JP2022117396A - 抗ウイルス性デスク又はテーブルマット - Google Patents

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Haruka Nakamura
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Takashi Endo
亮介 西垣
Ryosuke Nishigaki
光男 櫻井
Mitsuo Sakurai
将志 関
Masashi Seki
陽亮 住田
Yosuke Sumida
智行 濱口
Satoyuki Hamaguchi
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Abstract

【課題】抗ウイルス性が付与されたデスク又はテーブルマットを提供する。【解決手段】抗ウイルス剤含有層を有する抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。【選択図】図2

Description

本開示は、抗ウイルス性が付与されたデスクマット及びテーブルマットに関するものである。
従来、衛生面の観点から、建築物の壁、床、天井等の内装材料、机等の家具、扉等の建具、車両の内装材料、OA機器及びタッチパネル等の人が手で触れる物の表面に抗ウイルス性を付与することが試みられていた。
特許文献1には、抗ウイルス性を付与すべき対象物に銅系の抗ウイルス剤を含有する組成物を直接塗布して、抗ウイルス性を付与することが開示されている。
また、特許文献2には、建築物内装材料、家具、建具等の表面化粧用に使用される各種の化粧シート表面に銀系又は亜鉛系の抗ウイルス剤を含有する組成物の塗膜を形成して表面に予め抗ウイルス性を付与した抗ウイルス性化粧シートが開示されており、かかる抗ウイルス性化粧シートを、抗ウイルス性を付与すべき対象物あるいはその基材上に、澱粉糊、2液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤層を介して接着、積層することも行われていた。
特許第6145758号公報 特許第6229429号公報
しかし、特許文献1開示のごとき、建築物内装等の抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス剤の直接塗布は、施工現場において、塗布不要部のマスキング(塗料付着防止)等の下準備、塗料の塗工、乾燥、後片付け等の手間が多く施工時間も長い、塗装業者(職人)の技量いかんで仕上がり外観や抗ウイルス性能にバラツキを生じる、塗料の溶剤が有機溶剤の場合には、健康衛生、火災防止等の対策が必要等の煩雜さもある。かつ、塗布作業の結果に不良、失敗、不具合等が有った場合、再度の塗布作業のやり直しは、塗料の剥離除去が必要になり、非常に手間、費用、及び時間を要し、困難である。
また、特許文献2開示のごとき、抗ウイルス性付与対象物あるいはその基材上への抗ウイルス性化粧シートの接着剤を介した接着、積層の場合は、工場で品質管理して化粧シートが製造されるために抗ウイルス性能が一定水準に安定するという利点はある。しかしその一方で、直接塗工の場合と同様に、施工現場において、接着剤の配合や調整、マスキング等の下準備、接着剤の塗工、接着時間待ち、後片付け等の手間が多く施工時間も長い、接着施工業者(職人)の技量いかんで仕上がり外観や経時の接着性能にバラツキを生じる、接着剤の溶剤が有機溶剤の場合には、健康衛生、火災防止等の対策が必要等の煩雜さがある。かつ、接着積層作業の結果に不良、失敗、不具合等が有った場合、再度の接着作業のやり直しは、接着化粧シートの剥離除去が必要になり、非常に手間、費用、及び時間を要し、困難である。
更に、抗ウイルス剤の直接塗布及び抗ウイルス性化粧シートの接着、積層のいずれの形態においても共通する課題として、施工現場での煩雜な作業や作業時間の長さ及び施工のやり直しの難度の高さのために、素人による施工、いわゆる「DIY」施工が困難な事が有る。
事務机や勉強机の上に敷くデスクマットや、食卓等の上に敷くテーブルマットは、机やテーブルの上に着脱自在に敷いて使用されるマットであるが、上記特許文献1又は2には、抗ウイルス性が付与されたデスクマット及びテーブルマットについて記載されていない。
本開示は、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを提供することを目的とする。
本開示は、抗ウイルス剤含有層を有する抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを提供する。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、基材の少なくとも一面側に、前記抗ウイルス剤含有層として抗ウイルス剤を含有する表面樹脂層を備えたものであってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、前記抗ウイルス剤含有層の一方の面側に、直接または他の層を介して粘着剤層が積層されたものであってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、JIS Z0237に従って、前記粘着剤層をSUS304ステンレス板に貼り付け、貼り付け20分後の時点、及び、24時間後の時点で180度方向に引っ張り剥離するときに測定される粘着力が、前記の両時点において0.5N/25mm~5N/25mmであるものであってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、前記粘着剤層の前記抗ウイルス剤含有層と向き合う面とは反対の面側に離型性支持体シートが積層されており、粘着剤層と離型性支持体シートのCIE1976年規定のL*a*b*表色系における色差ΔEが7以上であるものであってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、前記粘着剤層の前記抗ウイルス剤含有層と向き合う面とは反対の面側に離型性支持体シートが積層されており、離型性支持体シートはクルパック紙及び上質紙よりなる群から選ばれる芯材層の両面にポリエチレンを積層してなる複合シートであるものであってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、その粘着剤層がアクリル系樹脂を含む粘着剤層であってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、その平面形状において、当該平面形状の外部方向に突出する隅部の外縁が曲率半径R10mm~30mmの範囲に丸められた形状を有しているものであってもよい。
上記の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、略矩形の平面形状を有し、その四隅の外縁が曲率半径R10mm~30mmの範囲に丸められた形状を有しているものであってもよい。
本開示によれば、抗ウイルス性が付与されたデスクマット及びテーブルマットが提供され、当該マットを用いることにより机やテーブルの表面に抗ウイルス性を付与することができる。
図1(a)~(c)は、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの一実施形態を示す断面図である。 図2(a)、(b)は、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットのその他の実施形態を示す断面図である。 図3は、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットのその他の実施形態を示す断面図である。 図4(a)、(b)は、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットのその他の実施形態を示す断面図である。 図5(a)~(c)は、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットのその他の実施形態を示す断面図である。 本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットのうち、粘着剤層が溝部を有する実施形態を示す断面図である。 溝部を有する粘着剤層を説明する図である。 溝部を有する粘着剤層を製造する方法を説明する図である。 本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットのうち、隅部の外縁形状を丸くした実施形態を示す平面図である。
以下に、本開示の実施の態様について詳細に説明する。
〔抗ウイルス性デスク又はテーブルマット〕
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、少なくとも抗ウイルス剤を含有する層を有してなるものである。以下、「抗ウイルス剤を含有する層」のことを「抗ウイルス剤含有層」と呼称する場合がある。
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、抗ウイルス剤含有層の1層(単層)のみからなる構成であってもよいし、更に、基材層、マット裏面側の粘着剤層、層間の接着性を向上させる接着剤層等の他の層を1つ以上含む積層体であってもよい(例えば図2乃至図5に代表される形態)。
デスク又はテーブルの天面は、人との接触や大気からの落下によってウイルスが付着する。本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを、当該マットに含まれる抗ウイルス剤含有層が人に向き合うようにデスク又はテーブルの天面に敷くことによって、デスク又はテーブルの天面に抗ウイルス性が付与される。
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットが、抗ウイルス性の発現と同時に、抗菌性及び抗カビ性も同時に発現する場合は、抗菌性デスク又はテーブルマット及び抗カビ性デスク又はテーブルマットとして使用することも可能である。
一般的に、同一の材料及び層構成の物品であっても、その発現する「抗ウイルス性」、「抗菌性」、「抗カビ性」との相関関係は、対象とするウイルス、細菌、カビの種類;環境条件;要求する抗ウイルス性、抗菌性、抗カビ性の水準;等に応じて、有効な場合もあれば無効な場合もある。このため、本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、細菌の種類、環境条件、及び要求する抗菌性の水準に応じて、抗ウイルスの用途のみならず、抗菌の用途にも適用することができる場合もある。なお、カビは菌類の一種であるため、本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、同様に、カビの種類、環境条件、及び要求する抗カビ性の水準に応じて、抗カビの用途にも適用することができる場合もある。
<抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの層構成>
図1(a)~図1(c)は、抗ウイルス剤含有層10のみからなる抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100、すなわち単層構成の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の形態を示す断面図である。尚、図1(a)~図1(c)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、通常は、XY平面が人に正対するような向きで用いる。
図1(a)の抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を抗ウイルス剤含有層10の面内方向及び厚み方向の全体にわたって含んでいる。図1(b)の抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を、その面内方向(同図のXY平面内の各方向)において、抗ウイルス剤含有層10の表面側(図の上側)近傍に含んでいる。図1(c)の抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を、抗ウイルス剤含有層10の表面側(図の上側)の面内方向において一部の領域に含んでいる。
図1(a)~(c)に示すように、抗ウイルス剤含有層10内において、抗ウイルス剤12の存在箇所は特に限定されない。但し、抗ウイルス性を高める観点からは、抗ウイルス剤12を、抗ウイルス剤含有層10が露出してなる表面近傍の少なくとも一部の領域に有してなることが好ましい。
本明細書において、抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面とは、抗ウイルス剤含有層の平面方向が露出している表面のことをいう。抗ウイルス剤含有層の平面方向とは、図1乃至5でいうXY方向であり、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の「抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面」は、これら図示においてZ軸の+方向(図面の上側)の最表面100Sに相当する。
