JP2023095019A - 積層シート - Google Patents

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智嗣 加藤
Tomotsugu Kato
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Abstract

【課題】抗ウイルス性および耐熱性を両立した表面保護層を有する、建材に用いられる積層シートを提供する。【解決手段】基材層1および表面保護層2を有し、表面保護層は、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、を含有する、積層シート10を提供する。【選択図】図2

Description

本開示は、積層シートに関する。
近年、新型コロナウイルス(COVID-19)、鳥インフルエンザウイルス等のウイルスによるパンデミックが発生している。その対策として、ウイルスを不活性化する材料の開発が進んでいる。また、普段生活する空間に用いられる建材についても同様に、ウイルスを不活性化する性能が求められている。
例えば、特許文献1には、ペースト用塩化ビニル系樹脂と、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂と、スルホン酸系界面活性剤とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂層を備える抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙が開示されている。また、特許文献2には、基材と、樹脂層と、表面処理層とをこの順で有し、表面処理層が、表面処理層用樹脂と光触媒とを含有する抗ウイルス性壁紙が開示されている。
特許文献3には、化粧シート着色熱可塑性樹脂層、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を、少なくともこの順に設けた化粧シートが開示されている。さらに、表面保護層は、有効成分が無機材料に担持された抗ウイルス添加剤を含有することが開示されている。また、特許文献4には、基材シート上に表面保護層が設けられた化粧シートが開示されている。さらに、表面保護層は、有効成分として第4級アンモニウム塩を含む抗ウイルス剤を含有することが開示されている。
特許第6182386号 特許第6137716号 特許第6892031号 特許第6888726号
上記のように、特許文献3、4には、表面保護層に抗ウイルス剤を添加することが開示されている。表面保護層に抗ウイルス剤を添加することで、例えば表面保護層にウイルスが付着した場合に、そのウイルスは効果的に不活性化される。
特許文献4には、第4級アンモニウム塩を含有する抗ウイルス剤が開示されている。しかしながら、第4級アンモニウム塩を含有する抗ウイルス剤は、耐熱性が低い。そのため、例えば積層シートの製造時に加熱処理を行うと、抗ウイルス剤の分解が生じたり、その分解に起因する変色が生じたりする場合がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、抗ウイルス性および耐熱性を両立した表面保護層を有する積層シートを提供することを目的とする。
本開示においては、建材に用いられる積層シートであって、上記積層シートは、基材層および表面保護層を有し、上記表面保護層は、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、を含有する、積層シートを提供する。
本開示においては、抗ウイルス性および耐熱性を両立した表面保護層を有する積層シートを提供できるという効果を奏する。
本開示における積層シートを例示する概略断面図である。 本開示における積層シートを例示する概略断面図である。 本開示における積層シートを例示する概略断面図である。
下記に、図面等を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、本開示は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定されるべきではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表す場合があるが、これはあくまで一例であり、限定して解釈されるべきではない。
本明細書において、ある部材の上に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。
以下、本開示における積層シートについて、詳細に説明する。図1は、本開示における積層シートを例示する概略断面図である。図1に示す積層シート10は、基材層1および表面保護層2を有する。表面保護層2は、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、を含有する。
図2は、本開示における積層シートを例示する概略断面図であり、例えば壁用化粧シート(壁紙)に好適な層構成を示している。図2に示す積層シート10は、厚さ方向Dにおいて、基材層1、発泡樹脂層3、装飾層4、フィルム層5および表面保護層2を、この順に有している。また、図3は、本開示における積層シートを例示する概略断面図であり、例えば、床用化粧シートに好適な層構成を示している。図3に示す積層シート10は、厚さ方向Dにおいて、基材層1、装飾層4、フィルム層5、プライマー層6および表面保護層2を、この順に有している。
本開示によれば、抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bを用いることで、抗ウイルス性および耐熱性を両立した表面保護層を有する積層シートとなる。上述したように、特許文献4には、第4級アンモニウム塩を含有する抗ウイルス剤が開示されている。しかしながら、第4級アンモニウム塩を含有する抗ウイルス剤は、耐熱性が低い。そのため、例えば積層シートの製造時に加熱処理を行うと、抗ウイルス剤の分解が生じたり、その分解に起因する変色が生じたりする場合がある。特に、後述する壁用化粧シートおよび床用化粧シートの場合、その製造時に、加熱処理を行う場合が多いため、加熱処理による劣化が少ない表面保護層が必要となる。
これに対して、本開示においては、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aを用いる。カチオンポリマー系の抗ウイルス剤は、第4級アンモニウム塩基等のカチオン性官能基が、ポリマー構造に組み込まれているため、耐熱性が高い。そのため、例えば積層シートの製造時に加熱処理を行った場合であっても、抗ウイルス剤の分解が生じることを抑制できる。
また、例えば、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aを用い、かつ、抗ウイルス剤Aの分解に起因する変色を十分に抑制しようとする場合、抗ウイルス剤Aの使用量が制限されるため、良好な抗ウイルス性を有する表面保護層が得られない場合がある。これに対して、例えば、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aを用い、かつ、良好な抗ウイルス性を得ようとする場合、抗ウイルス剤Aの使用量が多くなるため、抗ウイルス剤Aの分解に起因する変色を十分に抑制した表面保護層が得られない場合がある。このように、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aを用いた場合、従来の第4級アンモニウム塩を含有する抗ウイルス剤(ポリマー系ではない抗ウイルス剤)に比べて、耐熱性の向上を図ることはできるものの、抗ウイルス性および耐熱性を両立した表面保護層を有する積層シートを得ることは難しい。
本開示においては、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aに加えて、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bを用いる。抗ウイルス剤Bは、無機系の抗ウイルス剤であるため、抗ウイルス剤Aよりも、さらに耐熱性が高い。抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bを組み合わせて用いることで、抗ウイルス剤Aのみを用いた場合に比べて、抗ウイルス剤Aの使用量を制限しつつ(すなわち、抗ウイルス剤Aの分解に起因する変色を抑制しつつ)、良好な抗ウイルス性が得られる。このように、抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bを用いることで、抗ウイルス性および耐熱性を両立した表面保護層を有する積層シートとなる。
