JP2022053446A - 化粧材 - Google Patents

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【課題】触感及び低艶感を両立した化粧材を提供する。【解決手段】基材上に艶消層を有する化粧材であって、前記艶消層は、バインダー樹脂、樹脂粒子及び無機粒子を含み、前記化粧材を平面視した際に、前記艶消層は、前記無機粒子を含まず前記樹脂粒子を含む第1領域と、前記樹脂粒子を含まず前記無機粒子を含む第2領域とを有し、前記第1領域における前記艶消層の平均厚みをT1、前記第2領域における前記艶消層の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1である。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧材に関するものである。
各種の部材には、装飾を目的として化粧材が貼り合わせられる場合がある。各種の部材としては、家具及び建具等の内装材及び外装材;建築物の壁の表面;床、天井等の室内空間表面;腰壁、廻縁、鴨居等の造作部材の表面;建築物の外壁、屋根、戸袋、軒天井等の室外表面;柵、塀等の屋外構造物表面;窓枠、扉枠、扉、間仕切等の建具の室内表面又は室外部分の表面;箪笥、戸棚等の家具の表面;自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物の内部表面又は外部表面;各種家電製品、事務用機器等の表面などが挙げられる。
化粧材の基本的な層構成は、基材上に、絵柄層、表面保護層を有する層構成である。前記層構成の化粧材は、触感に乏しく、突板等の天然木材の触感を有していないものが多かった。しかし、近年、触感を改善することを目的とした化粧材が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2019-217740号公報 特開2004-262105号公報
特許文献1の化粧材は、エンボス加工により化粧材の表面に凹凸形状を付与することにより化粧材に触感を付与している。しかし、特許文献1のようなエンボス加工では、所望の凹凸パターンごとにエンボス版を作製する必要があるため、少量多品種の化粧材の生産には適さないという問題がある。
特許文献2の化粧材は、基材上に、特定の第1表面保護層と、平均粒径10~30μmの合成樹脂ビーズを含む第2樹脂層とを有し、第2表面保護層の表面に突出した合成樹脂ビーズを除く部分の平均膜厚が3~6μmであるものである。特許文献2の化粧材は、エンボス版を用いる必要はない。しかし、特許文献2の化粧材は、所定の触感を付与し得るものの、低艶感が不足するものであった。すなわち、特許文献2の化粧材は、触感と低艶感とを両立し得るものではなかった。化粧材の低艶感が不足する場合、天然木材等の自然物の外観を表現することが難しくなるため、化粧材の意匠性を高めることができない。
本発明は、このような状況下になされたもので、触感及び低艶感を両立した化粧材を提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明は、下記の[1]~[8]を提供する。
[1]基材上に艶消層を有する化粧材であって、
前記艶消層は、バインダー樹脂、樹脂粒子及び無機粒子を含み、
前記化粧材を平面視した際に、前記艶消層は、前記無機粒子を含まず前記樹脂粒子を含む第1領域と、前記樹脂粒子を含まず前記無機粒子を含む第2領域とを有し、
前記第1領域における前記艶消層の平均厚みをT1、前記第2領域における前記艶消層の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1である、化粧材。
[2]T1-T2が15μm以上60μm以下である、[1]記載の化粧材。
[3]前記第1領域内の全ての前記樹脂粒子のうち、頂部が前記バインダー樹脂で覆われている前記樹脂粒子の割合が50%以上である、[1]又は[2]記載の化粧材。
[4]前記第1領域内の全ての前記樹脂粒子のうち、頂部が前記バインダー樹脂で覆われている前記樹脂粒子の割合が50%未満である、[1]又は[2]の化粧材。
[5]前記樹脂粒子の平均粒子径をD1と定義した際に、D1が20μm以上70μm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧材。
[6]前記無機粒子の平均粒子径をD2と定義した際に、D2が5μm以上20μm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の化粧材。
[7]前記艶消層を前記基材上の一部に有する、[1]~[6]のいずれかに記載の化粧材。
[8]前記基材と前記艶消層との間に装飾層を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧材
本発明によれば、触感及び低艶感を両立した化粧材を提供することができる。
本発明の化粧材の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の化粧材の一実施形態を示す模式平面図である。
〔化粧材〕
本発明の化粧材は、基材上に艶消層を有する化粧材であって、前記艶消層は、バインダー樹脂、樹脂粒子及び無機粒子を含み、前記化粧材を平面視した際に、前記艶消層は、前記無機粒子を含まず前記樹脂粒子を含む第1領域と、前記樹脂粒子を含まず前記無機粒子を含む第2領域とを有し、前記第1領域における前記艶消層の平均厚みをT1、前記第2領域における前記艶消層の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1であるものである。