また、本明細書において、抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面近傍とは、抗ウイルス剤が露出してなる表面から厚み方向に抗ウイルス剤が含有されている範囲の領域を意味する。
即ち、抗ウイルス剤12として後述の放射性化合物(抗ウイルス剤6)を用いる場合においては、抗ウイルス剤含有層10の表面に抗ウイルス剤12が不在で層内部にのみ抗ウイルス剤12が存在する形態でも抗ウイルス性を発現し得る。但し、それ以外の抗ウイルス剤12を使用する形態においては、抗ウイルス剤含有層10の中で確実に抗ウイルス性を発現する部分は抗ウイルス剤12が抗ウイルス剤含有層10から外部に露出した部分である。従って、最低限、抗ウイルス剤12の粒子、原子(イオン化したものを含む)、ないしは分子からなる最小単位が抗ウイルス剤含有層10の表面に1層以上存在すれば足りる。例えば、抗ウイルス剤が原子又は分子を最小単位とする場合は、単原子層又は単分子層が存在すれば足り、抗ウイルス剤が原子又は分子が複数個集合した粒子を最小単位とする場合は、単粒子層のみ存在すれば足りる。
但し、現実には、抗ウイルス剤12を単原子層、単分子層、又は単粒子層として抗ウイルス剤含有層10に形成する場合は、製造技術上の難度に加え、摩擦等の外力で抗ウイルス剤12が容易に脱落、消失して抗ウイルス機能を喪失し易い。また、抗ウイルス剤とバインダー樹脂との隙間等から抗ウイルス剤含有層10内部に侵入するウイルスも有り得る。
更に、抗ウイルス剤12が、経時的に、抗ウイルス剤含有層10の内部から表面に向って移行(bleed)する性質を有する場合もある。かかる場合には、抗ウイルス剤12の原子、分子、又は粒子を抗ウイルス剤含有層10表面上に2層以上で構成するか、あるいは抗ウイルス剤12を抗ウイルス剤含有層10の表面から当該層10内部にわたって分布して含有させてかつ該抗ウイルス剤12の一部を抗ウイルス剤含有層10の表面から露出させ、該抗ウイルス剤含有層10表面上に露出した抗ウイルス剤12が抗ウイルス性を発現すると共に、抗ウイルス剤含有層10の表面から経時的に脱落又は消失した抗ウイルス剤を、抗ウイルス剤含有層10表面上に積層された直下の抗ウイルス剤層から、または抗ウイルス剤含有層10の内部から移行した抗ウイルス剤12が、抗ウイルス剤含有層10の表面から露出するかあるいは抗ウイルス剤含有層10表面上に層形成した形で補完することにより、抗ウイルス機能の経時的低下を抑制することが期待できる。
したがって、現実的には、多くの場合、抗ウイルス剤含有層10表面から所定厚みの深さにわたって抗ウイルス剤12の原子、分子、又は粒子が分布して含有し、かつ該抗ウイルス剤12の一部が抗ウイルス剤含有層10の表面から露出するかあるいは層形成するよう構成される。かかる抗ウイルス剤含有層10の表面から所定厚みの深さにわたり抗ウイルス剤12の原子等が分布して含有する領域を「抗ウイルス剤含有層10が露出してなる表面近傍」という。
したがって、かかる「表面近傍」の厚み範囲は、使用する抗ウイルス剤12の種類、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100における抗ウイルス剤含有層10の形成方法ないし製造方法、抗ウイルス剤含有層10の摩擦等に対する耐久性等に応じて適宜設計すれば良い。代表的な抗ウイルス剤含有層10の表面近傍の厚みとしては、例えば、1μm以上5000μm以下(但し、抗ウイルス剤含有層10厚みは超えない)の範囲が好ましく、通常の用途、要求耐久性、及び抗ウイルス剤含有層の形成ないし製造方法の場合には、3μm以上100μm以下がより好ましい。
図1(a)~(c)のような、単層の抗ウイルス剤含有層10からなる抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、例えば、下記(A1)及び(A2)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、成形時の熱等の作用の影響を受けにくくし、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(A2)の手法が好ましい。
(A1)バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を、溶融押し出し又は射出成形等で成形する。
(A2)離型性を有する基材上に抗ウイルス剤含有層10を形成してなる積層体を作製した後、当該積層体から離型性を有する基材を剥離する。
図2(a)、(b)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20上に、抗ウイルス剤含有層10を有してなる積層体形態のものである。
図2(a)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20の一方の側の全面に抗ウイルス剤含有層10を有している。図2(b)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20の一方の側(同図におけるZ軸方向+側)の一部の領域に抗ウイルス剤含有層10を有している。
図2(a)、(b)に示すように、抗ウイルス剤含有層10は、基材20上の全面に形成されていてもよいし、基材20上の一部に形成されていてもよい。
図2(a)、(b)のような、基材20及び抗ウイルス剤含有層10を有する抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、例えば、下記(B1)~(B4)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、抗ウイルス剤含有層10積層時の熱の影響を受けにくくし、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(B1)又は(B4)の手法が好ましい。
(B1)基材20上に、バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を塗布し、抗ウイルス剤含有層10を塗膜として形成するか、或いは同組成物を製膜したシートを、必要に応じて間に接着剤層を介して、積層(貼り合わせ)する。
(B2)基材20上に、バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を溶融押し出しし、抗ウイルス剤含有層10を形成する。
(B3)基材20と、抗ウイルス剤含有層10とを加熱して溶着する。
(B4)離型性を有する基材上に抗ウイルス剤含有層10を形成してなる積層体を作製する。前記積層体の抗ウイルス剤含有層10側の面と、基材20とを密着した後、前記離型性を有する基材を剥離する。
図3の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、抗ウイルス剤含有層10の裏面側(同図におけるZ軸方向-側)、すなわちデスク又はテーブルの天面と向き合う側の面に、デスク又はテーブルの天面に抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100を固定するための粘着剤層50を有してなる積層体形態のものである。
図3のような、粘着剤層50及び抗ウイルス剤含有層10を有する抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、例えば、下記(C1)~(C4)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、抗ウイルス剤含有層10積層時の熱の影響を受けにくくし、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(C1)、(C3)又は(C4)の手法が好ましい。
(C1)製膜した粘着剤組成物のシート上に、バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を塗布し、抗ウイルス剤含有層10を塗膜として形成するか、或いは同組成物を製膜した抗ウイルス剤含有シートを積層(貼り合わせ)する。
(C2)製膜した粘着剤組成物のシート上に、バインダー樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む組成物を溶融押し出しし、抗ウイルス剤含有層10を形成する。
(C3)製膜した抗ウイルス剤含有シート上に、粘着剤を含む組成物を塗布し、粘着剤層50を塗膜として形成するか、或いは同組成物を製膜した粘着剤組成物のシートを積層(貼り合わせ)する。
(C4)揮発性溶剤を含む粘着剤の液状組成物を、離型性支持体シート上に塗布、乾燥させて粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層を離型性支持体シートと共に粘着剤組成物のシート上に積層(貼り合わせ)する。
図4(a)、(b)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20の人と向き合う側(同図におけるZ軸方向+側)に抗ウイルス剤含有層10を有し、かつ、基材20の裏面側(同図におけるZ軸方向-側)、すなわちデスク又はテーブルの天面と向き合う側の面に、粘着剤層50を有してなる積層体形態のものである。
図4(a)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20上の全面に抗ウイルス剤含有層10を有している。図4(b)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20上の一部の領域に抗ウイルス剤含有層10を有している。
図5(a)~(c)に示すように、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20と抗ウイルス剤含有層10との間に、接着剤層30、第2基材40等のその他の層を有していてもよい。
図5(a)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20と抗ウイルス剤含有層10との間に接着剤層30を有している。また、図5(b)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20と抗ウイルス剤含有層10との間に第2基材40を有している。また、図5(c)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、基材20と抗ウイルス剤含有層10との間に、接着剤層30及び第2基材40を有している。また、図5(a)~(c)の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、いずれも、基材20の裏面側(同図におけるZ軸方向-側)、すなわちデスク又はテーブルの天面と向き合う側の面に、粘着剤層50を有している。
図5(a)~(c)のような抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、例えば、下記(D1)~(D5)等の手法により製造することができる。有機系の抗ウイルス剤を用いる場合、抗ウイルス剤の機能を維持しやすくするため、(D1)、(D2)又は(D5)の手法が好ましい。
(D1)抗ウイルス剤含有層10と、基材20とを接着剤層30を介して貼り合わせる。
(D2)第2基材40上に抗ウイルス剤含有層10を有する積層体の第2基材40側の面と、基材20とを接着剤層30を介して貼り合わせる。
(D3)第2基材40上に抗ウイルス剤含有層10を有する積層体の第2基材40側の面と、基材20とを加熱して溶着する。
(D4)第2基材40上に抗ウイルス剤含有層10を有する積層体を型に配置する。
前記型内に基材20を構成する加熱溶融又は溶剤に溶解することで流動状態とした樹脂を流し込み、冷却又は溶剤乾燥により流動状態の樹脂を固化させて型の形状に樹脂を成形し基材20とすることにより、前記抗ウイルス剤含有層10を有する前記積層体の第2基材40側に基材20を積層形成する。
(D5)離型性を有する基材上に抗ウイルス剤含有層10及び接着剤層30を有する積層体、即ち転写シートを作製する。前記積層体の接着剤層30側の面と、基材20とを密着した後、前記離型性を有する基材を剥離する。
即ち、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の層構成の具体例としては、下記(1)~(5)の構成及び下記(1)~(5)の構成の層間又は表面・裏面に必要に応じて他の層を設けた構成が挙げられる。上記した基材層、マット裏面側の粘着剤層、層間に設けられる接着剤層以外の他の層としては、例えば、意匠性を向上させるための絵柄インキ層や金属薄膜等からなる装飾層、プライマー層、マット裏面側の粘着剤層を保護するために被覆する離型性支持体シート等が挙げられる。
(1)例えば、図1のごとき、抗ウイルス剤含有層10の単層構成。
(2)例えば、図2のごとき、基材20上に、抗ウイルス剤含有層10を有する構成。
(3)例えば、図5(a)のごとき、基材20上に、接着剤層30及び抗ウイルス剤含有層10を有する構成。
(4)例えば、図5(b)のごとき、基材20上に、第2基材40及び抗ウイルス剤含有層10を有する構成。
(5)例えば、図5(c)のごとき、基材20上に、接着剤層30、第2基材40及び抗ウイルス剤含有層10を有する構成。
抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの抗ウイルス性を良好とするために、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットは、当該マットをデスク又はテーブル上に敷いたときの外面側、すなわち人と接触する側の面に、抗ウイルス剤含有層を露出させるように配置することが望ましい。抗ウイルス剤含有層を人と接触する側の最外層にする場合には、当該マットの耐擦傷性を良好とするために、抗ウイルス剤含有層にハードコート性を付与することが好ましい。
抗ウイルス剤含有層にハードコート性を付与する観点から、基材20上に抗ウイルス剤含有層を設けることとし、さらに、抗ウイルス剤含有層は、抗ウイルス剤及びバインダー樹脂として電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む表面樹脂層とすることが好ましい。
抗ウイルス性デスク又はテーブルマットに、抗ウイルス剤を含有するハードコート性表面樹脂層を設けることによって、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの人と接触する側の面のハードコート性を、#0000のスチールウールを当該表面に当接して200gの荷重をかけて10往復擦った前後の艷変化、傷付等の外観に顕著な変化が無い程度とすることが好ましく、300gの荷重をかけて20往復擦った前後の外観の顕著な変化が無い程度とすることがさらに好ましい。
<抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの平面形状>
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの形状は、正方形、長方形のような矩形又は略矩形のものが使用上便利である場合が多いが特に限定されず、菱形のような矩形以外の四角形、三角形、五角形以上の多角形、円形、長円形、ハート形、紡錘形、水滴形、星芒形など様々な平面形状とすることができる。
図4乃至図5のように、粘着剤層50を裏面側に設けた抗ウイルス性デスク又はテーブルマットをデスク又はテーブルの上に貼って使用する場合、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの隅部が鋭角の形状であると手の引っ掛かりなどにより剥がれやすくなる恐れがあり不便である。また、はがれやすいという不便があるだけに止まらず、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの一部が剥がれると、剥がれた粘着面が抗ウイルス剤含有層を設けた表面側に付着し、抗ウイルス性能が発揮しにくくなる恐れがある。
このような隅部からの剥がれを防止するために、隅部の外縁形状を丸くすることが有効である。
本発明において抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの隅部とは、所謂「隅角部」や「カド部」と称する部分であり、直線及び/又は曲線によって取り囲まれた閉鎖平面形状において、形状の外縁に存在する頂点及び曲率極大点のうち全体形状の決定に大きな影響を与えるものの近傍領域を意味し、別の言い方をすれば、平面形状において角度又は曲がりの程度が大きい部分を意味する。
平面形状の隅部には、3角形や4角形に見られる頂点の近傍のように周囲から平面形状の外部方向に突出する隅部(所謂「出隅部」)、及び、星芒形に見られる内角の角度が180度超と周囲から凹入した(所謂「入隅部」)の頂点や、ハート形の上部に見られる2つの円弧の接続点となる頂点のように平面形状の内部方向にへこむ隅部(これも1種の「入隅部」)が存在するが、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの隅部からの剥がれを防止する観点では、平面形状の外部方向に突出する隅部(「出隅部」)の外縁形状を丸くすることが有効である。
具体的には、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの平面形状において、当該平面形状の外部方向に突出する隅部の外縁が曲率半径R10mm~30mmの範囲に丸められた形状を有していることが好ましい。
図9は、隅部の外縁形状を丸くした抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の実施形態を示す平面図である。図9において、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の上面側、すなわち抗ウイルス剤含有層10を設けた側の面に正対した平面形状が観察される。本実施形態において、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は略矩形の平面形状を有し、その4つの隅部(70a、70b、70c、70d)の外縁が、曲率半径が10mm~30mmの範囲に丸められた形状とされている。
〔各層の説明〕
<抗ウイルス剤を含有する層(抗ウイルス剤含有層とも称する)>
抗ウイルス剤含有層10は、抗ウイルス剤12を含むことを要する。抗ウイルス剤含有層は、抗ウイルス剤及びバインダー樹脂を含むことが好ましい。
《抗ウイルス剤》
抗ウイルス剤12としては、代表的なものとして、「担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」、「イミダゾール化合物の粒子」、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子との混合粒子、及び/又は、スチレン樹脂を含む粒子」、「銅系抗ウイルス剤」、「亜鉛系抗ウイルス剤」、「放射性化合物」が挙げられる。
以下、「担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤1」、「イミダゾール化合物の粒子」のことを「抗ウイルス剤2」、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子との混合粒子、及び/又は、スチレン樹脂を含む粒子」のことを「抗ウイルス剤3」、「銅系抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤4」、「亜鉛系抗ウイルス剤」のことを「抗ウイルス剤5」、「放射性化合物」のことを「抗ウイルス剤6」と称する場合がある。
抗ウイルス性を高める観点からは、抗ウイルス剤を、抗ウイルス剤含有層が露出してなる表面近傍の少なくとも一部の領域に有することが好ましい。抗ウイルス剤の含有量を多くしたり、抗ウイルス剤とバインダー樹脂との比重を調整したりすることにより、前記の構成を満たしやすくできる。
なお、抗ウイルス剤含有層内に抗ウイルス剤が埋没していても、下記の作用により抗ウイルス性を発現させることができる。
例えば、銀イオン等の抗ウイルス性を有する、原子ないしイオン、化合物分子等が抗ウイルス剤から遊離する、あるいは抗ウイルス剤自体が抗ウイルス剤含有層10内部から表面に移行(bleed)するなどして、抗ウイルス剤含有層の表面及び表面近傍に抗ウイルス性を有する物質が存在するようになることにより、抗ウイルス性を発現させることができる。また、抗ウイルス剤が放射性化合物の場合、抗ウイルス剤含有層の表面にα線、β線等のウイルス殺傷性の放射線が輻射されることにより、抗ウイルス性を発現させることができる。
あるいは、ウイルスが抗ウイルス剤12とバインダー樹脂11界面の隙間、抗ウイルス剤含有層10自体の亀裂、多孔質構造等の微細な空隙部を経由して、抗ウイルス剤含有層10の表面から表面近傍の内部に浸透(ないし侵入)して、抗ウイルス剤含有層10内部の抗ウイルス剤12と接触する場合が有り得る。かかる場合には、抗ウイルス剤含有層10内部の抗ウイルス剤12が十分な抗ウイルス性を発現し得る。
―抗ウイルス剤1―
抗ウイルス剤1は、担体に金属イオンを担持あるいは含有してなる抗ウイルス剤であ
る。
抗ウイルス剤1の金属イオンは、銀及び亜鉛の何れかが好ましく、変色抑制および低コスト化のために、銀及び亜鉛の両方を含むことがより好ましい。
銀は亜鉛よりも抗ウイルス性に優れるが、コストが高く、酸化により変色しやすい。亜鉛は銀の酸化による変色を抑制できる。このため、銀及び亜鉛の両方を含むことにより、変色を抑制するとともに、低コスト化できる。
抗ウイルス剤1の担体としては、ゼオライト、アパタイト、硝子、モリブデン、リン酸ジルコニウム及びリン酸チタン等の無機化合物が好ましく、中でも多孔性の無機化合物が好ましい。
ゼオライトは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩であり、天然ゼオライト及び合成ゼオライトの何れも用いることができる。また、ゼオライトは、結晶構造により、A型、フォージャサイト型(X型、Y型)、モルデナイト型、クリノプチロライト型などに分類され、何れも用いることができる。
アパタイトは、下記一般式で示される組成を有する鉱物の総称である。
10(ZO432
上記式において,Mは、Ca、Ba、Mg、Na、K、Fe及びAl等を示し,Zは、P、S、Si及びAs等を示し、Xは、F、Cl、O及びOH等を示す。上記式に該当する代表例としては,フッ素アパタイト「Ca10(PO462」、水酸アパタイト「Ca10(PO46(OH)2」が挙げられる。
硝子は、ソーダ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子、アルミノ珪酸硝子、硼酸硝子及び燐酸硝子等が挙げられる。
担体に金属イオンを担持あるいは含有させる方法としては、抗ウイルス剤含有層の形態及び加工条件、要求される抗ウイルス性のレベル等を勘案した上で、公知の手法を適宜選択すればよい。ここで、「金属イオンを含有」とは金属イオン又は金属イオンを生成可能な物質を何らかの形態で担体中に保持することを意味する。また、「金属イオンを生成可能な物質」とは、例えば、水等に溶解することにより金属イオンを生成する物質のように、外的要因ないしは経時的要因等により金属イオンを生成する物質を意味する。
具体的な担持あるいは含有形態としては、物理吸着又は化学吸着により担持させる方法;イオン交換反応により担持させる方法;結合剤により担持させる方法;銀化合物を担体に打ち込むことにより含有させる方法;蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により担体の表面に銀化合物の薄層を形成させることにより担持あるいは含有させる方法;硝子等の単体及び金属を高温で溶かし、混練する方法;等が挙げられる。
抗ウイルス剤1は粒子形状であることが好ましい。
抗ウイルス剤1の粒子の形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はない。
抗ウイルス剤1の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.5~5.0μmがより好ましく、1.0~4.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、抗ウイルス剤1を含むインキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくでき、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤1の平均粒子径をD1、抗ウイルス剤含有層の厚みをTと定義した際に、D1/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
D1/Tを1.0以下とすることにより、耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくでき、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
本明細書において、平均粒子径は、レーザ光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものを意味する。
抗ウイルス剤1中における金属イオンの量は、担体100質量部に対して0.1~30.0質量部であることが好ましく、0.5~25.0質量部であることがより好ましく、1.0~20.0質量部であることがさらに好ましい。ここで、「金属イオンの量」とは、担持されている金属イオン及び含有されている金属イオンの両方を意味する。
金属イオンの量を0.1質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。また、金属イオンの量を30.0質量部以下とすることにより、光による変色を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤1の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.1~50.0質量部であることが好ましく、0.5~17.0質量部であることがより好ましく、1.0~15.0質量部であることがさらに好ましい。
抗ウイルス剤1の含有量を0.1質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤1の含有量を50.0質量部以下とすることにより、光による変色を抑制しやすくできる。また、抗ウイルス剤1の含有量を50.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤1の含有量を50.0質量部以下とすることにより耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすく、さらに、塗工装置の部材(コーティングロール、ドクターブレード等)の磨耗を抑制しやすくできる。
