JP2023050186A - 抗ウイルス性化粧シート及びそれを用いた抗ウイルス性化粧板 - Google Patents

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雅貴 和田
Masataka Wada
義昭 根津
Yoshiaki Nezu
梨紗 良波
Risa Yoshinami
陽亮 住田
Yosuke Sumida
智美 中島
Tomomi Nakajima
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Abstract

【課題】基材シートと、最表層(ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層)とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、最表層がベタ状の第1表面保護層とパターン状の第2表面保護層との二層構成であることに基づく優れた意匠性と、抗ウイルス剤の添加による優れた抗ウイルス性とを両立した抗ウイルス性化粧シートを提供する。【解決手段】厚さ方向において順に、基材シートと、最表層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、(1)前記最表層は、前記基材シート側から、ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とからなり、(2)前記第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有する、ことを特徴とする抗ウイルス性化粧シート。【選択図】なし

Description

本発明は、抗ウイルス性化粧シート及びそれを用いた抗ウイルス性化粧板に関する。
従来、建築物の内装材に用いられる建具、床、壁等の表面化粧等のために各種の化粧シートが用いられている。例えば、厚さ方向において順に、基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを有する積層体から構成される化粧シートが幅広く用いられており、必要に応じて基材シート上に装飾層を設けたり、接着性を高めるために透明性樹脂層と表面保護層との間にプライマー層を設けたり、表面保護層を複層構成(例えば、ベタ状とパターン状との積層)にして各層に異なる特徴を付与したりすること等が知られている。
この点、特に化粧シートの意匠性、耐傷性等を向上させる観点では、表面保護層を複層構成とし、各層の光沢度(艶値)を調整すること、フィラーを含有すること、電離放射線硬化型樹脂を含有すること、パターン状の表面保護層を設けて奥行き感を付与すること等が知られている。
表面保護層を複層構成とする態様については、例えば、特許文献1に「シート基材上に、絵柄模様層と、第1表面保護層と、第2表面保護層とが、この順に積層され、
前記第1表面保護層は、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂と、紫外線硬化型樹脂と、平均粒子径が3.0μm以上7.0μm以下の球状フィラーとを含み、
前記第2表面保護層は、紫外線硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂を含み、前記第1表面保護層の20%以上80%以下の面積を被覆することを特徴とする化粧シート。」が開示されている。
そして、効果に関して、「第1表面保護層を、その層厚とほぼ等しい粒子径の3.0μm以上7.0μm以下の球状フィラーを含有する熱硬化型樹脂と紫外線硬化型樹脂との混合物を用いて構成することで、低光沢でありながら耐摩耗性・耐傷性に優れた化粧シート及びそれを用いた化粧板を得ることができる。」と記載されている([発明の効果]欄)。
また、化粧シートの分野において、抗菌剤又は防カビ剤として公知の添加剤の含有量を増やすことにより化粧シートに抗ウイルス性を付与することが知られている。これに関連する先行技術としては、例えば特許文献2には、「化粧シート最表面のコーティング樹脂中に銀系無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤を配合した抗ウィルス性を有する内装用化粧シートにおいて、前記銀系無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤の真比重が2.5以下であり、かつ平均粒子径が1μ以下であり、かつ前記化粧シート最表面のコーティング樹脂に対して固形分比率で10~30%配合してなることを特徴とする抗ウィルス性を有する内装用化粧シート。」が開示されている。
特開2017-165030号公報 特開2015-080887号公報
しかしながら、従前、基材シートと、最表層(ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層)とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートにおいて、最表層がベタ状の第1表面保護層とパターン状の第2表面保護層との二層構成であることに基づく優れた意匠性と、抗ウイルス剤の添加による優れた抗ウイルス性とを両立するための構成について十分な検討はなされていない。
よって、本発明は、基材シートと、最表層(ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層)とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、最表層がベタ状の第1表面保護層とパターン状の第2表面保護層との二層構成であることに基づく優れた意匠性と、抗ウイルス剤の添加による優れた抗ウイルス性とを両立した抗ウイルス性化粧シートを提供することを主な目的とする。また、この化粧シートを用いた抗ウイルス性化粧板を提供することも目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、基材シートと、最表層(ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層)とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートにおいて、特定層に抗ウイルス剤を含有することにより優れた意匠性と優れた抗ウイルス性とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の抗ウイルス性化粧シート及びそれを用いた抗ウイルス性化粧板に関する。
1.厚さ方向において順に、基材シートと、最表層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
(1)前記最表層は、前記基材シート側から、ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とからなり、
(2)前記第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有する、
ことを特徴とする抗ウイルス性化粧シート。
2.前記最表層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂である、上記項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
3.前記第1表面保護層に対する前記第2表面保護層の被覆率が95%以下である、上記項1又は2に記載の抗ウイルス性化粧シート。
4.前記第1表面保護層に対する前記第2表面保護層の被覆率が20%以上である、上記項1~3のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
5.前記第1表面保護層の厚み及び前記第2表面保護層の厚みはそれぞれ0.1μm以上10μm以下である、上記項1~4のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
6.前記抗ウイルス剤は、無機系抗ウイルス剤及び/又は有機系抗ウイルス剤である、上記項1~5のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
7.前記無機系抗ウイルス剤は、銀含有無機系抗ウイルス剤である、上記項6に記載の抗ウイルス性化粧シート。
8.前記銀含有無機系抗ウイルス剤は、平均粒子径が1μm以上10μm以下であり、ガラス成分としてリン酸を含有する銀担持ガラス粒子である、上記項7に記載の抗ウイルス性化粧シート。
9.前記有機系抗ウイルス剤は、ベンゾイミダゾール系抗ウイルス剤、アニオン系抗ウイルス剤、及びエーテル系抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも一種である、上記項6に記載の抗ウイルス性化粧シート。
10.前記アニオン系抗ウイルス剤は、1)スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有する粒子、2)スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子との混合粒子、及び3)スチレン樹脂を含有する粒子、からなる群から選択される少なくとも一種の抗ウイルス性粒子である、上記項9に記載の抗ウイルス性化粧シート。
