JP5593784B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は、積層体に関する。
従来、屋外構造体に耐候性を付与するために、硬化型樹脂層などの樹脂層に、紫外線吸収剤や光安定剤などの各種の耐候性添加剤を添加して、耐候性を向上させた樹脂フィルムが用いられてきた。しかし、このような樹脂フィルムは、耐候性は向上したものの、紫外線吸収剤や光硬化剤などに起因した、黄色に着色する黄変を発生するという問題があった。このような黄変は、外観の美感を著しく損なうものである。
このような課題に対して、耐候性に優れ、電子線を照射した際、黄変などの変色のしにくい電子線照射用のポリオレフィン系樹脂製フィルムが提案されている(特許文献1参照)。また、経時的な黄変を防止するために、重合性不飽和電子線硬化型塗料組成物が提案されている(特許文献2参照)。
ところで、消費者のニーズの多様化と性能要求の高まりに伴い、白色あるいは透明を呈する屋外構造体が増加の傾向にあり、またより厳しい条件下における黄変の低減が求められている。特に、白色あるいは透明を呈する屋外構造体の日光に晒される部材や部位を保護する用途で樹脂フィルムを用いる場合、特に樹脂フィルムの黄変は目立つ傾向にあるため、樹脂フィルムに対する要求性能は極めて厳しいものとなっている。
このような状況の下、特許文献1や特許文献2に提案されるものでは、黄変したり、基材上に設ける層の割れや脱離が生じるなどといった場合があり、極めて厳しい環境下においても十分に対応しうるものが求められている。
特開2001−40113号公報 特開2002−69331号公報
本発明は、屋外構造体に積層体を使用するに際し、極めて厳しい環境下においても黄変せず、基材上に設ける層の割れや脱離が生じない、耐候性に優れた積層体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材上にプライマー層及び電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる表面保護層を有する積層体において、該表面保護層が特定のヒンダードアミン系光安定剤を含有することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層を積層してなる積層体であって、該プライマー層及び/又は該表面保護層が白色又は透明を呈し、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂及び該樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるものである積層体。
2.反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、電離放射線硬化性を有するものである上記1に記載の積層体。
3.反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、下記化学式(1)で示されるものである上記1又は2に記載の積層体。
Figure 0005593784
(式中、R1は水素又は炭素数1〜18の飽和の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の不飽和の炭化水素基を示す。)
4.常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤が、下記化学式(2)で示されるものである上記1に記載の積層体。
Figure 0005593784
(式中、R3、R4、R5及びR6は水素又は炭素数1〜18の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、R7はヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基又はアルカノールアミノ基を示す。)
5.プライマー層が、白色を呈するものである上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.プライマー層が、ルチル型チタニアを含むものである上記5に記載の積層体。
7.プライマー層が、上記化学式(1)示されるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を含有する上記1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.プライマー層が、透明を呈し、かつ上記化学式(1)示されるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を含有する上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
9.表面保護層における光安定剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部である上記1〜8のいずれかに記載の積層体。
10.電離放射線硬化性樹脂が、電子線硬化性樹脂である請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、極めて厳しい環境下においても黄変せず、基材上に設ける層の割れや脱離が生じない、耐候性に優れた積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層を積層してなる積層体であって、該プライマー層及び/又は該表面保護層が白色又は透明を呈し、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂及び該樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであることを特徴とするものである。
[ヒンダードアミン系光安定剤]
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤は、電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤(HALS;Hindered Amine Light Stabilizer)であり、表面保護層において用いられることを要し、プライマー層において所望に応じて好ましく用いられるものである。
電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤としては、電離放射線硬化性、とりわけ電子線硬化性を有するものが好ましく、例えば下記化学式(1)で示されるものが好ましく挙げられる。
Figure 0005593784
化学式(1)中、R1は水素又は炭素数1〜18の飽和の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の不飽和の炭化水素基を示す。
炭素数1〜18の飽和の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18のアルキル基のほか、炭素数5〜18のシクロアルキル基が好ましく挙げられる。これらの炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基、アミド基、カルボキシル基などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、R1としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。
