JP2022086747A - 抗ウイルス性粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス性付与において、作業の煩雑さを軽減し、作業時間を短縮し、有機溶剤による環境衛生や防火の懸念が無く、かつ再施工も容易な抗ウイルス性付与手段を提供する。【解決手段】 本発明の抗ウイルス性粘着シートは、抗ウイルス剤含有層の一方の側の面に吸盤粘着剤層を積層して成り、吸盤粘着剤層は、1液硬化型アクリル系樹脂からなり、塗布量は13g/m2以上70g/m2以下である。【選択図】 図1

Description

本開示は、抗ウイルス性粘着シートに関する。
従来、衛生面の観点から、建築物の壁、床、天井等の内装材料、机等の家具、扉等の建具、車両の内装材料、OA機器及びタッチパネル等の人が手で触れる物の表面に抗ウイルス性を付与することが試みられていた。
特許文献1には、抗ウイルス性を付与すべき対象物に銅系の抗ウイルス剤を含有する組成物を直接塗布して、抗ウイルス性を付与することが開示されている。
また、特許文献2には、建築物内装材料、家具、建具等の表面化粧用に使用される各種の化粧シート表面に銀系又は亜鉛系の抗ウイルス剤を含有する組成物の塗膜を形成して表面に予め抗ウイルス性を付与した抗ウイルス性化粧シートが開示されており、かかる抗ウイルス性化粧シートを、抗ウイルス性を付与すべき対象物あるいはその基材上に、澱粉糊、2液硬化ウレタン樹脂等の接着剤層を介して接着、積層することも行われていた。
特許第6145758号公報 特許第6229429号公報
しかし、特許文献1開示のごとき、建築物内装等の抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス剤の直接塗布は、施工現場において、塗布不要部のマスキング(塗料付着防止)等の下準備、塗料の塗工、乾燥、後片付け等の手間が多く施工時間も長い、塗装業者(職人)の技量いかんで仕上がり外観や抗ウイルス性能にバラツキを生じる、塗料の溶剤が有機溶剤の場合には、健康衛生、火災防止等の対策が必要等の煩雜さもある。かつ、塗布作業の結果に不良、失敗、不具合等が有った場合、再度の塗布作業のやり直しは、塗料の剥離除去が必要になり、非常に手間、費用、及び時間を要し、困難である。
また、特許文献2開示のごとき、抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス性化粧シートの接着剤を介した接着、積層の場合は、工場で品質管理して化粧シートが製造されるために抗ウイルス性能が一定水準に安定するという利点はある。しかしその一方で、直接塗工の場合と同様に、施工現場において、接着剤の配合や調整、マスキング等の下準備、接着剤の塗工、接着時間待ち、後片付け等の手間が多く施工時間も長い、接着施工業者(職人)の技量いかんで仕上がり外観や経時の接着性能にバラツキを生じる、接着剤の溶剤が有機溶剤の場合には、健康衛生、火災防止等の対策が必要等の煩雜さがある。かつ、接着積層作業の結果に不良、失敗、不具合等が有った場合、再度の接着作業のやり直しは、接着化粧シートの剥離除去が必要になり、非常に手間、費用、及び時間を要し、困難である。
更に、抗ウイルス剤の直接塗布及び抗ウイルス性化粧シートの接着、積層のいずれの形態においても共通する課題として、施工現場での煩雜な作業や作業時間の長さ及び施工のやり直しの難度の高さのために、素人による施工、いわゆる「DIY」施工が困難な事が有る。
本開示は、抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス性付与において、作業の煩雑さを軽減し、作業時間を短縮し、有機溶剤による環境衛生や防火の懸念が無く、かつ再施工も容易な抗ウイルス性付与手段の提供を課題とするものである。
上記課題を解決すべく、本開示は、抗ウイルス剤含有層の一方の側の面に、粘着剤層を積層して成る、抗ウイルス性粘着シートを提供する。
上記抗ウイルス性粘着シートにおいて、吸盤粘着剤層は、1液硬化型アクリル系樹脂からなるものであってもよい。
上記抗ウイルス性粘着シートにおいて、吸盤粘着剤層の塗布量が13g/m2以上70g/m2以下であってもよい。
上記抗ウイルス性粘着シートにおいて、吸盤粘着剤層は両面に複数の凹形状を有し、一方の面に開口する凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、吸盤粘着剤層の他方の面に開口する凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
の関係を満たすものであってもよい。
本開示によれば、抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス性付与において、作業の煩雑さを軽減し、作業時間を短縮し、有機溶剤による環境衛生や防火の懸念が無く、かつ再施工も容易な抗ウイルス性付与手段の提供することができる。
本開示の抗ウイルス性粘着シートの一実施形態を示す断面図。 本開示の抗ウイルス性粘着シートのその他の実施形態を示す断面図。 本開示の抗ウイルス性粘着シートのその他の実施形態を示す断面図。
〔抗ウイルス性粘着シート〕
本実施形態の抗ウイルス性粘着シート100は、抗ウイルス剤を含有する層及び吸盤粘着剤層50を有してなるものである。
以下、「抗ウイルス剤を含有する層」のことを「抗ウイルス剤含有層」と呼称する場合がある。また、抗ウイルス剤含有層が1層(単層)の抗ウイルス剤含有層に対して、更に基材、接着剤層、装飾層等の抗ウイルス剤を不含有の他層を積層した積層体で構成されている場合(図2及び図3に代表される形態)も存在する。かかる積層体構成の抗ウイルス剤含有層の中で抗ウイルス剤を含有する層の部分を、以下、特に、「抗ウイルス剤含有層単層」或いは「抗ウイルス剤含有層単層部分」等とも呼称する。
本実施形態の抗ウイルス性粘着シート100が、抗ウイルス性の発現と同時に、抗菌性及び抗カビ性も同時に発現する場合は、抗菌性粘着シート及び抗カビ性粘着シートとして使用することも可能である。
一般的に、同一の材料及び層構成の物品であっても、その発現する「抗ウイルス性」、「抗菌性」、「抗カビ性」との相関関係は、対象とするウイルス、細菌、カビの種類;環境条件;要求する抗ウイルス性、抗菌性、抗カビ性の水準;等に応じて、有効な場合もあれば無効な場合もある。このため、本実施形態の抗ウイルス性粘着シートは、細菌の種類、環境条件、及び要求する抗菌性の水準に応じて、抗ウイルスの用途のみならず、抗菌の用途にも適用することができる場合もある。なお、カビは菌類の一種であるため、本実施形態の抗ウイルス性粘着シートは、同様に、カビの種類、環境条件、及び要求する抗カビ性の水準に応じて、抗カビの用途にも適用することができる場合もある。
図1(a)は、本開示の抗ウイルス性粘着シート100を構成する吸盤粘着剤層50を具備する抗ウイルス剤含有層10代表的な実施の形態を示す断面図である。
尚、図1(a)~図1(c)の抗ウイルス性粘着シート100は、通常は、XY平面が人に正対するような向きで用いる。
図1(a)の抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を抗ウイルス剤含有層10の面内方向及び厚み方向の全体にわたって含んでいる。図1(b)の抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を、その面内方向(同図のXY平面内の各方向)において、抗ウイルス剤含有層10の表面側(図の上側)近傍に含んでいる。図1(c)の抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を、抗ウイルス剤含有層10の表面側(図の上側)の面内方向において一部の領域に含んでいる。