11.前記抗ウイルス剤の含有量は、前記第2表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、上記項1~10のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
12.前記第2表面保護層は、無機フィラーとして疎水化処理シリカを含有する、上記項1~11のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
13.厚さ方向において順に、化粧板基材と、上記項1~12のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シートとを少なくとも備える積層体から構成される抗ウイルス性化粧板。
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、最表層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
(1)前記最表層は、前記基材シート側から、ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とからなり、
(2)前記第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有する、
ことを特徴とする。この特徴を有することにより、本発明の化粧シートは最表層がベタ状の第1表面保護層とパターン状の第2表面保護層との二層構成であることに基づく優れた意匠性と、抗ウイルス剤の添加による優れた抗ウイルス性とを両立することができる。
本発明の抗ウイルス性化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の抗ウイルス性化粧板の構成部材の一例を模式的に示した断面図である。
1.抗ウイルス性化粧シート
本発明の抗ウイルス性化粧シート(以下、「本発明の化粧シート」ともいう)は、厚さ方向において順に、基材シートと、最表層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
(1)前記最表層は、前記基材シート側から、ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とからなり、
(2)前記第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有する、ことを特徴とする。
上記特徴を有することにより、本発明の化粧シートは最表層がベタ状の第1表面保護層とパターン状の第2表面保護層との二層構成であることに基づく優れた意匠性と、抗ウイルス剤の添加による優れた抗ウイルス性を両立することができる。
本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、最表層(基材シート側から、ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とからなる)とを少なくとも備える積層体から構成されており、第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有することの要件を満たしていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。
具体的な実施態様では、例えば、基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び最表層(ベタ状の第1表面保護層及びパターン状の第2表面保護層)を順に積層してなり、第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有している化粧シートが挙げられる(図1の化粧シート1の態様)。本発明の化粧シートは、上記以外の層を有していてもよいが、いずれの態様においても最表層のうちパターン状の第2表面保護層が最表面に位置する。なお、化粧板基材との接着性を高めるために、必要に応じて、図1に示すように化粧シートの裏面に裏面プライマー層を設けてもよい。
本明細書では、基材シートから見て最表層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材シートから見て裏面プライマー層が積層されている方向を「下」又は「裏面」と称する。化粧シート又は化粧板の「おもて(側)の面」又は「最表層(側)の面」とは、化粧シート又は化粧板の施工後に視認される面を意味する。なお、以下では「最表層の側」という場合に、略記して「最表層側」ともいう。
以下、図面を参照しながら化粧シートについて説明する。
図1は、本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。図1に示す化粧シート1は、基材シート2上に絵柄模様層3、透明性接着剤層4、透明性樹脂層5、プライマー層6及び最表層7(ベタ状の第1表面保護層7-1、及びパターン状の第2表面保護層7-2)が積層されている。また、基材シート2の裏面に裏面プライマー層8が積層されている。更に、パターン状の第2表面保護層7-2が抗ウイルス剤9を含有している。なお、図1のaはベタ状の第1表面保護層の厚さを示し、bはパターン状の第2表面保護層の最大厚さを示す(第2表面保護層はパターン状であるため、その厚さは凹部の影響により部分的に不均一である。)。
以下、本発明の化粧シートを構成する各層について図1の層構成を代表例として具体的に説明するが、この図1の層構成に限定されない。なお、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄模様層、透明性樹脂層、最表層(第1表面保護層及び第2表面保護層)等が順次積層される。基材シートの材質は限定されないが、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、特に非ハロゲン系熱可塑性樹脂が好ましい。
上記非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン-αオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン-プロピレン共重合体,プロピレン-ブテン共重合体,エチレン-酢酸ビニル共重合体,エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル,ポリ(メタ)アクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン-6,ナイロン-66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、スチレンブタジエンゴム,イソプレンゴム等の非ハロゲン系のジエン系ゴム、ブチルゴム,エチレンプロピレンゴム等の非ジエン系ゴム、天然ゴム、熱可塑性エラストマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等が挙げられる。また、これらの非ハロゲン系熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、絵柄模様層の印刷適性及びエンボス加工適性に優れ、安価である点で、オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合は、上記のような非ハロゲン系熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚さは40~100μmが好ましい。基材シートの厚さが40μm未満であると、化粧板基材に凹凸形状がある場合に当該凹凸の化粧板表面への表出を十分に抑制できないおそれがある。また、基材シートの厚さが100μmを超えると、化粧シートをロール状態で保存した際に巻きぐせがつくことにより、ロールラミネートが困難となるおそれがある。基材シートの厚さは、60~80μmがより好ましい。基材シートは、単層又は多層のいずれで構成されていてもよい。
基材シートは、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理は、公知の方法及び条件に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、後述する裏面プライマー層及び/又は合成樹脂製バッカー層を形成したりしてもよい。
絵柄模様層
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様、風景、キャラクター等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた既知の印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン-アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN-ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン-ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1~15μm程度である。
