JP2023152699A - 除菌容易性化粧シート及び除菌容易性化粧板 - Google Patents

除菌容易性化粧シート及び除菌容易性化粧板 Download PDF

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Tomomi Nakajima
義昭 根津
Yoshiaki Nezu
雅貴 和田
Masataka Wada
亜紀子 加藤
Akiko Kato
陽亮 住田
Yosuke Sumida
梨紗 良波
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Abstract

【課題】本発明は、耐傷性、及び、重ね貼り性に優れており、且つ、表面の除菌が容易であることにより除菌容易性に優れた化粧シートを提供する。【解決手段】最表面に表面保護層を有する除菌容易性化粧シートであって、(1)前記表面保護層は、濡れ性が40mN/m以上60mN/m以下であり、(2)前記表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが10μm以上30μm以下である、ことを特徴とする除菌容易性化粧シート。【選択図】なし

Description

本発明は、除菌容易性化粧シート及び除菌容易性化粧板に関する。
従来、化粧シートは、表面の保護、装飾等を目的として、木質板、プラスチック板等の表面に貼着して用いられている。そして、これによって得られた化粧板は、各種の建材、家具等に使用されている。
上記化粧シート、及び、化粧板は、使用により表面に汚染物が付着することがあり、衛生面の観点から、表面の汚染物を容易に除去できることが望まれている。表面の汚染物が容易に除去できる化粧シートが提案されている(特許文献1参照)。このような化粧シートも優れた化粧シートである。
しかしながら、上記化粧シートは、汚染物の中でも菌については検討されておらず、除菌容易性については検討の余地がある。化粧シートには菌が付着することがあり、人が手で触れる表面に菌を存在させ難くすることが望まれている。
化粧シートの表面に菌を存在させにくくする手法として、除菌・抗菌・殺菌等がある。除菌とは「菌を除去する」、抗菌とは「菌を増やさない」、殺菌とは「菌を死滅させる」ことを意味する。一般的に、除菌・殺菌は「清掃」「消毒」により行われ、抗菌は化粧シート表面に「菌を増やさない加工」例えば抗菌コーティングを施す等の方法が用いられる。
近年、建材用等の分野において、最表面に抗菌剤を含むコーティングを施すことで抗菌性能を発現する化粧シートが用いられている。
しかしながら、抗菌により化粧シート表面の菌の増殖は抑制されて死滅していくものの、そのままでは死滅した菌は表面に残り続け、この状態が続くことでバイオフィルムを形成する等、好ましくない状態になることがある。
本発明者は、検討の結果、化粧シートの表面を除菌することによれば、上述のバイオフィルム等の問題を解消できることに着目した。また、化粧シートの表面を撥水性にすれば、吸着し易い特性を有する菌であっても吸着し難くなるため、表面の菌を容易に除菌することが可能となり、化粧シートの表面に除菌容易性を付与することができることを見出した。
しかしながら、上述の化粧シートは、重ね貼りが困難である。化粧シートの表面には、目的に応じて更に化粧シート等を重ね貼りすることがあり、上述の化粧シートは、重ね貼りを行った際に良好な密着性が得られ難く、重ね貼り性が劣るという問題がある。
更に、化粧シートには、表面に傷が付きにくい耐傷性が要求される。上述の重ね貼り性を示すことができる化粧シートは、重ね貼り性を耐傷性を両立することが要求される。
従って、耐傷性、及び、重ね貼り性に優れており、且つ、表面の除菌が容易であることにより除菌容易性に優れた化粧シートの開発が望まれている。
特開2012-236424号公報
本発明は、耐傷性、及び、重ね貼り性に優れており、且つ、表面の除菌が容易であることにより除菌容易性に優れた化粧シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、表面保護層を最表面に有する化粧シートであって、前記表面保護層の濡れ性、及び、算術平均粗さRaが特定の範囲である化粧シートによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の除菌容易性化粧シート及び除菌容易性化粧板に関する。
1.最表面に表面保護層を有する除菌容易性化粧シートであって、
(1)前記表面保護層は、濡れ性が40mN/m以上60mN/m以下であり、
(2)前記表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが10μm以上30μm以下である、
ことを特徴とする除菌容易性化粧シート。
2.前記表面保護層は、濡れ性が44mN/m以上54mN/m以下である、項1に記載の除菌容易性化粧シート。
3.前記表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが12μm以上25μm以下である、項1又は2に記載の除菌容易性化粧シート。
4.前記表面保護層のマルテンス硬さが200N/mm以下である、項1~3のいずれかに記載の除菌容易性化粧シート。
5.前記表面保護層は、更に、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を含有する、項1~4のいずれかに記載の除菌容易性化粧シート。
6.前記表面保護層側に、凹凸形状を有する、項1~5のいずれかに記載の除菌容易性化粧シート。
7.前記凹凸形状は、木目調形状、又は、ヘアライン調形状である、項6に記載の除菌容易性化粧シート。
8.基材シート上に、絵柄模様層、透明性樹脂層及び前記表面保護層を順に有する、項1~7のいずれかに記載の除菌容易性化粧シート。
9.前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂を含み、前記表面保護層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとした場合に、(A/B)×100で示されるピーク面積比が450%以上1500%以下である、項1~8のいずれかに記載の除菌容易性化粧シート。
10.前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂を含み、前記表面保護層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとした場合に、(C/D)×100で示されるピーク高さ比が100%以上300%以下である、項1~9のいずれかに記載の除菌容易性化粧化粧シート。
11.項1~10のいずれかに記載の除菌容易性化粧シートを基材上に有する除菌容易性化粧板。
本発明の化粧シートは、耐傷性、及び、重ね貼り性に優れており、且つ、表面の除菌が容易であることにより除菌容易性に優れている。よって、本発明の化粧シートを用いた除菌容易性化粧板も、耐傷性、及び、重ね貼り性に優れており、且つ、表面の除菌が容易であることにより除菌容易性に優れている。
本発明の除菌容易性化粧シートの層構成の一例を示す模式図である。 本発明の除菌容易性化粧板の層構成の一例を示す模式図である。 本明細書におけるマルテンス硬さの測定に用いるダイヤモンド圧子(a)、押し込み操作の模式図(b)及び押し込み荷重と変位の一例(c)を示す図である。
1.除菌容易性化粧シート
本発明の除菌容易性化粧シートは、最表面に表面保護層を有する除菌容易性化粧シートであって、(1)前記表面保護層は、濡れ性が40mN/m以上60mN/m以下であり、(2)前記表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが10μm以上30μm以下であることを特徴とする除菌容易性化粧シート(以下、単に「化粧シート」とも示す。)である。本発明の化粧シートは、最表面に表面保護層を有しており、濡れ性が40mN/m以上であるので、重ね貼りの際に密着性を示すことができ、重ね貼り性に優れている。また、濡れ性が60mN/m以下であるので、表面の除菌が容易であり、除菌容易性に優れている。また、本発明の化粧シートは、算術平均粗さRaが10μm以上であることにより、化粧シートの表面を洗浄した際に菌を流して除去し易くなっており、除菌容易性に優れている。また、算術平均粗さRaが30μm以下であることにより、耐傷性に優れている。すなわち、本発明の化粧シートは、上記(1)及び(2)の構成を備えることがあいまって、耐傷性、及び、重ね貼り性に優れており、且つ、表面の除菌が容易であることにより、除菌容易性に優れるとの特性を兼ね備えることができる。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートにおいて、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートが基材等に積層されて用いられる際に、基材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。また、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