図1(a)~(c)に示すように、抗ウイルス剤含有層10内において、抗ウイルス剤12の存在箇所は特に限定されない。但し、抗ウイルス性を高める観点からは、抗ウイルス剤12を、抗ウイルス剤含有層10が露出してなる表面近傍の少なくとも一部の領域に有してなることが好ましい。
本明細書において、抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面とは、抗ウイルス剤含有層の平面方向が露出している表面のことをいう。抗ウイルス剤含有層の平面方向とは、図1~3でいうXY方向である。
また、本明細書において、抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面近傍とは、抗ウイルス剤が露出してなる表面から厚み方向に抗ウイルス剤が含有されている範囲の領域を意味する。
即ち、抗ウイルス剤12として後述の放射性化合物(抗ウイルス剤6)を用いる場合においては、抗ウイルス剤含有層10の表面に抗ウイルス剤12が不在で層内部にのみ抗ウイルス剤12が存在する形態でも抗ウイルス性を発現し得る。但し、それ以外の抗ウイルス剤12を使用する形態においては、抗ウイルス剤含有層10の中で確実に抗ウイルス性を発現する部分は抗ウイルス剤12が抗ウイルス剤含有層10から外部に露出した部分である。従って、最低限、抗ウイルス剤12の粒子、原子(イオン化したものを含む)、ないしは分子からなる最小単位が抗ウイルス剤含有層10の表面に1層以上存在すれば足りる。例えば、抗ウイルス剤が原子又は分子を最小単位とする場合は、単原子層又は単分子層が存在すれば足り、抗ウイルス剤が原子又は分子が複数個集合した粒子を最小単位とする場合は、単粒子層のみ存在すれば足りる。
但し、現実には、抗ウイルス剤12を単原子層、単分子層、又は単粒子層として抗ウイルス剤含有層10に形成する場合は、製造技術上の難度に加え、摩擦等の外力で抗ウイルス剤12が容易に脱落、消失して抗ウイルス機能を喪失し易い。また、抗ウイルス剤とバインダー樹脂との隙間等から抗ウイルス剤含有層10内部に侵入するウイルスも有り得る。
更に、抗ウイルス剤12が、経時的に、抗ウイルス剤含有層10の内部から表面に向って移行(bleed)する性質を有する場合もある。かかる場合には、抗ウイルス剤12の原子、分子、又は粒子を抗ウイルス剤含有層10表面上に2層以上で構成するか、あるいは抗ウイルス剤12を抗ウイルス剤含有層10の表面から当該層10内部にわたって分布して含有させてかつ該抗ウイルス剤12の一部を抗ウイルス剤含有層10の表面から露出させ、該層10表面層上に露出した抗ウイルス剤12が抗ウイルス性を発現すると共に、抗ウイルス剤含有層10の表面から経時的に脱落又は消失した抗ウイルス剤を、抗ウイルス剤含有層10表面上に積層された直下の抗ウイルス剤層から、または抗ウイルス剤含有層10の内部から移行した抗ウイルス剤12が、抗ウイルス剤含有層10の表面から露出するかあるいは抗ウイルス剤含有層10表面上に層形成した形で補完することにより、抗ウイルス機能の経時的低下を抑制することが期待できる。
したがって、現実的には、多くの場合、抗ウイルス剤含有層10表面から所定厚みの深さにわたって抗ウイルス剤12の原子、分子、又は粒子が分布して含有し、かつ該抗ウイルス剤12の一部が抗ウイルス剤含有層10の表面から露出させるかあるいは層形成するよう構成される。かかる抗ウイルス剤含有層10の表面から所定厚みの深さにわたり抗ウイルス剤12の原子等が分布して含有する領域を「抗ウイルス剤含有層10が露出してなる表面近傍」という。
したがって、かかる「表面近傍」の厚み範囲は、使用する抗ウイルス剤12の種類、抗ウイルス性粘着シート100における抗ウイルス剤含有層10の形成方法ないし製造方法、抗ウイルス性粘着シートの用途、抗ウイルス剤含有層10の摩擦等に対する耐久性等に応じて適宜設計すれば良い。代表的な抗ウイルス剤含有層10の表面近傍の厚みとしては、例えば、1μm以上5000μm以下(但し、抗ウイルス剤含有層10厚みは超えない)の範囲が好ましく、通常の用途、要求耐久性、及び抗ウイルス剤含有層の形成ないし製造方法の場合には、3μm以上100μm以下がより好ましい。
図1(a)~(c)のような、抗ウイルス剤含有層10が単層からなる抗ウイルス性粘着シート100は、例えば、下記(A1)及び(A2)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、成形時の熱等の作用の影響を受けにくくし、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(A2)の手法が好ましい。
(A1)バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を、溶融押し出し又は射出成形等で成形する。
(A2)離型性を有する基材上に抗ウイルス剤含有層10を形成してなる積層体を作製した後、当該積層体から離型性を有する基材を剥離する。
図2(a)、(b)の抗ウイルス性粘着シート100においては、抗ウイルス剤含有層10´は、基材20上に、抗ウイルス剤含有層10単層を有してなる積層体形態のものである。
図2(a)の抗ウイルス剤含有層10´は、基材20の一方の側の全面に抗ウイルス剤含有層10単層を有している。図2(b)の抗ウイルス剤含有層10´は、基材20の一方の側(同図におけるZ軸方向+側)の一部の領域に抗ウイルス剤含有層10単層を有している。
図2(a)、(b)に示すように、抗ウイルス剤含有層10´を構成する抗ウイルス剤含有層10単層は、基材20上の全面に形成されていてもよいし、基材20上の一部に形成されていてもよい。
図2(a)、(b)のような、基材20及び抗ウイルス剤含有層10単層を有する抗ウイルス剤含有層10´は、例えば、下記(B1)~(B4)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、抗ウイルス剤含有層10積層時の熱の影響を受けにくくし、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(B1)又は(B4)の手法が好ましい。
(B1)基材20上に、バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を塗布し、抗ウイルス剤含有層10を塗膜として形成するか、或いは同組成物を製膜したシートを、必要に応じて間に接着剤層を介して、積層(貼り合わせ)する。
(B2)基材20上に、バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を溶融押し出しし、抗ウイルス剤含有層10を形成する。
(B3)基材20と、抗ウイルス剤含有層10とを加熱して溶着する。
(B4)離型性を有する基材上に抗ウイルス剤含有層10を形成してなる積層体を作製する。前記積層体の抗ウイルス剤含有層10側の面と、基材20とを密着した後、前記離型性を有する基材を剥離する。
図2(a)、(b)のような、基材20及び抗ウイルス剤含有層10を有する抗ウイルス性粘着シート100における抗ウイルス剤含有層10´は、基材20と抗ウイルス剤含有層10単層との間に、接着剤層30、第2基材40等のその他の層を有していてもよい。
図3(a)の抗ウイルス剤含有層10´´は、基材20と抗ウイルス剤含有層10単層との間に接着剤層30を有している。また、図3(b)の抗ウイルス剤含有層10´´は、基材20と抗ウイルス剤含有層10単層との間に第2基材40を有している。また、図3(c)の抗ウイルス剤含有層10´´は、基材20と抗ウイルス剤含有層10単層との間に、接着剤層30及び第2基材40を有している。
図3(a)~(c)のような抗ウイルス性粘着シート100における抗ウイルス剤含有層10´´は、例えば、下記(C1)~(C5)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(C1)、(C2)又は(C5)の手法が好ましい。