尚、バインダー樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物である場合、抗ウイルス剤1の含有量は、上記範囲において多めに設定することが好ましい。
―抗ウイルス剤2―
抗ウイルス剤2は、イミダゾール化合物の粒子である。
通常、イミダゾール系化合物は、イミダゾール系化合物を含むインキ中で溶解させる。この理由は、任意の層内に均一にイミダゾール系化合物を拡散させて、イミダゾール系化合物の効果を層全体で発揮させるためである。よって、通常のイミダゾール系化合物の用い方では、イミダゾール系化合物は抗ウイルス剤含有層内で粒子の状態では存在しない。すなわち、本実施形態では、イミダゾール系化合物が粒子の状態を維持している点を特徴としている。
イミダゾール系化合物は、イミダゾール骨格を分子の構成単位に含む化合物である。本実施形態では、各種のイミダゾール系化合物において、抗ウイルス剤含有層内で粒子の形態を維持するものを用いることができる。このようなイミダゾール系化合物としては、水及び有機溶媒に溶解しにくいものが好ましく、例えば、メチルN-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物が挙げられる。
なお、メチルN-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジ
ム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物であっても、溶媒によっては溶解する場合があるので注意が必要である。例えば、メチルN-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジム)に対しては、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を用いることが好ましい。
抗ウイルス剤2の形状は特に制限されず、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ
る。
抗ウイルス剤2の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.2~8.0μmがより好ましく、0.3~7.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、抗ウイルス剤2を含むインキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤2の平均粒子径をD2、抗ウイルス剤含有層の厚みをTと定義した際に、D2/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
D2/Tを1.0以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
D2/Tの下限は特に制限されないが、通常は0.01以上であり、好ましくは0.05以上である。
抗ウイルス剤2の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.5~20.0質量部であることが好ましく、1.0~13.0質量部であることがより好ましく、3.0~10.0質量部であることがさらに好ましい。
抗ウイルス剤2の含有量を0.5質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤2の含有量を20.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤2の含有量を20.0質量部以下とすることにより、耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくできる。
―抗ウイルス剤3―
抗ウイルス剤3は、「スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子との混合粒子、及び/又は、スチレン樹脂を含む粒子である。
本明細書において、抗ウイルス剤3は、1)スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを一緒に含有する粒子であってもよく、2)スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子との混合粒子であってもよく、これらとは異なる3)スチレン樹脂を含有する粒子であってもよく、前記1)、2)並びに3)のうちの2つ以上の任意の組み合わせであってもよい。ここで、3)スチレン樹脂を含有する粒子は、前記不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有していない粒子である。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子は、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有し、その構成成分はスチレン、スルホン酸ナトリウム、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましく、特にスチレン及びスルホン酸ナトリウムの少なくとも一種の構造、並びにアクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造の両方を有することが好ましい。
抗ウイルス剤3の有効成分としては、市販品を用いることもできる。前記のスチレンポリマー誘導体化合物としては、例えば、島貿易株式会社製のポリスチレンスルホン酸誘導体、商品名「VERSA-TL3」を用いることができる。前記の不飽和カルボン酸誘導体化合物としては、例えば、BYK製の溶剤系不飽和ポリカルボン酸ポリマー、商品名「BYK-P104」を用いることができる。前記のスチレン樹脂としては、例えば、polysciences社製スチレン樹脂、商品名「ミクロスフェア(粒径4.5μm)」を用いることができる。
本発明では、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子の粒子全体におけるスチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との含有割合は限定されないが、エンベロープウイルスに対してのみ抗ウイルス性能を有していれば良い場合はスチレンポリマー誘導体化合物のみを含有していれば十分である。これに関連し、エンベロープウイルスに対してのみ抗ウイルス性能を有していれば良い場合は、本発明における抗ウイルス性粒子は、少なくとも3)スチレン樹脂を含有する粒子を用いる態様としてもよい。
但し、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子において、活性阻害が困難なノンエンベロープウイルスに対しても抗ウイルス性能を有することを考慮すると、スチレンポリマー誘導体化合物に加えて不飽和カルボン酸誘導体化合物を同等量で含有することが好ましく、本発明では、例えば質量比で30:70~70:30、更には40:60~60:40と設定することができる。つまり、本発明の抗ウイルス性粒子は、エンベロープウイルス及びノンエンベロープウイルスの両方に対して抗ウイルス性能を有するためには、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との両成分を含有する前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子を用いることが好ましい。
具体的には、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子において、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子(粒子A)と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子(粒子B)とを別々に含有する混合粒子である場合には、粒子Aと粒子Bの質量比を30:70~70:30、更には40:60~60:40と設定することができる。これらの粒子A、粒子Bとしては、それぞれの成分を含有する各種用途で上市されている粒子をそのまま使用してもよく、溶剤系の状態で市販されているものを乾燥・成形することで粒子化して使用してもよい。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子が抗ウイルス性を発揮する理由については下記に推測されるメカニズムに拘束される訳ではないが、例えば、インフルエンザウイルスは、宿主細胞表面の糖鎖受容体(糖鎖末端はノイラミン酸)に結合して宿主細胞内に侵入するところ、スチレンスルホン酸塩を含む共重合体はノイラミン酸と類似したイオン基を有するため、宿主細胞の代わりにウイルスと結合してウイルスを捕捉することで、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合するのを防止して抗ウイルス効果を発揮すると考えられる。
また、不飽和カルボン酸誘導体化合物は、水分と接触することにより水酸基(OH-)を生じさせて水酸基が抗ウイルス性の作用を及ぼすものと考えられる。
また、前記3)の抗ウイルス性粒子がエンベロープウイルスに対して抗ウイルス性を発揮する理由については、メカニズムに拘束される訳ではないが、例えば、上述したスチレンスルホン酸塩を含む共重合体と同様の作用によるものと考えられる。
亜酸化銅粒子及び銀系無機添加剤等の金属系の抗ウイルス剤は、当初から着色していたり、光等の影響によって変色したりするなどの色味の問題がある。一方、前記1)、2)及び/又は3)を含む抗ウイルス剤3は、前述したような色味の問題を生じることがないため、本開示の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットに優れた意匠性を付与することができる。
また、本発明では、抗ウイルス性粒子は抗ウイルス剤含有層中において粒子の状態で存在する。言い換えると、抗ウイルス性粒子は、抗ウイルス剤含有層用インキ(抗ウイルス性樹脂組成物)内で溶解することなく、粒子の状態で存在する。このため、抗ウイルス剤含有層を形成する過程において、抗ウイルス性粒子の粒子が浮かび上がりやすくなり、抗ウイルス剤含有層の一方の表面側に抗ウイルス性粒子を偏在させやすくすることができる。そして、抗ウイルス剤含有層の一方の表面側に抗ウイルス性粒子を偏在させることにより、所定の抗ウイルス性を得るために必要な抗ウイルス性粒子の添加量を抑制することができるため、抗ウイルス剤含有層の耐擦傷性の低下を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤含有層の表面に抗ウイルス性粒子を偏在しやすくするためには、抗ウイルス性樹脂組成物として、「抗ウイルス性粒子の比重<硬化性樹脂組成物の比重」の関係を満たすものを選定することが好ましい。また、抗ウイルス性粒子として極性の度合いが高いものを用いると、抗ウイルス剤含有層の表面に抗ウイルス性粒子を偏在しやすくできる点で好ましい。また、抗ウイルス剤含有層用インキに含まれる溶剤が揮発する際に、抗ウイルス性粒子を抗ウイルス剤含有層の表面に浮かび上がりやすくすることができ、抗ウイルス剤含有層の表面付近に抗ウイルス性粒子を偏在させやすくできる。
抗ウイルス剤3の形状は特に制限されず、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられる。
抗ウイルス剤3の平均粒子径は、0.1~10.0μmが好ましく、0.2~8.0μmがより好ましく、0.5~7.0μmがさらに好ましい。
平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、抗ウイルス剤3を含むインキの安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10.0μm以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
抗ウイルス剤3の平均粒子径をD3、抗ウイルス剤含有層の厚みをTと定義した際に、D3/Tは1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
D3/Tを1.0以下とすることにより、外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
D3/Tの下限は特に制限されないが、通常は0.01以上であり、好ましくは0.05以上である。
抗ウイルス剤3の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.5~20.0質量部であることが好ましく、0.5~19.0質量部であることがより好ましく、1.0~17.0質量部であることがさらに好ましく、1.5~15.0質量部であることがよりさらに好ましい。
抗ウイルス剤3の含有量を0.5質量部以上とすることにより、抗ウイルス性を良好にしやすくできる。
抗ウイルス剤3の含有量を20.0質量部以下とすることにより、塗膜強度や耐傷性などの塗膜物性の低下を抑えることができる。さらに、抗ウイルス剤3の含有量を20.0質量部以下とすることにより、耐汚染性の低下及び塗膜の白化を抑制しやすくできる。