また、本明細書における層厚は、化粧シートにエンボス、微粒子の頭出し等の凹凸形状がない箇所で測定した値である。
本発明の化粧シートは、少なくとも表面保護層を最表面に有しており、上記(1)及び(2)の構成を備える限り、層構成については限定されない。本発明の化粧シートの層構成の一例としては、例えば、図1に示すように、基材シート11、絵柄模様層12(ベタインキ層及び/又は柄インキ層)、接着剤層(図示せず)、透明性樹脂層13、及び表面保護層14を順に有する層構成が挙げられる(ダブリング仕様の化粧シート)。以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として具体的に説明する。
(表面保護層)
本発明の化粧シートは、最表面に表面保護層を有する。
上記表面保護層は、濡れ性が40mN/m以上60mN/m以下である。濡れ性が40mN/m未満であると、重ね貼りの際に密着性を示すことができず、重ね貼り性が劣る。また、濡れ性が60mN/mを超えると、表面の除菌が困難になり、除菌容易性に劣る。濡れ性は、42mN/m以上55mN/mが好ましく、44mN/m以上54mN/m以下がより好ましい。
なお、本明細書において、濡れ性は、下記測定方法により測定される値である。
[濡れ性の測定]
フィルムぬれ張力チェックペン(Tension Checker、パシフィック化学製)を用い、濡れ性を評価する。塗布後2~3秒後の液膜の破れ、または全体に収縮が生じない最大のダイン数を測定する。
表面保護層の濡れ性は、1)表面保護層に反応性シリコーン等の微粒子やフッ素系界面活性剤を添加する、2)エンボス加工を行う際に用いるエンボス版を変更することにより、算術平均粗さRaを調整する等の方法により、調整することがきる。
本発明の化粧シートは、表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが10μm以上30μm以下である。Raが10μm未満であると、化粧シートの表面を洗浄した際に菌を流して除去し難く、除菌容易性が劣る。また、Raが30μmを超えると、化粧シートの耐傷性が劣る。Raは、12μm以上25μm以下が好ましく、15μm以上20μm以下がより好ましい。
なお、本明細書において、Raは、下記測定方法により測定される値である。
[Raの測定]
化粧シートの表面保護層の表面の算術平均粗さRaを、JIS B0601(2001)に準拠した測定方法により測定する。測定は、小型表面粗さ測定器(SURFCOM FLEX-50A 株式会社東京精密製)を用いる。なお、Raは、上記化粧シートを異なる位置で3回測定し、測定値の平均値を測定結果とする。
本発明の化粧シートにおいて、表面保護層のマルテンス硬さ(硬度)は、200N/mm以下が好ましく、180N/mm以下がより好ましく、170N/mm以下が更に好ましい。また、マルテンス硬さ(硬度)は、100N/mm以上が好ましく、120N/mm以上がより好ましく、140N/mm以上が更に好ましい。マルテンス硬さの上限が上記範囲であると、化粧シートの耐衝撃性、加工適性がより向上する。また、マルテンス硬さの下限が上記範囲であると、化粧シートの耐傷性がより向上する。
なお、本明細書におけるマルテンス硬さは、ISO14577に準拠したマルテンス硬さ測定装置PICODENTOR HM-500(フィッシャ-・インストルメンツ製)を用いて測定を行う。押し込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図3(c)に示される通り、先ず0~5mNまでの負荷を10秒間で加え、次に5mNの負荷で5秒間保持し、最後に5~0mNまでの除荷を10秒間で行う。なお、本明細書では、表面保護層以外の層の硬度の影響を回避するために表面保護層の断面のマルテンス硬さを測定する。これに際し、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂やUV硬化性樹脂などの樹脂)で埋包し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを切断し、機械研磨して表面保護層の断面を露出させ、当該断面に(充填剤等の微粒子が層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置に)ダイヤモンド圧子を押し込むことにより断面のマルテンス硬さを測定する。
表面保護層のマルテンス硬さは、1)複数の樹脂成分を混合する、2)樹脂にエラストマーを添加する、等によって適宜設定することができる。例えば、表面保護層を構成する樹脂成分として、後述するウレタンアクリレートを使用する場合、2官能ウレタンアクリレートと6官能ウレタンアクリレートを適宜配合したり、または分子量1500程度の3官能ウレタンアクリレートのみを使用する等により、所望のマルテンス硬さを得ることができる。なお、ここで2官能ウレタンアクリレートとは1分子中にラジカル重合性のアクリロイル基を2つ有するウレタンアクリレートを意味する。3官能ウレタンアクリレートと6官能ウレタンアクリレートについても同様に、1分子中にラジカル重合性のアクリロイル基をそれぞれ3つ、6つ有するウレタンアクリレートを意味する。
表面保護層は、赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとした場合に、(A/B)×100で示されるピーク面積比は、200%以上が好ましく、450%以上がより好ましい。また、上記ピーク面積比は、2000%以下が好ましく、1500%以下がより好ましい。上記ピーク面積比が上述の範囲であることにより、表面保護層の密着性及び耐久性がより向上する。
表面保護層は、赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとした場合に、(C/D)×100で示されるピーク高さ比は、50%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。また、上記ピーク高さ比は、350%以下が好ましく、300%以下がより好ましい。上記ピーク高さ比が上述の範囲であることにより、表面保護層の密着性及び耐久性がより向上する。
本発明の化粧シートの表面保護層が、上記ピーク面積比(A/B)又は上記ピーク高さ比(C/D)を示すことで、上記効果を奏することができる理由としては明確ではないが、以下のように推測される。すなわち、表面保護層の硬化後において、855~1325cm-1に現れる赤外分光スペクトルのピークは、エーテル基やエステル基の炭素-酸素伸縮振動や、カルボニル基の炭素-水素変角振動、及び無機微粒子であるシリカ骨格、酸化アルミニウム骨格等、様々な構造に由来している。また、1650~1800cm-1に現れる赤外スペクトルのピークは、アクリロイル基の炭素-炭素二重結合を示す。つまり、アクリロイル基の存在割合に対し、一定割合以上の855~1325cm-1に現れる赤外分光スペクトルピークを示す構造が含まれていることで、アクリロイル基による下層への表面保護層の密着力と、表面保護層が層内で硬化収縮することにより下層の界面と別方向に力が掛かり剥がれる剥離力とのバランスが保たれるため、耐久性がより向上する。このため、表面保護層が電離放射線硬化型樹脂を含有し、電離放射線硬化型樹脂が(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂を含む場合に、上記ピーク面積比(A/B)及び/又は上記ピーク高さ比(C/D)が、上記範囲であることが好ましい。
本明細書において、上記ピーク面積比及びピーク高さ比の測定は、実施例に記載の方法による。