図1は、本発明の化粧材100の一実施形態を示す模式断面図であり、図2は、本発明の化粧材100の一実施形態を示す模式平面図である。
図1の化粧材100は、基材10上に、バインダー樹脂21、樹脂粒子22及び無機粒子23を含む艶消層20を有している。また、図1及び図2の化粧材100は、化粧材100を平面視した際に、艶消層20が、無機粒子を含まず樹脂粒子を含む第1領域R1と、樹脂粒子を含まず無機粒子を含む第2領域R2とを有している。また、図1及び図2の化粧材100は、第1領域R1及び第2領域R2を複数有している。
なお、本発明において「平面視」とは、化粧材の表面側から化粧材を平面方向に視認することを意味する。化粧材の表面側とは、基材を基準として艶消層を有する側を意味する。例えば、図1及び図2に示すXYZ座標系では、X軸方向及びY軸方向で表される平面が化粧材の表面に一致し、「平面視」とはZ軸方向から化粧材表面を見ることに相当する。
<基材>
基材の形態は、フィルム、シート及び板等の平板状のもの、並びに、多面体、多角柱、円柱、球面及び回転楕円体面等の三次元形状のもの等が挙げられ、特に制限はない。
なお、フィルム、シート及び板は、相対的に厚みの薄いものから順にフィルム、シート及び板と呼称される場合が多いが、本明細書においては、特に断りのない限り、これら3者を区別しない。
基材の構成材料としては、樹脂、金属、非金属無機材料、繊維質材料及び木質系材料等が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
基材は単層でもよいし、上記材料からなる層を2層以上積層したものであってもよい。基材が2以上の層の積層体の場合、異種材料の層を2層以上積層し、各層の材料の有する諸性能を互いに補完してなるものが好ましい。2層以上積層してなる基材の例としては、以下のA~Jが挙げられる。
(A)樹脂と木質系材料との積層
(B)樹脂と金属との積層
(C)樹脂と繊維質材料との積層
(D)樹脂と非金属無機材料との積層
(E)樹脂1と樹脂2との積層
(F)金属と木質系材料との積層
(G)金属と非金属無機材料との積層
(H)金属と繊維質材料との積層
(I)金属1と金属2との積層
(J)非金属無機材料と繊維質材料との積層
上記Eにおいて、樹脂1と樹脂2とは互いに別種の樹脂を示す(例えば、樹脂1がオレフィン樹脂、樹脂2がアクリル樹脂)。また、上記Hにおいて、金属1と金属2とは互いに別種の金属を示す(例えば、金属1が銅、金属2がクロム)。
また、基材が上記A~Jのような積層体である場合は、積層体の各構成層の層間に、接着力を強化するための層(接着剤層等)を有していてもよい。
基材に用いる樹脂としては、各種の合成樹脂又は天然樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、各種オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース、セロファン、セルロイド等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合、エチレン-ビニルアルコール共重合、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物としては、後述する艶消層で例示する熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
天然樹脂としては、天然ゴム、松脂及び琥珀等が挙げられる。
基材に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム又はジュラルミン等のアルミニウムを含む合金、鉄又は炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄を含む合金、銅又は真鍮、青銅等の銅を含む合金、金、銀、クロム、ニッケル、コバルト、錫、チタニウム等が挙げられる。また、金属基材としては、これらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
基材に用いられる非金属無機材料としては、例えば、セメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、石膏、珪酸カルシウム、木片セメント等の非セラミック系窯業系材料、陶磁器、土器、硝子、琺瑯等のセラミック系窯業系材料、石灰岩、大理石、花崗岩、安山岩等の天然石等からなるものが挙げられる。
基材に用いられる繊維質材料としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、和紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、パラフィン紙、パーチメント紙、グラシン紙、壁紙用裏打紙、板紙及び石膏ボード用原紙等の紙;絹、木綿、麻、ポリエステル樹脂繊維、アクリル樹脂繊維、硝子繊維、炭素繊維等の繊維からなる織布又は不織布;が挙げられる。紙には、紙基材の繊維間強度を上げたり、紙基材の毛羽立ちを防止したりするために、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加したものでもよい。樹脂を添加した紙としては、例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等が挙げられる。