また、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bは、例えば、銅系または銀銅系の抗ウイルス剤に比べて、耐光性は高い(光による変色は生じにくい)ものの、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aよりも、耐光性は低い。例えば、抗ウイルス剤Bを用い、かつ、光による変色を十分に抑制しようとする場合、抗ウイルス剤Bの使用量が制限されるため、良好な抗ウイルス性を有する表面保護層が得られない場合がある。これに対して、例えば、抗ウイルス剤Bを用い、かつ、良好な抗ウイルス性を得ようとする場合、抗ウイルス剤Bの使用量が多くなるため、光による変色を十分に抑制した表面保護層が得られない場合がある。このように、抗ウイルス剤Bに着目すると、抗ウイルス性および耐光性を両立した表面保護層を有する積層シートを得ることは難しい。本開示においては、抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bを組み合わせて用いることで、抗ウイルス剤Bのみを用いた場合に比べて、抗ウイルス剤Bの使用量を制限しつつ(すなわち、光による変色を抑制しつつ)、良好な抗ウイルス性を得ることができる。これらの観点に基づくと、抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bを組み合わせて用いることで、抗ウイルス性および耐光性の両立、ならびに、抗ウイルス性および耐熱性の両立を図ること、すなわち、抗ウイルス性、耐熱性および耐光性の両立を図ることができる。
1.表面保護層
本開示における表面保護層は、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、を含有する。また、図1に示すように、積層シート10は、表面保護層2を最表層として有していてもよい。
(1)抗ウイルス剤A
本開示における抗ウイルス剤Aは、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤である。表面保護層は、抗ウイルス剤Aを1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。カチオンポリマーとは、カチオン性官能基を有する高分子をいう。カチオン性官能基としては、例えば、第四級アンモニウム塩基、第四級ホスホニウム塩基が挙げられる。カチオンポリマーは、通常、主鎖および側鎖の少なくとも一方に、カチオン性官能基を有する。カチオンポリマーは、主鎖にカチオン性官能基を有し、側鎖にカチオン性官能基を有しなくてもよい。また、カチオンポリマーは、側鎖にカチオン性官能基を有し、主鎖にカチオン性官能基を有しなくてもよい。また、カチオンポリマーは、主鎖および側鎖にカチオン性官能基を有していてもよい。
抗ウイルス剤Aは、カチオン性官能基として、第四級アンモニウム塩基を有することが好ましい。抗ウイルス性が優れているからである。抗ウイルス剤Aが、主鎖に、第四級アンモニウム塩基を有する場合、下記(1)で表される構造単位を有していてもよい。
Figure 2023095019000002
上記(1)において、R~Rは、それぞれ独立に、少なくとも炭素を含む官能基である。RおよびRの炭素数は、例えば、1以上10以下であり、1以上5以下であってもよい。RおよびRは、それぞれ、例えば、アルキレン基である。また、RおよびRの少なくとも一方は、第四級アンモニウム塩基を有していてもよい。RおよびRの炭素数は、それぞれ、例えば、1以上10以下であり、1以上5以下であってもよい。RおよびRは、例えば、炭化水素基である。炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。また、炭化水素基の水素(H)は、他の元素または官能基に置換されていてもよい。抗ウイルス剤Aは、上記(1)で表される構造単位を、主鎖の主成分として有することが好ましい。抗ウイルス剤Aの耐熱性が向上するからである。
抗ウイルス剤Aは、下記(2)で表される構造単位を有していてもよい。
Figure 2023095019000003
上記(2)において、R11は、炭素数が1以上4以下である、アルキル基またはヒドロキシアルキル基であるか、炭素数が2以上4以下であるアルケニル基であり、4個のR11は、互いに、同一であってもよく、異なっていてもよい。R12は、炭素数が2以上10以下であるアルキレン基である。R13は、炭素数が2以上6以下であるヘテロアルキレン基、または、ヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基である。Aはアニオンである。
炭素数が1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基が挙げられる。炭素数が1以上4以下のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、1-メチル-1-ヒドロキシエチル基、1-メチル-2-ヒドロキシエチル基が挙げられる。炭素数が2以上4以下のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。炭素数が2以上10以下のアルキレン基は、直鎖状アルキレン基であってもよく、分岐状アルキレン基であってもよい。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2-エチルヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基が挙げられる。炭素数が2以上6以下のヘテロアルキレン基又はヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基は、ヘテロ原子として酸素および硫黄の少なくとも一方を有することが好ましい。このようなヘテロアルキレン基としては、例えば、メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシメチレンオキシエチレン基、メチレンチオメチレン基、メチレンチオエチレン基、エチレンチオエチレン基が挙げられる。ヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基としては、例えば、1-ヒドロキシ-3-オキサペンチレン基、1,4-ジヒドロキシ-2-オキサブチレン基が挙げられる。Aで表されるアニオンとしては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸等の一価又は多価カルボン酸に由来するアニオン、酸性リン酸エステルアニオン、アルキル硫酸エステルアニオン、ハロゲンアニオン、リン酸アニオン、硫酸アニオン、硝酸アニオンが挙げられる。抗ウイルス剤Aは、上記(2)で表される構造単位を、主鎖の主成分として有することが好ましい。
抗ウイルス剤Aが、側鎖に、第四級アンモニウム塩基を有する場合、抗ウイルス剤Aは、下記(3)で表される側鎖を有する構造単位を備えていてもよい。
Figure 2023095019000004
上記(3)において、R31~R34は、それぞれ独立に、少なくとも炭素を含む官能基である。R31の炭素数は、例えば、1以上10以下であり、1以上5以下であってもよい。R31は、例えば、アルキレン基である。R32~R34の炭素数は、それぞれ、例えば、1以上10以下であり、1以上5以下であってもよい。R32~R34は、例えば、炭化水素基である。炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。また、炭化水素基の水素(H)は、他の元素または官能基に置換されていてもよい。
抗ウイルス剤Aは、カチオン性のオレフィン系樹脂であってもよい。カチオン性のオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィンを構造骨格に有する。また、抗ウイルス剤Aは、カチオン性のウレタン系樹脂であってもよく、カチオン性のアミン系樹脂であってもよい。また、抗ウイルス剤Aは、オレフィン等の合成高分子を構造骨格に有していてもよく、キチン、キトサン等の天然高分子を骨格構造に有していてもよい。また、抗ウイルス剤Aは、水溶性であってもよい。また、抗ウイルス剤Aは、エマルジョン状態であってもよい。
抗ウイルス剤Aの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば10,000以上であり、30,000以上であってもよい。重量平均分子量が小さすぎると、抗ウイルス剤Aが良好な耐熱性を発揮できない可能性がある。一方、抗ウイルス剤Aの重量平均分子量(Mw)は、例えば1,000,000以下であり、800,000以下であってもよい。重量平均分子量が大きすぎると、良好な抗ウイルス性を発揮できない可能性がある。本開示における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値として求めることができる。