本発明の化粧シートは、表面保護層側に凹凸形状を有することが好ましい。凹凸形状を有することで、化粧シートの防滑性、耐傷性、意匠性がより向上し、且つ、化粧シートの表面を水等の洗浄溶媒で洗浄した際に、洗浄溶媒が流れやすくなり、除菌容易性がより向上する。また、本発明の化粧シートは、表面保護層側に凹凸形状を有することで、上記作用により様々なウイルス及びアレルゲンを容易に除去することも可能である。
凹凸形状としては、砂目調、木目調、木肌調、石目調、皮目調、梨地、ヘアライン調、万線条溝等のエンボス形状が挙げられる。これら中でも、洗浄溶媒が流れ易く、より除菌容易性が向上する点で、導管溝、木目調、木肌調、ヘアライン調、万線条溝のエンボス形状が好ましく、木目調、ヘアライン調のエンボス形状がより好ましい。
表面保護層は、下層に絵柄模様層が形成されている場合は透明性のものが好ましい。
表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に、高い表面硬度による耐傷性、凸形状保持性、生産性等の観点から、表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましく、表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることがより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法は、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布方法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190~380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100~1000keV程度が好ましく、100~300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2~15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル-N,N-ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1~10質量部程度である。
表面保護層は、更に、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を含有していてもよい。
[光安定剤]
光安定剤としては、芳香族系化合物、アミン系化合物、有機酸系化合物、カテキン系化合物及びヒンダードアミン系化合物が挙げられ、中でもヒンダードアミン系化合物が好ましい。ヒンダードアミン系化合物とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を分子内に含む構造を有するものである。
光安定剤の含有量は、硬化物100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、0.3~8.0質量部であることがより好ましく、1.0~5.0質量部であることがさらに好ましい。なお、光安定剤として、ヒンダードアミン系化合物を前記範囲で含むことが好ましい。
光安定剤として用いられるヒンダードアミン系化合物(ヒンダードアミン系光安定剤)としては、例えば、1-オキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4- ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4- ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤の中でも、トリアジン環に、ヒドロキシフェニル基、アルコキシフェニル基及びこれらの基を含む有機基から選ばれる少なくとも一つの有機基が三つ連結したヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がより好ましく、下記一般式(A)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がさらに好ましい。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は、分岐構造を有するため、硬化物層からブリードアウトしにくくなることが期待され、より長期的に優れた耐候性が得られる。
また、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する紫外線吸収剤は、ブリードアウトを抑制しやすい点で好ましい。
Figure 2023152699000001
一般式(A)中、R11は2価の有機基であり、R12は-C(=O)OR15で示されるエステル基であり、R13、R14及びR15は各々独立して1価の有機基であり、n11及びn12は各々独立して1~5の整数である。
11の2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基等の脂肪族炭化水素基が挙げられ、耐候性の観点から、アルキレン基が好ましく、その炭素数は、1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下が更に好ましく、1以上4以下が特に好ましい。アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1-エチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、2,2-プロピレン等の各種プロピレン基(以下、「各種」は、直鎖状、分岐状、及びこれらの異性体のものを含むものを示す。)、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種へプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基、各種ウンデシレン基、各種ドデシレン基、各種トリデシレン基、各種テトラデシレン基、各種ペンタデシレン基、各種ヘキサデシレン基、各種ヘプタデシレン基、各種オクタデシレン基、各種ノナデシレン基、各種イコシレン基が挙げられる。
13及びR14の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられ、アリール基、アリールアルキル基等の芳香族炭化水素基が好ましく、アリール基が好ましい。中でも、R13及びR14の1価の有機基としては、フェニル基が好ましい。
アリール基としては、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数6以上12以下、更に好ましくは炭素数6以上10以下のアリール基、例えば、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等が挙げられる。アリールアルキル基としては、好ましくは炭素数7以上20以下、より好ましくは炭素数7以上12以下、更に好ましくは炭素数7以上10以下のアリールアルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基、各種メチルベンジル基、各種エチルベンジル基、各種プロピルベンジル基、各種ブチルベンジル基、各種ヘキシルベンジル基等が挙げられる。
15の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられ、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。すなわち、R12としては、アルキルエステル基、アルケニルエステル基が好ましく、アルキルエステル基がより好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1以上20以下、より好ましくは2以上16以下、更に好ましくは6以上12以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは3以上16以下、更に好ましくは6以上12以下のアルケニル基、例えば、ビニル基、各種プロペニル基、各種ブテニル基、各種ペンテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基が挙げられる。
