JP2023084526A - 抗ウイルス性粘着シート及び抗ウイルス性粘着シート付の物品 - Google Patents

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孝 遠藤
Takashi Endo
真友子 小紫
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将志 関
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Abstract

【課題】貼り付け性に優れ、貼り付けた場所を明瞭にしやすい、抗ウイルス性粘着シートを提供する。【解決手段】バインダー成分及び抗ウイルス剤を含む表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を含む抗ウイルス性粘着シートであって、前記粘着剤層が多孔質の層であり、前記積層体のJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値が60%以上である、抗ウイルス性粘着シート。【選択図】図1

Description

本開示は、抗ウイルス性粘着シート及び抗ウイルス性粘着シート付の物品に関する。
従来より、衛生面の観点から、建築物の内装材料、車両の内装材料、OA機器及びタッチパネル等の人が手で触れる物の表面に、抗菌性を有する組成物を塗布し、抗菌処理を施すことが行われていた。
抗菌性組成物に関して、例えば、特許文献1~2が提案されている。
しかし、インフルエンザウイルス及び新型コロナウイルスに代表されるウイルスに対しては、抗菌性を備えるだけでは不十分である。すなわち、特許文献1~2の抗菌性組成物は、抗ウイルス性を満足できない場合があった。
一方、抗ウイルス性シートに関して、特許文献3~4のものが提案されている。
特開昭63-265958号公報 特許第3551201号公報 特許第6145758号公報 特許第6229429号公報
新型コロナウイルスの影響を受け、室内での接触感染を防ぐために、様々な物品に対して、抗ウイルス性シートを貼り付けることがある。このため、抗ウイルス性シートは、物品に対する良好な貼付け性が求められる。また、抗ウイルス性シートは、貼り付けた場所を分かりやすくすることが求められる。
しかし、特許文献3及び4の抗ウイルス性シートは、貼り付け性、及び、貼り付けた場所の明瞭性について何ら検討していない。市場流通品では、抗ウイルス性シートを貼り付けた場所を明瞭にするために、シートの全面に抗菌製品技術協議会が認定したSIAAマークが印刷される場合がある。しかし、シート全体にSIAAマークを印刷した場合、シートの美観を損なうとともに、印刷のコストもかかる。
本開示は上記課題に鑑みなされたものであり、貼り付け性に優れ、貼り付けた場所を明瞭にしやすい、抗ウイルス性粘着シートを提供することを目的とする。また、本開示は、抗ウイルス性粘着シートが貼り付けられている場所を明瞭にしやすい、抗ウイルス性粘着シート付の物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は、以下の[1]~[2]を提供する。
[1]バインダー成分及び抗ウイルス剤を含む表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を含む抗ウイルス性粘着シートであって、
前記粘着剤層が多孔質の層であり、
前記積層体のJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値が60%以上である、抗ウイルス性粘着シート。
[2]物品上に、[1]に記載の抗ウイルス性粘着シートを貼り付けてなる、抗ウイルス性粘着シート付の物品。
本開示の抗ウイルス性粘着シートは、貼り付け性に優れ、貼り付けた場所を明瞭にしやすくすることができる。また、本開示の抗ウイルス性粘着シート付の物品は、抗ウイルス性粘着シートを貼り付けられている場所を明瞭にしやすくできる。
本開示の抗ウイルス性粘着シートの一実施形態を示す断面図である。
以下、本開示について、詳細に説明する。
[抗ウイルス性粘着シート]
本開示の抗ウイルス性粘着シートは、バインダー成分及び抗ウイルス剤を含む表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を含む抗ウイルス性粘着シートであって、前記粘着剤層が多孔質の層であり、前記積層体のJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値が60%以上である、ものである。
図1は、本開示の抗ウイルス性粘着シートの一実施形態を示す断面図である。図1の抗ウイルス性粘着シート100は、表面保護層30、光透過性基材層20及び粘着剤層40をこの順に有する積層体10を含んでいる。図1において、表面保護層30は、バインダー成分31及び抗ウイルス剤32を含んでいる。図1において、抗ウイルス性粘着シート100は、さらにセパレータ50を有している。図1において、セパレータ50は、粘着剤層40の光透過性基材層20とは反対側に位置している。
本開示のウイルス性粘着シートが、抗ウイルス性の発現と同時に、抗菌性及び抗カビ性も同時に発現する場合は、抗菌性シート及び抗カビ性シートとして使用することも可能である。
一般的に、同一の材料及び層構成のシートであっても、その発現する「抗ウイルス性」、「抗菌性」、「抗カビ性」との相関関係は、対象とするウイルス、細菌、カビの種類;環境条件;要求する抗ウイルス性、抗菌性、抗カビ性の水準;等に応じて、有効な場合もあれば無効な場合もある。このため、本開示の抗ウイルス性粘着シートは、細菌の種類、環境条件、及び要求する抗菌性の水準に応じて、抗ウイルスの用途のみならず、抗菌の用途にも適用することができる場合もある。なお、カビは菌類の一種であるため、本開示の抗ウイルス性粘着シートは、同樣に、カビの種類、環境条件、及び要求する抗カビ性の水準に応じて、抗カビの用途にも適用することができる場合もある。
本開示において、「抗ウイルス性」とは、下記の手法により測定される抗ウイルス活性値が0.0よりも大きいことを意味する。本開示の抗ウイルス性粘着シートは、抗ウイルス活性値が1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。下記の手法は、ISO21702に準拠した手法である。
<抗ウイルス活性値の測定方法>
抗ウイルス加工品及び無加工品に関して、5cm角の試験片を準備する。試験片の表面保護層側に0.4mlのウイルス液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆する。この試験片を25℃、90%RHの環境で24時間静置する。静置後、試験片上に滴下したウイルス液を洗いだして回収し、ウイルス感染価を測定する。次式(1)により抗ウイルス活性値を算出する。
R=Ut-At (1)
R:抗ウイルス活性値
Ut:無加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
At:抗ウイルス加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均
<積層体>
本開示の抗ウイルス性粘着シートは、表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を含む。
積層体は、表面保護層が積層体の一方の表面を形成し、粘着剤層が積層体の他方の面を形成する。
積層体は、表面保護層と光透過性基材層との間、及び/又は、光透過性基材層と粘着剤層との間に、機能層を有していてもよい。機能層としては、プライマー層等が挙げられる。
積層体の層構成の具体例は、下記(1)~(2)が挙げられる。