炭素数2〜4の不飽和の炭化水素基としては、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましく、なかでもイソプロペニル基が好ましい。
上記のなかでも、R1がメチル基でR2がイソプロペニル基のものが特に好ましく、具体的には下記化学式(3)で示される1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートが好ましい。このような光安定剤は、市販品として入手可能であり、「LA82(商品名)」(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
Figure 0005593784
常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば下記化学式(2)で示されるものが好ましく挙げられる。
Figure 0005593784
化学式(2)中、R3、R4、R5及びR6は水素又は炭素数1〜18の飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示す。炭素数1〜18の飽和もしくは不飽和の炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基のほか、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜18のシクロアルキル基などが好ましく挙げられる。これらの炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基、アミド基、カルボキシル基などが好ましく挙げられる。
また、式中R7は、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基又はアルカノールアミノ基を示し、好ましくは炭素数1〜8である。
3及びR4としては、炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、シクロヘキシル基であることが特に好ましい。また、R3及びR4は同じでも異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、R5及びR6としては、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、特にn−ブチル基が好ましい。また、R5及びR6は同じでも異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、R7としては、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基が好ましく、特にヒドロキシブチル基が好ましい。
3及びR4がシクロヘキシル基であり、R5及びR6がn−ブチル基であり、R7がヒドロキシブチル基のものが特に好ましく、下記の化学式(4)で示される、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジンであり、市販品「TINUVIN152(商品名)」(チバ・ジャパン株式会社製)として入手することができる。
Figure 0005593784
表面保護層及びプライマー層に含まれる光安定剤の含有量は、各層を構成する樹脂分100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、3〜20質量部がさらに好ましく、特に5〜10質量部が好ましい。光安定剤の含有量が上記範囲内であれば、光安定剤としての効果が得られ、ブリードなどの問題がない。
なお、各層を構成する樹脂分とは、表面保護層であれば、表面保護層を構成する電離放射線硬化性樹脂を指し、プライマー層及び基材であれば、それぞれプライマー層及び基材を構成する樹脂分を意味する。
次に、本発明の積層体の各構成要素について詳細に説明する。
[基材]
本発明の積層体に用いる基材としては、耐候性積層体として通常使用されるものであれば、特に制限はないが、プラスチックフィルムが好適に使用される。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂;ポリビニルアルコール;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ビニロン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体などのポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリレート;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド;三酢酸セルロース、セロファンなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミドなどの熱可塑性樹脂フィルムなどが挙げられる。これらは、フィルムの単層体であってもよいし、複数のフィルムからなる積層体であってもよい。
これらの基材のうち、ポリエステル及びポリオレフィンが好適であり、特に耐加水分解性のポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリプロピレンが好適である。
これらの基材は2軸延伸又は1軸延伸されていてもよいし、無延伸でもよい。
また、基材の厚さとしては、積層体が使用される用途に応じて適宜決定されるものであるが、通常10〜1000μmの範囲であり、20〜500μmの範囲が好ましい。
さらに、該基材には、必要に応じ、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種の添加剤を添加することができる。これらのうち、紫外線吸収剤については、上述のように、トリアジン系紫外線吸収剤を含有させることが好ましい態様であり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は電子線照射による黄変が影響しない程度に含有することができるが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有しないことが好ましい。なお、トリアジン系紫外線吸収剤の配合方法としては、基材を構成する樹脂に練りこむこと、あるいは基材を構成する樹脂に共重合させることにより配合することができる。
プラスチックフィルムを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
[プライマー層]
本発明の積層体は、基材上にプライマー層が積層されていることを要する。該プライマー層は、基材と表面保護層など層間の接着性を向上させるとともに、本発明の積層体に必要に応じて隠蔽性を付与するために設けられる層である。プライマー層と後述する表面保護層とは、そのいずれかの層が少なくとも白色又は透明であることを要し、プライマー層は白色であることが好ましい。