一般式(A)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、より具体的には、R11が炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数1以上20以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上20以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましく、R11が炭素数1以上12以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数2以上16以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上12以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物がより好ましく、R11が炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、R12がR15及び炭素数6以上12以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上10以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が更に好ましく、R11が炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数8のアルキル基であるエステル基であり、R13及びR14がフェニル基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が特に好ましい。
上記ヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2-(2ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-〔4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル〕-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-エチル-ヘキサノイックアシッド-2-[4-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-エチルエステル、オクタノイックアシッド-2-[4-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-エチルエステル、2,4,6-トリス{2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)}-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)1-3-5トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、硬化物100質量部に対して0.2~10.0質量部が好ましく、0.5~5.0質量部がより好ましく、1.0~4.0質量部がさらに好ましい。
表面保護層の厚みは、本発明の効果を妨げない範囲であればよく特に限定されないが、1~200μmが好ましく、1~100μmがより好ましく、5~50μmが更に好ましく、10~40μmが特に好ましい。
表面保護層は、微粒子を含有していてもよい。微粒子としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、ガラス繊維等の無機フィラー;アクリル、架橋アルキル、架橋スチレン、インゾグアナミン樹脂、尿素- ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ナイロン等の有機材料パウダーないしビーズ等が挙げられる。前記微粒子は、1種又は2種以上使用することができる。
表面保護層中における微粒子の含有量は、表面保護層を形成する樹脂成分100質量部に対して、3~50質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。
表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、無機フィラー等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、難燃剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗アレルゲン剤等の各種添加剤を加えてもよい。
無機フィラーとしては、表面保護層の層厚さよりも大きな無機フィラーを表面保護層に含有することにより、表面保護層に所定の表面性状を与える手段として用いることができる。また、無機フィラーは艶消し剤としても用いることができ、表面保護層に無機フィラーを含むことにより表面保護層の硬化収縮を抑制する効果も期待できる。よって、本発明では無機フィラーは表面処理(疎水化処理)されたものであることが好ましい。また、これらの添加剤の中でも特に抗菌剤、抗ウイルス剤及び抗アレルゲン剤からなる群から選択される少なくとも一種は、効果を得易くする点から最表面の層である表面保護層に含有することが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機フィラーを表面処理(疎水化処理)する方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、シリコーンオイル系処理剤によって無機フィラーを疎水化処理する方法;アルキルシラザン系処理剤、トリメチルシリル化剤、及び/又は、アルコキシシランで無機フィラーを処理した後に上述のシリコーンオイル系処理剤によって無機フィラーを疎水化処理する方法;シリコーンオイル系処理剤によって無機フィラーを疎水化処理した後に、さらにトリメチルシリル化剤又はアルキルシラザン系処理剤で処理する方法;アルコキシシランによって無機フィラーを疎水化処理する方法;アルコキシシランによって無機フィラーを処理した後に、さらにシリコーンオイル系処理剤、又はシリコーンオイル系処理剤及びアルコキシシランで処理する方法;ダイマージオールシロキサン、及び/又は、トリメチルシラノール若しくは環状シロキサンを用いて無機フィラーを処理する方法などが挙げられる。また、上述の疎水化処理の方法だけでなく、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等の各種カップリング剤;リン酸系、脂肪酸系等の界面活性剤;油脂、ステアリン酸等によって処理する方法も疎水化処理の方法として挙げられる。以下、未処理の無機フィラーを疎水化処理するための上述の各製品(例えば、シリコーンオイル系処理剤等の処理剤、シランカップリング剤、界面活性剤等の全て)を、纏めて疎水化処理剤ともいう。
疎水化処理剤で無機フィラーを疎水化処理する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、未処理の無機フィラーに疎水化処理剤の原液、又は疎水化処理剤を水若しくは有機溶剤に希釈したものを添加(例えば噴霧)する方法(乾式処理法);未処理の無機フィラーを疎水化処理剤の原液、疎水化処理剤含有水溶液又は疎水化処理剤含有有機溶剤中で処理(例えば浸漬)し、その後、乾燥させる方法(湿式処理法);などが挙げられる。このような処理により、無機フィラー表面の一部若しくは全部が(a)疎水化処理剤で被覆されるか、(b)疎水化処理剤を吸着するか、又は(c)疎水化処理剤で被覆され、且つ吸着する((a)及び(b)の組み合わせとなる)、等が生じる。その結果、疎水化処理された無機フィラーが得られる。なお、疎水化処理剤は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記抗菌剤としては、無機系抗菌剤、及び有機系抗菌剤がある。特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。表面保護層に含有する場合には、抗菌剤の添加量は表面保護層の樹脂成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましいが、詳細は抗菌剤の種類に応じて適宜調整することができる。