透明性接着剤層
透明性接着剤層は、例えば絵柄模様層と後述の透明性樹脂層との密着性を高めること等を目的として、絵柄模様層上に設けることができる。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
透明性接着剤層の厚さは特に限定されないが、厚さが0.1~30μm程度、好ましくは1~20μm程度である。
透明性樹脂層
透明性樹脂層は、透明性であれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。上記透明性樹脂層の材質は限定されないが、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、特に非ハロゲン系熱可塑性樹脂が好ましい。
上記非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン-αオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン-プロピレン共重合体,プロピレン-ブテン共重合体,エチレン-酢酸ビニル共重合体,エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、又は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン-6,ナイロン-66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、又は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。また、これらの非ハロゲン系熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、エンボス加工適性に優れ、安価である点で、オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていてもよい。
また、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、必要に応じて、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、下記式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物が好適に用いられる。これらの中でも、極大吸収を270nmから400nmに有する化合物が好ましい。
Figure 2023050186000001
上記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物は、下記式(2)で示されるように、光を吸収することで励起し、骨格に応じて、分子内で水素原子の移動が生じる。基底状態には、熱を放出して戻ることができる。
Figure 2023050186000002
上記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物の例としては、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(3-トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジビフェニル-s-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-[1-(i-オクチルオキシカルボニル)エチルオキシ]フェニル]-4,6-ジビフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名:CYASORB(登録商標)UV-1164)、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名:LA-F70)、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル]-s-トリアジン(商品名:SIASORB102)等が挙げられる。
上記光安定剤としては特に限定されず、下記式(3)で示されるヒンダードアミン系化合物(ヒンダードアミン系光安定剤)を好適に用いることができる。
Figure 2023050186000003
上記式(3)中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子を含んでいてもよい基を示す。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、下記式(4)で示す反応によりラジカルを捕捉することができる。
Figure 2023050186000004
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル4-ヒドロキシベンジルマロネート;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合物;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルステアレート;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルドデカネート;1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルステアレート;1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルドデカネート;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物;トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-2-n-ブチル2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロン酸;3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-モルホリノ2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンおよび1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンおよび1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物;8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1-エタノイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;4-ヘキサデシルオキシ-および4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物;1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン,2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンおよび4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの縮合物;2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカン;オキソ-ピペランジニル-トリアジン;7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物、ブタン2酸ジメチルエステル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールのポリマー等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定としては、N-アルコキシヒンダードアミン系光安定剤を用いることができる。N-アルコキシヒンダードアミン系光安定剤としては、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルトリデシルエステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルトリデシルエステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]-ウンデカン3,9-ジエタノールの重合体の1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]-ウンデカン3,9-ジエタノールの重合体の2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルエステル;炭酸ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定としては、また、ヒドロキシル置換N-アルコキシHALSを用いることができる。ヒドロキシル置換N-アルコキシHALSとしては、1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-(4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イルオキシ)-2-オクタデカノイルオキシ-2-メチルプロパン;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールおよびジメチルスクシネートの反応生成物等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社製Tinuvin 123、Tinuvin 152、Tinuvin NOR 371 FF、Tinuvin XT850 FF、Tinuvin XT855 FF、Tinuvin 5100、Tinuvin 622SF、Flamestab NOR 116 FF、株式会社ADEKA製アデカスタブLA-81等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