(1)表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体。
(2)表面保護層、プライマー層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体。
本開示の抗ウイルス性粘着シートは、前記積層体のJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値が60%以上であることを要する。積層体のヘイズ値が60%未満の場合、抗ウイルス性粘着シートを貼り付けた場所を明瞭にすることが困難となる。
さらに、積層体のヘイズ値が60%以上であることは、多孔質の粘着剤層の厚みムラを視認させ難くすることにより、外観を良好にし得る点で好ましい。このため、積層体のヘイズ値は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。
一方、積層体のヘイズ値が高すぎると、物品に施された意匠が視認しにくくなる場合がある。このため、積層体のヘイズ値は、98%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることがさらに好ましい。
本明細書で示す構成要件において、数値の上限の選択肢及び下限の選択肢がそれぞれ複数示されている場合には、上限の選択肢から選ばれる一つと、下限の選択肢から選ばれる一つとを組み合わせることができる。例えば、上記の積層体のヘイズ値の場合、60%以上98%以下、60%以上95%以下、60%以上90%以下、65%以上98%以下、65%以上95%以下、65%以上90%以下、70%以上98%以下、70%以上95%以下、70%以上90%以下、75%以上98%以下、75%以上95%以下、75%以上90%以下などの数値範囲の実施形態が挙げられる。
積層体は、物品の視認性を良好にするため、JIS K7361-1:1997に準拠して測定される全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
《光透過性基材層》
光透過性基材層は、表面保護層及び粘着剤層の支持体となる。
光透過性基材層は、軽量であること、物品への貼付けが容易であること等を考慮し、樹脂基材を含むことが好ましい。光透過性基材層は、樹脂基材上に樹脂層を有していてもよい。樹脂層は、例えば、ヘイズを調整する役割を有する。
樹脂基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ナイロン6又はナイロン66等のポリアミド系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィン系樹脂;等から選択される1種又は2種以上の樹脂から形成することができる。
樹脂基材の中でもポリプロピレン系樹脂基材が好ましい。ポリプロピレン系樹脂基材は、形状追従性が良好であるため、曲面又は凹凸を有する物品に対しても、安定した密着性を付与することができる。
樹脂基材は、粒子を含有していてもよい。樹脂基材が粒子を含有することにより、光透過性基材層の内部ヘイズを高くしやすくできる。なお、粒子の含有量が多過ぎると、樹脂基材が脆化する場合がある。
樹脂基材は、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤及び帯電防止剤等の添加剤を含有していてもよい。
樹脂基材の厚みは、強度及び取り扱い性を良好にするとともに、積層体のヘイズ値を高くするため、5μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。樹脂基材の厚みは、形状追従性を良好にするため、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
上述したように、光透過性基材層は、樹脂基材上に樹脂層を有していてもよい。樹脂層は、例えば、ヘイズを調整する役割を有する。樹脂層は、バインダー樹脂及び粒子を含むことが好ましい。
樹脂層のバインダー樹脂としては、例えば、後述するプライマー層のバインダー樹脂で例示する樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
樹脂層中の粒子としては、汎用の有機粒子、汎用の無機粒子が挙げられる。樹脂層の内部ヘイズを高くするため、粒子としては、バインダー樹脂との屈折率差が大きい粒子が好ましい。粒子の平均粒子径は、0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.2μm以上3.0μm以下がより好ましい。
バインダー樹脂に対する粒子の含有量は、所望する内部ヘイズ及び樹脂層の塗膜強度を考慮して、適宜調整すればよい。
樹脂層の厚みは、0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.7μm以上8μm以下がより好ましく、1.0μm以上6μm以下がさらに好ましい。
光透過性基材層は、物品の視認性を良好にするため、JIS K7361-1:1997に準拠して測定される全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、全光線透過率、内部へイズ値及びヘイズは、例えば、以下のように算出することができる。
(1)抗ウイルス性粘着シートの欠陥がない箇所からサンプルを切り出す。あるいは、積層体を構成する層のうち、粘着剤層以外の層を積層してなる積層体の欠陥がない箇所からサンプルを切り出す。
(2)サンプルの20箇所で、全光線透過率、内部へイズ値及びヘイズを測定する。20箇所の測定値の平均値を、各サンプルの全光線透過率、内部へイズ値及びヘイズとする。
光透過性基材層は、光透過性基材層と接触する層との密着性を良好にするため、光透過性基材層の片面又は両面に、物理的処理又は化学的処理による易接着処理を施したり、易接着層を設けたりしてもよい。
《表面保護層》
表面保護層は、バインダー成分及び抗ウイルス剤を含む。
表面保護層は、光透過性基材層上の全面に形成されていてもよく、一部に形成されていてもよい。光透過性基材層の面内において、表面保護層を有する面積割合は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが最も好ましい。
抗ウイルス性を高めるため、図1に示すように、抗ウイルス剤の少なくとも一部は、表面保護層の光透過性基材層と反対側の表面(以下、「表面保護層の表面」と称する)から突出していることが好ましい。
表面保護層における抗ウイルス剤の厚み方向の分布に関しては、図1に示すように表面保護層の表面に偏在していてもよいし、表面保護層の厚み方向で略均一に分散していてもよいし、光透過性基材層側から表面保護層の表面に向かって抗ウイルス剤の濃度が高くなるように分布していてもよい。
表面保護層の面内方向では、抗ウイルス剤は表面保護層の全体に亘って分布していることが好ましい。面内方向の分布状況としては、抗ウイルス剤が密集している領域と、抗ウイルス剤が疎である領域とが存在している態様であってもよいが、抗ウイルス剤が略均一に分布する態様であることが好ましい。
表面保護層の厚みは、耐擦傷性、加工適性、物品への貼付け容易性などを考慮すると、1μm以上100μm以下であることが好ましい。表面保護層の厚みは、2μm以上50μm以下がより好ましく、3μm以上30μm以下が更に好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。
-バインダー成分-
