JPH0639154B2 - 積層体 - Google Patents

積層体

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JPH0639154B2
JPH0639154B2 JP63147798A JP14779888A JPH0639154B2 JP H0639154 B2 JPH0639154 B2 JP H0639154B2 JP 63147798 A JP63147798 A JP 63147798A JP 14779888 A JP14779888 A JP 14779888A JP H0639154 B2 JPH0639154 B2 JP H0639154B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、積層フィルム、詳しくはポリエステルの特長
を残しつつ、フィルム表面が傷つきにくい、柔軟性
に富む、ガス或いは水蒸気遮断性に優れる、導電性
に富む、成型性に富む、離型性に優れる、美麗で
ある、などの特長が賦与された積層フィルムに関するも
のである。
〔従来の技術〕
従来、積層フィルムとしては、 (1)ポリエステルフィルム、特定の線状共重合ポリエス
テルとラジカル硬化性樹脂とよりなる接着剤層、ラジカ
ル硬化性樹脂をこの順に設けた複合フィルム(特開昭5
6−76480号公報など)、 (2)ポリエステルフィルム、スルホン化エチレン系不飽
和単量体を含む組成物、感光性写真乳剤層をこの順に設
けた複合フィルム(特開昭57−645号公報など)、 (3)ポリエステルフィルム、アニオン性基を有するポリ
ウレタン、活性線架橋性樹脂層をこの順に設けた複合フ
ィルム(特開昭62−263237号公報など)、 (4)ポリエステルフィルム、共重合ポリエステルを主成
分とするホットメルト層、金属層をこの順に設けた複合
フィルム(特開昭56−10451号公報など) などが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記従来の積層フィルムは、下記の問題点を有
している。
すなわち、ポリエステルと特定の機能を有する層とを接
着する易接着層の汎用性に欠ける、耐久性(耐候
性、耐湿性、耐ボイル性など)に欠ける、そもそも接
着性が不十分である、などの問題点を有しているのであ
る。
本発明は、かかる問題点を改善し、相手材に対する汎用
性、耐久性、接着強度にすぐれた積層フィルムを提供す
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、 (1)ポリエステルフィルムAと、該ポリエステルフィル
ムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であって親水
基含有ポリエステル樹脂[a]に不飽和結合を有する化
合物[b]をグラフト化させた共重合体[c]及び架橋
結合剤を主成分とし該共重合体[c]のグラフト化率が
0.5〜600%である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面
に設けられた活性線架橋型アクリル系樹脂層Cとからな
ることを特徴とする積層体、 (2)ポリエステルフィルムAと、該ポリエステルフィル
ムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であって親水
基含有ポリエステル樹脂[a]に不飽和結合を有する化
合物[b]をグラフト化させた共重合体[c]及び架橋
結合剤を主成分とし該共重合体[c]のグラフト化率が
0.5〜600%である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面
に設けられた塩素含有樹脂層Dとからなることを特徴と
する積層体、 (3)ポリエステルフィルムAと、該ポリエステルフィル
ムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であって親水
基含有ポリエステル樹脂[a]に不飽和結合を有する化
合物[b]をグラフト化させた共重合体[c]及び架橋
結合剤を主成分とし該共重合体[c]のグラフト化率が
0.5〜600%である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面
に設けられた金属層Eとからなることを特徴とする積層
体、 (4)ポリエステルフィルムAと、該ポリエステルフィル
ムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であって親水
基含有ポリエステル樹脂[a]に不飽和結合を有する化
合物[b]をグラフト化させた共重合体[c]及び架橋
結合剤を主成分とし該共重合体[c]のグラフト化率が
0.5〜600%である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面
に設けられた感光性写真乳剤層Fとからなることを特徴
とする積層体、 (5)ポリエステルフィルムAと、該ポリエステルフィル
ムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であって親水
基含有ポリエステル樹脂[a]に不飽和結合を有する化
合物[b]をグラフト化させた共重合体[c]及び架橋
結合剤を主成分とし該共重合体[c]のグラフト化率が
0.5〜600%である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面
に設けられた活性線又は熱架橋型シリコーン樹脂層Gと
からなることを特徴とする積層体、 を要旨とする。
本発明においていうポリエステルとは、周知のもの、具
体的には、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、ビス−α,β(2−クロルフェノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、アジビン酸、セ
バシン酸等の2官能カルボン酸の少なくとも1種と、エ
チレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメ
チレングリコール等のグリコールの少なくとも1種とを
重縮合して得られるポリエステルを挙げることができ
る。また、該ポリエステルには、本発明の目的を阻害し
ない範囲内で、他種ポリマをブレンドしたり共重合して
もよいし、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、紫外線
吸収剤等が含まれていてもよい。ポリエステルの固有粘
度(25℃オルトクロルフェノール中で測定)は0.4
〜2.0であり、好ましくは0.5〜1.0の範囲のも
のが通常用いられる。
本発明には、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエ
チレン−α,βビス(2−クロルフェノキシ)エタン−
4,4′−ジカルボキシレートを用いた場合、特に優れ
た効果が得られる。
本発明でいう親水基含有ポリエステル樹脂[a](以
下、樹脂[a]と略称する)とは、分子中に親水性基或
