JP2022097957A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌性や抗ウイルス性に優れる積層体を提供する。【解決手段】基材2と、上記基材の一方の面に配置され、樹脂、ならびに抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する樹脂層3と、有する積層体1であって、上記樹脂層の上記基材と反対側の面の算術平均高さSaが0.3μm以上2.0μm以下である、積層体を提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、抗菌性や抗ウイルス性を有する積層体に関する。
従来より、衛生面の観点から、様々な技術分野において抗菌製品や抗ウイルス製品が開発されている。昨今においては、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)が世界的に流行しており、抗菌製品や抗ウイルス製品が強く求められている。
抗菌製品および抗ウイルス製品としては、様々な形態のものが知られている。例えば特許文献1には、抗ウイルス性の化粧板が提案されている。
特許第6229429号公報
しかしながら、抗菌製品や抗ウイルス製品においては、抗菌効果や抗ウイルス効果、およびそれらの持続性について改善の余地がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、抗菌性や抗ウイルス性に優れる積層体を提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、基材と、上記基材の一方の面に配置され、樹脂、ならびに抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する樹脂層と、有する積層体であって、上記樹脂層の上記基材と反対側の面の算術平均高さSaが0.3μm以上2.0μm以下である、積層体を提供する。
本開示においては、抗菌性や抗ウイルス性に優れる積層体を提供することができるという効果を奏する。
本開示における積層体を例示する概略断面図である。 本開示における積層体を例示する概略断面図である。 本開示における積層体を例示する概略断面図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示における積層体について詳細に説明する。
本開示における積層体は、基材と、上記基材の一方の面に配置され、樹脂、ならびに抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する樹脂層と、有する積層体であって、上記樹脂層の上記基材と反対側の面の算術平均高さSaが0.3μm以上2.0μm以下である。
図1は、本開示の積層体の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本開示の積層体1は、基材2と、基材2の一方の面に配置され、樹脂、ならびに抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する樹脂層3と、有している。また、樹脂層3の基材2と反対側の面の算術平均高さSaは所定の範囲内となっている。
本開示においては、樹脂層の基材とは反対側の面の算術平均高さSaが所定の範囲内であり、樹脂層の基材とは反対側の面において抗菌剤や抗ウイルス剤が突出しているため、抗菌剤や抗ウイルス剤が樹脂層表面に付着した細菌やウイルスと接触しやすくなるので、抗菌性や抗ウイルス性を向上させることができる。また、樹脂層の基材とは反対側の面の算術平均高さSaが所定の範囲内であることにより、擦りに対する耐性の低下を抑制し、樹脂層からの抗菌剤や抗ウイルス剤の脱落を抑制することができる。よって、抗菌効果や抗ウイルス効果を持続させることができる。
以下、本開示の積層体の各構成について説明する。
1.樹脂層
本開示における樹脂層は、基材の一方の面に配置され、樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかとを含有する。また、樹脂層の基材と反対側の面の算術平均高さSaが所定の範囲内である。
(1)樹脂層の特性
本開示において、樹脂層の基材と反対側の面の算術平均高さSaは、0.3μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、0.8μm以上であってもよい。また、樹脂層の基材と反対側の面の算術平均高さSaは、2.0μm以下であり、1.5μm以下であってもよく、1.2μm以下であってもよく、1.0μm以下であってもよい。上記算術平均高さSaが上記範囲内であることにより、抗菌性や抗ウイルス性を向上させることができる。一方、上記算術平均高さSaが小さすぎると、所望の抗菌性や抗ウイルス性が得られない可能性がある。また、上記算術平均高さSaが大きすぎると、樹脂層の基材とは反対側の面において抗菌剤や抗ウイルス剤の突出の程度が大きくなり、擦りに対する耐性が低下し、抗菌剤や抗ウイルス剤が樹脂層から脱落しやすくなるため、抗菌性や抗ウイルス性が低下する可能性がある。また、積層体の用途等によっては、長尺状の積層体をロール状に巻回したり、枚葉状の積層体を複数積層したりする場合があり、このような場合において、上記算術平均高さSaが大きすぎると、積層体の樹脂層側の面との接触によって積層体の基材側の面が傷つく可能性がある。
ここで、算術平均高さSaは、ISO 25178に準拠して測定される値である。算術平均高さSaは、光干渉方式の非接触表面形状測定装置を用いて測定することができる。光干渉方式の非接触表面形状測定装置としては、例えば、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いることができる。なお、算術平均高さSaの測定方法の詳細については、後述の実施例の項に記載する。
また、樹脂層の基材と反対側の面の算術平均粗さRaは、例えば、0.3μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、0.8μm以上であってもよい。また、樹脂層の基材と反対側の面の算術平均粗さRaは、例えば、2.0μm以下であり、1.5μm以下であってもよく、1.2μm以下であってもよい。上記算術平均粗さRaが上記範囲内であることにより、抗菌性や抗ウイルス性を向上させることができる。一方、上記算術平均粗さRaが小さすぎると、所望の抗菌性や抗ウイルス性が得られない可能性がある。また、上記算術平均粗さRaが大きすぎると、樹脂層の基材とは反対側の面において抗菌剤や抗ウイルス剤の突出の程度が大きくなり、擦りに対する耐性が低下し、抗菌剤や抗ウイルス剤が樹脂層から脱落しやすくなるため、抗菌性や抗ウイルス性が低下する可能性がある。また、積層体の用途等によっては、長尺状の積層体をロール状に巻回したり、枚葉状の積層体を複数積層したりする場合があり、このような場合において、上記算術平均粗さRaが大きすぎると、積層体の樹脂層側の面との接触によって積層体の基材側の面が傷つく可能性がある。
ここで、算術平均粗さRaは、JIS B0601に準拠して測定される値である。算術平均粗さRaは、光干渉方式の非接触表面形状測定装置を用いて測定することができる。光干渉方式の非接触表面形状測定装置としては、例えば、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いることができる。なお、算術平均粗さRaの測定方法の詳細については、後述の実施例の項に記載する。