バインダー成分は、加工適性を良好にするため、樹脂であることが好ましい。バインダー成分としての樹脂は、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。樹脂の中でも、耐擦傷性を良好にするため、硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。本明細書において、「硬化性樹脂組成物の硬化物」のことを「硬化物」と略称する場合がある。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。抗ウイルス性の持続性及び生産効率を良好にするため、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じて硬化剤及び硬化触媒等が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が代表的なものとして挙げられる。これらの中でも、耐擦傷性が高い、重合開始剤が不要のため臭気が少ない、着色しにくいなどの利点があることから、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。
電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線硬化性官能基としては、エポキシ基及びオキセタニル基も挙げられる。
本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味する。電離放射線としては、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性化合物は、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。中でも、優れた機械的特性、柔軟性、塗工時の適性などを考慮して、オリゴマーを用いることが好ましい。オリゴマーに加えて、粘度調整のためにモノマーを添加することもできる。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のオリゴマーは、耐擦傷性、加工適性、及び抗ウイルス性のため、重量平均分子量が、好ましくは1,000以上10,000以下、より好ましくは2,000以上6,000以下である。又、オリゴマー1分子当たりの官能基数は、好ましくは2以上10以下、より好ましくは2以上6以下である。多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
中でも、塗膜硬度及び強靭性を確保する等の理由から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことが好ましい。カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことにより、塗膜硬度及び強靭性を確保しながら、柔軟性を付与して加工適性を良好にしやすくできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中のカプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの割合は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得ることができる。
上記電離放射線硬化性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の硬化物の含有量は、バインダー成分の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
―抗ウイルス剤―
抗ウイルス剤は、無機系の抗ウイルス剤及び有機系の抗ウイルス剤が挙げられる。有機系の抗ウイルス剤は、抗ウイルス剤に由来する色味の経時変化を抑制しやすい点で好ましい。抗ウイルス剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
表面保護層中において、抗ウイルス剤は、ヘイズ値を高くしやすくするため、粒子の形態で存在することが好ましい。抗ウイルス剤の粒子の形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はない。
無機系の抗ウイルス剤としては、担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤、銅系抗ウイルス剤、亜鉛系抗ウイルス剤及び銀系抗ウイルス剤が挙げられる。これらの無機系の抗ウイルス剤は、表面保護層中において、粒子の形態で存在することが好ましい。
有機系の抗ウイルス剤としては、下記(1)~(3)が挙げられる。これらの有機系の抗ウイルス剤は、表面保護層中において、粒子の形態で存在することが好ましい。
(1)イミダゾール化合物を含む抗ウイルス剤
(2)スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む抗ウイルス剤
(3)スチレン樹脂を含む抗ウイルス剤
(1)イミダゾール化合物を含む抗ウイルス剤
イミダゾール系化合物は、イミダゾール骨格を分子の構成単位に含む化合物である。本開示においては、各種のイミダゾール系化合物のうち、表面保護層内で粒子の形態を維持するものを用いることが好ましい。粒子の形態を維持しやすいイミダゾール系化合物としては、水及び有機溶媒に溶解しにくいものが好ましく、例えば、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバマート(別名:カルベンダジム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物が挙げられる。
なお、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバマート(別名:カルベンダジム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物であっても、溶媒によっては溶解する場合があるので注意が必要である。例えば、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバマート(別名:カルベンダジム)に対しては、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を用いることが好ましい。
(2)スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む抗ウイルス剤
本開示において、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む抗ウイルス剤」は、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む抗ウイルス剤」であってもよいし、「スチレンポリマー誘導体化合物を含む抗ウイルス剤と、不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む抗ウイルス剤との混合物」であってもよいし、これらの組み合わせでもよい。
スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物の構成成分は、スチレン、スルホン酸ナトリウム、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましく、スチレン及びスルホン酸ナトリウムの少なくとも一種の構造、並びに、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造の両方を有することがより好ましい。
抗ウイルス剤中におけるスチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との含有割合は限定されないが、質量比が30:70~70:30であることが好ましく、40:60~60:40であることがより好ましい。前記質量比とすることにより、エンベロープウイルス及びノンエンベロープウイルスの両方に対して、抗ウイルス性を発揮しやすくできる。なお、エンベロープウイルスのみに対して抗ウイルス性を発揮させる場合には、スチレンポリマー誘導体化合物のみを含んでいればよい。
スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む抗ウイルス剤が、抗ウイルス性を発揮する理由は、下記に推測されるメカニズムに拘束される訳ではないが、下記のように考えられる。
インフルエンザウイルスは、宿主細胞表面の糖鎖受容体(糖鎖末端はノイラミン酸)に結合して宿主細胞内に侵入するところ、スチレンスルホン酸塩を含む共重合体はノイラミン酸と類似したイオン基を有するため、宿主細胞の代わりにウイルスと結合してウイルスを捕捉することで、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合するのを防止して抗ウイルス効果を発揮すると考えられる。また、不飽和カルボン酸誘導体化合物は、水分と接触することにより水酸基(OH-)を生じさせて、前記水酸基が抗ウイルス性の作用を及ぼすものと考えられる。
(3)スチレン樹脂を含む抗ウイルス剤
スチレン樹脂を含む抗ウイルス剤は、前記不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有しない抗ウイルス剤である。
本開示において、抗ウイルス剤は粒子の形態であることが好ましい。
抗ウイルス剤の平均粒子径は、1μm以上10μm以下であることが好ましく、2μm以上9μm以下であることがより好ましく、3μm以上7μm以下であることが更に好ましい。
平均粒子径を1μm以上とすることにより、表面保護層用インキの安定性を良好にしやすくできるとともに、表面保護層のヘイズ値を高くしやすくできる。
平均粒子径を10μm以下とすることにより、抗ウイルス剤が表面保護層の表面から過度に突出することを抑制しやすくできる。このため、抗ウイルス性粘着シートの外観、耐傷性及び耐汚染性が低下することを抑制しやすくできるとともに、コーティングロール及びドクターブレード等の塗工装置の部材の磨耗を抑制しやすくできる。
本明細書において、平均粒子径は、レーザ光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものを意味する。
抗ウイルス剤の平均粒子径をD、表面保護層の厚みをTと定義した際に、D/Tは1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。D/Tを1.0以下とすることにより、抗ウイルス剤が表面保護層の表面から過度に突出することを抑制しやすくできる。
D/Tの下限は特に制限されないが、通常は0.01以上であり、好ましくは0.05以上である。
表面保護層中の抗ウイルス剤の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、下限は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上であり、上限は、好ましくは20.0質量部以下、より好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。
抗ウイルス剤の含有量を0.5質量部以上とすることにより、所望の抗ウイルス性能を発現しやすくできるとともに、表面保護層のヘイズ値を高くしやすくできる。
抗ウイルス剤の含有量を20.0質量部以下とすることにより、塗膜強度及び耐傷性等の塗膜物性の低下を抑制しやすくできるとともに、コーティングロール及びドクターブレード等の塗工装置の部材の磨耗を抑制しやすくできる。
-その他成分-
表面保護層は、本開示の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐摩耗剤及び表面調整剤等の添加物を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び、アミン系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。光安定剤の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、0.1質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
耐摩耗剤としては、シリカ及びアルミナ等のナノメートルサイズの粒子が挙げられる。耐摩耗剤の平均一次粒子径は、下限は10nm以上が好ましく、上限は透明性を良好にするため700nm以下であることが好ましい。耐摩耗剤の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましい。
表面調整剤としては、シリコーン系表面調整剤などが挙げられる。表面調整剤の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
《粘着剤層》
本開示の抗ウイルス性粘着シートにおける粘着剤層は、多孔質の層である。
粘着剤層が多孔質の層であることにより、積層体のヘイズ値を60%以上にしやすくできる。さらに、粘着剤層が多孔質の層であることにより、抗ウイルス性粘着シートの貼り付け時に気泡が混入することを抑制できる。また、仮に気泡が混入しても、粘着剤層が多孔質の層であることにより、気泡を容易に消しやすくできる。このように、多孔質の粘着剤層は、気泡の混入を抑制できるため、物品の意匠性の低下を抑制しやすくできる。
多孔質の粘着剤層とは、粘着剤層を形成する粘着剤による樹脂部分と、細孔と、により構成される層である。
粘着剤層が有する細孔としては、例えば、図1に示される、(i)球状の空孔41及び(ii)凹形状の開口部42、等の形態が挙げられる。図1の細孔は、(i)球状の空孔41及び(ii)凹形状の開口部42を組み合わせた形態である。(ii)凹形状の開口部42は、粘着剤層の表面、すなわち光透過性基材層と粘着剤層との界面、及び、粘着剤層とセパレータとの界面に形成されている。
上記の構成の粘着剤層は、厚みムラが生じやすい傾向がある。本開示の抗ウイルス性粘着シートは、粘着剤層を含む積層体のヘイズ値が60%以上であるため、粘着剤層の厚みムラを視認し難くすることができ、外観を良好にしやすくできる。
多孔質の粘着剤層は、例えば、気泡を含有する粘着樹脂組成物により形成することができる。
粘着剤層を、気泡を含有する粘着樹脂組成物により形成すると、上記(i)球状の空孔は、気泡がそのまま空孔になることにより形成され、(ii)凹形状の開口部は、粘着剤層の一方の側の表面及びその近傍、並びに、粘着剤層の他方の側の表面及びその近傍、に存在する気泡が破裂することにより形成される。粘着剤層の一方の側の表面及びその近傍とは、図1では、光透過性基材層20と粘着剤層40との界面及びその近傍を意味している。粘着剤層の他方の側の表面及びその近傍とは、図1では、粘着剤層40とセパレータ50との界面及びその近傍を意味している。
本開示の粘着シートにおいて、細孔の形態としては、上記(ii)凹形状の開口部を有していることが好ましい。上記(ii)凹形状の開口部を有することにより、抗ウイルス性粘着シートの貼り付け時に気泡が混入することを、より抑制しやすくできる。
(ii)凹形状の開口部は、粘着剤層の光透過性基材層側の表面、及び、粘着剤層の他方の側の表面において、均等に存在していることが好ましい。2つの表面で凹形状の開口部が均等に存在することにより、抗ウイルス性粘着シートの貼り付け時に気泡が混入することを、より抑制しやすくできる。また、2つの表面で凹形状の開口部が均等に存在することにより、多孔質の粘着剤層の厚みムラを目立ちにくくできる。
上記(ii)凹形状の開口部が均等に存在していることについて、より具体的には以下のような条件を満たしていることが好ましい。