いは親水性成分、例えば、水酸基、カルボキシル基、カ
ルボニル基、シアノ基、アミノ基、メチルカルボニル
基、ポリエチレングリコール、カルボン酸塩、リン酸エ
ステル塩、第四級アンモニウム塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩等の少なくとも1種以上が導入されたポリエ
ステル共重合体である。中でも、代表的なポリエステル
共重合体としては以下の組成のものが有用である。すな
わち、芳香族ジカルボン酸および/または非芳香族ジカ
ルボン酸およびエステル形成性スルホン酸アルカリ金属
塩化合物とグリコールの重縮合物があげられる。
具体的には、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチ
ルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エ
タン−p,p′−ジカルボン酸およびそれらのエステル
形成性誘導体があり、非芳香族ジカルボン酸には、例え
ば修酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン
酸、セバシン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジ
カルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体があ
る。これらのうちで芳香族ジカルボン酸および/または
そのエステル形成性誘導体が全ジカルボン酸成分に対し
40モル%以上占めることが樹脂の耐熱性や皮膜強度、
耐水性の点で好ましく、その範囲内で1種以上のジカル
ボン酸を併用してもよい。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物として
は、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタ
ル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコ
ール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼンなどのアルカリ金属塩(スルホン酸のアル
カリ金属塩)およびこれらのエステル形成性誘導体が挙
げられ、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸
のナトリウムおよびこれらのエステル形成性誘導体がよ
り好ましく使用される。
次に、グリコール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪
族または炭素数6〜12個の脂環族グリコールであり、
例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,3
−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコールなどが好ましく
使用される。
場合によっては、ポリエーテルを共重合させてもよい。
ここでいうポリエーテルとはエーテル結合を主要結合鎖
とする親水性高分子のことであり、特に好ましいのは脂
肪族ポリエーテルであり、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、グリセリンエーテル、
ポリエチレングリコールエーテルなどが好ましく使用さ
れる。
樹脂[a]は水溶性或いは水分散性であってもよく、そ
の溶解性は共重合組成分の種類、配合比率或いは分散安
定性付与剤として用いられる親水性有機化合物の添加の
有無、その種類、配合量などによって異なるが、親水性
有機化合物は添加するにあたっては分散安定性を損わな
い限り少量であるのが好ましい。尚、親水性有機化合物
とは脂肪族および脂環族のアルコール、エステル、エー
テル、ケトン類であり、例えばアルコール類として、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、グリコール類としてエチレングリコール、プロピ
レングリコールなどがありその誘導体としてメチルセル
ソルブ、エチルセルソルブ、n−ブチルセルソルブ、エ
ステル類として酢酸エチル、エーテル類としてジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ケトン類としてメチルエチル
ケトン等が挙げられる。親水性有機化合物は単独または
必要に応じて2種以上併用してもよい。親水性有機化合
物の中では、分散性能、分散安定性および塗布性等から
特に好ましいのはブチルセルソルブ、エチルセルソルブ
である。さらに、樹脂[a]では共重合組成分のエステ
ル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物の様に、特に
親水性に寄与する成分量の増加は塗設した改質層の耐水
性を著しく悪化するので溶解性、分散安定性等を損わな
い限り少量であるのが好ましい。
本発明における樹脂[a]のガラス転移温度(Tg)は
特に限定されないが、好ましくは0〜80℃、より好ま
しくは30〜75℃の範囲である。これは耐水性、耐ア
ルカリ性、耐熱性が向上するためである。
樹脂[a]は、通常、常法のポリエステル製造技術で製
造できる。すなわち、前記した酸成分およびグリコール
成分をエステル化或いはエステル交換触媒、集合触媒等
の反応触媒を用いて溶融重縮合せしめ所望のポリマーと
して得られる。さらには、溶液重縮合も適用できる。こ
の際、いずれの場合にもグラフト化反応に悪影響を及ぼ
さない範囲で種々の改質剤、安定剤等を添加してもよ
い。また、水溶性に欠ける樹脂[a]の水分散体を得る
には前記親水性有機化合物の存在が必要である。通常樹
脂[a]と親水性有機化合物を混合し、攪拌下、好まし
くは加温攪拌下で水を添加する方法、或いは攪拌下の水
に上記混合物を添加する方法等で製造される。尚、得ら
れる水分散体は固形分濃度が高くなると樹脂[a]の微
粒子が再凝集しやすく、均一分散体系が不安定化し、グ
ラフト化反応が困難となる。
本発明でいう不飽和結合を有する化合物[b](以下、
化合物[b]と略称する)とは、樹脂[a]にグラフト
化する化合物であり、具体的には、ビニルエステル類と
して、例えば、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、高級第3級ビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニ
ル、又不飽和カルボン酸エステル類として、例えば、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アルリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸メチ
ル、メクタリル酸ブチル、マレイン酸ブチル、マレイン
酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、アク
リル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、
メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキ
シプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アク
リル酸ジメチルアミノエチル、エチレングリコールジメ
タクリル酸エステル、エチレングリコールジアクリル酸
エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エス
テル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、
不飽和カルボン酸アミド類として、例えばアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ブ
トキシメチロールアクリルアミド、不飽和ニトリル類と
して例えばアクリロニトリル、不飽和カルボン酸類とし
て、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、マレイン酸酸性エステル、フマル
酸酸性エステル、イタコン酸酸性エステル、アクリル化
合物として、例えば酢酸アリル、アリルグリシジルエー
テル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコ
ン酸ジアリル、含窒素化合物として、ビニルピリジン、
ビニルイミダゾール、炭化水素類として、例えばエチレ
ン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニ
ルトルエン、ブタジエン、ビニルシラン化合物として、
例えばジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルエチル
エトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチ
ルビニルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシランなどが挙げられ、これらの中から
選ばれた少なくとも1種以上が適用されるが特に限定さ
れるものではない。
本発明でいうグラフト化させた共重合体[c](以下、
重合体[c]と略称する)は、前記樹脂[a]に前記化
合物[b]をグラフト化させて得られたものである。
尚、重合体[c]は常法のグラフト重合法によって製造
される。すなわち樹脂[a]の水媒体系下で、水溶性ま
たは水分散性重合開始剤の存在下に化合物[b]を加え
て反応を行なう。重合開始剤としては、例えば硝酸第2
セリウムアンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム、硫酸セシウムアンモニウム、過酸化水素、アゾ
ビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等が用いら
れるが化合物[b]の樹脂[a]へのグラフト重合反応
性から過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物を用いた方が
好ましい。グラフト重合反応は通常、冷却下或いは加熱
下で行なわれる反応温度は反応速度、重合系の安定性お
よび重合体[c]の特性等から5〜100℃、好ましく
は10〜80℃である。
本発明においては、樹脂[a]への化合物[b]のグラ
フト化率が0.5〜600%、好ましくは5〜300
%、より好ましくは10〜100%の範囲であることが
必要である。グラフト化率が0.5%未満では耐水性が
悪化するので好ましくない。グラフト化率が600%を
越えるものでは塗工性が悪化したり、改質層と基材ベー
スとの密着性が低下するので好ましくない。
本発明でいう架橋結合剤とは、樹脂[a]或いは重合体
[c]に存在する官能基、例えばヒドロキシル基、カル
ボキシル基、グリシジル基、アミド基などと熱架橋反応
し、最終的には三次元網状構造を有する改質層とするた
めの架橋剤であり特に限定されない。特に架橋結合剤と
してイソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素
系架橋剤或いはエポキシ系架橋剤を用いる場合、架橋効
果が大きいので好ましい。エポキシ系架橋剤としては、
具体的にはポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モ
ノエポキシ化合物などが挙げられ、ポリエポキシ化合物
としては、例えばソルビトトール、ポリグリシジルエー
テル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペン
タエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロ
ールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロー
ルポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポ
リグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例
えばネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾ
ルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、
モノエポキシ化合物としては、例えばアリルグリシジル
エーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フ
ェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。尿素系硬
化剤としては、例えばジメチロール尿素、ジメチロール
エチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、テトラメ
チロールアセチレン尿素、4メトキシ5ジメチルプロピ
レン尿素ジメチロールなどが挙げられる。メラミン系架
橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して
得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールと
してメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物およ
びそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導
体としては、例えばモノメチロールメラミン、ジメチロ
ールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロ
ールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチ
ロールメラミンなとが挙げられる。これらの架橋結合剤
は単独、場合によっては2種以上併用してもよい。架橋
結合剤の添加量は、特に限定されないが、通常樹脂
[a]と重合体[c]の混合体において固形分100重
量部に対して0.001〜60重量部、好ましくは0.