(C1)抗ウイルス剤含有層10単層と、基材20とを接着剤層30を介して貼り合わせる。
(C2)第2基材40上に抗ウイルス剤含有層10単層を有する積層体の第2基材40側の面と、基材20とを接着剤層30を介して貼り合わせる。
(C3)第2基材40上に抗ウイルス剤含有層10単層を有する積層体の第2基材40側の面と、基材20とを加熱して溶着する。
(C4)第2基材40上に抗ウイルス剤含有層10単層を有する積層体を型に配置する。前記型内に基材20を構成する加熱溶融又は溶剤に溶解することで流動状態とした樹脂を流し込み、冷却又は溶剤乾燥により流動状態の樹脂を固化させて型の形状に樹脂を成形し基材20とすることにより、前記抗ウイルス剤含有層10単層と前記積層体の第2基材40側に基材20を積層形成する。
(C5)離型性を有する基材上に抗ウイルス剤含有層10単層及び接着剤層30を有する積層体、即ち転写シートを作製する。前記積層体の接着剤層30側の面と、基材20とを密着した後、前記離型性を有する基材を剥離する。
即ち、抗ウイルス性粘着シート100における抗ウイルス剤含有層の層構成の具体例としては、例えば、下記(1)~(4)が挙げられる。なお、抗ウイルス性粘着シート100は、下記(1)~(4)に例示されていないその他の層を有していてもよい。その他の層としては、密着性を向上するためのプライマー層、意匠性を向上するための絵柄インキ層及び金属薄膜等からなる装飾層等が挙げられる。
(1)例えば、図1のごとき、抗ウイルス剤含有層10の単層構成。
(2)例えば、図2のごとき、基材20上に、抗ウイルス剤含有層10単層を有する構成。
(3)例えば、図3(a)のごとき、基材上に、接着剤層及び抗ウイルス剤含有層1単層を有する構成。
(4)例えば、図3(c)のごとき、基材20上に、接着剤層30、第2基材40及び抗ウイルス剤含有層10単層を有する構成。
<抗ウイルス剤を含有する層(抗ウイルス剤含有層とも称する)>
抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を含むことを要する。抗ウイルス剤含有層は、抗ウイルス剤及びバインダー樹脂を含むことが好ましい。
《抗ウイルス剤》
抗ウイルス剤12としては、代表的なものとして、「担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」、「イミダゾール化合物の粒子」、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子」、「銅系抗ウイルス剤」、「亜鉛系抗ウイルス剤」、「放射性化合物」が挙げられる。
以下、「担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤1」、「イミダゾール化合物の粒子」のことを「抗ウイルス剤2」、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子」のことを「抗ウイルス剤3」、「銅系抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤4」、「亜鉛系抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤5」、「放射性化合物」のことを「抗ウイルス剤6」と称する場合がある。
抗ウイルス性を高める観点からは、抗ウイルス剤を、抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面近傍の少なくとも一部の領域に有することが好ましい。抗ウイルス剤の含有量を多くしたり、抗ウイルス剤とバインダー樹脂との比重を調整したりすることにより、前記の構成を満たしやすくできる。
なお、抗ウイルス剤含有層内に抗ウイルス剤が埋没していても、下記の作用により抗ウイルス性を発現させることができる。
例えば、銀イオン等の抗ウイルス性を有する、原子ないしイオン、化合物分子等が抗ウイルス剤から遊離する、あるいは抗ウイルス剤自体が抗ウイルス剤含有層10内部から表面に移行(bleed)するなどして、抗ウイルス剤含有層の表面及び表面近傍に抗ウイルス性を有する物質が存在するようになることにより、抗ウイルス性を発現させることができる。また、抗ウイルス剤が放射性化合物の場合、抗ウイルス剤含有層の表面にα線、β線等のウイルス殺傷性の放射線が輻射されることにより、抗ウイルス性を発現させることができる。
あるいは、ウイルスが抗ウイルス剤12とバインダー樹脂11界面の隙間、抗ウイルス剤含有層10自体の亀裂、多孔質構造等の微細な空隙部を経由して、抗ウイルス剤含有層10の表面から表面近傍の内部に浸透(ないし侵入)して、抗ウイルス剤含有層10内部の抗ウイルス剤12と接触する場合が有り得る。かかる場合には、抗ウイルス剤含有層10内部の抗ウイルス剤12が十分な抗ウイルス性を発現し得る。
―抗ウイルス剤1―
抗ウイルス剤1は、担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤である。
抗ウイルス剤1の金属イオンは、銀及び亜鉛の何れかが好ましく、変色抑制および低コスト化のために、銀及び亜鉛の両方を含むことがより好ましい。
銀は亜鉛よりも抗ウイルス性に優れるが、コストが高く、酸化により変色しやすい。亜鉛は銀の酸化による変色を抑制できる。このため、銀及び亜鉛の両方を含むことにより、変色を抑制するとともに、低コスト化できる。
抗ウイルス剤1の担体としては、ゼオライト、アパタイト、硝子、モリブデン、リン酸ジルコニウム及びリン酸チタン等の無機化合物が好ましく、中でも多孔性の無機化合物が好ましい。
ゼオライトは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩であり、天然ゼオライト及び合成ゼオライトの何れも用いることができる。また、ゼオライトは、結晶構造により、A型、フォージャサイト型(X型、Y型)、モルデナイト型、クリノプチロライト型などに分類され、何れも用いることができる。
アパタイトは、下記一般式で示される組成を有する鉱物の総称である。
10(ZO432
上記式において,Mは、Ca、Ba、Mg、Na、K、Fe及びAl等を示し,Zは、P、S、Si及びAs等を示し、Xは、F、Cl、O及びOH等を示す。上記式に該当する代表例としては,フッ素アパタイト「Ca10(PO462」、水酸アパタイト「Ca10(PO46(OH)2」が挙げられる。
硝子は、ソーダ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子、アルミノ珪酸硝子、硼酸硝子及び燐酸硝子等が挙げられる。
担体に金属イオンを担持あるいは含有させる方法としては、抗ウイルス剤含有層の形態及び加工条件、要求される抗ウイルス性のレベル等を勘案した上で、公知の手法を適宜選択すればよい。ここで、「金属イオンを含有」とは金属イオン又は金属イオンを生成可能な物質を何らかの形態で担体中に保持することを意味する。また、「金属イオンを生成可能な物質」とは、例えば、水等に溶解することにより金属イオンを生成する物質のように、外的要因ないしは経時的要因等により金属イオンを生成する物質を意味する。
具体的な担持あるいは含有形態としては、物理吸着又は化学吸着により担持させる方法;イオン交換反応により担持させる方法;結合剤により担持させる方法;銀化合物を担体に打ち込むことにより含有させる方法;蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により担体の表面に銀化合物の薄層を形成させることにより担持あるいは含有させる方法;硝子等の単体及び金属を高温で溶かし、混練する方法;等が挙げられる。
抗ウイルス剤1は粒子形状であることが好ましい。