粘着剤層の光透過性基材層側の表面に存在する凹形状の開口部の直径の平均値をDave 、粘着剤層の他方の側の表面に存在する凹形状の開口部の直径の平均値をDave 、としたときに、下記条件(1)を満たすことが好ましい。
|Dave -Dave |/Dave ≦0.5 (1)
条件(1)について、|Dave -Dave |/Dave ≦0.25であることがより好ましく、|Dave -Dave |/Dave ≦0.15であることが更に好ましい。
粘着剤層の細孔が上記(i)球状の空孔を有する場合、前記球状の空孔の直径の平均値Dave は、下記条件(2)を満たすことが好ましい。
ave ≦Dave ≦Dave 又はDave ≦Dave ≦Dave (2)
上記条件(1)及び(2)について、開口部等の直径の平均値Dave 、Dave 及びDave の測定について、全ての凹形状の開口部及び球状の空孔に対する平均を求めることは現実的に不可能である。そのため、本明細書では、1500μm×1100μmの観察範囲内において、直径が大きい凹形状の開口部、球状の空孔から順に3箇所の直径の計測を行い、その平均値を、各開口部の直径の平均値としている。
粘着剤層の細孔のうち、(ii)凹形状の開口部が条件(1)を満たすことにより、粘着剤層の物理的性質をより均質にできるため、粘着剤層の全面において、粘着性をより均一にしやすくなる。そのため、物品に抗ウイルス性粘着シートを貼り付ける際の作業性を良好にしやすくできる。
また、粘着剤層の細孔のうち、(i)球状の空孔が条件(2)を満たすことについても、条件(1)と同様に、粘着剤層の物理的性質をより均質にできることから、物品に抗ウイルス性粘着シートを貼り付ける際の作業性を良好にしやすくできる。
上記(i)球状の空孔の直径、及び(ii)凹形状の開口部の直径の平均値としては、上記条件(1)及び(2)を満足すれば特に制限はなく、また粘着剤層の厚さに応じてかわりえるため一概にはいえないが、通常1μm以上300μm以下となる。作業性の向上を考慮すると、下限として好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、上限として好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
粘着剤層の密度は、作業性の向上を考慮すると、下限として好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.2g/cm以上、更に好ましくは0.3g/cm以上であり、上限として好ましくは0.8g/cm以下、より好ましくは0.7g/cm以下、更に好ましくは0.6g/cm以下である。
粘着剤層の付着量は、13g/m以上70g/m以下であることが好ましく、15g/m以上60g/m以下であることがより好ましく、20g/m以上50g/m以下であることがさらに好ましい。本明細書において、粘着剤層の付着量とは、固形分の付着量を意味する。
粘着剤層の付着量を13g/m以上とすることにより、積層体のヘイズ値を高くしやすくできるとともに、物品との密着性を高くしやすくできる。また、粘着剤層の付着量を13g/m以上とすることにより、上記(ii)凹形状の開口部を形成しやすくできる。
粘着剤層の付着量を70g/m以下とすることにより、抗ウイルス性粘着シートの総厚みが増すことによる作業性の低下を抑制しやすくできる。
-粘着樹脂組成物-
粘着剤層を形成するために用いられる樹脂組成物(本明細書において、「粘着樹脂組成物」と称する場合もある。)としては、多孔質である粘着剤層を形成できる樹脂組成物であれば特に制限なく採用することができる。粘着樹脂組成物は、気泡を含有する粘着樹脂組成物が好ましい。
気泡を含有する粘着樹脂組成物は、例えば、粘着性を有する樹脂を含むものであり、さらに、必要に応じて、塩、溶媒、添加剤を含むことが好ましい。
粘着性を有する樹脂としては、例えば、ウレタンゴム、スチレンブタジエンポリマー(スチレンブタジエンゴム)、ポリイソプレン、天然ゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ポリノルボルネン、ポリブタジエン、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン-酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンアクリルゴム、ポリエステルエラストマー、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム等の各種ゴム系樹脂;アクリルポリマー、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の各種粘着性樹脂;ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系の各種熱可塑性エラストマー等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの樹脂を含む樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化物であってもよい。樹脂組成物の硬化物は、1液硬化型であることが好ましい。1液硬化型であれば、2液硬化型の様に加温環境下で硬化が進み粘着力が高くなることにより剥がしにくくなる、剥がした際に糊残りが発生する、という問題が生じにくい。
これらの樹脂の中でも、耐候性が良好なアクリル系樹脂が好ましい。またアクリル系樹脂であれば、塩素原子を含まないため、廃棄時に焼却しても基本的には二酸化炭素と水しか排出せず、環境面で有利である。すなわち、粘着剤層は、アクリル系樹脂組成物を含むことが好ましく、アクリル系樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましい。アクリル系樹脂組成物の硬化物は、前記理由から1液硬化型であることが好ましい。
粘着性を有する樹脂の重量平均分子量は、下限として好ましくは250,000以上、より好ましくは260,000以上、更に好ましくは270,000以上であり、上限として好ましくは12,000,000以下、より好ましくは10,000,000以下、更に好ましくは8,000,000以下である。樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であると、多孔質である粘着剤層としやすく、かつ、適度な密着性を得やすくできる。
本明細書における重量平均分子量は、GPC分析により測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
塩としては、無機塩、有機塩等の各種塩を用いることができる。
無機塩としては、例えばナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、鉛、スズ及びバリウム等の金属の、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物;また例えば、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウムアルミニウム(ミョウバン)等が好ましく挙げられる。
有機塩としては、例えばナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、鉛、スズ及びバリウム等の金属の、ギ酸塩、酢酸塩、プロパン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩等の炭素数1~18のカルボン酸塩;また炭素数1~18のカルボン酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