―抗ウイルス剤4、5―
抗ウイルス剤4は銅系抗ウイルス剤であり、抗ウイルス剤5は亜鉛系抗ウイルス剤である。
銅系抗ウイルス剤としては、例えば、特許第6145758号公報に記載されている亜酸化銅粒子、WO2010/026730号公報に記載されているヨウ化銅粒子等が挙げられる。
亜鉛系抗ウイルス剤としては、例えば、特許第6229429号公報に記載されている亜鉛系無機添加剤が挙げられる。
―抗ウイルス剤6―
抗ウイルス剤6は放射性化合物である。
放射性化合物としては、放射線による健康への悪影響を防ぐため、空気中又は真空中における飛距離及び各種物質中の透過性が比較的小さいα線、β線の何れか一方又は両方を輻射する放射性化合物が好ましい。また、放射性化合物は、ウイルスを殺傷するに足りる必要十分なエネルギー(量子)のα線又は/及びβ線を輻射し、γ線等の物質透過性の大きな放射線の輻射量が少ないことが好ましい。
α線を輻射する放射性化合物としては、241Am、243Am、226Ra、232Th等が挙げられる。β線を輻射する放射性化合物としては、147Pm、210Po、90Sr、90Y等が挙げ
られる。
《バインダー樹脂》
バインダー樹脂11としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。熱可塑性樹脂と、硬化性樹脂組成物の硬化物とは混合してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、各種オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合等の塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース、セロファン、セルロイド等のセルロース系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン-酢酸ビニル共重合;エチレン-ビニルアルコール共重合;ポリカーボネート樹脂;ウレタン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリイミド樹脂;等が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂が好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、中でも、抗ウイルス剤含有層の耐擦傷性及び生産効率の観点から電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じて硬化剤及び硬化触媒等が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が代表的なものとして挙げられ、これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少ない、着色がしにくいなどの観点から、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。また、抗ウイルス剤含有層が後述する紫外線吸収剤を含有する場合、電子線硬化性樹脂組成物の方が抗ウイルス剤含有層の架橋密度を高くしやすく、耐擦傷性及び耐汚染性を良好にしやすい点でも好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線硬化性官能基としては、エポキシ基及びオキセタニル基も挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性化合物は、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー(「重合性プレポリマー」と呼称されることもある)の中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
《添加剤》
抗ウイルス剤含有層は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、マット剤及び着色剤等の添加剤を含有していてもよい。
《厚み》
抗ウイルス剤含有層の厚みは、加工特性及び耐擦傷性のバランスの観点から、例えば、1.0μm以上10,000μm(1cm)以下とすることができる。
抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを抗ウイルス剤含有層の単層から構成する場合、抗ウイルス剤含有層の厚みは厚めにすることが好ましい。単層の場合、抗ウイルス剤含有層の厚みは、1.0μm以上10,000μm以下が好ましく、10μm以上5,000μm以下がより好ましい。
一方、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットが、基材を有する形態の場合は、自己支持性及び外力への耐久性は基材が担うこと、抗ウイルス剤含有層がある程度以上の厚みがあれば抗ウイルス性の効果は飽和すること、及び抗ウイルス剤含有層の厚みが厚くなるに伴って加工適性が低下すること等を勘案すると、抗ウイルス剤含有層の厚みは薄膜とすることが好ましい。基材を有する形態の場合、抗ウイルス剤含有層の厚みは、加工特性及び耐擦傷性のバランスの観点から、1.5μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下がさらに好ましい。
<基材>
基材は、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットに耐久性と適度な可撓性を付与することができ、かつ、デスク又はテーブルマットが厚くなりすぎない程度の薄いフィルム状又はシート状の材料が好ましく用いられる。材質は特に制約されず、樹脂、金属、繊維質等の材質を利用できる。
樹脂系基材としては、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン -スチレン(ABS)共重合体等の樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物のシートが挙げられる。金属系基材としては、例えば、アルミ箔が挙げられる。繊維系基材としては、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、和紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、パラフィン紙、パーチメント紙、グラシン紙、壁紙用裏打紙、板紙及び石膏ボード用原紙等の紙、ポリエステル樹脂繊維、アクリル樹脂繊維、絹、木綿、麻等の蛋白質系又はセルロース系の天然繊維、硝子繊維、炭素繊維、等の繊維からなる織布又は不織布が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物のシートが好ましく用いられる。
基材の厚みも特に制限はないが、製造加工適性、機械的強度、使用取扱性、及び経済性の観点から、一般的には、20μm以上500μm以下のフィルム又はシート状基材が用いられる。
基材は、抗ウイルス剤含有層10を構成する他層との密着性の向上、あるいは、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの裏面が基材で形成されている場合にはテスク又はテーブルの天面との密着性の向上のため、基材の片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
<粘着剤層>
粘着剤層50は、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の裏面側、すなわち当該マットをデスク又はテーブル上に敷いたときにデスク又はテーブルの天面と向き合う側の面上に設けられる。抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、粘着剤層50を介して抗ウイルスデスク又はテーブルの天面に接着する。
かかる粘着剤層50は、通常の接着剤とは異なり、単に接触し加圧することにより瞬時に接着力が発現する為、接着力発現のために時間経過、乾燥等の処理、加熱や電離放射線照射等のエネルギー供給等は不要である。そのため、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100を、デスク又はテーブルの天面に容易に接着でき、その天面に抗ウイルス性を付与することが可能となる。また、粘着剤層50の粘着力を弱めに設定することより、接着時に位置ズレ、皺、弛み等の接着不具合が生じた場合に、当該抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100を一旦剥離した後、不具合を解消した上で剥離した当該抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100を再度接着し直す(貼り直す)ことが可能となる。
抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の裏面側に粘着剤層50を設けることにより、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100を、例えば、アクリル樹脂板、メラミン化粧板、ウレタン塗装板、ポリエステル化粧板、PVC、ABSなどの樹脂系材料、ガラス、ケイ酸カルシウム板、モルタル、アルミニウム、ステンレス、石膏ボードなどの無機系又は金属系材料、シナベニヤ、中密度繊維板(MDF)などの木質系材料からなる被着体の表面に貼付することができ、さらに再剥離及び再貼付することができる。
抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを再剥離及び再貼付しやすくするためには、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの評価サンプルをJIS Z0237に準拠した方法で被着体に貼り付け、180度方向に引いて剥離する試験において、貼り付け20分後及び24時間後の両時点での粘着力が0.5N/25mm~5N/25mmであることが好ましい。抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの粘着性能をこの範囲内とすることにより、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットが汚れた場合又は抗ウイルス剤の効果が低下した場合に、容易に交換することが可能となる。
本実施形態では、粘着剤層50は、図6あるいは図7(a)~(c)に示すように、その被着体であるデスク又はテーブルの天面W側(後述する離型性支持体シート60側、換言すれば抗ウイルス剤含有層10の側の面とは反対側)の面に、貼り直しを容易化する目的の微小凹部群として、複数の線條凹部からなる溝部又は複数の半球状凹部51が形成されていることが好ましい。尚、斯かる微小凹部群51は、特に溝部形態の場合は「溝部51」と称呼し、特に半球状凹部形態の場合は「半球状凹部51」と称呼する。
粘着剤層50を図示する図7において、(a)はデスク又はテーブルの天面W面側からの斜視図、(b)はデスク又はテーブルの天面W面側からの平面図、(c)はデスク又はテーブルの天面W面側を下向きとした断面図である。以下、粘着剤層50の被着体側の面に形成した微小凹部群51が複数の溝部51とされている好ましい形態について説明する。
図7(a)~(c)に示すように、溝部51の間は、凸部52となっており、この凸部52の頂面が貼付面50aを形成している。溝部51は、粘着剤層50の面方向に平行な第1の方向d1と第2の方向d2とにそれぞれ配列されている。本好ましい形態では、第1の方向d1と第2の方向d2とは、90°で交差する例を示しているが、2つの方向の交差する角度は、これに限定されるものではない。また、本好ましい形態では、第1の方向d1において配列される溝部51と、第2の方向d2に配列される溝部51の配列ピッチや幅、深さが等しい例を示したが、これに限らず、これらの設定を適宜変更してよい。
図7(a)~(c)に示すように、溝部51の断面形状は、本好ましい形態では、矩形形状としたが、これに限らず、三角形形状や五角形形状等の多角形形状としてもよいし、半円形状等のような円形形状の一部や楕円形状の一部形状としてもよいし、適宜変更してよい。
この溝部51の深さ(粘着剤層50の厚み方向の寸法)は、3μm以上50μm以下であり、好ましくは15μm以上25μmである。また、溝部51の第1の方向d1及び第2の方向d2における幅は、100μm以上300μm以下とすること好ましい。さらに、溝部51の第1の方向d1及び第2の方向d2における配列ピッチは、500μm以上1500μm以下とすることが好ましい。
上記寸法範囲を満たす溝部51とすることにより、空気を外部に容易に排出することができ、デスク又はテーブルの天面Wと粘着剤層50との間に空気が貼り込まれてふくらみとなることを抑制でき、貼付作業が容易となる。さらに、溝部51による空間を有した状態で凸部52の表面のみで被着体Wに貼付されるので、容易に貼り直すことができる。
本好ましい形態の一例として、溝部51は、幅が300μm、深さが20μm、配列ピッチが1000μmである。