上記抗ウイルス剤としては、一般的に有機系と無機系とに大別することができる。有機系の抗ウイルス剤としては、第4級アンモニウム塩系、第4級ホスホニウム塩系、ピリジン系、ピリチオン系、ベンゾイミダゾール系、有機ヨード系、イソチアゾリン系、アニオン系、エーテル系等がある。無機系の抗ウイルス剤としては、銀、銅、亜鉛等の金属イオンをゼオライト、アパタイト、ジルコニア、ガラス、酸化モリブデン等の担体に担持させたものがある。表面保護層に含有する場合には、抗ウイルス剤の添加量は表面保護層の樹脂成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましいが、詳細は抗ウイルス剤の種類に応じて適宜調整することができる。
上記有機系の抗ウイルス剤の内、特に粒子形状を保つベンゾイミダゾール系の抗ウイルス剤またはアニオン系の抗ウイルス剤またはエーテル系の抗ウイルス剤が好適に用いられる。ここで、粒子形状を保つとは、表面保護層の硬化型樹脂となる組成物(硬化前のインキ)内で溶解することなく粒子の状態で存在することを意味する。このため、表面保護層を形成する過程において、イミダゾール系化合物の粒子またはアニオン系化合物の粒子またはエーテル系化合物が浮かび上がりやすくなり、表面保護層の最表面側にイミダゾール系化合物の粒子またはアニオン系化合物またはエーテル系化合物の粒子を偏在させやすくすることができる。そして、表面保護層の最表面側にイミダゾール系化合物の粒子をまたはアニオン系化合物の粒子をまたはエーテル系化合物の粒子を偏在させることにより、所定の抗ウイルス性を得るために必要な抗ウイルス剤の添加量を抑制することができるため、表面保護層の耐擦傷性の低下を抑制しやすくできる。
上記アニオン系の抗ウイルス剤としては、例えばスチレン樹脂、スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含むものが好ましい。また、上記スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物はスチレン、スルホン酸Na、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸の構造の内、少なくとも一種の構造を含むことが好ましく、全ての構造を含むことが更に好ましい。これは、ウイルスにはエンベロープ有無の点で大別して2種類が存在し、それぞれに対し効果的に活性阻害し得る抗ウイルス剤の構造が異なると考えられるためである。そのため、例えば、ノンエンベロープウイルスであるインフルエンザウイルスのみに対する効果を期待するのであれば、スチレンポリマー誘導体化合物のみが含まれていればよく、その中でもスチレン樹脂単体のみが含まれていれば十分に効果が得られる場合もある。
上記無機系の抗ウイルス剤としては、生体毒性が無く安全性に優れる観点から銀系の抗ウイルス剤が好ましく、中でもリン酸系ガラス銀担持化合物または銀ゼオライト化合物、及び酸化モリブデン銀複塩化合物は、少量でも抗ウイルス性能を発現することから添加量を抑制することができるため、更に好ましい。
上記銀系の抗ウイルス剤を表面保護層に含有する場合、表面保護層によっては変色する(添加した塗料の状態で熱・光により変色する場合や、表面保護層形成後に熱・光により変色する場合がある)が、この場合は紫外線防止剤、光安定剤等を適時添加することにより改善することが可能である。例えば、上記酸化モリブデン銀複塩化合物に対しては、ベンゾトリアゾール系化合物を用いると変色改善効果が期待できる。
上記抗アレルゲン剤は、無機化合物又は有機化合物のいずれか一方を含むものであり、各々単体で用いても良いし、異なる2種以上を混合させても良い。無機化合物としては金属を担持してなる材料であることが好ましい。第1表面保護層に含有する場合には、抗アレルゲン剤の添加量は表面保護層の樹脂成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましいが、詳細は抗アレルゲン剤の種類に応じて適宜調整することができる。
(基材シート)
基材シートは、その表面(おもて面)に絵柄模様層等が順次積層される層である。
基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)が好適である。具体的には、ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。基材シートは、これらの樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることにより形成される。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
基材シートは、着色されていても良い。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20~300μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
(絵柄模様層)
本発明の化粧シートは、絵柄模様層を有していてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与するものであり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン-アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN-ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン-ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1~10μm程度である。
(着色隠蔽層)
本発明の化粧シートでは、基材シートと絵柄模様層との間にさらに着色隠蔽層が形成されていてもよい。
着色隠蔽層は、化粧シートと被着材とを接合した際に被着材の地色を隠蔽できればよく、通常は基材シートを被覆するように形成すればよい。
着色隠蔽層の形成には、上記公知の印刷法を利用できる。また、前記絵柄模様層の形成に用いるインキをそのまま使用できる。
塗布量は、2~30g/m2の範囲が望ましい。着色隠蔽層の厚みは、通常0.1~20μm程度、好ましくは1~10μm程度である。
(接着剤層)
後述する透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。
化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら着色剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
透明性接着剤層の形成には、上記公知の印刷法を利用できる。
透明性接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1~30μm程度、好ましくは1~20μm程度である。
(透明性樹脂層)
本発明の床用化粧シートは、透明性樹脂層を有していてもよい。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。前記透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、オレフィン系エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明性樹脂層は、透明性熱可塑性樹脂層であることが好ましく、ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を代表とするオレフィン系樹脂を含むことがより好ましく、透明性樹脂層を構成する樹脂が上記オレフィン系樹脂又はアイオノマー系樹脂であることが更に好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
また、透明性樹脂層は、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
上記紫外線吸収剤及び光安定剤としては、表面保護層に添加される紫外線吸収剤及び光安定剤として説明したものと同様のものが好適に用いられ、添加量についても同様の範囲内で添加することができる。
透明性樹脂層の厚みは、通常は20~200μm程度であるが、床用化粧シートの用途等に応じて上記範囲を超えてもよい。
(プライマー層)