抗ウイルス剤1の粒子の形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はない。
抗ウイルス剤1の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.5~5.0μmがより好ましく、1.0~4.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、抗ウイルス剤1を含むインキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくでき、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤1の平均粒子径をD1、抗ウイルス剤含有層の厚みをTと定義した際に、D1/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
D1/Tを1.0以下とすることにより、耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくでき、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
本明細書において、平均粒子径は、レーザ光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものを意味する。
抗ウイルス剤1中における金属イオンの量は、担体100質量部に対して0.1~30.0質量部であることが好ましく、0.5~25.0質量部であることがより好ましく、1.0~20.0質量部であることがさらに好ましい。ここで、「金属イオンの量」とは、担持されている金属イオン及び含有されている金属イオンの両方を意味する。
金属イオンの量を0.1質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。また、金属イオンの量を30.0質量部以下とすることにより、光による変色を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤1の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.1~50.0質量部であることが好ましく、0.5~17.0質量部であることがより好ましく、1.0~15.0質量部であることがさらに好ましい。
抗ウイルス剤1の含有量を0.1質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤1の含有量を50.0質量部以下とすることにより、光による変色を抑制しやすくできる。また、抗ウイルス剤1の含有量を50.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤1の含有量を50.0質量部以下とすることにより耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすく、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
尚、バインダー樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物である場合、抗ウイルス剤1の含有量は、上記範囲において多めに設定することが好ましい。
―抗ウイルス剤2―
抗ウイルス剤2は、イミダゾール化合物の粒子である。
通常、イミダゾール系化合物は、イミダゾール系化合物を含むインキ中で溶解させる。この理由は、任意の層内に均一にイミダゾール系化合物を拡散させて、イミダゾール系化合物の効果を層全体で発揮させるためである。よって、通常のイミダゾール系化合物の用い方では、イミダゾール系化合物は抗ウイルス剤含有層内で粒子の状態では存在しない。すなわち、本実施形態では、イミダゾール系化合物が粒子の状態を維持している点を特徴としている。
イミダゾール系化合物は、イミダゾール骨格を分子の構成単位に含む化合物である。本実施形態では、各種のイミダゾール系化合物において、抗ウイルス剤含有層内で粒子の形態を維持するものを用いることができる。このようなイミダゾール系化合物としては、水及び有機溶媒に溶解しにくいものが好ましく、例えば、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物が挙げられる。
なお、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物であっても、溶媒によっては溶解する場合があるので注意が必要である。例えば、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジム)に対しては、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を用いることが好ましい。
抗ウイルス剤2の形状は特に制限されず、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられる。
抗ウイルス剤2の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.2~8.0μmがより好ましく、0.3~7.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、抗ウイルス剤2を含むインキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤2の平均粒子径をD2、抗ウイルス剤含有層の厚みをTと定義した際に、D2/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
D2/Tを1.0以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
D2/Tの下限は特に制限されないが、通常は0.01以上であり、好ましくは0.05以上である。
抗ウイルス剤2の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.5~20.0質量部であることが好ましく、1.0~13.0質量部であることがより好ましく、3.0~10.0質量部であることがさらに好ましい。
抗ウイルス剤2の含有量を0.5質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤2の含有量を20.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤2の含有量を20.0質量部以下とすることにより、耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくできる。
―抗ウイルス剤3―
抗ウイルス剤3は、スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子である。
本明細書において、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子」は、「スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有する粒子」であってもよいし、「スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子との混合粒子」であってもよく、これらの組み合わせでもよい。
抗ウイルス剤3は、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有する。スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物の構成成分は、スチレン、スルホン酸ナトリウム、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましく、スチレン及びスルホン酸ナトリウムの少なくとも一種の構造、並びに、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造の両方を有することがより好ましい。