又、微小凹部群51を半球状凹部とした形態も、貼り直しの適性が良好な好ましい粘着剤層50の形態である。微小凹部群51を半球状凹部とした粘着剤層としては、特許第6553792号公報に開示の如き形態を採用する事が出来る。斯かる半球状凹部51を有する粘着剤層は、粘着剤層50の少なくとも被着体側表面に、周縁輪郭部まで連通した溝では無く、周囲が互いに孤立し分離した半球状の凹陥部(開口部でもある)を多数有する。半球状凹部51の平面視(図6に於いては、Z軸の-(マイナス)方向からの観察)した場合の半球状凹部51の平均直径は1μm~300μm、半球状凹部51の面密度は粘着剤層50の密度に換算した場合に0.1g/cm~0.6g/cm、粘着剤層50の厚みは1μm~500μmとすることが出来る。
半球状凹部51は、特許第6553792号公報に開示の如く、粘着剤層50の両面に形成しても良いが、本発明に於いては、少なくとも、粘着剤層50の被着体側に形成されていれば足りる。
粘着剤層50の構成材料及び製造方法については、特開2017-36404号公報に開示の如き液状の樹脂組成物(アクリルエマルジョン)を用い、特許第6553792号公報に開示の如く剥離性基材シート上に塗工した液状樹脂組成物を加熱乾燥して製造することが好ましい。
粘着剤層50に使用する粘着剤としては公知の各種粘着剤の中から、所望の接着力、耐久性、その他諸性能に応じて、適宜のものを選択することができる。
かかる粘着剤の主成分の樹脂材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム等からなるゴム系樹脂、ポリアクリル酸2-エチルヘキシルのようなアクリル酸アルキルエステル重合体、メタアクリル酸アルキルエステル重合体等のアクリル系モノマー単独又は共重合体からなるアクリル系樹脂、その他、ポリビニルブチラール、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニルグラフト重合体にジオクチルフタレートを可塑剤として添加したもの等が用いられる。
粘着剤の主原料は、市販品として入手することもできる。例えば、アクリル系樹脂として、(日本ペイント・インダストリアルコーティングス製、商品名:パワータイトWQ-1000)が挙げられる。
更に必要に応じて、粘着付与剤としてロジン、ダンマル、テルペン変性体等、架橋剤としてイソシアネート化合物等、体質顔料として炭酸カルシウム、シリカ、タルク、カオリナイト等の粒子、顔料としてカーボンブラック、チタン白、弁柄、黄鉛、フタロシアニンブルー等の粒子、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等を適量添加してなる。
かかる粘着剤をロールコート法、コンマコート法、転写法等の公知の塗工法により抗ウイルス剤含有層10の一方の面側上に塗工して粘着剤層50とする。粘着剤層50の塗工後の厚みは5~100μm程度である。
なお、ここで転写法とは、揮発性溶剤を含む粘着剤の液状組成物を、一旦、離型性支持体シート60上に所望の厚みに塗工し、溶剤乾燥後にかかる粘着剤層を、その接着力により、抗ウイルス剤含有層10の一方の面側上に離型性支持体シート60と共に接着し、しかる後、離型性支持体シート60のみを粘着剤層及び抗ウイルス剤含有層の積層体から離型し、除去することで、抗ウイルス剤含有層の所望の一方の面上に粘着剤層50を形成する間接的塗工方法を意味する。かかる転写法は、粘着剤組成物中の溶剤によって、抗ウイルス剤含有層10自体に膨潤、溶解等の変質を生じたり、抗ウイルス剤の機能低下や変質が生じ得る場合に有効な塗工法である。
<離型性支持体シート>
離型性支持体シート60は、図8(a)に示すように、粘着剤層50の抗ウイルス剤含有層10と向き合う面とは反対側(裏面側)の面に積層されている。離型性支持体シート60は、粘着剤層50から容易に剥離可能である。また、離型性支持体シート60は、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100をデスク又はテーブルの天面Wへ貼付するまでの間の取扱性を考慮して設けられるものであり、粘着剤層50の貼付面50aを保護する機能を有する。
離型性支持体シート60は、従来公知の離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、剥離フィルム、剥離紙等の各種形態のものを適宜使用できる。例えば、離型性支持体シート60は、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の片面又は両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層は、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。
離型層を備えた離型フィルムを用いる場合には、例えば、シリコーン離型タイプのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、未処理PETフィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、シリコーン離型タイプの紙等を用いることができる。
離型性支持体シート60の厚みは、10μm以上150μm以下とすることが望ましく、10μm以上100μm以下とすることが望ましく、20μm以上60μm以下とすることがさらに望ましい。離型性支持体シート60の厚みが10μm未満となると、コシがなく、剥離しにくくなる。また、離型性支持体シート60の厚みが150μmを超えると、コシが強すぎて貼り付け時の作業性が低下する。
これらの観点から、離型性支持体シート60の厚みは、上述の範囲が好ましい。
本発明の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを大量生産する場合には、抗ウイルス剤含有層10の一面側に、直接又は基材20等の他の層を介して粘着剤層50及び離型性支持体シート60を積層することによって大面積の原反を製造し、その原反を打ち抜き加工等の方法で所定の寸法、形状に裁断し、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットとする。
この裁断時に、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの原反がカールしていると、打ち抜き加工等の方法で所定の寸法、形状に裁断するときに作業性に劣り、裁断して得られた抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを使用するときもデスク又はテーブル上に貼付しにくいため、カールしにくい離型性支持体シートを用いることが好ましい。カールしにくい離型性支持体シートの好ましい例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)系等の樹脂シート又はフィルム、あるいは芯材層の両面をポリエチレンで積層してなる複合シートがある。
両面ポリエチレンラミネート複合シートは、押し出しラミネーション等の積層法によって芯材の両面にポリエチレン層を形成することにより製造することができる。両面ポリエチレンラミネート複合シートの芯材としては、例えば、クルパック紙や上質紙等の紙、クラフト紙などを用いることができるが、平滑性などの点からクルパック紙や上質紙等の紙が好ましい。両面に積層されるポリエチレンとしては、LDPE、LLDPE、HDPEなどを適宜用いることができる。
両面ポリエチレンラミネート複合シートの芯材層及びポリエチレン層の厚さは特に限定されないが、例えば、芯材層の厚さを50μm~150μmとし、ポリエチレン層の厚さを両面それぞれ10μm~30μmとすることができる。
両面ポリエチレンラミネート複合シートとしては、例えば、住友化学加工紙株式会社製のスミリーズSLK-73Z(商品名)を好適に用いることができる。
アクリル系樹脂を含む粘着剤層、特に被着体に対する粘着性の観点からアクリル系樹脂を50質量%以上含む粘着剤層に、両面ポリエチレンラミネート複合シートを積層、被覆する場合には、外部環境に依存した湿度の吸放出によるカールなどの変形を特に抑制できるため、打ち抜き加工性やテーブルマットとして使用する時の施工性に優れる。
また、本発明の抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの原反を、打ち抜き加工等の方法で所定の寸法、形状に裁断するときに、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの端部から粘着剤のはみ出しが生じると、裁断刃に粘着剤が付着し、その裁断刃から次に裁断した抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの表面に粘着剤が移行し付着するため、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの端部で抗ウイルス性能が発現しにくくなる恐れがある。また、裁断した抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを積み重ねて搬送するときに、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの自重により端部から粘着剤がはみ出し、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの表面に粘着剤が付着するため、粘着剤が付着した部分では抗ウイルス性能が発現しにくくなる恐れがある。
また、本発明の粘着剤層付きの抗ウイルス性デスク又はテーブルマットを、離型性支持体シートの粘着剤層形成側の表面に粘着剤層をコーティング(塗工)して製造する場合の問題として、コーティング時に粘着剤層に生じる部分的欠落(不形成領域、抜け)、筋、ムラ等の欠点の検知が困難なことがある。これは、通常の離型性支持体シートの(粘着剤層形成側)表面は明度の高い無彩色又は淡い褐色系統の色であり、且つ粘着剤層も明度の高い無彩色であり、両者の色差が小さいためである。
このような粘着剤のはみ出し、欠点、或いはその両者を発見しやすくするために、粘着剤層と離型性支持体シートのCIE(国際照明委員会)1976年規定のL*a*b*表色系における色差ΔEを7以上とすることが好ましく、10以上とすることがより好ましい。粘着剤層と離型性支持体シートの色差ΔEを一定以上とすることにより、粘着剤のはみ出し、欠点、或いはその両者を生じた不良品を検知して、選別、排除することが可能になる。また、斯かる粘着剤層のはみ出しや欠点を無くす或いは低減させるように粘着剤層のコーティング条件にフィードバック制御をかけることも可能となる。
粘着剤層と離型性支持体シートのCIE(国際照明委員会)1976年規定のL*a*b*表色系における色差ΔEの測定方法は特に限定されないが、一例として、以下のような方法で測定することができる。
先ず、粘着剤層及び離型性支持体シートの測定サンプルを用意する。次に、分光測色計(「Spectrolino」(型番)、GretagMacbeth社製)を用いて、粘着剤層及び離型性支持体シートの各測定サンプルについて、L*a*b*値を測定する。そして、測定値から各サンプルの色差(ΔE*ab)を算出する。
色差(ΔE*ab)は、粘着剤層の測定値をL*1、a*1及びb*1とし、離型性支持体シートの測定値をL*2、a*2及びb*2としたときに、下記の数式で算出することができる。
ΔEab=〔(L*2-L*1+(a*2-a*1+(b*2-a*21/2
<試験装置>
ダイプラ・ウィンテス社製の商品名「ダイプラ・メタルウェザー」
<照射条件>
照度:65mW/cm、ブラックパネル温度:63℃、槽内湿度:50%RH、時間:20時間
<結露条件>
照度:0mW/cm、槽内湿度:98%RH、時間:4時間
粘着剤層50のデスク又はテーブルの天面W側(離型性支持体シート60側)の面に、複数の溝部51が形成されている上記好ましい例においては、粘着剤の塗工を、粘着剤層の溝部51と相補的な凸形状を有する離型性支持体シートを用いる転写法により行うことが好ましい。粘着剤層50のデスク又はテーブルの天面W側(離型性支持体シート60側)の面に、複数の溝部51を容易に形成することができるからである。
以下、粘着剤層50のデスク又はテーブルの天面W側(離型性支持体シート60側)の面に、複数の溝部51を転写法により形成する場合における離型性支持体シート60について説明する。
この場合に用いられる離型性支持体シート60は、図8(a)に示すように粘着剤層50側となる面に、エンボス加工や印刷等により、多数の筋状の凸部61が形成されている。この凸部61は、粘着剤層50の溝部51に対応する形状を有するものであり、第1の方向d1及び第2の方向d2に相当する方向に所定の間隔で配列されている。
先ず、粘着剤層50の溝部51に対応する凸形状を有する離型性支持体シート60の表面に、溶剤に溶解又は加熱溶融することで溶融状態にした粘着剤を塗布し、冷却又は溶剤乾燥により固化させて、溝部51を有する粘着剤の塗膜を形成する。別の方法として、粘着剤層50の溝部51に対応する凸形状を有する離型性支持体シート60の表面に、粘着剤からなるシートを重ねて圧接することによって、溝部51を有する粘着剤の塗膜を形成してもよい。
このような方法により、離型性支持体シート60上に、溝部51を有する粘着剤の塗膜が積層された積層体を作製した後、この積層体の粘着剤塗膜を有する側の面を、図8(a)に示すように抗ウイルス剤含有層10の裏面側に直接、又は、図示されていないが抗ウイルス剤含有層10の裏面側にあらかじめ積層しておいた基材20等の層に重ね、積層することによって、粘着剤層50のデスク又はテーブルの天面W側(離型性支持体シート60側)の面に、複数の溝部51を容易に形成することができる。