透明性樹脂層の厚さは限定的ではないが、40μm以上300μm以下が好ましく、その中でも60μm以上200μm以下がより好ましく、60μm以上100μm以下が最も好ましい。透明性樹脂層の厚さを上記範囲に設定することにより、深いエンボスを形成することができると共に、傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)を抑制する効果が得られ易い。
プライマー層
基材シート、絵柄模様層、又は透明性樹脂層の上には、最表層用のプライマー層を形成してもよい。このプライマー層は、例えば透明性樹脂層と後述の最表層(特にベタ状の第1表面保護層)との密着性を高める作用に加えて、最表層との組み合わせにより化粧シートの折り曲げ加工性や耐傷性を高めることができる。プライマー層は透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系共重合体樹脂)、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。これらの中でも、耐傷性及び耐候性の観点からポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂を含むウレタン樹脂系プライマー剤が好適に使用できる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤;シリカ、炭酸カルシウム、クレー等のフィラー;水酸化マグネシウム等の難燃剤;酸化防止剤;滑剤;発泡剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
上記の添加剤のうち、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤、光安定剤のそれぞれについて1000~100000重量ppm程度とすればよい。特に本発明では、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましい。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.5μm以上12μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、後述の最表層との組み合わせにより化粧シートの折り曲げ加工性や耐傷性を高め易くなる。また、耐候剤などの添加剤を含有し易くなり、本発明の化粧シートに耐候性も付与し易くなる。
最表層(第1表面保護層及び第2表面保護層)
本発明の化粧シートは、最表層として、基材シート側からベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とが形成されている。なお、最表層(第1表面保護層及び第2表面保護層)は透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。
本発明の化粧シートは、最表層の中でも第2表面保護層に抗ウイルス剤を含有する。抗ウイルス剤としては無機系抗ウイルス剤及び/又は有機系抗ウイルス剤が挙げられる。第2表面保護層における抗ウイルス剤の含有量は限定的ではないが、後述する第2表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。かかる含有量に設定することにより、最表層の意匠性、耐擦傷性等を低下させずに抗ウイルス性を付与し易い。一般的に無機系抗ウイルス剤は長期間抗ウイルス性能が持続する安定性に有利であり、有機系抗ウイルス剤は短時間で抗ウイルス性能を発現する即効性に有利であるという特徴があるため、それぞれの効果を期待して使い分けることができる。
無機系抗ウイルス剤としては、金属系抗ウイルス剤が挙げられる。金属系抗ウイルス剤としては、例えば、銀、銅、亜鉛等の金属イオンをゼオライト、アパタイト、ジルコニア、ガラス等に担持させた抗ウイルス剤(抗ウイルス性粒子)が挙げられる。これらの中でも、銀を含有する銀含有無機系抗ウイルス剤を好適に用いることができる。無機系の抗ウイルス性粒子の形状は特に制限されず、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられる。
銀含有無機系抗ウイルス剤としては、無機粒子であるゼオライト、アパタイト、ジルコニア、酸化モリブデン等の物質に銀イオンを取り込んで形成した複合材料が使用できる。また、銀担持ガラス粒子も使用でき、ガラス成分としてはリン酸が代表的なものとして挙げられる。銀担持ガラス粒子は、ガラス成分の一つとして銀を含有したものであり溶解性ガラスに位置付けられており、ガラス組成を調整することにより水と接触した際の溶解性を調整することができるため、銀担持ガラス粒子の添加量が比較的少量でも抗ウイルス性能、更には抗菌性能を発現しやすいと考えられる。ここで、銀担持ガラス粒子は水と接触することによりガラスが溶解して銀イオンが溶出されることにより、ウイルス及び細菌を不活性化すると考えられている。また、銀担持酸化モリブデン粒子は、多量の銀イオンを担持可能であるため、銀担持酸化モリブデン粒子の使用量が少量であっても抗ウイルス性能及び抗菌性能を発現することが可能であり、最表層の表面性能に影響を与え難いという利点がある。
これらの銀含有無機系抗ウイルス剤としては各種用途で上市されている市販品を使用してもよい。銀含有無機系抗ウイルス剤の平均粒子径は限定的ではないが、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。本発明では、銀含有無機系抗ウイルス剤の中でも、平均粒子径が1μm以上10μm以下であり、ガラス成分としてリン酸を含有する銀担持ガラス粒子を好適に用いることができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50として求めることができる値である。
有機系抗ウイルス剤としては、第4級アンモニウム塩系、第4級ホスホニウム塩系、ピリジン系、ピリチオン系、ベンゾイミダゾール系、有機ヨード系、イソチアゾリン系、アニオン系、エーテル系等の抗ウイルス剤が挙げられる。
上記有機系抗ウイルス剤の中でも、特に粒子形状を保つ抗ウイルス剤であるベンゾイミダゾール系抗ウイルス剤、アニオン系抗ウイルス剤、及びエーテル系抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも一種の抗ウイルス性粒子が好適に用いられる。抗ウイルス剤が粒子形状を保つとは、抗ウイルス性粒子が表面保護層を形成する樹脂組成物内で溶解することなく、硬化後の表面保護層中に粒子形状を維持して存在することを意味する。
上記ベンゾイミダゾール系抗ウイルス剤としては特に限定されず、例えば、メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名:カルベンダジム)、ポリマー化したイミダゾール系化合物が挙げられる。
上記エーテル系抗ウイルス剤としては、例えば、フェニルエーテル誘導体化合物が好ましい。上記フェニルエーテル誘導体化合物としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。また、エーテル系抗ウイルス剤として、更に生分解性やコストなどを考慮した場合にはポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられ、これらはエーテル型非イオン界面活性剤として抗ウイルス性能を発現し得ることが知られている。