抗ウイルス剤Aの具体例としては、アモルデンD-CL50(大和化学工業製)、ビオサイドNeo(タイショーテクノス製)、ニッカノンRB(日華化学製)、FC-V20S(富士ケミカル工業製)、マルカサイドCP(大阪化成製)、アローベース(ユニチカ製)が挙げられる。
抗ウイルス剤Aの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であり、0.5質量部以上であってもよく、1質量部以上であってもよく、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよい。抗ウイルス剤Aの含有量が少なすぎると、良好な抗ウイルス性を発揮できない可能性がある。一方、抗ウイルス剤Aの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、15質量部以下であり、12質量部以下であってもよい。抗ウイルス剤Aの含有量が多すぎると、表面保護層の耐汚染性が低下する可能性がある。
抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bの合計の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよく、7質量部以上であってもよい。抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bの合計の含有量が少なすぎると、良好な抗ウイルス性を発揮できない可能性がある。一方、抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bの合計の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、20質量部以下であり、15質量部以下であってもよい。抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bの合計の含有量が多すぎると、表面保護層の耐汚染性が低下する可能性がある。
抗ウイルス剤Bに対する抗ウイルス剤Aの質量割合(A/B)は、例えば0.05以上であり、0.1以上であってもよく、0.5以上であってもよい。一方、質量割合(A/B)は、例えば10以下であり、5以下であってもよい。
(2)抗ウイルス剤B
本開示における抗ウイルス剤Bは、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤である。表面保護層は、抗ウイルス剤Bを1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。例えば、表面保護層は、銀系の抗ウイルス剤および銀亜鉛系の抗ウイルス剤を含有していてもよい。また、銀系の抗ウイルス剤は、通常、有効成分として銀のみを有する抗ウイルス剤である。一方、銀亜鉛系の抗ウイルス剤は、通常、有効成分として銀および亜鉛を少なくとも有する抗ウイルス剤であり、有効成分として銀および亜鉛のみを有する抗ウイルス剤であってもよい。抗ウイルス剤Bは、通常、担体と、上記担体に担持または含有された、金属イオン(銀イオン、亜鉛イオン)と、を有する。
抗ウイルス剤Bにおける担体は、無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。無機材料としては、例えば、ガラス、アパタイト、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン等の無機材料が挙げられる。特に、ガラスまたはアパタイトを用いた場合に、変色の発生を抑制できる。ガラスとしては、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、リン酸ガラスが挙げられる。
アパタイトは、下記一般式で示される組成を有する鉱物の総称である。
10(ZO
上記式において、Mは、Ca、Ba、Mg、Na、K、FeおよびAlの少なくとも一種であり、Zは、P、S、SiおよびAsの少なくとも一種であり、Xは、F、Cl、OおよびOHの少なくとも一種である。アパタイトの具体例としては、フッ素アパタイト(Ca10(PO)、水酸アパタイト(Ca10(PO(OH))が挙げられる。
有機材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、スチレン類またはα-オレフィンと、(メタ)アクリル酸との共重合体、ポリアセタール系樹脂が挙げられる。
抗ウイルス剤Bは、通常、担体と、上記担体に担持または含有された、有効成分(金属イオン)と、を有する。ここで、「有効成分が担体に含有されている」とは、有効成分、または、有効成分を生成可能な物質を、担体中に保持することをいう。また、「有効成分を生成可能な物質」とは、例えば、水に溶解することにより有効成分を生成する物質のように、外的要因または経時的要因により、有効成分を生成する物質を意味する。有効成分を生成可能な物質としては、例えば、金属単体、金属合金、無機塩、酸化物、水酸化物が挙げられる。
有効成分、または、有効成分を生成可能な物質(以下、有効成分等と称する)は、物理吸着または化学吸着により、担体に担持または含有されていてもよい。また、有効成分は、イオン交換反応により、担体に担持または含有されていてもよい。また、有効成分を生成可能な物質は、結合剤により、担体に担持または含有されていてもよい。
抗ウイルス剤Bにおける有効成分の量は、担体100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、30質量部以下であり、0.5質量部以上、25質量部以下であってもよく、1質量部以上、20質量部以下であってもよい。
抗ウイルス剤Bは、例えば、粒子状であることが好ましい。抗ウイルス剤Bの粒子の形状としては、例えば、球、楕円体、多面体、鱗片が挙げられる。抗ウイルス剤Bの平均粒子径は、例えば、0.5μm以上、10μm以下であり、1.0μm以上、5.0μm以下であってもよい。本開示における平均粒子径は、レーザ光回折法による粒度分布測定における累積50%の値(D50、メディアン径)である。
抗ウイルス剤Bの平均粒子径をDとし、表面保護層の厚さをTとする。D/Tは、1以下であってもよく、1より大きくてもよい。D/Tは、1以下である場合、抗ウイルス剤Bが表面保護層の表面から突出することを抑制できる。D/Tは、0.8以下であってもよく、0.6以下であってもよい。一方、D/Tは、例えば0.1以上である。
抗ウイルス剤Bの具体例としては、ノバロンIV-1000(東亜合成製)、アムテクリーンZ(アムテック製)、ゼオミック(シナネンゼオミック製)が挙げられる。
抗ウイルス剤Bの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であり、0.5質量部以上であってもよく、1質量部以上であってもよく、3質量部以上であってもよく、5質量部以上であってもよい。抗ウイルス剤Bの含有量が少なすぎると、良好な抗ウイルス性を発揮できない可能性がある。一方、抗ウイルス剤Bの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、15質量部以下であり、12質量部以下であってもよい。抗ウイルス剤Bの含有量が多すぎると、表面保護層の耐汚染性が低下する可能性がある。
(3)樹脂成分
表面保護層は、樹脂成分を含有する。樹脂成分は、主にバインダー樹脂として機能する。表面保護層は、樹脂成分として、樹脂組成物、および、その硬化物の少なくとも一方を含有することが好ましい。上記硬化物は、硬化性樹脂組成物を電離放射線により硬化した硬化物であってもよく、硬化性樹脂組成物を熱により硬化した硬化物であってもよい。