次に、本好ましい形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100をデスク又はテーブルの天面Wへ貼付する方法を説明する。
まず、図8(b)に示すように、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100から離型性支持体シート60を剥離する。
そして、図6に示すように、粘着剤層50の貼付面50aを被着体Wへ密着させ、適宜圧力を付加する。これにより、抗ウイルス性粘着シート100がデスク又はテーブルの天面Wに貼付される。
このとき、図6に示すように、粘着剤層50の多数の凸部52の頂面がデスク又はテーブルの天面Wの表面に密着し、かつ、溝部51の底部に相当する部分がデスク又はテーブルの天面Wの表面から離間した状態に保持される。すなわち、デスク又はテーブルの天面Wと粘着剤層50との間には、溝部51による空間が形成されている。このような空間が形成されることにより、湿気吸収等によりデスク又はテーブルの天面Wの表面に現れた水蒸気やデスク又はテーブルの天面Wの表面から放出された水蒸気等が、この空間を通過し、抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100の端部等から外部へ容易かつ効率よく排出される。
したがって、水蒸気による抗ウイルス剤含有層10の表面の膨れや剥離、湿気の残留によるデスク又はテーブルの天面の錆や腐食による劣化、カビの発生等を抑制することができ、抗ウイルス剤含有層10を高い耐久性を維持してデスク又はテーブルの天面に貼付することができる。
また、このような空間が形成されることにより、空気を外部に容易に排出することができ、デスク又はテーブルの天面と粘着剤層50との間に空気が貼り込まれてふくらみとなることを抑制でき、貼付作業が容易となる。
さらに、溝部51による空間を有した状態で凸部52の表面のみでデスク又はテーブルの天面に貼付されるので、容易に貼り直すことができる。
<接着剤層>
基材20上に抗ウイルス剤含有層10を積層するための接着剤層30を構成する接着剤としては、汎用の接着剤である、湿気硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤、乾燥硬化型接着剤、UV硬化型接着剤、感熱接着剤(例えば、ホットメルト型接着剤)、前記の粘着剤層50で例示した物と同様の粘着剤等が挙げられる。前述した各種の接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、これらの中でも、ウレタン系接着剤が接着力の点で好ましい。
ウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ポリオール化合物と、イソシアネート化合物等の硬化剤とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。
接着剤層の厚みは、0.1μm以上60μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましく、5μm以上40μm以下がさらに好ましい。
<第2基材>
第2基材としては、上述した基材と同様のものが挙げられる。
第2基材は、抗ウイルス剤含有層を形成する際の支持体として用いられることが多い。このため、第2基材は取り扱い性のため樹脂基材が好ましい。また、第2基材の厚みは、取り扱い性のため、10~300μmが好ましく、20~200μmがより好ましく、30~150μmがさらに好ましい。
〔抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの性能〕
<抗ウイルス活性値>
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、下記の手法により測定される抗ウイルス活性値が2.0以上であることが好ましい。下記の手法は、ISO21702に準拠した手法である。
《抗ウイルス活性値の測定方法》
5cm角の試験片(抗ウイルス加工品と無加工品)に0.4mlのウイルス液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆する。この試験片を25℃×24時間静置。静置後、試験片上のウイルスを洗いだして回収し、ウイルス感染価を測定する。次式(1)により抗ウイルス活性値を算出する。
R=Ut-At (1)
R:抗ウイルス活性値
Ut:無加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均At:抗ウイルス加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数の平均
<ヘイズ>
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100が透明性を有する形態においては、曇り硝子のような高ヘイズが要求される場合と、低ヘイズが要求される場合とがある。低ヘイズが要求される場合には、ヘイズが30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。ヘイズとは、JIS K7136:2000に規定されるヘイズを意味する。ヘイズを低くするためには、抗ウイルス剤の屈折率とバインダー樹脂との屈折率差を小さくしたり、抗ウイルス剤の含有量を少なくしたり、抗ウイルス剤含有層の厚みを薄くすることが好ましい。
<カール性>
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、打ち抜き加工前の粘着機能付き抗ウイルス性シートをA4版サイズにカットして、水平な台の上に設置し、水平方向から目視にて測定したときに、カール高さが30mm以内であることが好ましい。
<粘着力>
本実施形態の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット100は、被着体に貼り付けた後の経過時間が20分及び24時間の両時点において下記の手法により測定される粘着力が、1N/25mm~5N/25mmの範囲であることが好ましい。下記の手法は、JIS Z0237に準拠した手法である。
《粘着力の測定方法》
JIS Z0237に準拠した方法で、粘着機能付き抗ウイルス性シートを幅25mm×長さ100mmの寸法に切り出し、当該粘着シートを所定の被着体に貼り付け、貼り付け20分後と24時間後の時点で180度方向に引っ張り剥離することで粘着力を測定する。
以下、実施例を用いて、本開示を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実験1:実施例1~4、比較例1~2〕
[実施例1]
(1)抗ウイルス性樹脂組成物cの調製
多官能ウレタンオリゴマー70質量部及び2官能オリゴマー30部からなる電離放射線硬化性樹脂組成物(以下「電離放射線硬化性樹脂組成物C」)を準備した。
また、スチレンポリマ―誘導体粒子を含有する粒子(粒子A)として、島貿易株式会社製のポリスチレンスルホン酸誘導体(商品名:VERSA-TL3)を準備し、不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子(粒子B)として、BYK製の溶剤系不飽和ポリカルボン酸ポリマー(商品名:BYK-P104)を乾燥成形した粒子を準備した。そして、前記ポリスチレンスルホン酸誘導体粒子Aと前記不飽和ポリカルボン酸ポリマー粒子Bを質量比1:1の割合で含む粒子からなる抗ウイルス剤cを調製した。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物Cを100質量部、及び、前記ポリスチレンスルホン酸誘導体粒子Aと前記不飽和ポリカルボン酸ポリマー粒子Bを質量比1:1の割合で含む抗ウイルス剤cを3質量部を混合し、抗ウイルス性樹脂組成物cを得た。
(2)抗ウイルス性デスクマットの製造
両面コロナ放電処理を施した基材(厚み60μmの酸化チタン含有ポリプロピレン樹脂シート)の一方の面に、2液硬化型のアクリル-ウレタン樹脂及び着色剤を含む装飾層用インキをグラビア印刷法で塗布、乾燥して、厚み3μmの木目模様の装飾層を形成した。
次いで、装飾層上に、ウレタン樹脂系接着剤からなる厚み3μmの接着剤層を形成し、さらに、接着剤層上に、ポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出し、厚み80μmの透明性樹脂層を形成した。
次いで、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、透明性樹脂層上に、プライマー層用インキをグラビア印刷法で塗布、乾燥し、厚み2μmのプライマー層を形成した。
次いで、プライマー層上に、上記抗ウイルス性樹脂組成物cをロールコート法で塗布して未硬化の硬化物層を形成し、60℃で1分間乾燥させた後、電子線(加圧電圧:125kV、5Mrad(50kGy))を照射し抗ウイルス性樹脂組成物cを架橋硬化して、厚み15μmの抗ウイルス剤含有表面樹脂層を形成し、実施例1の抗ウイルス性デスクマットを得た。抗ウイルス剤含有表面樹脂層中の抗ウイルス剤濃度は、抗ウイルス剤cの全体濃度が2.91質量%であり、そのうちポリスチレンスルホン酸誘導体が1.455質量%、不飽和ポリカルボン酸ポリマーが1.455質量%である。
<実施例1の抗ウイルス性デスクマットの層構成>
PP系基材(60μm)/絵柄インキ層(3μm)/接着剤層(3μm)/透明性樹脂層(80μm)/プライマー層(2μm)/抗ウイルス剤含有表面樹脂層(15μm、抗ウイルス剤濃度:2.91質量%)
[実施例2]
(1)抗ウイルス性樹脂組成物b1の調製
電子線硬化性アクリレート樹脂及び多官能モノマーを主体とする電子線硬化性樹脂100質量部に、シリコーンアクリレート1.5質量部(官能基当量約500)、及び固形分基準で80%となるように溶媒としてメチルエチルケトンを20質量部加えてなる電子線硬化性樹脂組成物(以下「電子線硬化性樹脂組成物B」と称する。)を準備した。
また、リン酸硝子、銀及び亜鉛を含む粒子(平均粒子径:3μm)からなる抗ウイルス剤bを準備した。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物Bを100質量部、及び上記リン酸硝子、銀及び亜鉛を含む粒子からなる抗ウイルス剤bを10質量部を混合し、抗ウイルス性樹脂組成物b1を得た。
(2)抗ウイルス性デスクマットの製造
PET基材表面に、抗ウイルス性樹脂組成物b1をロールコート法で塗布し、60℃で1分乾燥させた後、電子線(加速電圧:175kV、5Mrad)を照射し抗ウイルス性樹脂組成物b1を架橋硬化して、厚み8μmの抗ウイルス剤含有表面樹脂層を形成し、実施例2の抗ウイルス性デスクマットを得た。抗ウイルス剤含有表面樹脂層の抗ウイルス剤濃度は9.09質量%である。
<実施例2の抗ウイルス性デスクマットの層構成>
PET基材/抗ウイルス剤含有表面樹脂層(8μm、抗ウイルス剤濃度:9.09質量%)
[実施例3]
(1)抗ウイルス性樹脂組成物b2の調製
上記実施例2において、電子線硬化性樹脂組成物Bを100質量部に対し、リン酸硝子、銀及び亜鉛を含む粒子からなる上記抗ウイルス剤bの割合を3質量部に変更したこと以外は実施例2と同様の手順で、抗ウイルス性樹脂組成物b2を得た。
(2)抗ウイルス性デスクマットの製造
上記実施例2において、抗ウイルス性樹脂組成物b1に替えて、抗ウイルス性樹脂組成物b2を用いたこと以外は実施例2と同様の手順で、実施例3のデスクマットを得た。抗ウイルス剤含有表面樹脂層の抗ウイルス剤濃度は2.91質量%である。 <実施例3の抗ウイルス性デスクマットの層構成>
PET基材/抗ウイルス剤含有表面樹脂層(8μm、抗ウイルス剤濃度:2.91質量%)
[実施例4]
(1)抗ウイルス性樹脂組成物dの調製
上記実施例1の抗ウイルス性樹脂組成物cの調製工程において、抗ウイルス性粒子c(粒子Aと粒子Bの質量比1:1混合物)に替えてPolysciences社製のスチレン樹脂粒子(商品名:ミクロスフェア(4.5μm))からなる抗ウイルス剤dを同量用い、抗ウイルス性樹脂組成物dを調製した。
(2)抗ウイルス性デスクマットの製造
上記実施例1において、抗ウイルス性樹脂組成物cに替えて抗ウイルス性樹脂組成物dをインキとして用い抗ウイルス剤を含有する表面樹脂層を形成したこと以外は実施例1と同様の手順で、実施例4の抗ウイルス性デスクマットを製造した。抗ウイルス剤含有表面樹脂層中の抗ウイルス剤濃度は2.91質量%である。
<実施例4の抗ウイルス性デスクマットの層構成>
PP系基材(60μm)/絵柄インキ層(3μm)/接着剤層(3μm)/透明性樹脂層(80μm)/プライマー層(2μm)/抗ウイルス剤含有表面樹脂層(15μm、抗ウイルス剤dの濃度:2.91質量%)
[比較例1]
実施例1において、抗ウイルス性樹脂組成物cに替えて、実施例1で準備した電離放射線硬化性樹脂組成物C(抗ウイルス剤は無添加)を用いたこと以外は実施例1と同様の手順で、抗ウイルス剤を含有しない表面樹脂層を形成し、比較例1のデスクマット(抗ウイルス剤なし)を得た。
[比較例2]
実施例2において、抗ウイルス性樹脂組成物b1に替えて、実施例2で準備した電離放射線硬化性樹脂組成物B(抗ウイルス剤は無添加)を用いたこと以外は実施例2と同様の手順で、比較例2のデスクマット(抗ウイルス剤なし)を得た。