また、樹脂層の基材と反対側の面の水に対する接触角は、例えば、70°以上であり、75°以上であってもよい。また、樹脂層の基材と反対側の面の水に対する接触角は、例えば、100°以下であり、95°以下であってもよい。上記接触角が上記範囲内であることにより、樹脂層の基材と反対側の面への水の付着を抑制することができ、抗菌性や抗ウイルス性をさらに向上させることができる。上記接触角が上記範囲内であると、樹脂層の基材とは反対側の面に水が付着しにくくなるため、乾きやすくなる。この場合、樹脂層の基材とは反対側の面における水の接触角が比較的小さい場合と比較して、乾燥速度が速いことから、細菌やウイルスにおいては、周囲環境の急激な変化を受けることとなる。この影響によって、細菌のタンパク質が変性しやすくなり、細菌の増殖を抑制することができると考えられる。加えて、ウイルスについてもタンパク質が変性しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。よって、抗菌性や抗ウイルス性をさらに向上させることができるものと考えられる。本開示においては、樹脂層の基材と反対側の面の算術平均高さSaが所定範囲内であり、樹脂層の基材と反対側の面が凹凸を有するため、樹脂層の基材と反対側の面における水に対する接触角が比較的大きくなるものと推量される。
ここで、水に対する接触角は、θ/2法により測定される値である。なお、水の接触角の測定方法の詳細については、後述の実施例の項に記載する。
(2)樹脂層の材料
本開示における樹脂層は、樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかとを含有する。以下、樹脂層の各成分について説明する。
(1)抗菌剤および抗ウイルス剤
本開示において、樹脂層は、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する。なお、「抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれか」には、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗菌抗ウイルス剤が含まれる。「抗菌抗ウイルス剤」とは、抗菌活性および抗ウイルス活性を併せ持つ物質である。
樹脂層は、例えば、抗菌剤を含有していてもよく、抗ウイルス剤を含有していてもよく、抗菌剤および抗ウイルス剤を含有していてもよく、抗菌抗ウイルス剤を含有していてもよい。
本開示に用いられる抗菌剤としては、細菌の増殖を抑制することができる物質であれば特に限定されるものではなく、一般的な抗菌剤を使用することができる。例えば、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、光触媒系抗菌剤等が挙げられる。また、これらの抗菌剤は、混合して用いてもよい。
本開示に用いられる抗ウイルス剤としては、ウイルスの数を減少させることができる物質であれば特に限定されるものではなく、一般的な抗ウイルス剤を使用することができる。例えば、有機系抗ウイルス剤、無機系抗ウイルス剤、光触媒系抗ウイルス剤等が挙げられる。また、これらの抗ウイルス剤は、混合して用いてもよい。
本開示に用いられる抗菌抗ウイルス剤としては、細菌の増殖を抑制し、かつ、ウイルスの数を減少させることができる物質であれば特に限定されるものではなく、一般的な抗菌抗ウイルス剤を使用することができる。例えば、有機系抗菌抗ウイルス剤、無機系抗菌抗ウイルス剤、光触媒系抗菌抗ウイルス剤等が挙げられる。また、これらの抗菌抗ウイルス剤は、混合して用いてもよい。
有機系抗菌剤、有機系抗ウイルス剤、および有機系抗菌抗ウイルス剤としては、例えば、有機合成系や有機天然系が挙げられる。有機合成系としては、例えば、アルコール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物系、ハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール・チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメイト系、グアニジン系、過酸化水素水系、界面活性剤系、有機金属系等が挙げられる。また、有機天然系としては、例えば、テルペン系、糖質系、トロポロン系、エステル系、キトサン、プロポリス、ポリリジン、茶カテキン、カラシやワサビの抽出物(アリルイソチオシアネート)等が挙げられる。
無機系抗菌剤、無機系抗ウイルス剤、無機系抗菌抗ウイルス剤としては、例えば、銀系、亜鉛系、銅系等が挙げられる。
光触媒系抗菌剤、光触媒系抗ウイルス剤、光触媒系抗菌抗ウイルス剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤が無機系であり、銀系、亜鉛系、銅系等である場合、例えば、担体に銀イオン、亜鉛イオンまたは銅イオン等の金属イオンを担持または含有してなる抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤を用いることができる。
なお、「担体に金属イオンを含有」とは、金属イオンまたは金属イオンを生成可能な物質を何らかの形態で担体中に保持することを意味する。また、「金属イオンを生成可能な物質」とは、例えば、水等に溶解することにより金属イオンを生成する物質のように、外的要因ないしは経時的要因等により金属イオンを生成する物質を意味する。
担体としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、アパタイト、ガラス、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン等の無機化合物が好ましく、中でも多孔性の無機化合物がより好ましい。
抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤は、粒子形状を有することが好ましい。粒子の場合、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。
粒子形状を有する抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤としては、上記の中でも、例えば、無機系や光触媒系、または上記の有機系のうち粒子形状を有する有機粒子系が挙げられる。
抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤の粒子の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円体状、多面体状、鱗片状等、任意の形状とすることができる。
また、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤の粒子の平均粒子径は、例えば、3μm以上であり、5μm以上であってもよく、7μm以上であってもよい。上記平均粒子径が上記範囲であれば、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。また、上記平均粒子径が上記範囲であることにより、樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかとを含有する樹脂組成物を塗布することにより樹脂層を形成する場合には、樹脂組成物の安定性が得られやすくなる。一方、粒子の平均粒子径は、例えば、15μm以下であり、12μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。上記平均粒子径が上記範囲であれば、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。また、上記平均粒子径が大きすぎると、樹脂層の基材とは反対側の面において抗菌剤や抗ウイルス剤の突出の程度が大きくなり、擦りに対する耐性が低下し、抗菌剤や抗ウイルス剤が樹脂層から脱落しやすくなるため、抗菌性や抗ウイルス性が低下する可能性がある。また、積層体の用途等によっては、長尺状の積層体をロール状に巻回したり、枚葉状の積層体を複数積層したりする場合があり、このような場合において、上記平均粒子径が大きすぎると、積層体の樹脂層側の面との接触によって積層体の基材側の面が傷つく可能性がある。