上記アニオン系抗ウイルス剤としては、例えば、1)スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有する粒子、2)スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子との混合粒子、及び3)スチレン樹脂を含有する粒子、からなる群から選択される少なくとも一種の抗ウイルス性粒子が好ましい。ここで、3)スチレン樹脂を含有する粒子は、前記不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有していない粒子である。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子は、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有し、その構成成分は、水素、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、カルボキシ基の誘導体及びスルホン酸基の誘導体からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましい。具体的には、スチレン、スルホン酸ナトリウム、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましく、特にスチレン及びスルホン酸ナトリウムの少なくとも一種の構造、並びにアクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造の両方を有することが好ましい。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子の粒子全体におけるスチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との含有割合は限定されない。一般に、エンベロープウイルスはエンベロープ(脂質層)を破壊することにより比較的容易に不活性化できるため、エンベロープウイルスに対する効果のみを期待するのであれば、スチレンポリマー誘導体化合物のみ含まれれば良く、その中でもスチレン樹脂単体のみ含まれれば十分に効果が得られる場合もある。
但し、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子において、活性阻害が困難なノンエンベロープウイルスに対しても抗ウイルス性能を有することを考慮すると、スチレンポリマー誘導体化合物に加えて不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有することが好ましく、スチレンポリマー誘導体化合物:不飽和カルボン酸誘導体化合物の質量比で例えば30:70~70:30、更には40:60~60:40と設定することができる。つまり、エンベロープウイルス及びノンエンベロープウイルスの両方に対して抗ウイルス性能を有するためには、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との両成分を含有する前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子を用いることが好ましい。また、カルボン酸誘導体の添加量が少量でも安定的な効果を得るためには上記カルボン酸誘導体化合物の構成成分としてトリエチルアミン、N,N-ジメチルアリルアミン、ジメチルピロール、テトラメチル-1、3-プロパンジアミン、N,N,2,2-テトラメチル-1,3プロパンジアミンを全て含む化合物を用いることが更に好ましい。
具体的には、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子において、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子(粒子A)と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子(粒子B)とを別々に含有する混合粒子である場合には、粒子A:粒子Bの質量比を30:70~70:30、更には40:60~60:40と設定することができる。これらの粒子A、粒子Bとしては、それぞれの成分を含有する各種用途で上市されている粒子をそのまま使用してもよく、溶剤系の状態で市販されているものを乾燥・成形することで粒子化して使用してもよい。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子が抗ウイルス性を発揮する理由については下記に推測されるメカニズムに拘束される訳ではないが、例えば、各種ウイルスは宿主細胞表面の糖鎖受容体(糖鎖末端はノイラミン酸)に結合して宿主細胞内に侵入するところ、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子はノイラミン酸と類似したイオン基を有するため、宿主細胞の代わりにウイルスと結合してウイルスを捕捉することで、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合するのを防止して抗ウイルス効果を発揮すると考えられる。
具体的には、エンベロープウイルスのスパイクタンパク質及びノンエンベロープウイルスのカプシド(タンパク質の殻)に対して、カルボン酸誘導体の構成成分として前述した複数種のアミノ基等の共有電子対を有する官能基が結合(補捉)する。それと同時又は従属的にスチレンポリマー誘導体のスルホン酸基がエンベロープを破壊することでエンベロープウイルスは不活性化し、カルボン酸誘導体化合物のカルボキシ基がカプシドを酸化することでノンエンベロープウイルスを不活性化すると考えられる。また、スルホン酸基は上述の通り主にエンベロープの破壊に寄与していると考えられるが、酸化力を有しているためカルボキシ基同様にノンエンベロープウイルスのカプシドの酸化にも関係する。そのためノンエンベロープウイルスを効率的に不活性化しつつ、更にエンベロープウイルスも不活性化するにはカルボン酸誘導体とスチレンポリマー誘導体を同時に用いることが有効となる。
有機系の抗ウイルス性粒子の形状は特に制限されず、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられる。
有機系の抗ウイルス性粒子の平均粒子径は、0.1~10μmが好ましく、0.5~8μmがより好ましく、1~7μmがさらに好ましい。
有機系の抗ウイルス性粒子の平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、表面保護層を形成する樹脂組成物中の安定性が得られやすくなる。また、平均粒子径を10μm以下とすることにより、抗ウイルス性粒子が表面保護層の表面から突出することによる外観不良、耐傷性及び耐汚染性の低下、並びに塗膜の白化を抑制しやすくできる。
なお、有機系の抗ウイルス性粒子の平均粒子径は前述の範囲であることが好ましいが、表面保護層を形成する樹脂組成物中の抗ウイルス性粒子が、表面保護層が完全に硬化するまでの間に凝集し、粒子径が見た目上で大きくなったとしても抗ウイルス性能の発現に問題は無い。
また、所定の抗ウイルス性能及び表面保護層(第2表面保護層)の性能を両立するためには、第2表面保護層の断面観察(厚さ方向に対して垂直方向からの観察)において第2表面保護層の断面積100%に対して抗ウイルス剤の断面積比率(占有率)を1%以上10%以下に設定することが好ましい。抗ウイルス剤の断面積比率を1%以上とすることにより所定の抗ウイルス性能が得られ易くなり、断面積比率を10%以下とすることにより第2表面保護層の性能(前述の意匠性、耐擦傷性等)を確保し易くなる。なお、断面積比率は、厚さ方向の断面(任意の幅200μm;「幅」は厚さ方向に対して垂直な方向である)をデジタルマイクロスコープにより観察することにより算出した値である。
更に、所定の抗ウイルス性能及び表面保護層(第2表面保護層)の性能を両立するためには、第2表面保護層の表面観察(上方から厚さ方向の観察)において第2表面保護層の表面積100%に対して抗ウイルス剤の表面積比率(占有率)を6%以上20%以下に設定することが好ましい。抗ウイルス剤の表面積比率を6%以上とすることにより所定の抗ウイルス性能が得られ易くなり、抗ウイルス剤の表面積比率を20%以下とすることにより第2表面保護層の性能(前述の意匠性、耐擦傷性等)を確保し易くなる。なお、表面積比率は、レーザー顕微鏡を用いて任意の縦2mm×横3mmの面積100%において測定し、n=5の平均値を求めることにより算出した値である。
最表層に含まれる樹脂成分としては限定的ではないが、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により最表層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。これらの中でも、電離放射線硬化型樹脂がより好ましく、本発明では、第1表面保護層及び第2表面保護層の少なくとも一層が電離放射線硬化型樹脂を含有することが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重量平均分子量としては、通常250~100000程度が好ましい。ここで、本明細書における重量平均分子量は、GPC分析(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定され、且つ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
上記例示の樹脂については1種又は2種以上を併用して用いることができる。