硬化性樹脂組成物としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。耐擦傷性および生産効率の観点では、電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましい。すなわち、表面保護層は、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有することが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の具体例としては、電子線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、電離放射線硬化性樹脂組成物は、重合開始剤が不要のため臭気が少ない、着色が生じにくい等の利点がある。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基は、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基が挙げられる。また、電離放射線硬化性官能基の他の具体例としては、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられる。本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクロイル基をいう。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートをいう。また、電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいい。電離放射線の具体例としては、紫外線(UV)、電子線(EB)が挙げられる。電離放射線の他の具体例としては、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。電離放射線硬化性化合物の種類は、特に限定されず、公知の重合性モノマー、公知の重合性オリゴマー(重合性プレポリマー)を用いることができる。
電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物を含むことが好ましい。中でも、電離放射線硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物を含むことが好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよい。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物は、2官能(メタ)アクリレート系モノマーであってもよく、3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーであってもよい。2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコールおよび有機ジイソシアネートと、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。また、エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、エポキシ系樹脂と、(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。この反応の際に、多塩基酸およびフェノール類の少なくとも一方を、さらに用いてもよい。エポキシ系樹脂は、2官能であってもよく、3官能以上であってもよい。また、エポキシ系樹脂としては、例えば、芳香族エポキシ系樹脂、脂環族エポキシ系樹脂、脂肪族エポキシ系樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化性化合物は、シリコーン(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。シリコーン(メタ)アクリレートを用いることで、表面保護層の耐汚染性が向上する。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリシロキサンを含むシリコーンオイルが挙げられる。シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンの末端に、(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルであってもよい。シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、電離放射線硬化性化合物(シリコーン(メタ)アクリレートを除く)100質量部に対して、例えば、1質量部以上、7質量部以下であり、2質量部以上、5質量部以下であってもよい。
電離放射線硬化性化合物が、紫外線硬化性化合物である場合、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤、光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントンが挙げられる。光重合促進剤としては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルが挙げられる。
一方、熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物である。この樹脂組成物は、加熱により、硬化する。熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化剤および硬化触媒等の添加剤を含有していてもよい。
(4)添加剤
表面保護層は、添加剤として、酸化防止剤、光安定剤および紫外線吸収剤の少なくとも一つをさらに含有していてもよい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。中でも、リン系酸化防止剤は、光による表面保護層の変色を効果的に抑制できる。また、光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物は、通常、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を分子内に含む構造を有する。ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、NH型ヒンダードアミン系化合物、NR型ヒンダードアミン系化合物、NOR型ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
(5)表面保護層
本開示における表面保護層は、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、を少なくとも含有する。表面保護層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1.0μm以上、20μm以下であり、1.5μm以上、15μm以下であってもよく、2.0μm以上、10μm以下であってもよい。
表面保護層の形成方法としては、例えば、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bとを含有する混合物を、基材層の面に塗工し、乾燥し、硬化させる方法が挙げられる。また、離型性を有する基板の面に、上記混合物を塗工し、乾燥し、硬化させて表面保護層を形成し、その表面保護層を、基材層上に転写してもよい。
2.基材層
本開示における基材層は、表面保護層を支持する層である。基材層の構成材料としては、例えば、繊維質材料、樹脂、金属、非金属無機材料が挙げられる。基材層は、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。後者の場合、基材層は、構成材料の種類が同じ層を2層以上有していてもよく、構成材料の種類が異なる層を2層以上有していてもよい。
基材層に用いられる繊維質材料としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、和紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、パラフィン紙、パーチメント紙、グラシン紙、壁紙用裏打紙、板紙および石膏ボード用原紙等の紙が挙げられる。上記紙は、一般紙であってもよく、難燃紙であってもよい。難燃紙は、一般紙の中に難燃剤を含有させた紙である。難燃剤としては、例えば尿素、アンモニウム化合物等の窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物(好ましくは水和物)、自消性を有するリンまたはハロゲン元素を含む難燃剤が挙げられる。中でも、水酸化マグネシウムのように、結晶水を含む化合物は、燃焼分解時に結晶水の気化熱によって難燃化を図ることができる。
繊維質材料の別の例としては、織布、不織布が挙げられる。織布または不織布に用いられる繊維としては、例えば、樹脂繊維(例えばポリエステル樹脂繊維、アクリル樹脂繊維)、天然繊維(例えば絹、木綿、麻)、ガラス繊維、炭素繊維が挙げられる。また、基材層に繊維質材料を用いる場合、アクリル系樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂を添加(抄造後に樹脂含浸、または、抄造時に樹脂内填)してもよい。また、基材層は、壁紙用裏打紙の表面に、塩化ビニル系樹脂層、オレフィン系樹脂層、アクリル系樹脂層等の樹脂層を積層した壁紙原反であってもよい。