01〜20重量部である。これはこの範囲にある場合接
着性、塗布性、塗膜の耐湿性に優れるため好ましいので
ある。
本発明フィルムを構成するポリエステルフィルムは、常
法により少なくとも一軸配向させたものであるが、機械
的強度や寸法安定性、剛性等の点で少なくとも二軸配向
させたものが望ましい。又、ポリエステルフィルムの厚
みは特に限定されるものではないが2〜500μmが好
ましく、5〜300μmの範囲がより好ましく基材ベー
スとしての実用面での取り扱い性に優れている。
本発明フィルムを構成する樹脂層Bの積層厚みは特に限
定されないが、通常は0.005〜5.0μm、好まし
くは0.01〜1.0μmの範囲である。
特に樹脂層Bをポリエステルフィルム上に設けた後、少
なくとも一軸方向以上延伸した場合、ポリエステルフィ
ルムとの接着性が更に向上するため好ましい。
また、樹脂層Bには公知の架橋触媒、具体的には塩類、
無機物質、有機物質、酸物質、アルカリ物質などや公知
の接着促進剤を含有させることによって後加工での利点
を増すことができる。さらに必要に応じて、本発明の効
果を損わない量で公知の樹脂成分、添加剤、例えば消泡
剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、染料、顔料などを含有せしめてもよい
し、滑剤として無機又は有機化合物からなる微細粒子を
含有せしめてもよい。
樹脂層B中に更に親水基含有ポリエステルかつ、あるい
は水溶性又は水分散性アクリル樹脂、水溶性、水分散性
ウレタン樹脂を本発明の効果を損わない範囲で、具体的
には50重量%未満、好ましくは3〜35重量%の範囲
で添加した場合、易接着層の汎用性が更に増すため、よ
り好適である。
ここでいう親水基含有ポリエステル樹脂とは、分子中に
親水性基或いは親水性成分、例えば、水酸基、カルボキ
シル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、メチルカ
ルボニル基、ポリエチレングリコール、カルボン酸塩、
リン酸エステル塩、第四級アンモニウム塩、硫酸エステ
ル塩、スルホン酸塩等の少なくとも1種以上が導入され
たポリエステル共重合体である。中でも、代表的なポリ
エステル共重合体としては以下の組成のものが有用であ
る。すなわち、芳香族ジカルボン酸および/または非芳
香族ジカルボン酸およびエステル形成性スルホン酸アル
カリ金属塩化合物とグリコールの重縮合物があげられ
る。
具体的には、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチ
ルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エ
タン−p,p′−ジカルボン酸およびそれらのエステル
形成性誘導体があり、非芳香族ジカルボン酸には、例え
ば修酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン
酸、セバシン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジ
カルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体があ
る。これらのうちで芳香族ジカルボン酸および/または
そのエステル形成性誘導体が全ジカルボン酸成分に対し
40モル%以上占めることが樹脂の耐熱性や皮膜強度、
耐水性の点で好ましく、その範囲内で1種以上のジカル
ボン酸を併用してもよい。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物として
は、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタ
ル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコ
ール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼンなどのアルカリ金属塩(スルホン酸のアル
カリ金属塩)およびこれらのエステル形成性誘導体が挙
げられ、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸
のナトリウムおよびこれらのエステル形成性誘導体がよ
り好ましく使用される。
次に、グリコール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪
族または炭素数6〜12個の脂環族グリコールであり、
例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,3
−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコールなどが好ましく
使用される。
場合によっては、ポリエーテルを共重合体させてもよ
い。ここでいうポリエーテルとはエーテル結合を主要結
合鎖とする親水性高分子のことであり、特に好ましいの
は脂肪族ポリエーテルであり、例えばポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、グリセリンエーテ
ル、ポリエチレングリコールエーテルなどが好ましく使
用される。
該樹脂は水溶性或いは水分散性てあってもよく、その溶
解性は共重合組成分の種類、配合比率或いは分散安定性
付与剤として用いられる親水性有機化合物の添加の有
無、その種類、配合量などによって異なるが、親水性有
機化合物は添加するにあたっては分散安定性を損わない
限り少量であるのが好ましい。尚、親水性有機化合物と
は脂肪族および脂環族のアルコール、エステル、エーテ
ル、ケトン類であり、例えばアルコール類として、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、グリコール類としてエチレングリコール、プロピレ
ングリコールなどがありその誘導体としてメチルセルソ
ルブ、エチルセルソルブ、n−ブチルセルソルブ、エス
テル類として酢酸エチル、エーテル類としてジオキサ
ン、トテラヒドロフラン、ケトン類としてメチルエチル
ケトン等が挙げられる。親水性有機化合物は単独または
必要に応じて2種以上併用してもよい。親水性有機化合
物の中では、分散性能、分散安定性および塗布性等から
特に好ましいのはブチルセルソルブ、エチルセルソルブ
である。さらに、該樹脂では共重合組成分のエステル形
成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物の様に、特に親水
性に寄与する成分量の増加は塗設した改質層の耐水性を
著しく悪化するので溶解性、分散安定性等を損わない限
