンを含有」とは銀イオン又は銀イオンを生成可能な物質を何らかの形態で担体中に保持することを意味する。また、「銀イオンを生成可能な物質」とは、例えば、水等に溶解することにより銀イオンを生成する物質のように、外的要因ないしは経時的要因等により銀イオンを生成する物質を意味する。
具体的な担持あるいは含有形態としては、物理吸着又は化学吸着により担持させる方法;イオン交換反応により担持させる方法;結合剤により担持させる方法;銀化合物を担体に打ち込むことにより含有させる方法;蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により担体の表面に銀化合物の薄層を形成させることにより担持あるいは含有させる方法;等が挙げられる。
抗ウイルス剤は粒子形状であることが好ましい。
抗ウイルス剤の粒子の形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はない。
抗ウイルス剤の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.5~5.0μmがより好ましく、1.0~4.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、硬化物層用インキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、抗ウイルス剤が硬化物層の表面から過度に突出することによる外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくでき、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤の平均粒子径をD、硬化物層の厚みをTと定義した際に、D/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましい。
D/Tを1.0以下とすることにより、抗ウイルス剤が硬化物層の表面から過度に突出することによる耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくでき、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
D/Tの下限は特に制限されないが、通常は0.01以上であり、好ましくは0.05以上である。
本明細書において、平均粒子径は、レーザ光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものを意味する。
抗ウイルス剤中における銀イオンの量は、担体100質量部に対して0.1~30.0質量部であることが好ましく、0.5~25.0質量部であることがより好ましく、1.0~20.0質量部であることがさらに好ましい。ここで、「銀イオンの量」とは、担持されている銀イオン及び含有されている銀イオンの両方を意味する。
銀イオンの量を0.1質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。また、銀イオンの量を30.0質量部以下とすることにより、光による変色をより抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤の含有量は、硬化物100質量部に対して、下限は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、上限は、好ましくは20.0質量部以下、より好ましくは17.0質量部以下、より好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。
抗ウイルス剤の含有量を0.1質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤の含有量を20.0質量部以下とすることにより、光による変色をより抑制しやすくできる。また、抗ウイルス剤の含有量を20.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤の含有量を20.0質量部以下とすることにより、抗ウイルス剤が硬化物層の表面から過度に突出することによる耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすく、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
なお、バインダー樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物である場合、抗ウィルス剤1の含有量は、上記範囲において多めに設定することが好ましい。
<酸化防止剤>
硬化物層は、酸化防止剤を含み、さらに、当該酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含む。硬化物層がリン系酸化防止剤を含まない場合、褐色に変色してしまう。特に、抗ウイルス性樹脂組成物の状態でリン系酸化防止剤を含まない場合、光(可視光線、紫外線)の照射による変色は顕著である。また、硬化物層の形成後においても、硬化物層がリン系酸化防止剤を含有しない場合、強度の強い光(太陽光等)により褐色に変色しやすい。
リン系酸化防止剤は、光により生じたラジカルを捕捉しやすくすることができるため、銀イオンの変質を抑制しやすくできると考えられる。
《リン系酸化防止剤》
リン系酸化防止剤としては、下記式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物、下記式(2)で示されるホスホン酸構造を有する化合物、下記式(3)で示されるホスフィン酸構造を有する化合物、下記式(4)で示されるホスフィンオキシド構造を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物が、抗ウイルス性樹脂組成物の状態における光による変色を抑制する効果を発現しやすいため好ましい。また、下記式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物の中でも、下記一般式(1-2-1)で示される化合物がより好ましい。
リン系酸化防止剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
Figure 2022027514000002
式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物としては、例えば、下記一般式(1-1)~(1-3)で表される化合物が挙げられる。一般式(1-1)~(1-3)の中では、一般式(1-1)及び(1-2)のものが、硬化物層用インキへの溶解性が良好な傾向を示す点で好ましい。硬化物層用インキへのリン系酸化防止剤の溶解性を良好にすることにより、硬化物層内の全体にリン系酸化防止剤が拡散され、変色をより抑制しやすくできる点で好ましい。
Figure 2022027514000003
一般式(1-1)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示し、これらは置換基を有していてもよい。また、R11、R12及びR13から選ばれる2つが結合して環を形成していてもよい。
変色をより抑制する観点からは、R11、R12及びR13の少なくとも一つは、直鎖アルキル基であることが好ましい。直鎖アルキル基の炭素数は6~18であることが好ましく、8~15がより好ましく、8~10がさらに好ましい。R11、R12及びR13の少なくとも一つが直鎖アルキル基の場合、残りのR11、R12及びR13は、フェニル基であることが好ましい。
また、溶解性を高める観点及び変色をより抑制する観点からは、R11、R12及びR13は互いに結合しないことが好ましい(R11、R12及びR13から選ばれる2つが結合して環を形成しないことが好ましい)。
一般式(1-1)のリン系酸化防止剤の具体例を下記式(1-1-1)~(1-1-3)に示す。
Figure 2022027514000004