また、有機塩としては、上記の他、例えばアンモニウム系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系、ピロリジニウム系、コリン系、ホスホニウム系、スルホニウム系、ピラゾリウム系等のイオン液体も挙げられる。
粘着樹脂組成物において、上記粘着性を有する樹脂100質量部に対する塩の含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、より更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは6.0質量部以上であり、上限として好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは25質量部以下、より更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。
粘着脂組成物は、塗布のしやすさ、すなわち粘着剤層の形成のしやすさを考慮して、溶媒を含有してもよい。
溶媒としては、水、有機溶媒のいずれを採用することができる。
粘着樹脂組成物における溶媒の含有量は、上記粘着性を有する樹脂及び溶媒の合計量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、上限として好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
その他添加剤としては、所望の性能に応じて適宜選択して用いることができ、例えば界面活性剤、整泡剤、起泡剤(泡立て剤)、発泡助剤、泡安定剤、泡止め剤(抑泡剤、破泡剤)、乳化剤、分散剤、湿潤剤、噴射剤、増粘剤、硬化剤、架橋剤、重合開始剤、着色剤(顔料、染料)、可塑剤、粘着剤、充填剤、防汚剤、粘弾性調整剤、防さび剤、スリップ剤、ドライヤー、安定剤、紫外線吸収剤、防菌剤、防かび剤、難燃剤等が挙げられる。
これらの中でも、粘着樹脂組成物が気泡を含有するものとしやすくすることを考慮すると、界面活性剤、整泡剤、起泡剤(泡立て剤)、発泡助剤、泡安定剤を用いることが好ましい。
その他添加剤の含有量としては、所望の性能に応じて適宜設定すればよく特に制限はないが、上記粘着性を有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、上限として好ましくは10質量部以下、より好ましくは8.5質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは1.9質量部以下である。
既述のように、粘着樹脂組成物は、気泡を含有する粘着樹脂組成物であることが好ましい。気泡を含有する組成物とする手法としては、特に制限はないが、例えば以下のようにすることができる。
まず、上記の粘着性を有する樹脂及び溶媒によりコロイド、懸濁液、ゾル、エマルション等の形態とし、次いで塩、必要に応じて添加剤を加えて原液を調製し、原液に窒素ガスを供給しながら撹拌することにより、原液中に気泡を含有させることができ、気泡を含有する粘着樹脂組成物を調製することができる。
窒素ガスの供給の際、窒素ガスの供給量を調整することで、気泡を含有する粘着樹脂組成物の密度を調整することができる。そして、気泡を含有する粘着樹脂組成物の密度の調整により、これを用いて形成する粘着剤層が上記の細孔の形態、密度等を満足しやすくできる。
気泡を含有する粘着樹脂組成物の密度は、好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.2g/cm以上、更に好ましくは0.3g/cm以上であり、上限として好ましくは0.8g/cm以下、より好ましくは0.7g/cm以下、更に好ましくは0.6g/cm以下である。
粘着剤層は、光安定剤及び紫外線吸収剤等の添加物を含有していてもよい。
《プライマー層》
抗ウイルス性粘着シートは、層間密着性を向上するため、プライマー層を有していてもよい。プライマー層は、例えば、光透過性基材層と表面保護層との間に形成できる。
プライマー層は、バインダー樹脂を含むことが好ましい。
バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、2個以上の水酸基を有する重合体に由来するウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。バインダー樹脂は、前述した樹脂を、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤で架橋硬化したものであってもよい。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂等のポリオール系樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものが好ましく、アクリルポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものがより好ましい。
プライマー層は、耐候性をより向上するために、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤及び光安定剤は汎用のものを用いることができる。
プライマー層の厚みは、0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.7μm以上8μm以下がより好ましく、1.0μm以上6μm以下がさらに好ましい。
積層体を構成する層のうち、粘着剤層以外の層を積層してなる積層体は、多孔質の粘着剤層の厚みムラを視認し難くするため、内部ヘイズ値が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
前記内部ヘイズは、物品の視認性を良好にするため、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることがさらに好ましい。
前記内部ヘイズ値は、積層体を構成する層のうち、前記粘着剤層以外の層を積層してなる積層体の表面及び裏面に透明基材を貼り合わせるなどして、表面及び裏面の表面凹凸を埋めることにより測定することができる。前記内部ヘイズ値は、より具体的には、実施例に記載の手法で測定することができる。
<セパレータ>
抗ウイルス性粘着シートは、前記積層体上にセパレータを有し、前記粘着剤層と前記セパレータとが接してなることが好ましい。抗ウイルス性粘着シートがセパレータを有することにより、抗ウイルス性粘着シートの取り扱い性を良好にしやすくできる。
セパレータの材質としては特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム、紙、及び不織布等を用いることができる。
セパレータの厚みは、10μm以上200μm以下であることが好ましく、50μm以上150μm以下であることがより好ましい。セパレータの厚みが前記範囲であることにより、セパレータを剥離する際の作業性を良好にしやすくできる。
セパレータは、シリコーン系離型剤等の離型剤で、表面が離型処理されたものであってもよい。
本開示の抗ウイルス性粘着シートは、表面保護層の光透過性基材層とは反対側に、微粘着性を有する保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムは、抗ウイルス性粘着シートの流通過程において、表面保護層を保護する役割を有する。抗ウイルス性粘着シートを物品に貼り合わせる前後で、保護フィルムは表面保護層から剥離する。
<用途>
本開示の抗ウイルス性粘着シートの用途としては、以下の(1)~(12)が挙げられる。
(1)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の壁、床、天井等の内装部分の表面材。