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿との混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンとのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1~100g/m、好ましくは0.1~50g/m程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm程度である。
(裏面プライマー層)
基材シートの裏面(絵柄模様層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、化粧シートと基材(被着材)とを積層して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1~100g/m、好ましくは0.1~50g/m程度である。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm程度である。
(バッカー層)
基材シートの裏面には、バッカー層(耐傷性を高めたり、基材(被着材)の影響を緩和したりするための合成樹脂層)を設けてもよい。なお、上記耐傷性は特に部分的に荷重がかかった場合の凹み傷をいう。本発明の化粧シートは、バッカー層を設けなくても十分な耐傷性は有しているが、バッカー層を設けることにより耐傷性などの諸性能をより高めることができる。
バッカー層を形成する方法としては、溶融樹脂の押出し成形が好適であり、例えば、Tダイを用いた押出し成形が好適である。
基材シートの裏面とバッカー層とを接着させる方法としては、基材シートと溶融樹脂を押出し成形することによって得られるバッカー層とを熱融着によって接着する方法、基材シートとバッカー層との間に接着剤層(更に必要に応じてプライマー層)を設けることによって接着する方法等が挙げられる。
バッカー層を構成する樹脂としては限定的ではないが、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A-PET)、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
バッカー層の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定でき、一般には100~800μmが好ましい。この中でも、100~600μmがより好ましい。
バッカー層には、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。また、被着材との接着性を考慮して裏面にプライマー層を更に設けてもよい。
(化粧シートの各層に含まれる各種添加剤のベシクル化)
本発明の化粧シートの上述の各層に添加される各種添加剤(表面保護層に添加される微粒子等)は、当該各種添加剤がベシクル化されていることが好ましい。各種添加剤をベシクル化する方法としては特に限定されず、公知の方法によりベシクル化することができ、中でも超臨界逆相蒸発法が好ましい。
ベシクル化処理方法としては、超臨界逆相蒸発法の他に、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、逆相蒸発法、凍結融解法などが挙げられる。このようなベシクル化処理方法について簡単に説明すると、Bangham法は、フラスコなどの容器にクロロホルムまたはクロロホルム/メタノール混合溶媒を入れ、さらにリン脂質を入れて溶解する。その後、エバポレータを用いて溶媒を除去して脂質からなる薄膜を形成し、添加剤の分散液を加えた後、ボルテックスミキサーで水和・分散させることよりベシクルを得る方法である。エクストルージョン法は、薄膜のリン脂質溶液を調液し、Bangham法において外部摂動として用いたミキサーに代わってフィルターを通過させることによりベシクルを得る方法である。水和法は、Bangham法とほぼ同じ調製方法であるが、ミキサーを用いずに、穏やかに攪拌して分散させてベシクルを得る方法である。逆相蒸発法は、リン脂質をジエチルエーテルやクロロホルムに溶解し、添加剤を含んだ溶液を加えてW/Oエマルジョンを作り、当該エマルジョンから減圧下において有機溶媒を除去した後、水を添加することによりベシクルを得る方法である。凍結融解法は、外部摂動として冷却・加熱を用いる方法であり、この冷却・加熱を繰り返すことによってベシクルを得る方法である。
以下、超臨界逆相蒸発法について詳細に説明する。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は超臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を形成する物質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質としての各種添加剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての各種添加剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度のみ、又は、臨界圧力のみが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。当該方法により、直径50~800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。一般に、ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞の内部に液相を含むものの総称であり、特に、外膜がリン脂質等の生体脂質から構成されるものをリポソームと称する。
上記リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
外膜を構成する物質としては、また、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類若しくはトリアシルグリセロールの混合物等の分散剤を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン-ポリ2-ビニルピリジン、ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記コレステロール類としては、コレステロール、α-コレスタノール、β-コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24-コレスタジエン-3β-オール)、コール酸ナトリウム、コレカルシフェロール等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成されていてもよい。本発明の化粧シートにおいては、外膜をリン脂質から形成したリポソームとすることで、各層の主成分である樹脂組成物と各種添加剤との相溶性を良好なものとすることができる。
(化粧シートの製造方法)
本発明の化粧シートは、少なくとも上記した表面保護層を最表面に形成することにより得られる。例えば、基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層及びプライマー層を積層した後、最表面に表面保護層を形成することにより得られる。
また、化粧シートにエンボス加工を施す場合は、表面保護層を形成した後でもよいし、表面保護層を形成する前でもよい。例えば、具体的な態様として、1)基材シート上に絵柄模様層、透明性樹脂層及びプライマー層を順に形成した後、表面保護層を形成し、最後にエンボス加工を施してもよい。また、別の具体的態様として、2)基材シート上に絵柄模様層、透明性樹脂層及びプライマー層を順に形成した後、エンボス加工を施し、最後に表面保護層を形成してもよい。また、さらに別の具体的態様として、3)基材シート上に絵柄模様層、透明性樹脂層を順に形成し、次いでエンボス加工を施した後、プライマー層を設け、最後に表面保護層を形成してもよい。
2.除菌容易性化粧板
本発明の除菌容易性化粧板(以下、「化粧板」とも示す。)は、上記除菌容易性化粧シートを基材上に有する除菌容易性化粧板である。化粧シートの表面保護層が最表面層となるように化粧シートが基材上に積層されていればよい。
基材(被着材)は限定的でなく、公知の化粧板と同様のものを用いることができる。例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、本発明化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、木質繊維板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。