最表層において、第1表面保護層は透明性樹脂層又はプライマー層の上にベタ状に(全面に)に形成される。また、第2表面保護層は第1表面保護層上にパターン状に(つまり部分的に)形成される。第1表面保護層に対する第2表面保護層の被覆率(面積率)はパターンの種類により限定的ではないが、単位面積当たり95%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。また、被覆率(面積率)の下限は限定的ではないが、20%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。20%以上の被覆率に設定することにより抗ウイルス性の効果が得られ易くなる。また、95%以下の被覆率に設定することにより表面保護層が二層構成であることに基づく意匠性(特にグロスとマットのコントラストによる意匠性)が得られ易くなる。例えば、50%以上80%以下の被覆率に設定することにより本発明の化粧シートにおいて優れた意匠性と優れた抗ウイルス性の効果を両立し易い。被覆率を調整する際は、例えば、絵柄模様層が木目導管模様の場合には、木目導管に位置する部分に第2表面保護層が被らないように、いわゆる抜き導管と呼ばれる態様で第2表面保護層を設けるように面積率を調整することができる。
なお、本発明では、最表層において第2表面保護層がパターン状に形成されていて第2表面保護層の厚みが不均一であることにより優れた意匠性を発現し易い態様であるが、第1表面保護層の艶値と第2表面保護層の艶値を異ならせることにより、更に立体感のある意匠性を付与することができる。例えば、第1表面保護層を低艶(マット)とし、第2表面保護層を高艶(グロス)とすることによりグロスとマットのコントラストによる優れた意匠性を付与することができる。具体的には、絵柄模様層が木目導管模様の場合には、前述の抜き導管の態様において、第1表面保護層を低艶(マット)とし、第2表面保護層を高艶(グロス)とすることにより、木目導管の部分とそれ以外の部分においてグロスとマットとのコントラストによって複雑且つリアルに表現することができる。
各表面保護層において光沢の程度に差を設けるための手段としては、各表面保護層における艶消し材(シリカなどのフィラー)の含有量に違いを設けることが挙げられる。つまり、艶消し材の含有量が多い場合には低艶(マット)部分となり、艶消し材の含有量が少ない場合には高艶(グロス)部分となる。本発明の化粧シートでは、絵柄模様層の模様の種類にもよるが、化粧シートを最表層側から平面視した場合に高艶部と低艶部とが視認できることを前提とし、各艶部の面積割合を例えば、高艶部/低艶部=10/90~30/70の範囲に設定することができる。特に絵柄模様層が木目導管模様の場合には、かかる面積割合の場合にグロスとマットによる奥行きのある優れた意匠性が得られ易い。
なお、表面保護層(第2表面保護層)に添加する抗ウイルス剤としてアニオン系抗ウイルス剤を選定した場合には、第2表面保護層に含有する無機フィラー(特に艶消し剤)としては疎水化処理シリカを用いることが好ましい。これは、通常の艶消しシリカは親水性であり親水基を有するために溶液中で正に帯電し、アニオン系抗ウイルス剤の負に帯電した官能基と反応し得ることで、アニオン系抗ウイルス剤の所定の効果を低減する可能性があるからである。
各表面保護層の厚さは限定的ではないが、第1表面保護層の厚さは0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。第2表面保護層の厚さは図1のbで示される最大厚さが0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。パターンに基づく不均一な厚さについては上記最大厚さの範囲内で適宜意匠性を考慮して調整することができる。
最表層には、耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。
また、紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α-アミノオキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン等、光重合促進剤(増感剤)としてn-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン等を用いることができる。
最表層は、例えば、プライマー層上に第1表面保護層を形成する樹脂組成物をベタ状に塗工し、塗膜を硬化させた後。続けて第2表面保護層を形成する樹脂組成物をパターン状に塗工し、塗膜を硬化させることにより形成することができる。
本発明では、第1表面保護層を形成する樹脂組成物は、例えばプライマー層上に塗工した段階でその塗膜がタックフリー(低粘着性)であることが好ましい。タックフリーであれば、電離放射線の照射、高温の焼付け等による半硬化処理をすることなく、第2表面保護層を形成前にロール状に巻き取って一時保管をしても他層にブロッキング(裏移り)するおそれを低下させることができる。また、タックフリーであれば第2表面保護層を積層する工程を円滑に行うことができる。第1表面保護層を塗工時にタックフリーとするには、第1表面保護層を形成する樹脂成分の重量平均分量を適宜調整するほか、無機フィラーを添加することによっても達成することができる。
なお、第1表面保護層を形成する樹脂組成物及び/又は第2表面保護層を形成する樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含有してもよい。溶剤を含むことにより、溶剤が揮発する際に抗ウイルス剤(特に抗ウイルス性粒子)を塗膜の表面により浮かび上がりやすくすることができ、本発明では第2表面保護層の表面付近(上側表面付近)抗ウイルス性粒子を偏在させやすくできる。
溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
これらの中でも、抗ウイルス性粒子の粒子形状維持の観点から、例えば、メチルエチルケトン及び酢酸エチルが好ましい。
溶剤の含有量は、各樹脂組成物の全量の10~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
エンボス加工
エンボス加工は、化粧シートに木目模様等の所望のテクスチャーを付与するために行い、透明性樹脂層上、及び/又は、表面保護層上からエンボス加工が施されていてもよい。例えば、最表層を加熱軟化させた後、所望の形の凹凸模様を有するエンボス板で加圧及び賦型し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。
エンボス加工の凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられる。
エンボス加工を施した場合には、必要に応じて、エンボス凹部にワイピング加工によりインキを充填してもよい。例えば、エンボス凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する。充填するインキ(ワイピングインキ)としては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。特に木目導管溝凹凸に対してワイピング加工を行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
裏面プライマー層
基材シートの裏面には、必要に応じて裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、基材シートと化粧板基材とを接着して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系共重合体樹脂)、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマー層の厚さは特に限定されないが、通常0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm程度である。
合成樹脂製バッカー層
基材シートの裏面には、必要に応じて合成樹脂製バッカー層を設けてもよい。合成樹脂製バッカー層を有することにより、化粧シートの耐衝撃性がより一層向上する。なお、前述の裏面プライマー層も設ける場合には、基材シートの裏面に基材シート側から合成樹脂製バッカー層及び裏面プライマー層の順に設ける。
合成樹脂製バッカー層を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどの非ジエン系ゴム、天然ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。
合成樹脂製バッカー層の厚みは、0.1~0.6mmが好ましく、0.15~0.45mmがより好ましく、0.20~0.40mmが更に好ましい。合成樹脂製バッカー層の厚みの下限が上記範囲であることにより、化粧シートの耐衝撃性がより一層向上する。また、合成樹脂製バッカー層の厚みの上限が上記範囲であることにより、化粧シートの反りがより一層抑制される。
化粧シートの各層に含まれる各種添加剤のベシクル化