また、繊維質材料層に樹脂層を積層したとして基材の例として、壁紙用裏打紙の表面に、塩化ビニル樹脂層、オレフィン樹脂層、アクリル樹脂層等の樹脂層を積層した壁紙原反等が挙げられる。
基材は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。基材を構成する材料が樹脂の場合には、添加剤としては、炭酸カルシウム、クレーなどの無機、水酸化マグネシウムなどの難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の含有量は、加工特性等を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、要求特性等に応じて適宜設定できる。
基材の形状及び寸法は、特に制限はなく、用途及び所望の諸性能と加工適性に応じて適宜選択すれば良い。
基材が、フィルム、シート及び板の平板状の場合は、物品の設計上の代表的な寸法として厚みがある。かかる厚みも特に制限はないが、一般的には、製造加工適性、機械的強度、使用取扱性、及び経済性の観点から、10μm以上10cm以下程度とされる。フィルム又はシート形態の場合は、通常、20μm以上300μm以下程度のものが選択され、板形態の場合は、通常、1mm以上2cm以下程度のものが選択される。
基材は、化粧材を構成する他層との密着性の向上のため、基材の片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
<艶消層>
艶消層は、バインダー樹脂、樹脂粒子及び無機粒子を含む。また、艶消層は、化粧材を平面視した際に、無機粒子を含まず樹脂粒子を含む第1領域と、樹脂粒子を含まず無機粒子を含む第2領域とを有する。さらに、第1領域における艶消層の平均厚みをT1、第2領域における艶消層の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1である。
本発明の化粧材は、艶消層が上記の構成を有することにより、触感及び低艶感を両立することができる。すなわち、本発明の化粧材は、樹脂粒子を含まず無機粒子を含む第2領域により、化粧材の艶を低くすることができる。さらに、本発明の化粧材は、無機粒子を含まず樹脂粒子を含む第1領域の平均厚みを示すT1が、樹脂粒子を含まず無機粒子を含む第2領域の平均厚みを示すT2よりも大きいことから、化粧材に触感を付与することができる。
一方、艶消層が上記の構成を有さない場合、触感及び低艶感を両立することができない。
まず、艶消層が無機粒子を含まず樹脂粒子のみを含む場合、化粧材の艶を低くすることができない。
また、艶消層が樹脂粒子を含まず無機粒子のみを含む場合、艶消層が白化し、装飾層の視認性が悪化することなどにより意匠性が低下してしまう。また、艶消層が樹脂粒子を含まず無機粒子のみを含む場合、艶消層の艶が極端に低下し、自然な風合いに欠ける場合がある。また、無機粒子は、樹脂粒子よりもバインダー樹脂との密着性が低いため、樹脂粒子よりも艶消層から脱落しやすい。粒子径の大きな無機粒子は艶消層からより脱落しやすい。このため、艶消層が樹脂粒子を含まず無機粒子のみを含む場合、無機粒子の脱落による欠陥が生じやすくなる。また、バインダー樹脂と無機粒子とは屈折率差が比較的大きいため、無機粒子が艶消層から脱落すると、艶が大きく変化してしまう。
また、艶消層が樹脂粒子及び無機粒子を含んでいても、第1領域及び第2領域を有さない場合、艶消層の全体が均一な組成となり、艶消層の面内における触感及び艶が均一化される。艶消層の面内における触感が均一化されると、人工物的で違和感を受けたり、触感(凹凸感)自体が低下する場合がある。また、艶消層の面内における艶が均一化されると、人工物のような風合いとなり、天然木材等の自然物の外観を表現することが難しくなる。
また、第1領域及び第2領域を有していても、T2<T1を満たさない場合、触感及び低艶感を両立することができない。例えば、T1=T2の場合、触感を良好にすることができない。
また、T1<T2の場合、粒子径の大きな無機粒子が艶消層から脱落しやすくなり、欠陥が目立ちやすくなる。
また、無機粒子のみを用いる場合、以下の理由からも、触感及び低艶感を両立することは困難といえる。
インキに配合するためのシリカ等の無機粒子は,通常は、合成により粒径を大きく育てていく手法により製造される。前述した合成による製造方法では,ある程度均一な粒径のものを製造することはできるが、最大粒径は18μm程度にとどまり、大きな粒径の無機粒子を製造することが困難である。このように、無機粒子は、触感を良好にし得る大きな粒径の粒子を得ることが困難である。
また、シリカ等の無機粒子の製造方法として、大きな無機粒子の固まりを粉砕して製造する手法がある。前述した粉砕による製造方法では、粒径の大きな無機粒子が得られる反面,粒径の分布が数10μm以上数100μm以下と非常に幅広くなってしまう。このため,触感及び低艶感等の性能が安定せず、インキへ配合する添加物としては不適切である。
第1領域における艶消層の平均厚みを示すT1、及び、第2領域における艶消層の平均厚みを示すT2は、例えば、化粧材の断面写真から算出することができる。具体的には、下記(1)~(4)下のステップでT1及びT2を算出することができる。
(1)化粧材の断面写真を撮影する。断面写真は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影することができる。