抗ウイルス剤3におけるスチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との含有割合は限定されないが、質量比が30:70~70:30であることが好ましく、40:60~60:40であることがより好ましい。
抗ウイルス剤3が、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子(粒子A)と、不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子(粒子B)との混合粒子である場合には、粒子Aと粒子Bの質量比を30:70~70:30とすることが好ましく、40:60~60:40とすることがより好ましい。
抗ウイルス剤3が抗ウイルス性を発揮する理由は、下記に推測されるメカニズムに拘束される訳ではないが、下記のように考えられる。
インフルエンザウイルスは、宿主細胞表面の糖鎖受容体(糖鎖末端はノイラミン酸)に結合して宿主細胞内に侵入するところ、スチレンスルホン酸塩を含む共重合体はノイラミン酸と類似したイオン基を有するため、宿主細胞の代わりにウイルスと結合してウイルスを捕捉することで、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合するのを防止して抗ウイルス効果を発揮すると考えられる。また、不飽和カルボン酸誘導体化合物は、水分と接触することにより水酸基(OH-)を生じさせて水酸基が抗ウイルス性の作用を及ぼすものと考えられる。
抗ウイルス剤3の形状は特に制限されず、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられる。
抗ウイルス剤3の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.2~8.0μmがより好ましく、0.5~7.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、抗ウイルス剤3を含むインキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤3の平均粒子径をD3、抗ウイルス剤含有層の厚みをTと定義した際に、D3/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
D3/Tを1.0以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
D3/Tの下限は特に制限されないが、通常は0.01以上であり、好ましくは0.05以上である。
抗ウイルス剤3の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.5~20.0質量部であることが好ましく、0.5~19.0質量部であることがより好ましく、1.0~17.0質量部であることがさらに好ましく、1.5~15.0質量部であることがよりさらに好ましい。
抗ウイルス剤3の含有量を0.5質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤3の含有量を20.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤3の含有量を20.0質量部以下とすることにより、耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくできる。
―抗ウイルス剤4、5―
抗ウイルス剤4は銅系抗ウイルス剤であり、抗ウイルス剤5は亜鉛系抗ウイルス剤である。
銅系抗ウイルス剤としては、例えば、特許第6145758号公報に記載されている亜酸化銅粒子、WO2010/026730号公報に記載されているヨウ化銅粒子等が挙げられる。
亜鉛系抗ウイルス剤としては、例えば、特許第6229429号公報に記載されている亜鉛系無機添加剤が挙げられる。
―抗ウイルス剤6―
抗ウイルス剤6は放射性化合物である。
放射性化合物としては、放射線による健康への悪影響を防ぐため、空気中又は真空中における飛距離及び各種物質中の透過性が比較的小さいα線、β線の何れか一方又は両方を輻射する放射性化合物が好ましい。また、放射性化合物は、ウイルスを殺傷するに足りる必要十分なエネルギー(量子)のα線又は/及びβ線を輻射し、γ線等の物質透過性の大きな放射線の輻射量が少ないことが好ましい。
α線を輻射する放射性化合物としては、241Am、243Am、226Ra、232Th等が挙げられる。β線を輻射する放射性化合物としては、147Pm、210Po、90Sr、90Y等が挙げられる。
《バインダー樹脂》
バインダー樹脂11としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。熱可塑性樹脂と、硬化性樹脂組成物の硬化物とは混合してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、各種オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合等の塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース、セロファン、セルロイド等のセルロース系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン-酢酸ビニル共重合;エチレン-ビニルアルコール共重合;ポリカーボネート樹脂;ウレタン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリイミド樹脂;等が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂が好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、中でも耐擦傷性及び生産効率の観点から電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じて硬化剤及び硬化触媒等が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が代表的なものとして挙げられ、これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少ない、着色がしにくいなどの観点から、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。また、抗ウイルス剤含有層が後述する紫外線吸収剤を含有する場合、電子線硬化性樹脂組成物の方が抗ウイルス剤含有層の架橋密度を高くしやすく、耐擦傷性及び耐汚染性を良好にしやすい点でも好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線硬化性官能基としては、エポキシ基及びオキセタニル基も挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性化合物は、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー(「重合性プレポリマー」と呼称されることもある)の中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
《添加剤》
抗ウイルス剤含有層は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、マット剤及び着色剤等の添加剤を含有していてもよい。