基材層に用いられる樹脂としては、例えば、合成樹脂、天然樹脂が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、三酢酸セルロース、セロファン、セルロイド等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABD)等のスチレン系樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂の別の例として、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂が挙げられる。天然樹脂としては、例えば、天然ゴム、松脂、琥珀が挙げられる。
基材層に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金(例えばジュラルミン)、鉄、鉄合金(例えば炭素鋼、ステンレス鋼)、銅、銅合金(例えば、真鍮、青銅)、金、銀、クロム、ニッケル、コバルト、スズ、チタンが挙げられる。また、金属の表面に、めっき処理が施されていてもよい。
基材層に用いられる非金属無機材料としては、例えば、セメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、石膏、珪酸カルシウム、木片セメント等の非セラミック系窯業材料、陶磁器、土器、硝子、琺瑯等のセラミック系窯業材料、石灰岩(大理石を含む)、花崗岩、安山岩等の天然石が挙げられる。
基材層は、必要に応じて、難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等の添加剤を含有していてもよい。また、基材層は、例えば密着性向上を目的として、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、酸化法、凹凸化法が挙げられる。酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法が挙げられる。凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法が挙げられる。
基材層の形状としては、例えば、シート状が挙げられる。基材層の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上300μm以下である。基材層の坪量は、特に限定されないが、例えば、50g/m以上300g/m以下であり、60g/m以上160g/m以下であってもよい。
3.積層シート
本開示における積層シートは、基材層および表面保護層を少なくとも有する。積層シートは、基材層および表面保護層のみを有していてもよく、基材層および表面保護層に加えて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、発泡樹脂層、非発泡樹脂層、装飾層、プライマー層、フィルム層、接着剤層が挙げられる。
積層シートの層構成としては、例えば、以下に示す層構成が挙げられる。
(1)基材層/発泡樹脂層/表面保護層
(2)基材層/発泡樹脂層/プライマー層/表面保護層
(3)基材層/発泡樹脂層/装飾層/表面保護層
(4)基材層/発泡樹脂層/装飾層/プライマー層/表面保護層
(5)基材層/発泡樹脂層/接着剤層/フィルム層/表面保護層
(6)基材層/発泡樹脂層/接着剤層/装飾層/フィルム層/表面保護層
(7)基材層/発泡樹脂層/装飾層/接着剤層/フィルム層/表面保護層
(8)基材層/発泡樹脂層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(9)基材層/発泡樹脂層/接着剤層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(10)基材層/発泡樹脂層/接着剤層/装飾層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(11)基材層/発泡樹脂層/装飾層/接着剤層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(12)基材層/表面保護層
(13)基材層/プライマー層/表面保護層
(14)基材層/装飾層/表面保護層
(15)基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層
(16)基材層/接着剤層/フィルム層/表面保護層
(17)基材層/接着剤層/装飾層/フィルム層/表面保護層
(18)基材層/装飾層/接着剤層/フィルム層/表面保護層
(19)基材層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(20)基材層/接着剤層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(21)基材層/接着剤層/装飾層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
(22)基材層/装飾層/接着剤層/フィルム層/プライマー層/表面保護層
上記「/」は、各層の相対的な位置関係を示しており、例えば「A/B/C」は、A、BおよびCが、厚さ方向に沿って、この順に配置されていることを意味する。また、例えば「A/B」と記載した場合、AおよびBは、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。また、上記(1)~(11)に例示するように、積層シートが発泡樹脂層を有する場合、その発泡樹脂層の片面または両面に、非発泡樹脂層が配置されていてもよい。
(1)発泡樹脂層
積層シートは、基材層および表面保護層の間に、発泡樹脂層を有していてもよい。発泡樹脂層を設けることで、積層シートの意匠性および質感が向上する。特に、積層シートの用途が壁用化粧シート(壁紙)である場合、積層シートは発泡樹脂層を有することが好ましい。一方、積層シートは、発泡樹脂層を有していなくてもよい。また、本開示における積層シートは、発泡樹脂層を形成する前のシートであってもよい。この場合、積層シートは、後述する発泡剤含有樹脂層を有する。
発泡樹脂層は、樹脂を含有する。発泡樹脂層は、上記樹脂の硬化物を含有していてもよい。上記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(ABS系樹脂)、アクリロニトリル-スチレン系共重合体、ナイロン、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。
発泡樹脂層は、樹脂として、オレフィン系樹脂を含有することが好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、オレフィンビニルエステル共重合体、オレフィン不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン不飽和カルボン酸エステル共重合体が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が挙げられ、中でもPEが好ましい。PEとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。
オレフィンビニルエステル共重合体は、オレフィンおよびビニルエステルをモノマー成分として含む共重合体であり、二元または三元以上の共重合体であってもよい。上記オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンが挙げられる。一方、上記ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニルが挙げられる。
オレフィンビニルエステル共重合体の具体例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-カプロン酸ビニル共重合体、エチレン-プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン-カプリル酸ビニル共重合体、エチレン-ラウリル酸ビニル共重合体、エチレン-ステアリン酸ビニル共重合体が挙げられる。
オレフィン不飽和カルボン酸共重合体は、オレフィンおよび不飽和カルボン酸をモノマー成分として含む共重合体であり、二元または三元以上の共重合体であってもよい。上記オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンが挙げられる。一方、上記不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