該プライマー層を構成する樹脂としては、上記効果を示すものであれば特に限定されず、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などを挙げることができる。これらのうち、密着性などの点で、ポリウレタン樹脂は好ましい樹脂である。
《ポリウレタン樹脂》
ポリウレタン樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂を用いることができる。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られる、末端に水酸基を有する樹脂であり、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが好ましく挙げられる。これらのなかでも、そのポリオール成分にポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールを用いた共重合体、ポリカーボネートジオールとポリエステルジオールとアクリルポリオールとを用いた共重合体よりが好ましい。
また、2液硬化型ウレタン樹脂としては、そのイソシアネート成分に、脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネートを用いるのが耐候密着性の点で好ましい。そのウレタン部分におけるイソシアネート成分も、脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネートが耐候密着性の点で好ましい。なお、脂環式イソシアネートと脂肪族イソシアネートとを併用しても良い。
脂環式イソシアネートとしては、例えば、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、水素添加MDI(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)などを用いることができる。脂肪族イソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを用いることができる。
(アクリル−ウレタンブロック共重合体)
本発明においては、アクリル−ウレタンブロック共重合体も好ましく挙げられる。アクリル−ウレタンブロック共重合体とは、アクリル重合体成分とウレタン部分との両ブロックを含む共重合体である。アクリル重合体成分を含むことで、後に詳述する電子線硬化性樹脂からなる表面保護層との密着性が良くなる。また、ウレタン部分を含むことで、2液硬化型ウレタン樹脂を用いた場合の表面保護層とプライマー層との密着性も良くなり、また、特に、ウレタンアクリレート系の電子線硬化性樹脂を用いた表面保護層とプライマー層との密着性も良くなる。
アクリル−ウレタンブロック共重合体としては、例えば、(A)アクリル系単量体を主鎖に含み、末端や側鎖にヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有のアクリル重合体部分、(B)ポリカーボネート系ウレタン重合体成分、ポリエステル系ウレタン重合体成分及び/又はポリエーテル系ウレタン重合体成分、(C)ジイソシアネート、の3成分の反応生成物からなり、これら3成分を反応させてプレポリマーを製造し、このプレポリマーに更に、ジアミンなどの鎖延長剤を反応させて鎖延長することで得られるものなどを好適に使用できる。
なお、上記(B)のポリカーボネート系ウレタン重合体成分、ポリエステル系ウレタン重合体成分及び/又はポリエーテル系ウレタン重合体成分は、それぞれ単体で用いても良いし、併用しても良い。また、ポリエステル系ウレタン重合体成分としては、(1)ポリエステルポリオール成分にジアミン化合物を添加しウレタン骨格の一部をウレア化する、(2)ポリエステルポリオール成分にフェニル基を導入する、(3)アルコール成分をポリカーボネート系としたポリエステルポリオール成分にジアミン化合物を添加しウレタン骨格の一部をウレア化する、などによって作られた重合体なども用いることができる。アクリル−ウレタンブロック共重合体におけるアクリル重合体成分とウレタン重合体成分との比率は、適宜調整すれば良いが、質量比で1/99〜40/60が、密着性能が良好である点で好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。
(熱可塑性ウレタン樹脂)
また、ウレタン重合体成分としては、熱可塑性ウレタン樹脂も使用できる。熱可塑性ウレタン樹脂は、代表的には、ジイソシアネートと、高分子ポリオールと、必要により低分子ジオールなどの低分子多官能活性水素化合物とを反応させて得られる樹脂である。ジイソシアネートとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、n−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、m−あるいはp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが使用される。あるいは、これらのジイソシアネートの多量体又は付加体も使用できる。また、これらジイソシアネートは1種単独で、又は2種以上混合使用しても良い。
(高分子ポリオール)
次に、高分子ポリオール(ここでの高分子とは低分子多官能活性水素化合物に対する対語で分子量1万未満も含む)としては、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上混合して使用される。なお、耐候密着性の点では、ポリエーテルポリオールよりポリエステルポリオールの方が好ましく、さらにはポリカーボネートポリオールの方が好ましい。
なお、ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオールなどがある。
ここで、使用されるジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸類;テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類などが、1種単独で、又は2種以上を混合して使用される。また、上記ラクトンには、ε−カプロラクトンなどが使用される。
そして、ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどが挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を混合して使用される。
次に、低分子ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、あるいは、環状基を有する低分子ジオール類として、ビス(ヒドロキメチル)シクロヘキサン、mあるいはp−キシレングリコール、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−ジフェニルプロパン(ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物)などが挙げられ、これらは1種単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