また、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤の粒子の平均粒子径は、樹脂層の厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。
具体的には、樹脂層の厚さTに対する、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤の粒子の平均粒子径Dの比率(D/T)は、1.0超であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、3.5以上であってもよく、5.0以上であってもよい。上記の比率が上記範囲であれば、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。一方、樹脂層の厚さTに対する、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤の粒子の平均粒子径Dの比率(D/T)は、例えば、12.0以下であり、6.0以下であってもよい。上記の比率が上記範囲であれば、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。また、上記の比率が大きすぎると、樹脂層の基材とは反対側の面において抗菌剤や抗ウイルス剤の突出の程度が大きくなり、擦りに対する耐性が低下し、抗菌剤や抗ウイルス剤が樹脂層から脱落しやすくなるため、抗菌性や抗ウイルス性が低下する可能性がある。
ここで、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗菌抗ウイルス剤の粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される積層体の厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10個の粒子の粒子径の平均値とすることができる。なお、粒子形状が球状ではない場合には、粒子の長径を粒子径とする。
また、樹脂層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される積層体の厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚さの平均値とすることができる。
樹脂層中の抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量としては、所望の抗菌性や抗ウイルス性を得ることが可能であれば特に限定されるものではなく、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の種類、積層体の構成や用途等に応じて適宜設定することができる。具体的には、樹脂層中の抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量は、合計で、0.5質量%以上であり、1.0質量%以上であってもよく、2.0質量%以上であってもよい。抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量が少なすぎると、所望の抗菌性および抗ウイルス性が得られない可能性がある。一方、樹脂層中の抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量は、合計で、例えば、10.0質量%以下であり、8.0質量%以下であってもよく、6.0質量%以下であってもよい。抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量が多すぎると、抗菌性および抗ウイルス性は十分に得られるものの、樹脂層の強度や耐傷性等が低下する可能性がある。また、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量が多すぎると、透明性が低下する可能性や、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の種類によっては、樹脂層が白濁する可能性がある。樹脂層の透明性が低下すると、樹脂層の下地層、例えば基材や、後述の装飾層等が視認しにくくなるおそれがある。さらに、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量が多すぎると、コストが高くなる場合がある。
(2)樹脂
本開示における樹脂層に含有される樹脂としては、抗菌剤や抗ウイルス剤を分散させることが可能な樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂や、硬化樹脂が挙げられる。
ここで、硬化樹脂とは、硬化性樹脂の硬化物をいう。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリレート等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化樹脂に用いられる硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含まれる。
熱硬化性樹脂は、加熱により硬化する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂を用いる場合、例えば、熱硬化性樹脂と、必要に応じて硬化剤や硬化触媒とを含有する熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電子線硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電
離放射線硬化性化合物」とも称する。)である。電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基である。電離放射線硬化性官能基としては、例えば、、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基や、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
電離放射線硬化性化合物は、具体的には、従来、電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー(「重合性プレポリマー」と呼称されることもある。)の中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物を挙げることができ、具体的には、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物を挙げることができる。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、例えば、紫外線硬化性化合物と、光重合開始剤や光重合促進剤等とを含有する紫外線硬化性樹脂組成物を用いることができる。
(3)他の成分
本開示において、樹脂層は、抗菌性および抗ウイルス性が損なわれない範囲において、上記の樹脂、抗菌剤や抗ウイルス剤以外に、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、耐摩耗剤、帯電防止剤、スリップ剤、離型剤、顔料等、表面調整剤(レベリング剤)、防汚剤を挙げることができる。
(a)酸化防止剤