(2)前記断面写真から、個々の第1領域R1、個々の第2領域R2を抽出する。
(3)前記断面写真の任意の第1領域R1内において、艶消層の厚みが最も厚い箇所の厚みをT1-nとする。また、前記断面写真の任意の第2領域R2内において、艶消層の厚みが最も厚い箇所の厚みをT2-nとする。
(4)20箇所のT1-n、及び20箇所のT2-nが得られるまで、上記(1)~(3)の作業を繰り返す。そして、20箇所のT1-nの平均をT1、20箇所のT2-nの平均をT2とする。
上記(3)では、断面写真の任意の第1領域R1内において、艶消層の厚みが最も厚い箇所の厚みをT1-nとしている。しかし、断面写真の第1領域R1は、常に樹脂粒子の中心が切断されている箇所ではなく、樹脂粒子の中心を通らない箇所も含んでいる。よって、T1-nは、第1領域R1の様々な箇所の厚み情報を含んでいるといえる。よって、上記(1)~(4)のステップで得られたT1及びT2は、第1領域における艶消層の平均厚み及び第2領域における艶消層の平均厚みを示しているといえる。
T1-T2は、15μm以上60μm以下であることが好ましく、25μm以上50μm以下であることがより好ましく、30μm以上45μm以下であることがさらに好ましい。
T1-T2を15μm以上とすることにより、触感を良好にしやすくできる。また、T1-T2を60μm以下とすることにより、一般的な家具及び建具の表面材の触感としても違和感なく、かつ使用上においても支障ない適度な触感を付与する事ができる。
T1及びT2は、T1-T2を上記範囲にしやすくする観点から、下記の範囲であることが好ましい。
T1は、20μm以上70μm以下であることが好ましく、25μm以上65μm以下であることがより好ましく、30μm以上60μm以下であることがさらに好ましい。
T2は、5μm以上20μm以下であることが好ましく、7μm以上17μm以下であることがより好ましく、10μm以上15μm以下であることがさらに好ましい。
艶消層内における第1領域及び第2領域の数は特に制限されない。樹脂粒子及び無機粒子は、大きさが十分に小さく、所定の量を含むことから、通常、艶消層内には、無数の第1領域及び第2領域を含んでいる。
艶消層内における、第1領域R1と第2領域R2との面積比は、1.0:2.0~2.0:1.0であることが好ましく、1.0:1.3~1.3:1.0であることがより好ましい。面積比を前記範囲とすることにより、触感と艶消感とのバランスを良好にしやすくできる。
艶消層内には、第1領域R1及び第2領域R2以外のその他の領域を有していてもよい。その他の領域としては、「艶消層の全領域のうち、化粧材を平面視した際に、樹脂粒子及び無機粒子を含まず、バインダー樹脂のみを含む領域」、「艶消層の全領域のうち、化粧材を平面視した際に、樹脂粒子及び無機粒子の両方を含む領域」が挙げられる。
化粧材を平面視した際の艶消層の全面積を100とした際に、第1領域R1及び第2領域R2の面積の合計は、10以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。艶消層の全面積に対する第1領域R1及び第2領域R2の面積の合計を10以上とすることにより、触感及び艶消感を良好にしやすくできる。
また、化粧材を平面視した際の艶消層の全面積を100とした際に、第1領域R1及び第2領域R2の面積の合計は、70以下であることが好ましく、65以下であることがより好ましく、60以下であることがさらに好ましい。艶消層の全面積に対する第1領域R1及び第2領域R2の面積の合計を70以下とすることにより、艶消層のパターンと装飾層のパターンとを同調させやすくなる。このため、見た目の意匠と、触感とを連動させやすくできる。
図1の断面図では、第1領域内の樹脂粒子のうち、左側の粒子の頂部はバインダー樹脂で覆われている一方で、右側の粒子の頂部はバインダー樹脂で覆われていない。このように、第1領域内の樹脂粒子の頂部は、バインダー樹脂で覆われていてもよいし、バインダー樹脂で覆われていなくてもよい。頂部がバインダー樹脂で覆われている樹脂粒子は、樹脂粒子による凹凸形状が緩やかになる為、触感がわずかに低下するが、樹脂粒子全体がバインダー樹脂で保護されている形となる為、耐傷性等に強くなる傾向がある。一方、頂部がインダー樹脂で覆われていない樹脂粒子は、樹脂粒子がむき出しになっている為、耐傷性等に弱いが、各粒子の凹凸形状がそのまま触感へ良い方向に影響する傾向がある。樹脂粒子の平均粒子径が大きかったり、樹脂粒子に対するバインダー樹脂の量が少なかったりすると、樹脂粒子の頂部がバインダー樹脂で覆われにくくなる。
また、第1領域内の全ての樹脂粒子のうち、頂部がバインダー樹脂で覆われている樹脂粒子の割合は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。前記構成を満たすことにより、粒子全体をバインダー樹脂で保護しやすくなり、耐傷性等に強い化粧材を得ることができる。
第1領域内の全ての前記樹脂粒子のうち、頂部がバインダー樹脂で覆われている樹脂粒子の割合は、50%未満であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。前記構成を満たすことにより、各粒子に起因する凹凸形状がより顕著となり、さらに触感が良い化粧材を得る事ができる。
《バインダー樹脂》