本発明の化粧シートの上述の各層に添加される各種添加剤(透明性樹脂層、プライマー層、最表層等に添加される無機フィラー等)は、当該各種添加剤がベシクル化されていることが好ましい。各種添加剤をベシクル化する方法としては特に限定されず、公知の方法によりベシクル化することができ、中でも超臨界逆相蒸発法が好ましい。
ベシクル化処理方法としては、超臨界逆相蒸発法の他に、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、逆相蒸発法、凍結融解法などが挙げられる。このようなベシクル化処理方法について簡単に説明すると、Bangham法は、フラスコなどの容器にクロロホルムまたはクロロホルム/メタノール混合溶媒を入れ、さらにリン脂質を入れて溶解する。その後、エバポレータを用いて溶媒を除去して脂質からなる薄膜を形成し、添加剤の分散液を加えた後、ボルテックスミキサーで水和・分散させることよりベシクルを得る方法である。エクストルージョン法は、薄膜のリン脂質溶液を調液し、Bangham法において外部摂動として用いたミキサーに代わってフィルターを通過させることによりベシクルを得る方法である。水和法は、Bangham法とほぼ同じ調製方法であるが、ミキサーを用いずに、穏やかに攪拌して分散させてベシクルを得る方法である。逆相蒸発法は、リン脂質をジエチルエーテルやクロロホルムに溶解し、添加剤を含んだ溶液を加えてW/Oエマルジョンを作り、当該エマルジョンから減圧下において有機溶媒を除去した後、水を添加することによりベシクルを得る方法である。凍結融解法は、外部摂動として冷却・加熱を用いる方法であり、この冷却・加熱を繰り返すことによってベシクルを得る方法である。
以下、超臨界逆相蒸発法について詳細に説明する。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は超臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を形成する物質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質としての各種添加剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての各種添加剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度のみ、又は、臨界圧力のみが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。当該方法により、直径50~800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。一般に、ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞の内部に液相を含むものの総称であり、特に、外膜がリン脂質等の生体脂質から構成されるものをリポソームと称する。
上記リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
外膜を構成する物質としては、また、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類若しくはトリアシルグリセロールの混合物等の分散剤を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン-ポリ2-ビニルピリジン、ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記コレステロール類としては、コレステロール、α-コレスタノール、β-コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24-コレスタジエン-3β-オール)、コール酸ナトリウム、コレカルシフェロール等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成されていてもよい。本発明の化粧シートにおいては、外膜をリン脂質から形成したリポソームとすることで、各層の主成分である樹脂組成物と各種添加剤との相溶性を良好なものとすることができる。
2.抗ウイルス性化粧板
本発明の抗ウイルス性化粧板(以下、「本発明の化粧板」ともいう)は、厚さ方向において順に、化粧板基材と、前述の本発明の化粧シートとを備える積層体から構成される。
図2に、化粧板基材10上に本発明の化粧シート1(最表層側とは反対面と化粧板基材10とを貼り合わせる)がこの順に積層された化粧板11の一例を示す。
化粧板基材としては限定的ではないが、例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、コルクシート、コルク含有複合基材、熱可塑性樹脂板(ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等を主成分とする樹脂板、又はそれらを発泡させたもの)等の少なくとも1種が挙げられる。これらの化粧板基材は、単独又は2種以上を組み合わせて積層することにより使用してもよい。
ここで、針葉樹としては、例えば、椴松、唐松、蝦夷松、杉、ヒノキ、パイン、セコイヤ、トウヒ等が挙げられる。広葉樹としては、例えば、ラワン、シナ、カバ、セン、ブナ、ナラ、メランチ等が挙げられる。また、早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。
針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板等の木質合板を用いる場合の木質単板の積層数(プライ数)は限定的ではないが、通常3~7枚が好ましく、5~7枚がより好ましい。また、木質合板作製時に用いる接着剤も限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化型接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル-尿素系など)等の接着剤も挙げられる。
前記コルクシートとしては、コルク樫の樹皮のコルク組織を剥離及び加工した弾力性に富む素材であるいわゆる天然コルクだけでなく、コルクに似せて作られたいわゆる合成コルクのいずれも用いることができる。なお、コルクシートは単層であってもよく、弾性率や密度が異なる複数のコルクシートの積層体であってもよい。
前記コルク含有複合基材としては、コルクシートと他の材質(例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板)とを積層して貼り合わせてなる複合材などが挙げられる。
化粧板基材の厚さは限定的ではないが、2~15mm程度が好ましく、2~12mm程度がより好ましい。
化粧シート及び化粧板基材を積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤によりそれぞれを貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ウレタン、アクリル、ウレタン-アクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に示す内容に限定されない。
実施例1
基材シートとして60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムを用意し、基材シートの裏面に裏面プライマー層(厚さ2μm)を形成し、基材シート上(おもて面)にプライマー剤を塗工してプライマー層を形成した。
プライマー層上に第1表面保護層形成用樹脂(電離放射線硬化型ウレタンアクリレート樹脂)をグラビアコート方式で全面に塗工量2μmで塗工した。次いで、銀含有無機系抗ウイルス剤(銀担持リン酸系ガラス粒子、品番「PG-711」、平均粒子径1μm、興亜硝子株式会社製)を第2表面保護層形成用樹脂(電離放射線硬化型ウレタンアクリレート樹脂)100質量部に対して4質量部含有した第2表面保護層形成用組成物をグラビアコート方式で導管絵柄模様のパターン状に塗工量2μmで塗工した。次いで、酸素濃度200ppm以下の環境下、電子照射装置を用いて加速電圧165KeV、5Mradの条件で電子線を照射し最表層を形成した。なお、最表層の表面保護層の艶は、奥行き感を表現するために第1表面保護層よりも第2表面保護層の方がより艶が高くなるよう調整した。また、最表層側から化粧シートを観察した際に第1表面保護層に対する第2表面保護層の被覆率(面積率)が90%となるように第2表面保護層を形成した。第1表面保護層及び第2表面保護層の厚さは硬化後においていずれも2μmであった。これにより抗ウイルス性化粧シートを作製した。
実施例2
基材シートとして60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムを用意し、基材シートの裏面に裏面プライマー層(厚さ1μm)を形成し、基材シートのおもて面に厚さ2μmの絵柄印刷層をグラビア印刷により形成した。次いで、絵柄模様層上に、ウレタン系樹脂を用いて厚さ2μmの透明性接着剤層を形成した。次いで、透明性接着剤層上に、厚さ60μmの透明ポリプロピレン系樹脂のシートを押し出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。次いで、透明性樹脂層上にプライマー層を形成し、更にプライマー上に最表層を形成した。プライマー層及び最表層の形成は、実施例1と同様として抗ウイルス性化粧シートを作製した。