一般式(1-2)中、R23は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。また、R21、R22、R24及びR25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。また、R21とR22とが結合して環を形成していてもよい。また、R24とR25とが結合して環を形成していてもよい。
変色をより抑制する観点からは、R21、R22、R22及びR24の少なくとも一つは、直鎖アルキル基であることが好ましく、全部が直鎖アルキル基であることがより好ましい。直鎖アルキル基の炭素数は6~18であることが好ましく、12~15がより好ましい。また、溶解性を高める観点及び変色をより抑制する観点からは、R21、R22、R24及びR25は互いに結合しないことが好ましい(R21、R22、R24及びR25が互いに結合して環を形成しないことが好ましい)。
一般式(1-2)のリン系酸化防止剤の具体例を以下に示す。下記の一般式(1-2-1)中、Rはそれぞれ独立して、炭素数12~15の直鎖アルキル基を示す。
Figure 2022027514000005
一般式(1-3)中、R32は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。R31及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。
リン系酸化防止剤は、硬化性樹脂組成物と重合可能なエチレン性二重結合を有していてもよいしが、有していないことが好ましい。リン系酸化防止剤が硬化性樹脂組成物と重合可能なエチレン性二重結合を有さないことにより、硬化物層内におけるリン系酸化防止剤の移動の自由度が高まり、硬化物層内の全体にリン系酸化防止剤が拡散され、変色を抑制しやすくできると考えられる。
リン系酸化防止剤の分子量は、硬化物層用インキへの溶解性を良好にしやすくする観点から、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましく、1200以下がさらに好ましい。リン系酸化防止剤の分子量の下限は特に制限されないが、通常270以上であり、好ましくは300以上、より好ましくは330以上である。
リン系酸化防止剤の含有量は、抗ウイルス剤100質量部に対して、下限は好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上であり、上限は好ましくは1000質量部以下、より好ましくは800質量部以下、より好ましくは600質量部以下、より好ましくは400質量部以下、より好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。
リン系酸化防止剤の含有量を1質量部以上とすることにより、変色を抑制しやすくできる。また、リン系酸化防止剤の含有量を1000質量部以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度が低下し、硬化物層の耐擦傷性及び耐汚染性が低下することを抑制しやすくできる。
《その他の酸化防止剤》
硬化物層は、本開示の効果を阻害しない範囲で、その他の酸化防止剤を含有していてもよい。その他の酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤が挙げられる。
なお、リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤は、変色を抑制しにくい。このため、硬化物層内には、その他の酸化防止剤(リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤)を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、硬化物層の全固形分に対して、その他の酸化防止剤の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下である。
<光安定剤>
硬化物層は、さらに光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤を含むことにより、変色をより抑制することができる。光安定剤は、組成物の状態よりも、硬化物層の状態における変色抑制に優れている。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を分子内に含む構造を有するものである。
ヒンダードアミン系化合物は、NH型ヒンダードアミン系化合物、NR型ヒンダードアミン系化合物及びNOR型ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
これらのヒンダードアミン系化合物の中でも、変色をより抑制しやすくする観点から、NH型ヒンダードアミン系化合物及びNR型ヒンダードアミン系化合物が好ましく、NR型のヒンダードアミン系化合物がより好ましい。すなわち、硬化物層は、NH型ヒンダードアミン系化合物及びNR型ヒンダードアミン系化合物から選ばれる1以上のヒンダードアミン系化合物を含むことが好ましく、NR型ヒンダードアミン系化合物から選ばれる1以上のヒンダードアミン系化合物を含むことがより好ましい。
ヒンダードアミン系化合物の中でもNH型ヒンダードアミン系化合物及びNR型ヒンダードアミン系化合物が変色を抑制しやすい理由は、NH型ヒンダードアミン系化合物及びNR型ヒンダードアミン系化合物が銀イオンと錯体を形成しやすいためと考えられる。
NH型のヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格における、窒素原子に結合する水素原子が水素原子のままのものである。
NH型のヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6‐テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
NR型のヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格における、窒素原子に結合する水素原子がアルキル基に置換されたものをいう。当該アルキル基の炭素数は1~12であることが好ましく、1(アルキル基がメチル基)であることがより好ましい。
NR型のヒンダードアミン系化合物の具体例としては、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル]、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)、セバシン酸1-メチル10-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル-メタクリレート等が挙げられる。
NOR型のヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格における、窒素原子に結合する水素原子が、ORまたはOCORに置換されたものをいう。なお、R及びRは、アルキル基及び/又はシクロアルキル基であり、好ましくは炭素数5~12のアルキル基及び/又はシクロアルキル基である。
ヒンダードアミン系化合物は、塩基解離定数(pkb)が8.5以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましく、6.0以下であることがさらに好ましい。ヒンダードアミン系化合物のpkbが8.5以下であると、変色をより抑制しやすくできる。
ヒンダードアミン系化合物のpkbの下限は特に制限されないが、4.0以上であることが好ましく、4.5以上であることがより好ましい。
ヒンダードアミン系化合物は、硬化性樹脂組成物と重合可能なエチレン性二重結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