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも耐擦傷性の観点から硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。すなわち、バインダー樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。また、バインダー樹脂の全量に対する硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物の硬化物は耐傷性及び耐汚染性の表面性能の点で好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物は、耐傷性及び耐汚染性の表面性能に優れる点に加えて、経年での性能維持に優れる点で好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら熱硬化性樹脂に加えて、必要に応じて硬化剤及び硬化触媒等が添加される。
熱硬化性樹脂組成物の中でも、主剤をポリオール系樹脂、硬化剤をイソシアネート系化合物とした2液硬化の組成物が好ましい。ポリオール系樹脂としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が代表的なものとして挙げられ、これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少ない、着色がしにくいなどの観点から、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。また、艶消層が後述する紫外線吸収剤を含有する場合、電子線硬化性樹脂組成物の方が艶消層の架橋密度を高くしやすく、耐擦傷性及び耐汚染性を良好にしやすい点でも好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線硬化性官能基としては、エポキシ基及びオキセタニル基も挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性化合物は、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー(「重合性プレポリマー」と呼称されることもある)の中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
《樹脂粒子》
樹脂粒子は、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等の樹脂の一種以上から形成されてなるものが挙げられる。これらの中でもポリメチルメタクリレート粒子が好ましい。
樹脂粒子の形状は球形のものが好ましい。
樹脂粒子の平均粒子径をD1と定義した際に、D1は20μm以上70μm以下であることが好ましく、25μm以上65μm以下であることがより好ましく、30μm以上60μm以下であることがさらに好ましい。
D1を20μm以上とすることにより、触感を良好にしやすくできる。また、D1を20μm以上とすることにより、無機粒子を含まず樹脂粒子を含む第1領域を形成しやすくできる。また、D1を70μm以下とすることにより、樹脂粒子が艶消層から脱落することを抑制しやすくできる。
また、樹脂粒子は、平均粒子径の±20μm以内の樹脂粒子の割合が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
本明細書において、樹脂粒子及び無機粒子の平均粒子径は、レーザ光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものを意味する。
樹脂粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上35質量部以下であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上25質量部以下であることがさらに好ましい。前記含有量を5質量部以上とすることにより、触感を良好にしやすくできる。また、前記含有量を35質量部以下とすることにより、樹脂粒子に起因して艶が上昇することを抑制し、自然な風合いに意匠を仕上げることができる。
《無機粒子》
無機粒子は、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等の無機物の一種以上から形成されてなるものが挙げられる。これらの中でもシリカが好ましい。
無機粒子の形状は、球形でも不定形でもよいが、球形のものが好ましい。
無機粒子の平均粒子径をD2と定義した際に、D2は5μm以上20μm以下であることが好ましく、7μm以上17μm以下であることがより好ましく、10μm以上15μm以下であることがさらに好ましい。
D2を5μm以上とすることにより、艶を低くしやすくできる。また、D2を5μm以上とすることにより、樹脂粒子を含まず無機粒子を含む第2領域を形成しやすくできる。また、D2を20μm以下とすることにより、T2よりT1を大きくしやすくでき、触感を良好にしやすくできる。
また、無機粒子は、平均粒子径よりも20μm以上大きい無機粒子の割合が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることが最も好ましい。