《チタニア》
プライマー層に隠蔽のための白色を付与するには、該プライマー層にチタニアを含有させることにより行う。上述したように、白色を呈する積層体においては特に黄変の問題が顕著となることから、極めて厳しい環境でも黄変しない本発明に係る積層体は、白色としたい場合に、多大な効果を発揮することができる。
チタニアには、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型があるが、本発明では隠蔽性の点でルチル型を少なくともその一部に含有することが好ましく、チタニア粒子のすべてがルチル型であることが特に好ましい。また、アナターゼ型、ブルッカイト型のチタニアを用いる場合、これらの型のチタニアは光触媒作用が強く、プライマーの樹脂成分、隣接する基材、表面保護層の分解性が高いため、耐候性の観点からは、ルチル型を少なくともその一部に含有することが好ましい。
チタニアの粒径については、凝集粒径が1〜100μmの範囲であることが好ましい。1μm以上であると十分な隠蔽性が得られ、100μm以下であると、塗工の際の分散性が良好である。以上の観点から、チタニアの粒径は2〜50μmの範囲がさらに好ましく、2〜20μmの範囲が特に好ましい。
《紫外線吸収剤》
プライマー層は必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが好ましく挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば下記式(5)に記載される2−4[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−4[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましいものとして挙げられる。このようなトリアジン系紫外線吸収剤は、「チヌビン400(商品名)」(チバ・ジャパン株式会社製)として市販されている。チヌビン400は上記トリアジン化合物の混合物であり、1−メトキシ−ブタノールを15重量%含有する液状物である。
Figure 0005593784
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ-ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ-ベンゾフェノン−5−スルホン酸などの2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
また、シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチル−ヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。
本発明の積層体における紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層を構成する樹脂分100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上であると紫外線の吸収効果が得られ、5質量部以下であるとブリードなどの問題がない。以上の観点から、トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、0.2〜3質量部の範囲がさらに好ましく、0.5〜2質量部の範囲が特に好ましい。
プライマー層が白色の場合、白色顔料の隠蔽性により、紫外線吸収剤の添加量を減量することが可能であり、この場合、紫外線吸収剤の含有量は1質量部以下が好ましく、0〜1質量部であることがより好ましい。すなわち、紫外線吸収剤が含まれていなくても、十分な紫外線吸収効果が確保される。
また、本発明の積層体には、無機系の紫外線吸収剤を含有することもでき、例えば、粒径0.2μm以下の酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウムなどが挙げられる。これらの粒子の粒径は0.1μm以下が好ましく、8〜30nmの範囲がさらに好ましい。
《プライマー層の積層方法》
プライマー層は、前記樹脂を溶媒に溶解し、該溶液に必要に応じて用いられるチタニア粉末を分散させ、さらに必要に応じて添加される前記紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤を添加した塗工組成物を用いて形成する。すなわち、これらの組成物を基材上に塗工して、必要に応じ乾燥、硬化させることで形成する。より具体的には、該塗工組成物をグラビアロールコート、ロールコートなどの方法で塗工して乾燥硬化させる。プライマー層を形成するための塗工組成物の塗布量は、0.5〜20g/m2(乾燥時)の範囲であることが好ましく、1〜10g/m2(乾燥時)の範囲であることがさらに好ましい。
プライマー層の厚さについては、0.5〜20μmの範囲が好ましく、1〜10μmの範囲がさらに好ましい。
[表面保護層]
本発明の積層体における表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものである。電離放射線硬化性樹脂は、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができるが、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗工性を有し、かつ硬化する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。そのような電離放射線硬化性樹脂の代表例を以下に記載する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有するような多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いて用いればよい。官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整するなどの目的で、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが好ましく挙げられる。これらのオリゴマーのうち、多官能性の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。これらの重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。これは、本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には紫外線吸収剤が含まれることから、紫外線の照射の場合は、紫外線照射量が不足する場合があり、照射する紫外線の波長や照射量の調製を要することがあるが、電子線の照射の場合は、そのような調製は不要であり、安定した硬化特性が効率的に得られるからである。