ヒンダードアミン系化合物の分子量は、硬化物層用インキへの溶解性を良好にしやすくする観点から、1000以下が好ましく、800以下がより好ましく、700以下がさらに好ましい。ヒンダードアミン系化合物の分子量の下限は特に制限されないが、通常200以上であり、好ましくは215以上、より好ましくは230以上である。
光安定剤の含有量は、抗ウイルス剤100質量部に対して20~1000質量部であることが好ましく、30~500質量部であることがより好ましく、50~200質量部であることがさらに好ましい。なお、光安定剤として、ヒンダードアミン系化合物を前記範囲で含むことが好ましい。
光安定剤の含有量を20質量部以上とすることにより、変色を抑制しやすくできる。また、光安定剤の含有量を1000質量部以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度が低下し、硬化物層の耐擦傷性及び耐汚染性が低下することを抑制しやすくできる。
<紫外線吸収剤>
硬化物層は、耐候性の観点から、さらに紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤の中でも、トリアジン環に、ヒドロキシフェニル基、アルコキシフェニル基及びこれらの基を含む有機基から選ばれる少なくとも一つの有機基が三つ連結したヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がより好ましく、下記一般式(A)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がさらに好ましい。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は、分岐構造を有するため、硬化物層からブリードアウトしにくくなることが期待され、より長期的に優れた耐候性が得られる。
また、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する紫外線吸収剤は、ブリードアウトを抑制しやすい点で好ましい。
Figure 2022027514000006
一般式(A)中、R11は2価の有機基であり、R12は-C(=O)OR15で示されるエステル基であり、R13、R14及びR15は各々独立して1価の有機基であり、n11及びn12は各々独立して1~5の整数である。
11の2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基等の脂肪族炭化水素基が挙げられ、耐候性の観点から、アルキレン基が好ましく、その炭素数は、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下が更に好ましく、1以上4以下が特に好ましい。アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1-エチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、2,2-プロピレン等の各種プロピレン基(以下、「各種」は、直鎖状、分岐状、及びこれらの異性体のものを含むものを示す。)、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種へプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基、各種ウンデシレン基、各種ドデシレン基、各種トリデシレン基、各種テトラデシレン基、各種ペンタデシレン基、各種ヘキサデシレン基、各種ヘプタデシレン基、各種オクタデシレン基、各種ノナデシレン基、各種イコシレン基が挙げられる。
13及びR14の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられ、アリール基、アリールアルキル基等の芳香族炭化水素基が好ましく、アリール基が好ましい。中でも、R13及びR14の1価の有機基としては、フェニル基が好ましい。
アリール基としては、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数6以上12以下、更に好ましくは炭素数6以上10以下のアリール基、例えば、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等が挙げられる。アリールアルキル基としては、好ましくは炭素数7以上20以下、より好ましくは炭素数7以上12以下、更に好ましくは炭素数7以上10以下のアリールアルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基、各種メチルベンジル基、各種エチルベンジル基、各種プロピルベンジル基、各種ブチルベンジル基、各種ヘキシルベンジル基等が挙げられる。
15の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられ、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。すなわち、R12としては、アルキルエステル基、アルケニルエステル基が好ましく、アルキルエステル基がより好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1以上20以下、より好ましくは2以上16以下、更に好ましくは6以上12以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは3以上16以下、更に好ましくは6以上12以下のアルケニル基、例えば、ビニル基、各種プロペニル基、各種ブテニル基、各種ペンテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基が挙げられる。
一般式(A)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、より具体的には、R11が炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数1以上20以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上20以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましく、R11が炭素数1以上12以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数2以上16以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上12以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物がより好ましく、R11が炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、R12がR15及び炭素数6以上12以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上10以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が更に好ましく、R11が炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数8のアルキル基であるエステル基であり、R13及びR14がフェニル基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が特に好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、硬化物100質量部に対して0.2~10.0質量部が好ましく、0.5~5.0質量部がより好ましく、1.0~4.0質量部がさらに好ましい。
硬化物層は、体質顔料を含有してもよい。体質顔料は、例えば、抗ウイルス物品の意匠性を調整するために用いられる。
体質顔料は、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート及び硫酸バリウム等の無機粒子、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート及びポリアミド(ナイロン)等の有機粒子が挙げられる。