実施例3
第2表面保護層形成用組成物において、銀含有無機系抗ウイルス剤の含有量を第2表面保護層形成用樹脂(電離放射線硬化型樹脂)100質量部に対して0.1質量部とした以外は、実施例2と同様に抗ウイルス性化粧シートを作製した。
実施例4
最表層側から化粧シートを観察した際に第1表面保護層に対する第2表面保護層の被覆率(面積率)が30%となるように第2表面保護層を形成した以外は、実施例2と同様に抗ウイルス性化粧シートを作製した。
実施例5
第2表面保護層形成用組成物に含有する抗ウイルス剤をアニオン系抗ウイルス剤(polysciences社製スチレン樹脂、商品名「ミクロスフェア」(粒子径1μm))に変更し、更に艶調整のために第2表面保護層形成用樹脂100質量部に対して艶消し剤として疎水化処理シリカ(平均粒子径2μm)を20質量部含有した以外は、実施例1と同様に抗ウイルス性化粧シートを作製した。
実施例6
第2表面保護層形成用樹脂に添加する抗ウイルス剤を下記の抗ウイルス剤に変更した以外は、実施例1と同様にして抗ウイルス性化粧シートを作製した。
・抗ウイルス剤(第2表面保護層形成用樹脂100質量部に対する含有量は4質量部)
カルボン酸誘導体として、シクロヘキサンカルボン酸(新日本理化株式会社製)、トリエチルアミン(東京化成工業株式会社製)、N,N-ジメチルアリルアミン(東京化成工業株式会社製)、2,4-ジメチルピロール(東京化成工業株式会社製)及びN,N,2,2-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン(東京化成工業株式会社製)を含む原料を混合、反応させることにより調製した。
また、スチレンポリマー誘導体として、p-スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー株式会社製;商品名「スピノマーNaSS」)、スチレンモノマー(和光純薬工業株式会社製)及び変性エタノール(和光純薬工業株式会社製;商品名「86%エタノール-ME」)を含む原料を混合、反応させることに調製した。
抗ウイルス剤は、上記カルボン酸誘導体及び上記スチレンポリマー誘導体を順に3:1の質量比で混合した後、ジェットミル(日清エンジニアリング株式会社;商品名「SJ-100」)で粉砕することにより調製した。抗ウイルス剤を、JIS Z8825-1に準拠したレーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製)を用いて測定したところ、平均粒子径は1μmであった。
試験例1
各化粧シートについて、意匠性、抗ウイルス性能(1)、及び軽荷重耐傷性について調べた。なお、実施例5については抗ウイルス性能(1)のみ、実施例6については抗ウイルス性能(2)のみについて調べた。
詳細は下記の通りである。各結果は下記表1に示す。
〔意匠性〕
成人男女20人(男性10人、女性10人)が化粧シートを最表層側から観察し、立体的且つ柄の視認性が明瞭な意匠が表現できているか否かを確認した。
評価基準は以下の通りとした。
++:立体的且つ柄の視認性が明瞭な意匠と判断した成人男女が9割以上
+ :立体的且つ柄の視認性が明瞭な意匠と判断した成人男女が6割以上9割未満
- :立体的且つ柄の視認性が明瞭な意匠と判断した成人男女が6割未満。
〔抗ウイルス性能(1)〕
抗ウイルス試験方法(ISO21702)に準拠した方法で抗ウイルス性能試験を行い、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性値を下記評価基準に基づいて評価した。
〔抗ウイルス性能(2)〕
抗ウイルス試験方法(ISO21702)に準拠した方法で抗ウイルス性能試験を行い、ネコカリシウイルスに対する抗ウイルス活性値を下記評価基準に基づいて評価した。
抗ウイルス性能(1)、(2)ともに、評価基準は下記の通りとした。
+:抗ウイルス活性値が2.0以上
-:抗ウイルス活性値が2.0未満。
〔軽荷重耐傷性(ホフマンスクラッチ試験)〕
各化粧シートの軽荷重耐傷性を、ホフマンスクラッチ試験機(BYK-Gardnar社製)を用いて確認した。具体的には、各化粧シートの最表層に対して、45度の角度で接するようにスクラッチ刃(直径7mmの円柱のエッジ部)をセットし、該スクラッチ刃を引っ張るように移動させて表面を擦った。その際、100~400g荷重の範囲で25gずつスクラッチ刃にかける荷重を変化させて、最表層に傷が発生するか否かを確認した。
評価基準は、以下の通りとした。
+:100g荷重において傷が確認されないもの
-:100g荷重において傷が確認されるもの。
Figure 2023050186000005
1.抗ウイルス性化粧シート
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.透明性接着剤層
5.透明性樹脂層
6.プライマー層
7-1.第1表面保護層
7-2.第2表面保護層
8.裏面プライマー層
9.抗ウイルス剤
10.化粧板基材
11.抗ウイルス性化粧板
a.第1表面保護層の厚さ
b.第2表面保護層の最大厚さ

Claims (13)

  1. 厚さ方向において順に、基材シートと、最表層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
    (1)前記最表層は、前記基材シート側から、ベタ状の第1表面保護層とその上に形成されたパターン状の第2表面保護層とからなり、
    (2)前記第2表面保護層が抗ウイルス剤を含有する、
    ことを特徴とする抗ウイルス性化粧シート。
  2. 前記最表層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂である、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  3. 前記第1表面保護層に対する前記第2表面保護層の被覆率が95%以下である、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  4. 前記第1表面保護層に対する前記第2表面保護層の被覆率が20%以上である、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  5. 前記第1表面保護層の厚み及び前記第2表面保護層の厚みはそれぞれ0.1μm以上10μm以下である、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  6. 前記抗ウイルス剤は、無機系抗ウイルス剤及び/又は有機系抗ウイルス剤である、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  7. 前記無機系抗ウイルス剤は、銀含有無機系抗ウイルス剤である、請求項6に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  8. 前記銀含有無機系抗ウイルス剤は、平均粒子径が1μm以上10μm以下であり、ガラス成分としてリン酸を含有する銀担持ガラス粒子である、請求項7に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  9. 前記有機系抗ウイルス剤は、ベンゾイミダゾール系抗ウイルス剤、アニオン系抗ウイルス剤、及びエーテル系抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  10. 前記アニオン系抗ウイルス剤は、1)スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有する粒子、2)スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子との混合粒子、及び3)スチレン樹脂を含有する粒子、からなる群から選択される少なくとも一種の抗ウイルス性粒子である、請求項9に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  11. 前記抗ウイルス剤の含有量は、前記第2表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  12. 前記第2表面保護層は、無機フィラーとして疎水化処理シリカを含有する、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  13. 厚さ方向において順に、化粧板基材と、請求項1~12のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シートとを少なくとも備える積層体から構成される抗ウイルス性化粧板。
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