り少量であるのが好ましい。
又、ここでいう水分散性あるいは水溶性アクリル系樹脂
(以下アクリル系樹脂と略称する)は、特に限定されな
いが、代表的なものとして以下のものを挙げることがで
きる。すわなち、アルキルアクリレートあるいはアルキ
ルメタクリレートを主要な成分とするものであり、該成
分30〜90モル%と、これらと共重合可能でかつ官能
基を有するビニル単量体成分を70〜10モル%を含有
する水溶性あるいは水分散性樹脂である。
アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレート
と共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体の好ま
しい官能基とは、カルボキシル基またはその塩、酸無水
物基、スルホン酸基、またはその塩、アミド基またはア
ルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基
を含む)またはアルキロール化されたアミノ基あるいは
それらの塩、水酸基、エポキシ基等である。特に好まし
いものはカルボキシル基またはその塩、酸無水物基、エ
ポキ基などである。当然これらの基は、樹脂中に二種以
上含有されていてもよい。
アクリル系樹脂中のアルキルアクリレートあるいはアル
キルメタクリレートが30モル%以上である場合、塗布
形成性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が良好になるた
め好ましい。アクリル系樹脂中のアルキルアクリレート
あるいはアルキルメタクリレートが90モル%以下の場
合、共重合成分として特定の官能基を有する化合物をア
クリル系樹脂に導入することにより、水溶化、水分散化
しやすくすると共に、その状態を長期にわたり、安定と
なり、更に塗布層とポリエステルフィルム層との接着性
の改善、塗布層内での反応による塗布層の強度、耐水
性、耐薬品性の改善を図ることができるため好ましい。
アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートの
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル
基、ステアリル基、シクロヘキシル基などがあげられ
る。
アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレート
と共重合する官能基を有するビニル系単量体は、反応性
官能基、自己架橋性官能基、親水性基などの官能基を有
する下記の化合物類が使用できる。
カルボキシル基またはその塩、あるいは酸無水物基を有
する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、これらの
カルボン酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム
塩、あるいは無水マレイン酸などがあげられる。
スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、ビ
ニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらのスルホ
ン酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム塩など
があげられる。
アミド基あるいはアルキロール化されたアミド基を有す
る化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリ
ルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビ
ニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテ
ル、ウレイドエチルアクリレートなどがあげられる。
アミノ基またはアルキロール化されたアミノ基あるいは
それらの塩を有する化合物としては、ジエチルアミノエ
チルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテ
ル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエ
ーテル、それらのアミノ基をメチロール化したもの、ハ
ロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトンなどにより
4級塩化したものなどがあげられる。
水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシエチル
アクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、
β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテ
ル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒド
ロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコー
ルモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタ
クリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリリレ
ート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートな
どがあげられる。
エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレートなどがあげられる。
更に上記以外に次に示すような化合物を併用してもよ
い。すなわち、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モ
ノあるいはジアルキルエステル、フマル酸モノあるいは
ジアルキルエステル、イタコン酸モノあるいはジアルキ
ルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリ
ドン、ビニルトリメトキシシランなどがあげられるが、
これらに限定されるものではない。
アクリル系樹脂は、界面活性剤を含有していてもよい
が、アクリル系樹脂に含有される低分子量体の界面活性
剤が増膜過程で濃縮され、粒子と粒子の界面に蓄積され
たり、塗布層の界面に移行するなどして、塗布層の機械
的強度、耐水性、積層体との接着性に問題を生じる場合
がある。このような場合には、界面活性剤を含有しない
いわゆるメープフリー重合による重合物を利用できる。