体質顔料の形状としては、特に制限はないが、多面体、球形、鱗片状などが好ましい。また、体質顔料の平均粒径は、通常1~10μm程度であり、好ましくは3~8μmである。
また、必要に応じて、硬化物層は着色剤を含有して所望の色相、明度、及び彩度に着色されていてもよい。着色剤としては、後述の着色層及び絵柄層に用いる着色剤と同樣のものの中から適宜選択すれば良い。着色剤によって硬化物層を適宜の色(色相、明度、及び彩度)に着色することによって、意匠外観を向上させたり、着色によって硬化物層の光等に起因する変色を目立ち難くして、酸化防止剤添加による変色低減効果と相俟って、硬化物層の変色低減効果を、より一層、向上せしめることもできる。
<厚み>
硬化物層の厚みは、加工特性及び耐擦傷性のバランスの観点から、例えば、1.0μm以上10000μm以下とすることができる。
抗ウイルス性物品を硬化物層の単層から構成する場合、硬化物層の厚みは厚めにすることが好ましい。
一方、基材上に硬化物層を塗工形成する形態の場合は、自己支持性と外力への耐久性は基材が担うこと、抗ウイルス性はある程度以上の厚みがあればその効果は飽和すること、及び硬化物層の厚みが厚くなるに伴い後加工適性低下や材料費高騰等の不利益も生じること等を勘案すると、硬化物層の厚みは薄膜とすることが好ましい。具体的には、硬化物層の厚みは、加工特性及び耐擦傷性のバランスの観点から、1.5μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下がさらに好ましい。
<形成方法>
硬化物層は、例えば、硬化物層を構成する材料(硬化性樹脂組成物、抗ウイルス剤、リン系酸化防止剤等)、必要に応じて添加する溶剤等を含む硬化物層用インキを、基材上に塗布、乾燥、硬化することにより形成することができる。離型性を有する基材上に、硬化物層用インキを塗布、乾燥、硬化して硬化物層を形成し、当該硬化物層を別の基材等に転写することによって、硬化物層を形成することもできる。
<積層構成>
本開示の抗ウイルス性物品は、硬化物層の単層でもよいし、硬化物層以外の層を有していてもよい。
硬化物層の単層からなる抗ウイルス性物品は、例えば、離型性を有する基材上に硬化物層を形成してなる積層体を作製した後、当該積層体から離型性を有する基材を剥離することにより得ることができる。
抗ウイルス性物品が有する硬化物層以外の層としては、基材、プライマー層、装飾層、透明性樹脂層、接着剤層等が挙げられる。抗ウイルス性物品の積層構成としては、例えば、下記の(1)~(12)が挙げられる。下記(1)~(12)において、「/」は各層の界面を示す。
なお、抗ウイルス性物品が有する硬化物層以外の層としては、磁気記録用途の磁性体層;回路、電流の銅線、又は電磁波遮蔽層として機能する導電体層;水蒸気、酸素等の気体の透過を抑制するためのガスバリア層;可視光線を高反射率で反射する光反射層;可視光線の反射を抑制するための反射防止層;等の機能性層も挙げられる。これら機能性層は、各層の機能に応じて、下記(1)~(12)の積層構成の何れかの箇所に形成することができる。
(1)硬化物層
(2)基材/硬化物層
(3)基材/プライマー層/硬化物層
(4)基材/装飾層/硬化物層
(5)基材/透明性樹脂層/硬化物層
(6)基材/接着剤層/透明性樹脂層/硬化物層
(7)基材/接着剤層/装飾層/透明性樹脂層/硬化物層
(8)基材/装飾層/接着剤層/透明性樹脂層/硬化物層
(9)基材/透明性樹脂層/プライマー層/硬化物層
(10)基材/接着剤層/透明性樹脂層/プライマー層/硬化物層
(11)基材/接着剤層/装飾層/透明性樹脂層/プライマー層/硬化物層
(12)基材/装飾層/接着剤層/透明性樹脂層/プライマー層/硬化物層
抗ウイルス性物品は、取り扱い性の観点から、基材上に硬化物層を有する構成が好ましい。
《基材》
基材の形態は、フィルム、シート及び板等の平板状のもの、並びに、多面体、多角柱、円柱、球面及び回転楕円体面等の三次元形状のもの等が挙げられ、特に制限はない。
なお、フィルム、シート及び板は、相対的に厚みの薄いものから順にフィルム、シート及び板と呼称される場合が多いが、本明細書においては、特に断りのない限り、これら3者を区別しない。
基材の構成材料としては、樹脂、金属、非金属無機材料、繊維質材料及び木質系材料等が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
基材は単層でもよいし、上記材料からなる層を2層以上積層したものであってもよい。基材が2以上の層の積層体の場合、異種材料の層を2層以上積層し、各層の材料の有する諸性能を互いに補完してなるものが好ましい。2層以上積層してなる基材の例としては、以下のA~Jが挙げられる。なお、「/」は各層の界面を示す。
(A)樹脂/木質系材料
(B)樹脂/金属
(C)樹脂/繊維質材料
(D)樹脂/非金属無機材料
(E)樹脂1/樹脂2
(F)金属/木質系材料
(G)金属/非金属無機材料
(H)金属/繊維質材料
(I)金属1/金属2
(J)非金属無機材料/繊維質材料
上記Eにおいて、樹脂1と樹脂2とは互いに別種の樹脂を示す(例えば、樹脂1がオレフィン樹脂、樹脂2がアクリル樹脂)。また、上記Hにおいて、金属1と金属2とは互いに別種の金属を示す(例えば、金属1が銅、金属2がクロム)。
また、基材が上記A~Jのような積層体である場合は、積層体の各構成層の層間に、接着力を強化するための層(接着剤層等)を有していてもよい。
基材として用いられる樹脂としては、各種の合成樹脂又は天然樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、各種オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂、必要に応じて可塑剤を適量含有するポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース、セロファン、セルロイド等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合、エチレン-ビニルアルコール共重合、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、硬化物層で例示した熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
天然樹脂としては、天然ゴム、松脂及び琥珀等が挙げられる。
基材として用いられる金属としては、例えば、アルミニウム又はジュラルミン等のアルミニウムを含む合金、鉄又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄を含む合金、銅又は真鍮、青銅等の銅を含む合金、金、銀、クロム、ニッケル、コバルト、錫、チタニウム等が挙げられる。また、金属基材としては、これらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
基材として用いられる非金属無機材料としては、例えば、セメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、石膏、珪酸カルシウム、木片セメント等の非セラミック系窯業系材料、陶磁器、土器、硝子、琺瑯等のセラミック系窯業系材料、石灰岩(大理石を含む)、花崗岩、安山岩等の天然石等からなるものが挙げられる。
基材として用いられる繊維質材料としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、和紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、パラフィン紙、パーチメント紙、グラシン紙、壁紙用裏打紙、板紙及び石膏ボード用原紙等の紙、ポリエステル樹脂繊維、アクリル樹脂繊維、絹、木綿、麻等の蛋白質系又はセルロース系の天然繊維、硝子繊維、炭素繊維、等の繊維からなる織布又は不織布が挙げられる。これらの紙には、紙基材の繊維間乃至は他層と紙との層間強度を上げる為、ケバ(毛羽)立ち防止のために、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。樹脂を添加した紙としては、例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等が挙げられる。