[ウイルス感染価の測定及び抗ウイルス活性値の算出]
ISO21702に準拠した上述の手法により、実施例、比較例で得られたデスクマットのウイルス感染価を測定し、各測定値を常用対数に換算した。
実施例1及び4のウイルス活性値は、比較例1(無加工品)のウイルス感染価(常用対数値)から実施例1又は4(加工品)のウイルス感染価(常用対数値)を差し引くことによって算出した。
実施例2及び3のウイルス活性値は、比較例2(無加工品)のウイルス感染価(常用対数値)から実施例2又は3(加工品)のウイルス感染価(常用対数値)を差し引くことによって算出した。
各実施例のウイルス活性値を下記評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
2:抗ウイルス活性値2.0以上であった。
1:抗ウイルス活性値0.5以上、2.0未満であった。
0:抗ウイルス活性値0.5未満であった。
評価結果を表1に示す。
Figure 2022117396000002
抗ウイルス剤c:ポリスチレンスルホン酸誘導体粒子Aと不飽和ポリカルボン酸ポリマー粒子Bを質量比1:1の割合で含む混合粒子
抗ウイルス剤b:リン酸硝子、銀及び亜鉛を含む粒子(平均粒子径:3μm)
抗ウイルス剤d:スチレン樹脂粒子(Polysciences社製、商品名:ミクロスフェア(4.5μm))
[実施例1~4、比較例1~2の評価結果]
実施例1~4は、抗ウイルス剤を含有する表面樹脂層を有するデスクマットである。実施例1~4のデスクマットは、同じ樹脂組成物を用いて形成した抗ウイルス剤無添加の表面樹脂層を有する比較例のデスクマットと比べて、抗ウイルス活性を有していた。
〔実験2:実施例5~10、比較例3~6〕
[実施例5]
主成分がアクリル酸2-エチルヘキシル単位であるアクリル系樹脂(日本ペイント・インダストリアルコーティングス製、商品名:パワータイトWQ-1000)を撹拌し、気泡を含ませることで、比重0.4g/cmの粘着剤を調製した。また、両面ポリエチレンラミネートフィルムからなる離型性支持体シートとして、住友化学加工紙株式会社製、商品名:スミリーズSLK-73Zを用いた。スミリーズSLK-73Zは、次の層構成及び厚みを有する。層構成[シリコーン離型処理層/ポリエチレン層/坪量73g/mのクルパック紙/ポリエチレン層]、厚み:113~137μm、坪量:105~115g/m
得られた粘着剤を、コンマコータを用いて両面ポリエチレンラミネートフィルムからなる離型性支持体シート(上記商品名:スミリーズSLK-73Z)のシリコーン離型処理面に、乾燥時塗工量約30g/mとして塗工し、約100℃の乾燥炉内で乾燥することにより、粘着剤層/離型性支持体シートの部分積層体を作製した。
前記実施例1で得られた抗ウイルス性デスクマットの裏面側、すなわちPP系基材が露出する面に、部分積層体の粘着剤層を向き合わせ、貼り合わせ、粘着剤層付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
作製した抗ウイルス性デスクマットを打ち抜き加工機にて、短辺420mm×長辺680mm、かつ、四隅が曲率半径R20mmの辺縁形状を有する略矩形に打ち抜くことにより、実施例6の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットとした。
<実施例5の抗ウイルス性デスクマットの層構成>
PP系基材(60μm)/絵柄インキ層(3μm)/接着剤層(3μm)/透明性樹脂層(80μm)/プライマー層(2μm)/抗ウイルス剤含有表面樹脂層(15μm、抗ウイルス剤cの濃度:2.91質量%)/粘着剤層(約30g/m)/離型性支持体シート(両面ポリエチレンラミネートフィルム)
[実施例6]
前記実施例5において、前記実施例1で得られた抗ウイルス性デスクマットに替えて、前記実施例4で得られた抗ウイルス性デスクマットを用いたこと以外は実施例5と同様の手順で、実施例6の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
<実施例6の抗ウイルス性デスクマットの層構成>
PP系基材(60μm)/絵柄インキ層(3μm)/接着剤層(3μm)/透明性樹脂層(80μm)/プライマー層(2μm)/抗ウイルス剤含有表面樹脂層(15μm、抗ウイルス剤dの濃度:2.91質量%))/粘着剤層(約30g/m)/離型性支持体シート(両面ポリエチレンラミネートフィルム)
[実施例7]
前記実施例5において、主成分がアクリル酸2-エチルヘキシル単位であるアクリル系樹脂(日本ペイント・インダストリアルコーティングス製、商品名:パワータイトWQ-1000)からなる粘着剤の比重を、0.4g/cmから0.5g/cmに変更したこと以外は実施例5と同様の手順で、前記実施例1で得られた抗ウイルス性デスクマットを用いた実施例7の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
[実施例8]
前記実施例6において、主成分がアクリル酸2-エチルヘキシル単位であるアクリル系樹脂(日本ペイント・インダストリアルコーティングス製、商品名:パワータイトWQ-1000)からなる粘着剤の比重を、0.4g/cmから0.5g/cmに変更したこと以外は実施例6と同様の手順で、前記実施例4で得られた抗ウイルス性デスクマットを用いた実施例8の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
[実施例9]
前記実施例5において、粘着剤の乾燥時塗工量を約30g/mから約50g/mに変更したこと以外は実施例5と同様の手順で、前記実施例1で得られた抗ウイルス性デスクマットを用いた実施例9の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
[実施例10]
前記実施例6において、粘着剤の乾燥時塗工量を約30g/mから約50g/mに変更したこと以外は実施例6と同様の手順で、前記実施例4で得られた抗ウイルス性デスクマットを用いた実施例10の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
[比較例3]
実施例5において、両面ポリエチレンラミネートフィルムからなる離型性支持体シート(住友化学加工紙株式会社製、商品名:スミリーズSLK-73Z)に替えて、片面ポリエチレンラミネートフィルム(住友化学加工紙株式会社製、商品名:スミリーズSL-70S(U2)、坪量70g/m)を用い、そのシリコーン離型処理面に粘着剤を塗布したこと以外は実施例5と同様の手順で、比較例3の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。片面ポリエチレンラミネートフィルムであるスミリーズSL-70S(U2)は、シリコーン/PE(ミラー)/半晒クラフトの積層構造を有する。
[比較例4]
実施例6において、両面ポリエチレンラミネートフィルムからなる離型性支持体シート(住友化学加工紙株式会社製、商品名:スミリーズSLK-73Z)に替えて、上記比較例3でも用いた片面ポリエチレンラミネートフィルム(住友化学加工紙株式会社製、商品名:スミリーズSL-70S(U2)、坪量70g/m)を用い、そのシリコーン離型処理面に粘着剤を塗布したこと以外は実施例6と同様の手順で、比較例4の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。
[比較例5]
実施例5において、粘着剤として主成分がアクリル酸2-エチルヘキシル単位であるアクリル系樹脂(日本ペイント・インダストリアルコーティングス製、商品名:パワータイトWQ-1000)に替えて、アクリル共重合体系樹脂(サイデン化学製、商品名:サイビノールATR-340)を用い、これを撹拌により比重1の粘着剤を調製したこと以外は実施例5と同様の手順で、比較例5の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。なお、粘着剤の塗工量は、実施例5と同じく約30g/mとした。
[比較例6]
実施例6において、粘着剤として主成分がアクリル酸2-エチルヘキシル単位であるアクリル系樹脂(日本ペイント・インダストリアルコーティングス製、商品名:パワータイトWQ-1000)に替えて、アクリル共重合体系樹脂(サイデン化学製、商品名:サイビノールATR-340)を用い、これを撹拌により比重1の粘着剤を調製したこと以外は実施例6と同様の手順で、比較例6の粘着機能付きの抗ウイルス性デスクマットを作製した。なお、粘着剤の塗工量は、実施例6と同じく約30g/mとした。
[カール性の評価]
打ち抜き加工前の粘着機能付き抗ウイルス性シートをA4版サイズにカットして、水平な台の上に設置し、水平方向から目視にて確認し、下記評価基準に基づいてカール高さを評価した。
<評価基準>
30mm以内:〇
30mmを超過:×
[粘着力の評価]
JIS Z0237に準拠した方法で、粘着機能付き抗ウイルス性シートを幅25mm×長さ100mmの寸法に切り出し、SUS304、メラミン化粧板、ウレタン塗装板をそれぞれ被着体として用いた。JIS Z0237に準拠した方法で粘着シートを被着体に貼り付け、貼り付け20分後と24時間後の時点で180度方向に引っ張り剥離することで粘着力を測定し、下記評価基準に基づいて粘着力を評価した。
<評価基準>
〇:貼り付け20分後と24時間後の両方の時点で1~5N/25mmの範囲
×:貼り付け20分後と24時間後のいずれかの時点で5N/25mmを超過
Figure 2022117396000003
[実施例5~10、比較例3~6の評価結果]
カール性評価では、離型性支持体シートを片面のみポリエチレンラミネートに変更した比較例3、4において、塗料印刷後の乾燥工程に起因して離型性支持体シート中の水分が蒸発したため、カール高さが30mmよりも大きくなり、『×』評価となった。それ以外の実施例および比較例は、離型性支持体シートとして両面ポリエチレンラミネートを用いたため、『〇』評価であった。
粘着力評価では、粘着剤を変更した比較例5、6において、20分後および24時間後のうち少なくともどちらかの時点で粘着力が5N/25mmよりも大きくなったため、『×』評価となった。それ以外の実施例および比較例は、20分後および24時間後の両時点で1~5N/25mmの範囲であることが観察されたため、『〇』評価であった。
100:抗ウイルス性デスク又はテーブルマット
10:抗ウイルス剤含有層
11:バインダー樹脂
12:抗ウイルス剤
20:基材
30:接着剤層
40:第2基材
50:粘着剤層
51:微小凹部群(溝部、又は、半球状凹部)
60:離型性支持体シート
70(70a、70b、70c、70d):隅部

Claims (9)

  1. 抗ウイルス剤含有層を有する抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  2. 基材の少なくとも一面側に、前記抗ウイルス剤含有層として抗ウイルス剤を含有する表面樹脂層を備えた請求項1に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  3. 前記抗ウイルス剤含有層の一方の面側に、直接または他の層を介して粘着剤層が積層された請求項1又は2に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  4. JIS Z0237に従って、抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの前記粘着剤層をSUS304ステンレス板に貼り付け、貼り付け20分後の時点、及び、24時間後の時点で180度方向に引っ張り剥離するときに測定される粘着力が、前記の両時点において0.5N/25mm~5N/25mmである請求項3に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  5. 前記粘着剤層の前記抗ウイルス剤含有層と向き合う面とは反対の面側に離型性支持体シートが積層されており、粘着剤層と離型性支持体シートのCIE1976年規定のL*a*b*表色系における色差ΔEが7以上である、請求項3又は4に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  6. 前記粘着剤層の前記抗ウイルス剤含有層と向き合う面とは反対の面側に離型性支持体シートが積層されており、離型性支持体シートはクルパック紙及び上質紙よりなる群から選ばれる芯材層の両面にポリエチレンを積層してなる複合シートである、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  7. 前記粘着剤層はアクリル系樹脂を含む粘着剤層である、請求項6に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  8. 抗ウイルス性デスク又はテーブルマットの平面形状において、当該平面形状の外部方向に突出する隅部の外縁が曲率半径R10mm~30mmの範囲に丸められた形状を有している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
  9. 略矩形の平面形状を有し、その四隅の外縁が曲率半径R10mm~30mmの範囲に丸められた形状を有している、請求項8に記載の抗ウイルス性デスク又はテーブルマット。
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