無機粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、4質量部以上30質量部以下であることが好ましく、7質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。前記含有量を4質量部以上とすることにより、艶を低くしやすくできる。また、前記含有量を30質量部以下とすることにより、艶消層が白化することによる視認性の低下を抑制したり、艶消層の艶が極端に低下して自然な風合いが損なわれることを抑制しやすくできる。
樹脂粒子の平均粒子径を示すD1と、無機粒子の平均粒子径を示すD2との差は、触感及び低艶感を両立しやすくするために、所定の範囲とすることが好ましい。
具体的には、前記差(D1-D2)は、15μm以上60μm以下であることが好ましく、25μm以上50μm以下であることがより好ましく、30μm以上45μm以下であることがさらに好ましい。
樹脂粒子と無機粒子とは、触感及び低艶感を両立しやすくするために、所定の比率で用いることが好ましい。具体的には、樹脂粒子100質量部に対して、無機粒子の含有量が40質量部以上200質量部以下であることが好ましく、50質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、60質量部以上110質量部以下であることがさらに好ましい。
艶消層は、基材の一方の面に有することが好ましい。また、艶消層は、化粧材の厚み方向の最表面に位置することが好ましい。
艶消層は、基材上の一部に有していてもよいし、基材上の全面に有していてもよい。艶消層を基材上の一部に有すると、化粧材の面内に、艶消層を有する箇所と、艶消層を有さない箇所とが形成され、面内に艶のコントラストを形成することができ、立体感を付与しやすくできる。この点を補足すると、艶消層を有する箇所が艶消層を有さない箇所に比べて凹んで視認されやすくなる。
艶消層は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、及びシリコーンオイル等が挙げられる。
艶消層は、例えば、艶消層を構成する材料(バインダー樹脂、樹脂粒子、無機粒子等)、必要に応じて添加する溶剤等を含む艶消層用インキを、基材上に塗布、乾燥、硬化することにより形成することができる。
<その他の層>
化粧材は、基材、艶消層以外の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、装飾層、プライマー層、接着剤層等が挙げられる。
《装飾層》
化粧材は、意匠性を向上させるために、装飾層を有していてもよい。
装飾層は、装飾層の耐候性を高める観点から、基材に近い側であることが好ましい。具体的には、装飾層は、基材と艶消層との間に配置することが好ましい。また、基材と艶消層との間に後述するプライマー層を有する場合、装飾層は、基材とプライマー層との間に配置することが好ましい。
装飾層は化粧材の全面に形成しても良いし、一部のみに形成してもよい。
装飾層としては、インキをベタ塗りしてなる着色層;インキを模様として印刷してなる絵柄層;金属薄膜;等が挙げられる。
装飾層により表現する絵柄(模様)としては、木材板表面の年輪や導管溝等の木目模様;大理石、花崗岩等の石板表面の石目模様;布帛表面の布目模様;皮革表面の皮シボ模様;目地溝を含むタイル貼り模様;目地溝を含む煉瓦積模様;砂目模様;梨地模様;互いに平行な方向に伸びる凹條部及び凸條部を複数配列させてなる模様(いわゆる「万線状凹凸模様」又は「光線彫模様」);幾何学模様、文字、図形、水玉及び花柄等の抽象柄模様;等が挙げられる。
着色層及び絵柄層に用いられるインキとしては、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
着色層及び絵柄層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が挙げられる。また、1液硬化型樹脂、イソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型樹脂など、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
着色剤としては、特に制限は無く、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料;等が挙げられる。
着色剤の含有量は、装飾層の絵柄、色合い及び濃度、並びに着色剤の材料によって異なるため特に制限されない。すなわち、着色剤の含有量は、前述した要素を考慮して、適切な量を自由に選択すればよい。着色剤の含有量は、一例として、例えば着色層及び絵柄層を構成する樹脂100質量部に対して、20質量部以上500質量部以下が好ましく、50質量部以上300質量部以下がより好ましく、70質量部以上200質量部以下がさらに好ましい。
着色層及び絵柄層は、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
着色層及び絵柄層の厚みは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、被着材の地色を隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、2μm以上5μm以下がさらに好ましい。
金属薄膜としては、金、銀、銅、錫、鉄、ニッケル、クロム、コバルト等の金属元素単体の薄膜;前記金属元素の二種以上を含む合金の薄膜;等が挙げられる。合金としては、例えば、真鍮、青銅、ステンレス鋼等が挙げられる。
金属薄膜の膜厚は、0.1μm~1μm程度とすることができる。
《プライマー層》
化粧材は、基材と艶消層との密着性を向上させるために、プライマー層を有していてもよい。