また、繊維質材料層に樹脂層を積層したとして基材の例として、建材分野で使われることが多い壁紙用裏打紙の表面に塩化ビニル系樹脂層、オレフィン樹脂層、アクリル樹脂層等の樹脂層を積層した壁紙原反等が挙げられる。
基材の形状及び寸法は、特に制限はなく、用途及び所望の諸性能と加工適性に応じて適宜選択すれば良い。
基材が、フィルム、シート及び板の平板状の場合は、物品の設計上の代表的な寸法として厚みがある。かかる厚みも特に制限はないが、一般的には、製造加工適性、機械的強度、使用取扱性、及び経済性の観点から、10μm以上10cm以下程度とされる。フィルム又はシート形態の場合は、通常、20μm以上500μm以下程度のものが選択され、板形態の場合は、通常、1mm以上2cm以下程度のものが選択される。
基材は、抗ウイルス性物品を構成する他層との密着性、あるいは、抗ウイルス性物品と積層する部材との密着性の向上のため、基材の片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の效果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
《プライマー層》
抗ウイルス性物品は、硬化物層の基材側の面に接してプライマー層を有することが好ましい。プライマー層によって、基材と硬化物層との密着性が向上し、紫外線に暴露した際の長期的な層間密着性の確保(いわゆる耐候密着性)及び耐擦傷性を良好にしやすくできる。
なお、抗ウイルス性物品が紫外線に暴露される事例としては、例えば、窓際等の紫外線スペクトルを含む日光が差し込む場所;殺菌用の水銀燈が設置された厨房、冷蔵庫及び食器棚の内部;直接日光の直射を受ける屋外等において、抗ウイルス性物品を設置、施工又は使用する事例等が挙げられる。
プライマー層は、主としてバインダー樹脂から構成され、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、バインダー樹脂は、これら樹脂に、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤を添加し、架橋硬化したものであってもよい。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂等のポリオール系樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものが好ましく、アクリルポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものがより好ましい。
プライマー層は、耐候性をより向上するために、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤及び光安定剤は汎用のものを用いることができる。
プライマー層の厚みは、0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.7μm以上8μm以下がより好ましく、1.0μm以上6μm以下がさらに好ましい。
なお、抗ウイルス性物品は、基材の硬化物層とは反対側に、被着材との接着性を向上することなどを目的として、裏面プライマー層を有していてもよい。
また、抗ウイルス性物品は、基材の硬化物層とは反対側に、被着材と貼り合わせることを目的として、粘着剤層を有していてもよい。なお、粘着剤層の基材とは反対側の面には剥離可能なセパレータを形成することが好ましい。
《透明性樹脂層》
抗ウイルス性物品は、強度を高めるなどの観点から、基材と硬化物層との間に透明性樹脂層を有していてもよい。特に、基材が樹脂基材の場合、透明性樹脂層を有することが好ましい。
抗ウイルス性物品がプライマー層を有する場合、透明性樹脂層は、基材とプライマー層との間に位置することが好ましい。また、抗ウイルス性物品が装飾層を有する場合、装飾層の保護の観点から、透明性樹脂層は、装飾層と硬化物層との間に位置することが好ましい。
透明性樹脂層を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、これらの中でも加工適性の観点からポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、これら例示の各種樹脂を2種類以上積層したり或いは混合して使用してもよい。
透明性樹脂層中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、加工適性の観点から、透明性樹脂層の全樹脂成分に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
透明性樹脂層のポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体が好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
透明性樹脂層は、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
透明性樹脂層の厚みは、耐擦傷性、加工適正及び耐候性のバランスの観点から、20μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上120μm以下がより好ましく、60μm以上100μm以下がさらに好ましい。
《装飾層》
抗ウイルス性物品は、意匠性を向上させる観点から、抗ウイルス性物品の任意の箇所に装飾層を有することが好ましい。
装飾層を形成する箇所は、装飾層の耐候性を高める観点から、基材に近い側であることが好ましい。例えば、抗ウイルス性物品がプライマー層を有する場合、装飾層は、基材とプライマー層との間に位置することが好ましい。また、抗ウイルス性物品が透明性樹脂層を有する場合、装飾層は、基材と透明性樹脂層との間に位置することが好ましい。
装飾層は抗ウイルス性物品の全面に形成しても良いし、一部のみに形成してもよい。なお、硬化物層の外表面を装飾層が被覆する形態の場合には、抗ウイルス性の発現を阻害しないようにするため、一部領域のみに装飾層を形成することが好ましい。
装飾層としては、インキをベタ塗りしてなる着色層;インキを模様として印刷してなる絵柄層;金属薄膜;等が挙げられる。
装飾層により表現する絵柄(模様)としては、木材板表面の年輪や導管溝等の木目模様;大理石、花崗岩等の石板表面の石目模様;布帛表面の布目模様;皮革表面の皮シボ模様;目地溝を含むタイル貼り模様;目地溝を含む煉瓦積模様;砂目模様;梨地模様;互いに平行な方向に伸びる凹條部及び凸條部を複数配列させてなる模様(いわゆる「万線状凹凸模様」又は「光線彫模様」);幾何学模様、文字、図形、水玉及び花柄等の抽象柄模様;等が挙げられる。
着色層及び絵柄層に用いられるインキとしては、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
着色層及び絵柄層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が挙げられる。また、1液硬化型樹脂、イソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型樹脂など、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
着色剤としては、特に制限は無く、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料;等が挙げられる。
着色剤の含有量は、着色層及び絵柄層を構成する樹脂100質量部に対して、5質量部以上90質量部以下が好ましく、15質量部以上80質量部以下がより好ましく、30質量部以上70質量部以下がさらに好ましい。