積層方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを基材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、基材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すれば良い。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。特に、本発明の化粧板は、床用化粧材として好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(化粧シートの作製)
60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの裏面にプライマー層(裏面プライマー層)を形成した。次いで、基材シートの表面に絵柄模様層を印刷により形成し、さらに当該絵柄模様層上に接着剤層を形成した。当該接着剤層の上に80μm厚さの透明ポリプロピレン系樹脂(透明ランダムポリプロピレン系樹脂)のシートを押出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。次いで、透明ランダムポリプロピレン系樹脂シートの表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することによりプライマー層を形成した。当該プライマー層の表面に二種類のウレタンアクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂をグラビアコート方式で全面に塗工量5μmで塗工した後、酸素濃度200ppm以下の環境下、電子照射装置を用いて加速電圧165KeV、5Mradの条件で電子線を照射して表面保護層を形成した。更に、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を軟らかくした後、熱圧によるエンボス加工を行うことにより木目調形状の凹凸模様を賦形した。これにより、化粧シートを作製した。
(化粧板の作製)
厚みが2.5mmの中密度木質繊維板(MDF)上に水性エマルジョン接着剤(ジャパンコーティングレジン株式会社製 BA-10L(主剤):BA-11B(硬化剤)=100:2.5(質量比))を80g/mで均一に塗工し、上記で得られた化粧シートの裏面プライマー層側に貼り合わせて、室温で3日間養生することにより、化粧板を作製した。
比較例1
エンボス加工を行う際に用いるエンボス版を変更することにより、算術平均粗さRaを9.1μmに調整した。それ以外は実施例1と同様にして、化粧シート及び化粧板を作製した。
比較例2
表面保護層を形成する際に、二種類のウレタンアクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して反応性シリコーンを5.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例2
表面保護層として、二種類のウレタンアクリレートオリゴマーの配合比をマルテンス硬さが60N/mmになるように調整した電離放射線硬化型樹脂をグラビアコート方式でプライマー層の表面の全面に塗工量15μmで塗工した以外は実施例1と同様にして、化粧シートを作製した。
実施例3
アイソタクチックペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティケミカルズ社製)を500PPM、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:チバスペシャリティケミカルズ社製)を2000PPM、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:チバスペシャリティケミカルズ社製)を2000PPM、及び、ナノ造核剤1000PPMを添加した樹脂組成物を、溶融押出機を用いて押出し、透明性樹脂層13として使用するための、厚さ100μmの高結晶性ポリプロピレン製の透明性樹脂シートを製膜した。次いで、製膜された透明性樹脂シートの両面にコロナ処理を施して、表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。なお、押出製膜時の冷却条件のコントロールにより、製膜された透明性樹脂シートの結晶性ポリプロピレン樹脂のヘイズ値は8.5%であった。
<超臨界逆相蒸発法を用いた造核剤のナノ化処理>
実施例3における超臨界逆相蒸発法を用いた造核剤のナノ化処理を、以下の方法により行った。先ず、メタノール100質量部、リン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA-11、ADEKA社製)82質量部、及び、ホスファチジルコリン5質量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaとなるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とした。次いで、激しく撹拌混合しながらイオン交換水を100質量部注入した。容器内の温度及び圧力を保持した状態で15分間攪拌後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻すことによって造核剤が内包されたリン脂質からなる外膜を具備する造核剤ベシクルを得た。
<絵柄模様層・着色隠蔽層の形成>
得られた透明性樹脂シートを透明性樹脂層とし、当該透明性樹脂層の一方の面に、2液硬化型ウレタンインキ(V351:東洋インキ製造(株)製)にて柄印刷を行い、絵柄模様層を形成した。次いで、当該絵柄模様層に重ねて隠蔽性のある2液硬化型ウレタンインキ(V351:東洋インキ製造(株)製)を塗布量6g/mで塗布して着色隠蔽層を形成した。
<プライマー層の形成>
上記着色隠蔽層に重ねて、プライマー剤として2液硬化型ウレタンインキ(PET-E、レジウサー:大日精化(株)製)を塗布量1g/mにて塗布してプライマー層を形成した。
<エンボス模様の形成>
次いで、透明性樹脂層の他方の面に、エンボス用の金型ロールを用いてプレスしてヘアライン調のエンボス模様を形成した。
<表面保護層の形成>
上記エンボス模様の面上に下記の表面保護層形成用組成物1(乾燥後塗布量(乾燥後の膜厚で記載する。以下同様)5μm)、及び、表面保護層形成用組成物2(乾燥後塗布量5μm)を順次積層することで、表面保護層1(下層)と表面保護層2(上層)からなる表面保護層を形成した。
[表面保護層形成用組成物1]
主剤100質量部に対し、下記の添加剤を下記の添加量で添加して、表面保護層形成用組成物1を調製した。
・主剤:アクリルポリオール(ガラス転移温度約100℃、重量平均分子量Mw約40,000、水酸基価12)
(添加剤)
・紫外線吸収材:Tinuvin479(BASF(株)製)5質量部
・光安定剤:Tinuvin123(BASF(株)製)3質量部
・希釈溶剤:酢酸エチル 50質量部
・光沢調整剤:無機フィラーL-121(AGCエスアイテック(株)製)15質量部
・硬化剤:デュラネートTAP-100(旭化成(株)製)5質量部
[表面保護層形成用組成物2]
下記樹脂を、A:B:C=40:40:20(質量比)で配合して、混合樹脂を調製した。当該混合樹脂100質量部に対し、下記添加剤を下記の添加量で添加して、表面保護層形成用組成物2を調製した。
・樹脂A:3~15の官能基を有する多官能ウレタンアクリレートオリゴマー
・樹脂B:2~9の官能基を有する多官能ウレタンアクリレートオリゴマー
・樹脂C:ガラス転移温度が約100℃、重量平均分子量Mwが約50,000、水酸基価が15であるアクリルポリオール100質量部に対し硬化剤デュラネートTAP-100(旭化成(株)製)5質量部
(添加剤)
・紫外線吸収剤:Tinuvin479(BASF(株)製)5質量部
・光安定剤:Tinuvin123(BASF(株)製)3質量部
・希釈稀釈溶剤:酢酸エチル 50質量部
実施例1、2及び比較例1、2で作製した化粧シート又は化粧板に対して、以下の測定を行った。
[マルテンス硬さ測定]
上述の方法によって、化粧シートの表面保護層の断面方向のマルテンス硬さを測定した。なお、表中のマルテンス硬さの値は、10回の測定値の平均値を示している。