《厚み》
抗ウイルス剤含有層10単層部分の厚みは、加工特性及び耐擦傷性のバランスの観点から、例えば、1.0μm以上10,000μm(1cm)以下とすることができる。
抗ウイルス性粘着シート100を抗ウイルス剤含有層の単層から構成する場合、抗ウイルス剤含有層の厚みは厚めにすることが好ましい。単層の場合、抗ウイルス剤含有層の厚みは、1.0μm以上10,000μm以下が好ましく、10μm以上5,000μm以下がより好ましい。
一方、抗ウイルス剤含有層が、基材を有する形態の場合は、自己支持性及び外力への耐久性は基材が担うこと、抗ウイルス性はある程度以上の厚みがあればその効果は飽和すること、及び抗ウイルス剤含有層単層部分の厚みが厚くなるに伴って加工適性が低下すること等を勘案すると、抗ウイルス剤含有層単層部分の厚みは薄膜とすることが好ましい。基材を有する形態の場合、抗ウイルス剤含有層単層の厚みは、加工特性及び耐擦傷性のバランスの観点から、1.5μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下がさらに好ましい。
抗ウイルス剤含有層は、取り扱い性の観点から、基材上に抗ウイルス剤含有層単層を有する構成が好ましい。また、基材上に抗ウイルス剤含有層単層を有する抗ウイルス剤含有層は、さらに、接着剤層、装飾層等の他の層を有していてもよい。
<吸盤粘着剤層>
抗ウイルス剤含有層10、10´、及び10´´の一方の側の面であると共に、当該抗ウイルス性粘着シート100をその被着体表面に接着して以降に最表面に露出する側の反対側の面上に、吸盤粘着剤層50を積層してなる。即ち、吸盤粘着剤層50を仲介して抗ウイルス性粘着シート100を被着体表面に接着する。
かかる吸盤粘着剤層50は、通常の接着剤とは異なり、単に接触し加圧することにより瞬時に接着力が発現する為、接着力発現のために時間経過、乾燥等の処理、加熱や電離放射線照射等のエネルギー供給等は不要である。そのため、抗ウイルス性粘着シート100をその被着体表面に、容易に接着でき、その表面に抗ウイルス性を付与することが可能となる。また、吸盤粘着剤層50の粘着力を弱めに設定すれることより、接着時に位置ズレ、皺、弛み等の接着不具合が生じた場合に、当該抗ウイルス性粘着シート100を一旦剥離した後、不具合を解消した上で剥離した当該抗ウイルス性粘着シート100を再度接着し直す(貼り直す)ことが可能となる。
吸盤粘着剤層50は、その両面に開口した複数の凹形状50aを備えている。また、吸盤粘着剤層50は、弾性を備えており、複数の凹形状50aがそれぞれ微細な吸盤として作用することから、様々な被着体に対して粘着力(吸着力)を発揮することができる。
吸盤粘着剤層50は、例えば、特開2017-36404号公報(以下特許文献3)に開示されている液状の樹脂組成物(アクリルエマルジョン)を用いて形成される。特に1液硬化型アクリル系樹脂からなることが好ましい。1液硬化型であれば、2液硬化型の様に加温環境下で硬化が進み粘着力が高くなることにより剥がしにくくなる、剥がした際に糊残りが発生する、という問題が生じにくい。またアクリル系樹脂であれば、塩素原子を含まないため、廃棄時に焼却しても基本的には二酸化炭素と水しか排出せず、環境面で有利である。
吸盤粘着剤層50の厚みtは、1μm以上、500μm以下であることが望ましい。上記層厚範囲の下限値を下回ると、凹形状の形成が困難になったり、凹形状の大きさが小さくなりすぎて、粘着(吸着)特性が低下したりする。また、上記層厚範囲の上限値を越えると、防滑床用化粧シートの柔軟性が低下して、作業性が悪くなる。
さらに、吸盤粘着剤層50の両面に凹形状50aを均等に設けるためには、吸盤粘着剤層50の厚みtは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましい。この点については、後述する。
吸盤粘着剤層50の凹形状50aの大きさや密度は、後述する製造工程における各種条件を変更することにより、調整可能である。例えば、吸盤粘着剤層50は、凹形状50aが含まれる程度を表す指標として、吸盤粘着剤層50の密度を用いることができる。この吸盤粘着剤層50の密度としては、特に限定されないが、例えば、0.1g/cm3以上、0.6g/cm3以下とすることができる。また、凹形状50aの大きさは、特に限定されないが、例えば、1μm以上、300μm以下とすることができる。
抗ウイルス性粘着シート100を被着体に貼り付ける際には、吸盤粘着剤層50を被着材に接触させ適度な圧力を加えることにより、粘着層の露出面に多数存在する凹形状50aが弾性変形することにより従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって被着体に対して吸着(粘着)することとなる。
すなわち、凹形状50aの周囲の弾性変形によって、凹形状50aには、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働く。この力により、凹形状50a内の密閉空間が負圧となって、被着体への吸着作用が生じる。なお、凹形状50a単体での吸着力は、弱いものであるが、多数の凹形状50aが形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、吸盤粘着剤層50の作製時に、凹形状50aが含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、吸盤粘着剤層50の粘着力(吸着力)を調整可能である。
(吸盤粘着剤層50の凹形状50aについて検証実験)
上述したように、本発明において、吸盤粘着剤層50の凹形状50aが、粘着力に大きな影響を与える。凹形状50aが吸盤粘着剤層50の両面に均等に設けられていないと、粘着層の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、又は、増加してしまうおそれがある。また、凹形状50aが吸盤粘着剤層50の両面に均等に設けられることにより、吸盤粘着剤層50の物理的性質も均質になり、吸盤粘着剤層50の両面における十分な粘着力及び被着体との再剥離性の発現の上でも好ましい。
凹形状50aを吸盤粘着剤層50の両面に均等に設けるためには、吸盤粘着剤層50の塗布量(厚みt)の管理が重要である。この点、特許文献3においては、何ら考慮されておらず、単にマイクロ吸盤が形成されていればよいとされている。特許文献3では、WET膜厚800μmとして形成した実施例1の断面写真である特許文献3の図2において、マイクロ吸盤を有する面として示されている部分には、微細な吸盤構造が形成されているものの、ガラス基板から剥離した面として示されている部分には、先の微細な吸盤構造とは比べものにならない程巨大な気泡と思われる構成が確認できる。すなわち、特許文献3
の構成では、粘着層の一方の面にはマイクロ吸盤(本実施形態における凹形状50aに相当)が形成されているが、他方の面には、マイクロ吸盤(凹形状50a)が略形成されていない。
この点を本件出願人においても、検証実験を行なった。
検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状50aをSEMで観察した。サンプルは、以下の4種類である。
サンプル1:粘着層の厚みt=25μm
サンプル2:粘着層の厚みt=30μm
サンプル3:粘着層の厚みt=35μm
サンプル4:粘着層の厚みt≒2000μm
なお、上記サンプルにおける粘着層の厚みtは、乾燥後の厚みtである。また、サンプル1~サンプル3については、コーターを用いてガラス面に泡立て処理後の気泡含有組成物を塗工し、100℃の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特許文献3における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、泡立て処理後の粘着層の密度は、0.4g/cm3とした。