着色層及び絵柄層は、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
着色層及び絵柄層の厚みは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、被着材の地色を隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、2μm以上5μm以下がさらに好ましい。
金属薄膜としては、金、銀、銅、錫、鉄、インジウム、ニッケル、クロム、コバルト等の金属元素単体の薄膜;前記金属元素の二種以上を含む合金の薄膜;等が挙げられる。合金としては、例えば、真鍮、青銅、ステンレス鋼等が挙げられる。
金属薄膜の膜厚は、0.1μm~1μm程度とすることができる。
《接着剤層》
抗ウイルス性物品は、接着剤層を有していてもよい。
例えば、抗ウイルス性物品が透明性樹脂層を有する場合、基材と透明性樹脂層との間には、両層の密着性を向上するために接着剤層を形成することが好ましい。
なお、基材と透明性樹脂層との間に、さらに装飾層を有する場合、接着剤層と装飾層との位置関係は特に限定されない。具体的には、基材に近い側から装飾層、接着剤層及び透明性樹脂層をこの順に有していてもよいし、基材層に近い側から接着剤層、装飾層及び透明性樹脂層をこの順に有していてもよい。
また、上述したように、基材が2層以上の積層体の場合、基材を構成する各層の間に接着剤層を有していてもよい。
接着剤層は、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等の接着剤から構成することができる。これら接着剤の中でも、ウレタン系接着剤が接着力の点で好ましい。
ウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ポリオール化合物と、イソシアネート化合物等の硬化剤とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。
接着剤層の厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましく、2μm以上10μm以下がさらに好ましい。
上述した装飾層、接着剤層及びプライマー層は、各層を形成する組成物を含む塗布液を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することにより形成することができる。
<賦形処理>
抗ウイルス性物品は、エンボス加工等の賦形処理で所望の凹凸形状(凹凸模様とも言う)を付与してもよい。
エンボス加工を行う場合、例えば、抗ウイルス性物品を好ましくは80℃以上260℃以下、より好ましくは85℃以上200℃以下、さらに好ましくは100℃以上180℃以下に加熱し、抗ウイルス性物品にエンボス版を押圧して、エンボス加工を行うことができる。エンボス版を押圧する箇所は、抗ウイルス性物品の硬化物層側とすることが好ましい。
<抗ウイルス活性値>
本開示の抗ウイルス性物品は、下記の手法により測定される抗ウイルス活性値が0.0よりも大であることが好ましい。十分な抗ウイルス性能を発現する為には、抗ウイルス活性値は1.0以上であることがより好ましく、2.0以上であることが更に好ましい。下記の手法は、ISO21702に準拠した手法である。
《抗ウイルス活性値の測定方法》
5cm角の試験片(抗ウィルス加工品と無加工品)に0.4mlのウィルス液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆する。この試験片を25℃×24時間静置。静置後、試験片上のウィルスを洗いだして回収し、ウィルス感染価を測定する。次式(1)により抗ウィルス活性値を算出する。
R=Ut-At (1)
R:抗ウィルス活性値
Ut:無加工品の24時間静置後のウィルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
At:抗ウィルス加工品の24時間静置後のウィルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
<用途>
本開示の抗ウイルス性物品は、各種用途に用いることができる。具体的な用途としては、下記(1)~(12)のものが挙げられる。
尚、本開示の抗ウイルス性物品を、下記の各種表面材として使用する場合、表面材と、表面材を積層する対象となる被着体との間には、必要に応じて、公知の接着剤層を介在させても良い。使用可能な接着剤としては、加熱熔融した後に冷却固化させることにより接着する熱融着型接着剤、加熱による重合乃至架橋反応によって接着する熱硬化型接着剤、紫外線及び電子線等の電離放射線照射による重合乃至架橋反応によって接着する電離放射線硬化型接着剤、接着剤自体の粘着性を利用して、加圧のみにより接着する粘着剤等が挙げられる。
(1)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の壁、床、天井等の内装部分の表面材。
(2)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の外壁、屋根、軒天井、戸袋等の外装部分の表面材。
(3)窓、窓枠、扉、扉枠等の建具の表面材(内装部分又は外装部分);建具の付随備品(取っ手等)の表面材;建具の治具の表面材。
(4)手すり、腰壁、廻り縁、敷居、鴨井、笠木の造作部材の表面材。
(5)塀、門扉、物干台の柱や手すり等の屋外(外装)部分の表面材。
(6)箪笥、机、椅子、食器棚、厨房の流し台等の家具の表面材;家具の付随備品(取っ手等)の表面材;家具の治具の表面材。
(7)テレビジョン受像機、ラジオ受信機、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、扇風機、空調機等の各種家電製品の筐体等の表面材;家電製品の付随備品(取っ手、スイッチ、タッチパネル等)の表面材;家電製品の治具の表面材。
(8)電子複写機、ファクシミリ、プリンタ、パーソナルコンピュータ等の各種電算機器等のOA機器の表面材;銀行、郵便局等の金融機関のATM装置の各種OA機器類の筐体の表面材;各種OA機器類の付随備品(キーボード鍵盤、タッチパネル等)の表面材;各種OA機器類の治具の表面材。
(9)自動車、鉄道車両等の車輛、船舶、航空機等の乗物の内装又は外装部分(壁、床、天井、手すり、支柱、操作盤、レバー、ハンドル、舵輪等の操縦機器類)の表面材。
(10)各種建築物の間仕切;店舗、事務所、官公庁等の窓口、会計精算場所等におけるウイルスの飛沫感染防止のための遮蔽板又は遮蔽カーテン;保護面(フェイスガード)、保護眼鏡(ゴーグル)等の顔面保護具;あるいはこれらの表面材。
(11)伝票類等のビジネスフォーム;預金通帳;金融機関のキャッシュカード、クレジットカード、ポイントカード等のカード類;あるいはこれらの表面材。
(12)硝子、樹脂等の瓶;金属缶;樹脂レトルト容器等の樹脂軟包装材;各種チューブ類等の包装材料;あるいはこれらの表面材。
[抗ウイルス性樹脂組成物]
本開示の抗ウイルス性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤と、酸化防止剤とを含む樹脂組成物であって、前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含むものである。
本開示の抗ウイルス性樹脂組成物における「硬化性樹脂組成物」、「担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」及び「リン系酸化防止剤」の実施の形態は、上述した本開示の抗ウイルス性物品における「硬化性樹脂組成物」、「担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」及び「リン系酸化防止剤」の実施の形態と同様である。
本開示の抗ウイルス性樹脂組成物は、必要に応じて、光安定剤及び紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