また、上記したように、プライマー層と表面保護層とは、そのいずれかの層が少なくとも白色又は透明であることを要する。表面保護層を白色とする場合には、上記したチタニアを用いればよい。
表面保護層には、添加剤として、紫外線吸収剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤などを添加することができる。
紫外線吸収剤としては、プライマー層に含有されるものと同様のものを用いることができる。その含有量も、プライマー層と同様である。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
ブロッキング防止剤あるいは滑剤としては、ポリエチレンワックスなどのワックス成分が好適に用いられる。
本発明においては、前記の電子線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電子線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、プライマー層の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する表面保護層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
上記のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜10Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
(積層体)
本発明の積層体は、表面保護層を形成したのと相対する側(表面保護層に対して、裏面側)に、他の層を形成してもよいし、フィルムを貼付してもよい。
ここで用いられるフィルムとしては、支持体としての役目を有していることを前提とし、その使用目的により、強度、剛性、水蒸気バリア性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、光反射性、意匠性、表面保護層を形成したのと相対する側の物質との密着性などの機能が必要とされる場合に応じて適宜選択する必要がある。
強度に優れたフィルムとしては、例えば、機械的、化学的、あるいは、物理的強度に優れ、かつ、絶縁性、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、防湿性、防汚性、光反射性、光拡散性、意匠性、その他の諸特性に優れ、その長期間の使用に対し性能劣化などを最小限に抑え、耐久性に富み、その保護の機能性に優れ、軽く、かつ、加工性等に優れ、そのハンドリングし易いなどの利点を有し、さらに、より低コストで安全性に富む樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。このようなフィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、各種のナイロンなどのポリアミド系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルム、ポリアミドイミド系樹脂フィルム、ポリアリールフタレート系樹脂フィルム、シリコン系樹脂フィルム、ポリスルホン系樹脂フィルム、ポリフェニレンスルフィド系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホン系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、アセタール系樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルム、その他の各種の樹脂フィルムが好ましく挙げられる。
上記ポリプロピレン系樹脂を使用する場合、フィルム又はシートとしては延伸と無延伸のいずれのものを使用することができ、また、耐加水分解性が要求される場合には、ポリエステル系樹脂として、オリゴマーの含有量が0.1〜0.6質量%であり、さらにカルボキシル末端基量が3〜15当量/トン程度である耐加水分解性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
本発明においては、上記の樹脂のなかでも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、又はポリエステル系樹脂が好ましく、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、又はポリエステル系樹脂が好ましい。
また、水蒸気バリア性が必要とされる場合には、1層、又は2層以上の熱可塑性樹脂層の少なくとも1層の片面に金属もしくは金属酸化物蒸着物を積層した水蒸気バリア性フィルム、またはアルミニウム箔からなる水蒸気バリア基材などを積層することができる。
また、表面保護層を形成したのと相対する側の物質との密着性が必要とされる場合、特に熱圧着等によって密着する場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
フィルムの厚さは、積層する場合には積層した総厚さで100〜500μmが好ましく、250〜400μmがより好ましい。積層体の機械的強度や電気部材用途に用いられる際の絶縁性を必要とするためである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、本発明における評価方法は、以下の方法にて行った。
《黄変評価》
各実施例及び比較例で得られた積層体を、温度85℃、相対湿度85%の条件下で2000時間放置する耐湿熱性試験を行い、該試験の前後におけるYI値の差(ΔYI値)をJIS−K−7501に準拠して測定した。ΔYI値の測定には分光色彩計「SD−5000(型番)」(日本電色工業株式会社製)を用いた。評価基準は以下の通りである。
○;ΔYI値が3未満
△;ΔYI値が3以上5未満
×;ΔYI値が5以上
《耐候性の評価》
各実施例及び比較例で得られた積層体について、下記の条件による耐候性試験を行い、その前後における積層体の外観の変化を下記の基準で評価した。
○;全く外観の変化がみられなかった
△;表面に微細なひび割れや脱離が若干確認されたが、実用上問題ない
×;表面に微細なひび割れや脱離が著しく確認された
(耐候性試験)
試験機:メタルウェザー試験機(「KW−R5TP(型番)」,ダイプラ・ウィンテス株式会社製)
条件:下記の24時間を1サイクルとして、20サイクル繰り返すサイクル試験を行った。フィルターは、KF−1フィルターを用いた。
照度:60mW/cm2,ブラックパネル温度:63℃,相対湿度50%で20時間
照度:0mW/cm2,ブラックパネル温度:30℃,相対湿度98%で4時間
明暗切替時に10秒散水
実施例1