樹脂層は、酸化防止剤を含有することができる。中でも、抗菌剤や抗ウイルス剤が銀系の抗菌剤や抗ウイルス剤である場合には、樹脂層は酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含有することが好ましい。これにより、銀系の抗菌剤や抗ウイルス剤が、紫外線や可視光線等の光により褐色に変色するのを抑制することができる。リン系酸化防止剤が変色を抑制し得る原理は不明であるが、何らかの作用で銀イオンの変質を抑制していると考えられる。
(i)リン系酸化防止剤
リン系酸化防止剤としては、例えば、下記式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物、下記式(2)で示されるホスホン酸構造を有する化合物、下記式(3)で示されるホスフィン酸構造を有する化合物、下記式(4)で示されるホスフィンオキシド構造を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物が好ましい。リン系酸化防止剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
Figure 2022097957000002
上記式(1)で示される亜リン酸構造を有する化合物としては、例えば、下記一般式(1-1)~(1-3)で表される化合物が挙げられる。一般式(1-1)~(1-3)の中では、一般式(1-1)及び(1-2)のものが、樹脂層の形成に用いられる樹脂組成物への溶解性が良好な傾向を示す点で好ましい。樹脂組成物へのリン系酸化防止剤の溶解性を良好にすることにより、樹脂層内の全体にリン系酸化防止剤が拡散され、変色をより抑制しやすくすることができる。
Figure 2022097957000003
一般式(1-1)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示し、これらは置換基を有していてもよい。また、R11、R12及びR13から選ばれる2つが結合して環を形成していてもよい。
変色をより抑制する観点からは、R11、R12及びR13の少なくとも一つは、直鎖アルキル基であることが好ましい。直鎖アルキル基の炭素数は6以上18以下であることが好ましく、8以上15以下がより好ましく、8以上10以下がさらに好ましい。R11、R12及びR13の少なくとも一つが直鎖アルキル基の場合、残りのR11、R12及びR13は、フェニル基であることが好ましい。また、溶解性を高める観点及び変色をより抑制する観点からは、R11、R12及びR13は互いに結合しないことが好ましい(R11、R12及びR13から選ばれる2つが結合して環を形成しないことが好ましい)。
一般式(1-1)のリン系酸化防止剤の具体例を下記式(1-1-1)~(1-1-3)に示す。
Figure 2022097957000004
一般式(1-2)中、R23は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。また、R21、R22、R24及びR25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。また、R21とR22とが結合して環を形成していてもよい。また、R24とR25とが結合して環を形成していてもよい。
変色をより抑制する観点からは、R21、R22、R24及びR25の少なくとも一つは、直鎖アルキル基であることが好ましく、全部が直鎖アルキル基であることがより好ましい。直鎖アルキル基の炭素数は6以上18以下であることが好ましく、12以上15以下がより好ましい。また、溶解性を高める観点及び変色をより抑制する観点からは、R21、R22、R24及びR25は互いに結合しないことが好ましい(R21、R22、R24及びR25が互いに結合して環を形成しないことが好ましい)。
一般式(1-2)のリン系酸化防止剤の具体例を以下に示す。下記の一般式(1-2-1)中、Rはそれぞれ独立して、炭素数12以上15以下の直鎖アルキル基を示す。
Figure 2022097957000005
一般式(1-3)中、R32は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。R31及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、さらに置換基を有していてもよい。
リン系酸化防止剤は、硬化性樹脂と重合可能なエチレン性二重結合を有していてもよく、有していなくてもよいが、中でも、有していないことが好ましい。リン系酸化防止剤が硬化性樹脂と重合可能なエチレン性二重結合を有さないことにより、樹脂層内におけるリン系酸化防止剤の移動の自由度が高まり、樹脂層内の全体にリン系酸化防止剤が拡散され、変色を抑制しやすくできると考えられる。
リン系酸化防止剤の分子量は、樹脂組成物への溶解性を良好にしやすくする観点から、例えば、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましく、1200以下がさらに好ましい。リン系酸化防止剤の分子量の下限は特に制限されないが、通常270以上であり、好ましくは300以上、より好ましくは330以上である。
リン系酸化防止剤の含有量は、例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の合計100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。リン系酸化防止剤の含有量が上記範囲であることにより、変色を抑制しやすくできる。一方、リン系酸化防止剤の含有量は、例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の合計100質量部に対して、200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましい。リン系酸化防止剤の含有量が多すぎると、樹脂層の強度が低下する可能性がある。
(ii)その他の酸化防止剤
樹脂層は、本開示の効果を阻害しない範囲で、その他の酸化防止剤を含有していてもよい。その他の酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤が挙げられる。
なお、リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤は、変色を抑制しにくい。このため、変色を抑制するためにリン酸系酸化防止剤が添加されている場合には、樹脂層は、リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、樹脂層が、リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤を実質的に含有しないとは、樹脂層中のリン系酸化防止剤以外の酸化防止剤の含有量が、0.1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下である。
(b)光安定剤
樹脂層は、光安定剤を含有することができる。中でも、抗菌剤や抗ウイルス剤が銀系の抗菌剤や抗ウイルス剤である場合には、樹脂層は光安定剤を含有することが好ましい。これにより、変色をより抑制することができる。光安定剤は、樹脂組成物の状態よりも、樹脂層の状態における変色抑制に優れている。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を分子内に含む構造を有するものである。
ヒンダードアミン系化合物は、例えば、NH型ヒンダードアミン系化合物、NR型ヒンダードアミン系化合物及びNOR型ンダードアミン系化合物が挙げられる。これらの中でも、変色をより抑制しやすくする観点から、NH型ヒンダードアミン系化合物及びNR型ヒンダードアミン系化合物が好ましく、NR型のヒンダードアミン系化合物がより好ましい。すなわち、樹脂層は、NH型ヒンダードアミン系化合物及びNR型ヒンダードアミン系化合物から選ばれる1以上のヒンダードアミン系化合物を含むことが好ましく、NR型ヒンダードアミン系化合物から選ばれる1以上のヒンダードアミン系化合物を含むことがより好ましい。