いかし、以上述べた中でもメチルメタクリレートとエチ
ルあるいはブチルアクリレートの35/65〜65/3
5(モル比)の共重合体を幹ポリマーとし、−COO
H、−CHOHを各々0.1〜10重量%導入した水
分散性アクリルが、積層フィルムの易接着性、透明性に
おいて、特に好適である。
本発明における活性線とは、紫外線、電子線、放射線な
どアクリル系のビニル基を重合化させる電磁波を意味
し、実用的には、紫外線が便利である。電子線方式は、
装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが塗
布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくて
もよい点から有用である。
本発明における活性線架橋型アクリル系樹脂とは、活性
線重合成分としてアクリルオリゴマーと反応性希釈剤を
含み、その他に必要に応じて光開始剤、光増発剤、改質
剤を含有していてもよい。アクリルオリゴマーとは、ア
クリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたも
のを始めとしてポリエステルアクリル、ウレタンアクリ
ル、エポキシアクリル、ポタエーテルアクリルなどがあ
り、またメラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格
にアクリル基を結合したものなどがあげられるが、これ
らに限定されるものではない。反応性希釈剤とは、塗布
剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、
それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴ
マーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるもの
である。また、特に紫外線による架橋の場合には光エネ
ルギーが小さいため、光エネルギーの変換や開始の助長
のため光重合開始剤および増感剤が必要である。これら
のアクリルオリゴマー、反応性希釈剤、光重合開始剤、
増感剤、架橋装置などの具体例は、山下晋三、金子東助
編、「架橋剤ハンドブック」、大成社1981年刊行、
第267頁ないし第275頁、第562頁ないし第59
3頁を参考とすることができるが、これらに限定される
ものではない。市販品として多官能アクリル系紫外線硬
化塗料として三菱レイヨン社、藤倉化成社、大日精化工
業社、大日本インキ化学工業社、東亜合成化学工業社、
日東化成社などの製品を利用することができるがこれら
に限定されるものではない。表面硬化層の改質剤として
は、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機
系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子、染
料、顔料、安定剤などが挙げられ、これらは活性線によ
る反応を阻害しない範囲で塗布層の組成物として使用さ
れ、用途に応じて表面硬化層の特性を改良することがで
きる。
本発明におけるアクリル系樹脂層の厚さは、0.5μm
ないし30μmが好ましい。
本発明における塩素含有樹脂層Dとは、塩素を含有して
いればよいのであり特に限定されないが、代表的な樹脂
として軟質、硬質あるいは無可塑の塩化ビニル樹脂ある
いはメタクリル酸、アクリル酸あるいはそれらのエステ
ルあるいはアクリロニトリルなどを必要に応じて共重合
した塩化ビニリデン系樹脂を挙げることができる。その
中でも軟質塩化ビニル系樹脂あるいは塩化ビニリデン系
樹脂を用いている場合、本発明易接着層の接着性が優れ
ているため好ましい。塩化ビニリデン系樹脂はさらにガ
スや水蒸気の遮断性に優れ好ましい。
本発明における金属層Eは特に限定されないが、代表的
なものとして適当な液体ビヒクル中に微細金属粒子を懸
濁させた懸濁液からの付着により得られた金属層を、又
は好ましくは高真空条件下に保持したチャンバー内で樹
脂層B表面上に設けられた金属薄膜層−例えばパラジウ
ム、ニッケル、銅、銀、金、コバルト、亜鉛、スズなど
の金属あるいはそれらの合金、酸化物を、あるいはアル
ミ、鉄、銅、及び各種合金など公知の金属板を挙げるこ
とができる。ここで述べた金属板としては、予め防錆処
理、硬度化処理、接着促進処理、研磨など各種表面処理
を施したものを用いてもよいことは当然である。
本発明における感光性写真乳剤層Fとは、常用される感
光性ゼラチンハロゲン化銀乳剤のような感光性写真乳剤
層のことである。
本発明における活性線架橋型シリコーンとしては、紫外
線硬化性官能基としての不飽和基を含有するものとする
必要があり、この不飽和基としてはビニル基、アリル
基、プロペニル基、プチニル基などのα、β不飽和基を
有する炭素数2〜6の1価炭化水素基、シクロヘキセニ
ル基、アセチレン基、アクルロイル基、メタクリロイル
基、アリロキシアルキル基、メタクリロキシアルキル基
などが例示され、この種の不飽和基と反応する異種官能
基としてはHSi基、HS(CHSi基、H
−R−Si基などが例示される。また、このシリコーン
組成物には通常の紫外線照射工程に使用されるアセトフ
ェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイル
エーテル、ベンジルケメール、ベンジルミヒラケトンな
どの光開始剤、増感剤、また各種のカルボニル化合物、
アミン化合物などの促進剤を添加してもよく、さらには
チオキサントン、アゾ化合物、リン化合物、尿素、ニト
リル類が適宜添加されたものであってもよい。
次に、本発明の製造方法について説明する。まず、常法
によって重合されたポリエステルのペレットを十分乾燥
した後、公知の押出機に供給し、ペレットが溶融する温
度以上、ポリマが分解する温度以下の温度でスリット状
のダイからシート状に溶融押出し、冷却固化せしめて未
延伸シートを作る。この際、未延伸シートの固有粘度は
フィルム特性から0.5以上であることが望ましい。次
に、該未延伸シート或いは該未延伸シートを70〜14
0℃で2.0〜8.0倍延伸したフィルム上に、所定量
に調製した塗材を塗布し、塗膜を乾燥させつつ70〜1
60℃で、未延伸フィルムを用いる場合は、縦方向に
2.0〜8.0倍、横方向に2.0〜8.0倍同時延伸
を、又一軸延伸フィルムを用いる場合は2.0〜8.0
倍横延伸する。又、このようにして得られた二軸配向し
たフィルムを100〜180℃で更に一方向以上に1.
1〜3.0倍延伸してもよい。さらに、二軸配向フィル
ムは必要に応じて150〜240℃で0〜10%弛緩を
与えつつ1〜60秒熱処理する。
塗布方法は、特に限定されず押出ラミネート法、メルト