プライマー層は、主としてバインダー樹脂から構成され、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、バインダー樹脂は、これら樹脂に、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤を添加し、架橋硬化したものであってもよい。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂等のポリオール系樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものが好ましく、アクリルポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものがより好ましい。
プライマー層は、耐候性をより向上するために、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤及び光安定剤光は汎用のものを用いることができる。
プライマー層の厚みは、0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.7μm以上8μm以下がより好ましく、1.0μm以上6μm以下がさらに好ましい。
《接着剤層、被着体》
化粧材は、基材の艶消層とは反対側の面に接着剤層を有していてもよい。また、化粧材は、前記接着剤層の基材とは反対側に被着体を有するものであってもよい。
接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする二液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層は、上記の樹脂を溶液、あるいはエマルジョン等の塗布可能な形態にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
被着体としては、例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)、集成材等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。
<用途>
本発明の化粧材は、各種用途に用いることができる。具体的な用途としては、下記(1)~(9)のものが挙げられる。
(1)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の壁、床、天井等の内装部分の表面材。
(2)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の外壁、屋根、軒天井、戸袋等の外装部分の表面材。
(3)窓、窓枠、扉、扉枠等の建具の表面材(内装部分又は外装部分);建具の付随備品(取っ手等)の表面材;建具の治具の表面材。
(4)手すり、腰壁、廻り縁、敷居、鴨井、笠木の造作部材の表面材。
(5)塀、門扉、物干台の柱や手すり等の屋外(外装)部分の表面材。
(6)箪笥、机、椅子、食器棚、厨房の流し台等の家具の表面材;家具の付随備品(取っ手等)の表面材;家具の治具の表面材。
(7)テレビジョン受像機、ラジオ受信機、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、扇風機、空調機等の各種家電製品の筐体等の表面材;家電製品の付随備品(取っ手、スイッチ、タッチパネル等)の表面材;家電製品の治具の表面材。
(8)電子複写機、ファクシミリ、プリンタ、パーソナルコンピュータ等の各種電算機器等のOA機器の表面材;銀行、郵便局等の金融機関のATM装置の各種OA機器類の筐体の表面材;各種OA機器類の付随備品(キーボード鍵盤、タッチパネル等)の表面材;各種OA機器類の治具の表面材。
(9)自動車、鉄道車両等の車輛、船舶、航空機等の乗物の内装又は外装部分(壁、床、天井、手すり、支柱、操作盤、レバー、ハンドル、舵輪等の操縦機器類)の表面材。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定及び評価
以下のように、実施例及び比較例の化粧材の測定及び評価を行った。なお、各測定及び評価時の雰囲気は、温度23±5℃、湿度40~65%とした。また、各測定及び評価の開始前に、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上晒してから測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1-1.触感
実施例及び比較例で得られた化粧材について、20人の被験者が触感を評価した。20人の被験者は、20歳台、30歳台、40歳台及び50歳台がそれぞれ5名とした。各被験者が、利き手の人差し指の腹で化粧材の艶消層の表面を触り、触感が高いか否かについて評価した。触感の評価基準は、「凹凸を強く感じるか否」及び「人工物的な違和感がなく、自然に感じるか否か」かとした。表1に、集計した触感の評価を下記の基準で分類した結果を示す。
A:触感が高いと答えた人が20人中18人以上であった。
B:触感が高いと答えた人が20人中15人以上17人以下であった。
C:触感が高いと答えた人が20人中11人以上14人以下であった。
D:触感が高いと答えた人が20人中10人以下であった。
1-2.低艶感