NH型のヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格における、窒素原子に結合する水素原子が水素原子のままのものである。NH型のヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
NR型のヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格における、窒素原子に結合する水素原子がアルキル基に置換されたものをいう。アルキル基の炭素数は1以上12以下であることが好ましく、1である(アルキル基がメチル基である)ことがより好ましい。NR型のヒンダードアミン系化合物の具体例としては、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル]、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)、セバシン酸1-メチル10-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル-メタクリレート等が挙げられる。
NOR型のヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格における、窒素原子に結合する水素原子が、ORまたはOCORに置換されたものをいう。なお、R及びRは、アルキル基及び/又はシクロアルキル基であり、好ましくは炭素数5以上12以下のアルキル基及び/又はシクロアルキル基である。
ヒンダードアミン系化合物の塩基解離定数(pkb)は、例えば、8.5以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましく、6.0以下であることがさらに好ましい。ヒンダードアミン系化合物のpkbが8.5以下であると、変色をより抑制しやすくできる。ヒンダードアミン系化合物のpkbの下限は特に制限されないが、例えば、4.0以上であることが好ましく、4.5以上であることがより好ましい。
ヒンダードアミン系化合物は、硬化性樹脂と重合可能なエチレン性二重結合を有していてもよく、有していなくてもよい。
ヒンダードアミン系化合物の分子量は、樹脂組成物への溶解性を良好にしやすくする観点から、例えば、1000以下が好ましく、800以下がより好ましく、700以下がさらに好ましい。ヒンダードアミン系化合物の分子量の下限は特に制限されないが、通常200以上であり、好ましくは215以上、より好ましくは230以上である。
光安定剤の含有量は、例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の合計100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましい。光安定剤の含有量が上記範囲であることにより、変色を抑制しやすくできる。一方、光安定剤の含有量は、例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の合計100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましく、200質量部以下であることがさらに好ましい。光安定剤の含有量が多すぎると、樹脂層の強度が低下する可能性がある。なお、樹脂層は、光安定剤として、ヒンダードアミン系化合物を上記範囲内で含むことが好ましい。
(c)紫外線吸収剤
樹脂層は、耐候性の観点から、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。中でも、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤の中でも、トリアジン環に、ヒドロキシフェニル基、アルコキシフェニル基及びこれらの基を含む有機基から選ばれる少なくとも一つの有機基が三つ連結したヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がより好ましく、下記一般式(A)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がさらに好ましい。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は、分岐構造を有するため、樹脂層からブリードアウトしにくくなることが期待され、より長期的に優れた耐候性が得られる。また、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する紫外線吸収剤は、ブリードアウトを抑制しやすい点で好ましい。
Figure 2022097957000006
一般式(A)中、R11は2価の有機基であり、R12は-C(=O)OR15で示されるエステル基であり、R13、R14及びR15は各々独立して1価の有機基であり、n11及びn12は各々独立して1以上5以下の整数である。
11の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基等の脂肪族炭化水素基が挙げられる。中でも、耐候性の観点から、アルキレン基が好ましく、その炭素数は、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下がさらに好ましく、1以上4以下が特に好ましい。アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1-エチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、2,2-プロピレン等の各種プロピレン基(以下、「各種」は、直鎖状、分岐状、及びこれらの異性体のものを含むものを示す。)、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種へプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基、各種ウンデシレン基、各種ドデシレン基、各種トリデシレン基、各種テトラデシレン基、各種ペンタデシレン基、各種ヘキサデシレン基、各種ヘプタデシレン基、各種オクタデシレン基、各種ノナデシレン基、各種イコシレン基が挙げられる。
13及びR14の1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールアルキル基等の芳香族炭化水素基が好ましく、アリール基がさらに好ましい。特に、R13及びR14の1価の有機基としては、フェニル基が好ましい。
アリール基としては、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数6以上12以下、さらに好ましくは炭素数6以上10以下のアリール基である。例えば、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等が挙げられる。
アリールアルキル基としては、好ましくは炭素数7以上20以下、より好ましくは炭素数7以上12以下、さらに好ましくは炭素数7以上10以下のアリールアルキル基である。例えば、ベンジル基、フェネチル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基、各種メチルベンジル基、各種エチルベンジル基、各種プロピルベンジル基、各種ブチルベンジル基、各種ヘキシルベンジル基等が挙げられる。