コーティング法を用いてもよいが、高速で薄膜コートす
ることが可能であるという理由から水溶化又は水分散化
させた塗材のグラビヤコート法、リバースコート法、キ
ッスコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法
など公知の方法を適用するのが好適である。この際、フ
ィルム上には塗布する前に必要に応じて空気中あるいは
その他種々の雰囲気中でのコロナ放電処理など公知の表
面処理を施すことによって、塗布性が良化するのみなら
ず改質層をより強固にフィルム表面上に形成できる。
尚、塗材濃度、塗膜乾燥条件は特に限定されるものでは
ないが、塗膜乾燥条件は積層ポリエステルフィルムの諸
特性に悪影響を及ぼさない範囲で行なうのが望ましい。
なお、本発明の特性値は、次の測定方法、評価基準によ
る。
(1)グラフト化率(%) グラフト化重合体を、13CNMR法、HNMR法、
INEPT法等の各種解析手法による分析結果にもとづ
いて次式より求めた。
(2)易接着性 ポリエステルフィルムに、樹脂層Bを設けた積層体上に
下記の塗材(i)〜(v)を用いた塗布層を形成させた
サンプルと該サンプルを85℃温水中で1時間放置した
サンプル各々について塗膜上にクロスカット(100ケ
/cm2)をいれ、該クロスカット面に対し45°にセロ
ハン粘着テープ(ニチバン(株)製登録商標“セロテー
プ”CT−24)を貼り、ハンドローラを用いて約5kg
に荷重をかけ、10回往復して圧着させ、セロテープを
手で引き剥がして塗布層の剥離度合を観察し評価した。
判定基準は、○:良好(剥離面積5%未満)、△:やや
劣る(剥離面積5%以上20%未満)、×:不良(剥離
面積20%以上)とした。
ただし温水処理したサンプルについては、塗膜に肉眼で
異常(白化あるいは水泡)が観察できる場合は、すべて
「×」として判定した。
(i)活性線架橋型アクリル: 大日本インキ化学工業(株)の“ユニディック”17−
806(商品名)に光重合開始剤を0.9部添加したも
のを使用する。但し塗膜厚みは3μmとして、活性線と
しては紫外線を用いた。即ち、80W/cmのランプを用
いて照射距離15cm、照射時間8秒で硬化させた。
(ii)活性線架橋型シリコーン: トーレシリコーン(株)の BX24−510H 100.0部 BY24−830ADD 0.5部 BY24−835ADD 1.2部 SD7200ADD 1.0部 なる塗料を(i)と同様の硬化条件で硬化させた。但し
塗布厚みは0.2μmとした。
(iii)塩素含有樹脂層: 厚さ200μmの軟質塩化ビニルシートを用いた。この
場合は、85℃、2時間の温水処理で塩化ビニル層(ポ
リエステルフィルム層)と易接着層の間に水が浸入、層
間が浮いた場合を「×」、それ以外を「○」として接着
性を判定した。
(iv)金属層: 厚さ15nmのアルミ蒸着層を用いた。この場合はクロス
カットは行なわなかった。
(v)感光性写真乳剤層: 塗布厚み20μmのゼラチンハロゲン化銀乳剤を用い
る。この場合は、写真乳剤層を標準写真化学薬品を用い
て処理した後、水中で15分間水洗し、該サンプルをス
ポンジで摩耗、写真乳剤層の剥離の有無で「○」「×」
を判定する。
本発明の積層体は、積層する層により用途は異なるが各
々以下の用途へ使用することが出来る。
(1)活性線架橋型アクリルの場合 メンブレンスイッチ、保護、遮光フィルム、ラベル、銘
板、カラーフィルター、防眩フィルター、プラスチック
鋼板積層材、筆記、消去用画面など (2)活性線架橋型シリコーンの場合 各積離型フィルム、リテナーシート、メンブレンスイッ
チ、保護、遮光フィルム、ラベル、銘板、フィルター、
筆記、消去用画面、リーダテープなど (3)塩素含有樹脂層の場合 農業用フィルム、テーブルクロス、セールクロス、各種
ガスあるいは水蒸気バリア性を要求される各種包装用フ
ィルムなど (4)金属層の場合 プラスチック鋼板積層材、金糸、銀糸、コンデンサー、
熱線遮断フィルム、遮光フィルム、銘板、ラベル、各種
フィルター、ガスあるいは水蒸気バリアフィルム、プリ
ンターリボンなど (5)感光性写真乳剤層の場合 写真用フィルム、各種複写用フィルム、各種フィルタ
ー、OHP用フィルムなど 〔実施例〕 本発明を以下の実施例、比較例を用いて説明するが、本
発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1 (1)グラフト共重合体樹脂の製造 テレフタル酸ジメチル100部、イソフタル酸ジメチル
100部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル
7部、エチレングリコール95部、ネオペンチルグリコ
ール95部、酢酸マンガン4水塩0.106部、酢酸カ
ルシウム2水塩0.07部を混合し、窒素気流下140
〜220℃でメタノールを留出せしめ、エステル交換反
応を行なった後、リン酸トリメチル0.09部、二酸化
アンチモン0.06部を加え、240℃から280℃ま
で1時間30分かけて昇温すると共に圧力を常圧から徐
々に0.5mmHgまで下げ、生成するエチレングリコール
を系外に除去し、さらに、40分間この状態を保ち重縮
合反応を行ない、ガラス転移温度60℃、固有粘度
[η]=0.58のポリエステル共重合体(d)を得
た。次に、このポリエステル共重合体250部とブチル
セルソルブ110部の混合体を150℃で4時間攪拌し
均一溶解液を得た。得られた溶液に、高速攪拌下で水4
80部を徐々に滴下し、均一で乳白色不透明な固形分濃
度25%の分散体を得た。
このようにして得られたポリエステル樹脂分散体700
部に水100部を加え、さらに、水30部、過酸化ベン
ゾイル1.5部、メタクリル酸メチル12部、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルリン酸エステル2.5部か
らなる重合開始剤の分散体を加え、混合体を攪拌下のも
とに1時間窒素ガスを通した後、75℃まで加温した。
次に、グラフト化合物としてメタクリル酸メチル、アク
リル酸ブチル及びグリシジルメタクリレートを2対1対
1で混合攪拌下の前記調合液に85℃で60分間かけて
滴下した後、窒素気流下、重合温度、時間を種々変更し
て反応を行ない、固形分濃度25%の水分散グラフト共
重合体(f)を得た。尚、グラフト化合物のグラフト率
は40%であった。但し、比較例1は、アクリル系化合
物のみを重合し、樹脂(e)を得た後ポリエステル系樹
脂(d)と混合した。
(2)積層ポリエステルフィルムの製造 常法によって製造されたポリエチレンテレフタレートの
ホモポリマーチップ(固有粘度=0.62、融点:25
9℃)を180℃で2時間減圧乾燥(3mmHg)した。こ