(2)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の外壁、屋根、軒天井、戸袋等の外装部分の表面材。
(3)窓、窓枠、扉、扉枠等の建具の表面材(内装部分又は外装部分);建具の付随備品(取っ手等)の表面材;建具の治具の表面材。
(4)手すり、腰壁、廻り縁、敷居、鴨井、笠木の造作部材の表面材。
(5)塀、門扉、物干台の柱や手すり等の屋外(外装)部分の表面材。
(6)箪笥、机、椅子、食器棚、厨房の流し台等の家具の表面材;家具の付随備品(取っ手等)の表面材;家具の治具の表面材。
(7)テレビジョン受像機、ラジオ受信機、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、扇風機、空調機、電話機等の各種家電製品の筐体等の表面材;家電製品の付随備品(取っ手、スイッチ等)の表面材;家電製品の治具の表面材。
(8)電子複写機、ファクシミリ、プリンタ、パーソナルコンピュータ等の各種電算機器等のOA機器の表面材;銀行、郵便局等の金融機関のATM装置の各種OA機器類の筐体の表面材;各種OA機器類の付随備品(キーボード鍵盤等)の表面材;各種OA機器類の治具の表面材。
(9)自動車、鉄道車両等の車輛、船舶、航空機等の乗物の内装又は外装部分(壁、床、天井、手すり、支柱、操作盤、レバー、ハンドル、舵輪等の操縦機器類)の表面材。
(10)各種建築物の間仕切;店舗、事務所、官公庁等の窓口、会計精算場所等におけるウイルスの飛沫感染防止のための遮蔽板又は遮蔽カーテン;あるいはこれらの表面材。
(11)伝票類等のビジネスフォーム;預金通帳;金融機関のキャッシュカード、クレジットカード、ポイントカード等のカード類;あるいはこれらの表面材。
(12)硝子、樹脂等の瓶;金属缶;樹脂レトルト容器等の樹脂軟包装材;各種チューブ類等の包装材料;あるいはこれらの表面材。
[抗ウイルス性粘着シート付の物品]
本開示の抗ウイルス性粘着シート付の物品は、物品上に、上述した本開示の抗ウイルス性粘着シートを貼り付けてなるものである。
物品としては、抗ウイルス性粘着シートの用途で例示した物品が挙げられる。
本開示は、例えば、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]バインダー成分及び抗ウイルス剤を含む表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を含む抗ウイルス性粘着シートであって、
前記粘着剤層が多孔質の層であり、
前記積層体のJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値が60%以上である、抗ウイルス性粘着シート。
[2]前記粘着剤層の付着量が、13g/m以上70g/m以下である、[1]に記載の抗ウイルス性粘着シート。
[3]前記粘着剤層の前記光透過性基材層側の表面に存在する凹形状の開口部の直径の平均値をDave 、前記粘着剤層の他方の側の表面に存在する凹形状の開口部の直径の平均値をDave 、としたときに、下記条件(1)を満たす、[1]又は[2]に記載の抗ウイルス性粘着シート。
|Dave -Dave |/Dave ≦0.5 (1)
[4]前記粘着剤層が、アクリル系樹脂組成物の硬化物を含む、[1]~[3]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
[5]前記抗ウイルス剤が有機系の抗ウイルス剤である、[1]~[4]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
[6]前記積層体を構成する層のうち、前記粘着剤層以外の層を積層してなる積層体の内部ヘイズ値が60%以上である[1]~[5]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
[7]前記光透過性基材層が、ポリプロピレン系樹脂基材を含む、[1]~[6]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
[8]前記積層体のJIS K7361-1:1997に準拠して測定される全光線透過率が80%以上である、[1]~[7]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
[9]前記積層体上にセパレータを有し、前記粘着剤層と前記セパレータとが接してなる、[1]~[8]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
[10]物品上に、[1]~[9]の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シートを貼り付けてなる、抗ウイルス性粘着シート付の物品。
次に、本開示を実施例により、さらに詳細に説明するが、本開示は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.評価
実施例及び比較例の抗ウイルス性粘着シートに関して、下記の測定及び評価を実施した。下記の測定及び評価の雰囲気は、温度23℃±5℃、相対湿度40%以上65%以下とした。結果を表1に示す。
1-1.ヘイズ値及び全光線透過率
実施例及び比較例の抗ウイルス性粘着シートを構成する積層体のヘイズ値及び全光線透過率を測定した。測定装置は、東洋精機製作所製の直読ヘイズメーターを用いた。
1-2.貼り付け性
実施例及び比較例の抗ウイルス性粘着シートからセパレータを剥がし、厚み2mmの透明アクリル板(縦100mm×横200mm)に貼り付けた。貼り付けた直後に、30歳台の健康な人が、明室環境で、下記の基準で目視で評価した。
A:貼り付け時に気泡が混入しなかった。
C:貼り付け時に気泡が混入した。
1-3.明瞭性
実施例及び比較例の抗ウイルス性粘着シートからセパレータを剥がし、厚み2mmの透明アクリル板(縦100mm×横200mm)に貼り付け後、30歳台の健康な人が、明室環境で、下記の基準で目視で評価した。
A:抗ウイルス性粘着シートを貼り付けた場所と、貼り付けていない場所との差を明瞭に認識できる。
C:抗ウイルス性粘着シートを貼り付けた場所と、貼り付けていない場所との差を明瞭に認識できない。
1-4.外観
実施例及び比較例の抗ウイルス性粘着シートからセパレータを剥がし、黒色の艶消しメラミン板に貼り付け後、30歳台の健康な人が、明室環境で、下記の基準で目視で評価した。
A:粘着剤層の厚みムラに基づく、外観のムラが目立たない。
C:粘着剤層の厚みムラに基づく、外観のムラが目立つ。
1-5.抗ウイルス活性値
明細書本文の「抗ウイルス活性値の測定方法」に従い、実施例の抗ウイルス性粘着シートに関して、抗ウイルス活性値を測定した。抗ウイルス活性値は、インフルエンザウイルスについて測定した。抗ウイルス活性値が2以上のものを「A」、抗ウイルス活性値が2未満のものを「C」とした。
1-6.内部ヘイズ値
実施例及び比較例において、光透過性基材層上に表面保護層を形成した後、粘着剤層を形成しない積層体を作製した。前記積層体の両面に、透明粘着剤(パナック社製、PD-S1、厚み25μm)を介して、厚み80μmのTACフィルム(富士フイルム社製、TD80UL)を貼り付けた、内部ヘイズ値の測定用サンプルを作製した。前記サンプルは、前記積層体の両側の表面の凹凸形状が埋められており、表面形状起因の外部ヘイズ値の影響がないといえる。前記サンプルのヘイズ値を測定し、得られた値を、前記積層体の内部ヘイズ値とした。表1では、単に「内部ヘイズ値」と表記した。測定装置は、東洋精機製作所製の直読ヘイズメーターを用いた。
2.材料の調製
下記組成の表面保護層用インキ及び粘着剤層用組成物を調製した。
<表面保護層用インキ1>
・多官能ウレタンアクリレートオリゴマー 70質量部