15の1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられる。中でも、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。すなわち、R12としては、アルキルエステル基、アルケニルエステル基が好ましく、アルキルエステル基がより好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1以上20以下、より好ましくは2以上16以下、さらに好ましくは6以上12以下のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは3以上16以下、さらに好ましくは6以上12以下のアルケニル基である。例えば、ビニル基、各種プロペニル基、各種ブテニル基、各種ペンテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基が挙げられる。
一般式(A)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、より具体的には、R11が炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数1以上20以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上20以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましい。また、R11が炭素数1以上12以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数2以上16以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上12以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物がより好ましい。また、R11が炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、R12がR15及び炭素数6以上12以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上10以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物がさらに好ましい。また、R11が炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数8のアルキル基であるエステル基であり、R13及びR14がフェニル基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が特に好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、例えば、樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以上4.0質量部以下であることがさらに好ましい。
(d)体質顔料
樹脂層は、体質顔料を含有していてもよい。体質顔料は、例えば、積層体の意匠性を調整するために用いられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート及び硫酸バリウム等の無機粒子、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート及びポリアミド(ナイロン)等の有機粒子が挙げられる。
体質顔料の形状としては、特に制限はないが、例えば、多面体状、球状、鱗片状等が好ましい。また、体質顔料の平均粒子径は、通常1μm以上10μm以下であり、好ましくは3μm以上8μm以下である。
(e)着色剤
樹脂層は、必要に応じて、着色層を含有していてもよい。これにより、樹脂層を所望の色相、明度、及び彩度に着色することができる。
着色剤としては、後述の着色層及び絵柄層に用いる着色剤と同樣のものの中から適宜選択すれば良い。着色剤によって樹脂層を適宜の色(色相、明度、及び彩度)に着色することによって、意匠外観を向上させることや、樹脂層の光等に起因する変色を目立ち難くして、酸化防止剤添加による変色低減効果とあいまって、樹脂層の変色低減効果をより一層高めることもできることもできる。
(4)樹脂層
本開示における樹脂層の厚さは、特に限定されないが、上述したように、抗菌剤や抗ウイルス剤の粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的には、樹脂層の厚さは、0.5μm以上であり、1.0μm以上であってもよく、2.0μm以上であってもよい。樹脂層の厚さが上記範囲であれば、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。また、樹脂層の厚さが薄すぎると、樹脂層の基材とは反対側の面において抗菌剤や抗ウイルス剤の突出の程度が大きくなり、擦りに対する耐性が低下し、抗菌剤や抗ウイルス剤が樹脂層から脱落しやすくなるため、抗菌性や抗ウイルス性が低下する可能性がある。また、積層体の用途等によっては、長尺状の積層体をロール状に巻回したり、枚葉状の積層体を複数積層したりする場合があり、このような場合において、樹脂層の厚さが薄すぎると、積層体の樹脂層側の面との接触によって積層体の基材側の面が傷つく可能性がある。一方、樹脂層の厚さは、例えば、5.0μm以下であり、4.0μm以下であってもよく、3.0μm以下であってもよい。樹脂層の厚さが上記範囲であれば、上述の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。
樹脂層の形成方法としては、例えば、基材上に樹脂組成物を直接塗布し、乾燥させ、必要に応じて硬化させて、樹脂層を形成する方法が好ましい。このような方法では、所望の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすい。
樹脂組成物は、例えば、樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、必要に応じて、添加剤と、溶剤とを含有する。樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、公知の塗布方法を用いることができる。
樹脂組成物を硬化させる場合、硬化方法としては、硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択され、例えば、加熱、紫外線や電子線等の電離放射線の照射が挙げられる。
本開示においては、例えば図1に示すように、基材2の片面に樹脂層3が配置されていてもよく、図2に示すように、基材2の両面にそれぞれ樹脂層3が配置されていてもよい。また、例えば図1および図2に示すように、樹脂層3は基材2上の全面に配置されていてもよく、図3(a)、(b)に示すように樹脂層3は基材2上の一部に配置されていてもよい。
2.基材
本開示における基材は、上記樹脂層を支持する部材である。積層体が基材を有することにより、自己支持性のために上記樹脂層の厚さを厚くしなくてもよいことから、所望の算術平均高さSaを満たす樹脂層が得られやすく、また、抗菌剤や抗ウイルス剤の使用量を削減することができ、製造コストを削減することができる。
基材の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、フィルム、シート、板等の平板状;多面体、多角柱、円柱、球面、回転楕円体面等の三次元形状等が挙げられる。
基材の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂材料、金属材料、ガラス、セラミックス、不織布、布、紙、木質材料等が挙げられる。