オレフィン不飽和カルボン酸共重合体の具体例としては、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)が挙げられる。
オレフィン不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルメタクリレート共重合体(EEMA)が挙げられる。
発泡樹脂層は、無機充填剤を含有していてもよい。無機充填剤を添加することにより、難燃性が向上する。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、二酸化チタンが挙げられる。無機充填剤の含有量は、発泡樹脂層を構成する樹脂100質量部に対して、例えば、30質量部以上、150質量部以下であり、40質量部以上、100質量部以下であってもよい。無機充填剤の平均粒子径(D50)は、例えば、5μm以上、25μm以下であり、5μm以上、15μm以下であってもよい。
発泡樹脂層は、内部に気泡を有する。気泡は、独立気泡であってもよく、連続気泡であってもよい。また、発泡樹脂層において、独立気泡および連続気泡が混在していてもよい。気泡は、発泡剤含有樹脂層に含まれる発泡剤が発泡することにより形成され、その数、大きさ、密度、形状は、特に限定されない。
発泡樹脂層は、必要に応じて、顔料、酸化防止剤、光安定剤、架橋剤、架橋助剤、発泡助剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、希釈剤、消臭剤、可塑剤等の添加剤を含有していてもよい。また、発泡樹脂層は、未発泡の発泡剤を含有していてもよい。発泡樹脂層の厚さは、例えば、350μm以上、1500μm以下であり、500μm以上、1200μm以下であってもよい。
発泡樹脂層の形成方法は、特に限定されないが、樹脂および発泡剤を含有する発泡剤含有樹脂層を加熱し、発泡させて、発泡樹脂層を形成する方法が挙げられる。発泡剤としては、例えば、有機系熱分解型発泡剤が挙げられる。有機系熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系発泡剤、オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系発泡剤が挙げられる。発泡剤の他の具体例としては、重曹等の無機系発泡剤が挙げられる。また、発泡剤は、マイクロカプセル型発泡剤であってもよい。また、発泡剤含有樹脂層の形成方法としては、例えば、Tダイ押出し機等の押出し機を用いた押出成膜が挙げられる。
(2)非発泡樹脂層
積層シートは、基材層および表面保護層の間に、非発泡樹脂層を有していてもよい。非発泡樹脂層は、発泡剤の発泡による気泡を含まない層である。積層シートが発泡樹脂層を有する場合、非発泡樹脂層は、発泡樹脂層の基材層側の面に配置されていてもよく、発泡樹脂層の表面保護層側の面に配置されていてもよい。一方、積層シートは、非発泡樹脂層を有しなくてもよい。
ここで、発泡樹脂層の基材層側の面に配置される非発泡樹脂層を、非発泡樹脂層Aと称する。非発泡樹脂層Aを設けることで、発泡樹脂層および基材層の密着性が向上する。非発泡樹脂層Aは、樹脂を含有し、上記樹脂の硬化物を含有していてもよい。非発泡樹脂層Aの詳細については、発泡剤を用いたことを除き、上記「(1)発泡樹脂層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。非発泡樹脂層Aおよび発泡樹脂層は、同種の樹脂を含有していてもよく、異種の樹脂を含有していてもよい。非発泡樹脂層Aの厚さは、例えば、5μm以上、50μm以下である。
また、発泡樹脂層の表面保護層側の面に配置される非発泡樹脂層を、非発泡樹脂層Bと称する。非発泡樹脂層Bを設けることで、例えば、装飾層の意匠性が向上したり、発泡樹脂層の耐傷性が向上したりする。非発泡樹脂層Bは、樹脂を含有し、上記樹脂の硬化物を含有していてもよい。非発泡樹脂層Bの詳細については、発泡剤を用いたことを除き、上記「(1)発泡樹脂層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。非発泡樹脂層Bおよび発泡樹脂層は、同種の樹脂を含有していてもよく、異種の樹脂を含有していてもよい。非発泡樹脂層Bの厚さは、例えば、5μm以上、10μm以下である。積層シートは、非発泡樹脂層Aおよび非発泡樹脂層Bの両方を有していてもよい。
非発泡樹脂層の形成方法としては、例えば、Tダイ押出し機等の押出し機を用いた押出成膜が挙げられる。
(3)装飾層
積層シートは、基材層および表面保護層の間に、装飾層を有していてもよい。装飾層を設けることで、積層シートの意匠性が向上する。一方、積層シートは、装飾層を有していなくてもよい。積層シートが発泡樹脂層を有する場合、装飾層は、発泡樹脂層と表面保護層との間に配置されることが好ましい。また、積層シートが非発泡樹脂層を有する場合、装飾層は、非発泡樹脂層と表面保護層との間に配置されることが好ましい。また、積層シートは、表面保護層の基材層とは反対側の面に、装飾層を有していてもよい。また、積層シートを厚さ方向に沿って平面視した場合に、装飾層は、積層シートの全面に配置されていてもよく、積層シートの一部に配置されていてもよい
装飾層としては、例えば、ベタ層(インキをベタ塗りした層)、絵柄層(インキを印刷した層)が挙げられる。絵柄層における絵柄(模様)としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様が挙げられる。
装飾層は、通常、着色剤およびバインダー樹脂を含有する。着色剤としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料(染料を含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等のパール顔料が挙げられる。
バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリルポリオール系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ブチラール系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニルーアクリル共重合体、塩素化プロピレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂が挙げられる。
装飾層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化剤、可塑剤、触媒等の添加剤を含有していてもよい。装飾層の厚さは、例えば、0.5μm以上、20μm以下であり、1μm以上、10μm以下であってもよく、2μm以上、5μm以下であってもよい。また、装飾層の形成方法としては、例えば、着色剤、バインダー樹脂および溶剤を含有するインキを塗工し、その後、乾燥する方法が挙げられる。
(4)プライマー層
積層シートは、表面保護層の基材層側の面に、プライマー層を有していてもよい。プライマー層を設けることで、基材層と表面保護層との密着性が向上し、例えば、紫外線に暴露した際の層間密着性の低下を抑制できる。また、プライマー層を設けることで、表面保護層の耐擦傷性が向上する。また、積層シートは、基材層の表面保護層とは反対側の面に、プライマー層(裏面プライマー層)を有していてもよい。
プライマー層は、バインダー樹脂を少なくとも含有する。バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリルポリオール系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ブチラール系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化プロピレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂が挙げられる。プライマー層は、樹脂を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
プライマー層は、バインダー樹脂の硬化物を含有していてもよい。硬化剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤が挙げられる。バインダー樹脂の硬化物は、特に、アクリルポリオール系樹脂等のポリオール系樹脂を、イソシアネート系硬化剤で架橋硬化した硬化物であることが好ましい。