本開示の抗ウイルス性樹脂組成物における「光安定剤」及び「紫外線吸収剤」の実施の形態は、上述した本開示の抗ウイルス性物品における「光安定剤」及び「紫外線吸収剤」の実施の形態と同様である。
<溶剤>
本開示の抗ウイルス性樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
溶剤の含有量は、抗ウイルス性樹脂組成物(硬化物層用インキ)の全量の10~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
次に、本開示を実施例により、さらに詳細に説明するが、本開示は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.評価
実施例及び比較例の硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)、並びに、実施例及び比較例の抗ウイルス性物品に関して、下記の評価を実施した。評価の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40~65%RHとした。
1-1.硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)の変色
外光を遮った状態の部屋で、実施例A1~A9及び比較例A1~A3の硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)をガラス製の瓶(アズワン社製、品番:ラボランスクリュー管瓶50ml)に30g入れ、蓋を閉め、評価用のサンプルを作製した。この段階において、サンプル内の硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)の色は、何れも抗ウイルス剤未添加の組成物(実施例A1~A9及び比較例A1~A3の硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)から抗ウイルス剤を除いた組成物)の色との差異はみられず、白色であった。
次いで、サンプルを机の上に置き、蛍光灯照明下の室内に24時間放置した後、サンプル内の硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)の色を目視で評価した。机の上の蛍光灯の照明による明るさは500~1000ルクスの範囲とした。結果を表1に示す。
1-2.抗ウイルス性物品の変色
実施例B1~B3及び比較例B1~B3の抗ウイルス性物品に関して、製造直後のL値を測定した。測定装置は、分光測色計(「Spectrolino」(型番)、GretagMacbeth社製)を用いた。
次いで、実施例B1~B3及び比較例B1~B3の抗ウイルス性物品に対して、メタルハライドランプ(MWOM)による促進耐候試験(下記の照射条件で20時間紫外線を照射した後、下記の結露条件で4時間結露を行う工程を1サイクルとして、該サイクルを繰り返し行う試験)を2サイクル(48時間)実施した。そして、促進耐候試験後のL値を測定した。
そして、製造直後の測定値及び促進耐候試験後の測定値から色差(ΔEab)を算出した。結果を表2に示す。
色差(ΔEab)は、製造直後の測定値をL*1、a*1及びb*1とし、促進耐候試験後の測定値をL*2、a*2及びb*2としたときに、下記の数式で算出することができる。
ΔEab=〔(L*2-L*1+(a*2-a*1+(b2-a*21/2
1-3.抗ウイルス活性値
明細書本文の「抗ウイルス活性値の測定方法」に従い、実施例B1~B3及び比較例B1~B3の抗ウイルス性物品に関して、抗ウイルス活性値を測定した。抗ウイルス活性値は、インフルエンザウイルス及びネコカリシウイルスの2種類を測定した。
<試験装置>
ダイプラ・ウィンテス社製の商品名「ダイプラ・メタルウェザー」
<照射条件>
照度:65mW/cm、ブラックパネル温度:63℃、槽内湿度:50%RH、時間:20時間
<結露条件>
照度:0mW/cm、槽内湿度:98%RH、時間:4時間
2.硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)の調製
[実施例A1]
下記の組成を混合及び攪拌してなる、実施例A1の硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)を調製した。
<硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)>
・電離放射線硬化性樹脂組成物 100質量部
(重量平均分子量4000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー)
・担体に銀イオンを含有させてなる抗ウイルス剤 3質量部
(興亜硝子社製の品番「PG711」、担体はガラス、平均粒子径3μm)
・リン系酸化防止剤 1質量部
(上記式1-1-1のリン系酸化防止剤)
・紫外線吸収剤 2質量部
(ヒドロキシフェニルトリアジン、TINUVIN479、BASF社製)
・体質顔料(不定形シリカ) 16質量部
(平均粒子径:10μm)
・溶剤 50質量部
(酢酸エチル)
[実施例A2]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、上記式1-1-2のリン系酸化防止剤に変更してなる、実施例A2の硬化物層用インキb(抗ウイルス性樹脂組成物b)を調製した。
[実施例A3]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、上記式1-1-3のリン系酸化防止剤に変更してなる、実施例A3の硬化物層用インキc(抗ウイルス性樹脂組成物c)を調製した。
[実施例A4]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、上記式1-2-1のリン系酸化防止剤に変更してなる、実施例A4の硬化物層用インキd(抗ウイルス性樹脂組成物d)を調製した。
[実施例A5]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、下記式1-3-1のリン系酸化防止剤(ADEKA社、品番「PEP-36」)に変更してなる、実施例A5の硬化物層用インキe(抗ウイルス性樹脂組成物e)を調製した。
Figure 2022027514000007
[実施例A6]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、下記式1-1-4のリン系酸化防止剤(ADEKA社、品番「TPP」)に変更してなる、実施例A6の硬化物層用インキf(抗ウイルス性樹脂組成物f)を調製した。
Figure 2022027514000008
[実施例A7]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)に対して、光安定剤(NR型ヒンダードアミン系化合物、BASF社の品番「Tinuvin144」)を2質量部追加してなる、実施例A7の硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)を調製した。
[実施例A8]
硬化物層用インキd(抗ウイルス性樹脂組成物d)に対して、光安定剤(NR型ヒンダードアミン系化合物、BASF社の品番「Tinuvin144」)を2質量部追加してなる、実施例A8の硬化物層用インキh(抗ウイルス性樹脂組成物h)を調製した。
[実施例A9]
硬化物層用インキe(抗ウイルス性樹脂組成物e)に対して、光安定剤(NR型ヒンダードアミン系化合物、BASF社の品番「Tinuvin144」)を2質量部追加してなる、実施例A9の硬化物層用インキi(抗ウイルス性樹脂組成物i)を調製した。
[比較例A1]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、フェノール系酸化防止剤(ADEKA社、品番「AO-20」)に変更してなる、比較例A1の硬化物層用インキj(抗ウイルス性樹脂組成物j)を調製した。