実施例及び比較例で得られた化粧材について、20人の被験者が低艶感を評価した。20人の被験者は、20歳台、30歳台、40歳台及び50歳台がそれぞれ5名とした。各被験者が、化粧材の艶消層側の面から目視で観察し、艶消層を有する箇所の低艶感について評価した。評価は外光を遮った室内の蛍光灯照明下で行った。低艶感の評価基準は、艶消層を有する箇所と有さない箇所との艶差を十分に感じるか否かとした。表1に、集計した低艶感の評価を下記の基準で分類した結果を示す。
A:艶が低いと答えた人が20人中18人以上であった。
B:艶が低いと答えた人が20人中15人以上17人以下であった。
C:艶が低いと答えた人が20人中11人以上14人以下であった。
D:艶が低いと答えた人が20人中10人以下であった。
1-3.T1及びT2
明細書本文の(1)~(4)のステップに従い、実施例の化粧材の断面写真を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、第1領域における艶消層の平均厚みを示すT1、及び、第2領域における艶消層の平均厚みを示すT2を算出した。
2.化粧材の作製
[実施例1]
建材用着色原紙(「CHPS45(型番)」、坪量:45g/m、天間特殊紙株式会社製)を基材とした。前記基材の易接着処理された面に、アクリル樹脂とウレタン樹脂との混合樹脂をバインダーとし、着色剤としてチタン白、弁柄、黄鉛を含む樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布して厚さ5μm着色層を形成した。次いで、前記着色層上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含む樹脂組成物を用いて、木目模様の絵柄層として形成した。前記着色層及び前記絵柄層により、基材上に装飾層が形成された。
次いで、装飾層上の全面に、二液硬化性樹脂(主剤:アクリルポリオール、硬化剤;ヘキサメチレンジイソシアネート)を含むプライマー層用インキを塗布、乾燥し、厚み5μmのプライマー層を形成した。
次いで、プライマー層上の一部に、下記処方の艶消層用インキ1を塗布、乾燥し、艶消層を形成した。艶消層用インキ1の固形分付着量は約4g/mとした。その後、70℃で24時間の加熱養生を行い、実施例1の化粧材を得た。
<艶消層用インキ1>
・二液硬化性樹脂 100質量部
(主剤:アクリルポリオール、硬化剤;ヘキサメチレンジイソシアネート)
・樹脂粒子 19質量部
(球形ポリメチルメタクリレート粒子、平均粒子径50μm)
・無機粒子 14質量部
(球形シリカ粒子、平均粒子径12μm)
・溶剤 適量
[実施例2]
艶消層用インキ1の樹脂粒子を、平均粒子径30μmの球形ポリメチルメタクリレート粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の化粧材を得た。
[実施例3]
艶消層用インキ1において、樹脂粒子の添加量を22質量部、無機粒子の添加量を11質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の化粧材を得た。
[比較例1]
艶消層用インキ1から樹脂粒子を除き、無機粒子の添加量を14質量部から27質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧材を得た。
[比較例2]
艶消層用インキ1から無機粒子を除き、樹脂粒子の添加量を19質量部から37質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の化粧材を得た。
Figure 2022053446000002
100:化粧材
10:基材
20:艶消層
21:バインダー樹脂
22:樹脂粒子
23:無機粒子
R1:第1領域
R2:第2領域

Claims (8)

  1. 基材上に艶消層を有する化粧材であって、
    前記艶消層は、バインダー樹脂、樹脂粒子及び無機粒子を含み、
    前記化粧材を平面視した際に、前記艶消層は、前記無機粒子を含まず前記樹脂粒子を含む第1領域と、前記樹脂粒子を含まず前記無機粒子を含む第2領域とを有し、
    前記第1領域における前記艶消層の平均厚みをT1、前記第2領域における前記艶消層の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1である、化粧材。
  2. T1-T2が15μm以上60μm以下である、請求項1記載の化粧材。
  3. 前記第1領域内の全ての前記樹脂粒子のうち、頂部が前記バインダー樹脂で覆われている前記樹脂粒子の割合が50%以上である、請求項1又は2記載の化粧材。
  4. 前記第1領域内の全ての前記樹脂粒子のうち、頂部が前記バインダー樹脂で覆われている前記樹脂粒子の割合が50%未満である、請求項1又は2記載の化粧材。
  5. 前記樹脂粒子の平均粒子径をD1と定義した際に、D1が20μm以上70μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の化粧材。
  6. 前記無機粒子の平均粒子径をD2と定義した際に、D2が5μm以上20μm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の化粧材。
  7. 前記艶消層を前記基材上の一部に有する、請求項1~6のいずれかに記載の化粧材。
  8. 前記基材と前記艶消層との間に装飾層を有する、請求項1~7のいずれかに記載の化粧材。
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