基材は、単層でもよく、多層であってもよい。また、基材が多層である場合、各層の間に接着層が配置されていてもよい。
基材に用いられる樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、上記樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、上記樹脂層に用いられる硬化性樹脂を挙げることができる。
また、基材には、密着性向上のために、表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さは、特に限定されるものではなく、基材の種類、積層体の構成や用途等に応じて適宜設定される。
3.他の構成
本開示の積層体は、基材および樹脂層以外の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、装飾層、保護層、プライマー層、接着層、ヒートシール層等が挙げられる。また、本開示の積層体は、用途に応じて、機能層をさらに有していてもよい。機能層としては、例えば、磁気記録用途の磁性体層;回路、電流の銅線、又は電磁波遮蔽層として機能する導電体層;水蒸気、酸素等の気体の透過を抑制するためのガスバリア層;可視光線を高反射率で反射する光反射層;可視光線の反射を抑制するための反射防止層等が挙げられる。
(1)装飾層
本開示の積層体は、意匠性を向上させる観点から、基材と樹脂層との間に装飾層を有することができる。装飾層の位置は、装飾層の耐候性を高める観点から、基材に近い側であることが好ましい。例えば、積層体が後述のプライマー層を有する場合、装飾層は、基材とプライマー層との間に配置されていることが好ましい。
装飾層は、基材の全面に配置されていてもよく、基材上に部分的に配置されていてもよい。
装飾層としては、例えば、着色層、絵柄層、金属層等が挙げられる。
着色層は、基材の全面に配置されており、着色層用組成物をベタ塗りすることにより形成することができる。
絵柄層は、基材上に部分的に配置されており、絵柄層用組成物を模様等のパターン状に印刷することにより形成することができる。
装飾層により表現する絵柄(模様)としては、特に限定されるものではなく、公知の絵柄(模様)を適用することができる。
着色層および絵柄層は、樹脂を含有する。また、着色層および絵柄層は、顔料や染料等の着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有していてもよい。
着色層および絵柄層の厚さとしては、所望の絵柄に応じて適宜選択されるが、意匠性を向上させる観点から、例えば、0.5μm以上20μm以下であり、1μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよい。
金属層の厚さとしては、例えば、0.1μm以上1μm以下とすることができる。
着色層および絵柄層は、例えば、着色層用組成物や絵柄層用組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
(2)プライマー層
本開示の積層体は、基材および樹脂層の間にプライマー層を有していてもよい。プライマー層によって、基材と樹脂層との密着性を向上させることができ、さらには、紫外線に暴露した際の長期的な層間密着性を確保することができる。
プライマー層の材料としては、基材および樹脂層の密着性を高めることができる材料であれば特に限定されるものではなく、公知のプライマー層の材料を適用することができる。プライマー層は、耐候性の向上のために、紫外線吸収剤や光安定剤を含有していてもよい。
プライマー層の厚さは、例えば、0.01μm以上10μm以下であり、0.7μm以上8μm以下であってもよく、1.0μm以上6μm以下であってもよい。
(3)保護層
本開示の積層体は、装飾層の保護等の観点から、装飾層と樹脂層との間に保護層を有していてもよい。
保護層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
保護層に含有される樹脂としては、透明性を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、加工適性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
保護層は、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を含有していてもよい。
保護層の厚さは、例えば、20μm以上150μm以下であり、40μm以上120μm以下であってもよく、60μm以上100μm以下であってもよい。
保護層は、例えば、保護層用組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
(4)第1接着層
本開示における積層体は、各層の間に第1接着層を有していてもよい。
第1接着層には、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等の接着剤を用いることができる。
第1接着層の厚さは、例えば、0.1μm以上30μm以下であり、1μm以上15μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよい。
第1接着層は、例えば、第1接着層用組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
(5)第2接着層
本開示の積層体は、基材の樹脂層とは反対側の面に第2接着層を有していてもよい。第2接着層は、積層体を対象物に貼付するための層である。
第2接着層に含有される接着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、感圧接着剤を用いることができる。感圧接着剤としては、一般的な感圧接着剤を用いることができ、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられる。
第2接着層の厚さとしては、所望の接着性を得ることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、0.5μm以上100μm以下とすることができる。
第2接着層の形成方法としては、例えば、基材上に第2接着層用組成物を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
第2接着層の基材とは反対側の面には、セパレータが配置されていてもよい。
(6)ヒートシール層
本開示の積層体は、基材の樹脂層とは反対側の面にヒートシール層を有していてもよい。ヒートシール層は、積層体を包装材として用いる場合に、例えば積層体同士を貼り合わせたり、積層体と容器とを貼り合わせたりするための層である。
ヒートシール層としては、特に限定されるものではなく、一般的なヒートシール層を適用することができる。
ヒートシール層の厚さは、所望のヒートシール性を得ることが可能であれば特に限定されない。
また、ヒートシール層の形成方法としては、例えば、接着層を介して基材およびヒートシール層を貼り合わせてもよく、基材およびヒートシール層を共押出し法により積層製膜してもよく、基材上にヒートシール層をTダイ法等により押出ラミネートしてもよく、基材上にヒートシール層をコーティングにより成膜してもよい。
4.積層体
本開示の積層体は、用途等に応じて、透明性を有していてもよい。