プライマー層は、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一方をさらに含有していてもよい。紫外線吸収剤および光安定剤については、一般的なものを使用できる。プライマー層の厚さは、例えば、0.01μm以上、10μm以下であり、0.7μm以上、8μm以下であってもよく、1μm以上、6μm以下であってもよい。また、プライマー層の形成方法としては、例えば、バインダー樹脂および溶剤を含有する樹脂組成物を塗工し、その後、乾燥する方法が挙げられる。必要に応じて、硬化処理を行ってもよい。
(5)フィルム層
積層シートは、基材層および表面保護層の間に、フィルム層を有していてもよい。フィルム層を設けることで、積層シートの強度が向上する。特に、積層シートの用途が床用化粧シートである場合、積層シートはフィルム層を有することが好ましい。床用化粧シートには高い強度が求められるからである。積層シートがプライマー層を有する場合、フィルム層は、基材層とプライマー層との間に配置されていることが好ましい。また、積層シートが装飾層を有する場合、フィルム層は、装飾層と表面保護層との間に配置されていることが好ましい。フィルム層が装飾層を効果的に保護できるからである。
フィルム層は、透明であってもよく、半透明であってもよく、不透明であってもよい。また、フィルム層は、着色されていてもよく、着色されていなくてもよい。積層シートが装飾層を有する場合、フィルム層は、装飾層を識別可能な透明性を有していることが好ましい。
フィルム層は、樹脂を含有する。上記樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。上記樹脂は、酸変性した樹脂であってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、オレフィン共重合体が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられ、中でも、ポリエチレンが好ましい。
オレフィン共重合体は、特に限定されないが、エチレンを含むエチレン共重合体が好ましい。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン-α,β不飽和カルボン酸エステル共重合体が挙げられる。エチレン-α,β不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)が挙げられる。
フィルム層の厚さは、例えば、3μm以上、25μm以下であり、5μm以上、20μm以下であってもよい。また、フィルム層の形成方法としては、例えば、Tダイ押出し機等の押出し機を用いた押出成膜が挙げられる。また、フィルム層を予め作製し、他の層と熱ラミネートしてもよい。また、必要に応じて、硬化処理を行ってもよい。
(6)接着剤層
積層シートは、接着剤層を有していてもよい。接着剤層の位置は、特に限定されない。積層シートが発泡樹脂層を有する場合、接着剤層は、発泡樹脂層の基材層とは反対側の面に配置されていてもよい。また、積層シートが非発泡樹脂層Bを有する場合、接着剤層は、非発泡樹脂層Bの基材層とは反対側の面に配置されていてもよい。また、積層シートがフィルム層を有する場合、接着剤層は、基材層およびフィルム層の間に配置されていてもよい。また、積層シートが装飾層を有する場合、接着剤層は、装飾層の基材層とは反対側の面に配置されていてもよい。また、基材層が2層以上の積層体である場合、基材層を構成する各層の間に接着剤層が配置されていてもよい。また、積層シートは、基材層の表面保護層とは反対側の面に、接着剤層を有していてもよい。この場合、積層シートは、接着剤層の基材層とは反対側の面に、剥離可能なセパレータ層を有していてもよい。
接着剤層は、樹脂を含有する。上記樹脂としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(EMAA)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂繊維素誘導体、ゴム系樹脂が挙げられる。
接着剤層の厚さは、例えば、0.1μm以上、10μm以下である。また、接着剤層の形成方法としては、例えば、樹脂および溶剤を含有する樹脂組成物を塗工し、その後、乾燥する方法が挙げられる。
(7)積層シート
本開示における積層シートは、基材層および表面保護層を少なくとも有する。積層シートは、上述したように、発泡樹脂層、非発泡樹脂層、装飾層、プライマー層、フィルム層、接着剤層等の他の層をさらに有していてもよい。
積層シートは、基材層を基準として、表面保護層側の最表面に、エンボス模様を有していてもよい。中でも、表面保護層の基材層とは反対側の面に、エンボス模様が配置されていることが好ましい。本開示における表面保護層は、耐熱性が良好であることから、エンボス模様を形成する熱処理を行っても、良好な抗ウイルス性を有する積層シートとなる。エンボス模様としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝が挙げられる。
エンボス模様の形成方法としては、例えば、積層シートを加熱し、エンボス版を押圧する方法が挙げられる。積層シートの加熱温度は、例えば、80℃以上、260℃以下であり、85℃以上、200℃以下であってもよく、100℃以上、180℃以下であってもよい。
本開示における積層シートは、典型的には化粧シートであり、通常、建材に用いられる。具体例としては、下記(1)~(5)が挙げられる。
(1)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の壁、床、天井等の内装部分の表面材
(2)住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物の外壁、屋根、軒天井、戸袋等の外装部分の表面材
(3)窓、窓枠、扉、扉枠等の建具の表面材
(4)手すり、腰壁、廻り縁、敷居、鴨井、笠木等の造作部材の表面材
(5)塀、門扉、物干台の柱、手すり等の屋外(外装)部分の表面材
本開示における積層シートは、転写シートであってもよい。例えば、積層シートが、上述した装飾層を有する場合、積層シートは、その装飾層を転写するための転写シートであってもよい。また、積層シートは、その表面保護層を転写するための転写シートであってもよい。また、上述したように、積層シートは、その用途に応じて、適宜、接着剤層を有していてもよい。
また、本開示においては、基材層および表面保護層を有する積層シートの製造方法であって、上記基材層の一方の面に、樹脂成分と、カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、を含有する上記表面保護層を形成し、前駆シートを作製する前駆シート作製工程と、上記前駆シートを加熱処理する加熱処理工程と、を有する積層シートの製造方法を提供することもできる。加熱処理工程は、積層シートの前駆シートを加熱処理する任意の工程が対象になり得る。例えば、加熱工程は、発泡剤含有樹脂層を発泡させる工程である。また、例えば、加熱工程は、エンボス模様を形成する工程である。
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(発泡剤を含有する樹脂組成物の調製)
下記の材料を溶融混練し、発泡剤を含有する樹脂組成物を得た。
・樹脂:EMAA「N1560:三井・デュポンポリケミカル(株)製」…100質量部
・無機充填剤:二酸化チタン「CR58-2:石原産業(株)製」…20質量部
・発泡剤:アゾ系発泡剤「ビニホールAC#3:永和化成工業(株)製」…4質量部
・発泡助剤:ヒドラジド系発泡助剤「ADH:大塚化学(株)製」…2質量部
(EBコート剤の調製)
下記の材料を混合し、EBコート剤を得た。
・電子線硬化樹脂コート剤「セイカビーム:大日精化(株)製」…100質量部
・抗ウイルス剤A:カチオンポリマー系の抗ウイルス剤「アモルデンD-CL50:大和化学工業(株)」…1質量部
・抗ウイルス剤B:銀系の抗ウイルス剤「ノバロンIV-1000:東亜合成(株)製」…9質量部
(積層シートの作製)
発泡剤を含有する樹脂組成物を、厚さが50μ以上100μm以下となるように製膜し、発泡剤含有樹脂層を得た。得られた発泡剤含有樹脂層の一方の面に、裏打紙(基材層)に貼り合わせた。次に、発泡剤含有樹脂層の他方の面に、グラビア印刷機を用いてEBコート剤を塗工した。その後、200kV、50kGyの条件で電子線照射を行い、表面保護層を形成した。次に、ギアオーブンにて220℃で40秒間加熱して、発泡剤含有樹脂層を発泡させ、積層シート(発泡積層シート)を得た。
[実施例2]
抗ウイルス剤Aの使用量を、2.5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[実施例3]
発泡剤を含有する樹脂組成物における樹脂を、EVA「P1007(VA含有量10%):三井・デュポンポリケミカル(株)製」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[実施例4]