粘着層の厚みtを管理したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状50aが両面に均等に形成されていることが確認できた。
これに対して、膜厚が厚いサンプル4では、乾燥面とガラス側の面とで凹形状50aの大きさに極端な差異が認められ、特許文献3の図2と同様な結果が得られた。
よって、吸盤粘着剤層50の両面に凹形状50aを均等に設けるためには、吸盤粘着剤層50の厚みtは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましいと判断できる。
また、吸盤粘着剤層50の塗布量は、13g/m2以上70g/m2以下であることが好ましい。70g/m2を超える場合は乾燥に時間がかかるという問題がある。それを短縮するために加熱すると、離型性を有する基材(層構成や、吸盤粘着剤層の塗布対象によっては離型性を有する基材とは異なる層)の熱による収縮などの悪影響が懸念されるようになる。一方13g/m2を下回る場合には、塗工工程において塗工液が弾かれる(塗工液が塗布されない)部分が生じるなど、すなわち塗工液を均一に塗布することが困難となるという問題がある。
ここで、この凹形状50aが吸盤粘着剤層50の両面に均等に設けられている状態について、より詳しくは、以下に示すような関係を満たすことが望ましい。
抗ウイルス剤含有層側の面に開口する凹形状50aの各開口部の直径の平均値をDave 1とし、離型性を有する基材側の面に開口する凹形状50aの各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
の関係を満たすことが望ましい。また、
|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.25
の関係を満たすことがさらに望ましい。
これらの関係を満たすことにより、吸盤粘着剤層の両面における粘着力の差異を少なくすることができ、また、吸盤粘着剤層50の両面における十分な粘着力及び被着体との再剥離性を良好に発現させることができる。
なお、各開口部の直径の平均値とは、全ての開口部の平均を求めることは現実的には不可能であるので、ここでは、1500μm×1100μmの観察範囲内において、直径が大きい開口部から順に3個の開口部について直径の計測を行ない、その平均値とした。
ここで、サンプル1からサンプル4について、開口部の計測を行ない、|Dave 1-Dave 2|/Dave 2 を求めたところ、サンプル1:0.04、サンプル2:0.06、サンプル3:0.12、サンプル4:0.69であった。
<基材>
基材の形態は、フィルム、シート及び板等の平板状のもの等が挙げられ、特に制限はない。
なお、フィルム、シート及び板は、相対的に厚みの薄いものから順にフィルム、シート及び板と呼称される場合が多いが、本明細書においては、特に断りのない限り、これら3者を区別しない。
基材の構成材料としては、樹脂、金属、非金属無機材料、繊維質材料及び木質系材料等が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
基材は単層でもよいし、上記材料からなる層を2層以上積層したものであってもよい。基材が2以上の層の積層体の場合、異種材料の層を2層以上積層し、各層の材料の有する諸性能を互いに補完してなるものが好ましい。2層以上積層してなる基材の例としては、以下のA~Jが挙げられる。なお、「/」は各層の界面を示す。
(A)樹脂/木質系材料
(B)樹脂/金属
(C)樹脂/繊維質材料
(D)樹脂/非金属無機材料
(E)樹脂1/樹脂2
(F)金属/木質系材料
(G)金属/非金属無機材料
(H)金属/繊維質材料
(I)金属1/金属2
(J)非金属無機材料/繊維質材料
上記Eにおいて、樹脂1と樹脂2とは互いに別種の樹脂を示す(例えば、樹脂1がオレフィン樹脂、樹脂2がアクリル樹脂)。また、上記Hにおいて、金属1と金属2とは互いに別種の金属を示す(例えば、金属1が銅、金属2がクロム)。
また、基材が上記A~Jのような積層体である場合は、積層体の各構成層の層間に、接着力を強化するための層(接着剤層等)を有していてもよい。
基材として用いられる樹脂としては、各種の合成樹脂又は天然樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、抗ウイルス剤含有層のバインダー樹脂として例示した熱可塑性樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂としては、抗ウイルス剤含有層のバインダー樹脂として例示した熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
天然樹脂としては、天然ゴム、松脂及び琥珀等が挙げられる。
基材として用いられる金属としては、例えば、アルミニウム又はジュラルミン等のアルミニウムを含む合金、鉄又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄を含む合金、銅又は真鍮、青銅等の銅を含む合金、金、銀、クロム、ニッケル、コバルト、錫、チタニウム等が挙げられる。また、金属基材としては、これらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
基材として用いられる非金属無機材料としては、例えば、セメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、石膏、珪酸カルシウム、木片セメント等の非セラミック系窯業系材料、陶磁器、土器、硝子、ホーロー等のセラミック系窯業系材料、石灰岩(大理石を含む)、花崗岩、安山岩等の天然石等からなるものが挙げられる。
基材として用いられる繊維質材料としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、和紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、パラフィン紙、パーチメント紙、グラシン紙、壁紙用裏打紙、板紙及び石膏ボード用原紙等の紙、ポリエステル樹脂繊維、アクリル樹脂繊維、絹、木綿、麻等の蛋白質系又はセルロース系の天然繊維、硝子繊維、炭素繊維、等の繊維からなる織布又は不織布が挙げられる。これらの紙には、紙基材の繊維間ないしは他層と紙との層間強度を上げる為、ケバ(毛羽)立ち防止のために、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。樹脂を添加した紙としては、例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等が挙げられる。
また、繊維質材料層に樹脂層を積層したとして基材の例として、建材分野で使われることが多い壁紙用裏打紙の表面に塩化ビニル樹脂層、オレフィン樹脂層、アクリル樹脂層等の樹脂層を積層した壁紙原反等が挙げられる。
基材として用いられる木質系材料としては、例えば、杉、檜、松、樫、ラワン、チーク、ゴムの木等が挙げられる。木質系材料の基材の形態は、単板、合板、集成材、パーチクルボード、突板等が挙げられる。
基材の形状及び寸法は、特に制限はなく、用途及び所望の諸性能と加工適性に応じて適宜選択すれば良い。
基材が、フィルム、シート及び板の平板状の場合は、物品の設計上の代表的な寸法として厚みがある。かかる厚みも特に制限はないが、一般的には、製造加工適性、機械的強度、使用取扱性、及び経済性の観点から、10μm以上10cm以下程度とされる。フィルム又はシート形態の場合は、通常、20μm以上500μm以下程度のものが選択され、板形態の場合は、通常、1mm以上2cm以下程度のものが選択される。