厚さ50μmの耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム(「ルミラーX10S(商品名)」,東レ株式会社製)の片方の面にコロナ処理を行った。該コロナ処理面に、ポリウレタン樹脂とアクリル樹脂とイソシアネート化合物からなる2液硬化型樹脂を100質量部、平均粒径約10μmの白色顔料(ルチル型酸化チタン)を100質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(「TINUVIN479(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を1質量部、下記化学式(4)で示されるヒンダードアミン系光安定剤(「TINUVIN152(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を3質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(「IRGANOX1010(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を1質量部及び酢酸エチル200質量部からなる2液硬化型白色プライマー塗工液を、乾燥後の厚さが3μmになるように、塗工及び乾燥して、白色プライマー層を形成した。
該プライマー層側に、電離放射線硬化性樹脂組成物として、ウレタンアクリレート樹脂100質量部に対して、平均粒径8μmのシリカ粒子20質量部、ポリエチレンワックス微粉末(平均粒径5μm、融点165℃)5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(「TINUVIN400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)1質量部、下記の化学式(4)で示されるヒンダードアミン系光安定剤(「TINUVIN152(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(「IRGANOX1010(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)1質量部及び酢酸エチル200質量部からなる塗工液を架橋・硬化後の厚さが5μmになるように塗工し、乾燥した。
次いで、塗布形成された電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層に、電子線照射装置(「エレクトロカーテンEC250/150/180L(型式)」,岩崎電気株式会社製)を用いて、酸素濃度100ppm以下の窒素ガス雰囲気中において、加速電圧165kV、吸収線量50kGy、搬送速度10m/minの条件で電子線を照射して架橋硬化させ、表面保護層を形成した。
上記耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム上の、表面保護層を形成したのと相対する側に、順次、酸化ケイ素蒸着膜が形成された厚さ12μmのポリエステルフィルム(「テックバリア(登録商標、以下同じ)LX(商品名)」,三菱樹脂株式会社製,該蒸着膜面が耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム側になるように配置した)、厚さ100μmの透明二軸延伸ポリエステルフィルム、厚さ120μmの白色高密度ポリエチレンフィルムを、それぞれ塗工乾燥後の厚さが5μmとなるように、ポリウレタン系2液接着剤を使用し、ドライラミネート法により貼り合わせて積層した後、40℃のオーブンで1週間養生して、積層体を作製した。上記方法にて評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005593784
実施例2
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤を下記の化学式(3)で示される光安定剤(「LA82(商品名)」,株式会社ADEKA社製)にかえた以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005593784
実施例3
実施例1において、2液硬化型白色プライマー塗工液に配合される白色顔料100質量部にかえてシリカ粒子3質量部(平均粒径:6μm)とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤を下記の化学式(6)で示される光安定剤(「TINUVIN123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)にかえた以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005593784
比較例2
実施例1において、ヒンダードアミン系光安定剤を加えなかった以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005593784
本発明によれば、極めて厳しい環境下においても黄変せず、割れが生じない、耐候性に優れた積層体を提供することができるので、屋外構造体などの、日光に晒される部材や部位を保護する用途などに有効である。

Claims (6)

  1. 基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層を積層してなる積層体であって、該プライマー層がルチル型チタニアを含み白色を呈し、該表面保護層が白色又は透明を呈し、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマー、及び該樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるものであり、該プライマー層を構成する樹脂が、2液硬化型ウレタン樹脂、アクリル−ウレタンブロック共重合体、及び熱可塑性ウレタン樹脂から選ばれる一種であるポリウレタン樹脂である積層体。
  2. 反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、電離放射線硬化性を有するものである請求項1に記載の積層体。
  3. 反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤が、下記化学式(1)で示されるものである請求項1又は2に記載の積層体。
    Figure 0005593784
    (式中、R1は水素又は炭素数1〜18の飽和の炭化水素基を示し、R2は炭素数2〜4の不飽和の炭化水素基を示す。)
  4. 常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤が、下記化学式(2)で示されるものである請求項1に記載の積層体。
    Figure 0005593784
    (式中、R3、R4、R5及びR6は水素又は炭素数1〜18の飽和の炭化水素基を示し、R7はヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基又はアルカノールアミノ基を示す。)
  5. プライマー層が、上記化学式(1)で示されるヒンダードアミン系光安定剤及び/又は上記化学式(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 表面保護層における光安定剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
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