・2官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30質量部
・抗ウイルス剤 3質量部
(下記の粒子A1と粒子A2とを質量比1:1で含む抗ウイルス剤、平均粒子径3μm)
(粒子A1:スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子、島貿易株式会社製のポリスチレンスルホン酸誘導体、商品名「VERSA-TL3」)
(粒子A2:不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子、BYK製の溶剤系不飽和ポリカルボン酸ポリマーである商品名「BYK-P104」を乾燥させて成形した粒子)
・溶剤(酢酸エチル) 40質量部
<表面保護層用インキ2>
・主剤 100質量部
(アクリルポリオール樹脂)
・硬化剤 10質量部
(ヘキサメチレンジイソシアネート)
・抗ウイルス剤 3質量部
(上記の粒子A1と粒子A2とを質量比1:1で含む抗ウイルス剤)
・溶剤(酢酸エチル) 40質量部
<気泡を含有する粘着樹脂組成物の調製>
アクリル系1液硬化型粘着剤(関西ペイント社製の商品名「パワータイトWQ-1000」)を撹拌機で攪拌し、気泡を含有する粘着樹脂組成物を調製した。得られた気泡を含有する粘着樹脂組成物の密度は0.4g/cmであった。
<気泡を含有しない粘着樹脂組成物>
アクリル系1液硬化型粘着剤(関西ペイント社製の商品名「パワータイトWQ-1000」)を攪拌せず、そのまま用いた。
3.抗ウイルス性粘着シートの作製
[実施例1]
光透過性基材層(厚み80μmのポリプロピレン系樹脂基材の一方の面に、粒子を含有する樹脂層を有する基材層。)の一方の面上に、表面保護層用インキ1をロールコートで塗布し、60℃で1分間乾燥させた。その後、電子線を照射して樹脂成分を硬化させ(加速電圧:175kV、5Mrad(50kGy)、厚み10μmの表面保護層を形成した。
次いで、光透過性基材層の表面保護層が形成された面と反対側の面に、気泡を含有する粘着樹脂組成物を塗布し、100℃で2分間の乾燥を行い、多孔質の粘着剤層を形成した。乾燥後の粘着剤層の付着量は、30g/mであった。形成した粘着剤層の密度は0.4g/cmであった。このようにして、表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を得た。
次いで、積層体の粘着剤層側の面に、セパレータ(厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)をラミネートし、実施例1の抗ウイルス性粘着シートを得た。
[実施例2]
抗ウイルス剤の平均粒子径を3μmから5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の抗ウイルス性粘着シートを得た。
[実施例3]
光透過性基材層を、下記の光透過性基材層に変更した。さらに、表面保護層用インキ1を、上記の表面保護層用インキ2に変更した。さらに、表面保護層の乾燥条件を50℃10分に変更し、電子線は非照射に変更した。これらの変更点以外は、実施例1と同様にして、実施例3の抗ウイルス性粘着シートを得た。
実施例3の光透過性基材層:厚み80μmの塩化ビニル系樹脂基材の一方の面に、粒子を含有する樹脂層を有する基材層。
[比較例1]
光透過性基材層を、下記の光透過性基材層に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の抗ウイルス性粘着シートを得た。
比較例1の光透過性基材層:厚み75μmのポリエチレンテレフタレート基材の単層。
[比較例2]
粘着樹脂組成物を、気泡を含有しない粘着樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の抗ウイルス性粘着シートを得た。
[比較例3]
粘着樹脂組成物を、気泡を含有しない粘着樹脂組成物に変更した以外は、実施例3と同様にして、比較例3の抗ウイルス性粘着シートを得た。
Figure 2023084526000002
表1に示すように、実施例1~3の抗ウイルス性粘着シートは、貼り付け性に優れ、貼り付けた場所を明瞭にしやすいことが確認できる。さらに、実施例1~3の抗ウイルス性粘着シートは、粘着剤層の厚みムラが目立たず、外観を良好にできることが確認できる。
なお、実施例1及び2、比較例2では、積層体のヘイズ値よりも、粘着剤層を有さない積層体の内部ヘイズ値の方が高くなっている。この理由は、粘着剤層を形成する前後で、粘着剤層を有さない積層体の樹脂層中の粒子の凝集の度合いが変化しているためと考えられる。より具体的には、粘着剤層を形成する前は樹脂層中の粒子の凝集が強く、粘着剤層を形成した後は樹脂層中の粒子の凝集が弱まっていると考えられる。
10:積層体
20:光透過性基材層
30:表面保護層
31:バインダー成分
32:抗ウイルス剤
40:粘着剤層
41:細孔(球状の空孔)
42:細孔(凹形状の開口部)
50:セパレータ
100:抗ウイルス性粘着シート

Claims (10)

  1. バインダー成分及び抗ウイルス剤を含む表面保護層、光透過性基材層及び粘着剤層をこの順に有する積層体を含む抗ウイルス性粘着シートであって、
    前記粘着剤層が多孔質の層であり、
    前記積層体のJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズ値が60%以上である、抗ウイルス性粘着シート。
  2. 前記粘着剤層の付着量が、13g/m以上70g/m以下である、請求項1に記載の抗ウイルス性粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の前記光透過性基材層側の表面に存在する凹形状の開口部の直径の平均値をDave 、前記粘着剤層の他方の側の表面に存在する凹形状の開口部の直径の平均値をDave 、としたときに、下記条件(1)を満たす、請求項1又は2に記載の抗ウイルス性粘着シート。
    |Dave -Dave |/Dave ≦0.5 (1)
  4. 前記粘着剤層が、アクリル系樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1~3の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  5. 前記抗ウイルス剤が有機系の抗ウイルス剤である、請求項1~4の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  6. 前記積層体を構成する層のうち、前記粘着剤層以外の層を積層してなる積層体の内部ヘイズ値が60%以上である、請求項1~5の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  7. 前記光透過性基材層が、ポリプロピレン系樹脂基材を含む、請求項1~6の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  8. 前記積層体のJIS K7361-1:1997に準拠して測定される全光線透過率が80%以上である、請求項1~7の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  9. 前記積層体上にセパレータを有し、前記粘着剤層と前記セパレータとが接してなる、請求項1~8の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  10. 物品上に、請求項1~9の何れかに記載の抗ウイルス性粘着シートを貼り付けてなる、抗ウイルス性粘着シート付の物品。
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