基材は、抗ウイルス剤含有層10単層を構成する他層との密着性、あるいは、抗ウイルス性粘着シート100と積層する部材との密着性の向上のため、基材の片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
<接着剤層>
基材20上に抗ウイルス剤含有層10単層を積層するための接着剤層30を構成する接着剤としては、汎用の接着剤である、湿気硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤、乾燥硬化型接着剤、UV硬化型接着剤、感熱接着剤(例えば、ホットメルト型接着剤)等が挙げられる。前述した各種の接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、これらの中でも、ウレタン系接着剤が接着力の点で好ましい。
ウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ポリオール化合物と、イソシアネート化合物等の硬化剤とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。
接着剤層の厚みは、0.1μm以上60μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましく、5μm以上40μm以下がさらに好ましい。
<第2基材>
第2基材としては、上述した基材と同様のものが挙げられる。
第2基材は、抗ウイルス剤含有層単層を形成する際の支持体として用いられることが多い。このため、第2基材は取り扱い性のため樹脂基材が好ましい。また、第2基材の厚みは、取り扱い性のため、10~300μmが好ましく、20~200μmがより好ましく、30~150μmがさらに好ましい。
<抗ウイルス活性値>
本実施形態の抗ウイルス性粘着シート100は、下記の手法により測定される抗ウイルス活性値が2.0以上であることが好ましい。下記の手法は、ISO21702に準拠した手法である。
《抗ウイルス活性値の測定方法》
5cm角の試験片(抗ウイルス加工品と無加工品)に0.4mlのウイルス液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆する。この試験片を25℃×24時間静置。静置後、試験片上のウイルスを洗いだして回収し、ウイルス感染価を測定する。次式(1)により抗ウイルス活性値を算出する。
R=Ut-At (1)
R:抗ウイルス活性値
Ut:無加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均
At:抗ウイルス加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均
<ヘイズ>
本実施形態の抗ウイルス性粘着シート100が透明性を有する形態においては、曇り硝子のような高ヘイズが要求される場合と、低ヘイズが要求される場合とがある。低ヘイズが要求される場合には、ヘイズが30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。ヘイズとは、JIS K7136:2000に規定されるヘイズを意味する。ヘイズを低くするためには、抗ウイルス剤の屈折率とバインダー樹脂との屈折率差を小さくしたり、抗ウイルス剤の含有量を少なくしたり、抗ウイルス剤含有層の厚みを薄くすることが好ましい。
<用途>
本開示の抗ウイルス性粘着シート100は、例えば、下記のごとき、各種の部材、商品、日常生活空間、業務ないし営業活動の場、医療現場等において、抗ウイルス性を付与すべき箇所をその被着体とする。かかる被着体の表面に対して、熟練技能者でなくても比較的容易にしかも短時間で抗ウイルス性を付与するのに際して、好適に用いることができる。
(1)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の壁、床、天井等の内装部分の表面。
(2)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の外壁、屋根、軒天井、戸袋等の外装部分の表面。
(3)窓、窓枠、扉、扉枠等の建具の表面(内装部分又は外装部分);建具の付随備品(取っ手等)の表面;建具の治具の表面。
(4)手摺、腰壁、廻り縁、敷居、鴨居、笠木の造作部材の表面。
(5)塀、門扉、物干台の柱や手摺等の屋外(外装)部分の表面。
(6)箪笥、机、椅子、食器棚、厨房の流し台等の家具の表面材;家具の付随備品(取っ手等)の表面材;家具の治具の表面。
(7)テレビジョン受像機、ラジオ受信機、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、扇風機、空調機等の各種家電製品の筐体等の表面材;家電製品の付随備品(取っ手、スイッチ、タッチパネル等)の表面材;家電製品の治具の表面。
(8)電子複写機、ファクシミリ、プリンタ、パーソナルコンピュータ等の各種電算機器等のOA機器の表面材;銀行、郵便局等の金融機関のATM装置の各種OA機器類の筐体の表面;各種OA機器類の付随備品(キーボード鍵盤、タッチパネル等)の表面;各種OA機器類の治具の表面。
(9)自動車、鉄道車両等の車両、船舶、航空機等の乗物の内装又は外装部分(壁、床、天井、手摺、支柱、操作盤、レバー、ハンドル、舵輪等の操縦機器類)の表面。
(10)各種建築物の間仕切;店舗、事務所、官公庁等の窓口、会計精算場所等におけるウイルスの飛沫感染防止のための遮蔽板又は遮蔽カーテン;保護面(フェイスガード)、保護眼鏡(ゴーグル)等の顔面保護具;あるいはこれらの表面。
(11)伝票類等のビジネスフォーム;預金通帳;金融機関のキャッシュカード、クレジットカード、ポイントカード等のカード類;あるいはこれらの表面。
(12)硝子、樹脂等の瓶;金属缶;樹脂レトルト容器等の樹脂軟包装材;各種チューブ類等の包装材料;あるいはこれらの表面。
上記(6)に、机を被着体として本開示の抗ウイルス性粘着シート100を適用する場合を例示している。この場合には机の作業面(水平面)に対し抗ウイルス性粘着シート100を適用することが好ましく、この場合には抗ウイルス性粘着シート100をそのままデスクマットとして使用できることが好ましい。抗ウイルス性粘着シート100をデスクマットとする例においては、抗ウイルス剤含有層10がデスクマットの使用時における表面を構成することとなる。
100:抗ウイルス性粘着シート
10、10´、10´´:抗ウイルス剤含有層
11:バインダー樹脂
12:抗ウイルス剤
20:基材
30:接着剤層
40:第2基材
50:吸盤粘着剤層
50a:凹形状

Claims (4)

  1. 抗ウイルス剤含有層の一方の側の面に、吸盤粘着剤層を積層して成る、抗ウイルス性粘着シート。
  2. 前記吸盤粘着剤層は、1液硬化型アクリル系樹脂からなる請求項1に記載の抗ウイルス性粘着シート。
  3. 前記吸盤粘着剤層の塗布量が13g/m2以上70g/m2以下である請求項1または請求項2のいずれかに記載の抗ウイルス性粘着シート。
  4. 前記吸盤粘着剤層は両面に複数の凹形状を有し、一方の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、前記吸盤粘着剤層の他方の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
    |Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
    の関係を満たす請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の抗ウイルス性粘着シート。
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