本開示の積層体の用途としては、例えば、建築物の壁、床、天井等の内装部分の表面材;建築物の外壁、屋根、軒天井、戸袋等の外装部分の表面材;窓、窓枠、扉、扉枠等の建具の表面材(内装部分又は外装部分);建具の付随備品(取っ手等)の表面材;建具の治具の表面材;手すり、腰壁、廻り縁、敷居、鴨井、笠木の造作部材の表面材;塀、門扉、物干台の柱や手すり等の屋外(外装)部分の表面材;箪笥、机、椅子、食器棚、厨房の流し台等の家具の表面材;家具の付随備品(取っ手等)の表面材;家具の治具の表面材;家電製品の筐体等の表面材;家電製品の付随備品(取っ手、スイッチ、タッチパネル等)の表面材;家電製品の治具の表面材;OA機器の表面材;OA機器の付随備品(キーボード鍵盤、タッチパネル等)の表面材;OA機器の治具の表面材;乗物の内装又は外装部分(壁、床、天井、手すり、支柱、操作盤、レバー、ハンドル、舵輪等の操縦機器類)の表面材;建築物の間仕切;細菌やウイルスの飛沫感染防止のための遮蔽板又は遮蔽カーテン;フェイスガード、ゴーグル等の顔面保護具;顔面保護具の表面材;伝票類等のビジネスフォーム;カード類;ビジネスフォームやカード類の表面材;包装材;包装材の表面材等が挙げられる。
本開示の積層体の用途は、これらの中でも、家電製品の筐体等の表面材;家電製品の付随備品(取っ手、スイッチ、タッチパネル等)の表面材;家電製品の治具の表面材;OA機器の表面材;OA機器の付随備品の表面材;OA機器の治具の表面材;細菌やウイルスの飛沫感染防止のための遮蔽板又は遮蔽カーテン;顔面保護具;顔面保護具の表面材;ビジネスフォーム;カード類;ビジネスフォームやカード類の表面材;包装材;包装材の表面材等が好ましい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を示し、本開示をさらに説明する。
[比較例1]
下記の材料を混合および撹拌して、樹脂組成物を調製した。
<樹脂組成物の組成>
・アクリル樹脂組成物(ハクリニス)(昭和インク工業所社製 ハクリニス45-3 改3 UV):66.5質量部
・銀系抗ウイルス剤(住化エンバイロメンタルサイエンス社製 ネオシントールAV-18F 粒子径3.0μm):0.1質量部
・トルエン:16.75質量部
・メチルエチルケトン:16.75質量部
ポリエステルフィルム(東レ社製 ルミラ―150T60)上に、上記樹脂組成物をバーコーターを用いて塗布し、さらに銀色インキ(昭和インク工業社 VAHS No.2シルバー)を卓上シルク印刷機を用いて印刷し、ポリエステルフィルムと樹脂組成物膜と銀色印刷層とを有する転写フィルムを作製した。基材として、カード用シート(三菱ケミカル社製 ディアフィクスPG-MCT)を用いた。上記転写フィルムの銀色印刷層の面とカード用シートとを貼り合わせ、これをステンレス板で挟み、小型熱プレス機を用いて熱プレスした後、ポリエステルフィルムを剥がすことで、積層体を得た。
[実施例1]
下記の材料を混合および撹拌して、樹脂組成物を調製した。
<樹脂組成物の組成>
・紫外線硬化性樹脂組成物(DICグラフィックス社製 UVカルトン ドライオフ グロスOPニス)100質量部
・銀系抗ウイルス剤(住化エンバイロメンタルサイエンス社製 ネオシントールAV-18F 粒子径3.0μm):2.0質量部
基材として、ポリエステルフィルム(東洋紡社製 クリスパーK2323)を用いた。ポリエステルフィルム上に、上記樹脂組成物を、UVインキ用展色装置(芝橋社製 RIT-03)を用いて展色し、UV照射装置を用いてUVを照射して硬化させ、樹脂層を形成した。これにより、積層体を得た。
[実施例2]
下記の材料を混合および撹拌して、樹脂組成物を調製した。
<樹脂組成物の組成>
・アクリル樹脂組成物(昭和インク工業所社 ハクリニス シルクNo.25):100質量部
・溶剤(DICグラフィックス社製 SS-E 溶剤(遅口)<14K):30質量部
・銀系抗ウイルス剤(住化エンバイロメンタルサイエンス社製 ネオシントールAV-18F 粒子径3.0μm):0.79質量部
基材として、ポリエステルフィルム(東洋紡社製 クリスパーK2323)を用いた。ポリエステルフィルム上に、上記樹脂組成物を、卓上シルク印刷機を用いて印刷し、樹脂層を形成した。これにより、積層体を得た。
[評価]
1.算術平均高さSa
積層体の樹脂層側の面の算術平均高さSaの測定は、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いて行った。ISO 25178に基づいて各種パラメータを求め、任意の10箇所で測定を行い、それらの算術平均値を求めた。測定条件は下記の通りとした。
・測定面積:94.96μm×71.22μm
・対物レンズ:50倍
・測定モード:Wave
・波長フィルタ:530White
2.算術平均粗さRa
積層体の樹脂層側の面の算術平均粗さRaの測定は、菱化システム社製の非接触表面・層断面形状計測システム VertScan2.0 R5500GML-A150-ACを用いて行った。測定条件は下記の通りとした。
・測定面積:94.96μm×71.22μm
・対物レンズ:50倍
・測定モード:Wave
・波長フィルタ:530White
3.水の接触角
積層体の樹脂層側の面の水に対する接触角を、接触角計(協和界面科学社製 DropMaster 500)を用いて、θ/2法により測定した。具体的には、積層体の樹脂層の表面に純水3μLの液滴を滴下し、着滴2000マイクロ秒後の接触角を測定した。
4.抗ウイルス性
積層体の樹脂層側の面に対して、ISO 21702に準拠して抗ウイルス試験を行い、抗ウイルス活性値を算出した。具体的には、A型インフルエンザウイルス H3N2を用い、このウイルスをMDCK細胞(イヌ腎臓由来細胞)で培養することにより試験ウイルス液を得た。滅菌済シャーレに5cm×5cmに切り取った無加工サンプルおよび抗ウイルス加工サンプルを置いて、サンプル上に上述の試験ウイルス液を0.4ml接種し、4cm×4cmに切断したポリエチレン製の滅菌フィルムにより被覆した後、試験ウイルス懸濁液がフィルム全体に広がるように軽く押さえつけ、シャーレの蓋をかぶせた。これらのシャーレを25℃、相対湿度90%以上の環境下に24時間保管した後、シャーレから試験片を取り出し、SCDLP培地10mlを加えてウイルスを洗い流し、プラーク測定法によりウイルス感染価を測定した。抗ウイルス活性値は、下記式により求めた。
R=Ut-At
各記号は下記の通りである。
R:抗ウイルス活性値
Ut:無加工品サンプルの24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
At:抗ウイルス加工品サンプルの24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
抗ウイルス性は下記基準にて評価した。
A:抗ウイルス活性値が2.0以上
B:抗ウイルス活性値が2.0未満
Figure 2022097957000007
表1から、樹脂層の基材とは反対側の面の算術平均高さSaが所定の範囲内である場合に、抗ウイルス性が得られることが確認された。
1 … 積層体
2 … 基材
3 … 樹脂層

Claims (2)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に配置され、樹脂、ならびに抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する樹脂層と、
    を有する積層体であって、
    前記樹脂層の前記基材と反対側の面の算術平均高さSaが0.3μm以上2.0μm以下である、積層体。
  2. 前記樹脂層の前記基材と反対側の面の水に対する接触角が70°以上100°以下である、請求項1に記載の積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024101020A1 (ja) * 2022-11-08 2024-05-16 住友化学株式会社 熱可塑性樹脂組成物、ならびに、シートおよび積層シート

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