抗ウイルス剤Aを、「FC-V20S:富士ケミカル工業(株)製」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[実施例5]
抗ウイルス剤Bを、銀亜鉛系の抗ウイルス剤「アムテクリーンZ:(株)アムテック」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例1]
抗ウイルス剤Aおよび抗ウイルス剤Bを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例2]
抗ウイルス剤Aを、第4級アンモニウム塩系の抗ウイルス剤「スラモニD100:大阪ガスケミカル(株)製」に変更し、抗ウイルス剤Aの使用量を、3質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例3]
抗ウイルス剤Bを、銀銅系の抗ウイルス剤「ゼオミックAC10N:シナネンゼオミック(株)製」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例4]
抗ウイルス剤Aを用いず、抗ウイルス剤Bの使用量を、18質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[評価]
(抗ウイルス性)
実施例1~5および比較例1~4で得られた積層シートの抗ウイルス性を評価した。具体的には、ISO 21702(プラスチック及びその他の非多孔質表面の抗ウイルス活性の測定)に従い、試験を行った。試験の詳細は、以下の通りである。
5cm角の試験片(抗ウイルス加工品および無加工品)に、0.4mlのウイルス液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆した。この試験片を25℃で24時間静置した。静置後、試験片上のウイルスを洗いだして回収し、ウイルス感染価を測定した。下記式により抗ウイルス活性値を算出した。
R=Ut-At
Rは、抗ウイルス活性値であり、Utは、無加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均であり、Atは、抗ウイルス加工品の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の常用対数の平均である。試験ウイルスには、インフルエンザウイルスを用い、また、抗ウイルス活性値が2.0以上である場合を〇と評価し、2.0未満である場合を×とした。
(耐汚染性)
実施例1~5および比較例1~4で得られた積層シートの耐汚染性を評価した。具体的には、壁紙工業会制定の「汚れ防止壁紙性能規定」に従い、試験を行った。試験の詳細は、以下の通りである。
積層シートの表面保護層に、汚染物(コーヒー、醤油、クレヨン、水性ペン、油性ペン)を付着させ、24時間後に、コーヒーおよび醤油は水にて、クレヨンおよび水性ペンは中性洗剤にて、油性ペンは乾拭きにて拭き取った。拭き取り後の表面保護層を目視で確認した。拭き取り後の表面保護層と、汚染物を付着させていない表面保護層とを比較して、4級(汚れが汚染専用グレースケール4号程度のもの)または5級(汚れが汚染専用グレースケール5程度のもの)を〇と評価し、3級(汚れが汚染専用グレースケール3号程度のもの)以下を×と評価した。
(耐熱性)
実施例1~5および比較例1~4で得られた積層シートの耐熱性を評価した。測定装置として、分光測色計(コニカミノルタ社製、CM-3700A)を用いた。比較例1で得られた積層シートのb値(b*1)と、実施例1~5および比較例2~4で得られた積層シートのb値(b*2)とを用いて、Δbを求めた。Δbが0.5未満である場合を○と評価し、0.5以上1.0未満である場合を△と評価し、1以上である場合を×と評価した。
(耐光性)
実施例1~5および比較例1~4で得られた積層シートの耐光性を評価した。具体的には、積層シートに対して、紫外線オートフェードメーターを用いた促進試験を行い、外観変化を評価した。試験の詳細は、以下の通りである。
まず、測定装置として、分光測色計(コニカミノルタ社製、CM-3700A)を用いた。次に、積層シートに対して、紫外線オートフェードメーター(スガ試験機社製)を用いて、照度500W/m、ブラックパネル温度63℃、100時間の条件で促進試験を行った。促進試験前後における積層シートのΔbを求めた。Δbが0.5未満である場合を〇と評価し、0.5以上1.0未満である場合を△と評価し、1以上である場合を×と評価した。
Figure 2023095019000005
表1に示されるように、実施例1~5は、抗ウイルス性、耐汚染性、耐熱性および耐光性が、いずれも良好であった。これに対して、比較例1では、抗ウイルス剤を用いてないため、抗ウイルス性の評価で良好な結果が得られなかった。比較例2では、耐熱性の評価で良好な結果が得られなかった。これは、第4級アンモニウム塩系の抗ウイルス剤の耐熱性が低いためであると考えられる。比較例3では、耐熱性および耐光性の評価で良好な結果が得られなかった。これは、銀銅系の抗ウイルス性は、耐光性が低いためであると考えられる。比較例4では、耐汚染性および耐光性の評価で良好な結果が得られなかった。これは、抗ウイルス性Bの割合が多すぎるためであると考えられる。
1 … 基材層
2 … 表面保護層
3 … 発泡樹脂層
4 … 装飾層
5 … フィルム層
6 … プライマー層
10 … 積層シート

Claims (13)

  1. 建材に用いられる積層シートであって、
    前記積層シートは、基材層および表面保護層を有し、
    前記表面保護層は、
    樹脂成分と、
    カチオンポリマー系の抗ウイルス剤Aと、
    銀系または銀亜鉛系の抗ウイルス剤Bと、
    を含有する、積層シート。
  2. 前記表面保護層において、前記抗ウイルス剤Aの含有量は、前記樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下である、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記表面保護層において、前記抗ウイルス剤Bの含有量は、前記樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下である、請求項1または請求項2に記載の積層シート。
  4. 前記表面保護層において、前記抗ウイルス剤Aおよび前記抗ウイルス剤Bの合計の含有量は、前記樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上、20質量部以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  5. 前記抗ウイルス剤Aは、主鎖および側鎖の少なくとも一方に、第4級アンモニウム塩基を有する抗ウイルス剤である、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  6. 前記表面保護層は、前記樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  7. 前記積層シートは、前記表面保護層を最表面に有する、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  8. 前記積層シートは、前記基材層および前記表面保護層の間に、発泡樹脂層を有する、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  9. 前記積層シートは、前記発泡樹脂層の前記基材層側の面に非発泡樹脂層Aを有し、前記発泡樹脂層の前記表面保護層側の面に非発泡樹脂層Bを有する、請求項8に記載の積層シート。
  10. 前記積層シートは、前記基材層を基準として、前記表面保護層側の最表面に、エンボス模様を有する、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  11. 前記積層シートは、基材層および表面保護層の間に、装飾層を有する、請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  12. 前記積層シートは、壁用化粧シートである、請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
  13. 前記積層シートは、床用化粧シートである、請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の積層シート。
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