[濡れ性の測定]
化粧シートの表面において、フィルムぬれ張力チェックペン(Tension Checker、パシフィック化学製)を用い、濡れ性を評価した。塗布後2~3秒後の液膜の破れ、または全体に収縮が生じない最大のダイン数を測定した。
[Raの測定]
化粧シートの表面保護層の表面の算術平均粗さRaを、JIS B0601(2001)に準拠した測定方法により測定した。測定は、小型表面粗さ測定器(SURFCOM FLEX-50A 株式会社東京精密製)を用いた。なお、Raは、上記化粧シートを異なる位置で3回測定し、測定値の平均値を測定結果とした。
[除菌容易性]
化粧シート表面の菌の存在量を、ATP検査キット(高感度ルミノメータ「EnSURE」、Hygiena社製、及び、拭取り検査用「Ultrasnap(型番US2020)」 Hygiena社製)を用いて、以下の測定方法により測定した。
(測定方法)
(1)スワブチューブから綿棒を抜き出す。
(2)化粧シートの表面の10cm×10cmの領域を縦横まんべんなく拭取る。
(3)綿棒をスワブチューブに戻し、上端部を折って試薬すべてを落とす。
(4)5秒程度振り、スワブチューブを本体に差し込みOKボタンを押す。
ATPの測定は、化粧シート(流水前のATP)、及び、流水後の化粧シート(流水後のATP)について行った。なお、流水後の化粧シートは、化粧シートの表面を流量3.0×10-5/Sの条件で流水で5秒流し、自然乾燥することにより調製した。流水前のATPと、流水後のATPとの差を算出し、下記評価基準に従って除菌容易性を評価した。
+:流水前のATPと、流水後のATPとの差が100(RLU)以上
-:流水前のATPと、流水後のATPとの差が100(RLU)未満
[耐傷性(ホフマンスクラッチ試験)]
米国BYK-GARDNER社製のホフマンスクラッチ試験機を用いて試験を行った。具体的には、化粧板の化粧シート表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7mmの円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧板上で移動させた。100g荷重ずつ徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧シート表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行った。以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が+以上であれば実使用において問題ないと評価される。
+++:傷付初期荷重が120g荷重以上である
++:傷付初期荷重が100g荷重以上120g荷重未満である
+:傷付初期荷重が70g荷重以上100g荷重未満である
-:傷付初期荷重が70g荷重未満である
[重ね貼り性]
市販の粘着剤を貼り付けた化粧シート上に、同種の化粧シートを貼り付けた後、40℃相対湿度(以後RH)90%の雰囲気に500時間放置後に化粧シートが剥離するか評価した。以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が+以上であれば実使用において問題ないと評価される。
++:化粧シートが剥離しない
+:一部分のみ剥離する
-:完全に剥離する
結果を表1に示す。
Figure 2023152699000002
実施例3で作製した化粧シートに対して、以下の測定を行った。
[ピーク面積比及びピーク高さ比]
実施例3で作製した化粧シートについて、赤外分光光度計を用いてハードコートフィルムのハードコート層表面に対するATR法により、赤外分光スペクトル(赤外吸収スペクトル)を測定した。赤外分光光度計はIRAffinity-1S(島津製作所製)を使用した。得られた横軸を波数(cm-1) とし、縦軸を吸光度としたスペクトルチャート上において、855~1325cm-1、1650~1800cm-1にそれぞれベースラインを引き、当該ベースラインとスペクトル曲線とで囲まれる面積をそれぞれA、Bとし、その比(A/B)×100をピーク面積比とした。また、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをC、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとして、その比(C/D)×100をピーク高さ比とした。
[密着性]
表面保護層にクロスカット(×状の切れ込み)を入れた後、24mm幅のニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付けて急激に剥離する操作を、クロスカットを入れた部分に5回連続して行った。塗膜が剥離するかどうかを目視により観察し、以下の評価基準に従って評価した。なお、+以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
++:塗膜の剥離がなかった
+:塗膜が部分的に剥離した(試験面積の一部分が剥離した)
-:塗膜が全体的に剥離した(試験面積全面が剥離した)
結果を表2に示す。
Figure 2023152699000003
1.除菌容易性化粧シート
11.基材シート
12.絵柄模様層
13.透明性樹脂層
14.表面保護層
2.被着材

Claims (11)

  1. 最表面に表面保護層を有する除菌容易性化粧シートであって、
    (1)前記表面保護層は、濡れ性が40mN/m以上60mN/m以下であり、
    (2)前記表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが10μm以上30μm以下である、
    ことを特徴とする除菌容易性化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、濡れ性が44mN/m以上54mN/m以下である、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  3. 前記表面保護層の表面の、JIS B0601:2001に準拠した測定方法により測定した算術平均粗さRaが12μm以上25μm以下である、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  4. 前記表面保護層のマルテンス硬さが200N/mm以下である、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  5. 前記表面保護層は、更に、紫外線吸収剤、及び/又は、光安定剤を含有する、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  6. 前記表面保護層側に、凹凸形状を有する、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  7. 前記凹凸形状は、木目調形状、又は、ヘアライン調形状である、請求項6に記載の除菌容易性化粧シート。
  8. 基材シート上に、絵柄模様層、透明性樹脂層及び前記表面保護層を順に有する、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  9. 前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂を含み、前記表面保護層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとした場合に、(A/B)×100で示されるピーク面積比が450%以上1500%以下である、請求項1に記載の除菌容易性化粧シート。
  10. 前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂を含み、前記表面保護層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとした場合に、(C/D)×100で示されるピーク高さ比が100%以上300%以下である、請求項1に記載の除菌容易性化粧化粧シート。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の除菌容易性化粧シートを基材上に有する除菌容易性化粧板。
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