のチップを280℃で圧縮比3.8のスクリューを有し
た押出機に供給しT型口金から溶融押出し、静電印加法
を用いて表面温度20℃の冷却ドラムの巻きつけて冷却
固化せしめ、未延伸フィルムとした後、得られたフィル
ムを90℃でロール延伸によって縦方向に3.3倍延伸
した。次に、前記した重合体に水を加えて希釈し、架橋
結合剤(g)としてメラミン系架橋剤“ニカラック”M
W−12LF((株)三和ケミカル製)を樹脂固形分1
00重量部に対して添加し(添加量は表中に示した)、
さらに、滑剤として平均粒子径0.10μmのシリカゾ
ル“キャタロイド”(触媒化成工業(株)製)を樹脂固
形分100重量部に対して0.5重量部添加し、最終調
整濃度を5.0重量%とした塗材を、上記一軸延伸フィ
ルムの片面にメタリングバー方式で塗布した後、該塗布
層を乾燥しつつ100℃で横方向に3.6倍延伸し、横
方向に2%弛緩しつつ210℃で5秒間熱処理して、改
質層0.12μmが積層された厚さ50μmの積層フィ
ルムを得た。かくして得られた積層フィルムの特性は第
1表に示した。
実施例2 グラフト率を40%に代えて100%とした以外は実施
例1と同様に実施した。結果を第1表に示す。
実施例3 グラフト率を40%に代えて200%とした以外は実施
例1と同様に実施した。結果を第1表に記す。
実施例4 架橋剤添加量を5部より10部とした以外は実施例1と
同様に実施した。結果を第1表に記す。
比較例1 アクリル系化合物のみを重合し樹脂(e)を得た後、ポ
リエステル系樹脂(d)を混合し、グラフト率を0%と
した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を第1表
に記す。
比較例2 グラフト率を40%より1000%に代えた以外は実施
例1と同様にして実施した。結果を第1表に記す。
比較例3 架橋剤添加量を0部より5部にした以外は実施例1と同
様に実施した。結果を第1表に記す。
実施例5 架橋剤種類をエポキシ系架橋剤“ディナコール”EX−
314(ナガセ化成(株)製)とした以外は実施例1と
同様に実施した。結果を第1表に記す。
実施例6 架橋剤種類をブロックイソシアネート架橋剤“プロミネ
ート”910(武田薬品工業(株)製)とした以外は実
施例1と同様に実施した。結果を第1表に記す。
実施例7 グラフト時に使用するアクリル系化合物として、メタク
リル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタリルスルホン酸
ナトリウムを2対1対1で混合したものを使用する以外
は実施例1と同様にして実施した。結果を第1表に記
す。
表にみる如く、本発明範囲にある場合のみ優れた特性を
示す。
〔発明の効果] 本発明の積層体は、層として、特定のグラフト共重合体
と架橋結合剤よりなる組成物層を中間層として設けてい
るので、基材層としてのポリエステルフィルムと活性線
架橋型アクリル系樹脂層、活性線架橋型シリコーン樹脂
層、塩素含有樹脂層、金属層、又は感光性写真乳剤層が
強固に接着し、特に湿潤状態でも接着力が低下すること
がない。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルフィルムAと、該ポリエステ
    ルフィルムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であ
    って親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合を有する
    化合物をグラフト化させた共重合体及び架橋結合剤を主
    成分とし該共重合体のグラフト化率が0.5〜600%
    である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面に設けられた活性
    線架橋型アクリル系樹脂層Cとからなることを特徴とす
    る積層体。
  2. 【請求項2】ポリエステルフィルムAと、該ポリエステ
    ルフィルムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であ
    って親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合を有する
    化合物をグラフト化させた共重合体及び架橋結合剤を主
    成分とし該共重合体のグラフト化率が0.5〜600%
    である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面に設けられた塩素
    含有樹脂層Dとからなることを特徴とする積層体。
  3. 【請求項3】ポリエステルフィルムAと、該ポリエステ
    ルフィルムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であ
    って親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合を有する
    化合物をグラフト化させた共重合体及び架橋結合剤を主
    成分とし該共重合体のグラフト化率が0.5〜600%
    である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面に設けられた金属
    層Eとからなることを特徴とする積層体。
  4. 【請求項4】ポリエステルフィルムAと、該ポリエステ
    ルフィムルAの少なくとも片面に積層された樹脂層であ
    って親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合を有する
    化合物をグラフト化させた共重合体及び架橋結合剤を主
    成分とし該共重合体のグラフト化率が0.5〜600%
    である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面に設けられた感光
    性写真乳剤層Fとからなることを特徴とする積層体。
  5. 【請求項5】ポリエステルフィルムAと、該ポリエステ
    ルフィルムAの少なくとも片面に積層された樹脂層であ
    って親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合を有する
    化合物をグラフト化させた共重合体及び架橋結合剤を主
    成分とし該共重合体のグラフト化率が0.5〜600%
    である樹脂層Bと、該樹脂層Bの表面に設けられた活性
    線又は熱架橋型シリコーン樹脂層Gとからなることを特
    徴とする積層体。
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