[比較例A2]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)のリン系酸化防止剤を、硫黄系酸化防止剤(ADEKA社、品番「AO-503」)に変更してなる、比較例A2の硬化物層用インキk(抗ウイルス性樹脂組成物k)を調製した。
[比較例A3]
硬化物層用インキa(抗ウイルス性樹脂組成物a)からリン系酸化防止剤を除いてなる、比較例A3の硬化物層用インキl(抗ウイルス性樹脂組成物kl)を調製した。
Figure 2022027514000009
表1に示すように、実施例の硬化物層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)は、変色を抑制し得ることが確認できる。
3.抗ウイルス性物品の作製
[実施例B1]
両面コロナ放電処理を施した基材(厚み60μmの酸化チタン含有ポリプロピレン樹脂シート)の一方の面に、2液硬化型のアクリル-ウレタン樹脂及び着色剤を含む装飾層用インキをグラビア印刷法で塗布、乾燥して、厚み3μmの木目模様の装飾層を形成した。
次いで、装飾層上に、ウレタン樹脂系接着剤からなる厚み3μmの接着剤層を形成し、さらに、接着剤層上に、ポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出し、厚み80μmの透明性樹脂層を形成した。
次いで、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、透明性樹脂層上に、下記組成のプライマー層用インキをグラビア印刷法で塗布、乾燥し、厚み2μmのプライマー層を形成した。
次いで、プライマー層上に、上記硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)をロールコート法で塗布して未硬化の硬化物層を形成し、60℃で1分間乾燥させた後、電子線(加速電圧:175kV、5Mrad(50kGy))を照射して、硬化性樹脂組成物(電離放射線硬化性樹脂組成物)を架橋硬化して、厚み15μmの硬化物層を形成し、実施例1の抗ウイルス性物品を得た。なお、硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)は、調製した直後にプライマー層上に塗布するようにした。
<プライマー層用インキ>
・ウレタン-アクリル共重合体及びアクリルポリオールの混合物 100質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート 5質量部
[実施例B2]
硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)を硬化物層用インキh(抗ウイルス性樹脂組成物h)に変更した以外は、実施例B1と同様にして、実施例B2の抗ウイルス性物品を得た。
[実施例B3]
硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)を硬化物層用インキi(抗ウイルス性樹脂組成物i)に変更した以外は、実施例B1と同様にして、実施例B3の抗ウイルス性物品を得た。
[比較例B1]
硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)を硬化物層用インキj(抗ウイルス性樹脂組成物j)に変更した以外は、実施例B1と同様にして、比較例B1の抗ウイルス性物品を得た。
[比較例B2]
硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)を硬化物層用インキk(抗ウイルス性樹脂組成物k)に変更した以外は、実施例B1と同様にして、比較例B2の抗ウイルス性物品を得た。
[比較例B3]
硬化物層用インキg(抗ウイルス性樹脂組成物g)を硬化物層用インキl(抗ウイルス性樹脂組成物l)に変更した以外は、実施例B1と同様にして、比較例B3の抗ウイルス性物品を得た。
Figure 2022027514000010
表2に示すように、実施例の抗ウイルス性物品は、変色を抑制し得ることが確認できる。
さらに、表2に示すように、実施例の抗ウイルス性物品は、抗ウイルス性が良好であることが確認できる。なお、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤は、抗ウイルス活性値には影響しないと考えられる。
100:抗ウイルス性物品
10:硬化物層
11:硬化性樹脂組成物の硬化物
12:担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤
20:基材

Claims (13)

  1. 硬化物層を有する物品であって、
    前記硬化物層は、硬化性樹脂組成物の硬化物と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤と、酸化防止剤とを含み、
    前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含む、抗ウイルス性物品。
  2. 前記硬化物100質量部に対して、前記抗ウイルス剤を0.1~20.0質量部含む、請求項1に記載の抗ウイルス性物品。
  3. 前記抗ウイルス剤の平均粒子径が0.1~10.0μmである、請求項1又は2に記載の抗ウイルス性物品。
  4. 前記抗ウイルス剤の平均粒子径をD、前記硬化物層の厚みをTと定義した際に、D/Tは1.0以下である、請求項1~3の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
  5. 前記抗ウイルス剤の少なくとも一部が前記硬化物層の表面から突出してなる、請求項1~4の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
  6. 前記酸化防止剤が一般式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物である、請求項1~5の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
    Figure 2022027514000011
  7. 前記酸化防止剤が下記一般式(1-2-1)で示される化合物である、請求項1~6の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
    Figure 2022027514000012

    [式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数12~15の直鎖アルキル基を示す。]
  8. 前記酸化防止剤が下記式(1-1-2)で示される化合物である、請求項1~6の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
    Figure 2022027514000013
  9. 前記抗ウイルス剤100質量部に対して、前記リン系酸化防止剤を1~1000質量部含む、請求項1~8の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
  10. 前記硬化物層が、さらに光安定剤を含む、請求項1~9の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
  11. 前記硬化物層が、さらに紫外線吸収剤を含む、請求項1~10の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
  12. 基材上に前記硬化物層を有してなる、請求項1~11の何れかに記載の抗ウイルス性物品。
  13. 硬化性樹脂組成物と、担体に銀イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤と、酸化防止剤とを含む樹脂組成物であって、前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含む、抗ウイルス性樹脂組成物。
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